<第1の実施の形態>
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態の画像形成装置1の構成を示す図である。画像形成装置1は、画像形成ユニット10およびスリッターユニット30を備える。本実施の形態の画像形成装置1は、熱転写方式によって画像を形成する。画像形成装置1は、これに限定されず、他の画像形成方式、たとえばインクジェット方式または電子写真方式によって画像を形成するように構成されてもよい。
本実施の形態では、画像形成ユニット10は、プリンタである。画像形成ユニット10は、これに限定されるものではなく、たとえば複写機、または、プリンタ機能、複写機能およびスキャナ機能などのうちの複数の機能を備える複合機であってもよい。
画像形成ユニット10は、シート供給ローラー11、シート巻取ローラー12、ペーパー供給ローラー13、ペーパー搬送部14、転写部15および横方向切断部16を備える。画像形成ユニット10には、ペーパー3として、ロール紙が用いられる。ペーパー3は、記録媒体に相当する。
シート供給ローラー11は、転写部15にインクシート2を供給する。シート巻取ローラー12は、転写部15に供給されたインクシート2を巻取る。インクシート2には、イエロー(Yellow;略称:Y)、マゼンタ(magenta;略称:M)およびシアン(cyan;略称:C)の各染料層、ならびにペーパー3の表面を保護するためのオーバーコート保護(Overcoat Protective;略称:OP)層が、この順に、シート巻取ローラー12側からシート供給ローラー11側に向かって配列されている。各染色層およびOP層は、シート巻取ローラー12側からシート供給ローラー11側に向かって、繰返し設けられている。インクシート2は、前述の各染料層およびOP層と、これら各染料層およびOP層が表面に設けられたインクシート基材とを備えて構成される。
ペーパー供給ローラー13は、ペーパー搬送部14にペーパー3を供給する。ペーパー搬送部14は、ペーパー供給ローラー13から供給されたペーパー3を搬送する。ペーパー搬送部14は、グリップローラー21、ピンチローラー22およびガイドローラー23を備える。ペーパー3は、前述のインクシート2の各染色層を構成する染料を受容する受容層と、受容層が表面に設けられたペーパー基材とを備えて構成される。
転写部15は、プラテンローラー24、サーマルヘッド25およびヒートシンク26を備える。横方向切断部16は、サークル方式の横切りカッターによって実現され、固定刃27および丸刃28を備える。横方向切断部16は、ペーパー3を、その搬送方向に直交する方向である横方向に沿って切断可能に設けられる。
ペーパー3の搬送時は、まず、ガイドローラー23を介して、ペーパー3の先端が、グリップローラー21とピンチローラー22との対向部に供給される。ペーパー3は、画像が形成される面(以下「画像形成面」という場合がある)が、ピンチローラー22に面し、画像形成面の裏側(以下「裏面」という場合がある)が、グリップローラー21に面するように供給される。
グリップローラー21とピンチローラー22とが圧着することによってペーパー3を挟み込み、保持する。グリップローラー21の外周面部には、針状の突起部が形成されている。このグリップローラー21の突起部がペーパー3の裏面に押し付けられ、その状態でグリップローラー21が回転することによって、ペーパー3の搬送力を得ている。
グリップローラー21の長手方向の一端部は、不図示のベルトなどの動力伝達部品を介して、不図示のステッピングモータの駆動プーリと連結されている。グリップローラー21および駆動プーリの2つが連動して回転することによって、ペーパー3の搬送を可能としている。
また、転写開始前には、サーマルヘッド26とプラテンローラー24とが圧着される。これによって、インクシート2からペーパー3への転写が可能な状態となる。サーマルヘッド26がインクシート2に接触した状態で加熱されると、インクシート2の染料層を構成する染料の一部が、相変化、具体的には溶融または昇華して、ペーパー3の受容層に熱転写され、定着される。この熱転写が、ペーパー3およびインクシート2が搬送されている状態で行われることによって、染料層の染料と同じ色の画像が、ペーパー3に形成される。
