JP6078067B2 - 炎症誘発性状態の治療および予防のためのhdl関連分子の使用 - Google Patents
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Description
本発明は、一般に、HDL関連分子の使用を通した炎症誘発性状態および癌の予防および治療に関する。本発明は、より具体的には、アポリポタンパク質A-I(アポA-I)、HDL、およびHDLミメティックに関し、皮膚および全身性の炎症誘発性状態、具体的には、上皮癌、ならびにアルツハイマー病、炎症性皮膚疾患、炎症性腸疾患、および老化に関連した炎症性疾患を含む、炎症誘発性状態の予防および治療におけるそれらの使用にも関する。これらの標的の発現および/または機能をモジュレートしかつ/または模倣する、全長アポA-Iタンパク質、HDL、抗体、およびアンチセンス/干渉ヌクレオチドを含む分子が、単独でまたは他の抗酸化剤と組み合わせられて、様々な状態の治療のための経口サプリメント、ワクチン、および薬学的組成物において使用され得る。
炎症誘発とは、ストレスとの強力な関連性を有しかつ様々な疾患と関係のある、広範囲に及ぶ現象である。炎症誘発活性は、一般に、有害である可能性のある生物学的病原体(細菌、ウイルス、寄生虫等)の感染または侵入を克服するために開始される。侵入に対抗する間、炎症誘発は、有益な能力および増悪させる能力を有し、有害な効果を及ぼす場合がある。不均衡な全身性炎症反応の続発症には、微小循環の混乱、ショック、器官への漏出、および凝固の欠陥が含まれる。不均衡な全身性の代償性抗炎症応答は、しばしば、アネルギーおよび免疫抑制をもたらす。
[本発明1001]
HDLミメティックペプチド(SEQ ID NO:1、3〜9、12、14、または26〜28)、ウシHDL、およびアポA-Iからなる群より選択されるHDL関連分子と腫瘍細胞を接触させる工程を含む、腫瘍成長を阻害する方法。
[本発明1002]
HDLミメティックペプチド(SEQ ID NO:1、3〜9、12、14、または26〜28)、ウシHDL、およびアポA-Iからなる群より選択されるHDL関連分子を対象へ投与する工程を含む、対象における癌を治療または予防する方法。
[本発明1003]
HDLミメティックペプチド(SEQ ID NO:1、3〜9、12、14、または26〜28)、ウシHDL、およびアポA-Iからなる群より選択されるHDL関連分子と上皮細胞を接触させる工程を含む、酸化ストレスに曝露された上皮細胞における死および/または酸化ストレスを低下させる方法。
[本発明1004]
前記接触工程が酸化ストレスへの曝露の前に行われる、本発明1003の方法。
[本発明1005]
前記接触工程が酸化ストレスへの曝露の少なくとも12〜24時間前に行われる、本発明1004の方法。
[本発明1006]
前記酸化ストレスが紫外線への曝露を含む、本発明1003、1004、または1005の方法。
[本発明1007]
前記アポA-Iが全長タンパク質である、本発明1001〜1006のいずれかの方法。
[本発明1008]
前記アポA-Iが組換えアポA-Iとして投与される、本発明1001〜1007のいずれかの方法。
[本発明1009]
前記アポA-Iが未修飾形態で投与される、本発明1001〜1008のいずれかの方法。
[本発明1010]
前記HDL関連分子が経口サプリメントとして投与される、本発明1001〜1006のいずれかの方法。
[本発明1011]
前記HDLミメティックペプチドがSEQ ID NO:1、3〜9、12、14、および26〜28からなる群より選択される、本発明1001〜1006のいずれかの方法。
[本発明1012]
前記対象が哺乳動物である、本発明1001〜1011のいずれかの方法。
[本発明1013]
前記対象がヒトである、本発明1012の方法。
[本発明1014]
HDLミメティックペプチド(SEQ ID NO:1、3〜9、12、14、または26〜28)、ウシHDL、およびアポA-Iからなる群より選択される、癌の治療のためのHDL関連分子。
[本発明1015]
SEQ ID NO:1にまたはSEQ ID NO:3〜9のうち1つに示されたアミノ酸配列からなる、ペプチド。
(図2)細胞生存率をプロットしたものであり、アポA-1(上パネル)前処理(10μg/ml)は、UV誘発細胞死からNIH3T3細胞を防御するが、アポA-Iと同様にHDLに関連しているタンパク質であるアポA-II(下パネル)は、NIH3T3細胞のUV誘発細胞死を防止しなかったことを示す棒グラフ。
(図3)ヒト家族性大腸腺腫症のマウスモデルであるAPCmin/+マウスにおける、bHDLによる処理と媒体対照による処理とを比較している、肺重量および腫瘍体積のグラフ図およびデジタル顕微鏡写真。
(図4)L-4FおよびL-4F2によって処理されたマウスと比較した、sc-4Fによって処理されたBALB/cマウスにおける側腹部腫瘍の重量および体積に対する効果のグラフ図およびデジタル顕微鏡写真。図4Aおよび4Bは、それぞれ、腫瘍の重量および体積を示す。図4Cおよび4Dは、それぞれ、三群の各々についての、重量および体積の(対照を100%とした)スコアの分布率を示す。三群からの側腹部腫瘍の代表的な写真が、図4Eに示される。
(図5)側腹部にCT26細胞を皮下注射された、28AAペプチドおよび28AA-2ペプチドによって処理されたBALB/cマウスにおける、側腹部腫瘍の重量および体積に対する効果のグラフ図およびデジタル顕微鏡写真。マウスは、CT26細胞が注射された部位の遠位において、15日間毎日、皮下注射によって媒体(n=12)または10mg/kgの28AA(n=10)もしくは28AA-2(n=11)のいずれかによって処理された。図5Aおよび5Bは、それぞれ、腫瘍の重量および体積を示す。図5Cおよび5Dは、三群の各々についての重量および体積の(対照を100%とした)スコアの分布率を示す。三群からの側腹部腫瘍の代表的な写真が、図5Eに示される。
(図6)図6Aおよび6Bは、MTS細胞生存率アッセイの結果をプロットしたものである。CT26細胞が、L-4Fペプチド、L-4F2ペプチド、28AAペプチド、または28AA-2ペプチド(10μg/ml)によって処理され、対照と比較された(図6A)。NIH3T3細胞生存率も、4種のペプチド全部による処理によってインビトロで決定された。NIH3T3細胞生存率は、4種のペプチドのいずれによっても影響されなかった(図6B)。
(図7)アポA-IミメティックペプチドL-4FがインビボおよびインビトロでHIF-1α発現を阻害することを示すデジタル顕微鏡写真。図7A、アポA-IミメティックペプチドL-4Fは、インビボでHIF-1α発現および血管形成を阻害する。実施例4に記載されるようにして、野生型C57BL/6Jマウスにおいて側腹部腫瘍が確立された。腫瘍成長の2週間後、マウスは、3週間、スクランブルペプチド(sc-4F)またはL-4F(10mg/kg s.c.、毎日注射)によって処理された。解剖された腫瘍からの凍結切片(5μm)が、ヘマトキシリンエオシン(H&E)染色(左)、HIF-1α染色(中央)、およびCD31染色(右)に供された。分析は、スライド1枚当たり4個のランダムに選択された視野から行われた(各群n=4マウス)。代表的な図が400倍の倍率で示される。矢印はHIF-1α陽性染色を示す。図7B、L-4Fによる前処理は、ヒト卵巣癌細胞株におけるCoCl2およびインスリンによって誘導されるHIF-1α発現を阻害する。細胞を、媒体または異なる濃度のL-4F(1、3、および10μg/ml)によって1時間処理し、示された刺激剤をさらに4時間添加した。左、L-4Fによる前処理は、OV2008細胞におけるCoCl2およびインスリンによって誘導されるHIF-1α発現を阻害する。右、L-4Fによる前処理は、CAOV-3細胞におけるCoCl2およびインスリンによって誘導されるHIF-1α発現を阻害する。図7Cおよび図7D、L-4Fは、OV2008細胞におけるCoCl2(図7C)およびインスリン(図7D)によって誘導されるHIF-1αの核発現を減少させる。細胞を、マウスモノクローナル抗HIF-1α一次抗体および二次抗体としてのAlexa Fluor 568(赤色蛍光)によって標識されたヤギ抗マウスIgGによって免疫染色した。核を染色するため、DAPIを使用した(対応する公表された原稿において青色)。画像は200倍の原倍率で示される。点線およびボックスは、拡大された画像が由来する区域を示す。類似した結果を有する2回の独立の実験の代表的な写真が示される。使用された刺激剤の濃度は、CoCl2については100μM、インスリンについては200nMであった。
(図8)OV2008細胞におけるHIF-1α標的遺伝子発現がL-4Fによって阻害されることを示す棒グラフ。図8A、CoCl2によって刺激されるHREレポーター遺伝子転写は、L-4Fによる前処理によって阻害される。OV2008細胞をpGL3-Epo-HRE-Lucプラスミドによってトランスフェクトし、完全成長培地において24時間成長させた。一夜の飢餓の後、細胞を、まず、L-4F(10μg/ml)によって1時間処理し、次いで、CoCl2(100μM)によってさらに6時間処理した。実施例4に記載されるようにして、ルシフェラーゼ活性を決定した。図8B、L-4Fは、CoCl2によって処理された細胞におけるHIF-1α標的遺伝子の発現を阻害する。一夜の血清飢餓の後、OV2008細胞をL-4F(10μg/ml)によって1時間処理し、次いで、CoCl2(100μM)によってさらに6時間処理した。全RNAを単離し、VEGF、グルコーストランスポーター1(GLUT1)、およびアルドラーゼA(ALDO-A)のmRNA発現レベルを、リアルタイムRT-PCRによって測定した。GAPDHを標準化のために使用した。図8C、インスリンによって刺激されるHREレポーター遺伝子転写は、L-4Fによる前処理によって阻害される。OV2008細胞をpGL3-Epo-HRE-Lucプラスミドによってトランスフェクトし、完全成長培地において24時間成長させた。一夜の飢餓の後、細胞をL-4F(10μg/ml)によって1時間処理し、次いで、インスリン(200nM)によってさらに16時間処理した。実施例4に記載されるようにして、ルシフェラーゼ活性を決定した。図8D、L-4Fは、インスリンによって処理された細胞におけるHIF-1α標的遺伝子の発現を阻害する。一夜の血清飢餓の後、OV2008細胞をL-4F(10μg/ml)によって1時間処理し、次いで、インスリン(200nM)によってさらに16時間処理した。全RNAを単離し、VEGF、グルコーストランスポーター1(GLUT1)、およびアルドラーゼA(ALDO-A)のmRNA発現レベルを、リアルタイムRT-PCRによって測定した。GAPDHを標準化のために使用した。#、p<0.05、対応する対照群と比較して。##、p<0.01、対応する対照群と比較して。*、p<0.05、対応するCoCl2またはインスリンによって処理された群と比較して。**、p<0.01、対応するCoCl2またはインスリンによって処理された群と比較して。各群n=3。
