JP6094727B2 - 被検知物の判別装置及び判別方法、電気抵抗率測定装置及び電気抵抗率測定方法、成分含量推定装置及び成分含量推定方法、並びに、板厚推定装置及び板厚推定方法 - Google Patents

被検知物の判別装置及び判別方法、電気抵抗率測定装置及び電気抵抗率測定方法、成分含量推定装置及び成分含量推定方法、並びに、板厚推定装置及び板厚推定方法 Download PDF

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本発明は、被検知物を判別する判別装置及び判別方法、被検知物の電気抵抗率を測定する電気抵抗率測定装置及び電気抵抗率測定方法、被検知物の成分含量を推定する成分含量推定装置及び成分含量推定方法、並びに、被検知物の板厚を推定する板厚推定装置及び板厚推定方法に関する。
被検知物の組成等を分析する方法には各種あるが、それぞれに問題があった。例えば、化学的方法では、被検知物の成分分析を行うので破壊検査となり、また設備や時間もかかるという問題があった。蛍光X線分析では、非破壊検査であるが被検知物の表面が露出している必要があり、しかも表面のみの分析で内部は検査できないという問題があった(例えば、特許文献1参照)。熱起電力による方法(例えば、特許文献2参照)は、被検知物の表面が露出している必要があり、被検知物を一定温度に加熱する必要があるという問題があった。
また、被検知物を非接触で比較的簡便に分析・判別できる方法として渦電流方式がある(例えば、特許文献3参照)。しかし、この方法は、測定値が被検知物とセンサとの距離に強く依存するので、同一距離で比較しなければならず、被検知物の形状が異なる場合には計測値に誤差が生じてしまうという問題があった。
特許第4755594号公報 特開2008−170406号公報 実用新案登録第3001707号公報
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、第1の目的は、非接触かつ非破壊で、被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の組成又は組織の違いを判別することができる判別装置又は判別方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、非接触かつ非破壊で、被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の電気抵抗率を測定することができる電気抵抗率測定装置又は電気抵抗率測定方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、非接触かつ非破壊で、被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の成分含量を推定することができる成分含量推定装置又は成分含量推定方法を提供することにある。
本発明の第4の目的は、非接触かつ非破壊で、被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の板厚を推定することができる板厚推定装置又は板厚推定方法を提供することにある。
本発明の判別装置は、被検知物の組成又は組織の違いを判別するものであって、共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路と、共振コイルに高周波信号を供給する高周波信号発生回路と、共振コイルに発生する信号の位相差を検出する位相差検出回路と、共振コイルに発生する信号の振幅を検出する振幅検出回路と、位相差検出回路により検出した位相差及び振幅検出回路により検出した振幅に基づき、共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時の位相変化量と振幅変化量との比を求める比算出部と、比算出部により求めた位相変化量と振幅変化量との比から、被検知物の組成又は組織の違いを判別する判別部とを具備している。
本発明の電気抵抗率測定装置は、被検知物の電気抵抗率を測定するものであって、共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路と、共振コイルに高周波信号を供給する高周波信号発生回路と、共振コイルに発生する信号の位相差を検出する位相差検出回路と、共振コイルに発生する信号の振幅を検出する振幅検出回路と、位相差検出回路により検出した位相差及び振幅検出回路により検出した振幅に基づき、共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時の位相変化量と振幅変化量との比を求める比算出部と、比算出部により求めた位相変化量と振幅変化量との比から、被検知物の電気抵抗率を求める電気抵抗率算出部とを具備している。
本発明の成分含量推定装置は、被検知物の成分含量を推定するものであって、共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路と、共振コイルに高周波信号を供給する高周波信号発生回路と、共振コイルに発生する信号の位相差を検出する位相差検出回路と、共振コイルに発生する信号の振幅を検出する振幅検出回路と、位相差検出回路により検出した位相差及び振幅検出回路により検出した振幅に基づき、共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時の位相変化量と振幅変化量との比を求める比算出部と、比算出部により求めた位相変化量と振幅変化量との比から、被検知物の成分含量を推定する成分含量算出部とを具備している。
本発明の板厚推定装置は、被検知物の板厚を推定するものであって、共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路と、共振コイルに高周波信号を供給する高周波信号発生回路と、共振コイルに発生する信号の位相差を検出する位相差検出回路と、共振コイルに発生する信号の振幅を検出する振幅検出回路と、位相差検出回路により検出した位相差及び振幅検出回路により検出した振幅に基づき、共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時の位相変化量と振幅変化量との比を求める比算出部と、比算出部により求めた位相変化量と振幅変化量との比から、被検知物の板厚を推定する板厚算出部とを具備している。