画像の形成は、まずイエロー(Y)の画像の形成から開始される。前述のようにしてインクシート2のイエローの染色層の染料が、ペーパー3の受容層に熱転写されることによって、イエローの画像が形成される。イエローの画像が形成されると、ペーバー3は、グリップローラー21の反時計回りの回転、およびそれに伴うピンチローラー22の反時計回りの回転によって、転写が開始された位置に戻される。その後、イエローと同様にして、インクシート2のマゼンタの染色層の染料がペーパー3の受容層に熱転写され、マゼンタ(M)の画像が形成される。マゼンタの画像が形成された後、ペーパー3は、前述のようにして、再度、転写が開始された位置に戻される。その後、イエローおよびマゼンタと同様にして、インクシート2のシアンの染色層の染料がペーパー3の受容層に熱転写され、シアン(C)の画像が形成される。シアンの画像が形成された後、ペーパー3は、前述のようにして、再度、転写が開始された位置に戻される。
このようにして熱転写動作とペーパー3の位置戻し動作とを繰返すことによって、イエロー、マゼンタおよびシアンの各染料層の染料が、この順にペーパー3の受容層に熱転写されて積層され、イエロー、マゼンタおよびシアンの各画像が重なった画像がペーパー3に形成される。その後、ペーパー3は、再度、転写が開始された位置に戻される。そして、インクシート2に設けられたOP層が、サーマルヘッド26によってペーパー3に熱転写される。OP層上には接着剤からなる接着層が設けられており、サーマルヘッド26がインクシート基材に接触した状態で加熱されることによって、接着層の接着力が強くなり、OP層がペーパー3に接着され、インクシート基材から剥離する。このようにしてOP層が熱転写されて、画像の形成が終了する。
このようにして画像の形成が完了すると、ペーパー3の画像が形成された部分(以下「画像形成ペーパー部」という場合がある)3a,3bは、まず横方向の切断位置までの排出動作が行われる。このとき、画像形成ペーパー部3a,3bは、横方向切断部16を通って画像形成ユニット10の排出口から排出され、さらにパス切替ガイド31内を通りながら、スリッターユニット30に入る。スリッターユニット30は、画像形成ユニット10の排出口の先に設けられる。
スリッターユニット30は、ペーパー3の縦方向の切断を行うことが可能に構成される。スリッターユニット30は、切断装置に相当する。スリッターユニット30は、ペーパー3の縦方向の切断の有無を選択可能である。図1は、ペーパー3の縦方向の切断を行わない場合の画像形成装置1の構成を示している。図2は、ペーパー3の縦方向の切断を行う場合の画像形成装置1の構成を示す図である。
スリッターユニット30は、パス切替ガイド31、スリッター駆動部32、搬送ローラー33a,33b、非切断側ペーパーガイド34、縦方向切断部35、切断側ペーパーガイド37および筐体40を備える。パス切替ガイド31は、切替ガイドに相当する。スリッター駆動部32は、駆動源に相当する。
パス切替ガイド31は、ペーパー3の搬送経路(以下「ペーパーパス」または単に「パス」という場合がある)を切替え、2種類のパスの選択を可能とする。具体的には、パス切替ガイド31は、図1に示すペーパー3の縦方向の切断を行わない場合のパス(以下「非切断側パス」という場合がある)P1と、図2に示すペーパー3の縦方向の切断を行う場合のパス(以下「切断側パス」という場合がある)P2とを切替える。非切断側パスP1は、第1の搬送経路に相当し、切断側パスP2は、第2の搬送経路に相当する。
図1に示す非切断側パスP1において、パス切替ガイド31よりもペーパー3の搬送方向の下流側には、搬送ローラー33a,33bおよび非切断側ペーパーガイド34が、この順に設けられる。搬送ローラー33a,33bは、非切断側パスP1に送られた画像形成ペーパー部3aを、スリッターユニット30の外、すなわち画像形成装置1の外に排出する。非切断側ペーパーガイド34は、画像形成ペーパー部3aを、切断側パスP2に設けられる丸刃36a,36bに接触しないように支持しながら排出させる。
図2に示す切断側パスP2において、パス切替ガイド31よりもペーパー3の搬送方向の下流側には、縦方向切断部35および切断側ペーパーガイド37が設けられる。縦方向切断部35は、一対の丸刃36a,36bを備える。一対の丸刃36a,36bは、切断側パスP2に送られた画像形成ペーパー部3bの縦方向の切断を行う。丸刃36a,36bは、切断部材に相当する。
切断側ペーパーガイド37は、縦方向切断部35に画像形成ペーパー部3bを確実に導くためのペーパーパス形成用として設けられる。切断側ペーパーガイド37は、画像形成ペーパー部3bの表面を臨む側に設けられる上側ガイド37aと、画像形成ペーパー部3bの裏面を臨む側に設けられる下側ガイド37bとを備える。上側ガイド37aと下側ガイド37bとは、間に隙間が形成されるように配置されており、画像形成ペーパー部3bの表面および裏面の両面を覆う形で、画像形成ペーパー部3bの搬送経路である切断側パスP2を形成する。
