JP6081348B2 - 多孔質膜評価装置および多孔質膜評価方法 - Google Patents

多孔質膜評価装置および多孔質膜評価方法 Download PDF

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本発明は、多孔質膜を評価する技術に関する。
ゼオライト膜などのミクロ多孔質膜は、そのミクロ細孔構造に由来する分子篩作用や特異な吸着特性によって従来の分離膜では実現困難な高選択的な透過分離が可能である。例えば、A型ゼオライト膜やY型ゼオライト膜が、エタノールの脱水等の液体分離に利用可能である。ゼオライト膜を利用する実際の分離装置では、アルミナ等により形成される多孔質の筒状支持体の外周面にゼオライト膜を製膜した多孔質管(「ゼオライト膜エレメント」とも呼ばれる。)が用いられる。このような多孔質管の製造では、例えばエタノールやイソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール脱水性能を実際に評価することにより、多孔質管の品質が確認される。
また、ゼオライト膜を二酸化炭素等のガス分離に利用することも試みられている。例えば、特許文献1では、COの膜分離回収システムが開示されている。当該システムのCO膜分離手段は、100〜800℃の加熱処理により脱水処理された親水性ゼオライト膜を備える。また、当該システムでは、CO膜分離手段の前段に脱水手段が設けられる。
一方、特許文献2では、細孔径分布を測定する装置が開示されている。当該装置では、細孔を有する被検体が、その細孔の一端が1次チャンバに、かつ、細孔の他端が2次チャンバにそれぞれ連通するようにして保持される。1次チャンバには、非凝縮性ガスと凝縮性ガスとの混合気体である検査ガスが供給され、非凝縮性ガスと凝縮性ガスとの混合割合を変化させつつ被検体を通過した検査ガスの量が測定される。これにより、細孔の径およびその分布状況を正確に測定することが可能となる(いわゆる、パームポロメトリー法)。特許文献3および4においても、特許文献2と同様の装置が開示されている。
特開2012−232274号公報 特開2001−235417号公報 特開2005−74382号公報 特開2008−157826号公報
ところで、アルコール脱水にて高性能を発揮したゼオライト膜が、必ずしもガス分離性能が高いわけではないことが本発明者らの実験により明らかになった。そこで、多孔質膜の評価にパームポロメトリー法を利用することが考えられるが、特許文献2ないし4の装置では、1つの多孔質膜しか評価することができず、複数の多孔質膜の品質評価を効率よく行うことができない。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、複数の多孔質膜の品質評価を精度よく、かつ、効率よく行うことを目的としている。
請求項1に記載の発明は、多孔質膜を評価する多孔質膜評価装置であって、複数の多孔質膜をそれぞれ収容するとともに、内部空間が多孔質膜により第1空間と第2空間とに仕切られる複数の膜収容部と、前記複数の膜収容部における複数の第1空間を直列に接続するとともに、最後の膜収容部における第1空間を排気口に接続する複数の第1接続管と、蒸気の分圧を前記蒸気の飽和蒸気圧にて除した値を相対蒸気圧として、所定の相対蒸気圧の前記蒸気と、乾燥ガスとを含む混合ガスを、最初の膜収容部における第1空間に連続的に供給する混合ガス供給部と、前記複数の膜収容部における複数の第2空間にそれぞれ接続される複数の第2接続管と、前記複数の第2接続管にそれぞれ設けられる複数のバルブと、前記複数の第2接続管に接続され、前記複数のバルブを個別に開放した際に、開放されたバルブを通過するガスの流量を測定する流量測定部とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の多孔質膜評価装置であって、前記所定の相対蒸気圧が、0.2以下である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の多孔質膜評価装置であって、前記最後の膜収容部の前記第1空間から排出されるガスにおける前記蒸気の濃度を測定する蒸気濃度測定部をさらに備える。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の多孔質膜評価装置であって、前記最後の膜収容部と前記排気口とを接続する第1接続管に設けられる第1圧力調整部と、前記複数の第2接続管の前記複数の膜収容部とは反対側の端部が接続される集合排出管と、前記集合排出管に設けられる第2圧力調整部とをさらに備える。
