JP6081166B2 - ディスクブレーキ装置 - Google Patents

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Description

この発明は、浮動式のディスクブレーキ装置に関し、引き摺りトルクを低減することができるディスクブレーキ装置に関する。
一般的な浮動式のディスクキャリパについて、
図31に示すように、車体のナックル100に固定されるキャリパブラケット101には、一対のブラケット側支持腕102が設けられ、これらブラケット側支持腕102により、ディスクロータ103の外縁を軸方向に跨ぐキャリパボディ104が支持される。前記ブラケット側支持腕102に、互いに対向する矩形溝が形成される。このブラケット側支持腕102の矩形溝に、パッド105,106を浮動支持し且つパッド105,106の摺動を容易にするリテーナが設けられている。パッド105,106として、ディスクロータ103を挟むように、インボード側およびアウトボード側の一対のパッド105,106が設けられている。
キャリパボディ104は一対のボディ側支持腕107を有する。ブラケット側支持腕102に一対のスライドピン108が螺着され、各スライドピン108にそれぞれボディ側支持腕107が相対移動可能に支持されている。これらスライドピン108およびボディ側支持腕107により、キャリパボディ104がキャリパブラケット101に対して浮動支持される。スライドピン108は、ブラケット側支持腕102にナットを設けてねじ固定される場合もある。図32に示すように、キャリパボディ104は、また、ディスクロータ103の外縁を軸方向に跨ぎ、且つアウトボード側のパッド106の背面を支持するように延びる反力爪109を有する。
ブレーキが作動してキャリパボディ104からピストンが突出すると、このピストンによってインボード側のパッド105が押されてディスクロータ103を押圧する。これにより生じる反力により、前記浮動支持されたキャリパボディ104を軸方向に移動させ、反力爪109はアウトボード側のパッド106をディスクロータ103側へ押圧する。よって、インボード側およびアウトボード側のパッド105,106によりディスクロータ103を挟みこむことで、制動動作が実現する。
制動解除時、ピストンの荷重が開放されると同時に反力爪109にかかる荷重も開放される。通常、ピストンは、キャリパボディ104のシリンダに設けた溝に嵌められた弾性リングなどの手段により、インボード側のパッド105から引き離され、インボード側のパッド105そのものはピストン軸方向に制約無く保持される。このとき、ディスクロータ103の僅かな振れの影響でもインボード側のパッド105にはディスクロータ103からのたたき返しがあれば、同パッド105はおのずとディスクロータ103から離れる。
実開平6−32773号公報 実開平6−80035号公報 実開平3−41232号公報 特開平8−200409号公報 特開2004−225726号公報
一方、反力爪109は荷重が抜けた位置にそのまま浮動支持される。しかもキャリパボディ104を支持するスライドピン108の摺動抵抗や、スライドピン108を保護するブーツ110の屈曲による反力があるため、アウトボード側のパッド106がディスクロータ103から離れる方向へ移動するのを規制してしまう。アウトボード側のパッド106は、ディスクロータ103からのたたき返しがあっても、この規制によりディスクロータ103と接触した状態になりやすい。これにより、ディスクロータ103の回転に対してパッド106が接触することによる引き摺りトルクが生じる。
また、このときパッド106はディスクロータ103との接触により摩耗することとなる。キャリパボディ104への異物付着などにより、キャリパボディ104の姿勢が傾いていると、アウトボード側のパッド106の姿勢もディスクロータ103に対して傾いてしまう。特に、電動ブレーキでは動力源のモータを搭載するなどにより、キャリパボディ104が、ディスクロータ半径方向を軸として非対称形状となることがあり、キャリパボディ104はより姿勢の維持が困難となる。これにより、特にアウトボード側のパッド106は偏摩耗を生じる可能性がある。
引き摺りトルクを低減する手法として、下記文献が提案されている。
1.ピストンと反力爪にそれぞれインボード側、アウトボード側のパッドを取り付け、スライドピンを断面H形の弾性ゴムの突起部により支持し、制動時に生じるゴムの反発力を利用して制動解除時にディスクロータからパッドを引き離す(特許文献1)。
2.インボード側のパッドとアウトボード側のパッドの裏面を、ディスクロータを跨ぐハンガーピンで掛け渡し、ハンガーピンの両パッドのディスクロータ側に弾性部材を設ける。制動時の弾性部材の反力で、制動解除に両パッド間の間隔を広げる(特許文献2)。
3.リテーナにスプリング部を設け、パッドの耳片をスプリングの第1の押圧片にて弾性付勢して、摩擦パッドをディスクロータに対し同ディスクロータの軸方向へ離れる方向へ移動可能としている。
また、リテーナに、第1の押圧片とは異なり対向する位置にある第2の押圧片を設けている。第1の押圧片と第2の押圧片との間隔をディスクロータへ近づくほど狭めるように傾斜させ、且つパッドの耳片にはディスクロータ側の上下縁に、テーパ面を設けている(特許文献3)。