図3は、本発明の第1の実施の形態におけるスリッターユニット30を示す正面図である。図4は、図3の左方から見たスリッターユニット30を示す左側面図である。図5は、図3の右方から見たスリッターユニット30を示す右側面図である。図3〜図5では、各ローラーおよびシャフトの配置を分かりやすくするために、図2に示す非切断側ペーパーガイド34および切断側ペーパーガイド37の図示を省略している。また図3では、筐体40の正面側の壁部および天板の図示を省略している。
スリッターユニット30は、前述のパス切替ガイド31、スリッター駆動部32、搬送ローラー33a,33b、非切断側ペーパーガイド34、縦方向切断部35、切断側ペーパーガイド37および筐体40に加えて、ゴムローラー38、トルクリミッター41、シャフト42,43,44,45,46、左側ギア列50および右側ギア列60を備える。筐体40は、たとえば板金フレームによって実現される。シャフト42,43,44,45,46は、回転軸に相当する。右側ギア列60は、第1のギア列に相当し、左側ギア列50は、第2のギア列に相当する。
筐体40は、前述の図1,2に示す非切断側ペーパーガイド34および切断側ペーパーガイド37と、図3に示す5つのシャフト42〜46、具体的には第1シャフト42、第2シャフト43、第3シャフト44、第4シャフト45および第5シャフト46とを保持する。各シャフト42〜46は、回転可能に筐体40に保持される。
スリッター駆動部32は、筐体40の内側の壁部、具体的には右側壁部に、不図示のねじなどによって固定されている。スリッター駆動部32は、左側ギア列50および右側ギア列60を構成する各ギア51,61〜67を所望の回転方向へ駆動させるための不図示の直流(Direct Current;略称:DC)モータを備える。
左側ギア列50は、筐体40の左側壁部の外側に設けられる。左側ギア列50は、図3および図4に示すように、左側ギア51、ギア部52、非切断側ストッパー53および切断側ストッパー54を含む。ギア部52は、後述する図6に示すように、パス切替ガイド31の一部を構成する。左側ギア51は、切替用ギアに相当する。
右側ギア列60は、筐体40の右側壁部の外側に設けられる。右側ギア列60は、図3および図5に示すように、7つの右側ギア、具体的には、第1右側ギア61、第2右側ギア62、第3右側ギア63、第4右側ギア64、第5右側ギア65、第6右側ギア66および第7右側ギア67を含む。第1右側ギア61は、搬送用ギアに相当する。第3右側ギア63および第5右側ギア65は、切断用ギアに相当する。第2右側ギア62は、連結ギアに相当する。
図3に示すように、第1右側ギア61は、第2シャフト43の軸線方向の一端部に設けられる。第2右側ギア62および第6右側ギア66は、筐体40の右側壁部の外側に、回転可能に設けられる。第3右側ギア63は、第3シャフト44の軸線方向の一端部に設けられる。
第4右側ギア64は、第4シャフト45の軸線方向の一端部に設けられる。第4シャフト45の軸線方向の他端部には、左側ギア51が設けられる。したがって、第4右側ギア64と左側ギア51とは、第4シャフト45を介して、繋がっている。第5右側ギア65は、第5シャフト46の軸線方向の一端部に設けられる。第7右側ギア67は、スリッター駆動部32の不図示のモータの駆動軸に接続される。
パス切替ガイド31、左側ギア列50および右側ギア列60を構成する各ギア51,61〜67、ならびに各シャフト42〜46は、図4および図5に示すように、左側ギア51とギア部52とが歯合し、第1右側ギア61と第2右側ギア62とが歯合し、第2右側ギア62と第3右側ギア63および第4右側ギア64とが歯合し、第4右側ギア64と第5右側ギア65とが歯合し、第5右側ギア65と第6右側ギア66とが歯合し、第6右側ギア66と第7右側ギア67とが歯合するように配置される。
図3に示すように、縦方向切断部35は、前述の一対の丸刃36a,36bに加えて、二対のゴムローラー38と、ばね39とを備える。丸刃36a,36bおよびゴムローラー38は、第3および第5シャフト44,46に保持される。丸刃36a,36bは、第3および第5シャフト44,46の軸線方向における中央部に設けられる。
二対のゴムローラー38のうち、一方のゴムローラー(以下「第1ゴムローラー」という場合がある)38は、第3および第5シャフト44,46の軸線方向において、中央部よりも一端部寄りの部分に設けられる。他方のゴムローラー(以下「第2ゴムローラー」という場合がある)38は、第3および第5のシャフト44,46の軸線方向において、中央部よりも他端部寄りの部分に設けられる。
