JP6118605B2 - 排ガス浄化装置、及び、排ガス浄化装置の製造方法 - Google Patents

排ガス浄化装置、及び、排ガス浄化装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、保持シール材、保持シール材の製造方法、排ガス浄化装置、及び、排ガス浄化装置の製造方法に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、パティキュレートマター(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境や人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、COやHC、NOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境や人体に及ぼす影響についても懸念されている。
そこで、排ガス中のPMを捕集したり、有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、炭化ケイ素やコージェライトなどの多孔質セラミック又は金属からなる排ガス処理体と、排ガス処理体を収容するケーシングと、排ガス処理体とケーシングとの間に配設される保持シール材とから構成される排ガス浄化装置が種々提案されている。
上記排ガス浄化装置のなかで、上記した有害なガス成分を浄化する触媒コンバータ装置は、所定の活性化温度に到達した状態でないと排ガス処理体が充分な触媒作用を発揮することができない。しかし、例えば、エンジン等の内燃機関を始動した直後や、ハイブリッドエンジンを搭載した自動車でエンジンが稼働していない場合等においては、排ガス処理体の温度が活性化温度より低い温度となり、有害なガス成分を充分に浄化することができない場合がある。
このため、特許文献1には、金属製触媒担体自身を発熱抵抗体、つまり電熱ヒータとして利用し、上記のような場合であっても、金属製触媒担体を活性化温度以上の温度に昇温させる排気浄化用触媒コンバータが提案されている。
図15は、従来の金属製触媒担体自身を発熱抵抗体とした排気浄化用触媒コンバータの一例を模式的に示す断面図である。
図15に示す排気浄化用触媒コンバータ1は、ケーシング(金属製シェル)22内に複数個の金属製触媒担体2〜4が排ガスの流通する方向に間隔を隔てて配置されている。金属製触媒2〜4は、触媒を担持する波状の金属板と平板とを交互に積層して長円状に巻回したものの両端をロー付して構成されている。これら金属製触媒担体2〜4には、ケーシング22を貫通する+側電極部材5〜7及び−側電極部材8〜10がそれぞれ着装されている。+側電極部材5〜7及び−側電極部材8〜10は、導電性の放熱板11、12により、それぞれ連結されている。各電極部材5〜10の突出部はナット13〜18で固定されている。金属触媒担体2〜4とケーシング22との間には電気絶縁材であって緩衝性を有する環状の保持シール材(マット部材)19〜21が介装されている。
排気浄化用触媒コンバータ1では、保持シール材19〜21には孔が形成され、この孔に電極部材5〜10が挿入されることより、金属製触媒担体2〜4と電極部材5〜10とが接続されている。
特開平5−269387号公報
しかしながら、上記排気浄化用触媒コンバータ1には、以下のような問題が存在する。
すなわち、上記排気浄化用触媒コンバータ1では、金属製触媒担体2〜4の表層に設置された電極部材5〜10からのみの電圧印加となる。一般に、電流は両電極間の最短経路で流れる傾向があるので、金属製触媒担体2〜4に流れる電流は、金属製触媒担体全体に均一に流れにくい。そのため、金属製触媒担体2〜4の昇温には部分的な斑が生じやすくなる。また、上記排気浄化用触媒コンバータでは、金属製触媒担体2〜4の表層に設置された電極部材5〜10からのみの電圧印加となるので、効率的に排ガス浄化を行うために金属製触媒担体の任意の位置を選択して発熱量を多くすることは難しいという問題がある。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、排ガス処理体を斑なく加熱することができる排ガス浄化装置に用いる保持シール材、上記保持シール材の製造方法、上記保持シール材が用いられた排ガス浄化装置、及び、上記保持シール材が用いられた排ガス浄化装置の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の保持シール材は、柱状の排ガス処理体ユニットが複数個集合して形成される排ガス処理体と、上記排ガス処理体の周囲に配設された保持シール材と、上記排ガス処理体を収容するケーシングとを備える排ガス浄化装置に用いられる保持シール材であって、上記保持シール材は、無機繊維を含む平面視矩形状のマットからなり、上記保持シール材の内部にはヒータが配設されており、上記保持シール材は、上記排ガス処理体を構成する各排ガス処理体ユニット同士の間を1枚で連続して介在するように構成されていることを特徴とする。
本発明の保持シール材は、通常、排ガス処理体を形成する各排ガス処理体ユニットに巻き付けられて使用される。さらに、上記保持シール材は、排ガス処理体の周囲にも巻き付けられ、上記保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体をケーシングに収容して使用される。上記保持シール材は、ヒータを備えているため、任意のタイミングで排ガス処理体ユニットを加熱することができる。
本発明の保持シール材を用いた排ガス浄化装置では、排ガス処理体を構成する各排ガス処理体ユニットを保持シール材の内部に配設されたヒータにより直接加熱することができる。そのため、排ガス処理体を構成する排ガス処理体ユニットの配置位置に関わらず排ガス処理体ユニットを加熱することができ、排ガス処理体全体を斑なく昇温させることができる。
本発明の保持シール材を用いた排ガス浄化装置では、エンジン等の内燃機関を始動した直後の排ガス処理体(触媒担体)の昇温のみでなく、ハイブリッド車両等のモータ及びエンジンを搭載した車両がモータを稼働させ、エンジンが稼働していない時にも、所定の温度以上の温度を保つように排ガス処理体ユニットを加熱することができる。そのため、エンジンが稼働し始めた際、直ぐに排ガス処理体を排ガス浄化装置として機能させることができる。
本発明の保持シール材が用いられた排ガス浄化装置では、保持シール材に配設されているヒータは、保持シール材からの面圧を受けることにより、保持シール材と、排ガス処理体ユニットとの間に固定されることになる。また、排ガス処理体ユニットが熱膨張することにより体積が増加した場合であっても、保持シール材はその体積の増加を吸収することができる。そのため、ヒータは、排ガス処理体ユニットの体積が増加して形状が変化した場合であっても、排ガス処理体ユニットから離れることはない。
本発明の保持シール材が用いられた排ガス浄化装置では、従来の排ガス浄化装置のように電極部材をケーシングの外から挿入する必要がないので、ケーシング及び保持シール材に孔を形成する必要がない。そのため、排ガス浄化装置を製造する際に、ケーシングと、保持シール材とを位置合わせする必要がないので、保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体をケーシング内部に収容する方法として圧入方式、サイジング方式等を用いることができる。
また、本発明の保持シール材が用いられた排ガス浄化装置では、保持シール材に孔を形成して保温面積を減少させる必要がないので、保持シール材の反発力の総和が低下することがなく、保持シール材により充分に排ガス処理体を保温することが可能な排ガス浄化装置を提供することができる。
上記ヒータは、保持シール材の厚さに対して、15〜50%の位置に配設されていることが望ましい。ただし、上記ヒータの位置は、保持シール材の厚さに対して50%以下の位置としている。保持シール材については、表、裏を区別する必要はなく、ヒータの位置が50%を超えた場合、保持シール材を反転させ、上下を入れ替えることにより、50%未満の位置となるからである。
また、本発明の保持シール材は、排ガス処理体を構成する各排ガス処理体ユニット同士の間を1枚で連続して介在するように排ガス処理体ユニットに巻き付けられる。この排ガス処理体ユニットを効率よく加熱するためには、例えば、保持シール材が排ガス処理体ユニットの間に1層のみ介在する場合、排ガス処理体ユニットと、保持シール材の内部に配設したヒータとの距離が均等になるように、ヒータは、保持シール材の厚さに対して15〜50%の位置となるように配設されていることが望ましい。
また、例えば、保持シール材の主面の一方のみを各排ガス処理体ユニットに接触させるように、保持シール材を各排ガス処理体ユニットに巻き付ける場合には、保持シール材の内部に配設したヒータが、排ガス処理体に近くなるように、すなわち、排ガス処理体ユニット側からのヒータが、保持シール材の厚さに対して15〜50%の位置になるように配設されていることが望ましく、15〜30%の位置になるように配設されていることがさらに望ましい。
本発明の保持シール材では、上記ヒータはカンタル線からなるものであることが望ましい。
カンタル線は、ニッケル、クロム、アルミニウム合金であり、汎用されており、耐熱性、耐久性に優れ、発熱量も大きいので、ヒータとして好適であり、上記保持シール材を用いた排ガス浄化装置では、迅速な昇温が可能で、排ガスの浄化性能に優れた排ガス浄化装置とすることができる。
本発明の保持シール材では、上記ヒータは、金、銀、白金、パラジウム、鉛、タングステン、モリブデン、クロム、鉄、アルミニウム及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種からなるものであることが望ましい。
上記保持シール材では、種々の金属を組み合わせることにより、要求されるヒータの特性に応じて種々の特性を有するヒータとすることができ、この保持シール材を用いることにより排ガスの浄化性能に優れた排ガス浄化装置とすることができる。
本発明の保持シール材では、上記無機繊維は、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、シリカ繊維、及び、生体溶解性繊維からなる群から選択される少なくとも一種からなることが望ましい。
無機繊維の構成材料が、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、及び、シリカ繊維の少なくとも1種からなっていると、これら繊維は、耐熱性に優れているので、ヒータによる加熱により排ガス処理体が発熱し充分な高温になった場合であっても、変質等が発生することはなく、保持シール材としての機能を充分に維持することができる。また、無機繊維の構成材料が、生体溶解性繊維からなっていると、保持シール材を用いて排ガス浄化装置を作製する際に、飛散した無機繊維を吸入等しても、生体内で溶解するため、作業員の健康に害を及ぼすことがない。
本発明の保持シール材では、上記ヒータは、上記保持シール材の全体に配設されているされていることが望ましい。
このように保持シール材が構成されていると、この保持シール材を用いた排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニット同士は、ヒータが内部に配設された保持シール材により介在されるので、上記ヒータにより各排ガス処理体ユニットの全体が加熱されることになる。そのため、各排ガス処理体ユニットの温度が均一になり、排ガスの一部が浄化されないといった事態が発生するのを防止することができる。
本発明の保持シール材では、さらに膨張材として、バーミキュライト、ベントナイト、金雲母、パーライト、膨脹性黒鉛、および膨脹性フッ化雲母からなる群から選択された少なくとも一種の材料が含まれていることが望ましい。
上記保持シール材では、膨張材が含まれているので、この保持シール材が用いられた排ガス浄化装置では、上記膨張材の作用により、しっかりと排ガス処理体ユニットを保持することができ、排ガス処理体ユニットがケーシングから抜け落ちるのを防止することができる。
本発明の保持シール材には、ニードルパンチング処理が施されていることが望ましい。上記ニードルパンチング処理とは、ニードル等の繊維交絡手段を素地マットに対して抜き差しすることをいう。
このような処理が施された保持シール材では、比較的平均繊維長の長い無機繊維がニードルパンチング処理により3次元的に交絡している。
このため、上記保持シール材を用いた排ガス浄化装置では、保持シール材を構成する無機繊維同士が充分に絡まり合っており、保持シール材から無機繊維が飛散したり、脱離するのを防止することができる。
本発明の保持シール材の製造方法は、上述した構成の保持シール材の製造方法であって、
上記保持シール材の製造は、抄造法を用いて行い、目的とする厚さより薄い無機繊維の積層体を作製する工程と、得られた上記無機繊維の積層体の上にヒータを載置する工程と、ヒータが載置された上記無機繊維の積層体の上に、さらに無機繊維を積層する工程とを含むことを特徴とする。
抄造法とは、樹脂等を含む溶液中に無機繊維を分散させ、紙を抄く方法と類似した方法を用いてスクリーンの上に無機繊維を堆積させていき、脱水することにより、マット状の保持シール材を作製する方法である。
本発明の保持シール材の製造方法では、抄造法により無機繊維からなる保持シール材を作製する途中で無機繊維の積層を、一時中断し、ヒータを無機繊維の積層体の上に載置し、その後、さらに抄造法を続行して無機繊維を積層させることにより保持シール材を完成する。
この方法により、ヒータを保持シール材の中に埋設させる工程を経ることなく、ヒータが内部に配設された保持シール材を作製することができる。このため、比較的容易に、ヒータが内部に配設された保持シール材を作製することができ、この保持シール材を用いて排ガス浄化装置を作製すると、得られた排ガス浄化装置では、任意のタイミングで排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体を加熱することができる。
本発明の排ガス浄化装置は、柱状の排ガス処理体ユニットが複数個集合して形成される排ガス処理体と、上記排ガス処理体の周囲に配設された保持シール材と、上記排ガス処理体を収容するケーシングとを備える排ガス浄化装置であって、上記保持シール材は、無機繊維を含む平面視矩形状のマットからなり、上記保持シール材の内部にはヒータが配設されており、上記排ガス処理体を構成する各排ガス処理体ユニット同士の間には、連続する一枚の上記保持シール材が介在されていることを特徴とする。
本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットをヒータにより直接加熱するので、排ガス処理体を構成する排ガス処理体ユニットの配置位置に関わらず排ガス処理体ユニットを加熱することができる。従って、排ガス処理体全体を斑なく昇温させることができる。
本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットを加熱する手段として、排ガス処理体ユニットの周囲に配設されたヒータを用いており、このヒータと電源とは、接続部材等を用いて容易に接続させることができるので、接続不良が発生するおそれが殆どなく、確実に排ガス処理体ユニットを加熱することができる。
また、排ガス処理体ユニットと保持シール材との間に配設されたヒータは、保持シール材からの面圧を受けるので、ヒータは、排ガス処理体ユニットに押し付けられる。そのため、ヒータが排ガス処理体ユニットから離間するおそれが殆どない。
また、本発明の排ガス浄化装置では、ヒータに接続した導電線をケーシングの外部に導出するだけでよいので、ケーシングや保持シール材に大きな孔を形成し、外部から電極部材を排ガス処理体に当接させる必要がないので、保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体をケーシング内部に収容する方法として、圧入等の種々の方法をとることができ、収容方法の選択の範囲が拡がる。
