JP6088177B2 - 解析装置、解析方法、プログラム - Google Patents

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Description

本発明は、質量分析計の出力するマススペクトルを解析して被験物質の同定に役立てる解析装置及び方法、並びにプログラムに関する。
被験物質の成分を検知するための質量分析計(Mass Spectrometer)が知られている。質量分析計の出力するマススペクトルを解析して被験物質を同定する方法について種々の研究が進められている。
従来は、LC/MS(Liquid Chromatograph Mass Spectrometer;液体クロマトグラフ質量分析)やGC/MS(Gas Chromatograph Mass Spectrometer;ガスクロマトグラフ質量分析)に代表されるように、混合物である被験物質をLCやGCで分離してからMSが単一成分のマススペクトルを検出するものが一般的に使用されてきた。
単一成分のマススペクトルに対しては、予めデータベースに登録された標準スペクトルと比較してマッチングすることにより、比較的容易に被験物質を同定することができる。
これに関連し、特許文献1には、被験物質を質量分析部に導入してマススペクトルを取得しつつ、予め与えられる被験物質用の標準スペクトルを目標として質量分析部の各種パラメータを調整するクロマトグラフ質量分析装置について記載されている。
また、非特許文献1には、予めデータベースに登録された標準スペクトルとマススペクトルを比較してマッチングすることにより、被験物質を同定する技術について記載されている。
特開2005−274352号公報
Stein,S.E., & Scott,D.R.(1994). Optimization and testing of mass spectral library search algorithms for compound identification. Journal of the American Society for Mass Spectrometry, 5(9), 859‐866. oi: 10.1016/1044-0305(94)87009-8.
しかしながら、従来の解析技術は、専らLC/MSやGC/MS等により分離された単一成分のマススペクトルを解析するのに留まり、複数成分のマススペクトルに対する解析手法が確立されていなかった。
このため、分離条件を被験物質毎に検討する等の作業が必要となり、作業時間を要するという問題が生じていた。
また、近年では、DART−MS(Direct Analysis in Real Time Mass Spectrometer)に代表される、分離を行わずに直接的にマススペクトルを取得する手法(直接測定手法)が公知となっている。DART−MSは、分離を行わないことにより迅速な測定が可能であるだけでなく、溶媒に溶けないプラスチック等の物質に対しても計測が可能と成り得るという利点を有する。
しかしながら、上記のように複数成分のマススペクトルに対する解析手法が確立されていないため、直接測定手法の利用場面は、分析ターゲットが決まっている被験物質に限定されている。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、複数成分を含むマススペクトルを解析し、被験物質の同定に役立てることが可能な解析装置等を提供することを、主たる目的とする。
上記目的を達成するための一態様は、
同一の被験物質について複数回取得された、複数の被験物質スペクトルを取得する被験物質スペクトル取得部と、
既知物質についての複数の標準スペクトルが格納された記憶手段と、
前記複数の被験物質スペクトルと前記複数の標準スペクトルから一データずつ抽出した組み合わせに対して、前記標準スペクトルのピーク強度比と、前記被験物質スペクトルにおける前記標準スペクトルのピークに該当する部分のピーク強度比との一致程度を示す第1の評価値を計算する第1評価値計算手段と、
前記各組み合わせに対する第1の評価値に基づいて、前記被験物質と前記既知物質との一致程度を示す第2の評価値を計算する第2評価値計算手段と、
前記第2の評価値の分布に基づいて再帰的に前記被験物質が前記既知物質を含むか否かを判定する判定手段と
を備える解析装置である。
本発明によれば、複数成分を含むマススペクトルを解析し、より正確に被験物質を同定することが可能な解析装置等を提供することができる。
本発明の一実施例に係る解析装置1のシステム構成例である。 本発明の一実施例に係る解析装置1の他のシステム構成例である。 DART−MSである質量分析計100の構成及び検出原理を簡単に示す図である。 第1実施例の解析装置1の機能構成例である。 被験物質スペクトルSに標準スペクトルS*jkが含まれる様子を示すイメージ図である。 経時的要素を反映させつつ被験物質スペクトルSと標準スペクトルS*jkを示すイメージ図である。 ベクトルデータI*を示すイメージ図である。 二次元平面でベクトルデータI、I*と角度θの関係を簡易に示す図である。 ある既知物質jについて計算されたスペクトル別類似度Similarity(S,S*jk)をマトリクスデータの形式で表したものである。 部分的合計値Wi,kが各データについて計算された結果を示す図である。 統計的な手法により一致物質と非一致物質を特定する原理を模式的に示す図である。 第1実施例の解析装置1による処理の流れをフローチャートの形式で示す図である。 「期待値計算」に係る処理の流れを示すフローチャートである。 累積確率Pを示す図である。 実験及び解析の結果を示す表である。 第2実施例の解析装置2の機能構成例である。 被験物質スペクトルSから標準スペクトルS*を差し引いて残差スペクトルSを生成する様子を示す図である。 第2実施例に係る解析装置2により実行される処理の流れを示すフローチャートの一例である。 標準スペクトルS*jkにおいてピークを形成するm/zと、同じ又は一定の許容誤差範囲内のm/zにおける被験物質スペクトルSの強度を抽出し、標準スペクトルS*jkと同じ次数のベクトルデータIを生成する様子を示す図である。 第3実施例の解析装置3の機能構成例である。 被験物質スペクトルSにおいてピークを形成するm/zと同じ又は一定の許容誤差範囲内のm/zにおける標準スペクトルS*の最大強度を抽出し、被験物質スペクトルSと同じ次数のベクトルデータI*を生成する様子を示す図である。 表示制御部42により生成される表示画面の例である。 表示制御部42により生成される表示画面の例である。 表示制御部42により生成される表示画面の例である。 成分A、Bについてのマスクロマトグラムである。 成分Aに関する純度Pがピークをつけた測定タイミング(1)と、成分Bに関する純度Pがピークをつけた測定タイミング(2)における、マススペクトルを示す図である。 第3実施例に係る解析装置3により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
<第1実施例>
