上述した特許文献1の従来構成に対して、近年、新たな不正器具を用いた不正行為が発生している。新たな不正器具は、光センサの発光部から発した光を受光する受光素子と、該受光素子での受光に伴って発光させる発光素子とを、先端部に配したものであり、メダル投入口から挿入されて、該受光素子を光センサの発光部に対向させ且つ該発光素子を該光センサの受光部に対向させる位置で保持される。この不正器具では、光センサの発光部におけるパルス発光と同じ周期で、発光素子が発光することから、該光センサの受光部で正常なパルス発光を受光したと誤認させることができる。こうした不正器具が使用されると、前記した従来構成のようにパルス発光の周期を変化させたとしても、該不正器具の使用を検知できず、上記した不正の発生を防止することが難しい。
また、上述した不正器具は、フレキシブルなプラスチック製からなるものが多く、メダル投入口から通路に比較的容易に挿入し得るものとなっている。そのため、上述した特許文献2の従来構成によれば、不正器具が通路に挿入された状態では、該不正器具に電極部材が接触しても、該電極部材間で電流を検知できず、該不正器具による不正の発生を知得できる。しかし、こうした特許文献2の従来構成であっても、前記不正器具に、電極部材間を導通させる部材を配設することにより、メダル通過を誤検知させることが可能である。例えば、前記不正器具が、前記した通路両側の電極部材に接触する配線と、該配線を導通と非導通とに切り替える制御スイッチとを配設した構成であれば、該電極部材間で不正に電流を流すことができる。このような配線と制御スイッチとを配設することは比較的容易に実施可能であることから、特許文献2の従来構成にあっても、前記不正器具による不正を防止する効果に限界があった。
一方、メダルを投入すること無くクレジット数を増加させる不正の他に、上述したメダル払出口に連通する通路に配設された光センサを誤作動させることにより、メダルが払い出されても、クレジット数を減少させないようにする不正がある。この不正では、上記と同様の不正器具を使用し、メダルが払い出される際に、該メダルを検知しないように該不正器具の発光素子を発光させることにより、光センサを誤作動させてクレジット数を減少させずに、該クレジット数を超える多数のメダルを獲得する。こうした不正を防止する構成も求められていた。
本発明は、投入口から遊技媒体(メダル)を投入すること無くクレジット数を増加させる不正、またはクレジット数を減少させること無く遊技媒体が払い出される不正を防止し得る遊技機を提案するものである。
本発明の第一発明は、遊技媒体を流入する投入口と連通され、該遊技媒体が通過する投入用通路と、前記投入用通路を通過する遊技媒体を検知する媒体検知センサと、前記媒体検知センサによる遊技媒体の検知に伴って、該遊技媒体の通過個数をカウントする媒体カウント手段とを備えた遊技機にあって、前記投入用通路の、前記媒体検知センサの配設位置よりも前記投入口側の位置に配設され、該投入用通路内で通路方向に沿って流れる電流を検知する電流検知センサと、前記電流検知センサによる電流検知に基づいて、不正の発生有無を判定する不正判定手段とを備えていることを特徴とする遊技機である。
ここで、投入用通路の通路方向とは、該投入用通路を通過する遊技媒体の進行方向と、該進行方向の逆方向とを意味する。すなわち、この通路方向に沿って流れる電流とは、前記進行方向に沿って流れる電流と、該進行方向の逆方向に沿って流れる電流とを含む。そして、この電流の流れる方向としては、通路方向(前記進行方向および逆方向)と平行な方向、略平行な方向、又は該通路方向に対して若干傾斜する方向のいずれであっても良い。さらに、この電流には、通路方向に蛇行して流れる電流も含まれる。
かかる構成にあっては、投入用通路に挿入された上記の不正器具により媒体検知センサが誤作動される不正を、検知することができる。ここで、不正器具は、上述したように、フレキシブルなプラスチック製の長尺状薄板により構成されてなり、媒体検知センサを誤作動させるための部材(例えば、上記した発光素子)が先端部に配設されると共に、該部材に電力を供給する配線が長手方向に沿って設けられている。この不正器具は、投入口から投入用通路に挿入されて前記部材を媒体検知センサに対向させた位置で保持された状態で、前記配線が該投入用通路内で通路方向に沿って配置される。本構成は、電流検知センサにより、こうした不正器具の配線を流れる電流を検知できることから、該電流の検知によって該不正器具が投入用通路に挿入されているか否かを検知可能である。そして、本構成では、電流検知センサと媒体検知センサとが別々に配設され且つ検知対象も互いに異なることから、該電流検知センサによる電流検知のみで、不正有無を判定可能である。したがって、本構成によれば、クレジット数を不正に増加させるための不正器具を正確かつ安定して検知でき、該不正を防止することができる。
尚、本構成の電流検知センサは、上述したように、投入用通路を流れる電流を検知するものであり、該検知が、該投入用通路を通過する遊技媒体に関係しないことから、遊技媒体を介して流れる電流を検知する上述した特許文献2の従来構成とは全く異なる。そのため、本構成では、この従来構成に対して実施された不正な対策のように、不正防止の機能を誤作動させることを、容易に実施できないことから、不正器具を用いた不正を防止するという作用効果が安定して発揮され得る。
本発明の第二発明は、遊技媒体を排出する払出口と連通され、該遊技媒体が通過する払出用通路と、前記払出用通路を通過する遊技媒体を検知する媒体検知センサと、前記媒体検知センサによる遊技媒体の検知に伴って、該遊技媒体の通過個数をカウントする媒体カウント手段とを備えた遊技機にあって、前記払出用通路の、前記媒体検知センサの配設位置よりも前記払出口側の位置に配設され、該払出用通路内で通路方向に沿って流れる電流を検知する電流検知センサと、前記電流検知センサによる電流検知に基づいて、不正の発生有無を判定する不正判定手段とを備えていることを特徴とする遊技機である。
ここで、払出用通路の通路方向は、上述した投入用通路の通路方向と同様に、遊技媒体の進行方向と逆方向との両方を意味し、この通路方向に沿って流れる電流には、同様に、進行方向と逆方向とのいずれに沿って流れる電流も含む。そして、電流の流れる方向についても、上述した第一発明と同様である。
かかる構成にあっては、上述した投入用通路に挿入された不正器具の配線を流れる電流を検知する第一発明の構成と同様に、電流検知センサにより、払出用通路に挿入された該不正器具の配線を流れる電流を検知できることから、該電流検知によって該不正器具が払出用通路に挿入されているか否かを検知可能である。したがって、本構成によれば、媒体検知センサを誤作動させるために払出用通路に挿入された不正器具を正確かつ安定して検知でき、該不正器具により遊技媒体を不正に獲得する行為を防止することができる。
上述した本発明の遊技機にあって、前記不正判定手段は、前記電流検知センサにより前記電流が検知されない場合に、不正無しと判定し、該電流検知センサにより該電流が検知されることによって、不正有りと判定するものである構成が提案される。
