以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の図面では、同一の各構成要素には同一の符号を付してある。同一の符号が付されている各構成要素の名称および機能は同じである。したがって、同一の符号が付されている各構成要素の一部についての詳細な説明を省略する場合がある。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係るメンテナンスシステム5000の構成を示す図である。なお、図1には、説明の都合上、メンテナンスシステム5000に含まれない構成(例えば、輸送車C10、路線RL1等)も示している。
輸送車C10は、人を輸送するための乗物である。輸送車C10は、例えば、列車である。輸送車C10の形状は、長尺状である。輸送車C10は、予め設けられている路線RL1に沿って移動する。輸送車C10は、通常、方向DR1へ移動する。なお、輸送車C10は、当該輸送車C10の状況によっては、方向DR2へ移動する。
輸送車C10は、m台の車両C1で構成される。「m」は、2以上の自然数である。m台の車両C1は、線状に連結されている。
以下においては、輸送車C10の一方の端部を、「端部Eda」ともいう。また、以下においては、輸送車C10の端部Edaに相当する車両C1を、「車両C1a」ともいう。
また、以下においては、輸送車C10の他方の端部を、「端部Edb」ともいう。また、以下においては、輸送車C10の端部Edbに相当する車両C1を、「車両C1b」ともいう。また、以下においては、m台の車両C1のうち、車両C1aと車両C1bとの間に存在する車両C1を、「車両C1n」ともいう。
メンテナンスシステム5000は、車上システム1000と、地上システム2000とを含む。地上システム2000は、地上に設けられている。車上システム1000および地上システム2000は、無線通信により、互いに通信する機能を有する。
車上システム1000は、輸送車C10において、後述の各種処理を行う。車上システム1000は、輸送車C10に設けられている。すなわち、車上システム1000は、輸送車C10の移動に従って、移動する。
車上システム1000は、m台の制御ユニットUtを含む。m台の制御ユニットUtは、それぞれ、m台の車両C1に設けられている。言い換えれば、m台の車両C1の各々には、制御ユニットUtが設けられている。
m台の制御ユニットUtは、通信ケーブル(図示せず)を介して、互いに通信可能なように、構成される。例えば、m台の制御ユニットUtは、通信ケーブルにより、デイジーチェーン接続されている。なお、m台の制御ユニットUtは、無線通信により、互いに通信可能なように、構成されてもよい。
以下においては、車両C1aに設けられている制御ユニットUtを、「制御ユニットUta」ともいう。また、以下においては、車両C1bに設けられている制御ユニットUtを、「制御ユニットUtb」ともいう。また、以下においては、車両C1nに設けられている制御ユニットUtを、「制御ユニットUtn」ともいう。
図2は、本発明の実施の形態1に係る車上システム1000の構成を示すブロック図である。なお、図2では、構成を分かり易くするために、3台の制御ユニットUtのみを示している。当該3台の制御ユニットUtは、制御ユニットUta、制御ユニットUtbおよび制御ユニットUtnである。
まず、制御ユニットUtaの構成について説明する。以下においては、マスターコントローラーを、「マスコン」ともいう。制御ユニットUtaは、制御部10と、車両制御部20と、通信部30と、センサSN1と、ブレーキBKと、空気調節装置AC1と、ATC(Automatic Train Control)40と、マスコン50とを含む。
なお、制御ユニットUtaは、輸送車C10の端部Edaに相当する車両C1aに設けられている。すなわち、制御ユニットUtaは、輸送車C10の端部Edaに設けられている。そのため、制御ユニットUtaの制御部10は、端部Edaに設けられている。
制御部10は、車上システム1000に含まれる各構成要素を制御する機能を有する。また、制御部10は、後述の各種処理を行う。制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部10は、メモリ(図示せず)を有する。
制御部10は、輸送車C10の移動を制御するための処理MVPrを行う機能を有する。処理MVPrは、例えば、停止している輸送車C10を移動させる制御を行う処理を含む。処理MVPrは、例えば、移動中の輸送車C10を停止させる制御を行う処理を含む。
また、制御部10は、輸送車C10のメンテナンスを行うためのメンテナンス処理MtPrを行う機能を有する。メンテナンス処理MtPrの処理の詳細については、後述する。
制御部10は、メンテナンス部11を含む。メンテナンス部11は、例えば、制御部10により実行されるプログラムのモジュールである。なお、メンテナンス部11は、専用のハードウエアで構成されてもよい。メンテナンス部11は、メンテナンス処理MtPrを行う機能を有する。
以下においては、輸送車C10が存在する位置を、「位置Lc」ともいう。位置Lcは、緯度および経度で表現される。なお、位置Lcは、緯度および経度に限定されない。位置Lcは、例えば、路線RL1における特定位置(例えば、始発駅)からの距離により表現されてもよい。
また、制御部10は、位置Lcを検出する機能を有する。位置Lcの検出には、GPS(Global Positioning System)等を用いた公知な位置測定方法が用いられる。具体的には、制御部10は、常に、位置検出処理を行っている。位置検出処理では、制御部10が、位置Lcを随時検出する。
空気調節装置AC1は、車内温度Tmpを制御する機能を有する。当該車内温度Tmpとは、当該空気調節装置AC1が設けられている車両C1内の空気の温度である。空気調節装置AC1は、必要に応じて、冷風または温風を排出可能な構造を有する。また、空気調節装置AC1は、車内温度Tmpを随時検出している。
ブレーキBKは、停止動作、速度低下動作等を行う機能を有する。停止動作とは、当該ブレーキBKが設けられている車両C1を停止させるための動作である。また、速度低下動作は、当該ブレーキBKが設けられている車両C1の速度を低下させるための動作である。
停止動作および速度低下動作は、車両C1の車輪に圧力を加える動作である。ブレーキBKは、シリンダ(図示せず)を有する。
ブレーキBKが、停止動作または速度低下動作を行っている期間において、シリンダに圧力が加わる。以下においては、ブレーキBKが、停止動作または速度低下動作を行っている期間において、シリンダに加わる圧力を、「圧力Prs」ともいう。ブレーキBKは、圧力Prsを随時検出している。
センサSN1は、空気調節装置AC1およびブレーキBKと通信する機能を有する。センサSN1は、空気調節装置AC1が検出した最新の車内温度Tmpを随時取得する。また、センサSN1は、ブレーキBKが検出した最新の圧力Prsを随時取得する。
なお、センサSN1が圧力Prsを取得する間隔は、センサSN1が車内温度Tmpを取得する間隔より短い。すなわち、圧力Prsのサンプリング周期は、車内温度Tmpのサンプリング周期より短い。
以下においては、輸送車C10の状態を、「状態StC」ともいう。状態StCは、各車両C1の状態でもある。状態StCは、例えば、車内温度Tmpに相当する。また、状態StCは、例えば、圧力Prsに相当する。以下においては、状態StCを示すデータを、「状態データStD」または「StD」ともいう。
状態データStDは、例えば、車内温度Tmpを示すデータである。また、状態データStDは、例えば、圧力Prsを示すデータである。
車両制御部20は、詳細は後述するが、状態データStDを扱う処理を行う。通信部30は、無線通信により、地上システム2000と通信する機能を有する。
ATC40は、車両C1の移動を自動で制御する処理(以下、「処理AtPr」ともいう)を行う機能を有する。マスコン50は、車両C1の速度を調節する処理(以下、「処理SpPr」ともいう)を行う機能を有する。処理AtPrおよび処理SpPrの各々は、輸送車C10の移動に関する処理である。
なお、制御ユニットUtbの構成は、制御ユニットUtaの構成と同じである。すなわち、制御ユニットUtbは、処理MVPrを行う機能を有する制御部10を含む。そのため、車上システム1000は、2台の制御部10を備える。すなわち、制御部10は、冗長化されている。
また、制御ユニットUtbは、輸送車C10の端部Edbに相当する車両C1bに設けられている。すなわち、制御ユニットUtbは、輸送車C10の端部Edbに設けられている。そのため、制御ユニットUtbの制御部10は、端部Edbに設けられている。
次に、制御ユニットUtnの構成について説明する。制御ユニットUtnは、制御ユニットUtaと比較して、制御部10、通信部30、ATC40およびマスコン50を含まない点が異なる。制御ユニットUtnのそれ以外の構成および機能は、制御ユニットUtaと同様なので詳細な説明は繰り返さない。
なお、制御ユニットUtnには、車両C1の移動速度を制御する速度制御装置が設けられてもよい。速度制御装置は、例えば、可変電圧可変周波数制御を行う装置(VVVFインバータ)である。また、制御ユニットUtnには、静止形インバータ(SIV(Static InVerter))が設けられてもよい。
m台の制御ユニットUtの各々の車両制御部20は、通信ケーブル(図示せず)を介して、互いに通信可能なように、構成される。例えば、m台の制御ユニットUtの各々の車両制御部20は、通信ケーブルにより、デイジーチェーン接続されている。また、車両C1aおよび車両C1bの各々において、車両制御部20は、制御部10と通信可能なように構成される。
次に、各制御ユニットUtの動作について説明する。図1および図2を参照して、各制御ユニットUtnでは、状態データ送信処理が行われる。状態データ送信処理では、センサSN1が、最新の圧力Prsを取得する毎に、当該圧力Prsを示す状態データStDを、車両制御部20へ送信する。また、状態データ送信処理では、センサSN1が、最新の車内温度Tmpを取得する毎に、当該車内温度Tmpを示す状態データStDを、車両制御部20へ送信する。
以下においては、制御ユニットUtaの制御部10を、「制御部10a」ともいう。また、以下においては、制御ユニットUtbの制御部10を、「制御部10b」ともいう。また、以下においては、制御ユニットUtaの車両制御部20を、「車両制御部20a」ともいう。また、以下においては、制御ユニットUtbの車両制御部20を、「車両制御部20b」ともいう。
各制御ユニットUtnの車両制御部20は、取得した1以上の状態データStDを、所定時間の経過毎に(周期的に)、制御部10aおよび制御部10bへ送信する。当該所定時間は、例えば、100ミリ秒である。
なお、各制御ユニットUtnの車両制御部20は、状態データStDを取得する毎に、当該状態データStDを、制御部10aおよび制御部10bへ送信してもよい。
また、制御ユニットUtaおよび制御ユニットUtbの各々においても、前述の状態データ送信処理が行われる。これにより、車両制御部20aおよび車両制御部20bは、1以上の状態データStDを取得する。
車両制御部20aは、取得した1以上の状態データStDを、所定時間の経過毎に、制御部10aへ送信する。当該所定時間は、例えば、100ミリ秒である。また、車両制御部20bは、取得した1以上の状態データStDを、当該所定時間の経過毎に、制御部10bへ送信する。
なお、車両制御部20aは、状態データStDを取得する毎に、当該状態データStDを、制御部10aへ送信してもよい。また、車両制御部20bは、状態データStDを取得する毎に、当該状態データStDを、制御部10bへ送信してもよい。
制御部10aおよび制御部10bの各々は、受信した各状態データStDを管理している。
以下においては、メンテナンス処理MtPrを、単に、「MtPr」ともいう。また、以下においては、処理MVPrを、単に、「MVPr」ともいう。
制御部10aおよび制御部10bの各々が行う処理は、予め定められた処理実行ルールRu1によって、設定される。図3は、処理実行ルールRu1を示す処理割当テーブルTB1の一例を示す図である。