本発明の判別方法は、被検知物の組成又は組織の違いを判別するものであって、共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路を用い、共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時に、共振コイルに発生する信号の位相変化量と振幅変化量との比を求め、求めた位相変化量と振幅変化量との比から被検知物の組成又は組織の違いを判別するものである。
本発明の電気抵抗率測定方法は、被検知物の電気抵抗率を測定するものであって、共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路を用い、共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時に、共振コイルに発生する信号の位相変化量と振幅変化量との比を求め、求めた位相変化量と振幅変化量との比から被検知物の電気抵抗率を算出するものである。
本発明の成分含量推定方法は、被検知物の成分含量を推定するものであって、共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路を用い、共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時に、共振コイルに発生する信号の位相変化量と振幅変化量との比を求め、求めた位相変化量と振幅変化量との比から被検知物の成分含量を推定するものである。
本発明の板厚推定方法は、被検知物の板厚を推定するものであって、共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路を用い、共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時に、共振コイルに発生する信号の位相変化量と振幅変化量との比を求め、求めた位相変化量と振幅変化量との比から被検知物の板厚を推定するものである。
本発明の判別装置及び判別方法では、共振回路の共振コイルに被検知物を接近させると、被検知物の電磁気学的性質により共振コイルの状態が変わり、共振回路の共振周波数が変化し、共振回路に供給する高周波信号発生部の信号と、共振コイルに生じる信号に位相差が生じる。また、共振回路の共振コイルに被検知物を接近させると、被検知物が電気電導体の場合には渦電流が発生し、共振コイルに生じる信号の振幅が変化する。これら位相変化及び振幅変化は、共振コイルと被検知物との距離に依存する。この依存の程度は位相変化及び振幅変化の両者共に共振コイルと被検知物との距離の二乗に反比例する。これら位相変化及び振幅変化は、共振コイルと被検知物との距離に関し同程度の影響を受ける。よって、位相変化量と振幅変化量との比から計算する角度(以下、判別角という)は、共振コイルと被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の磁気的特性(比透磁率、磁気ヒステリシス等)及び電気的特性(電気抵抗率等)により決定される被検知物固有の値(定数)となる。共振コイルと被検知物との距離を計測しなくても、振幅変化と位相変化の2つの情報から距離のパラメータを消去できることが特徴で、距離に大きな影響を受けない被検知物が持つ固有の値(判別角)が計算できる。
本発明の電気抵抗率測定装置及び電気抵抗率測定方法では、本発明の判別装置及び判別方法と同様にして、位相変化量と振幅変化量との比を求める。位相変化量と振幅変化量との比から計算する判別角は、被検知物の比透磁率が1に近い場合、電気抵抗率とほぼ直線の関係を有するので、判別角から電気抵抗率を計算できる。
本発明の成分含量推定装置及び成分含量推定方法では、本発明の判別装置及び判別方法と同様にして、位相変化量と振幅変化量との比を求める。位相変化量と振幅変化量との比から計算する判別角は、被検知物の比透磁率が1に近い場合、電気抵抗率とほぼ直線の関係を有するので、電気抵抗率と成分含量との関係が既知の場合には、判別角から成分含量を推定できる。
本発明の板厚推定装置及び板厚推定方法では、本発明の判別装置及び判別方法と同様にして、位相変化量と振幅変化量との比を求める。位相変化量と振幅変化量との比から計算する判別角は、被検知物の比透磁率が1に近い場合、電気抵抗率とほぼ直線の関係を有する。電気抵抗率は板厚に依存しない材料固有の値である。本発明の計測条件では、渦電流を発生させる高周波信号に依存する深さにまでしか電流が流れない(表皮効果)。すなわち、電気抵抗率を求めるある一定の厚さが必要である。その厚さ以下であれば、材料本来の電気抵抗率は得られず、見かけ上、電気抵抗率は大きくなり、判別角が小さくなる。よって、被検知物の成分や組成が同一で板厚が異なる場合、被検知物の板厚と判別角には比例関係が生じ、判別角から板厚を推定できる。
本発明の判別装置及び判別方法によれば、共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時に、共振コイルに発生する信号の位相変化量と振幅変化量との比を求めるようにしたので、非接触かつ非破壊で、共振コイルと被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の組成又は組織に固有の値(判別角)を求めることができる。よって、被検知物の組成又は組織を簡便に判別することができる。
本発明の電気抵抗率測定装置及び電気抵抗率測定方法によれば、判別角と電気抵抗率とが比例することを利用し、非接触かつ非破壊で、共振コイルと被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の電気抵抗率を簡便に測定することができる。
