JP6102234B2 - 医療用多層容器 - Google Patents
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Description
<1> ポリエステルを少なくとも含有する第1の樹脂層と、ポリアミド化合物および遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層と、ポリエステルを少なくとも含有する第2の樹脂層の少なくとも3層をこの順に有する、酸素吸収性医療用多層成形容器であって、
前記ポリアミド化合物が、下記一般式(1)〜(2)で表される構成単位;
からなる群より選択される少なくとも1つのテトラリン環を有する構成単位を含有する、酸素吸収性医療用多層成形容器。
<2> 前記遷移金属触媒が、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅からなる群より選択される少なくとも1種以上の遷移金属を含むものである、上記<1>に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
<3> 前記遷移金属触媒が、前記ポリアミド化合物100質量部に対し、遷移金属量として0.001〜10質量部含まれる、上記<1>または<2>に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
<4> 前記一般式(1)で表される構成単位が、下記式(3)〜(6)で表される構成単位;
からなる群より選択される少なくとも1つである、上記<1>〜<3>のいずれかに記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
<5> 前記ポリエステルが、ジカルボン酸単位中の70モル%以上がテレフタル酸、イソフタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選ばれる1種以上のジカルボン酸に由来する<1>〜<4>のいずれか一項に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
<6> 前記ポリエステルが、ジカルボン酸単位中の70モル%以上がテレフタル酸に由来する<1>〜<4>のいずれか一項に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
<7> 前記ポリエステルが、ジカルボン酸単位中の90モル%以上がテレフタル酸に由来する<1>〜<4>いずれか一項に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
<8> 前記ポリエステルが、ジカルボン酸単位中の70モル%以上が2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する<1>〜<4>のいずれか一項に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
<9> 前記ポリエステルが、ジカルボン酸単位中の90モル%以上が2,6−ナフタレンジカルボン酸骨格である<1>〜<4>のいずれか一項に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器において、酸素吸収層(層A)は、上記一般式(1)〜(2)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種のテトラリン環を有する構成単位を含有するポリアミド化合物(以下、単に「テトラリン環含有ポリアミド化合物」ともいう。)と遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる。
本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物において用いられるテトラリン環含有ポリアミド化合物は、上記一般式(1)〜(2)で表される構成単位のうち、少なくとも1種を含有するものである。また、上記一般式(1)で表される構成単位は、上記式(3)〜(6)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。ここで、「構成単位を含有する」とは、化合物中に当該構成単位を1以上有することを意味する。かかる構成単位は、テトラリン環含有ポリアミド化合物中に繰り返し単位として含まれていることが好ましい。このようにテトラリン環含有ポリアミド化合物が重合体である場合、上記構成単位のホモポリマー、上記構成単位と他の構成単位とのランダムコポリマー、上記構成単位と他の構成単位とのブロックコポリマーのいずれであっても構わない。
ここで、芳香族炭化水素基としては、例えば、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、メチルフェニレン基、o−キシリレン基、m−キシリレン基、p−キシリレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フェナントリレン基、ビフェニレン基、フルオニレン基等が挙げられるが、これらに特に限定されない。脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、メチルシクロへキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基等のシクロアルキレン基や、シクロヘキセニレン基等のシクロアルケニレン基が挙げられるが、これらに特に限定されない。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、イソプロピリデン基、テトラメチレン基、イソブチリデン基、sec‐ブチリデン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等の直鎖状または分枝鎖状アルキレン基や、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1,3−ブタジエニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、3−ヘキセニレン基等のアルケニレン基等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、さらに置換基を有していてもよく、その具体例としては、例えば、ハロゲン、アルコキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボアルコキシ基、アミノ基、アシル基、チオ基(例えばアルキルチオ基、フェニルチオ基、トリルチオ基、ピリジルチオ基等)、アミノ基(例えば非置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基等)、シアノ基、ニトロ基等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
