JP6080110B2 - リアクトル - Google Patents

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Description

本発明は、ハイブリッド自動車の車両に搭載される車載用DC−DCコンバータといった電力変換装置の構成部品などに利用されるリアクトルに関するものである。
ハイブリッド自動車などの車両に搭載されるコンバータにおいて電圧の昇圧動作や降圧動作を行う回路の部品の一つにリアクトルがある。このようなリアクトルは大電流で使用され、その使用時における通電によって発熱する。その発熱によってリアクトルの温度が高くなりすぎると、リアクトルの動作が不安定となるという問題がある。
上記問題点を解決するために、例えば特許文献1には、液体冷媒が流通される収納部にリアクトルを配置し、リアクトルを液体冷媒の循環路に浸漬することで冷却する構成が提案されている。この特許文献1のリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルと、そのコイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアと、の組合体を備え、その磁性コアは、コイルの内部に配置される内側コア部と、コイルから露出する外側コア部と、を備える。また、この特許文献1のリアクトルでは、組合体の全周を実質的に覆う樹脂被覆部を備えており、この樹脂被覆部によって、リアクトル(組合体)が液体冷媒に浸漬された状態であってもリアクトルの磁性コアに含まれる鉄系材料(軟磁性粉末)が液体冷媒によって腐食されることを防止している。
特開2011−049494号公報
近年では、ハイブリッド自動車や電気自動車の急速な発展に伴い、リアクトルの需要も拡大の一途となっており、リアクトルの生産性の向上が望まれている。しかし、上記特許文献1のリアクトルでは、樹脂被覆部の形成が煩雑で、リアクトルの生産性が芳しくないという問題がある。特に、特許文献1では、樹脂被覆部は、コイルの形状を保持する内側樹脂部と、少なくとも内側樹脂部で覆われていない箇所を覆う外側樹脂部と、で構成されており、これら二つの樹脂部を形成する手間と時間が、リアクトルの生産性を低下させている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、液体冷媒の循環路に配置された状態で使用されるリアクトルでありながら生産性に優れるリアクトルを提供することにある。
本発明は、巻線を巻回してなるコイルと、コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアと、の組合体を備え、その組合体は液体冷媒が供給される箇所に設置された状態で使用されるリアクトルに係る。この本発明のリアクトルに備わる磁性コアは、コイルの内部に配置される内側コア部、およびコイルから露出する外側コア部を有し、液体冷媒と接する外側コア部の表面は、樹脂中に軟磁性粉末を分散させた複合材料で構成されている。
本発明のリアクトルは、液体冷媒の循環路に配置された状態で使用されるリアクトルでありながら、生産性に優れる。
実施形態1に示すリアクトルの使用状態図である。 実施形態1に示すリアクトルの概略斜視図である。 実施形態1に示すリアクトルの分解斜視図である。 実施形態1に示すリアクトルに備わる組合体の分解斜視図である。 実施形態1に示すリアクトルにおける温度センサの配置説明図である。 実施形態2に示す放熱部を備える外側コア部の概略斜視図である。 ハイブリッド自動車の電源系統を模式的に示す概略構成図である。 コンバータを備える電力変換装置の一例を示す概略回路である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明者らは、特許文献1における少なくとも外側樹脂部を省略できないか鋭意検討する過程で、樹脂中に軟磁性粉末を分散させた複合材料で成形体を作製した場合、その成形体の全周面にわたって軟磁性粉末が殆ど含まれない状態となるとの知見を得た。この知見に基づいて、本発明者らは、コイルに覆われることなく液体冷媒に直接曝される外側コア部を複合材料で構成することを検討し、その結果、複合材料で構成した外側コア部の外周に、外側コア部を液体冷媒から保護する被覆部を形成する必要がないとの知見を得た。これらの知見に基づいて本発明を以下に規定する。
<1>実施形態のリアクトルは、巻線を巻回してなるコイルと、コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアと、の組合体を備え、その組合体は液体冷媒が供給される箇所に配置された状態で使用されるリアクトルである。このリアクトルの磁性コアは、コイルの内部に配置される内側コア部、およびコイルから露出する外側コア部を有し、液体冷媒と接する外側コア部の表面は、樹脂中に軟磁性粉末を分散させた複合材料で構成されている。
本発明者らの検討によれば、樹脂中に軟磁性粉末を分散させた複合材料で構成される外側コア部には、その全周面にわたって軟磁性粉末が殆ど含まれない状態となる。その軟磁性粉末が殆ど含まれない表面によって、外側コア部に含まれる軟磁性粉末の腐食を抑制することができる。そのため、複合材料でできた外側コア部の外周には、外側コア部を液体冷媒から保護する被覆部を設ける必要がなく、被覆部を設ける必要がない分だけリアクトルの生産性を向上させることができる。
また、外側コア部の表面によって、外側コア部に含まれる軟磁性粉末が液体冷媒中に脱落して、液体冷媒中に軟磁性粉末が混入することを抑制することができる。液体冷媒中に軟磁性粉末が混入すると、液体冷媒を循環させる構成の場合、液体冷媒を循環させるポンプが損傷したり、循環路中に設けられるフィルターなどが目詰まりを起こしたりして、液体冷媒を循環させることが困難になる恐れがある。これに対して、本実施形態の構成では、外側コア部の表面に殆ど軟磁性粉末が含まれておらず、外側コア部から軟磁性粉末が脱落し難いため、液体冷媒の循環が困難になるという問題は殆ど生じない。