以下、図面を参照し、本発明の第1実施例に係る解析装置1について説明する。
[基本構成]
図1は、本発明の一実施例に係る解析装置1のシステム構成例である。図示するように、解析装置1は、質量分析計100に接続され、ユーザ200によって種々の設定入力等が行われるコンピュータである。
また、解析装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)10と、ドライブ装置12と、補助記憶装置16と、メモリ装置18と、インタフェース装置20と、入力装置22と、表示装置24と、を備える。これらの構成要素は、バスやシリアル回線等を介して接続されている。
CPU10は、例えば、プログラムカウンタや命令デコーダ、各種演算器、LSU(Load Store Unit)、汎用レジスタ等を有するプロセッサである。ドライブ装置12は、記憶媒体14からプログラムやデータを読み込み可能な装置である。プログラムを記録した記録媒体14がドライブ装置12に装着されると、プログラムが記録媒体14からドライブ装置12を介して補助記憶装置16にインストールされる。記録媒体14は、例えば、CD−ROM、DVDディスク、USBメモリ等の可搬型の記録媒体である。また、補助記憶装置16は、例えば、EEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等である。
プログラムのインストールは、上記のように記憶媒体14を用いる他、インタフェース装置20がネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードし、補助記憶装置16にインストールすることによって行うこともできる。また、情報処理装置の出荷時に、予め補助記憶装置16等に格納されていてもよい。このようにしてインストール又は予め格納されたプログラムをCPU10が実行することにより、図1に示す態様の情報処理装置が、本実施例の解析装置1として機能することができる。
メモリ装置18は、例えば、RAM(Random Access Memory)やEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)である。インタフェース装置20は、上記ネットワークとの接続等を制御する。入力装置22は、例えば、キーボードやマウス、タッチパッド、タッチパネル、マイク等である。また、表示装置24は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置である。
なお、図2は、本発明の一実施例に係る解析装置1の他のシステム構成例である。図示するように、解析装置1は、ユーザ200によって設定入力が行われる一以上のクライアントコンピュータ50に接続されたサーバ装置であってもよい。
質量分析計100は、例えばDART−MSである。図3は、DART−MSである質量分析計100の構成及び検出原理を簡単に示す図である。図示するように、質量分析計100は、DART部110と、MS部120と、を備える。イオン源を生成するDART部110は、ionSense社製のDART SVP等が用いられる。また、MS部120は、TOF−MS(Time-of-Flight Mass Spectrometer;飛行時間型質量分析計)であり、Bruker Daltonics社製のmicrOTOFQII等が用いられる。
DART部110は、ニードル電極から放電することにより、He等の励起ガスを励起し、被験物質表面の成分をイオン化する。DART部110によるイオン化は、グロー放電によって励起したHeが空気中の水分子に作用して水のクラスターイオンを生成し、これのイオンから被験物質にプロトン移動が起こることによってなされると考えられている。次式(1)〜(4)は、プロトン移動反応推定式である。
Figure 0006088177
MS部120は、イオン化された被験物質を検出してマススペクトルを取得する。マススペクトルは、m/zを軸とした強度(イオンカウント)の分布を示す二次元データである。なお、マススペクトルは、更に時間を軸とする三次元データであってもよいが、以下の説明では二次元データであることを前提とする。三次元データである場合は、質量分析計100と解析装置1のいずれかが時間積分を行って二次元データに変換する。
質量分析計100は、上記説明したようなDART−MSに限らず、他の態様のものが採用されてもよい。
[解析装置の機能構成]
図4は、本実施例の解析装置1の機能構成例である。解析装置1は、被験物質スペクトル取得部30と、スペクトル別類似度計算部32と、総合類似度計算部34と、一致判定部36と、を備える。
これらの機能ブロックは、補助記憶装置16等に格納されたプログラム・ソフトウエアをCPU10が実行することにより機能する。なお、各機能ブロックが明確に別のプログラムにより実現される必要はなく、いずれかの機能ブロックが、サブルーチン等として他の機能ブロックにより呼び出されるものであっても構わない。また、このようなソフトウエアブロックに限らず、IC(Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウエアによってこれらの機能ブロックが実現されてもよい。
被験物質スペクトル取得部30は、インタフェース装置20等を介して質量分析計100から、同一の被験物質について複数回取得された、複数の被験物質スペクトルSを取得してメモリ装置18に格納する。なお、既に質量分析計100から取得された複数の被験物質スペクトルSについては、予め補助記憶装置16等に格納しておいたものを読み込んでメモリ装置18上に展開する。
ここで、複数の被験物質スペクトルSは、温度や圧力、その他の環境を変えながら、時間経過に応じて質量分析計100により複数回取得された経時的データである。被験物質スペクトルSの添え字iは、観測順序、すなわち「複数回」のうち何回目に取得されたデータであるかを示している(i=1〜n)。具体的には、質量分析計100内の温度を徐々に上昇させながら、時間経過に応じて複数のマススペクトルを取得するような制御が行われ、複数の被験物質スペクトルSが取得される。
一方、補助記憶装置16には、被験物質スペクトルSの比較対象となる既知物質jについての複数の標準スペクトルS*jkが登録されたスペクトルライブラリ16Aが格納されている。複数の標準スペクトルS*jkは、被験物質スペクトルSと同様、温度や圧力、その他の環境を変えながら、時間経過に応じて複数回取得された経時的データである。
標準スペクトルS*jkの添え字jは既知物質の識別データであり、添え字kは、観測順序、すなわち「複数回」のうち何回目に取得されたデータであるかを示している(k=1〜n*)。なお、回数nとn*は必ずしも一致する必要は無い。