(図9)L-4Fによる後処理は、CoCl2およびインスリンによって処理されたOV2008細胞におけるHIF-1αのタンパク質レベルおよび活性を減少させる。細胞を、CoCl2(100μM)またはインスリン(200nM)によって24時間処理し、次いで、媒体またはL-4F(10μg/ml)によってさらに1時間、2時間、または4時間処理した。図9A、10μg/mlのL-4Fによる後処理は、CoCl2およびインスリンによって処理されたOV2008細胞におけるHIF-1αタンパク質レベルを減少させる。図9B、10μg/mlのL-4Fによる4時間の後処理は、OV2008細胞におけるHIF-1αの核レベルのCoCl2およびインスリンによって誘導される増加を減少させる。細胞を、マウスモノクローナル抗HIF-1α一次抗体および二次抗体としてのAlexa Fluor 568(赤色蛍光)によって標識されたヤギ抗マウスIgGによって免疫染色した。核を染色するため、DAPIを使用した(対応する公表された原稿において青色)。画像は400倍の原倍率で示される。類似した結果を有する2回の独立の実験の代表的な写真が示される。図9Cおよび図9D、CoCl2およびインスリンによって処理された細胞におけるHREレポーター遺伝子転写の、L-4Fによる後処理による阻害。OV2008細胞をpGL3-Epo-HRE-Lucプラスミドによってトランスフェクトし、完全成長培地において24時間成長させた。一夜の飢餓の後、細胞をCoCl2(100μM)またはインスリン(200nM)によって24時間処理し、次いで、L-4F(10μg/ml)によってさらに4時間(図9C)または24時間(図9D)処理した。実施例4に記載されるようにして、ルシフェラーゼ活性を決定した。**、p<0.01、対応するCoCl2またはインスリンによって処理された群と比較して。各群n=3。
(図10)OV2008細胞における下流シグナリング分子のインスリンによって刺激される活性化に対するL-4Fの効果。一夜の飢餓の後、OV2008細胞をL-4F(10μg/ml)によって1時間処理し、インスリンを200nMの終濃度で添加した。細胞溶解物を様々な時点で収集し、ウエスタンブロット分析に供した。図10A、L-4Fは、OV2008細胞におけるインスリンによって刺激されるp70s6キナーゼのリン酸化およびその後のHIF-1α発現を阻害する。図10B、OV2008細胞におけるインスリンによって刺激されるERK1/2およびAktのリン酸化に対するL-4Fの効果。
(図11)OV2008細胞におけるHIF-1αタンパク質安定性に対するL-4Fの効果。図11A、左、L-4Fによる前処理は、OV2008細胞におけるHIF-1α分解を促進する。一夜の飢餓の後、OV2008細胞を、インスリン(200nM)によって3時間、L-4F(10μg/ml)によって1時間、CHX(20μg/ml)によって様々な期間、処理した。細胞溶解物を収集し、ウエスタンブロット分析に供した。類似した結果を有する3回の独立の実験からの代表的なデータが示される。右、L-4F処理は、OV2008細胞におけるHIF-1α分解を促進する。一夜の飢餓の後、OV2008細胞をインスリン(200nM)によって3時間処理し、次いで、L-4F(10μg/ml)およびCHX(20μg/ml)によって同時に処理した。細胞溶解物を様々な時点で収集し、ウエスタンブロット分析に供した。類似した結果を有する3回の独立の実験からの代表的なデータが示される。図11B、インスリンによって処理されたOV2008細胞におけるプロテアソームによって媒介されるHIF-1αの分解に対するL-4Fによる前処理の効果。一夜の飢餓の後、OV2008細胞を、MG-132(10μM)によって3時間、L-4F(10μg/ml)によって1時間、インスリン(200nM)によってさらに4時間、処理した。細胞溶解物を収集し、ウエスタンブロット分析に供した。類似した結果を有する3回の独立の実験からの代表的なデータが示される。
(図12)CoCl2およびインスリンによって刺激されるROS産生に対するL-4Fの効果。OV2008細胞をL-4F(10μg/ml)によって1時間前処理し、次いで、インスリン(200nM)/CoCl2(100μM)およびDCFH-DA(10μM)によって30分間処理した。PBSで2回細胞を洗浄した後、蛍光顕微鏡によって細胞の画像を捕らえた。代表的な図が、200倍の原倍率で示される。図12A、L-4Fは、OV2008細胞におけるインスリンによって刺激されるROS産生を阻害する。図12B、L-4Fは、OV2008細胞におけるCoCl2によって刺激されるROS産生を阻害する。
(図13)CT26細胞によって媒介される肺腫瘍および側腹部腫瘍は、HDLミメティックL-4Fによって皮下処理されたBALB/cマウスにおいて有意に減少する。実施例5に記載されるようにして、BALB/cマウスにおいて肺腫瘍を確立した(各群n=11)。CT26細胞を尾静脈注射によって投与した3週間後、マウスを屠殺した。肺を採集し計量した。肺腫瘍を計数した。図13A、示されたデータは、10mg/kgで毎日皮下投与されたsc-4FまたはL-4Fを受容したマウスについての肺重量である。P<0.01。図13B、示されたデータは、二つのマウス群からの肺表面上で計数された腫瘍の数である。P<0.001。図13C、肺表面上の腫瘍結節を示す二つのマウス群からの代表的な腫瘍。図13Dおよび図13E、実施例5に記載されるようにして、BALB/cマウスにおいて側腹部腫瘍を確立した。CT26細胞を皮下投与した15日後、マウスを屠殺し、腫瘍重量を測定した。図13D、示されたデータは、10mg/kgのsc-4FまたはL-4Fを毎日皮下に受容したマウスについての腫瘍重量である。P<0.05。図13E、二つのマウス群からの代表的な腫瘍が示される。w/sc-4F、sc-4Fによって処理されたマウス;w/L-4F、L-4Fによって処理されたマウス。F、Aに示された実験からの血漿IL-6レベル。P<0.05。
(図14)CT26細胞によって媒介される肺腫瘍は、マウス飼料中に投与されたL-4Fによって処理されたBALB/cマウスにおいて有意に減少する。実施例5に記載されるようにして、BALB/cマウスにおいて肺腫瘍を確立した。CT26細胞を尾静脈注射によって投与した3週間後、マウスを屠殺した。肺を採集し計量した。肺腫瘍を計数した。図14A、示されたデータは、100mg/kg/日(2mg/マウス/日)で飼料食へ混合されたsc-4F(n=12)またはL-4F(n=9)を受容したマウスについての肺重量である。P<0.05。図14B、示されたデータは、二つのマウス群からの肺表面上で計数された腫瘍数である。P<0.0001。図14C、肺表面からの腫瘍組織を切片化し、微小血管内の内皮細胞の検出のため、抗CD31抗体によるCD31免疫染色を行った。赤色染色がCD31染色を表す。w/sc-4F、sc-4Fによって処理されたマウス;w/L-4F、L-4Fによって処理されたマウス。図14D、実施例5に記載されるようにして、血漿LPAレベルを測定した。P<0.01。
(図15)C57BL/6J-APCmin/+マウスの腸管内の腫瘍の数およびサイズに対する、飼料食によるL-4F処理の効果。実施例5に記載されるようして、マウス飼料中に投与されたsc-4FまたはL-4Fによる8週間の処理の後、APCmin/+マウスを屠殺した。図15A、対照(即ち、sc-4Fによって処理されたマウス)に対するパーセントとして表された、8週間マウス飼料中に投与されたL-4Fによる処理の後の腸管内の全腫瘍数、P<0.05。図15B、腫瘍の直径(mm)によって定義された異なるサイズカテゴリーの腫瘍の数。w/sc-4F、sc-4Fによって処理されたマウス;w/L-4F、L-4Fによって処理されたマウス。図15C、血漿LPAレベルは、対照マウスと比較して、L-4Fによって処理されたC57BL/6J-APCmin/+マウスにおいて有意に減少する(>50%)。P<0.01。
(図16)HDLミメティックL-4Fは、CT26細胞において、生存率を低下させ、増殖を阻害し、細胞周期およびサイクリンタンパク質に影響する。CT26細胞を、実施例5に記載されるようにして培養し、媒体(対照)または10mg/mLの濃度のL-4Fのいずれかと共にインキュベートした。図16A、MTSアッセイキットを使用して、生存率について細胞をアッセイした。P<0.001。図16B、実施例5に記載されるようにして、BrdUrd取り込みを分析した。P<0.001。図16C、細胞周期における異なる相にある細胞の定量分析。データは、対照細胞に対するパーセントの平均値±SDとして表される。図16D、サイクリンD1およびサイクリンAの発現。全ての実験が三重に実施され、各アッセイが四重に実施された。
(図17)HDLミメティックL-4Fは、LPAによって誘導されるCT26細胞の生存率を阻害し、細胞培養培地中のLPAレベルを低下させる。図17A、CT26細胞を、実施例5に記載されたようにして培養し、10mg/mLのL-4F、もしくは5mmol/L、10mmol/L、20mmol/Lの濃度のLPAのいずれかと共にインキュベートするか、または細胞をL-4FおよびLPAの両方によって48時間処理した。全ての実験が三重に実施され、各アッセイが四重に実施された。データは、対照細胞に対するパーセントの平均値±SDとして表される。図17B、48時間の処理の後に細胞培養培地中のLPAレベルを測定した。
