JP6107581B2 - 耳掛け式ヘッドホン - Google Patents
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Description
耳掛け式ヘッドホンは、耳掛けハンガを耳介に掛けると本体部が外耳道を覆うように耳介に当接して、装着姿勢が安定するようになっている。
業務用無線通信用途では、トランシーバなどの無線機に接続して使用される。この用途における耳掛け式ヘッドホンの装着時間は、音楽鑑賞用途に比べて極めて長く、しかも連続で装着されるのが一般的である。
耳珠E8及び対耳珠E9は、耳介Eの耳垂E2などと比較して硬い、いわゆる腰のある突出部位である。
ヘッドホンの耳介Eに当接する面が、イヤーパッドの有無に拘わらず、特許文献1に記載されたような平面状である場合、或いは耳介E側に突出したドーム状である場合、耳介Eへの装着状態で、ヘッドホンの本体部が突出部位(耳珠E8及び対耳珠E9)に当接して、その突出部位が押し込まれた状態になることがあった。
ヘッドホンが長時間装着されていると、突出部位がその間押され続けることから、不快感が生じて良好な装着感が維持できない虞があり、改善が望まれていた。
1) スピーカユニットと、
前記スピーカユニットを収容し、前記スピーカユニットからの音声を外部に放出する放音孔が形成されたグリル部を有する本体部と、
前記本体部の一周縁部に連結された耳掛け部と、
前記グリル部に対する延在方向外側において、前記グリル部よりも放音方向に突出した耳当て部と、
を備え、
前記耳掛け部を耳介に掛けることで、前記耳当て部の外側面の一部が、前記グリル部を前記耳介側として前記耳介の対耳輪の内側に当接し、前記耳介の耳珠が、前記グリル部に対応する位置にある装着状態となるよう構成され、
前記耳当て部は、その根本における前記グリル部からの突出高さが、前記耳掛け部が連結された前記一周縁部から前記一周縁部の遠い側に向かって低く形成されていることを特徴とする耳掛け式ヘッドホンである。
以下の説明において、上下前後左右の各方向を各図の矢印の方向に規定している。この方向は、使用状態の姿勢における方向等とは関係がなく、理解容易のため便宜的に規定したものである。
耳掛式ヘッドホンの実施例はヘッドホン51であり、まず、その構成を図1〜図6を参照して説明する。図1はヘッドホン51の斜視図であり、図2は前面図であり、図3は後面図であり、図4は右側面図であり、図5は、図4に対応する部分断面図であり、図6は、左耳使用時と右耳使用時とを説明するための模式的上面図である。
コードCには、抜け防止の結び玉Caが結わかれて形成されている。
スピーカユニットSPは、振動板SPaが前ハウジング1a側となる姿勢で、本体部1の内部に収容されている。
本体部1は、この例において、後面視で概ね真円形を呈して形成されている。この後面視の形状は真円形に限定されるものではなく、長円、楕円、三角、矩形、等であってもよい。この後面視形状は、商品の外観として視認され得るため、機能に配慮しつつデザイン優先で決定されるのが一般的である。
前ハウジング1a及び後ハウジング1bは樹脂で形成されている。材料例は、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)である。
この180°以上の範囲に形成されていると、耳掛けハンガ3による耳介Eの抱え込みがより確実となり、装着姿勢がより安定するので好ましい。
ヘッドホン51では、図3などから明らかなように、弧の範囲は180°以上の約230°で形成されている。
この弾性反発力によって、本体部1を耳介Eに対し適度な付勢力で付勢する装着が可能となる。
先端部3bは、根本部3aよりも柔軟であり、容易に変形する。
