JP6090464B2 - プレス成形品及びプレス成形品の製造方法並びにプレス成形品の製造装置 - Google Patents

プレス成形品及びプレス成形品の製造方法並びにプレス成形品の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、例えば自動車車体用の補強部材に好適に用いられる、剛性及び強度に優れたプレス成形品及びプレス成形品の製造方法、並びにそのようなプレス成形品の製造に用いられる製造装置に関する。
自動車車体は、多数の成形パネル同士を、互いの縁部同士を重ね合わせて、例えば抵抗スポット溶接により接合して箱体として構成される。この箱体の要所には、補強部材や強度部材(以下、「補強部材」と総称する)が、例えば抵抗スポット溶接により接合される。かかる自動車車体用の補強部材として、バンパーレインフォースメント、ロッカー(サイドシル)、ベルトライン、クロスメンバ、サイドメンバ等がある。
これらの補強部材は、例えばプレス成形された、天板と天板につながる2つの稜線と2つの稜線にそれぞれつながる2つのフランジとにより構成される略ハット型又は略溝型の断面形状を有する部材とされる。かかる補強部材における稜線の延在方向の開口した端部には、内向きあるいは外向きに折り曲げることによりフランジが形成される。このフランジを他の部材と重ね合わせた後、例えば抵抗スポット溶接によって接合することにより、自動車車体用の補強部材が組立てられる。素材の板厚によってはスポット溶接ではなくアーク溶接が使用される場合もある。
ここで、本明細書において、稜線の両端からそれぞれつながる二つの面が成す角度が180°未満の領域を内側領域といい、補強部材の端部を当該内側領域側に折り曲げたフランジを内向きフランジという。また、稜線の両端からそれぞれつながる二つの面が成す角度が180°を超える領域を外側領域といい、補強部材の端部を当該外側領域側に折り曲げたフランジを外向きフランジという。
補強部材の端部に内向きフランジを形成する場合、稜線の延長上に位置する稜線部フランジは縮みフランジ成形となるため、稜線部フランジにはしわが発生する。そのため、このような内向きフランジを他の部材と重ね合わせてスポット溶接しようとすると、発生したしわにより他の部材との間に隙間が生じ、組み付け時に不具合が生じるおそれがある。したがって、端部に内向きフランジを有する補強部材を使用する場合には、稜線部フランジに切欠きを設ける等によりしわの発生を回避しながら、内向きフランジを接合代として他の部材との溶接を行わなければならない。
しかしながら、内向きに形成された稜線部フランジに、フランジが不連続となるような切欠きを設けると、不可避的に、ねじり剛性や荷重伝達特性といった自動車車体用の補強部材の性能が低下する。したがって、内向きフランジを介して補強部材を他の部材と接合し、補強部材に要求される性能を確保するためには、内向きフランジに切欠きを設けることなく稜線部フランジに生じるしわを抑制しながら、縮みフランジ部の成形を実現する必要がある。
なお、本明細書において、「フランジに切欠きを設ける」とは、切欠きがフランジの幅方向の全体にわたって設けられ、フランジが不連続となることをいう。また、フランジの幅は、フランジの高さと同じ意味で用いられる。したがって、フランジの幅が部分的に小さくされ、一部のフランジが残される場合には、フランジに切欠きを設けていないものとする。
これまでにも、このような縮みフランジ成形時におけるしわの発生を抑制する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、サンルーフ用の開口を有するルーフパネルに、縮みフランジ部における基部と先端部との長さの差を吸収する凹凸形状を形成する技術が開示されている。また、特許文献2には、角筒絞り成形における縮みフランジ部に特定の絞りビードを設けることによりしわの発生を防止する技術が開示されている。さらに、特許文献3には、カム構造を用いて縮みフランジ部に押さえ圧を負荷しながら成形することによりしわの発生を抑制する技術が開示されている。
また、特許文献4には、曲げ部となるべき部位については曲げ荷重方向に対して交差する方向に延びるフランジ相当部を形成した後、当該フランジ相当部をフランジに変換しながら形状出しするように伸ばし加工する板体の成形方法が開示されている。かかる板体の成形方法は、フランジにおけるしわによる引きちぎりを抑制するものである。
さらに、特許文献5には、金属面材を折り曲げるとともに、両側部の立上り部を外側に倒した後、倒された両側部を受け金型の側面の押え面の加工ローラで強圧しながら順次立上らせる金属面材の加工方法が開示されている。かかる加工方法は、立上り部のしわや歪を低減するものである。
特許第2554768号明細書 特許第2560416号明細書 特開平4−118118号公報 特開昭59−144530号公報 特開平1−104420号公報
特許文献1,2に開示された技術は、しわ及び肉余りの要因となる余剰線長を、予め形成した余肉部分により吸収するものである。したがって、この余肉部分でスポット溶接することが困難となることはもちろんのこと、この余肉部分が他の部位のスポット溶接の妨げになることがある。このような場合には特許文献1,2に開示された技術を実施することは困難である。
また、特許文献3に開示された技術は、フランジ部の縮み率、及びカム構造が受ける反力が小さくなるような、例えば曲率半径が2100mmといった大きな曲率半径を有する部位のフランジ部のしわの発生を抑制することができる。しかしながら、フランジ部の縮み率、及びカム構造が受ける反力が大きくなるような、例えば曲率半径が5mmといった小さな曲率半径を有する部位のフランジ部のしわの発生を抑制することは困難である。特に、引張強度が大きい高張力鋼板を用いた場合には、過大なしわが発生するためにフランジ部からの反力が大きくなる。そのために、特許文献3に開示されたカム構造では、しわの発生を抑制することができない。
また、特許文献4に開示された技術は、伸ばし加工によりしわの発生を抑制するものである。したがって、形成されるフランジの板厚が薄くなってしまい、補強部材の剛性やフランジ部の強度が低下するおそれがある。
また、特許文献5に開示された技術は、複数の加工ローラを順次に強圧させて立上り部を形成するものであり、金属面材の折り曲げる部分の曲率半径が比較的大きい加工品を対象とするものである。したがって、例えば曲率半径が5mmといった小さな曲率半径を有する部位のフランジ部のしわの発生を抑制することは困難である。
このように、略ハット型又は略溝型等の断面形状を有する部材における、稜線部の延在方向の開口した端部に、切欠きを設けないで内向きフランジを形成することは、プレス成形性の観点から容易ではない。特に、上記引用文献1〜5はいずれも、引張強度が340MPa以上の高張力の鋼板へのフランジの形成に着目したものではない。そのため、稜線部フランジに切欠きを有しない連続する内向きフランジを備えた、高張力鋼板からなるプレス成形体は、これまで自動車車体用の補強部材として用いられたことがなかった。
外向きフランジを備えるプレス成形品は、外向きフランジを有する分だけハット型断面あるいは溝状断面を設計断面一杯まで拡大することができない。換言すれば、外向きフランジの代わりに内向きフランジを介して他部材との接合が可能であれば、外向きフランジを有さない分だけプレス成形品の断面を設計断面一杯まで拡大することができる。そのため、自動車車体用の補強部材と他部材との接合強度や、自動車車体の曲げ剛性あるいはねじり剛性を向上することが可能となる。したがって、高張力鋼板からなり、内向き連続フランジを備えたプレス成形品の実現化が望まれる。
