JP6113908B2 - 分子検出装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、分子検出装置および方法に関する。
空気を介して人と人との間を行きかう感染性物質により、伝染病の拡大(パンデミック)が懸念される。インフルエンザウイルスなど感染源となる感染性の病原体の特定には、遺伝子の増幅過程を用いて判定を行うPCR(Polymerase Chain Reaction)法が一般的である。PCR法は、患者の喉や鼻の粘膜から検体を取り、これを用いて遺伝子レベルから正確な情報を検査する手法であり、動物や培養細胞を使った増幅に比べて正確性が高い。
しかしながら、PCR法では、液相を用いて処理を行うことや増幅処理を行う性質上、特定に至るには少なくとも数日必要とされており、さらに、バイオセキュリティーレベルが確保された実験室で行う必要があるなど、多くの制約が課される。感染が拡大している病原体の特定にかかる時間が短いほど、伝染病の拡大を最小限にとどめることができるため、短期間かつ簡易な手法で病原体を特定することが望ましい。
物質を回収または分析する手法として、気層から物質またはウイルスを取り込む手法がある。
特開2013−032982号公報 特開2011−152109号公報
しかし、上述の測定手法では、物質を分離する手法がなく、または、病原体を可能な限り濃縮して濃度を上げて人手により物質を特定する必要があり、短期間かつ簡易に病原体を特定することはできない。
本開示は、上述の課題を解決するためになされたものであり、被検出物を短時間でかつ容易に検出して特定できる分子検出装置および方法を提供することを目的とする。
本実施形態に係る分子検出装置は、イオン化部、電圧印加部、分離部および検出部を含む。イオン化部は、分子量の異なる物質を含む物質群にイオンを付着させ、イオン化物質群を得る。電圧印加部は、前記イオン化物質群に第1電圧を印加し、測定空間内で該イオン化物質群を検出面に向けて飛行させる。分離部は、飛行する前記イオン化物質群に第2電圧を印加して該イオン化物質群の飛行軌道を曲折させ、該イオン化物質群の中から、閾値以下の分子量を有する物質を除去し、該閾値よりも大きい分子量を有する物質を被検出物として抽出する。検出部は、前記検出面に付着した前記被検出物のスペクトルを得る光検出処理を行う。
第1の実施形態に係る分子検出装置を示すブロック図。 溶解部における溶解処理の一例を示す図。 第1の実施形態に係るイオン化部、電圧印加部および飛行時間分離部の配置例を示す図。 第1の実施形態に係る検出部の詳細を示す図。 検出部におけるホットスポットの第1の形成例を示す図。 検出部におけるホットスポットの第2の形成例を示す図。 検出部におけるホットスポットの第3の形成例を示す図。 検出部におけるホットスポットの第4の形成例を示す図。 グリコシド誘導体の一例を示す図。 検出部における光検出処理の詳細を示す図。 第2の実施形態に係る分子検出装置を示すブロック図。 第2の実施形態に係るイオン化部、電圧印加部および飛行時間分離部の配置例を示す図。 第2の実施形態に係る検出部の光検出処理および電子検出処理を示す図。 第3の実施形態に係る分子検出装置を含む分子検出システムを示すブロック図。 特定した被検出物に関するデータの利用例を示す図。 検出部に被検出物が付着した際のシグナルを電子倍増方式で検出した結果の一例を示す図。 第1実施例に関する被検出物のSERSスペクトルを示す図。 第2実施例に関する被検出物のSERSスペクトルを示す図。 第3実施例に関する被検出物を電子検出処理することにより得られたシグナルを示す図。 第3実施例に関する被検出物のSERSスペクトルを示す図。
公共の場においては、様々な目に見えない物質が空気中に漂っている。粒子状物質や窒素酸化物などの汚染物質は、行政により日常的に監視されている。交通量の多い道路上や野外空間における濃度を測定しているこのような装置類は、排気ガス規制が進む今日においては充分な測定が行われている。一方で、駅の構内、ビルやデパートの入り口では、空調機による送風や人々の往来によって、軽い物質が常に空気中に巻き上げられ続けている。その中には有毒な物質や感染性を持つウイルスのような物質も多く含まれている。普及している空気清浄器の類は多くの物質を捕集するが、閉鎖空間内における限定された物質の捕集を行うものであり、物質の特定を行う機器とはなっていない。このような公共性の高い施設内の多くの人が行き交う空間においては、様々な場所から持ち込まれた物質が浮遊することになる。その中でも最大の関心は感染性を持つ物質の類である。毎年のように新型の感染性物質が発見され、人々に脅威となる。
発展途上国における結核病原の問題では、現場での迅速な判定が必要とされている。そのため正確な判定が行える機器の開発が進められ、本国企業においても医療機器事業を手掛けているメーカーにおいて迅速機器の開発動向が見られる。このように、病原体物質の迅速特定は世界的な課題と捉えられている。一方で東アジアや欧米各国では、冬から春にかけてインフルエンザが流行する。インフルエンザの診断には現場医療機関で判定キットが使用されており、10分程度でA型B型の判定が可能となっている。しかしながら、患者が発熱を自覚して来院した後の診断であることから、患者が感染源となってさらに多くの患者を引き起こす、このような悪循環を断つには十分とは言えない状況にある。
悪循環を断ち切れない理由の1つとしては、感染者が自覚症状を認知した段階から対処が始まり、予防とは離れた時点で初めて検査が行われることにある。予防を行うためにはワクチンを用いるのが一般的である、しかしながら、ワクチンは必要量をあらかじめ蓄えておかねばならず、この備蓄量が膨大であるため、財政的にも多大な圧迫を加えている。さらに、製造に参加する業者にも経済的メリットが十分発揮されていないことから、製造業者の確保が厳しい現状にある。加えてワクチンには一定の副作用および副反応があるため、人体に対して極力避けることが望ましい。このような観点から、感染症の予防活動を有利に進めるための情報取得機器が求められている。