各ゴムローラー38は、縦方向切断部35に送られたペーパー3を圧着しながら回転することによって、切断時に必要な一定のペーパー搬送力を与える。各ゴムローラー38は、ペーパー3の表面側に接する上側ローラー38aと、ペーパー3の裏面側に接する下側ローラー38bとで構成される。
一対の丸刃36a,36bは、ペーパー3の表面側に配置される上側丸刃36aと、ペーパー3の裏面側に配置される下側丸刃36bとで構成される。上側丸刃36a、ならびに第1および第2ゴムローラー38の上側ローラー38aは、第3シャフト44に保持される。下側丸刃36b、ならびに第1および第2ゴムローラー38の下側ローラー38bは、第5シャフト46に保持される。
上側丸刃36aと、第2ゴムローラー38の上側ローラー38aとの間には、ばね39が設けられている。搬送ローラー33a,33bおよびゴムローラー38には、ペーパー3への圧着力を与えるための不図示のばねなどが付設されている。
図6は、パス切替ガイド31の構成を示す斜視図である。パス切替ガイド31は、搬送ローラー33a,33bの軸線方向に沿って延びる長尺状に形成される。パス切替ガイド31は、中心部がペーパー3を通すために中空になっており、かつ搬送ローラー33a,33bの軸線方向に沿う長手方向の他端部に扇形のギア部52を備える。ギア部52は、後述するギア列50,60を介して、スリッター駆動部32と連結されており、回動することが可能である。これによって、ギア部52に連結するギア列50,60の回転に合わせて、ペーパーパスを切り替えることができる。本実施の形態では、ギア部52は、45°程度回動することが可能に構成される。
具体的には、パス切替ガイド31は、搬送ローラー33a,33bの軸線方向に沿って延びる長尺状の案内部材75と、案内部材75の長手方向の一端部に設けられる一端側支持部78,79と、案内部材75の長手方向の他端部に設けられる他端側支持部72と、前述のギア部52とを備える。ギア部52は、他端側支持部72に設けられる。
案内部材75は、ペーパー3の表面側に配置される上側ガイド76と、ペーパー3の裏面側に配置される下側ガイド77とで構成される。上側ガイド76および下側ガイド77は、平板状に形成され、互いに対向して配置されることによって、ペーパー3の通路となる前述の中空を形成する。
一端側支持部78,79は、上側ガイド76に垂直な壁部として形成される上側一端側支持部78と、下側ガイド77に垂直な壁部として形成される下側一端側支持部79とを含む。他端側支持部72は、ギア部52が設けられること以外は、一端側支持部78,79と同様に形成される。一端側支持部78,79および他端側支持部72には、突起部74および凹部73が形成される。ペーパー切替ガイド31は、突起部74および凹部73が筐体40に嵌合し、かつ突起部74を支点として回動可能に筐体40に保持される。
図1および図2に戻って、前述のように、画像の形成が完了した後は、ペーパー3の画像が形成された部分である画像形成ペーパー部3a,3bの切断動作および排出動作が行われる。まず、横方向の切断位置までの排出動作が行われる。画像形成ペーパー部3a,3bは、横方向切断部16を通って画像形成ユニット10の排出口から排出され、さらにパス切替ガイド31内を通りながら、スリッターユニット30に入る。
このとき、スリッターユニット30が、図1に示すように、縦方向の切断を行わない非切断側パスP1の状態の場合、画像形成ユニット10から排出された画像形成ペーパー部3aは、パス切替ガイド31によって、搬送ローラー33a,33bの方向へ導かれる。
その後、横方向切断部16によって、ペーパー3の横方向の切断が行われる。このとき、搬送ローラー33a,33bの回転が停止される。これによって、横方向の切断への影響を抑えることができる。
横方向の切断が完了した後、搬送ローラー33a,33bの回転が再開される。これによって、切断された画像形成ペーパー部3aが、非切断側ペーパーガイド34に沿って搬送され、スリッターユニット30の外まで排出される。このようにして、縦方向の切断を行わない場合の一連の画像形成動作および排紙動作が完了する。画像形成ペーパー部3aが切断された後のペーパー3は、ペーパー供給ローラー13側の先端部が、転写が開始される位置に戻され、次の画像の形成に備える。
次に、スリッターユニット30が、図2に示すように縦方向の切断を行う切断側パスP2の状態の場合、画像形成ユニット10から排出された画像形成ペーパー部3bは、パス切替ガイド31によって、縦方向切断部35の方向へ導かれる。
画像形成ペーパー部3bの先端部が縦方向切断部35まで到達した時点で、丸刃36a,36bによって、ペーパー3の縦方向の切断が開始されるとともに、ゴムローラー38によって圧着されて搬送される状態になる。