ここで、上述したように不正器具により不正が行われた場合には、該不正器具の配線に電流が流れる一方、該不正が無い場合には、該配線を流れる電流が無い。これにより、本構成では、電流検知センサが前記電流を検知しなければ、不正無しと判定し、正常な状態であることを明らかにできる。一方、電流検知センサが前記電流を検知すると、不正有り(又は、不正が行われた可能性有り)と判定する。換言すると、本構成によれば、少なくとも前記電流の非検知の状態を、不正有りとする判定対象から除くことができるため、該判定精度の向上と該判定処理の効率化とに寄与できる。
上述した本発明の遊技機にあって、前記媒体検知センサは、所定の発光パターンに従って光を発する発光部と、該発光部から発した光を受ける受光部とを備えた光センサからなり、前記不正判定手段は、前記電流検知センサにより検知された電流の検知パターンが、前記媒体検知センサの発光パターンと一致した場合に、不正有りと判定する処理内容を備えている構成が提案される。
ここで、光センサからなる媒体検知センサを誤作動させる不正器具としては、上述したように、先端部に受光素子と発光素子とを備えたものであって、投入用通路又は払出用通路に挿入されて、該受光素子を該媒体検知センサの発光部に対向させ且つ該発光素子を受光部に対向させる位置で保持され、該受光素子の受光に伴って該発光素子を発光させる。こうした不正器具では、該不正器具の受光素子で受光した光の発光パターンと同じパターンで発光素子を発光することから、該発光素子に電力供給する配線にも当該パターンで電流が流れる。そのため、この不正器具が投入用通路又は払出用通路に挿入されていると、電流検知センサにより検知される電流の検知パターンが、媒体検知センサの発光部による発光パターンと同じとなる。このように本構成では、電流検知センサで検知した検知パターンと媒体検知センサの発光パターンとが同じとなることで、前記不正器具の使用を正確に検知できることから、上記第一発明にかかる本構成にあっては、クレジット数を不正に増加させる行為を防止することができる。同様に、上記第二発明にかかる本構成にあっては、クレジット数を減少させずに遊技媒体を不正に獲得する行為を防止することができる。
尚、本構成にあって、媒体検知センサの発光部から発する光の発光パターンとしては、例えば、パルス発光で連続する複数周期からなる周期群のパターンや、該パルス発光の単位周期のパターン等により設定できる。そして、こうした発光パターンと電流の検知パターンとを、所定の時間(例えば、0.1秒間、0.5秒間、1秒間)で、一致するか否かを判定するようにした構成が、好適に用いられる。このように一致判定する所定の時間を設定することにより、遊技機の内部で発生する電気的なノイズにより電流検知センサが誤作動し、該誤作動により不正有りと誤判定することによって、遊技が中断してしまうことを、防止できる。
上述した本発明の遊技機にあって、前記媒体検知センサは、光を発する発光部と、該発光部から発した光を受ける受光部とを備えた光センサからなり、前記不正判定手段は、前記受光部による光の非受光と受光とが切り替わるタイミングと、前記電流検知センサによる電流の非検知と検知とが切り替わるタイミングとが、所定回数一致した場合に、不正有りと判定する処理内容を備えている構成が提案される。
ここで、光センサからなる媒体検知センサを誤作動させる不正器具としては、上述したように、投入用通路又は払出用通路に挿入されて、先端部に設けた発光素子を該媒体検知センサの受光部に対向させる位置で保持される。そして、この不正器具では、発光素子を、媒体検知センサの発光部の発光に伴って発光制御させる。そのため、不正器具が使用された場合には、媒体検知センサの受光部による受光と非受光との切替タイミングと、該不正器具の配線を流れる電流の検知と非検知との切替タイミングとが同じとなり得る。こうした切替タイミングによる不正検知によれば、前記不正器具の使用を正確に検知できることから、該不正器具を用いた上述した不正を防止できる。
尚、本構成にあって、不正有りと判定する一致回数(所定回数)としては、媒体検知センサにより遊技媒体を検知する際に発生する切り替えタイミングの回数に応じて、適宜設定できる。さらに、この所定回数は、上述したように、比較的多い回数(5回や10回など)に設定することで、遊技機内部で発生するノイズを誤検知することによって不正有りと誤判定してしまうことを、防止できる。
上述した本発明の遊技機にあって、前記媒体検知センサは、光を発する発光部と、該発光部から発した光を受ける受光部とを備えた光センサからなり、前記不正判定手段は、前記電流検知センサにより電流が所定時間連続して検知された場合に、不正有りと判定する処理内容を備えている構成が提案される。
ここで、例えば、発光部を常時発光させる媒体検知センサを誤作動させる不正器具としては、投入用通路又は払出用通路に挿入されて、先端部に設けた発光素子を該媒体検知センサの受光部に対向させる位置で保持される。そして、この不正器具では、媒体権利センサの受光部で常時受光させるように、発光素子を常時発光させる。そのため、この不正器具が使用された場合には、該不正器具の配線を流れる電流を、電流検知センサが常時検知する。本構成によれば、発光部を常時発光させる媒体検知センサに対する前記不正器具の使用を正確に検知できることから、該不正器具を用いた上述した不正を防止できる。また、本構成は、前記した常時発光させる媒体検知センサを備えた構成に限らず、一定期間連続して発光させる媒体検知センサや、繰り返し発光させる媒体検知センサなどを備えた構成であっても、不正有りと判定するための所定時間(閾値)を適宜設定することにより、これら各媒体検知センサに対応する不正器具の使用を、前記常時発光と同様に検知することができ、不正を防止できる。
尚、本構成にあって、不正有りと判定する電流の連続検知時間(所定時間)としては、検知対象に応じて適宜設定することができ、例えば、0.5秒間、1秒間、3秒間などに設定可能である。そして、この所定時間は、上記した遊技機内部で発生するノイズを除外し得る時間に設定することで、該ノイズを誤検知して不正有りと誤判定することにより遊技が中断してしまうことを、防止できる。
本発明の実施形態を、以下に説明する。下記の実施例にあって、スロットマシン1が本発明にかかる遊技機であり、メダルXが本発明にかかる遊技媒体である。
図1は、本実施例のスロットマシン1の斜視図であり、図2は、該スロットマシン1の前扉3を開放した状態を示す斜視図である。スロットマシン1は、前方に開放された筐体2と、該筐体2を前方から覆う前扉3とを備え、該前扉3が筐体2の一側縁に枢支されている。前扉3の中央部には、筐体2の内部に配設された三つのリール9を視認するための視認窓4が設けられる。また、前扉3の前面側には、視認窓4の下方に、遊技操作に用いるベットスイッチ5a,5b、スタートスイッチ6、ストップスイッチ7、払出スイッチ8等の各種スイッチが配設される。さらに、メダルXを一枚ずつ投入可能なメダル投入口10と、クレジット数を表示するクレジット数表示器11も配設されている。また、前扉3には、図示しないスピーカや演出用ランプが適宜箇所に複数配設されると共に、該前扉3の下部には、メダルを払い出すメダル払出口12と、メダル払出口12から払い出されるメダルを受け入れるメダル受皿14が配設される。尚、メダル投入口10が本発明の投入口であり、メダル払出口12が本発明の払出口である。
