JP6122517B1 - 配管のアンカプレートおよびその設置方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】配管の切断等の工事を実施することなく、配管にアンカプレートを容易にかつスムーズに設置可能で配管を拘束する技術。【解決手段】本発明は、拘束板であるアンカプレートは対をなす半割れアンカプレートメンバの突合せ溶接で配管に設置し、配管の移動や回転を拘束するアンカプレートである。アンカプレート11は、2つずつの半割れアンカプレートメンバ11a,11bが対をなし、対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士は、合せ面側中央部に、配管17と接触可能な弧状溶接接合部20と、合せ面側中央部の両側に合せ面方向に延びる線状溶接接合部21とをそれぞれ有する。半割れアンカプレートメンバ11a,11bは弧状溶接接合部20と線状溶接接合部21との溶接線交差予定部にスカラップ22が設けられたことを特徴とするものである。【選択図】 図3

Description

本発明の実施形態は、原子力発電プラントや火力発電プラント、各種プラント設備に用いられる配管のアンカプレートおよびその設置方法に関する。
原子力発電プラントや化学プラント、鉄鋼プラント等の各種プラント設備では、地震や熱による配管の移動や回転を拘束する配管支持装置の拘束板としてアンカプレートが設置される。アンカプレートは単一の厚板状プレートで構成される。アンカプレートは通常プレートセンターに配管を通す通し穴が設けられている。
原子力発電プラントや各種プラント設備では、配管同士を直接溶接や継手溶接により接続して接続配管を構成している。配管を敷設する前に、拘束板であるアンカプレートの通し穴に配管を通した後、配管同士を直接溶接して接続配管を構成し、この配管を鋼材や架鋼構造体を介して建屋駆体等に敷設している。
原子力発電プラントや各種プラント設備に敷設される配管では、配管を拘束するアンカプレートの設置が、配管の耐震性向上に役立つことが知られている。
特開2008−196108号公報 特開2001−287078号公報 特開平11−333593号公報 特公昭59−5193号公報
昨今、既設の原子力発電プラントや各種プラント設備に、より一層の耐震性の向上が求められている。既設の原子力発電プラントや各種プラント設備では、配管の耐震性向上に配管を拘束できるアンカプレートの設置が適している。既設配管の耐震性向上には、耐震裕度向上工事が必要となる。
しかし、配管の耐震裕度向上工事には、既設配管に拘束板であるアンカプレートを設置若しくは追設する場合、既存のアンカプレートでは既設配管の切断や復旧等の大掛りな配管改造工事を実施する必要があった。
配管改造工事にアンカプレートの追設が必要になった場合、配管の切断工事等が必要となり、各種プラントの運転中止や工事工程に大きな影響が生じるため、作業コストが甚大となる課題があった。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、配管の切断等の工事を実施することなく、配管にアンカプレートを容易にかつスムーズに設置することができる配管のアンカプレートおよびその設置方法を提供することを目的とする。
本発明の実施形態は、上述した課題を解決するために、2つずつの半割れアンカプレートメンバが対をなし、対をなす半割れアンカプレートメンバ同士は、合せ面側中央部に、配管と接触可能な弧状溶接接合部と、前記合せ面側中央部の両側に合せ面方向に延びる線状溶接接合部とをそれぞれ有し、前記半割れアンカプレートメンバは前記弧状溶接接合部と線状溶接接合部との溶接線交差予定部にスカラップが設けられ、前記半割れアンカプレートメンバは線状溶接接合部のスカラップ側に、前記線状溶接接合部と直交し、前記半割れアンカプレートメンバの板厚方向に延びる線状突合せ接合部が設けられたことを特徴とするアンカプレートを提供することである。
また、本発明の実施形態は、上述した課題を解決するために、それぞれ合せ面側中央部に配管と接触可能な弧状溶接接合部と、前記合せ面側中央部の両側に合せ面方向に延びる線状溶接接合部とをそれぞれ有し、前記弧状溶接接合部と線状溶接接合部との溶接線交差予定部にスカラップが設けられ、前記線状溶接接合部の前記スカラップ側に前記線状溶接接合部と直交し自己の板厚方向に延びる線状突合せ接合部が設けられた対をなす半割れアンカプレートメンバを用意し、対をなす前記半割れアンカプレートメンバ同士の前記各弧状溶接接合部を、配管の両側から接触させて前記半割れアンカプレートメンバを前記配管に仮止め、仮止めされた前記半割れアンカプレートメンバと前記配管とを前記弧状溶接接合部に沿って溶接し、前記半割れアンカプレートメンバ同士を前記配管に溶接固定し、前記配管に溶接固定された対をなす前記半割れアンカプレートメンバ同士を合せ面方向の前記線状溶接接合部および前記線状突合せ接合部に沿って溶接固定し、対をなす前記半割れアンカプレートメンバ同士は、前記線状溶接接合部および前記線状突合せ接合部の溶接によりアンカプレートが一体に構成されることを特徴とするアンカプレートの設置方法を提供することである。
本発明においては、敷設配管を切断等の工事を実施することなく、半割れアンカプレートメンバを配管の両側から溶接接合させ、配管の移動や回転を拘束し、配管の耐震性や配管強度を向上させることができる。