本発明の目的は、プレス成形時に発生し得る不良回避のために稜線部フランジに切欠きを設けることなく、補強部材と他の部材との接合強度や自動車車体の剛性等の性能を向上できる、切欠きを有さない内向き連続フランジを有するプレス成形品を提供することである。また、本発明のさらなる目的は、そのようなプレス成形品の製造方法並びにプレス成形品の製造装置を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、引張強度が340MPa以上の鋼板からなり、所定の方向へ延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を備える金属板のプレス成形品において、
前記所定の方向の少なくとも一方の端部に、前記稜線部の端部に内向きに形成された稜線部フランジと、前記第1の面部の端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第1のフランジと、前記第2の面部の端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第2のフランジと、が連続した内向き連続フランジを備え、
前記稜線部フランジの縁部の板厚に関し、前記稜線部フランジは、周方向の中央領域を挟んだ両側の領域に前記中央領域の板厚以上の部分を含む板厚分布を有する、プレス成形品が提供される。
また、前記稜線部フランジは、前記中央領域及び前記両側の領域の3箇所に前記板厚が極大となる箇所を有し、前記両側の領域における前記板厚が極大となる箇所の板厚が、前記中央領域における前記板厚が極大となる箇所の板厚よりも大きくてもよい。
また、前記稜線部フランジの少なくとも一部のフランジ幅が、前記第1のフランジ及び前記第2のフランジのフランジ幅よりも小さくてもよい。
また、前記稜線部フランジのフランジ幅(Lf)及び前記稜線部の曲率半径(rf)が以下の式(1)を充足してもよい。
0.2×rf≦Lf≦rf … (1)
また、前記所定の方向に沿って見た前記プレス成形品の断面形状は、略ハット型又は略溝形の開断面形状、あるいは閉断面形状であってもよい。
また、前記プレス成形品は自動車車体用の補強部材であってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、引張強度が340MPa以上の鋼板からなり、所定の方向へ延びる稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を備える被加工材における前記所定の方向の少なくとも一方の端部にフランジを形成する工程を含むプレス成形品の製造方法において、
前記被加工材における前記端部を除く領域を、前記被加工材の内側領域から支持する設置工程と、
突部を有する曲げ工具を用いて、前記被加工材の前記端部における前記稜線部の所定箇所に対して、前記被加工材の外側領域から前記突部を当接させた後、前記曲げ工具を前記所定箇所の板厚方向に沿って前記内側領域の方向に相対的に移動させることにより前記フランジを形成する曲げ成形工程と、
を備える、プレス成形品の製造方法が提供される。
また、前記曲げ成形工程において、前記曲げ工具の移動に伴って、前記曲げ工具の前記突部が、前記端部における前記稜線部の前記所定箇所を押圧することにより、当該所定箇所をその板厚方向へ折り曲げ、次いで、前記曲げ工具の前記突部以外の部分が、前記端部における前記所定箇所を除く他の部分を順次押圧することにより、当該他の部分をその板厚方向へ折り曲げて、前記フランジを形成してもよい。
また、前記所定箇所は、前記稜線部の周方向の中央部を中心にその両側を含む、略板厚の幅を有する領域であり、前記突部が、前記所定箇所を、前記中央部の板厚方向に押圧してもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、所定の方向へ延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を備える被加工材を、前記被加工材の内側領域から支持する被加工材支持工具と、
前記被加工材の前記所定の方向における端部に対して当接させながら前記被加工材の前記内側領域の方向に相対的に移動させ、前記端部を前記内側領域の方向に折り曲げる曲げ工具と、を備え、
前記曲げ工具が、前記稜線部の前記端部における所定箇所に当接し、前記移動に伴って前記所定箇所を当該所定箇所の板厚方向へ押圧する突部を有する、プレス成形品の製造装置が提供される。
また、前記曲げ工具を前記所定の方向に沿って見たときに、前記突部は先端部に向かって幅が小さくなるとともに、前記先端部が曲線を成してもよい。
また、前記突部の高さ(h)及び前記稜線部の曲率半径(rf)が下記式(2)を充足してもよい。
0.5×rf≦h≦3.0×rf … (2)
本発明により、高張力鋼板からなるプレス成形品において、プレス成形時に発生し得る不良回避のために稜線部フランジに切欠きを設けることなく、内向き連続フランジにおけるしわの発生を抑制することができる。したがって、かかるプレス成形品を自動車車体用の補強部材に適用すれば、補強部材と他の部材との接合強度や自動車車体の剛性等の性能を向上することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるハット型断面形状のプレス成形品を模式的に示す斜視図である。 図2(a)は、内向き連続フランジの形状を模式的に示す説明図であり、図2(b)は稜線部フランジを正面から見た説明図である。 図3は、同実施形態にかかるプレス成形品の断面形状の一例を示す説明図である。 図4は、稜線部フランジの板厚分布の一例を示すグラフである。 図5は、曲げ成形を行うためのプレス成形品の製造装置の全体構成例を模式的に示す概略図である。 図6は、絞り成形装置の一例を模式的に示す説明図である。 図7は、曲げ成形装置の一例を模式的に示す説明図である。 図8(a)は、被加工材を被加工材支持工具に取り付けた様子を示す図であり、図8(b)は、曲げ成形の開始時の様子を示す説明図であり、図8(c)は、曲げ成形の途中の様子を示す説明図であり、図8(d)は、曲げ成形の完了時の様子を示す説明図である。 図9は、曲げ工具の表面に設けた突部が稜線部の端部に当接している様子を示す説明図である。 図10(a)は、曲げ成形前の被加工材の端部を示す斜視図であり、図(9)(b)は、稜線部が折り曲げられる途中の被加工材の端部を示す斜視図であり、図10(c)は、曲げ成形完了時の被加工材の端部を示す斜視図である。 図11(a)は、突部を備えた曲げ工具の形状を模式的に示す図であり、図11(b)は、稜線部フランジ近傍のフランジの変形状態を示す説明図である。 図12は、突部を備えていない直線状の曲げ工具の形状を模式的に示す図であり、図12(b)は、稜線部フランジ近傍のフランジの変形状態を示す説明図である。 図13は、曲げ成形に伴う稜線部フランジの板厚増加率を示すグラフである。 図14(a)及び図14(b)は、内向き連続フランジが形成されたプレス成形品の形状を示す外観図である。 図15は、稜線部フランジの板厚分布を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.第1の実施の形態>
まず、本発明の第1の実施の形態にかかるプレス成形品について説明する。
(1−1.全体構成)