また、本発明の排ガス浄化装置では、保持シール材に孔を形成して保温面積を減少させる必要がないので、保持シール材の反発力の総和が低下することがなく、上記保持シール材により充分に排ガス処理体を保温することが可能な排ガス浄化装置を提供することができる。また、排ガス処理体ユニット同士の間に保持シール材が存在するので、保持シール材の保温効果により、排ガス処理体ユニットの温度を排ガスを処理するのに好適な温度に維持しやすくなる。
さらに、本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットを通電により発熱させないので、排ガス処理体ユニットの材料は、導電性のものに限られず、コージェライト等の絶縁製の材料からなる排ガス処理体ユニットも使用することができ、排ガス浄化装置の設計の自由度を確保することができる。
本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットに排ガスが流通することによる加熱や、排ガス処理体ユニットがヒータにより加熱されることにより、排ガス処理体ユニットが高温になり、排ガス処理体ユニットに体積の変化が生じた場合であっても、排ガス処理体ユニット同士の間には、上記保持シール材が介在しており、保持シール材は、無機繊維を含むマットからなるので、排ガス処理体ユニットの体積変化を吸収することができる。そのため、排ガス処理体ユニットに体積の変化が生じることに起因するクラック等の損傷の発生をする防止することができる。
本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体を構成する排ガス処理体ユニット同士の間には、連続する一枚の保持シール材が介在しているので、排ガスが漏れるのを防ぐことができるとともに、排ガス処理体ユニット同士が直接接触することはなく、排ガス処理体ユニット同士が直接接触することによるクラック等の損傷の発生を防止することができる。
本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットは、排ガス処理体の周囲に配設された保持シール材からの面圧のみならず、排ガス処理体ユニット同士の間に介在している保持シール材からの面圧を受けることになる。その結果、排ガス処理体を構成する排ガス処理体ユニットが抜け落ちることを防止することができる。
本発明の排ガス浄化装置では、エンジン等の内燃機関を始動した直後の排ガス処理体(触媒担体)の昇温のみでなく、ハイブリッド車両等のモータ及びエンジンを搭載した車両がモータを稼働させ、エンジンが稼働していない時にも、所定の温度以上の温度を保つように排ガス処理体ユニットを加熱することができる。そのため、エンジンが稼働し始めた際、直ぐに排ガス処理体を排ガス浄化装置として機能させることができる。
上記ヒータは、保持シール材の厚さに対して、15〜50%の位置に配設されていることが望ましい。ただし、上記ヒータの位置は、保持シール材の厚さに対して50%以下の位置としている。保持シール材については、表、裏を区別する必要はなく、ヒータの位置が50%を超えた場合、保持シール材を反転させ、上下を入れ替えることにより、50%未満の位置となるからである。
また、本発明の排ガス浄化装置では、保持シール材は、排ガス処理体を構成する各排ガス処理体ユニット同士の間を1枚で連続して介在するように排ガス処理体ユニットに巻き付けられる。この排ガス処理体ユニットを効率よく加熱するためには、例えば、保持シール材が排ガス処理体ユニットの間に1層のみ介在する場合、排ガス処理体ユニットと、保持シール材の内部に配設したヒータとの距離が均等になるように、すなわち、ヒータは、保持シール材の厚さに対して15〜50%の位置になるように配設されていることが望ましい。
また、例えば、保持シール材の主面の一方のみを各排ガス処理体ユニットに接触させるように、保持シール材を各排ガス処理体ユニットに巻き付ける場合は、保持シール材の内部に配設したヒータが、排ガス処理体に近くなるように、すなわち、排ガス処理体ユニット側からのヒータが、保持シール材の厚さに対して15〜50%の位置になるように配設されていることが望ましく、30〜50%の位置になるように配設されていることがさらに望ましい。
本発明の排ガス浄化装置では、上記排ガス処理体を構成する全ての上記排ガス処理体ユニット同士の間には、連続する一枚の上記保持シール材が介在されていることが望ましい。
上記構成の排ガス浄化装置では、全ての排ガス処理体ユニット同士の間には、保持シール材が介在しているので、ヒータにより全ての排ガス処理体ユニットを加熱することができる。
本発明の排ガス浄化装置では、上記排ガス処理体ユニットを構成する材料として、コージェライト、炭化ケイ素、又は、金属からなる群から選択される少なくとも1種が使用されていることが望ましい。
上記構成の排ガス浄化装置では、ヒータが保持シール材の内部に配設されているので、排ガス処理体ユニットがヒータと接触するおそれはなく、排ガス処理体ユニットとしてコージェライト等の絶縁材料からなるもののみでなく、導電性を有する金属製のものや炭化ケイ素等の導電性セラミックからなるものも、排ガス処理体ユニットとして用いることができ、排ガス処理体ユニットの選択の範囲が拡がる。
本発明の排ガス浄化装置の製造方法は、上述した構成の排ガス浄化装置の製造方法であって、内部にヒータが配設された無機繊維からなる保持シール材を作製する保持シール材作製工程と、複数個の柱状の排ガス処理体ユニット同士の間に、一枚の上記保持シール材を連続して介在させ巻き付け、上記柱状の排ガス処理体ユニットを複数個集合し、排ガス処理体を形成する排ガス処理体作製工程と、上記保持シール材をさらに上記排ガス処理体の周囲に巻き付ける巻き付け工程と、上記保持シール材がその周囲に巻き付けられた上記排ガス処理体をケーシング内部に収容する収容工程とを含み、上記保持シール材作製工程は、さらに、目的とする厚さより薄い無機繊維の積層体を作製する工程と、得られた上記無機繊維の積層体の上に上記ヒータを載置する工程と、上記ヒータが載置された上記無機繊維の積層体の上に、さらに無機繊維を積層する工程とを含むことを特徴とする。
本発明の排ガス浄化装置の製造方法では、上述した保持シール材の製造方法を用いて内部にヒータが配設された保持シール材を作製した後、作製されたヒータを内部に有する保持シール材を排ガス処理体ユニットに巻き付け、排ガス処理体ユニットを複数個集合して排ガス処理体を作製する。その後、保持シール材をさらに上記排ガス処理体の周囲に巻き付け、圧入等の手段により、保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体をケーシングに収容することができる。屈曲した形状のヒータをマット状の無機繊維の中に埋設するのは、容易ではないが、上記方法により、保持シール材の内部にヒータが配設された排ガス浄化装置を、比較的容易に作製することができる。
本発明の排ガス浄化装置の製造方法では、上記収容工程の後、上記ヒータに通電を行い、該排ガス浄化装置の内部を加熱することが望ましい。
保持シール材が膨張材を含んでいると、排ガス浄化装置に排ガスを導入する前にヒータに通電することにより、膨張材が膨らむため、保持シール材の保持力を向上させることができ、排ガス処理体ユニットの把持を確実なものにすることができる。
また、同様に、保持シール材や排ガス処理体ユニットが有機バインダ等の有機物を含んでいる場合、上記排ガス浄化装置に排ガスを導入する前にヒータに通電することにより、有機バインダ等の有機物を分解、消失させることができ、車両に取り付けられたセンサー等の誤動作を防止することができる。この場合、上記排ガス浄化装置を車両等に取り付ける前に、気体等をケーシングの内部に流通させることができる装置を用い、ヒータに通電して保持シール材や排ガス処理体を加熱する処理を行ってもよい。
図1(a)は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。図1(b)は、図1(a)に示す排ガス浄化装置のA−A線断面図である。 図2(a)は、本発明の内部にヒータが配設された保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)に示す保持シール材のB−B線断面図である。 図3(a)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する内方排ガス処理体ユニットの一例を模式的に示す斜視図である。図3(b)は、図3(a)に示す内方排ガス処理体ユニットのC−C線断面図である。 図4(a)〜(c)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する外方排ガス処理体ユニットの一例を模式的に示す斜視図である。 図5(a)〜(e)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体を形成する工程の一例を順に示す模式図である。 図6は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を示す模式図である。 図7は、本発明の排ガス浄化装置を構成する周囲に保持シール材が配設された排ガス処理体の一例を示す斜視図である。 図8は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す、排ガス浄化装置の長手方向に垂直な方向の断面図である。 図9は、本発明の排ガス浄化装置に用いられた内部にヒータが配設された保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。 図10(a)〜(e)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体を形成する工程の一例を順に示す模式図である。 図11は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を示す模式図である。 図12は、本発明の排ガス浄化装置を構成する周囲に保持シール材が配設された排ガス処理体の一例を示す斜視図である。 図13(a)及び(b)は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す平面図である。 図14は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。 図15は、従来の金属製触媒担体自身を発熱抵抗体とした排気浄化用触媒コンバータの一例を模式的に示す断面図である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
図1(a)は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す断面図である。図1(b)は、図1(a)に示す排ガス浄化装置のA−A線断面図である。
図1(a)に示すように、本発明の排ガス浄化装置の一例である排ガス浄化装置100は、排ガス処理体130と、排ガス処理体130の外方を覆うケーシング110と、排ガス処理体130とケーシング110との間に配置された保持シール材120とから構成されており、ケーシング110の排ガスが導入される側の端部には、エンジン等の内燃機関に連結された導入管111が接続されており、ケーシング110の他端部には、外部に連結された排出管112が接続されている。保持シール材120の内部には、ヒータ161が配設されている。ヒータ161の端部には外部端子162が接続され、外部端子162を介して導電線163が外部に導出されているが、ケーシング110には、導電線導出用の貫通孔が形成され、貫通孔に絶縁性セラミックからなる外部導出部材170が配設され、この外部導出部材170を介して導電線163が外部に導出されている。また、導電線163は、断線等を防止するために、ケーシング110の内部では、コイル状となっている。なお、導電線163の形状は、断線等を防止できれば特に限定されず、コイル状の他にはジグザク状、波線状等が挙げられる。図1(a)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示している。
また、保持シール材120は、本発明の保持シール材の一例である。
以下の説明において、排ガス処理体の外周の一部を構成している排ガス処理体ユニットを「外方排ガス処理体ユニット」と、外方排ガス処理体ユニットより内側に位置する排ガス処理体ユニットを「内方排ガス処理体ユニット」とも表記する。なお、外方排ガス処理体ユニットと内方排ガス処理体ユニットとを特に区別する必要がない場合、単に排ガス処理体ユニットと表記する。
図1(b)に示す排ガス浄化装置100では、それぞれ形の異なる外方排ガス処理体ユニット140と、外方排ガス処理体ユニット141と、外方排ガス処理体ユニット142と、外方排ガス処理体ユニット140、141及び142の内側に位置する内方排ガス処理体ユニット150とが4つずつ、保持シール材120を介して組み合わされ、断面形状が略円形の排ガス処理体130が形成されている。
なお、詳しくは後述するが、外方排ガス処理体ユニット142は、外方排ガス処理体ユニット141を、外方排ガス処理体ユニット141の長手方向に垂直な軸を中心に180°回転させた形状であり、外方排ガス処理体ユニット141と、外方排ガス処理体ユニット142とは、実質的に同一の形状であるが、便宜上両者を区別して記載する。
図1(b)に示す排ガス浄化装置100では、排ガス処理体130の間に介装されているのは、連続する一枚の保持シール材120であり、一枚の保持シール材120を、順次、排ガス処理体130を構成する外方排ガス処理体ユニット140、141、142及び内方排ガス処理体ユニット150のそれぞれ特定の側面に巻き付けることにより、全体として排ガス処理体130を構成する外方排ガス処理体ユニット140、141、142、及び、内方排ガス処理体ユニット150の対向する面の全てに保持シール材120が介装された状態としている。一枚の保持シール材120を用いて、外方排ガス処理体ユニット140、141、142及び内方排ガス処理体ユニット150の対向する面のみに介装することは難しいので、保持シール材120は、排ガス処理体130の周囲の一部にも配設されており、最終的には、排ガス処理体130全体に保持シール材120を巻き付けるため、排ガス処理体130の外周全体にもう一度保持シール材120が巻き付けられている。そのため、排ガス処理体130の外周部分には、保持シール材120が2層となっている部分が存在している。このように周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130は、ケーシング110に収容されている。
従って、排ガス処理体130の内部に介装された保持シール材120は、全ての部分で連続層とはなっておらず、一部不連続層が存在するが、保持シール材120は弾性に富んでいるので、互いに密着し合い、境界部分にもスペースは生じていない。また、当然、保持シール材120と排ガス処理体ユニットの側面との間にもスペースが生じることはない。このため、排ガスが、保持シール材120と、排ガス処理体ユニットとの間を通過することはない。また、排ガス処理体130を構成する外方排ガス処理体ユニット140、141、142、及び、内方排ガス処理体ユニット150の間には、弾性に富む保持シール材120が介装されているため、外方排ガス処理体ユニット140、141、142、及び、内方排ガス処理体ユニット150に破損が生じることはない。
さらに、図1(b)に示すように、本発明の排ガス浄化装置100では、各排ガス処理体ユニット同士が対向する角部を除いて、各排ガス処理体ユニット同士の間にある保持シール材120が1層になるように配設されている。