本発明の第1の実施形態に係るアンカプレートを、配管を拘束して配管支持装置に取り付けた状態を示す図。 図1のII−II線に沿う部分断面図。 アンカプレートを構成する対の半割れアンカプレートメンバをそれぞれ示す正面図。 図1および図3のIV−IV線に沿う断面図。 図3のA部を拡大して示す構成図。 図5のVI−VI線に沿う断面図。 配管に設置されるアンカプレート(半割れアンカプレートメンバ)の寸法関係を示す図。 (A)〜(F)は、第1の実施形態に係る対をなす半割れアンカプレートメンバの溶接手順をそれぞれ示す説明図。 厚板鋼板製の半割れアンカプレートメンバのスカラップを部分的に示す斜視図。 本発明の第2の実施形態に係るアンカプレートを構成する対の半割れアンカプレートメンバをそれぞれ示す正面図。 (A)〜(F)は、第2の実施形態に係る対をなす半割れアンカプレートメンバの溶接手順をそれぞれ示す説明図。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係るアンカプレートを備えた配管支持装置を示す構成図である。配管支持装置10は、拘束板としてのアンカプレート11を設置した架鋼構造体12を有する。架鋼構造体12は、原子力発電プラントや化学プラント等の各種プラント設備の建屋駆体13に固定ボルト等の固定手段で固設された金物のベース板14を備える。架鋼構造体12は、鋼材で構成された鋼製脚柱15と鋼製横梁16とを溶接等で一体に組みたてた組立構造物である。
拘束板としてのアンカプレート11は、矩形の厚板状プレートで構成され、配管17を拘束し、固定保持するものである。アンカプレート11の外周部は、架鋼構造体12の鋼製脚柱15および鋼製横梁16に溶接で一体に固定される。アンカプレート11は、架鋼構造体12に溶接にて取り付けられ、一体化される。鋼製構造体12に取り付けられるアンカプレート11は、図2に示すように、外周側辺部の両側が切欠かれ、この両側切欠部が溶接にて固定される。アンカプレート11の角隅部に溶接線交差予定部が形成され、この溶接線交差予定部に曲率半径Rcの隅スカラップ18が設けられる。隅スカラップ18は溶接部交差回避用切欠である。
図1では、アンカプレート11は対をなす2枚の矩形状半割れアンカプレートメンバ11a,11bを突合せ溶接して一体に構成した例を示したが、対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11bは左右に配設しても、あるいは上下に配設してもよい。また、アンカプレート11の二つ割り構造は、横方向の左右割りだけでなく、上下方向の縦割りや斜め方向の斜め割りであってもよい。さらに、架鋼構造体12は建屋駆体13に立設した例を示したが、架鋼構造体12は建屋駆体13の天井壁に吊設しても、また建屋駆体13が側壁に取り付けてもよい。
また、アンカプレート11は、図3に示すように対をなす2枚の矩形状半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士を合せて一体に構成される。アンカプレート11は対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士を突き合せ、溶接で一体化したものである。アンカプレート11には、配管17の構成材料と同じ材料、例えばSM400B(炭素鋼)、SUS304(ステンレス鋼)等が用いられる。配管17が、例えばSS(炭素鋼)配管の場合には、アンカプレート11はSM400B製材料が用いられ、配管17がSUS(ステンレス鋼)配管の場合にはSUS304製材料が用いられる。アンカプレート11を構成する半割れアンカプレートメンバ11a,11bには、例えば35mm厚や50mm厚等の厚板鋼板が使用される。
半割れアンカプレートメンバ11a,11bは、合せ面側中央部に配管17の両側から面接触可能な半円弧状の弧状溶接接合部20が設けられ、合せ面側中央部の両側に合せ面方向に延びる直線状の線状溶接接合部21が設けられる。弧状溶接接合部20と線状溶接接合部21とが交差する溶接線交差予定部には曲率半径Rのスカラップ22が設けられる。スカラップ22は溶接部同士が重なり合うことを防止する溶接部交差回避用切欠である。
半割れアンカプレートメンバ11a,11bの弧状溶接接合部20は、図4に示すようにプレート両側が切り欠かれて半円弧状に構成される。半割れアンカプレートメンバ11a,11bの線状溶接接合部21は、突合せ溶接接合されるため、2段開先形状に構成される。アンカプレート11がSM400B製材料の場合には、各半割れアンカプレートメンバ11a,11bは腐蝕や酸化を防止するために、マスキング23が施される。
このマスキングテープを用いたマスキング23は、アンカプレート11を現場で既設配管17に溶接にて固定する際、溶接作業前に溶接に悪影響が及ばないように除去される。
半割れアンカプレートメンバ11a,11bの線状溶接接合部21は、図3および図5に示すように、スカラップ22から半割れアンカプレートメンバ11a,11bの両外側端に向って合せ面方向の直線状に延びている。線状溶接接合部21は、断面が図4および図6に示すように2段開先形状に構成される。開先先端側の初段開先面24aの角度αは、2段目の次段開先面24bの角度αより大きい開先角度関係に構成される。初段開先面24aの角度αは、例えば(30°±2.5°)に形成され、次段開先面24bの角度α(例えば、5°±2.5°)より大きい。
また、半割れアンカプレートメンバ11a,11bは、厚板状プレート、例えば板厚35mmあるいは50mm等で構成され、線状溶接接合部21は初段開先面24aの厚さがT、次段開先面24bの厚さをTとしたとき、T>Tに構成される。例えば、次段開先面24bの厚さTは初段開先面24aの厚さTに対し、T=1.7〜2.0Tの関係に形成される。半割れアンカプレートメンバ11a,11bは、初段開先(溶接)面24aの角度αを次段開先(溶接)面24bの角度αより大きく形成し、初段開先(溶接)面24aの厚さTを次段開先(溶接)面24bの厚さTより小さくすることで、半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士を突合せ溶接したとき、溶接材の盛り量を減少させ、溶接量を削減させることができる。
さらに、対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士が、互いに突き合されたとき、2段開先形状の線状溶接接合部21は開先先端側に合せ面突合せ接合部25が合せ面方向直線状に延びて形成される。半割れアンカプレートメンバ11a,11bの線状溶接接合部21はスカラップ側に半割れアンカプレートメンバ11a(11b)の板厚方向に延びる線状突合せ接合部26が線状溶接接合部21または合せ面突合せ接合部25と直交するように設けられる。