また、筐体2の内部には、図2に示すように、リール9の上方に、メイン制御基板21やサブ制御基板22がケースに収容された状態で設置される。さらに、リール9の下方には、電源ボックス19やホッパーユニット20が配設される。ここで、ホッパーユニット20は、図4に示すように、メダルXを貯留するホッパータンク51と、ホッパータンク51内に貯留したメダルXの払い出しを行うホッパー本体52と、該ホッパー本体52の払出モータを駆動するホッパー制御基板58(図3参照)とを備える。ホッパー本体52は、ホッパータンク51の底部開口部51aを塞ぐように配設された円盤状のローター53と、該ローター53を周方向に回転駆動する前記払出モータ(図示せず)とを備える。このローター53には、ホッパータンク51のメダルXを一枚ずつ収容する円形の収容穴54が周方向に沿って複数設けられており、払出モータにより回転することで、ホッパータンク51からメダルXを一枚ずつ収容穴54に収容させる。さらに、ローター53の左前部の直下に、メダルキッカー56を備えたメダル送出部55が設けられており、該ローター53の回転により収容穴54が該メダル送出部55を横切るたびに、収容穴54に収容されたメダルXがメダルキッカー56によって、一枚ずつはじき出される。メダル送出部55は、払出用通路60を介して上記のメダル払出口12と連通されており、前記メダルキッカー56によりはじき出されたメダルXは、該払出用通路60を介してメダル払出口12から払い出される。また、払出用通路60の上流端部には、前記メダルキッカー56によりはじき出されたメダルXを検知する払出検知センサ61(図12参照)が配設されている。この払出検知センサ61は、発光部61aと受光部61bとを備えた光センサからなり(図3参照)、該払出用通路60を通過するメダルXを検知するものである。そして、払出検知センサ61がメダルXを検知することにより、メダル払出口12から払い出されるメダルXの払出個数をカウントする。
また、前扉3の背面側には、図2に示すように、上記メダル投入口10から投入されたメダルXを検知するメダル検知装置15が配設される。メダル検知装置15は、図5に示すように、メダル投入口10から投入されたメダルXが通過する投入用通路31を備えてなり、投入用通路31は、その上流端に、該メダル投入口10と連通する流入口31aが設けられると共に、下流端に、前扉3の閉鎖状態で、上記したホッパータンク51の上部開口部の直上に位置する流出口31bが設けられている。メダル投入口10から一枚ずつ投入されたメダルXは、メダル検知装置15の投入用通路31を通過し、該投入用通路31の流出口31bを介してホッパータンク51に入る。ここで、投入用通路31は、メダルXを一枚ずつ通過可能な断面略長方形状に形成されており(図6参照)、流入口31aから略鉛直方向に沿って設けられた上流側通路32と、流出口31bに至る斜め下方に沿った下流側通路33とが滑らかに連成されてなる。そして、下流側通路33の、流出口31bの直上流側位置には、該下流側通路33を通過してホッパータンク51へ流出されるメダルXを検知する投入検知センサ41が配設されており、該投入検知センサ41がメダルXを検知することにより該メダルXの投入個数をカウントできるようになっている。
さらに、メダル検知装置15は、投入用通路31の下流側通路33が裏側に傾斜するように、前扉3に配設されており、該下流側通路33が、通過するメダルXの上端部を支持する上部案内レール34aと、該メダルXの下端部を支持する下部案内レール34bとを備えると共に、該上部案内レール34aと下部案内レール34bとの間で通路裏側に開口された返却口34cを備える。このメダル検知装置15では、正規のメダルXよりも小径の擬似メダルが投入された場合に、該擬似メダルが、下流側通路33の上部案内レール34aで支持できず、返却口34cから排出される。この返却口34cの直下には、上記したメダル払出口12に連通する返却用通路(図示せず)が設けられており、該返却口34cから排出された前記擬似メダルが返却される。さらに、メダル検知装置15は、前記した下流側通路33の上部案内レール34aを、メダルXの上部を支持する通路位置と、該通路位置から裏側に傾動した排出位置と位置変換させる位置変換機構(図示せず)を備えている。この位置変換機構は、クレジット数が上限に達している状態またはゲーム中などのメダル投入を受付しない状態で、メダルXが投入された場合に、上部案内レール34aを排出位置に位置変換制御することにより、該メダルXを返却口34cから排出して、メダル払出口12から返却する。位置変換機構は、メダル投入の受付状態(クレジット数が上限に達していない状態やゲームしていない状態など)で、上部案内レール34aを通路位置で保持して、メダルXを流出口31bへ向けて通過させる。このようにメダル検知装置15は、投入用通路31を通貨するメダルXを、ホッパータンク51とメダル払出口12とのいずれかに振り分ける機能を有している。尚、こうした位置変換制御機構は、従前から公知の構成を適用できることから、その詳細については省略する。
次に、スロットマシン1の作動を制御する制御回路を、図3を参照して説明する。
メイン制御基板21は、CPU、RAM、ROM等を備え、遊技の進行に関する制御を行うものである。メイン制御基板21の入力ポートには、ベットスイッチ5a,5b、スタートスイッチ6、ストップスイッチ7、払出スイッチ8等が接続される。また、メイン制御基板21の出力ポートには、リール9、クレジット数表示器11、ホッパー制御基板58、サブ制御基板22等が接続される。さらに、投入検知センサ41と払出検知センサ61とは、光センサからなり、各発光部が出力ポートに接続され、各受光部が入力ポートに接続されている。ここで、前記した各種スイッチやセンサ、リール9、クレジット数表示器11、ホッパー制御基板58は、公知の構成と同じ機能を有するものを適用できることから、その詳細については省略する。
サブ制御基板22は、CPU、RAM、ROM等を備え、遊技に関する演出の制御を行うものである。サブ制御基板22の入力ポートには、メイン制御基板21が接続され、メイン制御基板21からサブ制御基板22に、遊技の進行に関する情報が入力される。サブ制御基板22は、メイン制御基板21から入力される情報に基づいて、所望の演出を行うための信号を、図示しない演出ランプやスピーカに送信し、さらには、画像表示装置に所要の画像を表示させるための信号を、画像制御基板に送信する。
こうしたスロットマシン1では、スタートスイッチ6の操作によりリール9を回転させた後に、ストップスイッチ7の操作により該リール9を停止させるゲームが繰り返される。具体的には、一回ゲームが次の(1)〜(4)の順番で行われる。(1)遊技者がメダル投入口10にメダルXを投入することにより、スタートスイッチ6が有効となる。(2)遊技者がスタートスイッチ6を操作すると、メダルXの賭数(ベット数)が確定し、その賭数に応じた役抽選が実行され、リール9が回転する。(3)遊技者がストップスイッチ7を操作すると、操作したストップスイッチ7に対応するリール9を停止する。(4)全てのリール9が停止すると、有効ライン上の図柄の組み合わせに応じてメダルが払い出される。尚、こうした一回のゲームにおける制御処理については、一般的なスロットマシンと同様に実行できることから、その詳細を省略する。
次に、本発明の要部を、以下の実施例1〜3に従って説明する。