リテーナに第1のスプリング部を設け、パッドの摩耗警告部材と弾性的に当接させている。また、パッドの裏面に補助スプリングを設け、且つキャリパブラケットにも設けた第2のスプリング部と当接させている(特許文献4)。
リテーナに設けた一対のスプリング部で、パッドの引き摺りを抑制し、且つジャダー及びブレーキ鳴きを抑制し、さらにパッドのガタつきも抑える。また、仮組みでパッドがキャリパブラケットから脱落するのを防止する(特許文献5)。
特許文献1または2のような、スライドピン支持部またはハンガーピンに弾性部材を設ける場合、弾性部材と接するスライドピンは、パッドの摩耗に追従して滞りなく相対移動する必要がある。よって弾性部材とスライドピンの摺動抵抗は少ない方が良い。弾性部材が変形して蓄える反発力はその変形量に応じて変化するが、摺動抵抗が少ないと弾性部材の変形量も小さくなるため、十分な反発力を発生させるのは困難である。
特許文献3または4のような、リテーナまたはキャリパブラケットに設けたスプリングを用いる場合、スプリング部に異物を噛みこんでしまうとパッドの動きを規制してしまい、その機能を果たせなくなる可能性がある。特許文献3のようなパッドの耳片にテーパ面を設ける場合はまた、パッドの加工コスト増大の他、キャリパ組立または車両へのキャリパ取り付け時にパッドが脱落しやすく、作業性の悪化を招く可能性がある。
特許文献5は、特許文献3と同様に上記課題が生じる。
その他の引き摺りトルクの低減手法として、例えば、対向式ブレーキキャリパを用いる場合、次のような課題が生じる。ストロークするピストンを内包する十分な大きさのキャリパボディが必要となるため、キャリパサイズの巨大化及び重量の増大が生じる。
この発明の目的は、制動解除時において、ディスクロータへアウトボード側のパッドを付勢する状態を確実に解除し、引き摺りトルクの低減を実現し、且つパッドの偏摩耗を抑制すると共に、工数低減および重量低減を図ることができるディスクブレーキ装置を提供することである。
この発明のディスクブレーキ装置は、車体に固定されるキャリパブラケットに対し、キャリパボディが、スライドピンにより、ディスクロータの回転軸心と平行な方向に摺動自在に支持され、前記キャリパボディが、ディスクロータのインボード側およびアウトボード側両面に押付けて制動力を与える一対のパッドを有する浮動式のディスクブレーキ装置において、
前記スライドピンは、前記キャリパボディと前記キャリパブラケットのいずれにも前記方向に相対移動可能に構成され、
前記パッドにより制動力を与える制動状態から制動解除状態に移行するとき、アウトボード側の前記パッドが前記ディスクロータから離れる方向へ移動するように、前記スライドピンを前記キャリパブラケットに対して強制的に相対移動させる移動手段けられ、前記スライドピンと前記キャリパボディとの間に摺動抵抗を発生させる抵抗部材が設けられ、この抵抗部材による摺動抵抗を、前記移動手段によって発生する前記方向の力よりも大きくしたことを特徴とする。
この構成によると、制動時において、インボード側のパッドをディスクロータへ押圧する反力によって、アウトボード側のパッドがディスクロータへ押圧するように、キャリパブラケットに対し、キャリパボディがスライドピンにより前記回転軸心と平行な方向(以下、単に「軸方向」と言う)に相対的に摺動する。よって、ディスクブレーキ装置は、一対のパッドをディスクロータのインボード側およびアウトボード側両面に押付けることで、制動力を与える。
制動状態から制動解除状態に移行するとき、インボード側のパッドがディスクロータから離れる。これと共に、移動手段は、アウトボードのパッドがディスクロータから離れる方向へ移動するように、キャリパブラケットに対してスライドピンを強制的に相対移動させる。このとき、インボード側のパッドがディスクロータへ付勢してしまう可能性があるが、インボード側のパッドが後退する適切な位置を規定することで、インボード側のパッドがディスクロータへ付勢することを回避し得る。
したがって、制動解除時において、ディスクロータへアウトボード側のパッドを付勢する状態を確実に解除し、引き摺りトルクの低減を実現し、且つパッドの偏摩耗を抑制することができる。しかもパッドを追加工したり、キャリパ組立時などにおいてパッドが脱落するおそれもなくなるため、従来技術よりも工数低減を図れる。また対向式ブレーキキャリパを用いるよりも、小形化を図り、重量低減を図れる。
前記スライドピンと前記キャリパボディとの間に摺動抵抗を発生させる抵抗部材けられ、この抵抗部材による摺動抵抗を、前記移動手段によって発生する前記方向の力よりも大きくしている。制動解除状態において、移動手段は、キャリパブラケットに対してスライドピンを強制的に相対移動させる軸方向の力を発生させる。このとき、抵抗部材による摺動抵抗は、移動手段による軸方向の力よりも大きいため、スライドピンとキャリパボディの相対移動は、抵抗部材の例えば変形による付勢力の開放による相対移動以外は生じない。よって、制動時に、スライドピンとキャリパブラケットとの間の軸方向すきま分だけ、キャリパボディはキャリパブラケットに対して引き寄せられる。
記抵抗部材は、弾性変形によって前記移動手段と共に前記方向の力を発生させるようにしても良い。
前記移動手段として、弾性部材の復元力を用いても良い。
前記弾性部材が、皿ばね、コイルばね、または樹脂部材であっても良い。
皿ばね、コイルばね、または樹脂部材のような安価な部品を利用して、移動手段を実現できるため、費用対効果を高めることができる。