その後、図1の切断側パスP1の状態の場合と同様に、横方向の切断位置に到達した時点で、横方向切断部16によって、ペーパー3の横方向の切断が行われる。このとき、ゴムローラー38の回転が停止される。これによって、横方向の切断への影響を抑えることができる。
横方向の切断が完了した後は、ゴムローラー38の回転が再開される。これによって、ペーパー3の搬送が再開されるとともに、ペーパー3の縦方向の切断が再開される。画像形成ペーパー部3bがスリッターユニット30の外まで排出された時点で、ペーパー3の切断動作および排紙動作が完了する。画像形成ペーパー部3aが切断された後のペーパー3は、ペーパー供給ローラー13側の先端部が、転写が開始される位置に戻され、次の画像の形成に備える。
図7および図8は、縦方向の切断が行われない場合のスリッターユニット30の状態を示す図である。図7は、図4と同様に、図3の左方から見たスリッターユニット30を示す左側面図である。図8は、図5と同様に、図3の右方から見たスリッターユニット30を示す右側面図である。
縦方向の切断が行われない場合、駆動力を与える図3に示すスリッター駆動部32によって、第7右側ギア67が、図8において、矢符A方向である時計回り方向に回転したとき、隣接する第6右側ギア66は、矢符A方向と逆回り、すなわち反時計回り方向に回転する。同様に、他の隣接するギア同士も隣のギアと逆回りに回転を行うことになる。具体的には、図8において、第5右側ギア65は矢符A方向である時計回り方向に回転し、第4右側ギア64は矢符A方向と逆方向である反時計回り方向に回転し、第2右側ギア62は矢符A方向である時計回り方向に回転し、第1右側ギア61および第3右側ギア63は矢符A方向と逆方向である反時計回り方向に回転する。
このとき、パス切替ガイド31のギア部52と連結する左側ギア51、および左側ギア51と第4シャフト45を介して繋がっている第4右側ギア64は、パス切替ガイド31を非切断側パスP1の方向に回動させる動きをしている。
すなわち、左側ギア51は、第4シャフト45を介して、第4右側ギア64と繋がっているので、第4右側ギア64と連動して回転する。第4右側ギア64は、図8に示すように、スリッターユニット30の右方から見て矢符A方向の逆方向である反時計回り方向に回転するので、左側ギア51は、図7に示すように、スリッターユニット30の左方から見て、時計回り方向に回転する。左側ギア51は、パス切替ガイド31のギア部52と歯合するので、図7に示すように、左側ギア51の時計回り方向81aの回転に伴って、パス切替ガイド31のギア部52が反時計回り方向82aに回動する。
パス切替ガイド31のギア部52の回動先には、非切断側ストッパー53が設けられている。パス切替ガイド31のギア部52は、非切断側ストッパー52に当たって止まることで、それ以上は回動しないようになっている。これによって、非切断側に切替えた後のペーパー3のパスを一定の位置に保持することが可能となっている。
また、図3に示すように、筐体40の内側において、第4シャフト45の軸線方向の一端部であって、第4右側ギア64よりも内側の部分には、トルクリミッター41が設けられている。この構成で、パス切替ガイド31のギア部52が非切断側ストッパー32に当たり、左側ギア51およびそれに連結するパス切替ガイド31が回動しなくなったときでも、トルクリミッター41で滑ることによって、第4右側ギア64の回転が妨げられないようになっている。これによって、パス切替ガイド31によって非切断側パスP1を形成しつつ、搬送ローラー33a,33bを回転させることが可能となり、ペーパー3を排出することが可能となる。
このとき、搬送ローラー33a,33bは、図7および図8に示す左側ギア列50および右側ギア列60の回転方向の組み合わせから、パス切替ガイド31を通して入ってくるペーパー3を搬送する方向と同方向に回転することになり、非切断側パスP1を通るペーパー3の搬送方向と一致するようになっている。
具体的に述べると、搬送ローラー33a,33bのうち、下側搬送ローラー33bが保持される第2シャフト43の一端部には、第1右側ギア61が設けられている。第1右側ギア61は、図8に示すように、矢符A方向と逆方向である反時計回り方向に回転する。この回転に伴って、第1右側ギア61を保持する第2シャフト43、および第2シャフト43に保持される下側搬送ローラー33bが、反時計回り方向に回転する。これによって、下側搬送ローラー33bに圧着される上側搬送ローラー33aが、時計回り方向に回転する。したがって、搬送ローラー33a,33bの回転方向は、矢符「83」で示されるペーパー3の搬送方向に一致している。