実施例1,2の構成は、不正器具101を用いてメダルXを投入すること無くクレジット数を増加させる不正行為を、防止するためのものであり、上述した本発明の第一発明に相当する。一方、実施例3の構成は、不正器具121を用いてクレジット数を減算させること無くメダルXの払い出しを得る不正行為を、防止するためのものであり、上述した本発明の第二発明に相当する。
上述したように、メダル検知装置15には、図5に示すように、投入用通路31の流出口31bの直上流側に、投入検知センサ41が配設されている。投入検知センサ41は、図6に示すように、投入用通路31の下流側通路33の通路方向に所定間隔をおいて夫々並設された第一光センサ42と第二光センサ43とを備え、各光センサ42,43が、光を発光する発光部42a,43aと光を受光する受光部42b,43bとから夫々構成されている。ここで、前記通路方向とは、該投入用通路31をメダルXが通過する方向(流入口31aから流出口31bへ向かう方向)と、その逆方向(流出口31bから流入口31aへ向かう方向)との両方を意味し、本発明にかかる投入用通路の通路方向に相当する。
第一光センサ42と第二光センサ43とは、夫々の発光部42a,43aと受光部42b,43bとが、下流側通路33の表裏で、互いに対向する位置に配設されている。そして、第一光センサ42の発光部42aから発した光が、該第一光センサ42の受光部42bで受光される一方、第二光センサ43の発光部43aから発した光が、該第二光センサ43の受光部43bで受光される。これら第一光センサ42および第二光センサ43は、各発光部42a,43aが上記したメイン制御基板21の出力ポートに夫々接続されていると共に、各受光部42b,43bが該メイン制御基板21の入力ポートに夫々接続されている。そして、各光センサ42,43の発光部42a,43aは、メイン制御基板21から送信された信号に従って発光し、各受光部42b,43bは、光を受光する毎にメイン制御基板21に信号を送信する。尚、投入検知センサ41(第一光センサ42および第二光センサ43)が、本発明にかかる媒体検知センサである。
メイン制御基板21は、各発光部42a,43aに前記信号を送信することで各発光部を発光させる発光手段と、各受光部42b,43bから送信された前記信号を受信する受光手段と、該受光手段で受信した信号に基づいて各光センサ42,43が正常か否かを判定する作動判定手段と、該受光手段で受信した信号に基づいて投入用通路31を通過したメダルXをカウントするカウント手段とを備える。このメイン制御基板21のカウント手段が、本発明にかかる媒体カウント手段に相当する。
メイン制御基板21の上記した発光手段は、該メイン制御基板21のCPU(以下、メインCPUという)でパルス信号を生成し、このパルス信号を出力ポートを介して各光センサ42,43の発光部42a,43aに送信するものであり、メインCPUによりパルス信号を生成する処理と、該生成したパルス信号を送信する処理とを行う。ここで、パルス信号を生成する処理では、基準となる一定周期の方形波の、該周期をランダムに変化させることにより、周期が順次変化したパルス信号を生成する。こうして生成されたパルス信号は、図10(A)に示すように、一周期毎に、信号の幅(パルス幅)と信号の間隔(パルス間隔)とが変化したものとなる。さらに、メインCPUは、生成したパルス信号の、一周期毎に変化するパルス幅とパルス間隔とを、メイン制御基板21のRAM(以下、メインRAMという)に順次記憶する。また、上記した受光手段は、各光センサ42,43の受光部42b,43bから入力ポート介して送信された信号(以下、受光信号という)を増幅して、作動判定手段に送信するものであり、信号の増幅回路などを備える。
作動判定手段は、受光手段から断続的に送信される受光信号の信号幅および信号間隔(図10(B),(C)参照)が、メインRAMに記憶されたパルス信号のパルス幅およびパルス間隔と夫々一致するか否かを確認し、一致した場合に、第一光センサ42と第二光センサ43とが正常であると判定する。一方、不一致の場合には、正常に作動してない(不正有り)と判定する。ここで、各光センサ42,43の発光部42a,43aでは、上記発光手段から送信されたパルス信号に従って発光することから、該パルス信号のパルス幅とパルス間隔とにより、該発光部42a,43aの発光パターン(図10(A)参照)が定まる。そして、受光部42b,43bでは、この発光パターンで発光する光の受光に伴って受光信号を送信することから、該受光信号の信号幅と信号間隔とが該発光パターンに従う(図10(B),(C)参照)。そのため、上記したメインCPUで生成されたパルス信号の、ランダムに順次変化するパルス幅とパルス間隔とが、受光信号の信号幅と信号間隔となって現れる。尚、本実施例にあって、メインCPUで生成されるパルス信号はパルス幅とパルス間隔とが一周期毎に順次ランダムに変化するものであり、連続する複数の周期(以下、単位周期という)からなる周期群が、本発明にかかる発光パターンに相当する。
さらに、作動判定手段は、第一光センサ42と第二光センサ43との各受光部42b,43bから送信された受光信号に基づいて、投入用通路31を通過するメダルXの検知判定も行う。すなわち、図7に示すように、メダルXが投入用通路31を通過する際には、上記した各光センサ42,43の発光部42a,43aと受光部42b,43bとの間を横切り、このときに該受光部42b,43bで受光と非受光とが切り替わる。そして、第一光センサ42と第二光センサ43とは通路方向に所定間隔をおいて並設されていることから、メダルXの通過の際には、第一光センサ42の受光部42bによる受光と非受光との切替タイミング(受光から非受光に切り替わるタイミング、および非受光から受光に切り替わるタイミング)と、第二光センサ43の受光部43bによる受光と非受光との切替タイミングとが、順次発生する。こうした各切替タイミングは、両光センサ42,43の位置関係と、ここを通過するメダルXの速度とに基づいて、特有に生ずることから、メダル通過で生ずる切替タイミングを示すメダル検知パターンが予め設定されており、作動判定手段では、各光センサ42,43の受光部42b,43bによる前記切替タイミングが前記メダル検知パターンに一致した場合に、一枚のメダルXを検知したと判定する。
作動判定手段は、上記のようにメダルXを検知判定すると、これを示す信号を上記のカウント手段に送信する。カウント手段では、メダルXの検知信号を受信する毎に、クレジット数に「1」ずつ加算する。そして、このクレジット数が、上記したクレジット数表示器11で表示される。
一方、上記したメダル検知装置15には、図6に示すように、投入用通路31の下流側通路33の、上記第一光センサ42と第二光センサ43との配設位置よりも上流側の位置に、電流検知センサ45が配設されている。電流検知センサ45は、下流側通路33内を通路方向に沿って流れる電流を検知するものであり、例えば、該電流により生ずる磁界の変化を検知するセンサが適用される。本実施例にあって、電流検知センサ45は、下流側通路33を囲むように略一周させた磁性体と、該磁性体で検出した磁束密度を電圧に変換する変換素子と、該変換素子から出力された電圧を増幅する増幅回路とを備える。そして、この電流検知センサ45は、メイン制御基板21の入力ポートに接続されており、前記増幅回路により増幅された電圧を検知信号として該メイン制御基板21に送信する。このように電流検知センサ45は、投入用通路31の下流側通路33内で通路方向に沿って電流が流れると、これを検知して、その検知信号をメイン制御基板21に送信するものである。
