JP6120760B2 - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、太陽電池の製造方法に係り、特に結晶シリコン(Si)基板表面に形成される非晶質シリコン系薄膜との界面結晶側構造歪を規定する方法に関する。
従来、結晶シリコンを基板として用いた結晶シリコン太陽電池は、既に太陽光発電システムとして広く一般に実用化されている。中でも単結晶シリコンの持つバンドギャップよりも広いバンドギャップを持つ薄膜を単結晶シリコン表面に製膜し、拡散電位を形成した結晶シリコン太陽電池はヘテロ接合型太陽電池と呼ばれている。この内、拡散電位を形成するための導電型非晶質シリコン系薄膜と結晶シリコン表面の間に薄い真性の非晶質シリコン層を介在させる太陽電池は、変換効率のもっとも高い結晶シリコン太陽電池の形態の一つとして知られている(特許文献1)。これは単結晶シリコンと導電型非晶質シリコン系薄膜の間に、薄い真性の非晶質シリコン層を製膜することにより、導電型非晶質シリコン系薄膜の製膜による結晶シリコン表面へのダメージによる新たな欠陥準位の生成を抑制しつつ、結晶シリコンの表面にもともと存在する欠陥を水素で終端化処理できる。また、導電型非晶質シリコン系薄膜を製膜する際の、キャリア導入不純物の結晶シリコン表面への拡散を防止することもできるとある。
しかしながら、結晶シリコン表面に形成されるシリコン系薄膜が、導電型非晶質シリコン系薄膜から真性の非晶質シリコン系薄膜に置き換わったところで、結晶シリコン表面への膜形成時のダメージ生成が完全に消失するわけではない、加えて形成される非晶質シリコン系薄膜との界面には格子不整等に起因して欠陥準位の生成は必ず生じ、太陽電池効率の低下要因として残存する。
一方で、ヘテロ接合型太陽電池は、太陽電池セルまたは、太陽電池モジュール形成後の熱処理・熱アニール等によって太陽電池性能が向上することが知られている(特許文献2)。特許文献2によれば、この熱処理・熱アニールでは、ヘテロ接合型太陽電池構成要素各具材間の界面特性改善によるものとされており、特許文献2における検討ではアニール条件と太陽電池特性との相関調査により、モジュールに対する最適アニール条件が定められている。
しかしながら、モジュール形成後または、太陽電池セル形成後のアニール条件探索として、太陽電池特性を評価することは、全体としての最適条件となるが、各構成要素の接合界面の界面特性が最も向上したかを判定する方法ではない。更なる特性向上のためには、全ての接合界面を同時に最適化する必要があり、上述した方法では困難である。
特開平4−130671号公報 特開2007−294830号公報
上述したように、太陽電池特性改善のために熱アニールの有効性が広く一般に知られており、その最適な熱アニール条件は熱アニール条件と太陽電池特性(開放端電圧、短絡電流(密度)、曲線因子(F.F.)、変換効率)との相関を用いて判定されている。しかしながら、上記従来の技術によれば、太陽電池特性の最大値を示す熱アニール条件が、ヘテロ接合型太陽電池内に含まれる接合界面すべての界面特性を最も向上させる条件とはいえない。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、優れた界面特性をもつヘテロ接合型太陽電池の製造方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明では、第1導電型の単結晶シリコン基板上に、真性の非晶質シリコン系薄膜を介して第2導電型の非晶質シリコン系薄膜を形成しヘテロ接合型太陽電池を形成する工程と、ヘテロ接合型太陽電池に対し、熱アニールを行う改質工程と、第1導電型の単結晶シリコン基板と真性の非晶質シリコン系薄膜との接合界面におけるプラズモンロスピーク変分を測定する工程と、測定する工程による測定結果に基づき、改質工程におけるアニール条件を設定する工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、ヘテロ接合界面近傍の結晶歪(欠陥)が低減されており、結果結晶シリコン内部における欠陥準位の状態数が低減されている。これによって太陽電池動作時に光電効果によって生成される電子・正孔は損失が少なく電力として取り出せるため、太陽電池効率が向上するという効果を奏する。特に、欠陥準位状態数の低減により開放端電圧の向上、並列抵抗成分の向上をはかることができる。
図1は、本発明の実施の形態1のヘテロ接合型太陽電池の構造模式図である。 図2は、本発明の実施の形態1のヘテロ接合型太陽電池の単結晶シリコン基板をSi<110>方位から観たときのSi格子配置を示す摸式図である。 図3は、本発明の実施の形態1のヘテロ接合型太陽電池の製造工程を示すフローチャートである。 図4は、本発明の実施の形態1のヘテロ接合型太陽電池の製造工程における分析工程を示すフローチャートである。 図5は、本発明の実施の形態1のヘテロ接合型太陽電池の製造工程で用いられる透過電子顕微鏡観察用超薄片試料を示す模式図である。 図6は、本発明の実施の形態1のヘテロ接合型太陽電池のSTEM観察模式図であり、(a)は最適アニール後の状態を示し、(b)はよくない界面状態を示す。 図7は、本発明の実施の形態1のヘテロ接合型太陽電池のEELS測定結果を示す図である。 図8は、本発明の実施の形態1のヘテロ接合型太陽電池の太陽電池効率とプラズモンロスピーク半値幅変分の関係を示す図である。 図9は、本発明の実施の形態2のヘテロ接合型太陽電池の製造工程を示すフローチャートである。
