JP6118617B2 - 多層紙及び多層紙の製造方法 - Google Patents

多層紙及び多層紙の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、多層紙及び多層紙の製造方法に関する。
コットンリンター(コットンリンターパルプ)とは、綿(コットン)についている短毛(リンター)を精製したパルプであり、一般に繊維が長く繊維直径に対する繊維壁厚さが大きいため、木材パルプと比べて低密度化や剛直度に優れる特徴を有し、コットンリンターを用いた紙は低密度化と手触り等の質感に優れ様々な分野で幅広く利用されている。
例えば、コットンリンターパルプに近似のコットン繊維を含む紙は、嵩高さ、エンボス性、吸水性、吸油性、クッション性等に優れることから、壁紙、家庭用薄葉紙等として使用され、特開2003−127317号公報には合成繊維と混抄し壁装材として用いる技術が開発されている。また、特開2007−92260号公報には、コットンリンターパルプと合成繊維からなる嵩高くエンボス性に優れ、かつグラビア印刷適性に優れた単層化粧シートが開発されている。しかしながら、本発明にて用いるコットンリンターを用いた紙は、上述の嵩高さ、クッション性等の効果と引き替えに、繊維が結束になり易い問題を抱えており、木材パルプを用いた紙と比べ引張強度等の強度適性が低下するという本質的不都合を持っている。
一方、今日では資源の有効利用の観点から古紙のリサイクルが望まれているが、従来の木材パルプからなる古紙処理と同等の手段では、1年生植物である綿花を原料としているコットンリンター繊維が一度使用されたことで脆くなっており、コットンリンターの特徴を損なう問題を有することから、コットンリンター古紙の再資源化は達成されていない。
特開2003−127317号公報 特開2007−92260号公報
本発明は、上記のような不都合に鑑みてなされたものであり、コットンリンター古紙を用いながら、嵩高性及びクッション性に加えて強度適性にも優れた多層紙の提供を目的とする。
本発明者は、上記不都合を解決するために鋭意検討を重ねた結果、コットンリンター古紙パルプを主原料とする多層紙に含まれる中層の付け量並びに表層の繊維幅及び中心線重さ荷重平均繊維長のピークに加えて、多層紙の密度及び破裂指数を好適な範囲に調整することで、上述のような多層紙を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決するためになされた発明は、
コットンリンター古紙を離解分散させて得られるコットンリンター古紙パルプを主原料とする多層紙であって、
JIS P 8124:1998に準拠して測定した付け量が30g/m以上90g/m以下の少なくとも1層の中層と、上記中層の少なくとも片面に積層され、JIS P 8220:1998に準拠して離解した離解パルプの繊維幅が14μm以上22μm以下、中心線重さ荷重平均繊維長のピークが1.5mm以上3.0mm以下の原料パルプから得られる表層とを備え、
密度が0.45g/cm以上0.60g/cm以下であり、
破裂指数が0.80kPa・m/g以上1.70kPa・m/g以下であることを特徴とする多層紙である。
このようにコットンリンター古紙パルプを主原料とする多層紙に含まれる中層の付け量並びに表層の繊維幅及び中心線重さ荷重平均繊維長のピークに加えて、多層紙の密度及び破裂指数を上記範囲とすることで、嵩高性及びクッション性と強度適性とを共に向上させることができる。特に、当該多層紙は、上述のような表層を備えることで、嵩高性及びクッション性に加えて、相反する物性である強度適性も向上させることができる。
JIS P 8124:1998に準拠して測定した、上記表層の付け量が15g/m以上105g/m以下であり、かつ全体の坪量が50g/m以上420g/m以下であることが好ましい。このように上記表層の付け量及び上記多層紙の坪量を上記範囲とすることで、多層化に伴うクッションむらや、中層がコットンリンター古紙パルプを主成分とすることで生じる紙層の脆さを補うと共に、紙粉等の発生を抑制することができ、その結果当該多層紙のクッション性を向上させることができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、