(図18)G*(L-[113-122]アポJ)ペプチドは、インビボおよびインビトロでL-4Fに類似した効果を有する。実施例5に記載されるようにして、BALB/cにおいて肺腫瘍を確立した。CT26細胞を尾静脈に注射した3週間後、マウスを屠殺した。肺を採集し計量した。肺腫瘍を計数した。図18A、示されたデータは、マウス飼料中に投与された100mg/kg/日(2mg/マウス/日)のsc-4F(n1/4 12)、G*ペプチド(n1/4 12)を受容したマウスについての肺重量である。P<0.05。図18B、示されたデータは、Aの二つのマウス群からの肺表面上の腫瘍数である。P<0.0001。図18C、MTSアッセイを使用して、生存率について細胞をアッセイした。P<0.05。D、図18Aおよび図18Bに記載されたマウスからの血清LPAレベルを、実施例5に記載されるようにして決定した。図18E、ウエスタンブロットによるサイクリンD1およびサイクリンAの発現。w/sc-4F、sc-4Fによって処理されたマウス;w/G*、G*ペプチドによって処理されたマウス。
(図19)様々なHDLミメティックペプチドによってインビトロで処理されたCT26細胞は、処理の48時間以内に、媒体によって処理された対照と比較して、低下した(MTSアッセイによる)細胞生存率を示す。アッセイされたHDLミメティックは、L-4F、L-4F2、K4,15-4F、K4,15-4F2、ならびに、アポEおよびG*から形成された20アミノ酸ペプチド
であった。
(図20)CT26細胞の皮下側腹部注射を受容し、その後、皮下HDLミメティックペプチドによって処理されたBALB/cマウスは、腫瘍重量(左パネル)および腫瘍体積(右パネル)の有意な低下を示した。
本発明は、炎症誘発性状態を治療および予防するためにHDL関連分子を使用することができるという発見に基づく。HDL関連分子には、アポA-I、ウシHDL、およびHDLミメティックが含まれる。さらに詳細に以下に記載されるように、アポA-Iは、天然の全長の形態で、UV誘発細胞死および酸化ストレスを防止することができる。様々な癌を治療および予防するため、HDLミメティック、アポA-I、およびウシHDL(bHDL)を使用することができるという予想外の発見も、さらに詳細に以下に記載される。アポA-Iおよびその他のHDL関連分子は、皮膚状態ならびに癌およびアルツハイマー病のようなその他の疾患を含む全身性炎症誘発性状態を含む炎症誘発性状態の治療および予防のための強力な有効な薬剤を提供する。治療される癌には、膣癌、外陰癌、卵巣癌、子宮頚癌、子宮癌、前立腺癌、結腸癌、乳癌、膵臓癌、肺癌、皮膚癌(例えば、黒色腫)、脳癌(例えば、膠芽腫)、および胃癌のような上皮癌が含まれる。本明細書に記載されたHDL関連分子は、老化過程を遅らせ、酸化ストレスを低下させるかまたは排除するために使用され得るため、抗老化処置においても使用され得、黄斑変性、網膜色素変性症のような眼状態、および関節炎のような自己免疫疾患の治療においても使用され得る。
本願において使用される全ての科学用語および技術用語は、特記されない限り、当技術分野において一般的に使用されている意味を有する。本願において使用されるように、以下の単語または語句は、指定された意味を有する。
本発明は、HDLペプチドのキメラ、ならびに、HDLミメティックとして機能する修飾型分子および/または合成分子を含む、HDLミメティックを提供する。一つの態様において、公知のHDLミメティックペプチドにおけるアラニンのαアミノイソ酪酸(Aib)への置換は、新規のHDLミメティック(NHM)を生成する。典型的な態様において、キメラは、アポA-I、アポE、およびアポJのペプチドから選択される2種のHDLペプチドを含む。一つの態様において、HDLミメティックは、後述のNHM1〜7を生成するため、アポEの10アミノ酸ペプチドとキメラ化されたアポA-Iの18アミノ酸ペプチドにおけるアラニンのαアミノイソ酪酸(Aib)への置換を介して入手される。もう一つの態様において、HDLミメティックは、アポEとアポJ(G*)との組み合わせを介して得られ、例えば、新規のHDLミメティック
が生成される。
E18A(ref)におけるアラニンのAibへの置換は、一連の7種のNHMをもたらす。
E18Aペプチド(ref)=
NHM:
Oleg F Sharifov,et al.,2011,Apolipoprotein E Mimetics and Cholesterol Lowering Properties,American Journal of Cardiovascular Drugs 11(6):371-381を参照のこと。
本明細書に記載されるウシHDL(bHDL)には、ネイティブタンパク質が含まれ、異種配列が存在してもよい。典型的には、bHDLは、天然の、未修飾の、全長形態で使用される。ウシHDLは、典型的には、血清から精製され、例えば、Biomedical Technologies,Inc.(Stoughton,MA)から入手され得る。ウシHDLは、アポA-Iのレベルが高く、血清レベルが高く、ヒトへの投与のために適当であるため、他の種のHDLに比べて有利である。
本明細書に記載されるアポA-Iポリペプチドには、ネイティブタンパク質が含まれ、異種配列が存在してもよい。典型的には、アポA-Iは、天然の、全長の、未修飾の、成熟形態で使用されるヒトアポA-Iである。
本発明のポリペプチドには、ネイティブタンパク質のバリアントが含まれ得る。本明細書において使用されるように、ポリペプチド「バリアント」とは、ポリペプチドの治療的効力が実質的に縮小されないような、1個以上の置換、欠失、付加、および/または挿入によってネイティブタンパク質と異なっているポリペプチドである。換言すると、効力は、ネイティブタンパク質に比べて増強されているかもしくは不変であってもよいし、またはネイティブタンパク質に比べて50%未満、好ましくは、20%未満、縮小されていてもよい。好ましいバリアントには、N末端リーダー配列のような1個以上の部分が除去されたものが含まれる。その他の好ましいバリアントには、成熟タンパク質のN末端および/またはC末端から小さな一部分(例えば、1〜30アミノ酸、好ましくは、5〜15アミノ酸)が除去されたバリアントが含まれる。ポリペプチドバリアントは、好ましくは、同定されたポリペプチドとの少なくとも約70%、より好ましくは、少なくとも約90%、最も好ましくは、少なくとも約95%の(上記のように決定される)同一性を示す。
ポリペプチドは、翻訳と同時にまたは翻訳後にタンパク質の移動を指図するシグナル(リーダー)配列を、タンパク質のN末端に含み得る。ポリペプチドは、リンカー、またはポリペプチドの合成、精製、もしくは同定を容易にするためのその他の配列にコンジュゲートされてもよい。
いくつかの態様において、ポリペプチドは、本明細書に記載されるポリペプチドを複数種含むか、または本明細書に記載される少なくとも1種のポリペプチドと、無関係な配列とを含む融合タンパク質である。いくつかの態様において、融合タンパク質は、アポA-Iポリペプチドと免疫原性ポリペプチドとを含む。免疫原性ポリペプチドは、例えば、付加的なタンパク質の全部または一部分を含み得る。
本発明は、bHDL、アポA-I、およびHDLミメティックを含む、1種以上のHDL関連ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供する。そのような配列に完全に相補的なポリヌクレオチドも、本発明に包含される。ポリヌクレオチドは、一本鎖(コード鎖またはアンチセンス鎖)または二本鎖であり得、DNA分子(ゲノム、cDNA、もしくは合成)またはsiRNAを含むRNA分子であり得る。RNA分子には、イントロンを含有しており、1対1でDNA分子に対応するHnRNA分子、およびイントロンを含有していないmRNA分子が含まれる。付加的なコード配列または非コード配列が、本発明のポリヌクレオチドに存在してもよいが、存在しなくてもよく、ポリヌクレオチドは、他の分子および/または支持材料と連結されていてもよいが、連結されていなくてもよい。そのようなポリヌクレオチドの一部分は、関連分子の増幅および検出のためのプライマーおよびプローブとして有用であり得る。
本発明は、薬学的組成物に組み入れられるアポA-Iポリペプチド、ポリヌクレオチド、および関連分子を提供する。典型的な態様において、ポリペプチドは、天然の、全長の、未修飾形態のアポAIである。当技術分野において理解されているように、アポAIは高密度リポタンパク質(HDL)の重要な成分である。従って、HDLを投与することによって、アポAIを投与することができる。
組成物は、任意の適当な様式で、しばしば、薬学的に許容される担体と共に、または薬学的に許容される塩の形態で投与される。本発明に係るアポA-Iを対象へ投与する適当な方法は、利用可能であり、複数種の経路が、特定の組成物を投与するために使用され得るが、特定の経路が、しばしば、他の経路より即効性の、より有効な反応を提供することができる。
この実施例は、アポA-1処理が、NIH-3T3繊維芽細胞(皮膚細胞)におけるUV誘発細胞死および酸化ストレスを防止することを証明する。NIH 3T3(1×106)細胞を、4枚の別々の96穴プレートに播種した。24時間後、細胞を一夜飢餓状態にした。細胞を24時間処理するため、アポA-1をある濃度(10μg/ml)で使用した。処理後、細胞をPBSで洗浄した。1枚のプレートを、UV処理なしの対照として使用した。残りの3枚のプレートを、5、10、および20mJ/cm2でのUV処理のために使用した。UV処理後、細胞に完全培地を与え、さらに24時間培養した。以前に記載されたようにして(Ganapathy E,et al.,2011,D-4F,an apoA-1 mimetic peptide inhibits proliferation and tumorigenicity of epithelia1ovarian cancer cells by upregulating the antioxidant enzyme MnSOD,Int J Cancer 130:1071-1081)、全てのプレートについて細胞生存率を測定した。
