JP6111841B2 - 脱溶媒試料導入装置および脱溶媒試料導入方法 - Google Patents

脱溶媒試料導入装置および脱溶媒試料導入方法 Download PDF

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本発明は、高周波誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)、マイクロ波誘導プラズマ(MIP:Microwave Induced Plasma)、容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)等の、プラズマを励起源またはイオン化源として用いる原子スペクトルの分析に際し、分析対象元素を含む試料を効率良くプラズマへ導入するための脱溶媒試料導入装置および脱溶媒試料導入方法に関する。
プラズマを利用した原子スペクトルの分析において分析対象元素は、一般的にプラズマ内で次の過程を経て分析される。すなわち、分析対象元素を含む試料の加熱、脱溶媒(溶液試料に限る)、分解、原子化、励起、イオン化の各過程を経た後に、検出器で分析対象元素は検出される。
しかしながら、これらの過程の中で試料の加熱、脱溶媒がプラズマ内で起こることにより、分析結果に様々な悪影響を及ぼしてしまうといった問題がある。
特に溶液試料の場合、溶媒がプラズマ内に導入される。このため、プラズマの低温化による励起効率・イオン化効率の低下に起因する分析対象元素の検出効率の低下や、溶媒に起因する化学干渉・物理干渉による分析対象元素の検出効率の低下および分析精度の低下などの問題が生じる。
そこで、これらの加熱・脱溶媒の過程をプラズマ内ではなく、プラズマ外部の脱溶媒試料導入装置で行なうことで、プラズマ内ではこれらの過程で消費される分のエネルギー量を削減することができるため、分解、原子化、励起、イオン化の過程に振り向けられるエネルギー量が増大させられる。
このような脱溶媒試料導入装置を用いると各過程の効率が向上し、分析対象元素の検出効率が増大され、また溶媒に起因する化学干渉・物理干渉を抑制することができる。
一般的に、プラズマの外部で試料を脱溶媒することにより、プラズマへ導入される溶媒の量を大幅に減少させることが可能なため、発光分析および質量分析における分析対象元素の検出効率の増大効果が得られるが、脱溶媒過程において試料中の分析対象元素の輸送形態に不均一さが生じることがしばしばある。
これまでに、脱溶媒部のスプレーチャンバー内に、試料が通過する螺旋管部を設置し、螺旋管部の上部位置から界面活性剤やアルコール等をその内壁面を伝って流れ落ちさせることにより、脱溶媒された溶媒を速やかに排出するICP装置の試料導入装置が報告されている(特許文献1を参照)。しかしながら、この試料導入装置では、試料の導入経路が複雑になって、各種条件の設定ための操作の煩雑さがあり、また試料導入経路に別系統から他の溶液(界面活性剤やアルコール等)を導入するため、ヒューマンエラーによるコンタミネーション等の発生確率が非常に増大し、分析精度が低下することが課題となっていた。
また、特許文献2には、スプレーチャンバー容器の内部に、コイル状の冷却管を挿入し、冷却管の内部に冷却ガスとして液体窒素で冷却した窒素ガス、或は液体窒素を蒸発させて得られる窒素ガスを流して効率的に試料液滴群を冷却し、試料の噴霧時に生成する過剰な溶媒蒸気をより多く凝縮してスプレーチャンバーの外部へ排出し、プラズマへの蒸気圧の影響を低減することで、有機溶媒試料の安定な測定が可能となると記載されている。しかしながら、特許文献2に記載の脱溶媒法では、過冷却によるチャンバーの損傷が起こることや、冷却ガスによる温度制御が困難であることや、試料の導入経路が複雑となるために一定のキャリアガスの供給流量の確保が困難となることにより、分析精度が低下することへの対策が課題となっていた。
特開平9−318538号公報 特開2000−88755号公報
本発明は、以上の課題を解決するために創案されたものであって、その目的は、プラズマを励起源またはイオン化源として用いる原子スペクトルを分析するに際して、プラズマの外部の脱溶媒試料導入装置から流出してくる試料液滴の分散状態の不均一さを改善することによって、分析精度の向上を実現することである。