なお、リアクトルにおける「コイルの内側に配置される内側コア部」とは、磁性コアのうち、コイルの内側に実質的に配置されている領域をいい、「コイルが配置されない外側コア部」とは、磁性コアのうち、コイルが実質的に配置されていない領域をいう。例えば、磁性コアが複数のコア片から構成されている場合(ギャップ材が無い場合。但し、エアギャップは許容する)、複数のコア片と少なくとも一つのギャップ材とから構成されている場合、コイルの内側に配置されているコア片やギャップ材は勿論、コイルの内側に配置される部分を含むコア片やギャップ材も、内側コア部に含む。具体的には、一つのコア片の中央部分(このコア片の大部分)がコイルの内側に配置され、このコア片の端部及びその近傍がコイルから露出されている場合にこのコア片は、内側コア部とみなす。複数のコア片の集合体(代表的には、接着剤や粘着テープなどで固定された一体物)の大部分がコイルの内側に配置され、残部(例えば、複数のコア片のうち、集合体の端部を構成するコア片の全部又は一部分)がコイルから露出されている場合にこの集合体は、内側コア部とみなす。なお、この集合体もギャップ材を含むことを許容する。
<2>実施形態のリアクトルとして、外側コア部は、磁路となる本体部と、本体部に一体に形成され、組合体を設置対象に固定するための鍔部と、を備える形態を挙げることができる。
本体部に一体に設けられる鍔部、即ち本体部と同様に複合材料で構成される鍔部によって、リアクトルを設置対象に固定し易くすることができる。例えば、ボルトを貫通させる貫通孔、もしくはボルトを螺合させるネジ孔を鍔部に形成することで、リアクトルを設置対象にネジ止めすることができる。その結果、リアクトルを設置し易くすることができ、しかも設置したリアクトルを設置対象から外れ難くすることができる。本体部に鍔部を一体に設けることができるのは、射出成形などで形成される複合材料が、圧粉成形体に比べて遥かに成形性に優れるからである。なお、鍔部は本体部と一体に成形されるため、鍔部の存在によってリアクトルの生産性が低下することはない。
<3>実施形態のリアクトルとして、外側コア部は、磁路となる本体部と、本体部に一体に形成され、本体部の外周に張り出す放熱部と、を備える形態を挙げることができる。
外側コア部の本体部に放熱部を一体に設ける、即ち本体部と同様に複合材料で構成される放熱部を設けることで、組合体(リアクトル)の放熱性を向上させることができる。本体部に放熱部を一体に設けることができるのは、複合材料が成形性に優れるからである。なお、放熱部は本体部と一体に成形されるので、放熱部の存在によってリアクトルの生産性が低下することはない。
<4>実施形態のリアクトルとして、組合体が載置される放熱板と、組合体と放熱板とを接着する接着層と、コイルと放熱板とで囲まれる空間に配置され、リアクトルの動作時の物理量を測定するセンサと、を備え、センサは、接着層によって固定されている形態を挙げることができる。
設置対象に対向する組合体の設置面には液体冷媒が回り込み難く、そのため設置面を介した放熱効率は、他の部分に比べて低い。これに対して、組合体を放熱板に載置させ、組合体と設置対象との間に放熱板を介在させることで、放熱板を介して組合体で発生した熱を効率的に設置対象に放熱することができる。また、その放熱板とコイルとで囲まれる空間は、液体冷媒の流れに直接曝される箇所ではなく、液体冷媒の温度や圧力などの液体冷媒の物理量の影響を受け難い箇所であるため、リアクトルの動作時の物理量(例えば、温度、電流値、電圧値、加速度など)の測定に適している。この箇所にセンサを配置して、当該箇所の物理量を監視すると共に、その物理量に基づいて液体冷媒の流量や温度などを管理することで、リアクトルを安定的に動作させることができる。また、そのセンサを接着層の位置で固定することで、センサによる測定のバラツキを抑制することができ、リアクトルをより安定的に運転させることができる。
<5>実施形態のリアクトルとして、内側コア部は、軟磁性粉末を圧縮成形することで得られる圧粉成形体と、その圧粉成形体の外周を覆うコーティング層と、を備える形態を挙げることができる。
軟磁性粉末を圧縮成形することで得られる圧粉成形体は、圧粉成形体に占める軟磁性粉末の割合を高くし易い。圧粉成形体に含まれる軟磁性粉末の量を大きくすることで、圧粉成形体の飽和磁束密度を高くすることが容易にできる。そのため、小型でありながら十分な飽和磁束密度を有する内側コア部を作製することができ、リアクトルを小型化することができる。また、圧粉成形体で構成される内側コア部の外周をコーティング層で覆うことで、内側コア部に含まれる軟磁性粉末の腐食を抑制することができる。また、コーティング層によって、内側コア部に含まれる軟磁性粉末が液体冷媒中に脱落し、軟磁性粉末が液体冷媒中に混入することを抑制することができる。
<6>実施形態のリアクトルとして、外側コア部の飽和磁束密度が、内側コア部の飽和磁束密度よりも小さい場合、外側コア部における磁路と直交する断面の面積(SOUT)は、内側コア部における磁路と直交する断面の面積(SIN)よりも大きい形態を挙げることができる。
樹脂中に軟磁性粉末を分散させた複合材料の飽和磁束密度は、軟磁性粉末を圧縮成形した圧粉成形体の飽和磁束密度よりも低い傾向にある。そのため、飽和磁束密度が低い傾向にある外側コア部のSOUTを、飽和磁束密度が高い傾向にある内側コア部のSINよりも大きくすることで、磁気飽和し難いリアクトルとすることができる。
<7>実施形態のリアクトルとして、組合体を内部に収納するケースを備え、そのケースは、液体冷媒をケース内に供給する供給部と、ケース内の液体冷媒を排出する排出部と、を備える形態を挙げることができる。
