以下、本発明の実施の形態に係る走査型投影装置、および携帯型投影装置について、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る走査型投影装置1の概略を示す図である。図1に示すように、走査型投影装置1は、レーザ光を出射する二つの光源モジュール2,3と、これら光源モジュール2,3から出射されたレーザ光を1本のレーザ光に束ねて合成する合波手段4と、画像信号に応じてレーザ光を二次元走査して画像投影面5に投影画像6を投影する光偏向手段7を有している。本実施の形態では、光偏向手段7と画像投影面5の間に、光学要素8を備えている。また、走査型投影装置1は、画像投影面5からの反射光を検出する光検出手段9を備えている。なお、光源モジュール2,3を区別するために、第1光源モジュール2、第2光源モジュール3と表す。
第1光源モジュール2を主光源モジュールとしたとき、第2光源モジュール3は、第1光源モジュール2と組み合わせて用いられる組み合わせ用光源モジュールであって、用途によって用いられたり、用いられなかったりするものである。したがって、第2光源モジュール3は、必ずしも設けなくてもよい場合がある。また、走査型投影装置1には、第3の光源モジュールを付加することも可能である。
光検出手段9は、画像投影面5が図1に示すような曲面の場合、たとえば、画像投影面5において、光偏向手段7からの距離が最も近い中央位置5A、中央位置5Aから遠くなる右端位置5B、および左端位置5Cの光偏向手段5からの距離、または、各位置の距離の差を検出する。光検出手段9としては、たとえば、CCDカメラやCMOSカメラなどの撮像手段やフォトセンサ、または投受光方式のフォトダイオードなどを用いることが可能である。
本実施の形態の走査型投影装置1は、上述した光学系要素の他に、図1に示すように、制御部10を備えている。制御部10は、第1光源モジュール2、第2光源モジュール3、光偏向手段7および光検出手段9の駆動や検出動作を司る。以上説明した各構成要素は、筐体11の内部に格納されており、筐体11の画像投影面5側の側面には、走査されたレーザ光の出射孔(図示せず)が設けられている。光偏向手段7は、ミラー部40と、このミラー部40を揺動させるミラー駆動手段41を備えているが、詳しい構成については、図5を参照して後述する。
次に、第1光源モジュール2の構成について説明する。図2は、第1光源モジュール2の概略的な構成を示す図であり、平面断面図に対応している。図2に示すように、第1光源モジュール2は、筐体13と、3個のレーザ光源14,15,16と、ダイクロイックミラー17,18を有している。筐体13は、光源取付け部19A,19B,19Cを備えており、この光源取付け部19A,19B,19Cにはそれぞれ赤色、緑色、青色の波長のレーザ光を出射可能なレーザ光源14,15,16が取り付けられている。
図2に示す構成では、筐体13に設けられた円形の出射孔21に向かう光軸Lの延長線上で交差する筐体13の壁部13Aには、光源取付け部19Aが設けられている。光源取付け部19Aには、赤色のレーザ光を出射可能な赤色レーザ光源22と、コリメータレンズ23が取り付けられている。
また、壁部13Aと交差する一方の壁部13Bにも、光源取付け部19B,19Cが設けられている。そのうち、光源取付け部14寄りの位置には、レーザ光源15が設けられていて、緑色のレーザ光を出射可能な緑色レーザ光源24と、他のコリメータレンズ23が取り付けられている。また、光源取付け部15よりも光源取付け部14から離れた位置には、光源取付け部16が設けられていて、青色のレーザ光を出射可能な青色レーザ光源25と、他のコリメータレンズ23が取り付けられる。各コリメータレンズ23は、各色のレーザ光源から入射されたレーザ光を、平行光に整えて出射する。
なお、赤色のレーザ光は、635nm〜690nmの範囲の単一波長のレーザ光であり、たとえば波長が640nmのものを本実施の形態では採用している。また、緑色のレーザ光は、500nm〜560nmの範囲内の単一波長のレーザ光であり、たとえば波長が515nmのものを本実施の形態では採用している。また、青色のレーザ光は、435nm〜480nmの範囲内の単一波長のレーザ光であり、たとえば波長が450nmのものを本実施の形態では採用している。これら各色のレーザ光源は、赤色、緑色、青色の波長に対応するレーザダイオードを用いることが可能である。
また、筐体13には、ミラー取付け部26A,26Bが設けられ、そのミラー取付け部26A,26Bにはそれぞれ、ダイクロイックミラー17,18が取り付けられている。本実施の形態では、緑色レーザ光源24の光軸上に、緑色のレーザ光は反射するものの赤色のレーザ光などを透過するダイクロイックミラー17が取り付けられている。なお、ダイクロイックミラー17は、赤色のレーザ光のみを透過するものとしても良い。また、青色レーザ光源25の光軸上には、緑色および緑色よりも長波長のレーザ光は透過するが、緑色よりも短波長の青色レーザ光は反射するダイクロイックミラー18が取り付けられている。なお、ダイクロイックミラー18は、青色光のみを反射し、他の光は透過させるものとすることや、赤色と緑色のみを透過させ、他の色のものを反射させるものとしてもよい。
なお、図2に示すような構成を採用せずに、図3に示すような構成を採用しても良い。図3は、図2の変形例に係る第1光源モジュール2の概略的な構成を示す図であり、平面断面図に対応している。なお、図2に示すものと共通関係にある光学系要素には、同じ符号を附し、説明を省略する。