前記の目的を達成するため、本発明の脱溶媒試料導入装置は、プラズマを励起源またはイオン化源として用いて分析対象元素の原子スペクトルを分析する際に、前記分析対象元素を含む液体状の試料である試料溶液を、当該試料溶液に含む溶媒の一部を排出したうえで、前記プラズマに導入する脱溶媒試料導入装置であって、前記試料溶液を噴霧することにより、液滴化した試料溶液である試料液滴を生成するネブライザーと、前記ネブライザーに接続され、前記試料液滴を輸送するためのキャリアガスを前記ネブライザーに導入するキャリアガス導入管と、前記ネブライザーにより生成された前記試料液滴を加熱して当該加熱された試料液滴中の溶媒の一部を気化することにより当該試料液滴のサイズを縮小する加熱部と、前記試料液滴中から気化した溶媒蒸気と、サイズが縮小した前記試料液滴と、を冷却する冷却部と、前記冷却部において凝縮した溶媒を排出するドレイン排出管と、前記プラズマを発生するプラズマトーチ部に前記サイズが縮小した試料液滴を輸送する試料導入管と、前記試料導入管に接続され、前記試料液滴を分散させるための添加ガスを前記試料導入管に導入する添加ガス導入管と、を備え、前記試料液滴を前記ネブライザーから前記プラズマトーチ部に輸送する間、前記添加ガスの流量が一定であることを特徴とする。
また、本発明の脱溶媒試料導入方法は、プラズマを励起源またはイオン化源として用いて分析対象元素の原子スペクトルを分析する際に、前記分析対象元素を含む液体状の試料である試料溶液を、当該試料溶液に含む溶媒の一部を排出したうえで、前記プラズマに導入する脱溶媒試料導入方法であって、ネブライザーにより前記試料溶液を噴霧することにより、液滴化した試料溶液である試料液滴を生成する工程と、前記ネブライザーに接続されたキャリアガス導入管から前記ネブライザーに、前記試料液滴を輸送するための不活性なガスであるキャリアガスを導入する工程と、前記ネブライザーにより生成された前記試料液滴を加熱し、当該加熱された試料液滴中の溶媒の一部を気化することにより当該試料液滴のサイズを縮小する工程と、前記試料液滴中から気化した溶媒蒸気と、サイズが縮小した前記試料液滴と、を冷却する工程と、前記冷却する工程において凝縮した溶媒をドレイン排出管に排出する工程と、前記プラズマを発生するプラズマトーチ部に試料導入管から前記サイズが縮小した試料液滴を輸送する工程と、前記試料導入管に接続された添加ガス導入管から、前記試料液滴を分散させるための不活性なガスである添加ガスを前記試料導入管に導入する工程と、を有し、前記試料液滴を前記ネブライザーから前記プラズマトーチ部に輸送する間、前記添加ガスの流量が一定であることを特徴とする。
また、本発明の脱溶媒試料導入方法では、前記添加ガスの成分は、前記キャリアガスの成分と同一であることが好ましい。
また、本発明の脱溶媒試料導入方法では、前記添加ガスの流量を前記キャリアガスの流量で除した値が0.9〜1.2であることが好ましい。
本発明によれば、プラズマトーチ部へ試料液滴を輸送する試料導入管に、試料液滴を分散させるための添加ガスを導入するので、ガス中の脱溶媒された試料液滴の分散度合いが良好になり、十分な試料液滴の均一性が確保できる。
この試料液滴の分散性の向上効果により、分析精度の指標となる、複数回、繰り返し同一試料を定量分析した際の各分析値から算出された相対標準偏差(RSD; Relative Standard Deviation)が著しく改善されるといった利点が得られる。この効果は、誘導結合プラズマ(ICP)の場合だけでなく、マイクロ波誘導プラズマ(MIP)、容量結合プラズマ(CCP)等、プラズマを励起源またはイオン化源として用いて分析対象元素を分析する原子スペクトル分析装置においても同様に奏する。
本実施の形態に係る、脱溶媒試料導入装置の構成の一例を簡略化して示す構造図である。 本実施の形態に係る、添加ガスのキャリアガスに対する流量比(=添加ガス(Arガス)の流量/キャリアガス(Arガス)の流量)と、分析値の相対標準偏差(RSD)との関係の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態に係る脱溶媒試料導入装置の構成の一例を簡略化して示した構造図である。