コットンリンター古紙を離解分散させて得られるコットンリンター古紙パルプを主原料とする多層紙の製造方法であって、
上記コットンリンター古紙をpH5.6以上pH8.4以下で離解分散させる工程と、表層と少なくとも1層の中層とを30m/分以上120m/分以下の抄紙速度で抄き合わせる工程とを有し、
上記少なくとも1層の中層のJIS P 8124:1998に準拠して測定した付け量が30g/m以上90g/m以下であり、
上記表層がJIS P 8220:1998に準拠して離解した離解パルプの繊維幅が14μm以上22μm以下、中心線重さ荷重平均繊維長のピークが1.5mm以上3.0mm以下の原料パルプから得られ、
密度が0.45g/cm以上0.60g/cm以下であり、
破裂指数が0.80kPa・m/g以上1.70kPa・m/g以下であることを特徴とする多層紙の製造方法である。上記製造方法を用いることで当該多層紙を容易かつ確実に製造することができる。また、出発原料であるコットンリンター古紙は離解分散されてコットンリンター古紙パルプ化されて用いられる。当該多層紙の製造方法は、上記コットンリンター古紙をpH5.6以上pH8.4以下で離解分散させることから、コットンリンター繊維の傷みや切断が少なく、未使用のコットンリンターパルプに近いコットンリンター古紙パルプを得ることができる。
上述の通り、コットンリンター古紙を用いながら、嵩高性及びクッション性に加えて強度適性にも優れた多層紙を提供することができる。
本発明は、コットンリンター古紙を離解分散させて得られるコットンリンター古紙パルプを主原料とする多層紙であって、
JIS P 8124:1998に準拠して測定した付け量が30g/m以上90g/m以下の少なくとも1層の中層と、上記中層の少なくとも片面に積層され、JIS P 8220:1998に準拠して離解した離解パルプの繊維幅が14μm以上22μm以下、中心線重さ荷重平均繊維長のピークが1.5mm以上3.0mm以下の原料パルプから得られる表層とを備え、
密度が0.45g/cm以上0.60g/cm以下であり、
破裂指数が0.80kPa・m/g以上1.70kPa・m/g以下であることを特徴とする多層紙である。
「多層紙」とは、層状の構造を有する複合紙である。具体的には、当該多層紙は少なくとも1層からなる中層と上記中層の少なくとも片面に表層とを備える。以下、当該多層紙について詳説する。
<コットンリンター>
当該多層紙は、コットンリンター由来のコットンリンター古紙パルプが主成分の原料パルプを用い、抄き合せ、多層に抄紙して多層紙を得る。このようにコットンリンター古紙パルプを用いることで、従来廃棄等に付されていたコットンリンター古紙パルプの有効利用を図ることができる。また、当該多層紙は、本発明の効果を損なわない範囲でコットンリンター以外のその他のパルプ成分を含有することもできる。
「コットンリンター」は、綿実から綿花としての長繊維を採った後、綿実に残る繊維長の比較的短い短繊維を原料として精製したパルプであり、綿についている短毛(リンター)を精製したパルプをいう。このような短繊維部分は中空で軽量であること、木材繊維との比較では長繊維であるため、コットンリンターを含む原料パルプを抄紙した紙は、低密度で剛直な特性を有する。
本発明で好適に用いることができるコットンリンター古紙は、古紙選別が近年仔細に行われるようになった結果、壁紙用途や熱プレス成形用耐熱クッション紙として用いられた使用済みのコットンリンター古紙として通常商業的に入手可能でもある。
「コットンリンター古紙パルプを主原料とする」は、原料パルプ中のコットンリンター古紙パルプの含有率が、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは100質量%であることをいう。
本発明に係る多層紙は、コットンリンター古紙由来のコットンリンター古紙パルプの繊維幅が14μm以上22μm以下、中心線重さ荷重平均繊維長のピークが1.5mm以上3.0mm以下の原料パルプから得られる表層が抄き合せにて得られるため、嵩高さ、エンボス性、吸水性、吸油性、クッション性、耐熱性、耐久性等に優れ、特に嵩高性及びクッション性に優れる。
