JP6106277B2 - 尿中エキソソームmRNAおよびそれを用いて糖尿病性腎症を検出する方法 - Google Patents

尿中エキソソームmRNAおよびそれを用いて糖尿病性腎症を検出する方法 Download PDF

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Description

関連事件
本出願は、その全開示事項が参照により本明細書に組み込まれる2012年10月5日出願の米国特許仮出願番号第61/710,627号の利益を主張するものである。
本開示は、糖尿病性腎症に関連する種々のバイオマーカーの識別全般に関する。いくつかの実施形態は、糖尿病性腎症の診断に関し、より詳細には、本開示は、尿から得られたエキソソームから単離されたmRNAの識別および使用、ならびに糖尿病性腎症の認識および継続的モニタリングにおけるそれらの使用に関する。
概して、腎臓の機能は、種々の代謝廃棄物および過剰の水分を血液からろ過することである。成人の腎臓は、一日に約200クォートの血液をろ過し、その結果として、約2クォートの廃棄物および過剰水分が発生し、排せつされる。腎臓の機能性ユニットはネフロンであり、各腎臓は、約100万のネフロンを含んでいる。各ネフロンの中には、糸球体が存在し、これはろ過機構として働き、正常なタンパク質および/または細胞を血流中に保持し、過剰水分および廃棄物は透過して、ネフロンの残りの部分による処理を受けることを可能とする(例:濃縮されるか、または希釈される)。腎機能のある程度の喪失は許容することができ、腎臓が1つだけでも正常な生活を送ることができる個体も多いが、多くの場合、腎機能低下の原因は、進行性の疾患または損傷によるものである。極端な場合では、進行性の腎機能の喪失の結果として、透析またはさらには腎移植などの腎置換療法が必要となる。腎機能喪失の最も一般的な原因のうちの2つは、糖尿病および高血圧である。米国糖尿病学会からの最新のデータによると、米国人口の8%以上が糖尿病である。20万人以上の人が、糖尿病に起因する末期腎疾患により、慢性透析または腎移植で生活していた。これは、患者自身だけでなく、その家族および医療システムにとっても多大なコストとなる。
いくつかの実施形態では、糖尿病性腎症を発症する可能性が高い被験者または現在糖尿病性腎症に罹患している被験者を識別するための方法が提供され、その方法は、被験者からRNAを伴う小胞を含む尿サンプルを採取すること、サンプルから小胞を単離すること、小胞を溶解し、小胞に伴う、PPARGC1A、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、およびCD24から成る群より選択される、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAを含むRNAを遊離させること、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAを定量すること、被験者からのネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAの量と、正常な腎機能を持つ個体からの対応するRNAの量を比較すること、ならびに被験者と正常な腎機能の個体におけるRNAの量との間にてネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAの量の相違が存在する場合に、糖尿病性腎症を発症する可能性が高いまたは現在糖尿病性腎症に罹患していると被験者を識別することを含む。いくつかの実施形態では、定量は、サンプルからのRNAを逆転写酵素と接触させて、相補DNA(cDNA)を作製すること、および(ii)このcDNAを、PPARGC1A、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、およびCD24のうちの1つに特異的であるセンスおよびアンチセンスプライマー、ならびにDNAポリメラーゼと接触させて、増幅されたDNAを作製することを含む方法によって実施される。その後、mRNAの発現レベルを定量することができる(増幅DNAをサロゲートとして用いて)。
いくつかの実施形態では、方法はさらに、得られた結果に基づいて、被験者に治療を実施することも含む。例えば、薬物療法が、それ単独で、または食事制限、運動、もしくは生活習慣改善と合わせて実施されてよい。加えて、透析も実施されてよい。ある実施形態では、腎移植が行われる。
また、糖尿病性腎症に罹患している被験者を識別するための方法も提供され、その方法は、被験者からRNAを伴う小胞を含む尿サンプルを採取すること、サンプルから小胞を単離すること、小胞を溶解し、小胞に伴う、PPARGC1A、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、およびCD24から成る群より選択される、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAを含むRNAを遊離させること、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAを定量すること、ならびに被験者からのネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAの量と、正常な腎機能を持つ個体からの対応するRNAの量を比較することを含み、被験者と個体との間でのネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAの量の相違が、被験者が糖尿病性腎症に罹患していることを示す。
さらに、患者における糖尿病性腎症の進行を特定するための方法も加えて提供され、その方法は、第一の時点での患者からのRNAを伴う小胞を含む第一の尿サンプルおよび第一の時点よりも後の第二の時点での患者からのRNAを伴う小胞を含む第二の尿サンプルを採取すること、サンプルから小胞を単離すること、小胞を溶解し、小胞に伴う、PPARGC1A、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、CD24、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連する少なくとも1つのRNA、およびネフロンの糖尿病誘発性損傷に応答して変化しない少なくとも1つのRNAを含むRNAを遊離させること、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連する少なくとも1つのRNAおよびネフロンの糖尿病誘発性損傷に応答して変化しない少なくとも1つのRNAを定量すること、ならびにネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連する少なくとも1つのRNAの量とネフロンの糖尿病誘発性損傷に応答して変化しない少なくとも1つのRNAの量との間の比を特定すること、ならびに第一のサンプルと比較して、第二のサンプルにおいて、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連する少なくとも1つのRNAのネフロンの糖尿病誘発性損傷に応答して変化しない少なくとも1つのRNAに対する比が増加する場合に、患者の糖尿病性腎症の進行を識別することを含む。