たとえば、走査型投影装置1のスペース的な制約等により、第1光源モジュール2の電気的な接続部位を設ける部位が限られている等の場合には、図3に示す構成を用いることができる。図3に示す構成では、同一の壁部13Bに、光源取付け部19A,19B,19Cが設けられている。また、光源取付け部19Aに取り付けられる赤色レーザ光源22から出射される赤色レーザ光を反射させるべく、新たにミラー取付け部26Cが設けられている。ミラー取付け部26Cには、赤色のレーザ光を反射するダイクロイックミラー27が取り付けられている。
次に、組み合わせ用光源モジュールに相当する第2光源モジュール3について説明する。図4は、第2光源モジュール3の概略的な構成の一例を示す図であり、平面断面図に対応している。なお、第2光源モジュール3の多くの部分は、基本的には、図2に示す第1光源モジュール2と共通の構成である。すなわち、第2光源モジュール3における筐体30は、図2に示した筐体13と共通の構成となっている。また、筐体30は、筐体13に設けられた光源取付け部19A、19B、19Cと同様の光源取付け部31A、31B、31Cを備え、ミラー取付け部26A,26Bと同様のミラー取付け部32A,32Bを備え、さらに出射孔21と同様の出射孔30Aを備えている。
ただし、筐体30の光源取付け部31A,31B,31Cに取り付けられるレーザ光源33A,33B,33Cは、走査型投影装置1の用途に応じて、好適なものが用いられる。すなわち、必要とする色度、輝度等に応じて、好適なレーザ光を出射可能なレーザ光源を、光源取付け部31A,31B,31Cのいずれかに取り付けることが可能である。
なお、図4に示すレーザ光源33A,33B,33Cと3つのコリメータレンズ34は、図2に示したレーザ光源14,15,16、および各コリメータレンズ23と同様なものを用いてもよく、ニーズに応じて異なるものを用いてもよい。また、ミラー取付け部32A,32Bに取り付けられるダイクロイックミラー35A,35Bも、図2に示したダイクロイックミラー17,18と同様のものを用いても良く、ニーズに応じて異なるものを用いても良い。
光源取付け部31A,31B,31Cへのレーザ光源33A,33B,33Cの取り付けの例としては、次のようなものがある。たとえば、レーザ光の合成によって、画像を形成する場合には、白色光を形成可能なことが必要である。かかる白色光は、赤色、緑色および青色のレーザ光を所定の割合で合成することで形成されるが、青色のレーザ光の光量を多くしても、明るさ(照度)の向上には、大きくは寄与しない。
図1に示すように、第1光源モジュール2と、第2光源モジュール3からそれぞれ出射されたレーザ光は、合波手段4によって、1つの光束となるように合波(合成)される。それにより、合波手段4から出射した後のレーザ光は、第1光源モジュール2のみから出射される場合と比較して、輝度が向上する。そのため、第2光源モジュール3が、たとえば緑色レーザ光源36を含む場合には、第1光源モジュール2のみを用いる場合と比較して、明るさを向上させることが可能となっている。
そのため、第2光源モジュール3においては、青色のレーザ光を出射する青色レーザ光源を設けずに、赤色のレーザ光を出射する赤色レーザ光源37、および緑色のレーザ光を出射する緑色レーザ光源36を設けるようにしてもよい。たとえば、3つのレーザ光源を配置する場合、全てを赤色レーザ光源37としてもよく、全てを緑色レーザ光源36としてもよく、赤色レーザ光源37を1つまたは2つ設け、残りを緑色レーザ光源36としてもよい。
特に、緑色レーザ光源36は、輝度の向上に大きく寄与する。そのため、仮に、第1光源モジュール2において、赤色レーザ光源22の効率が高い場合には、第2光源モジュール3においては、緑色レーザ光源36のみを設ける構成か、または緑色レーザ光源36の個数を、赤色レーザ光源37の個数よりも多く設ける構成を採用しても、白色光を形成可能である。
図4に示す構成においては、輝度の向上を図るため、緑色レーザ光源36を2つ設けると共に、1つの赤色レーザ光源37を設けた構成となっている。
その他、必要に応じて、レーザ光源として、黄色のレーザ光、青紫のレーザ光、紫色のレーザ光、橙色のレーザ光、紫外領域のレーザ光等を出射するものなど、種々のものを用いることが可能である。
このような、第2光源モジュール3は、たとえば、要求される(所望の)輝度、他の製品の要求により、種々のレーザ光源を組み合わせて、取り付けることが可能である。すなわち、第2光源モジュール3は、基本となる第1光源モジュール2に対して、組み合わせ用光源モジュールとなっている。
また、第2光源モジュール3においては、図4に示すような赤色、緑色、および青色のレーザ光源33A,33B,33Cに代えて、赤外線レーザを出射可能なレーザ光源を含む赤外センサを取り付けても良い。なお、この赤外センサは、出射した光の画像投影面5からの反射光を受光する受光部も備え、その受光部での受光により、対象となる部位(たとえば投影面)までの距離を計測するために用いることが可能である。したがって、このような赤外センサは、図1に示す光検出手段9の機能を備える。そのようなものとしては、たとえば投受光方式のフォトダイオードを用いたもの、画像処理によって画像投影面5の面位置(たとえば、図1に示す5A,5B,5Cの各位置)を検出するもの等、種々のものがある。このような構成とすると、光検出手段9を第2光源モジュール3が兼ねることができる。