本発明の成分含量推定装置及び成分含量推定方法によれば、判別角と電気抵抗率とが比例することを利用し、電気抵抗率と成分含量との関係から、非接触かつ非破壊で、共振コイルと被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の成分含量を簡便に推定することができる。
本発明の板厚推定装置及び板厚推定方法によれば、判別角と電気抵抗率とが比例することを利用し、かつ、電気抵抗率は板厚によらない材料固有の値であるが、判別角測定に必要な渦電流を生じさせるにはある程度の板厚が必要となり、その厚さ以下であれば板厚と判別角に相関関係が生じることから、非接触かつ非破壊で、共振コイルと被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の板厚を簡便に推定することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る判別装置の構成を表す図である。 共振コイルと被検知物との距離と、位相差と、振幅との関係を表す特性図である。 位相変化と、振幅変化との関係を表す特性図である。 判別角を説明する特性図である。 図1に示した共振回路の共振コイル部分の構成を表すものである。 図1に示した共振回路の共振コイル部分の他の構成を表すものである。 図1に示した位相差検出部の回路例を表すものである。 検出部の他の構成例を表すものである。 図1に示した振幅変化量検出部の構成例を表すものである。 本実施例の結果を表すグラフである。 本実施例の他の結果を表すグラフである。 判別角と被検知物の電気抵抗率との関係を表す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(一実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係る判別装置1の構成を表すものである。この判別装置1は、被検知物の組成又は組織の違いを判別するものであり、例えば、並列に接続された共振コイル11とコンデンサー12とを有する共振回路10と、共振コイル11に高周波信号を供給して共振コイル11に発生する信号の位相差及び振幅を検出する検出部20と、検出部20により検出した位相差及び振幅に基づき、共振コイル11の近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時の位相変化量と振幅変化量との比から被検知物の組成又は組織の違いを判別するデータ処理部30とを備えている。すなわち、この判別装置1は、共振コイル11に被検知物を接近させた時に、共振コイル11に発生する信号の位相変化量と振幅変化量との比である判別角から被検知物の組成又は組織の違いを判別するものである。
まず、判別装置1の原理について説明する。共振回路10は、共振コイル11に被検知物を接近させると、被検知物の電磁気学的性質により、共振コイル11のインダクタンスが変化して、共振コイル11に発生する信号の位相が変化する。例えば、被検知物が鉄やフェライト等のように、比透磁率が1より非常に大きい場合には、被検知物を共振コイル11に接近させると、磁束が集束し、見かけ上、コイルが密に巻かれた状態の様になる。そのため、共振コイル11のインダクタンスが増加し、共振回路10の共振周波数が低くなり、共振コイル11に発生する信号の位相は、共振コイル11の近傍に被検知物が存在しない時の位相に比べて遅れる。逆に、例えば、アルミニウムや銅等の比透磁率が1に近い被検知物の場合には、被検知物を共振コイル11に接近させると、磁束の集束は発生せず、被検知物には渦電流が発生し、その反発(反作用)で共振コイル11のインダクタンスが減少する。このインダクタンスの減少は比透磁率によらず発生するが、比透磁率が大きいと磁束の集束の効果が大きく、インダクタンス減少の効果が小さいので、インダクタンスが増加する。よって、比透磁率が1に近い場合には、インダクタンスが減少し、共振回路10の共振周波数が高くなり、共振コイル11の近傍に被検知物が存在しない時の位相に比べて進む。この位相の変化は、共振コイル11と被検知物との距離の二乗に反比例し、距離が近くなるに従って位相の変化は大きくなる。
また、被検知物を共振コイル11に接近させると、被検知物に渦電流が発生する。この時、被検知物の電気抵抗により電力が消費され、共振コイル11に生じる信号の振幅が変化する。また、インダクタンス変化による共振回路10の共振周波数も変化し、共振回路10と高周波信号発生部21の周波数で決まる振幅変化も同時に生じる。この時の振幅は、共振コイル11と被検知物との距離の二乗に反比例し、距離が近くなるに従って振幅の変化は大きくなる。
図2に、共振コイル11と被検知物との距離と、位相差と、振幅との関係を示す。図2は、鋼(SS400)を被検知物として測定した結果であり、横軸が距離の二乗の逆数(単位はmm−2)であり、縦軸が位相差検出回路23Bの出力電圧と振幅検出回路22Aの出力電圧である。図2に示したように、位相の変化及び振幅の変化は共にほぼ直線となり、被検知物との距離の二乗に反比例し、距離が近くなるに従って位相の変化及び振幅の変化が大きくなることが分かる。
位相差検出部23の出力である位相差をPとし、及び振幅検出部22の出力である振幅をAとしたとき、例えば、下記の式1により表される。
(式1)
P=Kp/d
A=Ka/d
ここで、Kp,Kaは比例定数、dは共振コイル11と被検知物との距離とする。
距離dの時の位相差をP、振幅をAとし、また距離dの時の位相差をP、振幅をAとしたとき、位相変化量ΔPと振幅変化量ΔAは下記の式より表される。
ΔP=P−P=Kp/d −Kp/d =Kp(1/d −1/d
ΔA=A−A=Ka/d −Ka/d =Ka(1/d −1/d
このとき位相変化量ΔPと振幅変化量ΔAとの比であるΔA/ΔPは下記の式2より表される。
(式2)
ΔA/ΔP={Ka(1/d −1/d )}/{Kp(1/d −1/d )}
=Ka/Kp
=定数
これら位相変化量及び振幅変化量は、共振コイル11と被検知物との距離に関し同程度の影響を受ける。よって、位相変化量と振幅変化量との比は、式2に示したように距離の因子が消去され定数となる。共振コイルと被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の磁気的特性及び電気的特性により決定される固有値となる。