ゴムローラー38、ならびにゴムローラー38を保持する第3および第5シャフト44,46に直結する第3右側ギア63および第5右側ギア64は、ペーパー3の搬送方向83とは逆方向に回転しているが、この回転は、ペーパー3の搬送とは直接関係しないので、問題はない。
図9および図10は、縦方向の切断が行われる場合のスリッターユニット30の状態を示す図である。図9は、図4と同様に、図3の左方から見たスリッターユニット30を示す左側面図である。図10は、図5と同様に、図3の右方から見たスリッターユニット30を示す右側面図である。
縦方向の切断が行われる場合、スリッター駆動部32によって、第7右側ギア67が、図10の矢符Bの方向である反時計回り方向に回転される。この場合、各ギア51,61〜67およびギア部52の回転方向は、図7および図8に示す縦方向の切断が行われない場合と、全て逆になっている。
具体的には、図10において、第1右側ギア61、第3右側ギア63、第4右側ギア64および第6右側ギア66は、矢符B方向と逆方向である時計回り方向に回転する。第2右側ギア62および第5右側ギア65は、矢符B方向と同じ反時計回り方向に回転する。また図9において、左側ギア51は、反時計回り方向に回転する。
このとき、パス切替ガイド31のギア部52と連結する左側ギア51、および左側ギア51と第4シャフト45を介して繋がっている第4右側ギア64は、左側ギア51の回転によって、パス切替ガイド31を切断側パスP2の方向に回動させる動きとなっている。
すなわち、左側ギア51は、第4シャフト45を介して、第4右側ギア64と繋がっているので、第4右側ギア64と連動して回転する。第4右側ギア64は、図10に示すように、スリッターユニット30の右方から見て矢符B方向の逆方向である時計回り方向に回転するので、左側ギア51は、図9に示すように、スリッターユニット30の左方から見て、反時計回り方向81bに回転する。左側ギア51は、パス切替ガイド31のギア部52と連結されるので、図9に示すように、左側ギア51の反時計回り方向81bの回転に伴って、パス切替ガイド31のギア部52が時計回り方向82bに回動する。
この場合のパス切替ガイド31のギア部52の回動先には、非切断側パスP1のときとは別に、切断側ストッパー54が設けられている。パス切替ガイド31のギア部52は、切断側ストッパー54に当たって止まることで、それ以上は回動しないようになっている。これによって、切断側に切替えた後のペーパー3のパスを一定の位置に保持することが可能となっている。
また、前述のように、図3に示す筐体40の内側において、第4シャフト45の軸線方向の一端部であって、第4右側ギア64よりも内側の部分には、トルクリミッター41が設けられている。この構成で、パス切替ガイド31のギア部52が切断側ストッパー54に当たり、左側ギア51およびそれに連結するパス切替ガイド31のギア部52が回動しなくなったときでも、トルクリミッター41で滑ることによって、第4右側ギア64の回転が妨げられないようになっている。
これによって、パス切替ガイド31によって切断側パスP2を形成しつつ、丸刃36a,36bおよびゴムローラー38を回転させることが可能となり、ペーパー3の切断と搬送とを行うことが可能となる。この切断側パスP2への切替えによって、スリッターユニット30に入ってきたペーパー3は、パス切替ガイド31を通して、縦方向切断部35に導かれることになる。
また、丸刃36a,36bおよびゴムローラー38に第3および第5シャフト44,46を介して直結している第5右側ギア65は、左側ギア列50および右側ギア列60の回転方向の組み合わせから、縦方向切断部35に入ってきたペーパー3を切断して搬送する方向である矢符「84」で示される方向と同方向に回転している。これによって、ペーパー3の切断および搬送を行うことができるようになっている。
また、搬送ローラー33a,33bと直結する第1右側ギア61は、ペーパー3の搬送方向とは逆方向に回転しているが、この回転は、ペーパー3の搬送とは直接関係しないので、問題はない。
以上のように本実施の形態によれば、単一の駆動源として、スリッター駆動部32を用いて、駆動源であるスリッター駆動部32の回転方向を切り替えるという簡単な制御によって、スリッターユニット30によるペーパー3の縦方向の切断の有無を選択することが可能となる。これによって、ペーパー3の切断の有無などの選択を簡単な構成で実現することができる切断装置として、スリッターユニット30を提供するとともに、そのようなスリッターユニット30を備える画像形成装置1を提供することができる。