また、近年の新たな問題として、都市の利便性が向上する一方で、例えば海外から持ち込まれ病原体が急速に広まる、という公衆衛生上の問題が見逃せなくなっている。たとえば、インフルエンザのような病原は毎年のように拡大し、新型も発生する。社会的パニックを引き起こす懸念もあることから、「予防の視点」から抑え込みを行うことで人々に安心感を広げることが大切である。現行の対処法は、患者が発熱して病院を訪れた段階において病原体の採取が行われ、病原を培養してから検査装置類により特定作業が行われる。これには数日に及ぶ特定期間と病原を扱える特殊な設備が必要となり、現場の医療機関に対して情報のフィードバックが遅い。これに加えて、感染拡大地域を患者発生数の多い地域と同等に見なしているため、真に感染が多発している場所を特定できてはいない。小学校では患者数に応じて学級閉鎖をすれば済むが、ビジネスマンや海外からの旅行者、ベビーカーを押しているお母さん達、お年寄りなどの様々な人々が行き交う公共交通機関では安易に閉鎖や隔離を行うことはできず、感染拡大の封じ込めが有効に行われているとは言い難い。その結果、発生する患者数をあらかじめ予想して、予防的にワクチンを備蓄するという手法が取られており、行政は年間数百億円もの予算を充てている。流行するインフルエンザの型が異なれば、これらは使用されることなく廃棄される。したがって、適切な感染拡大情報を取得し、「予防の視点」に立って感染拡大場所を狭い範囲で特定して抑え込みの活動を行う、このような手法が確立されることで、感染者数の減少と備蓄ワクチン量の低減が可能となり、コンパクトシティー化が進む今日の社会の中でも、一人一人の健康維持が着実に行うことができる。特に多くの感染症で犠牲になるのは小学生以下の子供たちであり、高齢化が進展する本国においては、次世代の育成のためにも感染症の拡大予防を有効に行うことは喫緊の課題と言える。
このような環境下で求められる装置は、公共の場に設置して、空気中から気体を収集し、物質の分離を行い、病原体物質などの特定を行う装置である。このような装置に類似のものは、1つに空気清浄器が挙げられる。この装置はフィルターによって成分を除去するか、もしくはマイナスイオン等により病原体物質を無力化するに留まっており、感染源となった病原体物質の特定には至らない。また物質を特定する手法として、質量分析計が挙げられるが、たんぱく質等の物質を測定するには、固体試料の作製後にレーザによる昇華のプロセスが欠かせず、直接気体成分を取り込む構造とはなっていない。装置サイズも数メーターと人の身長よりも長く大きいことや価格が数千万円に上ることから、日常的な装置として公共の場に設置するには大きな困難がある。
また、人獣共通感染症を生むニワトリやブタなどの家畜類は、特定の病原に感染していることがわかると大量に処分されることがある。これは、人への感染を未然に防止するため、やむを得ない処置として行われている現状がある。たとえば、新型のインフルエンザの発生へと結びつく鳥インフルエンザがある鶏舎で発生すると、その周辺の家畜が予防的に処分されてしまうなどの事象を引き起こす。経済的損失が大きく、倫理的観点の問題もあるのに加え、生産者の長年の努力が失われるなど、影響は広範囲に渡っている。このような処置は極力避けることが望まれる。
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る分子検出装置および方法について詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行なうものとして、重複する説明を適宜省略する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るデータ分析装置について図1のブロック図を参照して説明する。
第1の実施形態に係る分子検出装置100は、フィルター部101、溶解部102、拡散部103、イオン化部104、電圧印加部105、飛行時間分離部106および検出部107を含む。
フィルター部101は、一般的な中高性能フィルターを利用し、空気中を漂う飛沫核を含む空気を吸気として取り込み、浮遊塵などの粒子を除去する。飛沫核は、例えば、人がクシャミおよび咳などをすることにより放出される唾液成分から形成される種々の水溶性たんぱく質を含む。飛沫核は主にムチンからなる粘性の高い物質を含むので、ウイルスや細菌などの病原体粒子を巻き込んでいる。ここでは、一例としてインフルエンザウイルスおよび細菌などの感染源となりうる物質を、検出対象となる物質である被検出物として説明する。すなわち、飛沫核には、被検出物が含まれる。
このような飛沫核は、空気中ではある程度水分が失われた塊となる。水分が失われた飛沫核は非常に軽いために落下速度が遅く、駅の構内や地下通路などでは人の移動などにより舞い上げられて空気中を漂い続ける。よって、外気とともに被検出物を取り込み、フィルターを通して数ミクロン以上の大きな粒子を除去すればよい。例えば、飛沫核のような乾燥した粒子の多くは5μm程度であるので、中高性能フィルターにより20μm程度以上の塵を効率的に取り除くようにすればよい。
溶解部102は、フィルター部101を通過した飛沫核を含む吸気を溶液に溶解させる。溶解部102の詳細については、図2を参照して後述する。
拡散部103は、溶解部102において溶解した飛沫核に含まれる分子量の異なる物質、つまり内部の物質や病原体などの被検出物を拡散させる。拡散させる方法は、例えば、飛沫核を溶解させた溶液の液面に強く空気を当ててスプラッシュすればよい。または、マイクロスプレー法を用いてもよいし、ノズルを通して噴霧してもよい。なお、拡散した複数の物質を物質群とも呼ぶ。
イオン化部104は、拡散部103で拡散された物質群にイオンを付着させるイオンアタッチメントを行う。便宜上、イオンが付着した物質をイオン化物質、イオンが付着した物質群をイオン化物質群とも呼ぶ。
電圧印加部105は、イオン化部104からイオン化物質群を受け取り、イオン化物質群に電圧を印加する。イオン化物質群は、電圧が印加されることにより電場のエネルギーを受けて、測定空間内(例えば、フライトチューブ内)を後述の検出部107の検出面に向かって飛行する。
飛行時間分離部106は、測定空間内を飛行するイオン化物質群を、飛行時間に応じて分離する。イオン化物質の飛行時間は、物質の質量に応じて速度が決まるため、質量の軽いイオン化物質は速度が速くなる。よって、飛行時間によって物質の質量を選択できる。
また、飛行時間分離部106は、飛行中のイオン化物質群に対して電圧を印加し、電圧印加部105から検出部107の検出面までのイオン化物質群の飛行軌道を曲折させる。飛行時間分離部106は、イオン化物質群の中から閾値以下の分子量を有するイオン化物質を除去し、閾値よりも大きい分子量を有するイオン化物質を被検出物として抽出する。飛行時間分離部106の詳細については、図3を参照して後述する。
検出部107は、測定空間内を飛行して、検出面に付着した被検出物に対して光検出処理を行い、被検出物のスペクトルを得る。光検出処理としては、例えば、分光器を用いてラマン散乱分光または表面増強ラマン散乱(SERS:Surface Enhanced Raman Scattering)分光を検出し、被検出物に関する散乱スペクトルを得る処理を行えばよい。
次に、溶解部102における溶解処理の一例について図2を参照して説明する。