請求項5に記載の発明は、多孔質膜評価装置における多孔質膜評価方法であって、前記多孔質膜評価装置が、複数の多孔質膜をそれぞれ収容するとともに、内部空間が多孔質膜により第1空間と第2空間とに仕切られる複数の膜収容部と、前記複数の膜収容部における複数の第1空間を直列に接続するとともに、最後の膜収容部における第1空間を排気口に接続する複数の第1接続管と、前記複数の膜収容部における複数の第2空間にそれぞれ接続される複数の第2接続管と、前記複数の第2接続管にそれぞれ設けられる複数のバルブとを備え、前記多孔質膜評価方法が、a)蒸気の分圧を前記蒸気の飽和蒸気圧にて除した値を相対蒸気圧として、所定の相対蒸気圧の前記蒸気と、乾燥ガスとを含む混合ガスを、最初の膜収容部における第1空間に連続的に供給する工程と、b)前記a)工程に並行して前記複数のバルブを個別に開放した際に、開放されたバルブを通過するガスの流量を測定する工程とを備える。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の多孔質膜評価方法であって、c)前記a)工程の前に、前記最初の膜収容部の前記第1空間に前記乾燥ガスのみを連続的に供給する工程と、d)前記c)工程に並行して前記複数のバルブを個別に開放した際に、開放されたバルブを通過するガスの流量を測定する工程と、e)前記b)工程により得られる流量と、前記d)工程により得られる流量とに基づいて各多孔質膜の評価値を算出する工程とをさらに備える。
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の多孔質膜評価方法であって、前記最後の膜収容部の前記第1空間から排出されるガスにおける前記蒸気の濃度が、前記最初の膜収容部の前記第1空間に供給される前記混合ガスにおける前記蒸気の濃度と一致した際に、前記b)工程が開始される。
本発明によれば、複数の多孔質膜の品質評価を精度よく、かつ、効率よく行うことができる。
多孔質膜評価装置の構成を示す図である。 膜収容部を示す断面図である。 多孔質膜を評価する処理の流れを示す図である。 CO/H透過分離性能と水/IPA透過分離性能との関係を示す図である。 CO/H透過分離性能とガス透過寄与率との関係を示す図である。 多孔質膜におけるガス透過度の経時変化、および、最後の第1接続管におけるガスに含まれる水蒸気の露点の経時変化を示す図である。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る多孔質膜評価装置1の構成を示す図である。多孔質膜評価装置1は、分離膜として利用される複数の多孔質膜9の品質を評価する装置である。多孔質膜評価装置1は、複数の多孔質膜9をそれぞれ収容する複数の膜収容部2と、複数の膜収容部2を直列に接続する複数の第1接続管31と、複数の膜収容部2にそれぞれ接続される複数の第2接続管32と、複数の第2接続管32にそれぞれ設けられる複数のバルブ(例えば、電磁弁)33と、最初の膜収容部2に所定のガスを供給する混合ガス供給部4と、多孔質膜評価装置1の全体制御を担う制御部10と、を備える。混合ガス供給部4からのガスは、直列に接続される複数の膜収容部2における最初の膜収容部2から最後の膜収容部2に向かって順に流れる。図1では、5個の膜収容部2を図示しているが、膜収容部2の個数は2以上であればよく、例えば、数十個である。
図2は、1つの膜収容部2を示す断面図である。本実施の形態における多孔質膜9は、多孔質管91(いわゆる、ゼオライト膜エレメントまたは分離膜エレメント)に設けられるゼオライト膜である。多孔質膜9は、アルミナ等により形成される多孔質の筒状支持体911の外周面の全体に製膜される。図2では、多孔質膜9を太い実線にて示している。例えば、多孔質膜9として、A型、Y型、MOR型のゼオライト膜が用いられる。
筒状支持体911の両端には、緻密なアルミナ等により形成される支持端部912,913が設けられる。一方の支持端部912は円柱状であり、筒状支持体911の一端が支持端部912により閉塞される。他方の支持端部913は円筒状であり、第2接続管32の一端が支持端部913に固定される。このように、多孔質管91の内部は、第2接続管32を除き、多孔質膜9を介してのみ外部と連通する空間である。好ましくは、多孔質管91の全体がセラミックにて形成される。なお、筒状支持体911の細孔は、多孔質膜9の細孔よりも十分に大きい。
各膜収容部2は、両端が閉塞された筒状の本体部21を有し、多孔質管91は本体部21内に挿入される。実際には、本体部21の一端は開閉可能な蓋部であり、多孔質管91の交換が可能である。例えば、本体部21は、ステンレス鋼等の金属にて形成される。膜収容部2は、「単管膜モジュール」とも呼ばれる。図1中の最初および最後の膜収容部2を除き、各膜収容部2の本体部21には、2つの第1接続管31が接続される。一方の第1接続管31は一方の支持端部912の近傍に設けられる。また、他方の第1接続管31は他方の支持端部913の近傍に設けられる。
最初の膜収容部2の本体部21では、混合ガス供給部4の供給管42(図1参照)が支持端部913の近傍に設けられ、下流側の膜収容部2と接続する第1接続管31が支持端部912の近傍に設けられる。最後の膜収容部2の本体部21では、上流側の膜収容部2と接続する第1接続管31が支持端部913の近傍に設けられ、図1中にて符号31aを付すもう1つの第1接続管(以下、「最後の第1接続管31a」という。)が支持端部912の近傍に設けられる。
膜収容部2の本体部21の内部は、2つの第1接続管31(最初の膜収容部2の本体部21では、混合ガス供給部4の供給管42と1つの第1接続管31)、および、第2接続管32を除き、密閉された空間である。詳細には、本体部21の内部には、本体部21の内周面と多孔質管91の外周面との間の空間201(以下、「第1空間201」という。)と、多孔質管91の内部の空間202(以下、「第2空間202」という。)と、が設けられる。混合ガス供給部4からのガスは複数の膜収容部2の第1空間201を直列に流れ、多孔質膜9を透過したガスが第2空間202へと流れる。したがって、第1空間201は多孔質膜9に対する非透過側の空間といえ、第2空間202は多孔質膜9に対する透過側の空間といえる。多孔質膜評価装置1では、多孔質管91の筒状支持体911、および、両支持端部912,913は、膜収容部2の一部であり、膜収容部2の内部空間は多孔質膜9により第1空間201と第2空間202とに仕切られていると捉えることができる。