初期段階の糖尿病性腎症を検出するための核酸に基づく方法も加えて提供され、その方法は、被験者からRNAを伴う小胞を含む尿サンプルを採取すること、サンプルから小胞を単離すること、小胞を溶解し、小胞に伴う、PPARGC1A、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、およびCD24から成る群より選択される、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAを含むRNAを遊離させること、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAを定量すること、ならびに被験者からのネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAの量と、正常な腎機能を持つ個体からの対応するRNAの量を比較することを含み、被験者と個体との間でのネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAの量の相違から、初期段階の糖尿病性腎症が示され、それによって初期段階の糖尿病性腎症が検出される。いくつかの実施形態では、検出は、非核酸検出法による検出の前に行われてよい。
いくつかの実施形態では、糖尿病性腎症のための治療計画を受けることを被験者に勧めるための方法が提供され、その方法は、被験者の尿の試験を指示することを含み、その試験は、被験者からRNAを伴う小胞を含む尿サンプルを採取すること、サンプルから小胞を単離すること、小胞を溶解し、小胞に伴う、PPARGC1A、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、およびCD24から成る群より選択される、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAを含むRNAを遊離させること、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAを定量すること、被験者からのネフロンの糖尿病誘発性損傷に関
連するRNAの量と、正常な腎機能を持つ個体からの対応するRNAの量を比較すること、被験者と正常な腎機能の個体におけるRNAの量との間にてネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAの量の相違が存在する場合に、糖尿病性腎症を発症する可能性が高いまたは現在糖尿病性腎症に罹患していると被験者を特徴付けること、ならびに糖尿病性腎症を発症する可能性が高いまたは現在糖尿病性腎症に罹患しているとして特徴付けられた場合に、糖尿病性腎症のための治療を受けることを被験者に推奨することを含む。いくつかの実施形態では、治療は、食事制限、運動、透析、および/または生活習慣改善のうちの1つ以上を含む。
糖尿病性腎症を持つ被験者を治療するための方法も加えて提供され、その方法は、被験者からRNAを伴う小胞を含む尿サンプルを採取すること、サンプルから小胞を単離すること、小胞を溶解し、小胞に伴う、PPARGC1A、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、およびCD24から成る群より選択される、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAを含むRNAを遊離させること、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAを定量すること、被験者からのネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAの量と、正常な腎機能を持つ個体からの対応するRNAの量を比較すること、被験者と正常な腎機能の個体におけるRNAの量との間にてネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAの量の相違が存在する場合に、現在糖尿病性腎症に罹患していると被験者を特徴付けること、ならびに糖尿病性腎症を治療するための治療を実施することを含む。いくつかの実施形態では、治療は、食事制限、運動、透析、および/または生活習慣改善のうちの1つ以上を含む。
いくつかの実施形態では、RNAの定量は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法(RT‐PCR)、リアルタイムRT‐PCR、RNAシークエンシング、ノーザンブロッティング、蛍光励起セルソーティング、ELISA、および質量分析から成る群より選択される方法を用いて行われる。所望に応じて、その他の定量方法が用いられてもよい。いくつかの実施形態では、定量は、リアルタイムRT‐PCRの使用を含む。
いくつかの実施形態では、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAの量の相違は、糖尿病性腎症の1つ以上の非分子指標と相関している。そのような実施形態では、非分子手段の使用を通して、初期分子診断を補強することができる。
いくつかの実施形態では、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAは、PPARGC1A、SMAD1、UMOD、およびSLC12A1から成る群より選択される。いくつかの実施形態では、これらのマーカーは、本明細書で開示される方法によって識別されなければ、発現もされず、検出可能でもないため、それによってネフロンへの損傷を初期に検出することが可能となる(例:確立された症状が出現する前に)。
いくつかの実施形態では、サンプルからの小胞の単離は、尿をろ過することを含む。いくつかの実施形態では、ろ過によって、小胞はフィルター上にトラップされる。溶解は、小胞がフィルター上にトラップされた状態で行われる。
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、(1もしくは複数の)尿サンプルを遠心分離して細胞片を除去することを含む。いくつかの実施形態では、遠心分離は、小胞を単離する前に実施される。いくつかの実施形態では、方法は、遠心分離した尿の上澄をろ過することによって小胞をさらに濃縮することを含む。
いくつかの実施形態では、糖尿病性腎症は、I型またはII型糖尿病に起因する。ある実施形態では、I型またはII型糖尿病はまだ診断されていない。
いくつかの実施形態では、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連するRNAは、ポリ(A)+RNAを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法を用いて複数の被験者をスクリーニングし、その糖尿病性腎症を発症する可能性の特定、および/または初期段階の糖尿病性腎症の検出が行われる。いくつかの実施形態では、方法は、糖尿病性腎症の予防および/または治療のために被験者を治療することをさらに含む。
加えて、いくつかの実施形態では、糖尿病性腎症を検出するためのキットが提供される。例えば、いくつかの実施形態では、初期段階の糖尿病性腎症を検出するためのキットが提供され、それは(a)その糖尿病性腎症状態が評価される被験者の尿サンプルから単離されたRNAから相補DNA(cDNA)を作製するための逆転写酵素、(b)PPARGC1A、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、およびCD24のうちの1つに対して特異的である少なくとも1対のセンスおよびアンチセンスプライマー、ならびに(c)cDNAから増幅DNAを作製するためのDNAポリメラーゼを含む。
いくつかの実施形態では、キットは、尿サンプルから小胞を捕捉するためのフィルターをさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、小胞からRNAを遊離するための溶解バッファーをさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、RNAを溶解された小胞から分析容器へ運搬するための溶出バッファーをさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、加えて、RNAを受けるように構成されたマイクロプレートを含む。ある実施形態では、マイクロプレートは、プレートの各ウェル中にオリゴ(dT)を含む。