図1は、本実施形態にかかるプレス成形品100を模式的に示す斜視図である。図2(a)は、プレス成形品100における内向き連続フランジ118の形状を模式的に示す説明図である。図2(b)は、図1におけるA矢視図(稜線部フランジ115aの正面図)であり、図2(a)中の破線で囲まれた領域の拡大図である。
本実施形態にかかるプレス成形品100は、引張強度が340MPa以上の高張力鋼板からなり、所定の方向へ延びて形成される稜線部112a,112bと、稜線部112a,112bが成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部113a,113b及び第2の面部114と、を備える金属板のプレス成形品である。
かかるプレス成形品100は、所定の方向の少なくとも一方の端部に、稜線部112a,112bの端部に内向きに形成された稜線部フランジ115a,115bと、第1の面部113a,113bの端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第1のフランジ116a,116bと、第2の面部114の端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第2のフランジ117と、が連続した内向き連続フランジ118を備えている。
そして、プレス成形品100における稜線部フランジ115a,115bの縁部の板厚に関し、稜線部フランジ115a,115bは、周方向の中央領域を挟んだ両側の領域に中央領域の板厚以上の部分を含む板厚分布を有している。例えば、稜線部フランジ115aの縁部における周方向の中央領域とは、図2(b)に示すように、稜線部フランジ115aの縁部における、周方向の両端の板厚が増加し始める位置R1,R2の中間点である中央部Rcを含む領域Xとして定義される。かかる中央領域Xは、稜線部フランジ115aの縁部の位置R1から位置R2までの領域を周方向に三等分した場合の中央の領域Xとすることができる。
本実施形態にかかるプレス成形品は、鋼板をプレス成形することにより得られた成形品である。かかるプレス成形品は、例えばバンパーレインフォースメント、ロッカー(サイドシル)、ベルトライン、クロスメンバ等の自動車車体用の補強部材に適している。かかる用途に使用されるプレス成形品は、引張強度が340MPa以上、好ましくは590MPa以上の高張力鋼板を用いてプレス成形したものであってもよい。引張強度は、JIS Z 2241に準拠した引張試験により測定される値である。また、鋼板からなるブランクの板厚は、例えば0.8〜2.0mmの範囲内としてもよい。
本実施形態では、プレス成形品100あるいはブランクの長手方向が、プレス成形品100における稜線部112a,112bの延在方向に相当するが、稜線部112a,112bの延在方向は、プレス成形品100の長手方向に限られない。なお、本実施形態において、稜線部112a,112bが延在する所定の方向は、直線として認識される方向に限定されない。多くの自動車車体用の補強部材にみられる程度の、直線以外の湾曲形状(曲線)として認識される方向も所定の方向に含まれる。所定の方向が曲線として認識される場合、当該所定の方向は、例えば、補強部材の左右方向へ湾曲する方向や上下方向へ湾曲する方向、あるいはこれらの方向を組み合わせた方向も含む。また、所定の方向の全長は、例えばバンパーやサイドメンバのような1000mm程度の長さから、立方体状のバルクヘッドのような100mm程度の長さまで、あらゆる長さを含む。
図3は、プレス成形品100の長手方向に直交する断面におけるプレス成形品100の断面形状の一例を示す説明図である。本実施形態にかかるプレス成形品100の断面形状は、図3(A)に示すハット型の断面形状や、図3(B)に示す溝型の断面形状とすることができるが、これらに限定されない。プレス成形品100の断面形状には、図3(C)や図3(D)に示すように、ハット型や溝型の断面形状における壁面100aに種々の凸形状100bや凹形状(図示しない)が付与された断面形状も含まれる。
また、プレス成形品100の断面形状には、図3(A)〜(D)に示されるような開断面形状以外に、例えば略矩形等の閉断面形状も含まれる。さらに、プレス成形品100は、これらの断面形状には限定されず、例えばV字型断面形状といった、稜線部と、当該稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延在する第1の面部及び第2の面部とを備える断面形状のプレス成形品であってもよい。図1に示したプレス成形品100は、ハット型の断面形状を有するプレス成形品100である。以下、ハット型の断面形状を有するプレス成形品100を例にとって説明する。
図1に示すように、プレス成形品100は、稜線部112a,112bと、第1の面部113a,113bと、第2の面部114とを備える。稜線部112a,112bは、いずれも、プレス成形品100の長手方向に延びて形成される。一方の第1の面部113aは、稜線部112aにつながり、プレス成形品100の長手方向と交差する第1の方向に延びて形成される。他方の第1の面部113bは、稜線部112bにつながり、プレス成形品100の長手方向と交差する第1の方向に延びて形成される。一方の第1の面部113aが延びて形成される第1の方向と、他方の第1の面部113bが延びて形成される第1の方向とは、異なっていてもよい。
第2の面部114は、稜線部112a,112bにつながり、プレス成形品100の長手方向と交差するとともに第1の方向とは異なる第2の方向に延びて形成される。第2の面部114は、稜線部112a,112bの間に形成されている。このように、プレス成形品100は、それぞれプレス成形品100の長手方向に延びて形成される稜線部112a,112bと、これらの稜線部112a,112bに連続する第1の面部113a,113b及び第2の面部114とを備え、略ハット型の開断面形状を有する。
(1−2.内向き連続フランジ)
プレス成形品100は、長手方向の少なくとも一方の最端部100Aに、稜線部フランジ115a,115bと、第1のフランジ116a,116bと、第2のフランジ117とを有する。稜線部フランジ115a,115bは、稜線部112a,112bにおける長手方向の最端部100Aに形成される。第1のフランジ116a,116bは、第1の面部113a,113bにおける長手方向の最端部100Aの少なくとも一部の領域に形成される。さらに、第2のフランジ117は、第2の面部114における長手方向の最端部100Aの少なくとも一部の領域に形成される。本実施形態では、第1のフランジ116a,116b及び第2のフランジ117は、それぞれ第1の面部113a,113b及び第2の面部114における最端部100Aの全領域に形成されている。
稜線部フランジ115a,115bと、第1のフランジ116a,116bと、第2のフランジ117とは、いずれも内向きフランジとして連続して形成されている。これらの、稜線部フランジ115a,115b、第1のフランジ116a,116b、及び第2のフランジ117は、内向き連続フランジ118を構成する。プレス成形品100の端部に設けるフランジを内向き連続フランジ118とすることにより、例えば自動車車体用の補強部材の断面を設計断面一杯に拡大することが可能となる。したがって、補強部材と他の部材との接合強度や自動車車体の剛性をさらに向上することができる。