本実施の形態に係る脱溶媒試料導入装置は、水やエタノールを溶媒として生成された液体状の試料L(試料溶液)を吸い上げるチューブ1と、吸い上げた試料Lを噴霧して、液滴化させる同軸ネブライザー2と、液滴化した試料Lを加熱して液滴中に含まれる溶媒を気化させる加熱式サイクロンチャンバー3と(以下、「液滴化した試料L」を必要に応じて「試料液滴」と称し、「気化した溶媒」を必要に応じて「溶媒蒸気」と称する)、試料液滴と溶媒蒸気とを冷却して、溶媒蒸気を凝縮する冷却部4と、加熱式サイクロンチャンバー3と冷却部4とにより試料液滴が気化・凝縮することで試料液滴から分離された溶媒を排除するためのペリスタルポンプ5と、ペリスタルポンプ5の動作に伴い溶媒を外部に排出するドレイン排出管6と、脱溶媒した試料液滴を、プラズマを発生させるプラズマトーチ部10へ輸送する試料導入管7と、同軸ネブライザー2の途中位置に設置されキャリアガスを(キャリアガス導入口11から)同軸ネブライザー2に導入するキャリアガス導入管8と、試料導入管7の途中位置に設置され添加ガスを(添加ガス導入口12から)試料導入管7に導入する添加ガス導入管9と、を具備している。なお、ここでは、同軸ネブライザー2を使用するとしているが、ネブライザーの種類は同軸型に限らない。
試料Lを効率良く脱溶媒するために、脱溶媒試料導入装置は、試料液滴を、加熱式サイクロンチャンバー3において加熱することで、試料液滴中の溶媒(の一部)を気化させて、試料液滴のサイズを微細化する。この際に微細化した試料液滴と気化した溶媒蒸気とに選別し、試料液滴のサイズを選別することができる。その後に冷却部4において試料液滴と溶媒蒸気とを冷却することで凝縮させて、冷却部4の直下位置に接続されたドレイン排出管6より、サイズの大きな液滴や凝縮した溶媒を排出できるようになっている。
脱溶媒を効率良く行なうには、加熱式サイクロンチャンバー3における試料液滴の加熱温度を、溶媒を気化させるために溶媒の沸点を超える加熱温度に設定し、かつ、冷却部4における試料液滴と溶媒蒸気の冷却温度を、溶媒が凝固しない範囲の冷却温度に設定することが好ましい。
さらに、本実施の形態では、試料導入管7により輸送されてくる試料液滴の分散状態の不均一さを改善するために、添加ガス導入管9(の添加ガス導入口12)から一定流量の添加ガスを流し込み、試料液滴に混合することによって、試料液滴が均一に拡散し、その分散性が向上することを可能としている。すなわち、一定流量の添加ガスを導入することによる攪拌効果によって試料液滴の分散性が向上するものと考えられる。その他の位置、例えば加熱前や冷却前に添加ガスを導入してしまうとガス量が増加することによって熱伝導に大きく影響してしまい、そもそもの脱溶媒による分析対象元素の検出効率の改善効果を最大限に得ることが困難になると考えられる。一方で、冷却後に導入する添加ガスの流量が過剰になると、試料液滴が吹き飛ばされ、試料導入管7の管壁面に吸着してプラズマへ到着する液適量にばらつきが生じ、試料液滴の分散性がかえって低下してしまうと考えられる。
添加ガスの種類は、化学的に不活性であることと、添加ガスによってプラズマ内で生成される分子イオン種が分析対象元素に対してスペクトル干渉しないことと、が重要であるという観点から、添加ガスは、試料Lのキャリアガスと(成分が)同一のものを使用する。ただし、化学的に不活性なガスであれば、添加ガスは、キャリアガスと必ずしも同じである必要はない。また、添加ガスによってプラズマ内で生成される分子イオン種の原子スペクトルが分析対象元素の原子スペクトルに対して干渉しないことが望ましいが、これらの原子スペクトルの解析に与える影響が大きくなければ、必ずしもこのようにする必要はない。尚、キャリアガスについても、これらの条件を満足するものが使用される。
添加ガスの流量としては、試料Lのキャリアガスの流量に対して特定の範囲に設定することで、当初の目的を達成し、ICP質量分析装置において従来の仕様として一般的に求められる分析精度(分析値の相対標準偏差(RSD)=3[%]以下)が達成される。
図2に、添加ガスのキャリアガスに対する流量比と、分析値の相対標準偏差(RSD)と、の関係の一例を示す。添加ガスのキャリアガスに対する流量比は、添加ガスの流量をキャリアガスの流量で除した値(=添加ガスの流量/キャリアガスの流量)であり、ここでは、試料Lのキャリアガスおよび添加ガスとしてArガスを選択した。また、添加ガスを試料Lのキャリアガスに対して、(図2の横軸に示す)各流量比で導入した。具体的に、添加ガス(Arガス)の流量/キャリアガスの(Arガス)流量を、0から1.5までの範囲において0.1刻みで設定し、設定した「添加ガス(Arガス)の流量/キャリアガス(Arガス)の流量」のそれぞれの条件で同一の試料を、複数回、繰り返し定量分析し、分析値の相対標準偏差(RSD)を算出した。この結果をプロット(◇)したグラフが図2に示すものである。
