JP6091945B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
[構成]
(全体構成)
第1の実施形態の構成について、図1〜図4を用いて具体的に説明する。第1の実施形態に係る電力変換装置には電力変換器10が設けられている。この電力変換器10と交流系統4との間に変圧器2が接続されている。変圧器2の一次側は、交流遮断器3を介して交流系統4へと接続されている。
電力変換器10は、1つのコンデンサ13と、2つのスイッチング素子12からなるチョッパ回路11を単位ユニットとして、この単位ユニットを直列に複数接続して構成される。電力変換器10の特徴は、交流遮断器3を開放した状態で、チョッパ回路11のコンデンサ13に蓄積されたエネルギーを、直流線路5の静電容量に流すことによって、直流線路5の電圧を上昇させるように構成される点にある。チョッパ回路11の構成については後段で詳述する。
チョッパ回路11は、チョッパブリッジ単位変換器であって、自己消弧能力を持つスイッチング素子12を直列に2個接続したレグを1つと、1つのコンデンサ13とを並列に接続することによって構成される。各チョッパ回路11は、コンデンサ13の電圧が一定の値となるように制御する回路である。
HVDCに適用する電力変換器10では、交流系統4と連系するので、電力変換器10の出力電圧としては、交流系統4の電圧振幅以上の電圧を出力しなくてはならない。電力変換器10が交流系統4の電圧以上の振幅の出力電圧を得る必要があるということは、上述の関係式から明らかなように、アームに接続される各チョッパ回路11のコンデンサ13の電圧の和および直流線路5の電圧として、交流系統4の電圧振幅に相当する大きさの電圧が必要となることに他ならない。
されたダイオードでは、カソード電圧よりもアノード電圧の方が高くなって点弧してしまう。チョッパ回路11下側のスイッチング素子12のダイオードが点弧すれば、スイッチング素子12のスイッチング動作にかかわらず、交流系統4側から直流線路5へと電流が流れ続けてしまう。
このような事態に対処するために、第1の実施形態は次のような処理を行う。すなわち、センサ9が、直流線路5の電圧低下に伴う過大電流を検知すると、制御装置8は各チョッパ回路11にゲート信号を送り、チョッパ回路11に接続されたすべてのスイッチング素子12をゲートブロックする。図3は、電力変換器10においてゲートブロック状態の直流事故電流経路を示している。すなちわ、図3に示すようなゲートブロックを行うことで、第1の実施形態では、直流線路5の事故電流がコンデンサ13を経由することを回避することができ、各チョッパ回路11におけるコンデンサ13の電圧低下を防ぐことが可能となる。
本実施形態では、スイッチング素子12をゲートブロックした後、変圧器2と交流系統4の間に接続された交流遮断器3を開放して、交流系統4から直流線路5へ流入する事故電流を遮断する。すなわち、第1の実施形態においては、交流遮断器3を開放することで、電力変換器10のチョッパ回路11へ可加されていた交流電圧がなくなり、事故電流を完全に遮断することができる。
そこで第1の実施形態では、次のようにして直流線路5の電圧回復を図っている。図4では、第1の実施形態においてチョッパ回路11のコンデンサ13から直流線路5を充電する際の動作を示している。前述したように、第1の実施形態においては、直流線路事故による過大な電流の発生により、制御装置8がすべてのスイッチング素子12をゲートブロックするので、チョッパ回路11におけるコンデンサ13の電圧は、直流線路5の事故が生じる前の振幅レベルを維持している。
第1の実施形態の効果は次の通りである。すなわち、直流線路5の電圧が変圧器2の二次側電圧以上の振幅になるまで、直流線路5へ電流を流すことで、交流遮断器3を投入しても、チョッパ回路11のダイオードが点弧することはなく、通常運転へ復帰することができる。
[構成]
第2の実施形態の基本構成は前記第1の実施形態と同様であり、その特徴は次の点にある。すなわち、電力変換器10は、直流線路5の電圧を上昇させた後、交流遮断器3を開いた状態で、変圧器2に対し交流系統4に同期した交流電圧を出力するが、その際、出力する電圧値を操作して、電力変換器10から変圧器2に流入する電流の移動平均をゼロにするように構成されている。また、電力変換器10は変圧器2に対し交流電圧を出力する際、交流遮断器3を閉じてから交流系統4と連系するように構成されている。