以下に、本発明にかかる太陽電池及びその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。また、平面図であっても、図面を見易くするためにハッチングを付す場合がある。
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる実施の形態1の太陽電池を示す構造模式図である。本実施の形態の太陽電池は、単結晶シリコン基板上に非晶質シリコン系薄膜をはじめとする非晶質薄膜を備えた太陽電池の構造に係り、またその構造に関する。第1導電型の単結晶シリコン基板上に非晶質シリコン系薄膜を形成した太陽電池において、第1導電型の単結晶シリコン基板と、真性の非晶質シリコン系薄膜との界面におけるプラズモンロスピーク変分が、単結晶シリコン基板内部に比べて、+10%以内であるようにしたことを特徴とするものである。
製造に際しては、ヘテロ接合界面の電子エネルギー損失分光(EELS)測定および収差補正−走査型透過電子顕微鏡法(Cs−STEM)による観察により、測定したプラズモンロスピーク変分が、単結晶シリコン基板内部に比べて、+10%以内であるように、熱アニール条件を決定するようにしたことを特徴とする。
ここでは、ヘテロ接合型太陽電池のヘテロ接合界面の収差補正‐走査型透過電子顕微鏡法(Cs‐STEM)による観察と、この装置に付随させた電子エネルギー損失分光(EELS)測定を用いて行う。その判定基準は、EELS測定によって得られる価電子励起スペクトル中プラズモンロスピークの半値幅を用いるものとする。参照領域としてヘテロ接合界面から十分に離れた領域の単結晶シリコン基板内部のプラズモンロスピーク半値幅と、ヘテロ接合界面近傍のプラズモンロスピーク半値幅を測定し、その半値幅変分が+10%以内、好ましくは+8%以内になるようにヘテロ接合界面近傍の結晶シリコン内構造を高速加熱(Rapid thermal Annealing:RTA)処理などにより改質する。
これにより、非晶質シリコン系薄膜/単結晶シリコン界面(ヘテロ接合界面)の界面特性の優れた太陽電池を得る。本実施の形態の太陽電池の非晶質シリコン系薄膜/単結晶シリコン界面では、歪を生じることなく結晶質から非晶質へと急峻な結晶状態変化が認められ、優れた光電変換特性を得ることが可能となる。以下、本発明の実施の形態として、具体例を述べるが本発明は以下の実施の形態に限らず、あくまでもヘテロ接合界面結晶シリコン側の格子配列乱れが低減されていることを特徴とするものである。
この太陽電池では、第1導電型の結晶系シリコン基板としてn型単結晶シリコン基板1を用いている。そしてこのn型単結晶シリコン基板1の受光面である表面(この図では上方)及び裏面(この図では下方)に真性の非晶質シリコン層2i,3iを介して第2導電型(p型)の非晶質シリコン層2p及びn型の非晶質シリコン層3nを形成してpn接合を形成しヘテロ接合型太陽電池を構成する。このヘテロ接合界面12である、n型単結晶シリコン基板1と真性の非晶質シリコン層2i,3iとの界面近傍の原子配列の乱れを観察することで界面特性を検知し、熱処理により界面特性の改善を図るようにしたことを特徴とするものである。そして表面及び裏面に第1及び第2の透光性導電膜4,5として、第1のITO(酸化インジウム錫)層及び第2のITO(酸化インジウム錫)層が用いられる。6,7は集電電極である。
単結晶シリコン基板としては、Si原子に対して電子を導入するリン(P)原子を供給したn型と、正孔を供給するボロン(B)原子を供給したp型が用いられるが、本実施の形態においてはその導電型や濃度は特に選ばない。また、その表面の結晶方位についても一般的にSi(100)、Si(111)、Si(110)等が存在するが、これに限定されるものではない。また基板のオフ角や厚みにおいても同様である。
次に、本実施の形態の太陽電池の製造方法について説明する。図3は本実施の形態の太陽電池の製造方法を示すフローチャートである。n型単結晶シリコン基板1は非晶質シリコン薄膜等の形成の前に各種洗浄工程を経て導入されることが望ましい。その洗浄工程は一般に有機汚染除去洗浄(例えばアセトン洗浄)の後、表面酸化皮膜除去処理(例えばHF水溶液への浸漬)がなされ、処理溶液残渣除去のためのリンス処理(超純水等による洗浄)がなされたものとなる。その後、洗浄工程を経たn型単結晶シリコン基板1を製膜装置(たとえばプラズマCVD装置)に導入し、受光面である表面側と裏面側に、実質的に真性の非晶質シリコン層2i,3iを形成する。そして真性の非晶質シリコン層2i,3iの上部には導電型の異なるp型非晶質シリコン層2p、n型非晶質シリコン層3nを表面、裏面それぞれに形成する。その後、両面に透光性導電膜4,5(たとえば酸化インジウム材料系、酸化亜鉛材料系が挙げられる)を形成し、その上部には集電のための集電電極6,7が形成される。
