JP6093224B2 - 過酸化物分解用固体触媒、及び該固体触媒を用いた過酸化物の分解処理方法 - Google Patents

過酸化物分解用固体触媒、及び該固体触媒を用いた過酸化物の分解処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、過酸化物分解用固体触媒、及び該固体触媒を用いた過酸化物の分解処理方法に関する。より詳しくは、硫酸を含む被処理水中の過酸化物を効率よく分解するための過酸化物分解用固体触媒、及び該固体触媒を用いた過酸化物の分解処理方法に関する。
半導体の製造プロセスでは、半導体形成後の後処理として、レジスト、金属不純物、微粒子、その他不要な異物を除去するための処理が必要となる。これらの除去対象物のうち、レジストを除去する場合には、従来、SPM(Sulfuric Acid Hydrogen Peroxide Mixture)、すなわち、硫酸と過酸化水素水の混合溶液を用いた処理方法(SPM処理)がよく利用されている。SPM処理は、レジスト剥離対象物を通常90〜150℃の範囲でSPMに加熱浸漬することにより行われる。SPM処理では、濃硫酸と過酸化水素水を混合すると両者が反応して強酸であるペルオキソ一硫酸(HSO)が生成し、このペルオキソ一硫酸が酸化剤となって、レジストを酸化分解すると考えられている。
ところで、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷をできる限り低減した資源循環型社会の実現を目指すため、産業から排出される様々な廃棄物・副産物について、他の産業の資源などとして再活用することにより社会全体として廃棄物をゼロにする、「ゼロ・エミッション(Zero Emission)」と称する社会システムの構築が提唱されており、こうした社会システムを構築する構想のもと、社会全体での取り組みとして、廃棄物を削減すること、廃棄物を全てリサイクルすること、最終的に埋め立て処分となる廃棄物を排出しないことなどが求められている。
過酸化水素は、最終的には無害な水と酸素に分解するので、環境にやさしいクリ−ンな酸化剤であり、実質的にゼロ・エミッションであるという特性を本来的に有している。したがって、過酸化水素を使用するSPM処理は環境負荷低減の点において好ましい方法であるといえるが、SPM処理の利用が広がって行くにつれて、その廃液に残っている微量の過酸化水素を安全かつ完全に分解処理し、該廃液中の硫酸を回収、リサイクルすることを可能とする技術の開発が重要になってくる。
従来、SPM処理で生じる廃液(SPM廃液)中の過酸化水素を除去する方法としては種々の方法が知られているが、それらの中で比較的好ましい方法として、粒状活性炭を充填した活性炭充填塔に通水して、過酸化水素を分解、除去する方法が知られている。しかし、この方法は、被処理水のpHが4以下であると、活性炭処理効果が悪く、被処理水中の過酸化水素濃度によっては、活性炭充填塔から排出される被処理水中に、規定濃度以上の過酸化水素が未分解のまま残存するという問題がある。
そこで、上記問題を解決した方法、すなわち、被処理水中の過酸化水素濃度の変動に対して、安定した活性炭処理が可能であり、また、中和剤のアルカリの使用量が少なくてすみ、かつ後段に設置されている純水製造装置の負荷も少なくすることを可能にした、過酸化水素含有酸性水の処理方法として、過酸化水素含有酸性水を活性炭充填塔に供給して過酸化水素を分解処理するにあたり、活性炭充填塔から排出される処理水中の過酸化水素濃度を測定し、その値が規定濃度を超えれば、活性炭充填塔に供給する過酸化水素含有酸性水中にアルカリを添加する処理方法が報告されている(特許文献1)。
また、過酸化水素や過酢酸を含む廃水を大量に処理するための方法として、白金等の遷移金属系の触媒を充填した触媒反応槽内に、過酸化水素及び/あるいは過酢酸を含む廃水を導入し、かつ撹拌することを特徴とする廃水の分解処理方法が提案されている(特許文献2)。
しかし、この方法では、触媒の劣化が促進し、長期間の連続処理には不向きであるという問題があることから、かかる問題を解決した過酸化水素含有酸性水の処理方法として、白金を活性炭に担持させた固体触媒(担体上の白金濃度は一般に0.1Wt%以上)を充填した反応塔内に、過酸化水素と過酢酸を含有する通常pH3以下の廃水を反応塔の上側から流入させ、廃水が固体触媒の表面を伝って自然に流下しながら接触分解して反応塔の下側から流れ出るようにし、反応塔内での固体触媒の磨耗による劣化を防止することを特徴とする廃水中の過酸化水素と過酢酸の同時分解処理方法が報告されている(特許文献3)。