被験物質は、単一物質であってもよいし、混合物であってもよい。既知物質も同様に、単一物質であってもよいし、混合物であってもよいが、被験物質よりも小規模な化合物であることが望ましい。この結果、被験物質スペクトルSは、複数のマススペクトルが合成されたデータとなり、標準スペクトルS*jkは、より単純なデータとなる。図5は、被験物質スペクトルSに標準スペクトルS*jkが含まれる様子を示すイメージ図である。このように、部分的に標準スペクトルS*jkと一致する箇所が存在する場合、被験物質スペクトルSは標準スペクトルS*jkを含むと判定される。図中、横軸はm/zであり、縦軸は強度である。また、図中、A〜Eは既知物質から出現する標準スペクトルS*jkを示し、BKはバックグラウンド(質量分析計の特性、測定環境等から生じる定常誤差)を示している。
また、図6は、経時的要素を反映させつつ被験物質スペクトルSと標準スペクトルS*jkを示すイメージ図である。
本実施例における標準スペクトルS*jkは、例えば刻み幅が1程度のm/zをデータラベルとし、ピークを形成するm/zにのみ強度が対応付けられたベクトルデータI*である(ピークを形成しないm/zには強度が対応付けられていない)。図7は、ベクトルデータI*を示すイメージ図である。
〔スペクトル別類似度−得られた複数のスペクトル間の類似度〕
スペクトル別類似度計算部32は、被験物質が、既知物質が混合された物質であるという仮定の下、以下の処理を行う。
まず、スペクトル別類似度計算部32は、複数の被験物質スペクトルSから、ノイズを除去する処理を行う。ノイズを除去する処理として、スペクトル別類似度計算部32は、例えば、各被験物質スペクトルの強度分布に基づいて再帰的に求められる閾値を下回る強度をゼロに修正する。スペクトル別類似度計算部32は、例えば、被験物質スペクトルをm/zの範囲毎に複数のセグメントに分け、セグメント内でピークに該当する大きい強度等を除外し、残りの強度の平均値に基づき閾値を決定し、閾値を下回る強度をゼロに修正する。
そして、スペクトル別類似度計算部32は、複数の被験物質スペクトルSと複数の標準スペクトルS*jkから一データずつ抽出した組み合わせに対して、標準スペクトルS*jkのピーク強度比と、被験物質スペクトルSにおける標準スペクトルS*jkのピークに該当する部分のピーク強度比との一致程度を示すスペクトル別類似度Similarity(S,S*jk)を計算する。スペクトル別類似度Similarity(S,S*jk)は、原則として全ての組み合わせ(i×j×k通り)について計算するが、機械的に全ての組み合わせにするのではなく、何らかの絞り込みや分岐限定等を行っても構わない。
具体的には、標準スペクトルS*jkにおいてピークを形成するm/z(上記標準スペクトルS*jkのデータラベルとされているm/z)と、同じm/zにおける被験物質スペクトルSの強度、又は一定の許容誤差範囲内のm/zにおける被験物質スペクトルSの最大強度を抽出して、標準スペクトルS*jkと同じ次数のベクトルデータIを生成する。
図19は、標準スペクトルS*jkにおいてピークを形成するm/zと、同じ又は一定の許容誤差範囲内のm/zにおける被験物質スペクトルSの強度を抽出し、標準スペクトルS*jkと同じ次数のベクトルデータIを生成する様子を示す図である。スペクトル別類似度計算部32は、標準スペクトルS*jkにおいてピークを形成するm/zと、同じ又は一定の許容誤差範囲内のm/zにおいて、被験物質スペクトルSのピークが存在しない場合には、ベクトルデータIの該当する成分をゼロとする。図19では、被験物質スペクトルSにおいてピークを形成する各m/zにおける強度は(10,20,12.5,6.5,9.5,11,5,12.5,6.5,14,6.5)であり、これらのうち標準スペクトルS*jkにおいてピークを形成するm/zと同じ又は一定の許容誤差範囲内のm/zに対応する強度が抜き出され、I=(10,20,6.5,5)が得られる。
そして、スペクトル別類似度計算部32は、次式(5)に基づき、各組み合わせに対してスペクトル別類似度Similarity(S,S*jk)を計算する。式中、Imは、ベクトルデータIのm番目の成分であり、I*mは、ベクトルデータI*のm番目の成分である。
Figure 0006088177
上式(5)から分かるように、スペクトル別類似度Similarity(S,S*jk)は、ベクトルデータIと、ベクトルデータI*がなす角度をθとすると、cosθに相当する値である。図8は、二次元平面でベクトルデータI、I*と角度θの関係を簡易に示す図である。
なお、係る手法に限らず、ピアソンの積率相関係数を用いてスペクトル別類似度Similarity(S,S*jk)を計算してもよい。次式(6)は、ピアソンの積率相関係数を用いた場合の演算式を示す。また、次式(7)で示すように、式(5)又は(6)にイオンカウント比率(ベクトルデータIの成分の合計値を、総イオンカウントItotal、すなわち全てのm/zについての強度を合計した値で除算した値)を乗じてスペクトル別類似度Similarity(S,S*jk)を計算してもよい。
Figure 0006088177
〔総合類似度−被験物質と既知物質の類似度〕
総合類似度計算部34は、スペクトル別類似度計算部32により計算されたスペクトル別類似度Similarity(S,S*jk)に基づいて、被験物質と既知物質jとの一致程度を示す総合類似度U=Similarity(S,S*)を計算する。
図9は、ある既知物質jについて計算された複数のスペクトル別類似度Similarity(S,S*jk)を、マトリクスデータの形式で表したものである。総合類似度計算部34は、このマトリクスデータから、各列k=1〜n*について一個ずつデータを選抜し(すなわち被験物質スペクトルSと標準スペクトルS*jkの組み合わせを選抜し)、その合計値をn*で除算して総合類似度Uを計算する。
(1)係るデータ選抜においては、k列においてi行目のデータを選抜した場合、k+1列においては、i−1行目以上のデータは選抜しないという規則が採用される。すなわち、マトリクスデータの左上から右下への最短経路を求める(上側にも左側にも戻ることが無い)という規則が採用される。係る規則は、被験物質スペクトルS、標準スペクトルS*jkの観測順序に矛盾しないように定められている。
(2)また、データ選抜は、選抜された経路上のスペクトル別類似度Similarity(S,S*jk)の合計が最大となるように行われる。
以上、(1)、(2)を満たすために、最も確実なのは、(1)を満たす全ての経路についてスペクトル別類似度Similarity(S,S*jk)の合計を求め、最大値を示すデータを選抜する処理である。係る処理を採用してもよいが、以下に示すように近似解を求めるアルゴリズムを採用してもよい。
次式(8)は、部分的合計値Wi,kを求めるための式である。式中、Vi,kは、スペクトル別類似度Similarity(S,S*jk)を略記したものである。
Figure 0006088177