車上システム1000は、複数種類の処理モードを有する。処理モードとは、特定の構成要素が、予め定められた処理を行うモードである。
図3を参照して、処理割当テーブルTB1では、処理モードA,Bが示される。例えば、処理モードAでは、処理MVPrを行う対象となる制御部が制御部10aであることが定められている。また、処理モードAでは、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる制御部が制御部10bであることが定められている。
また、処理モードBでは、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる制御部が制御部10aであることが定められている。また、処理モードBでは、処理MVPrを行う対象となる制御部が制御部10bであることが定められている。例えば、処理モードBの車上システム1000では、制御部10aがメンテナンス処理MtPrを行い、制御部10bが、処理MVPrを行う。
車上システム1000の処理モードは、例えば、図3が示す処理実行ルールRu1(処理割当テーブルTB1)に基づいて設定される。例えば、車両C1aが先頭車両である場合、車上システム1000の処理モードは、処理モードAに設定される。
例えば、処理モードAの車上システム1000では、制御部10aが処理MVPrを行う。また、処理モードAの車上システム1000では、制御部10aが処理MVPrを行っている期間において、制御部10bは、メンテナンス処理MtPrを行う。なお、制御部10aが処理MVPrを行っている期間において、制御部10bは処理MVPrを行わない。すなわち、制御部10aおよび制御部10bにおいて、処理MVPrは、排他的に行われる。
また、例えば、車両C1aが、最後尾の車両である場合、車上システム1000の処理モードは、処理モードBに設定される。すなわち、車上システム1000の処理モードは、輸送車C10の移動状態の変化に応じて、変化する。
ここで、車上システム1000の処理モードが、処理モードAから処理モードBに変化したと仮定する。この場合、車上システム1000は、2台の制御部10において、処理MVPrを行う対象となる制御部と、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる制御部とを切り替える。
具体的には、車上システム1000の処理モードが、処理モードAから処理モードBに変化した場合、制御部10aが、メンテナンス処理MtPrを行い、制御部10bが、処理MVPrを行う。このように、処理MVPrを行う制御部10と、メンテナンス処理MtPを行う制御部10とは、動的に切り替わる。
以下においては、処理MVPrを行っている制御部10、または、処理MVPrを行う対象となる制御部10を、「メイン制御部Mc」ともいう。メイン制御部Mcは、制御部10aまたは制御部10bである。メイン制御部Mcは、各制御ユニットUtから取得した各状態データStDに基づいて、処理MVPrを行う。
また、以下においては、処理MVPrを行っていない制御部10を、「待機制御部Wc」ともいう。待機制御部Wcは、制御部10aまたは制御部10bである。また、以下においては、待機制御部Wcが有するメモリを、「メモリMr」ともいう。また、以下においては、待機制御部Wcに含まれるメンテナンス部11を、「メンテナンス部Wm」ともいう。
なお、待機制御部Wc(メンテナンス部Wm)は、常に、前述の位置検出処理を行っている。そのため、待機制御部Wcは、常に、最新の位置Lcを検出している。詳細は後述するが、後述の代表値特定処理において、待機制御部Wc(メンテナンス部Wm)は、各制御ユニットUtから取得した各状態データStDに最新の位置Lcを追記し、当該状態データStDを、メモリMrに記憶させる。
なお、制御部10は、必要に応じて、メモリMrに記憶されている状態データStDを、地上システム2000へ送信する。
なお、仮に、サンプリング周期の短い項目(例えば、圧力Prs)を示す状態データStDの全てが、メモリMrに記憶された場合、以下の不具合が生じる。
当該不具合は、例えば、メモリMr(車上システム1000)に蓄積されるデータの容量が膨大になるという不具合である。また、当該不具合は、状態データStDの送信周期が短くなり、通信部30の負荷が大きくなることにより、状態データStDの送信ができないという不具合である。
そこで、待機制御部Wcは、代表値特定処理を行う。代表値特定処理は、メンテナンス処理MtPrである。代表値特定処理は、一定の期間Tnにわたって、待機制御部Wcが取得した複数の状態データStDが示す複数の値の代表値を特定する処理である。代表値とは、複数の値における、平均値、最大値、中央値等に相当する。
代表値特定処理において、待機制御部Wcは、代表値ルールRu2を示す、後述の代表値ルールテーブルTB2に従って、状態データStDを処理する。代表値ルールRu2とは、代表値を特定するためのルールである。
以下においては、圧力Prsを、単に、「Prs」ともいう。また、以下においては、車内温度Tmpを、単に、「Tmp」ともいう。また、以下においては、圧力Prsを示す状態データStDを、「状態データStDp」または「StDp」ともいう。また、以下においては、車内温度Tmpを示す状態データStDを、「状態データStDt」または「StDt」ともいう。
図4は、代表値ルールテーブルTB2の一例を示す図である。図4を参照して、「対象データ」とは、処理の対象となる状態データStDである。「期間Tn」とは、代表値の算出に対応する期間である。「算出方法」とは、代表値を算出する方法である。例えば、「算出方法」が「平均値」である場合、複数の値の平均値が、代表値として特定される。
また、代表値ルールテーブルTB2において、「優先度」とは、状態データStDを処理する優先度を示す。代表値ルールテーブルTB2において、「優先度」の値が小さい程、当該「優先度」に対応する状態データStDが処理される優先度が高い。すなわち、「優先度」の値が小さい程、当該「優先度」に対応する状態データStDが優先して処理される。代表値ルールテーブルTB2では、状態データStDpが、状態データStDtより優先して処理されることが示される。
次に、複数の状態データStDpを示す状態データテーブルTB3の一例について説明する。図5は、状態データテーブルTB3の一例を示す図である。図5を参照して、状態データテーブルTB3において、「番号」とは、状態データStDpを識別するための番号である。状態データテーブルTB3の行方向に並ぶ複数の情報により、1個の状態データStDpが構成される。図5の状態データテーブルTB3は、一例として、3個の状態データStDpを示す。
状態データテーブルTB3において、「位置情報」とは、状態データStDpが取得されたタイミングに対応する位置Lcである。前述したように、位置Lcは、緯度および経度で表現される。「値」とは、状態データStDpが示す圧力Prsの値である。圧力Prsの単位は、例えば、キロパスカルである。
状態データテーブルTB3において、「処理状態」とは、対応する状態データStDpの処理が終了しているか否かを示す。文字「未」は、対応する状態データStDpが、未処理の状態データであることを示す。文字「済」は、対応する状態データStDpが、処理済の状態データであることを示す。
次に、待機制御部Wc(メンテナンス部Wm)が行う代表値特定処理について説明する。図6は、代表値特定処理のフローチャートである。なお、待機制御部Wcは、常に、代表値特定処理とは独立して、前述の位置検出処理を行っている。そのため、待機制御部Wcは、常に、最新の位置Lcを検出している。
ここで、以下の前提Pr1を考慮する。前提Pr1では、代表値を特定する対象となる項目は、一例として、圧力Prsである。また、前提Pr1では、前述の状態データ送信処理が行われることにより、待機制御部Wcは、複数の状態データStDを順次取得する。
前提Pr1における代表値特定処理では、まず、ステップS110の処理が行われる。ステップS110では、データ取得処理が行われる。データ取得処理では、状態データの取得が行われる。
なお、前提Pr1では、一例として、待機制御部Wcが、10秒間にわたって、21個の状態データStDを取得する。また、前提Pr1では、一例として、当該21個の状態データStDは、20個の状態データStDpと、1個の状態データStDtとを含む。
前提Pr1におけるデータ取得処理では、まず、待機制御部Wcが、図4の代表値ルールテーブルTB2が示す期間Tnを参照する。そして、待機制御部Wcは、10秒間にわたって、21個の状態データStDを順次取得する。
また、待機制御部Wcは、状態データStDを取得する毎に、当該状態データStDに、最新の位置Lc(位置情報)と、処理状態を示す文字「未」とを追記する。そして、待機制御部Wcは、位置Lcおよび文字「未」が追記された21個の状態データStDを、メモリMrに記憶させる。
ステップS120では、未処理データ選択処理が行われる。未処理データ選択処理では、未処理の状態データStDが選択される。前提Pr1における未処理データ選択処理では、待機制御部Wcが、メモリMrに記憶されている、文字「未」を示す21個の状態データStDを選択する。
ステップS130では、優先データ選択処理が行われる。優先データ選択処理では、待機制御部Wcが、図4の代表値ルールテーブルTB2の優先度に基づいて、選択された複数の状態データStDから、優先度が最も高い状態データStDを選択する。
なお、前述したように、代表値ルールテーブルTB2において、「優先度」の値が小さい程、当該「優先度」に対応する状態データStDが処理される優先度が高い。
前提Pr1における優先データ選択処理では、代表値ルールテーブルTB2の優先度の値が最も小さい状態データStDpが選択される。具体的には、待機制御部Wcが、選択された21個の状態データStDに含まれる、20個の状態データStDpを選択する。
ステップS140では、代表値算出処理が行われる。代表値算出処理では、優先データ選択処理で選択された状態データStDに対応する、図4の代表値ルールテーブルTB2の「算出方法」に基づいて、代表値が算出(特定)される。
前提Pr1における代表値算出処理では、待機制御部Wcが、20個の状態データStDpが示す20個の圧力Prsの値の平均値を、代表値として算出する。これにより、代表値が特定される。
ステップS150では、代表値を示す代表データをメモリMrに記憶させる記憶処理が行われる。
前提Pr1における記憶処理では、待機制御部Wcが、20個の状態データStDpのいずれかが示す位置情報と、代表値算出処理により特定された代表値と、処理状態を示す文字「済」とを記載した状態データStDpを生成する。なお、生成された状態データStDpに記載されている位置情報は、例えば、待機制御部Wcが、20個の状態データStDpのうち、最初に取得した状態データStDpの位置情報である。なお、生成された状態データStDpに記載されている位置情報は、上記に限定されない。
そして、待機制御部Wcは、生成した状態データStDpを、代表データとして、メモリMrに記憶させる。
ステップS160では、データ整理処理が行われる。データ整理処理では、待機制御部Wcが、代表値算出処理において、代表値の特定のために使用された状態データStDpを、メモリMrから削除する。また、待機制御部Wcは、優先データ選択処理で選択されなかった状態データStDに、処理状態を示す文字「済」を記載する。
前提Pr1におけるデータ整理処理では、待機制御部Wcが、代表値算出処理で使用された20個の状態データStDpを、メモリMrから削除する。また、待機制御部Wcは、優先データ選択処理で選択されなかった1個の状態データStDに、処理状態を示す文字「済」を記載する。以上により、この代表値特定処理は終了する。
なお、代表値特定処理では、優先データ選択処理で選択されなかった、優先度の低い状態データStDは、長期間にわたりメモリMrに記憶される可能性がある。そのため、未処理の状態データStDの数が非常に多い場合、メモリMrの空き容量が少なくなるという不具合が発生する場合がある。当該不具合の発生を防ぐために、未処理の状態データStDの一部または全てを、地上システム2000へ送信する地上用送信処理が行われてもよい。