いくつかの実施形態では、キットは、トリス‐HCl、塩化マグネシウム、塩化カリウム、ならびにアデニン、チミン、グアニン、およびシトシンヌクレオチドを含むDNA増幅バッファーをさらに含む。
いくつかの実施形態では、キットは、PPARGC1A、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、およびCD24のうちの1つの増幅DNA内の領域と相補的である少なくとも1つの蛍光プローブをさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、所望に応じて、蛍光プローブを検出するための手段を含んでよい。
いくつかの実施形態では、キットは、ネフロンの糖尿病誘発性損傷の検出を可能とする。いくつかの実施形態では、ネフロンの糖尿病誘発性損傷は、糖尿病性腎症の1つ以上の非分子指標と相関している。
いくつかの実施形態では、キットは、糖尿病性腎症がない状態でのPPARGC1A、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、およびCD24のうちの1つの発現レベルを示すコントロールDNAをさらに含む。
いくつかの実施形態では、キットは、I型またはII型糖尿病に起因する糖尿病性腎症を検出するのに適している。いくつかの実施形態では、有利には、キットは、付随するI型またはII型糖尿病がまだ診断されていない場合に、糖尿病性腎症を検出することができる。
上記で概説し、以下でさらに詳細に示す方法は、実務者(practitioner)が行う特定の作業を記載するものであるが、それらは、別の当事者によるこれらの作業に対する指示も含んでよいことは理解されるべきである。従って、「血液試験を実施する」などの作業は、「血液試験の実施を指示する」を含む。
図1A〜1Hは、コントロールおよび糖尿病患者からのmRNAレベルの分析を示す。 図1A〜1Hは、コントロールおよび糖尿病患者からのmRNAレベルの分析を示す。 図2A〜2Hは、HbA1cの血中レベルと相関するmRNAレベルの分析を示す。 図2A〜2Hは、HbA1cの血中レベルと相関するmRNAレベルの分析を示す。 図3A〜3Hは、血清中クレアチニンレベルと相関するmRNAレベルの分析を示す。 図3A〜3Hは、血清中クレアチニンレベルと相関するmRNAレベルの分析を示す。
一般事項
患者の症状の解釈、その病歴の評価、および身体検査の成績が、初期診断を下すために通常は用いられ、それは多くの場合、1つ以上の医学的試験によって補強される。多くの診断用医学的試験は、サンプルの採取が比較的非侵襲的であることから、患者から採取された血液に対して行われる。試験では、サンプル中の特定の分子の濃度が測定されてよく、これは次に、正常濃度(例:健康な範囲)と、または患者からの以前のサンプルで測定された濃度と比較される。糸球体濾過率(GFR)もしくは特定の薬効マーカー化合物のクリアランスの測定などのその他の試験も、腎機能評価に利用可能であり得る(例:経時での尿サンプルの分析)。腎機能のための別の予後マーカーは、タンパク尿、つまり尿中のタンパク質レベルの上昇である。尿中のタンパク質(アルブミンなど)の量の増加は、腎損傷の量が連続的に増加し、それに伴って機能が喪失していることを示している。残念ながら、多くの診断試験は、著しい疾患の進行または傷害が既に発生してしまったような時点での疾患または傷害に関連した(1もしくは複数の)分子の測定可能な増加を検出するのに充分な感度でしかない。例えば、腎機能の評価という意味で、クレアチニンまたは尿素(機能している腎臓によって除去されるべき廃棄物)などの分子の血漿中濃度は、多くの場合、全腎機能のうちの著しい量(例:40%以上)が喪失されるまで、正常範囲を超えて上昇することはない。
上述のアッセイのいくつかは、マーカーまたは分子の抗原に基づく検出に依存しており、このことから、アッセイの感度という点でいくつかの制限が導入され得る。いくつかのアッセイは、血液またはその他の体液サンプルからのマーカーの識別に、より単純化された化学反応(例:色変化)を用いるが、これらも、感度の制限を受けてしまいかねない。低いアッセイ標的濃度範囲でのアッセイ精度の問題は、腎機能を損なう傷害の疾患の初期段階を検出するこれらのアッセイの能力を大きく制限するものである。従って、損なわれた腎機能の初期検出および/または診断を可能とする、腎機能を評価するための高感度、高精度、および高再現性の診断試験が求められている。
小胞に伴うRNA
以下でより詳細に考察するように、本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態は、腎臓の疾患または損傷のマーカーである特定の核酸の識別に基づいている。有利には、この核酸に基づく方法では、上記で開示される別の選択肢としてのアッセイよりも高い感度が得られる。いくつかの実施形態では、核酸は、血液または尿サンプルから得られた細胞から単離される。他の実施形態では、核酸は、細胞外に存在し、無細胞調製物中に回収される。本明細書で開示されるいくつかの実施形態が、患者の尿サンプル中に存在する小胞に伴うRNAの単離に関するものである一方で、いくつかの実施形態では、通常は血液
中または血漿中で見出されるRNA(および関連するマーカー)が、尿サンプルから単離される。ある実施形態では、これらの血液で運ばれるマーカーは、腎臓の正常な血液ろ過機能を損なわせた腎臓の損傷または疾患に起因して、尿中に存在する。
本明細書で開示されるいくつかの実施形態では、患者の体液サンプルからのRNAの捕捉、ならびに続いて行われる疾患および/または組織特異的マーカーについてのそのRNAの分析のための方法が提供される。いくつかの実施形態では、この方法は、患者の尿サンプルからのRNAを伴う小胞の単離を含む。他の実施形態では、小胞は、血漿、血清、脳脊髄液、痰、唾液、粘液、涙などから得られる。多くの診断試験は、少量の患者体液サンプルの使用に基づいて設計されており、ある実施形態では、少量(例:15〜50mLの尿)が用いられる。しかし、いくつかの実施形態は、大量の患者の尿が容易に利用可能であることから、特に有利である。
以下で述べるように、ある実施形態では、核酸は、小胞に伴うものである。ある実施形態では、検出される核酸は、腎臓の疾患および/または機能を示すものである(例:正常な腎機能を有する被験者の尿には通常存在しない)。ある実施形態では、核酸の検出は、腎疾患または傷害の重篤度および/または進行と関連している(例:核酸が、正常な腎機能を有することが既知である個体の集団と比較して、高いまたは低い濃度で患者の尿サンプル中に存在する)。ある実施形態では、尿の採取および核酸の評価が、経時で行われる(例:治療に対する患者の応答または疾患の進行をモニタリングするために)。
種々の実施形態によると、ノーザンブロット分析、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ、PCR、核酸配列ベース増幅、分岐DNA増幅、ELISA、質量分析、CHIP‐シークエンシング、およびDNAまたはRNAマイクロアレイ分析を含むRNAを定量するための様々な方法が用いられる。
RNA(およびその他の核酸)は、通常、細胞内環境中に存在する。しかし、特定の核酸は、細胞外に存在する。例えば、いくつかの実施形態では、方法は、裸の細胞外核酸(例:裸のRNA)の回収および分析を含む。大量のリボヌクレアーゼを含む細胞外環境は、通常、核酸の迅速な分解を引き起こすことから、いくつかの実施形態においてこれは有利である。