部分的合計値Wi,kは、マトリクスデータの左上から順次求められる。以下、図9のデータに即して具体的に説明する。W1,1については、W1−1,1、W1−1,1−1、W1,1−1、が共に存在しないためゼロと見されるため、W1,1=V1,1であり、0.5となる。W1,2については、W1−1,2、W1−1,2−1はゼロであるが、W1,2−1は0.5であるため、三段目の式が採用され、0.5+0.2=0.7となる。W2,1については、W2−1,1は0.5、W2−1,1−1、W2,1−1はゼロであるため、一段目の式が採用され、0.5となる。このように、順次部分的合計値Wi,kを埋めていく処理を行う。図10は、部分的合計値Wi,kが各データについて計算された結果を示す図である。図中、矢印は、式(8)において採用された参照先を示しており、下線が付されたブロックが、選抜された被験物質スペクトルSと標準スペクトルS*jkの組み合わせを示す。このブロックに該当する標準スペクトルS*jkを一致スペクトルと称する。
そして、各列における部分的合計値Wi,kのうち最大値を示すデータのうち、最も上側に存在するデータを選抜したと見なし、右下のデータにおける部分的合計値Wn,n*をn*で除算した値を、総合類似度Uとする(次式(9)参照)。図10の例では、U=3.2/5=0.64となる。
=Wn,n*/n* …(9)
係るアルゴリズムによって、少なくとも上記(1)の規則を満たし、高確率で(2)の目的を満たす近似解が得られる。なお、上記説明したように、全ての経路についてスペクトル別類似度Similarity(S,S*jk)の合計を求め、最大値を示すデータを選抜する場合の計算時間は、2n+n’のオーダーとなるが、上記近似解を求めるアルゴリズムを採用した場合の計算時間は、n・n*のオーダーとなり、計算時間を短縮することができる。
総合類似度計算部34が総合類似度Uを計算すると、例えば総合類似度Uが閾値を上回る場合に、被験物質が既知物質jを含むという判定結果を表示装置24等により出力してもよいし(後述する一致判定部36の処理による)、単に総合類似度Uを表示装置24等により出力してもよい。
これによって、ユーザは、被験物質が既知物質jを含むか否かについて、正確な情報を得ることができ、被験物質の同定に役立てることができる。
また、総合類似度Uとして計算した値だけでなく、上記選抜された組み合わせに対応する標準スペクトルS*jk、すなわち標準スペクトルS*jkが被験物質スペクトルSに一致したと見なされる「一致スペクトル」の一覧を併せて提示すると好適である。こうすれば、「何回目のデータで、すなわちどのような環境下で、どの標準スペクトルに近いマススペクトルが出現したか」(より具体的には、試験開始後、何分後に温度が何度の状態でどのようなマススペクトルが出現したか)というデータが読み取れるため、ユーザは、被験物質が既知物質jを含むか否かについて、更に正確な情報を得ることができる。
なお、一致スペクトルの抽出は、上記のアルゴリズムを採用して総合類似度Uを計算した場合、以下のトレースバック処理によっても行うことができる。この場合、図10における矢印はトレースバック経路を示し、下線部が一致スペクトルを示す。
1.Wn,nから開始する。
2.Wi−1,kがWi,kと同じ場合は、Wi−1,kに移動する。
3.Wi−1,kがWi,kよりも小さい場合は、Wi−1,kとWi−1,k−1のうち大きい方へ移動する。このときのWi,k相当する標準スペクトルS*jkが、一致スペクトルである。
4.Wi,1まで2,3を繰り返す。
〔一致判定〕
一致判定部36は、スペクトルライブラリ16Aに登録された標準スペクトルS*jkの数が少ない場合等は、上記のように単純な閾値を用いて判定を行ってもよいが、以下のように、統計的な手法によって再帰的に判定を行うと、更に好適である。例えば、「被験物質と一致しない既知物質j(非一致物質)に関する総合類似度Uが、非一致物質の方が多数派である故に正規分布を示す」という仮定の下、総合類似度Uが高いt個の既知物質を除外した場合の正規分布の赤池情報量規準(AIC)Gtが最小となるtを計算することにより、被験物質と一致する既知物質(一致物質)を特定してもよい。図11は、統計的な手法により一致物質と非一致物質を特定する原理を模式的に示す図である。また、スミルノフ・グラブス検定等の他の統計的手法を適用して判定を行ってもよい。スミルノフ・グラブス検定は、正規分布から外れた高値を外れ値(本発明の場合、一致物質=当たり)と見なす手法である。
このように、類似度Uの分布に基づいて再帰的に被験物質が既知物質jを含むか否かを判定することにより、ユーザは、被験物質が既知物質jを含むか否かについて、更に正確な情報を得ることができる。
[処理フロー]
図12及び図13は、上記説明した第1実施例の解析装置1による処理の流れをフローチャートの形式で示す図である。本フローは、解析装置1の各機能ブロックの協働により実行される。
まず、複数の被験物質スペクトルSがメモリ装置18に格納され、同様に複数の標準スペクトルS*jkがメモリ装置18に格納される(S300)。なお、メモリ装置18への展開を行わず、補助記憶装置16上に存在するデータがそのまま用いられてもよい。
次に、S302、S304の処理を全ての被験物質スペクトルSについて行う(i=1〜n)。まず、複数の被験物質スペクトルからi番目のマススペクトルを取り出して被験物質スペクトルSとし(S302)、次に「スペクトル別類似度計算」を実行する(S304)。
「スペクトル別類似度計算」では、S310、S312の処理を全ての標準スペクトルS*jkについて行う(jは既知物質の数、k=1〜n*)。まず、複数の標準スペクトルからj番目の既知物質についてのk回目のマススペクトルを取り出して標準スペクトルS*jkとし(S310)、次に、被験物質スペクトルSと標準スペクトルS*jkの類似度を計算する(S312)。
S302〜S312のループ処理が完了すると、「総合類似度計算」を実行する(S320)。
「総合類似度計算」では、S330の処理を全ての既知物質jについて行う。S330では、j番目の既知物質に対する総合類似度Uを計算する(S330)。
総合類似度Uを全ての既知物質について計算すると、「期待値計算」を実行する(S340)。図13は、「期待値計算」に係る処理の流れを示すフローチャートである。
「期待値計算」では、まず、外れ値を除外した総合類似度Uの集合U!を取得する(S350)。
次に、集合U!の平均値a及び標準偏差bを計算する(S352)。
次に、S360〜S362の処理を、全ての既知物質jについて行う。まず、平均値a、標準偏差bで定義される正規分布における、総合類似度Uの累積確率Pを計算する(S360)。図14は、累積確率Pを示す図である。図示するように、累積確率Pは、総合類似度Uが高い側から頻度(出現数)を積分した値となる。
そして、累積確率Pに既知物質の総数を乗算して、j番目の既知物質の期待値Eを計算する(S362)。期待値Eは、上記から分かるように、値が小さい方が被験物質との一致可能性が高いことを示す指標値である。期待値Eを計算すると、上記のように期待値Eに基づき一致判定を行って結果を出力したり、期待値Eそのものを一覧表示したりする。
[実験内容]