一方、特に健康管理製品製造設備で使用される、過酸化物を含む連続流ストリ−ムを処理するため、連続流導管中で過酸化物を分解する触媒エレメントを含む触媒チャンバ−が報告されている(特許文献4)。該触媒エレメントとしては、粉末状若しくは粒状の白金又は白金含有物質(重量に対する触媒表面積の好ましい比は約100〜1000m/g)をアルミナ粉末に担持させた白金担持アルミナ触媒を使用する実施態様が開示されている。
その他、白金族金属を使用して水溶液中の過酸化水素を接触分解する方法として、酸化アルミニウムや二酸化ケイ素をベ−スとする無機酸化物担体(20〜250m/gの内部表面積)に、パラジウム等の白金族金属を担持させた触媒(担体上のパラジウム濃度:0.05〜2重量%)を使用して、過酸化水素の接触分解を単体水素の存在下で行う方法が報告されている(特許文献5)。
特開平8−39079号公報 特開平4−22494号公報 特開2000−107773号公報 特表2002−511333号公報 特開平8−257573号公報
上述したように、被処理水中に含まれる過酸化物を分解除去する場合、金属担持固体触媒を用いる方法が比較的よく使用されているが、従来の金属担持固体触媒は、硫酸を含む被処理水中の過酸化物の分解反応に対する触媒活性が良好であるとは必ずしもいえず、そのため、SPM廃液のような硫酸を含む膨大な量の被処理液に対しては処理効率が十分ではなかった。また、担持された触媒金属及び/又は担体自体が、硫酸を含む被処理水中に溶出しやすいため、触媒寿命が短いという問題もあった。
こうした状況に鑑み、本発明は、硫酸を含む被処理水中の過酸化物を効率よく分解することができ、かつ、担持された触媒金属及び担体の被処理水中への溶出が少なく、長期にわたり安定して使用することができる過酸化物分解用固体触媒、及び該固体触媒を用いた過酸化物の分解処理方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、触媒金属として白金(Pt)、担体としてシリカ(SiO)を選択し、該担体に白金を担持させて、白金の比表面積の値を一定の範囲内に限定することにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、硫酸を含む被処理水中の過酸化物の分解に用いる、シリカ担体に金属が担持された過酸化物分解用固体触媒であって、
該金属が白金であり、そのCO−MSA(CO吸着による白金比表面積)が1〜45m/gである過酸化物分解用固体触媒である。
また、本発明は、過酸化物及び硫酸を含む被処理水に、上記過酸化物分解用固体触媒を接触させて該被処理水中の過酸化物を分解する、硫酸を含む被処理水中の過酸化物の分解処理方法である。
本発明に係る過酸化物分解用固体触媒によれば、硫酸を含む被処理水中の過酸化物を効率よく分解することができ、かつ、担持した金属及び担体の被処理水中への溶出が少なく、長期にわたり安定して使用することができる。また、その結果、硫酸を回収して循環利用することが可能となり、環境負荷低減やコスト削減に大きく貢献することができる。一方、本発明に係る過酸化物の分解処理方法によれば、上記固体触媒が奏する効果を享受することができる。
各種白金族金属担持固体触媒の過酸化物分解活性試験において、過酸化水素の残存濃度(Y軸)と時間(X軸)の関係を示すグラフである。 各種白金担持固体触媒の白金溶出試験において、白金溶出量(Y軸)とCO−MSA(X軸)の関係を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
上述したように、本発明に係る過酸化物分解用固体触媒(以下、単に「固体触媒」と表記する。)は、シリカを担体として、これに白金を担持させたものである。
担体であるシリカは、硫酸及び過酸化物を含む温度70〜80℃程度の水溶液中で溶出することがなく、かつ、該水溶液中における圧壊強度の点でも非常に優れているため、長期間の触媒寿命の実現を可能にする。本発明で使用するシリカとしては、多孔質なシリカであることが好ましく、特にメソポ−ラスシリカ(メソ細孔粒子)は多孔度(容積に対する比表面積の比)が大きいので、メソ細孔粒子と接触する分子は粒子の中心に容易にアクセスでき、大きな表面と反応できるため、触媒特性の点で有利である。