測定にあたっては、20[ng/mL]の標準溶液(米国SPEX社製 ISO17025試験所認定及びISO GUIDE34標準物質生産者認定取得)を用いて5回(N=5)測定して、分析値の相対標準偏差(RSD)を算出した。分析値の相対標準偏差(RSD)が小さいほど分析精度が高いということができる。図2から、分析値の相対標準偏差(RSD)、即ち分析値の測定のばらつきは、添加ガスのキャリアガスに対する流量比(=添加ガス(Arガス)の流量/キャリアガス(Arガス)の流量)に大きく依存していることがわかる。
添加ガスを使用しない従来法では、添加ガスのキャリアガスに対する流量比は0(添加ガス(Arガス)の流量/キャリアガス(Arガス)の流量=0)であり、分析値の相対標準偏差(RSD)は5.0[%]に上る。これに対し、添加ガスのキャリアガスに対する流量比が1(添加ガス(Arガス)の流量/キャリアガス(Arガス)の流量=1)のときには、分析値の相対標準偏差(RSD)は1[%]近くにまで下がっている。
一定の流量の添加ガスを導入することによる攪拌効果によって、試料液滴の分散性が向上し、試料液滴がより均一になり、分析精度も向上し、分析値の相対標準偏差(RSD)が低下したものと考えられる。しかし、導入する添加ガスの流量が過剰になると、試料液滴が吹き飛ばされ、試料導入管7の管壁面に試料液滴が吸着してプラズマへ到着する液適量にばらつきが生じ、試料液滴の分散性がかえって低下して不均一になり、分析精度が低下して、分析値の相対標準偏差(RSD)が増加したものと考えられる。ICP質量分析装置において、従来の仕様として、分析値の相対標準偏差(RSD)が3[%]以下であることが求められるが、当初の目的を達成するために、分析値の相対標準偏差(RSD)の上限値をさらに2割低い値に設定し、分析値の相対標準偏差(RSD)の条件を2.4[%]以下(RSD≦2.4[%])とし、この範囲の値を与える流量比(添加ガスの流量/キャリアガスの流量)として、0.9以上1.2以下の範囲の流量比にすることが望ましい。流量比をこの範囲に設定すれば、試料液滴の分散性が良好となり、分析値の相対標準偏差(RSD)が余裕をもって3[%]以下に改善される。尚、流量比(添加ガスの流量/キャリアガスの流量)は0.9以上1.2以下の範囲に限定されない。例えば、分析値の相対標準偏差(RSD)の条件を2.4[%]以下(RSD≦2.4[%])とせずに3[%]以下として、流量比(添加ガスの流量/キャリアガスの流量)の範囲を設定してもよい。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細かつ具体的に説明する。
(実施例1)
本実施例では、図1に示した脱溶媒試料導入装置を誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)に接続した。加熱温度を140[℃]、冷却温度を2[℃]にそれぞれ設定して、試料のキャリアガスとしてArガス(流量:0.80[L/min])を使用し、脱溶媒試料導入装置により脱溶媒された試料液滴の分散状態の不均一さを改善するために、添加ガスとして試料のキャリアガスと同一のArガスを0.80[L/min]の流量で導入した(添加ガスのキャリアガスに対する流量比(添加ガスの流量/キャリアガスの流量)=1.0)。その結果、20[ng/mL]のバナジウムを5回(N=5)定量分析した際の分析値の相対標準偏差(RSD)は、1.37[%]となり、3[%]を十分に下回る良好な結果が得られた(表1:本発明例の欄を参照)。これは添加ガスを所定量導入することで、試料液滴が均一に撹拌されて分散性が向上し、単一時間当たりに一定量の分析対象元素がプラズマ内部へ輸送されて、分析値のばらつきが小さくなり、相対標準偏差(RSD)が改善されたものと考えられる。
(比較例1)
比較例では、図1に示した脱溶媒試料導入装置に対し添加ガス導入管9を取り除いたものを誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)に接続した。比較例でも実施例と同様に、加熱温度を140[℃]、冷却温度を2[℃]にそれぞれ設定して、試料のキャリアガスとしてArガス(流量:0.80[L/min])を使用した。ただし、比較例では、添加ガスのキャリアガスに対する流量比(添加ガスの流量/キャリアガスの流量)は0となる。その結果、20[ng/mL]のバナジウムを5回(N=5)定量分析した際の分析値の相対標準偏差(RSD)は、5.03[%]となり、3[%]を大きく超える不良な結果となった。表1に、実施例1の実施結果(本発明例)と併せて本比較例の実施結果(従来法)を示す。本比較例(従来法)のように、添加ガスを導入しない場合には、試料液滴の分散性が良好でないために、分析対象元素の単一時間当たりの輸送量のばらつきが大きくなり、分析値のばらつきに大きく影響してしまうものと考えられる。
