JP6076817B2 - 印刷インキ組成物用顔料分散体の製造方法 - Google Patents

印刷インキ組成物用顔料分散体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、印刷インキ組成物用顔料分散体の製造方法、その製造方法により調製された印刷インキ組成物用顔料分散体、及びその印刷インキ組成物用顔料分散体を含んでなる印刷インキ組成物に関する。
オフセット印刷は、油性である印刷インキ組成物が水に反発する性質を利用した印刷方式であり、凹凸を備える印刷版を用いる凸版印刷方式とは異なり、凹凸のない印刷版を用いることを特徴とした印刷方式である。この印刷版は、凹凸の代わりに親油性の画像部と親水性の非画像部とを備え、印刷に際して、まず、印刷版に供給された湿し水によって非画像部が湿潤される。すると、油性である印刷インキ組成物が印刷版に供給された際に、当該印刷インキ組成物は、湿し水で湿潤されて水分を帯びた非画像部には反発して付着せず、親油性の画像部のみに付着する。こうして、印刷版の表面に印刷インキ組成物による画像が形成され、その印刷インキ組成物による画像がブランケット及び紙に順次転移することにより印刷が行われる。
また、上記のように湿し水を用いたオフセット印刷の他に、シリコーン樹脂により非画像部が形成された印刷版を用いた水無しオフセット印刷方式も実用化されている。この印刷方式では、湿し水が印刷インキ組成物と反発して非画像部を形成するのではなく、シリコーン樹脂が印刷インキ組成物と反発して非画像部となる。こうした点を除けば、水無しオフセット印刷もまた、上記のように湿し水を用いたオフセット印刷と共通の印刷方式である。そこで、本明細書では、湿し水を用いた印刷方式のみならず、水無し印刷方式をも含めた概念として「オフセット印刷」という用語を用いる。なお、水無しオフセット印刷では、湿し水による印刷インキ組成物の乳化が起こらないので、ドットゲインの小さな高品位印刷を行うことができるとされている。
これらオフセット印刷に用いられる印刷インキ組成物は、バインダーとなる樹脂を植物油等の油成分により溶解又は分散させた印刷インキ組成物用ワニスを分散媒として、着色顔料や体質顔料等の顔料成分を分散させて調製される。これらの顔料を分散媒に分散させるに際して、顔料成分と分散媒とを混ぜ合わせた混合物を調製し、この混合物を三本ロールミルやビーズミル等の分散機により混練し、その際のせん断力によって顔料成分を分散媒中に分散させる方法と、水系で合成された顔料成分から加圧濾過により水を絞って得られる、湿った状態の顔料プレスケーキを分散媒中に投入し、これらをニーダー等の混練機で混練することにより、顔料成分の周囲に残留する水分を分散媒に含まれる油成分で置換させて顔料成分を分散媒中に分散させる方法(フラッシング法)とが知られている。なお、これらの方法により分散される顔料成分は、印刷インキ組成物に着色力を付与する着色顔料と、印刷インキ組成物に適正な粘弾性や各種特性を付与する炭酸カルシウム等の体質顔料とに大きく分類されるが、いずれの種類の顔料成分であっても、これらの方法により分散させることについては違いがない。
両分散方法にはそれぞれ一長一短がある。前者は、水系で合成された顔料成分を完全に乾燥させて粉末の状態としたものを原料として用いるので、運搬時に顔料成分が軽量かつ小さな体積となって輸送に要する費用を抑制できる反面、完全に乾燥した顔料粒子同士が強固に凝集しているため、これらを微粒子化させて分散させる際に多量のエネルギーと時間を要することになる。また、後者は、水系で合成された顔料成分から水分を絞り、ある程度水分の残ったプレスケーキの状態としたものを原料として用いるので、運搬時に顔料成分が重くかつ大きな体積となって輸送に要する費用がかさむ反面、顔料を完全に乾燥させないので顔料粒子同士の凝集が少なく、これらを微粒子化させて分散させる際のエネルギーと時間とを少なくできる。
このような背景から、本願の出願人により、完全に乾燥させて粒子の状態とした炭酸カルシウム等の体質顔料に水等の湿潤剤を加えてこれを湿潤させ、その上で分散媒と混練することで顔料分散体を調製することが提案されている(特許文献1〜4を参照)。このような手法を用いることにより、原料となる顔料成分の運搬時には、水分を含まない状態として輸送に要する費用を抑制しつつ、顔料成分を分散媒に分散させる際には、凝集した顔料粒子を湿潤により解した状態として分散に要するエネルギーや時間を節約し、印刷インキ組成物の生産性を高めることが可能になる。