膜収容部2の構造を簡略化して示す図1では、矩形にて示す膜収容部2の内部において、太い実線にて示す多孔質膜9の左側の空間が第1空間201であり、右側の空間が第2空間202である。既述のように、複数の第1接続管31が、複数の膜収容部2における複数の第1空間201を直列に接続し、最後の第1接続管31aが、最後の膜収容部2における第1空間201を排気口50に接続する。例えば、排気口50は屋外に開口する。複数の第2接続管32は、複数の膜収容部2における複数の第2空間202にそれぞれ接続される。複数の膜収容部2は、図1中にて矩形の破線にて示す恒温槽11に収容される。複数の膜収容部2の温度は、温度調整部である恒温槽11により調整可能である。実際には、膜収容部2の間を接続する第1接続管31も恒温槽11に収容される。
最後の第1接続管31aには、最後の膜収容部2から排気口50に向かって順に、圧力ゲージ51と、圧力調整部である背圧弁52と、蒸気濃度測定部53と、が設けられる。後述するように、混合ガス供給部4から蒸気を含むガスを供給する際には、複数の膜収容部2の第1空間201の圧力が、背圧弁52の開度により調整される。また、蒸気濃度測定部53により、最後の膜収容部2の第1空間201から排出されるガスにおける蒸気の濃度が測定される。
複数の第2接続管32の複数の膜収容部2とは反対側の端部は、1つの集合排出管34に接続される。集合排出管34は、複数の第2接続管32を排気口60に接続する。例えば、排気口60は屋外に開口する。集合排出管34には、複数の第2接続管32から排気口60に向かって順に、圧力ゲージ61と、圧力調整部である背圧弁62と、流量測定部63と、が設けられる。すなわち、圧力ゲージ61、背圧弁62および流量測定部63は、集合排出管34を介して複数の第2接続管32に接続される。後述する測定時には、流路開閉部である複数のバルブ33のうち、一のバルブ33のみを開放した状態において、当該バルブ33が接続する膜収容部2の第2空間202の圧力が、背圧弁62の開度により調整される。また、流量測定部63により、開放されたバルブ33を通過するガスの流量が測定される。
混合ガス供給部4は、乾燥ガスを生成する乾燥ガス生成部41と、乾燥ガス生成部41と最初の膜収容部2の第1空間201とを接続する供給管42と、を備える。乾燥ガス生成部41は、除湿機およびコンプレッサを含み、周囲の空気を除湿しつつ圧縮することにより、乾燥した空気を乾燥ガス(非凝縮性ガス)として生成する。なお、乾燥ガス生成部41に代えて、高圧のガス(空気以外のガスであってもよい。)を貯蔵するガスボンベを取り付けることも可能である。供給管42には、乾燥ガス生成部41から最初の膜収容部2に向かって順に、圧力調整部であるレギュレータ43と、流量コントローラ(例えば、マスフローコントローラ)44と、圧力測定部である圧力ゲージ45と、が設けられる。また、供給管42には、レギュレータ43と流量コントローラ44との間の位置と、流量コントローラ44と圧力ゲージ45との間の位置とを接続する補助管46が取り付けられる。補助管46には、レギュレータ43側の端部から圧力ゲージ45側の端部に向かって順に、流量コントローラ(例えば、マスフローコントローラ)47と、蒸気供給部であるバブラー48と、流路開閉部であるバルブ(例えば、電磁弁)49と、が設けられる。
混合ガス供給部4では、乾燥ガス生成部41にて生成される乾燥ガスが供給管42に供給され、レギュレータ43により乾燥ガスの圧力が調整される。レギュレータ43を通過した乾燥ガスは、供給管42上の流量コントローラ44と、補助管46上の流量コントローラ47とに導かれる。補助管46上の流量コントローラ47からの乾燥ガスは、バブラー48のタンクに貯溜された水中に供給され、水の蒸気(凝縮性ガス)が生成される。バルブ49が開放された状態において、蒸気は、流量コントローラ44と圧力ゲージ45との間の位置にて供給管42内の乾燥ガスに混合される。これにより、蒸気と乾燥ガスとを含む混合ガスが、最初の膜収容部2における第1空間201に供給される。
実際には、蒸気の分圧(P)を蒸気の飽和蒸気圧(Ps)にて除した値を相対蒸気圧(P/Ps)として、最初の膜収容部2に供給される混合ガスにおける蒸気の飽和蒸気圧が所定値となるように、供給管42の流量コントローラ44と補助管46の流量コントローラ47とが制御される。蒸気の相対蒸気圧(相対圧とも呼ばれる。)は、圧力ゲージ45における圧力、および、バブラー48のタンク内の温度(バブラー48には温度計が設けられている。)等により算出可能である。蒸気の相対蒸気圧が0である混合ガス、すなわち、乾燥ガスのみを最初の膜収容部2に供給する際には、バルブ49が閉じられる。なお、バブラー48にて生成される蒸気は、水以外の蒸気であってもよく、例えば、環境負荷が小さい場合には、エタノール等のアルコールであってよい。また、乾燥ガスとして空気以外の物質のガス(例えば、二酸化炭素等)が利用される場合には、排気口50,60へと排出されたガスを、除湿機およびコンプレッサを含むガス回収部により、除湿しつつ圧縮することに、当該ガスが乾燥ガスとして混合ガス供給部4にて再利用されてよい。