なお、距離とは検知面15と被検知物の距離ではなく実際には共振コイル11とフェライトコア14、被覆体17、遮蔽体18の物理的な構造より決まる位置となる。よって式1にある距離とは(検知面15と被検知物の距離:計測距離+定数 a)となる。よって式1は
P=Kp/(d+a)
A=Ka/(d+a)
となるが、位相変化量ΔPと振幅変化量ΔAとの比であるΔA/ΔPは定数となる。図2のグラフの距離は(検知面15と被検知物の距離:計測距離+定数)で作成している。
例えば、距離の関数である位相差及び振幅は、位相変化を横軸に、振幅変化を縦軸にとった二次元平面に投影すると、共振コイル11と被検知物との距離が変化すると位相変化及び振幅変化は共に変化するが、直線上に散布する。なお、図2に示した共振コイル11と被検知物との距離と、位相変化と、振幅変化との関係から、横軸に位相変化、縦軸に振幅変化とした関係を表すと、図3に示したようになる。この直線の傾きは、位相変化量と振幅変化量との比であり、定数となり、共振コイル11と被検知物との距離に依存しない。
例えば、位相変化と振幅変化との関係を図4で表した場合の傾き(判別角)から被検知物の組成又は組織を判別することができる。ここで、振幅が減少する方向の軸を基準に軸から直線の角度を求め、位相が進む方向を正の判別角とし、位相が遅れる方向を負の判別角とする。以後、判別角は、位相変化量と振幅変化量との比から計算した値として記述し、説明を行う。但し、角度は次元のない量なので、共振コイル11に位相は変化するが振幅は変化しないフェライトを接近させた時の直線の角度を−90度とし、共振コイル11に電解銅を接近させた時の直線の角度を+70度として校正した値を使用している。
次に、判別装置1の具体的な構成について説明する。共振回路10は、共振周波数が3KHzから1MHzの範囲において、共振コイル11に発生する信号の位相変化と振幅変化との関係に大きな差がない(直線性が保たれる)。但し、位相変化量と振幅変化量との比は共振回路10の共振周波数特性に依存する。よって、共振回路10には、共振コイル11と並列に抵抗13を接続し、共振回路10のQ値を調節するようにすることが好ましい。
図5は、共振回路10の共振コイル11の部分の構成を表すものである。共振コイル11は、空芯でもよく、フェライトコア14を有していてもよい。空芯の構造は、例えば、図5(A)に示したように、共振コイル11の内部に被検知物Mを通して検知する場合に適しており、例えば、図5(B)(C)に示したように、フェライトコア14を有する構造は、共振コイル11の一方の検知面15に被検知物Mを接近させて検知する場合に適している。なお、図5(A)(B)は断面構造を表し、図5(C)は図5(B)に示した共振コイル11を検知面15から見た構成を表している。
共振コイル11の外周は、例えば、エポキシ樹脂等のプラスチック体16により覆われており、その外周には、例えば、フェライトよりなる被覆体17を設けるようにしてもよい。プラスチック体16は共振コイル11の位置を固定し共振回路10の共振周波数特性に変化を生じさせない役目がある。被覆体17を設置することで指向性が向上し、検知面15以外の影響を受け難くなると共に、位相変化と振幅変化との関係の直線性が向上し、判別精度を向上させることができる。なお、フェライトの被覆体17を設けない方が、感度は向上するので、目的に応じて使い分けることが好ましい。
共振コイル11の外周には、被覆体17を設ける場合にはその外周に、例えば、電導体よりなる遮蔽体18を設けることが好ましい。これは共振コイル11に生じる寄生容量の外部からの影響を受け難くなるからである。遮蔽体18は接地する。また、フェライトコア14を有する場合には、例えば、図6に示したように、フェライトコア14を検知面15において被覆体17よりも突出させるようにすれば、検出感度を高くすることができるので好ましい。但し、フェライトコア14を突出させると、位相変化と振幅変化との関係の直線性が低下するので、目的に応じて使い分けることが好ましい。
検出部20は、例えば、図1に示したように、抵抗24を介して共振回路10に高周波信号を供給する高周波信号発生部21と、位相差を検出する位相差検出部23と、振幅を検出する振幅検出部22とを備えている。高周波信号発生部21は、例えば、高周波信号発生回路21Aと、高周波信号発生回路21Aから出力する高周波信号を安定化するバッファーアンプ21Bとを有している。位相差検出部23は、例えば、高周波信号発生部21で出力する信号の位相をシフトする位相シフター23Aと、高周波信号発生部21から出力された信号と共振コイル11に発生する信号との位相差を検出することにより、位相差を求める位相差検出回路23Bとを有している。振幅検出部22は、例えば、共振コイル11に発生する信号の振幅を検出する振幅検出回路22Aを有している。
高周波信号発生部21は、共振コイル11の近傍に被検知物が存在しない状態における共振回路10の共振周波数と一致する周波数の高周波信号を出力するように調整されることが好ましい。高周波信号発生部21で出力する高周波信号が共振回路10の共振周波数より低い場合、鉄やフェライト等が共振コイル11に接近すると、共振コイル11のインダクタンスが増大し、共振回路10の共振周波数が高周波信号発生部21で出力する高周波信号に近づき、共振コイル11に生じる信号の振幅が増大する。逆に、高周波信号発生部21で出力する高周波信号が共振回路10の共振周波数より低い場合に、アルミニウムや銅等が共振コイル11に接近すると、共振コイル11のインダクタンスが減少し、共振回路10の共振周波数が高周波信号発生部21で出力する高周波信号から遠ざかり、共振コイル11に生じる信号の振幅が減少する。