合波手段4は、プリズムを用いることが可能である。なお、合波手段4として、プリズムの他に、必要に応じて、集光レンズ、コリメータレンズ、ミラーといった光学要素8を配置することが可能である。また、プリズムに代えて、ミラーを用い、そのミラーの他に、必要に応じて、集光レンズ、コリメータレンズ、ミラーなどの光学要素8を配置する構成を採用しても良い(図1では、代表的な光学要素8として、ミラーのみを図示している)。
図1に示すように、第1光源モジュール2および第2光源モジュール3から出射されたそれぞれ平行光になっているレーザ光は、合波手段4を経て、必要に応じて光学要素8を経た後に、光偏向手段7に入射される。図1に示す構成では、合波手段4と光偏向手段7は、筐体38に一体的に取り付けられ、これらが1つの光学ユニット39となっている。ただし、合波手段4および光偏向手段7は、筐体38に取り付けられずに、個別に位置調整可能な構成としてもよい。
光偏向手段7は、図5に示すようなミラー部40を備えていて、このミラー部40を、後述するミラー駆動手段41で揺動させることにより、画像投影面5にレーザ光を走査して、投影画像6を形成する。本実施の形態の光偏向手段7は、静電駆動方式のアクチェータを有するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)構造体であって、この構成を図5に示す。
図5は、光偏向手段7の構成の1例を示す平面図である。図5に示す光偏向手段7は、内枠部42を備え、この内枠部42の内側ほぼ中央部に、ミラー部40が配置され、その両端部で捩じり軸43を介して内枠部42に支持されている。ミラー部40は、ウエハ上に銀等の反射部材を蒸着して形成されるが、そのミラー部40の形成に際しては、レーザ光の波長や強度、反射効率に応じて適宜材料や蒸着の厚み、および蒸着の層構成が決められる。
捩じり軸43は、内枠部42に対してミラー部40を揺動させることを許容する軸部分であり、捩じることを可能とする部分である。また、ミラー部40からは、捩じり軸43を挟んで延伸部44が延伸されていて、その延伸部44からは、複数のミラー側櫛歯電極45が突出して設けられている。ミラー側櫛歯電極45は、内枠部42の第1櫛歯電極46と交互に間挿するように設けられている。ミラー側櫛歯電極45および第1櫛歯電極46によってミラー駆動手段41を構成している。これらミラー側櫛歯電極45と第1櫛歯電極46のいずれか一方は、いずれか他方よりも、光偏向手段7の上面または下面に突出している。そのため、ミラー側櫛歯電極45と第1櫛歯電極46に電圧を印加すると電界が発生し、これらの間に働く引力と斥力により、捩じり軸43に捩じり力を与え、捩じり軸43を回転軸としてミラー部40を揺動(駆動)させることを可能としている。
また、内枠部42は、外枠部47に対して、捩じることを可能とする捩じり軸48を介して支持されているが、これら内枠部42と外枠部47との間も、上記のミラー部40と内枠部42との間における構成と同様の構成となっている。すなわち、内枠部42からは、捩じり軸48を挟んで延伸部49が延伸していて、その延伸部49からは、第2櫛歯電極50が突出して設けられている。第2櫛歯電極50は、外枠部47の外枠側櫛歯電極51交互に間挿するように設けられている。これら第2櫛歯電極50および外枠側櫛歯電極51によってもう1つのミラー駆動手段41を構成している。そして、第2櫛歯電極50と外枠側櫛歯電極51のいずれか一方は、いずれか他方よりも、光偏向手段7の上面または下面に突出している。そのため、第2櫛歯電極50と外枠側櫛歯電極51に電圧を印加すると電界が発生し、これらの間に働く引力と斥力により、捩じり軸48に捩じり力を与え、捩じり軸48を回転軸としてミラー部40を揺動(駆動)させることを可能としている。
ミラー側櫛歯電極45と第1櫛歯電極46の間、および第2櫛歯電極50と外枠側櫛歯電極51の間においては、印加電圧に応じて、ミラー部40の振動周期と、振動における振れ幅を設定することができる。そして、ミラー部40の駆動周期が短い場合には、ミラー部40の共振周波数に近いことが好ましい。本実施の形態では、主走査に係る捩じり軸43は、20KHzで1200Vの電圧を印加し、副走査に係る捩じり軸48は、60Hzで50Vの電圧を印加し、主走査方向に40度、副走査方向に20度の捩じれ角としている。しかしながら、かかる周波数、電圧、捩じれ角には限られず、種々設定可能である。なお、ミラー部は、直交する2軸(捩じれ軸43、捩じれ軸48)の各々が独立して揺動可能である。なお、上記捩じれ角は、ミラー部40の揺動角度に相当する。
また、各櫛歯電極45,46,50,51に加える印加電圧は、正弦波の他、ミラー部40の追従性に応じて台形波や鋸波等適宜設定することができる。そして、ミラー駆動手段41の駆動制御により、レーザ光の走査を行う。投影画像を形成する走査方法としては、図6、図7に示すような2種類が多く採用されている。図6は、ラスタースキャンの場合の走査イメージを示す図である。また、図7は、リサージュスキャンの場合の走査イメージを示す図である。なお、ラスタースキャンにおいては、副走査方向を正弦波ではなく鋸波としても良い。このような走査イメージ(走査軌跡)を形成する情報を制御系では、描画ライン情報と表す。
図5に示すように、光偏向手段7は、ミラー部40の揺動角度を検出する揺動角度検出手段52,53を備えている。揺動角度検出手段52は、捩じり軸43に取付けられ、揺動角度検出手段53は、捩じり軸48に取付けられているが、共に同様の構成であるため、代表してその一方を説明する。揺動角度検出手段52は、光偏向手段7の捩じり軸43に設けられた圧電素子52Aと、圧電素子52Aから発生する起電力を検出する起電力検出部52Bとを有している。