地上用送信処理は、メンテナンス処理MtPrである。地上用送信処理は、待機制御部Wc(メンテナンス部Wm)により行われる。以下においては、地上システム2000へ送信される対象のデータを、「送信対象データ」ともいう。
地上用送信処理では、待機制御部Wcが、送信対象データを、通信部30を介して、地上システム2000へ送信する。送信対象データは、所定時間の経過毎に(周期的に)、送信される。地上システム2000は、受信した送信対象データ(状態データStD)を記憶するメモリ(図示せず)を有する。地上システム2000は、受信した状態データStDを利用して、後述の劣化診断処理等を行う。
なお、地上用送信処理と独立して、以下のデータ送信準備処理が行われる。データ送信準備処理は、メンテナンス処理MtPrである。データ送信準備処理は、待機制御部Wc(メンテナンス部Wm)により行われる。
以下においては、メモリMrが記憶可能なデータの総容量を、「記憶可能容量Dmax」または「Dmax」ともいう。また、以下においては、記憶可能容量Dmaxから所定の空き容量を減算した容量を、「許容記憶容量Da」または「Da」ともいう。許容記憶容量Daは、例えば、記憶可能容量Dmaxの0.8倍である。
以下においては、メモリMrに実際に記憶されている全てのデータの容量の合計を、「記憶容量Dr」ともいう。また、以下においては、未処理の状態データStDを、「未処理データ」ともいう。未処理データは、文字「未」を示す。
図7は、データ送信準備処理のフローチャートである。ここで、以下の前提Pr2を考慮する。前提Pr2では、メモリMrに、未処理データである複数の状態データStDが記憶されている。また、前提Pr2では、メモリMrに、代表データである複数の状態データStDが記憶されている。また、前提Pr2では、記憶容量Drは、許容記憶容量Daより大きい。
前提Pr2におけるデータ送信準備処理では、まず、ステップS210の処理が行われる。ステップS210では、待機制御部Wcが、記憶容量Drが許容記憶容量Daより大きいか否かを判定する。ステップS210においてYESならば、処理はステップS220へ移行する。一方、ステップS210においてNOならば、処理はステップS230へ移行する。前提Pr2では、記憶容量Drは、許容記憶容量Daより大きいため、処理はステップS220へ移行する。
ステップS220では、未処理データ取得処理が行われる。未処理データ取得処理では、待機制御部Wcが、メモリMrに記憶されている複数の未処理データ(状態データStD)を、送信対象データとして当該メモリMrから読み出す。これにより、待機制御部Wcは送信対象データを取得する。なお、待機制御部Wcは、送信対象データを圧縮するためのデータ圧縮処理を行ってもよい。
ステップS230では、代表データ取得処理が行われる。代表データ取得処理では、待機制御部Wcが、メモリMrに記憶されている複数の代表データ(状態データStD)を、送信対象データとして当該メモリMrから読み出す。これにより、待機制御部Wcは送信対象データを取得する。なお、待機制御部Wcは、送信対象データを圧縮するためのデータ圧縮処理を行ってもよい。
なお、地上用送信処理では、待機制御部Wcが、ステップS220,230で取得した複数の送信対象データを、通信部30を介して、地上システム2000へ送信する。送信対象データは、所定時間の経過毎に(周期的に)、送信される。当該所定時間は、例えば、100ミリ秒である。
ステップS240では、データ削除処理が行われる。データ削除処理では、待機制御部Wcが、地上用送信処理により地上システム2000へ送信された送信対象データを削除する。
以上により、このデータ送信準備処理は終了する。なお、データ送信準備処理は、繰り返し行われる。
なお、待機制御部Wcは、劣化診断処理を行う。劣化診断処理は、メンテナンス処理MtPrである。劣化診断処理では、例えば、待機制御部Wcが、ブレーキBKの劣化度合いを診断する。例えば、前述の状態データ送信処理の実施により、待機制御部Wcが取得した状態データStDpが示す圧力Prsの値に基づいて、当該待機制御部Wcが、ブレーキBKの劣化度合いを診断する。なお、劣化診断処理は、必要に応じて、地上システム2000においても行われる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、車上システム1000は、2台の制御部10を備える。2台の制御部10の各々は、輸送車C10の移動を制御するための処理MVPrを行う機能を有する。2台の制御部10の一方の制御部である制御部10aが処理MVPrを行っている期間において、2台の制御部10の他方の制御部である制御部10bは処理MVPrを行わない。制御部10bは、制御部10aが処理MVPrを行っている期間において、輸送車C10のメンテナンスを行うためのメンテナンス処理MtPrを行う。
これにより、輸送車に2台の制御部を備える構成において、当該輸送車の移動を制御するための処理を行っていない制御部を有効に活用することができる。
また、本実施の形態では、車上システム1000は、2台の制御部10において、処理MVPrを行う対象となる制御部と、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる制御部とを切り替える。
そのため、本実施の形態では、例えば、メンテナンス処理MtPrを行うための、処理能力の高い、専用のCPUが不要である。また、例えば、各種の機器の状態データを保持するための専用のメモリも不要である。また、メンテナンス処理MtPrを効率よく実施することができる。したがって、メンテナンス処理MtPrを行うための、処理能力の高いCPU、メモリ等を必要としない車上システムを実現することができる。
なお、前述の関連技術Aでは、車両の異常を検知するための処理が行われる。当該処理では、例えば、複数のサンプリングデータ(機器の状態データ)における、最大値、平均値等を算出する必要がある。
このような処理を行うためには、センサモジュールが、機器の状態データを一時的に保持する必要がある。そのため、関連技術Aでは、センサモジュールにおいて、メンテナンス処理を行うための、処理能力の高いCPU、各種の機器の状態データを保持するための専用のメモリが必要であるという問題がある。
そこで、本実施の形態の車上システム1000は上記のように構成される。そのため、当該車上システム1000は、上記の問題を解決することができる。
<実施の形態2>
本実施の形態の構成は、輸送車C10の車両C1a,C1bの各々に、2台の制御部10を設けた構成(以下、「構成CtA」ともいう)である。以下においては、構成CtAが適用されたメンテナンスシステムを、「メンテナンスシステム5000A」ともいう。
また、以下においては、構成CtAが適用された制御ユニットUtaを、「制御ユニットUtaA」ともいう。また、以下においては、構成CtAが適用された制御ユニットUtbを、「制御ユニットUtbA」ともいう。
メンテナンスシステム5000Aは、図1のメンテナンスシステム5000と比較して、車上システム1000の代わりに車上システム1000Aを含む点が異なる。メンテナンスシステム5000Aのそれ以外の構成および機能は、メンテナンスシステム5000と同様なので詳細な説明は繰り返さない。車上システム1000Aは、図1の輸送車C10に設けられている。
図8は、本発明の実施の形態2に係るメンテナンスシステム5000Aの構成を示すブロック図である。なお、図8では、図の簡略化のために、メンテナンスシステム5000Aに含まれる車上システム1000Aのみを示している。
図8を参照して、車上システム1000Aは、図2の車上システム1000と比較して、制御ユニットUtaの代わりに制御ユニットUtaAを含む点と、制御ユニットUtbの代わりに制御ユニットUtbAを含む点とが異なる。車上システム1000Aのそれ以外の構成および機能は、車上システム1000と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
車上システム1000Aは、実施の形態1と同様に、当該実施の形態1で説明した各種処理を行う。当該各種処理は、例えば、代表値特定処理、データ送信準備処理、地上用送信処理、劣化診断処理等である。
制御ユニットUtaAは、図2の制御ユニットUtaと比較して、2台の制御部10(10a)を含む点が異なる。制御ユニットUtaAのそれ以外の構成および機能は、制御ユニットUtaと同様なので詳細な説明は繰り返さない。制御ユニットUtaAに含まれる2台の制御部10(10a)の各々の構成および機能は、制御ユニットUtaの制御部10(10a)と同じである。
制御ユニットUtaAは、輸送車C10の端部Edaに相当する車両C1aに設けられている。すなわち、制御ユニットUtaAは、輸送車C10の端部Edaに設けられている。そのため、制御ユニットUtaAの2台の制御部10(10a)は、端部Edaに設けられている。
制御ユニットUtbAは、図2の制御ユニットUtbと比較して、2台の制御部10(10b)を含む点が異なる。制御ユニットUtbAのそれ以外の構成および機能は、制御ユニットUtbと同様なので詳細な説明は繰り返さない。制御ユニットUtbAに含まれる2台の制御部10(10b)の各々の構成および機能は、制御ユニットUtbの制御部10(10b)と同じである。
制御ユニットUtbAは、輸送車C10の端部Edbに相当する車両C1bに設けられている。すなわち、制御ユニットUtbAは、輸送車C10の端部Edbに設けられている。そのため、制御ユニットUtbAの2台の制御部10(10b)は、端部Edbに設けられている。
以上により、車上システム1000Aは、4台の制御部10を備える。4台の制御部10は、端部Eda(車両C1a)に設けられている2台の制御部10(10a)と、端部Edb(車両C1b)に設けられている2台の制御部10(10b)とから構成される。
また、4台の制御部10の各々は、処理MVPrを行う機能を有する。なお、処理MVPrを行っている制御部10(前述のメイン制御部Mc)が故障する場合もある。
メイン制御部Mcが故障した場合、別の制御部10が、故障したメイン制御部Mcの代わりに、処理MVPrを行う。以下においては、メイン制御部Mcが故障した場合、処理MVPrを行う別の制御部10を、「バックアップ制御部Bc」ともいう。バックアップ制御部Bcは、メイン制御部Mcのバックアップ用の制御部である。
4台の制御部10は、2台の制御部10aと2台の制御部10bとから構成される。4台の制御部10の各々が行う処理は、予め定められた処理実行ルールRu1Aによって、設定される。処理実行ルールRu1Aは、2重系のルールである。
具体的には、処理実行ルールRu1Aでは、4台の制御部10において、1台の制御部10がバックアップ制御部Bcとして動作し、2台の制御部10がメンテナンス処理MtPrを行うことが規定されている。
以下においては、2台の制御部10aの一方を、「制御部10aX」ともいう。制御部10aXは、例えば、図8の2台の制御部10aのうち、上側の制御部10aである。また、以下においては、2台の制御部10aの他方を、「制御部10aY」ともいう。
また、以下においては、2台の制御部10bの一方を、「制御部10bX」ともいう。制御部10bXは、例えば、図8の2台の制御部10bのうち、上側の制御部10bである。また、以下においては、2台の制御部10bの他方を、「制御部10bY」ともいう。
車上システム1000Aは、車上システム1000と同様、複数種類の処理モードを有する。
図9は、処理実行ルールRu1Aを示す処理割当テーブルTB1Aの一例を示す図である。図9を参照して、処理割当テーブルTB1Aでは、処理モードC,D,E,Fが示される。処理割当テーブルTB1Aにおいて、「BkUp」は、対象となる制御部10が、バックアップ制御部Bcとなることを意味する。