集電電極6,7の材料は細線(〜100μm)として形成でき、導電性が高いものが望ましい。一般的には細線化と導電性を両立した材料として銀ペーストが用いられる。加えて、これらの銀ペーストは導電性向上等の効果を得ることを目的として熱処理が加えられることもある。以上の工程を経て図1に断面模式図を示した、ヘテロ接合型太陽電池が得られる。ヘテロ接合型太陽電池のn型単結晶シリコン基板1には、通常、表面での光反射を低下させるため、テクスチャ構造と呼ばれる表面凹凸が形成されている。本実施の形態は、このテクスチャ構造の有無によらないため、テクスチャ構造を割愛した模式図となっている。
図2は、単結晶Siを<110>方位から収差補正−走査型透過電子顕微鏡法(Cs−STEM)法により観察した場合のSi格子配置を示す摸式図である。シリコン原子101は図中に示すように配列しており、ダンベル構造102と呼ばれるシリコン原子101が隣接した構造を有している。前述のとおりに作製されたヘテロ接合型太陽電池(図1)の真性の非晶質シリコン層2i,3iとn型単結晶シリコン基板1との界面はヘテロ接合界面12と呼ばれる。この領域の断面観察に1原子が視認可能となるように、球面収差補正器を備えた走査型透過電子顕微鏡を用いて観察する。このとき、図6(a)および(b)に示すような観察像が得られる。詳細な説明は後述するが、図6(a)は適切なアニール処理により良好なヘテロ接合界面12が得られた状態を示し、図6(b)は格子配列に乱れが生じている場合を示し、n型単結晶シリコン基板1内部にはダンベル構造102が視認可能で、紙面に垂直な方向にはシリコン原子101が整列されてカラムを形成している領域と、シリコン格子配列が崩れた領域11が存在し、ヘテロ接合界面12は、シリコン格子配列が崩れた領域11と、真性の非晶質シリコン層2i(3i)とで構成されている。
シリコン格子配列が崩れた領域11は他領域に比べて、たとえば走査型透過電子顕微鏡明視野観察では暗いコントラストを呈している。これは、走査型透過電子顕微鏡で観察可能なチャネリングコントラスト(秩序だった原子配列に起因したコントラスト)の阻害による。原子コラム以外の領域における透過電子線量の減少は、原子コラムの配列が崩れたことを反映しているため、欠陥準位の増加を示唆している。
太陽電池セル形成後に、熱アニール処理を加えるとこのヘテロ接合界面12の形態、特にシリコン格子配列が崩れた領域11が変化する。非晶質シリコン系薄膜の膜質(膜密度、水素含有量、膜中Si結合状態の安定性)と結晶シリコン表面の状態(表面ラフネス、表面準位量)によって界面特性は異なるが、ここでの典型的な中心条件としては180〜260℃前後の温度でかつ、熱処理時間は2〜8秒程度の熱処理で行う。このような状況下でヘテロ接合界面まわりの構造は、図6(b)から図6(a)のようにシリコン格子配列が崩れた領域11の範囲及び、コントラスト変化量が減少する。
熱処理条件が適正でない場合、図6(b)から図6(a)への変化が良好に進まない。熱アニール条件は、真性の非晶質シリコン層2iの膜質(膜密度、水素含有量、膜中シリコン結合状態の安定性)と結晶シリコン表面の状態(表面ラフネス、表面準位量)によってさまざまに変化する。ここでの典型的な熱アニール条件としては、180〜260℃範囲の温度で、熱処理1回の時間を2〜8秒程度とする。
熱アニールの方法は、上記条件を達成できれば、RTAに限定されることなく、どのような方法であっても良い。適正な熱アニール条件が施された試料を、前述の方法で観察した場合、界面近傍(たとえば直径2nm範囲)におけるヘテロ接合界面の電子エネルギー損失分光(EELS)測定および収差補正−走査型透過電子顕微鏡法(Cs−STEM)による観察により、測定したプラズモンロスピーク変分が、単結晶シリコン基板内部に比べて、+10%以内であるように、熱アニール条件を決定する。これにより、プラズモンロスピーク変分が、単結晶シリコン基板内部に比べて、+10%以内に収まる。このような方法によって最適な熱処理条件は、太陽電池セルの効率向上をもって評価した系に比べて特に界面形態の格子配列の秩序性に優れたものとすることができる。
次に、本実施の形態1の太陽電池の製造方法について図3のフローチャートに従って順次説明する。ここで、被処理基板としての単結晶シリコン基板としては、n型単結晶シリコン基板1を用いるが、通常、引き上げにより得られたインゴットをスライスすることにより切り出されたものであるため、表面に自然酸化膜、及び構造的欠陥、金属等による汚染をはらんでいる。このため、ここで用いられるn型単結晶シリコン基板1に対して洗浄及び、ダメージ層エッチングを行う(S1001)。洗浄工程は、一般的な工程で差し支えなく、あらかじめTOF-SIMS、TRXRF等の各種表面分析によって得られた結果を基に選定することが望ましい。一般に有機汚染についてはアセトン洗浄等が用いられることが多い。酸化膜除去には、一般にHF水溶液が用いられるが、これと類似の、例えばBFH水溶液等であれば同様の効果は得られる。これらを以降、酸化膜除去溶液と呼ぶ。酸化膜除去溶液の濃度は、特に規定しない。処理時間との関係で最適濃度が変動するためである。酸化膜除去溶液浸漬処理後には、n型単結晶シリコン基板1表面に溶液残渣があるためリンス処理は必須である。超純水または、表面残渣の少ない処理溶液によるリンス処理が望ましい。