圧電素子52Aは、ミラー部40の揺動(捩じれ軸43回りの回転)に伴って捩じり軸43が捩じり変形すると、それに追従して変形する。圧電素子52Aは、その変形量に応じた起電力を発生することから、起電力検出部52Bで検出された起電力の大きさに基づいて、捩じれ軸43の捩じれ角度を求めることができる。そして、この捩じれ角度からミラー部40の揺動角度(振れ角)を検出することができる。
なお、ミラー部40の揺動角度の検出は、連続的におこなってもよく、間欠的に行ってもよい。また、揺動角度検出手段52,53としては、ミラー部40の揺動角度を検出できれば、圧電素子に限らず、たとえば、光学センサや静電容量センサなどでもよい。
また、図1に示すように、本実施の形態の走査型投影装置1は、第1の光源モジュール2、第2の光源モジュール3、光偏向手段7および光検出手段9の駆動や検出動作などを司る制御部10を備えている。次に、制御部10の構成および作用について図8を参照して説明する。
図8は、本実施の形態に係る制御部10の主要な構成を示すブロック図である。なお、図8は、図2に記載の第1光源モジュール2および図4に記載の第2光源モジュール3を用いた構成の場合を例示している。制御部10では、まず、画像情報となる画像信号を入力して、この画像データを一時的に画像データ記憶部60に記憶する。描画タイミング生成部61では、描画タイミング情報および描画ライン情報を生成する。描画タイミング情報は、画像データ演算部62に送出され、描画ライン情報は、揺動角度演算部63に送出される。描画タイミング情報には、描画を行うタイミング情報等が含まれる。また、画像ライン情報には、描画を行うレーザ光の走査軌跡の情報(二次元走査位置情報)が含まれる。
画像データ演算部62は、画像タイミング生成部61から入力された描画タイミング情報に基づいて、描画する画素に対応する画像データを画像データ記憶部60から呼び出し、種々の演算を行い、各色の輝度データを光源変調部64に送出する。光源変調部64は、画像データ演算部62から入力された第1の光源モジュール2および第2の光源モジュール3の各色に対応した輝度データに基づいて、光源駆動回路を介して各色のレーザ光源の出力を調整する。図8に示すように、光源駆動回路65は赤色レーザ光源22を駆動し、光源駆動回路67は青色レーザ光源25を駆動する。光源駆動回路66は緑色レーザ光源24を駆動し、また、光源駆動回路68は緑色レーザ光源36を駆動し、光源駆動回路69は赤色レーザ光源37を駆動する。
搖動角度演算部63は、描画タイミング生成部61から入力された画像ライン情報に基づき、光偏向手段7のミラー部40の揺動角度を演算し、駆動回路70がミラー駆動手段41に印加する電圧等を決定し、その情報に基づきミラー部40の揺動角度(捩じり軸43,48の捩じれ角度)を制御する。
光検出手段制御部71は、描画タイミング生成部61から送出される描画タイミング情報に基づき、光検出手段9を制御する。光検出手段9は、投影画像6の投影領域の画像投影面5からの反射光を検出する。そして、光検出手段9では、たとえば図1に示す、画像投影面5上の位置5A,5B,5Cまたは、これら各位置の間において、光量差(明るさの差)、出射から受光にかかる時間差、などの情報を距離演算部72に取り込む。距離演算部72は、光検出手段9からの情報に基づき、画像投影面5上の位置5A,5B,5Cまたは、これら各位置の間において、ミラー部40から各検出位置までの距離、あるいは、各検出位置間の距離差を求め、これら距離情報を揺動角度補正部73に送出する。
光偏向手段7から出射される投影画像は、光偏向手段7(ミラー部40)からの距離が大きくなるに従い、投影画像が広がっていく。たとえば、図1に示す投影画像5のなかで、左右外周側の5B,5Cでは、5A位置に比べ、距離が遠くなるので、画像が広がり、この広がった位置では、5A位置に比べて照度(明るさ)が低下する。揺動角度補正部73では、上記距離情報に対応して、画像投影面5の照度(明るさ)の差が所定の基準または選択された基準より小さく、照度がほぼ均一になるようにミラー部40の揺動角度(振れ角)を算出して、揺動角度演算部63に送出する。揺動角度補正部73からの情報が揺動角度演算部63に入力された場合、揺動角度演算部63では、描画タイミング生成部61からの画像ライン情報と、揺動角度補正部73からの情報とを対応付けして、ミラー部40の揺動角度(振れ角)を決定して、駆動回路70に送出する。そして、この情報に基づき光偏向手段7を駆動する。ミラー部40の揺動角度(振れ角)は、光偏向手段7のミラー駆動手段41に印加する電圧値で制御される。
本実施の形態の例では、主走査に係る捩じり軸43は、120Vの電圧を印加したとき、主走査方向に40度の振れ角となり、90Vの電圧を印加したとき、主走査方向に30度の振れ角となる。この捩じり軸43の振れ角はミラー40の主走査方向の揺動角度に相当する。副走査に係る捩じり軸48は、50Vの電圧を印加したときに、副走査方向に20度の振れ角となり、40Vの電圧を印加したときに副走査方向に17度の振れ角となる。この振れ角は、ミラー部40の副走査方向の揺動角度(振れ角)に相当する。このように、印加する電圧値によって、ミラー部40の揺動角度を制御することができる。そして、このミラー部40の揺動角度を距離情報に基づき補正すると、補正しない場合にくらべ、投影画像6の投影面積は揺動角度補正相当分だけ縮小されるので、画像投影面5内の照度(明るさ)の差を小さくすることが可能となる。