特許第5031730号公報 特許第5031739号公報 特許第5031735号公報 特許第5031734号公報
特許文献1〜4に記載された手法を用いて顔料分散体を調製することにより、印刷適性の優れた印刷インキ組成物を良好な生産性で製造することが可能となる。しかしながら、これらの手法では、一旦完全に乾燥させて粉末の状態となった体質顔料を湿潤によりプレスケーキに近い状態とすることができたとしても、完全に乾燥されたことに伴う強固な凝集状態は容易に一次粒子まで解れるものではなく、得られた顔料分散体は、プレスケーキを出発原料とした顔料分散体に比べると分散状態がやや劣るものとなる傾向にある。そのため、この顔料分散体を用いて印刷インキ組成物を調製した場合、得られた印刷物の光沢強度において改良の余地があった。また、こうした印刷品質を重視し、体質顔料のプレスケーキを出発原料としたフラッシング法により顔料分散体を調製しようとすると、体質顔料粒子の周囲に存在する水分が分散媒に含まれる油成分で十分に置換されずに、顔料分散不良を生じやすい傾向もある。このような傾向は、印刷インキ組成物における体質顔料として頻繁に用いられる炭酸カルシウムにおいて特に顕著である。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、炭酸カルシウムのプレスケーキを原料とした、印刷インキ組成物用の顔料分散体の製造方法、それにより調製された顔料分散体、及びその顔料分散体を含んでなる印刷インキ組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、意外にも、炭酸カルシウムのプレスケーキを単独で用いるのでなく、炭酸カルシウムのプレスケーキと有機顔料のプレスケーキとを混合した状態からフラッシング法による分散処理を行うことで、有機顔料のみならず、体質顔料の周囲に存在する水分が分散媒に含まれる油成分で十分に置換され、良好な分散性を備えた顔料分散体が得られることを見出した。本発明は、以上の知見をもとに完成されたものであり、具体的には以下のものを提供する。
本発明は、脂肪酸類及び/又は樹脂酸類により表面処理された炭酸カルシウム及び水を含有する第一のプレスケーキ、有機顔料及び水を含有する第二のプレスケーキ、並びに印刷インキ組成物用ワニス、を含む混合物を混練し、上記炭酸カルシウム及び有機顔料を上記印刷インキ組成物用ワニス中に分散させる混練工程と、上記混練工程にて遊離した、上記第一のプレスケーキ及び上記第二のプレスケーキが含有していた水を除去する水除去工程と、を含む印刷インキ組成物用顔料分散体の製造方法である。
上記炭酸カルシウム、及び上記有機顔料の固形分の合計に対して、上記炭酸カルシウムの量を10質量%以上66質量%以下にすることが好ましい。
本発明によれば、炭酸カルシウムのプレスケーキを原料とした、印刷インキ組成物用の顔料分散体の製造方法、それにより調製された顔料分散体、及びその顔料分散体を含んでなる印刷インキ組成物が提供される。
図1は、本発明の印刷インキ組成物用顔料分散体を用いたときの印刷インキ組成物の製造手順を示すフロー図である。 図2は、従来の方法で製造された印刷インキ組成物用顔料分散体を用いたときの印刷インキ組成物の製造手順を示すフロー図である。
以下、本発明の印刷インキ組成物用顔料分散体の製造方法の一実施態様、並びに印刷インキ組成物用顔料分散体及び印刷インキ組成物の一実施形態について説明する。なお、本発明は、以下の実施態様及び実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲において適宜変更を加えて実施することができる。
<印刷インキ組成物用顔料分散体の製造方法>
本発明の印刷インキ組成物用顔料分散体の製造方法は、脂肪酸類及び/又は樹脂酸類により表面処理された炭酸カルシウム及び水を含有する第一のプレスケーキ、有機顔料及び水を含有する第二のプレスケーキ、並びに印刷インキ組成物用ワニスを含む混合物を混練し、上記炭酸カルシウム及び有機顔料を上記印刷インキ組成物用ワニス中に分散させる混練工程と、上記混練工程にて遊離した、上記第一のプレスケーキ及び上記第二のプレスケーキが含有していた水を除去する水除去工程と、を含む。この製造方法により調製された印刷インキ組成物用顔料分散体は、印刷インキ組成物の調製における中間原料として好ましく用いられる。以下、各工程について説明する。
[混練工程]