組合体を収納するケースを用い、そのケースに供給部と排出部とを設けることで、組合体を冷却する液体冷媒の流れを制御することができ、組合体を効果的に冷却することができる。なお、ケースは、組合体の専用のケースであっても良いし、そうでなくても良い。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるわけではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内の全ての変更が含まれることを企図する。
<実施形態1>
実施形態1では、図1〜図5に基づいてリアクトル1の構成を説明する。図1は、リアクトル1の使用状態図、図2はケースを除くリアクトル1の概略斜視図、図3はケースを除くリアクトル1の分解斜視図、図4はリアクトルに備わる組合体10の分解斜視図、図5はリアクトルに設けるセンサ9の配置説明図である。
図1に示すように、本実施形態のリアクトル1は、コイル2と磁性コア3との組合体10を備える。本実施形態では、リアクトル1はさらにケース8を備え、このケース8内に組合体10が収納されると共に、ケース8内に液体冷媒8Lが循環供給されており、その結果、組合体10が液体冷媒8Lの循環路に配置された状態で使用されている。このリアクトル1の最も特徴とするところは、磁性コア3のうち、コイル2から露出する外側コア部32が、樹脂中に軟磁性粉末を分散させた複合材料で構成され、かつ外側コア部32の外周に、外側コア部32を液体冷媒8Lから保護する被覆部を備えないことである。以下、本実施形態のリアクトル1の構成を詳細に説明し、次いでリアクトル1の使用状態を説明する。
≪コイル≫
図2〜図4に示す組合体10に備わるコイル2は、一対のコイル素子2A,2Bと、両コイル素子2A,2Bを連結する連結部2rと、を備える(特に、図4を参照)。各コイル素子2A,2Bは、互いに同一の巻数、同一の巻回方向で中空筒状に形成され、各軸方向が平行するように横並びに並列されている。本実施形態では、これらコイル素子2A,2Bは接続部の無い一本の巻線2wを螺旋状に巻回することで形成されており、その巻線をU字状に屈曲させることで上記連結部2rが形成されている。もちろん、両コイル素子2A,2Bは、別個の巻線を螺旋状に巻回することで形成しても良く、その場合、例えば、コイル素子2A,2Bの端部同士を圧接や溶接などで接合する。
コイル2は、銅やアルミニウム、その合金といった導電性材料からなる平角線や丸線などの導体の外周に、絶縁性材料からなる絶縁被覆を備える被覆線を好適に利用できる。本実施形態では、導体が銅製の平角線からなり、絶縁被覆がエナメル(代表的にはポリアミドイミド)からなる被覆平角線を利用し、各コイル素子2A,2Bは、この被覆平角線をエッジワイズ巻きにしたエッジワイズコイルである。また、各コイル素子2A,2Bの端面形状を長方形の角部を丸めた形状としているが、端面形状は、円形状など適宜変更することができる。
コイル2の両端部2a,2b(紙面左側)は、ターン形成部分から引き延ばされて、図示しない端子部材に接続される。この端子部材を介して、コイル2に電力供給を行なう電源などの外部装置(図示せず)が接続される。
≪磁性コア≫
組合体10に備わる磁性コア3は、各コイル素子2A,2Bの内部に配置される一対の内側コア部31,31と、コイル素子2A,2Bから露出する一対の外側コア部32,32と、を備える。外側コア部32,32は、内側コア部31,31をその両側から挟み込むように配置され、その配置によって環状の閉磁路を有する磁性コア3が形成される。
ここで、内側コア部31の磁気特性と、外側コア部32の磁気特性と、を異ならせることで、磁性コア3全体の磁気特性を調整することができる。例えば、内側コア部31の飽和磁束密度>外側コア部32の飽和磁束密度とすると、内側コア部31における磁束を通過させる箇所の面積を小さくし易く、リアクトル1の小型化を図ることができる。内側コア部31の比透磁率<外側コア部32の比透磁率とすると、外側コア部32の比透磁率が相対的に高いことで、外側コア部32での漏れ磁束を低減し易い。磁性コア3全体と、磁性コア3を構成する各コア部31,32の好ましい比透磁率および飽和磁束密度の一例を以下に示す。
・磁性コア3全体…比透磁率=10以上50以下、飽和磁束密度=0.8T以上
・内側コア部31…比透磁率=50以上500以下、飽和磁束密度=1.0T以上
・外側コア部32…比透磁率=5以上50以下、飽和磁束密度=0.6T以上
〔外側コア部〕
リアクトル1における外側コア部32は、例えば、略ドーム形状の上面と下面を有する柱状の本体部32aと、本体部32aの下面側でコイル素子2A,2Bの幅方向に張り出す一対の鍔部32bと、を備えるコア片である。これら本体部32aと鍔部32bとは、後述する複合材料を用いて一体に成形されている。
本体部32aは、リアクトル1の動作時に磁束の通り道となる部分である。本実施形態に例示するように、外側コア部32の飽和磁束密度が内側コア部31の飽和磁束密度よりも小さい場合、外側コア部32における磁路と直交する断面の面積(SOUT)は、内側コア部31における磁路と直交する断面の面積(SIN)よりも大きくすることが好ましい。飽和磁束密度が低い外側コア部32のSOUTを、飽和磁束密度が高い内側コア部31のSINよりも大きくすることで、磁気飽和し難いリアクトル1とすることができる。
鍔部32bは、組合体10を設置対象(本実施形態では図1に示すケース8)に固定するための部分である。本実施形態の鍔部32bは、本体部32aの下面側でコイル素子2A,2Bの幅方向に張り出すフランジ状となっている。鍔部32bには、金属などの剛性材でできたカラーが埋め込まれており、組合体10を設置対象に固定する際に用いられるボルトを貫通させることができるようになっている。剛性材からなるカラーは、ボルトによる締付力を受けて、鍔部32bを構成する複合材料が損傷することを抑制する。
(複合材料)
外側コア部32を構成する複合材料は、バインダとなる樹脂中に軟磁性粉末を分散させたものである。複合材料によって外側コア部32を作製する場合、代表的には、射出成形、トランスファー成形、MIM(Metal Injection Molding)、注型成形などを利用できる。磁性体粉末と樹脂との混合物を成形型に充填して成形した後、上記樹脂を硬化することで、所望の立体形状の外側コア部32が容易に得られる。