溶解部102の溶解処理として、図2に示すように溶液に飛沫核を溶解する。ムチンなどの粘性があって非常に分子量が多い分子201は、遠心力によって沈殿下層を形成しやすい。一方、ウイルスのような病原体である分子202は、溶液に上澄みの中に微小粒子として残りやすい。よって、病原体粒子のような微小粒子を多く含む飛沫核は、溶液の上澄みに被検出物であるウイルスが存在し、溶解とともに非溶解性の物質類を取り除くことができる。
なお、溶解処理を行う際、超音波を加えて飛沫核を振動させてもよい。振動させることでより効率的に飛沫核を溶解させることができる。また、遠心分離を行ってもよく、例えば、回転数を3000rpm程度、時間を10分から20分に設定すればよい。また、短時間で分離を行う必要があればより高い回転数に設定すればよい。
さらに、溶液に糖などの比重の高い物質を添加して温和な条件で遠心分離し、比重の高い糖成分と溶液の境界上に堆積した沈殿物とを選択的に取り出してもよい。ここでは、被検出物をわずかな量でも取り出して拡散できればよく、非常に分子量が多いタンパク質成分や糖成分の大部分を除去できればよい。目安として10(個/mL)程度の拡散を得られればよい。
高分子量としては、分子量が3000よりも大きい分子を想定する。一般に分子量3000は、低分子量の糖類いわゆるオリゴ糖類と、高分子量の糖類いわゆる多糖類とを分ける境界として認知される。本実施形態では、分子量が3000以下の物質は、想定している被検出物に該当しないこととする。
次に、第1の実施形態に係るイオン化部104、電圧印加部105および飛行時間分離部106の配置例について図3の概念図を参照して説明する。
図3は、イオン化部104、電圧印加部105および飛行時間分離部106の配置関係を示す。イオン化部104は、拡散部103で拡散された被検出物とキャリアーガスとが供給され、物質にイオンを付着させる。例えば、100Pa程度の真空下でリチウムまたはナトリウムを含む酸化物を250℃付近まで加熱してイオンを発生させ、発生したイオンを物質に付着させることでイオン化し、複数のイオン化物質からなるイオン化物質群を生成する。酸化物は、リチウム酸化物とアルミニウム酸化物とシリコン酸化物とから構成されており、これらのモル比は、効率的にリチウムイオンを放出するために1:1:1とすることが望ましい。こうすることで、物質を非破壊でイオン化させることができる。なお、リチウムイオンに限らずナトリウムイオンでもよい。
本実施形態に係るイオン化部104では、レーザ光を用いてイオンを発生させる手法のようにラジカルが生じる心配が無いため、被検出物を安定的にイオン化することができる。
イオン化物質群は、ソースイオンレンズを通過することでイオン径が整えられる。なお、ソースイオンレンズが電圧印加部105を兼ねる構成でもよい。電圧印加部105は、数kv程度の電圧を印加してイオン化物質群を加速させ、イオン化物質群を高真空のフライトチューブ内に導く。イオン化物質群は、フライトチューブ内を飛行する。
ここで、被検出物が多くのタンパク質から構成されるウイルスのような病原体である場合、被検出物の質量は非常に大きい。一方、水やにおい物質、溶剤の蒸気などは質量が比較的小さい。よって、これらの質量差を利用することでもイオン化物質を分離できる。つまり、低分子量の水および窒素などの不純物は、イオンアタッチメントが有効に行われないので、測定空間内を飛行できず、減圧下で除去されることになる。
フライトチューブ内では、運動エネルギーに比例して、質量が小さい物質は飛行速度が速く、質量が大きい物質は飛行速度が遅いという特性がある。このような特性は、式(1)の関係式で表せる。
Figure 0006113908
ここで、tは飛行時間、mは質量である。
図3の例では、イオン化物質301が質量m1であり、イオン化物質302が質量m2であり、イオン化物質303が質量m3であり、それぞれフライトチューブ304内を飛行している。ここで、質量の大きさが、m3>m2>m1という関係であると仮定すると、3つのイオン化物質の中で、最も小さい質量m1を有するイオン化物質301は飛行速度が最も速く、最も大きい質量m3を有するイオン化物質303は飛行速度が最も遅くなる。
飛行時間分離部106は、ウイルスのような質量が大きいイオン化物質を検出し、質量が小さいイオン化物質を後段の検出部107に到達させないため、イオン化物質の飛行軌道を曲折するように電圧を印加する。電圧が印加されることにより、質量が小さいイオン化物質は容易に飛行軌道が曲折するが、質量が大きいイオン化物質は運動エネルギーが大きいため容易に曲折せず、直線的な軌跡を描いて飛行を続けることになる。
よって、飛行時間分離部106において印加する電圧の値を適宜調整することで、所望のイオン化物質(被検出物)を検出部107に到達させつつ、不要なイオン化物質を除去することができ、被検出物と不要な物質とを分離することができる。さらに、飛行軌道を曲折させてイオン化物質を分離するため、イオン化物質の質量差のみに基づいてフライトチューブ304内で分離する手法よりも、フライトチューブ304の長さを短くすることができる。
なお、電圧により生じる電場の向きは、第1被検出物が検出部107へ到達しないように飛行軌道を曲折すればよい。図3の例では、イオン化物質の飛行軌道の基準線(破線)に対して垂直に電場E1、E2およびE3を生じるように電圧を印加する。
飛行時間分離部106で印加する電圧は、式(2)および式(3)を満たすように設定すればよい。
Figure 0006113908
ここで、Vは加速電圧、Eは飛行軌道を曲折させるための電極電圧、mはイオン化物質の質量、vはイオン化物質の速度、rは飛行軌道の軌道半径、hは電極間距離の半分に相当する電極の基準線からの距離、eは電気素量である。
なお、図3の例では、電圧を3つのセグメントに区切ってそれぞれ電圧を印加する例を示す。電圧印加部105に最も近いセグメントから検出部107に向かって順に、セグメント305、セグメント306およびセグメント307とする。一例として、セグメント305の電圧に対して、セグメント306およびセグメント307の電圧が小さくなるように設定すればよい。
また、これに限らず、電圧印加部105で印加する電圧(加速電圧)を考慮して設定してもよい。加速電圧により飛行するイオン化物質群に対して、飛行時間分離部106で最初に印加するセグメント305の電圧を相対的に大きくして、初期の変位角度を大きくすることが望ましい。本実施形態では、電圧を3つのセグメントに区切ってそれぞれ電圧を印加する例を示すが、これに限らず球面電場を印加してもよい。
次に、第1の実施形態に係る検出部107の詳細について図4を参照して説明する。