また、高周波信号発生部21で出力する高周波信号が共振回路10の共振周波数より高い場合に、アルミニウムや銅等が共振コイル11に接近すると、共振コイル11のインダクタンスが低下し、共振回路10の共振周波数が高周波信号発生部21で出力する高周波信号に近づき、共振コイル11に生じる信号の振幅が増大する。逆に、高周波信号発生部21で出力する高周波信号が共振回路10の共振周波数より高い場合に、鉄やフェライト等が共振コイル11に接近すると、共振コイル11のインダクタンスが増大し、共振回路10の共振周波数が高周波信号発生部21で出力する高周波信号から離れ、共振コイル11に生じる信号の振幅が減少する。
このように、高周波信号発生部21で発生する高周波信号が共振回路10の共振周波数と異なる場合には、位相変化量と振幅変化量との関係を図4に示したグラフで表すと、直線が本来の座標から、別の回転した座標に表されるので、補正が必要となる。これに対し、高周波信号発生部21で発生する高周波信号が共振回路10の共振周波数と一致している場合には、振幅が増大することがないので補正の必要がなく、位相変化と振幅変化との関係を図4に示したグラフで表すと、直線の傾き(判別角)は±90度の範囲内となる。
共振コイル11を交換した場合には、共振回路10の共振周波数が異なるので、高周波信号発生部21の周波数制御を行うことが好ましい。例えば、共振コイル11の近傍に被検知物がない状態で共振コイル11に発生する信号の振幅が最大になる周波数に設定すれば、共振回路10の共振周波数と一致させることができる。高周波信号発生部21から出力する信号は、正弦波が望ましいが矩形波でも可能である。但し、矩形波の場合には、デューティ比を50%とすることが好ましい。また、共振コイル11に被検知物を接近させると、共振回路10の状態が変化し、高周波信号発生回路21Aの出力負荷が変化するので、高周波信号発生回路21Aと共振回路10との間にバッファーアンプ21Bを追加し、負荷を緩和することが好ましい。なお、検出部20の回路特性の影響で振幅が最大になる周波数が共振周波数でない場合があり、例えば、確実に校正するには、共振コイル11にフェライト体を接近させ、位相が変化しても振幅が変化しない周波数を高周波信号発生部21から出力するように調節することが好ましい。
位相差検出部23は、図1に示したA点とB点との位相差を検出する。位相差検出には、例えば、排他的論理和ゲート(XORゲート、例えば、PLL IC 4046)を使い、出力を抵抗とコンデンサーで平滑化し、位相差出力とする方法がある。XORゲートを使う場合には、高周波信号発生部21と位相差検出回路23Bとの間に、A点の位相を例えば−90度程度シフトさせる位相差シフター23Aを備え、位相差ゼロ付近でも連続に変化するようにする必要がある。例えば、位相シフター23Aを使わなかった場合には、位相差ゼロを境に絶対値出力となり、位相差+も位相差−も同極性の出力となり、位相が進んでいるのか、遅れているのか判別不能のため、不敵である。位相シフター23Aは図1B点の位相をシフトし位相差検出回路23Bに入力してもよい。その時、一方の入力である図1A点は直接に位相差検出回路23Bに入力する。図7に位相差検出部23の回路例を示す。
高周波信号発生部21と共振回路10とは、抵抗24を間に介して接続する。例えば、共振コイル11に被検知物を接近させた時に、高周波信号発生部21から出力された信号と共振コイル11に発生する信号とに位相差を生じさせると共に、抵抗24を調節することにより、共振回路10の特性が微妙に異なっても位相変化量と振幅変化量との関係を一定とすることができるからである。
なお、抵抗24に代えて、例えば、図8に示したように、共振コイル11の近傍に、高周波信号発生部21と接続された信号供給コイル25を配置し、高周波信号発生部21と共振回路10とを疎なトランス結合で接続するようにしてもよい。
振幅検出部22は、図1に示したB点の振幅を検出する。振幅の検出には、例えば、図9(A)に示したように、ダイオード検波及びコンデンサーと抵抗による平滑回路がある。また、図9(B)に示したように、理想ダイオードの方法もある。振幅検出部22は、共振回路10に影響を与えるものは好ましくないので、入力インピーダンスを高くすることが好ましい。なお、他にも、真の実効値(RMS)を使用する方法や、波形そのものをアナログデジタル変換し、コンピュータ処理により振幅、又は実効値、又はパワースペクトラム(FFT)を計算する方法を用いてもよい。
データ処理部30は、例えば、図1に示したように、A/D変換部31と、検出部20により検出した位相差及び振幅に基づき、共振コイル11の近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時の位相変化量と振幅変化量との比を求める比算出部32と、比算出部32により求めた位相変化量と振幅変化量との比から、被検知物の組成又は組織の違いを判別する判別部33と、高周波信号発生部21の周波数を制御する周波数制御部34とを有している。
比算出部32は、例えば、A/D変換部31によりアナログデジタル変換された位相検出部23及び振幅検出部22の出力を取り込み、共振コイル11の近傍に被検知物が存在しない状態の位相差及び振幅値を基準値(零点)にし、この基準値と、被検知物を接近させた時の位相差及び振幅値との差を位相変化量及び振幅変化量として計算し、位相変化と振幅変化との関係をグラフで表示すると共に、その傾きである判別角、すなわち位相変化量と振幅変化量との比を計算して表示するように構成されている。グラフは、例えば、共振コイル11の近傍に被検知物が存在しない状態を零点とした直線となり、傾きである判別角は被検知物の組成又は組織に応じた固有の値となる。なお、位相変化と振幅変化の散布図は直線になるので、原理的には、どこを基準としてもよい。例えば、共振コイル11の近傍に被検知物が存在しない状態を基準とするのではなく、ある程度信号が大きくなった時点を基準値(零点)としてもよい。
この判別装置1では、例えば、共振コイル11に被検知物を接近させると、被検知物の電磁気学的性質により共振回路10の共振周波数が変化し、共振コイル11に発生する信号の位相が変化する。また、被検知物に渦電流が発生し、共振コイル11に生じる信号の位相及び振幅が変化する。その際、位相検出部23により位相差を検出すると共に、振幅検出部22により振幅を検出する。検出した位相差及び振幅に基づき、比算出部32により、共振コイル11の近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時の位相変化量と振幅変化量との比を求め、判別角を求める。この判別角から、判別部33により被検知物の組成又は組織を判別する。