通常のコットンリンターは、一般に中空で繊維壁厚さが大きいため得られるコットンリンター含有の紙は嵩高であり、また紙の内部や表面に比較的多くの空隙を形成するため上述のように嵩高性及びクッション性に優れる。コットンリンター古紙パルプ繊維が比較的短繊維である場合、繊維同士の結束が劣り、多層紙表面の強度を低下させることがあるが、当該多層紙は強度適性を向上させることもできる。
<その他のパルプ成分>
コットンリンター古紙パルプは、単独で使用することが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲でその他のパルプ成分として木材パルプ繊維、合成繊維等を含むこともできる。
木材パルプ繊維としては、例えば広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)等の化学パルプ、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ、段ボール古紙、ライナー古紙、雑誌古紙、新聞古紙、地券古紙等から再生した古紙パルプ、上白古紙パルプ、脱墨パルプ等が挙げられる。
合成繊維としては、例えばアセテート等のセルロース系繊維、レーヨン、キュプラ、ポリノジック等のセルロース系再生繊維等が挙げられる。
これらの中では、再資源化、紙質強度等の向上を図ることができる、木材パルプ繊維が好ましく、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、上白古紙パルプがより好ましい。
繊維組成(配合割合)はJIS P 8120:1998等の公知の方法に準拠して確認することもできる。また、繊維に関するデータを得るための試料はJIS P 8220:1998に準拠して繊維を離解したものを用いてもよい。
<多層紙の製造方法>
上記多層紙の製造方法は、
コットンリンター古紙をpH5.6以上pH8.4以下で離解分散させる工程と、
表層と少なくとも1層の中層とを30m/分以上120m/分以下の抄紙速度で抄き合わせる工程とを有する。上記多層紙の製造方法を用いることで、当該多層紙を容易かつ確実に製造することができる。
(離解分散工程)
本工程では、上記コットンリンター古紙をpH5.6以上pH8.4以下で離解分散させる。使用後のコットンリンター古紙は、通常一旦抄造された後、離解分散させ、脱墨、漂白、精選した後再抄造されるため、繊維が傷付き、繊維長が短くなり、その結果繊維自体のクッション性が低下し易い。しかし、上記コットンリンター古紙を上記範囲のpH中で離解分散させることで、多層紙の強度適性の低下を抑制することができる。また、物理的な乾式解繊と異なり、湿式解繊を用いることで未使用のコットンリンターパルプに近いコットンリンター古紙パルプを得ることができ、得られる多層紙の経時安定性を向上させることもできる。しかも、離解分散時に脱墨剤等の薬品の添加を行わないことで、コットンリンターパルプ繊維の劣化を防止することができ、所望の付け量で多層抄き合せて多層紙を得ることで、コットンリンター古紙を用いた多層紙でありながら、嵩高性及びクッション性に加えて強度適正に優れた、コットンリンター古紙パルプを主原料とする多層紙を得ることができる。
上記pHとしては、5.6以上8.4以下であり、5.8以上8.2以下が好ましく、6.0以上8.0以下がより好ましい。このように上記pHを上記範囲とすることで、多層紙の強度適性の低下を抑制することができる。上記pHが上記上限を超えると、繊維が劣化し、クッション性が低下する。上記pHが上記下限未満であると、この場合も繊維が劣化し、クッション性が低下する。
コットンリンター古紙を離解分散させるための溶媒としては、例えば上記範囲のpHを有する水が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、水溶性有機溶媒を併用してもよい。
また、pHの調整は、例えば苛性ソーダ等の塩基や硫酸等の酸を用いて行うことができる。