ここで、電流検知センサ45は、磁束密度を検知する磁性体で囲まれた下流側通路33の横断面を突き通る電流を検知するものである。この電流検知センサ45では、前記横断面を垂直に突き通る電流の検知感度が最も高いが、該垂直方向よりも若干傾斜する方向に流れる電流も十分に検知できる。さらに、電流の方向が蛇行していても、検知可能である。尚、電流検知センサ45は、電流の方向が、下流側通路33の前記横断面の垂直方向に対して大きな角度になるほど、該電流の検知感度が低減するため、該横断面と略平行に流れる電流は、ほとんど検知できない。また、メダルXは金属製であることから、該メダルXが下流側通路33を通過することによっても、僅かな磁界の変化が生じ得るが、この磁界の変化は、電流が流れた場合に比して極めて小さい。本実施例では、検知した電流を有効とする所定の閾値が設定されており、該閾値より小さい電流を検知しても、該電流を無効として処理することから、メダルXの通過で生じた磁界変化による検知は無効処理される。
メイン制御基板21は、電流検知センサ45から送信された検知信号により、不正有無の判定を行う不正判定手段を備えている。この不正判定手段は、電流検知センサ45から検知信号を入力した場合に、該検知信号が示す検知パターン(図10(D)参照)と、メインRAMに記憶されたパルス信号のパルス幅およびパルス間隔(図10(A)参照)とが一致するか否かを判定する。ここで、パルス信号のパルス幅およびパルス間隔は、上述したように一周期毎に変化することから、予め定めた判定時間(例えば、1秒間)で、順次連続する単位周期毎に、各パルス幅およびパルス間隔と、前記検知パターン(検知信号の信号幅および信号間隔)とが夫々一致するか否かを確認する。そして、前記判定時間内で、一致した単位周期が、所定数(例えば、10個)を超えた場合に、該検知パターンと、上記した発光パターン(パルス幅およびパルス間隔が順次変化する複数の周期群)とが一致したと判定し、不正有りと判定する。また、前記判定時間内で前記一致した単位周期が所定数(例えば、10個)よりも少ない場合には、該検知パターンと発光パターンとが一致しないと判定し、不正無し(正常)と判定する。このように不正判定手段では、電流検知センサ45から入力した検知信号の検知パターンが、メインRAMに記憶された発光パターンと一致すると、不正有りと判定する。そして、不正判定手段は、不正有りと判定すると、これを示す信号(以下、不正検知信号)を、上記したカウント手段に送信すると共に、図示しない報知手段に送信する。カウント手段では、不正検知信号を受信すると、クレジット数を変化させる処理を強制停止する。また、報知手段は、不正有りを示す所定の報知を行う。尚、本実施例にあって、電流検知センサ45から入力する検知信号の信号幅および信号間隔(図10(D)参照)が、本発明にかかる電流の検知パターンに相当する。
次に、上述した不正器具101を用いた不正行為の防止について例示する。
不正器具101は、図8に示すように、フレキシブルなプラスチック製の薄板からなり、上記した投入用通路31の通路方向の形状に合わせるように、途中で屈曲された略へ字形状をなす。そして、不正器具101は、その厚みが、メダルXの厚みと略同じ(又は、若干薄く)であり、幅寸法がメダルXの外径よりも若干小さく設定されている。こうした不正器具101は、スロットマシン1のメダル投入口10から挿入されると、その先端部が、投入用通路31内で第一光センサ42および第二光センサ43の配設位置まで達し、その基端部が、メダル投入口10から少し突出する。
不正器具101は、その先端部の表面側に、長手方向に並んで二個の受光素子102a,103aが配設され、該先端部の裏面側に、各受光素子102a,103aと夫々背中合わせとなるように二個の発光素子102b,103bが配設されている。ここで、長手方向で並ぶ受光素子102a,103a間の距離(および発光素子102b,103b間の距離)は、上記した投入用通路31の第一光センサ42と第二光センサ43との間隔と同じになっている。これにより、不正器具101は、図8(B)および図9に示すように、投入用通路31に挿入されて、一方の受光素子102aが第一光センサ42の発光部42aに対向し且つ他方の受光素子103aが第二光センサ43の発光部43aに対向すると共に、一方の発光素子102bが第一光センサ42の受光部42bに対向し且つ他方の発光素子103bが第二光センサ43の受光部43bに対向するように、配置され得る。また、不正器具101の基端部寄りには、上記した発光素子102b,103bに電力を供給する電源(図示せず)と、該発光素子102b,103bへの電力供給を制御するマイコン(図示せず)とを備え、該電源から各発光素子102b,103bへ電流を流す配線105a,105bが夫々配設されている。この配線105a,105bは、不正器具101の長手方向に沿って配設されている。さらに、各受光素子102a,103aは、前記マイコンに接続されており、光を受光すると、その信号を該マイコンに夫々送信する。不正器具101のマイコンには、各受光素子102a,103aから信号を受信する受信回路と、電源から発光素子102b,103bへ電流を流す信号を送信する送信回路とを備え、各受光素子102a,103aが光を受光する毎に、配線105a,105bを介して発光素子102b,103bへ電源から電流を流す。これにより、不正器具101の先端部では、受光素子102a,103aが光を受光する毎に、発光素子102b,103bが発光する。さらに、不正器具101のマイコンは、メダルXを検知した際に第一光センサ42と第二光センサ43との各受光部42b,43bで受信する各切替タイミングと同様に、発光素子102b,103bを発光制御する擬似制御回路を備えている。この擬似制御回路は、不正器具101の基端部に配設されたスイッチ(図示せず)が操作されると、メダルXの検知を示す前記切替タイミングを模した擬似発光パターンに従って、発光素子102b,103bに電流を流す。これにより、発光素子102b,103bを、メダルXの検知と同じ切替タイミングで発光させる。
こうした不正器具101は、上述したように、メダル投入口10から投入用通路31内に挿入されて、先端部の各受光素子102a,103aが、該投入用通路31に配設された第一光センサ42と第二光センサ43の各発光部42a,43aに夫々対向し、且つ該先端部の各発光素子102b,103bが、該第一光センサ42と第二光センサ43の各受光部42b,43bに夫々対向するように配置される。このように不正器具101が投入用通路31内に保持された状態では、第一光センサ42と第二光センサ43との各発光部42a,43aによる発光を、夫々対向する受光素子102a,103aが受光し、これに伴って発光素子102b,103bが発光することから、該発光素子102b,103bによる発光を、夫々対向する第一光センサ42と第二光センサ43との各受光部42b,43bが受光する。そのため、図10に示すように、この受光毎に各受光部42b,43bから夫々送信される受光信号の受信パターン(信号幅および信号間隔)が、上記した発光パターン(パルス幅およびパルス間隔)と一致する。このように、不正器具101は、その発光素子102b,103bの発光により第一光センサ42と第二光センサ43とを誤作動させ、各光センサ43が正常であると誤認させることができる。さらに、不正器具101のスイッチが操作されることで、各発光素子102b,103bを上記した擬似発光パターンに従って発光する(図示せず)。これにより、第一光センサ42と第二光センサ43との各受光部42b,43bで、メダルXの通過と同じように受光と非受光とが切り替わることから、メダルXの投入と誤認させ得る。