加えて、対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士は、線状溶接接合部21の2段開先形状により構成される開先先端側の合せ面突合せ接合部25間およびスカラップ22側の線状突合せ接合部26間に、微小間隙、例えば数mm(2mm〜3mm)のサポートクリアランスGが形成される。半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の線状溶接接合部21は、2段開先形状の開先先端側の合せ面突合せ接合部25および線状突合せ接合部26にサポートクリアランスGを設けることにより、半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士を突合せ溶接で接合する際、突合せ溶接時に、半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の線状溶接接合部21の裏側に適切な裏ビートを形成して、溶接接合面積を増加させ、溶接接合強度を向上させることができる。
対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11bを突合せ溶接して構成されるアンカプレート11の寸法関係は、図7に示すように表わされるが、この寸法関係は、図7に示す例に一義的に設定されず、種々の変形が考えられる。
[アンカプレートの溶接手順]
アンカプレート11は、原子力発電プラントや火力発電プラント、各種プラント設備に使用される配管17の(地震や熱による)移動や回転を拘束する配管支持装置10に設置される。アンカプレート11は、配管支持装置10に用いられる拘束板として機能する。
アンカプレート11は、建設済みの原子力発電プラントや火力発電プラント、各種プラント設備に敷設されている既設配管の耐震性裕度向上工事や配管補強工事に好適に使用される。拘束板としてのアンカプレート11の設置には、現地での溶接作業を伴って実施される。現地での溶接量削減とアンカプレート11の変形防止を考慮して、アンカプレート11の配管17への設置作業が行なわれる。
アンカプレート11の設置には、配管17の切断等の工事が不要で、配管補強を容易に行なうために、2つずつ対をなす線対線の半割れアンカプレートメンバ11a,11bが用いられる。半割れアンカプレートメンバ11a,11bは、厚板状の鋼板プレートが用いられる。配管17は、例えばSM400B製やSUS304製の既設配管の他、追設配管や新設配管が対象である。アンカプレート11は、例えば図7に示すように、配管17の呼び径(配管内径に相当する)および配管外径に応じて、多様な種々の半割れアンカプレートメンバ中から最適な対をなす寸法形状の半割れアンカプレートメンバ11a,11bが選択されて用いられる。
アンカプレート11の配管17への設置は、溶接施工作業が現場で実施されるため、対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11bは、既設配管や追設配管等の配管17の両側から弧状溶接接合部20を押し当てて仮止めされる。半割れアンカプレートメンバ11a,11bは配管17の両側から接触して配管17を挟持するように仮止めされる。
アンカプレート11の配管17への仮止めには、アンカプレート11の変形や倒れ防止のためにブリッジ等の仮止め部材(図示省略)が用いられ、半割れアンカプレートメンバ11a,11bと配管17に点付け溶接される。半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の点付け溶接では、溶接欠陥を無くすために、例えば2mmφ以下の小径溶接棒を用いて溶接される。点付け溶接後、割れがないことがチェックされる。
配管17と半割れアンカプレートメンバ11a,11bとの点付け溶接後、ワイヤブラシ等で酸化被膜を取り除き、点付け溶接部に割れ等の損傷がないことが確認される。
対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11bの溶接手順は、次のステップで図8(A)〜(F)に示すように行なわれる。半割れアンカプレートメンバ11a,11bの溶接作業は、TIG溶接機やMIG半自動溶接機等の溶接機が用いられる。
(1)ステップ1
半割れアンカプレートメンバ11a,11bと配管17との溶接部は、図8(A)に示すように、点付け溶接後、弧状溶接接合部20に初層溶接が実施される。
対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11bは配管17に点付け溶接後に、半割れアンカプレートメンバ11a,11bの弧状溶接接合部20が所要温度、例えば100℃以上で予熱される。この予熱後、弧状溶接接合部20は、ArガスやCOガス等のシールドガス雰囲気下で、半割れアンカプレートメンバ11a,11bの表裏側で略円弧状にそれぞれ初層溶接される。弧状溶接接合部20の初層溶接は、半割れアンカプレートメンバ11a,11bの表裏両側で交互に実施される。この初層溶接にて、半割れアンカプレートメンバ11a,11bと配管17とが表裏両側で直接溶接接合される。
(2)ステップ2
次に、半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士は、配管17に表裏(初層)溶接後、図8(B)に示すように突合せ溶接される。
対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11bの孤状溶接接合部20を表裏両側から表層溶接を行ない、半割れアンカプレートメンバ11a,11bと配管17とを溶接接合した後、半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士が線状溶接接合部21により初層溶接にて突合せ溶接される。半割れアンカプレートメンバ11a,11bの線状溶接接合部21は2段開先形状に構成されており、配管17の両側方に位置する線状溶接接合部21は初層溶接で突合せ接合される。