これにより、耳掛けハンガ3を変形させながら行う、ヘッドホン51の耳介Eへの装着が、よりスムースになる。また、装着する耳を他方の耳に替える際に行う耳掛けハンガ3の回動時に(この回動については後述する)、干渉するブッシング2の乗り越えが容易になる。
グリル部1a1には、振動板SPaからの音声を外部に放出する放音孔1a2が、複数形成されている。
グリル部1a1における複数の放音孔1a2が形成された領域を、放音部1a3と称する。
耳当て部1a4の、その根本となるグリル部1a1との境界位置からの突出高さを突出高さHt(図5参照)とすると、耳当て部1a4は、例えば突出高さHtが一定となるように形成される(図12参照)。
また、図1及び図5などに示されるように、耳当て部1a4を周方向に延在するように形成し、耳当て部1a4の周方向の所定の位置P1の突出高さHt1を最も高く、かつ所定の位置P1から離れるほど(遠いほど)、突出高さHtが低くなるように傾斜させて形成してもよい。
すなわち、耳当て部1a4の先端稜線が仮想平面SF1に含まれるようになっている。また、仮想平面SF1は、例えば、スピーカユニットSPの軸線CL1に斜交する平面とされている。
図4などにおいて、耳当て部1a4の先端稜線が、前方に僅かに凸となる曲線状で記載されているが、機能上及び得られる効果上、実質的に傾斜角度が一定なものと同じとみてよい。
より詳しくは、図5において、回動軸線CL2を含み紙面に直交する仮想平面SF2を規定したときに、仮想平面SF1の仮想平面SF2に対する角度(劣角)は、角度θaだけ傾いている。
この角度θaの傾斜方向は、ヘッドホン51の装着状態で、上方側から下方側に向かうに従って、耳当て部1a4が頭部HDから離れる方向である。
角度θaは限定されるものではない。例えば8〜10°である。
具体的には、連結部1dの突出方向である上方とは逆の方向に引き出されている。これは、ヘッドホン51が、左右両耳に装着可能であることによる。
左耳と右耳との専用のヘッドホンとする場合、このコードCの引き出し方向は限定されるものではない。
ただし、コードCが、装着状態で耳介Eの下方側に引き出されていると、その引き回しが自然になるのでより好ましい。
図6(a)は、左耳装着を可能とする左耳用回動位置であり、図6(b)は、右耳装着を可能とする右回動位置である。
左回動位置と右回動位置との間の回動において、耳掛けハンガ3の先端部3bの回動経路上にブッシング2が存在する。すなわち、耳掛けハンガ3の回動でブッシング2が干渉する。
これに対し、耳掛けハンガ3は、特に先端部3bが極めて柔軟に形成されているので、変形させることによりブッシング2を容易に乗り越えることができる。
ヘッドホン51を、左右の両方の耳に装着可能とする場合、回動軸線CL2をスピーカユニットSPの軸線CL1と交わるように設定すると、左耳と右耳とでスピーカユニットSPの位置が同等位置になるのでよい。
図7に示される装着状態で、耳掛けハンガ3は、耳介Eにおける耳輪E1と頭部HDとの間の谷間に収められ、耳介Eの外側の根本に沿って掛けられる。
ここで耳掛けハンガ3は、上述のように、弧状に形成される範囲を約230°としているので、先端部3bの先端近傍は、耳垂E2と頭部HDの間にまで達する。
そのため、耳掛けハンガ3には、この変形を元に戻そうとする弾性反発力が発生し、この弾性反発力により、耳輪E1を耳掛けハンガ3との間で挟むように本体部1が耳介E側に付勢される。この付勢力も、ヘッドホン51の耳介Eに対する安定装着に寄与している。
本体部1における実線は外形ラインに相当し、その内側の一点鎖線で示された線LN1は、耳当て部1a4が根本のグリル部1a1と接続するラインを示している。すなわち、線LN1で囲まれた範囲がグリル部1a1に対応する範囲に相当する。
装着状態において、耳当て部1a4に対し、グリル部1a1は頭部HDから離れるように凹んだ位置にある。
そのため、耳珠E8は、グリル部1a1に当接しない状態、又は従来より少ない変形量で当接した状態、となる。