本実施形態にかかるプレス成形品100は、長手方向の最端部100Aにおいて、第1の面部113a,113b、稜線部112a,112b、第2の面部114の全長に亘って連続する内向き連続フランジ118を有する。ただし、第1のフランジ116a,116bと、第2のフランジ117とは、稜線部フランジ115a,115bに連続して形成されていればよく、内向き連続フランジ118が全長に亘って連続していなくてもよい。例えば、第1のフランジ116a,116b又は第2のフランジ117は、第1の面部113a,113b又は第2の面部114の最端部100Aの一部の領域に形成されていてもよい。第2のフランジ117が第2の面部114の全領域に形成されない場合には、二つに分割された内向き連続フランジ118が形成される。
かかるプレス成形品100を自動車車体用の補強部材として用いる場合には、内向き連続フランジ118を介してプレス成形品100と他の部材とが重ね合わせられる。そして、内向き連続フランジ118を溶接代として、例えばスポット溶接等の溶接により、プレス成形品100と他の部材とが接合される。
なお、プレス成形品100にスポット溶接を行う場合には、例えば、以下のように溶接を行ってもよい。まず、プレス成形品100を他の部材の側面等に突き合わせた後、C型スポットガン等を用いて内向き連続フランジ118を溶接する。その後、プレス成形品100の第1の面部113a,113bにおける、稜線部112a,112bの延在方向に対して交差する方向の端部に設けられたフランジにクロージングプレートを合わせて溶接する。これにより、ハット型のプレス成形品100の開口部分が閉じられて、プレス成形品100が組立てられる。他の部材におけるクロージングプレートの溶接も同様である。スポットガンでプレス成形品100を固定できない場合には、一方向からのワンウェイ溶接やTIG溶接、レーザー溶接、接着等の他の接合手段を用いてもよい。
(1−3.稜線部フランジ)
本実施形態にかかるプレス成形品100において、稜線部フランジ115a,115bの幅Lf及び曲率半径rfは下記式(1)を充足することが好ましい。
0.2×rf≦Lf≦rf … (1)
稜線部フランジ115a,115bの幅Lfが曲率半径rf以下であれば、しわの発生を抑えた内向き連続フランジ118の成形性を良好なものとすることができる。また、稜線部フランジ115a,115bの幅Lfが曲率半径rfの0.2倍以上であれば、稜線部フランジ115a,115bの剛性を確保するとともに、自動車車体用の補強部材に適したプレス成形品100の強度を確保することができる。
稜線部フランジ115a,115bの幅Lf及び曲率半径rfが上記式(1)を充足するのであれば、稜線部フランジ115a,115bのフランジ幅は、稜線部112a,112bの内面に達しない程度に小さくされてもよい。すなわち、稜線部フランジ115a,115bの幅Lfが、第1のフランジ116a,116bや第2のフランジ117の幅Lfs1,Lfs2より小さくてもよい。特に、高張力の鋼板や板厚の大きい鋼板からなる被加工材を対象とする場合には、稜線部フランジ115a,115bのフランジ幅Lfを小さくすることが好ましい。
本実施形態にかかるプレス成形品100は、稜線部フランジ115a,115bに凹部119を有する。これにより、稜線部フランジ115a,115bの幅Lfは、稜線部112a,112bが成す稜線の頂点に相当する領域において、第1のフランジ116a,116b、第2のフランジ117それぞれの幅Lfs1,Lfs2よりも小さくなっている。なお、フランジの幅とは、フランジが稜線部や第1の面部、第2の面部から立ち上がる基部に形成される湾曲部分を除いた、平坦状に形成される部分をいうものとする。
例えば、稜線部フランジ115aにおいて、稜線部フランジ115aの幅Lfとは、図2(b)に示すように、長手方向最端部100Aにおいて稜線部112aに連続して湾曲状に形成される湾曲部115abを除き、平坦状に形成された平坦部115aaの幅Lfである。稜線部フランジ115a,115bの幅Lfが第1のフランジ116a,116b、第2のフランジ117それぞれの幅よりも小さいことにより、稜線部フランジ115a,115bのフランジ先端の余剰伸長が少なくされ、しわの発生が低減される。
(1−4.板厚分布)
ここで、本実施形態にかかるプレス成形品100の稜線部フランジ115a、115bの板厚分布について説明する。図4は、稜線部フランジ115aの幅方向の端部についての板厚分布の一例を示すグラフである。縦軸は、板厚増加率(%)を示す。この板厚増加率は、プレス成形前のブランクの板厚を基準とした、フランジの幅方向の端部の板厚の増加率を表している。
また、横軸は、稜線部フランジ115aの縁部の道のり(mm)を示す。「フランジの縁部の道のり」とは、稜線に沿って稜線部フランジ115aの縁部の板厚が増加し始める位置を起点0とした、板厚の増加が終了する位置までの周方向の位置をいう。具体的には、図2(b)に示すように、稜線部フランジ115aの幅方向の端部における板厚増加開始位置R1から板厚増加終了位置R2までの周方向位置を示す。図2(b)の例では、板厚増加開始位置R1が第1の面部113a側に位置し、板厚増加終了位置R2が第2の面部114側に位置するが、板厚増加開始位置R1と板厚増加終了位置R2とが逆であってもよい。板厚増加開始位置R1と板厚増加終了位置R2との中間点が、稜線部フランジ115aの幅方向の縁部における周方向の中央部Rcである。
図4に示すように、本実施形態にかかるプレス成形品100の稜線部フランジ115aは、周方向の中央部Rcを含む中央領域を挟んだ両側に、縁部の板厚が中央部Rcにおける縁部の板厚よりも大きい箇所C1,C2を有している。具体的に、図4に示す板厚分布は、周方向の中央部Rcにおいて板厚が極大となる箇所Aと、箇所Aの両側においてそれぞれ板厚が極小となる箇所B1,B2と、箇所B1,B2それぞれのさらに外側において板厚が極大となる箇所C1,C2とを有する。すなわち、稜線部フランジ115aの周方向の3箇所において、板厚が極大となっている。中央領域を挟んだ両側の箇所C1,C2の板厚は、周方向の中央部Rc(A)の板厚よりも大きくなっている。
稜線部フランジ115a,115bがこのような板厚分布を有することにより、稜線部フランジ115a,115bで発生するしわが分散される。これにより、稜線部フランジ115a,115bの周方向の中央領域に座屈しわが集中して発生することを抑制することができる。したがって、内向き連続フランジ118を介してプレス成形品100と他の部材とをスポット溶接等により接合する場合に、稜線部フランジ115a,115bと他の部材との間に隙間が生じにくくなる。その結果、接合強度を向上させることができる。
また、周方向の中央領域において板厚が極大となる箇所Aの極大値と、当該中央領域を挟んだ両側において板厚が極大となる箇所C1,C2の極大値との比は、概ね1.0〜1.5の範囲であることが好ましい。かかる比は、稜線部112a,112bの曲率半径rfや、プレス成形品100のブランク素材である金属板(例えば、引張強度が340MPa以上の高張力鋼板)の強度、さらには加工硬化係数によって変化し得る。
上記比が1.0〜1.5の範囲にあることにより、稜線部フランジ115a,115bに発生するしわの程度が小さくなる。したがって、稜線部フランジ115a,115bを介してプレス成形品100を他の部材と重ね合わせてスポット溶接を行う際に、隙間がより生じにくくなり、接合強度の低下を抑制することができる。