いくつかの実施形態では、核酸は、細胞外小胞に伴うものである。いくつかの実施形態では、腎疾患/機能の診断および特徴付けは、患者サンプル(例:尿)から単離されたRNA含有小胞から、特定のRNA種を検出および定量することによって行われる。1つの実施形態では、そのような小胞は、フィルター上にトラップされ、それによって、小胞からのRNAの抽出が可能となる。さらなる実施形態では、小胞の回収に遠心分離が用いられる。
核酸は、1つ以上の異なる種類の膜粒子(50〜80nmのサイズ範囲)、エキソソーム(50〜100nmのサイズ範囲)、エキソソーム様小胞(20〜50nmのサイズ範囲)、および微小胞(100〜1000nmのサイズ範囲)に伴うものであってよい。いくつかの実施形態では、これらの小胞は、単離および/または濃縮され、それによって、高リボヌクレアーゼ細胞外環境にも関わらず、小胞に伴うRNAが保存される。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法の感度は、小胞に伴うRNAの使用に基づいて改善されている(組織からの核酸の単離および/または裸の核酸の回収と比較して)。
本明細書で開示される実施形態によると、小胞に伴うRNAを効率的に捕捉し、保存するために、様々な方法が用いられてよい。いくつかの実施形態では、サンプルの非細胞部分を分画するために、密度勾配遠心分離が行われる。ある実施形態では、密度遠心分離に
続いて、小胞の沈澱またはペレット化を引き起こすために、高速遠心分離が所望に応じて行われてよい。いくつかの実施形態では、そのような手法が、時間の掛かり得るものであり、高価な専用設備を必要とし得るものであることから、小胞の回収に低速遠心分離が用いられてもよい。
いくつかの実施形態では、異なるサイズの小胞を捕捉するために、ろ過(単独で、または遠心分離と組み合わせて)が用いられる。ある実施形態では、タンパク質マーカーの表面発現に基づいて、小胞の分画捕捉(differential capture)が行われる。例えば、フィルターは、特定の表面マーカー(例:抗体を結合させたフィルター)、または特定の種類の小胞もしくは由来の異なる小胞に対して反応性であるように設計されてよい。
ある実施形態では、マーカーは、特有の小胞タンパク質またはペプチドである。ある疾患状態において、マーカーは、特定の修飾を含む場合もあり、ある実施形態では、これを用いて、特定の小胞が単離される。修飾としては、これらに限定されないが、脂質、炭水化物、およびその他の分子の付加を挙げることができ、アシル化、ホルミル化、リポイル化、ミリストリル化(myristolylated)、パルミトイル化、アルキル化、メチル化、イソプレニル化、プレニル化、アミド化、グリコシル化、ヒドロキシル化、ヨード化、アデニル化、リン酸化、硫酸化、およびセレノイル化、ユビキチン化などである。ある実施形態では、小胞マーカーは、脂質、炭水化物、核酸、RNA、DNAなどの非タンパク質を含む。
いくつかの実施形態では、その表面マーカーに基づく小胞の特異的捕捉は、「ディップスティック(dip stick)」フォーマットも可能とし、この場合、異なる捕捉分子(例:
特異性の異なる抗体)でコーティングされたプローブを患者の尿サンプル中に浸漬することによって、種類の異なる小胞の各々が捕捉される。
腎臓の構造、機能、および疾患
腎臓の解剖学的構造は、腎皮質(表層領域)および腎髄質(より内部の領域)という2つの主たる種類の組織に分けられる。腎臓の機能性ユニットであるネフロンは、腎皮質および腎髄質に広がっている。ネフロンの初期ろ過部分は、腎皮質中に位置する腎小体であり、これは、腎皮質から深く腎髄質中へと通っている腎尿細管に繋がっている。
腎小体の一部分である糸球体は、血液をろ過することによる尿の形成における第一の工程を行う。腎臓に特有の解剖学的構造により、糸球体中に高い背圧が引き起こされる(糸球体が、細静脈ではなく細動脈へと排出することに起因する)。この背圧は、ろ過プロセスを補助するものであるが、また、特定の疾患状態では、腎臓の損傷に繋がる可能性も有している。糖尿病は、血液中のグルコース(すなわち比較的大きい溶質)レベルの上昇を特徴とする。糖尿病が制御されない場合、過剰なグルコースが糸球体に対する物理的な損傷をもたらす可能性があり、これは、糸球体への初期損傷が糸球体を通る血液流速を増加させ、その結果、糸球体へのさらなるグルコース由来損傷の可能性がもたらされることから、時間の経過と共に悪化する。
糸球体を通過した後、ろ液は、腎近位尿細管、ヘンレ係蹄、遠位曲尿細管、および集合尿細管を通過する。まとめると、これらの解剖学的構造は、腎皮質から腎髄質への濃度勾配を発生させるように機能し、これが、ろ液からの水分の再吸収を可能とし、これにより、濃縮された尿が作り出され、排せつされる。
腎臓が関与する一般的な臨床状態としては、腎炎性損傷(特異的に糸球体に対して、または腎臓全体に対して)、腎嚢胞、急性腎傷害、慢性腎疾患、***症、腎結石症(腎石)、および尿路閉塞が挙げられる。様々な腎臓の癌が存在し、これらに限定されないが
、腎細胞癌、ウィルムス腫瘍、および腎細胞癌が挙げられる。
本明細書で述べるいくつかの実施形態は、腎機能および/または疾患に関連するマーカーを、高スループットのプロトコルで迅速に評価することができることから、有利である。いくつかの実施形態は、慢性腎疾患、急性腎不全、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、糸球体硬化症、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、微小変化型ネフローゼ症候群、ならびにアテローム性動脈硬化症、高血圧症、循環器疾患、肥満症、高コレステロール血症、糖尿病(例:糖尿病性腎症)、膠原病、さらには医薬もしくはその他の化合物によって引き起こされた腎臓損傷などのその他の疾患に続発する腎疾患を含むがこれらに限定されない種々の腎疾患(もしくはそれに関連する機能の喪失)を診断および/またはモニタリングするために用いられる。
いくつかの実施形態では、腎臓脈管構造への、特に腎臓血管の内皮への損傷が、腎臓内皮細胞特異的mRNAを評価することによって検出される。本発明のある実施形態では、マーカーは、内皮細胞マーカーのフォン・ヴィルブランド因子(VWF)、トロンビン、第VIII因子、プラスミン、およびフィブリンなど、血液ホメオスタシスに関連している。フォン・ヴィルブランド因子は、血小板接着のメディエータ―である血漿糖タンパク質であり、従って、それは、内皮が損傷を受けた場合に放出される。VWFは、血小板凝集および血栓形成に関与する。ある実施形態では、マーカーは、腎臓マーカーであってよく、例えば、ウロモジュリンとしても知られるタム・ホースフォール糖タンパク質(THP)、レニン、溶質輸送トランスポーター(中でも、SLC12A1、SLC22A6、SLC22A8、およびSLC22A12が挙げられる)、ウロモジュリン関連腎疾患マーカー(UMOD)、オステオポンチン(SPP1)、およびアルブミン(ALB)、腎線維症マーカー、マトリックスメタロペプチダーゼ1(MMP1)およびマトリックスメタロペプチダーゼ3(MMP3)など、糸球体マーカー(例:糸球体特異的(ポドシン(podocine)(PDCN))、腎近位尿細管マーカー(例:腎近位尿細管特異的(ウロモジュリン(UMOD))、アルブミン(ALB)、Na/K/Clトランスポーター(SLC12A1))、腎遠位尿細管特異的マーカー(例:アクアポリン9(AQP9))、腎臓‐糖尿病関連マーカーとして、これらに限定されないが、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体ガンマ、活性化補助因子1αおよびβ(PPARGC1AおよびB)、核呼吸因子1および2(NRF1および2)、エストロゲン関連受容体α(ESRRA)、アネキシンA5(ANXA5)、タンパク質キナーゼ、AMP活性化、α1およびα2触媒サブユニット(PRKAA1および2)、脱共役タンパク質1および2(UCP1および2)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質2(LRP2)、CD24、分泌リン酸化タンパク質1(SPP1)、α2‐HS‐糖タンパク質(AHSG)、SMADファミリーメンバー1(SMAD1))などが挙げられる。