軟磁性粉末としては、純鉄や、鉄基合金、希土類元素を含む合金などで構成される軟磁性金属粒子の集合体を利用することができる。鉄基合金としては、Fe−Si系合金、Fe−Al系合金、Fe−N系合金、Fe−Ni系合金、Fe−C系合金、Fe−B系合金、Fe−Co系合金、Fe−P系合金、Fe−Ni−Co系合金、及びFe−Al−Siなどを挙げることができる。その他、軟磁性粉末として、軟磁性粒子の表面に絶縁被覆を備える被覆粒子の集合体を利用することもできる。絶縁被覆としては、例えば、リン酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物などが挙げられる。
軟磁性粉末(軟磁性粒子)の平均粒径は、1μm以上1000μm以下、特に10μm以上500μm以下とすることが好ましい。また、軟磁性粉末は、粒径が異なる複数種の粉末が混合されたものでも良い。平均粒径が上記範囲を満たす軟磁性粉末を材料に用いると、流動性が高く、射出成形などを利用して複合材料を生産性良く製造できる。
一方、バインダとなる樹脂には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。その他、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂、常温硬化性樹脂、あるいは低温硬化性樹脂を用いてもよい。
複合材料における軟磁性粉末の含有量は、複合材料を100%とするとき、20体積%以上75体積%以下が挙げられる。磁性体粉末が20体積%以上であることで、磁性成分の割合が十分に高いため、飽和磁束密度を高め易い。磁性体粉末が75体積%以下であると、磁性体粉末と樹脂との混合物の流動性が高く、成形性に優れた複合材料とすることができる。磁性体粉末の含有量は、30体積%以上、更に40体積%以上とすることが挙げられる。また、磁性体粉末の含有量は、70体積%以下、更に65体積%以下、60体積%以下とすることが挙げられる。
上記磁性体粉末及び樹脂に加えて、アルミナやシリカなどのセラミックスといった非磁性体からなる粉末(フィラー)を含有する複合材料としても良い。複合材料にフィラーを含有させることで、複合材料の放熱性の向上や、複合材料における磁性体粉末の偏在の抑制(均一的な分散)を図ることができる。フィラーは、磁性体粉末よりも微粒であると、フィラーの含有による磁性体粉末の割合の低下を抑制できる。フィラーの含有量は、複合材料を100質量%とするとき、0.2質量%以上20質量%以下であると、上記効果を十分に得られる。
上記複合材料は、磁性体粉末の材質や含有量、フィラーの有無などを調整することで、コア片の磁気特性を容易に調整できる。つまり、所望の磁気特性を有するコア片や磁性コア3を製造し易い。また、複合材料は、樹脂を含有することから、磁性体粉末の材質が圧粉成形体を構成する粒子の材質と同じである場合でも、飽和磁束密度が低く、かつ比透磁率も低くなる傾向にある。複合材料の飽和磁束密度は0.6T以上であることが望ましく、1.0T以上であることがより望ましい。また、複合材料の比透磁率は5以上50以下であることが望ましく、10以上35以下であることがより望ましい。
なお、上述の比透磁率及び飽和磁束密度は、以下のようにして測定する。各コア片と同じ材料で、外径34mm、内径20mm、厚さ5mmのリング状試験片を作製する。この試験片に、一次側300巻、二次側20巻きの巻線を施し、試験片のB−H初磁化曲線をH=0(Oe)〜100(Oe)の範囲で測定する。測定には、例えば、理研電子株式会社製BHカーブトレーサ「BHS−40S10K」を用いることができる。得られたB−H初磁化曲線の勾配(B/H)の最大値を求め、この最大値をコア片の比透磁率とする。通常、H=0又はH=0付近で、B−H初磁化曲線の勾配(B/H)は最大となる。ここでの磁化曲線とは、いわゆる直流磁化曲線である。また、ここでの比透磁率とはいわゆる直流透磁率であって、交流磁場中で測定された交流比透磁率とは異なる。コア片の飽和磁束密度は、上記試験片に対して電磁石で10000(Oe)の磁界を印加し、十分に磁気飽和させたときの磁束密度とする。
(外側コア部を複合材料で構成したことにより得られる効果)
複合材料で構成された外側コア部32は、その表面側の全周にわたって軟磁性粉末が殆ど含まれない表面樹脂層が形成される。本実施形態における組合体10は、図1に示すように、液体冷媒8Lの循環路において液体冷媒8Lに浸漬された状態で使用されるため、外側コア部32は液体冷媒8Lに曝される。仮に、複合材料に含まれる軟磁性粒子が液体冷媒8Lに接触した場合、腐食する恐れがある。しかし、複合材料で構成した外側コア部32の表面側には表面樹脂層が形成されているため、外側コア部32に含まれる軟磁性粒子の腐食が抑制される。従って、本実施形態のリアクトル1においては、外側コア部32の外周に、外側コア部32を液体冷媒8Lから保護する被覆部は必要ない。
ここで、複合材料を金型に注入して外側コア部32を形成した場合、外側コア部32の成形時の下方側に軟磁性粉末が沈降し、当該下方側で軟磁性粉末が外側コア部32の表面に露出するように思われる。しかし、実際には外側コア部32の全周にわたって表面樹脂層が形成され、外側コア部32の表面には軟磁性粉末が殆ど露出しない。
なお、金型内に複合材料を注入する構成では、金型における複合材料の注入口に対応した形状のバリが形成される。このバリは通常、外側コア部32に必要のないものであるので、除去することになるが、その除去痕には軟磁性粒子が露出する可能性がある。そこで、除去痕を樹脂やシールでケアすることが好ましい。
〔内側コア部〕