<第2の実施の形態>
図11は、本発明の第2の実施の形態におけるスリッターユニット90を示す正面図である。図12は、図11の左方から見たスリッターユニット90を示す左側面図である。図13は、図11の右方から見たスリッターユニット90を示す右側面図である。
本実施の形態のスリッターユニット90は、第1の実施の形態のスリッターユニット30と構成が類似しているので、同一の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。スリッターユニット90は、切断装置に相当する。図11〜図13では、各ローラーおよびシャフトの配置を分かりやすくするために、図2に示す非切断側ペーパーガイド34および切断側ペーパーガイド37の図示を省略している。また図11では、筐体40の正面側の壁部および天板の図示を省略している。
本実施の形態のスリッターユニット90は、前述の第1の実施の形態のスリッターユニット30に代えて、第1の実施の形態における画像形成ユニット10と組み合わせて用いられ、画像形成装置を構成する。
本実施の形態のスリッターユニット90は、縦方向切断部95が、第1の切断手段91a,91bおよび第2の切断手段93a,93bと、第1の切断手段91a,91bに付設されるばね92および第2の切断手段93a,93bに付設されるばね94とを備えること以外は、第1の実施の形態のスリッターユニット30と同様の構成を有する。
第1の切断手段91a,91bは、一対の丸刃91a,91bであり、第2の切断手段93a,93bは、一対の丸刃93a,93bである。具体的には、第1の切断手段91a,91bは、第1の丸刃91a,91bによって構成され、第2の切断手段93a,93bは、第2の丸刃93a,93bによって構成される。丸刃91a,91b,93a,93bは、切断部材に相当する。
各丸刃91a,91b,93a,93bは、第1の実施の形態における丸刃36a,36bと同様に構成される。具体的には、第1の丸刃91a,91bは、ペーパー3の表面側に配置される第1の上側丸刃91aと、ペーパー3の裏面側に配置される第1の下側丸刃91bとで構成される。第2の丸刃93a,93bは、ペーパー3の表面側に配置される第2の上側丸刃93aと、ペーパー3の裏面側に配置される第2の下側丸刃93bとで構成される。
第1および第2の上側丸刃91a,93aは、第1および第2ゴムローラー38の上側ローラー38aとともに、第3シャフト44に保持される。第1および第2の下側丸刃91b,93b、第1および第2ゴムローラー38の下側ローラー38bとともに、第5シャフト46に保持される。
第1の上側丸刃91aと、第2ゴムローラー38の上側ローラー38aとの間の第3シャフト44には、第1のばね92が設けられている。第2の上側丸刃92aと、第1ゴムローラー38の上側ローラー38aとの間の第3シャフト44には、第2のばね94が設けられている。
本実施の形態のスリッターユニット90およびそれを備える画像形成装置は、第1の実施の形態のスリッターユニット30およびそれを備える画像形成装置1と同様に動作する。
図14は、画像形成ペーパー部110を示す平面図である。図15は、画像形成ペーパー部110の切断後の状態を示す平面図である。本実施の形態では、図14に示すように、画像形成ペーパー部110は、矢符「100」で示される方向に搬送されて、スリッターユニット90に入る。第1の実施の形態と同様にして、横方向101の切断が行われた後、縦方向102の切断が行われる。
本実施の形態では、図13に示すように、縦方向切断部95は、第1の切断手段91a,91bおよび第2の切断手段93a,93bを備えるので、画像形成ペーパー部110は、図15に示すように、縦方向102に沿って、3つの部分111,112,113に切断される。画像形成ペーパー部110は、たとえば、横方向101における幅が3等分になるように切断される。
切断された各部111,112,113の横方向における幅は、第1の丸刃91a,91bおよび第2の丸刃93a,93bの位置を調整することによって、変更することができる。たとえば、第1の丸刃91a,91bおよび第2の丸刃93a,93bを、等間隔に配置することによって、前述のように、画像形成ペーパー部110を、横方向101における幅が3等分になるように切断することができる。
以上のように本実施の形態によれば、ペーパー3を、縦方向の複数の箇所で切断することができる。本実施の形態では、縦方向切断部95の切断手段を2つとし、縦方向の切断箇所を2箇所としたが、これに限定されず、3箇所以上に増やしてもよい。
<第3の実施の形態>