そのため、各排ガス処理体ユニットが保持シール材120から受ける面圧は均等になりやすくなる。すなわち、各排ガス処理体ユニットにかかる面圧が偏在しにくくなるので、各排ガス処理体ユニットが損傷しにくくなる。また、各排ガス処理体ユニット同士が対向する角部には、保持シール材120が2層存在しているので、各排ガス処理体ユニットの角部が損傷しにくくなる。さらに、保持シール材120が2層存在している部分からは、効率よく面圧を受けることができ、排ガス処理体130を構成する各排ガス処理体ユニットが抜け落ちることを防止しやすくなる。
また、各排ガス処理体ユニット同士の間には保持シール材120が存在しているので、各排ガス処理体ユニット同士の間の距離が均等になる。そのため、外部から衝撃を受けた場合でも、各排ガス処理体ユニットに衝撃が均等に伝わりやすくなる。さらに、各排ガス処理体ユニットに伝わる熱も均等に伝わりやすくなる。そのため、外部からの衝撃や熱衝撃を受けた場合でも、各排ガス処理体ユニットにクラック等の損傷が生じにくくなる。
図1(b)に示すように、本発明の排ガス浄化装置100では、排ガス処理体130の周囲に配設された保持シール材120が2層になっている部分が複数存在している。図1(b)に示すように、排ガス処理体130のA−A線の断面形状は略円形である。保持シール材120が2層になっている部分同士は、この略円形の断面形状の中心を軸に、略対向する位置に存在している。そのため、排ガス処理体130が受ける排ガス処理体130の周囲に配設された保持シール材120からの面圧は偏在しにくくなる。従って、排ガス処理体130が損傷しにくくなる。
また、各排ガス処理体ユニット同士の間の保持シール材120が1層なので、後述する保持シール材120の長手方向の長さLが最小の長さとなる。そのため、保持シール材120の価格を安くすることができる。
導電線163の構成材料は、特に限定されないが、ニッケル、白金、銀、銅、鉄及びステンレス鋼からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましく、ニッケルであることがより望ましい。導電線163の構成材料がニッケルであると、強度に優れ、充分な導電性を有する。
図2(a)は、本発明の内部にヒータが配設された保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)に示す保持シール材のB−B線断面図である。
図2(a)に示す保持シール材120は、所定の長手方向の長さ(以下、図2(a)中、矢印Lで示す)、幅(以下、図2(a)中、矢印Wで示す)及び厚さ(以下、図2(a)中、矢印Tで示す)を有し、無機繊維を含む平面視形状略矩形のマットである。また、保持シール材120は、第1の主面121と、第1の主面121と反対側の主面である第2の主面122とを備えている。図2(a)に示す保持シール材120は、第1の端部123と、第1の端部123と反対側の端部である第2の端部124とを備えている。
なお、本発明の保持シール材120の説明において、保持シール材120の第1の主面121と、第2の主面122とは便宜上区別して説明する。しかし、本発明の保持シール材120において、両者を区別する必要はなく、保持シール材120を保持シール材120の長手方向に平行な軸を中心に反転させることにより入れ替えることができる。
図2(a)に示す保持シール材120では、保持シール材120の長手方向に垂直な仮想直線αを境に内部保持シール材部125と外部保持シール材部126とに分けることができる。第1の端部123が属する部分が内部保持シール材部125であり、第2の端部124が属する部分が外部保持シール材部126である。
内部保持シール材部125は、図1(b)に示す排ガス浄化装置100において、各排ガス処理体ユニット同士の間に配設されている部分である。
外部保持シール材部126は、図1(b)に示す排ガス浄化装置100において、排ガス処理体130の周囲に配設されている部分である。
外部保持シール材部126の長手方向の長さは、排ガス処理体130の周囲の長さと略同じである。
保持シール材120の厚さは特に限定されないが、2.0〜20mmであることが望ましい。
保持シール材120の厚さが20mmを超えると、保持シール材120の柔軟性が失われるので、保持シール材120を排ガス処理体ユニット間に配設する場合に扱いづらくなる。また、保持シール材120に巻きジワや割れが生じやすくなる。
保持シール材120の厚さが2.0mm未満であると、保持シール材120の面圧が排ガス処理体ユニットを保持するのに十分でなくなる。そのため、排ガス処理体130を構成する排ガス処理体ユニットが抜け落ちやすくなる。また、排ガス処理体ユニットに体積変化が生じた場合、保持シール材120は排ガス処理体ユニットの体積変化を吸収しにくくなる。そのため、排ガス処理体ユニットにクラック等が発生しやすくなる。
図2(a)及び(b)に示すように、ヒータ161は、保持シール材120の内部に配設されている。
この保持シール材120では、ヒータ161として線状のヒータ161が用いられており、このヒータ161は、折り曲げる前の部分と折り曲げた後の部分とが屈曲部を介してほぼ平行になるように、一定の短い間隔で繰り返し折り曲げられている。 このように形成されたヒータ161は、長さ方向の端部側から観察すると、その輪郭は、ほぼ長方形の形状をなしており、左右に交互に形成された屈曲部分を介して幅方向に平行な直線が長手方向に繰り返された形状となっている。ヒータ161の発熱量の調整は、基本的には、ヒータ161の抵抗値を調整することにより行うことができるが、単位長さ当たりの平行線の間隔を調整することによっても、発熱量を調整することができる。また、ヒータ161は各排ガス処理体ユニットを均一な温度に加熱することができるように、保持シール材120の全体に配設されていることが望ましい。ヒータは、上記のことができる形状(パターン)であれば、図2(a)に示したパターンに限定されず、図13(a)及び(b)に示すような他の形状(パターン)であってもよい。図13(a)及び(b)に示すヒータについて、詳しくは後述することにする。
また、図1(b)に示すように、保持シール材120は排ガス処理体ユニットの側面に沿って折り曲げられることになる。このように折り曲げられる保持シール材120の部分と、ヒータ161の直線部とが交差していると、ヒータ161が断線する原因となる。
そのため、本発明の保持シール材120では、このように折り曲げられる保持シール材120の部分に、ヒータ161の屈曲部が配設されることが望ましい。また、このように折り曲げられる保持シール材120の部分に配設されるヒータ161の屈曲部は、あらかじめ保持シール材120が折り曲げられる方向に少し折り曲げられていてもよく、この部分の屈曲部が他の部分よりも太く作製されていてもよい。
このような構成であれば、ヒータ161の断線を防止することができる。
保持シール材120が折り曲げられる部分は、排ガス処理体ユニットの大きさ、及び、排ガス処理体130の大きさに応じてあらかじめ算出することができる。
ヒータ161の構成材料は、特に限定されるものではないが、例えば、カンタル線、ニクロム線等が挙げられ、また、金、銀、白金、パラジウム、鉛、タングステン、モリブデン、クロム、鉄、アルミニウム及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種からなるもの、炭化ケイ素等の導電性セラミック等が挙げられる。ヒータ161は、市販のものを使用してもよい。所望の材料、形状(パターン)からなるヒータを用いる場合には、ヒータを製造してもよい。
図2(a)及び(b)に示したヒータ161は、線状であるが、ヒータ161の形状は、線状で線の延びる方向に垂直な断面がほぼ円形のものに限定されるものではなく、上記断面の形状が楕円形状や長方形の形状のものであってもよい。また、平板状の抵抗体が所定のパターンにカットされたものであってもよい。
本発明の保持シール材120では、ヒータ161は、完成された保持シール材120の厚さに対して、15〜50%の位置に配設されていることが望ましく、30〜50%の位置に配設されていることがより望ましく、50%の位置に配設されていることが最も望ましい望ましい。
ヒータ161が、保持シール材120の厚さに対して50%の位置にあると、隣り合う排ガス処理体ユニット同士の間に、保持シール材120が1層のみ介在しているので、隣り合う排ガス処理体ユニット同士の間の距離の半分の位置にヒータ161が位置することになる。そのため、ヒータ161から各排ガス処理体ユニットに熱が均等に伝わるので、各排ガス処理体ユニットを均等に加熱することができる。従って、各排ガス処理体ユニットにより構成される排ガス処理体130の全体を斑なく昇温させることができる。
なお、図2(a)では、1本のヒータ161が、保持シール材120全体に配設されているが、ヒータ161は1本である必要はなく、2本以上に分割されていてもよい。この場合、各ヒータの端部を保持シール材120の側面から取り出し、各ヒータを電源と並列に接続してもよい。このようにヒータを分割することにより効率よくヒータを発熱させることができる。
保持シール材120に含まれる無機繊維としては、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、シリカ繊維、及び、生体溶解性繊維からなる群から選択される少なくとも一種の無機繊維であることが望ましい。
無機繊維が、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、及び、シリカ繊維の少なくとも1種である場合には、耐熱性に優れているので、通電により排ガス処理体ユニットが発熱し充分な高温になった場合であっても、変質等が発生することはなく、保持シール材としての機能を充分に維持することができる。また、無機繊維が生体溶解性繊維である場合には、保持シール材を用いて排ガス浄化装置を作製する際に、飛散した無機繊維を吸入等しても、生体内で溶解するため、作業員の健康に害を及ぼすことがない。
保持シール材120を構成する無機繊維について、アルミナを用いる場合には、アルミナ以外に、例えば、CaO、MgO、又は、ZrO等の添加剤が含まれていてもよい。
また、シリカを用いる場合には、シリカ以外に、例えば、CaO、MgO、又は、ZrO等の添加剤が含まれていてもよい。
さらにアルミナ−シリカを用いる場合、その組成比としては、重量比で、Al:SiO=60:40〜80:20であることが望ましく、Al:SiO=70:30〜74:26であることがより望ましい。
保持シール材120を構成する無機繊維の平均繊維長は、5〜150mmであることが望ましく、10〜80mmであることがより望ましい。
無機繊維の平均繊維長が5mm未満であると、無機繊維の繊維長が短すぎるため、無機繊維同士の交絡が不充分となり、保持シール材のせん断強度が低くなる。また、無機繊維の平均繊維長が150mmを超えると、無機繊維の繊維長が長すぎるため、保持シール材の作製時における無機繊維の取り扱い性が低下する。その結果、排ガス処理体ユニットへの巻き付け性が低下し、保持シール材が割れやすくなる。
保持シール材120を構成する無機繊維の平均繊維径は、1〜20μmであることが望ましく、3〜10μmであることがより望ましい。
無機繊維の平均繊維径が1〜20μmであると、無機繊維の強度及び柔軟性が充分に高くなり、保持シール材120のせん断強度を向上させることができる。
無機繊維の平均繊維径が1μm未満であると、無機繊維が細く切れやすいので、無機繊維の引っ張り強度が不充分となる。一方、無機繊維の平均繊維径が20μmを超えると、無機繊維が曲がりにくいため、柔軟性が不充分となる。
保持シール材120の目付量(単位面積あたりの重量)は、特に限定されないが、200〜4000g/mであることが望ましく、1000〜3000g/mであることがより望ましい。保持シール材の目付量が200g/m未満であると、保持力が充分ではなく、保持シール材の目付量が4000g/mを超えると、保持シール材の嵩が低くなりにくい。そのため、このような保持シール材を用いて排ガス浄化装置を製造する場合、各排ガス処理体ユニットが脱落しやすくなる。
また、保持シール材120の嵩密度(巻き付ける前の保持シール材120の嵩密度)についても、特に限定されないが、0.10〜0.30g/cmであることが望ましい。保持シール材の嵩密度が0.10g/cm未満であると、無機繊維の絡み合いが弱く、無機繊維が剥離しやすいため、保持シール材の形状を所定の形状に保ちにくくなる。
また、保持シール材の嵩密度が0.30g/cmを超えると、保持シール材が硬くなり、排ガス処理体ユニットへの巻き付け性が低下し、保持シール材が割れやすくなる。
本発明の排ガス浄化装置100に用いられる保持シール材120は、さらに膨張材として、バーミキュライト、ベントナイト、金雲母、パーライト、膨脹性黒鉛、および膨脹性フッ化雲母からなる群から選定された少なくとも一種の材料を含んでいてもよい。これらの膨張材は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
保持シール材120がこのような膨張材を含んでいると、保持シール材120をケーシング110の内部に収容し、排ガス浄化装置100を製造し、車両等に配設した後、エンジンを始動する前に内部に配設されたヒータ161に通電することにより、保持シール材120の内部が加熱され、膨張材が膨らむため、保持シール材120の保持力を向上させることができ、各排ガス処理体ユニットの把持を確実なものにすることができる。
また、エンジンを始動させ、排ガスを排ガス浄化装置100に到達させることにより、膨張材を膨らませようとすると、膨張材が膨らむ前に排ガスの圧力が保持シール材120にかかることになり、各排ガス処理体ユニットの脱落が発生しやすくなる。
上記排ガス浄化装置100を車両等に取り付ける前に、気体等をケーシングの内部に流通させることができる装置を用い、ヒータ161に通電して保持シール材120や各排ガス処理体ユニットを加熱する処理を行ってもよい。
膨張材の添加量は、特に限定されないが、保持シール材120の全重量に対して5〜50重量%であることが望ましく、10〜30重量%であることがより望ましい。
上記保持シール材120を構成する無機繊維には、有機バインダが添着されていてもよい。有機バインダを添着させることで、無機繊維同士の交絡構造をより強固なものとすることができるとともに、保持シール材120の嵩高さを抑えることができる。
上記有機バインダの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ゴム系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。
上記有機バインダのなかでは、ゴム系樹脂(ラテックス)等が望ましい。有機バインダを含有する有機バインダ含有液としては、例えば、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコール等の水溶性有機重合体を溶解させた溶液、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム又はスチレン−ブタジエンゴムを水に分散させたラテックス等が挙げられる。
また、有機バインダの添着量は、保持シール材120の重量を基準として、0.01〜10.0重量%が望ましい。0.05〜3.0重量%がさらに望ましく、0.1〜1.5重量%の範囲がもっとも望ましい。
上記保持シール材120を構成する無機繊維に、有機バインダが添着されている場合、保持シール材120をケーシング110の内部に収容し、排ガス浄化装置100を製造し、車両等に配設した後、エンジンを始動する前に内部に配設されたヒータ161に通電することにより、有機バインダを分解、消失させることができ、車両に取り付けられたセンサー等の誤動作を防止することができる。各排ガス処理体ユニットが有機成分を含んでいる場合にも、エンジンを始動する前にヒータ161に通電することにより有機成分を分解、消失させることができる。