図3は、多孔質膜評価装置1において多孔質膜9を評価する処理の流れを示す図である。多孔質膜9の評価の際には、まず、複数の多孔質膜9が準備され、複数の膜収容部2にそれぞれ取り付けられる(ステップS11)。続いて、複数の第2接続管32に設けられる複数の(全ての)バルブ33が開放され、最後の第1接続管31aの背圧弁52、および、集合排出管34の背圧弁62が全開される。また、補助管46に設けられるバルブ49が閉塞される。そして、最初の膜収容部2の第1空間201への乾燥ガスのみの連続的な供給が、混合ガス供給部4により開始される(ステップS12)。
このとき、流量コントローラ44により、単位時間当たりの流量が所定の値(例えば、毎分10リットル(10[L/min]))に調整されるとともに、恒温槽11の内部温度が常温よりも高温に(例えば、130℃)に設定される。乾燥ガスの複数の膜収容部2への供給は、所定時間(例えば、3時間)継続される。これにより、複数の多孔質膜9が乾燥され、多孔質膜9の内部に残存する水分が除去される。なお、多孔質膜9の透過性が非常に高い場合、後方の膜収容部2(混合ガス供給部4の供給管42よりも最後の第1接続管31aに近い膜収容部2)に収容される多孔質膜9への乾燥ガスの供給が不足することがある。この場合、集合排出管34の背圧弁62を絞ることにより、後方の膜収容部2に収容される多孔質膜9への乾燥ガスの供給が確保されることが好ましい。
多孔質膜評価装置1では、蒸気濃度測定部53により、最後の第1接続管31aを流れるガス中の蒸気濃度が測定されており(モニタリングされており)、当該蒸気濃度がおよそ0にて一定になることにより、多孔質膜9の乾燥が定常状態に達していると判断することが可能である。水の蒸気の濃度を測定する蒸気濃度測定部53としては、例えば、水の露点計(例えば、TEKHNE社製のTK-100)を用いることができ、この場合、露点から蒸気の濃度を換算することが可能である。複数の多孔質膜9の乾燥後、乾燥ガスの供給を継続しつつ恒温槽11の内部温度が所定の評価温度(例えば、40℃)まで下げられる。複数の多孔質膜9は密閉された膜収容部2内にて保持されるため、多孔質膜9が外気に触れて水分が再吸着することはない。
恒温槽11の内部温度が評価温度になると、複数の(全ての)バルブ33が閉じられる。また、最初の膜収容部2の第1空間201に供給される乾燥ガスの圧力(全圧)が所定値(例えば、3気圧)となるように、レギュレータ43、および、最後の第1接続管31aの背圧弁52が調整される。そして、一の膜収容部2に接続する第2接続管32のバルブ33を開放し、他のバルブ33を閉塞した状態で、流量測定部63により単位時間当たりのガスの流量が測定される。一の膜収容部2に対応するバルブ33のみを開放してガスの流量を測定する上記処理は、制御部10の自動制御により、複数の膜収容部2に対して順次行われる。このように、乾燥ガスの連続的な供給に並行して、複数のバルブ33を個別に開放した際に、開放されたバルブ33を通過するガスの流量が測定される(ステップS13)。
各膜収容部2に対して流量測定部63により取得されるガスの流量は、当該膜収容部2に収容される多孔質膜9のガス透過量であり、制御部10に出力される。また、制御部10には、多孔質膜9のガス透過量の測定時の圧力ゲージ51,61における圧力も出力され、膜収容部2の第1空間201と第2空間202との間の圧力差が取得される。好ましい多孔質膜評価装置1では、各多孔質膜9のガス透過量の測定の際に、当該多孔質膜9が収容される膜収容部2の第1空間201と第2空間202との間の圧力差が所定の範囲内となるように、最後の第1接続管31aの背圧弁52、および、集合排出管34の背圧弁62が調整される。
蒸気の相対蒸気圧が0である場合における各多孔質膜9のガス透過量が取得されると、バルブ49を開放することにより、蒸気を含む混合ガスの最初の膜収容部2の第1空間201への連続的な供給が開始される(ステップS14)。このとき、混合ガスにおける蒸気の相対蒸気圧が、0よりも大きい所定の値(((P/Ps)>0)を満たす相対蒸気圧であり、以下、0よりも大きい相対蒸気圧を「評価相対蒸気圧」という。)となるように、流量コントローラ44,47の流量比が調整される。なお、全てのバルブ33は閉じた状態である。
また、蒸気濃度測定部53では、最後の膜収容部2の第1空間201から排出される非透過ガスにおける蒸気の濃度が常時(リアルタイムにて)測定される。そして、測定される蒸気の濃度が、混合ガス供給部4から最初の膜収容部2に供給される混合ガスにおける蒸気の濃度と一致すると、多孔質膜9における蒸気の吸着量が一定となっている(すなわち、定常状態となっている)ものとして、各多孔質膜9のガス透過量の測定が開始される。具体的には、混合ガスを連続的に供給しつつ、ステップS13の場合と同様に、一の膜収容部2に接続された第2接続管32のバルブ33のみを開放して流量測定部63によりガスの流量を測定する処理が、複数の膜収容部2に対して順次行われる。このように、流量測定部63では、蒸気を含む混合ガスの連続的な供給に並行して、複数のバルブ33を個別に開放した際に、開放されたバルブ33を通過するガスの流量が測定される(ステップS15)。各膜収容部2に対して流量測定部63により取得されるガスの流量は、当該膜収容部2に収容される多孔質膜9のガス透過量として、制御部10に出力される。また、制御部10には、多孔質膜9のガス透過量の測定時の圧力ゲージ51,61における圧力も出力され、膜収容部2の第1空間201と第2空間202との間の圧力差が取得される。