例えば、処理モードCでは、処理MVPrを行う対象となる制御部が制御部10aXであることが定められている。また、処理モードCでは、制御部10aYが、バックアップ制御部Bcとして動作することが定められている。また、処理モードCでは、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる制御部が、制御部10bX,10bYであることが定められている。
車上システム1000Aの処理モードは、例えば、図9が示す処理実行ルールRu1A(処理割当テーブルTB1A)に基づいて設定される。例えば、車両C1aが先頭車両である場合、車上システム1000Aの処理モードは、処理モードCに設定される。例えば、処理モードCの車上システム1000Aでは、制御部10aX(メイン制御部Mc)が処理MVPrを行う。また、処理モードCの車上システム1000Aでは、制御部10aYがバックアップ制御部Bcとして動作する。また、処理モードCの車上システム1000Aでは、制御部10bX,10bYの各々が、メイン制御部Mcが処理MVPrを行っている期間において、メンテナンス処理MtPrを行う。なお、制御部10aXが処理MVPrを行っている期間において、制御部10aY,10bX,10bYの各々は処理MVPrを行わない。
また、例えば、処理モードDの車上システム1000Aでは、制御部10aY(メイン制御部Mc)が処理MVPrを行う。また、処理モードDの車上システム1000Aでは、制御部10aXがバックアップ制御部Bcとして動作する。また、処理モードDの車上システム1000Aでは、制御部10bX,10bYの各々が、メイン制御部Mcが処理MVPrを行っている期間において、メンテナンス処理MtPrを行う。
すなわち、処理割当テーブルTB1Aに従った車上システム1000Aに含まれる4台の制御部10は、処理MVPrを行う1台の制御部10(メイン制御部Mc)と、メイン制御部Mcが故障した場合、処理MVPrを行う1台の制御部10と、メイン制御部Mcが処理MVPrを行っている期間において、メンテナンス処理MtPrを行う2台の制御部10とから構成される。
すなわち、処理割当テーブルTB1Aに従った車上システム1000Aでは、2台の制御部10が、複数種類のメンテナンス処理MtPrを分散して行う。例えば、1台の制御部10が、メンテナンス処理MtPrとしての図7のデータ送信準備処理を繰り返し行い、データ送信準備処理が行われている期間において、別の1台の制御部10が、メンテナンス処理MtPrとしての前述の地上用送信処理を繰り返し行う。
このように、複数種類のメンテナンス処理MtPrが分散して処理されることにより、各メンテナンス処理MtPrの処理速度をはやめることができる。そのため、効率的にメンテナンス処理MtPrを実施することができる。また、複数種類のメンテナンス処理MtPrが分散して処理されることにより、例えば、優先度の低い、未処理の状態データStDの処理を完了することができる。
なお、メンテナンス処理MtPrを行う対象となっている2台の制御部10のうちの1台の制御部10は、劣化診断処理のみを行ってもよい。この場合、劣化診断処理を行う対象となる制御部10は、劣化診断処理を行うためのロジックを保持している。
ここで、処理モードCの車上システム1000Aにおいて、制御部10aXが故障したと仮定する。この場合、バックアップ制御部Bcとしての制御部10aYが、処理MVPrを行う。また、制御部10bX,10bYの一方が、バックアップ制御部Bcとして動作する。また、制御部10bX,10bYの他方が、メンテナンス処理MtPrを行う。
また、車上システム1000Aの処理モードは、車上システム1000と同様に、輸送車C10の移動状態の変化に応じて、変化する。ここで、車上システム1000Aの処理モードが、処理モードCから処理モードDに変化したと仮定する。この場合、車上システム1000Aは、4台の制御部10において、処理MVPrを行う対象となる制御部と、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる制御部とを切り替える。
具体的には、車上システム1000Aの処理モードが、処理モードCから処理モードDに変化した場合、制御部10bX,10bYの各々が、メンテナンス処理MtPrを行い、制御部10aYが、処理MVPrを行う。このように、処理MVPrを行う制御部10と、メンテナンス処理MtPを行う制御部10とは、動的に切り替わる。
なお、4台の制御部10の各々が行う処理は、予め定められた、以下の処理実行ルールRu1AXによって、設定されてもよい。処理実行ルールRu1AXは、3重系のルールである。具体的には、処理実行ルールRu1AXでは、4台の制御部10において、2台の制御部10がバックアップ制御部Bcとして動作し、1台の制御部10がメンテナンス処理MtPrを行うことが規定されている。
図10は、処理実行ルールRu1AXを示す処理割当テーブルTB1AXの一例を示す図である。図10を参照して、処理割当テーブルTB1AXでは、処理モードG,H,I,Jが示される。
本実施の形態では、車上システム1000Aの処理モードが、例えば、図10が示す処理実行ルールRu1A(処理割当テーブルTB1AX)に基づいて設定される構成(以下、「構成CtAx」ともいう)としてもよい。
構成CtAxでは、例えば、処理モードGの車上システム1000Aでは、制御部10aX(メイン制御部Mc)が処理MVPrを行う。また、処理モードGの車上システム1000Aでは、制御部10aY,10bXの各々が、バックアップ制御部Bcとして動作する。また、処理モードGの車上システム1000Aでは、制御部10bYが、メイン制御部Mcが処理MVPrを行っている期間において、メンテナンス処理MtPrを行う。
また、例えば、処理モードHの車上システム1000Aでは、制御部10aY(メイン制御部Mc)が処理MVPrを行う。また、処理モードHの車上システム1000Aでは、制御部10aX,10bXの各々が、バックアップ制御部Bcとして動作する。また、処理モードHの車上システム1000Aでは、制御部10bYが、メイン制御部Mcが処理MVPrを行っている期間において、メンテナンス処理MtPrを行う。
すなわち、処理割当テーブルTB1AXに従った車上システム1000Aに含まれる4台の制御部10は、処理MVPrを行う1台の制御部10(メイン制御部Mc)と、メイン制御部Mcが故障した場合、処理MVPrを行う対象となる2台の制御部10と、メイン制御部Mcが処理MVPrを行っている期間において、メンテナンス処理MtPrを行う1台の制御部10とから構成される。
また、構成CtAxにおける車上システム1000Aの処理モードは、例えば、車上システム1000と同様に、輸送車C10の移動状態の変化に応じて、変化する。ここで、車上システム1000Aの処理モードが、処理モードGから処理モードHに変化したと仮定する。この場合、構成CtAxにおける車上システム1000Aは、4台の制御部10において、処理MVPrを行う対象となる制御部と、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる制御部とを切り替える。
具体的には、車上システム1000Aの処理モードが、処理モードGから処理モードHに変化した場合、制御部10bYが、メンテナンス処理MtPrを行い、制御部10aYが、処理MVPrを行う。このように、処理MVPrを行う制御部10と、メンテナンス処理MtPを行う制御部10とは、動的に切り替わる。
以上説明したように、本実施の形態に係る車上システム1000Aでは、2台の制御部10が、複数種類のメンテナンス処理MtPrを分散して行う。したがって、制御部が冗長化された状態で、複数種類のメンテナンス処理MtPrを実施する事ができる。なお、本実施の形態においても、実施の形態1と同様な効果が得られる。
<実施の形態3>
本実施の形態の構成は、後述の輸送車C10Bに車上システムを設けた構成(以下、「構成CtB」ともいう)である。以下においては、構成CtBが適用されたメンテナンスシステムを、「メンテナンスシステム5000B」ともいう。
図11は、本発明の実施の形態3に係るメンテナンスシステム5000Bの構成を示す図である。なお、図11には、説明の都合上、メンテナンスシステム5000Bに含まれない構成(例えば、輸送車C10B、路線RL1等)も示している。
輸送車C10Bは、人を輸送するための乗物である。輸送車C10Bは、例えば、列車である。輸送車C10Bは、予め設けられている路線RL1に沿って移動する。輸送車C10Bは、通常、方向DR1へ移動する。なお、輸送車C10Bは、当該輸送車C10Bの状況によっては、方向DR2へ移動する。
本実施の形態では、実施の形態1と同様、輸送車C10Bの状態を、「状態StC」ともいう。状態StCは、各編成車C5を構成する各車両C1の状態でもある。状態StCは、例えば、車内温度Tmpに相当する。また、状態StCは、例えば、圧力Prsに相当する。本実施の形態では、実施の形態1と同様、状態StCを示すデータを、「状態データStD」または「StD」ともいう。
輸送車C10Bは、k台の編成車C5で構成されている。「k」は、2以上の自然数である。本実施の形態では、「k」は、2である。なお、「k」は、3以上であってもよい。k台の編成車C5は、線状に連結されている。
各編成車C5は、m台の車両C1で構成される。「m」は、2以上の自然数である。m台の車両C1は、線状に連結されている。なお、各編成車C5を構成する車両C1の数は、異なっていてもよい。
以下においては、編成車C5の一方の端部を、「端部Eda」ともいう。また、以下においては、編成車C5の端部Edaに相当する車両C1を、「車両C1a」ともいう。また、以下においては、編成車C5の他方の端部を、「端部Edb」ともいう。また、以下においては、編成車C5の端部Edbに相当する車両C1を、「車両C1b」ともいう。
また、以下においては、各編成車C5を構成するm台の車両C1のうち、車両C1aと車両C1bとの間に存在する車両C1を、「車両C1n」ともいう。
メンテナンスシステム5000Bは、図1のメンテナンスシステム5000と比較して、車上システム1000の代わりに車上システム1000Bを含む点が異なる。メンテナンスシステム5000Bのそれ以外の構成および機能は、メンテナンスシステム5000と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
車上システム1000Bは、図11の輸送車C10Bに設けられている。また、車上システム1000Bは、地上に設けられている地上システム2000と通信する機能を有する。
車上システム1000Bは、実施の形態1と同様に、当該実施の形態1で説明した各種処理を行う。当該各種処理は、例えば、代表値特定処理、データ送信準備処理、地上用送信処理、劣化診断処理等である。
すなわち、車上システム1000Bに含まれる制御部10は、実施の形態1と同様に、メンテナンス処理MtPrを行う。構成CtBにおけるメンテナンス処理MtPrは、輸送車C10Bのメンテナンスを行うための処理である。
車上システム1000Bは、n台の制御ユニットUtを含む。「n」は、4以上の自然数である。「n」は、mのk倍の値である。例えば、mが10であり、kが2である場合、「n」は20である。各編成車C5を構成するm台の車両C1の各々には、制御ユニットUtが設けられている。すなわち、各編成車C5には、m台の制御ユニットUtが設けられている。
また、k台の編成車C5は、通信ケーブル(図示せず)を介して、互いに通信可能なように、構成される。なお、k台の編成車C5は、無線通信により、互いに通信可能なように、構成されてもよい。
また、各編成車C5において、m台の制御ユニットUtは、通信ケーブル(図示せず)を介して、互いに通信可能なように、構成される。なお、各編成車C5において、m台の制御ユニットUtは、無線通信により、互いに通信可能なように、構成されてもよい。
以下においては、車両C1aに設けられている制御ユニットUtを、「制御ユニットUta」ともいう。また、以下においては、車両C1bに設けられている制御ユニットUtを、「制御ユニットUtb」ともいう。また、以下においては、車両C1nに設けられている制御ユニットUtを、「制御ユニットUtn」ともいう。