上述したように不正器具101が用いられることに対して、本実施例1の構成では、電流検知センサ45が、該不正器具101の配線105a,105bを流れる電流を検知することにより、不正の有無を判定できる。すなわち、図9のように不正器具101が投入用通路31に挿入されて保持されている状態では、該不正器具101の各発光素子102b,103bを発光させるための電流が、第一光センサ42と第二光センサ43の各発光部42a,43aによる発光毎に、配線105a,105bを流れる。電流検知センサ45は、この電流を検知する毎に検知信号を送信し、該検知信号を入力したメイン制御基板21の不正判定手段では、図10に示すように、この検知信号の信号幅および信号間隔(検知パターン)と上記パルス信号のパルス幅およびパルス間隔(発光パターン)とを一致判定することから、不正有りと判定する。これにより、不正器具101が投入用通路31に挿入されていることを検知できる。そして、この不正器具101の検知は、その先端部の発光素子102b,103bを発光させる電流検知によることから、上記したメダルXの投入を誤認させる擬似発光パターンにより流れる電流である必要がない。そのため、不正器具101の使用を、クレジット数を増加させる不正行為が行われる前に検知できることから、該クレジット数の不正増加を確実に防止でき得る。
尚、本実施例1の不正判定手段では、上述したように、電流検知センサ45から入力した検知信号の検知パターンと一致する上記パルス信号の単位周期が、上記判定時間内で所定数を超えた場合に、該検知パターンと発光パターンとを一致判定して、不正有りと判定するようにしている。これは、スロットマシン1の内部で発生する電気的なノイズにより生ずる電流検知センサ45の誤作動によって、正常な状態で不正有りと誤判定してしまうことを、可及的に抑制するためである。すなわち、スロットマシン1の内部では、様々な電子機器により電気的なノイズが発生し、このノイズにより電流検知センサ45が誤作動してしまう虞がある。そのため、上記の不正器具101を使用していない正常な状態で、ノイズによる誤作動で電流検知センサ45から検知信号が発せられる可能性がある。こうしたノイズによる検知信号は、通常、前記パルス信号を構成するパルス幅およびパルス間隔と一致しないが、もし仮に一致した場合であっても、前記判定時間内で一致する単位周期は極小数(一個や二個程度)しかないため、前記検知パターンと発光パターンとを一致判定せず、不正と判定されない。このように本実施例の構成では、ノイズの検知により不正有りと誤判定してしまうことを可及的に抑制できることから、正常な状態で該誤判定によって遊技が中断してしまうことを防止できる。
さらに、上記の作動判定手段および不正判定手段における、パルス信号の発光パターン、受光信号の受光パターン、および検知信号の検知パターンの各一致判定では、完全な一致だけでなく、多少のズレを許容する許容範囲が予め設定されており、該許容範囲内であれば一致と判定している。この許容範囲によって、各信号の出力や入力が遅延することで入出力のタイミングに誤差が生じたり、外部要因により受光や検知を正しくできずに信号値に誤差が生じたりすること等を、許容できる。ここで、許容範囲は、当然ながら、不正の検知信号が含まれないように設定される。
このように本実施例1の構成は、上記の不正器具101を用いることでメダルXを投入すること無くクレジット数を増加させる不正行為を、防止できる。ここで、この不正器具101は、上述した従来構成(特許文献1)による不正防止機能を無効化させて、不正にクレジット数を増加させ得るものであるが、本実施例1の構成では、当該不正器具101による不正行為を確実に防止できる。また、本実施例1の構成は、メダルXを検知する各光センサ42,43と別に、不正器具101で流れる電流を検知する電流検知センサ45を配設したものであり、該光センサ42,43と電流検知センサ45とで検知対象も異なっている。そして、電流検知センサ45による電流検知のみで、不正器具101の使用有無を検知できることから、この検知に関わる処理が効率化され、該検知処理による精度(判定精度)も向上できる。したがって、本実施例1の構成によれば、不正器具101の使用を正確かつ安定して検知することができるため、該不正器具101による不正な利益発生を防ぎ、該不正器具101による不正行為を防止できる。
尚、本実施例1の構成にあっては、電流検知センサ45の検知信号が示す検知パターンと、パルス信号の周期群により示される発光パターンとが、一致するか否かを判定するようにしたものであるが、他の構成として、該パルス信号の一周期(単位周期)を発光パターンとして定め、該発光パターンと前記検知パターンとの一致判定を行うようにしても良い。この場合には、発光パターンがパルス信号の一周期(一のパルス幅およびパルス間隔)で示されることから、所定時間内で、該発光パターン(パルス幅およびパルス間隔)と前記検知パターン(検知信号の信号幅および信号間隔)とが一致する毎に、その一致した回数を積算し、積算した回数が所定値に達すると、不正有りと判定することが好適である。これにより、上述した実施例1と同様に、不正器具101による不正を防止できると共に、ノイズを誤検知することで不正と判定してしまうことを防止できる。
実施例2は、上述した実施例1と同様に、投入用通路31に不正器具101を挿入して不正にクレジット数を増加させる行為を、防止し得るものである。本実施例2では、メイン制御基板21の不正判定手段が、電流検知センサ45による検知と非検知との切替タイミングと、第一光センサ42および第二光センサ43の各受光部42b,43bによる受光と非受光との切替タイミングとを一致判定することにより、不正有無の判定を行う。
第一光センサ42および第二光センサ43の各発光部42a,43aは、上述した実施例1と同様に、メインCPUから送信されたパルス信号に従って、発光するものである。本実施例2にあって、メインCPUでは、基準となる一定周期のパルス信号の、パルス間隔をランダムに変化させることにより、パルス間隔を変化させたパルス信号(図11(A)参照)を生成し、こうして生成したパルス信号を、出力ポートを介して各光センサ42,43の発光部42a,43aに送信する。メインCPUで生成されたパルス信号は、パルス間隔がランダムに異なるだけであり、パルス幅は同じである。
尚、本実施例2は、メイン制御基板21の不正判定手段による、不正有無を判定する処理内容が異なること、およびメインCPUで生成したパルス信号のパターン(発光パターン)が異なること以外は、上述した実施例1と同じであることから、同じ構成要素には同じ符号を記し、その詳細を省略する。
メイン制御基板21の不正判定手段は、実施例1と同様に、電流検知センサ45から検知信号を受信しない状態では、不正無し(正常)と判定する。この正常な状態でメダルXが投入用通路31を通過した際に、作動判定手段は、第一光センサ42と第二光センサ43との各受光部42b,43bから送信された受光信号に基づいて、メダルXを検知判定する。これに伴って、カウント手段がクレジット数の増加処理を行う。