この実施例は、結腸癌のマウスモデルにおいて、bHDL(ウシHDL)が、腫瘍の成長および発達のような炎症誘発性状態に影響することを証明する。bHDLは、マウス結腸腺癌細胞株CT26細胞の生存率および増殖を低下させ、皮下投与または経口投与された時、BALB/cマウスにおけるCT26細胞によって媒介される腫瘍量を減少させた。bHDLミメティックを受容したマウスにおいては、結腸癌の血清バイオマーカーであるリゾホスファチジン酸(LPA)の血漿レベルも有意に低下し、このことから、炎症誘発性脂質の結合および除去が、bHDLによる腫瘍発達の阻害についての可能性のある機序であることが示唆された。さらに、bHDLは、ヒト家族性大腸腺腫症のマウスモデルであるAPCmin/+マウスにおいてポリープのサイズおよび数を有意に低下させた。
Animal Research Committee at the University of California at Los Angelesによって、全てのマウスプロトコルが承認された。6週齢BALB/c雌マウスおよび6週齢C57BL/6J-APCMin/+雄マウスは、Jackson Laboratoryから購入された。
bHDLは、Biomedical Technologies Inc.から入手された。食事でのbHDLの投与のため、ウエスタン(Western)食について以前に記載された技術(18)を本質的に使用して、bHDLを標準的なマウス飼料(Ralston Purina)へ混合した。しかしながら、本明細書において報告される実験において、ウエスタン食は投与されず;マウスは、bHDLを含むかまたは含まない標準的なマウス飼料のみを受容した。
BALB/c起源のN-ニトロソ-N-メチルウレタンによって誘導されたマウス結腸癌に由来するCT26細胞株は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)(ATCC)から購入された。CT26細胞(1ウェル当たり2,000細胞)を、96穴培養プレートにおいて完全培地においてまず培養し、24時間後、培地を無血清培地に交換した。一夜のインキュベーションの後、細胞を、媒体によって処理するか(対照)、または10μg/mLのbHDLによって処理した。bHDLはH2Oに溶解していた。細胞をさらに48時間インキュベートし、製造業者のプロトコルに従って、MTSアッセイキット(Promega)を使用して、生存率についてアッセイした。増殖アッセイのため、48時間のインキュベーションのうちの最後の4時間、細胞をBrdUによって標識した。その後、細胞を洗浄し、固定し、マウス抗BrdU抗体と共に室温で1時間インキュベートし、ペルオキシダーゼ連結ヤギ抗マウス二次抗体(Calbiochem)によって検出した。吸光度を二重波長450nmおよび540nmを使用して測定した。
6週齢BALB/c雌マウスに、PBSで単一細胞懸濁物として調製された1×106 CT26細胞の100μL皮下注射を与え、マウスを、15日間毎日、皮下(SQ)投与された10mg/kgのbHDLまたはBHDLによって処理した。マウスを屠殺し、腫瘍重量を測定した。
BALB/cマウスに、尾静脈注射を介して、100μLのPBSで2×104 CT26細胞を静脈内注射し、マウスを、3週間、SQ投与された10mg/kg/日のbHDLによって処理するか;または、3週間、飼料食中に投与された100mg/kg/日のbHDLによって処理した。3週間の処理の後、マウスを屠殺し;肺を採集し、計量し、ブアン液(Sigma)で固定した。肺表面上の腫瘍結節を計数した。
C57BL/6Jバックグラウンドの6週齢APCMin/+雄マウスを、飼料食中に投与されたbHDL 100mg/kg/日によって処理した。8週間の処理の後、マウスを屠殺した。腸全体を直ちに除去し、ホルマリンおよび70%エタノールで固定した。腫瘍を計数し測定するため、解剖顕微鏡下で腸を切開し調査した。
肺表面からの腫瘍組織を固定し、パラフィンで包埋し、5μmの厚さに切片化した。切片を、キシレンによって脱パラフィンし、100%、90%、70%、および50%エタノールによって親水化し、20μg/mLのプロテイナーゼKによって30分間処理し、内在性ペルオキシダーゼを阻害するため、3%H2O2によって室温で30分間処理し、PBSで調製された10%正常ヤギ血清および4%BSAによって3時間ブロッキングし、次いで、1:50ラット抗マウスモノクローナルCD31抗体と共に4℃で一夜インキュベートした。切片を、対応するビオチン化二次抗体と共に1時間インキュベートした後、Vectastain ABC Elite試薬と共にインキュベートした。
CT26細胞を6穴プレートにおいて一夜培養し、次いで、48時間血清飢餓状態にした。細胞を、媒体(対照)によって処理するか、または10μg/mLのBHDLもしくはG*bHDLによって処理し、さらに48時間インキュベートした。細胞を収集し、PBSで洗浄し、70%氷冷メタノールにより4℃で一夜固定した。固定された細胞を、遠心分離によって収集し、PBSで洗浄し、40μg/mL RNaseAおよび100μg/mLヨウ化プロピジウムを含有している0.3mlのPBSに再懸濁させ、BD BiosciencesからのFACScanによるフローサイトメトリー細胞周期分析に供した。
50mMトリス緩衝液(pH7.5)中に0.1M NaCl、5mM EDTA、50mMバナジン酸ナトリウム、1%トリトンX-100、およびプロテアーゼ阻害剤タブレットを含有している細胞溶解緩衝液による処理の後、全細胞タンパク質を収集した。20μgの全タンパク質を、SDS-PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜に移し、5%スキムミルクおよび0.1%Tween-20において一次抗体と共に4℃でインキュベートした。抗サイクリンD1および抗サイクリンAウサギポリクローナル抗体は1:1000希釈で使用され、抗βアクチンポリクローナル抗体は1:2000希釈で使用された。
血漿中のIl-6濃度を、製造業者のプロトコル(Invitrogen)に従って、競合ELISAによって測定した。
LPA(20:4)は、Avanti Polar Lipidsから購入された。以前に記載されたようにして(Murph et al.,2007,Methods Enzymol 433:1-25)、LPAレベルを決定した。
データは各群について平均値±SDとして示される。本発明者らは、独立t検定によって統計分析を実施した。全ての結果を、P<0.05で統計的に有意であると見なした。
結果は図3に示される。肺重量および腫瘍体積の両方の評価、ならびに目視検査は、bHDLが、ヒト家族性大腸腺腫症のマウスモデルであるAPCmin/+マウスにおいて、ポリープのサイズおよび数を有意に低下させることを示した。
この実施例は、結腸癌のマウスモデルにおいて、腫瘍発達を阻害するために、HDLミメティックを使用することができることを証明する。
Animal Research Committee at the University of California at Los Angelesによって、全てのマウスプロトコルが承認された。6週齢BALB/c雌マウスはJackson Laboratoryから購入された。
アポA-IミメティックペプチドL-4F
、および、4Fペプチドと同一のアミノ酸を含有しているが、クラスA両親媒性ヘリックスの形成を妨害する順序で並べられたスクランブルペプチド(sc-4F)
は、全てL-アミノ酸から合成された。A11およびA17がαアミノイソ酪酸(Aib)に置換された、L-4F2と命名されたもう一つのペプチド
も、試験した。ペプチドAc-hE18A-NH2(28AA)は、アポEのヘパリン結合ドメイン141〜150(L-R-K-L-R-K-R-L-L-R;SEQ ID NO:15)のクラスA両親媒性ヘリックスペプチド18Aとの共有結合に由来する二重ドメインを有するアミノ酸配列
を有する。A11およびA17がαアミノイソ酪酸(Aib)に置換された配列
を有するペプチド28AA-2。全てのペプチドをH2Oに溶解させた。
CT26細胞およびNIH3T3細胞(1ウェル当たり2,000細胞)を、96穴培養プレートにおいて完全培地においてまず培養し、24時間後、培地を無血清培地に交換した。一夜のインキュベーションの後、細胞を、媒体(対照)によって処理するか、または10μg/mLのL-4FペプチドもしくはL-4F2ペプチドもしくは28AAペプチドもしくは28AA-2ペプチドによって処理した。細胞をさらに48時間インキュベートし、製造業者のプロトコルに従って、MTSアッセイキット(Promega)を使用して、生存率についてアッセイした。
6週齢BALB/c雌マウスに、PBSで単一細胞懸濁物として調製された1×106 CT26細胞の100μl皮下注射を与え、15日間毎日、SQで10mg/kgのペプチドによって処理した。マウスを屠殺し、腫瘍重量を測定した。腫瘍体積を、式V=1/2(L×W2)を使用して測定した。
LPA(20:4)は、Avanti Polar Lipidsから購入された。以前に記載されたようにして(18)、血清LPAレベルを決定した。
データは各群について平均値±SDとして示される。本発明者らは、独立t検定によって統計分析を実施した。全ての結果を、P<0.05で統計的に有意であると見なした。