図4に示す検出部107の検出面には、基板401に複数のギャップ402が配置される。ギャップ402は、厚みがナノメータサイズであり、ギャップ402間にホットスポット403が形成される。なお、ホットスポット403の高さは、ナノメータサイズであることが望ましく、1nm程度であることが望ましい。また、ホットスポットの間隔は電場増強効果に与える影響が大きいため、ギャップ402間がナノメータサイズとなるように設計されればよく、特に10nm以下に設定されることが望ましい。
検出部107に到達した被検出物がホットスポット403に付着した場合、検出部107は、ホットスポット403に向けて光を入射し、ホットスポット403から散乱した光をフォトディテクターによって読み取る。入射された光が電場増強されることで、光強度が10ほど増強され、ホットスポットに到達した被検出物の表面増強ラマン散乱分光を得ることができる。表面増強ラマン散乱分光は、波長と光強度との関係性により、被検出物ごとに固有のスペクトルを有するので、固有のスペクトルを解析することで被検出物を一意に特定することができる。
なお、検出部107の検出面に到達して付着した被検出物は、基準線404に近い位置に付着した被検出物ほど質量が大きく、基準線から被検出物の飛行軌道が曲折する方向に離れるほど被検出物の質量が小さい。よって、変位および入射光の位置から測距離法により質量または分子量も同時に算出することができる。
次に、検出部107の検出面におけるホットスポットの形成例について図5Aから図5Dまでを参照して説明する。
図5Aは、第1の形成例であり、レジストを用いたナノパターニングでパターン部を形成することにより、ホットスポットを含む検出部107を生成する例である。
具体的には、レジスト材料により形成される基板501を電子線でパターン部を描画して感光させたのち、不要部分を溶解する。そして、レジストパターンが形成された状態でプラズマによるエッチングを行う。これにより、パターン部502がナノギャップとなり、ナノギャップ間でホットスポット503が形成される。この手法によれば、1度の描画で複数のホットスポット503を同時に形成することができるため、多数のホットスポット503を並列した検出部107を生成する場合に適している。
図5Bは、第2の形成例であり、パターニングの別例を示す。図5Bは、パターニング時に広い幅のホットスポットを形成し、後から金属を蒸着し、ナノサイズであるナノ構造物層によりホットスポットを形成する場合である。
例えば、基板501にパターン部502を幅200nm、間隔10nmで作製しておき、後から接着層としてチタンおよびクロムなどを蒸着し、ナノ構造物層として接着層の上に金および銀などの5nm程度蒸着して蒸着部504を形成する。この際、パターン部502を傾けて蒸着を行うことで、ホットスポット503の形状を変化させてもよく、複数のホットスポットの形状を有することにより被検出物を効率的に付着させることができる。
図5Cは、第3の形成例であり、ナノ粒子を用いてホットスポットを形成する例を示す。
ナノ構造物層として、化学的に合成した金および銀のナノ粒子505を基板表面に塗布して作製してもよい。ナノ粒子505同士が近接した部位がホットスポットとして作用することになる。ナノ粒子505は、数nm程度であることが望ましい。
図5Dは、第4の形成例であり、パターンされた基板506のギャップ間にナノ粒子505を複数配置する例を示す。このようにすることで、検出部107のホットスポットの面積を増やすことができる。
図5Aから図5Dに示す金属の蒸着部504の表面およびナノ粒子505の表面は、有機分子でコーティングされていてもよい。有機分子でコーティングする場合は、被検出物によって適宜有機分子を選択することが望ましい。例えば、インフルエンザウイルスの場合は、α2,6型のシアル酸含有ガラクトース分子で表面をコーティングするのが望ましく、リシンおよび志賀毒素のような物質の場合は、グリコシド誘導体で表面をコーティングすればよい。
グリコシド誘導体の一例を図6に示す。
グリコシド誘導体として、図6に示すような糖鎖構造が分子構造の一部に設けることが望ましい。また、ナノ粒子として金および銀の少なくともどちらか1つを用いる場合には、ナノ粒子表面をコートする有機分子の構造にアミノ基、カルボニル基、チオール基、スルフィド基、ジスルフィド基などを設けてナノ粒子金属表面と結合を得る。ナノ粒子を利用する場合には基板の上に堆積させて利用したり、プリズムの表面に堆積させて利用することで光学的な測定を容易にすることができる。
次に、検出部107における光検出処理の詳細について図7を参照して説明する。
光検出処理では、図7に示す検出部107において被検出物が付着する検出面701に対し、対物レンズ702を用いてレーザ光703を集光しつつ照射し、検出面701近傍での励起パワーが数mW程度となるように調整する。レーザ光703は、例えば、波長が785nm程度で100mW程度の出力があればよい。
対物レンズ702により集光されるレーザ光703の径は1μm程度であり、ホットスポットに付着する被検出物の大きさよりも1桁程度大きいため、検出部107に被検出物がランダムに付着しても被検出物にレーザが照射されることにより発生するラマン散乱光を得ることができる。なお、ホットスポットよりもサイズが大きい被検出物が付着しても問題とならない。これは、複数のホットスポットにまたがって被検出物が付着しても電場増強が起こり、ラマン散乱光を得ることができるからである。
このレーザ光703によって表面増強ラマン散乱した散乱光は、対物レンズ702に入射し、分光と光検出とが行われる。光検出では、ラマン散乱分光を観測して波長(カイザー:cm−1)と強度との関係を表すスペクトルを得ることができる。なお、検出部107におけるラマン散乱光の観測は、一般的なラマン測定処理を行えばよいので詳細な説明は省略する。
なお、対物レンズ702を移動させることにより、検出面701に付着する被検出物について光検出処理を行ってもよいが、レーザ光703の光路からのずれを避けるために、検出部107を移動および回転させることが望ましい。例えば、被検出物が飛行してきた方向(図7中飛行軌道704)から検出面701を90度傾けることによって向きを変えればよい。このようにすることで、対物レンズ702と近接しやすくなり、被検出物の飛行軌道と重なることなく対物レンズ702を配置でき、光路のずれを抑制することができる。 なお、表面増強ラマン散乱でも被検出物を観測しにくい場合は、被検出物をトラップすることが望ましく、イオントラップが有効である。イオントラップは、直流式と交流式とに分かれているが、Mathieuの方程式に従ってイオンを補足できるので、イオントラップを利用して被検出物を十分に補足することができる。