コットンリンター古紙パルプの繊維幅が14μm以上22μm以下、中心線重さ荷重平均繊維長のピークが1.5mm以上3.0mm以下の原料パルプから得られる表層を得るには、耐熱クッション紙等の高温高圧化曝されたコットンリンター含有のクッション紙を用いること、意図的に、例えばプレス機等を用いて通常のコットンリンター古紙を例えば加圧・加熱により繊維自体を扁平に変形させたのちパルプ化する方法や、これらをより厳しい条件下で叩解処理を行う方法等が挙げられる。
叩解処理の場合、通常の叩解機、例えばビーター、ジョルダン、コニカルリファイナー、シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー等を用いてコットンリンター古紙パルプを叩解することでミクロフィブリル化とコットンリンターの変形とを同時に行うことができる。
上記コットンリンター古紙パルプは、熱プレス成形用クッション紙の古紙が好適に用いられるが、この場合、上記古紙中の繊維は熱プレス時に高温高圧に晒されるため、その形状は適度に扁平状になり易く、これらはコットンリンター古紙パルプとして使用すると繊維間の接着性が向上し、本発明の課題である、嵩高性及びクッション性に加えて強度適性にも優れた多層紙を得るのに好ましい。
(抄き合わせ工程)
本工程では、表層と少なくとも1層の中層とを30m/分以上120m/分以下の抄紙速度で抄き合わせることで、当該多層紙を容易かつ確実に製造することができる。
上記抄紙速度としては、30m/分以上120m/分以下であり、40m/分以上110m/分以下が好ましく、50m/分以上100m/分以下がより好ましい。このように上記抄紙速度を上記範囲とすることで、濾水性の高い使用済み熱プレス成形用クッション材を用いても、むらが無くかつ十分なクッション性を備える熱プレス成形用クッション材を得ることができる。上記抄紙速度が上記上限を超えると、地合いが低下する。上記pHが上記下限未満であると、抄紙中に水分が抜け、均一な厚さのクッション材を得ることができない。
抄き合わせの際に用いる抄紙機としては、例えば円網抄紙機、円網短網コンビネーション抄紙機等が挙げられる。
多層抄きとは、2層以上の紙層となるように抄紙することをいう。この際の層数としては、2層以上であれば特に限定されないが、3層以上5層以下が好ましい。2層未満であると、多層紙のクッション性が低下するおそれがある。5層より多いと生産工程が複雑となるおそれがある。
(その他)
製造工程における温度、圧力、時間、設備等の工程条件は使用原料等に従って適宜設定される。製造工程の段階数も、1段階で行ってもよく、多段階で行ってもよい。
<多層紙>
当該多層紙は、上記中層と、上記中層の少なくとも片面に上記表層とを備えることで、嵩高性及びクッション性に加えて強度適性にも優れる。また、当該多層紙は、コットンリンター繊維の膨潤による嵩高性及びクッション性の向上と、繊維の表面同士が略平行に配向し易いことにより、所望の密度と破裂に代表される紙の強度を高めることもできる。さらに、当該多層紙は、内部に好適な空隙を有するため、吸水性や吸油性にも優れる。
当該多層紙の密度(緊度又は嵩密度)としては、0.45g/cm以上0.60g/cm以下であり、0.50g/cm以上0.60g/cm以下が好ましく、0.52g/cm以上0.59g/cm以下がより好ましい。このように当該多層紙の密度を上記範囲とすることで、当該多層紙の嵩高さを向上させることができる。当該多層紙の密度が上記上限を超えると、当該多層紙の嵩高さが低下する。当該多層紙の密度が上記下限未満であると、当該多層紙のクッション性が低下する。
当該多層紙の破裂指数としては、0.80kPa・m/g以上1.70kPa・m/g以下であり、0.85kPa・m/g以上1.65kPa・m/g以下が好ましく、0.88kPa・m/g以上1.60kPa・m/g以下がより好ましい。このように当該多層紙の破裂指数を上記範囲とすることで、当該多層紙の強度適性を向上させることができる。当該多層紙の破裂指数が上記上限を超えると、添加薬品が多量に必要となるためコストアップとなり、かつ当該多層紙の離解性が低下し作業性が低下する。当該多層紙の破裂指数が上記下限未満であると、当該多層紙の強度適性が低下する。