CT-26は、免疫適格BALB/cマウスへ静脈内導入された時、転移性肺腫瘍を発症させる結腸腺癌細胞株である。本発明者らは、側腹部に1×106 CT26細胞を皮下注射されたBALB/cマウスにおける側腹部腫瘍形成に対する、10mg/kg/日でSQ投与されたL-4F、L-4F2、およびsc-4F(4Fペプチドと同一のアミノ酸を含有しているが、クラスA両親媒性ヘリックスの形成を妨害する順序で並べられたスクランブルペプチド)の効果をまず調査した。マウスを、CT26細胞が注射された部位から遠位で、15日間毎日、皮下注射によって10mg/kgのsc-4F(n=9)またはL-4F(n=8)またはL-4F2(n=10)のいずれかによって処理した。側腹部腫瘍の重量および体積は、予想通り、L-4Fによって処理されたマウスと比較して、sc-4Fによって処理されたBALB/cマウスにおいて有意に大きかった(273mg対179mg、P<0.05;555mm3対313mm3、P<0.05。図4A、4B);腫瘍の重量および体積は、L-4F2によって処理されたマウスと比較しても、sc-4Fによって処理されたマウスにおいて有意に大きかった(273mg対118mg、P<0.001;555mm3対197mm3、P<0.001。図4A、4B)。L-4F2によって処理されたマウスからの腫瘍は、L-4Fによって処理されたマウスと比較して、有意に小さかった(179mg対118mg、P<0.05;313mm3対197mm3。図4A、4B)。三群からの側腹部腫瘍の代表的な写真が図4Eに示される。図4Cおよび4Dは、三群の各々についての、重量および体積の(対照を100%とした)スコアの分布率を示す。
マウスにおけるCT26細胞により媒介される腫瘍発達をペプチドが阻害する機序を調査するため、CT26細胞生存率に対するペプチドの効果をインビトロで決定した。対照と比較した時、L-4F(10μg/ml)によって処理されたCT26細胞において、細胞生存率が20%超(P<0.05)低下し(図6A)、対照と比較して、L-4F2(10μg/ml)によって処理されたCT26細胞においても、細胞生存率が30%超(P<0.0001)低下した(図6A)。さらに、CT26細胞生存率は、L-4F処理と比較して、L-4F2による処理によって有意に低下した(P<0.05)(図6A)。28AAペプチドおよび28AA-2ペプチドによる処理によって、インビトロでCT26細胞生存率を決定した。細胞生存率は、対照と比較した時、28AAペプチド(10μg/ml)によって処理されたCT26細胞において70%(P<0.0001)低下し、28AA-2(10μg/ml)によって処理された細胞において64%(P<0.0001)低下した(図6A)。NIH3T3細胞生存率も、4種のペプチドの全部による処理によってインビトロで決定した。NIH3T3細胞生存率は4種のペプチドのいずれにも影響されなかった(図6B)。
この実施例は、血管形成因子の産生および血管形成において重要な役割を果たす低酸素誘導因子1α(HIF-1α)の発現および活性を、アポA-Iミメティックペプチドが阻害することを証明する。腫瘍組織におけるHIF-1αの発現を調査するため、免疫組織化学染色を使用した。ヒト卵巣癌細胞株におけるHIF-1αの発現および活性を決定するため、イムノブロッティング、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応、免疫蛍光、およびルシフェラーゼ活性アッセイを使用した。免疫組織化学染色は、L-4F処理がマウス卵巣腫瘍組織におけるHIF-1α発現を劇的に減少させることを証明した。L-4Fは、2種のヒト卵巣癌細胞株OV2008およびCAOV-3において、低酸素濃度、塩化コバルト(CoCl2、低酸素模倣化合物)、リゾホスファチジン酸、およびインスリンによって誘導されるHIF-1αの発現および活性を阻害した。L-4Fは、Aktのインスリンによって誘導されるリン酸化に対しては効果を有しなかったが、細胞外シグナル制御キナーゼおよびp70s6キナーゼの活性化を阻害し、HIF-1α合成の阻害をもたらした。L-4Fによる前処理は、インスリン処理細胞およびCoCl2処理細胞の両方においてHIF-1αのプロテアソーム依存性のタンパク質分解を劇的に加速した。HIF-1α発現に対するL-4Fの阻害効果は、L-4Fの活性酸素種除去効果によって、一部分、媒介される。アポA-Iミメティックペプチドは、インビボモデルおよびインビトロモデルの両方においてHIF-1αの発現および活性を阻害し、このことは、HIF-1αの阻害が、アポA-Iミメティックペプチドによる腫瘍進行の抑制を担う重要な機序であり得ることを示唆している。
OV2008細胞は、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、1×最小必須培地非必須アミノ酸溶液(Invitrogen,Carlsbad,CA)、およびインスリン(0.25U/ml)(Invitrogen)を含むRPMI1640培地において培養された。CAOV-3細胞は、高グルコースおよびL-グルタミン(2mM)を含むダルベッコ修飾イーグル培地、10%ウシ胎仔血清、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)、ならびにインスリン(0.02U/ml)からなる完全培地において培養された。低酸素条件を作出するため、細胞を、低酸素チャンバー(モデル3130;Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)へ移し、そこで、5%CO2、1%O2、および94%N2を含有している雰囲気において37℃で維持した。L-4F(全てLアミノ酸から合成されたペプチド
)は、1mg/mlで水に溶解させ(毎回、新鮮に調製した)、1〜10μg/mlで使用した。L-5Fは、Peptisyntha Inc.(Torrance,CA)によって合成されたものであり、1mg/mlでABCT緩衝液(0.1mg/ml Tween 20を含有している50mM重炭酸アンモニウム(pH7.0))に溶解させ、使用前に必要とされる濃度に希釈した。塩化コバルト(CoCl2)、インスリン、シクロヘキシミド(CHX)、およびN-(ベンジルオキシカルボニル)ロイシニルロイシニルロイシナール - Z-Leu-Leu-Leu-al(MG-132)は、Sigma-Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。クロロホルム中のLPA(Avanti Polar Lipids,Alabaster,AL)は、製造業者によって推奨されたように乾燥させ、ストック溶液として20mMの濃度でエタノールに溶解させ、使用前に対応する細胞培養培地で必要とされる濃度に希釈した。
Purelink RNA Mini Kit(Invitrogen)を使用することによって、全RNAを細胞から抽出した。RNAの量および質を、SmartSpec 3000 Spectrophotometer(Bio-Rad Laboratories,Hercules,CA)を使用することによって査定した。製造業者の説明に従って、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Applied Biosystems,Foster City,CA)を使用することによって、cDNAを合成した。CFX96リアルタイムPCR系(Applied Biosystems)を使用することによって、PCRを実施した。サイクリング条件は、以下の通りであった:95℃3分、続いて、95℃10秒;60℃10秒;72℃30秒を40サイクル、続いて、72℃10分の最終伸張。各25μl反応物は、ヌクレアーゼ不含水中に0.4μgのcDNA、12.5μlのSYBR Green qPCR SuperMix(Bio-Rad Laboratories)、ならびに250nMの順方向プライマーおよび逆方向プライマーを含有していた。使用されたプライマーは、
であった。実験を一回繰り返し、各実験において三重測定を行った。
以前に記載されたようにして(Gao et al.,2011)、ウエスタンブロット分析を実施した。簡単に説明すると、50mMトリス緩衝液(pH7.5)中にO.1M NaCl、5mM EDTA、50μMバナジン酸ナトリウム、1%トリトンX-100、およびプロテアーゼ阻害剤タブレット(Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)を含有している溶解緩衝液に、細胞溶解物を収集し、4〜12%Bis-Trisゲル(Invitrogen)にロードし、フッ化ポリビニリデン膜に移し、適切な抗体と共にインキュベートした。抗pThr202/Tyr204-Erk抗体、抗Erk抗体、抗pThr389-p70 S6キナーゼ抗体、抗p70 S6キナーゼ抗体、抗pSer473-Akt抗体、および抗Akt抗体は、Cell Signaling Technology(Danvers,MA)から購入し;マウス抗ヒトHIF-1α抗体はBD Pharmingen(San Diego,CA)から購入し;ウサギ抗マウスHIF-1α抗体はAbcam Inc.(Cambridge,MA)から購入し;抗GAPDH抗体は、Santa Cruz Biotechnology Inc.(Santa Cruz,CA)から購入した。
以前に記載されたようにして(Zhou et al.,2007;Lee et al.,2009)、OV2008細胞を、1ウェル当たり4×104細胞で24穴プレート内のカバーガラス(Thermo Fisher Scientific)上に播種し、通常の培養条件で一夜培養し、無血清培地で一夜飢餓状態にし、L-4F(10μg/ml)によって1時間処理した。次いで、ジクロロフルオレセインジアセテート(DCFHDA、10μM)およびインスリン(200nM)/CoCl2(100μM)を添加し、さらに0.5時間、細胞と共にインキュベートした。細胞を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した。蛍光顕微鏡(Olympus IX70;Olympus,Tokyo,Japan)によって画像を捕らえた。
簡単に説明すると、OV2008細胞を1ウェル当たり2×105細胞で6穴プレートに播種し、完全培地において一夜成長させた。次いで、pGL3-Epo-低酸素応答要素(HRE)-Lucプラスミドを、Lipofectamine 2000(Invitrogen)を使用することによって、細胞へトランスフェクトした。24時間後、細胞を一夜飢餓状態にし、刺激剤の存在下または非存在下でL-4F処理に供した。レポーターアッセイ系(Promega,Madison,WI)を、ルシフェラーゼ活性の測定のために使用した。