なお、共振コイル11に被検知物を接近させる位置は、1点でもよいが、例えば、少し離れた位置から徐々に共振コイル11に近づけていき、複数点について検出することが好ましい。例えば、複数点の位相変化と振幅変化から直線回帰を計算し、回帰係数から位相変化量と振幅変化量との比を求めることでノイズの影響を低減でき、判別精度を向上させることができるからである。
(実施例)
上述した判別装置1を用い、共振コイル11に対して被検知物を徐々に接近させ、被検知物の組成又は組織を判別した。被検知物としては、電解銅、平成2年発行500円硬貨(Cu75重量%、Ni25重量%)、平成19年発行500円硬貨(Cu72重量%、Ni8重量%、Zn20重量%)、鉛、チタンアルミニウム合金(Ti95重量%、Al5重量%)、スチール(SS400)、アルミニウム、フェライト、ステンレススチール(SUS304)よりなるものを用意した。なお、用意した2種類の発行年が異なる500円硬貨は共に銅合金であるが、合金組成の異なる被検知物の例(白銅と黄銅)として用意したものである。また、ステンレススチール(SUS304)は、固溶化熱処理状態のもの、弱い冷間圧延を施したもの、強い冷間圧延を施したものをそれぞれを用意し、同一組成で組織の異なる被検知物の例として用意した。
本実施例では、比算出部32において、位相変化を横軸、振幅変化を縦軸として位相変化量と振幅変化量との関係をグラフ化し、傾き(判別角)を求めた。その際、例えば、図4に示したように、傾き(判別角)は、位相が変化せず振幅のみが減少する方向の傾きを0度とし、位相が進む傾きを正とした角度、位相が遅れる傾きを負とした角度とした。また、フェライトは電気抵抗が高く渦電流が発生しても無視できる程度であり、共振コイル11に接近させても位相は遅れるが振幅は殆ど変化しないので、フェライトの傾きを−90度とした。更に、本実施例では、電解銅の傾きを+70°にした値で校正している。なお、高周波信号発生部21の周波数が共振コイル11の近傍に何も存在しない状態における共振回路10の共振周波数と一致している場合には、被検知物の判別角は、±90°の範囲となる。
まず、被検知物にスチール(SS400)を使い、共振コイル11と被検知物の距離と位相変化及び振幅変化との関係を調べた。図2に示したように、横軸に共振コイル11と被検知物との距離の二乗の逆数をとり、縦軸に位相差及び振幅をとると、位相差及び振幅について共に直線関係となった。よって、位相変化及び振幅変化は共に共振コイル11と被検知物との距離の二乗に反比例することが分かった。これは上述した式1を支持する結果である。
また、図3に示したように、横軸に位相変化をとり、縦軸に振幅変化をとったグラフにすると、直線関係になることが分かる。これは上述した式2を支持する結果である。よって、位相変化量と、振幅変化量との比である判別角は、共振コイルと被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の磁気的特性及び電気的特性により決定される固有の値(判別角)となることが分かる。
上述した判別装置1を用い、被検知物の種類の違いから得られた結果を図10に示す。図10に示したように、各被検知物の位相変化と振幅変化との関係はいずれも直線で表され、被検知物の違いにより異なる傾き(判別角)を持っていた。また、表1に、フェライトを−90度、電解銅を+70度で校正した時の各被検知物のサンプル数10の平均角度と標準偏差を示す。このように、組成の違いにより傾き(判別角)が異なり、被検知物の組成の違いを判別できることが分かった。
Figure 0006094727
図11は、同一組成のSUS304で、固溶化熱処理状態のもの、弱い冷間圧延を施したもの、強い冷間圧延を施したもの、で得られた結果である。SUS304の固溶化熱処理状態のものでは正の傾きを持ち、弱い冷間圧延を施したものではほぼ零の傾きになり、強い冷間圧延を施したものでは負の傾きを持つようになる結果であった。すなわち、同一組成でも加工による組織の変化で異なる角度が得られ、組織の違いを判別できることが分かった。
このように本実施の形態によれば、共振コイル11の近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時に、共振コイル11に発生する信号の位相変化量と振幅変化量との比を求めるようにしたので、非接触かつ非破壊で、共振コイル11と被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の組成又は組織に固有の値(判別角)を求めることができる。よって、被検知物の組成又は組織を簡便に判別することができる。
(変形例)
上記一実施の形態では、被検知物の組成又は組織の違いを判別する判別装置1及び判別方法について説明したが、本発明は、被検知物の電気抵抗率を測定する電気抵抗率測定装置及び電気抵抗率測定方法、被検知物の成分含量を推定する成分含量推定装置及び成分含量推定方法、又は、被検知物の板厚を推定する板厚推定装置及び板厚推定方法に応用することができる。
電気抵抗率測定装置は、一実施の形態において説明した判別装置1の判別部33の構成が異なることを除き、他は判別装置1と同様の構成を有している。電気抵抗率測定装置は、判別部33に変えて、比算出部32により求めた位相変化量と振幅変化量との比から、電気抵抗率を求める電気抵抗率算出部を備えている。これは、被検知物の比透磁率が1に近い場合、比算出部32において得られる判別角と被検知物の電気抵抗率との関係がほぼ直線となることを利用したものである。図12に、上記実施例において得られた判別角と被検知物の電気抵抗率との関係を示す。この電気抵抗率測定方法では、例えば、一実施の形態と同様にして、共振コイル11の近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時に、共振コイル11に発生する信号の位相変化量と振幅変化量との比を求め、求めた位相変化量と振幅変化量との比から被検知物の電気抵抗率を算出する。よって、この電気抵抗率測定装置及び電気抵抗率測定方法によれば、非接触かつ非破壊で、共振コイル11と被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の電気抵抗率を測定することができる。