当該多層紙の坪量としては、50g/m以上420g/m以下が好ましく、60g/m以上400g/m以下がより好ましい。このように当該多層紙の坪量を上記範囲とすることで、当該多層紙の強度適性を向上させることができる。当該多層紙の坪量が上記上限を超えると、当該多層紙が厚くなり過ぎるおそれがある。当該多層紙の坪量が上記下限未満であると、当該多層紙のクッション性が低下するおそれがある。
本発明におけるコットンリンター古紙を離解分散して得られるコットンリンター古紙パルプを用いて得られた上記多層紙をJIS P 8220:1998に準拠して離解した離解パルプの繊維粗度としては、通常0.08mg/m以上0.26mg/m以下であり、0.09mg/m以上0.25mg/m以下が好ましい。このように上記繊維粗度を上記範囲とすることで、当該多層紙のクッション性を向上させることができる傾向がある。また、基本性能であるクッション性、柔軟性等と強度適性等の向上とをバランスよく高めることができる傾向がある。上記繊維粗度が上記上限を超えると、当該多層紙の多層紙のクッション性やカット性が低下するおそれがある。上記繊維粗度が上記下限未満であると、当該多層紙の嵩高さや吸水性が低下するおそれがある。ここでいう繊維粗度(単位:mg/m)は、TAPPI T234hm−84に準拠して、自動繊維長分布測定機を用いて測定した。具体的には、自動繊維長分布測定機で平均繊維長を測定し、繊維本数に数平均長を乗じたもので別途測定したパルプの絶乾重量を除して繊維粗度を算出した。
繊維粗度は単位長さ当りの繊維の重量を指し、mg/mで表わされる。繊維の断面積との相関が強く、その値が低いほど細くしなやかな繊維であることを示す。さらに、本発明者等の研究によると、バージンのコットンリンターパルプと対比し、一旦使用され再生処理して得られたコットンリンター古紙パルプが本発明の課題である嵩高性及びクッション性に加えて強度及び印刷適正に優れた多層紙を提供するに好適である。
上記離解パルプのJIS P 8121:1995に準拠して測定したフリーネス(ろ水度)としては、通常400mL以上600mL以下であり、430mL以上540mL以下が好ましい。このように上記フリーネスを上記範囲とすることで、当該多層紙の強度適性を向上させることができる傾向がある。上記フリーネスが上記上限を超えると、紙層強度が低下して、層間で剥離等の問題が発生するおそれがある。上記フリーネスが上記下限未満であると、所望の密度が得られず、多層紙が硬くなるおそれもある。
当該多層紙の厚さとしては、通常0.10mm以上0.80mm以下であり、0.11mm以上0.77mm以下が好ましい。このように当該多層紙の厚さを上記範囲とすることで、当該多層紙のクッション性を向上させられる傾向がある。当該多層紙の厚さが上記上限を超えると、当該多層紙の風合いが低下するおそれがある。当該多層紙の厚さが上記下限未満であると、当該多層紙のクッション性が低下するおそれがある。
当該多層紙は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の製紙用薬剤を少量含むこともできる。製紙用薬剤としては、例えば定着剤、撥水剤、紙力増強剤、熱膨張性マイクロカプセル、バインダー、無機粒子、サイズ剤、顔料、染料、界面活性剤、歩留り向上剤、填料、ワックス、填料、防錆剤、導電剤、消泡剤、分散剤、粘性調整剤、凝集剤、凝結剤、紙力向上剤、歩留まり向上剤、紙粉脱落防止剤、嵩高剤、増粘剤等が挙げられる。
(表層)
当該多層紙は、上記中層の少なくとも片面に、JIS P 8220:1998に準拠して離解した離解パルプの繊維幅が14μm以上22μm以下であり、中心線重さ荷重平均繊維長のピークを1.5mm以上3.0mm以下に有する原料パルプからなる表層を備えることで、嵩高性及びクッション性に加えて、相反する物性である強度適性も向上させることができる。
上記繊維幅としては、14μm以上22μm以下であり、15μm以上21μm以下が好ましく、16μm以上20μm以下がより好ましい。このように上記繊維幅を上記範囲とすることで、多層紙の強度適性を向上させることができる。上記繊維幅が上記上限を超えると、強度適性が低下する。上記繊維幅が上記下限未満であると、クッション性や嵩高さが低下する。