前記移動手段として、磁気の反発力または誘引力を利用するものとしても良い。
前記移動手段として、流体の圧力制御を利用するものとしても良い。
磁力や流体の圧力を用いて、その作用をブレーキの作動状態と連動することで、通常の制動時に不要なエネルギーロスを発生させることなく、適切な効果を実現できる。また磁力や流体圧力の作用時間は制動解除時のみに限られる。このため、システムの消費エネルギーは、流体圧力等を制動時にも作用させる場合に比べて、非常に小さい。
前記パッドに制動力を与える駆動源として電動モータを用いたいわゆる電動ブレーキであれば、いずれも電子的な制御が可能であるため、なお効果が高い。
前記移動手段の摺動面にめっき被膜を形成しても良い。この場合、キャリパブラケットおよびキャリパボディに対し、スライドピンをより円滑に相対移動させることができる。
前記移動手段の作用点を、キャリパブラケットに内包するように設けても良い。
前記移動手段の作用点の一端を、キャリパブラケットの外面で形成しても良い。
金属製の断面略コ字形状(スカート形状)を有する部材によって、前記摺動抵抗を実現しても良い。
摺動抵抗を発生させる前記抵抗部材は、樹脂部材から成るものとしても良い。
前記パッドに制動力を与える駆動源として電動モータを用いても良い。
この発明のディスクブレーキ装置は、車体に固定されるキャリパブラケットに対し、キャリパボディが、スライドピンにより、ディスクロータの回転軸心と平行な方向に摺動自在に支持され、前記キャリパボディが、ディスクロータのインボード側およびアウトボード側両面に押付けて制動力を与える一対のパッドを有する浮動式のディスクブレーキ装置において、前記スライドピンは、前記キャリパボディと前記キャリパブラケットのいずれにも前記方向に相対移動可能に構成され、前記パッドにより制動力を与える制動状態から制動解除状態に移行するとき、アウトボード側の前記パッドが前記ディスクロータから離れる方向へ移動するように、前記スライドピンを前記キャリパブラケットに対して強制的に相対移動させる移動手段けられ、前記スライドピンと前記キャリパボディとの間に摺動抵抗を発生させる抵抗部材が設けられ、この抵抗部材による摺動抵抗を、前記移動手段によって発生する前記方向の力よりも大きくした。このため、制動解除時において、ディスクロータへアウトボード側のパッドを付勢する状態を確実に解除し、引き摺りトルクの低減を実現し、且つパッドの偏摩耗を抑制すると共に、工数低減および重量低減を図ることができる。
この発明の第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置の断面図である。 同ディスクブレーキ装置をインボード側から見た正面図である。 図2のIII-III線断面図である。 同ディスクブレーキ装置の一側面図である。 図4のV-V線端面図である。 同ディスクブレーキ装置における初期状態の要部の拡大断面図である。 同ディスクブレーキ装置における制動時の要部の断面図である。 同ディスクブレーキ装置における制動解除時の要部の断面図である。 (A)は、同ディスクブレーキ装置における制動時の要部の拡大断面図、(B)は、同ディスクブレーキ装置における制動解除時の要部の拡大断面図である。 この発明の他の実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部の断面図である。 同ディスクブレーキ装置のA−A線端面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部の断面図である。 同ディスクブレーキ装置のA−A線端面図である。 同ディスクブレーキ装置のB−B線断面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部の断面図である。 同ディスクブレーキ装置のA−A線端面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部の断面図である。 同ディスクブレーキ装置のA−A線端面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部の断面図である。 同ディスクブレーキ装置のA−A線端面図である。 同ディスクブレーキ装置のB−B線断面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部の断面図である。 同ディスクブレーキ装置のA−A線端面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部の断面図である。 同ディスクブレーキ装置のA−A線断面図である。 同ディスクブレーキ装置のB−B線端面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部の断面図である。 同ディスクブレーキ装置のA−A線断面図である。 この発明のさらに他の実施形態に係るディスクブレーキ装置の要部の断面図である。 同ディスクブレーキ装置のA−A線端面図である。 従来例のディスクブレーキ装置の断面図である。 同ディスクブレーキ装置を別の切断面で切断して見た断面図である。