以上のように、本実施形態にかかるプレス成形品100は、外向きフランジではなく内向き連続フランジ118を介して、他の部材との接合が可能となっている。したがって、外向きフランジを有さない分、ハット状断面あるいは溝状断面を設計断面一杯まで拡大することができる。また、本実施形態にかかるプレス成形品100は、稜線部フランジ115a,115bに切欠きを有さず、かつ、内向き連続フランジ118におけるしわの発生が抑制されている。したがって、プレス成形品100を例えば自動車車体用の補強部材として使用する場合において、プレス成形品100と他の部材との接合強度が高められるとともに、補強部材の剛性や荷重伝達効率等の性能を向上させることができる。
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態にかかるプレス成形品100の製造方法の例について、プレス成形品100の製造装置の構成例と併せて説明する。本実施形態にかかるプレス成形品100の製造方法及び製造装置は、例えば、第1の実施の形態にかかるプレス成形品100を製造するためのものである。以下、本実施形態にかかるプレス成形品100の製造装置(以下、「プレス成形装置」ともいう)について説明した後、当該プレス成形装置を用いたプレス成形品100の製造方法について説明する。
(2−1.プレス成形装置)
図5は、本実施形態にかかるプレス成形装置20の全体構成例を模式的に示す概略図である。図5に示すように、プレス成形装置20は、被加工材支持工具24と、第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22とを備える。被加工材支持工具24は、U字断面形状を有する被加工材140を固定支持するために使用される。被加工材支持工具24の外表面は、支持する被加工材140の内面形状に対応する形状を有する。被加工材支持工具24は、被加工材140におけるフランジを形成する端部をはみ出させた状態で、被加工材140を内側領域から支持する。
第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22は、被加工材140の端部に内向きフランジを形成するために、当該端部を、被加工材140の外側領域から内側領域に押圧して内向きに折り曲げるために使用される。第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22は、例えば曲げ刃により構成される。
第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22は、それぞれ被加工材支持工具24に接触しないように、被加工材支持工具24に対して相対的に進退動する。かかる進退動は、例えば図示しないカム構造によって実現される。第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22は、相対的に前進移動したときに、少なくとも一部が、被加工材支持工具24の側面のうちの被加工材140の端部をはみ出させる側の側面24bに対向する。かかる前進移動に伴って、第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22は、被加工材140の端部を内向きに折り曲げる
また、第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22は、相対的に後退したときに、当該側面24bに対向しない位置まで後退する。かかる後退位置において、第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22は、被加工材140の長手方向の延長線上に位置しないように配置される。本実施形態にかかるプレス成形装置20では、被加工材支持工具の側面24bは一つの平面上に形成され、第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22は、当該側面24bに平行な面内で相対移動可能になっている。
第1及び第2の曲げ工具21a,21bは、被加工材支持工具24のうちの、被加工材140の稜線部142a,142bを支持する肩部25a,25bに対応して設けられる。かかる第1及び第2の曲げ工具21a,21bは、当該肩部25a,25bを周方向に二分する方向、すなわち、被加工材140の稜線部142a,142bが成す稜線を二分する方向に進退動する。
また、第3の曲げ工具22は、第1の曲げ工具21aと第2の曲げ工具21bとの間の略中央に設けられる。かかる第3の曲げ工具22は、被加工材140の第2の面部144を支持する被加工材支持工具24の支持面24aに対して直交する方向に進退動する。上述のとおり、第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22は、被加工材支持工具24からはみ出した被加工材140の端部を押圧するものであり、被加工材支持工具24とは接触しない。
第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22が相対的に前進し、被加工材支持工具24の側面24bに対向する状態において、第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22と被加工材支持工具24との間の間隙の距離xは、下記式(3)を充足することが好ましい。
1.00×t≦x≦1.40×t … (3)
t:ブランクの板厚(mm)
w:間隙の距離(mm)
間隙の距離xが上記式(3)を充足することにより、内向き連続フランジ118の板厚がプレス成形前の板厚よりも小さくなることを抑制することができる。また、間隙の距離xが上記式(3)を充足することにより、稜線部フランジ115a,115bにおける、しわの原因となりやすい板厚増加を抑制することができる。
ここで、第1及び第2の曲げ工具21a,21bは、前進移動方向側の表面に突部23a,23bを備える。かかる突部23a,23bは、被加工材支持工具24からはみ出た被加工材140の端部のうち、稜線部142a,142bの端部を、その板厚方向に押圧する。被加工材支持工具24からはみ出た被加工材140の端部は、内向き連続フランジ118に曲げ成形される部分である。また、はみ出た稜線部142a,142bの端部は、稜線部フランジ115a,115bに成形される部分である。
曲げ成形の開始時において、突部23a,23bが、稜線部142a,142bの端部の一部に対して外側領域から当接するように、第1及び第2の曲げ工具21a,21bが配置される。その後、第1及び第2の曲げ工具21a,21bは、突部23a,23bが当接した当接部分の板厚方向に沿って、内側領域に向かって相対的に前進移動する。稜線部142a,142bの端部のうち、突部23a,23bが当接する部分は、当該当接部分の板厚方向に沿って押圧される。一方、稜線部142a,142bの端部の他の部分は、それぞれの部分の板厚方向に対して交差する方向に押圧される。
このように、突部23a,23bを有する第1及び第2の曲げ工具21a,21bを用いて稜線部142a,142bの端部を押圧することにより、突部23a,23bによって押圧される部分とその他の部分とで変形速度に差が生じる。したがって、稜線部142a,142bの端部に稜線部フランジ115a,115bを形成する際の変形場が、縮み変形場からせん断変形場に変わる。すなわち、稜線部フランジ115a,115bの変形状態が、縮み変形場(ひずみ比β(ε2/ε1)<−1:板厚増加)から、せん断変形場(ひずみ比β(ε2/ε1)≒−1:板厚変化なし)に変化するものと考えられる。したがって、稜線部142a,142bの端部において、しわの原因となりやすい板厚増加を抑制することができる。
