JP6080658B2 - カーボンナノチューブ生成用基板の製造方法、カーボンナノチューブ生成用基板及びカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ生成用基板の製造方法、カーボンナノチューブ生成用基板及びカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法 Download PDF

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本発明は、カーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法に関する。
従来のカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法の例として、主触媒金属の粒子と助触媒金属の粒子とを含む溶液もしくは分散液に基板(支持体)を浸漬し、この基板を所定の速度で引き上げ加熱し、基板に主触媒金属の粒子及び助触媒金属の粒子を分散させて担持させるものが、特許文献1に開示されている。
特開2006−27948号公報
しかし、このような従来のカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法では、一般的に複数種類の金属の粒子を混合した分散溶液は、それらの粒子が小さくなればなるほど、液体中で同種の金属の粒子同士の凝集が発生しやすくなるため、主触媒金属及び助触媒金属の粒子が分散せずに基板に担持される惧れがある。したがって、生成したカーボンナノチューブを剥離した際に、共に多くの主触媒金属の粒子が剥離し、基板上の主触媒が減少するため、この基板を再利用した場合、再利用する前と比較してカーボンナノチューブの生成率が低下したり、生成されたカーボンナノチューブの質が低下したりする惧れがある。
本発明は上記問題点を解決して、再利用した場合でも、カーボンナノチューブの生成率が低下するのを抑制し得るカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法を提供することを目的とする。
本発明のカーボンナノチューブ生成用基板の第1の再利用方法は、基板と、当該基板上に配置される触媒層とを具備し、前記基板上に前記触媒層を形成する工程は、前記基板上に触媒膜を形成する触媒膜形成作業と、カーボンナノチューブの成長に寄与しないバリア膜を形成するバリア膜形成作業と、前記触媒膜及び前記バリア膜を微粒化する微粒化作業とを備え、当該微粒化作業によって、触媒粒子及びバリア粒子がそれぞれ複数形成されるとともに複数の触媒粒子間にバリア粒子が配置されるカーボンナノチューブ生成用基板を再利用するに際して、
前記基板上の触媒粒子と炭素含有ガスとを反応させることにより生成したカーボンナノチューブを前記基板から剥離し、
前記基板に残された炭素含有物を酸素雰囲気中にて熱分解することにより除去して前記触媒粒子を露出させた後、
前記触媒粒子と前記炭素含有ガスとを反応させることを特徴とする。
このとき、触媒膜形成作業は、蒸着法又はスパッタリングを用いることが好ましく、さらには微粒化作業を行う前にバリア膜形成作業を行うことが好ましい。
また、微粒化作業を行う前にバリア膜形成作業を行うことが好ましい。
本発明のカーボンナノチューブ生成用基板の第2の再利用方法は、基板と、当該基板上に配置される触媒層とを具備し、前記基板上に前記触媒層を形成する工程は、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法及びスプレー法のうち少なくとも1つを用いて前記基板上に触媒膜を形成する触媒膜形成作業と、カーボンナノチューブの成長に寄与しないバリア膜を形成するバリア膜形成作業とを備え、複数の触媒粒子間にバリア粒子が配置されるカーボンナノチューブ生成用基板を再利用するに際して、
前記基板上の触媒粒子と炭素含有ガスとを反応させることにより生成したカーボンナノチューブを前記基板から剥離し、
前記基板に残された炭素含有物を酸素雰囲気中にて熱分解することにより除去して前記触媒粒子を露出させた後、
前記触媒粒子と前記炭素含有ガスとを反応させることを特徴とする。
本発明のカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法によれば、カーボンナノチューブの生成後に行われる基板の酸化及び還元処理を経ても、触媒粒子はバリア粒子により保護されていることにより剥離することがないため、再度触媒を担持させることなく、再利用することができる。