n型単結晶シリコン基板1に対し、洗浄、ダメージ層エッチングを行った後、n型単結晶シリコン基板1内の不純物を除去するためにゲッタリングを行う(S1002)。ゲッタリング工程では、処理温度1000℃程度のリンの熱拡散により形成されたリンガラス層に不純物を偏析させ、リンガラス層をフッ化水素等でエッチングする。
ゲッタリング後、基板表面での光反射損失を低減させる目的でアルカリ溶液及び添加剤を用いたウェットエッチングにより、テクスチャを形成する(S1003)。テクスチャ形成工程は、一般的にアルカリ溶液による単結晶シリコンの異方性エッチングを用いて行う。アルカリ溶液には水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等を、添加剤にはイソプロピルアルコール等を用いる。ここでいう異方性とは、結晶学的な異方性であり、ミラー指数で定義される面方位を用いて述べる。例えば準備した単結晶シリコン基板1の表面が、Si(100)面で構成されていたとする。この時、Si(100)面のエッチングレートに比べて、他の結晶面、例えばSi(111)面のエッチングレートが小さい(低い)とき、エッチング処理を実施すると、単結晶シリコン基板1の表面はSi(111)面が露出した表面凹凸をもった形態をなす。この表面形態のことを太陽電池分野ではテクスチャまたは、表面テクスチャと呼称される。テクスチャ形成のための処理溶液は、前述したとおり、アルカリ溶液が用いられるとしたが、単結晶シリコン基板表面上の反応起点または、エッチング起点を制御するため、イソプロピルアルコール等なんらかの添加剤を含んでいることが多い。
テクスチャ形成後、ヘテロ接合界面となるn型単結晶シリコン基板1表面のパーティクル、有機物汚染、金属汚染を除去するために基板洗浄を実施する(S1004)。洗浄には、いわゆるRCA洗浄や、SPM洗浄(硫酸過酸化水素水洗浄)、HPM洗浄(塩酸過酸化水素水洗浄)、DHF洗浄(希弗酸洗浄)、アルコール洗浄等を用いる。
ここでRCA洗浄とは、まずn型単結晶シリコン基板1を希フッ酸水溶液(HF)の中に入れ、表面の薄いシリコン酸化膜を溶出する。このときシリコン酸化膜が溶出すると同時に、その上に付着していた多くの異物も同時に取り去られる。さらに、アンモニア(NH4OH)+過酸化水素(H22)で、有機物やパーティクルを除去する。次いで塩酸(HCl)+過酸化水素(H22)で金属類を除去し、最後に超純水で仕上げを行う方法である。
上記のいずれかの洗浄方法を用いて、基板洗浄を行った後、ヘテロ接合、及び、pn、nn+接合を形成するために、n型単結晶シリコン基板1上に、順次各導電型の半導体層を形成する。上記テクスチャ形成工程、洗浄工程を経て得られたn型単結晶シリコン基板1は、厚さ100〜500μmであった。
まず、n型単結晶シリコン基板1の全面にわたり、プラズマCVD法を用いて約1〜10nmの厚さの真性の非晶質シリコン層2i,3iをこの順に堆積する(S1005:真性非晶質半導体層形成)。ここで、真性の非晶質シリコン層2i,3iはそれぞれ非晶質を用いているが、微結晶シリコンを用いてもよい。この工程における真性な非晶質薄膜形成方法として、プラズマ化学気相成長(CVD)法などCVD法に属する技術が用いられる。化学気相成長法は、他の物理的な成長方法(スパッタ法、蒸着法等)に比べてスループットが高いことから選択されていると考えられる。代表例として化学気相成長法について挙げたが、本実施の形態では薄膜形成法として何を使用しても差し支えない。化学気相成長法において、非晶質シリコンを形成する場合、その原料ガスにはシリコンを含む多様なガスが選択される。例えばシランガス(SiH4)等が挙げられる。化学気相成長法の製膜パラメータとしてはプラズマCVD法の場合、電極基板間の距離、原料ガス濃度、製膜室内圧力、プラズマ誘起のために印加する電界等さまざまである。また原料ガスのイオン化に熱触媒線を用いたCVD法も一般に用いられている。これにおいても様々なパラメータが存在するが、本実施の形態ではこれらのパラメータを特に指定するものではない。これらの形成方法によって、単結晶シリコン基板1の表面に真性の非晶質薄膜が形成される。非晶質薄膜の厚みは、特に範囲を設けるものでもないが、最終的な形態として厚み1nm以上10nm以下が望ましい。
この後、約5〜50nmの厚さのp型非晶質シリコン層(非晶質シリコンp層)2pを堆積する(S1006:第2導電型非晶質半導体層形成)。
続いて、約5〜50nmの厚さのn型非晶質シリコン層(非晶質シリコンn層)3nをこの順に堆積する(S1007:第1導電型非晶質半導体層形成)。この際非晶質シリコンp層2p、非晶質シリコンn層3nは非晶質を用いているが、微結晶シリコンを用いてもよい。