このとき、突部23a,23bの高さhが小さすぎると、第1及び第2の曲げ工具21a,21bによる曲げ成形時に、被加工材支持工具24からはみ出た稜線部142a,142bの端部に形成されるせん断変形場が不十分となる。その結果、板厚の増加を抑制する効果が小さくなる場合がある。一方、突部23a,23bの高さhが大きすぎると、突部23a,23bの損傷を招くおそれがある。したがって、突部23a,23bの高さhは、下記式(2)を充足することが好ましい。なお、下記式(2)における符号rfは、稜線部112a,112bの曲率半径である。
0.5×rf≦h≦3.0×rf … (2)
本実施形態では、第1及び第2の曲げ工具21a,21bによる曲げ成形時に形成されるせん断変形場において、稜線部フランジ115a,115bにおける最もひずみが大きい部位のひずみ比β(ε2/ε1)が−1.5<(ε2/ε1)<0.9を充足する。換言すると、突部23a,23bは、稜線部フランジ115a,115bにおいて最もひずみが大きい部位のひずみ比β(ε2/ε1)が−1.5<(ε2/ε1)<0.9を充足するせん断変形場を与え得る。
なお、プレス成形装置20は、例えば、ブランクを絞り成形して、稜線部142a,142bと、稜線部142a,142bにそれぞれ連続する第1の面部143a,143b及び第2の面部144とを有する被加工材140を形成するための絞り成形装置を利用して構成することができる。例えば、図6に例示される、ダイ51、パンチ53及びブランクホルダ55を備える従来の絞り成形装置50を利用して本実施形態にかかるプレス成形装置20を構成することができる。あるいは、図7に例示される、ダイ61及びパンチ63を備える従来の曲げ成形装置60を利用して本実施形態にかかるプレス成形装置20を構成してもよい。
この場合、ダイ51,61の側面に近接させて第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22を配置し、これらの曲げ工具21a,21b,22をパンチ53,63に対して相対的に移動可能にすることで、プレス成形装置20が構成される。かかるプレス成形装置20によれば、パンチが被加工材支持工具24として機能するため、専用の被加工材支持工具24を用いる必要がなくなる。したがって、専用の被加工材支持工具24を用いる場合と比較して、プレス成形品100の製造コスト及び製造工数を削減することができる。
また、本実施形態にかかるプレス成形装置20は、2つの稜線部142a,142bを有する被加工材140を曲げ成形する装置として構成されている。かかるプレス成形装置20は、稜線部142a,142bの端部の曲げ成形を行う第1及び第2の曲げ工具21a,21bと、被加工材140の第2の面部144の端部の曲げ成形を行う第3の曲げ工具22とを備える。ただし、プレス成形装置20は、かかる例に限定されない。
例えば、第2の面部144の端部の曲げ成形を行うための第3の曲げ工具22は、第2の面部144の幅が小さい場合には省略されてもよい。さらに、例えば1つの稜線部を有するV字断面形状の被加工材に対して曲げ成形を行う場合には、プレス成形装置は、第3の曲げ工具22を備えていなくてもよい。この場合に、稜線部の端部を押圧して内向きに折り曲げるために、プレス成形装置は、突部23aを備える第1の曲げ工具21aのみを備えていればよい。
(2−2.プレス成形品の製造方法)
次に、本実施形態にかかるプレス成形装置20を用いて、U字断面形状を有する被加工材140の端部を曲げ成形し、プレス成形品100を製造する方法について説明する。
図8は、本実施形態にかかるプレス成形品100の製造方法によって被加工材140からプレス成形品100を製造する様子を模式的に示す説明図である。図8(a)は、被加工材140を被加工材支持工具24に取り付けた様子を示し、図8(b)は、被加工材140に対する曲げ成形を開始したときの様子を示す。また、図8(c)は、被加工材140の曲げ成形中の様子を示し、図8(d)は、被加工材140に対する曲げ成形終了時の様子を示す。
また、図9は、第1及び第2の曲げ工具21a,21bの表面に設けた突部23a,23bが被加工材140に当接し、突部23a,23bが被加工材140の当接部分を板厚方向へ押圧している様子を示す説明図である。さらに、図10は、本実施形態にかかるプレス成形品100の製造方法によって、被加工材140の端部が変形する様子を示す斜視図である。図10(a)は、曲げ成形の開始前の被加工材140の端部を示し、図10(b)は、稜線部が折り曲げられる途中の被加工材140の端部を示し、図10(c)は、曲げ成形の完了時の被加工材140の端部を示す。
図8(a)に示すように、被加工材140は、長手方向に延びる稜線部142a,142bと、稜線部142a,142bが成す稜線の両端からそれぞれ連続する第1の面部143a,143b及び第2の面部144とを備え、U字断面形状を有する。かかる被加工材140の長手方向の端部140aが被加工材支持工具24からはみ出した状態で、被加工材140が被加工材支持工具24に被せられて固定支持される。はみ出した端部140aは、内向き連続フランジ118に曲げ成形される部分である。図10(a)に示すように、曲げ成形開始前の段階では、被加工材140の端部は折り曲げられていない。
その際、図8(a)及び図9に示すように、第1及び第2の曲げ工具21a,21bそれぞれの表面に設けられた突部23a,23bの先端を、被加工材140の稜線部142a,142bの端部に当接させて、第1及び第2の曲げ工具21a,21bが配置される。本実施形態では、稜線部142a,142bの端部における、稜線を二分する中央部に突部23a,23bが当接している。また、第3の曲げ工具22は、2つの稜線部142a,142bに挟まれた第2の面部144の端部のほぼ中央部に当接するように配置される。
次いで、図8(b)に示すように、例えば図示していないカム機構により、第1及び第2の曲げ工具21a,21bが、鉛直方向に対して傾斜する斜め方向へ、被加工材140の外側領域から内側領域に向けて移動させられる。これにより、突部23a,23bの先端が、稜線部142a,142bの端部における周方向の中央部を、その板厚方向に押圧する。すなわち、図8(b)に白抜き矢印により示すように、第1及び第2の曲げ工具21a,21bは、稜線部142a,142bの端部の稜線をほぼ二分する斜め方向に向かって移動する。
これにより、稜線部142a,142bの端部における周方向の中央領域が、他の領域に先行して変形し始める。同時に、第3の曲げ工具22が、同様に図示していないカム機構により鉛直方向へ移動させられ、第3の曲げ工具22の先端が第2の面部144の端部の中央部に当接する。このとき、第1及び第2の曲げ工具21a,21bの突部23a,23bは、稜線部142a,142bの端部の周方向の中央部を中心にその両側を含む、略板厚の幅を有する領域の一部又は全部を、当該部分の板厚方向に押圧することが好ましい。
このように曲げ成形することにより、形成される稜線部フランジ115a,115bの幅方向の縁部に形成される、板厚が極大となる箇所が、稜線部フランジ115a,115bの周方向に沿って均等に分散されやすくなる。したがって、稜線部フランジ115a,115bにおけるしわの発生がさらに抑制される。かかる観点からは、突部23a,23bにより、稜線部142a,142bの周方向の中央部を、その板厚方向に押圧して曲げ成形することがさらに好ましい。