本出願の発明者は、以下の条件に従い、実験及び測定データの解析を行った。まず、スペクトルライブラリ16Aに登録する既知物質として以下の10種類の試料を用意した。(1)Lidocain、(2)Diphenhydramine and ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO60) mixture、(3)Tocopherol acetate、(4)EcoGum、(5)Polypropylene、(6)Urea、(7)Solanine、(8)Crotamiton、(9)Caffeine、(10)Irganox1010。これらのうち、(2)のDiphenhydramine and HCO60 mixtureは2種類の化合物の混合物である。
次に、被験物質として、既知物質のうち3種類((1)、(2)、(3))が含まれていることが分かっているクリーム剤Aを使用した。
そして、以下の装置、及び測定条件で既知物質と被験物質の測定をそれぞれ行った。質量分析計100として、MicrOTOFQII(Bruker社製)にDARTsvp(IonScence社製)を装着したものを使用した。また、測定条件として、測定モード:Positive ion mode(測定範囲m/z:150-500)で、被験物質については10分間に30℃から400℃まで段階的に温度を上昇させて測定を行い、既知物質については500℃で測定を行った。
質量分析計100による測定後、標準スペクトルS*jkをMicrOTOF control(Bruker社)にてXML形式でファイル出力した。このとき、(2)の既知物質についてはDiphenhydramineとHCO60に対応するスペクトルとして2個(k=2)、その他は各1個(k=1)のスペクトルを選択した。被験物質スペクトルSは、CompassXport(Bruker社)を使用してセントロイドモードでmzML形式に変換した。
そして、上記図12、13で説明したフローチャートに従い処理を実行した。このとき、標準スペクトルS*jkと被験物質スペクトルSの間のm/z許容誤差は100ppmとした。標準スペクトルS*jkと被験物質スペクトルSのスペクトル別類似度計算には、上式(7)で示した複合値計算式を使用した。総合類似度Uの計算は、上記アルゴリズムを採用した近似解を使用した。そして、期待値Eが0.05未満である既知物質を、被験物質の成分と判定した。
図15は、上記実験及び解析の結果を示す表である。図中、ヒット番号は、化合物類似度の高い順に付与する連番であり、物質識別子は、スペクトルライブラリ16Aに登録された既知物質を示すIDであり、物質名は、スペクトルライブラリ16Aに登録された既知物質名である。また、スペクトル番号は、各既知物質に属するスペクトルに対して観測順序に付与された連番である。
この実験では、期待値Eが0.05未満である既知物質は3種類が検出された。同定結果上位から順にスペクトルライブラリ16A中の(2)、(1)、(3)に対応しており、被験物質中に存在することが分かっている3種類の既知物質の全てを同定することが出来た。
[まとめ]
以上説明した本実施例の解析装置1等によれば、複数成分を含むマススペクトルを解析し、被験物質の同定に役立てることができる。
<第2実施例>
以下、図面を参照し、本発明の第2実施例に係る解析装置2について説明する。
[基本構成]については第1実施例と同様であるため、説明を省略する。
[解析装置の機能構成]
図16は、本実施例の解析装置2の機能構成例である。解析装置2は、被験物質スペクトル取得部30と、スペクトル別類似度計算部32と、残差スペクトル生成部38と、を備える。
これらの機能ブロックは、補助記憶装置16等に格納されたプログラム・ソフトウエアをCPU10が実行することにより機能する。なお、各機能ブロックが明確に別のプログラムにより実現される必要はなく、いずれかの機能ブロックが、サブルーチン等として他の機能ブロックにより呼び出されるものであっても構わない。また、このようなソフトウエアブロックに限らず、ICやFPGA等のハードウエアによってこれらの機能ブロックが実現されてもよい。
被験物質スペクトル取得部30は、インタフェース装置20等を介して質量分析計100から、被験物質スペクトルSを取得してメモリ装置18に格納する。なお、既に質量分析計100から取得された被験物質スペクトルSについては、予め補助記憶装置16等に格納しておいたものを読み込んでメモリ装置18上に展開する。
一方、補助記憶装置16には、被験物質スペクトルSの比較対象となる既知物質jについての複数の標準スペクトルS*が登録されたスペクトルライブラリ16Aが格納されている。
被験物質は、単一物質であってもよいし、混合物であってもよい。既知物質も同様に、単一物質であってもよいし、混合物であってもよいが、被験物質よりも小規模な化合物であることが望ましい。この結果、被験物質スペクトルSは、複数のマススペクトルが合成されたデータとなり、標準スペクトルS*は、より単純なデータとなる。係る関係については、第1実施例において図5で説明した通りである。
〔スペクトル別類似度〕については、第1実施例と同様であるため、説明を省略する。但し、本実施例では、被験物質スペクトルS及び標準スペクトルS*は経時的データである必要はないため、スペクトル別類似度はSimilarity(S,S*)で表される。
〔残差スペクトルの生成〕
残差スペクトル生成部38は、スペクトル別類似度計算部32によって高いスペクトル別類似度Similarity(S,S*)が計算された標準スペクトルS*を、被験物質スペクトルSから差し引いて残差スペクトルSを生成する。図17は、被験物質スペクトルSから標準スペクトルS*を差し引いて残差スペクトルSを生成する様子を示す図である。
ここで、標準スペクトルS*を差し引く際には、最大値を一致させる等、何らかの正規化処理が行われることが望ましい。
本実施例の解析装置2は、スペクトル別類似度計算部32と、残差スペクトル生成部38の処理を繰り返し行い、残差スペクトルSに対して行われスペクトル別類似度が、標準スペクトルS*を差し引く前よりも向上した場合はスペクトル別類似度を更新する。そして、このようなループ処理を、上限指定回数に達するか、スペクトル別類似度の向上が無くなるまで再帰的に繰り返す。
図18は、第2実施例に係る解析装置2により実行される処理の流れを示すフローチャートの一例である。
まず、被験物質スペクトルSがメモリ装置18に格納され、同様に複数の標準スペクトルS*がメモリ装置18に格納される(S400)。なお、メモリ装置18への展開を行わず、補助記憶装置16上に存在するデータがそのまま用いられてもよい。
次に、被験物質スペクトルSについて「スペクトル別類似度計算」を実行する(S406)。
「スペクトル別類似度計算」では、S410、S412の処理を全ての標準スペクトルS*について行う(jは既知物質の数)。まず、複数の標準スペクトルからj番目の既知物質についてのマススペクトルを取り出して標準スペクトルS*とし(S410)、次に、被験物質スペクトルSと標準スペクトルS*のスペクトル別類似度Similarity(S,S*)を計算する(S412)。
スペクトル別類似度Similarity(S,S*)を計算すると、これをそれぞれ閾値と比較することにより、被験物質に含まれると推定される既知物質の標準スペクトルS*を抽出し(S420)、これを被験物質スペクトルSから(既に残差スペクトルSが生成されている場合は、残差スペクトルSから)指し引いて残差スペクトルSを生成する(S422)。