一方、本実施例2にあって、不正判定手段には、第一光センサ42と第二光センサ43との各受光部42b,43bから送信された受光信号が入力される。不正判定手段は、電流検知センサ45から検知信号を入力した場合に、該検知信号で示される非検知と検知との切替タイミングと、各光センサ42,43の受光部42b,43bから入力した受光信号で示される非受光と受光との切替タイミングとが、一致するか否かを確認し、その結果に基づいて不正有無を判定する。ここで、検知信号で示される非検知と検知との切替タイミングは、非検知から検知に切り替わるタイミングと、検知から非検知に切り替わるタイミングとを含む(図11(D)参照)と共に、受光信号で示される非受光と受光との切替タイミングは、非受光から受光に切り替わるタイミングと、受光から非受光に切り替わるタイミングとを含む(図11(B),(C)参照)。すなわち、本実施例2の不正判定手段では、検知信号で示される非検知から検知に切り替わるタイミングと、受光信号で示される非受光から受光に切り替わるタイミングとが一致するか否かの確認を行うと共に、検知信号で示される検知から非検知に切り替わるタイミングと、受光信号で示される受光から非受光に切り替わるタイミングとが一致するか否かの確認を行う。そして、これらタイミングが一致する毎に、一致した回数を予め定めた判定時間内でカウントし、この一致回数が該判定時間(例えば、5秒間)内で所定の判定値(例えば、20回)に達すると、不正有りと判定する。そして、不正判定手段は、不正有りと判定すると、上述した実施例1と同様に、不正検知信号を、カウント手段と報知手段とに夫々送信する。また、一致回数が該判定値に達する前に前記判定時間を経過すると、不正無し(正常)と判定して、該一致回数をリセットする。このように一致回数が所定回数に達した場合に不正有りと判定することによって、上述した実施例1と同様に、電気的なノイズによる電流検知センサの誤作動で不正有りと誤判定してしまうことを、防止できる。
実施例1で示した不正器具101は、上述したように、メダル投入口10から投入用通路31内に挿入された状態で、第一光センサ42と第二光センサ43との各発光部42a,43aの発光に伴って、発光素子102b,103bを発光させる。第一光センサ42と第二光センサ43との各受光部42b,43bは、発光素子102b,103bの発光を受光して、受光信号を出力する。さらに、不正器具101の配線105a,105bに、各発光素子102b,103bを発光させるための電流が流れることから、この電流を電流検知センサ45が検知して検知信号を出力する。このように不正器具101が投入用通路31内で保持された状態では、図11に示すように、各光センサ42,43の受光部42b,43bから送信された受光信号の上記切替タイミング(受光と非受光との切替タイミング)と、電流検知センサ45から送信された検知信号の上記切替タイミング(検知と非検知との切替タイミング)とを、不正判定手段が一致判定して、不正有りと判定する。これにより、不正器具101が投入用通路31に挿入されていることを検知でき、クレジット数の不正増加を確実に防止でき得る。ここで、前記受光信号で示す受光から非受光に切り替わるタイミングと非受光から受光に切り替わるタイミングとの間隔(受光信号の信号間隔)が、各光センサ42,43の発光部42a,43aを発光させるパルス信号のパルス間隔に相当し、前記切替タイミングの一致判定は、受光信号の信号間隔と前記検知信号の信号間隔(該検知信号の切替タイミングで示される間隔)とを一致判定することと実質的に同じであることから、前記した切替タイミングを用いた不正判定手段によれば、パルス間隔をランダム変化させた該パルス信号にあっても、不正の有無を正確に判定できる。
このように本実施例2の構成によれば、上述した実施例1と同様に、不正器具101の使用を正確に検知できることから、該不正器具101による不正な利益発生を防ぐことができ、該不正器具101を利用した不正行為を防止できる。
尚、本実施例2の構成にあっては、電流検知センサ45による検知から非検知に切り替わるタイミングおよび非検知から検知に切り替わるタイミングと、各光センサ42,43の受光部42b,43bによる受光から非受光に切り替わるタイミングおよび非受光から受光に切り替わるタイミングとを、一致判定するものであるが、いずれか一方の一致判定のみを行うようにしても良い。すなわち、検知から非検知に切り替わるタイミングと受光から非受光に切り替わるタイミングとの一致判定のみを実施する構成、又は非検知から検知に切り替わるタイミングと非受光から受光に切り替わるタイミングとの一致判定のみを実施する構成としても良い。
実施例3は、払出用通路60に挿入された不正器具121によりクレジット数を減算させること無くメダルXの払い出しを得る不正行為を、防止し得るものである。ホッパーユニット20のメダル送出部55とメダル払出口12とが払出用通路60により連通されており、図12に示すように、該払出用通路60には、その上流端部に、払出検知センサ61が配設されている。払出検知センサ61は、払出用通路60を挟んで対向する発光部61aと受光部61bとを備えた光センサからなり、該払出用通路60を通過するメダルXを検知するものである。尚、本発明にかかる払出用通路60の通路方向とは、払出用通路60をメダルXが通過する方向(メダル送出部55からメダル払出口12へ向かう方向)と、その逆方向との両方を含む。
払出検知センサ61は、発光部61aが上記のメイン制御基板21の出力ポートに接続され、受光部61bが該メイン制御基板21の入力ポートに接続されており、該発光部61aが、メイン制御基板21から送信される信号に従って発光し、該受光部61bが、受光に伴って該メイン制御基板21に受光信号を送信する。この払出検知センサ61が、本発明にかかる媒体検知センサである。
メイン制御基板21は、上述した実施例1と同様に、受光手段、作動判定手段、カウント手段、および不正判定手段を備える。本実施例3にあっては、払出検知センサ61の発光部61aを、スロットマシン1の稼動中で常時発光させる。作動判定手段は、受光手段を介して払出検知センサ61の受光部61bから送信された受光信号を受信し、該受光信号を連続して受信することにより、該払出検知センサ61が正常であると判定する。一方、作動判定手段は、受光信号を、所定時間連続して受信できない場合に、正常に作動してない(不正有り)と判定し、この判定結果を示す信号を報知手段に送信する。
さらに、作動判定手段は、ホッパーユニット20から排出されたメダルXの検知判定も行う。ここで、ホッパーユニット20から排出されたメダルXが払出用通路60を通過する際には、該メダルXが払出検知センサ61の発光部61aと受光部61bとの間を横切り、このときに該受光部61bで受光と非受光とが切り替わる。そして、この切り替わるタイミングはメダルXの通過により特有に生ずることから、当該切替タイミングを示すメダル検知パターンが設定されており、作動判定手段は、受光部61bから送信された受光信号が、該メダル検知パターンと一致した場合に一枚のメダルXの払い出しを検知したと判定し、該メダルXの検知判定毎に、これを示す信号をカウント手段に送信する。カウント手段では、この信号の受信毎に、クレジット数を一減算する処理を行う。