次いで、図8(c)〜(d)に示すように、第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22は、引き続き矢印方向に移動させられ、被加工材140の端部の曲げ成形が進行する。すなわち、第3の曲げ工具22が移動することにより、第2の面部144の端部がそれぞれ板厚方向に内向きに折り曲げられる。また、第1及び第2の曲げ工具21a,21bが移動することにより、稜線部142a,142bの端部の周方向の中央部が板厚方向に折り曲げられる。さらに、第1及び第2の曲げ工具21a,21bの移動に伴って、稜線部142a,142bの端部の周方向の中央部を除く他の部分が、周方向の中央部の押圧タイミングに遅れて、中央部側から順次押圧される。これにより、稜線部142a,142bの中央部を除く他の部分が、当該部分の板厚方向に対して交差する方向に順次折り曲げられる。
すなわち、本実施形態にかかるプレス成形品100の製造方法では、図10(b)に示すように、被加工材140の端部のうち、稜線部142bの端部が最初に折り曲げられる。その後、図10(c)に示すように、第1の面部143b及び第2の面部144の端部が順次折り曲げられて、内向き連続フランジ118が形成される。
本実施形態にかかるプレス成形品100の製造方法では、稜線部142a,142bの端部における周方向の中央領域が、他の領域に先行して変形し始め、中央領域の変形速度と、中央領域以外の部分の変形速度とに差が生じる。そのため、稜線部フランジ115a,115bの変形場が、板厚増加の大きい縮みフランジ変形場を主体とする変形場から、純粋剪断変形場に変わり、しわの原因になりやすい板厚増加が抑制される。このようにして、稜線部フランジ115a,115bに切欠きを有さない、しわの発生が抑制された内向き連続フランジ118を有するプレス成形品100が得られる。
以上の説明では、突部23a,23bにより、被加工材140における稜線部142a,142bの端部の周方向の中央部を板厚方向に押圧する方法を例にとって説明したが、本実施形態は必ずしもかかる例に限定されない。稜線部142a,142bの端部の周方向の中央領域であれば、稜線を二分する中央部以外の位置を板厚方向に押圧するようにしてもよい。
本実施形態にかかるプレス成形品100の製造方法及び製造装置によれば、曲げ成形の際に被加工材140の稜線部142a,142bの端部に形成される稜線部フランジ115a,115bにはせん断変形場が形成される。したがって、曲げ変形に伴う縮み変形に起因した稜線部フランジ115a,115bの板厚増加を効果的に抑制することができる。
なお、図6又は図7に例示した従来の絞り成形装置又は曲げ成形装置を利用して、プレス成形装置20を構成した場合には、以下のように、被加工材140の成形と、内向き連続フランジ118の成形とを、一連の工程により行うことができる。例えば、まず、ブランクを絞り成形又は曲げ成形することによって、被加工材140を成形する。次いで、被加工材140をプレス成形装置20から外さずに、引き続き、パンチ53,63を被加工材支持工具24として用いて、ダイ51,61の側面に近接させて配置された第1〜第3の曲げ工具21a,21b,22により被加工材140の長手方向の端部を内向きに折り曲げる。
このように、一連の工程を経て、内向き連続フランジ118を有するプレス成形品100が得られる。このように、一つのプレス成形装置20を用いてプレス成形品100を製造することにより、低コスト及び少ない工数でプレス成形品100を製造することができる。
また、稜線部フランジ115a,115bに凹部119を形成する場合等、稜線部フランジ115a,115bを所定形状に加工(以下、「トリム加工」という)するには、例えば、以下の手順でプレス成形品100を製造することができる。
(1)所定の断面形状を有する被加工材140を成形した後に、この被加工材140の稜線部142a,142bの長手方向の端部にトリム加工を行ってから、被加工材140の端部を内向きに折り曲げるようにしてもよい。
(2)ブランクから被加工材140を成形するのと同時にトリム加工を行い、稜線部142a,142bの長手方向の端部が所定形状に加工された被加工材140を成形した後に、被加工材140の端部を内向きに折り曲げるようにしてもよい。
(3)ブランクにおける稜線部フランジに成形される部分にトリム加工を行い、所定形状に加工されたブランクとした後に、当該ブランクから被加工材140を成形し、さらに被加工材140の端部を内向きに折り曲げるようにしてもよい。
以下、本発明の実施例について、有限要素法による数値解析結果を参照しながら説明する。
(実施例1〜5、比較例1〜5)
まず、板厚1.6mm、引張強度が980MPa級の高張力鋼板製の、V字断面形状を有する被加工材を用いて、図5〜図9に示す手順に沿って被加工材の端部を曲げ成形し、内向き連続フランジを有するプレス成形品を製造した。かかるプレス成形品を製造する際における、稜線部フランジ、及び隣接する第1のフランジ、第2のフランジそれぞれの変形挙動を数値解析した。
図11は、突部23aを備えた第1の曲げ工具21aを用いて曲げ成形を行う本発明の実施例を示す説明図である。図11(a)は、第1の曲げ工具21aの形状を示す図である。使用した第1の曲げ工具21aにおける、突部23aの高さhは7mmであり、突部23aの先端の曲率半径は6mmである。図11(b)は、実施例1〜5にかかるプレス成形品における、稜線部フランジ115、第1のフランジ116及び第2のフランジ117の変形状態を示す説明図である。図11(b)の各図の左上に、第1の面部113と第2の面部114によって形成されるV字が成す角度(以下、「稜線内角」ともいう)が示されている。
図12は、突部を備えていない直線状の曲げ工具31を用いて曲げ成形を行う比較例を示す説明図である。図12(a)は、曲げ工具31の形状を示す説明図である。図12(b)は、比較例1〜5における、稜線部フランジ115’、第1のフランジ116’及び第2のフランジ117’の変形状態を示す説明図である。図12(b)の各図の左上に、第1の面部113’と第2の面部114’によって形成されるV字が成す稜線内角が示されている。
実施例1及び比較例1にかかるプレス成形品の稜線内角は60°である。実施例2及び比較例2にかかるプレス成形品の稜線内角は70°である。実施例3及び比較例3にかかるプレス成形品の稜線内角は90°である。実施例4及び比較例4にかかるプレス成形品の稜線内角は120°である。実施例5及び比較例5にかかるプレス成形品の稜線内角は150°である。
図13は、稜線部フランジ115,115’の幅方向の縁部における板厚の増加率を、実施例及び比較例それぞれについて示すグラフである。縦軸は板厚増加率の最大値を示し、横軸は稜線内角を示す。板厚増加率は、ブランクの板厚(1.6mm)を基準としたときの、曲げ成形後の板厚の増加率を表している。
図11(b)及び図12(b)に示すように、実施例1〜5にかかるプレス成形品は、同じ稜線内角を有する比較例1〜5にかかるプレス成形品に比べて、稜線部フランジ115における板厚増加率が小さく抑えられている。また、図13のグラフに示すように、実施例1〜5にかかるプレス成形品は、同じ稜線内角を有する比較例1〜5にかかるプレス成形品に比べて、稜線部フランジ115の板厚増加率が大幅に抑制されている。したがって、本発明によれば、稜線部フランジ115の板厚の増加が小さく、かつ、板厚分布の差が小さい、良好な形状の内向き連続フランジ118を有するプレス成形品を製造することができることが分かる。