磁性コア3を構成する内側コア部31,31は、図4に示すように、概略直方体状の磁性体である。内側コア部31には、軟磁性粉末を圧縮成形することで得られる圧粉成形体を利用することができる。もちろん、外側コア部32と同様に、内側コア部31を複合材料で構成することもできるし、絶縁被膜を有する磁性薄板(例えば、電磁鋼板)を複数積層した積層体を利用することもできる。内側コア部31と外側コア部32の磁気特性を異ならせる場合、内側コア部31は、圧粉成形体とすること好ましい。本実施形態では特に、内側コア部31を圧粉成形体とした例を説明する。
圧粉成形体を利用した内側コア部31として、直方体状の複数のコア片31mおよびこれらコア片31mの間に介在されるギャップ材31gで構成された積層体と、その積層体の外周を覆うコーティング層31rと、を備える内側コア部31を挙げることができる。この場合、コア片31mは、軟磁性粉末を圧縮成形した圧粉成形体とし、ギャップ材31gは、コア片31mよりも比透磁率が小さい材料とすると良く、そうすることで内側コア部31のインダクタンスを調整することができる。
圧粉成形体に用いる軟磁性粉末には、複合材料の説明で列挙した材料を利用できる。また、ギャップ材31gには、アルミナや不飽和ポリエステルなどの非磁性材料、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂などの非磁性材料と磁性材料(磁性材料の例は、鉄粉などの軟磁性粉末)とを含む混合物などを利用できる。ギャップ材31gを上記混合物で構成する場合は、ギャップ材31gの比透磁率を1.05以上2以下とすることが好ましい。
コア片31mとギャップ材31gとの一体化には、特に接着剤を利用すると扱い易い上に、コア片31mが磁歪によって振動する材質で構成され、ギャップ材31gがアルミナのような剛性の高い材質で構成された場合でも、コア片31mとギャップ材31gとの接触・非接触に伴う騒音を低減できると期待される。その他、コア片31mとギャップ材31gとの一体化に接着テープなどを利用することもできる。ここでは、コア片31mとギャップ材31gとを接着剤によって一体化している。
内側コア部31は、コイル素子2A,2Bの内部に挿入され、組合体10の外部にあまり露出していないが、液体冷媒8Lに曝される。そこで、コーティング層31rを設けて、圧粉成形体で構成される内側コア部31に含まれる軟磁性粉末の腐食を防止すると共に、内側コア部31から軟磁性粉末が脱落することを抑制することが好ましい。このコーティング層31rは、内側コア部31とコイル2との間の絶縁を確保する内側ボビンの役割も兼ねており、従って、コーティング層31rを設けることで内側ボビンを省略することができる。
コーティング層31rは、コア片31mとギャップ材31gとの積層体の端面31eを除く部分を覆い、コア片31mに液体冷媒8L(図1参照)が接触することを抑制する。コーティング層31rには、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、アミドイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂などを利用することができる。コーティング層31rの厚さは、0.1mm以上、3mm以下とする。コーティング層31rの厚さを0.1mm以上とすることで、液体冷媒8Lによるコア片31mの腐食を防止でき、かつ内側コア部31とコイル2との間の絶縁性を向上できる。一方、コーティング層31rの厚さを3mm以下とすることで、コーティング層31rが厚くなり過ぎることを抑制することができる。コーティング層31rは、コア片31mとギャップ材31gの積層体を構成樹脂に浸漬させたり、積層体に刷毛やスプレーなどで構成樹脂を塗布したりすることで形成できる。
(圧粉成形体)
コア片31mを構成する圧粉成形体は、代表的には、表面に絶縁被膜を有する軟磁性粉末を加圧成形した後、適宜熱処理を施すことで製造することができる。圧粉成形体の材料には、鉄基材料や希土類金属などの軟磁性材料からなる粒子の表面に絶縁被覆を備える被覆粉末やフェライト粉末に、熱可塑性樹脂などの樹脂や高級脂肪酸などの添加剤(上記熱処理によって消失、又は絶縁物に変化するもの)を加えた混合材料を用いることが挙げられる。上記製造方法によって、軟磁性粒子の周囲が絶縁被覆(例えば、リン酸化合物、珪素化合物、ジルコニウム化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物など)で覆われ、当該粒子間に絶縁物が介在する圧粉成形体が得られる。絶縁被覆を備える圧粉成形体は、絶縁性に優れ、渦電流損を低減することができる。
圧粉成形体に使用する軟磁性粉末の平均粒径は、1μm以上1000μm以下、特に10μm以上500μm以下とすることが好ましい。軟磁性粉末は、粒径が異なる複数種の粉末が混合されたものでも良い。微細な粉末と粗大な粉末とを混合した軟磁性粉末を圧粉成形体の材料に用いた場合、飽和磁束密度が高く、低損失なリアクトルが得られ易い。なお、圧粉成形体における軟磁性粉末と材料に用いた粉末とは、その大きさが実質的に同じである(維持されている)。
圧粉成形体における軟磁性粉末の含有量は、圧粉成形体を100%とするとき、体積割合で75体積%以上とすることが望ましく、80体積%以上とすることがさらに望ましい。圧粉成形体における軟磁性粉末の含有量の調整は、例えば、軟磁性粒子の表面に形成される絶縁被覆の厚さや、圧粉成形体の作製時に軟磁性粉末に加えられる樹脂や添加剤の量によって調節できる。
圧粉成形体の磁気特性は、軟磁性粉末の含有量を変化させることで調整できる。もちろん、軟磁性粉末の材質を変更することでも圧粉成形体の磁気特性を調整できる。その他、加圧成形時の成形圧力を調整することでも、圧粉成形体の磁気特性(特に、飽和磁束密度)を変化させることができる。その場合、成形圧力を高くすることで、飽和磁束密度が高い圧粉成形体が得られる。圧粉成形体の飽和磁束密度は1.0T以上であることが望ましく、1.6T以上、1.8T以上、2T以上であることがより望ましい。また、圧粉成形体の比透磁率は、50以上500以下であることが望ましい。