上記排ガス浄化装置100を車両等に取り付ける前に、気体等をケーシング110の内部に流通させることができる装置を用い、ヒータ161に通電して保持シール材120や各排ガス処理体ユニットを加熱する処理を行ってもよい。
保持シール材120を構成する無機繊維に無機バインダを添着してもよい。無機バインダとしては、特に限定されるものではないが、アルミナゾル、シリカゾル等が望ましい。無機バインダの添着量は、マット材の重量を基準とし、固形分換算で0.5〜3.0重量%が望ましい。無機バインダを添着することにより、無機繊維の飛散を抑制することができる。
保持シール材120には、無機繊維同士の絡み合いを形成するためのニードルパンチング処理が施されていることが望ましい。
ニードルパンチング処理とは、ニードル等の繊維交絡手段を無機繊維前駆体のシート状物に抜き差しすることをいう。このような処理が施された保持シール材では、比較的平均繊維長の長い無機繊維がニードルパンチング処理により3次元的に交絡している。
このため、保持シール材120を用いた排ガス浄化装置100では、保持シール材120を構成する無機繊維同士が充分に絡まり合っており、保持シール材120から無機繊維が飛散したり、脱離するのを防止することができる。
図3(a)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する内方排ガス処理体ユニットの一例を模式的に示す斜視図である。図3(b)は、図3(a)に示す内方排ガス処理体ユニットのC−C線断面図である。
図3(a)に示す内方排ガス処理体ユニット150には、多数のセル155がセル壁156を隔てて長手方向(図3(a)中、矢印aの方向)に並設されるとともに、その外周に外周壁157が形成されている。セル155の両端面は目封じされておらず、セル155の一方の端面から流入した排ガスは、他方の端面より流出することができる。また、内方排ガス処理体処理ユニット150の断面形状は略正方形である。
なお、図3(a)では、内方排ガス処理体ユニット150として、各々のセルにおけるいずれ端面にも封止材による目封じがなされていない触媒担体を示しているが、各々のセルにおけるいずれか一方の端面が封止材によって目封じされた排ガスフィルタ(ハニカムフィルタ)を用いてもよい。
本発明の排ガス浄化装置100では、排ガス処理体ユニットにより排ガスが浄化される。この機構を内方排ガス処理体ユニット150を例に図3(b)を参照して説明する。
内燃機関から排出された排ガスが、排ガス浄化装置100の内部の排ガス処理体130に到達すると、排ガスが排ガス処理体130を構成する内方排ガス処理体ユニット150の端面に到達することになる。内方排ガス処理体ユニット150の端面に到達した排ガス(図3(b)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で表す)は、内方排ガス処理体ユニット(触媒担体)150の排ガス流入側の端面に開口したセル155に流入し、セル155に担持された触媒158と接しながら、セル155中を通過し、排ガス流出側の端面から排出される。この際、排ガス中のCOやHC、NO等の有害なガス成分がセル壁156に担持された触媒158により浄化される。
このように、触媒が担持された排ガス処理体ユニットにより構成される排ガス処理体130は、触媒担体として好適に使用することができる。
図4(a)〜(c)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する外方排ガス処理体ユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
図4(a)に示す外方排ガス処理体ユニット140、図4(b)に示す外方排ガス処理体ユニット141、及び、図4(c)に示す外方排ガス処理体ユニット142の断面形状は、図3(a)に示す内方排ガス処理体ユニット150から、その一部を取り除いた形状を有している。
外方排ガス処理体ユニット140、141及び142、並びに、内方排ガス処理体ユニット150をそれぞれ4つずつ組み合わせることにより略円柱状の排ガス処理体130を形成することができる。
外方排ガス処理体ユニット140は、曲面状の側面140a、平面状の側面140b及び140c、並びに、端面140e及び140fとで囲まれた形状をなしている。側面140bと側面140cとが接して形成する角は90°である。曲面状の側面140aは、排ガス処理体130の外周面を構成する。
外方排ガス処理体ユニット141は、曲面状の側面141a、平面状の側面141b、141c及び141d、並びに、端面141e及び141fとで囲まれた形状をなしている。側面141bと側面141cとが接して形成する角、及び、側面141cと側面141dとが接して形成する角は90°である。曲面状の側面141aは、排ガス処理体130の外周面を構成する。
外方排ガス処理体ユニット142は、曲面状の側面142a、平面状の側面142b、142c及び142d、並びに、端面142e及び142fとで囲まれた形状をなしている。
外方排ガス処理体ユニット142は、外方排ガス処理体ユニット141を、外方排ガス処理体ユニット141の側面141cに垂直な軸を中心に180°回転させた形状であり、曲面状の側面142aは、排ガス処理体130の外周面を構成する。
また、外方排ガス処理体ユニット141との対応関係については、曲面状の側面142a、並びに、平面状の側面142b、142c及び142dは、それぞれ、曲面状の側面141a、並びに、平面状の側面141d、141c及び141bと対応する。
本発明の排ガス浄化装置100を構成する排ガス処理体ユニットの断面におけるセル密度は、特に限定されないが、望ましい下限は、31.0個/cm(200個/inch)、望ましい上限は、93.0個/cm(600個/inch)、より望ましい下限は、38.8個/cm(250個/inch)、より望ましい上限は、77.5個/cm(500個/inch)である。
本発明の排ガス処理装置100を構成する排ガス処理体ユニットの材料は、特に限定されないが、例えば、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素挙げられるほか、他のセラミックとして、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、コージェライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。また、排ガス処理体ユニットは、金属製であってもよい。
本発明の排ガス浄化装置100を構成する排ガス処理体ユニットには、排ガスを浄化するための触媒が担持されてもよい。担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましく、このなかでは、白金がより望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
これらの触媒が担持されていると、COやHC、NO等の有毒な排ガスを好適に浄化することができる。
次に、本発明の排ガス浄化装置100を構成するケーシング110について説明する。
ケーシング110は、主にステンレス、アルミニウム、鉄等の金属からなり、その形状は、図1(a)に示すように、両端部の内径が中央部の内径よりも小さい略円筒状であってもよいし、また、内径が一定である略円筒状であってもよい。
ケーシング110の内径(排ガス処理体130を収容する部分の内径)は、排ガス処理体130の端面の直径と排ガス処理体130に巻付けられた状態の保持シール材120の厚さとを合わせた長さより若干短くなっていることが望ましい。
次に、本発明の保持シール材120の製造方法の一例について説明する。
内部にヒータが配設された保持シール材を作製する方法としては、(A)抄造法により無機繊維からなる保持シール材を作製する途中で、上記無機繊維の積層体の上にヒータを載置した後、さらに無機繊維を積層することにより、上記ヒータがマットの内部に配設された保持シール材を作製する方法、(B)製造されたマットの内部にヒータ線を刺し込み、保持シール材の内部でヒータ線を進行させる等の方法によりヒータをマットの内部に組み入れる方法、(C)2層からなるマットの間にヒータを挟み込み、その後、マットを一体化させる方法等が挙げられる。
これらのなかでは、(A)上記抄造法を利用して保持シール材を構成するマットの内部にヒータを配設する方法が、特に別工程を必要とせず、しかも剥離等が発生しにくい保持シール材を作製することができ、好ましい。従って、この抄造法を利用した方法について、以下に説明する。なお、(B)、(C)の方法については後述する。
上記(A)の方法では、塊状凝集繊維を含む原料繊維を準備する繊維準備工程と、この原料繊維を開繊する開繊工程と、この開繊された繊維に水とバインダを添加して、撹拌を行い、原料スラリを調製するスラリ調製工程と、原料スラリを2度に分けて成形型に投入し、一度目の原料スラリの投入、脱水の後、ヒータを原料シート上に載置し、再び、原料スラリの投入、脱水を行って成形体を作製する成形体作製工程と、得られた成形体を圧縮乾燥させて保持シール材とする圧縮乾燥工程とにより製作することができる。
なお、以下の説明では、無機繊維としてアルミナとシリカの混合物を含む抄造シート材を製造する方法を例に説明するが、シート材の繊維材料は、これに限られるものではない。
まず、塊状凝集繊維を含む原料繊維を得るため、焼成シート状物を製作する。
最初に、塩基性塩化アルミニウム水溶液に、例えばアルミナ−シリカ組成比が60〜80:40〜20となるようにシリカゾルを添加し、アルミナ繊維前駆体用の溶液を調製する。特にアルミナ−シリカ組成比は、70〜74:30〜26程度であることがより望ましい。
次に、このアルミナ繊維前駆体用の溶液に、ポリビニルアルコール等の有機重合体を加え、この液体を濃縮して紡糸液を調製する。さらにこの紡糸液を使用して、ブローイング法により紡糸を行う。
ブローイング法とは、エアーノズルから吹き出される空気流と紡糸液供給ノズルから押し出される紡糸液流とによって、紡糸を行う方法である。エアーノズルからのスリットあたりのガス流速は、通常40〜200m/sである。また紡糸ノズルの直径は通常0.1〜0.5mmであり、紡糸液供給ノズル1本あたりの液量は、通常1〜120ml/h程度であるが、3〜50ml/h程度であることが望ましい。このような条件では、紡糸液供給ノズルから押し出される紡糸液は、スプレ状(霧状)となることなく十分に延伸され、また、繊維相互で溶着されにくいので、紡糸条件を最適化することにより、繊維径分布の狭い均一なアルミナ繊維前駆体を得ることができる。
紡糸が完了した上記アルミナ繊維前駆体を積層して、積層シートを製作する。さらに積層シートに対してニードリング処理を行う。ニードリング処理には、通常ニードリング装置が用いられる。
通常、ニードリング装置は、突き刺し方向(通常は上下方向)に往復移動可能なニードルボードと、積層シートの表面および裏面の両面側に設置された一対の支持板とで構成される。ニードルボードには、積層シートに突き刺すための多数のニードルが、例えば約25〜5000個/100cmの密度で取り付けられている。また各支持板には、ニードル用の多数の貫通孔が設けられている。従って、一対の支持板によって積層シートを両面から押さえつけた状態で、ニードルボードを積層シートの方に近づけたり遠ざけたりすることにより、ニードルが積層シートに抜き差しされ、無機繊維の交絡により形成された多数の交絡点が形成される。このようなニードリング処理によって生じた交絡点では、複雑に絡み合った繊維が積層方向に配向されており、後に、この交絡点部分の繊維を塊状凝集繊維として利用することができる。
このようにニードリング処理の施された積層シートを常温から加熱し、最高温度1250℃程度で連続焼成することで、焼成シート状物が得られる。
この焼成シート状物に含まれる繊維の平均繊維長は、20〜120mm程度である。なお無機繊維の平均直径は、特に限られないが、例えば、3〜10μm程度である。
次に、得られた焼成シート状物を用いて開繊処理を行う。
開繊処理は、乾式開繊処理のみの単独で、又は、乾式開繊処理および湿式開繊処理の2段階処理で実施される。乾式開繊処理では、フェザーミル等の装置が使用され、前述の焼成シート状物が開繊される。なお、乾式開繊処理の前に、焼成シート状物を予め所望の寸法に粗切断しておいても良い。例えば、200mm×200mmの寸法の焼成シート状物を開始材料とした場合、乾式開繊処理によって、直径150mm程度の綿状の乾式開繊繊維が得られる。
一方、湿式開繊処理では、前述の乾式開繊処理によって得られた綿状の乾式開繊繊維が湿式開繊装置に投入され、さらに開繊が行われる。湿式開繊処理には、パルパーまたはミキサー等の湿式開繊装置が使用される。ここで、乾式開繊処理および/または湿式開繊処理の処理条件(例えば、処理速度、処理時間等)を変化させることにより、原料繊維に含まれる塊状凝集繊維の量を調整することができる。このような開繊処理を経て、所望の塊状凝集繊維を含む開繊繊維を得ることができる。
次に、この開繊された繊維を用いて、原料スラリを調製する。
まず、水と、前述の開繊繊維を、その濃度が0.5〜2.0wt%程度となるように攪拌機を備えた容器に添加し、例えば1〜5分程度撹拌する。次に、この液体に、有機結合材をその濃度が4〜8wt%程度となるように添加し、1〜5分程度撹拌する。またこの液体に、無機結合材をその濃度が0.5〜1.0wt%程度となるように添加し、1〜5分程度撹拌する。さらに、この液体に、凝集剤をその濃度が0.5wt%程度となるように添加し、最大約2分間程度撹拌を行い、原料スラリを調製する。
無機結合材としては、例えば、アルミナゾルおよび/またはシリカゾル等が使用される。また有機結合材としては、ラテックス等が使用され、凝集剤としては、例えばパコール292等が使用される。
次に、得られた原料スラリを所望の形状の成型器に投入し、マット形状の原料シートを形成し、さらに脱水を行う。通常の場合、成型器の底部には、ろ過用金網(メッシュ寸法:30メッシュ)が設けられており、成形器内に添加された原料スラリ中の水分は、このろ過用金網を通り排出される。従って、このような成型器を使用することにより、原料シートの成形と脱水を同時に行うことができる。
次に、得られた原料シートの上に、図2(a)に示した形状のヒータ161を載置し、再び原料スラリを上記成形器に投入し、繊維を積層した後、成形と脱水とを行う。このようにして得られた、ヒータ161が内部に配設された原料シートを成型器から取り出し、プレス器等を用いて、厚さが0.3〜0.5倍程度になるように圧縮すると同時に、例えば90〜150℃の温度で、5分〜1時間、加熱、乾燥させることにより、本発明の内部にヒータ161が配設された保持シール材120を得ることができる。
この後、有機バインダや無機バインダを保持シール材120に添着させてもよい。
本発明の保持シール材120の製造方法では、抄造法により無機繊維からなる保持シール材を作製する途中で無機繊維の積層を、一時中断し、ヒータを無機繊維の積層体の上に載置し、その後、さらに抄造法を続行して無機繊維を積層させることにより保持シール材120を完成するので、ヒータ161を保持シール材120の中に埋設させる工程を経ることなく、ヒータ161が内部に配設された保持シール材120を作製することができる。このため、比較的容易に、ヒータ161が内部に配設された保持シール材120を作製することができる。
次に、上記工程を経て準備された本発明の保持シール材120を用いて本発明の排ガス浄化装置100を製造する方法の一例を説明する。