図16は、本発明の第3の実施の形態におけるスリッターユニット120を示す正面図である。図17は、図16の左方から見たスリッターユニット120を示す左側面図である。図18は、図16の右方から見たスリッターユニット120を示す右側面図である。
本実施の形態のスリッターユニット120は、第1の実施の形態のスリッターユニット30と構成が類似しているので、同一の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。スリッターユニット120は、切断装置に相当する。図16〜図18では、各ローラーおよびシャフトの配置を分かりやすくするために、図2に示す非切断側ペーパーガイド34および切断側ペーパーガイド37の図示を省略している。また図16では、筐体40の正面側の壁部および天板の図示を省略している。
本実施の形態のスリッターユニット120は、前述の第1の実施の形態のスリッターユニット30に代えて、第1の実施の形態における画像形成ユニット10と組み合わせて用いられ、画像形成装置を構成する。
本実施の形態のスリッターユニット120は、第1の実施の形態における縦方向切断部35に加えて、第2の縦方向切断部121を備えること、および第1シャフト42の軸線方向の一端部に搬送用ギア125を備えること以外は、第1の実施の形態のスリッターユニット30と同様の構成を有する。
第2の縦方向切断部121は、一対の丸刃122,123と、それに付設されるばね124とを備える。第2の縦方向切断部121の丸刃122,123は、縦方向切断部35の丸刃36a,36bと同様に構成される。丸刃122,123は、他の切断部材に相当する。
具体的には、丸刃122,123は、ペーパー3の表面側に配置される上側丸刃122と、ペーパー3の裏面側に配置される下側丸刃123とで構成される。上側丸刃122は、搬送ローラー33a,33bの上側ローラー33aとともに、第1シャフト42に保持される。下側丸刃123は、搬送ローラー33a,33bの下側ローラー33bとともに、第2シャフト43に保持される。上側丸刃122と、第2の搬送ローラー33a,33bの上側ローラー33aとの間の第1シャフト42には、ばね124が設けられている。
このように構成されるので、本実施の形態のスリッターユニット120は、第1の実施の形態における非切断側パスに相当する第1のパスと、第2の実施の形態における切断側パスに相当する第2のパスとの両方に、丸刃を備えることになる。これによって、縦方向の切断箇所を変更することが可能になる。第1のパスは、第1の搬送経路に相当し、第2のパスは、第2の搬送経路に相当する。
本実施の形態のスリッターユニット90およびそれを備える画像形成装置は、第1の実施の形態のスリッターユニット30およびそれを備える画像形成装置1と同様に動作する。
図19は、画像形成ペーパー部130を示す平面図である。図20は、図19に示す画像形成ペーパー部130を縦方向切断部35で切断した後の状態を示す平面図である。図21は、画像形成ペーパー部140を示す平面図である。図22は、図21に示す画像形成ペーパー部140を第2の縦方向切断部121で切断した後の状態を示す平面図である。
本実施の形態では、図19および図21に示すように、画像形成ペーパー部130,140は、矢符「100」で示される方向に搬送されて、スリッターユニット120に入る。第1の実施の形態と同様にして、横方向101の切断が行われた後、縦方向102の切断が行われる。
たとえば、図19に示す画像形成ペーパー部130が第2のパスに搬送されて、縦方向切断部35で切断された場合、図20に示すように、縦方向102に沿って、横方向101における幅が2等分された2つの部分131,132に切断される。
たとえば、図21に示す画像形成ペーパー部140が、第1のパスに搬送されて、第2の縦方向切断部121で切断された場合、図22に示すように、縦方向102に沿って、横方向101における幅が1:2の比の2つの部分141,142に切断される。
切断後の各部131,132,141,142の横方向における幅は、縦方向切断部35および第2の縦方向切断部121の丸刃の位置を調整することによって、変更することができる。
以上のように本実施の形態では、第1の実施の形態における切断および非切断の選択に代えて、縦方向の切断箇所の選択を行うことができる。これによって、ペーパー3の切断後のサイズの自由度を高めることができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせることが可能である。また、各実施の形態の任意の構成要素を適宜、変更または省略することが可能である。