そして、S412で計算されたスペクトル別類似度Similarity(S,S*)が、全て前回計算された値と同じであるか否かを判定する(S430)。これらが全て前回計算された値と同じである場合は、S420で抽出された全ての標準スペクトルS*から、被験物質に含まれる既知物質を特定してユーザに提示し(S450)、本フローを終了する。
一方、スペクトル別類似度Similarity(S,S*)が、全て前回計算された値と同じでない場合は、S406〜S440のループ処理が規定回数以上行われたか否かを判定する(S440)。S406〜S440のループ処理が規定回数以上行われた場合は、S420で抽出された全ての標準スペクトルS*から、被験物質に含まれる既知物質を特定してユーザに提示し(S450)、本フローを終了する。
S430とS440のいずれにおいても否定的な判定を得た場合は、S406に戻る。
このような処理によって、複数成分を含む被験物質スペクトルSに対して、複数の標準スペクトルS*のそれぞれが含まれるか否かを正確に解析することができる。
[まとめ]
以上説明した本実施例の解析装置2等によれば、複数成分を含むマススペクトルを解析し、被験物質の同定に役立てることができる。
<第3実施例>
以下、図面を参照し、本発明の第3実施例に係る解析装置3について説明する。
[基本構成]について、第1実施例における図1、2を援用する。第3実施例における質量分析計100は、例えばLC/MS(液体クロマトグラフ質量分析計)である。LC/MSにおいては、例えば、グラジエント分析によって、複数の被験物質スペクトルS、すなわち、環境を変えながら、時間経過に応じて複数回取得された経時的データが得られる。
グラジエント分析では、HPLCにおいて2つのポンプを用いて、2つの溶液(移動相)を用いて物質の強度を測定する。そして、2つの溶液の割合を設定し、その割合を時間ごとに変化させることで、試料中の成分を分離させることができる。グラジエント分析を採用する場合の移動相条件としては、例えば、溶媒Aとして水/ギ酸(1000:1,v/v)、溶媒Bとしてアセトニトリル/ギ酸(1000:1,v/v)が採用される。そして、まず、溶媒Aと溶媒Bの混合物でグラジエント溶離することにより分離し、このとき、測定開始〜1分後は溶媒Bの濃度を30%にし、1分後に溶媒Bの濃度を100%に増加させて6分後まで測定する。次に、溶媒Aと溶媒Bの混合物で10分のリニアグラジエント溶離により分離し、このとき溶媒Bの量を40%から50%に増加させる。LC/MSの測定条件は、例えば以下の通りである。カラム:ODSカラム, 2.1×50mm、粒子経1.7μm、カラム温度:40℃、流速:0.2mL/min、MS:ESI(ポジティブイオン検出モード)。
[解析装置の機能構成]
図20は、本実施例の解析装置3の機能構成例である。解析装置3は、被験物質スペクトル取得部30と、純度計算部40と、表示制御部42と、を備える。
これらの機能ブロックは、補助記憶装置16等に格納されたプログラム・ソフトウエアをCPU10が実行することにより機能する。なお、各機能ブロックが明確に別のプログラムにより実現される必要はなく、いずれかの機能ブロックが、サブルーチン等として他の機能ブロックにより呼び出されるものであっても構わない。また、このようなソフトウエアブロックに限らず、ICやFPGA等のハードウエアによってこれらの機能ブロックが実現されてもよい。
被験物質スペクトル取得部30は、インタフェース装置20等を介して質量分析計100から、被験物質スペクトルSを取得してメモリ装置18に格納する。なお、既に質量分析計100から取得された被験物質スペクトルSについては、予め補助記憶装置16等に格納しておいたものを読み込んでメモリ装置18上に展開する。
ここで、複数の被験物質スペクトルSは、上記のように、温度や圧力、その他の環境を変えながら、時間経過に応じて質量分析計100により複数回取得された経時的データである。被験物質スペクトルSの添え字iは、観測順序、すなわち「複数回」のうち何回目に取得されたデータであるかを示している(i=1〜n)。
一方、補助記憶装置16には、被験物質スペクトルSの比較対象となる複数の既知物質jについての標準スペクトルS*が登録されたスペクトルライブラリ16Aが格納されている。
標準スペクトルS*は、例えば、複数の既知物質jについて測定されたスペクトルデータである。標準スペクトルS*は、スペクトルデータの時間に応じた変化が無い、或いは小さい物質である(従って、余り大規模な化合物でない)ことが好ましい。
被験物質、及び既知物質は、単一物質であってもよいし、混合物であってもよい。
純度計算部40は、経時的データである複数の被験物質スペクトルSに含まれる各データと、標準スペクトルS*の組み合わせに対して、標準スペクトルS*が示す成分の、被験物質における純度P(S,S*)を計算する。
具体的には、まず、純度計算部40は、被験物質スペクトルSにおいてピークを形成するm/zと同じ又は一定の許容誤差範囲内のm/zにおける標準スペクトルS*の最大強度を抽出し、被験物質スペクトルSと同じ次数のベクトルデータI*を生成する。
図21は、被験物質スペクトルSにおいてピークを形成するm/zと同じ又は一定の許容誤差範囲内のm/zにおける標準スペクトルS*の最大強度を抽出し、被験物質スペクトルSと同じ次数のベクトルデータI*を生成する様子を示す図である。純度計算部40は、被験物質スペクトルSにおいてピークを形成するm/zと、同じ又は一定の許容誤差範囲内のm/zにおいて、標準スペクトルS*のピークが存在しない場合には、ベクトルデータI*の該当する成分をゼロとする。図21では、標準スペクトルS*においてピークを形成する各m/zにおける強度は(10,16.5,6.5,3.5)であり、被験物質スペクトルSにおいてピークを形成するが標準スペクトルS*においてピークを形成しないm/zの項についてゼロが付加され、I*=(10,16.5,0,6.5,0,0,3.5,0,0,0,0)が得られる。
そして、純度計算部40は、次式(10)に基づき、各組み合わせに対して純度P(S,S*)を計算する。式中、Imは、ベクトルデータIのm番目の成分であり、I*mは、ベクトルデータI*のm番目の成分である。
Figure 0006088177
なお、係る手法に限らず、ピアソンの積率相関係数を用いて純度P(S,S*)を計算してもよい。次式(11)は、ピアソンの積率相関係数を用いた場合の演算式を示す。
Figure 0006088177
表示制御部42は、ユーザにより選択された標準スペクトルS*、或いは自動的に選択される標準スペクトルS*に関して、上記のように算出された純度Pの全部又は一部を、被験物質スペクトルの測定タイミング(測定時刻)に対応付けて表示装置24に表示させる。より具体的には、表示制御部42は、ユーザにより又は自動的に選択された標準スペクトルS*についての、測定タイミング毎の純度P、すなわち純度Pの時間変化を、例えば被験物質のトータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)の時間変化と比較可能な態様で(例えば、並べて)表示装置24に表示させる。トータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)は、測定タイミング毎の全イオンの合計強度である。