(実施例6,7)
次に、実施例6では、板厚1.0mm、引張強度980MPa級の高張力鋼板製の、V字断面形状を有する被加工材を用いて、図5〜図9に示す手順に沿って内向き連続フランジを有するプレス成形品を製造した。また、実施例7では、板厚1.0mm、引張強度980MPa級の高張力鋼板製の、U字断面形状を有する被加工材を用いて、図5〜図9に示す手順に沿って内向き連続フランジを有するプレス成形品を製造した。これらのプレス成形品を製造する際における、稜線部フランジの幅方向の縁部における板厚分布を数値解析した。
図14(a)及び(b)は、曲げ成形により内向き連続フランジを形成した後のプレス成形品120,130を示す外観図である。図15は、プレス成形品120,130の稜線部112の延在方向に沿う方向の端部に形成された内向き連続フランジ118の幅方向の縁部における板厚分布を示すグラフである。図15のグラフの縦軸は板厚増加率(%)を示す。また、横軸は、稜線部フランジ115の縁部の道のり(mm)を示す。
図15のグラフに示すように、本発明にかかるプレス成形品の製造方法によれば、形成される内向きの稜線部フランジ115の縁部における周方向の中央部Rcの板厚増加率に比べて、当該中央部を挟んだ両側の一部の板厚増加率がより大きいことが分かる。また、内向きの稜線部フランジ115の縁部の板厚増加率は、3箇所に分散して極大となることが分かる。したがって、本発明にかかるプレス成形品の製造方法は、稜線部フランジ115の周方向の中央領域に座屈しわが集中して発生することを抑制することができる。これにより、プレス成形品を例えば自動車車体用の補強部材として使用する場合において、プレス成形品と他の部材との接合強度が高められるとともに、補強部材の剛性や荷重伝達効率等の性能を向上させることができる。
20 プレス成形装置
21a 第1の曲げ工具
21b 第2の曲げ工具
22 第3の曲げ工具
23a,23b 突部
24 被加工材支持工具
24a 支持面
24b 側面
25a,25b 肩部
31 曲げ工具
50 絞り成形装置
60 曲げ成形装置
100,120,130 プレス成形品
100A 最端部
112a,112b 稜線部
113a,113b 第1の面部
114 第2の面部
115,115’,115a,115b 稜線部フランジ
115aa 平坦部
115ab 湾曲部
116,116’,116a,116b 第1のフランジ
117,117’ 第2のフランジ
118 内向き連続フランジ
119 凹部
140 被加工材
140a 長手方向の端部
142a,142b 稜線部
143a,143b 第1の面部
144 第2の面部

Claims (12)

  1. 引張強度が340MPa以上の鋼板からなり、所定の方向へ延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を備える金属板のプレス成形品において、
    前記所定の方向の少なくとも一方の端部に、前記稜線部の端部に内向きに形成された稜線部フランジと、前記第1の面部の端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第1のフランジと、前記第2の面部の端部の少なくとも一部の領域に内向きに形成された第2のフランジと、が連続した内向き連続フランジを備え、
    前記稜線部フランジの縁部の板厚に関し、前記稜線部フランジは、周方向の中央領域を挟んだ両側の領域に前記中央領域の板厚以上の部分を含む板厚分布を有する、プレス成形品。
  2. 前記稜線部フランジは、前記中央領域及び前記両側の領域の3箇所に前記板厚が極大となる箇所を有し、前記両側の領域における前記板厚が極大となる箇所の板厚が、前記中央領域における前記板厚が極大となる箇所の板厚よりも大きい、請求項1に記載のプレス成形品。
  3. 前記稜線部フランジの少なくとも一部のフランジ幅が、前記第1のフランジ及び前記第2のフランジのフランジ幅よりも小さい、請求項1又は2に記載のプレス成形品。
  4. 前記稜線部フランジのフランジ幅(Lf)及び前記稜線部の曲率半径(rf)が以下の式(1)を充足する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレス成形品。
    0.2×rf≦Lf≦rf … (1)
  5. 前記所定の方向に沿って見た前記プレス成形品の断面形状は、略ハット型又は略溝形の開断面形状、あるいは閉断面形状である、請求項1〜4のいずれか1項に記載されたプレス成形品。
  6. 前記プレス成形品は自動車車体用の補強部材である、請求項1〜5のいずれか1項に記載されたプレス成形品。
  7. 引張強度が340MPa以上の鋼板からなり、所定の方向へ延びる稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を備える被加工材における前記所定の方向の少なくとも一方の端部にフランジを形成する工程を含むプレス成形品の製造方法において、
    前記被加工材における前記端部を除く領域を、前記被加工材の内側領域から支持する設置工程と、
    突部を有する曲げ工具を用いて、前記被加工材の前記端部における前記稜線部の所定箇所に対して、前記被加工材の外側領域から前記突部を当接させた後、前記曲げ工具を前記所定箇所の板厚方向に沿って前記内側領域の方向に相対的に移動させることにより前記フランジを形成する曲げ成形工程と、
    を備える、プレス成形品の製造方法。
  8. 前記曲げ成形工程において、前記曲げ工具の移動に伴って、前記曲げ工具の前記突部が、前記端部における前記稜線部の前記所定箇所を押圧することにより、当該所定箇所をその板厚方向へ折り曲げ、次いで、前記曲げ工具の前記突部以外の部分が、前記端部における前記所定箇所を除く他の部分を順次押圧することにより、当該他の部分をその板厚方向へ折り曲げて、前記フランジを形成する、請求項7に記載のプレス成形品の製造方法。
  9. 前記所定箇所は、前記稜線部の周方向の中央部を中心にその両側を含む、略板厚の幅を有する領域であり、
    前記突部が、前記所定箇所を、前記中央部の板厚方向に押圧する、請求項7又は8に記載されたプレス成形品の製造方法。
  10. 所定の方向へ延びて形成される稜線部と、前記稜線部が成す稜線の両端からそれぞれ延びて形成される第1の面部及び第2の面部と、を備える被加工材を、前記被加工材の内側領域から支持する被加工材支持工具と、
    前記被加工材の前記所定の方向における端部に対して当接させながら前記被加工材の前記内側領域の方向に相対的に移動させ、前記端部を前記内側領域の方向に折り曲げる曲げ工具と、を備え、
    前記曲げ工具が、前記稜線部の前記端部における所定箇所に当接し、前記移動に伴って前記所定箇所を当該所定箇所の板厚方向へ押圧する突部を有する、プレス成形品の製造装置。
  11. 前記曲げ工具を前記所定の方向に沿って見たときに、前記突部は先端部に向かって幅が小さくなるとともに、前記先端部が曲線を成す、請求項10に記載のプレス成形品の製造装置。
  12. 前記突部の高さ(h)及び前記稜線部の曲率半径(rf)が下記式(2)を充足する、請求項10又は11に記載のプレス成形品の製造装置。
    0.5×rf≦h≦3.0×rf … (2)
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