以上説明した本実施の形態による走査型投影装置1によれば、立体的な凹凸を有する画像投影面や、曲面を有する画像投影面においても照度(明るさ)の差が小さい投影画像を投影することが可能となる。そのことについて、図9、図10に例をあげ説明する。
図9は、画像投影面5が立体的な凹凸を備えた場合の1例を示す図である。図9に示すように、画像投影面5は、3つのブロックを積み重ねたような構成であり、走査型投影装置1に対向する画像投影面5は、下方から5A,5B,5Cの3つの投影面から構成されている。このように、画像投影面5が、走査型投影装置1に対して主として高さ方向に段差を有する場合には、5A,5B,5Cの各投影面の走査型投影装置1からの距離(各投影面の距離差、言い換えれば段差))に応じて、ミラー部40の垂直方向(副走査方向)の揺動角度(振れ角)を制御する。図示した例では、走査型投影装置1に最も近い5A面を投影基準面とし、5B面、5C面は、5A面との段差(距離差)を検出し、副走査方向にミラー部40の揺動角度を制御する。つまり、5B面および5C面では、5A面よりもミラー部40の揺動角度を小さくなるように、ミラー駆動手段41に印加する電圧を制御すればよい。
図10は、画像投影面5が曲面の場合の1例を示す図である。図10に示すように、画像投影面5は、円柱のような立体物の側面で構成されている。このように、画像投影面5が曲面を備え、走査型投影装置1に対して、画像投影面5が主として横方向(水平方向)に距離差を有する場合には、各投影面の距離に応じて、ミラー部40の水平方向(主走査方向)の揺動角度を制御する。たとえば、走査型投影装置1に最も近い5A位置を投影基準位置とし、5B位置、5C位置では、5A位置との距離差を検出し、投影画像6の照度(明るさ)の差が所定の基準または選択された基準より小さくなるように、ミラー部40の揺動角度(振れ角)を制御する。つまり、5B位置近傍および5C位置近傍では、投影画像6の投影面積を縮小するように、ミラー駆動手段41に印加する電圧を制御すればよい。また、画像投影面5の右端(5B位置)から左端(5C位置)までの範囲で、連続的に距離(距離差)を検出し、その都度、ミラー部40の揺動角度を制御することも可能である。
以上説明した第1の実施の形態に係る走査型投影装置1は、第1光源モジュール2から出射されるレーザ光を光偏向手段7によって二次元に走査して画像投影面5に投影画像6を投影する。レーザ光は平行光に整えられていることから走査型投影装置1から画像投影面5までの距離に関係なく鮮明な投影画像6を投影することが可能となる。
光偏向手段7から出射される投影画像6は、画像投影面5の距離が大きくなるに従い、投影画像6が広がり、投影画像6が広がった位置では照度(明るさ)が低下する。そこで、ミラー部40から画像投影面5までの距離、または画像投影面5内の各位置の距離差を光検出手段9で検出し、検出された距離(距離差)に応じて、ミラー部40の揺動角度を制御する。つまり、距離が遠い位置の画像投影面では揺動角度を小さくして投影画像の投影面積を縮小することで、揺動角度を制御しない場合にくらべ、画像投影面5の全体の照度(明るさ)の差を小さくすることができる。しかしながら、光検出手段9を設けないようにしてもよい。
また、第1光源モジュール2は、赤色レーザ光源22、緑色レーザ光源24、および青色レーザ光源25で構成される。たとえば、赤色レーザの波長を640nm、緑色レーザ光の波長を515nm、青色レーザ光の波長を450nmとした場合、これら各色のレーザ光は純色性が高いことから、入力される画像信号に対して、広範囲の色再現性を得ることが可能となる。
また、本実施の形態の第1光源モジュール2は、画像信号に応じて波長の異なるレーザ光を出射する複数のレーザ光源からなり、この複数のレーザ光源から出射されたレーザ光を合波手段4で束ねて出射しているため、照度(明るさ)が高い投影画像が得られる。そのため、画像投影面5からの反射光を光検出手段3で検出し、画像投影面5までの距離または距離差にかかる情報を正確に取り込むことが可能となる。
また、本実施の形態の光偏向手段7は、ミラー部40と、ミラー部40を揺動させるミラー駆動手段41を有する静電駆動方式のMEMS構造体である。このため、ミラー駆動手段41(ミラー側櫛歯電極45と第1櫛歯電極46の間、第2櫛歯電極50と外枠側櫛歯電極51の間)に印加する電圧に応じたミラー40の揺動(駆動)を実現することができる。
また、MEMS構造体は、半導体製造技術を活用して精度よく製造可能であり、レーザ光の走査位置(ミラー部40の振れ角)を高精度に制御可能であり、しかも応答性にも優れる。このように、光偏向手段11として静電駆動方式のMEMS構造体を採用することで、小型化、低騒音化および低消費電力化が可能となる。
また、ミラー部40は、直交する2軸(本実施の形態では、捩じり軸43と捩じり軸48の2軸)で独立して揺動を制御可能としている。したがって、画像投影面5が、垂直方向また水平方向のどちらに凹凸や曲面を備えるものであっても、照度(明るさ)の差が小さい投影画像6が得られる。また、このように、ミラー部40を2軸で独立して揺動角度を制御可能であることから、投影画面上に線状や点状の画像を投影するマーカーとして用いることができる。