本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態は、既存の診断およびモニタリングの方法と比較して予想外の利点を提供する。例えば、腎疾患のためのいくつかの診断試験は、腎臓生検を必要とし、それは、通常、針による臓器の穿刺を介して実施される。生検技術は、制御されない出血および感染などのリスクを伴う。本明細書で述べる方法は、糖尿病(または腎臓損傷のその他の原因)に起因する腎機能の喪失を示すRNAを非侵襲的に識別する機会を提供する。従って、いくつかの実施形態は、予想外なことに、付随して患者のリスクを高めることなく、腎臓の遠隔性のサンプリングおよび評価を可能とする。
直接の腎疾患または傷害を直接検出することに加えて、本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態は、それらを用いて、腎機能の喪失(またはその症状)を、真性糖尿病を例とする腎臓に特異的ではないが二次的に腎臓に影響を与えるその他の疾患と相関させることから、特に有利である。
上記で考察したように、血中グルコースレベルの上昇は、腎臓損傷、および最終的には腎機能の低下に繋がり得る。いくつかの場合では、真性糖尿病は、1つ以上の種類の循環器疾患の発症に繋がるか、またはそれを伴い、このことは、腎臓損傷をさらに悪化させ得る。正常に機能する代謝を有する健康な個体では、膵臓のベータ細胞によってインスリンが産生される。それに続くインスリンの放出によって、細胞によるグルコースの吸収が可能となる。対照的に、疾患状態では、細胞はグルコースを吸収せず、それが血中に蓄積される。これは、腎臓への合併症および/または損傷、ならびに循環器疾患(冠動脈疾患、末梢血管疾患、および高血圧症)などの合併症に繋がり得る。糖尿病の種類に応じて、糖尿病を持つ患者は、充分なインスリンを産生しないか、またはその細胞が、身体が産生するインスリンに対して適切に応答しない。多くの場合、前糖尿病の個体および/または糖尿病を持つ個体は、自身の生活または健康状態の他の局面に関連するものとして片付けられる初期症状と共に生活している。例えば、食後の悪心は、胸やけとして無視される場合があるが、実際は、その症状は、血中グルコースレベルの上昇に起因し得る。ある期間にわたってそのような症状を無視することは、症状の中でも、実際に診断される前における過剰な腎臓損傷に繋がり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法を、通常の身体検査で実施して、症状が重篤となり過ぎて不可逆的な腎臓損傷を既に受けてしまう前に、糖尿病に起因する腎臓損傷の初期マーカーを検出することができる。
いくつかの実施形態では、ハウスキーピング遺伝子産物もしくは構成的に発現する遺伝子産物、または基底細胞機能のマーカーが、糖尿病性腎症のマーカーが比較されるマーカーまたはコントロールとして用いられる。ハウスキーピング遺伝子としては、これらに限定されないが、グリセルアルデヒド3‐リン酸脱水素酵素、βアクチン(ACTB)、およびβ2ミクログロブリン(B2M)が挙げられる。当該技術分野で公知のその他のハウスキーピング遺伝子が、他の実施形態で用いられる。
いくつかの実施形態では、患者の腎臓の機能状態が経時でモニタリングされ、それによって、患者の腎機能を複数の時間点で定量することができる。このデータから、疾患の進行の追跡が可能となり、そしてこれにより、いくつかの実施形態では、医療専門家が、糖尿病性腎症などの腎疾患を持つ患者にどのような追加の治療および/または生活習慣改善が必要であり得るかに関するアドバイスを患者に与えることができる。
いくつかのそのような実施形態では、第一の尿サンプルが患者から採取され、1もしくは複数の特定の遺伝子についての小胞または粒子に伴うRNAのレベルが特定される。続いて(1もしくは複数の)サンプルが患者から採取され、特定のRNAのレベルが特定される。従って、患者の腎臓におけるいかなる変化も、第一のサンプルのRNAレベルを第二のサンプルのRNAレベルと比較することにより、またはこれらのサンプルをコントロールもしくは標準と比較することにより、特定することができる。ある実施形態では、第一および/または第二の患者サンプルの採取の前または後に、薬物療法が患者に実施されてよい。ある実施形態では、薬物療法は、薬物、栄養サプリメント、ビタミン、免疫抑制剤、抗炎症薬、麻酔剤もしくは鎮痛剤、幹細胞、移植片、または腎移植であってよい。ある実施形態では、モニタリングは、患者のカロリー摂取の低下などの栄養面での変化、または水分補給の増加、または定期的な運動の変化、または睡眠パターンの変化に関連していてよい。
方法
遊離細胞外RNAは、ヌクレアーゼによって迅速に分解されることから、診断マーカーとしては潜在的に優れていない。上述のように、いくつかの細胞外RNAは、尿中に見出すことができる粒子または小胞を伴っている。mRNAを含むこの小胞に伴うRNAは、尿中にて分解プロセスから保護されている。微小胞は、ほとんどの細胞型から発生し、細胞膜の断片から成る。微小胞は、RNA、mRNA、マイクロRNA、およびタンパク質
を含有し、それが発生した細胞の組成を反映している。エキソソームは、広範な哺乳類細胞によって分泌される小さい微小胞であり、正常な、および病理学的な条件下で分泌される。これらの小胞は、特定のタンパク質、ならびにmRNAおよびマイクロRNAを含むRNAを含有している。エキソソームはまた、腎臓によって尿中に放出される場合もあり、本明細書のいくつかの実施形態で述べるように、その検出が診断ツールとして利用され得る。尿に加えて、エキソソーム様小胞はまた、血液、腹水、および羊水などの多くの体液中にも見出され得る。いくつかの実施形態は、低分子干渉RNA(siRNA)、tRNA、および低分子活性化RNA(saRNA)などの核酸を評価する。
いくつかの実施形態では、糖尿病性腎症を持つ患者の尿からの小胞から単離されたRNAが、相補DNA(cDNA)を作製するためのテンプレートとして用いられる。いくつかの実施形態では、cDNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて増幅される。他の実施形態では、核酸およびRNAの増幅は、核酸ベース増幅(NASBA)、または核酸のプライマー依存性連続増幅(primer-dependent continuous amplification of nucleic acid)、またはリガーゼ連鎖反応などの適切ないかなる増幅技術によって行われて
もよい。核酸の定量には、その他の方法が用いられてもよく、例えば、ノーザンブロット分析、リボヌクレアーゼプロテクションアッセイ、PCR、核酸配列ベース増幅、分岐DNA増幅、ELISA、質量分析、CHIP‐シークエンシング、およびDNAまたはRNAマイクロアレイ分析などが挙げられる。