この発明の第1の実施形態に係るディスクブレーキ装置を図1ないし図9と共に説明する。このディスクブレーキ装置は、パッドに制動力を与える駆動源としてこの例では電動モータを用いたいわゆる電動式ブレーキ装置が適用される。但し、電動式ブレーキ装置に必ずしも限定されるものではない。駆動源として、例えば油圧シリンダ等の流体圧シリンダを適用することも可能である。なおこの明細書において、車両の中央寄りとなる側をインボード側と称し、車両の車幅方向外側寄りとなる側をアウトボード側と称す。
図1は、このディスクブレーキ装置のいわゆる水平断面図(図4の I - I 線断面図)であり、図2は同ディスクブレーキ装置をインボード側から見た正面図である。図1、図2に示すように、浮動式のディスクブレーキ装置は、車体のナックル1に固定されるキャリパブラケット2に、キャリパボディ3が、スライドピン4により軸方向に摺動自在に支持される。キャリパボディ3は一対のパッド5,6を有し、これらパッド5,6を、ディスクロータ7のインボード側およびアウトボード側両面にそれぞれ押付けて制動力を与える。
キャリパブラケット2について説明する。
キャリパブラケット2は、一対のブラケット側支持腕8,8を有する。これらブラケット側支持腕8,8は、ロータの外縁の接線方向と平行な平面に対し、対称性を問わず配置され、且つ、互いに離隔して設けられている。各ブラケット側支持腕8は、前記接線方向に所定距離伸びる。ここで図4はこのディスクブレーキ装置の一側面図であり、図5は図4のV-V線端面図である。
図5に示すように、一対のブラケット側支持腕8,8の互いに対向する面には、矩形溝8aがそれぞれ形成されている。各矩形溝8aは、各ブラケット側支持腕8における対向面から長手方向に凹むと共に軸方向に沿って延びる。このブラケット側支持腕8の矩形溝8aに、後述のパッドを浮動支持し且つこのパッドの摺動を容易にするリテーナ9が設けられている。なお、この例ではリテーナ9を設けているが、リテーナ9を省略してブラケット側支持腕8の矩形溝8aに、パッドを浮動支持(案内)するようにしても良い。
図1に示すように、各ブラケット側支持腕8に、軸方向に貫通する貫通孔8bがそれぞれ形成され、各貫通孔8bに後述するナット部材10がそれぞれ挿通されている。ナット部材10は、スライドピン4に螺着されて一体に設けられている。各ナット部材10が対応する貫通孔8bに挿通された状態で、各ナット部材10およびスライドピン4は、各ブラケット側支持腕8に対し軸方向に相対移動可能に構成されている。各ブラケット側支持腕8におけるアウトボード側端面に、同貫通孔8bと同心のザグリ孔8cが形成されている。このザグリ孔8cは段付き孔形状を成す。また各ブラケット側支持腕8に、後述の移動手段が設けられている。
キャリパボディ3およびスライドピン4等について説明する。
キャリパボディ3は、一対のボディ側支持腕11,11を有する。これらボディ側支持腕11,11は、ボディの外周面から互いに離反する方向に延び、前記ブラケット支持腕と対向して配置される。これらボディ側支持腕11,11は、ブラケット側支持腕8よりもインボード側に設けられる。各ボディ側支持腕11に、軸方向に貫通する貫通孔11aがそれぞれ形成され、各貫通孔11aにスライドピン4がそれぞれ挿通されている。各スライドピン4が対応する貫通孔11aに挿通された状態で、各スライドピン4は、各ボディ側支持腕11に対し軸方向に相対移動可能に構成されている。
図6は、図1のA部の拡大図である。図6に示すように、各ブラケット側支持腕8におけるサグリ孔8cおよび貫通孔8bに、ナット部材10が挿入されている。このナット部材10は、貫通孔8bに沿って延びる軸部10aと、この軸部10aに一体に繋がりザグリ孔8cに挿入されてこのザグリ孔8cの肩12に接触可能なフランジ部10bとを有する。フランジ部10bは、サグリ孔8cの底面には非接触に構成されている。ナット部材10の軸部10aに、インボード側に開口し軸方向に沿って延びる雌ねじ13が形成されている。スライドピン4は例えば六角ボルトから成り、前記ナット部材10の軸部10aの雌ねじ13に、スライドピン4の先端部が螺着されている。フランジ部10bのアウトボード側端面に、ねじ締結時にナット部材10を回止めする孔14が形成されている。
スライドピン4の外周面に、円筒形状のカラー15が外装されている。このカラー15は、スライドピン4およびナット部材10に一体に設けられ、ボディ側支持腕11およびブラケット側支持腕8に対し軸方向に相対移動可能である。但し、カラー15は、スライドピン4における、ボルト頭の座金4aと、ブラケット側支持腕8のインボード側端面との間に介在されて軸方向の移動が規制されている。つまりカラー15のアウトボード側端面は、ブラケット側支持腕8のインボード側端面に当接離隔可能に構成されている。図9(A)に示すように、制動時において、カラー15のアウトボード側端面は、ブラケット側支持腕8のインボード側端面に定められた軸方向のすきまδを介して離隔する。図9(B)に示すように、制動解除時において、カラー15のアウトボード側端面は、ブラケット側支持腕8のインボード側端面に当接する。
図6に示すように、ボディ側支持腕11の貫通孔11aの内周面には環状溝が形成される。この環状溝に、例えば、金属材料から断面略コ字形状に形成される抵抗部材16が設けられている。この抵抗部材16は、カラー15およびスライドピン4と、ボディ側支持腕11との間に摺動抵抗を発生させる。ボディ側支持腕11の環状溝に設けられた抵抗部材16のうち、内径側に露出する円筒部が、カラー15の外周面に摺動することで、前記摺動抵抗を発生させるようになっている。この抵抗部材16による摺動抵抗を、後述の移動手段によって発生する軸方向の力よりも大きく規定している。