本発明で使用する上記シリカは、より良好な過酸化物分解触媒活性を得る上で、その平均細孔径を10〜100nmの範囲内とすることが好ましく、より好ましくは、15〜100nm、更に好ましくは、15〜50nmの範囲内である。
また、上記シリカは、より良好な過酸化物分解触媒活性を得る上で、その比表面積を30〜300m/gの範囲内とすることが好ましく、より好ましくは、30〜250m/g、更に好ましくは、80〜250m/gの範囲内であり、最適には80〜200m/gの範囲で用いられる。
本発明において、シリカの平均細孔径は、窒素ガス吸着法で測定した等温脱着曲線から、BJH(Barrett−Joyner−Halenda)法で解析した値を意味する。また、シリカの比表面積は、固体表面に物理吸着する窒素ガスの量から表面積を求めるBET法で算出した値を意味する。
本発明で使用する上記シリカとしては、白金を担持することができるものであれば、その種類は特に限定されるものではない。また、その製法についても、特に限定されるものではなく、例えば、通常の湿式法で合成されたシリカを粉砕、分級して得た多孔質シリカや乾式法で合成された多孔質シリカを使用することができる。
上記シリカに担持させる白金については、そのCO吸着による白金比表面積(CO−MSA)を1〜45m/gの範囲内とし、好ましくは、7〜45m/g、より好ましくは、7〜30m/gの範囲内とする。通常、白金の触媒作用は白金表面で起こるため、比表面積が大きいほど、少ない使用量で大きな触媒活性を得ることが可能であるが、本発明では、白金のCO−MSAが45m/gを超えると、白金の溶出量が顕著に多くなるため、45m/g以下にすることが必須である。一方、CO−MSAが1m/gよりも小さいと、良好な触媒活性を得ることが困難となる。
本発明において、CO吸着による白金比表面積(CO−MSA)は、COパルス法を採用し、白金試料を水素ガスによる還元など適切な前処理を行った後、汎用される吸着ガス測定装置を用い、COガスをパルスで送り熱伝導度検出器(TCD)の時間積分強度から、吸着ガス量を測定することによって求めた値を意味する。また、その吸着ガス量より分散度、金属粒子径(平均粒子径)が算出される。
本発明に係る固体触媒中の白金担持量の割合は、通常、シリカ担体の質量に対して、0.1〜2質量%の範囲内とすることが好ましい。2質量%より多いと担持量に対する過酸化物の分解効率は大きく上がらず、白金の焼結による二次粒子径の増大などが起こりやすくなり担体からの剥離などによる触媒機能の低下が見られる場合もあり、0.1質量%より少ないと過酸化物分解触媒としての機能が発揮されないばかりか白金の焼結が進行しにくくなり白金の溶出が見られる場合がある。
本発明に係る固体触媒の調製法は特に限定されるものではなく、従来の貴金属担持触媒の調製方法を使用すればよい。従来方法としては、例えば、担体に白金前駆体を含む溶液を含浸し、乾燥、空気流通下で焼成を行う含浸法が例示される。具体的には、白金前駆体として、ヘキサヒドロキソ白金酸エタノ−ルアンモニウム、塩化白金酸、塩化白金酸ナトリウム、塩化白金酸カリウム、塩化白金酸アンモニウム、ヘキサヒドロオクソ白金酸、ジニトロジアンミン白金硝酸、ヘキサアンミン白金クロライド、ヘキサアンミン白金水酸塩、ヘキサアンミン白金硝酸塩、テトラアンミン白金クロライド、テトラアンミン白金水酸塩、テトラアンミン白金硝酸塩、白金ブラック、白金アセチルアセトナ−トから選択される少なくとも1種を含む水溶液を含浸溶液として用い、この含浸溶液に担体を約0.5時間浸漬後、400〜700℃の温度で0.5〜10時間焼成を行うことで本発明に係る固体触媒を得ることができる。このとき、特に、焼成温度を500〜700℃、かつ、焼成時間を0.5〜10時間の条件で本発明に係る固体触媒を作製すると、白金のCO−MSAを45m/g以下に容易に調整することができ、また、得られた固体触媒は、過酸化物及び硫酸を含む水溶液に対して白金の溶出量が著しく減少して、触媒活性が長期間維持されるようになるため好ましい。更に好ましくは、焼成時間が1〜6時間であり、最適には、焼成温度を550〜650℃、かつ、焼成時間を1〜2時間とする。
また、得られた固体触媒に、例えば水素気流下で還元処理を施し、担持された白金を酸化状態(+2、+4価)から金属状態(0価)にすることによって、触媒活性を一層高めることができる。