≪放熱板≫
放熱板5は、組合体10を支持すると共に、組合体10で生じた熱を設置対象(図1に示すケース8の取付面81)に放熱する放熱経路として機能する板状の部材である(特に、図2,3を参照)。つまり、放熱板5の一面側が、組合体10を搭載する搭載面、他面側が設置対象(本実施形態では図1のケース8)への取付面である。
放熱板5の四隅には、外側コア部32の部32bに対応する張出部5bが設けられている。この張出部5bには、部32bの貫通孔(カラーの貫通孔)に対応する挿通孔51が形成されている(図3参照)。挿通孔51は、組合体10を設置対象に固定する際に利用される。
上記放熱板5は、コイル2に近接して配置されるため、非磁性材料から構成すると良い。また、放熱板5はリアクトル1の放熱経路に利用されるため、熱伝導性に優れる金属材料から構成することが好ましい。つまり、放熱板5は、アルミニウム(熱伝導率:237W/m・K)やその合金、あるいはマグネシウム(156W/m・K)やその合金などの非磁性金属から構成する。あるいは、オーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS304:16.7W/m・K)で放熱板5を構成しても良い。上記列挙した非磁性金属は軽量であるため、軽量化が望まれている車載部品の構成材料に適する。この放熱板の厚さは、強度、磁束の遮蔽性を考慮して、2mm以上5mm程度とすることが好ましい。
≪接着層≫
放熱板5を利用する場合、図3に示すように、放熱板5に組合体10を接着させる接着層6を形成することが好ましい。接着層6は、組合体10を放熱板5に強固に固定させる機能を有する。また、接着層6によって、組合体10の底面と放熱板5の上面(搭載面)との間に微小な凹凸があったとしても、両者の隙間が形成され難くでき、その結果として隙間に起因する放熱経路の分断を抑制することができる。
接着層6は、コイル2と放熱板5との間を十分に絶縁可能な程度の絶縁特性と、リアクトル1の使用時における最高到達温度に対して軟化しない程度の耐熱性とを有する絶縁性樹脂によって構成する。例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂や、PPS樹脂、液晶ポリマーなどの熱可塑性の絶縁性樹脂が接着層に好適に利用できる。この絶縁性樹脂には、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ほう素、及び炭化珪素から選択される少なくとも1種のセラミックスフィラーが含有されていても良く、そうすることで、接着層の絶縁性および放熱性を向上させることができる。接着層の熱伝導率は、0.1W/m・K以上とすることが好ましく、より好ましくは0.15W/m・K以上、さらに好ましくは0.5W/m・K以上、特に好ましくは1W/m・K以上、最も好ましくは2.0W/m・K以上である。例えば、接着層6を、アルミナからなるフィラーを含有するエポキシ系接着剤により形成すれば、接着層6の熱伝導率は3W/m・K以上となる。接着層6の形成は、塗布や、スクリーン印刷などで行なうことができる。
≪センサ≫
本実施形態では、図5に示すように、コイル2と放熱板5とで囲まれる空間(台形状空間)にセンサ9が配置されている。センサ9は、リアクトル1の動作時の物理量(例えば、温度や電流値、電圧値、加速度など)を測定する。その測定結果に基づいてリアクトル1の動作を安定化させることができる。例えば、センサ9として、サーミスタといった感熱素子を利用することで、リアクトル1(組合体10)の動作時の温度を監視することが挙げられる。センサ9が設けられる空間は、リアクトル1(組合体10)の動作時に温度が高くなり易い箇所である。そのため、この箇所の温度を測定して、液体冷媒8Lの流量や温度を調節してリアクトル1(組合体10)の温度を管理することで、リアクトル1の動作を安定させることができる。
上記センサ9は、接着層6によって固定されている。より具体的には、センサ9は接着層6に埋め込まれた状態となっている。このような構成とすることで、リアクトル1を動作させたときの振動によって、上記空間におけるセンサ9の位置がずれることがないため、センサ9による測定結果にバラツキが生じ難く、センサ9による測定結果の信頼性を向上させることができる。測定結果の信頼性が高いと、リアクトル1をより安定的に動作させることができる。
≪リアクトルの使用状態≫
実施形態1の冒頭で図1を参照して言及したように、本実施形態のリアクトル1はさらに、組合体10を収納するケース8を備え、ケース8に液体冷媒8Lの循環路が形成されている。液体冷媒8Lは特に限定されないが、ハイブリッド自動車でリアクトル1を利用する場合、ATF(Automatic Transmission Fluid)などを液体冷媒8Lとして利用できる。その他、フロリナート(登録商標)などのフッ素系不活性液体、HCFC−123やHFC−134aなどのフロン系冷媒、メタノールやアルコールなどのアルコール系冷媒、アセトンなどのケトン系冷媒などを液体冷媒8Lとして利用することもできる。
〔ケース〕
図1に示すように、ケース8は、その内部に液体冷媒8Lが供給・排出される箱状の部材であって、液体冷媒8Lをケース8内へ供給する供給口(供給部)80iと、ケース8内の液体冷媒8Lをケース8外へ排出する排出口(排出部)80oと、を備える。液体冷媒8Lは、供給口80iからケース8内に供給され、ケース8内の液体冷媒8Lは、排出口80oからケース8外へ排出される。そして、排出された液体冷媒8Lは、冷却器(図示略)などにより所定の温度に冷却されて、再び供給口80iからケース8内へ供給される。このように液体冷媒8Lがケース8内へ循環供給される。即ち、本実施形態1のリアクトル1は、液体冷媒8Lが循環供給される箇所に設置された状態で使用される。