また、ミラー側櫛歯電極45と第1櫛歯電極46の間の静電容量、および第2櫛歯電極50と外枠側櫛歯電極51の間の静電容量を検出することで、これらのミラー側櫛歯電極45と第1櫛歯電極46の間における駆動量、および第2櫛歯電極50と外枠側櫛歯電極51の間の駆動量を検出することが可能となる。つまり、ミラー部40の振れ角(揺動角度)を検出できる。そのため、かかる振れ角に基づいて、制御部20がミラー駆動手段41に印加する電圧を制御することで、精度の高い揺動(駆動)制御を可能にする。さらに、本実施の形態の光偏向手段7は、捩じり軸43に揺動角度検出手段52を備え、捩じり軸48に揺動角度検出手段53を備えている。そのことによって、ミラー部40の揺動角度を検出することで、ミラー部40の揺動角度(振れ角)をより正確に制御可能となる。
また、本実施の形態の走査型投影装置1は、第1光源モジュール2と組み合わせて用いられる第2光源モジュール3(組み合わせ用光源モジュール)を備えることが可能である。第1光源モジュール2から出射されるレーザ光と、第2光源モジュール3から出射されるレーザ光は、合波手段4によって合成されている。かかる合波手段4を用いることで、第1光源モジュール2および第2光源モジュール3から出射されるレーザ光は、1本の光束に集約させることができ、照度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、第2光源モジュール3は、ニーズに合わせた好適なレーザ光源を組み込むことが可能である。それにより、所望する特性や機能を、ニーズに合わせて十分に発揮させることが可能となる。たとえば、明るさが必要な場合には、第2光源モジュール3において、図4に示すように、緑色レーザ光源36を2つ設ける、といった構成を採用することができる。また、レーザ光源の出力や視感度に応じて、好適な出力や色のレーザ光を出射するレーザ光源を選択して、組み込むことも可能である。
また、本実施の形態の走査型投影装置1は、第2光源のジュール3に、赤色、緑色、または青色のレーザ光源に代えて、赤外線レーザを出射可能な赤外線光源を含む赤外センサを取り付けても良い。なお、この赤外センサは、出射した光の反射光を受光する受光部も備え、その受光部での受光により、画像投影面5までの距離を計測するために用いることが可能であり、この赤外センサは、光検出手段9に相当する機能を有することができる。ただし、赤外センサ以外のセンサを光検出手段としても良い。そのようなものとしては、たとえば投受光方式のフォトダイオードを用いたもの、画像処理によって移動するものを認識するもの等、種々のものがある。また、赤外線光源を用いることによって、投影画像6が暗い場合や、投影画像6のコントラストが大きい場合などにおいても、距離計測に有効である。
(第2の実施の形態)
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る走査型投影装置について図面を参照しながら説明する。第2の実施の形態の走査型投影装置は、第1の実施の形態の走査型投影装置1に光学結像素子を加えて、空間に投影画像(空中像)を形成するものである。
図11は、第2の実施の形態に係る走査型投影装置80の概略を示す図である。照射光投影装置82から出射される投影画像89を空間に出射して投影画像(空中像)を結像させる光学装置である。図11に示すように、走査型投影装置80は、光源ユニット81と、光源ユニット81から出射されるレーザ光が投影画像として照射される照射光投影手段82と、光学結像手段83と、から構成されている。なお、光源ユニット81は、第1の実施の形態の走査型投影装置1(図1参照)に相当し、第1光源モジュール2、第2光源モジュール3および光偏向手段7などを有している。したがって、光源ユニット81の説明は省略する。また、本実施の形態の照射光投影装置82は、反射面82Aを備えたスクリーンであって、言い換えれば、ミラーである。
光源ユニット81、照射光投影手段82および光学結像手段83は共に、不図示の筐体によって支持される。この筐体は、光学結像手段83の配置位置方向に不図示の出射孔を備えている。この筐体内において、光源ユニット81、照射光投影手段82および光学結像手段83は独立して支持部材によって支持されている。なお、照射光投影手段82および光学結像手段83は、共通の支持部材によって一体化してもよい。光学結像手段83の構成は、図12を参照して説明する。
図12(A)は、本実施の形態の光学結像手段83の構成の1例を示す斜視図、図12(B)は、(A)に示す光学結像手段83の平面図の一部である。なお、図12(A)に示す光学結像手段83は、光学結像の原理を示す図である。図12(A)に示すように、光学結像手段83は、第1光制御パネル84と、第2の制御パネル85とから構成されている。第1光制御パネル84は、透明平板の厚み方向に渡って垂直の金属反射面からなる平面反射面部86を一定のピッチで配列して構成されている。第2光制御パネル85も同様に、透明平板の厚み方向に渡って垂直の金属反射面からなる平面反射面部87を一定のピッチで配列して構成されている。そして、第1光制御パネル84と第2光制御パネル85は、それぞれの反射面部86と反射面部87が直交するように配置されて、互いに対向する面が密着され、透光性の接着剤などで固定される。
第1光制御パネル84と第2光制御パネル85は、たとえば、アルミニウムまたは銀等の蒸着層からなる金属反射面が一面側に形成された透明樹脂板(たとえば、アクリル樹脂板)またはガラス板が、一方側に配置するように多数枚積層されたものである。