いくつかの実施形態では、糖尿病性腎症は、1つ以上のマーカーの発現を含む。いくつかの実施形態では、前記マーカーをコードするmRNAの量によって、発現の上昇が測定される(他の実施形態では、DNAまたはタンパク質が、発現レベルの測定に用いられる)。ある実施形態では、尿が患者から採取され、直接評価される。ある実施形態では、小胞が、例えばろ過または遠心分離の使用によって濃縮される。単離された小胞は、次に、溶解バッファーと共にインキュベートされて、小胞からRNAが遊離され、次にこのRNAが、定量的PCR(またはその他の適切な増幅もしくは定量技術)などの方法によって定量されるcDNAのためのテンプレートとして利用される。いくつかの実施形態では、患者の小胞からの特定のマーカーRNAのレベルが、例えば、健康な患者集団からのRNAレベル、または同一の患者からの初期時点からのRNAレベル、または同一の患者からのコントロール遺伝子などの所望されるコントロールと比較される。
いくつかの実施形態では、開示される方法により、糖尿病性腎症に関連する1つ以上のマーカーをコードするmRNAのレベルを測定することによって、糖尿病性腎症の存在または非存在の検出が可能となる。いくつかの実施形態では、開示される方法により、糖尿病性腎症に関連する1つ以上のマーカーをコードするmRNAのレベルを測定することによって、糖尿病性腎症の進行(または退縮)の評価が可能となる。これらのmRNAレベルを特定するために、ある実施形態では、mRNA含有小胞が、mRNAの単離および増幅のためのデバイスを用いて血漿から単離される。このデバイスの実施形態は、米国特許第7,745,180号、同第7,939,300号、同第7,968,288号、同第7,981,608号、同第8,076,105号、同第8,101,344号により詳細に記載されており、これらの各々は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
特定の実施形態は、複数のサンプル送達ウェル(sample-delivery wells)、ウェルの
下にある小胞捕捉フィルター、およびフィルターの下にあって固定化オリゴ(dT)を含有するmRNA捕捉ゾーンを有するマルチウェルプレートを含む。特定の実施形態では、デバイスはまた、フィルタープレートを受けてプレートとボックスとの間に密封空間(seal)を作り出すように適合された真空ボックスも含有し、それによって、真空圧が適用された場合、尿がサンプル送達ウェルから小胞捕捉フィルターを通って引き出され、それによ
り、小胞が捕捉されて、非小胞尿成分を、フィルターを洗浄することによって除去することができる。他の実施形態では、遠心分離または陽圧など、サンプルウェルおよび小胞捕捉フィルターを通して尿サンプルを引き出すその他の手段が用いられる。ある実施形態では、小胞は、一緒に層形成する複数のフィルター膜上に捕捉される。いくつかの実施形態では、捕捉された小胞は、次に、溶解バッファーで溶解され、それによって、捕捉された小胞からmRNAが遊離される。次にこのmRNAは、mRNA捕捉ゾーンに固定化されたオリゴ(dT)にハイブリダイズされる。いくつかの実施形態で用いられてよい溶解バッファーの組成に関するさらなる詳細は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,101,344号に見出すことができる。いくつかの実施形態では、cDNAが、オリゴ(dT)固定化mRNAから合成される。ある実施形態では、cDNAは、次に、疾患関連マーカーの増幅用に特に設計されたプライマーによるリアルタイムPCRを用いて増幅される。そのような実施形態で用いられるプライマーを表1に示す。ある実施形態で用いられるPCR反応についてのさらなる詳細も、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第8,101,344号に見出すことができる。
Figure 0006106277
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PCR反応の完了後、1つ以上のマーカーに対するmRNA(PCR増幅cDNAの検出量で表される)が定量される。特定の実施形態では、定量は、疾患マーカーをコードするmRNAの量を参照値と比較することによって算出される。ある実施形態では、参照値は、健康な非疾患患者にて見出されるmRNAの量である。他の実施形態では、参照値は
、ハウスキーピング遺伝子の発現レベルである。そのような特定の実施形態では、ベータ‐アクチン、またはその他の適切なハウスキーピング遺伝子が、参照値として用いられる。当該技術分野にて周知である数多くのその他のハウスキーピング遺伝子も、参照値として用いられてよい。他の実施形態では、ハウスキーピング遺伝子は、最終的な比較が、疾患患者からのマーカーの発現レベルを、非疾患(コントロール)サンプルからの同じマーカーと比較したものとなるように、補正因子として用いられる。いくつかの実施形態では、ハウスキーピング遺伝子は、上述したものなどの組織特異的遺伝子またはマーカーである。なお他の実施形態では、参照値は、マーカーの定量が絶対値で表されるように、ゼロである。いくつかの実施形態では、疾患患者からの1つ以上のマーカーの発現を、非疾患の人からの1つ以上の他のマーカーと比較した比率が得られる。
いくつかの他の実施形態では、糖尿病性腎症と関連するマーカーの発現は、患者への薬物の投与(またはその他の治療)の前および/または後に測定される。特定のそのような実施形態では、発現プロファイルを用いて、薬物化合物(例:糖尿病性腎症の治療における)の有効性の予測、または薬物化合物の副作用(例:腎機能への影響)のモニタリングを行うことができる。ある実施形態では、モニタリングされる薬物は、慢性腎疾患、急性腎不全、糖尿病性腎症、糸球体腎炎、糸球体硬化症、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症、微小変化型ネフローゼ症候群、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、循環器疾患、肥満症、高コレステロール血症、糖尿病、膠原病、癌薬物、感染、および/または免疫抑制性疾患のうちの1つ以上を治療するために投与されたものであってよい。ある実施形態では、薬物化合物は、特徴的なmRNAプロファイルの発現を誘発する。同様に、他の実施形態では、薬物は、1つ以上のマーカーの発現を阻害するものであってよい。あるそのような実施形態では、薬物治療の有効性は、特定の疾患状態と関連するマーカーの消滅(または発現の低下)によってモニタリングすることができる。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される方法は、食事制限、生活習慣の変化、または糖尿病被験者の腎臓の機能に対するその他の非伝統的(例:非薬物)療法の評価を行う。
いくつかの実施形態では、本明細書で述べる分析は、ヒト患者に適用可能である一方で、ある実施形態では、これらの方法は、動物に適用可能である(例:獣医学的診断)。
具体的な実施形態を、限定的な意味ではなく説明的な意味として考慮されるべきである以下の実施例を参照して記載する。
実施例1−糖尿病性腎症と関連するバイオマーカーの識別
多くの糖尿病患者とって、腎臓問題の早期の診断、およびこれに続く適切な治療または厳格な血中グルコース制御が、末期腎疾患を予防する唯一の方法である。しかし、上記で考察したように、腎機能試験は、比較的制限されたものであり、多くの場合、腎臓問題の初期の徴候を検出するには感度が不充分である。腎臓の侵襲的性質のために、それを定期的な診断試験として用いることはできない。
潜在的に大量の患者の尿サンプルが容易に入手可能であることを考慮して、本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態は、診断サンプルとして尿を利用する。多くの現行の診断試験は、腎機能またはその喪失を評価する目的で、尿中に排せつされる溶質を測定するか、または尿の生成速度を測定する。しかし、本明細書で開示される方法のいくつかの実施形態は、尿中に存在する核酸含有小胞の存在を利用し、腎臓特異的マーカーの単離および増幅に基づいて腎機能の高感度および特異的な診断分析を行うものである。