カラ15の外周面には、スライドピン4およびカラー15を保護する蛇腹状のブーツ17,18が設けられている。ブーツ17は、カラー15の外周面におけるアウトボード側端と、ボディ側支持腕11のアウトボード側端との間を覆う。ブーツ18は、カラー15の外周面におけるインボード側端と、ボディ側支持腕11のインボード側端との間を覆う。
前述のように、ナット部材10のフランジ部10bが、ブラケット側支持腕8のサグリ孔8cの肩12に接触可能で且つ底面に非接触に構成される。これにより、底面と、サグリ孔内周面と、フランジ部10bとで囲まれた環状空間が形成され、この環状空間に、弾性部材から成る移動手段19が設けられる。弾性部材として、この例では、皿ばねが適用されている。移動手段19は、制動状態から制動解除状態に移行するとき、アウトボード側のパッド6がディスクロータ7から離れる方向へ移動するように、スライドピン4をキャリパブラケット2に対して強制的に相対移動させる手段である。
図6に示す初期状態つまり非制動時において、移動手段19としての皿ばねは、圧縮された状態で環状空間にセットされる。この初期状態では、ナット部材10のフランジ部10bとザグリ孔8cの肩12との間に、軸方向すきまδを設けている。この初期状態において、カラー15のアウトボード側端面が、ブラケット側支持腕8のインボード側端面に当接する、換言すれば、カラー15が皿ばねによる軸力を受けた状態になっている。
図7に示す制動時には、皿ばねの復元力に抗して、ブラケット側支持腕8に対しナット部材10およびスライドピン4が、軸方向一方(インボード側)に移動する。よって、皿ばねには、ザグリ孔8cの肩12とナット部材10のフランジ部10bとが当接するまで、ナット部材10からさらに圧縮しようとする力が加わる。ザグリ孔8cの肩12とフランジ部10bとが当接した状態において、カラー15とブラケット側支持腕8との間には、軸方向すきまδが生じる。ボディ側支持腕11は、抵抗部材16によりカラー15に対して相対移動を規制されているため、ナット部材10のフランジ部10bがサグリ孔8cの肩12に当接するまで、皿ばねの復元力に抗して、スライドピン4によりナット部材10が軸方向へ引張られる。これにより、制動時において、皿ばねには、制動解除時よりも大きな反力が蓄えられる。
図8に示す制動解除時には、ナット部材10にかかる引張力が開放されるため、皿ばねは復元しようとしてナット部材10を軸方向他方(アウトボード側)に移動させる。このとき、皿ばねによる軸方向への力よりも、カラー15と抵抗部材16の摺動抵抗が大きく規定されているため、キャリパボディ3はカラー15に追従してナット部材10に引張られる。ナット部材10は、カラー15がブラケット側支持腕8に当接するまで移動するが、このときスライドピン4を軸方向すきまδ分だけアウトボード側へ引張る。
駆動源および直動機構等について説明する。
図2に示すように、キャリパボディ3には、パッドに制動力を与える電動モータ20、この電動モータ20の回転を減速する減速機構21、および直動機構22(図3)が設けられている。減速機構21は、電動モータ20のロータ軸に取付けられた入力ギヤの回転を、複数のギヤ列により順次減速して、回転軸の端部に固定された出力ギヤに伝達可能としている。図3に示すように、前記直動機構22は、減速機構21で出力される回転運動を直線運動に変換してストローク部22aを突出させ、ディスクロータ7に対して制動力を負荷する機構である。
作用効果について説明する。
制動時、インボード側のパッド5をディスクロータ7へ押圧する前記ストローク部22aの反力によって、キャリパボディ3の反力爪23がアウトボード側のパッド6をディスクロータ7へ押圧するように、キャリパボディ3がキャリパブラケット2に対して相対的に引き離される。ボディ側支持腕11に設けられる抵抗部材16の摺動抵抗により、ナット部材10、スライドピン4、およびカラー15がキャリパボディ3と共に移動する。これに伴い、ナット部材10のフランジ部10bで皿ばねを弾性変形させながら、ナット部材10はインボード側へ引張られる。
このとき、ナット部材10は、皿ばねの復元力と抵抗部材16の付勢力の総和が、キャリパボディ3から受ける引張力に対して釣り合うまで相対移動する。特に、この例では、ザグリ孔8cを形成しているため、ナット部材10のフランジ部10bがザグリ孔8cの肩12に接触するまで、ナット部材10は相対移動可能である。なお、皿ばねはその応力限界を超えない程度までの弾性変形に留まる。
制動を解除すると、ナット部材10にかかっていた引張力が開放されるため、皿ばねもその復元力を開放する。このとき、皿ばねの復元力よりも、抵抗部材16の摺動抵抗が大きいため、ボディ側支持腕11とカラー15とは、抵抗部材16の弾性変形に起因する付勢力の開放による相対移動以外は相対移動を生じない。よって、キャリパボディ3は、制動時にカラー16とブラケット側支持腕8との軸方向すきまδ分だけ、キャリパブラケット2に対して相対的に引き寄せされる。なお、皿ばねの復元力と抵抗部材16の付勢力の向きが同じになるので、キャリパボディ3をキャリパブラケット2に対して引き寄せる力は、前記復元力と前記付勢力との総和となる。