以前に記載されるようにして(Lee et al.,2006)、免疫蛍光染色を実施した。簡単に説明すると、OV2008細胞を1ウェル当たり4×104細胞で24穴プレート内のカバーガラス(Thermo Fisher Scientific)上に播種し、完全培地において一夜成長させた。一夜の飢餓の後、細胞を刺激剤の存在下または非存在下でL-4F処理に供した。次いで、細胞を、4%中性緩衝ホルムアルデヒドで室温で25分間固定し、PBS中の0.5%トリトンX-100によって10分間透過性化し、PBSで調製された10%正常ヤギ血清、1%ウシ血清アルブミン、および0.3Mグリシンによって1時間ブロッキングした。細胞を、マウス抗HIF-1α(1:200)と共に4℃で一夜インキュベートし、Alexa Fluor 568ヤギ抗マウスIgG(Invitrogen)と共に1時間インキュベートした。最後に、DAPIを含有しているVectaMount溶液(Vector Laboratories,Burlingame,CA)で細胞を覆い、蛍光顕微鏡(Olympus IX70)によって画像を捕らえた。
9週齢C57BL/6J雌マウスに、等量の冷Matrigel(BD Biosciences,San Jose,CA)と混合された、PBSで単一細胞懸濁物として調製された5×106 ID8細胞の0.5ml皮下注射を与えた。2週間後、マウスは、ID8細胞が注射された部位から遠位で、皮下注射によってスクランブル4Fペプチド(sc-4F)またはL-4F(10mg/kg)を、3週間毎日、受容し始めた。3週間後、腫瘍の収集およびさらなる分析のため、マウスを屠殺した。
凍結腫瘍組織を、5μmの厚さに切片化し、-20℃で10分間、冷アセトンで固定した。切片を、PBSで調製された10%正常ヤギ血清および4%ウシ血清アルブミンによって3時間ブロッキングし、直ちに、ウサギ抗マウスポリクローナルHIF-1α抗体(1:200)(Abcam Inc.)またはラット抗マウスモノクローナルCD31抗体(1:25)(Abcam Inc.)と共に4℃で一夜インキュベートした。次いで、切片を、対応するビオチン化二次抗体(Vector Laboratories)と共に室温で30分間インキュベートした後、染色を可視化するため、Vectastain ABC Elite試薬(Vector Laboratories)と共にインキュベートした。最後に、切片を、ヘマトキシリンで軽く対比染色し、脱水し、Vecta-Mount溶液(Vector Laboratories)を用いてカバーガラスを被せた。
データは各群について平均値±SDとして示される。本発明者らは、独立t検定によって統計分析を実施した。全ての結果を、P<0.05で統計的に有意であると見なした。
本発明者らの以前のデータは、アポA-IミメティックペプチドL-4FおよびL-5Fが、上皮癌細胞株ID8を使用した卵巣癌の免疫適格マウスモデルにおいて、腫瘍成長および血管形成を阻害することを示した(Gao et al.,2011)。HIF-1αは腫瘍血管形成に関与している重要な増殖因子VEGFの産生において重要であるため、本発明者らは、同モデルを使用することによってHIF-1α発現に対するL-4Fの効果をまず調査した。免疫組織化学染色は、L-4F処理が、対照ペプチド(sc-4F)処理群と比較して、腫瘍組織におけるHIF-1α発現を減少させることを示した(図7A)。本発明者らの以前の報告(Gao et al.,2011)と一致して、本発明者らは、対照群と比較した、L-4F処理マウスにおける血管の数の低下を観察した(図7A;Gao et al.,2012,JPET 342:255-262のオンラインバージョンに含まれる補足材料も参照のこと)。
L-4Fが低酸素条件下で細胞におけるHIF-1α発現を阻害するか否かを調査するため、ヒト卵巣癌細胞株OV2008におけるHIF-1α発現を誘導するため、低酸素濃度(1%O2)および低酸素模倣化学物質CoCl2を使用した。ウエスタンブロット分析は、L-4Fが、低酸素によって誘導されるHIF-1αタンパク質発現を用量依存的に抑制することを示した(図7B;オンラインバージョンの補足材料も参照のこと)。OV2008細胞を、100nMおよび200nMのインスリン(図7B)ならびに20μMのLPAによって処理した時にも、類似した結果が観察された(補足材料も参照のこと)。
HIF-1αによって駆動される遺伝子転写をL-4Fが阻害するか否かを決定するため、OV2008細胞を、HRE含有ルシフェラーゼレポータープラスミドによってトランスフェクトした。L-4F処理は、CoCl2およびインスリンによって媒介されるルシフェラーゼ活性の誘導を有意に阻害した(図8、AおよびC)。さらに、L-4F処理は、VEGF、グルコーストランスポーター1、およびアルドラーゼAを含むHIF-1α標的遺伝子のmRNAレベルのCoCl2およびインスリンによって誘導される増加を抑止し(図8、BおよびD)、このことから、L-4FがHIF-1αタンパク質発現および活性の両方を阻害することが示唆された。
HIF-1α発現は臨床的に示される進行腫瘍において上昇するため、本発明者らは、次に、低酸素または増殖因子による刺激の後に与えられたL-4Fが、HIF-1α発現を阻害するか否かを調査した。OV2008細胞を、3時間(補足材料を参照のこと)または24時間(図9)、CoCl2またはインスリンによってまず刺激し、次いで、様々な期間、L-4Fによって処理した。L-4Fによる後処理は、OV2008細胞におけるHIF-1α発現を有意に減少させた(図9A;補足材料も参照のこと)。免疫蛍光分析は、L-4Fによる後処理により減少したHIF-1αの核発現を示した(図9B;補足材料も参照のこと)。さらに、核におけるHIF-1αタンパク質のダウンレギュレーションは、下流HIF-1α標的遺伝子の転写の阻害と相関した(図9C;補足材料も参照のこと)。
L-4Fが転写レベルでHIF-1α合成に影響するか否かを決定するため、本発明者らは、HIF-1αmRNAレベルの変化がタンパク質の変化に先行するか否かを決定するため、HIF-1αmRNA含量を定量した。リアルタイムRT-PCR分析は、L-4FがHIF-1αmRNAの基底レベルに対する効果を有しないことを示した(補足材料を参照のこと)。さらに、以前の報告と一致して(Semenza,2003;Pouysse'gur et al.,2006;Lee et al.,2009)、低酸素およびインスリンは、HIF-1α遺伝子転写に影響せず(補足材料を参照のこと)、このことから、L-4FによるHIF-1αタンパク質発現の制御が転写後レベルで起こることが示唆された。
S6キナーゼの活性化は、インスリンによって誘導されるHIF-1αの新規合成にとって重要である(Semenza,2003)。L-4FによるHIF-1α阻害の分子機序を決定するため、本発明者らは、L-4Fが、インスリンによって刺激されるHIF-1αのタンパク質合成に影響するか否かを試験した。本発明者らのデータは、10μg/mlのL-4FがS6キナーゼのリン酸化を妨害することを示した(図10A)。S6キナーゼリン酸化は、上流シグナリング分子ERKおよびAktの活性化によって制御される。図10Bに示されるように、L-4Fは、ERK1/2の活性化を阻害したが、0.5時間目以外は、Aktのリン酸化に対する効果を有しておらず、このことから、S6キナーゼ活性化の阻害は、ERKリン酸化の抑制の結果である可能性が最も高いことが示唆された。OV2008細胞におけるERK、Akt、およびS6キナーゼのリン酸化に対してCoCl2の効果が観察されなかったことは注目に値する(補足材料を参照のこと)。CoCl2処理は、低酸素を模倣して、HIF-1αタンパク質分解の減少をもたらすため(Pouysse'-gur and Mechta-Grigoriou,2006)、この結果は驚くべきものではない。
本発明者らは、次に、L-4FがHIF-1αタンパク質の安定性を変化させるか否かを調査した。新しいタンパク質合成を妨害する化合物CHXを、新規HIF-1αタンパク質合成を阻害するために使用した。本発明者らのデータは、インスリンと組み合わせられたCHXによって処理されたOV2008細胞が、時間の関数としてのHIF-1αの漸減を示し、同時L-4F処理が、HIF-1αタンパク質の分解を加速することを示した(図11A)。本発明者らは、CoCl2によって処理されたOV2008細胞に対するL-4Fの類似した効果を観察した(補足材料を参照のこと)。さらに、プロテアソーム阻害剤MG-132は、インスリンによって媒介されるHIF-1α発現に対するL-4Fの阻害効果の逆転をもたらした(図11B)。これらの結果は、L-4Fが、一部分、HIF-1αタンパク質の分解を加速させることによって、卵巣癌細胞におけるインスリンおよびCoCl2によって誘導されるHIF-1αの発現および活性を阻害することを示唆する。
インスリン処理(Zhou et al.,2007;Lee et al.,2009)およびCoCl2処理(Chandel et al.,2000;Griguer et al.,2006)は、細胞ROSレベルを有意に増加させ、それが、その後、HIF-1αの合成を促進し、分解を阻害することが報告されている。ジクロロフルオレセイン酸化アッセイによって示されたように(図12)、インスリンおよびCoCl2による処理は、OV2008細胞における細胞ROSレベルの増加をもたらした。L-4Fによる前処理は、インスリンおよびCoCl2によって誘導される細胞ROS産生を劇的に防止し(図12)、このことから、HIF-1α発現に対するL-4Fの阻害的役割が、ROS蓄積の阻害の結果である可能性が示唆された。