本発明の排ガス浄化装置100の製造方法では、複数個の柱状の排ガス処理体ユニット同士の間に、一枚の保持シール材120を連続して介在させ巻き付け、上記柱状の排ガス処理体ユニットを複数個集合し、排ガス処理体130を形成する排ガス処理体作製工程と、保持シール材120をさらに排ガス処理体130の周囲に巻き付ける巻き付け工程と、保持シール材120がその周囲に巻き付けられた排ガス処理体130をケーシング110内部に収容する収容工程とを含む。
排ガス処理体作製工程について図面を参照しながら説明する。
図5(a)〜(e)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体を形成する工程の一例を順に示す模式図である。
図5(a)〜(e)では、保持シール材120を各排ガス処理体ユニットに巻き付ける工程を、各排ガス処理体ユニットの長手方向に垂直な方向で切断した断面図を用いて示している。
また、図6は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を示す模式図である。
本発明の排ガス浄化装置100の排ガス処理体130を形成する工程では、まず、図5(a)に示すように、外方排ガス処理体ユニット140の辺140sと、保持シール材120の第1の端部123の辺123sとが合致するように両者を接触させる。その後、外方排ガス処理体ユニット140の側面140bと、保持シール材120の第1の主面121とを接触させる。そして、保持シール材120の第1の主面121を、外方排ガス処理体ユニット140の側面140b及び側面140cに沿うように接触させながら、保持シール材120を外方排ガス処理体ユニット140に巻き付ける。
この際、外方排ガス処理体ユニット140の両端面140e、140fを支持棒(図示せず)等で固定しておく必要がある。また、保持シール材120の第1の端部123が移動しないように、保持シール材120の第1の端部123近傍に接着材を塗布して外方排ガス処理体ユニット140の側面140aに貼り付けるか、板状体を用いて保持シール材120を外方排ガス処理体ユニット140の側面140aに押し付け、固定してもよい。
続いて、排ガス処理体130を形成する工程では、図5(b)に示すように、外方排ガス処理体ユニット141の側面141bと、保持シール材120の第2の主面122とが接触するように、外方排ガス処理体ユニット141を配設する。この際、側面140bと側面141cとが同一平面上に属するように、かつ、側面140cと側面141bとが対面するように外方排ガス処理体ユニット141を配設する。すなわち、上記状態となるように、外方排ガス処理体ユニット141を保持シール材120の表面に押し付ける。そして、保持シール材120の第2の主面122を、外方排ガス処理体ユニット141の側面141b、側面141a及び側面141dに沿うように接触させながら、保持シール材120を外方排ガス処理体ユニット141に巻き付ける。
この状態を保つためには、上記のように外方排ガス処理体ユニット141を配設するとともに、外方排ガス処理体ユニット141の側面の保持シール材120を巻き付けた後、外方排ガス処理体ユニット141の端面141e、141fを支持棒(図示せず)等で固定する必要がある。以下の工程においても、本工程と同様に、各排ガス処理体ユニットに保持シール材120を巻き付けた後、排ガス処理体ユニットの両端面を固定する必要がある。固定化に関する記載内容は、本工程と同様であるので、以下においては、その記載を省略することとする。
続いて、図5(c)に示すように、排ガス処理体130を形成する工程では、外方排ガス処理体ユニット142の側面142bと、保持シール材120の第1の主面121とが接触するように、外方排ガス処理体ユニット142を配設する。この際、側面141cと側面142cとが同一平面上に属するように、かつ、側面141dと側面142bとが対面するように外方排ガス処理体ユニット142を配設する。すなわち、上記状態となるように、外方排ガス処理体ユニット142を保持シール材120の表面に押し付ける。そして、保持シール材120の第1の主面121を、外方排ガス処理体ユニット142の側面142b、側面142c及び側面142dに沿うように接触させながら、保持シール材120を外方排ガス処理体ユニット142に巻き付ける。
続いて、図5(d)に示すように、排ガス処理体130を形成する工程では、別の外方排ガス処理体ユニット140(以下、便宜上外方排ガス処理体ユニット1140という)の側面1140bを保持シール材120の第2の主面122に接触するように、外方排ガス処理体ユニット1140を配設する。すなわち、上記状態となるように、外方排ガス処理体ユニット1140を保持シール材120の表面に押し付ける。この際、側面142cと側面1140cとが同一平面上に属するように、かつ、側面142dと側面1140bとが対面するように外方排ガス処理体ユニット1140を配設する。そして、保持シール材120の第2の主面122を、外方排ガス処理体ユニット1140の側面1140b、側面1142a及び側面1142cに沿うように接触させながら、保持シール材120を外方排ガス処理体ユニット1140に巻き付ける。
外方排ガス処理体ユニット1140は、外方排ガス処理体ユニット140を、外方排ガス処理体ユニット140の長手方向に平行な軸を中心に反時計方向に90°回転させた形状である。
この工程では、保持シール材120の第1の主面121と、第2の主面122とが、隣り合う排ガス処理体ユニットの側面に交互に接触するように、保持シール材120を、各排ガス処理体ユニットに巻き付けている。
続いて、図5(e)に示すように、排ガス処理体130を形成する工程では、別の外方排ガス処理体ユニット141(以下、便宜上外方排ガス処理体ユニット1141という)、内方排ガス処理体ユニット150、内方排ガス処理体ユニット1150、及び、別の外方排ガス処理体ユニット142(以下、便宜上外方排ガス処理体ユニット1142という)に保持シール材120を巻き付ける。
外方排ガス処理体ユニット1141は、外方排ガス処理体ユニット141を、外方排ガス処理体ユニット141の長手方向に平行な軸を中心に反時計方向に90°回転させた形状である。
外方排ガス処理体ユニット1142は、外方排ガス処理体ユニット142を、外方排ガス処理体ユニット142の長手方向に平行な軸を中心に反時計方向に90°回転させた形状である。
この工程で配設する各排ガス処理体ユニットの位置関係は以下の通りである。
外方排ガス処理体ユニット1141の側面1141bと、外方排ガス処理体ユニット1140の側面1140cとは対面し、かつ、外方排ガス処理体ユニット1141の側面1141cと、外方排ガス処理体ユニット1140の側面1140bとが同一平面上に属するように、外方排ガス処理体ユニット1141を配置している。
内方排ガス処理体ユニット150の1つの側面と、外方排ガス処理体ユニット142の側面142cとは対面するように内方排ガス処理体ユニット150を配置している。
内方排ガス処理体ユニット1150の1つの側面と、外方排ガス処理体ユニット141の側面141cとは対面するように内方排ガス処理体ユニット1150を配置している。
外方排ガス処理体ユニット1142の側面1142dと、外方排ガス処理体ユニット1140の側面140bとは対面し、かつ、外方排ガス処理体ユニット1142の側面1142cと、側面140cとが同一平面上に属するように、外方排ガス処理体ユニット1142を配置している。
この工程で配設する保持シール材120の配設の位置関係は以下の通りである。
保持シール材120の第1の主面121を、外方排ガス処理体ユニット1141の側面1141b、及び、1141cに沿うように接触させながら、保持シール材120を外方排ガス処理体ユニット1141に巻き付けている。
そして、保持シール材120の第1の主面121と、第2の主面122とが、隣り合う内方排ガス処理体ユニット150及び1150、並びに、外方排ガス処理体ユニット1142の側面に交互に接触するように、保持シール材120を、各排ガス処理体ユニットに巻き付ける。
これまでの工程を経た各排ガス処理体ユニットの集合体の断面形状は略半円形となっている。
続いて、排ガス処理体130を形成する工程では、図6に示す排ガス処理体130のように、各排ガス処理体ユニットの集合体の断面形状が略円形となるように、各排ガス処理体ユニットに保持シール材120を巻き付ける。
この際、保持シール材120の第1の主面121と、第2の主面122とが、隣り合う排ガス処理体ユニットの側面に交互に接触するように、保持シール材120を、排ガス処理体ユニットに巻き付ける。
この際の各排ガス処理体ユニットの配設位置及び種類は、上記の断面形状が略半円形の排ガス処理体ユニットの集合体を半円の中心を軸に180°回転させた各排ガス処理体ユニットの配設位置及び種類と一致する。
これまでの工程を経た各排ガス処理体ユニットの集合体は、図6に示すような排ガス処理体130となる。
各排ガス処理体ユニットに保持シール材120を巻き付ける際に、排ガス処理体ユニットが相互に分離しないよう、各種対処を行っても良い。例えば、保持シール材120に接着材を塗布しておき、これにより各排ガス処理体ユニット同士を固定しても良い。
また、図6中の仮想直線α´は、図2(a)中の保持シール材120の仮想直線αと直交する、保持シール材120の厚さ方向に略平行な直線である。また、仮想直線α´を境に、各排ガス処理体ユニットを巻き付けている部分が、内部保持シール材部125であり、排ガス処理体130の外に飛び出している部分が、外部保持シール材部126である。
図7は、本発明の排ガス浄化装置を構成する周囲に保持シール材が配設された排ガス処理体の一例を示す斜視図である。
次に、巻き付け工程について説明する。
上記工程の後、本発明の排ガス浄化装置100の製造方法では、図7に示すように排ガス処理体130の周囲の反時計方向に沿って、外部保持シール材部126を排ガス処理体130に巻き付ける。
これら工程を経て、周囲に保持シール材120が巻き付けられた排ガス処理体130を作製することができる。
次に、収容工程について説明する。
収容工程では、周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130を、ケーシング110に収容する。
収容後に保持シール材120が圧縮して所定の面圧(すなわち、排ガス処理体130を保持する力)を発揮するために、ケーシング110の内径は、周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130の最外径より少し小さくなっている。
収容後、導電線163をケーシング110に配設された外部導出部材170から取り出す。
収容工程に関し、周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130をケーシング110に収容する方法としては、例えば、ケーシングの内部110の所定の位置まで周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130を圧入する圧入方式(スタッフィング方式)、周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130をケーシング110の内部に挿入した後、ケーシング110の内径を縮めるように外周側から圧縮するサイジング方式(スウェージング方式)、並びに、ケーシング110を、第1のケーシング及び第2のケーシングの2つの部品に分離可能な形状としておき、周囲に保持シール材120が配設された排ガス処理体130を第1のケーシング上に載置した後に第2のケーシングを被せて密封するクラムシェル方式等が挙げられる。
以上の方法により、図1(a)に示した排ガス浄化装置100を製造することができる。
保持シール材120が膨張材を含んでいると、この後、エンジンを始動する前に内部に配設されたヒータ161に通電することにより、膨張材が膨らむため、保持シール材120の保持力を向上させることができ、排ガス処理体130の把持を確実なものにすることができる。
また、同様に、保持シール材120や排ガス処理体130が有機バインダ等の有機物を含んでいる場合、エンジンを始動する前に内部に配設されたヒータ161に通電することにより、有機バインダ等の有機物を分解、消失させることができ、車両に取り付けられたセンサー等の誤動作を防止することができる。排ガス浄化装置100を車両等に取り付ける前に、ヒータ161に通電して加熱する処理を行ってもよい。
本発明の保持シール材、保持シール材の製造方法、排ガス浄化装置、及び、排ガス浄化装置の製造方法は以下の一例のようであってもよい。
図8は、本発明の排ガス浄化装置の一例を模式的に示す、排ガス浄化装置の長手方向に垂直な方向の断面図である。
図8に示す本発明の排ガス浄化装置の一例である排ガス浄化装置200では、それぞれ形の異なる外方排ガス処理体ユニット240と、外方排ガス処理体ユニット241と、外方排ガス処理体ユニット242と、外方排ガス処理体ユニット240、241及び242の内側に位置する4つの内方排ガス処理体ユニット250とが4つずつ、保持シール材220を介して組み合わされ、断面形状が略円形の排ガス処理体230が形成されている。
また、保持シール材220は、本発明の保持シール材の一例である。
本発明の排ガス浄化装置200では、各排ガス処理体ユニット同士の間にある保持シール材が、2層になるように配設されている点が上記本発明の排ガス浄化装置100と異なる。
外方排ガス処理体ユニット240、241及び242、並びに、内方排ガス処理体ユニット250は、それぞれ、上記本発明の排ガス浄化装置100を構成する外方排ガス処理体ユニット140、141及び142、並びに、内方排ガス処理体ユニット150と同じ形状である。
図8に示すように、連続する一枚の保持シール材220は、排ガス処理体230の周囲にも配設されている。周囲に保持シール材220が配設された排ガス処理体230は、ケーシング210に収容されている。
図8に示すように、本発明の排ガス浄化装置200では、各排ガス処理体ユニット同士の間にある保持シール材220が2層になるように配設されている。
すなわち、横に並んだ排ガス処理体ユニットの間には、保持シール材200を排ガス処理体ユニットの側面に沿って下降させた後に折り曲げ、2層にしており、上下の排ガス処理体ユニットの間では、上層は、連続した一つの層となっている。
また、一枚の保持シール材220を用いて、外方排ガス処理体ユニット240、241、及び、242、並びに、内方排ガス処理体ユニット250の対向する面にのみ介装することは難しいので、保持シール材220は、排ガス処理体230の周囲の一部にも配設されており、最終的には、排ガス処理体230の外周全体にもう一度保持シール材220を巻き付けるため、排ガス処理体230の外周全体にもう一度保持シール材220が巻き付けられている。そのため、排ガス処理体230の外周部分には、保持シール材220が2層となっている部分が存在している。
各排ガス処理体ユニット同士の間にある保持シール材220が、図8に示すように、2層になるように配設された場合、各排ガス処理体ユニット同士の間に保持シール材が1層になるように配設した場合と異なり、保持シール材220の境界が内部の保持シール材間を横切るように形成されることがないので、排ガス処理体230の内部を排ガスが通過しにくくなり、排ガス漏れの可能性がより低くなる。
また、各排ガス処理体ユニットの間に存在する単位面積当たりの無機繊維の量をより多くすることができ、各排ガス処理体ユニットが破損しにくく、より保温効果に優れた排ガス処理体230を実現することができる。
さらに、上記本発明の排ガス浄化装置100の説明で述べたような各排ガス処理体ユニット同士の間にある保持シール材120が1層になるように配設された場合と同様、各排ガス処理体ユニットが保持シール材220から受ける面圧は均等になりやすくなる。すなわち、各排ガス処理体ユニットにかかる面圧が偏在しにくくなるので、各排ガス処理体ユニットが損傷しにくくなる。