線状溶接接合部21の初層溶接は、図9に示すように、溶接の溶け込みを確実なものとするために、長辺方向aの線状の合せ面突合せ接合部25の端からスカラップ22側に向って行ない、スカラップ22側の開先先端部に溶接溜りが一旦作られる。続いて、溶接溜り28から短辺方向(プレート厚さ方向)bに線状突合せ接合部26の溶接を行ない、対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の線状溶接接合部21が初層溶接にて突合せ溶接される。
半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の線状溶接接合部21では、この溶接接合部21が2段開先状に構成されており、開先先端部に微小間隙、例えば2〜3mmのサポートクリアランスGが形成されている。このサポートクリアランスGの存在により、線状溶接接合部21を初層溶接すると、半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士は、突合せ接合部に健全な裏ビードが形成される。この裏ビードの存在により、半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の突合せ溶接は溶接欠陥が生じることなく、溶接の溶け込みが充分かつ確実に行なわれ、健全性が保たれていることを目視にて確認でき、溶接強度を向上させることができる。
また、半割れアンカプレートメンバ11a,11bと配管17との溶接部および半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の突合せ溶接部には、止端部処理として3R処理が実施される。これら溶接部の止端部処理は、止端部箇所が狭隘部となり溶接作業が困難となるため、半割れアンカプレートメンバ11a,11bと配管17の溶接部および半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の突合せ溶接部は、各溶接部の2〜3層程度まで溶接が同時に行なわれる。
(3)ステップ3
初層溶接終了後、初層溶接部の初層PT検査が図8(C)に示すように実施される。PT検査は、浸透探傷試験(Penetrant Testing)である。
配管17と半割れアンカプレートメンバ11a,11bとの弧状溶接接合部20は配管17に直接溶接される箇所である。弧状溶接接合部20の健全性を確認するために耐圧検査に代わる初層PT検査が実施される。また、配管17と半割れアンカプレートメンバ11a,11bとの弧状溶接接合部20の溶接部および対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の線状溶接接合部21の突合せ溶接部は、初層PT検査により初層溶接時のアンカプレート11の変形や倒れが大丈夫か否か、あるいは初層溶接部が完全な溶け込み溶接になっているか否か等が検査される。
初層PT検査で溶接欠陥が発見された場合は、手直し溶接が実施され、再度浸透探傷試験等が実施される。
(4)ステップ4
続いて、半割れアンカプレートメンバ11a,11bと配管17との弧状溶接接合部20は、図8(D)に示すように、中間層から最終層までの溶接が実施される。
初層溶接終了後、半割れアンカプレートメンバ11a,11bの弧状溶接接合部20は、中間層から最終層までの溶接作業が、表裏両側の弧状溶接接合部20で交互に実施される。中間層および最終層の溶接作業では、溶接パス毎にスラグ、フラックスおよび酸化物が完全に除去され、除去後に溶接パス毎に目視検査が行なわれる。溶接ビード表面に現われた溶接割れ、ブローホール、スラグ巻込み、クレータ等の溶接欠陥は次の溶接ビードを盛る前に除去される。
アンカプレート11の倒れが大丈夫か否か、さらに、初層溶接以降中間層の溶接で超音波検査等の非破壊検査の必要性の有無を判断するために、弧状溶接接合部20は中間層溶接後に必要に応じて耐圧検査が実施される。
半割れアンカプレートメンバ11a,11bと配管17との弧状溶接接合部20における表裏両側の止端部処理には、例えば隅肉処理やこの隅肉溶接後に溶接端部に集中荷重がかからないように滑らかな曲面を形成する処理が実施される。
(5)ステップ5
次に、半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の線状溶接接合部21は、図8(E)に示すように、中間層から最終層までの溶接が実施される。
線状溶接接合部21の中間層から最終層までの溶接は、TIG溶接やMIG半自動溶接にて行なわれる。一般に、TIG溶接は、溶接トーチの外径がMIG半自動溶接機の溶接トーチの外径より小さく、2段開先形状の初層(第1段)部分や中間層部分の溶接処理がし易い。したがって、初層部分側の溶接は、例えばTIG溶接を行なって、母材に溶接が充分に溶け込むように実施される。
半割れアンカプレートメンバ11a,11bの溶接開先部(線状溶接接合部21)は、図6に示すように、2段開先形状に構成され、初段開先面24aの角度αが次段(2段)開先面24bの角度αより大きく形成される。これにより、溶接トーチによる溶接が容易に行なわれる一方、2段開先面24bの角度αが初段開先面24aの角度αより小さく構成されることで、現地での溶接量削減が図られ、溶接量削減に伴う入熱量の減少により、入熱によるアンカプレート11の変形防止を図ることができる。
(6)ステップ6
次に、半割れアンカプレートメンバ11a,11bと配管17との弧状溶接接合部20および半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の線状溶接接合部21の最終層溶接終了後、図8(F)に示すように、最終層PT検査が実施される。
半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士は、線状溶接接合部21の溶接完了により、突合せ溶接で溶接接合されて、一体のアンカプレート11が構成される。このアンカプレート11は、従来の1枚板の単一のアンカプレートと同等の機械的・物理的強度を奏することができる。