本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法を実施す るための基板の概略構成を示す斜視図である。 本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法を実施す るための基板の製造方法の概略を説明する模式側面図であり、(a)は触媒膜形成作業を示す図であり、(b)はバリア膜形成作業を示す図であり、(c)は微粒化作業を示す図である。 本発明の実施例2に係るカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法を実施す るための基板の製造方法の概略を説明する模式側面図であり、(a)は触媒膜形成作業を示す図であり、(b)はバリア膜形成作業を示す図であり、(c)は、触媒層4が形成された基板を示す図である。 実施例1に係る実験例1において、基板を7回再利用した際の熱酸化処理をした後の基板表面をSEMにより撮影した画像である。 比較例1の微粒化した触媒が担持された基板表面をSEMにより撮影したものである。 比較例1において基板を7回再利用した際の熱酸化処理をした後の基板表面をSEMにより撮影した画像である。 本発明の変形例に係る再カーボンナノチューブ生成用基板の利用方法を実施する ための基板の概略構成を示す斜視図である。
以下、本発明に係る実施例1及び実施例2について、図1〜3を用いて説明する。
[実施例1]
まず、本発明の実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法により製造されたカーボンナノチューブ生成用基板について、図1を用いて説明する。
一般に、カーボンナノチューブは炭素を主材料とすることから、高い熱伝導性を利用した放熱材料、太陽エネルギーの吸収材料、電磁波吸収材料、キャパシタ等に用いられる導電材料、又はそれらの複合性能を有する材料等、さまざまな用途に活用出来ることが知られている。
実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板は、図1に示すように、基板1と、カーボンナノチューブを生成するための複数の触媒粒子2と、カーボンナノチューブの生成に寄与しないバリア粒子3とを主な構成とする。カーボンナノチューブは、基板1の表面に担持された複数の触媒粒子2を核として生成される。なお、本発明において、基板1の「表面」とはカーボンナノチューブを生成させる面とし、基板1の「裏面」とはその表面の背面とする。
実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板は、図1に示すように、複数のバリア粒子3が複数の触媒粒子2間に配置される触媒層4を備える。
触媒粒子2としては、コバルト(Co)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)等の公知のものから適宜選択されればよい。また、上記の金属元素を少なくとも1つ含む化合物、例えば硝酸鉄や酢酸コバルト等であってもよい。
バリア粒子3は触媒粒子2を保護するために配置され、触媒粒子2よりも熱安定性及び化学安定性が高いものが選択される。例えば、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al 以下、アルミナと称することがある。)が挙げられる。
また、触媒粒子2の平均粒子径は、複数のバリア粒子3の平均粒子径以下であるように構成されている。触媒粒子2の平均粒子径は2nm〜30nmが好適であり、バリア粒子3の平均粒子径は10nm〜100nmが好適である。
上記のように、基板1上に配置される複数の触媒粒子2間に、カーボンナノチューブの生成に寄与せず且つ触媒粒子2の保護を目的とするバリア粒子3が位置することによって、触媒粒子2同士が連続しにくくなり、生成されるカーボンナノチューブの本数密度を制御することができる。また、触媒粒子2の平均粒子径がバリア粒子3の平均粒子径以下であることによって、触媒粒子2間の距離が大きくなり、触媒粒子2が凝集しにくくなるためカーボンナノチューブを剥離する際に触媒粒子2が基板1から剥離されることを抑制することができる。
次に、実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法について、図2を用いて説明する。
実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法は、基板1上に触媒層4を形成する方法を備える。触媒層4を形成する工程が、基板1上に触媒膜5を形成する触媒膜形成作業と、カーボンナノチューブの成長に寄与しないバリア膜を形成するバリア膜形成作業と、触媒膜及びバリア膜を微粒化する微粒化作業とを備える。
実施例1においては、触媒膜形成作業には、乾式法を用いる。具体的には、気相蒸着法やスパッタリング等が例示される。より具体的には、図2(a)に示すように、気相蒸着法を用いて、基板1の表面の上方に蒸着装置10を配置し、基板1の表面に触媒金属を蒸着して触媒膜5を形成する。