上記中心線重さ荷重平均繊維長のピークとしては、1.5mm以上3.0mm以下に有し、1.1mm以上3.3mm以下に有することが好ましく、1.2mm以上3.2mm以下に有することがより好ましい。このように上記中心線重さ荷重平均繊維長のピークを上記範囲に有することで、多層紙の強度適性を向上させることができる。上記中心線重さ荷重平均繊維長のピークが上記上限を超えると、強度適性が低下する。上記中心線重さ荷重平均繊維長のピークが上記下限未満であると、クッション性や嵩高さが低下する。
表層の付け量としては、15g/m以上105g/m以下が好ましく、20g/m以上100g/m以下がより好ましい。このように表層の付け量を上記範囲とすることで、多層紙のクッション性を維持しつつ、コットンリンター古紙パルプを主成分とすることにより生じる紙層の脆さを補うと共に、紙粉等の発生を抑制することができる。上記表層の付け量が上記上限を超えると、所望の密度が得られないおそれがある。上記表層の付け量が上記下限未満であると、クッション性や嵩高さが低下するおそれがある。
(中層)
当該多層紙は、付け量が30g/m以上90g/m以下の少なくとも1層からなる中層を備えることで、嵩高性及びクッション性を向上させることができる。
本発明に係る多層紙の中層は、少なくとも1層からなり、5層未満とすることがコットンリンター古紙パルプを用いた抄き合せにおける抄造性向上の観点から好ましい。
中層の各層の付け量としては、30g/m以上90g/m以下であり、35g/m以上85g/m以下が好ましく、40g/m以上80g/m以下がより好ましい。このように中層の各層の付け量を上記範囲とすることで、コットンリンター古紙パルプの濾水性、繊維配向、繊維間及び抄き合せ層間の絡み合いや地合の形成、強度適性を確保することができる。中層の各層の付け量が上記上限を超えると、多層紙の嵩高さが低下する。中層の各層の付け量が上記下限未満であると、表層との抄き合せ時に凝集むらが生じ易くなり、多層紙の地合が低下する。また、表層との抄き合せ時に凝集むらが生じ易くなり、多層紙の地合が低下する。
上述の通り、当該多層紙は、コットンリンター古紙を用いながら、嵩高性及びクッション性に加えて強度適性にも優れた多層紙である。従って、当該多層紙は上記特性が求められる用途、例えば家庭用薄葉紙、化粧紙、クラフト紙、板紙、防音紙、熱プレス成形用クッション紙等として好適に使用できる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、測定は下記の方法により行った。
<pH>
pHは、自動pH測定装置を用いて測定した。
<坪量及び付け量(単位: g/m)>
坪量(単位: g/m)は、JIS P 8124:1998「紙及び板紙―坪量測定方法」に準拠して測定した。
<繊維幅(単位:μm)>
繊維幅(単位:μm)は、繊維長分布測定機「Fiber Lab」(カヤニー社製)を用いて測定した。
<中心線重さ荷重平均繊維長のピーク(単位:mm)>
中心線重さ荷重平均繊維長のピーク(単位:mm)は、繊維長分布測定機「Fiber Lab」(カヤニー社製)を用いて測定した。
<厚さ(単位:μm)>
厚さ(単位:μm)は、JIS P 8118:1998「紙及び板紙-厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
<密度(単位: g/cm)>
密度(単位: g/cm)は、JIS P 8118:1998「紙及び板紙-厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
<破裂指数(比破裂指数)(単位:kPa・m/g)>
破裂指数 (単位:kPa・m/g)は、JIS P 8131:2009「板紙−破裂強さ試験方法」に準拠し測定した破裂強さを、JIS P 8124:1998「紙及び板紙―坪量測定方法」に準拠して測定した試験片の坪量で除して求めた。
<フリーネス(単位:mL)>
フリーネス(単位:mL)は、JIS P 8220:1998「パルプ−離解方法」に準拠して離解して離解パルプとし、この離解パルプをJIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」に準拠して測定した。