半割れアンカプレートメンバ11a,11bは、各溶接接合部20,21の最終層溶接終了後、最終層PT検査を実施して、半割れアンカプレートメンバ11a,11bの各溶接接合部20,21に溶接欠陥が生じているか否かが検査される。
溶接欠陥が発見された場合には、手直し溶接が実施され、再度浸透探傷試験を実施する。
また、アンカプレート11を構成する半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士は、各溶接接合部20,21にオーバラップや急激な突起またはくぼみ(例えば、0.4mmを超えるアンダカット等)および余盛りがある場合には、グラインダ等で表面処理され、グラインディングにより表面が滑らかにされる。溶接スパッタもグラインディング等により除去される。
本実施形態のアンカプレート11は、対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11bから構成される。対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11bは、配管17の両側から弧状溶接接合部20を押し当てて、溶接接合され、また、半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士は、線状溶接接合部21を突き合せて溶接接合され、一体化したアンカプレート11が製作される。さらに、アンカプレート11を構成する半割れアンカプレートメンバ11a,11bは、鋼材を組み立てて構成される架鋼構造体12および金物のベース板14を介して原子力発電プラントや火力発電プラント、各種プラント設備等の建屋駆体13に固定される。
本実施形態では、アンカプレート11は、対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11bで構成され、既設配管等の配管17に、配管17の切断等の工事を生じさせることなく、拘束板であるアンカプレート11を配管17に設置することができる。配管17の耐震性向上や補強を図ることができる。
また、拘束板であるアンカプレート11と配管17との弧状溶接接合部20は、配管17に直接溶接される箇所であるから、溶接部の健全性を確認するため耐圧検査が要求される。配管17とアンカプレート11との弧状溶接接合部20および半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の線状溶接接合部21の溶接部が重なる箇所が発生すると、溶接部の健全性の確認のために耐圧検査が要求される。
しかし、本実施形態では、配管17と半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の溶接側にスカラップ22が設けられる。スカラップ22は、溶接部交差回避用切欠である。スカラップ22を形成することにより、配管17および半割れアンカプレートメンバ11a,11bの弧状溶接接合部20と、半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の線状溶接接合部21との溶接部同士の重なりを回避することができる。スカラップ22を設けることで、溶接部同士の重なりがなく、半割れアンカプレートメンバ11a,11bの溶接部の欠陥防止を図ることができ、耐圧検査範囲を縮小することができる。
さらに、アンカプレート11を構成する半割れアンカプレートメンバ11a,11bは半割れ構造であり、建設済み原子力発電プラントや火力発電プラント、各種プラント設備に敷設された配管17に、設備内の現場で配管の切断等の工事をすることなく、設置することができる。したがって、配管17を拘束するアンカプレート11の設置作業が容易となり、配管17を補強し、耐震性を向上させることができる。
本実施形態では、アンカプレート11は半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の突合せ溶接接合により構成される。しかも、半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の線状溶接接合部21の溶接開先部を2段開先形状とすることで、現地での溶接作業における溶接量削減と溶接量削減に伴い入熱量を減少させることができ、半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の変形防止を図ることができる。
加えて、本実施形態では、半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の線状溶接接合部21を2段開先形状に構成し、線状溶接接合部21の突合せ溶接は、初層溶接を長辺方向aからスカラップ22側に向って行ない、スカラップ22側で一旦溶接溜りを作ってから短辺方向bの初層溶接が行なわれる。初層溶接で隅までの溶け込みが充分に行なわれ、溶接不良が防止される。溶着金属の確実な溶け込みが可能となり、対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11bは突合せ溶接して完全に一体化させ、一体のアンカプレート11を構成することができる。したがって、このアンカプレート11は、対をなす2枚の半割れアンカプレートメンバ11a,11bで構成しても、1枚の単一なアンカプレートと同等の物理的強度を奏することができる。
[第1の実施形態の効果]
(1)本実施形態では、拘束板であるアンカプレート11は、対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の突合せ溶接にて一体に接合され、一体化されたアンカプレート11が構成される。半割れアンカプレートメンバ11a,11bは、二つ割り構造に形成されているので、原子力発電プラントや火力発電プラント、各種プラント設備の既設配管等の敷設配管に、配管の切断等の工事を行なうことなく、設置することができる。対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11bを配管17の両側から挟持させて溶接接合させ、配管の移動や回転を拘束することで、配管17の耐震性を向上させ、配管の健全性を保って、配管17を充分補強することができる。