バリア膜形成作業には、乾式法又は湿式法を用いる。乾式法としては、例えば、気相蒸着法やスパッタリング等が挙げられる。湿式法としては、例えば、バリア粒子3を含む溶液L2を塗布又は散布してバリア膜6を形成する方法等が挙げられる。塗布又は散布の方法としては、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法及びスプレー法等の公知の方法を用いればよく特に限定されない。実施例1において、図2(b)に示すように、スピンコート法を用いて、表面に触媒膜5が形成された基板1をスピンコート装置のスピンコーター13に載せて、スピンコーター13を回転させながらシリンジ14から溶液L2を供給し、乾燥させてバリア膜6を形成する。また、バリア粒子3を含む溶液L2の溶媒としては、例えばアルコール類(エタノール、イソプロピルアルコール等)、アセトン、及び水、並びにそれらの混合溶媒が挙げられる。
さらに、触媒粒子2及びバリア粒子3の粒子径を所望の大きさにするため、微粒化作業を行う。微粒化の方法としては、不活性雰囲気下で所定温度(700℃〜800℃)にて加熱を行う方法が挙げられる。加熱の方法については、公知の方法を用いればよく、特に限定されない。このように、触媒粒子2及びバリア粒子3を微粒化することにより、それらの粒子径がともに所望の大きさになり、触媒粒子2間にバリア粒子3が配置され得る空間が形成されるため、より確実に触媒粒子2同士が連続することを抑制することができる。このとき、触媒粒子2の個数密度は、0.1×1010cm−2〜10×1010cm−2が好ましく、触媒粒子2の間隔が5nm〜200nm程度であることがよい。また、バリア粒子3の個数密度は、0.1×1010cm−2〜10×1010cm−2が好ましく、バリア粒子3の間隔が5nm〜200nm程度であることがよい。触媒粒子2及びバリア粒子3の間隔の制御は、それぞれ触媒膜5及びバリア膜6の形成方法によって適宜変更する。例えば、気相蒸着法を用いる場合には、その担持量、加熱温度及び加熱時間等をパラメータとすればよく、又、スピンコート法を用いる場合には、スピンコーターの回転数や溶液の粘度等をパラメータとすればよい。
実施例1においては、図2(c)に示すように、バリア膜6が形成された基板1の表面の上方から、微粒化ガス(不活性ガス)Gを微粒化ガス供給管11から供給し、基板1の裏面側から加熱装置12により加熱し、基板1の表面に複数の微粒化した触媒粒子2及びバリア粒子3を形成する。ここで、触媒金属の表面の酸化被膜を還元するため、微粒化ガスGには、水素(H)等の還元剤が含有されることが好ましい。
上記のように、微粒化作業により、触媒粒子2及びバリア粒子3がそれぞれ複数形成されるとともに、基板1上に配置される複数の触媒粒子2間に、カーボンナノチューブの生成に寄与せず且つ触媒粒子2間に触媒粒子2の保護を目的とするバリア粒子3が配置されることによって、触媒粒子2同士が連続しにくくなり、生成されるカーボンナノチューブの本数密度を制御することができる。さらには、触媒粒子2が凝集しにくくなるためカーボンナノチューブを剥離する際に触媒粒子2が基板1から剥離されることを抑制する。
なお、実施例1においては、触媒膜形成作業を行った後にバリア膜形成作業を行ったが、この順序に限定されるものではなく、バリア膜形成作業を行った後に触媒膜形成作業を行っても構わない。ただし、微粒化作業については、上述のとおり触媒膜5及びバリア膜6を粒子化することを目的とするため、当然ながら、微粒化作業を行う前に、触媒膜形成作業及びバリア膜形成作業を行うことが好ましい。
上述の方法により製造されたカーボンナノチューブ生成用基板上に、カーボンナノチューブを形成する方法としては、公知の方法を用いればよく、特に限定されない。例えば炭素でできた陰極と陽極との間に、アーク放電を発生させてカーボンナノチューブを生成するアーク放電法や、触媒粒子2を混ぜた炭素の塊にレーザ光線を照射して炭素を蒸発させて触媒粒子2と反応させることによりカーボンナノチューブを生成するレーザ蒸発法などが挙げられる。実施例1においては、炭化水素を高温で分解して基板に付着させた触媒粒子2によってカーボンナノチューブを生成する化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition method 以下、CVD法と略称する。)によって生成される。
以下、実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法について説明する。