図22〜24は、表示制御部42により生成される表示画面の例である。なお、これらの図は、被験物質として(1)Dimethyl Phthalate(100ppm)及びEthyl Paraben(500ppm)のアセトニトリル溶液、(2)Dimethyl Phthalate(20ppm)及びPropyl Paraben(100ppm)のアセトニトリル溶液を採用して得られたものである。
図22は、被験物質が成分Aと成分Bを含む場合の、被験物質のトータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)の時間変化(図22の上段)と、成分Aに関する純度P及び成分Bに関する純度P(図22の下段)を並べて表示した画面を示す。図22に示すように、成分Aと成分Bは、前述したような環境下で分離し測定されるタイミングが近いため、純度Pがピークをつけるタイミングも近いものとなる。このため、被験物質のトータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)のみからは、被験物質が二つの成分を含むことを明確に読み取ることができず、成分Aに関する純度Pのピーク値と、成分Bに関する純度Pのピーク値は、それぞれ0.7程度に留まっている。
図23は、被験物質が成分Cと成分Dを含む場合の、被験物質のトータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)の時間変化(図23の上段)と、成分Cに関する純度P及び成分Cに関する純度P(図23の下段)を並べて表示した画面を示す。図23に示すように、成分Cと成分Dは、前述したような環境下で分離し測定されるタイミングが成分A、Bよりも離れているため、純度Pがピークをつけるタイミングは図22よりも離れている。このため、被験物質のトータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)から被験物質が二つの成分を含むことがある程度読み取れ、成分Cに関する純度Pのピーク値と、成分Dに関する純度Pのピーク値は、それぞれ0.8程度となっている。
図24は、被験物質が成分Eと成分Fを含む場合の、被験物質のトータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)の時間変化(図24の上段)と、成分Cに関する純度P及び成分Cに関する純度P(図24の下段)を並べて表示した画面を示す。図24に示すように、成分Eと成分Fは、前述したような環境下で分離し測定されるタイミングが明確に離れているため、純度Pがピークをつけるタイミングは図22、23よりも離れている。このため、被験物質のトータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)から被験物質が二つの成分を含むことが明確に読み取れ、成分Eに関する純度Pのピーク値と、成分Fに関する純度Pのピーク値は、それぞれ0.9程度と高い値になっている。
純度Pの時間変化を表示することで、これを見た解析者は、様々なことを読み取ることができる。まず、純度Pのピーク値が余り高い値とならないことで、同じような測定タイミングで他の成分が存在することを読み取ることができる。また、純度Pがピーク値をつける測定タイミングが近い複数の成分を並べて表示することで、被験物質のトータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)のピークが、複数の成分によるものであることを明確に把握することができる。図25は、成分A、Bについてのマスクロマトグラムである。図25に示す波形と図22の上段を比較しても、被験物質のトータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)のピークが、複数の成分A、Bによるものであるか否かを判断することはできない。これに対し、図22に示すような表示を行うことで、解析者は、被験物質のトータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)のピークが、複数の成分によるものであると判断することができる。
更に、純度Pのピークをつけた測定タイミングが、被験物質のトータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)のピークをつけた測定タイミングと一致している又は近いことを確認することで、当該成分が、単なるノイズ成分ではないことを知ることができる。被験物質のトータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)が低い測定タイミングで、成分の純度Pがピークをつけたとしても、単に被験物質の主要でない成分が、たまたま当該成分のスペクトルと一致したに過ぎないと考えられるからである。
図26は、成分Aに関する純度Pがピークをつけた測定タイミング(1)と、成分Bに関する純度Pがピークをつけた測定タイミング(2)における、マススペクトルを示す図である。図26の下段左側に示すマススペクトルでは、成分Aに由来する物質のスペクトルA(1)、A(2)のウエイトが高くなっており、図26の下段右側に示すマススペクトルでは、成分Bに由来する物質のスペクトルB(1)のウエイトが高くなっている。このように、各測定タイミングにおいて、各成分のウエイトが高まるのに応じて純度Pが高くなる様子が見てとれる。
[フローチャート]
図27は、第3実施例に係る解析装置3により実行される処理の流れを示すフローチャートである。
まず、解析装置3は、所定の環境下に置かれた複数の或いは単数の既知物質から、複数回の測定タイミングで測定された標準スペクトルをスペクトルライブラリに格納しておく(S500)。
次に、解析装置3は、同じ環境下で被験物質から、複数回の測定タイミングで測定された被験物質スペクトルを取得し、メモリ装置18に格納する(S502)。なお、S502で取得される被験物質スペクトルには、被験物質のトータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)の時間変化が付随している。S500とS502の順序は上記の通りである必要はなく、逆であっても構わない。
次に、解析装置3は、純度Pを計算する対象となる標準スペクトルを選択する(S504)。標準スペクトルの選択は、ユーザの操作に応じて行ってもよいし、自動的に行ってもよい。標準スペクトルの選択を自動的に行う場合、例えば、解析装置3は第1実施例と同様の機能を有し、総合類似度Uが最も高い標準スペクトルから順に選択するものとしてよい。
次に、解析装置3の純度計算部40は、各被験物質スペクトルと、選択された標準スペクトルの組み合わせに対して、純度Pを計算する(S506)。