(2)また、アンカプレート11を構成する対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の線状溶接接合部21は、2段開先形状に構成され、開先溶接部の初段溶接面24aの角度αが次段溶接面24bの角度αにより大きく構成されたので、開先先端側の開先溶接部の突合せ溶接を行ない易い。線状溶接接合部21は、溶接開先部を2段開先形状とすることで、現地で行なわれる溶接作業での溶接量削減を図ることができ、溶接量削減に伴い入熱量が減少し、入熱による半割れアンカプレートメンバ11a,11bの変形防止を効果的に図ることができる。
(3)さらに、対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11bは、弧状溶接接合部20と線状溶接接合部21との溶接部交差予定部にスカラップ22が設けられているので、配管17と半割れアンカプレートメンバ11a,11bとの溶接部および半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の突合せ溶接の各溶接部同士の重なりを回避することができる。したがって、半割れアンカプレートメンバ11a,11bの溶接部の欠陥防止を図ることができ、耐圧検査範囲を縮小させることができる。
(4)加えて、半割れアンカプレートメンバ11a,11b同士の線状溶接接合部21の突合せ溶接における2段開先形状の初層溶接は、長辺方向の外側端から開先交差部のスカラップ22側に向って行なわれ、スカラップ22側の開先先端部に溶接溜りを一旦作ってから短辺方向に溶接方向の向きを変えて溶接されるので、溶着金属の溶け込み不良を確実に防止することができる。溶着金属の確実な溶け込みが隅まで行なわれ、線状溶接接合部21の突合せ溶接が効果的に実施される。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を図10および図11を参照して説明する。
図10に示されるアンカプレート30は、第1の実施形態に示されたアンカプレート11と同様、原子力発電プラントや火力発電プラント、各種プラント設備に使用される配管17Aの移動や回転を拘束する配管支持装置(図示省略)に用いられる。このアンカプレート30は、呼び径(配管内径)65A未満の小口径配管17Aを拘束する拘束板として機能される。
第2の実施形態のアンカプレート30は、第1の実施形態のアンカプレート11と同様、対をなす半割れアンカプレートメンバ30a,30bが、矩形の厚板鋼板で構成されるが、第1の実施形態で示された半割れアンカプレートメンバ11a,11bが線対称の2つの部分で構成されたものと異なり、第2の実施形態の半割れアンカプレートメンバ30a,30bは非対称形状構造であり、線対称に構成されていない。図10に示すように一方の半割れアンカプレートメンバ30aが他方の半割れアンカプレートメンバ30bとは非対称構造に構成される。適用配管口径(呼び径)が50A程度以下の小口径配管17Aを拘束するアンカプレート30では、半割れアンカプレートメンバ30a,30bの溶接作業を良好にするために、例えば下側の半割れアンカプレートメンバ30bを上側の半割れアンカプレートメンバ30aより長く構成し、小口径配管17Aとアンカプレート30を固定する鋼材との間隔を大きくとるようにしている。
半割れアンカプレートメンバ30a,30b同士は合せ面が突合せ溶接により一体化され、一体のアンカプレート30が構成される。半割れアンカプレートメンバ30a,30b同士の溶接部は、合せ面中央部に呼び径65A未満の小口径(例えば呼び径50A)の配管17Aに両側から接触可能な略円弧状の弧状溶接接合部31が設けられ、弧状溶接接合部31の両側から合せ面方向の側外方に延びる直線状の線状溶接接合部32が構成される。弧状溶接接合部31と線状溶接接合部32とが交差する溶接線交差予定部に所要の曲率半径Rのスカラップ33がそれぞれ設けられる。
半割れアンカプレートメンバ30a,30bは弧状溶接接合部31と線状溶接接合部32とを有し、弧状溶接接合部31と線状溶接接合部32との溶接線交差予定部にスカラップ33が設けられた構成は、第1の実施形態に示された半割れアンカプレートメンバ11a,11bの構成を同じくし、異ならない。
ただ、呼び径50A用の小口径配管17Aの拘束に用いられる半割れアンカプレートメンバ30a,30b同士の線状溶接接合部32はX開先形状に構成され、第1実施形態の線状溶接接合部21が2段開先形状に構成されたものとは異なる。X開先形状の線状溶接接合部32の開先先端部(突合せ部)には微小間隙、例えば2〜3mmのサポートクリアランスGが形成される。
[アンカプレートの溶接手順]
第2の実施形態のアンカプレート30は、第1の実施形態のアンカプレート11と同様、既設配管等の配管17の耐震性裕度向上工事や配管補強工事に好適に使用される。拘束板としてのアンカプレート30の設置には、溶接作業が現地で行なわれる。現地での溶接量削減とアンカプレート30の変形防止を考慮して、アンカプレート30の配管17Aへの設置作業が行なわれる。
アンカプレート30の設置に、第1の実施形態に示されたアンカプレート11と同様に、配管17Aの切断等の工事は不要である。アンカプレート30の配管17Aへの設置は、現場で溶接施工作業が実施される。対をなす半割れアンカプレートメンバ30a,30bは、既設配管や追設配管等の敷設されている配管17Aの両側(上下あるいは左右)から弧状溶接接合部31を押し当てて仮止めされる。半割れアンカプレートメンバ30a,30bは配管17Aの両側から接触し、配管17Aが挟持されるようにして仮止めされる。
半割れアンカプレートメンバ30a,30bの仮止めは、第1の実施形態に示された半割れアンカプレートメンバ11a,11bの仮止めと同様に行なわれ、点付け溶接後に溶接割れがないことがチェックされる。