なお、ここでいう相対粘度は、テトラリン環含有ポリアミド化合物1gを96%硫酸100mLに溶解し、キャノンフェンスケ型粘度計にて25℃で測定した落下時間(t)と、同様に測定した96%硫酸そのものの落下時間(t0)の比であり、次式で示される。
相対粘度=t/t0
本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物において使用される遷移金属触媒としては、上記のテトラリン環含有ポリアミド化合物の酸化反応の触媒として機能し得るものであれば、公知のものから適宜選択して用いることができ、特に限定されない。
また、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物は、必要に応じて、上記テトラリン環含有ポリアミド化合物以外の、他の熱可塑性樹脂をさらに含有していてもよい。他の熱可塑性樹脂を併用することで、成形性や取扱性を高めることができる。
他の熱可塑性樹脂としては、公知のものを適宜用いることができる。低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムまたはブロック共重合体等のポリオレフィン;無水マレイン酸グラフトポリエチレンや無水マレイン酸グラフトポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やそのイオン架橋物(アイオノマー)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル等或いはこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここで、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物は、本実施形態の効果を過度に損なわない範囲で、当業界で公知の各種添加剤を含有していてもよい。かかる任意成分としては、例えば、乾燥剤、顔料、染料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、安定剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器において、樹脂層(層B)は、ポリエステルを含有する層である。層Bにおけるポリエステルの含有率は、適宜設定することができ、特に限定されないが、層Bの総量に対して、70〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは80〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%である。
この本実施形態の層Bで用いられるポリエステルの具体例としては、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる一種または二種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる一種または二種以上とからなるもの、またはヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体からなるもの、または環状エステルからなるもの等が挙げられる。
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器は、バイアルとして使用することができる。一般的には、バイアルは、ボトル、ゴム栓、キャップから構成され、薬液をボトルに充填後、ゴム栓をして、さらにその上からキャップを巻締めることで、ボトル内が密閉されている。このバイアルのボトル部分に、本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器を用いることができる。
また、本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器は、アンプルとして使用することができる。一般的には、アンプルは、頸部が細く形成された小容器から構成され、薬液を容器内に充填後、頸部の先を熔封することで、容器内が密閉されている。このアンプル(小容器)に本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器を用いることができる。本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器をアンプルに成形する方法としては、例えば、射出ブロー成形、押出しブロー成形等が好適である。
さらに、本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器は、プレフィルドシリンジとして使用することができる。一般的には、プレフィルドシリンジは、少なくとも薬液を充填するためのバレル、バレルの一端に注射針を接合するための接合部および使用時に薬液を押し出すためのプランジャーから構成され、予めバレル内に薬剤を密封状態に収容しておき、使用時に前記バレルの先端側を開封して注射針を装着するように構成された注射器であり、その使用簡便性のために広く用いられている。このバレルに本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器を用いることができる。
また、本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器は、真空採血管として使用することができる。一般的には、真空採血管は、管状体および栓体から構成されている。この管状体に、本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器を用いることができる。