光学結像手段83の第1光制御パネル84の一面側(第2光制御パネル85に対して反対側の面)にある照射光投影手段82から放射された光は、第1光制御パネル84の下方の面に斜めに入射すると、入射した光は第1光制御パネル84内に進入し、反射面部86のA点で反射される。そして、反射面部86で反射された反射光は、第2光制御パネル85の平面反射板が形成されていない面から第2光制御パネル85内に進入する。第2光制御パネル85内に進入した光のうち、一部の光は反射面部87のB点で反射され、さらに第1光制御パネル85内を進行し、第2光制御パネル85の反射面部87が無い方向の面側から外部に放出される。
ここで、図12(B)に示すように、反射面部86と反射面部87は、直交させて向い合せて配置されている。このため、第1光制御パネル85内を進行する光のうち、反射面部86に入射しA点で反射した光が反射面部87のB点で2回目の反射を起こすと、2回目の反射光は、反射面部86に入射した光と平面視して平行となる。このため、照射光投影手段82に投影された投影画像88は、光学結像手段83を挟んで、投影画像88と対称位置に収束し、視認者にとって、投影画像(空中像)89として認識できる。反射面部86に入射しA点で反射した光が反射面部87で2回目の反射を起さない場合には、この光は外部に放射される。なお、投影画像89は、照射光投影手段82に投影された投影画像88とは表裏(逆)の画像となる。
なお、本実施の形態の照射光投影手段82は、光源ユニット81から出射されるレーザ光の出射方向とは異なる方向に反射光を出射する角度になるように配置されることが好ましく、光学結像手段83は、照射光投影手段82の反射面(投影面)82Aに対して所定の角度を有して配置されることが好ましい。
以上説明した第2の実施の形態の走査型投影装置80は、光源ユニット81から出射されるレーザ光が平行光であることから、画像投影位置(本実施の照射光形態では、照射光投影手段82)までの距離にかかわらず、所定のビーム径を維持することができ、鮮明な投影画像を形成できる。そこで、照射光投影手段82からの反射光の放射方向に透過性を備えた光学結像手段83を配置することで、光学結像手段83を挟んで、照射光投影手段82に対して反対側の空間に、照射光投影手段82に投影された投影画像88とは対称となる投影画像(空中像)89として投影することが可能となる。なお、図11に示すように、光源ユニット81から出射されるレーザ光の出射方向に対して照射光投影手段82が傾斜している。つまり、照射光投影手段82の反射面82A(光源ユニット81に対しては画像投影面)は、光源ユニット81からの距離が光学結像手段83側で、その下方側よりも遠くなる。光源ユニット81では、この距離の差に応じてミラー部40の揺動角度を制御可能となっているので、照射光投影手段82に投影された投影画像88は、反射面82A内で照度(明るさ)の差が小さい鮮明な投影画像を形成できる。したがって、投影画像(空中像)89も鮮明に投影可能となる。なお、光源ユニット81は、光学検出手段9を有しない構成としてもよい。
本実施の形態では、視認者は、光学結像手段83の面上の視野内で投影画像(空中像)89を視認することが可能である。このとき、視認者は、光学結像手段83に対して所定の角度で投影画像(空中像)89を見ることができる。この投影画像(空中像)89の角度は、光源ユニット81に対する照射光投影手段82の角度、および照射光投影手段82に対する光学結像手段83の角度によって決まる。そこで、光源ユニット81に対する照射光投影手段82の角度、および照射光投影手段82に対する光学結像手段83の角度を、視認者の視線方向が同じ角度になるように調整すれば、視認者は、常に良好な投影画像(空中像)89を視認することができる。なお、これらの角度の変更は、照射光投影手段82、光学結像手段83を支持する支持部材の取付け角度を変更することで実行できる。たとえば、支持部材をモータなどで駆動したり、支持部材と連結する筐体外部の操作部材を操作することなどで、これらの角度を変更することが可能である。この際、照射光投影手段82と透光学結像手段83を、共通の支持部材によって支持し、照射光投影手段82と透光学結像手段83を一体的に操作して光源ユニット81に対する角度を調整することが可能である。
また、視線に対する投影画像(空中像)89の角度調整としては、光源ユニット81から出射されるレーザ光の照射光投影手段82への照射角度を変更することでもなし得る。たとえば、ミラー部40の走査範囲を主走査方向(水平方向)または副走査方向(垂直方向)において、一方側に片寄せることによって、投影画像(空中像)89の結像位置を移動させることが可能となる。
(第3の実施の形態)
続いて、走査型投影装置1を用いた携帯型投影装置90について図面を参照しながら説明する。携帯型投影装置90としては、眼鏡型、ヘルメット型、ヘッドフォン型、あるいは持ち運び自在な小型投影装置に適用可能であるが、ここでは、ヘッドフォン型を例示して説明する。したがって、携帯型投影装置90をヘッドフォン90と表す。
図13は、本実施の形態に係る携帯投影装置としてのヘッドフォン90の使用状態を示す概略図である。図13に示すように、このヘッドフォン90は、内部に光源ユニット81を内蔵した形態をしており、視認者の視線方向にレーザ光を出射可能となっている。本実施の形態の光源ユニット81は、第1の実施の形態に記載の走査型投影装置1に相当し、入力された画像信号に応じて、視認者の視線方向に投影画像出射し、画像投影面5である手のひらに投影画像6を投影する。画像信号は、不図示の画像出力本体部から無線通信手段などによって光源ユニット81に入力される。光源ユニット81には、走査型投影装置1に設けられている光検出手段9を備えられており、光源ユニット81は、光源ユニット81から画像投影面5内の各位置の距離を検出して、画像投影面5の範囲内において、投影画像6の照度(明るさ)の差が小さくなるように、ミラー部40の揺動角度を変更することが可能となっている。なお、光検出手段9を設けないようにしてもよい。