極性を有した半導体薄膜の形成方法は、特に定めないが、真性の非晶質薄膜の形成において用いた方法と類似の方法が望ましい。ここでいう極性とは、半導体のp型、n型のことを指し、最終的に図1の太陽電池の模式図と同一となれば、順序は問わない。それらの化学気相成長法の原料ガスには、仮にp型を形成するとすればジボラン(B2)などが、n型を形成するときにはホスフィン(PH3)などのドーパントとなる材料が原料ガスに含まれる。製膜膜厚としては、太陽電池として機能するための電界強度と太陽光に対する透過率によって最適化されているものとし、おおよそ5nm〜30nmの間の値の膜厚が設定されている。真性の非晶質薄膜及び極性を有した半導体薄膜の形成順序は、最終的な太陽電池模式図と同様になればよく、真性の非晶質シリコン層2i,真性の非晶質シリコン層3i,非晶質シリコンp層2p,非晶質シリコンn層3nの順あるいは、真性の非晶質シリコン層3i,真性の非晶質シリコン層2i,非晶質シリコンp層2p,非晶質シリコンn層3nの順であってもよい。
そしてその後、太陽電池内で生成されたキャリアを集電するための集電補助電極として表面および裏面に透光性導電膜4,5(第1及び第2のITO層)を形成する(S1008:透光性導電膜形成)。透光性導電膜材料としては、太陽電池の分光感度領域で良好な透過率(80%以上)を持ち、できるだけ低抵抗な材料が選定されることが望ましい。また好ましくは、透光性導電膜との界面を形成する極性を持った半導体薄膜とのショットキー障壁が小さくあるべきである。汎用的な透光性導電膜材料としては、ITO(酸化インジウムに錫(Sn)が添加されたもの)をはじめとする酸化インジウム系材料および、酸化亜鉛を主原料とし、微量添加物を含む酸化亜鉛系材料等がある。本実施の形態では、これらの材料に関する規定はない。
次に太陽電池セル形成の最終フローであるS1009の集電電極形成について述べる。集電電極は、その名前の通りの役割を果たし、導電性の高い材料が用いられる。例えば、銀や銅が用いられる。銀を集電電極に用いるとき、その製造の簡易性から銀を含むペースト状の材料を印刷して形成される印刷のパターン(表面からみた銀ペースト印刷領域)は、もっぱら母線と、細線から形成されることが多いが、このパターンは、集電電極の下に形成された透光性導電膜の導電性(抵抗率)や、太陽電池セルの受光面積設計と密接に関連付けられる。また配線に銅を用いる場合は、めっきによって形成されることが多い。めっきは無電界・電界を問わないが、電界めっきである場合、銅単体ではなく、電界を印加するための起点となる材料が設けられる。以上が、本実施の形態が対象とする太陽電池の汎用化したセル形成フローとなる。
この後、界面処理分析(ステップS1010)を行う。界面処理分析ステップは、最終的に非晶質薄膜を形成するS1005〜S1007以降であれば、どの段階で行ってもよい。界面処理分析ステップは、熱処理(S1011:熱アニール)と、界面の観察を行う観察ステップ(S1012)と、判定を行う判定ステップ(S1013)と、判定結果に応じて最適アニール条件を算出する工程(S1014)とを有する。
次に本実施の形態で用いる界面処理分析(ステップS1010)について図4を参照しつつ詳細に説明する。図3の太陽電池の製造工程を示すフローチャートにおいて、観察ステップS1012に相当する工程は、分析試料準備ステップA1と、透過型電子顕微鏡用超薄片試料作製ステップA2と、収差補正−走査型透過電子顕微鏡観察(Cs−STEM)ステップA3と、電子エネルギー損失分光(EELS)測定ステップA4と、ピーク比較・解析ステップA5とを含み、この観察ステップの後、判定ステップA6(S1013)に進む。
まず、A1:サンプルの準備について述べる。本実施の形態の分析で用いる試料は、前述の太陽電池セル形成フローの最低でもS1007までの工程を経たものを試料として用いる。このサンプルには最低でも表面および裏面にヘテロ接合界面12(図1)が存在し、さらに極性を持った非晶質薄膜が積層されている。本試料に対して所定の熱アニールを実施し、ヘテロ接合界面の構造歪を緩和させたものを分析用試料として用いる。所定の熱アニールとは180〜260℃の温度範囲で1度の熱処理時間が2〜8秒となるような、いわゆるRTA処理が望ましい。加熱方法、加熱回数は後述する判定基準を満たすまで実施する。
次に、A2:透過電子顕微鏡観察用超薄片試料作製について述べる。透過電子顕微鏡は、一般に数十〜数百〜数千keVで加速された電子線が多段階レンズを経て試料に照射され、この試料を透過した電子線を結像することによって被分析試料の情報を知るものである。ゆえに分析試料は電子線が透過可能な超薄片試料を用いる(電子線加速電圧によって透過可能な厚みは異なる)。一般に数百keVの加速電圧では数十〜百nmの厚みの超薄片試料が用いられる。これらの制約をもった試料作製法には一般に機械的な破壊による手法、機械研磨、物理的エッチングおよび電気化学的エッチングを利用した種々の方法が存在するが、具体例として、収束(集束)イオンビーム装置(FIB)を用いた方法について述べる。
FIB法は、収束したイオンビームを試料表面上で走査することにより、生じるスパッタリング現象を利用した微細加工技術であり、例えば試料表面から特定微小部分を除いた領域をイオンビーム走査し続けることによって、特定微小部分の周辺を除去し、抽出を可能にする。抽出する試料形状は、透過電子顕微鏡観察の制約上、厚み100nm以下の超薄片形状(図5)が望ましい。また、FIB法において用いるイオンビームの影響で超薄片試料加工断面には、加工変質層が残存することが知られている。精度の高い分析を行うためには、この加工変質層を取り除く必要がある。そのためには、Arイオンミリング法を併用することが望ましい。