上記のカーボンナノチューブ生成用基板を用いて、基板1上の触媒粒子2と炭素含有ガスとを反応させることにより生成したカーボンナノチューブを基板1から剥離又は転写し、基板1に残された炭素含有物を酸素雰囲気中にて熱分解することにより除去して触媒粒子2を露出させた後、触媒粒子2と炭素含有ガスとを反応させることにより再びカーボンナノチューブ生成用基板として利用することができる。実施例1においては、剥離又は転写の方法は公知のものを用いればよく、特に限定されない。一般的には、カーボンナノチューブとは、基板1から垂直方向に生成されたものを指し、カーボンナノチューブが剥離又は転写された後、基板1には、長さの短いカーボンナノチューブや非晶質炭素等の残渣が付着している。基板1を再利用するためには、このような残渣を熱又は酸素プラズマによる酸化処理を行って除去する必要があり、場合によっては、さらに酸化処理により酸化された触媒を還元するために還元処理を行うことがある。実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法によれば、これらの酸化及び還元処理を経ても、触媒粒子2はバリア粒子3により保護されていることにより剥離することがないため、再度触媒を担持させることなく、再利用することができる。
したがって、実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板は、特に連続式の製造方法に好適な態様である。本発明において、「連続式」とは、例えば、ロール・トゥ・ロール方式又はコンベヤ式のように、基板1を介してカーボンナノチューブを所定方向に移動させながら各製造工程を順次行う方式を指す。
[実施例2]
次に、本発明に係る実施例2について、図3を用いて説明する。実施例1と同一であるカーボンナノチューブ生成用基板及びカーボンナノチューブ生成用基板再利用方法については説明を省略し、実施例1とは異なる製造方法についてのみ説明する。なお、実施例1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
実施例2に係るカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法は、基板1と、基板1上に配置される触媒層4を形成する方法を備える。触媒層4を形成する工程は、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法及びスプレー法のうち少なくとも1つを用いて基板1上に触媒膜5を形成する触媒膜形成作業と、カーボンナノチューブの成長に寄与しないバリア膜6を形成するバリア膜形成作業とを備える。
実施例2において、触媒膜形成作業には湿式法を用いる。湿式法としては、例えば、触媒粒子2を含む溶液L1を塗布又は散布する方法等が挙げられる。塗布又は散布の方法としては、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法及びスプレー法等の公知の方法を用いればよく特に限定されない。また、触媒粒子2を含む溶液の溶媒としては、例えばアルコール類(エタノール、イソプロピルアルコール等)、アセトン、及び水、並びにそれらの混合溶媒が挙げられる。
バリア膜形成作業には、乾式法又は湿式法を用いる。乾式法としては、例えば、気相蒸着法やスパッタリング等が挙げられる。湿式法としては、例えば、バリア粒子3を含む溶液L2を塗布又は散布してバリア膜6を形成する方法等が挙げられる。塗布又は散布の方法としては、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法及びスプレー法等の公知の方法を用いればよく特に限定されない。また、バリア粒子3を含む溶液の溶媒としては、例えばアルコール類(エタノール、イソプロピルアルコール等)、アセトン、及び水、並びにそれらの混合溶媒が挙げられる。
実施例2においては、図3に示すように、触媒膜形成作業及びバリア膜形成作業に、それぞれスピンコート法を用いた。触媒膜形成作業については、図3(a)に示すように、基板1を、スピンコート装置のスピンコーター13に載せて回転させながらシリンジ14から触媒粒子2を含む溶液L1を供給し、乾燥させて触媒膜5を形成する。そして、再び、触媒膜5が形成された基板1をスピンコート装置のスピンコーター13に載せて回転させながらシリンジ14からバリア粒子3を含む溶液L2を供給し、乾燥させてバリア膜6を形成する。その結果、図3(c)に示すように、触媒層4が形成される。
ここで、触媒膜5及びバリア膜6をそれぞれ湿式法で形成する場合、基板1には、触媒粒子2やバリア粒子3が担持されるため、微粒化作業は必ずしも必要ではない。しかし、実施例1と同様に、微粒化ガスGに水素等の還元剤を含有させて、触媒金属の表面の酸化皮膜を還元することを目的として、触媒膜形成作業及びバリア膜形成作業の後に、微粒化作業を行っても構わない。
上記のように、触媒膜形成作業及びバリア粒子形成作業にて、基板1上に触媒粒子2及びバリア粒子3をそれぞれ分散させて担持させることにより、基板1上に配置される複数の触媒粒子2間に、カーボンナノチューブの生成に寄与せず且つ触媒粒子2間に触媒粒子2の保護を目的とするバリア粒子3が配置されるため、触媒粒子2同士が連続しにくくなり、生成されるカーボンナノチューブの本数密度を制御することができる。さらには、触媒粒子2が凝集しにくくなるためカーボンナノチューブを剥離する際に触媒粒子2が基板1から剥離されることを抑制する。