HIF-1は低酸素下での重要な細胞生存タンパク質であり、様々な固形腫瘍における腫瘍の進行および転移に関連している(Seeber et al.,2011)。HIF-1αを標的とすることは、魅力的な抗癌治療戦略であり得る(Se-menza,2003;Belozerov and Van Meir,2005;Seeber et al.,2011)。HIF-1αの発現は、低酸素刺激および非低酸素刺激の両方によって増加する。低酸素濃度または低酸素模倣化合物CoCl2による処理は、HIF-1αの分解を阻害し、HIF-1αタンパク質の安定性および蓄積を増加させる。インスリンおよびLPAを含む数種の増殖因子も、転写後のタンパク質合成を促進し、HIF-1αの発現および活性をアップレギュレートする(Semenza,2003;Pouysse'gur and Mechta-Grigoriou,2006;Pouysse'gur et al.,2006)。この文書において、本発明者らは、(1)L-4Fがマウス腫瘍組織におけるHIF-1α発現を阻害すること(図7A);(2)L-4FおよびL-5Fによる前処理および後処理が、ヒト卵巣癌細胞株における、低酸素、CoCl2、インスリン、およびLPAによって誘導されるHIF-1αの発現および核レベルを減少させること(図7および9;補足材料も参照のこと);ならびに(3)L-4Fが、CoCl2およびインスリンによって刺激される、HREによって駆動されるレポーター遺伝子の発現およびHIF-1α標的遺伝子の活性化を阻害すること(図8および9;補足材料も参照のこと)を証明する。リアルタイムRT-PCR分析は、L-4FがOV2008細胞におけるHIF-1α遺伝子転写に対して効果を有しないことを示し(補足材料を参照のこと)、このことから、L-4FによるHIF-1αタンパク質の制御が転写後レベルで起こることが示された。
実施例4において提供された参照の引用の完全なリストは、Gao et al.,2012,.J.Pharm.Exper.Ther.342:255-262に見出され得る。この文書のオンラインバージョンは、実施例4において参照された補足材料も含有している。
この実施例は、HDLミメティック、L-4F(アポリポタンパク質A-Iミメティックペプチド)およびG*(アポリポタンパク質Jミメティックペプチド)が、結腸癌のマウスモデルにおいて、腫瘍の成長および発達に影響することを証明する。HDLミメティックは、マウス結腸腺癌細胞株CT26細胞の生存率および増殖を低下させ、皮下投与または経口投与された時、BALB/cマウスにおけるCT26細胞によって媒介される腫瘍量を減少させた。結腸癌の血清バイオマーカーであるリゾホスファチジン酸(LPA)の血漿レベルは、HDLミメティックを受容したマウスにおいて有意に低下し、このことから、炎症誘発性脂質の結合および除去がHDLミメティックによる腫瘍発達の阻害についての可能性のある機序であることが示唆された。さらに、L-4Fは、ヒト家族性大腸腺腫症のマウスモデルであるAPCmin/+マウスにおけるポリープのサイズおよび数を有意に低下させ、このことから、HDLミメティックが誘導型および自然発症型の両方の結腸癌の発達を阻害するために有効であることが示唆された。これらの結果から、HDLミメティックが、結腸癌の治療のための新規の治療戦略として同定される。
Animal Research Committee at University of California at Los Angelesによって、全てのマウスプロトコルが承認された。6週齢BALB/c雌マウスおよび6週齢C57BL/6J-APCmin/+雄マウスは、Jackson Laboratoryから購入された。
HDLミメティック、アポA-IペプチドL-4F
、および4Fペプチドと同一のアミノ酸を含有しているが、クラスA両親媒性ヘリックスの形成を妨害する順序で並べられたスクランブルペプチド(sc-4F)
、ならびに、G*ペプチドと命名されたアポJミメティック{アポJのアミノ酸113〜122に相当する
(L-[113-122]アポJ)}は、全てL-アミノ酸から合成された。注射による投与のためのペプチドは、H2Oに溶解させられた。食事でのペプチドの投与のためのペプチドは、ウエスタン食について以前に記載されたような技術(18)を本質的に使用して、標準的なマウス飼料(Ralston Purina)へ混合された。しかしながら、本明細書において報告された実験において、ウエスタン食は投与されず;マウスは、ペプチドを含むかまたは含まない標準的なマウス飼料のみを受容した。
BALB/c起源のN-ニトロソ-N-メチルウレタンによって誘導されたマウス結腸癌に由来するCT26細胞株は、アメリカンタイプカルチャーコレクションから購入された。CT26細胞(1ウェル当たり2,000細胞)を、96穴培養プレートにおいて完全培地においてまず培養し、24時間後、培地を無血清培地に交換した。一夜のインキュベーションの後、細胞を、媒体(対照)によって処理するか、または10mg/mLのL-4FペプチドもしくはG*ペプチドのいずれかによって処理した。ペプチドはH2Oに溶解していた。細胞をさらに48時間インキュベートし、製造業者のプロトコルに従って、MTSアッセイキット(Promega)を使用して、生存率についてアッセイした。増殖アッセイのため、48時間のインキュベーションのうちの最後の4時間、細胞をブロモデオキシウリジン(BrdUrd)によって標識した。その後、細胞を洗浄し、固定し、マウス抗BrdUrd抗体と共に室温で1時間インキュベートし、ペルオキシダーゼ連結ヤギ抗マウス二次抗体(Calbiochem)によって検出した。吸光度を二重波長450nmおよび540nmを使用して測定した。
6週齢BALB/c雌マウスに、PBSで単一細胞懸濁物として調製された1×106 CT26細胞の100mL皮下注射を与え、マウスを、15日間毎日、皮下投与された10mg/kgのsc-4FまたはL-4Fによって処理した。マウスを屠殺し、腫瘍重量を測定した。
BALB/cマウスに、尾静脈注射を介して、2×104 CT26細胞を含む100mLのPBSを静脈内注射し、マウスを、3週間、皮下投与された10mg/kg/日のL-4Fもしくはsc-4Fによって処理するか、または3週間、飼料食中に投与された100mg/kg/日のsc-4FもしくはL-4FもしくはG*ペプチドによって処理した。3週間の処理の後、マウスを屠殺し;肺を採集し、計量し、ブアン液(Sigma)で固定した。肺表面上の腫瘍結節を計数した。
C57BL/6Jバックグラウンドの6週齢APCmin/+雄マウスを、飼料食中に投与された100mg/kg/日のL-4Fまたはsc-4Fによって処理した。8週間の処理の後、マウスを屠殺した。腸全体を直ちに除去し、ホルマリンおよび70%エタノールで固定した。腫瘍を計数し測定するため、腸を解剖顕微鏡下で切開し調査した。
肺表面からの腫瘍組織を、固定し、パラフィンで包埋し、5mmの厚さに切片化した。切片をキシレンで脱パラフィンし、100%、90%、70%、および50%エタノールによって親水化し、20mg/mLのプロテイナーゼKによって30分間処理し、内在性ペルオキシダーゼを阻害するため、3%H2O2によって室温で30分間処理し、PBSで調製された10%正常なヤギ血清および4%ウシ血清アルブミンによって3時間ブロッキングし、次いで、1:50ラット抗マウスモノクローナルCD31抗体と共に4℃で一夜インキュベートした。切片を、対応するビオチン化二次抗体と共に1時間インキュベートし、その後、Vectastain ABC Elite試薬と共にインキュベートした。
CT26細胞を、6穴プレートにおいて一夜培養し、次いで、48時間血清飢餓状態にした。細胞を、媒体(対照)によって処理するか、または10mg/mLのL-4FもしくはG*ペプチドによって処理し、さらに48時間インキュベートした。細胞を収集し、PBSで洗浄し、70%氷冷メタノールにより4℃で一夜固定した。固定された細胞を、遠心分離によって収集し、PBSで洗浄し、40mg/mL RNaseAおよび100mg/mLヨウ化プロピジウムを含有している0.3mLのPBSに再懸濁させ、BD BiosciencesからのFACScanによるフローサイトメトリー細胞周期分析に供した。
50mmol/Lトリス緩衝液(pH7.5)中に0.1mol/L NaCl、5mmol/L EDTA、50mmol/Lバナジン酸ナトリウム、1%トリトンX-100、およびプロテアーゼ阻害剤タブレットを含有している細胞溶解緩衝液による処理の後、全細胞タンパク質を収集した。20マイクログラムの全タンパク質を、SDS-PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜に移し、5%スキムミルクおよび0.1%Tween-20において一次抗体と共に4℃でインキュベートした。抗サイクリンD1および抗サイクリンAウサギポリクローナル抗体は、1:1,000希釈で使用され、抗βアクチンポリクローナル抗体は、1:2,000希釈で使用された。
血漿中のインターロイキン(IL)6濃度を、製造業者のプロトコル(Invitrogen)に従って、競合ELISAによって測定した。
LPA(20:4)は、Avanti Polar lipidsから購入された。以前に記載されたようにして(19)、LPAレベルを決定した。
データは各群について平均値±SDとして示される。本発明者らは、独立t検定によって統計分析を実施した。全ての結果を、P<0.05で統計的に有意であると見なした。
CT26は、免疫適格BALB/cマウスへ静脈内導入された時、転移性肺腫瘍を発症させる結腸腺癌細胞株である(20〜22)。CT26細胞株は、マウスモデルにおいて癌のための治療的適用を研究するため、同系腫瘍モデルとして広く使用されており、従って、本発明者らは、HDLミメティック研究における結腸癌研究のためにCT26細胞を選んだ。本発明者らは、尾静脈を介して2×104 CT26細胞を注射されたBALB/cマウスにおける肺腫瘍形成に対する、3週間、10mg/kg/日で皮下投与されたL-4Fおよびsc-4F(4Fペプチドと同一のアミノ酸を含有しているが、クラスA両親媒性ヘリックスの形成を妨害する順序で並べられたスクランブルペプチド)の効果をまず調査した。L-4Fによって処理されたBALB/cマウス(各群n=11)における肺重量(図13A)および肺表面上で計数された腫瘍数(図13B)は、sc-4Fによって処理されたマウスと比較して、有意に低下した(280対225mg、P<0.01;33対18、P<0.001)。二群からの肺腫瘍の代表的な写真は図13Cに示される。本発明者らは、次に、L-4F処理がBALB/cマウスの側腹部における腫瘍の発達に影響するか否かを調査した。6週齢BALB/c雌マウスに、側腹部において1×106 CT26細胞を皮下注射した。マウスを、CT26細胞が注射された部位から遠位で、15日間毎日、皮下投与された10mg/kgのsc-4F(n=9)またはL-4F(n=8)のいずれかによって処理した。側腹部腫瘍重量は、sc-4Fによって処理されたBALB/cマウスにおいて、L-4Fによって処理されたマウスと比較して、有意に大きかった(778対389mg、P<0.05;図13D)。二群からの側腹部腫瘍の代表的な写真は図13Eに示される。本発明者らは、図13Aに示される実験から血漿中のIL-6レベルを測定した。IL-6は、L-4F処理を受けたマウスにおいて、対照群と比較して、有意に減少した(図13F)。