A3:電子顕微鏡観察について述べる。透過型電子顕微鏡観察は大別して、透過電子顕微鏡(TEM)法と、走査型透過電子顕微鏡(STEM)法に大別される。本実施の形態においては、後述の電子エネルギー損失分光測定との測定箇所リンケージを考慮して、STEM法の方が、好ましいが、そのいずれを問わない。観察条件には電子線の加速電圧や照射電流密度等の規定は設けず、試料の回折条件としてSTEMにてSiのチャネリングコントラストが観察される条件であればどのような回折条件であっても良い。強いてあげればSi<110>の晶帯軸入射が好ましい。また、観察に用いるSTEMには、その収差を低減すべく収差補正器が搭載されていることが望ましい。
このように観察されるSTEM像の模式図を図6(a)に示す。模式図6(a)および(b)は、ヘテロ接合界面の面指数はSi(111)、電子線入射方位はSi<110>を想定したものである。
A4:電子エネルギー損失分光測定について述べる。電子エネルギー損失分光測定にも多様な装置構成があるが、本実施の形態ではその測定装置の構成に係らず機能として電子エネルギー損失を測定できさえすれば、どのような構成でもかまわない。測定対象とする損失エネルギー領域は、Siの1次のプラズモンロスピーク(約17eV)を測定可能な20〜60eV程度が好ましい。この領域における電子エネルギー損失は、低エネルギー側から一般に弾性散乱および、価電子励起(個別励起、集団励起)に関する情報を含む。本発明では、プラズモンロスピークに着目して測定する。測定領域は、ヘテロ接合界面12から単結晶シリコン基板1に向けて数〜数十nm領域に掛けて多点測定か、もしくは当該領域の線分析を実施する。また、ヘテロ接合界面12から単結晶シリコン基板1内50nm以上の領域を参照領域として測定する。
A5:ピーク比較・解析について述べる。図7に本実施の形態における典型的な測定結果を示す。収差補正‐走査型透過電子顕微鏡法(Cs‐STEM)による観察と測定結果には、参照領域rと、ヘテロ接合界面Oの極近傍および、数nm(2nm)単結晶シリコン基板1側に入った領域NのEELS測定結果を重ねて示している。ピークトップは示していないが、0eVに弾性散乱ピークが、〜17eVおよびその、2次・3次のプラズモンロスピークが示されている。ヘテロ接合界面O上の結果のみが、顕著にプラズモンロスピークの低下が見られることが発見される。この現象に関する鋭意検討の結果、この現象はヘテロ接合界面近傍の結晶格子歪を反映したものと解釈し、これによって構造規定を行う。これらの結果から抽出する情報は、ピーク強度、ピークエリア強度、ピークの拡がりパラメータとして、その半値幅等を用いる。
高エネルギーの電子を薄膜試料に入射すると、試料元素の原子核により進行方向を大きく変えられた弾性散乱電子と試料内の電子との相互作用によりエネルギーを損失した非弾性散乱電子が生じる)。通常のTEM像は、試料から発生する弾性散乱電子のみを対物絞りによりカットすることでコントラストを得ている。EFTEMは、対物絞りにより散乱角度に基づきカットされた電子線を、さらに電子線フィルターにより損失エネルギーレベルにより振り分ける。非弾性散乱電子をフィルターにより分光し、損失エネルギー値を測定、解析する手法を電子エネルギー損失分光法(Electron Energy Loss Spectroscopy:EELS)と呼ぶ。EFTEMは、非弾性散乱電子を分光する電子プリズムであるエネルギーフィルター(EF)を組み込んだTEMであり、特定の微小領域からEELSスペクトルを得ることにより、ナノレベルでの化学構造解析を可能にする。EELSスペクトルは、試料との相互作用無しに透過したゼロ・ロスピーク、外殻電子との相互作用によるプラズモンロス、及び、高損失エネルギー領域に内殻電子との相互作用によるコア・ロス、の3つの特徴あるピーク群を与える。通常のTEM像では、これら全ての電子線をまとめて結像に用いるのに対し、ESLSでは、特定の損失エネルギー電子により結像することが可能であり、ここではプラズモンロスピークの半値幅増分比を判定のパラメータとして用いる。
A6:判定について述べる。ここでの判定はヘテロ接合界面12近傍の単結晶シリコン基板1において、その結晶格子歪が小さいことを示すための判定を実施する。その判定基準は、参照領域と比較して、ヘテロ接合界面まわりのピーク拡がりが、+10%以内、好ましくは+8%以内にあるとき、その熱処理条件を良とするものである。図8は、図7のエネルギーロスと強度との関係に基づき、横軸をプラズモンロスピーク半値幅増分比(%)とし、セル効率の変分を縦軸とした時の関係をプロットした図である。図8によれば、プラズモンロスピークの半値幅増分比が8%以下であるとき、セル効率変分が明らかな増加を見せており、+10%を境に、ほとんど効率が上昇しない。したがってプラズモンロスピークの半値幅増分比が+10%以下、望ましくは+8%以下であるのが望ましい。ピークの拡がりパラメータとしては、半値幅が最も汎用性が高いと考えるが、ピークの拡がりを規定できればどのようなパラメータを用いてもよい(図8)。また、判定の精度向上のために弾性散乱ピークの半値幅拡がりとの相対評価を用いてもよい。判定が不可である場合、前記RTA処理条件を変動させ、界面におけるプラズモンロスピーク変分が、単結晶シリコン基板内部に比べて、+8%以内であるように最適化(最適アニール条件算出:S1014)できるまでこれを繰返すものとする。ステップS1014の最適アニール条件算出ステップの後、当該最適アニール条件で熱アニール処理を行い(ステップS1011)、界面の観察を行う観察ステップ(S1012)を経てプラズモンロスピークの半値幅増分比を用いて界面状態の良否判定を行う(S1013)。