上記動作により、キャリパブラケット2およびディスクロータ7は、車体に対して軸方向に相対移動しないため、制動を解除すると、キャリパボディ3の反力爪23は、ディスクロータ7から離れる方向へ相対移動する。よって反力爪23はアウトボード側のパッド6から引き離されることになる。このとき、キャリパボディ3に設けられる前記ストローク部22aは、ディスクロータ7に近づくことになり、場合によってはインボード側のパッド5をディスクロータ7へ付勢してしまう可能性があるが、本実施形態のような電動式ブレーキ装置であれば、事前に前記ストローク部22aを適切な位置まで後退させることにより、インボード側のパッド5のディスクロータ7への付勢を回避することができる。
したがって、制動解除時において、ディスクロータ7へアウトボード側のパッド6が付勢する状態を確実に解除し、引き摺りトルクの低減を実現し、且つパッド6の偏摩耗を抑制することができる。しかもパッド6を追加工したり、キャリパ組立時などにおいてパッド5,6が脱落するおそれもなくなるため、従来技術よりも工数低減を図れる。また対向式ブレーキキャリパを用いるよりも、小形化を図り、重量低減を図れる。
・制動解除時の引き摺りトルクを低減することで、車両走行のエネルギーロスを抑えることができる。このため、車両の燃費または電費の改善を実現でき、また車両の走行距離の延長に寄与する。
・制動解除時の引き摺りトルクを低減することで、パッド5,6やディスクロータ7の摩耗を抑制することができる。したがって、パッド5,6およびディスクロータ7の交換、補修回数を減らすことができる。
・制動解除時の引き摺りトルクを低減することで、パッド5,6の偏摩耗を抑制することができる。このため、パッド5,6の交換回数を減らすことができる。
・また皿ばねのような安価な部品を利用して、移動手段19を実現できるため、費用対効果を高めることができる。
他の実施形態について説明する。
以下の説明においては、各形態で先行する形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付し、重複する説明を略する。構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分は、特に記載のない限り先行して説明している形態と同様とする。同一の構成から同一の作用効果を奏する。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組合せることも可能である。
図10では、ブラケット側支持腕8にサグリ孔を形成せず、このブラケット側支持腕8のアウトボード側端面を利用して移動手段19である皿ばねを保持している。皿ばねは制動時に完全なフラット形状となっても応力限界以下となる設計を行っている。図11は、図10のA−A線端面図である。図10および図11に示すように、ナット部材10のフランジ部10bのアウトボード端面には、ねじ締結時にナット部材10を回止めする六角頭24が設けられている。
図10に示すように、カラー15の外周面にブーツ17Aが設けられ、このブーツ17Aは、それぞれ蛇腹状の蛇腹部17Aa,17Abと、抵抗部材を兼ねる抵抗部17Acとが軸方向に沿って一体に設けられる。カラー15の外周面における長手方向中間付近部と、ボディ側支持腕11の貫通孔11aとの環状すきまに、前記抵抗部17Acが挿入されている。ナット部材10のフランジ部10bには、ナット部材シール25が設けられている。このナット部材シール25は、フランジ部10bの外周面と、ブラケット側支持腕8のアウトボード側端面とにわたって弾性変形可能に設けられ、皿ばねおよび制動解除時に生じる軸方向すきまδの空間を保護する。また、ブラケット側支持腕8のインボード側端面には、カラーシール26が設けられている。このカラーシール26は、制動時に生じるカラー15のアウトボード側端面と、ブラケット側支持腕8のインボード側端面との軸方向すきまδの空間を保護する。
この例では、ボディ側支持腕11の貫通孔11aに、スライドピン4およびカラー15の他、これらを保護するブーツ17Aも挿通しており、カラー全体を保護している。またこのブーツ17Aは、制動時にカラー15とボディ側支持腕11との相対移動を規制する役割も兼ねている。この場合、第1の実施形態のものより部品点数を低減し、構造を簡単化して、製造コストの低減を図れる。その他、制動解除時において、ディスクロータへアウトボード側のパッドが付勢する状態を確実に解除し、引き摺りトルクの低減を実現し、且つパッドの偏摩耗を抑制し得る。
図12〜図14の例では、ブラケット側支持腕8の貫通孔8bは、カラー側つまりインボード側が拡径して形成されている。ナット部材10のフランジ部10bは、長手方向におけるインボード側寄りに設けられる。ブラケット側支持腕8の貫通孔8bにおける拡径孔部には、第1の環状溝27が形成され、この第1の環状溝27に、3つ割れの止め輪28が嵌込まれている。フランジ部10bと軸方向に対向するブラケット側支持腕の面の代わりに、この例では、第1の環状溝27に嵌込まれた止め輪28に皿ばねの一端を当接させている。ブラケット側支持腕8における拡径孔部のうち、インボード側端付近部には、第2の環状溝29が形成されている。この第2の環状溝29に、一方のブーツ17の一端が嵌込まれている。これにより、皿ばね付近やナット部材10のフランジ部10bとザグリ孔との境界面への異物混入を防止している。