以上に示した第1の実施形態によれば、空気中に浮遊するウイルスなどの物質を被検出物として、被検出物にイオンを付着させた後に電圧を印加して測定空間内を飛行させ、さらに電圧を印加してイオン化物質の飛行軌道を曲折することで、不要なイオン化物質を除去し、所望の質量を有するイオン化物質のみを被検出物として非破壊で検出部に到達させることができる。検出部に到達した被検出物に対して表面増強ラマン散乱等による光検出処理を行い、非破壊で取り込んだ被検出物を短期間かつ容易に特定できる。
また、イオン化物質の飛行軌道を曲折することにより、測定空間であるフライトチューブの長さを短くすることができ、分子検出装置の小型化を実現できる。
(第2の実施形態)
分子検出装置に入ってきた別の物質を、測定したい被検出物として誤って検出する可能性がある。このような誤検出を防ぐためには多重の検出機構を設けることが望ましく、1つの検出部によらずに複数の検出方式によってデータを取得し評価することで、誤りを防止することができる。しかし、検出を行う際に複数の検出部を異なる場所に設けると、装置体系の体積の増加を招いたり、極めて少量の被検出物を測定したい場合には効率が良ないといったデメリットが生じてしまう。
そこで第2の実施形態では、1つの検出部において、光検出処理と電子検出処理とを併せて行うことで、誤検出を防止し、かつ効率よく被検出物の検出処理を行うことができる。
第2の実施形態に係る分子検出装置について図8を参照して説明する。
第2の実施形態に係る分子検出装置800は、フィルター部101、溶解部102、拡散部103、イオン化部104、電圧印加部105、飛行時間分離部801および検出部802を含む。
フィルター部101、溶解部102、拡散部103、イオン化部104、電圧印加部105の動作については、第1の実施形態と同様の動作を行うのでここでの説明を省略する。
飛行時間分離部801は、第1イオンレンズ803、四重極804および第2イオンレンズ805を含む。
第1イオンレンズ803は、後段の四重極804のために、フライトチューブ内を飛行するイオン化物質群の径を整える。
四重極804は、第1イオンレンズ803において径が整えられたイオン化物質群に対して、任意の電圧条件に適合する物質以外を極の外にはじき出し、所望の分子量を有するイオン化物質を被検出物として抽出する。
第2イオンレンズ805は、所望の分子量を有するイオン化物質の径をさらに絞り、イオン化物質が中央に集まるようにする。
検出部802は、到達した被検出物に対して、表面増強ラマン散乱によるラマン散乱光を検出する光検出処理と、グラフェン層により電子的に検出する電子検出処理とを行う。
次に、第2の実施形態に係るイオン化部104、電圧印加部105および飛行時間分離部801の具体例について図9の概念図を参照して説明する。
図9は、イオン化部104、電圧印加部105および飛行時間分離部801の配置関係を示す。イオン化部104および電圧印加部105の処理は、第1の実施形態と同様である。
図9では、電圧印加部105で電圧が印加されてフライトチューブ内をイオン化物質901、902および903が飛行する場合を想定する。イオン化物質901の質量はm1、イオン化物質902の質量はm2、イオン化物質903の質量はm3とし、質量の関係はm3>m2>m1であるとする。
第1イオンレンズ803では、後段の四重極804に導ける程度に、イオン化物質901、902および903の飛行軌道の径を絞る。
四重極804へ至る経路は、シケインレンズを用いて基準線から曲折した経路とするのが望ましい。曲折した経路により、イオン化部104においてイオン化処理の際に発生した中性物質およびフォトンを効率的に除去することができる。四重極804は、一般的なMathieuの方程式に従って任意の電圧条件に適合する物質以外を極の外にはじき出し、所望の分子量を有するイオン化物質(被検出物)のみを抽出することができる。図9では、例えば、イオン化物質903のみが被検出物である場合、質量がそれぞれm1およびm2であるイオン化物質901および902を四重極804の外にはじき出し、質量がm3のイオン化物質903を四重極804内に残すように、電圧条件を設定すればよい。
第2イオンレンズ805は、例えば、アインツェルレンズであり、イオン化物質903の飛行軌道の幅をレンズの外で収束させ、検出部802へイオン化物質を導く。
次に、第2の実施形態に係る検出部802の光検出処理および電子検出処理について図10を参照して説明する。
図10(a)は飛行時間分離部801と検出部802との配置の例を示し、飛行時間分離部801の先端から被検出物が放出される。なお、飛行時間分離部801の先端と検出部802との距離が遠いとイオンが広がり検出効率が低下するため、互いの距離を1cm以下程度とするのが望ましい。
また図10(b)に示すように、検出部802は、基板上にグラフェン層1001が積層され、グラフェン層1001上にナノ構造物層としてナノ粒子505が堆積される。また、グラフェン層1001の端部には電極1002が接続される。グラフェン層1001は、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法を用いればよい。シリコン、シリコン酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、炭化ケイ素などの基板上に作製するのが望ましい。ナノ粒子505としては、金および銀の少なくともいずれか1つにより形成されるナノ粒子を用いればよい。
なお、基板上にニッケルや銅またはコバルトなどの金属蒸着層を形成した後にCVDによる気相成長グラフェンを形成してもよく、不要となった金属層はエッチャントにより取り除けばよい。
ここで、光検出処理として、グラフェン層1001に堆積したナノ粒子505に付着した被検出物1003に対して、レーザ光1010を入射して表面増強ラマン散乱光1011を観測する。表面増強ラマン散乱光1010から表面増強ラマン散乱分光のスペクトルを得ればよい。
さらに、電子検出処理として、グラフェン層1001に接続されている電極1002から、被検出物が到達したときの電子信号を検出する。この電子検出処理により被検出物が到来しているかどうかを検出することができる。
なお、検出部はアレイ状に配列することが望ましく、アレイを形成する素子が数μm程度のウエルとなるように配列する。このように、1つ1つのウエルから電気信号と光信号とを取得することで、効率的に誤検出を防止することができる。
以上に示した第2の実施形態によれば、イオンレンズと四重極とを用いて不要なイオン化物質をはじき出し、所望のイオン化物質のみ被検出物として検出部に導き、検出部においてグラフェン層を用いて被検出物が到達した際の電気信号を得て、さらにラマン散乱光を観測する。これによって、光検出処理および電子検出処理の両方により被検出物を特定することができ、被検出物の誤検出を効率的に抑制することができる。