多孔質膜9のガス透過量の測定時において、複数の膜収容部2の第1空間201を流れる混合ガスの流量は、好ましくは5[L/min]以上である。これにより、蒸気濃度測定部53にて測定される蒸気の濃度が混合ガス供給部4における混合ガスの蒸気の濃度と一致するまでの時間を短縮することができる。また、複数の膜収容部2の第1空間201を流れる混合ガスの流量は、好ましくは500[L/min]以下である。これにより、直列に接続された複数の膜収容部2において過度な圧力勾配が発生することを回避することができる。なお、多孔質膜9の透過性が非常に高い場合には、最後の第1接続管31aの背圧弁52を調整することにより、多孔質膜9のガス透過量が5リットル[L/min]以下となるように、多孔質膜9を挟む第1空間201と第2空間202との間の圧力差を低下させることが好ましい。これにより、多孔質膜9のガス透過量の測定に必要な混合ガスの流量の低減、および、各膜収容部2の内部における相対蒸気圧の勾配の低減が実現される。
多孔質膜評価装置1では、必要に応じて、評価相対蒸気圧を他の値に変更して、上記ステップS14,S15の処理が繰り返される。ゼオライト膜である多孔質膜9を評価する場合には、評価相対蒸気圧を、例えば、0.08、0.2、0.3に変更しつつ、多孔質膜9のガス透過量が測定される。なお、図3では、ステップS14,S15を繰り返す処理の図示を省略している。
全ての評価相対蒸気圧における多孔質膜9のガス透過量の測定が完了すると、各相対蒸気圧におけるガス透過量Qを、多孔質膜9を挟む第1空間201と第2空間202との間の圧力差Δpおよび多孔質膜9の面積Sにて除することにより、ガス透過度P(=Q/(Δp・S))が求められる。ガス透過度は、単位圧力差および単位面積当たりのガス透過量である。そして、相対蒸気圧が0よりも大きい評価相対蒸気圧におけるガス透過度を、相対蒸気圧が0である場合におけるガス透過度にて除した値が、当該評価相対蒸気圧の相対透過率として求められる(ステップS16)。多孔質膜9では、相対蒸気圧の増大に従って、より大きい間隙に蒸気が凝縮して当該間隙が閉塞されるため、評価相対蒸気圧の相対透過率が高いほど、当該評価相対蒸気圧にて閉塞されるサイズの間隙よりも大きな間隙の比率が大きいと捉えることができる。このようにして、ステップS13の処理により得られる乾燥状態でのガス流量と、ステップS15の処理により得られる蒸気の凝縮状態でのガス流量とに基づいて、各多孔質膜9の評価値である相対透過率が算出される。以上により、多孔質膜9を評価する処理が完了する。
次に、多孔質膜のガス分離性能と脱水性能との関係について述べ、続いて、多孔質膜のガス分離性能と多孔質膜評価装置1にて取得される相対透過率との関係について述べる。表1は、市販されている管状のY型ゼオライト膜エレメント(日立造船株式会社製、長さ115cm、直径1.6cm、有効膜面積0.05m)の脱水性能と、そのガス分離性能との比較結果を示す。ここで、水/IPA透過分離性能は、浸透気化分離法(供給混合液組成(重量%):水/IPA=20/80、温度:75℃)により評価し、CO/H透過分離性能は、ガス分離法(供給ガス組成(モル%):CO/H=75/25、温度:60℃、全圧:2MPa、供給ガス全流量:80L(STP)/min)により評価した。
Figure 0006081348
表1のように、水/IPA透過分離性能に関して、番号3のサンプルは番号1のサンプルおよび番号2のサンプルよりも高い分離性能α(水/IPA)を示す。一方、CO/H透過分離性能に関して、番号3のサンプルは番号1のサンプルよりも高い分離性能α(CO/H)を示すが、番号2のサンプルよりも低い分離性能α(CO/H)を示す。このように、アルコール脱水にて高性能を発揮したゼオライト膜が、必ずしもガス分離性能が高いわけではない。
図4は、CO/H透過分離性能と水/IPA透過分離性能との関係を示す図であり、縦軸に分離性能α(CO/H)を示し、横軸に分離性能α(水/IPA)を示す。図4から明らかなように、CO/H透過分離性能と水/IPA透過分離性能との間には、相関性は見られない。
このような結果となる理由としては、ゼオライト膜の微細な膜構造の違いが大きく関与していると推察される。ゼオライト膜における流体の透過経路としては大きく分けて、(1)ゼオライト結晶内の細孔経路、および、(2)ゼオライト結晶間の細孔経路の2種類が存在する。ゼオライト結晶内の細孔の大きさは、例えば、CHA型だと0.38nm、Y型だと0.74nmとなり、ゼオライトの種類によって相違する。一方、ゼオライト結晶間の細孔の大きさは、製膜方法等により大きく異なる。その大きさがゼオライト結晶内の細孔の大きさより小さい場合は問題ないが、結晶間の空隙が大きくなりすぎると、当該空隙は、非選択的透過経路となる。
親水的なゼオライト膜を脱水用途に利用する場合には、水がゼオライトに優先吸着して結晶間の空隙を閉塞し得る。水で閉塞し得る結晶間空隙(非ゼオライト細孔)は水透過量を向上させることになるため、結果として結晶間に空隙の存在するゼオライト膜の方が脱水性能として優れているという場合が多い。