第2の実施形態の作用効果について述べる前に、変圧器2が磁気飽和する可能性について説明する。先に述べた第1の実施形態では、交流遮断器3を投入することなく、直流線路5の電圧を充電している。直流線路5の電圧が変圧器2の二次側電圧よりも十分高い電圧まで充電が完了すれば、交流遮断器3を投入しても、チョッパ回路11のダイオードを介して直流線路5に過電流が流れることはなく、電力変換装置の再起動が可能になる。
そこで第2の実施形態に係る電力変換器10では、直流線路5の電圧を上昇させた後、交流遮断器3を開放した状態で、変圧器2の二次側から交流系統4に同期した電圧を、変換器2から可加し、残留磁束を除去することで、交流遮断器3投入時の変圧器2の磁気飽和を防いでいる。
[構成]
第3の実施形態について図7を参照して説明する。第3の実施形態の特徴は、電力変換器10と直流線路5の間に開閉器14を設ける構成とする点にある。なお、図7では、制御装置8及びセンサ9の図示は省いている。
直流線路5が被雷し、地絡状態となった場合、交流系統4側の交流遮断器3を開放することによって事故電流を遮断する。その後、電力変換器10の電圧が直流線路に印加されないようにするために、第3の実施形態では、開閉器14を開放して直流線路5と電力変換器10を切り離す。このような第3の実施形態によれば、所定の無電圧時間が経過した後は、まず、開閉器12を閉路することで、電力変換器10により直流回路5の充電を行うことができる。この点が第3の実施形態の独自の作用効果である。
なお、上記の実施形態は、本明細書において一例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図するものではない。すなわち、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことが可能である。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1a、11…チョッパ回路
2…変圧器
3…交流遮断器
4…交流系統
5…直流線路
6、7…リアクトル
8…制御装置
9…センサ
12…スイッチング素子
13…コンデンサ
14…開閉器
Claims (6)
- 交流系統の電力を直流に変換する、もしくは、直流線路に流れる直流を交流へ変換するための電力変換装置、あるいは交流系統の電力を直流に変換し、且つ直流線路に流れる直流を交流へ変換するための電力変換装置であって、
コンデンサとスイッチング素子からなるチョッパ回路を直列接続して構成された電力変換器と、
前記電力変換器に流れる電流を検出するセンサと、
前記交流系統と前記電力変換器間に接続された交流遮断器と、が設けられており、
前記電力変換器は、前記交流遮断器を開放した状態で、前記チョッパ回路の前記コンデンサに蓄積されたエネルギーを前記直流線路の静電容量に流すことにより前記直流線路の電圧を上昇させるように構成されたことを特徴とする電力変換装置。 - 前記センサが直流線路の電圧低下に伴う過大電流を検知すると、前記チョッパ回路のすべての前記スイッチング素子は、ゲートブロックを行うように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記電力変換器と前記直流線路の間には開閉器が接続され、前記開閉器は、前記直流線路の事故除去後の無電圧期間は前記電力変換器と前記直流線路とを切り離し、前記直流線路の再充電の前に再閉路するように構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
- 前記電力変換器には変圧器が接続され、当該変圧器と前記交流系統と間に前記交流遮断器が接続され、
前記電力変換器は、前記直流線路の電圧を上昇させた後、前記交流遮断器を開いた状態で、前記変圧器に対し前記交流系統に同期した交流電圧を出力するように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記電力変換器は、前記直流線路の電圧を上昇させた後、前記交流遮断器を開いた状態で、前記変圧器に対し交流電圧を出力する際、出力する電圧値を操作して、前記電力変換器から前記変圧器に流入する電流の移動平均をゼロにするように構成されたことを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
- 前記電力変換器は、前記直流線路の電圧を上昇させた後、前記交流遮断器を開いた状態で、前記変圧器に対し交流電圧を出力する際、前記交流遮断器を閉じてから前記交流系統と連系するように構成されたことを特徴とする請求項4または5に記載の電力変換装置。
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