これにより、ヘッドホン51は、従来のヘッドホンの、耳当て部1a4が無くグリル部1a1が平面又は耳介E側にドーム状に凸となっていた当接面位置(平面の場合を線LN2として例示)と比べて、突出部位である耳珠E8の変形が生じない、或いは変形が生じてもわずかな変形で済むようになっている。
また、本体部1は、ヘッドホン51の装着状態で、突出部位である耳珠E8が、耳当て部1a4に対して頭部HDよりも離れる方向に凹むグリル部1a1に対応した位置にあるように形成されている。
これにより、ヘッドホン51は、長時間使用しても、不快感が生じ難く、良好な装着感が維持される。
対耳珠E9は、突出部位であるため、耳介Eの大きさの違いによって装着感に大きな差が生じる虞があり、この違いに起因する装着感の差を小さくし、個人差なくできるだけ良好な装着感が得られることが望まれる。
これにより、耳介Eの大きさの違いによる装着感の違いを良好に小さくすることができる。これについて、図11を参照して説明する。
図11(a)は、設計基準とした大きさの耳介Eにおける装着状態、図11(b)は、耳介Eよりも小さい耳介Eaにおける装着状態、図11(c)は、耳介Eよりも大きい耳介Ebにおける装着状態、が示されている。
そこで、図11(a)〜(c)では、理解容易のため、それぞれの仮想平面SF2の位置と向きが同じになるものとして説明する。
このとき、耳当て部1a4の先端稜線を含む仮想平面SF1が仮想平面SF2に対して角度θaだけ傾斜していることから、耳当て部1a4の下端の位置P3は、仮想平面SF2Aよりも後方側にある。
すなわち、ヘッドホン51を長時間装着しても、本体部1の下方側は、突出部位である対耳珠E9に当接せず、それを付勢することもない。
そのため、ヘッドホン51を長時間装着しても良好な装着感が維持される。
ここで耳垂E2は、極めて柔らかく容易に変形する部位であるため、ヘッドホン51を長時間装着しても、不快感が生じ難く、比較的良好な装着が維持される。
これにより、ヘッドホン51を長時間装着しても、本体部1の下方側は突出部位に当接せず、それを付勢することもない。
そのため、長時間装着しても良好な装着感が維持される。
ここで、耳当て部1a4の突出高さHtが、連結部1dから耳当て部1aの延在方向に沿って離れるほど低くなるように形成されていると、耳掛けハンガ3を撓ませない状態でも、耳当て部1a4の下端部位と耳掛けハンガ3との間に、ある程度の隙間が生じているため、耳輪E1の差し込みが容易となる。また、差し込む際の耳掛けハンガ3の変形量も少なくて済む。すなわち、ヘッドホン51の耳介Eへの装着がより容易となる。
領域AR1は、その下方端が、耳当て部1a4の上端に相当する位置P2であり、上方端が連結部1dの上端の位置P4である。
装着状態で、この上下方向に延びる領域AR1が頭部HDに密着するように当接するので、ヘッドホン51は、本体部1の位置P2を中心とした回動(矢印DR4)が生じ難くなっており、装着姿勢がより安定する。
これにより、床などに落としたヘッドホン51を、上から誤って靴で踏みつけてしまった場合でも、床又は靴底にはグリル部1a1ではなく耳当て部1a4が当たるようになっている。すなわち、複数の放音孔1a2が穿設されているために非穿設の場合よりも強度が低下しているグリル部1a1には過大な力が付与されず、比較的強度の高い耳当て部1a4で力を受けるようになっている。
これにより、ヘッドホン51は、グリル部1a1が破損する可能性が低い。
図13に示されるように、ヘッドホン51Aは、本体部1に対し、耳当て部1a4に対応する部分を除いた形状の本体部1Aと、耳当て部1a4に対応する形状の耳当て体1a4Aと、が組み合わされて構成される。この組み合わせの構造は、接着、溶着、嵌合装着、等の周知の方法が適用できる。
耳当て体1a4Aには、連結部1dが干渉しないように逃げ部Nが形成される。