図12は、本発明の実施の形態3に係る車上システム1000Bの構成を示すブロック図である。なお、図12では、構成を分かり易くするために、3台の制御ユニットUtのみを示している。3台の制御ユニットUtは、制御ユニットUta、制御ユニットUtbおよび制御ユニットUtnである。
図12を参照して、制御ユニットUtaの構成および機能は、図2の制御ユニットUtaと同じである。また、制御ユニットUtbの構成および機能は、図2の制御ユニットUtbと同じである。また、制御ユニットUtnの構成および機能は、図2の制御ユニットUtnと同じである。
以下においては、k台の編成車C5の一方の端部に相当する編成車C5を、「編成車C5a」ともいう。また、以下においては、k台の編成車C5の他方の端部に相当する編成車C5を、「編成車C5b」ともいう。
なお、制御ユニットUtaは、各編成車C5の端部Edaに相当する車両C1aに設けられている。すなわち、制御ユニットUtaは、各編成車C5の端部Edaに設けられている。そのため、制御ユニットUtaの制御部10(10a)は、端部Edaに設けられている。
また、制御ユニットUtbは、各編成車C5の端部Edbに相当する車両C1bに設けられている。すなわち、制御ユニットUtbは、各編成車C5の端部Edbに設けられている。そのため、制御ユニットUtbの制御部10(10b)は、端部Edbに設けられている。そのため、各編成車C5は、2台の制御部10を備える。
本実施の形態では、輸送車C10Bは、2台の編成車C5で構成されている。そのため、車上システム1000Bは、4台の制御部10を含む。4台の制御部10は、2台の制御部10aと2台の制御部10bとから構成される。編成車C5aには、制御部10a,10bが設けられている。編成車C5bには、制御部10a,10bが設けられている。
本実施の形態においても、実施の形態2と同様に、4台の制御部10の各々が行う処理は、予め定められた処理実行ルールRu1Aによって、設定される。
本実施の形態では、実施の形態2と同様、2台の制御部10aの一方を、「制御部10aX」ともいう。制御部10aXは、例えば、編成車C5aに設けられている制御部10aである。また、本実施の形態では、2台の制御部10aの他方を、「制御部10aY」ともいう。
また、本実施の形態では、2台の制御部10bの一方を、「制御部10bX」ともいう。制御部10bXは、例えば、編成車C5bに設けられている制御部10bである。また、本実施の形態では、2台の制御部10bの他方を、「制御部10bY」ともいう。
車上システム1000Bは、車上システム1000と同様、複数種類の処理モードを有する。車上システム1000Bの処理モードは、実施の形態2と同様、例えば、図9が示す処理実行ルールRu1A(処理割当テーブルTB1A)に基づいて設定される。
例えば、処理モードCの車上システム1000Bでは、制御部10aX(メイン制御部Mc)が処理MVPrを行う。また、処理モードCの車上システム1000Aでは、制御部10aYがバックアップ制御部Bcとして動作する。また、処理モードCの車上システム1000Aでは、制御部10bX,10bYの各々が、メイン制御部Mcが処理MVPrを行っている期間において、メンテナンス処理MtPrを行う。なお、制御部10aXが処理MVPrを行っている期間において、制御部10aY,10bX,10bYの各々は処理MVPrを行わない。
すなわち、処理割当テーブルTB1Aに従った車上システム1000Bでは、2台の制御部10が、2種類のメンテナンス処理MtPrを分散して行う。
なお、3台の制御部10が、複数種類のメンテナンス処理MtPrを分散して行うように、4台の制御部10の各々が行う処理は、予め定められた処理実行ルールによって、設定されてもよい。
この場合、例えば、4台の制御部10は、処理MVPrを行う1台の制御部10(メイン制御部Mc)と、当該4台の制御部10のうち、メイン制御部Mc以外の3台の制御部10(待機制御部Wc)とを含む。
当該3台の制御部10の各々は、メイン制御部Mcが処理MVPrを行っている期間において、処理MVPrを行わない。当該3台の制御部10は、メイン制御部Mcが処理MVPrを行っている期間において、複数種類のメンテナンス処理MtPrを分散して行う。
また、輸送車C10Bは、構成が変更されることがある。例えば、k台の編成車C5の連結を解除する処理(以下、「連結解除処理」ともいう)が行われる場合がある。連結解除処理が行われる場合、以下のデータ外部送信処理が行われる。
ここで、以下の前提Pr3を考慮する。前提Pr3では、輸送車C10B(k台の編成車C5)は、互いに連結された編成車C5aおよび編成車C5bを含む。以下においては、編成車C5aに設けられている制御ユニットUta,Utbの各々を、「制御ユニットUtCa」ともいう。また、以下においては、編成車C5bに設けられている制御ユニットUta,Utbの各々を、「制御ユニットUtCb」ともいう。
また、前提Pr3では、編成車C5aに設けられている制御ユニットUtCaの制御部10が、編成車C5bの状態を示す状態データStDを保持している。また、前提Pr3では、連結解除処理において、編成車C5aと編成車C5bとの連結が解除される。
前提Pr3におけるデータ外部送信処理では、編成車C5aに設けられている制御ユニットUtCa(制御部10)は、編成車C5aと編成車C5bとの連結が解除される際に、状態データStDを、制御ユニットUtCb(編成車C5b)へ送信する。
これにより、連結解除処理が行われても、編成車C5bの制御ユニットUtCbの制御部10は、未処理の状態データStDを適切に処理することができる。
なお、前提Pr3におけるデータ外部送信処理では、制御ユニットUtCa(制御部10)は、編成車C5aと編成車C5bとの連結が解除される際に、状態データStDを、地上システム2000へ送信してもよい。
以上説明したように、本実施の形態によれば、各編成車の連結、各編成車の連結の解除等が行われることにより、待機制御部Wcの数が変化した場合、当該待機制御部Wcの数、CPU等の付加に応じて、複数種類のメンテナンス処理MtPrの処理量を変化させる。これにより、効率的に、複数種類のメンテナンス処理MtPrを実施することができる。各編成車の連結の解除に対応した車上システム1000Bを実現することができる。なお、本実施の形態においても、実施の形態1と同様な効果が得られる。
なお、輸送車C10Bが、編成車C5a,C5bを含む3台以上の編成車C5からなる構成(以下、「構成CtBx」ともいう)としてもよい。構成CtBxにおける車上システム1000Bは、u台の制御部10を含む。「u」は、4以上の自然数である。u台の制御部10の各々は、処理MVPrを行う機能を有する。
構成CtBxでは、3台以上の制御部10が、複数種類のメンテナンス処理MtPrを分散して行うように、u台の制御部10の各々が行う処理は、予め定められた処理実行ルールによって、設定される。
そのため、例えば、u台の制御部10は、処理MVPrを行う1台の制御部10(メイン制御部Mc)と、当該u台の制御部10のうち、メイン制御部Mc以外の3台以上の制御部10とを含む。
当該3台以上の制御部10の各々は、メイン制御部Mcが処理MVPrを行っている期間において、処理MVPrを行わない。当該3台以上の制御部10は、メイン制御部Mcが処理MVPrを行っている期間において、複数種類のメンテナンス処理MtPrを分散して行う。
なお、各編成車C5に含まれる制御部10(待機制御部Wc)が、当該編成車C5におけるメンテナンス処理MtPrを行うようにしてもよい。
<実施の形態4>
本実施の形態の構成は、制御部10以外の構成要素にメンテナンス部11を設けた構成(以下、「構成CtC」ともいう)である。以下においては、構成CtCが適用されたメンテナンスシステムを、「メンテナンスシステム5000C」ともいう。
また、以下においては、構成CtCが適用された制御ユニットUtaを、「制御ユニットUtaC」ともいう。また、以下においては、構成CtCが適用された制御ユニットUtbを、「制御ユニットUtbC」ともいう。
メンテナンスシステム5000Cは、図1のメンテナンスシステム5000と比較して、車上システム1000の代わりに車上システム1000Cを含む点が異なる。メンテナンスシステム5000Cのそれ以外の構成および機能は、メンテナンスシステム5000と同様なので詳細な説明は繰り返さない。車上システム1000Cは、図1の輸送車C10に設けられている。
図13は、本発明の実施の形態4に係るメンテナンスシステム5000Cの構成を示すブロック図である。なお、図13では、図の簡略化のために、メンテナンスシステム5000Cに含まれる車上システム1000Cのみを示している。
図13を参照して、車上システム1000Cは、図2の車上システム1000と比較して、制御ユニットUtaの代わりに制御ユニットUtaCを含む点と、制御ユニットUtbの代わりに制御ユニットUtbCを含む点とが異なる。車上システム1000Cのそれ以外の構成および機能は、車上システム1000と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
車上システム1000Cは、実施の形態1と同様に、当該実施の形態1で説明した各種処理を行う。当該各種処理は、例えば、代表値特定処理、データ送信準備処理、地上用送信処理、劣化診断処理等である。
制御ユニットUtaCは、図2の制御ユニットUtaと比較して、ATC40の代わりにATC40Cを含む点と、マスコン50の代わりにマスコン50Cを含む点とが異なる。制御ユニットUtaCのそれ以外の構成および機能は、制御ユニットUtaと同様なので詳細な説明は繰り返さない。制御ユニットUtaCに含まれる制御部10(10a)の構成および機能は、制御ユニットUtaの制御部10(10a)と同じである。
制御ユニットUtbCは、図2の制御ユニットUtbと比較して、ATC40の代わりにATC40Cを含む点と、マスコン50の代わりにマスコン50Cを含む点とが異なる。制御ユニットUtbCのそれ以外の構成および機能は、制御ユニットUtbと同様なので詳細な説明は繰り返さない。制御ユニットUtbCに含まれる制御部10(10b)の構成および機能は、制御ユニットUtbの制御部10(10b)と同じである。
制御ユニットUtaC,UtbCの各々に含まれるATC40Cは、図2のATC40と比較して、メンテナンス部11を含む点が異なる。ATC40Cのそれ以外の構成および機能は、ATC40と同様なので詳細な説明は繰り返さない。メンテナンス部11は、例えば、ATC40Cにより実行されるプログラムのモジュールである。なお、メンテナンス部11は、専用のハードウエアで構成されてもよい。メンテナンス部11は、メンテナンス処理MtPrを行う機能を有する。
ATC40Cがメンテナンス部11を含むため、ATC40Cは、前述の処理AtPr、および、メンテナンス処理MtPrを行う機能を有する装置である。処理AtPrは、ATC40Cが、通常において、行う処理である。
ATC40Cは、動作モードとして、通常モードおよび待機モードを有する。ATC40Cにおける通常モードは、処理AtPrを行うためのモードである。ATC40Cにおける待機モードは、処理AtPrの実行が許可されていないモードである。
制御ユニットUtaC,UtbCの各々に含まれるマスコン50Cは、図2のマスコン50と比較して、メンテナンス部11を含む点が異なる。マスコン50Cのそれ以外の構成および機能は、マスコン50と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
マスコン50Cがメンテナンス部11を含むため、マスコン50Cは、前述の処理SpPr、および、メンテナンス処理MtPrを行う機能を有する装置である。処理SpPrは、マスコン50Cが、通常において、行う処理である。
マスコン50Cは、動作モードとして、通常モードおよび待機モードを有する。マスコン50Cにおける通常モードは、処理SpPrを行うためのモードである。マスコン50における待機モードは、処理SpPrの実行が許可されていないモードである。