一方で、ガス分離の場合には、ゼオライト結晶内の細孔を効果的に活用するため、ゼオライト膜は脱水条件(乾燥条件)下で利用される。そのため、水による結晶間空隙の閉塞は期待できず、ゼオライト結晶内の細孔よりも大きな結晶間空隙は非選択的透過経路となり、ガス分離性能を大きく低下させる要因となる。
以上のように、脱水性能の評価は、ガス分離用の多孔質膜の品質評価としては不十分であると言わざるを得ない。しかしながら、多孔質膜の品質評価として、高圧でのガス分離試験を各多孔質膜に対して行うと、多孔質膜の製造に係るコストが大幅に増大してしまう。
表2は、表1と同じサンプルに対して多孔質膜評価装置1により取得される相対透過率を示す。ここでは、混合ガス供給部4からの混合ガスに含まれる蒸気として水蒸気が利用される。
Figure 0006081348
表2では、評価相対蒸気圧(P/Ps)が0.3である場合、番号1および2のサンプルの相対透過率が共に0.11%で同じとなるが、評価相対蒸気圧が0.2以下である場合では、相対透過率の違いが明確である。
また、番号1のサンプルでは、評価相対蒸気圧が0.08である場合に蒸気の凝縮により閉塞されるミクロ細孔を注目ミクロ細孔として、乾燥条件下(相対蒸気圧が0の時)において注目ミクロ細孔を経由する経路のガス透過における寄与率(以下、「ガス透過寄与率」という。)は、相対蒸気圧が0の時の相対透過率である100%から、評価相対蒸気圧が0.08の時の相対透過率である3.63%を引くことにより、96.4%と概算することができる。同様に、評価相対蒸気圧が0.2である場合に蒸気の凝縮により閉塞されるミクロ細孔を注目ミクロ細孔として、乾燥条件下において注目ミクロ細孔を経由する経路のガス透過寄与率は、100%から、評価相対蒸気圧が0.2の時の相対透過率である2.25%を引くことにより、97.7%と概算することができる。また、評価相対蒸気圧が0.3である場合に蒸気の凝縮により閉塞されるミクロ細孔を注目ミクロ細孔として、乾燥条件下において注目ミクロ細孔を経由する経路のガス透過寄与率は、100%から、評価相対蒸気圧が0.3の時の相対透過率である0.11%を引くことにより、99.9%と概算することができる。
ここで、評価相対蒸気圧が0.08、0.2、0.3である場合において閉塞される最大のミクロ細孔径をそれぞれR (P/Ps=0.08)、R (P/Ps=0.2)、R (P/Ps=0.3)(ただしR (P/Ps=0.08)<R (P/Ps=0.2)<R (P/Ps=0.3))と表現する。この場合、評価相対蒸気圧が0.08である場合のガス透過寄与率は、R (P/Ps=0.08)以下の細孔径のミクロ細孔を注目ミクロ細孔とするガス透過寄与率と捉えることができる(評価相対蒸気圧が0.2、0.3である場合において同様)。
図5は、CO/H透過分離性能とガス透過寄与率との関係を示す図であり、縦軸に分離性能α(CO/H)を示し、横軸にガス透過寄与率を示す。図5では、評価相対蒸気圧が0.08である場合のガス透過寄与率を示す点を丸にて示し、評価相対蒸気圧が0.2である場合のガス透過寄与率を示す点を四角にて示し、評価相対蒸気圧が0.3である場合のガス透過寄与率を示す点を三角にて示している。
図5のように、評価相対蒸気圧が0.2以下である場合には、CO/H透過分離性能とガス透過寄与率との間に、非常に良好な相関関係があることが判る。したがって、混合ガスに含まれる蒸気が水蒸気である場合に、相対蒸気圧が0である乾燥状態に加えて、0.2以下の所定の評価相対蒸気圧(好ましくは、0.08以上の評価相対蒸気圧)において、各多孔質膜9のガス透過量を取得することが好ましいといえる。これにより、多孔質膜9のCO/H透過分離性能を推測することができる。すなわち、表1および図4で示したように、CO/H透過分離性能と水/IPA透過分離性能との間には、相関性が示されていなかったが、相対蒸気圧が0.2以下の所定の評価相対蒸気圧を利用することによりCO/H透過分離性能とガス透過寄与率との間には図5のように相関性が示されることになる。従って、本発明による手法において、相対蒸気圧を0.2以下の所定の評価相対蒸気圧にすることにより、ガス分離膜である二酸化炭素分離膜としての多孔質膜9の品質を評価することが可能となる。ここでは、CO/H透過分離性能との間の正の相関関係を示すためにガス透過寄与率が求められるが、もちろん、相対透過率から、直接的にCO/H透過分離性能が推測されてよい。また、当然に図2のような、1つの膜収容部2の試験装置を用いた本発明による手法による評価において、相対蒸気圧を0.2以下の所定の評価相対蒸気圧にすることにより、ガス分離膜である二酸化炭素分離膜としての多孔質膜9の品質を評価することも可能である。
なお、評価相対蒸気圧が0.3である場合には、多孔質膜9におけるほとんどの細孔が蒸気の凝縮により閉塞されているため、CO/H透過分離性能とガス透過寄与率との間に相関関係が得られなかったと考えられる。多孔質膜9の種類によっては、評価相対蒸気圧が0.3である場合であっても(または、0.2よりも大きい場合であっても)、多孔質膜9の品質評価が可能である。また、評価相対蒸気圧の好ましい上記範囲は、Y型以外の種類のゼオライト膜に対しても適用可能であり、蒸気が水以外であってもよい。