半割れアンカプレートメンバ30a,30bの仮止め後、対をなす半割れアンカプレートメンバ30a,30bの溶接手順は、第1の実施形態の図8(A)〜(F)に示された対をなす半割れアンカプレートメンバ11a,11bとほぼ同様に、図11の(A)〜(F)に示すステップで行なわれる。
第2の実施形態に示された対をなす半割れアンカプレートメンバ30a,30bの溶接手順は、図11の(A)〜(F)のステップで行なわれる。対をなす半割れアンカプレートメンバ30a,30bの線状溶接接合部32がX開先形状に構成されているため、この部分の溶接処理が第1の実施形態とは異なる。
(1)ステップ1
半割れアンカプレートメンバ30a,30bと配管17Aとの溶接部は、図11(A)に示すように、点付け溶接後、弧状溶接接合部31に初層溶接が実施される。
初層溶接が実施される前に、弧状溶接接合部31はArガスやCOガスのシールドガスの雰囲気下で100℃以上に予熱される。この予熱後、弧状溶接接合部31は、配管17Aへの直接溶接が行なわれるために、半割れアンカプレートメンバ30a,30bの変形や倒れ防止を考慮して、弧状溶接接合部31の表裏両側で初層溶接される。
(2)ステップ2
次に、半割れアンカプレートメンバ30a,30b同士は、配管17Aに表裏(初層)溶接後、図11(B)に示すように突合せ溶接される。
半割れアンカプレートメンバ30a,30bの線状溶接接合部32の初層溶接は、長辺方向の外側端から溶接を開始し、スカラップ33側の開先交差部で一旦溶接溜りを作る。その後、溶接溜りから溶接方向を変えて短辺方向(板厚方向)に溶接する。線状溶接接合部32はX開先形状であるため、表裏両側に初層溶接をそれぞれ実施する。表裏両側から線状溶接接合部32に初層溶接を施すことにより、対をなす半割れアンカプレートメンバ30a,30b同士は突合せ溶接される。
(3)ステップ3
半割れアンカプレートメンバ30a,30bの弧状溶接接合部31および線状溶接接合部32の初層溶接実施後、図11(C)に示すように、溶接部の初層PT検査が実施される。
半割れアンカプレートメンバ30a,30bの線状溶接接合部32はX開先形状に構成されているため、線状溶接接合部32を初層溶接で突合せ溶接を実施すると、線状溶接接合部32に裏はつりが生じている。このため、裏はつり実施後、はつり面のPT検査や裏はつり部の初層溶接後、PT検査を実施する。すなわち、線状溶接接合部32の初層溶接の突合せ溶接で生じる裏ビードの検査を実施するために表面をグラインダ等で滑らかにした後、裏ビード側のPT検査が実施される。
初層PT検査では、半割れアンカプレートメンバ30a,30bの傾きや変形、倒れが検査される一方、初層溶接部が完全な溶け込み溶接になっているか否か等が検査される。
初層PT検査で溶接欠陥が発見された場合、手直し溶接が施され、再度浸透探傷試験等が実施される。
(4)ステップ4
続いて、半割れアンカプレートメンバ30a,30bと配管17Aの弧状溶接接合部31は、図11(D)に示すように、中間層から最終層の溶接が実施される。
弧状溶接接合部31の溶接は、配管17Aに直接溶接される部分であるので、溶接は半割れアンカプレートメンバ30a,30bに変形や倒れを考慮して行なわれる。配管17Aに直接溶接されて接合される弧状溶接接合部31は、例えば中間層溶接後、PT検査が実施される。
また、弧状溶接接合部31の中間層および最終層の溶接では、半割れアンカプレートメンバ30a,30bと配管17Aとの溶接部の止端部処理に、すみ隅肉溶接およびこの隅肉溶接後に溶接端部に集中荷重がかからないように滑らかな曲面を形成する。
(5)ステップ5
次に、半割れアンカプレートメンバ30a,30b同士の線状溶接接合部32は、図11(E)に示すように、中間層から最終層までの溶接が実施される。
半割れアンカプレートメンバ30a,30bの線状溶接接合部32は、X開先形状部の突合せ溶接であるため、線状溶接接合部32を(初層溶接後の中間層および最終層の溶接では)裏・表の順で交互に実施される。
半割れアンカプレートメンバ30a,30bの線状溶接接合部32の最終層溶接が終了すると、半割れアンカプレートメンバ30a,30b同士は突合せ溶接で一体的に接合され、配管17Aに設置されたアンカプレート30が構成される。
(6)ステップ6
半割れアンカプレートメンバ30a,30bと配管17Aとの弧状溶接接合部31および半割れアンカプレートメンバ30a,30b同士の線状溶接接合部32の最終層溶接終了後、図11(F)に示すように、最終層PT検査が実施される。
半割れアンカプレートメンバ30a,30bは、各溶接接合部31,32の最終層溶接終了後、最終層PT検査を実施して、半割れアンカプレートメンバ30a,30bの各溶接接合部31,32における溶接欠陥が生じているか否かが検査される。
溶接欠陥が発見された場合には、手直し溶接が実施され、再度浸透探傷試験を実施する。
また、アンカプレート30を構成する半割れアンカプレートメンバ30a,30b同士は、各溶接接合部31,32にオーバラップや急激な突起またはくぼみ(例えば、0.4mmを超えるアンダカット等)および余盛りが生じている場合では、グラインダ等で表面処理され、表面が滑らかにされる。溶接スパッタもグラインディング等により除かれる。
[第2の実施形態の効果]
第2の実施形態においても、厚板鋼板状のアンカプレート30は、第1の実施形態におけるアンカプレート11の(1),(3)および(4)の効果とほぼ同様の作用効果を奏することができる。