また、本実施例3の構成では、図12に示すように、払出用通路60の、払出検知センサ61の配設位置よりも下流側の位置に、電流検知センサ65が配設されている。この電流検知センサ65は、上述した実施例1と同様のものであり、その磁性体が払出用通路60を囲むように略一周されて設けられてなる。電流検知センサ65は、メイン制御基板21の入力ポートに接続されており、払出用通路60内で通路方向に沿って電流が流れると、これを検知して、その検知信号をメイン制御基板21に送信する。この電流検知センサ65から送信された検知信号は、該メイン制御基板21の不正判定手段に送られる。不正判定手段は、電流検知センサ65から送信された検知信号を入力すると、時間計測を開始し、該検知信号を連続して入力する信号入力時間を計測する。この信号入力時間の計測は、電流検知センサ65からの検知信号を連続して入力する間で継続され、該検知信号の入力停止に伴って停止される。そして、計測停止すると、計測した信号入力時間をリセットする。不正判定手段では、時間計測を継続中の信号入力時間が、予め設定された判定時間値(例えば、1秒間)に達すると、不正有りと判定する。すなわち、電流検知センサ65が所定時間連続して電流検知した場合に、不正有りと判定する。そして、不正有りと判定すると、不正検知信号を、上記したカウント手段と報知手段とに送信する。これにより、カウント手段では、不正検知信号を受信すると、クレジット数を変化させる処理を強制停止し、また、報知手段では、不正有りを示す所定の報知を行う。
本実施例3の構成は、メダル払出口12から払出用通路60に挿入された不正器具121による不正行為を防止し得るものである。ここで、不正器具121は、例えば、図13に示すように、フレキシブルなプラスチック製の薄板からなり、その先端部の一側面に、発光素子122が配設される。さらに、不正器具121には、上述した実施例1で示した不正器具101と同様に、マイコン、電源、配線125、スイッチなどが配設されている。この不正器具121は、該払出用通路60内に挿入されて、先端部の発光素子122が払出検知センサ61の受光部61bと対向し且つ近接する位置で保持される。そして、このように不正器具121が保持された状態で、払出検知センサ61の発光部61aから発した光が該不正器具121により遮られると共に、該不正器具121を除く払出用通路60内の間隙を、メダルXが通過可能である。
こうした不正器具121は、払出用通路60内で保持された状態で、配線125を介して発光素子122に連続して電流を流し、該発光素子122を常時発光させる。これにより、払出用通路60に配設された払出検知センサ61の受光部61bでは、前記発光素子122から発した光を連続して受光することから、受光信号を連続して送信する。こうした受光信号の連続送信は、払出検知センサ61の発光部61aによる常時発光を受光する正常状態と同様であることから、上記した作動判定手段では、払出用通路60に不正器具121が挿入されているにも関わらず、正常であると誤認する。さらに、このように不正器具121が払出用通路60に挿入された状態では、払出スイッチ8の操作によってホッパーユニット20から排出されるメダルXが該払出用通路60を通過しても、前記のように発光素子122を連続発光することにより、払出検知センサ61の受光部61bが受光信号を連続して送信し続けるため、該メダルXの通過を検知できない。そのため、クレジット数を減算させること無くメダルXの払い出しを得るという不正行為が行われる。
こうした不正器具121を用いた不正に対して、本実施例3の構成では、上述したように、電流検知センサ65が、該不正器具121の発光素子122の発光のために配線125を連続して流れる電流を検知し、メイン制御基板21の不正判定手段が、該電流の検知信号を所定時間連続して入力することにより、不正有りと判定する。このように、不正器具121が払出用通路60に挿入されていることを、正確に検知できる。そして、この電流検知センサ65による電流検知は、上記した払出スイッチ8の操作有無に関係しないことから、不正器具121の使用を、払出スイッチ8の操作により不正にメダルXが獲得される不正行為の実行前に検知できる。したがって、本実施例3の構成によれば、払出用通路60に挿入された不正器具121を検知できることから、クレジット数を減算させること無くメダルXの払い出しを得るという不正行為を防止でき、該不正行為による不正な利益が発生することを防止できる。
尚、本実施例3の不正判定手段では、上述したように、電流検知センサ65から入力した検知信号が所定時間連続した場合に、不正有りと判定するようにしていることから、上述した実施例1,2と同様に、スロットマシン1の内部で発生したノイズを電流検知センサ65が誤検知することにより、不正有りと誤判定することを防止できる。
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、上述の実施例以外の構成についても本発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。
例えば、上述した実施例1〜3は、夫々を別構成として説明したが、各構成を組み合わせた構成であってもよい。具体的には、実施例1の構成と実施例3の構成との両方を備えたものや、実施例2の構成と実施例3の構成との両方を備えたものとすることで、投入用通路31に挿入された不正器具101による不正行為と、払出用通路60に挿入された不正器具121による不正行為との両方を防止することができる。
また、上述した実施例1は、各光センサ42,43を発光させるパルス信号が、一周期毎にパルス幅とパルス間隔とを変化させたものとしたが、これに限らず、実施例2と同様にパルス間隔のみを変化させたパルス信号を使用することもできる。この場合には、電流検知センサ45から入力した検知信号の信号間隔(検知パターン)とメインRAMに記憶されたパルス間隔(発光パターン)とを一致判定することにより、不正有りと判定する。逆に、上述実施例2で、一周期毎にパルス幅とパルス間隔とを変化させたパルス信号を生成するようにしても良い。この場合にあっても、検知信号の切替タイミングと受光信号の切替タイミングとを一致判定することにより、不正有りと判定できる。
また、上述した実施例1,2は、パルス信号に従って投入検知センサの発光部を発光制御する構成であるが、実施例3と同様に、投入検知センサの発光部を常時発光させる構成としても良い。これら場合には、実施例1における発光パターンや、実施例2における切替タイミングに、メダルXを検知する際の検知パターンや検知タイミングを適用する。そして、これら場合にあっても、実施例3と同様に、電流検知センサから検知信号を所定時間連続して検知することにより、不正有りと判定する。逆に、上述した実施例3で、実施例1,2と同様にパルス信号に従って払出検知センサの発光部を発光制御するようにしても良い。この場合には、実施例1,2と同様に、検知信号の検知パターンや切替タイミングなどを一致判定することにより、不正有りと判定する。
また、上述した実施例1,2の構成では、電流検知センサ45の検知対象を、不正器具101の発光素子102b,103bを発光させるために配線105a,105bに流れる電流として説明したが、これに限らず、受光素子102aからマイコンに送信される信号の電流を、検知対象とすることもできる。この場合にも、上述した実施例1,2と同様の作用効果を奏し得る。