本発明者らは、皮下投与されるかまたは経口投与されるかに関わらず、4Fがアテローム性動脈硬化症の動物モデルにおいて有効であることを最近報告した(18)。経口投与された時、L-4Fが腫瘍発達を低下させ得るか否かを決定するため、BALB/cマウスに尾静脈を介して2×104 CT26細胞を注射し、3週間、飼料食中に投与された100mg/kg/日のL-4F(n1/4=9)またはsc-4F(n=12)によって処理した。sc-4Fによって処理されたBALB/cマウスにおける肺重量(図14A)および腫瘍数(図14B)は、L-4Fによって処理されたマウスと比較して、有意に大きかった(296対238mg、P<0.05;21対12、P<0.0001)。本発明者らは、L-4Fがインビボで血管形成を阻害することを以前に報告した(23)。この実験からの腫瘍切片の免疫組織化学的染色は、L-4Fによって処理されたマウスに由来する腫瘍におけるCD31発現の、対照マウスと比較した、有意な減少を示した(図14C)。さらに、血漿LPAレベルが、対応する対照マウスと比較して、L-4Fペプチドを受容したマウスにおいて有意に低下した、P<0.01(図14D)。
本発明者らは、次に、HDLミメティックが結腸癌の自然発症モデルにおける結腸腫瘍の発達に影響し得るか否かを調査した。APCmin/+マウスは、結腸癌の確立されたマウスモデルであり、ヒトにおける家族性大腸腺腫症の発症を反映する(24、25)。6週齢C57BL/6J-Apcmin/+雄マウスを、8週間、マウス飼料中に投与された100mg/kg/日のL-4F(n=5)またはsc-4F(n=6)によって処理した。L-4Fによって処理されたマウスからの腸管内の腫瘍の数およびサイズは、sc-4Fによって処理されたマウスと比較して、有意に低下した(100%対60%、P<0.05;1〜3mm:56.5対36.8、P<0.05;>3mm:12.8対5、P<0.05;図15Aおよび15B)。この実験からの血漿LPAレベルは、L-4Fペプチドを受容したマウスにおいて、対照マウスと比較して、有意に低下した、P<0.01(図15C)。
HDLミメティックL-4FがマウスにおけるCT26細胞によって媒介される腫瘍発達を阻害する機序を調査するため、CT26細胞生存率に対するL-4Fの効果をインビトロで決定した。細胞生存率は、対照と比較した時、L-4F(10mg/mL)によって処理されたCT26細胞において25%超低下した(P<0.001)(図16A)。さらに、L-4Fは、BrdUrd取り込みによって測定されるCT26細胞の増殖を有意に阻害した(P<0.001)(図16B)。L-4Fが細胞周期進行の変化を通して細胞増殖を阻害するのか否かを調査するため、細胞周期プロフィールに対するL-4Fの効果をCT26細胞において査定した。細胞周期分析は、48時間のL-4F処理が、GO/G1期の増加およびS期の停止を誘導することを示した(図16C)。さらに、ウエスタンブロット分析は、細胞周期タンパク質サイクリンD1およびサイクリンAの発現が、L-4Fによって処理された細胞において有意に低いことを示した(図16D)。
LPAは、ヒトにおける腫瘍の発達、進行、および転移の重要なメディエーターとして同定されている(26、27)。本発明者らは、アポAIミメティックペプチドが、ID8細胞のLPAによって誘導される生存率を阻害し、ID8細胞を注射されたマウスにおいて血清LPAレベルを低下させることを以前に示した(17)。L-4Fは、LPAに結合し(17)、予想通り、LPA(10〜20mmol/L)は、CT26細胞成長を有意に改善し、L-4Fは、LPAによって誘導される生存率を、試験された全ての用量で、有意に低下させた、P<0.001(図17A)。本発明者らは、液体クロマトグラフィ質量分析によって細胞培養培地中のLPAレベルを測定し、LPA 16:0および18:0が、対照培地と比較して、L-4F処理によって有意に減少することを見出した。LPA 20:4および18:1は細胞培養培地中に検出不可能であった(図17B)。
G*(L-[113-122]アポJ)ペプチドを、インビボおよびインビトロで研究を繰り返すために使用した。CT26細胞注射後の肺腫瘍発達は、3週間、マウス飼料中に投与された100mg/kg/日のG*ペプチドによって処理されたマウスにおいて有意に減少した(肺重量は296対250mgであった、P<0.05;腫瘍数は21対10であった、P<0.0001;図18Aおよび18B)。細胞生存率は、未処理と比較した時、G*ペプチド(10mg/mL)によって処理されたCT26細胞においておよそ40%低かった(図18C)。図18Aおよび18Bに示されるマウス実験において、血漿LPAレベルは、対応する対照マウスと比較して、G*ペプチドを受容したマウスにおいて有意に低下した、P<0.05(図18D)。ウエスタンブロットは、サイクリンD1およびサイクリンAの発現が、未処理と比較して、G*ペプチド処理によって低くなることを示した(図18E)。
脂質代謝と癌との間には有意な相関が存在し、炎症性酸化ストレスは癌の病態生理学に関連していると長く考えられてきた(28〜30)。脂質酸化およびその結果の酸化された脂質により媒介される炎症は、多数の炎症性疾患の病因に共通しているようであり(31、32)、このことは、癌を含む数種の疾患の発達および進行におけるリポタンパク質の役割を暗示している。HDLは、自然免疫系の不可欠の部分として認識されている。HDLは、複雑な高分子であり、その機能レパートリーには、抗酸化活性、抗炎症活性、および抗微生物活性が含まれる。LDLと異なり、HDLは、HDLの構造的完全性および機能的完全性を決定する、タンパク質および脂質の異種混合物である。リン脂質転移タンパク質、コレステロールエステル転移タンパク質、およびレシチンコレステロールアシル転移酵素を含む、HDLの数種のタンパク質/酵素成分は、その形成および成熟にとって重要であり、アポリポタンパク質A-I(アポA-I)、アポJ、およびパラオキソナーゼ1(PON1)のようなその他のタンパク質/酵素成分は、HDLに機能的特性を付与する(33)。過去十年間に、HDLミメティックは、多数の炎症性疾患についての前臨床研究において極めて大きな治療的見込みを示した(34〜40)。
(括弧内の数字によって同定される)実施例5において提供された参照の引用の完全なリストは、Su et al.,2012,Mol.Cancer Ther.11(6):1311-1319に見出され得る。
この実施例は、様々なHDLミメティックペプチドによってインビトロで処理されたCT26細胞が、媒体処理対照と比較して、処理の48時間以内に、低下した(上記のMTSアッセイによる)細胞生存率を示すことを証明する(図19)。アッセイされたHDLミメティックは、L-4F(SEQ ID NO:12)、L-4F2(SEQ ID NO:14)、K4,15-4F(SEQ ID NO:27)、K4,15-4F2(SEQ ID NO:28)、および新規の20アミノ酸ペプチド(「20AA」)
であった。K4,154Fペプチド(SEQ ID NO:27)およびK4,15-4F2ペプチド(SEQ ID NO:28)は、Nayyar et al.,2012,J.Lipid Res.53(5):849-58に記載されたK14,15ペプチドに基づいており、残基4および15においてリジンがアルギニンに置換され、後者K4,15-4F2は、11位および17位においてアラニンのAibへの置換を導入するため、さらに修飾されていた。新規の20アミノ酸ペプチドは、ペプチド
を作出するため、アポEおよびG*のペプチドから形成された。
Claims (11)
- HDLミメティックペプチド(SEQ ID NO:7、1、3〜6、または8〜9)からなる群より選択されるHDL関連分子を含む、腫瘍細胞への接触により腫瘍成長を阻害するための薬学的組成物。
- HDLミメティックペプチド(SEQ ID NO:7、1、3〜6、または8〜9)からなる群より選択されるHDL関連分子を含む、対象への投与により対象における癌を治療または予防するための薬学的組成物。
- 前記HDL関連分子が経口サプリメントである、請求項1〜2のいずれか一項記載の薬学的組成物。
- 前記HDLミメティックペプチドがSEQ ID NO:7、1、3〜6、および8〜9からなる群より選択される、請求項1〜2のいずれか一項記載の薬学的組成物。
- 前記対象が哺乳動物である、請求項1〜4のいずれか一項記載の薬学的組成物。
- 前記対象がヒトである、請求項5記載の薬学的組成物。
- HDLミメティックペプチド(SEQ ID NO:7、1、3〜6、または8〜9)からなる群より選択される、癌の治療のためのHDL関連分子。
- SEQ ID NO:7、1、3、4、5、6、8、または9に示されたアミノ酸配列からなる、ペプチド。
- 前記腫瘍細胞が上皮細胞である、請求項1記載の薬学的組成物。
- 前記癌が、膣、外陰、卵巣、子宮頚、子宮、前立腺、結腸、***、膵臓、肺、皮膚、脳、または胃の癌である、請求項2記載の薬学的組成物。
- 前記投与が皮下投与である、請求項2記載の薬学的組成物。
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