そして、解析装置3の表示制御部42は、S506で計算された純度Pの時間変化と、被験物質のトータルイオンカレントクロマトグラム(TIC)の時間変化とを比較可能な態様で表示装置24に表示させる(S508)。
その後、解析装置3は、ユーザの操作に応じて又は自動的に他の標準スペクトルを選択し、選択した標準スペクトルについての純度Pの時間変化を重畳表示したり、過去に表示した純度Pの時間変化を消去してから他の標準スペクトルについての純度Pの時間変化を表示したりする。
[まとめ]
以上説明した第3実施例の解析装置3等によれば、純度Pを測定タイミングに対応付けて表示するため、解析者に有用な情報を与えることができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上記第3実施例では、標準スペクトルS*の元となる物質は、スペクトルデータの時間に応じた変化が無い、或いは小さい物質であることが好ましいものとし、標準スペクトルS*として時系列でないデータを用いるものとしたが、スペクトルデータの時間に応じた変化が大きい物質のスペクトルを標準スペクトルとする場合、経時的データである標準スペクトルS*jiを用いて純度Pを計算してもよい。ここで引数iは、被験物質スペクトルSと同様、観測順序、すなわち「複数回」のうち何回目に取得されたデータであるかを示している(i=1〜n)。
この場合、解析装置3は、複数の被験物質スペクトルSと、選択された既知物質jに関する複数の標準スペクトルS*jiに含まれるデータのうち、測定タイミング(測定時刻)が同じもの(すなわち添え字iが同じもの)同士を抽出した各組み合わせに対して、標準スペクトルS*が示す成分の、被験物質における純度P(S,S*ji)を計算する。以降の処理は、第3実施例と同様、算出された純度Pの全部又は一部を、被験物質スペクトルの測定タイミング(測定時刻)に対応付けて表示装置24に表示させる。
なお、被験物質と既知物質の測定タイミングや測定回数が一致しない場合も考えられるが、この場合、小さい相違に関しては無視してもよいし(測定順が一致していればよしとする)、時間補間等の処理を行って測定タイミングや測定回数を一致させる補正処理を行ってもよい。
1 解析装置
10 CPU
12 ドライブ装置
16 補助記憶装置
16A スペクトルライブラリ
18 メモリ装置
20 インタフェース装置
22 入力装置
24 表示装置
30 被験物質スペクトル取得部
32 スペクトル別類似度計算部
34 総合類似度計算部
36 一致判定部
38 残差スペクトル生成部
40 純度計算部
42 表示制御部
100 質量分析計
200 ユーザ

Claims (7)

  1. 同一の被験物質について複数回取得された、複数の被験物質スペクトルを取得する被験物質スペクトル取得部と、
    既知物質についての複数の標準スペクトルが格納された記憶手段と、
    前記複数の被験物質スペクトルと前記複数の標準スペクトルから一データずつ抽出した組み合わせに対して、前記標準スペクトルのピーク強度比と、前記被験物質スペクトルにおける前記標準スペクトルのピークに該当する部分のピーク強度比との一致程度を示す第1の評価値を計算する第1評価値計算手段と、
    前記各組み合わせに対する第1の評価値に基づいて、前記被験物質と前記既知物質との一致程度を示す第2の評価値を計算する第2評価値計算手段と、
    前記第2の評価値の分布に基づいて再帰的に前記被験物質が前記既知物質を含むか否かを判定する判定手段と
    を備える解析装置。
  2. 請求項1に記載の解析装置であって、
    少なくとも前記複数の被験物質スペクトルは、順序付けがされた経時的データであり、
    前記第2評価値計算手段は、前記順序付けに矛盾しない範囲で前記第1の評価値の高い組み合わせが選択されるように、前記被験物質スペクトルと前記標準スペクトルの組み合わせを選抜し、該選抜された前記被験物質スペクトルと前記標準スペクトルの組み合わせに対する前記第1の評価値を合計することにより、前記第2の評価値を計算する手段である、
    解析装置。
  3. 請求項2に記載の解析装置であって、
    前記第2評価値計算手段は、前記複数の被験物質スペクトルと前記複数の標準スペクトルを前記順序付けに応じて二軸上に並べ、前記第1の評価値をデータ成分としたマトリクスデータおいて、前記順序付けにおける最先同士のデータ成分から最後尾同士のデータ成分に至る最短経路のうち、データ成分の合計値が高い経路上の前記被験物質スペクトルと前標準スペクトルの組み合わせを選抜する手段である、
    解析装置。
  4. 請求項2又は3に記載の解析装置であって、
    前記順序けは、異なる環境を与えて質量分析計が前記被験物質又は前記既知物質からスペクトルデータを取得した際の観測順序である、
    解析装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の解析装置であって、
    前記第1評価値計算手段は、前記標準スペクトルのピークに対応するm/zを抽出すると共に、前記標準スペクトルの各ピークにおける強度を成分とする第1のベクトルと、前記被験物質スペクトルにおける前記抽出したm/zにおける強度を成分とする第2のベクトルと、の余弦を前記第1の評価値として計算する手段である、
    解析装置。
  6. 同一の被験物質について複数回取得された、複数の被験物質スペクトルを取得する処理と、
    前記複数の被験物質スペクトルと、記憶手段に格納された既知物質についての複数の標準スペクトルから一データずつ抽出した組み合わせに対して、前記標準スペクトルのピーク強度比と、前記被験物質スペクトルにおける前記標準スペクトルのピークに該当する部分のピーク強度比との一致程度を示す第1の評価値を計算する処理と、
    前記各組み合わせに対する第1の評価値に基づいて、前記被験物質と前記既知物質との一致程度を示す第2の評価値を計算する処理と、
    前記第2の評価値の分布に基づいて再帰的に前記被験物質が前記既知物質を含むか否かを判定する処理と
    をコンピュータが実行する解析方法。
  7. 同一の被験物質について複数回取得された、複数の被験物質スペクトルを取得する処理と、
    前記複数の被験物質スペクトルと、記憶手段に格納された既知物質についての複数の標準スペクトルから一データずつ抽出した組み合わせに対して、前記標準スペクトルのピーク強度比と、前記被験物質スペクトルにおける前記標準スペクトルのピークに該当する部分のピーク強度比との一致程度を示す第1の評価値を計算する処理と、
    前記各組み合わせに対する第1の評価値に基づいて、前記被験物質と前記既知物質との一致程度を示す第2の評価値を計算する処理と、
    前記第2の評価値の分布に基づいて再帰的に前記被験物質が前記既知物質を含むか否かを判定する処理と
    をコンピュータに実行させるプログラム。
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