次に、本発明に係る方法は、前述したように、過酸化物及び硫酸を含む被処理水に、上記固体触媒を接触させて該被処理水中の過酸化物を分解する、硫酸を含む被処理水中の過酸化物の分解処理方法である。例えば、本発明に係る固体触媒を流通型反応装置などの触媒反応装置に充填し、その後、該装置中に、過酸化物及び硫酸を含む被処理水を供給して該装置中を通過させることによって、被処理水を該固体触媒に接触させて行う。この処理により、過酸化物は酸素を発生して分解する。例えば、過酸化物が過酸化水素の場合は、分解して水と酸素を発生する。
本発明に係る方法において、処理対象物である被処理水は、過酸化物及び硫酸の両方を少なくとも含む水溶液である。このような水溶液の1例は、半導体製造プロセスで生じるSPM廃液である。SPM廃液には、通常、硫酸(65〜75%)、過酸化水素(3〜7%)、剥離したレジスト(2〜3%)が含まれており、一般にpH2〜5の酸性を呈する。
本発明において、処理対象となる被処理水中の過酸化物の濃度は、特に限定されるものではないが、通常、0.5質量%以上である。0.5質量%未満の場合は濃度が低すぎるため、コスト的に有利性がほとんどない。また、被処理水中の硫酸の濃度も、特に限定されるものではないが、10〜80質量%の範囲内が適当である。
本発明において、触媒的過酸化物分解処理の対象となる過酸化物としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド;過酸化ジt−ブチル、過酸化ビストリフェニルメチルなどの過酸化ジアルキル;過ギ酸、過酢酸、過ラウリン酸、過トリフルオロ酢酸、モノ過フタル酸、モノ過コハク酸、過安息香酸などの過酸化カルボン酸;過安息香酸t−ブチル、過シュウ酸ジt−ブチルなどの過酸エステル;過酸化プロピオニル、過酸化ブチリル、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジイソプロピルオキシカルボニルなどの過酸化ジアシル;過酸化水素;過酸化ナトリウム、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム、過酸化亜鉛、などの金属過酸化物などを例示することができる。これらのうち、好ましくは過酸化水素である。
触媒反応装置に供給する被処理水の温度は特に限定されるものではないが、水温が高いほど過酸化物分解能が向上する一方、あまり高温であると逆に触媒活性が低下したり、過酸化物の揮発が生じたりするので、通常は10〜80℃の範囲内が適当である。
本発明に係る方法において、本発明に係る固体触媒の使用量は、被処理水に含まれる過酸化物濃度により適宜決定される。例えば、過酸化物濃度が0.5〜10質量%の場合は、固体触媒の使用量は、被処理水1Lに対して、5〜200g/Lが適当である。
[固体触媒に用いる各種担体成分の溶出試験]
固体触媒に用いる各種担体成分の溶出性を評価するため、多孔質担体として、シリカ(比表面積200m/g)、α−アルミナ(比表面積2.5〜5.0m/g)、ジルコニア(比表面積40m/g)を夫々10g用い、5%過酸化水素を含む65%硫酸の浸漬液0.1Lに該担体を80℃の加熱条件下で浸漬し、該浸漬液を7日毎に交換することにより、担体成分の溶出試験を行った。溶出試験では、浸漬前後の担体重量を測定し、この測定値を浸漬液の容量で除した値を、浸漬液中の担体成分の溶出濃度(g/L)として算出した。
その結果、溶出試験の7日経過後の測定では、α−アルミナでは、3.8g/Lの溶出を確認し、ジルコニアでは、0.5g/Lの溶出を確認したが、シリカゲルの溶出は確認されなかった。また、シリカゲルについては35日経過後の測定においても1mg未満であり、溶出は確認されなかった。このことから、硫酸及び過酸化水素を含む水溶液に対して不溶出性であるという点において、固体触媒に用いる担体成分としてはシリカゲルが好適であることがわかった。
[固体触媒に担持する各種白金族金属の溶出試験]