供給口80i及び排出口80oの配置箇所及び口径は、適宜選択できる。これらを適宜調節することで、組合体10の一部を液体冷媒8Lに浸漬させたり、図1に示すようにコイル2の上面が液体冷媒8Lの液面下(巻線2wの端部2aは液面上)に位置するように、組合体10全体を液体冷媒8Lに常時浸漬されるようにしたりすることができる。ここでは、供給口80iは、組合体10の上方に設け、排出口80oは、後述する固定部82の高さと略同様の位置に設けている。そして、排出口80oの口径φを供給口80iの口径φよりも小さくしている。それにより、図1に示すように組合体10全体を液体冷媒8Lに常時浸漬されるようにしている。
ケース8は、放熱板5に対向する取付面81と、放熱板5を固定するための固定部82とを備える。固定部82は、ケース8の取付面81と放熱板5との間に液体冷媒8Lが流通するように、ケース8の取付面81から突出している。固定部82の高さは、放熱板5の下側に液体冷媒が十分に流通できる程度とする。そうすることで、リアクトル1の放熱性をより向上できる。固定部82により放熱板5と取付面81との間に液体冷媒8Lを流通させる空間を形成でき、放熱板5の下面にも液体冷媒8Lを直接接触させることができるからである。
固定部82の数は、放熱板5の挿通孔51の数と同数とし、固定部82の配置箇所は、放熱板5の挿通孔51(図3を参照)に対応する箇所とすることが挙げられる。この固定部82の放熱板5との接触面には、放熱板5を固定するためのボルト51bが挿通される挿通穴が形成されている。挿通穴には雌ネジ加工が施されており、この挿通穴にボルト51bをネジ止めすることで、放熱板5を備える組合体10をケース8に固定する。
ケース8の材質は、アルミニウムやその合金、マグネシウムやその合金、銅やその合金、銀やその合金、鉄やオーステナイト系ステンレス鋼などの金属が挙げられる。特に、アルミニウムやマグネシウム、これらの合金は、軽量である上に、シールド機能を期待できる。また、アルミニウムやその合金は放熱性にも優れる。その他、ケース8の材質は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂、ウレタン樹脂、PPS樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂などの絶縁性樹脂が挙げられる。これらの絶縁性樹脂には、窒化珪素、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、および炭化珪素などのセラミックスフィラーが含有されていてもよい。
≪効果≫
以上説明した実施形態1の構成によれば、液体冷媒8Lが循環供給される箇所に設置された状態で使用されるリアクトル1であっても、生産性に優れる。それは、リアクトル1の組合体10に備わる外側コア部32が複合材料で構成されており、その外側コア部32の外周に、外側コア部32を液体冷媒8Lから保護する被覆部を設ける必要がないからである。
<実施形態2>
実施形態2では、外側コア部32に放熱部32cを設けた構成を図6に基づいて説明する。
既に述べたように、外側コア部32は複合材料で構成される。複合材料は極めて成形性に優れるため、金型さえ作製すればあらゆる形状の外側コア部32を作製することができる。そこで、図6に示すように、外側コア部32において、本体部32aの外周に張り出す放熱部32cを形成することが好ましい。放熱部32cを設けることで、外側コア部32を介した放熱性を向上させることができる。
放熱部32cは、複合材料を用いて本体部32aと一体に設けると良い。即ち、外側コア部32を成形する金型において放熱部32cに対応する部分を形成しておき、複合材料を用いて外側コア部32を作製する際、本体部32aと放熱部32cと鍔部32bとを一体に成形すると良い。
放熱部32cの形状は特に限定されない。代表的には、図6に示すフィン形状の放熱部32cを形成することが挙げられる。放熱部32cをフィン形状とすることで、放熱部32cによる放熱効果を向上させることができる。放熱部32cは、図1に示すケース8内の液体冷媒8Lに浸漬させることが好ましく、そうすることで放熱部32cによるより一層の放熱効果の向上が期待できる。
なお、図6に示すフィン形状の放熱部32cの突端を、金型における複合材料の注入口に利用することができる。その場合、不要なバリが外側コア部32に生じ難い。
<実施形態3>
実施形態1,2に記載されるリアクトル1は、通電条件が、例えば、最大電流(直流):100A〜1000A程度、平均電圧:100V〜1000V程度、使用周波数:5kHz〜100kHz程度である用途、代表的には電気自動車やハイブリッド自動車などの車載用電力変換装置の構成部品に好適に利用することができる。この用途では、直流通電が0Aのときのインダクタンスが、10μH以上2mH以下、最大電流通電時のインダクタンスが、0Aのときのインダクタンスの10%以上を満たすものが好適に利用できると期待される。
上記リアクトル1を、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両に載置される電力変換装置の構成部品に利用した例を、図7,8に基づいて説明する。
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両1200は、図7に示すようにメインバッテリ1210と、メインバッテリ1210に接続される電力変換装置1100と、メインバッテリ1210からの供給電力により駆動して走行に利用されるモータ(負荷)1220とを備える。モータ1220は、代表的には、3相交流モータであり、走行時、車輪1250を駆動し、回生時、発電機として機能する。ハイブリッド自動車の場合、車両1200は、モータ1220に加えてエンジンを備える。なお、図7では、車両1200の充電箇所としてインレットを示すが、プラグを備える形態としても良い。