本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器に充填される被保存物(充填物)は、特に限定されない。例えば、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどのビタミン剤、アトロピンなどのアルカロイド、アドレナリン、インシュリンなどのホルモン剤、ブドウ糖、マルトースなどの糖類、セフトリアキソン、セファロスポリン、シクロスポリンなどの抗生物質、オキサゾラム、フルニトラゼパム、クロチアゼパム、クロバザムなどのベンゾジアゼピン系薬剤等、任意の天然物や化合物を充填可能である。本実施形態の酸素吸収性医療用多層成形容器は、これらの天然物や化合物を充填した場合、これらの天然物や化合物の吸着量が少なく、またこれらの酸化による変質を抑制することができ、また、溶媒(例えば水分)の蒸散を抑制することもできる。
(合成例1)
内容積18Lのオートクレーブに、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル2.20kg、2−プロパノール11.0kg、5%パラジウムを活性炭に担持させた触媒350g(50wt%含水品)を仕込んだ。次いで、オートクレーブ内の空気を窒素と置換し、さらに窒素を水素と置換した後、オートクレーブ内の圧力が0.8MPaとなるまで水素を供給した。次に、撹拌機を起動し、回転速度を500rpmに調整し、30分かけて内温を100℃まで上げた後、さらに水素を供給し圧力1MPaとした。その後、反応の進行による圧力低下に応じ、1MPaを維持するよう水素の供給を続けた。7時間後に圧力低下が無くなったので、オートクレーブを冷却し、未反応の残存水素を放出した後、オートクレーブから反応液を取り出した。反応液を濾過し、触媒を除去した後、分離濾液から2−プロパノールをエバポレーターで蒸発させた。得られた粗生成物に、2−プロパノールを4.40kg加え、再結晶により精製し、テトラリン−2,6−ジカルボン酸ジメチルを80%の収率で得た。尚、NMRの分析結果は下記の通りである。1H‐NMR(400MHz CDCl3)δ7.76-7.96(2H m)、7.15(1H d)、3.89(3H s)、3.70(3H s)、2.70-3.09(5H m)、1.80-1.95(1H m)。
(製造例1)
温度計、圧力計、窒素導入口、放圧口を備えた200mLオートクレーブに、合成例1で得たテトラリン−2,6−ジカルボン酸17.18g(78.0mmol)、ドデカメチレンジアミン15.63g(78.0mmol)、蒸留水19gを仕込み、容器内を窒素置換した。2時間かけて220℃まで昇温し、圧力2MPaGで2時間保持した。その後、1時間かけて320℃まで昇温するとともに、その昇温の間に圧力を常圧まで下げ、30分間、320℃、常圧で保持した後に冷却することでテトラリン環含有ポリアミド化合物(1)を得た。得られたポリアミド化合物(1)のガラス転移温度と融点をDSCにより測定を行った結果、ガラス転移温度は111℃、融点は262℃であった。また、相対粘度は3.74であった。仕込み組成を表1に示す。
製造例1と同様のオートクレーブに、合成例1で得たテトラリン−2,6−ジカルボン酸11.64g(52.9mmol)、アゼライン酸2.48g(13.2mmol)、ドデカメチレンジアミン13.24g(66.1mmol)、蒸留水12gを仕込み、製造例1と同様の方法でテトラリン環含有ポリアミド化合物(2)を合成した。ポリアミド化合物(2)のガラス転移温度は94℃、融点は246℃、相対粘度は3.5であった。仕込み組成を表1に示す。
製造例1と同様のオートクレーブに、合成例1で得たテトラリン−2,6−ジカルボン酸15.11g(68.6mmol)、セバシン酸13.88g(68.6mmol)、ヘキサメチレンジアミン15.95g(137.2mmol)、蒸留水12gを仕込み、製造例1と同様の方法でテトラリン環含有ポリアミド化合物(3)を合成した。ポリアミド化合物(3)のガラス転移温度は87℃、融点は250℃、相対粘度は2.6であった。仕込み組成を表1に示す。
製造例1と同様のオートクレーブに、合成例1で得たテトラリン−2,6−ジカルボン酸11.22g(51.0mmol)、ヘキサメチレンジアミン5.93g(50.9mmol)、ε−カプロラクタム11.54g(102.0mmol)、蒸留水12gを仕込み、製造例1と同様の方法でテトラリン環含有ポリアミド化合物(4)を合成した。ポリアミド化合物(4)のガラス転移温度は96℃、融点は219℃、相対粘度は2.4であった。仕込み組成を表1に示す。
ポリアミド化合物(1)100質量部に対し、ステアリン酸コバルト(II)をコバルト量が0.1質量部となるようドライブレンドして得られた混合物を、直径37mmのスクリューを2本有する2軸押出機に15kg/hの速度で供給し、シリンダー温度290℃の条件にて溶融混練を行い、押出機ヘッドからストランドを押し出し、冷却後、ペレタイジングすることにより、酸素吸収性樹脂組成物(1)を得た。次いで、下記に示すとおり、この酸素吸収性樹脂組成物(1)を用いて、多層インジェクション成形容器であるバイアルを製造した。その後、得られたバイアルの性能評価を、以下に示すとおりに行った。評価結果を表2に示す。
下記の条件により、樹脂層(層B)を構成するポリエステルを射出シリンダーから射出し、次いで酸素吸収層(層A)を構成する酸素吸収性樹脂組成物(1)を別の射出シリンダーから、層Bを構成するポリエステルと同時に射出し、次に層Bを構成するポリエステルを必要量射出して射出金型内キャビティーを満たすことにより、B/A/Bの3層構成の射出成形体を得た。その後、得られた射出成形体を所定の温度まで冷却し、ブロー金型へ移行し、ブロー成形を行うことで、バイアル(ボトル部)を製造した。ここで、バイアルの総質量は24gとし、層Aの質量はバイアルの総質量の30質量%とした。また、層Bを構成するポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(日本ユニペット株式会社製、商品名:RT−553C)を使用した。
全長89mm、外径40mmφ、肉厚1.8mmとした。なお、バイアルの製造には、射出ブロー一体型成形機(UNILOY製、型式:IBS 85、4個取り)を使用した。