なお、第1の実施形態に係る飛行時間分離部106と第2の実施形態に係る検出部802とを組み合わせてもよい。飛行時間分離部106により被検出物の飛行軌道を曲折させて対象となる被検出物を検出部802に導いた場合でも、検出部802において光検出処理および電子検出処理の両方により被検出物を特定することができ、被検出物の誤検出を効率的に抑制することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、検出部が検出した被検出物のスペクトルとデータベースに格納されるスペクトルとを照合し、被検出物の物質を特定する点が上述の実施形態とは異なる。
第3の実施形態に係る分子検出装置を含む分子検出システムについて図11のブロック図を参照して説明する。
分子検出システム1100は、分子検出装置1101と、ネットワーク1102と、照合情報データベース(DB)1103とを含む。
分子検出装置1101は、第1の実施形態に係る分子検出装置100の構成に加え、情報送信部1104、情報受信部1105および情報照合部1106を含む。
情報送信部1104は、被検出物として想定される物質に関するスペクトルデータを要求する要求信号をネットワーク1102を介して照合情報データベースDB1103に送信する。
照合情報データベース1103は、情報送信部1104から要求信号を受け取り、要求信号に応じて、被検出物として想定される1以上の物質に関する表面増強ラマン散乱分光のスペクトル(以下、SERSスペクトルまたは参照スペクトルともいう)を、ネットワーク1102を介して分子検出装置1101に送信する。ここでは、測定時点で感染拡大に懸念が持たれる病原体のSERSスペクトルのデータを想定する。
情報受信部1105は、照合情報データベース1103から、1以上の病原体に関するSERSスペクトルのデータを受信する。
情報照合部1106は、検出部107から検出した被検出物のスペクトルのデータを、情報受信部1105から1以上の病原体のSERSスペクトルのデータをそれぞれ受け取り、検出データとSERSスペクトルのデータとを照合する。検出データのSERSスペクトルと受信したSERSスペクトルのデータとが一致すれば、被検出物がどのような物質であるかを特定することができる。
なお、検出部107で検出した被検出物のスペクトルのデータを照合情報データベース1103を含むサーバへ送信し、サーバがスペクトルの照合処理を行い、情報受信部1105がサーバから照合結果のデータを受信するようにしてもよい。このようにすることで、分子検出装置における負荷を低減することもできる。
次に、特定した被検出物に関するデータの利用例について図12を参照して説明する。
図12は、特定した被検出物の病原体に基づく感染拡大マップの作成例を示す。感染拡大マップは、どの地点でどの程度病原体が観測されているかを感染拡大レベルとして表現する。
感染拡大マップの生成は、例えば、数カ所の地点で分子検出装置1101により特定した病原体に関する情報、病原体を特定した時間情報および分子検出装置1101が設置される位置情報を含むデータを、照合情報データを含むサーバに送信し、サーバが位置情報に基づいて対応する病原体の情報をマッピングすればよい。また、分子検出装置1101が被検出物を特定した時間を関連づけてサーバに送信することで、時系列に沿って感染拡大の状況を把握することができる。
図12の例では、新宿では感染拡大レベルが「レベル5」である一方、品川では感染拡大レベルが「レベル1」である。よって、新宿では感染拡大が進んでいることが容易に把握できるので、行政および医療機関などが効率的にかつ迅速に感染拡大の予防策を講じることができる。さらに、公共の交通機関の乗車口やホーム、地下街、ビルの内部、学校および図書館など人の多い場所に分子検出装置1101を設置し、広範囲に病原体に関する検出データを取得することで、感染拡大の状況を的確に把握でき、感染への予防効果を高めることができる。
以上に示した第3の実施形態によれば、データベースから病原体などのSERSスペクトルを受信し、受信したSERSスペクトルと検出部により測定した被検出物のスペクトルとを比較することで、被検出物を特定することができる。さらに、特定した被検出物の場所、時間などを関連づけることにより、どこでどのように拡大しているかを容易に把握することができる。
以下、本実施形態に係る分子検出装置を用いた実施例について説明する。以下の第1実施例および第2実施例は、第1の実施形態に係る分子検出装置を用いた場合であり、第3実施例は、第2の実施形態に係る分子検出装置を用いた場合である。
(第1実施例)
第1実施例として、グリコヘモグロビンを被検出物として用いる場合について説明する。グリコヘモグロビンは糖尿病の因子として検査に利用される物質であり、血液中の多様な物質の1つとして存在している。具体的には、ここでは血液から分離したグリコヘモグロビンと尿素とを混合して作製するサンプルを被検出物として用いる。
被検出物を溶かす溶媒には、フィルターを通して余分なパーティクルを除去した超純水、例えばミリQウォーターと呼ばれる種類の精製水を用いて行う。これは余分な混入物、いわゆるコンタミを排除するためである。被検出物を溶解した後、スライドガラス状に噴霧して液滴を付着させる。20℃に設定したオーブンで2時間ほど乾燥させる。スライドガラスから乾燥したサンプルを剥がし取り、表1に記載した第2の例の溶液に再分散させる。
Figure 0006113908
その後、溶液を遠心分離によって沈殿を形成する。遠心分離は超遠心機相当の数千rpm程度が望ましく、3000rpmを選択して沈殿物を比較的ゆっくりと分離する。比較的高い遠心分離を行う場合は下方に沈殿するたんぱく質類が密に固着しやすいので、固着しないように留意する。主に分離した沈殿のサンプルを取り出して溶液と共に超音波ネブライザーによって液滴を発生させる。サンプルによってはキャピラリーによるエレクトロスプレーによりナノオーダの液滴を発生させる。この場合は1μm以下の液滴が形成される。
分散した液滴をイオン化部に誘導し、加熱されたリチウムイオン源から放出されるリチウムイオンによるイオン化を行う。その後、高真空中のフライトチューブ内を電圧の作用により被検出物を飛行させる。例えば、表2に示す第2の例による加速電圧を印加する。
Figure 0006113908
飛行しているイオン化物質群は、飛行時間分離部106において表2に示す第2の例の電圧2による電圧が印加される。第1セグメント300V、第2セグメント20Vおよび第3セグメント5Vの電圧が印加されることにより、飛行するイオン化物質群の飛行軌道が曲折し、銀蒸着されたホットスポットを有する検出部107に付着する。
検出部107に被検出物が付着した際のシグナルを電子倍増方式で検出した結果を図13に示す。