方法
サンプル
カリフォルニア大学サンディエゴ校の病院にて、健康なドナー(n=23)および糖尿病性腎症患者(n=23)から尿サンプルを採取した。
エキソソームmRNA分析
各尿サンプルを、1000x gで15分間遠心分離し、得られた上澄の10mLを、96ウェルエキソソーム捕捉フィルタープレートへ適用した(真空により)。次に、フィルタープレートを、2000x gでさらに5分間遠心分離した。各ウェルにおいて、アンチセンスプライマーのカクテルを含有する溶解バッファーの60μLを添加し、55℃で10分間インキュベートした。得られたライセートを、2000x gで5分間の遠心分離により、フィルタープレートからオリゴ(dT)固定化96ウェルマイクロプレートへ移した。dNTP(5mMの最終濃度)、MMLV逆転写酵素(2.7U/mLの最終濃度)、およびRNasin(0.13U/mLの最終濃度)(インビトロジェン(Invitrogen),カールスバッド,カリフォルニア州)を添加し、37℃で2時間インキュベートすることにより、cDNAを同じオリゴ(dT)固定化96ウェルマイクロプレート中にて直接合成した。続いて、cDNAを、iTaqSYBRマスターミックス(バイオラッド(BioRad),ハーキュリーズ,カリフォルニア州)を用いるリアルタイムSYBRグリーンPCRにおいて、確立された方法(例えば、全内容が参照により本明細書に組み込まれるMitsuhashi M, J Immunol Methods. 363:95-100, 2010)により用いた。PCR条
件は、PRISM 7900(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)(ABI),フォスターシティ,カリフォルニア州)を用い、65℃で1分間のアニーリング、続いて95℃で30秒間の変性の50サイクルとした。結果は、分析ソフトウェア(SDS、ABI)を用い、閾値サイクル数(Ct)として表した。Ct=32をベースラインと見なした。
mRNAの標的化
合計で23のmRNAを定量し、それには、2つのコントロール遺伝子(β‐アクチン(ACTB)およびβ2ミクログロブリン(B2M))、糸球体特異的(ポドシン(PDCN))、腎近位尿細管特異的(ウロモジュリン(UMOD))、アルブミン(ALB)、およびNa/K/Clトランスポーター(SLC12A1))、腎遠位尿細管特異的(アクアポリン9(AQP9))、ならびに腎臓‐糖尿病に関連する様々なmRNA(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体ガンマ、活性化補助因子1αおよびβ(PPARGC1AおよびB)、核呼吸因子1および2(NRF1および2)、エストロゲン関連受容体α(ESRRA)、アネキシンA5(ANXA5)、タンパク質キナーゼ、AMP活性化、α1およびα2触媒サブユニット(PRKAA1および2)、脱共役タンパク質1および2(UCP1および2)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質2(LRP2)、CD24、分泌リン酸化タンパク質1(SPP1)、α2‐HS‐糖タンパク質(AHSG)、およびSMADファミリーメンバー1(SMAD1))を含めた。
結果
糖尿病(DM)または正常(CTL)患者からの種々のエキソソームmRNAの発現レベルを比較した(図1A〜1H)。図1A/1Bに示されるように、コントロール遺伝子(β‐アクチン、ACTB)およびB2Mの発現は、糖尿病の存在または非存在に対する相違はなかった。対照的に、PPARGClA、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、およびCD24の発現は、DM患者において大きく増加している。これらのデータは、これらのmRNA(ならびに糖尿病誘導またはその他のタイプの腎臓損傷に応答して増加するその他のmRNA)が、糖尿病の存在と相関していることを示している。これらの上方制御は、疾患およびそれに関連する腎機能の喪失と関連するバイオマーカーとしてのそれらの利用可能性を示している。
各DM患者における糖尿病状態の重篤度を特徴付ける目的で、エキソソームmRNA発
現データを、HbA1c試験の結果と相関付けた。HbA1c試験は、糖尿病患者における血中グルコースレベルを経時で評価するものである。臨床医は、一般的に、5.6%以下のHbA1cを正常と見なす。5.7%から6.4%の範囲は、前糖尿病と関連し、一方6.5%以上のレベルは、糖尿病の診断に繋がる。6.5%を超える場合、HbA1cレベルの上昇は、徐々に重症化する血中グルコースの調節不全と、従って、糖尿病性腎症のリスクの増加と相関している。
図2A〜2Hに示されるように、HbA1cが僅かに増加(6〜7%)しただけであるDM患者であっても、5つの遺伝子(CD24を除くPPARGClA、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1)の発現の著しい増加を示した(健康なコントロールに対して)。HbA1cレベルの増加が少しであることを考えると、これらのデータは、これらのmRNAがDMの高感度のバイオマーカーであることを示唆している。
腎臓損傷の候補バイオマーカーをさらに評価するために、次に、尿中エキソソームmRNAを、血清中クレアチニンレベルと比較した。クレアチンリン酸は、筋肉によって代謝されてエネルギーを発生させ、クレアチニンが、廃棄物として産生される。クレアチニンは、血液によって腎臓へと運ばれ、そこで、尿中に排せつされる。一般的に、クレアチニン産生が、日による変動がほとんどない筋肉質量と関連していることから、クレアチニンレベルは、腎臓が適切に機能している場合、比較的一定に維持されるはずである。クレアチニンレベルの上昇は、ろ過の低下を示唆するものであり、これは、ネフロンに対する糖尿病誘発性損傷の際立った特徴である。図3A〜3Hに示されるように、血清中クレアチニンが僅かに増加しただけのDM患者であっても(1〜2mg/dL)、4つの遺伝子(PPARGClA、SMAD1、UMOD、SLC12A1)における遺伝子発現が著しく異なることが示された(健康なコントロールに対して)。HbA1cデータの場合のように、これらの結果は、mRNAが腎臓損傷の高感度のバイオマーカーであることを示唆している。従って、これらのマーカー、または腎臓損傷の初期段階で上昇するその他のマーカーが、いくつかの実施形態で用いられて、腎臓損傷がその最初期段階で識別される(その他の分析法が重篤な損傷を検出する前、および検出可能な症状の前に)。
考察
上記で提示されるデータは、特定のmRNAマーカーを患者の尿サンプルから単離し、処理し、定量し、糖尿病性腎症と相関付けることが可能であることを示している。これらのデータはまた、特定のマーカーが、糖尿病性腎症に罹患する患者を識別するために用いられる確立された診断マーカーと相関していたことも示している。図1に示されるように、正常な被験者を糖尿病の被験者と比較して評価した場合、特定のマーカーにおいて明らかな発現レベルの相違が存在し得る。図2および3は、いくつかのマーカーが、糖尿病に起因する腎臓への損傷の重篤度を示唆するものであることを示している。示されるように、mRNAマーカーは、従来の診断終点と相関している。しかし、有利なことには、本明細書で開示される方法は、非侵襲的であり(一方、従来の試験は血液採取が必要である)、容易に、定期的に繰り返し行うことができ、高感度である。この感度は、上記で考察したように、糖尿病性腎症の早期の検出を、多くの場合は患者または医師が症状を識別することができる前に可能とすることから、特に有利である。従って、いくつかの実施形態では、特許請求される方法は、予防的処置を行い(例:生活習慣の改善、糖尿病を制御するためのより強力な治療など)、それによって、疾患の進行を防止し、または少なくとも進行の重篤度を低減することを可能とする。加えて、現在用いられている臨床マーカーとの高度の相関により、本明細書で開示される方法を用いて、疾患の重篤度を示唆するものを含む糖尿病性腎症の追加の遺伝子マーカーを識別することが可能となる。