また、各排ガス処理体ユニット同士の間の保持シール材220が介在しているので、各排ガス処理体ユニット同士の間の距離が均等になる。そのため、外部から衝撃を受けた場合でも、各排ガス処理体ユニットに衝撃が均等に伝わりやすくなる。さらに、各排ガス処理体ユニットに伝わる熱も均等に伝わりやすくなる。そのため、外部からの衝撃や熱衝撃を受けた場合でも、各排ガス処理体ユニットにクラック等の損傷が生じにくくなる。
図8に示すように、本発明の排ガス浄化装置200では、各排ガス処理体ユニットとケーシング210との間に保持シール材220が連続して2層になっている部分が存在している。本発明の排ガス浄化装置200を用いる際、この保持シール材220が2層になっている部分が、排ガス浄化装置200の底部に位置するように配設することが望ましい。
一般的に、排ガス浄化装置を用いる場合、保持シール材の排ガス浄化装置の底部に配設されている部分は、重力の影響により荷重がかかるので、保持シール材に損傷が生じやすくなり、また、保持シール材の面圧も低下しやすくなる。
保持シール材220が2層になっている部分が、排ガス浄化装置200の底部に位置するように配設されていると、重力の影響により、保持シール材220に荷重がかかったとしても、保持シール材220が2層存在しているので、損傷を防ぎやすくなり、また、保持シール材220の面圧も維持しやすくなる。
図9は、本発明の排ガス浄化装置に用いられた内部にヒータが配設された保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。
図9に示す保持シール材220は、無機繊維を含む平面視形状略矩形のマットである。また、保持シール材220は、第1の主面221と、第1の主面221と反対側の主面である第2の主面222とを備えている。図9に示す保持シール材220は、第1の端部223と反対側の端部である第2の端部224とを備えている。
なお、本発明の保持シール材220の説明において、保持シール材220の第1の主面221と、第2の主面222とは便宜上区別して説明する。しかし、本発明の保持シール材220において、両者を区別する必要はなく、保持シール材220を保持シール材220の長手方向に平行な軸を中心に反転させることにより入れ替えることができる。
図9に示す保持シール材220では、保持シール材220の長手方向に垂直な仮想直線βを境に内部保持シール材部225と外部保持シール材部226に分けることができる。第1の端部223が属する部分が内部保持シール材部225であり、第2の端部224が属する部分が外部保持シール材部226である。
内部保持シール材部225は、図8に示す排ガス浄化装置200において、各排ガス処理体ユニット同士の間に配設されている部分である。
外部保持シール材部226は、図8に示す排ガス浄化装置200において、排ガス処理体230の周囲に配設されている部分である。
外部保持シール材部226の長手方向の長さは、排ガス処理体230の周囲の長さと略同じである。
本発明の保持シール材220は、内部保持シール材部225の長手方向の長さが長いこと、及び、厚さが薄いこと以外は、上記本発明の保持シール材120と同じ形状及び組成である。
保持シール材220の厚さは特に限定されないが、2.0〜20mmであることが望ましい。
保持シール材220の厚さが20mmを超えると、保持シール材220の柔軟性が失われるので、保持シール材220を排ガス処理体ユニット間に配設する場合に扱いづらくなる。また、保持シール材220に巻きジワや割れが生じやすくなる。また、本発明の排ガス浄化装置200においては、各排ガス処理体ユニットの間に2層の保持シール材220を配設するので、上記望ましい厚さの上限を超えると、保持シール材220の間に隙間が出来やすくなる。
保持シール材220の厚さが2.0mm未満であると、保持シール材220の面圧が排ガス処理体ユニットを保持するのに十分でなくなる。そのため、排ガス処理体230を構成する排ガス処理体ユニットが抜け落ちやすくなる。また、排ガス処理体ユニットに体積変化が生じた場合、保持シール材220は排ガス処理体ユニットの体積変化を吸収しにくくなる。そのため、排ガス処理体ユニットにクラック等が発生しやすくなる。
保持シール材220には、上記本発明の保持シール材120と同様に、ヒータ261が保持シール材220の内部に配設されている。ヒータ261の形状は、上記本発明の保持シール材120の内部に配設されたヒータ161と同様の形状である。
後述するように保持シール材220は、第1の主面221のみが各排ガス処理体ユニットに接触するように巻き付けられる。排ガス処理体ユニットを効率よく加熱するためには、ヒータ261と排ガス処理体ユニットとの間の距離がある程度狭いことが望ましい。従って、ヒータ261は、完成された保持シール材220の厚さに対して、15〜50%の位置が望ましく、15〜30%の位置がより望ましい。
本発明の排ガス浄化装置200を構成する外方排ガス処理体ユニット240、241及び242、並びに、内方排ガス処理体ユニット250は、それぞれ、上記本発明の排ガス浄化装置100を構成する外方排ガス処理体ユニット140、141及び142、並びに、内方排ガス処理体ユニット150と同じように、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設されるとともに、その外周に外周壁が形成されている。
本発明の保持シール材220の製造方法は内部保持シール材部225の長手方向の長さが長い以外は、上記本発明の保持シール材120と同じ製造方法で製造できるので詳細は省略する。
次に、本発明の排ガス浄化装置200の製造方法について説明する。本発明の排ガス浄化装置200の製造方法は、排ガス処理体作製工程が異なる以外は、上記本発明の排ガス浄化装置100の製造方法と同じである。
本発明の排ガス浄化装置200を構成する排ガス処理体230は、連続する一枚の保持シール材220が介在するように、各排ガス処理体ユニット同士の間に、保持シール材220を巻き付けることにより形成される。この工程を図面を参照しながら説明する。
図10(a)〜(e)は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体を形成する工程の一例を順に示す模式図である。
図10(a)〜(e)では、保持シール材220を各排ガス処理体ユニットに巻き付ける工程を、各排ガス処理体ユニットの長手方向に垂直な方向で切断した断面図を用いて示している。
また、図11は、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の一例を示す模式図である。
排ガス処理体230を形成する工程では、まず、図10(a)に示すように、外方排ガス処理体ユニット240の辺240sと、保持シール材220の第1の端部223の辺223sとが合致するように両者を接触させる。その後、外方排ガス処理体ユニット240の側面240bと、保持シール材220の第1の主面221とを接触させる。そして、保持シール材220の第1の主面221が、外方排ガス処理体ユニット240の側面240b及び側面240cに沿うように接触させながら、保持シール材220を外方排ガス処理体ユニット240に巻き付ける。この際、外方排ガス処理体ユニット240の両端面を支持棒(図示せず)等で固定しておく必要がある。また、保持シール材220の第1の端部223が移動しないように、保持シール材220の第1の端部223近傍に接着材を塗布して外方排ガス処理体ユニット240の側面240aに貼り付けるか、板状体を用いて保持シール材220を外方排ガス処理体ユニット240の側面240aに押し付け、固定してもよい。
次に、外方排ガス処理体ユニット240の側面240cと、保持シール材220の第1の主面221とが接触している終点を支点に保持シール材220を反対に折り曲げる。反対に折り曲げるとは、保持シール材220を180°折り曲げ、保持シール材220の第2の主面222同士を接触させることをいう。
続いて、排ガス処理体230を形成する工程では、図10(b)に示すように、外方排ガス処理体ユニット241の側面241bと、保持シール材220の第1の主面221とが接触するように、外方排ガス処理体ユニット241を配設する。この際、側面240bと側面241cとが同一平面上に属するように、かつ、側面240cと側面241bとが対面するように外方排ガス処理体ユニット241を配設する。すなわち、上記状態となるように、外方排ガス処理体ユニット241を保持シール材220の表面に押し付ける。そして、保持シール材220の第1の主面221が、外方排ガス処理体ユニット241の側面241b、側面241c及び側面241dに沿うように接触させながら、保持シール材220を外方排ガス処理体ユニット241に巻き付ける。
この状態を保つためには、上記のように外方排ガス処理体ユニット241を配設するとともに、外方排ガス処理体ユニット241の側面の保持シール材220を巻き付けた後、外方排ガス処理体ユニット241の端面を支持棒(図示せず)等で固定する必要がある。以下の工程においても、本工程と同様に、各排ガス処理体ユニットに保持シール材220を巻き付けた後、排ガス処理体ユニットの両端面を固定する必要がある。固定化に関する記載内容は、本工程と同様であるので、以下においては、その記載を省略することとする。
次に、外方排ガス処理体ユニット241の側面241dと、保持シール材220の第1の主面221とが接触している終点を支点に保持シール材220を反対に折り曲げる。
続いて、図10(c)に示すように、排ガス処理体230を形成する工程では、外方排ガス処理体ユニット242の側面242bが、保持シール材220の第1の主面221に接触するように、外方排ガス処理体ユニット242を配設する。この際、側面241cと側面242cとが同一平面上に属するように、かつ、側面241dと側面242bとが対面するように外方排ガス処理体ユニット242を配設する。すなわち、上記状態となるように、外方排ガス処理体ユニット242を保持シール材220の表面に押し付ける。そして、保持シール材220の第1の主面221が、外方排ガス処理体ユニット242の側面242b、側面242c及び側面242dに沿うように接触させながら、保持シール材220を外方排ガス処理体ユニット242に巻き付ける。次に、外方排ガス処理体ユニット242の側面242dと保持シール材220の第1の主面221とが接触している終点を支点に、保持シール材220を反対に折り曲げる。
続いて、図10(d)に示すように、排ガス処理体230を形成する工程では、別の外方排ガス処理体ユニット240(以下、便宜上外方排ガス処理体ユニット1240という)の側面1240bが保持シール材220の第1の主面221に接触するように、外方排ガス処理体ユニット1240を配設する。この際、側面242cと側面1240cとが同一平面上に属するように、かつ、側面242dと側面1242bとが対面するように外方排ガス処理体ユニット1240を配設する。すなわち、上記状態となるように、外方排ガス処理体ユニット1240を保持シール材220の表面に押し付ける。そして、保持シール材220の第1の主面221が、外方排ガス処理体ユニット1240の側面1240b及び側面1240cに沿うように接触させながら、保持シール材220を外方排ガス処理体ユニット1240に巻き付ける。次に、外方排ガス処理体ユニット1240の側面240cと、保持シール材220の第1の主面221とが接触している終点を支点に保持シール材220を反対に折り曲げる。次に、側面1240c、側面242c、側面241c、及び、側面240bに沿って、保持シール材220の第2の主面222同士が接触するように保持シール材220を折り返す。
外方排ガス処理体ユニット1240は、外方排ガス処理体ユニット240を、外方排ガス処理体ユニット240の長手方向に平行な軸を中心に反時計方向に90°回転させた形状である。
続いて、図10(e)に示すように、排ガス処理体230を形成する工程では、別の外方排ガス処理体ユニット241(以下、便宜上外方排ガス処理体ユニット1241という)、内方排ガス処理体ユニット250、別の内方排ガス処理体ユニット250(以下、便宜上内方排ガス処理体ユニット1250という)、及び、別の外方排ガス処理体ユニット242(以下、便宜上外方排ガス処理体ユニット1242という)に保持シール材220を巻き付ける。
外方排ガス処理体ユニット1241は、外方排ガス処理体ユニット241を、外方排ガス処理体ユニット241の長手方向に平行な軸を中心に反時計方向に90°回転させた形状である。
外方排ガス処理体ユニット1242は、外方排ガス処理体ユニット242を、外方排ガス処理体ユニット242の長手方向に平行な軸を中心に反時計方向に90°回転させた形状である。
この工程で配設する各排ガス処理体ユニットの位置関係は以下の通りである。
外方排ガス処理体ユニット1241の側面1241bと、外方排ガス処理体ユニット1240の側面1240cとは対面し、かつ、外方排ガス処理体ユニット1241の側面1241cと、外方排ガス処理体ユニット1240の側面1240bとが同一平面上に属するように、外方排ガス処理体ユニット1241を配置している。
内方排ガス処理体ユニット250の1つの側面と、外方排ガス処理体ユニット242の側面242cとは対面するように内方排ガス処理体ユニット250を配置している。
内方排ガス処理体ユニット1250の1つの側面と、外方排ガス処理体ユニット241の側面241cとは対面するように内方排ガス処理体ユニット1250を配置している。
外方排ガス処理体ユニット1242の側面1242dと、外方排ガス処理体ユニット1240の側面240bとは対面し、かつ、外方排ガス処理体ユニット1242の側面1242cと、側面240cとが同一平面上に属するように、外方排ガス処理体ユニット1242を配置している。
この工程で配設する保持シール材220の配設の位置関係は以下の通りである。
保持シール材220の第1の主面221を、外方排ガス処理体ユニット1242の側面1242a、1242b、及び、1242cに沿うように接触させながら、保持シール材220を外方排ガス処理体ユニット1242に巻き付けている。次に、外方排ガス処理体ユニット1242の側面1242bと保持シール材220の第1の主面221とが接触している終点を支点に、保持シール材220を反対に折り曲げる。
以下同様に、保持シール材220の第1の主面221のみが、内方排ガス処理体ユニット1250、250、及び、1241に接触するように、保持シール材220を排ガス処理体ユニットに巻き付ける。
これまでの工程を経た各排ガス処理体ユニットの集合体の断面形状は略半円形となっている。
続いて、排ガス処理体230を形成する工程では、図11に示す排ガス処理体230のように、各排ガス処理体ユニットの集合体の断面形状が略円形となるように、各排ガス処理体ユニットに保持シール材220を巻き付ける。
この際、保持シール材220の第1の主面221のみが排ガス処理体ユニットに接触するように、保持シール材220を、各排ガス処理体ユニットに巻き付ける。
この際の各排ガス処理体ユニットの配設位置及び種類は、上記の断面形状は略半円形の排ガス処理体ユニットの集合体を半円の中心を軸に180°回転させた各排ガス処理体ユニットの配設位置及び種類と一致する。
これまでの工程を経た各排ガス処理体ユニットの集合体は、図11に示すような排ガス処理体230となる。
また、図11中の仮想直線β´は、図9中の保持シール材220の仮想直線βと直交する、保持シール材220の厚さ方向に略平行な直線である。また、仮想直線β´を境に、各排ガス処理体ユニットを巻き付けている部分が、内部保持シール材部225であり、排ガス処理体230の外に飛び出している部分が、外部保持シール材部226である。