また、この工程では、ヘテロ接合界面に平行に、かつチャネリングコントラストが得られる結晶方位でCs−STEM観察を行い、ヘテロ接合界面構造と単結晶シリコン側界面近傍の原子配列の乱れを同時に観察する。
この後、第1導電型の単結晶シリコン基板と、真性の非晶質シリコン系薄膜との界面におけるプラズモンロスピーク変分が、単結晶シリコン基板内部に比べて、8%以内であるか否かの判定を行う(S1013:判定)。なお、さらに、ヘテロ接合界面を形成する非晶質薄膜の構造が歪に結晶化していない状態をもって、良とする判定基準を付加してもよい。
そしてプラズモンロスピーク変分が、単結晶シリコン基板内部に比べて、8%以内であると判定されたとき、最後に、表面及び裏面に集電電極6,7を形成する(S1009:電極形成)。
一方、プラズモンロスピーク変分が、n型単結晶シリコン基板1内部に比べて、+8%を超えていると判定されたとき、最適アニール条件として蓄積データに基づいて+8%以内となる値を算出し(S1014:最適アニール条件算出)、再度熱処理ステップに戻る(S1011:熱アニール処理)。このようにして平均透過電子量が、プラズモンロスピーク変分が、n型単結晶シリコン基板1内部に比べて、+8%以内であると判定されるまで、熱アニールを行う。そして最後に、表面及び裏面に集電電極6,7を形成する(S1009:電極形成)。
なお、本実施の形態の方法において、すべての太陽電池に対して観察を行うのではなく、あらかじめ異なる熱アニール条件で処理した複数の太陽電池を観察することによって、最適アニール条件を決定し、この決定された条件に基づいて熱処理を行うようにすればよい。そして、時折、一部に対して観察を行い、確認とアニール条件のフィードバック修正を行うようにしてもよい。
このようにして得られた太陽電池のCs−STEM観察像の写真を図6(a)に示す。この写真からも、n型単結晶シリコン基板1と真性の非晶質シリコン層2iとのヘテロ接合界面はシリコン原子101がカラム状に整列するとともに近接して並んだダンベル構造102も確認できる。
本実施の形態によれば、単結晶シリコンの結晶方位Si<110>方位からのCs−STEM観察を行うことで、図2に示すような、シリコンの結晶構造が確認される。このとき、シリコン原子101が近接して(〜0.136nm)並んだダンベル構造102も確認できる。そしてこの紙面に垂直な方向には複数のシリコン原子101が整列されており、カラムを形成している。STEM観察ではある特定の方位からの観察によって原子の整列性に起因する、チャネリングコントラストが観察される。ヘテロ接合界面に平行に、かつチャネリングコントラストが得られる結晶方位でCs−STEM観察を行えば、ヘテロ接合界面構造と単結晶シリコン側界面近傍の原子配列の乱れを同時に観察することが可能である。また、この原子配列の乱れは単結晶シリコン内部における欠陥準位と相関を持つと考えられる。これらの原子配列の乱れは、非晶質シリコン系薄膜形成条件や、セル完成後の熱アニールにより変化する。特に界面特性が悪いときには、単結晶シリコン側の原子配列乱れは、程度として大きく、界面特性が良いときには程度として小さいことを、発明者等の鋭意検討によって確認した。
本実施の形態のヘテロ接合型太陽電池によれば界面近傍の結晶配列が、一般のヘテロ接合型太陽電池に比べ飛躍的に向上しており、結果結晶シリコン内部における欠陥準位量の低減が可能となる。この効果により、太陽電池効率を向上させることが可能となる。
なお、改質の方法は、効果が得られればその方法を規定しないが、汎用的にはRTA処理が好ましい。
これにより、非晶質シリコン系薄膜/単結晶シリコン界面(ヘテロ接合界面)の界面特性の優れた太陽電池を得る。本実施の形態の太陽電池の非晶質シリコン系薄膜/単結晶シリコン界面では、歪を生じることなく結晶質から非晶質へと急峻な結晶状態変化が認められ、優れた光電変換特性を得ることが可能となる。以下、本発明の実施の形態として、具体例を述べるが本発明は以下の実施の形態に限らず、あくまでもヘテロ接合界面結晶シリコン側の格子配列乱れが低減されている。
以上のようにして、太陽電池のヘテロ接合構造の真なる最適化を図ることができる。その他の最適化すべき導電性の非晶質シリコン層2p,3nと透光性導電膜4,5の界面の例えば接合抵抗低減、透光性導電膜4,5と集電電極6,7の接合抵抗低減、集電電極6,7の配線抵抗低減と併用することで、太陽電池セル効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
実施の形態2.