制御ユニットUtaCは、輸送車C10の端部Edaに相当する車両C1aに設けられている。すなわち、制御ユニットUtaCは、輸送車C10の端部Edaに設けられている。そのため、制御ユニットUtaCに含まれる、制御部10(10a)、ATC40Cおよびマスコン50Cは、端部Edaに設けられている。
制御ユニットUtbCは、輸送車C10の端部Edbに相当する車両C1bに設けられている。すなわち、制御ユニットUtbCは、輸送車C10の端部Edbに設けられている。そのため、制御ユニットUtbCに含まれる、制御部10(10b)、ATC40Cおよびマスコン50Cは、端部Edbに設けられている。
以上により、車上システム1000Cは、制御部10a,10bと、2台のATC40Cと、2台のマスコン50Cとを含む。2台のATC40Cは、異なる動作モードに設定される。また、2台のマスコン50Cは、異なる動作モードに設定される。
以下においては、制御ユニットUtaCに含まれるATC40Cを、「ATC40Ca」ともいう。また、以下においては、制御ユニットUtbCに含まれるATC40Cを、「ATC40Cb」ともいう。また、以下においては、制御ユニットUtaCに含まれるマスコン50Cを、「マスコン50Ca」ともいう。また、以下においては、制御ユニットUtbCに含まれるマスコン50Cを、「マスコン50Cb」ともいう。
ATC40Caの動作モードが通常モードである場合、ATC40Cbの動作モードは待機モードである。また、ATC40Cbの動作モードが通常モードである場合、ATC40Caの動作モードは待機モードである。
マスコン50Caの動作モードが通常モードである場合、マスコン50Cbの動作モードは待機モードである。また、マスコン50Cbの動作モードが通常モードである場合、マスコン50Caの動作モードは待機モードである。
車上システム1000Cでは、動作モードが待機モードである装置が、メンテナンス処理MtPrを行う。例えば、動作モードが待機モードである、ATC40CaおよびATC40Cbのいずれかが、メンテナンス処理MtPrを行う。また、例えば、動作モードが待機モードである、マスコン50Caおよびマスコン50Cbのいずれかが、メンテナンス処理MtPrを行う。
これにより、実行することのできるメンテナンス処理の量を増加させることができる。
また、制御部10a,10b、ATC40Ca,40Cb、および、マスコン50Ca,50Cbの各々が行う処理は、予め定められた処理実行ルールRu1Cによって、設定される。
車上システム1000Cは、車上システム1000と同様、複数種類の処理モードを有する。以下においては、処理AtPrを、単に、「AtPr」ともいう。また、以下においては、処理SpPrを、単に、「SpPr」ともいう。
図14は、処理実行ルールRu1Cを示す処理割当テーブルTB1Cの一例を示す図である。図14を参照して、処理割当テーブルTB1Cでは、処理モードK,L,M,Nが示される。
例えば、処理モードKでは、処理MVPrを行う対象となる制御部が制御部10aであることが定められている。また、処理モードKでは、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる制御部が、制御部10bであることが定められている。
また、処理モードKでは、処理AtPrを行う対象となるATCが、ATC40Caであることが定められている。なお、処理AtPrを行うATC40Caの動作モードは通常モードである。また、処理モードKでは、メンテナンス処理MtPrを行う対象となるATCが、ATC40Cbであることが定められている。なお、メンテナンス処理MtPrを行うATC40Cbの動作モードは待機モードである。
また、処理モードKでは、処理SpPrを行う対象となるマスコンが、マスコン50Caであることが定められている。なお、処理SpPrを行うマスコン50Caの動作モードは通常モードである。また、処理モードKでは、メンテナンス処理MtPrを行う対象となるマスコンが、マスコン50Cbであることが定められている。なお、メンテナンス処理MtPrを行うマスコン50Cbの動作モードは待機モードである。
例えば、処理モードKの車上システム1000Cでは、制御部10a(メイン制御部Mc)が処理MVPrを行い、制御部10bが、メンテナンス処理MtPrを行う。また、処理モードKの車上システム1000Cでは、ATC40Caが処理AtPrを行い、ATC40Cbが、メンテナンス処理MtPrを行う。また、処理モードKの車上システム1000Cでは、マスコン50Caが処理SpPrを行い、マスコン50Cbが、メンテナンス処理MtPrを行う。
また、車上システム1000Cの処理モードは、車上システム1000と同様に、輸送車C10の移動状態の変化に応じて、変化する。ここで、車上システム1000Cの処理モードが、処理モードKから処理モードLに変化したと仮定する。
この場合、車上システム1000Cは、ATC40CaおよびATC40Cbにおいて、処理AtPrを行う対象となる装置と、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる装置とを切り替える。また、処理モードKから処理モードLに変化した場合、車上システム1000Cは、マスコン50Caおよびマスコン50Cbにおいて、処理SpPrを行う対象となる装置と、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる装置とを切り替える。
具体的には、車上システム1000Cの処理モードが、処理モードKから処理モードLに変化した場合、ATC40Caがメンテナンス処理MtPrを行い、ATC40Cbが、処理AtPrを行い、マスコン50Caがメンテナンス処理MtPrを行い、マスコン50Cbが、処理SpPrを行う。すなわち、車上システム1000Cでは、待機モードのATCと、待機モードのマスコンとが、複数種類のメンテナンス処理MtPrを分散して行う。
以上説明したように、本実施の形態によれば、車上システム1000Cでは、待機モードのATCと、待機モードのマスコンとが、複数種類のメンテナンス処理MtPrを分散して行う。そのため、輸送車C10の移動を制御するための処理MVPrに影響を与えることなく、効率的にメンテナンス処理MtPrを実施することができる。なお、本実施の形態においても、実施の形態1と同様な効果が得られる。
<実施の形態5>
本実施の形態の構成は、規定条件が成立した場合に使用する優先度に基づいて、データを処理する構成(以下、「構成CtD」ともいう)である。構成CtDにおけるメンテナンスシステムは、図1のメンテナンスシステム5000である。そのため、構成CtDにおけるメンテナンスシステム5000は、実施の形態1の車上システム1000と、地上システム2000とを含む。
構成CtDにおける車上システム1000の構成および機能は、実施の形態1の車上システム1000と同様なので詳細な説明は繰り返さない。構成CtDにおける車上システム1000は、実施の形態1と同様に、当該実施の形態1で説明した各種処理を行う。当該各種処理は、例えば、代表値特定処理、データ送信準備処理、地上用送信処理、劣化診断処理等である。
すなわち、構成CtDにおける車上システム1000(制御部10)は、実施の形態1と同様、メンテナンス処理MtPrを行う。当該メンテナンス処理MtPrは、複数種類の状態データStDを扱う処理である。当該複数種類の状態データStDは、例えば、前述の状態データStDpおよび状態データStDt等である。
以下においては、構成CtDが適用された、図6の代表値特定処理を、「代表値特定処理D」ともいう。なお、代表値特定処理Dは、メンテナンス処理MtPrである。
以下、主に、実施の形態1と異なる処理について説明する。代表値特定処理Dは、図6の代表値特定処理と比較して、図4の代表値ルールテーブルTB2の代わりに、以下の代表値ルールテーブルTB2Dが使用される点が異なる。
図15は、本発明の実施の形態5に係る代表値ルールテーブルTB2Dの一例を示す図である。図15を参照して、代表値ルールテーブルTB2Dは、代表値ルールテーブルTB2と比較して、「条件Cd」の項目と、「条件優先度」の項目とをさらに含む点が異なる。代表値ルールテーブルTB2Dのそれ以外の構成は、代表値ルールテーブルTB2と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
「条件Cd」に欄に示される「条件CdB」および「条件CdA」の各々は、輸送車C10の状態に関する条件である。「条件CdB」は、例えば、輸送車C10において、少なくとも1台の車両C1のブレーキBKの故障が発生したという条件である。「条件CdA」とは、例えば、輸送車C10において、少なくとも1台の車両C1の空気調節装置AC1の故障が発生したという条件である。
「条件優先度」とは、対応する条件Cdが成立した場合に使用される優先度である。「条件優先度」の値が小さい程、当該「条件優先度」に対応する状態データStDが処理される優先度が高い。そのため、「条件優先度」の値が小さい程、当該「条件優先度」に対応する状態データStDが優先して処理される。
代表値ルールテーブルTB2Dでは、仮に、条件CdBおよび条件CdAの両方が成立している場合、状態データStDpが、状態データStDtより優先して処理されることが示される。
なお、代表値ルールテーブルTB2Dでは、状態データStDpに、条件CdBと、条件優先度“1”とが対応付けられている。代表値ルールテーブルTB2Dでは、状態データStDtに、条件CdAと、条件優先度“2”とが対応付けられている。条件CdBが成立した場合、条件優先度“1”が使用される。また、条件CdAが成立した場合、条件優先度“2”が使用される。
次に、代表値特定処理Dについて説明する。条件CdB,CdAの両方が成立していない通常時には、代表値特定処理Dでは、図15の代表値ルールテーブルTB2Dを使用して、実施の形態1と同様に、ステップS110からS160までの処理が行われる。
ここで、以下の前提Pr4を考慮する。前提Pr4では、輸送車C10において、少なくとも1台の車両C1の空気調節装置AC1の故障が発生している。すなわち、前提Pr4では、状態データStDtに対応付けられている条件CdAが成立している。
また、前提Pr4では、ステップS110のデータ取得処理において、一例として、待機制御部Wcが、10秒間にわたって、21個の状態データStDを取得する。また、前提Pr4では、一例として、当該21個の状態データStDは、20個の状態データStDpと、1個の状態データStDtとを含む。
前提Pr4における代表値特定処理Dでは、実施の形態1と同様に、ステップS110、S120の処理が行われる。これにより、21個の状態データStDが選択される。
次に、前提Pr4におけるステップS130の優先データ選択処理では、条件CdAが成立しているため、待機制御部Wcが条件優先度“2”を使用する。具体的には、待機制御部Wcが条件優先度“2”に従って、選択された21個の状態データStDから、優先度が最も高い、1個の状態データStDtを選択する。
次に、前提Pr4におけるステップS140の代表値算出処理では、待機制御部Wcが、1個の状態データStDtが示す1個の車内温度Tmpの値の最大値を、代表値として算出する。これにより、代表値が特定される。
そして、実施の形態1と同様に、ステップS150、S160の処理が行われる。
以上により、前提Pr4における代表値特定処理D(メンテナンス処理MtPr)では、状態データStDtは、当該状態データStDtに対応付けられている条件CdAが成立している場合、当該状態データStDtに対応付けられている条件優先度“2”に従って、処理される。すなわち、構成CtDでは、状態データStDtは、当該状態データStDtに対応付けられている条件Cdが成立している場合、当該状態データStDtに対応付けられている条件優先度に従って、処理される。
なお、代表値ルールテーブルTB2Dに示される、優先度および条件優先度の値によっては、当該優先度と、当該条件優先度とが重複する場合がある。この場合、当該条件優先度に対応するデータが優先的に処理される。