Figure 0006111841
尚、以上説明した本発明の実施の形態及び実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
高周波誘導結合プラズマ(ICP),マイクロ波誘導プラズマ(MIP)、容量結合プラズマ(CCP)等のプラズマを励起源またはイオン化源として用いる原子スペクトル分析装置は、鉄鋼、非鉄金属、半導体、石油、食品、医薬品等の工業分析及び環境分析等において広く使用されている。本発明を、これらの原子スペクトル分析装置に適用することによって、試料の脱溶媒による分析元素イオンの検出効率の向上を図るとともに、さらに添加ガスを導入することによって、従来問題となっていた繰り返し分析精度の向上をもたらすことが可能となる。
1 チューブ
2 同軸ネブライザー
3 加熱式サイクロンチャンバー
4 冷却部
5 ペリスタルポンプ
6 ドレイン排出管
7 試料導入管
8 キャリアガス導入管
9 添加ガス導入管
10 プラズマトーチ部
11 キャリアガス導入口
12 添加ガス導入口
L 試料溶液

Claims (4)

  1. プラズマを励起源またはイオン化源として用いて分析対象元素の原子スペクトルを分析する際に、前記分析対象元素を含む液体状の試料である試料溶液を、当該試料溶液に含む溶媒の一部を排出したうえで、前記プラズマに導入する脱溶媒試料導入装置であって、
    前記試料溶液を噴霧することにより、液滴化した試料溶液である試料液滴を生成するネブライザーと、
    前記ネブライザーに接続され、前記試料液滴を輸送するための不活性なガスであるキャリアガスを前記ネブライザーに導入するキャリアガス導入管と、
    前記ネブライザーにより生成された前記試料液滴を加熱して当該加熱された試料液滴中の溶媒の一部を気化することにより当該試料液滴のサイズを縮小する加熱部と、
    前記試料液滴中から気化した溶媒蒸気と、サイズが縮小した前記試料液滴と、を冷却する冷却部と、
    前記冷却部において凝縮した溶媒を排出するドレイン排出管と、
    前記プラズマを発生するプラズマトーチ部に前記サイズが縮小した試料液滴を輸送する試料導入管と、
    前記試料導入管に接続され、前記試料液滴を分散させるための不活性なガスである添加ガスを前記試料導入管に導入する添加ガス導入管と、
    を備え
    前記試料液滴を前記ネブライザーから前記プラズマトーチ部に輸送する間、前記添加ガスの流量が一定であることを特徴とする脱溶媒試料導入装置。
  2. プラズマを励起源またはイオン化源として用いて分析対象元素の原子スペクトルを分析する際に、前記分析対象元素を含む液体状の試料である試料溶液を、当該試料溶液に含む溶媒の一部を排出したうえで、前記プラズマに導入する脱溶媒試料導入方法であって、
    ネブライザーにより前記試料溶液を噴霧することにより、液滴化した試料溶液である試料液滴を生成する工程と、
    前記ネブライザーに接続されたキャリアガス導入管から前記ネブライザーに、前記試料液滴を輸送するための不活性なガスであるキャリアガスを導入する工程と、
    前記ネブライザーにより生成された前記試料液滴を加熱し、当該加熱された試料液滴中の溶媒の一部を気化することにより当該試料液滴のサイズを縮小する工程と、
    前記試料液滴中から気化した溶媒蒸気と、サイズが縮小した前記試料液滴と、を冷却する工程と、
    前記冷却する工程において凝縮した溶媒をドレイン排出管に排出する工程と、
    前記プラズマを発生するプラズマトーチ部に試料導入管から前記サイズが縮小した試料液滴を輸送する工程と、
    前記試料導入管に接続された添加ガス導入管から、前記試料液滴を分散させるための不活性なガスである添加ガスを前記試料導入管に導入する工程と、
    を有し、
    前記試料液滴を前記ネブライザーから前記プラズマトーチ部に輸送する間、前記添加ガスの流量が一定であることを特徴とする脱溶媒試料導入方法。
  3. 前記添加ガスの成分は、前記キャリアガスの成分と同一であることを特徴とする請求項2に記載の脱溶媒試料導入方法。
  4. 前記添加ガスの流量を前記キャリアガスの流量で除した値が0.9〜1.2であることを特徴とする請求項2または3に記載の脱溶媒試料導入方法。
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