図9は、本発明にかかる実施の形態2の太陽電池の製造工程を示すフローチャートである。本実施の形態の太陽電池の製造方法では、単結晶シリコン基板上に非晶質シリコン系薄膜をはじめとする非晶質薄膜を備えた太陽電池の構造に係り、またその構造に関する。第1導電型の単結晶シリコン基板上に非晶質シリコン系薄膜を形成した太陽電池において、第1導電型の単結晶シリコン基板と、真性の非晶質シリコン系薄膜との界面におけるプラズモンロスピーク変分が、単結晶シリコン基板内部に比べて、+10%以内であるとともに、Cs−STEM観察結果から、界面を形成する単結晶シリコン基板内部にかけておおよそ5nmまでの平均透過電子量が、基板内部の平均透過電子量に比べてマイナス15%以内であるか否かの判定を行うようにしたことを特徴とするものである。
EELS測定によりプラズモンロスピークの半値幅成分が8%以内か否かを判定する判定ステップS1013までは実施の形態1と同様である。そしてこの後、ヘテロ接合界面に平行に、かつチャネリングコントラストが得られる結晶方位でCs−STEM観察を行った結果にもとづき、界面を形成する単結晶シリコン基板内部にかけておおよそ5nmまでの平均透過電子量が、基板内部の平均透過電子量に比べてマイナス15%以内であるか否かの判定を行う(S1015:判定)。なお、これに加えて、ヘテロ接合界面を形成する非晶質薄膜の構造が歪に結晶化していない状態をもって、良とする判定基準を付加してもよい。
そして平均透過電子量が、−15%以内であると判定されたとき、最後に、表面及び裏面に集電電極6,7を形成する(S1009:電極形成)。
一方、平均透過電子量が、−15%を超えていると判定されたとき、最適アニール条件を蓄積データに基づいて−15%以内となる値を算出するとともに、プラズモンロスピークの半値幅成分が8%以内となる値を算出し(S1014:最適アニール条件算出)、再度熱処理ステップに戻る(S1011:熱アニール処理)。このようにして平均透過電子量が、−15%以内であり、かつプラズモンロスピークの半値幅成分が8%以内となると判定されるまで、熱アニールを行う。そして最後に、表面及び裏面に集電電極6,7を形成する(S1009:電極形成)。
このようにして、太陽電池のヘテロ接合構造のさらに真なる最適化を図ることができ、太陽電池セル効率を飛躍的に向上させることが可能となる。
なお、本実施の形態1および2の方法において、すべての太陽電池に対して観察を行うのではなく、あらかじめ異なる熱アニール条件で処理した複数の太陽電池を観察することによって、最適アニール条件を決定し、この決定された条件に基づいて熱処理を行うようにすればよい。そして、時折、一部に対して観察を行い、確認とアニール条件のフィードバック修正を行うようにしてもよい。
本実施の形態のヘテロ接合型太陽電池によっても、界面近傍の結晶配列が、一般のヘテロ接合型太陽電池に比べ飛躍的に向上しており、結果結晶シリコン内部における欠陥準位量の低減が可能となる。この効果により、太陽電池効率を向上させることが可能となる。
なお、半導体基板としては、単結晶シリコン基板を用い、真性または各導電型の非晶質シリコン薄膜などの非晶質シリコン系薄膜を用いたが、これに限定されることなく、微結晶シリコン系薄膜、多結晶シリコン系薄膜などの結晶系薄膜にも適用可能である。
1 n型単結晶シリコン基板、2i,3i 真性の非晶質シリコン層、2p p型非晶質シリコン層、3n n型非晶質シリコン層、4,5 透光性導電膜、6,7 集電電極、11 シリコン格子配列が崩れた領域、12 ヘテロ接合界面、101 シリコン原子、102 ダンベル構造。

Claims (3)

  1. 第1導電型の単結晶シリコン基板上に、真性の非晶質シリコン系薄膜を介して第2導電型の非晶質シリコン系薄膜を形成しヘテロ接合型太陽電池を形成する工程と、
    前記ヘテロ接合型太陽電池に対し、熱アニールを行う改質工程と、
    前記第1導電型の単結晶シリコン基板と前記真性の非晶質シリコン系薄膜との接合界面におけるプラズモンロスピーク変分を測定する工程と、
    前記測定する工程による測定結果に基づき、前記改質工程におけるアニール条件を設定する工程を含むことを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. 前記アニール条件を設定する工程は、
    前記測定する工程による測定結果に基づき、前記接合界面における前記単結晶シリコン基板側界面近傍と、前記単結晶シリコン基板内部とのプラズモンロスピーク変分が+10%以内となるように、前記改質工程におけるアニール条件を設定する工程を含むことを特徴とする請求項に記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記アニール条件を設定する工程は、
    前記測定する工程による測定結果に基づき、前記接合界面における前記単結晶シリコン基板側界面近傍と、前記単結晶シリコン基板内部とのプラズモンロスピーク変分が+8%以内となるように、前記改質工程におけるアニール条件を設定する工程を含むことを特徴とする請求項に記載の太陽電池の製造方法。
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