電力変換装置1100は、メインバッテリ1210に接続されるコンバータ1110と、コンバータ1110に接続されて、直流と交流との相互変換を行うインバータ1120とを有する。この例に示すコンバータ1110は、車両1200の走行時、200V〜300V程度のメインバッテリ1210の直流電圧(入力電圧)を400V〜700V程度にまで昇圧して、インバータ1120に給電する。また、コンバータ1110は、回生時、モータ1220からインバータ1120を介して出力される直流電圧(入力電圧)をメインバッテリ1210に適合した直流電圧に降圧して、メインバッテリ1210に充電させている。インバータ1120は、車両1200の走行時、コンバータ1110で昇圧された直流を所定の交流に変換してモータ1220に給電し、回生時、モータ1220からの交流出力を直流に変換してコンバータ1110に出力している。
コンバータ1110は、図8に示すように複数のスイッチング素子1111と、スイッチング素子1111の動作を制御する駆動回路1112と、リアクトルLとを備え、ON/OFFの繰り返し(スイッチング動作)により入力電圧の変換(ここでは昇降圧)を行う。スイッチング素子1111には、FET,IGBTなどのパワーデバイスが利用される。リアクトルLは、回路に流れようとする電流の変化を妨げようとするコイルの性質を利用し、スイッチング動作によって電流が増減しようとしたとき、その変化を滑らかにする機能を有する。このリアクトルLとして、上記実施形態に記載のリアクトルを用いる。軽量で扱い易いこれらリアクトルを用いることで、電力変換装置1100(コンバータ1110を含む)の軽量化を図ることができる。
ここで、上記車両1200は、コンバータ1110の他、メインバッテリ1210に接続された給電装置用コンバータ1150や、補機類1240の電力源となるサブバッテリ1230とメインバッテリ1210とに接続され、メインバッテリ1210の高圧を低圧に変換する補機電源用コンバータ1160を備える。コンバータ1110は、代表的には、DC−DC変換を行うが、給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160は、AC−DC変換を行う。給電装置用コンバータ1150のなかには、DC−DC変換を行うものもある。給電装置用コンバータ1150や補機電源用コンバータ1160のリアクトルに、上記実施形態や変形例のリアクトルなどと同様の構成を備え、適宜、大きさや形状などを変更したリアクトルを利用することができる。また、入力電力の変換を行うコンバータであって、昇圧のみを行うコンバータや降圧のみを行うコンバータに、上記実施形態のリアクトルなどを利用することもできる。
本発明のリアクトルは、ハイブリッド自動車や電気自動車、燃料電池自動車といった車両に搭載される双方向DC−DCコンバータといった電力変換装置の構成部品に利用することができる。
1 リアクトル
10 組合体
2 コイル
2w 巻線 2A,2B コイル素子 2r 連結部 2a,2b 端部
3 磁性コア
31 内側コア部
31m コア片 31g ギャップ材 31e 端面
31r コーティング層
32 外側コア部
32a 本体部 32b 鍔部 32c 放熱部
5 放熱板
5b 張出部 51 挿通孔 51b ボルト
6 接着層
8 ケース
80i 供給部 80o 排出部 81 取付面 82 固定部
9 センサ
8L 液体冷媒
1100 電力変換装置
1110 コンバータ 1111 スイッチング素子 1112 駆動回路
L リアクトル
1120 インバータ
1150 給電装置用コンバータ 1160 補機電源用コンバータ
1200 車両
1210 メインバッテリ
1220 モータ
1230 サブバッテリ
1240 補機類
1250 車輪

Claims (6)

  1. 巻線を巻回してなるコイルと、前記コイルの内外に配置されて閉磁路を形成する磁性コアと、の組合体を備え、液体冷媒が供給される箇所に前記組合体が設置された状態で使用されるリアクトルであって、
    前記磁性コアが、前記コイルの内部に配置される内側コア部、および前記コイルから露出する外側コア部を有し、
    前記液体冷媒と接する前記外側コア部は、樹脂中に軟磁性粉末を分散させた複合材料で構成されており、
    前記組合体が載置される放熱板と、
    前記組合体と前記放熱板とを接着する接着層と、
    前記コイルと前記放熱板とで囲まれる空間に配置され、リアクトルの動作時の物理量を測定するセンサと、を備え、
    前記センサは、前記接着層によって固定されているリアクトル。
  2. 前記外側コア部は、
    磁路となる本体部と、
    前記本体部に一体に形成され、前記組合体を設置対象に固定するための鍔部と、
    を備える請求項1に記載のリアクトル。
  3. 前記外側コア部は、
    磁路となる本体部と、
    前記本体部に一体に形成され、前記本体部の外周に張り出す放熱部と、
    を備える請求項1または請求項2に記載のリアクトル。
  4. 前記内側コア部は、
    軟磁性粉末を圧縮成形することで得られる圧粉成形体と、
    その圧粉成形体の外周を覆うコーティング層と、
    を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。
  5. 前記外側コア部の飽和磁束密度が、前記内側コア部の飽和磁束密度よりも小さい場合、
    前記外側コア部における磁路と直交する断面の面積は、前記内側コア部における磁路と直交する断面の面積よりも大きい請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。
  6. 前記組合体を内部に収納するケースを備え、
    前記ケースは、前記液体冷媒をケース内に供給する供給部と、ケース内の液体冷媒を排出する排出部と、を備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリアクトル。
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