なお、実施例2においては、触媒膜形成作業を行った後にバリア膜形成作業を行ったが、この順序に限定されるものではなく、バリア膜形成作業を行った後に触媒膜形成作業を行っても構わない。
[実験例]
以下、実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法により作製したカーボンナノチューブ生成用基板を用いて行った実験例1、比較例1、及び実施例2に係るカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法により作製したカーボンナノチューブ生成用基板を用いて行った実験例2についてそれぞれ図4〜6を用いて説明する。
<実験例1>
実施例1に係る製造方法により、カーボンナノチューブ生成用基板を作成した。具体的には、シリコン(Si)製の基板1上に鉄(触媒金属)を0.1nm〜1.0nmの厚さで蒸着し触媒膜5を形成した後、市販の平均粒子径50nmのアルミナ粒子(バリア粒子3)の分散液(溶媒:プロパノール)をスピンコート法により塗布しバリア膜6を形成した。その後、800℃で、キャリアガスである窒素(N)に水素(H)を5%の割合で含有させた混合気体を供給し、30分間微粒化を行った。基板1上に、触媒粒子2が複数形成され、且つ密度3.0×1010cm−2で担持され、その平均粒子径は5nm〜30nmの範囲内であった。複数の触媒粒子2の間にバリア粒子3が配置された。
上記のように作製した基板1に対して、カーボンナノチューブ生成作業、カーボンナノチューブ剥離作業及び熱酸化処理及び還元処理を1サイクルとして、このサイクルを20回行い、生成されるカーボンナノチューブの性状の変化を調べた。
具体的には、まず、カーボンナノチューブの生成には、CVD法が用いられ、700℃で、キャリアガスであるNにアセチレン(C)を19%の割合で含有させた混合気体を供給し、10分間生成する。次に生成されたカーボンナノチューブを剥離し、700℃で大気雰囲気中、30分間加熱を行い、熱酸化処理を行った。そして、必要に応じて、熱酸化処理後、800℃で、キャリアガスであるNにHを5%の割合で含有させた混合気体を供給し、30分間所定条件にて還元処理を行った。また、生成されるカーボンナノチューブの性状の変化を示すパラメータとしては、各カーボンナノチューブの直径、長さ、重量及び本数密度を選択した。直径については、生成されたカーボンナノチューブをSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)により撮影した画像(以下、SEM画像と略称する。)を観察して計測した。そして、長さについてはレーザ膜厚計測器を用いて計測し、重量については電子天秤を用いて計測して単位面積当りの重量を求めた。さらに、本数密度については計測された重量、長さ及び直径を用いて算出された。その計測結果を、カーボンナノチューブの性状の変化の様子として、0回目、1〜5回目、6〜10回目、11〜20回目と階級分けし各計測値を下記の表1にまとめて示す。なお、1〜5回目、6〜10回目、11〜20回目においては、各回での計測値のうち最小値及び最大値のみを示した。下記の表1に示すように、再利用回数0〜20回目において、顕著なカーボンナノチューブ性状の変化は見られなかった。したがって、実施例1に係る基板を再利用することで、一定の性状を保ったカーボンナノチューブを得ることができることがわかった。
また、サイクルごとに熱酸化処理を行った後、基板1表面の様子をSEMを用いて加速電圧20kV、視野倍率110000倍にて観察を行った。そのうち、再利用回数が7回目のSEM画像を図4に示す。図4によれば、基板1上に多数のアルミナ粒子(バリア粒子3)が確認され、アルミナ粒子(バリア粒子3)と鉄粒子(触媒粒子2)とが互いに個別に分離して配置され、剥離もせず存在していることが分かる。図4に示すように、鉄粒子(触媒粒子2)、アルミナ粒子(バリア粒子3)共に剥離等の影響が見られず、維持されていることが確認された。7回目以降ではSEMによる基板1表面の観察は行わなかったが、カーボンナノチューブの変化の様子を考慮すると、再利用20回目以後の基板1においても、その構造が維持されていると推察される。
<比較例1>
実験例1と同様に、Si製の基板1表面に鉄を0.1nm〜1.0nmの厚さで蒸着し、触媒膜5を形成し、実験例1と同一の条件で触媒微粒化を行った。微粒化後の基板1表面の様子を、SEMにより加圧電圧20kV、視野倍率200000倍にて撮影して観察した。そのSEM画像を図5に示す。図5によれば、平均粒子径5nm〜30nmの範囲内の均一な大きさに触媒(鉄)が微粒化されて触媒粒子2が担持されていることが確認された。ただし、比較例1においては、基板1表面には、アルミナ粒子(バリア粒子3)を配置しなかった。カーボンナノチューブ生成用基板の再利用回数ごとの性状を下記の表2に示す。再利用回数5回目まではカーボンナノチューブの性状に変化が見られなかったが、6回目以降、カーボンナノチューブの生成量が顕著に低下した。再利用回数7回目での熱酸化処理後の基板1表面の様子をSEMにより加速電圧20kV、視野倍率180000倍にて撮影された画像を図6に示す。図5と比較して、触媒粒子2が剥離したと思われる穴7が多数確認され、残存する触媒粒子2の数が低減していることが分かる。このことから、触媒粒子2の間にバリア粒子3を配置することによって、触媒粒子2の剥離が抑制されていることが確認された。