以上のように、本実施の形態では、条件Cdおよび条件優先度を使用することにより、装置の故障などが発生した場合、関連するデータを優先的に処理することが可能となる。また、条件Cdおよび条件優先度を使用することにより、状態データStDtを処理する優先度(順番)を、輸送車の状態に応じて、設定することができる。
<変形例1>
なお、実施の形態4の構成CtCは、実施の形態2の構成CtAに適用してもよい。以下においては、構成CtCを、構成CtAに適用した構成を、「構成CtAc」ともいう。以下においては、構成CtAcが適用されたメンテナンスシステムを、「メンテナンスシステム5000Ac」ともいう。また、以下においては、構成CtAcが適用された車上システムを、「車上システム1000Ac」ともいう。
また、以下においては、構成CtAcが適用された制御ユニットUtaを、「制御ユニットUtaAc」ともいう。また、以下においては、構成CtAcが適用された制御ユニットUtbを、「制御ユニットUtbAc」ともいう。
メンテナンスシステム5000Acは、図1のメンテナンスシステム5000と比較して、車上システム1000の代わりに車上システム1000Acを含む点が異なる。メンテナンスシステム5000Acのそれ以外の構成および機能は、メンテナンスシステム5000と同様なので詳細な説明は繰り返さない。車上システム1000Acは、図1の輸送車C10に設けられている。
図16は、変形例1に係るメンテナンスシステム5000Acの構成を示すブロック図である。なお、図16では、図の簡略化のために、メンテナンスシステム5000Acに含まれる車上システム1000Acのみを示している。
図16を参照して、車上システム1000Acは、図8の車上システム1000Aと比較して、制御ユニットUtaAの代わりに制御ユニットUtaAcを含む点と、制御ユニットUtbAの代わりに制御ユニットUtbAcを含む点とが異なる。車上システム1000Acのそれ以外の構成および機能は、車上システム1000Aと同様なので詳細な説明は繰り返さない。
制御ユニットUtaAcは、図8の制御ユニットUtaAと比較して、ATC40の代わりにATC40Cを含む点と、マスコン50の代わりにマスコン50Cを含む点とが異なる。制御ユニットUtaAcのそれ以外の構成および機能は、制御ユニットUtaAと同様なので詳細な説明は繰り返さない。制御ユニットUtaAcに含まれる制御部10(10a)の構成および機能は、制御ユニットUtaAの制御部10(10a)と同じである。
制御ユニットUtbAcは、図8の制御ユニットUtbAと比較して、ATC40の代わりにATC40Cを含む点と、マスコン50の代わりにマスコン50Cを含む点とが異なる。制御ユニットUtbAcのそれ以外の構成および機能は、制御ユニットUtbAと同様なので詳細な説明は繰り返さない。制御ユニットUtbAcに含まれる制御部10(10b)の構成および機能は、制御ユニットUtbAの制御部10(10b)と同じである。
制御ユニットUtaAcは、輸送車C10の端部Edaに相当する車両C1aに設けられている。すなわち、制御ユニットUtaAcは、輸送車C10の端部Edaに設けられている。そのため、制御ユニットUtaAcに含まれる、2台の制御部10(10a)、ATC40Cおよびマスコン50Cは、端部Edaに設けられている。
制御ユニットUtbAcは、輸送車C10の端部Edbに相当する車両C1bに設けられている。すなわち、制御ユニットUtbAcは、輸送車C10の端部Edbに設けられている。そのため、制御ユニットUtbAcに含まれる、2台の制御部10(10b)、ATC40Cおよびマスコン50Cは、端部Edbに設けられている。
以上により、車上システム1000Acは、4台の制御部10と、2台のATC40Cと、2台のマスコン50Cとを含む。当該4台の制御部10は、端部Eda(車両C1a)に設けられている2台の制御部10(10a)と、端部Edb(車両C1b)に設けられている2台の制御部10(10b)とから構成される。
以下においては、制御ユニットUtaAcに含まれるATC40Cを、「ATC40Ca」ともいう。また、以下においては、制御ユニットUtbAcに含まれるATC40Cを、「ATC40Cb」ともいう。また、以下においては、制御ユニットUtaAcに含まれるマスコン50Cを、「マスコン50Ca」ともいう。また、以下においては、制御ユニットUtbAcに含まれるマスコン50Cを、「マスコン50Cb」ともいう。
構成CtAcでは、4台の制御部10が、実施の形態2と同様に、例えば、図9の処理割当テーブルTB1Aに従って動作する。すなわち、4台の制御部10において、1台の制御部10がバックアップ制御部Bcとして動作し、2台の制御部10がメンテナンス処理MtPrを行う。
また、構成CtAcでは、車上システム1000Acは、実施の形態2と同様に、当該車上システム1000Acの処理モードを変化させることにより、4台の制御部10において、処理MVPrを行う対象となる制御部と、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる制御部とを切り替える。
また、構成CtAcでは、ATC40Ca,40Cb、および、マスコン50Ca,50Cbが、実施の形態4と同様に、例えば、図14の処理割当テーブルTB1Cに従って動作する。そのため、動作モードが待機モードである、ATC40CaおよびATC40Cbのいずれかが、メンテナンス処理MtPrを行う。また、例えば、動作モードが待機モードである、マスコン50Caおよびマスコン50Cbのいずれかが、メンテナンス処理MtPrを行う。
また、構成CtAcでは、車上システム1000Acは、実施の形態4と同様に、ATC40CaおよびATC40Cbにおいて、処理AtPrを行う対象となる装置と、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる装置とを切り替える。また、車上システム1000Acは、実施の形態4と同様に、マスコン50Caおよびマスコン50Cbにおいて、処理SpPrを行う対象となる装置と、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる装置とを切り替える。
<変形例2>
なお、実施の形態4の構成CtCは、実施の形態2の構成CtAxに適用してもよい。以下においては、構成CtCを、構成CtAxに適用した構成を、「構成CtAxc」ともいう。構成CtAxcにおけるメンテナンスシステムは、図16のメンテナンスシステム5000Acである。メンテナンスシステム5000Acは、図16の車上システム1000Acを含む。
構成CtAxcにおける車上システム1000Acは、構成CtAxと同様に、図10の処理割当テーブルTB1AXに従って動作する。
処理割当テーブルTB1AXに従った車上システム1000Acに含まれる4台の制御部10は、処理MVPrを行う1台の制御部10(メイン制御部Mc)と、メイン制御部Mcが故障した場合、処理MVPrを行う対象となる2台の制御部10と、メイン制御部Mcが処理MVPrを行っている期間において、メンテナンス処理MtPrを行う1台の制御部10とから構成される。
また、構成CtAxcでは、車上システム1000Acは、実施の形態2と同様に、当該車上システム1000Acの処理モードを変化させることにより、4台の制御部10において、処理MVPrを行う対象となる制御部と、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる制御部とを切り替える。
また、構成CtAxcでは、ATC40Ca,40Cb、および、マスコン50Ca,50Cbが、実施の形態4と同様に、例えば、図14の処理割当テーブルTB1Cに従って動作する。そのため、動作モードが待機モードである、ATC40CaおよびATC40Cbのいずれかが、メンテナンス処理MtPrを行う。また、例えば、動作モードが待機モードである、マスコン50Caおよびマスコン50Cbのいずれかが、メンテナンス処理MtPrを行う。
また、構成CtAxcでは、車上システム1000Acは、実施の形態4と同様に、ATC40CaおよびATC40Cbにおいて、処理AtPrを行う対象となる装置と、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる装置とを切り替える。また、車上システム1000Acは、実施の形態4と同様に、マスコン50Caおよびマスコン50Cbにおいて、処理SpPrを行う対象となる装置と、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる装置とを切り替える。
<変形例3>
なお、実施の形態4の構成CtCは、実施の形態3の構成CtBに適用してもよい。以下においては、構成CtCを、構成CtBに適用した構成を、「構成CtBc」ともいう。以下においては、構成CtBcが適用されたメンテナンスシステムを、「メンテナンスシステム5000Bc」ともいう。
また、以下においては、構成CtBcが適用された制御ユニットUtaを、「制御ユニットUtaBc」ともいう。また、以下においては、構成CtBcが適用された制御ユニットUtbを、「制御ユニットUtbBc」ともいう。
メンテナンスシステム5000Bcは、図11のメンテナンスシステム5000Bと比較して、車上システム1000Bの代わりに車上システム1000Bcを含む点が異なる。メンテナンスシステム5000Bcのそれ以外の構成および機能は、メンテナンスシステム5000Bと同様なので詳細な説明は繰り返さない。車上システム1000Bcは、図11の輸送車C10Bに設けられている。
図17は、変形例3に係るメンテナンスシステム5000Bcの構成を示すブロック図である。なお、図17では、図の簡略化のために、メンテナンスシステム5000Bcに含まれる車上システム1000Bcのみを示している。
図17を参照して、車上システム1000Bcは、図12の車上システム1000Bと比較して、制御ユニットUtaの代わりに制御ユニットUtaBcを含む点と、制御ユニットUtbの代わりに制御ユニットUtbBcを含む点とが異なる。車上システム1000Bcのそれ以外の構成および機能は、車上システム1000Bと同様なので詳細な説明は繰り返さない。
制御ユニットUtaBcは、図12の制御ユニットUtaと比較して、ATC40の代わりにATC40Cを含む点と、マスコン50の代わりにマスコン50Cを含む点とが異なる。制御ユニットUtaBcのそれ以外の構成および機能は、制御ユニットUtaと同様なので詳細な説明は繰り返さない。制御ユニットUtaBcに含まれる制御部10(10a)の構成および機能は、制御ユニットUtaの制御部10(10a)と同じである。
制御ユニットUtbBcは、図12の制御ユニットUtbと比較して、ATC40の代わりにATC40Cを含む点と、マスコン50の代わりにマスコン50Cを含む点とが異なる。制御ユニットUtbBcのそれ以外の構成および機能は、制御ユニットUtbと同様なので詳細な説明は繰り返さない。制御ユニットUtbBcに含まれる制御部10(10b)の構成および機能は、制御ユニットUtbの制御部10(10b)と同じである。
制御ユニットUtaBcは、各編成車C5の端部Edaに相当する車両C1aに設けられている。すなわち、制御ユニットUtaBcは、各編成車C5の端部Edaに設けられている。そのため、制御ユニットUtaBcに含まれる、制御部10(10a)、ATC40Cおよびマスコン50Cは、各編成車C5の端部Edaに設けられている。
制御ユニットUtbBcは、各編成車C5の端部Edbに相当する車両C1bに設けられている。すなわち、制御ユニットUtbBcは、各編成車C5の端部Edbに設けられている。そのため、制御ユニットUtbBcに含まれる、制御部10(10b)、ATC40Cおよびマスコン50Cは、各編成車C5の端部Edbに設けられている。
構成CtBcでは、輸送車C10Bは、一例として、2台の編成車C5で構成されている。そのため、車上システム1000Bcは、4台の制御部10と、2台のATC40Cと、2台のマスコン50Cとを含む。4台の制御部10は、2台の制御部10aと2台の制御部10bとから構成される。編成車C5aには、制御部10a,10bが設けられている。編成車C5bには、制御部10a,10bが設けられている。