上記で開示される実施形態の特定の特徴および態様の種々の組み合わせまたはサブ組み合わせが行われてよく、それでも本発明の1つ以上の範囲内に含まれることが意図される
。さらに、実施形態に関連する特定のいずれの特徴、態様、方法、特性、特徴、品質、属性、要素などの本明細書における開示事項も、本明細書で示される他のすべての実施形態に用いることができる。従って、開示される実施形態の種々の特徴および態様が、開示される発明の変動する様式を形成するように、互いに組み合わせることができ、または互いと置き換えることができることは理解されるべきである。従って、本明細書で開示される本発明の範囲は、上述の特定の開示される実施形態によって限定されるべきではないことが意図される。さらに、本発明には、種々の変更および別の選択肢としての形態の余地があるが、その具体的な例を図面で示し、本明細書にて詳細に記載している。しかし、本発明が、開示される特定の形態または方法に限定されるものではなく、逆に、本発明は、記載される種々の実施形態および添付の請求項の趣旨ならびに範囲内に含まれる変更、均等物、ならびに別の選択肢のすべてを含むものであることは理解されるべきである。本明細書で開示されるいずれの方法も、列挙される順序で実施される必要はない。本明細書で開示される方法は、実務者が行う特定の作業を含むが、それらはまた、これらの作業の第三者への明白な、または示唆による指示も含んでよい。例えば、「血液試験を実施する」などの作業は、「血液試験の実施を指示する」を含む。本明細書で開示される範囲は、すべての重複範囲、サブ範囲、およびこれらの組み合わせも包含する。「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、「間」などの言語は、列挙される数値を含む。「約」または「およそ」などの用語が前に付与された数値は、列挙される数値を含む。例えば、「約3mm」は、「3mm」を含む。

Claims (17)

  1. 患者におけるI型またはII型糖尿病に起因する糖尿病性腎症の進行を特定するための方法であって、前記方法は:
    第一の時点での患者から得られたRNAを伴う小胞を含む第一の尿サンプルおよび前記第一の時点よりも後の第二の時点での前記患者から得られたRNAを伴う小胞を含む第二の尿サンプルを提供すること;
    前記サンプルから前記小胞を単離すること;
    前記小胞を溶解し、前記小胞に伴う、PPARGC1A、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、CD24、およびこれらの組み合わせから成る群より選択される、ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連する少なくとも1つのRNA、およびネフロンの糖尿病誘発性損傷に応答して変化しない少なくとも1つのRNAを含むRNAを遊離させること;
    前記ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連する少なくとも1つのRNA、前記ネフロンの糖尿病誘発性損傷に応答して変化しない少なくとも1つのRNAを定量すること;ならびに、
    前記ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連する少なくとも1つのRNAの量と前記ネフロンの糖尿病誘発性損傷に応答して変化しない少なくとも1つのRNAの量との間の比を特定すること;
    前記第一のサンプルと比較して、前記第二のサンプルにおいて、前記ネフロンの糖尿病誘発性損傷に関連する少なくとも1つのRNAの前記ネフロンの糖尿病誘発性損傷に応答して変化しない少なくとも1つのRNAに対する前記比が増加する場合に、前記患者のI型またはII型糖尿病に起因する糖尿病性腎症の進行を識別すること;
    を含む方法。
  2. 前記サンプルから小胞を単離することが、尿をろ過することを含み、前記ろ過が、フィルター上に小胞をトラップする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記溶解が、小胞がフィルター上にトラップされた状態で実施される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記サンプルを遠心分離して細胞片を除去することをさらに含み、前記遠心分離が、小胞を単離する前に実施される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. (a)その糖尿病性腎症状態が評価される被験者の尿サンプルから単離されたRNAから相補DNA(cDNA)を作製するための逆転写酵素;
    (b)PPARGC1A、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、およびCD24のうちの1つに対して特異的である少なくとも1対のセンスおよびアンチセンスプライマー;ならびに
    (c)cDNAから増幅DNAを作製するためのDNAポリメラーゼ、
    を含む初期段階の糖尿病性腎症を検出するためのキット。
  6. 前記尿サンプルから小胞を捕捉するためのフィルターをさらに含む、請求項に記載のキット。
  7. 前記小胞からRNAを遊離するための溶解バッファーをさらに含む、請求項に記載のキット。
  8. RNAを前記溶解された小胞から分析容器へ運搬するための溶出バッファーをさらに含む、請求項に記載のキット。
  9. 前記RNAを受けるように構成されたマイクロプレートをさらに含む、請求項からのいずれか一項に記載のキット。
  10. 前記マイクロプレートは、前記プレートの各ウェル中にオリゴ(dT)を含む、請求項に記載のキット。
  11. トリス‐HCl、塩化マグネシウム、塩化カリウム、ならびにアデニン、チミン、グアニン、およびシトシンヌクレオチドを含むDNA増幅バッファーをさらに含む、請求項から10のいずれか一項に記載のキット。
  12. PPARGC1A、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、およびCD24のうちの1つの増幅DNA内の領域と相補的である少なくとも1つの蛍光プローブをさらに含む、請求項から11のいずれか一項に記載のキット。
  13. 前記蛍光プローブを検出するための手段をさらに含む、請求項12に記載のキット。
  14. 前記ネフロンの糖尿病誘発性損傷を検出するための、請求項から13のいずれか一項に記載のキット。
  15. 糖尿病性腎症がない状態でのPPARGC1A、SMAD1、UMOD、NRF2、SLC12A1、およびCD24のうちの1つの発現レベルを示すコントロールDNAをさらに含む、請求項から14のいずれか一項に記載のキット。
  16. I型またはII型糖尿病に起因する糖尿病性腎症を検出するための、請求項から15
    のいずれか一項に記載のキット。
  17. 前記I型またはII型糖尿病が被験者においてまだ診断されていない、請求項16に記載のキット。
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