以上説明したように、本実施の形態の携帯型投影装置90は、画像投影面5までの距離が遠くなった場合に、ミラー部40の揺動角度を小さくして、投影画像6の投影面積を縮小することで、投影画像6内の位置によって照度(明るさ)の差が小さいほぼ均一の照度にすることが可能となる。また、図13に示すように、画像投影面5が手のひらのように位置や距離、またはレーザ光に対する傾きが一定ではないような場合であっても、光源ユニット81は、ほぼ平行光であるレーザ光束を用いて投影画像を投影しているので、距離に関係なく良好な投影画像6を形成できる。また、画像投影面5の位置がどこにあっても、画像投影面5(たとえば、手のひら)に良好な投影画像6を形成することが可能となる。
また、本実施の形態では、画像投影面5が手のひらの場合を図示して説明したが、画像投影面5は、比較的近距離であれば、距離に応じて、ミラー部40の揺動角度を変更すれば、壁、床、または机上など、あるいは他の場所であっても、良好な投影画像5を形成することが可能である。
なお、図13では、ヘッドフォン型の携帯型投影装置90を図示したが、眼鏡やゴーグルなどに光源ユニット81を組み込むことが可能である。たとえば、眼鏡またはゴーグルなどの場合には、図13で示したように手のひらのような画像投影面5の投影画像6を形成させること以外に、光源ユニット81から出射されたレーザ光をミラーで反射させ、この反射光を視認する、いわゆる、ヘッドマウントディスプレイ型の投影装置にも適応可能である。本実施の形態の光源ユニット81を用いた場合、走査されたレーザ光がほぼ平行光であることから、光源ユニット80から画像投影面5までの距離が、たとえば、数cmから数十cmであっても、良好な投影画像を形成することができる。
以上、本発明の各実施の形態では、走査型投影装置1,80および携帯型投影装置90について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変更実施が可能である。たとえば、上述の第1の実施の形態において、第1光源モジュール2、第2光源モジュール3および光学ユニット39が備える光学的な構成要素は、上述のものに限られず、必要に応じて、種々のものを追加的にまたは選択的に用いても良い。そのような光学的な構成要素としては、ハーフミラーやダイクロイックミラーのようなミラー、各種のレンズ、各種のプリズム、光学的なフィルタ等が挙げられる。
また、上述した第1の実施の形態では、第2光源モジュール3が組み合わせ用光源モジュールに対応しているが、組み合わせ用光源モジュールは、1つに限られるものではなく、複数の組み合わせ用光源モジュールを用いる構成を採用しても良い。この場合、複数の組み合わせ用光源モジュールにおいては、レーザ光源の配置が同一でも良く、異なっていても良い。また、第1光源モジュール2を複数用いる構成を採用しても良い。
上述の各実施の形態では、光偏向手段7は、ミラー部40と、ミラー部40を揺動させるミラー駆動手段41を有する静電駆動方式のMEMS構造体としている。しかしながら、光偏向手段7は、MEMS型の静電駆動方式に限られない。他の光偏向手段としては、圧電駆動型のメタルベース構造を用いたメタルベース光走査素子があり、また圧電素子の歪を利用した圧電方式としても良い。また、磁気力でミラー部を駆動する電磁方式を採用しても良い。
また、第1の実施の形態では、画像投影面5内の距離(距離差)を光検出手段9で検出し、ミラー部40の揺動角度(振れ角)を調整しているが、距離検出以外の方法を採用することも可能である。たとえば、入力される画像信号の中に、基準画像を含み、凹凸や曲面を備えた画像投影面にこの基準画像を投影してCCDカメラやCMOSカメラなどの撮像手段で撮像し、基準画像と投影画像との差異を検出して、この差異情報に基づき予め補正した画像体タイミング情報を用いて、ミラー部40の揺動角度(振れ角)を決定する方法も可能である。また、光検出手段9などの光検出装置を設けないようにしてもよい。
また、ミラー部40の揺動角度の調整は、レーザ光の1走査サイクル毎に行うことや、画像を投影する初期段階で揺動角度を決定して、以降、画像投影面5に変化がない限り、その揺動角度の範囲内で投影を継続することも可能である。
また、第1光源モジュール2は、波長の異なる複数のレーザ光源を備えるものとしたが、1つまたは複数の波長の光を出射する1つのレーザ光源を有する光源モジュールとしてもよい。また、上述の各実施の形態では、画像信号を入力したが、単なる信号としてもよい。
以上説明した各実施の形態に記載の走査型投影装置1,80および携帯型投影装置90は、それぞれの特徴を活かして、曲面マルチスクリーン、異形ディスプレイ(たとえば、長尺、自由形状、円形、または中抜きディスプレイなど)に適用可能である。さらに、見る方向で映像の異なる空中中吊り広告や、空間タッチスイッチ(たとえば、トイレの水洗スイッチ等直接触れることが好ましくないものなど)、手術室等の医療用ディスプレイ、あるいは作業現場用モニタディスプレイなどにも適用可能である。