以上に説明したように、多孔質膜評価装置1では、複数の膜収容部2における第1空間201が直列に接続される。また、複数の膜収容部2における第2空間202に複数の第2接続管32がそれぞれ接続され、複数のバルブ33が複数の第2接続管32にそれぞれ設けられる。そして、所定の相対蒸気圧の蒸気と乾燥ガスとを含む混合ガスが、最初の膜収容部2における第1空間201に連続的に供給されるとともに、複数のバルブ33を個別に開放した際に、開放されたバルブ33を通過するガスの流量が測定される。これにより、多数の多孔質膜9の品質評価を精度よく行うことが実現される。
ところで、仮に、N個の膜収容部における第1空間を並列に接続する場合に、N個の膜収容部のそれぞれに10[L/min]の流量にてガスを流すときには、N×10[L/min]の大量のガスを供給する必要がある。また、複数の膜収容部の並列配置において、複数の膜収容部の上流側に複数のバルブをそれぞれ設け、当該複数のバルブを個別に開放して測定を行うことも考えられる。しかしながら、この場合、多孔質膜のガス透過量を精度よく測定するには、各バルブを開放した後、多孔質膜における蒸気の吸着を平衡状態(定常状態)とするための混合ガスの連続供給(待ち時間)が、全ての膜収容部の多孔質膜に対する測定において必要となる。
これに対し、複数の膜収容部2における第1空間201が直列に接続される多孔質膜評価装置1では、測定に必要なガスの量を低減することができる。また、多孔質膜を定常状態とするための混合ガスの連続供給が、全ての膜収容部2に対して並行して行われるため、測定に要する時間も大幅に短縮することができる。その結果、複数の多孔質膜9の品質評価を効率よく行うことができる。
多孔質膜評価装置1では、複数の膜収容部2を収容する恒温槽11を設けることにより、測定時において複数の膜収容部2を一定の温度に設定することができる。その結果、複数の多孔質膜9の品質評価を一定の条件にて行うことができる。また、複数の膜収容部2を高温にすることにより、複数の多孔質膜9を容易に乾燥することができる。その結果、複数の多孔質膜9の品質評価をより精度よく行うことができる。
また、ガス透過量の測定の際には、最後の第1接続管31に設けられる背圧弁52と、集合排出管34に設けられる背圧弁62とが制御される。これにより、第1空間201と第2空間202との差圧を調整することができ、複数の多孔質膜9の品質評価をより精度よく行うことができる。
混合ガス供給部4において、乾燥ガスとして除湿した空気を用いることにより、乾燥ガスを容易に準備することができるとともに、作業者の安全性を容易に確保することができる。また、混合ガスにおいて水の蒸気を用いることにより、排気されたガスから蒸気を除去する特別な装置を取り付けることなく、環境負荷を低減することができる。
図6は、多孔質膜評価装置1において相対蒸気圧を0(乾燥状態)から0.08に変化させた際に、多孔質膜9におけるガス透過度の経時変化、および、最後の膜収容部2の第1空間201から排出されるガスに含まれる水蒸気の露点の経時変化を示す図である。図6では、最初(1番目)の膜収容部2、並びに、2および3番目の膜収容部2にそれぞれ収容される多孔質膜9のガス透過度の変化を示す線に符号L1,L2,L3を付す。また、蒸気濃度測定部53である水の露点計における露点の変化(すなわち、最後の第1接続管31aにおけるガスに含まれる水蒸気の露点の変化)を示す線に符号A1を付し、混合ガス供給部4から最初の膜収容部2に供給される混合ガスにおける水蒸気の露点を符号A0を付す破線にて示す。
図6中の線L1〜L3から明らかなように、多孔質膜9におけるガス透過度の変化は、膜収容部2の順番(位置)により相違し、ガス透過度が一定となるまでの時間も、膜収容部2の順番により、大きく異なる。したがって、ガス透過度が一定となっている、すなわち、多孔質膜9における蒸気の凝縮が定常状態になっているか否かを直接的に判断するには、各多孔質膜9におけるガス透過量の測定を複数回繰り返す必要がある。
一方、最後の第1接続管31aにおけるガスに含まれる水蒸気の露点(図6中の線A1参照)が、混合ガス供給部4から最初の膜収容部2に供給される混合ガスに含まれる水蒸気の露点(図6中の破線A0参照)に到達した時刻T1以降では、複数の膜収容部2に収容される複数の多孔質膜9のガス透過度が一定となっている。したがって、多孔質膜評価装置1では、最後の膜収容部2の第1空間201から排出されるガスにおける蒸気の濃度を測定し、蒸気の濃度の測定値が、最初の膜収容部2の第1空間201に供給される混合ガスにおける蒸気の濃度と一致した際に、各膜収容部2に収容される多孔質膜9におけるガス透過量の測定が開始される。これにより、各多孔質膜9におけるガス透過量の測定を複数回繰り返すことなく、当該多孔質膜9に対する蒸気の凝着が定常状態に達しているか否かを容易に判定することができ、複数の多孔質膜9の品質評価をより効率よく行うことができる。また、定常状態の判断が困難な新規な素材の多孔質膜9であっても、測定データの再現性および信頼性を向上することができ、複数の多孔質膜9の品質評価をより精度よく行うことができる。
上記多孔質膜評価装置1では様々な変形が可能である。