また、構成CtBcでは、実施の形態3と同様に、連結解除処理およびデータ外部送信処理が行われる。
ここで、以下の前提Pr3Bを考慮する。前提Pr3Bでは、輸送車C10B(k台の編成車C5)は、互いに連結された編成車C5aおよび編成車C5bを含む。以下においては、編成車C5aに設けられている制御ユニットUtaBc,UtbBcの各々を、「制御ユニットUtCa」ともいう。また、以下においては、編成車C5bに設けられている制御ユニットUtaBc,UtbBcの各々を、「制御ユニットUtCb」ともいう。
また、前提Pr3Bでは、編成車C5aに設けられている制御ユニットUtCaの制御部10が、編成車C5bの状態を示す状態データStDを保持している。また、前提Pr3Bでは、連結解除処理において、編成車C5aと編成車C5bとの連結が解除される。
前提Pr3Bにおけるデータ外部送信処理では、編成車C5aに設けられている制御ユニットUtCa(制御部10)は、編成車C5aと編成車C5bとの連結が解除される際に、状態データStDを、制御ユニットUtCb(編成車C5b)へ送信する。これにより、実施の形態3と同様な効果が得られる。
以下においては、制御ユニットUtaBcに含まれるATC40Cを、「ATC40Ca」ともいう。また、以下においては、制御ユニットUtbBcに含まれるATC40Cを、「ATC40Cb」ともいう。また、以下においては、制御ユニットUtaBcに含まれるマスコン50Cを、「マスコン50Ca」ともいう。また、以下においては、制御ユニットUtbBcに含まれるマスコン50Cを、「マスコン50Cb」ともいう。
また、構成CtBcでは、ATC40Ca,40Cb、および、マスコン50Ca,50Cbが、実施の形態4と同様に、例えば、図14の処理割当テーブルTB1Cに従って動作する。そのため、動作モードが待機モードである、ATC40CaおよびATC40Cbのいずれかが、メンテナンス処理MtPrを行う。また、例えば、動作モードが待機モードである、マスコン50Caおよびマスコン50Cbのいずれかが、メンテナンス処理MtPrを行う。
また、構成CtBcでは、車上システム1000Bcは、実施の形態4と同様に、ATC40CaおよびATC40Cbにおいて、処理AtPrを行う対象となる装置と、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる装置とを切り替える。また、車上システム1000Bcは、実施の形態4と同様に、マスコン50Caおよびマスコン50Cbにおいて、処理SpPrを行う対象となる装置と、メンテナンス処理MtPrを行う対象となる装置とを切り替える。
<変形例4>
なお、実施の形態5の構成CtDは、実施の形態2の構成CtAに適用されてもよい。以下においては、構成CtDを、構成CtAに適用した構成を、「構成CtAd」ともいう。構成CtAdでは、構成CtAにおける車上システム1000Aにおいて、実施の形態5と同様に、条件Cdおよび条件優先度を利用した代表値特定処理D(メンテナンス処理MtPr)が行われる。
構成CtAdにおける、条件Cdおよび条件優先度を利用した代表値特定処理Dでは、状態データStDtは、当該状態データStDtに対応付けられている条件Cdが成立している場合、当該状態データStDtに対応付けられている条件優先度に従って、処理される。
また、実施の形態5の構成CtDは、実施の形態3の構成CtBに適用されてもよい。以下においては、構成CtDを、構成CtBに適用した構成を、「構成CtBd」ともいう。構成CtBdでは、構成CtBにおける車上システム1000Bにおいて、実施の形態5と同様に、条件Cdおよび条件優先度を利用した代表値特定処理D(メンテナンス処理MtPr)が行われる。
また、実施の形態5の構成CtDは、実施の形態4の構成CtCに適用されてもよい。以下においては、構成CtDを、構成CtCに適用した構成を、「構成CtCd」ともいう。構成CtCdでは、構成CtCにおける車上システム1000Cにおいて、実施の形態5と同様に、条件Cdおよび条件優先度を利用した代表値特定処理D(メンテナンス処理MtPr)が行われる。
また、実施の形態5の構成CtDは、変形例1の構成CtAcに適用されてもよい。以下においては、構成CtDを、構成CtAcに適用した構成を、「構成CtAcd」ともいう。構成CtAcdでは、構成CtAcにおける車上システム1000Acにおいて、実施の形態5と同様に、条件Cdおよび条件優先度を利用した代表値特定処理D(メンテナンス処理MtPr)が行われる。
また、実施の形態5の構成CtDは、変形例2の構成CtAxcに適用されてもよい。以下においては、構成CtDを、構成CtAxcに適用した構成を、「構成CtAxcd」ともいう。構成CtAxcdでは、構成CtAxcにおける車上システム1000Acにおいて、実施の形態5と同様に、条件Cdおよび条件優先度を利用した代表値特定処理D(メンテナンス処理MtPr)が行われる。
また、実施の形態5の構成CtDは、変形例3の構成CtBcに適用されてもよい。以下においては、構成CtDを、構成CtBcに適用した構成を、「構成CtBcd」ともいう。構成CtBcdでは、構成CtBcにおける車上システム1000Bcにおいて、実施の形態5と同様に、条件Cdおよび条件優先度を利用した代表値特定処理D(メンテナンス処理MtPr)が行われる。
(機能ブロック図)
図18は、車上システムBL10の特徴的な機能構成を示すブロック図である。車上システムBL10は、車上システム1000,1000A,1000B,1000C,1000Ac,1000Bcのいずれかに相当する。つまり、図18は、車上システムBL10の有する機能のうち、本発明に関わる主要な機能を示すブロック図である。
車上システムBL10は、予め設けられている路線に沿って移動する、長尺状の輸送車に設けられている。
車上システムBL10は、機能的には、制御部BL1,BL2を備える。制御部BL1は、制御部10aに相当する。制御部BL2は、制御部10bに相当する。制御部BL1、BL2の各々は、前記輸送車の移動を制御するための第1処理を行う機能を有する。
制御部BL1は、前記輸送車の一方の端部である第1端部に設けられている。制御部BL2は、前記輸送車の他方の端部である第2端部に設けられている。制御部BL1が前記第1処理を行っている期間において、制御部BL2は前記第1処理を行わない。
制御部BL2は、制御部BL1が前記第1処理を行っている期間において、前記輸送車のメンテナンスを行うためのメンテナンス処理を行う。
また、上記の車上システムBL10は、以下の輸送車メンテナンス方法を行う。図19は、輸送車メンテナンス方法のフローチャートである。
輸送車メンテナンス方法は、ステップS1を含む。ステップS1では処理Prs1が行われる。処理Prs1では、制御部BL2が、制御部BL1が前記第1処理を行っている期間において、前記輸送車のメンテナンスを行うためのメンテナンス処理を行う。
(その他の変形例)
以上、本発明に係る車上システムについて、各実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、当該各実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、当業者が思いつく変形を各実施の形態に施したものも、本発明に含まれる。つまり、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態、変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態、変形例を適宜、変形、省略することが可能である。
以下においては、本発明に係る車上システムを、「車上システムhzs」ともいう。車上システムhzsは、車上システム1000,1000A,1000B,1000C,1000Ac,1000Bcのいずれかである。
また、車上システムhzsは、図で示される全ての構成要素を含まなくてもよい。すなわち、車上システムhzsは、本発明の効果を実現できる最小限の構成要素のみを含めばよい。例えば、車上システムhzsの制御ユニットUtは、空気調節装置AC1を備えなくてもよい。
また、車上システムhzsに含まれる、制御部10a,10bの各々の機能は、2つの処理回路により実現されてもよい。
当該2つの処理回路の一方の処理回路は、他方の処理回路が前記第1処理を行っている期間において、前記輸送車のメンテナンスを行うためのメンテナンス処理を行う。
処理回路は、専用のハードウエアであってよい。また、処理回路は、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。当該プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等である。
以下においては、処理回路が専用のハードウエアである構成を、「構成Cs1」ともいう。また、以下においては、処理回路が、プロセッサである構成を、「構成Cs2」ともいう。
構成Cs1では、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
なお、車上システムhzsに含まれる各構成要素の全てまたは一部を、ハードウエアで示した構成は、例えば、以下のようになる。以下においては、車上システムhzsに含まれる各構成要素の全てまたは一部を、ハードウエアで示した車上システムを、「車上システムhd10」ともいう。
図20は、車上システムhd10のハードウエア構成図である。図20を参照して、車上システムhd10は、プロセッサhd1と、プロセッサhd2と、メモリhd3とを備える。
メモリhd3は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリである。また、例えば、メモリhd3は、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等である。
プロセッサhd1は、制御部10aに相当する。プロセッサhd2は、制御部10bに相当する。
構成Cs2では、処理回路は、プロセッサhd1,hd2である。構成Cs2では、制御部10a,10bの各々の機能は、ソフトウエア、ファームウエア、またはソフトウエアとファームウエアとの組み合わせにより実現される。ソフトウエアまたはファームウエアは、プログラムとして記述され、メモリhd2に格納される。
また、構成Cs2では、処理回路(プロセッサhd1,hd2)が、メモリhd2に記憶されたプログラムを読み出して、当該プログラムを実行することにより、制御部10a,10bの各々の機能は実現される。すなわち、メモリhd2は、以下のプログラムを格納する。
当該プログラムは、例えば、制御部10a,10bの各々が行う処理の手順、当該処理を実行する方法等をコンピュータに実行させるものである。
また、本発明は、車上システムhzsが備える特徴的な構成部の動作をステップとする輸送車メンテナンス方法として実現してもよい。また、本発明は、そのような輸送車メンテナンス方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現してもよい。また、本発明は、そのようなプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現されてもよい。また、当該プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して配信されてもよい。
上記実施の形態で用いた全ての数値は、本発明を具体的に説明するための一例の数値である。すなわち、本発明は、上記実施の形態で用いた各数値に制限されない。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態、変形例を自由に組み合わせたり、各実施の形態、変形例を適宜、変形、省略することが可能である。
例えば、輸送車C10,C10Bの各々は、列車に限定されない。輸送車C10,C10Bの各々は、バス、路面電車、モノレール等であってもよい。
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。