固体触媒に担持する各種白金族金属の溶出性を評価するため、金属換算濃度で5g/Lのエタノ−ルアミン白金水溶液、金属換算濃度で5g/Lの硝酸パラジウム(III)水溶液、金属換算濃度で5g/Lの硝酸ロジウム(III)水溶液、金属換算濃度で5g/Lの硝酸ルテニウム(III)水溶液、金属換算濃度で5g/Lの硝酸イリジウム(III)水溶液を夫々5mLに5gの多孔質シリカ担体(平均細孔径15nm、比表面積200m/g)を0.5時間浸漬し80℃の温風により水分を全て気化させ乾燥後、大気下で600℃、1時間焼成して、多孔質シリカ担体に用いた白金族金属の全量を担持させた固体触媒を作製した。この時、シリカ担体の質量に対する各種白金族金属担持量の割合は、全ての白金族金属で0.5質量%であった。
次いで、作製された固体触媒を夫々5g用い、5%過酸化水素を含む65%硫酸の浸漬液0.1Lに該固体触媒を80℃の加熱条件下で1日浸漬し、各種白金族金属を定量する溶出試験を行った。溶出試験は、ICP発光分析により、1日浸漬後、浸漬液内に溶出した各種白金族金属の溶出濃度(mg/L)を測定することにより行った。ICP発光分析は、ICP発光分光分析装置(スペクトロ社製)を用いて行った。
その結果、溶出試験の1日経過後の白金族金属の溶出濃度は、白金で1mg/L、パラジウムで240mg/L、ロジウムで9mg/L、ルテニウムで1mg未満、イリジウムで3mg/Lであった。このことから、固体触媒に担持させる白金族金属として、非溶出性の点で、白金、ルテニウム、イリジウムが好適であることがわかった。
また、非溶出性を示した白金、ルテニウム、イリジウムについて、固体触媒の作製を水素気流下で行ったこと以外は、前述の作製方法と同様にして各種白金族金属をシリカ担体に担持した固体触媒を作製し溶出試験を行った。その結果、溶出試験の1日経過後の白金族金属の溶出濃度は、白金で5mg/L、ルテニウムで100mg/L、イリジウムで51mg/Lであった。このことから、白金が非溶出性の点で最も優れていることがわかった。
[各種白金族金属担持固体触媒の過酸化物分解活性試験]
各種白金族金属を担持した固体触媒の過酸化物分解活性を評価するため、5%過酸化水素を含む65%硫酸の水溶液0.1Lに、上記溶出試験において作製された固体触媒のうち、溶出金属量の少ない白金、ルテニウム、イリジウムが多孔質シリカ担体に担持された固体触媒5gを夫々浸漬し、30℃を保持して、該水溶液中に残存する過酸化水素濃度をチタンと過酸化水素水の呈色反応を利用した吸光光度法(日本分析化学会編:分析化学便覧改訂5版,P.216(2001),(丸善))により測定した。結果を図1に示す。
図1の結果から、白金が、ルテニウム、イリジウムよりも高い過酸化物の分解活性を示すことがわかった。
[各種白金担持固体触媒の白金の溶出試験及び過酸化物分解活性試験]
(実施例1〜5、比較例1〜2)
各種白金担持固体触媒の白金の溶出性及び過酸化物分解活性を評価するため、 金属換算濃度で5g/Lのエタノ−ルアミン白金水溶液5mLに5gのシリカ担体(平均細孔径15nm、比表面積200m/g)を0.5時間浸漬し80℃の温風により水分を全て気化させ乾燥後、大気下で表1に示す条件で焼成して、各種白金担持固体触媒を作製した(実施例1〜5、比較例1〜2)。作製された該触媒の白金について、CO−MSA(COパルス法による白金比表面積(m/g))を測定し、その測定値から平均粒子径(nm)を算出した。結果を表1に示す。COパルス法による白金比表面積及び平均粒子径の算出は、次のように実施した。先ず、作製した各触媒をヘリウム気流下で400℃まで昇温し、400℃にて酸素ガスに切替え15分間保持し、水素ガスに切り替え45分間還元処理することにより白金表面の酸化層を除去した。その後、ヘリウム気流下で50℃となるまで15分間かけて降温し、50℃となった段階でCOパルスを注入し、その際のCO吸着量を測定してCO−MSAを得た。各ガスの流速は、昇温時及び400℃では、300sccm、降温時及び50℃では、150sccmにて行った。COの吸着は、COが白金原子1つに吸着すると仮定し、白金の担持密度から白金の平均粒子径を算出した。
その後、作製された上記固体触媒を夫々5g用い、5%過酸化水素を含む65%硫酸の浸漬液0.1Lに該固体触媒を80℃の加熱条件下で1日浸漬し、白金を定量する溶出試験を行った。溶出試験は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析により、浸漬1日経過後、浸漬液内に溶出した白金の溶出濃度(mg/L)を測定することにより行った。ICP発光分析は、ICP発光分光分析装置(スペクトロ社製)を用いて行った。結果を表1に示す。また、CO−MSAと白金の溶出濃度の関係を図2に示す。