例えば、多孔質膜評価装置1において、複数の多孔質膜9に対して品質の合否判定のみを行う場合には、合否の基準となる基準多孔質膜を一の膜収容部2に収容して、複数の多孔質膜9のガス透過量が測定されてもよい。この場合、各多孔質膜9の相対透過率と基準多孔質膜の相対透過率との比較により、当該多孔質膜9の合否を判定することが可能である。
多孔質膜評価装置1では、CO/H透過分離性能以外のガス透過分離性能が評価されてもよい。また、多孔質膜評価装置1が、多孔質膜9の液体透過分離性能の評価や、ゼオライト膜以外の多孔質膜9の評価に用いられてよい。多孔質膜9に求められる性能によっては、乾燥状態におけるガス透過量を測定することなく、所定の評価相対蒸気圧におけるガス透過量のみに基づいて、多孔質膜9の品質評価が行われてもよい。また、多孔質膜評価装置1の設置場所における温度の変動が小さい場合等には、恒温槽11を省略することも可能である。
図2の筒状の膜収容部2は一例に過ぎず、多孔質膜9の形状に応じて様々に変更されてよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
1 多孔質膜評価装置
2 膜収容部
4 混合ガス供給部
9 多孔質膜
31,31a 第1接続管
32 第2接続管
33 バルブ
34 集合排出管
50,60 排気口
52,62 背圧弁
53 蒸気濃度測定部
63 流量測定部
201 第1空間
202 第2空間
S11〜S16 ステップ

Claims (7)

  1. 多孔質膜を評価する多孔質膜評価装置であって、
    複数の多孔質膜をそれぞれ収容するとともに、内部空間が多孔質膜により第1空間と第2空間とに仕切られる複数の膜収容部と、
    前記複数の膜収容部における複数の第1空間を直列に接続するとともに、最後の膜収容部における第1空間を排気口に接続する複数の第1接続管と、
    蒸気の分圧を前記蒸気の飽和蒸気圧にて除した値を相対蒸気圧として、所定の相対蒸気圧の前記蒸気と、乾燥ガスとを含む混合ガスを、最初の膜収容部における第1空間に連続的に供給する混合ガス供給部と、
    前記複数の膜収容部における複数の第2空間にそれぞれ接続される複数の第2接続管と、
    前記複数の第2接続管にそれぞれ設けられる複数のバルブと、
    前記複数の第2接続管に接続され、前記複数のバルブを個別に開放した際に、開放されたバルブを通過するガスの流量を測定する流量測定部と、
    を備えることを特徴とする多孔質膜評価装置。
  2. 請求項1に記載の多孔質膜評価装置であって、
    前記所定の相対蒸気圧が、0.2以下であることを特徴とする多孔質膜評価装置。
  3. 請求項1または2に記載の多孔質膜評価装置であって、
    前記最後の膜収容部の前記第1空間から排出されるガスにおける前記蒸気の濃度を測定する蒸気濃度測定部をさらに備えることを特徴とする多孔質膜評価装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の多孔質膜評価装置であって、
    前記最後の膜収容部と前記排気口とを接続する第1接続管に設けられる第1圧力調整部と、
    前記複数の第2接続管の前記複数の膜収容部とは反対側の端部が接続される集合排出管と、
    前記集合排出管に設けられる第2圧力調整部と、
    をさらに備えることを特徴とする多孔質膜評価装置。
  5. 多孔質膜評価装置における多孔質膜評価方法であって、
    前記多孔質膜評価装置が、
    複数の多孔質膜をそれぞれ収容するとともに、内部空間が多孔質膜により第1空間と第2空間とに仕切られる複数の膜収容部と、
    前記複数の膜収容部における複数の第1空間を直列に接続するとともに、最後の膜収容部における第1空間を排気口に接続する複数の第1接続管と、
    前記複数の膜収容部における複数の第2空間にそれぞれ接続される複数の第2接続管と、
    前記複数の第2接続管にそれぞれ設けられる複数のバルブと、
    を備え、
    前記多孔質膜評価方法が、
    a)蒸気の分圧を前記蒸気の飽和蒸気圧にて除した値を相対蒸気圧として、所定の相対蒸気圧の前記蒸気と、乾燥ガスとを含む混合ガスを、最初の膜収容部における第1空間に連続的に供給する工程と、
    b)前記a)工程に並行して前記複数のバルブを個別に開放した際に、開放されたバルブを通過するガスの流量を測定する工程と、
    を備えることを特徴とする多孔質膜評価方法。
  6. 請求項5に記載の多孔質膜評価方法であって、
    c)前記a)工程の前に、前記最初の膜収容部の前記第1空間に前記乾燥ガスのみを連続的に供給する工程と、
    d)前記c)工程に並行して前記複数のバルブを個別に開放した際に、開放されたバルブを通過するガスの流量を測定する工程と、
    e)前記b)工程により得られる流量と、前記d)工程により得られる流量とに基づいて各多孔質膜の評価値を算出する工程と、
    をさらに備えることを特徴とする多孔質膜評価方法。
  7. 請求項5または6に記載の多孔質膜評価方法であって、
    前記最後の膜収容部の前記第1空間から排出されるガスにおける前記蒸気の濃度が、前記最初の膜収容部の前記第1空間に供給される前記混合ガスにおける前記蒸気の濃度と一致した際に、前記b)工程が開始されることを特徴とする多孔質膜評価方法。
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