対をなす半割れアンカプレートメンバ30a,30b同士の線状溶接接合部32はX開先形状に構成されており、線状溶接接合部32は、半割れアンカプレートメンバ30a,30bの表裏両側にそれぞれ形成される。このため、線状溶接接合部32の突合せ溶接は、半割れアンカプレートメンバ30a,30bの表裏両側に初層溶接および中間層溶接、最終層溶接が交互に行なわれる。溶接開先部がX開先形状であるため、表裏側からの溶接深さが浅く、溶接作業に困難性が伴わず、容易であるとともに、溶接量の削減を図ることができ、溶接量削減に伴い入熱量が減少し、入熱による半割れアンカプレートメンバ30a,30bの変形防止を図ることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能である。発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…配管支持装置、11…アンカプレート(拘束板)、11a,11b…半割れアンカプレートメンバ、12…架鋼構造体、13…建屋駆体、14…ベース板、15…鋼製脚柱、16…鋼製横梁、17,17A…小口径配管、18…隅スカラップ…、20…弧状溶接接合部、21…線状溶接接合部、22…スカラップ、23…マスキング、24a…初段溶接面、24b…次段(2段)溶接面、25…合せ面突合せ接合部、26…線状突合せ接合部、30…アンカプレート(拘束板)、30a,30b…半割れアンカプレートメンバ、31…弧状溶接接合部、32…線状溶接接合部、33…スカラップ。

Claims (13)

  1. 2つずつの半割れアンカプレートメンバが対をなし、
    対をなす半割れアンカプレートメンバ同士は、合せ面側中央部に、配管と接触可能な弧状溶接接合部と、前記合せ面側中央部の両側に合せ面方向に延びる線状溶接接合部とをそれぞれ有し、
    前記半割れアンカプレートメンバは前記弧状溶接接合部と線状溶接接合部との溶接線交差予定部にスカラップが設けられ、
    前記半割れアンカプレートメンバは線状溶接接合部のスカラップ側に、前記線状溶接接合部と直交し、前記半割れアンカプレートメンバの板厚方向に延びる線状突合せ接合部が設けられたことを特徴とする記載のアンカプレート。
  2. 前記半割れアンカプレートメンバ同士の線状溶接接合部は2段開先形状に構成され、
    前記半割れアンカプレートメンバの線状溶接接合部は、開先先端側の初段開先面の角度αが次段開先面の角度αより大きい開先角度形状に構成された請求項1に記載のアンカプレート。
  3. 前記半割れアンカプレートメンバの弧状溶接接合部は、前記半割れアンカプレートメンバの板厚方向の断面形状が中央部に、配管に面接触可能な接触部を有し、前記接触部の両側をテーパ状に切欠いた前記弧状溶接接合部が形成され、前記両側の弧状溶接接合部は被溶接部に構成された請求項1または2に記載のアンカプレート。
  4. 前記半割れアンカプレートメンバ同士は、開先先端側の合せ面突合せ接合部間およびスカラップ側の線状突合せ接合部間にサポートクリアランスが形成された請求項1ないし3のいずれか1項に記載のアンカプレート。
  5. 前記半割れアンカプレートメンバ同士は、外周側に架鋼構造体に溶接接合される溶接接合部を有し、
    前記半割れアンカプレートメンバは、半割れアンカプレートメンバと架鋼構造体との溶接接合部が交差する溶接線交差予定部に隅スカラップが設けられた請求項1に記載のアンカプレート。
  6. 前記配管は、既設配管あるいは追設配管、新設配管である請求項1に記載のアンカプレート。
  7. 前記半割れアンカプレートメンバ同士は、弧状溶接接合部の両側に線対称形状あるいは非対称形状に設けられ、前記半割れアンカプレートメンバ同士の直線状の線状溶接接合部には、2段開先形状あるいはX開先形状に構成され、前記線状溶接接合部は突合せ溶接で接合された請求項1に記載のアンカプレート。
  8. それぞれ合せ面側中央部に配管と接触可能な弧状溶接接合部と、前記合せ面側中央部の両側に合せ面方向に延びる線状溶接接合部とをそれぞれ有し、前記弧状溶接接合部と線状溶接接合部との溶接線交差予定部にスカラップが設けられ、前記線状溶接接合部の前記スカラップ側に前記線状溶接接合部と直交し自己の板厚方向に延びる線状突合せ接合部が設けられた対をなす半割れアンカプレートメンバを用意し、
    対をなす前記半割れアンカプレートメンバ同士の前記各弧状溶接接合部を、配管の両側から接触させて前記半割れアンカプレートメンバを前記配管に仮止め
    仮止めされた前記半割れアンカプレートメンバと前記配管とを前記弧状溶接接合部に沿って溶接し、前記半割れアンカプレートメンバ同士を前記配管に溶接固定し、
    前記配管に溶接固定された対をなす前記半割れアンカプレートメンバ同士を合せ面方向の前記線状溶接接合部および前記線状突合せ接合部に沿って溶接固定し、
    対をなす前記半割れアンカプレートメンバ同士は、前記線状溶接接合部および前記線状突合せ接合部の溶接によりアンカプレートが一体に構成されることを特徴とするアンカプレートの設置方法。
  9. 前記半割れアンカプレートメンバ同士は、前記スカラップを除いて前記弧状溶接接合部を溶接して前記配管に溶接固定させる一方、
    対をなす前記半割れアンカプレートメンバ同士は、前記スカラップを除いて前記線状溶接接合部を合せ面方向に溶接固定させ、かつ、前記線状突合せ接合部を板厚方向に溶接固定させ、
    対をなす前記半割れアンカプレートメンバからなるアンカプレートを前記配管に固定設置される請求項8に記載のアンカプレートの設置方法。
  10. 前記半割れアンカプレートメンバ同士の線状溶接接合部を2段開先形状に構成する請求項8または9に記載のアンカプレートの設置方法。
  11. 前記半割れアンカプレートメンバ同士の前記線状溶接接合部は、溶接を前記スカラップとは反対側から開始して前記線状突合せ接合部に至り、前記線状突合せ接合部で溶接溜りを作った後、前記線状突合せ接合部に沿う溶接手順を実施し、
    この溶接手順を前記線状溶接接合部の溶接層毎に実施する請求項8ないし10のいずれか1項に記載のアンカプレートの設置方法。
  12. 対をなす前記半割れアンカプレートメンバは、各弧状溶接接合部を前記配管に溶接した後、前記弧状溶接接合部の溶接状態の耐圧検査を実施し、
    対をなす前記半割れアンカプレートメンバ同士の線状溶接接合部を溶接した後、前記線状溶接接合部の溶接状態の耐圧検査を実施する請求項8ないし11のいずれか1項に記載のアンカプレートの設置方法。
  13. 前記アンカプレートは半割れアンカプレートメンバ同士の外周側を外鋼構造体に溶接接合させて固定する請求項8ないし12のいずれか1項に記載のアンカプレートの設置方法。
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