まず、混練工程について説明する。この工程では、脂肪酸類及び/又は樹脂酸類により表面処理された炭酸カルシウム及び水を含有する第一のプレスケーキ、有機顔料及び水を含有する第二のプレスケーキ、並びに印刷インキ組成物用ワニスを含む混合物を混練し、上記炭酸カルシウム及び有機顔料を上記印刷インキ組成物用ワニス中に分散させる。まずは、各原料について説明する。
脂肪酸類及び/又は樹脂酸類により表面処理された炭酸カルシウムは、親水性である未処理の炭酸カルシウム粒子の表面に脂肪酸類や樹脂酸類を結合させることにより、その表面が改質された炭酸カルシウムの粒子である。そして、本発明では、この炭酸カルシウムの粒子と水分とを含んで固形状態となったプレスケーキを用いる。本発明では、この炭酸カルシウムのプレスケーキを「第一のプレスケーキ」として用いる。ここで、本発明において上記「プレスケーキ」とともに用いられる「第一の」及び「第二の」という用語は、単に炭酸カルシウムのプレスケーキと後述する有機顔料のプレスケーキとを区別するために付されたものであり、投入順序や何らかの序列等を示すものでないことを付言しておく。
プレスケーキとは、水系で析出物として合成された炭酸カルシウム(体質顔料)や有機顔料(着色顔料)から加圧濾過で水分を絞り、ある程度水分の残った状態で固形物とされたものである。プレスケーキ中に含まれる顔料の粒子は、その周囲に水分が付着した状態となっており、顔料粒子同士の凝集が抑制されるので、プレスケーキを完全に乾燥させて得られる粉末状の顔料の粒子よりも凝集が極めて少ない状態となっている。そして、水を含有する顔料のプレスケーキは、後述する印刷インキ組成物用ワニスとともに混練されると、顔料の粒子の周囲に存在する水相が印刷インキ組成物用ワニスに含まれる油成分により油相に転換され、高い分散性を有する顔料分散体となる。なお、顔料の粒子の周囲に存在する水相を油相に転換させて顔料の分散体を得る操作はフラッシングと呼ばれ、当業者に周知の手法である。プレスケーキ中に含まれる顔料の固形分量としては、顔料の種類により異なるが、炭酸カルシウムで約30〜80質量%程度を例示でき、有機顔料で約20〜80質量%程度を例示できるが、特に限定されない。
本発明で用いられる炭酸カルシウムは、印刷インキ組成物に適度な粘弾性を付与するための体質顔料として用いられるものであり、上述の通り、脂肪酸類及び/又は樹脂酸類により表面処理されたものである。炭酸カルシウムは、このような表面処理がされることにより、親水性である粒子の表面が疎水化されており、それゆえ上記のフラッシング操作によって粒子の周囲を水相から油相に転換することが可能になる。このような炭酸カルシウムは、例えば、水系に分散された炭酸カルシウムのスラリーに脂肪酸類や樹脂酸類を添加して表面処理させる手段等により得られる。表面処理される未処理の炭酸カルシウムの粉末は、天然の石灰石を破砕して得られる重質炭酸カルシウムであってもよいし、水系で化学合成されたコロイド炭酸カルシウムであってもよい。表面処理に用いる脂肪酸類としては、例えば、炭素数が6〜24の飽和及び不飽和脂肪酸、それらの塩若しくはエステル等を挙げることができるが、特に限定されない。また、表面処理に用いる樹脂酸類としては、例えば、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸等のアビエチン酸類又はその重合体、不均化ロジン、水添ロジン、重合ロジン、あるいはこれらの塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)若しくはエステル等を挙げることができるが、特に限定されない。表面処理は、脂肪酸類単独により行われてもよいし、樹脂酸類単独により行われてもよいし、脂肪酸類及び樹脂酸類の混合物により行われてもよい。また、これらの成分に他の成分を加えて表面処理を行ってもよい。こうした表面処理を受けた炭酸カルシウムのプレスケーキは、市販されており、容易に入手することができる。
炭酸カルシウムの一次粒子の粒径としては、20nm〜200nm程度を例示することができるが、特に限定されない。脂肪酸類及び/又は樹脂酸類により表面処理された炭酸カルシウムは、印刷インキ組成物における体質顔料として用いられる成分であり、分散媒である印刷インキ組成物用ワニス中に分散されることにより印刷インキ組成物に対して良好な粘弾性を付与する。