次に、5%過酸化水素を含む65%硫酸の水溶液0.1Lに、作製された上記固体触媒5gを夫々浸漬し、30℃に保持して、2時間後の該水溶液中に残存する過酸化水素濃度をチタンと過酸化水素水の呈色反応を利用した吸光光度法(日本分析化学会編:分析化学便覧改訂5版,P.216(2001),(丸善)により測定した。結果を表1に示す。
表1からわかるように、比較例1〜2に比べて、焼成温度がより高く、CO−MSAがより小さい(平均粒子径がより大きい)条件を採用した実施例1〜4において、白金の溶出量が少なく、かつ、高い過酸化物分解活性が確認された。
Figure 0006093224
(実施例6〜7)
5%過酸化水素を含む硫酸の浸漬液の硫酸濃度を、実施例6では10%、実施例8では80%としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例1にて作製した固体触媒の白金の溶出濃度の試験を行った。その結果、白金の溶出濃度は、実施例6では1mg/L未満、実施例7では2mg/Lと低濃度であった。
(実施例8)
白金担持固体触媒の作製において、焼成を水素気流下で行ったこと以外は実施例3と同様にして白金担持固体触媒を作製した。そして、実施例3と同様に触媒成分の溶出試験を行ったところ、浸漬1日経過後の白金の溶出濃度は、5mg/Lと低濃度であった。また、実施例3と同様に過酸化物分解活性を評価したところ、浸漬2時間後の過酸化物の残存濃度が0.1%未満と最も高い分解活性を示した。このことから、水素気流下で焼成して作製した白金担持固体触媒は、大気下で焼成した場合に比べて、過酸化物分解活性の点でより良好な結果が得られることがわかった。
[各種白金担持固体触媒の圧壊強度試験及び溶出試験]
(実施例9〜13)
白金担持固体触媒の作製において、表2に記載のシリカ担体を用いたこと以外は実施例1と同様にして白金担持固体触媒を作製した。そして、得られた各種シリカ担体を用いた白金担持固体触媒5gを液温30℃条件下で、5%過酸化水素を含む65%硫酸の水溶液0.1Lに夫々浸漬し、浸漬7日経過後の圧壊強度と白金の溶出濃度を測定した。各測定には、各種シリカ担体を用いた白金担持固体触媒を夫々5サンプル用いた。
圧壊強度の測定は、木屋式硬度計(藤原製作所社製)を用いて圧壊強度を測定し、浸漬前と浸漬7日経過後の圧壊強度低下率(%)を式:{(浸漬前の圧壊強度−浸漬7日経過後の圧壊強度)/(浸漬前の圧壊強度)}×100に従って算出した。結果を表2に示す。
また、白金の溶出濃度の測定は、浸漬7日経過後の測定であること以外は実施例1と同様に試験した。その結果、浸漬7日経過後の白金の溶出濃度は、実施例10〜13では、全てのサンプルで5mg/L未満であった。実施例9では3サンプルで5mg/L未満であったが、圧壊強度低下率の高い2サンプルで10〜20mg/Lの溶出が確認された。これらの結果から、実施例10〜13で用いたシリカ担体は、比表面積がより大きい実施例9で用いたシリカ担体よりも圧壊強度及び白金の非溶出性の点でより好ましい固体触媒の作製を可能にすることがわかった。
Figure 0006093224
本発明は、特に半導体製造プロセスで生じるSPM廃液中の過酸化水素を除去する場合に好適に利用される。


Claims (5)

  1. 硫酸を含む被処理水中の過酸化物の分解に用いる、シリカ担体に金属が担持された過酸化物分解用固体触媒であって、
    該金属が白金であり、そのCO−MSA(CO吸着による白金比表面積)が1〜45m/gである過酸化物分解用固体触媒。
  2. シリカ担体の平均細孔径が10〜100nm、かつ、比表面積が30〜300m/gである請求項1に記載の過酸化物分解用固体触媒。
  3. 被処理水中の硫酸の濃度が10〜80質量%である請求項1又は2に記載の過酸化物分解用固体触媒。
  4. 白金前駆体を含む溶液にシリカ担体を含浸し、400〜700℃で焼成して作製することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の過酸化物分解用固体触媒の製造方法
  5. 過酸化物及び硫酸を含む被処理水に、請求項1〜のいずれか1項に記載の過酸化物分解用固体触媒を接触させて該被処理水中の過酸化物を分解する、硫酸を含む被処理水中の過酸化物の分解処理方法。
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