図13に示すグラフは、縦軸が強度であり、横軸が時間である。図13のS1およびS2に示すピークにより、被検出物が飛行して検出部107に付着したことを、電子的に確認できる。
図13に示すように、電子倍増方式で被検出物の付着を確認にしたのち、光検出処理による第1実施例に関する被検出物のSERSスペクトルを図14に示す。図14のグラフの縦軸は信号強度であり、横軸は波長(cm−1)である。図14に示すように、被検出物としてグリコヘモグロビンHbA1cのSERSスペクトルを、1000〜4000cm−1波長付近に得ることができる。
なお、比較例として、グリコヘモグロビンと尿素とを被検出物とする場合、第1の例と同様の処理を行って被検出物をイオン化部104に導き、その後に表2の第1の例を利用して、フライトチューブ内を飛行させて銀蒸着したホットスポットを利用して測定する。取得されるラマン散乱光によるスペクトルは強度が飽和し、特徴あるスペクトルを読み取れない。
(第2実施例)
第2実施例として、インフルエンザ不活化ワクチンH1N1とムチン(胃型)とを水に分散させた溶液を混合して作製するサンプルを、被検出物として用いる場合について説明する。
サンプルはスライドガラス状に噴霧して液滴を付着させた後、20℃に設定したオーブンで2時間ほど乾燥させる。スライドガラスから乾燥したサンプルを取り、溶液に再分散させる。その後、表1の第3の例を利用して、遠心分離で沈殿を形成する。形成される上澄み部分を取り出して、溶液と共に超音波ネブライザー装置によって液滴を発生させる。イオン化部104に導いてリチウムイオンによるイオン化を行った後、表2の第3の例に示す電圧を用いて、フライトチューブ内を飛行させる。金蒸着されたホットスポットが形成された検出部107に付着した被検出物の表面増強ラマン散乱光を取得する。
第2実施例に関する被検出物のSERSスペクトルを図15に示す。図15に示すように、インフルエンザH1N1のSERSスペクトルを、1000〜2000cm−1波長付近に得ることができる。
なお、比較例として、表1の第4の例を利用して、インフルエンザ不活化ワクチンH1N1とムチン(胃型)とを水に分散させた溶液を混合して作製するサンプルを被検出物として用いると、超純水とショ糖の溶液に再溶解して10000rpmで遠心分離する。第4の例を用いる場合は、固着した物体が遠心分離管内部に生成されるので、その後に超音波ネブライザーによる液滴形成、またはキャピラリーによるエレクトロスプレーのノズルからの射出に不向きとなる。
また、別の比較例として、表1の第5の例を利用して、インフルエンザ不活化ワクチンH1N1とムチン(胃型)とを水に分散させた溶液を混合して作製するサンプルを被検出物として用いると、超純水とメタノールの溶液に再溶解して遠心分離した後に、ムチン混合液の白濁沈殿が生じる。よって、その後の超音波ネブライザーによる液滴形成に不向きとなる。
(第3実施例)
第3実施例として、インフルエンザ不活化ワクチンH1N1とムチン(胃型)とを水に分散させた溶液を混合して作製するサンプルを被検出物として用いる場合には、溶媒として超純水、分離法として遠心分離を使い、加速電圧は2000Vを設定する。その後、第2の実施形態に係る飛行時間分離部801の処理により、被検出物を検出部802に導く。
ここで、検出部は、酸化アルミニウムからなるサファイア基板を用いる。サファイア基板のC軸配向面にコバルトをスパッタ蒸着で200nm程度堆積させる。コバルト相は500℃で水素アニールを施したのち、1000℃で原料ガスとしてメタンを用いてグラフェン層について化学気相成長(CVD)を行う。分子量5万〜20万のポリメチルメタクリレート(PMMA)を塗布し、3体積%の塩酸でコバルト層を除去する。PMMAと共にグラフェン層をシリコン基板上に転写し、残ったPMMAは水酸化ナトリウムなどのアルカリで除去する。
一方、硝酸銀とアミンとを水素化ホウ素ナトリウムによって還元する方法で銀ナノ粒子を作製する。作製された銀ナノ粒子は有機溶媒であるトルエン中に分散しており略1〜10nmの分布となっている。これをスピンコート法によって2000〜3000rpm程度でグラフェン層に塗布する。水分散型の銀ナノ粒子を用いても同じようにグラフェン上に塗布することができる。塗布後にはホットプレート上に置き、溶媒を充分に除去しておく。グラフェン層の末端にアルミニウムや金などの蒸着電極を形成する。この時にワイヤーボンディングを形成してもよい。このようにしてアレイ状の検出部を形成する。
次に、この検出部802に飛行時間分離部801の終端を近づけて設置する。飛行分離により抽出された被検出物は第2イオンレンズ805を経て放出され、検出部802に付着する。
飛行した物質のシグナルを検出すると、電子検出処理により2つのシグナルが分離される。インフルエンザH1N1である被検出物の電子検出処理として、グラフェンにより得られたシグナルを図16に示す。
図16のグラフの縦軸は規格化された導電変化の値であり、横軸は時間軸である。
被検出物が2回付着することで、グラフェンの標準化された導電変化が2回発生(ピーク1601、1602)しており、この導電変化を検出することで被検出物の電子検出処理を行うことができる。
インフルエンザH1N1の光検出処理として、図16の導電変化とともに得られるSERSスペクトルの検出結果を図17に示す。
図17に示すように、SERSスペクトルを1000〜2000cm−1波長付近に得ることができる。
本実施形態では、空気中に浮遊するウイルスを被検出物とするが、血液などから成分を抽出して分析してもよい。本実施形態に係る分子検出装置によれば、血液成分中のウイルス量が極めて少ない状態であっても分析を行えることで、ウイルス増殖期間を待たずに感染の有無を判別できる。
従前では、患者から採取した血液からウイルス増殖を行うには別途用意した培養細胞や孵化鶏卵を利用して、他のウイルスのコンタミを避けながら、バイオセイフティーレベルの確保された部屋で作業を行う必要がある。またリアルタイムPCRのような手法では、分析時間は比較的短いものの、前作業としてウイルスの分離抽出が必要であり、全行程を経ると多くの作業を要する。一方、本実施形態に係る分子検出装置を用いれば、ウイルスの増殖工程を経ず、より簡素な作業によって分離および検出を行うことができ、患者は発症前にウイルスの感染を知ることができる。
この例を応用すると、輸血用採血に含まれる少量のウイルスや細菌のような病原を一検体ごとに検出して特定し、作業費用と作業時間を大幅に削減すると共に、検査陽性が出るまでの検査空白期間(いわゆるウインドウ期間)を消滅させる。これによって、より安全で、より安心な医療を提供することが可能となる。