<実験例2>
実施例2に係る製造方法により、カーボンナノチューブ生成用基板を作成した。具体的には、Si製の基板1上に平均粒子径50nmの市販のアルミナ粒子(バリア粒子3)の分散液(溶媒:プロパノール)をスピンコート法により塗布し、乾燥させてバリア膜6を形成した後、バリア膜6が形成された基板1上に平均粒子径10nm〜30nmの市販の鉄粒子(触媒粒子2)の分散液(溶媒:トルエン)をスピンコート法により塗布し、乾燥させて触媒膜5を形成した。また、実験例1と同一の条件にて触媒粒子2及びバリア粒子3の微粒化作業を行った。ここで、本実験例において、触媒膜5及びバリア膜6は共にスピンコート法にて塗布されるため、基板1上に、触媒粒子2及びバリア粒子3が担持される。したがって、微粒化作業は必ずしも必要ではないが、本実験例においては、触媒粒子2の表面の酸化皮膜を除去するために行った。このようにバリア粒子3が担持されてから触媒粒子2が担持された基板1に、実験例1と同様の条件及び評価方法にて基板再利用回数に伴うカーボンナノチューブの性状の変化を観察した。その結果を下記の表3に示す。なお、表3には、再利用回数6〜10回における計測値のみを表示した。下記の表3に示すように、実験例1の6〜10回目の結果と同様の傾向が見られた。したがって、触媒粒子2及びバリア粒子3の担持方法に依らず、再利用可能な基板が製造できることが確認された。
[変形例]
本発明に係る変形例として、図7に示すような、基板1にバリア粒子3を敷き詰めてその後触媒粒子2を配置するような構成がある。この構成によっても、触媒粒子2は隣接しにくくなるため、実施例1、2と同様の効果が得られる。
1 基板
2 触媒粒子
3 バリア粒子
4 触媒層
5 触媒膜
6 バリア膜
7 穴

Claims (4)

  1. 基板と、当該基板上に配置される触媒層とを具備し、前記基板上に前記触媒層を形成する工程は、前記基板上に触媒膜を形成する触媒膜形成作業と、カーボンナノチューブの成長に寄与しないバリア膜を形成するバリア膜形成作業と、前記触媒膜及び前記バリア膜を微粒化する微粒化作業とを備え、前記微粒化作業によって、触媒粒子及びバリア粒子がそれぞれ複数形成されるとともに複数の触媒粒子間にバリア粒子が配置されるカーボンナノチューブ生成用基板を再利用するに際して、
    前記基板上の触媒粒子と炭素含有ガスとを反応させることにより生成したカーボンナノチューブを前記基板から剥離し、
    前記基板に残された炭素含有物を酸素雰囲気中にて熱分解することにより除去して前記触媒粒子を露出させた後、
    前記触媒粒子と前記炭素含有ガスとを反応させる
    ことを特徴とするカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法。
  2. 触媒膜形成作業は、蒸着法又はスパッタリングを用いる
    ことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法
  3. 微粒化作業を行う前にバリア膜形成作業を行う
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法。
  4. 基板と、当該基板上に配置される触媒層とを具備し、前記基板上に前記触媒層を形成する工程は、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法及びスプレー法のうち少なくとも1つを用いて前記基板上に触媒膜を形成する触媒膜形成作業と、カーボンナノチューブの成長に寄与しないバリア膜を形成するバリア膜形成作業とを備え、 複数の触媒粒子間にバリア粒子が配置されるカーボンナノチューブ生成用基板を再利用するに際して、
    前記基板上の触媒粒子と炭素含有ガスとを反応させることにより生成したカーボンナノチューブを前記基板から剥離し、
    前記基板に残された炭素含有物を酸素雰囲気中にて熱分解することにより除去して前記触媒粒子を露出させた後、
    前記触媒粒子と前記炭素含有ガスとを反応させる
    ことを特徴とするカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法
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