成分含量推定装置は、一実施の形態において説明した判別装置1の判別部33の構成が異なることを除き、他は判別装置1と同様の構成を有している。成分含量推定装置は、判別部33に変えて、比算出部32により求めた位相変化量と振幅変化量との比から、成分含量を推定する成分含量推定部を備えている。成分含量推定部は、例えば、予め判別角と成分含有量との関係を調べておき、その関係に基づき、判別角から被検知物の成分含量を推定するものである。例えば、被検知物の比透磁率が1に近い場合、比算出部32において得られる判別角と被検知物の電気抵抗率との関係がほぼ直線となることを利用して電気抵抗率を求め、被検知物の成分含量と電気抵抗率との既知の関係に基づき、算出した電気抵抗率から被検知物の成分含量を推定することも可能である。この成分含量推定方法では、例えば、一実施の形態と同様にして、共振コイル11の近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時に、共振コイル11に発生する信号の位相変化量と振幅変化量との比を求め、求めた位相変化量と振幅変化量との比から被検知物の成分含量を推定する。よって、この成分含量推定装置及び成分含量推定方法によれば、非接触かつ非破壊で、共振コイル11と被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の成分含量を推定することができる。
板厚推定装置は、一実施の形態において説明した判別装置1の判別部33の構成が異なることを除き、他は判別装置1と同様の構成を有している。板厚推定装置は、判別部33に変えて、比算出部32により求めた位相変化量と振幅変化量との比から、板厚を推定する板厚推定部を備えている。板厚推定部は、例えば、被検知物の比透磁率が1に近い場合、比算出部32において得られる判別角と被検知物の電気抵抗率との関係がほぼ直線となることを利用し、かつ、電気抵抗率は板厚によらない材料固有の値であるが、判別角測定に必要な渦電流を生じさせるにはある程度の板厚が必要となり、その厚さ以下であれば板厚と判別角に相関関係が生じることから板厚を推定するものである。この板厚推定方法では、例えば、一実施の形態と同様にして、共振コイル11の近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時に、共振コイル11に発生する信号の位相変化量と振幅変化量との比を求め、求めた位相変化量と振幅変化量との比から板厚との関係から板厚を推定する。よって、この板厚推定装置及び板厚推定方法によれば、非接触かつ非破壊で、共振コイル11と被検知物との距離に大きな影響を受けず、被検知物の板厚を推定することができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、共振回路10、検出部20、比算出部32等の構成について具体的に説明したが、他の構成を有するようにしてもよい。また、例えば、共振回路10は、並列共振回路で説明しているが、共振回路であれば直列共振回路でもよい。更に、共振回路10に高周波信号を供給する抵抗24もコンデンサーに交換してもよい。
非接触かつ非破壊で距離に大きな影響を受けず、組成又は組織の判別、電気抵抗率の測定、成分含量の推定、板厚の推定に用いることができる。
1…判別装置、10…共振回路、11…共振コイル、12…コンデンサー、13…抵抗、14…フェライトコア、15…検知面、16…プラスチック体、17…被覆体、18…遮蔽体、20…検出部、21…高周波信号発生部、21A…高周波信号発生回路、21B…バッファーアンプ、22…振幅検出部、22A…振幅検出回路、23…位相差検出部、
23A…位相シフター、21B…位相差検出回路、24…抵抗、25…信号供給コイル、30…データ処理部、31…A/D変換部、32…比算出部、33…判別部、34…周波数制御部

Claims (8)

  1. 被検知物の組成又は組織の違いを判別する判別装置であって、
    共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路と、
    前記共振コイルに高周波信号を供給する高周波信号発生回路と、
    前記共振コイルに発生する信号の位相差を検出する位相差検出回路と、
    前記共振コイルに発生する信号の振幅を検出する振幅検出回路と、
    前記位相差検出回路により検出した位相差及び前記振幅検出回路により検出した振幅に基づき、前記共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時の位相変化量と振幅変化量との比を、前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない定数として求める比算出部と、
    前記比算出部により求めた前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない位相変化量と振幅変化量との比から、被検知物の組成又は組織の違いを判別する判別部と
    を備えたことを特徴とする判別装置。
  2. 被検知物の電気抵抗率を測定する電気抵抗率測定装置であって、
    共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路と、
    前記共振コイルに高周波信号を供給する高周波信号発生回路と、
    前記共振コイルに発生する信号の位相差を検出する位相差検出回路と、
    前記共振コイルに発生する信号の振幅を検出する振幅検出回路と、