また、被検出物としてウイルスまたは細菌に限らず、その他の物質を被検出物としてもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
100,800,1101・・・分子検出装置、101・・・フィルター部、102・・・溶解部、103・・・拡散部、104・・・イオン化部、105・・・電圧印加部、106,801・・・飛行時間分離部、107,802・・・検出部、201,202・・・分子、301,302,303,901,902,903・・・イオン化物質、304・・・フライトチューブ、305,306,307・・・セグメント、401,501,506・・・基板、402・・・ギャップ、403,503・・・ホットスポット、404・・・基準線、502・・・パターン部、504・・・蒸着部、505・・・ナノ粒子、701・・・検出面、702・・・対物レンズ、703,1010・・・レーザ光、803・・・第1イオンレンズ、804・・・四重極、805・・・第2イオンレンズ、1001・・・グラフェン層、1002・・・電極、1003・・・被検出物、1011・・・表面増強ラマン散乱光、1100・・・分子検出システム、1102・・・ネットワーク、1103・・・照合情報データベース(DB)、1104・・・情報送信部、1105・・・情報受信部、1106・・・情報照合部。

Claims (14)

  1. 分子量の異なる物質を含む物質群にイオンを付着させ、イオン化物質群を得るイオン化部と、
    前記イオン化物質群に第1電圧を印加し、測定空間内で該イオン化物質群を検出面に向けて飛行させる電圧印加部と、
    飛行する前記イオン化物質群に第2電圧を印加して該イオン化物質群の飛行軌道を曲折させ、該イオン化物質群の中から、閾値以下の分子量を有する物質を除去し、該閾値よりも大きい分子量を有する物質を被検出物として抽出する分離部と、
    前記検出面に付着した前記被検出物のスペクトルを得る光検出処理を行う検出部とを具備することを特徴とする分子検出装置。
  2. 前記検出部は、前記光検出処理と、前記被検出物が前記検出面に付着したときに生じる電気信号を検出する電子検出処理とを行うことを特徴とする請求項1に記載の分子検出装置。
  3. 分子量の異なる物質を含む物質群にイオンを付着させ、イオン化物質群を得るイオン化部と、
    前記イオン化物質群に第1電圧を印加し、測定空間内で該イオン化物質群を検出面に向けて飛行させる電圧印加部と、
    飛行する前記イオン化物質群に第2電圧を印加し、該イオン化物質群の中から、閾値以下の分子量を有する物質をはじき出し、該閾値よりも大きい分子量を有する物質を被検出物として抽出する四重極と、
    前記被検出物のイオンの径を収束するレンズと、
    前記被検出物が前記検出面に付着したときに生じる電気信号を検出する電子検出処理と、前記検出面に付着した該被検出物のスペクトルを得る光検出処理とを行う検出部とを具備することを特徴とする分子検出装置。
  4. 前記光検出処理は、ナノ構造物に付着する前記被検出物の散乱光を検出する処理であり、前記電子検出処理は、グラフェンにより前記電気信号を検出する処理であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の分子検出装置。
  5. 前記検出部は、シリコン、シリコン酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、炭化ケイ素のいずれか1つによる基板上にグラフェン層が形成され、該グラフェン層上にナノ構造物層が形成され、かつ該グラフェン層の一部に電極が形成されることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の分子検出装置。
  6. 前記ナノ構造物層は、金および銀の少なくともどちらか1つを含むことを特徴とする請求項5に記載の分子検出装置。
  7. 前記被検出物を含む飛沫核を溶液に溶解させる溶解部と、
    前記溶液に含まれる前記被検出物を拡散させる拡散部とをさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の分子検出装置。
  8. 前記光検出処理は、ラマン散乱分光または表面増強ラマン散乱分光を検出する処理であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の分子検出装置。
  9. 前記イオンは、リチウムイオンまたはナトリウムイオンであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の分子検出装置。
  10. 前記被検出物は、ウイルスまたは細菌であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の分子検出装置。
  11. 前記被検出物として想定される物質を光検出処理することにより得られる参照スペクトルを受信する受信部と、
    前記参照スペクトルと前記被検出物のスペクトルとを照合する照合部とをさらに具備する請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の分子検出装置。
  12. 前記閾値は、3000であることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の分子検出装置。
  13. 分子量の異なる物質を含む物質群にイオンを付着させ、イオン化物質群を得、
    前記イオン化物質群に第1電圧を印加し、測定空間内で該イオン化物質群を検出面に向けて飛行させ、
    飛行する前記イオン化物質群に第2電圧を印加して該イオン化物質群の飛行軌道を曲折させ、該イオン化物質群の中から、閾値以下の分子量を有する物質を除去し、該閾値よりも大きい分子量を有する物質を被検出物として抽出し、
    前記検出面に付着した前記被検出物のスペクトルを得る光検出処理を行うことを特徴とする分子検出装置。
  14. 分子量の異なる物質を含む物質群にイオンを付着させ、イオン化物質群を得、
    前記イオン化物質群に第1電圧を印加し、測定空間内で該イオン化物質群を検出面に向けて飛行させ、
    飛行する前記イオン化物質群に第2電圧を印加し、該イオン化物質群の中から、閾値以下の分子量を有する物質をはじき出し、該閾値よりも大きい分子量を有する物質を被検出物として抽出し、
    前記被検出物のイオンの径を収束し、
    前記被検出物が前記検出面に付着したときに生じる電気信号を検出する電子検出処理と、前記検出面に付着した該被検出物のスペクトルを得る光検出処理とを行うことを特徴とする分子検出方法。
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