図15の例では、弾性部材として、皿ばねに代えてコイルばねを適用している。図16は図15のA−A線端面図である。図16に示すように、この例では、ナット部材10のねじ締結時の回り止めとして、フランジ部10bの外径面およびこのフランジ部10bが挿通するブラケット側支持腕8のザグリ孔8cについて、円弧の一部を軸方向を含む平面に対し平行で且つ平坦に切除するいわゆるDカット加工を施している。この回り止めによりねじ締結時ナット部材10を保持する工具を不要とし、他の実施形態よりもナット部材10のねじ締結を簡単化でき、組立工数の低減を図れる。図15に示すように、カラーシール26は、一方のブーツ17の一端に一体に設けられている。これにより、別体のカラーシールよりも部品点数を低減し得る。抵抗部材16Aは、矩形断面を有するリング形状から成る。
図17の例では、弾性部材として、皿ばねに代えて、十分な弾性力を生じるリング状の樹脂部材19Aを設けている。この例のボディ側支持腕11は、アウトボード側に開放する有底円筒形状から成る。このボディ側支持腕11の円筒孔11bに、カラー15の外周面の大部分が挿入されている。換言すれば、カラー15の外周面とボディ側支持腕11の円筒孔11bは、十分な長さで接触されている。ボディ側支持腕11の底部11cには、ゴム栓30が取り付けられた空気孔31が形成されている。
またブラケット側支持腕8の貫通孔8bに環状の矩形溝32が形成され、この矩形溝32に、弾性リング33が設けられる。ナット部材10の軸部10aの外周面に、弾性リング33の内周面が当接するようにこの弾性リング33が設けられる。
制動時に、ナット部材10が軸方向に移動することで、ナット部材10の軸部10aの外周面に当接する弾性リング33が弾性変形する。これにより弾性リング33に反発力が蓄えられる。制動解除時においては、樹脂部材19Aの弾性力および弾性リング33の反発力により、樹脂部材19Aと共にナット部材10を軸方向へ移動させる作用を生じる。図18は、図17のA−A線端面図である。図18に示すように、ナット部材10のフランジ部10bの外周面には、半径方向外方に突出する突起34が設けられている。ブラケット側支持腕8のザグリ孔8cには、突起34に嵌合する矩形溝35が軸方向に沿って形成されている。これら突起34および矩形溝35により、ナット部材10をねじ締結するときの回り止めとしている。
図19〜図21の例では、移動手段として、皿ばねに代えて、永久磁石19Bと電磁石19Cを設けている。この例では、図19に示すように、ブラケット側支持腕8のザグリ孔8cの底面に、ナット部材10の軸部10aの外周面を囲む円筒形状から成る電磁石119Cを設けている。この電磁石19Cと軸方向に対向するフランジ部10bに、円環状の永久磁石19Bを設けている。ナット部材10は、非磁性材料である例えばステンレス鋼から成り、ブラケット側支持腕8は、同じく非磁性材料である例えば球状黒鉛鋳鉄から成る。電磁石19Cのコイル36はコネクタ37に電気的に接続され、コネクタ37は、ブラケット側支持腕8の外周面から貫通孔8cに連通する径方向の孔に設けられている。このコネクタ37からケーブル38を介して外部の図示しないコントローラおよび電源に接続される。
ブラケット側支持腕8のサグリ孔8cの周面には、環状の矩形溝が形成され、この矩形溝に外部からの異物の侵入を防止する、矩形断面を有する弾性リング39を設けている。また本実施形態では、抵抗部材16を断面U字形状としている。
この構成によると、任意の機会にナット部材10を軸方向へδ移動させることが可能であるが、制動解除時にのみ、コントローラからコネクタ37を介して前記コイル36に通電させて本移動手段を作動させることにより、より効果的に引き摺りトルクを低減し得る。
抵抗部材16を断面U字形状としたため、ボディ側支持腕11の環状溝に、抵抗部材16を容易に挿入し得る。
ブラケット側支持腕8の矩形溝に弾性リング39を設けているため、図17の例の弾性リング33と同様、制動解除時に、弾性リング39の反発力を利用し得る。なおカラーシール26は、図15の例と同様に、ブーツ17の一端に一体に設けられている。但し、ブラケット側支持腕8に、カラーシール26が係合される溝を設けず同カラーシール26を当接させている。
図22では、前記電磁石19Cに代えて永久磁石19Bを採用し、移動手段として、永久磁石19B,19B同士の磁力を用いる場合の例を示す。この例では、ザグリ孔8cの底面に永久磁石19Bを設け、この永久磁石19Bと軸方向に対向するフランジ部10bに、円環状の永久磁石19Bを設けている。これら永久磁石19B,19Bは、互いに引き合う向きに取り付けてあり、ナット部材10は、フランジ部10bがザグリ孔8cの肩12に接触するまで、ザグリ孔8cの底面側に引き寄られている。
ナット部材10における、フランジ部10bとは軸方向反対側の端部には、止め輪溝が形成されている。この止め輪溝に軸用止め輪40を取り付けることで、ナット部材10がブラケット側支持腕8から抜け落ちるのを防止している。図23は、図22のA−A線端面図である。図22,図23に示すように、ブラケット側支持腕8の止め輪側の端面に、例えば、弾性変形可能なプラスチック製のカバー41を取り付けることで、異物が不所望に侵入することを防止している。
なお、図19の電磁石の代わりに、対向する永久磁石と反発し合う向きに永久磁石を取り付けて図22と同じ作用を実現しても良い。また、図22の対向する永久磁石のうち、一方の永久磁石の代わりに電磁石を設けて、他方と引き合う向きに通電させることで、図22と同じ作用を実現させても良い。