図12は、本発明の排ガス浄化装置を構成する周囲に保持シール材が配設された排ガス処理体の一例を示す斜視図である。
続いて、本発明の排ガス浄化装置200の製造方法では、図12に示すように排ガス処理体230の周囲の時計方向に沿って、外部保持シール材部226を排ガス処理体230に巻き付ける。
次に、周囲に保持シール材220が配設された排ガス処理体230を、ケーシング210に収容する収容工程を行う。
収容後に保持シール材220が圧縮して所定の面圧(すなわち、排ガス処理体を保持する力)を発揮するために、ケーシング210の内径は、周囲に保持シール材220が配設された排ガス処理体230の最外径より少し小さくなっている。
以上の方法により、図8に示す排ガス浄化装置200を製造することができる。
収容工程に関し、周囲に保持シール材220が配設された排ガス処理体230をケーシング210に収容する方法としては、例えば、ケーシング210の内部の所定の位置まで周囲に保持シール材220が配設された排ガス処理体230を圧入する圧入方式(スタッフィング方式)、周囲に保持シール材220が配設された排ガス処理体230をケーシング210の内部に挿入した後、ケーシング210の内径を縮めるように外周側から圧縮するサイジング方式(スウェージング方式)、並びに、ケーシング210を、第1のケーシング及び第2のケーシングの2つの部品に分離可能な形状としておき、周囲に保持シール材220が配設された排ガス処理体230を第1のケーシング上に載置した後に第2のケーシングを被せて密封するクラムシェル方式等が挙げられる。
これら工程を経て、本発明の排ガス浄化装置の一例である排ガス浄化装置200が作製される。
次に、本発明の保持シール材、及び、保持シール材の製造方法は以下の一例のようであってもよい。
図13(a)及び(b)は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す平面図である。
図13(a)及び(b)に示す保持シール材320及び420は、本発明の保持シール材の一例である。
本発明の保持シール材320又は420は、保持シール材を構成するマットの内部にヒータが配設されている点で、上記本発明の保持シール材120と同様であるが、ヒータの形状(パターン)が異なる。
このように、本発明の保持シール材320又は420は、ヒータの形状が異なるほかは、上記本発明の保持シール材120と同様に構成されているので、ヒータ以外の部分についての説明は省略し、ヒータのみについて説明する。
本発明の保持シール材320又は420では、図13(a)又は図13(b)に示す形状(パターン)を有するヒータが用いられている。
図13(a)に示す保持シール材320では、ヒータ361が屈曲部を介して長手方法に繰り返し進展する形状を有している。図13(a)に示すような形状のヒータ361であるとヒータがより広い部分をカバーすることができ、効率の良い加熱が可能である。また、マットを排ガス処理体に巻き付ける際の引っ張り力に対しても柔軟に伸展することが可能でありヒータの断線を防止することができる。
図13(b)に示す保持シール材420では、ヒータ461が短いインターバルで屈曲を繰り返しながら長手方向に垂直(幅方向)に進展するパターンが長手方向に繰り返される形状を有している。図13(b)に示すヒータ461は、複数個のヒータから構成されており、電源と複数個のヒータを並列で接続する構成となっている。抵抗パターンの抵抗が大きく、長い抵抗体では充分に加熱を行うことが難しい場合には、図13(b)に示すように抵抗体を幾つかに分割してもよい。
本発明の保持シール材320及び420の内部に配設されるヒータ361及び461を構成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば、カンタル線、ニクロム線等が挙げられ、また、金、銀、白金、パラジウム、鉛、タングステン、モリブデン、クロム、鉄、アルミニウム及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種からなるもの、炭化ケイ素等の導電性セラミック等が挙げられる。
次に、本発明の保持シール材320又は420の作製方法について説明する。
本発明の保持シール材320又は420の作製方法では、上記本発明の保持シール材120の製造方法で説明した(B)及び(C)の方法について詳しく説明する。
まず、上記本発明の保持シール材120の製造方法の場合と同様に、塩基性塩化アルミニウム水溶液とシリカゾル等とを原料とする紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して3〜10μmの平均繊維径を有する無機繊維前駆体を作製する。次に、上記無機繊維前駆体を圧縮して所定の大きさの連続したシート状物を作製し、これにニードルパンチング処理を施し、その後、焼成処理を施すことにより保持シール材用のマットの作製が完了する。
ヒータとしては、市販のものを使用してもよいが、ヒータを製造する際には、上記した金、銀、白金、パラジウム、鉛、タングステン、モリブデン、クロム、鉄、アルミニウム及びニッケルからなる群から選択される少なくとも1種の金属からなる金属粒子、樹脂、溶剤等を含んだ導体ペーストを有機シート等の支持体の表面に図13(a)及び(b)に示したようなパターンとなるように印刷し、乾燥させて抵抗パターンとし、この抵抗パターンを焼成してヒータとする。
上記導体ペーストとしては特に限定されないが、導電性を確保するため金属粒子が含有されているほか、樹脂、溶剤、増粘剤などを含むものが好ましい。
これら金属粒子の粒径は、0.1〜100μmが好ましい。0.1μm未満と微細すぎると、酸化されやすく、一方、100μmを超えると、焼結しにくくなり、抵抗値が大きくなるからである。
上記金属粒子の形状は、球状であっても、リン片状であってもよい。これらの金属粒子を用いる場合、上記球状物と上記リン片状物との混合物であってよい。
上記金属粒子がリン片状物、または、球状物とリン片状物との混合物の場合は、金属粒子間に金属酸化物等を挿入しやすくなり、抵抗値を大きくすることができるため有利である。
導体ペーストに使用される樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。また、溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール等が挙げられる。増粘剤としては、セルロース等が挙げられる。
ヒータを配設する方法として、上記本発明の保持シール材120の製造方法における(B)に示した方法を採用する場合には、以下のような方法をとる。すなわち、ヒータ361及び461が柔らかい線状体からなるものである場合には、上述の方法により作製したマットの内部に、ヒータ361及び461の先端を突き刺し、図13(a)及び(b)に示した形状になるように、保持シール材320及び420の内部でヒータ361及び461を屈曲させながら、その先端を進行させていき、ヒータが内部に配設された保持シール材を得ることができる。この場合、図2(a)に示したヒータ161の形状を採用してもよい。
また、上記本発明の保持シール材120の製造方法における(C)に示した方法を採用する場合には、以下のような方法をとる。すなわち、上述の方法により作製した2層のマットを用意し、図13(a)及び(b)又は図1に示した形状のヒータ361及び461又は161を2層のマットで狭持することにより、ヒータが内部に配設された保持シール材を完成させる。
この場合には、2層のマットを一体化させるための工夫が必要であり、その方法としては、例えば、2層のマットが互いに接触する部分に接着剤を塗布して接着させる方法、2層のマットを積層した後にニードルパンチング処理を行う方法、糸等を用いて2層のマットを積層した後に糸で縫い合わせることにより、2層のマットを一体化させる方法、帯状の有機フィルムや紙(テープバンド)などを複数層重ねたマットの幅方向に巻き付けることにより複数層のマットを結束し、一体化させる方法等が挙げられる。
このようにヒータを2層のマットで狭持した後、2層のマットの一体化処理を行う方法を採用した場合、厚さの薄い保持シール材を作製するほかは、特に特別の方法を用いることなく、保持シール材の内部にヒータが配設された保持シール材を得ることができる。
接着剤や糸が有機物であると、保持シール材をケーシングの内部に配設して排ガス浄化装置を作製した後、排ガスが排ガス浄化装置を通過すると、接着剤や糸が分解、消失するが、ヒータを内部に有する保持シール材をケーシングの内部に収容する際に、ずれや剥離が生じなければ、ケーシングの内部に収容した後、接着剤や糸が消失しても、最早、ずれや剥離は生じにくく、大きな問題は発生しない。
本発明の保持シール材320及び420は上記本発明の保持シール材120と同様に、排ガス浄化装置に用いることができる。
本発明の保持シール材は、以下の一例のようであってもよい。
図14は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。
図14に示す保持シール材520は、本発明の保持シール材の一例である。
図14に示す保持シール材520は、無機繊維を含む平面視形状略矩形のマットである。また、保持シール材520は、第1の主面521と、第1の主面521と反対側の主面である第2の主面522とを備えている。
図14に示す保持シール材520は、平坦な端部を有する第1の端部523と、凸部527を有する第2の端部524とを備えている。
図14に示す保持シール材520では、保持シール材520の長手方向に垂直な仮想直線γを境に内部保持シール材部525と外部保持シール材部526に分けることができる。端部523が属する部分が内部保持シール材部525であり、第2の端部524が属する部分が外部保持シール材部526である。
内部保持シール材部525は、本発明の排ガス浄化装置において、各排ガス処理体ユニット同士の間に配設される部分である。
外部保持シール材部526は、本発明の排ガス浄化装置において、排ガス処理体の周囲に配設される部分である。
保持シール材520では、ヒータ561が保持シール材520の内部に配設されている。ヒータ561の形状は、上記保持シール材120、220、320及び420で説明したヒータの形状と同様の形状であってもよい。また、ヒータ561は、後述する開口部528を避けるように配設されている。
外部保持シール材部526には、第1の主面521から第2の主面522を貫通する開口部528が形成されている。開口部528は、内部保持シール材部525と外部保持シール材部526との境目に位置している。
凸部527及び開口部528は、排ガス処理体に外部保持シール材部526を巻き付けた際に、ちょうど互いに嵌合するような形状となっている。
このように保持シール材520を嵌合させると、保持シール材を巻き付けた排ガス処理体を持ち運ぶ際に保持シール材520がずれにくくなり、ハンドリングが向上する。
本発明の保持シール材、及び、本発明の排ガス浄化装置は、以下の特徴を有していてもよい。
上記本発明の排ガス浄化装置100又は200では、各排ガス処理体ユニット同士の間に配設された保持シール材は、1層又は2層であったが、本発明の排ガス浄化装置では、3層以上であってもよい。
また、本発明の排ガス浄化装置100又は200では、各排ガス処理体ユニット同士の間に配設された保持シール材の層の数は同じであったが、本発明の排ガス浄化装置では、各排ガス処理体ユニット同士の間で異なっていてもよい。
本発明の排ガス浄化装置100又は200を構成する各排ガス処理体ユニット同士の間には、一枚の連続する保持シール材が介在されており、かつ、排ガス処理体の周囲にも同じ保持シール材が連続して配置されていたが、本発明の排ガス浄化装置では、各排ガス処理体ユニット同士の間に介在している内部保持シール材部と、排ガス処理体の周囲に配設されている外部保持シール材部とは分離していてもよい。
本発明の排ガス処理体の周囲に配設された保持シール材は、一枚の連続する保持シール材である必要はなく、分離していてもよい。
図11に示すように、本発明の排ガス浄化装置200では、保持シール材220を各排ガス処理体ユニット同士の間に介装させた際、排ガス処理体230の周囲に保持シール材220が存在していない部分は連続している。そのため、排ガス処理体230の周囲に保持シール材が存在していない部分にのみ保持シール材220を配設してもよい。
本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体の周囲に配設された保持シール材は、1層であってもよく、多層であってもよい。また、排ガス処理体の周囲に配設された保持シール材の層の数は、全ての周囲において同一の数でもよく、一部の周囲において異なる数でもよい。
本発明の排ガス浄化装置100又は200では、排ガス処理体は、16個の排ガス処理体ユニットを組み合わせて形成されていたが、本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットの数は特に限定されず、16個より多くてもよく、少なくてもよい。
本発明の排ガス浄化装置を構成するガス処理体の形状は、円柱形状に限定されるものでなく、例えば、楕円柱形状、角柱形状等の任意の形状であっても良い。
本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体は、複数の形状の異なる柱状の排ガス処理体ユニットを組み合わせることにより、所定の排ガス処理体の形状が形成されている。
そのため、単にこれら複数種類の排ガス処理体ユニットを保持シール材を介して組み合わせるのみで、簡単に排ガス処理体を構成することができる。また、予め、所定の排ガス処理体の形状が形成される組み合わせとなる種々の形状の排ガス処理体ユニットを製造しておくことにより、要求される種々の形状の排ガス処理体を容易に作製することができ、排ガス処理体の形状に関する多様な要求に比較的容易に答えることができる。
また、本発明の排ガス浄化装置を構成する排ガス処理体ユニットの形状は、特に限定されるものではないが、排ガス処理体ユニット同士を結束させて排ガス処理体を作製する際に結束しやすい形状であることが望ましく、その断面形状としては、正方形、長方形、六角形、扇状等が挙げられる。
これまで、排ガス処理体ユニットとしては、各々のセルの両端面が封止材による目封じをされていない触媒担体について説明を行ったが、排ガス処理体ユニットは、セルのいずれか一方の端部が封止された多孔質体であってもよい。このような排ガス処理体ユニットは、PMを捕集するフィルタとして好適に使用することが可能となる。
排ガス処理体ユニットが、セルのいずれか一方の端部が封止された多孔質体である場合、多孔質体としては、炭化ケイ素質の多孔質体であることが望ましい。
排ガス処理体ユニットが炭化ケイ素質の多孔質体である場合、排ガス処理体ユニットの気孔率は特に限定されないが、35〜60%であることが望ましい。
気孔率が35%未満であると、ガス処理体がすぐに目詰まりを起こすことがあり、一方、気孔率が60%を超えると、排ガス処理体ユニットの強度が低下して容易に破壊されることがあるからである。
また、上記排ガス処理体ユニットの平均気孔径は5〜30μmであることが望ましい。
平均気孔径が5μm未満であると、PMが容易に目詰まりを起こすことがあり、一方、平均気孔径が30μmを超えると、PMが気孔を通り抜けてしまい、PMを捕集することができず、フィルタとして機能することができないことがあるからである。
なお、上記気孔率及び気孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定の従来公知の方法により測定することができる。
以下に、本発明の保持シール材、保持シール材の製造方法、排ガス浄化装置、及び、排ガス浄化装置の製造方法の作用効果について列挙する。