<クッション性>
クッション性は、以下の方法で圧縮後回復率(%)を測定し、比較例1の圧縮後回復率を1とした際の相対比較を以下の基準で評価した。
◎:0.90以上
○:0.8以上0.9未満
△:0.7以上0.8未満
×:0.7未満
圧縮後回復率(%)とは、多層紙を5枚重ねてプレス機において0.3Mpa/cmの条件下でプレス前の紙厚と、10分間プレスし1時間後の紙厚との比率を、下記の式により算出した値である。即ち、この圧縮後回復率が大きいほど、クッション性が優れることを意味する。
圧縮後回復率(%)=(プレス後の1時間後の紙厚/プレス前の紙厚)×100(%)
(実施例1)
主成分がコットンリンターパルプである使用済みの熱プレス成形用クッション紙古紙を、パルパーによる湿式解繊手段で離解し、フリーネスが570mLとなるようにDDRを用いて調整し、コットンリンター古紙パルプスラリーを得た。なお、離解の際の上記スラリーの温度は25℃、pHは7.0となるようにした。このコットンリンター古紙パルプスラリーを用い、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、サイズプレス及びカレンダーパートを備える丸網抄紙機により4層抄きの再生コットンリンターパルプを用いて多層紙を得た。中層各層の付け量は60g/mとし、表層の付け量は20g/mとした。抄紙速度は80m/分とした。
(実施例2から実施例12、及び比較例1から比較例4)
実施例2から実施例12、比較例1から比較例4は、実施例1の原料等を表1のようにしたこと以外は、実施例1と同様に行った。
実施例及び比較例の原料、生成物等を表1に示す。
Figure 0006118617
表1より実施例で得られた多層紙は、比較例のものと比べて厚み及び密度が好適な範囲であるため、嵩高性及びクッション性に優れる。また、これら加えて破裂指数も優れることが分かる。
当該多層紙は、嵩高性及びクッション性に加えて強度適性も優れる。よって、このような多層紙は上記特性が求められる用途、例えば家庭用薄葉紙、化粧紙、クラフト紙、板紙、防音紙、熱プレス成形用クッション紙等として好適に使用できる。

Claims (3)

  1. コットンリンター古紙を離解分散させて得られるコットンリンター古紙パルプを主原料とする多層紙であって、
    JIS P 8124:1998に準拠して測定した付け量が30g/m以上90g/m以下の少なくとも1層の中層と、上記中層の少なくとも片面に積層され、JIS P 8220:1998に準拠して離解した離解パルプの繊維幅が14μm以上22μm以下、中心線重さ荷重平均繊維長のピークが1.5mm以上3.0mm以下の原料パルプから得られる表層とを備え、
    密度が0.45g/cm以上0.60g/cm以下であり、
    破裂指数が0.80kPa・m/g以上1.70kPa・m/g以下であることを特徴とする多層紙。
  2. JIS P 8124:1998に準拠して測定した、上記表層の付け量が15g/m以上105g/m以下であり、かつ全体の坪量が50g/m以上420g/m以下である請求項1に記載の多層紙。
  3. コットンリンター古紙を離解分散させて得られるコットンリンター古紙パルプを主原料とする多層紙の製造方法であって、
    上記コットンリンター古紙をpH5.6以上pH8.4以下で離解分散させる工程と、表層と少なくとも1層の中層とを30m/分以上120m/分以下の抄紙速度で抄き合わせる工程とを有し、
    上記少なくとも1層の中層のJIS P 8124:1998に準拠して測定した付け量が30g/m以上90g/m以下であり、
    上記表層がJIS P 8220:1998に準拠して離解した離解パルプの繊維幅が14μm以上22μm以下、中心線重さ荷重平均繊維長のピークが1.5mm以上3.0mm以下の原料パルプから得られ、
    密度が0.45g/cm以上0.60g/cm以下であり、
    破裂指数が0.80kPa・m/g以上1.70kPa・m/g以下であることを特徴とする多層紙の製造方法。
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