図24〜図26の例は、永久磁石19Bおよび電磁石19Cを用いる場合の別の実施形態である。この例では、サグリ孔8cの底面および周面と、ナット部材10のフランジ部10bとで囲まれた環状空間で、サグリ孔底面側に、軸方向に平行な中実芯を有する電磁石19Cを設けている。この電磁石19Cは、例えば、図25に示すように、軸方向から見て円周等配に複数箇所(この例では3箇所)設けられている。各電磁石19Cに巻回されるコイル36は1本の銅線で形成される。ナット部材10のフランジ部10bには、各電磁石19Cに対し同位相となる位置で且つ軸方向に対向する位置に、それぞれ永久磁石19Bを設けている。図26に示すように、ナット部材10は、常時回転不可となるように、フランジ部10bの外周面に突起34が設けられ、ブラケット側支持腕8のサグリ孔8cに、突起34に嵌合する矩形溝35が形成されている。
図24に示すように、ブラケット側支持腕8のサグリ孔8cの周面に、環状の矩形溝が形成され、この矩形溝にOリング42を設けている。このOリング42により外部からの異物の侵入を防止している。図示しないが、移動手段として、コイルばね、樹脂部材、または対向する永久磁石を設ける場合は、本実施形態と同様に、円周等配に複数配置しても良い。またOリング42の代わりに、摺動抵抗が低い断面X形状または断面H形状のリング状部材を設けても良い。
図27,図28の例では、移動手段として、流体の圧力制御を利用している。この例では、図27に示すように、ナット部材10のフランジ部10bと、サグリ孔8cの底面および周面とで囲まれた空間を、圧力室43としている。ブラケット側支持腕8には、圧力室43に連通する径方向の流路44が形成されている。外部から同流路44を介して圧力室43に特定の流体を満たし、外部の圧力装置(図示せず)で圧力制御により、圧力室43内を増圧させる。これにより、ナット部材10を軸方向へδだけ移動させるようになっている。
フランジ部10bの外周面には環状溝が形成され、この環状溝にOリング45が設けられている。ブラケット側支持腕8における、軸部10aの外周面に臨む内周面に、環状溝が形成され、この環状溝にOリング46が設けられている。これら2箇所のOリング45,46は、前記圧力室43を軸方向に挟むように軸方向内外に配設されている。これらOリング45,46により、圧力室43から流体が不所望に漏れることを防止し、圧力室43内の圧力を精度良く制御し得る。
この構成によると、外部の圧力装置で圧力室43内の圧力を制御することで、任意の機会にナット部材10を軸方向へ移動させることが可能であるが、制動解除時のみ、圧力室43内の圧力を引き上げることで、より効果的に引き摺りトルクを低減し得る。
図29,図30の例も、移動手段として、流体の圧力制御を利用している。この例では、図29に示すように、ブラケット側支持腕8のザグリ孔8cをインボード側に形成し、ナット部材10のフランジ部10bを、カラー15側に配置している。また圧力室43に特定の流体を満たして、圧力制御により圧力室43内を減圧することで、ナット部材10を軸方向へ移動させ得る。ブラケット側支持腕8のザグリ孔入口付近には止め輪溝が形成され、この止め輪溝に、止め輪47を取り付けている。これにより、ナット部材10がブラケット側支持腕8から脱落することを防止し、ナット部材10のカラー15側への軸方向移動を規制している。
2…キャリパブラケット
3…キャリパボディ
4…スライドピン
5,6…パッド
7…ディスクロータ
16…抵抗部材
19…移動手段
20…電動モータ

Claims (4)

  1. 車体に固定されるキャリパブラケットに対し、キャリパボディが、スライドピンにより、ディスクロータの回転軸心と平行な方向に摺動自在に支持され、前記キャリパボディが、ディスクロータのインボード側およびアウトボード側両面に押付けて制動力を与える一対のパッドを有する浮動式のディスクブレーキ装置において、
    前記スライドピンは、前記キャリパボディと前記キャリパブラケットのいずれにも前記方向に相対移動可能に構成され、
    前記パッドにより制動力を与える制動状態から制動解除状態に移行するとき、アウトボード側の前記パッドが前記ディスクロータから離れる方向へ移動するように、前記スライドピンを前記キャリパブラケットに対して強制的に相対移動させる移動手段けられ、前記スライドピンと前記キャリパボディとの間に摺動抵抗を発生させる抵抗部材が設けられ、この抵抗部材による摺動抵抗を、前記移動手段によって発生する前記方向の力よりも大きくしたディスクブレーキ装置。
  2. 請求項1に記載のディスクブレーキ装置において、前記抵抗部材は、弾性変形によって前記移動手段と共に前記方向の力を発生させるディスクブレーキ装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のディスクブレーキ装置において、前記移動手段として、弾性部材の復元力を用いるディスクブレーキ装置。
  4. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のディスクブレーキ装置において、前記パッドに制動力を与える駆動源として電動モータを用いたディスクブレーキ装置。
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