(1)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットをヒータにより直接加熱するので、排ガス処理体を構成する排ガス処理体ユニットの配置位置に関わらず排ガス処理体ユニットを加熱することができる。従って、排ガス処理体全体を斑なく昇温させることができる。
(2)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットを加熱する手段として、排ガス処理体ユニットの周囲に配設されたヒータを用いており、このヒータと電源とは、接続部材等を用いて容易に接続させることができるので、接続不良が発生するおそれが殆どなく、確実に排ガス処理体ユニットを加熱することができる。また、排ガス処理体ユニットと保持シール材との間に配設されたヒータは、保持シール材からの面圧を受けるので、ヒータは、排ガス処理体ユニットに押し付けられる。そのため、ヒータが排ガス処理体ユニットから離間するおそれが殆どない。
(3)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、ケーシングや保持シール材に大きな孔を形成し、外部から電極部材を排ガス処理体に当接させる必要がないので、保持シール材が巻き付けられた排ガス処理体をケーシング内部に収容する方法として、圧入等の種々の方法をとることができる。
(4)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、保持シール材に孔を形成して保温面積を減少させる必要がないので、保持シール材の反発力の総和が低下することがなく、上記保持シール材により充分に排ガス処理体を保温することが可能な排ガス浄化装置を提供することができる。また、排ガス処理体ユニット同士の間に保持シール材が存在するので、保持シール材の保温効果により、排ガス処理体ユニットの温度を排ガスを処理するのに好適な温度に維持しやすくなる。
(5)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットを発熱させないので、排ガス処理体ユニットの材料は、導電性のものに限られず、コージェライト等の絶縁製の材料からなる排ガス処理体ユニットも使用することができ、排ガス浄化装置の設計の自由度を確保することができる。
(6)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、ヒータが保持シール材の内部に配設されているので、排ガス処理体がヒータと接触するおそれはなく、排ガス処理体としてコージェライト等の絶縁材料からなるもののみでなく、導電性を有する金属製のものや炭化ケイ素等の導電性セラミックからなるものも、排ガス処理体として用いることができ、排ガス処理体の選択の範囲が拡がる。
(7)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットに排ガスが流通することによる加熱や、排ガス処理体ユニットがヒータにより加熱されることにより、排ガス処理体ユニットが高温になり、排ガス処理体ユニットに体積の変化が生じた場合であっても、排ガス処理体ユニット同士の間には、上記保持シール材が介在しており、保持シール材は、無機繊維を含むマットからなるので、排ガス処理体ユニットの体積変化を吸収することができる。そのため、排ガス処理体ユニットに体積の変化が生じることに起因するクラック等の損傷の発生を防止することができる。
(8)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体を構成する排ガス処理体ユニット同士の間には、連続する一枚の保持シール材が介在しているので、排ガスが漏れるのを防ぐことができるとともに、排ガス処理体ユニット同士が直接接触することはなく、排ガス処理体ユニット同士が直接接触することによるクラック等の損傷の発生を防止することができる。
(9)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、排ガス処理体ユニットは、排ガス処理体の周囲に配設された保持シール材からの面圧のみならず、排ガス処理体ユニット同士の間に介在している保持シール材からの面圧を受けることになる。その結果、排ガス処理体を構成する排ガス処理体ユニットが抜け落ちることを防止できる。
(10)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、エンジン等の内燃機関を始動した直後の排ガス処理体(触媒担体)の昇温のみでなく、ハイブリッド車両等のモータ及びエンジンを搭載した車両がモータを稼働させ、エンジンが稼働していない時にも、所定の温度以上の温度を保つように排ガス処理体ユニットを加熱することができる。そのため、エンジンが稼働し始めた際、直ぐに排ガス処理体を排ガス浄化装置として機能させることができる。
(11)本発明の保持シール材が用いられた本発明の排ガス浄化装置では、全ての排ガス処理体ユニット同士の間には、保持シール材が介在しているので、ヒータにより全ての排ガス処理体ユニットを加熱することができる。
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)保持シール材準備工程
(a−1)紡糸工程
Al含有量が70g/lであり、Al:Cl=1:1.8(原子比)となるように調製した塩基性塩化アルミニウム水溶液に対して、焼成後の無機繊維における組成比が、Al:SiO=72:28(重量比)となるようにシリカゾルを配合し、さらに、有機重合体(ポリビニルアルコール)を適量添加して混合液を調製した。
得られた混合液を濃縮して紡糸用混合物とし、この紡糸用混合物をブローイング法により紡糸して平均繊維長が100mm、平均繊維径が5.1μmである無機繊維前駆体を作製した。
(a−2)圧縮工程
上記工程(a−1)で得られた無機繊維前駆体を圧縮して、連続したシート状物を作製した。
(a−3)ニードルパンチング処理工程
上記工程(a−2)で得られたシート状物に対して、以下に示す条件を用いて連続的にニードルパンチング処理を行ってニードルパンチング処理体を作製した。
まず、ニードルが21個/cmの密度で取り付けられたニードルボードを準備した。次に、このニードルボードをシート状物の一方の表面の上方に配設し、ニードルボードをシート状物の厚さ方向に沿って一回上下させることによりニードルパンチング処理を行い、ニードルパンチング処理体を作製した。この際、ニードルの先端部分に形成されたバーブがシート状物の反対側の表面に完全に貫出するまでニードルを貫通させた。
(a−4)焼成工程
上記工程(a−3)で得られたニードルパンチング処理体を最高温度1250℃で連続して焼成し、アルミナとシリカとを含む無機繊維からなる焼成シート状物を作製した。無機繊維の平均繊維径は、5.1μmであり、無機繊維径の最小値は、3.2μmであった。このようにして得られたアルミナ繊維製保持シール材は、嵩密度が0.15g/cmであり、目付量が1400g/mである。
(a―5)開繊処理及びスラリ調製工程
上記工程(a−4)で得られた焼成シート状物に対し、フェザーミルを用いて開繊処理を行い、この開繊された繊維と水とを、繊維の濃度が1.5wt%となるように攪拌機に添加し、5分間撹拌した。次に、この液体に、アクリルゴムを水に分散させたラテックス(日本ゼオン株式会社製 LX−811H)をその濃度が6wt%となるように添加し、5分間撹拌した。この液体に、シリカゾルをその濃度が0.8wt%となるように添加し、1〜5分程度撹拌した。さらに、この液体に、凝集剤としてパコール292(シバスペシャリティ(Ciba Specialty Chemicals)社製)を、その濃度が0.5wt%となるように添加し、約2分間程度撹拌を行い、原料スラリを調製した。
(a−6)積層工程
得られた原料スラリをマットの形状と同形状の成形器に投入し、所定形状の原料シートを形成し、さらに脱水を行った。このとき原料シートの厚さは、マットを完成させた際の半分程度の厚さであった。
次に、この原料シートの上にカンタル線からなる図1に示した形状のヒータ161を載置し、もう一度、原料スラリを成形器に投入して脱水を行い、内部にヒータが配設された原料シートを作製した。
(a−7)圧縮、乾燥工程
この原料シートを成形器から取り出し、プレス器により圧縮するとともに、150℃の温度で40分間加熱、乾燥させ、ヒータ161が内部に配設された、平面視寸法が全長1500mm×幅100mmの保持シール材120の作製を完了した。
(2)排ガス処理体ユニットの準備工程
(b−1)成形体作製工程
平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末22.6重量%とを混合し、得られた混合物に対して、アクリル樹脂2.1重量%、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日本油脂社製 ユニルーブ)2.8重量%、グリセリン1.3重量%、及び、水13.8重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形する押出成形工程を行い、図3(a)及び図4(a)〜(c)に示す排ガス処理体ユニットの形状と略同一の形状の排ガス処理体ユニットの成形体を4つずつ作製した。
(b−2)乾燥工程
上記工程(b−1)で得られた排ガス処理体ユニットの成形体を、マイクロ波乾燥機を用いて上記生の排ガス処理体ユニットの成形体を乾燥させ、排ガス処理体ユニットの乾燥体とした。
(b−3)脱脂工程
上記工程(b−2)で得られた排ガス処理体ユニットの乾燥体を400℃で脱脂し、排ガス処理体ユニットの脱脂体とした。
(b−4)焼成工程
上記工程(b−3)で得られた排ガス処理体ユニットの脱脂体を常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成工程を行い、気孔率が45%、平均気孔径が15μm、セルの数(セル密度)が300個/inch、セル壁の厚さが0.25mm(10mil)の炭化ケイ素焼結体を製造した。
(b−5)触媒担持工程
上記工程(b−4)で得られた排ガス処理体ユニットの炭化ケイ素焼結体を、硝酸白金溶液に浸漬した後、600℃で1時間保持することにより、排ガス処理体ユニットの炭化ケイ素焼結体のセル壁に白金触媒を担持させた。
このようにして作製された炭化ケイ素焼結体は、本実施例の排ガス処理体ユニットとなる。
(3)排ガス処理体作製工程
上記排ガス処理体130を形成する方法により、保持シール材120を各排ガス処理体ユニットに巻き付け、排ガス処理体130を形成した。排ガス処理体130は全長105mmの略円柱状であり、外径は145mmであった。
(4)巻き付け工程
次に、この排ガス処理体130の外周面全体に外部保持シール材部126を巻き付けた。
この際、排ガス処理体130に巻き付けられていない、外部保持シール材部126の余剰部分を切断した。
(5)収容工程
(c−1)排ガス処理体の収容
圧入方式(スタッフィング方式)により、排ガス処理体130をケーシング110に圧入した。保持シール材120の隙間嵩密度(GBH)は0.4g/cmとした。
(c−2)導電線の導出
ケーシング110に配設された外部導出部材170から導電線163を導出した。
(触媒担体として性能の確認)
このようにして得られた排ガス浄化装置100に関し、実験用の内燃機関の排気通路に設置し、ヒータ161に電圧を印加し、排気ガスを流しながら、排ガス浄化装置100を構成する触媒担体(排ガス処理体130)の温度を測定したところ、いずれも15秒以内で、触媒として機能する400℃に到達し、触媒担体が短時間に迅速に昇温することが確認された。
本発明の保持シール材は、柱状の排ガス処理体ユニットが複数個集合して形成される排ガス処理体と、上記排ガス処理体の周囲に配設された保持シール材と、上記排ガス処理体を収容するケーシングとを備える排ガス浄化装置に用いられる保持シール材であって、無機繊維を含む平面視矩形状のマットからなり、上記保持シール材の内部にはヒータが配設されており、上記保持シール材は、上記排ガス処理体を構成する各排ガス処理体ユニット同士の間を1枚で連続して介在するように構成されていることを必須の構成要件としている。
係る必須の構成要件に、本発明の詳細な説明で詳述した種々の構成(例えば、ヒータの形状、ヒータの構成材料、ヒータの配設位置、保持シール材の構成材料、保持シール材の排ガス浄化装置への使用方法、保持シール材の製造方法等)を適宜組み合わせることにより所望の効果を得ることができる。
100、200 排ガス浄化装置
110、210 ケーシング
111 導入管
112 排出管
120、220、320、420、520 保持シール材
121、221、521 第1の主面
122、222、522 第2の主面
123、223、523 第1の端部
124、224、524 第2の端部
125、225、525 内部保持シール材部
126、226、526 外部保持シール材部
130、230 排ガス処理体
140、141、142、1140、1141、1142、240、241、242、1240、1241、1242 外方排ガス処理体ユニット
150、1150、250、1250 内方排ガス処理体ユニット
155 セル
156 セル壁
157 外周壁
158 触媒
161、261、361、461、561 ヒータ
162 262 外部端子
163、263 導電線
170 外部導出部材

Claims (6)

  1. 柱状の排ガス処理体ユニットが複数個集合して形成される排ガス処理体と、
    前記排ガス処理体の周囲に配設された保持シール材と、
    前記排ガス処理体を収容するケーシングとを備える排ガス浄化装置であって、
    前記保持シール材は、無機繊維を含む平面視矩形状のマットからなり、
    前記保持シール材の内部にはヒータが配設されており、
    前記排ガス処理体を構成する全ての前記排ガス処理体ユニット同士の間には、連続する一枚の前記保持シール材が介在されていることを特徴とする排ガス浄化装置。
  2. 前記ヒータは、保持シール材の厚さに対して、15〜50%の位置に配設されている請求項1に記載の排ガス浄化装置。
  3. 前記排ガス処理体は、複数の形状の異なる柱状の排ガス処理体ユニットを組み合わせることにより、所定の排ガス処理体の形状が形成されている請求項1又は2に記載の排ガス浄化装置。
  4. 前記排ガス処理体ユニットの構成材料は、コージェライト、炭化ケイ素及び金属からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の排ガス浄化装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の排ガス浄化装置の製造方法であって、
    内部にヒータが配設された無機繊維からなる保持シール材を作製する保持シール材作製工程と、
    複数個の柱状の排ガス処理体ユニット同士の間に、一枚の前記保持シール材を連続して介在させ巻き付け、前記柱状の排ガス処理体ユニットを複数個集合し、排ガス処理体を形成する排ガス処理体作製工程と、
    前記保持シール材をさらに前記排ガス処理体の周囲に巻き付ける巻き付け工程と、
    前記保持シール材がその周囲に巻き付けられた前記排ガス処理体をケーシング内部に収容する収容工程とを含み、
    前記保持シール材作製工程は、さらに、
    目的とする厚さより薄い無機繊維の積層体を作製する工程と、
    得られた前記無機繊維の積層体の上に前記ヒータを載置する工程と、
    前記ヒータが載置された前記無機繊維の積層体の上に、さらに無機繊維を積層する工程とを含むことを特徴とする排ガス浄化装置の製造方法。
  6. 前記収容工程の後、前記ヒータに通電を行い、該排ガス浄化装置の内部を加熱する請求項5に記載の排ガス浄化装置の製造方法。
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