図13には、耳当て体1a4Aとしては、突出高さHtが周方向で概ね一定となるよう形成された耳当て体1a4A1と、突出高さHtが、連結部1d側から離れるほど低くなる耳当て体1a4A2と、が例示されている。
耳当て体1a4Aは、本体部1Aに対し、着脱自在とされていてもよい。
着脱自在とする場合は、ウレタンフォームなどのフォーム材で形成し、イヤーパッドとして機能させてもよい。
業務用無線通信用途では、降雨中の使用も想定した防水性能或いは防滴性能が要求されるため、これらの性能を十分に考慮して材料選択することが必要である。この観点では、実施例で説明したように、耳当て部1a4が樹脂製の前ハウジング1aに一体的に形成されていると好ましい。
弧状の例としては、図14(a)に示されるような部分的に形成された弧状であってもよい。
また、図14(b)に示されるように、周方向に離隔した複数の柱状耳当て部1eであってもよい。
ヘッドホン51は、左右両耳に装着可能とされる場合、本体部1の後面視となる周縁部形状が、回動軸線CL2に対して線対称とされているとよい。これにより、右耳と左耳とでの装着感が同等になる。
1a 前ハウジング、 1a1 グリル部、 1a2 放音孔
1a3 放音部、 1a4 耳当て部
1a4A,1a4A1,1a4A2 耳当て体
1b 後ハウジング、 1c コード孔、 1d 連結部
1e 柱状耳当て部
2 ブッシング
3 耳掛けハンガ、 3a 根本部、 3b 先端部
51,51A ヘッドホン
AR1 領域
C コード、 Ca 結び玉、 CL1 軸線、 CL2 回動軸線
DR1 ハンガ変形方向、 DR2,3 ハンガ回転方向、 DR4 装着時のガタ方向
E,Ea,Eb 耳介
E1 耳輪、 E2 耳垂、 E3 耳輪脚、 E4 対耳輪
E5 耳甲介艇、 E6 耳甲介腔、 E7 外耳道
E8 耳珠、 E9 対耳珠
HD 頭部、 Ht,Ht1 突出高さ
LN1,LN2 線
N 逃げ部
P1 所定の位置、 P2〜P4 位置
SF1,SF2,SF2A 仮想平面
SP スピーカユニット、 SPa 振動板、 SPb 端子部
Y1 矢視方向
θa 角度
Claims (5)
- スピーカユニットと、
前記スピーカユニットを収容し、前記スピーカユニットからの音声を外部に放出する放音孔が形成されたグリル部を有する本体部と、
前記本体部の一周縁部に連結された耳掛け部と、
前記グリル部に対する延在方向外側において、前記グリル部よりも放音方向に突出した耳当て部と、
を備え、
前記耳掛け部を耳介に掛けることで、前記耳当て部の外側面の一部が、前記グリル部を前記耳介側として前記耳介の対耳輪の内側に当接し、前記耳介の耳珠が、前記グリル部に対応する位置にある装着状態となるよう構成され、
前記耳当て部は、その根本における前記グリル部からの突出高さが、前記耳掛け部が連結された前記一周縁部から前記一周縁部の遠い側に向かって低く形成されていることを特徴とする耳掛け式ヘッドホン。 - 前記耳当て部は、前記グリル部を囲む弧状又は環状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の耳掛け式ヘッドホン。
- 前記耳掛け部は、回動軸線まわりに180°以上回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の耳掛け式ヘッドホン。
- 前記本体部の周縁部形状は、前記回動軸線に対して線対称とされていることを特徴とする請求項3記載の耳掛け式ヘッドホン。
- 前記本体部は、前記耳当て部と前記耳当て部を除く部分とが、別体で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耳掛け式ヘッドホン。
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