    前記位相差検出回路により検出した位相差及び前記振幅検出回路により検出した振幅に基づき、前記共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時の位相変化量と振幅変化量との比を、前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない定数として求める比算出部と、
    前記比算出部により求めた前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない位相変化量と振幅変化量との比から、被検知物の電気抵抗率を求める電気抵抗率算出部と
    を備えたことを特徴とする電気抵抗率測定装置。
  3. 被検知物の成分含量を推定する成分含量推定装置であって、
    共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路と、
    前記共振コイルに高周波信号を供給する高周波信号発生回路と、
    前記共振コイルに発生する信号の位相差を検出する位相差検出回路と、
    前記共振コイルに発生する信号の振幅を検出する振幅検出回路と、
    前記位相差検出回路により検出した位相差及び前記振幅検出回路により検出した振幅に基づき、前記共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時の位相変化量と振幅変化量との比を、前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない定数として求める比算出部と、
    前記比算出部により求めた前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない位相変化量と振幅変化量との比から、被検知物の成分含量を推定する成分含量算出部と
    を備えたことを特徴とする成分含量推定装置。
  4. 被検知物の板厚を推定する板厚推定装置であって、
    共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路と、
    前記共振コイルに高周波信号を供給する高周波信号発生回路と、
    前記共振コイルに発生する信号の位相差を検出する位相差検出回路と、
    前記共振コイルに発生する信号の振幅を検出する振幅検出回路と、
    前記位相差検出回路により検出した位相差及び前記振幅検出回路により検出した振幅に基づき、前記共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時の位相変化量と振幅変化量との比を、前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない定数として求める比算出部と、
    前記比算出部により求めた前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない位相変化量と振幅変化量との比から、被検知物の板厚を推定する板厚算出部と
    を備えたことを特徴とする板厚推定装置。
  5. 被検知物の組成又は組織の違いを判別する判別方法であって、
    共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路を用い、前記共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時に、前記共振コイルに発生する信号の位相変化量と振幅変化量との比を、前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない定数として求め、求めた前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない位相変化量と振幅変化量との比から被検知物の組成又は組織の違いを判別することを特徴とする判別方法。
  6. 被検知物の電気抵抗率を測定する電気抵抗率測定方法であって、
    共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路を用い、前記共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時に、前記共振コイルに発生する信号の位相変化量と振幅変化量との比を、前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない定数として求め、求めた前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない位相変化量と振幅変化量との比から被検知物の電気抵抗率を算出することを特徴とする電気抵抗率測定方法。
  7. 被検知物の成分含量を推定する成分含量推定方法であって、
    共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路を用い、前記共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時に、前記共振コイルに発生する信号の位相変化量と振幅変化量との比を、前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない定数として求め、求めた前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない位相変化量と振幅変化量との比から被検知物の成分含量を推定することを特徴とする成分含量推定方法。
  8. 被検知物の板厚を推定する板厚推定方法であって、
    共振コイルとコンデンサーとを有する共振回路を用い、前記共振コイルの近傍に被検知物が存在しない状態から被検知物を接近させた時に、前記共振コイルに発生する信号の位相変化量と振幅変化量との比を、前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない定数として求め、求めた前記共振コイルと被検知物との距離に依存しない位相変化量と振幅変化量との比から被検知物の板厚を推定することを特徴とする板厚推定方法。
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