(バイアルの成形条件)
層A用の射出シリンダー温度:280℃
層B用の射出シリンダー温度:280℃
射出金型内樹脂流路温度 :280℃
ブロー温度 :150℃
ブロー金型冷却水温度 : 15℃
得られたバイアルの酸素透過率の測定、成形後の外観評価、落下試験、溶出試験について、以下の方法および基準にしたがって測定し、評価した。
23℃、成形体外部の相対湿度50%、成形体内部の相対湿度100%の雰囲気下にて、測定開始から30日目の酸素透過率を測定した。測定は、酸素透過率測定装置(MOCON社製、商品名:OX−TRAN 2−21 ML)を使用した。測定値が低いほど、酸素バリア性が良好であることを示す。なお、測定の検出下限界は酸素透過率5×10−5mL/(0.21atm・day・package)である。
40℃、成形体外部の相対湿度100%の雰囲気下にて、測定開始から10日目の水蒸気透過率を測定した。測定は、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、商品名:PERMATRAN−W 3/33G)を使用した。測定値が低いほど、水蒸気バリア性が良好であることを示す。なお、測定の検出下限界は水蒸気透過率5×10−4g/(day・package)である。
成形後のバイアルの白化の有無を、目視にて観察した。
バイアルを40℃、90%RH下にて1カ月保存した後、純水50mLを満杯充填し、その後、ゴム栓およびアルミキャップにて密封した。このようにして得られた密封容器を2mの高さから落下させ、そのときの容器外観を調査した。
バイアルを40℃、90%RH下にて1カ月保存した後、純水50mLを満杯充填し、その後、ゴム栓およびアルミキャップにて密封した。このようにして得られた密封容器を40℃、60%RH下にて4カ月保存し、その後、純水中のトータルカーボン量(以下、TOC)を測定した。
(TOC測定)
装置 ;株式会社島津製作所製 TOC−VCPH
燃焼炉温度 ;720℃
ガス・流量 ;高純度空気、TOC計部150mL/min
注入量 ;150μL
検出限界 ;1μg/mL
ポリアミド化合物(1)に代えて、表2に示すポリアミド化合物をそれぞれ用いること以外は、実施例1と同様に行い、酸素吸収性樹脂組成物およびバイアルをそれぞれ製造した。得られたバイアルの性能評価を実施例1と同様にそれぞれ行った。評価結果を表2に示す。
酸素吸収性樹脂組成物(1)に代えてTicona GmbH社製シクロオレフィンコポリマー(Ticona GmbH社製 TOPAS6013)100質量部を用いること以外は、実施例1と同様に行い、実施例1と同形状の単層のバイアルを製造した。得られたバイアルの性能評価を実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
層Bを構成する熱可塑性樹脂として、ポリエチレンテレフタレート樹脂に代えてポリカーボネート(Sabic社製 レキサン144R)を用いること以外は、実施例1と同様に行い、バイアルを製造した。得られたバイアルの性能評価を実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
ナイロンMXD6(三菱ガス化学株式会社製S7007)100質量部に対し、ステアリン酸コバルト(II)をコバルト量が0.04質量部となるようドライブレンドして得られた混合物を、直径37mmのスクリューを2本有する2軸押出機に15kg/hの速度で供給し、シリンダー温度280℃の条件にて溶融混練を行い、押出機ヘッドからストランドを押し出し、冷却後、ペレタイジングすることにより、酸素吸収性樹脂組成物(M)を得た。酸素吸収性樹脂組成物(1)に代えてこの酸素吸収性樹脂組成物(M)を用いること以外は、実施例1と同様に行い、バイアルを製造した。得られたバイアルの性能評価を実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
Claims (8)
- ポリエステルを少なくとも含有する第1の樹脂層と、ポリアミド化合物および遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層と、ポリエステルを少なくとも含有する第2の樹脂層の少なくとも3層をこの順に有する、酸素吸収性医療用多層成形容器であって、
前記ポリアミド化合物が、下記一般式(1)〜(2)で表される構成単位;
からなる群より選択される少なくとも1つのテトラリン環を有する構成単位を含有し、前記遷移金属触媒が、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルおよび銅からなる群より選択される少なくとも1種以上の遷移金属を含むものである、酸素吸収性医療用多層成形容器。 - 前記遷移金属触媒が、前記ポリアミド化合物100質量部に対し、遷移金属量として0.001〜10質量部含まれる、請求項1に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
- 前記ポリエステルが、ジカルボン酸単位中の70モル%以上がテレフタル酸、イソフタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選ばれる1種以上のジカルボン酸に由来する請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
- 前記ポリエステルが、ジカルボン酸単位中の70モル%以上がテレフタル酸に由来する請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
- 前記ポリエステルが、ジカルボン酸単位中の90モル%以上がテレフタル酸に由来する請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
- 前記ポリエステルが、ジカルボン酸単位中の70モル%以上が2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
- 前記ポリエステルが、ジカルボン酸単位中の90モル%以上が2,6−ナフタレンジカルボン酸骨格である請求項1〜3のいずれか一項に記載の酸素吸収性医療用多層成形容器。
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