印刷インキ組成物用顔料分散体における炭酸カルシウムの含有量としては、炭酸カルシウムの固形分として、2.5〜30質量%が好ましく例示され、5〜25質量%がより好ましく例示され、7.5〜20質量%がさらに好ましく例示される。印刷インキ組成物用顔料分散体における炭酸カルシウムの含有量が上記の範囲であることにより、印刷インキ組成物用顔料分散体の適用された印刷インキ組成物の粘弾性が適切な範囲となり、ミスチング等の発生を抑制できるので好ましい。なお、上記「炭酸カルシウムの固形分として」との表現は、混練工程で用いた炭酸カルシウムのプレスケーキの質量に基づいて含有量を計算するのではなく、当該炭酸カルシウムのプレスケーキに含まれる炭酸カルシウムの固形分(すなわち炭酸カルシウムの純分)の質量に基づいて含有量を計算するとの意図で用いるものである。また、印刷インキ組成物用顔料分散体において、炭酸カルシウム及び後述する有機顔料の固形分の合計に対して、炭酸カルシウムの含有量が10質量%以上66質量%以下であることが好ましい。印刷インキ組成物用顔料分散体において、炭酸カルシウム及び後述する有機顔料の固形分の合計に対して、炭酸カルシウムの含有量が10質量%以上であることにより、印刷インキ組成物用顔料分散体の適用された印刷インキ組成物の粘弾性を適切な範囲とすることができるので好ましく、炭酸カルシウムの含有量が66質量%以下であることにより、後述する有機顔料及び炭酸カルシウムの良好な分散性が得られるので好ましい。そこで、混練工程では、印刷インキ組成物用顔料分散体における炭酸カルシウムの含有量が上記のような条件を満たすように、炭酸カルシウムを含むプレスケーキの配合量を決定することが好ましい。
有機顔料のプレスケーキは、有機顔料と水分とを含んで固形状態となったものであり、本発明ではこれを「第二のプレスケーキ」として用いる。本発明で用いられる有機顔料は、印刷インキ組成物に着色力を与えるための成分(すなわち着色顔料)であり、上記のフラッシング操作によってその粒子の周囲が水相から油相に転換されることで、印刷インキ組成物用ワニス中に分散される。このような有機顔料としては、従来から印刷インキ組成物に用いられているものを特に制限無く挙げることができる。
このような有機顔料としては、ジスアゾイエロー(ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー1)、ハンザイエロー等のイエロー顔料、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウオッチングレッド等のマゼンタ顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー等のシアン顔料等を挙げることができる。
印刷インキ組成物用顔料分散体における有機顔料の含有量としては、有機顔料の固形分として、5〜30質量%が好ましく例示され、10〜25質量%がより好ましく例示される。印刷インキ組成物用顔料分散体における有機顔料の含有量が上記の範囲であることにより、印刷インキ組成物用顔料分散体を用いて調製された印刷インキ組成物の濃度を適切な範囲にできる他、炭酸カルシウムや有機顔料の良好な分散性を得ることができるので好ましい。なお、上記「有機顔料の固形分として」との表現は、混練工程で用いた有機顔料のプレスケーキの質量に基づいて含有量を計算するのではなく、当該有機顔料のプレスケーキに含まれる有機顔料の固形分(すなわち有機顔料の純分)の質量に基づいて含有量を計算するとの意図で用いるものである。
印刷インキ組成物用ワニスは、樹脂成分と油成分とを含み、樹脂成分を油成分中に溶解又は分散させることにより調製される。
樹脂成分は、印刷用紙の表面で顔料成分を固定するバインダーとして機能する成分であり、また、顔料成分を印刷インキ組成物中に分散させるために用いられる成分でもある。このような樹脂としては、印刷インキ組成物の分野で通常使用されるものを特に制限なく挙げることができ、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、石油樹脂変性フェノール樹脂、アクリル変性フェノール樹脂、アルキド樹脂、植物油変性アルキド樹脂、石油樹脂等が例示される。これらの樹脂の重量平均分子量としては、1000〜30万程度を好ましく例示することができる。
油成分は、上記樹脂成分を溶解させて印刷インキ組成物用ワニスとしたり、印刷インキ組成物の粘度を調節したりするために使用される。油成分としては、植物油及び/又は鉱物油を挙げることができ、これまで印刷インキ組成物の調製に用いられてきたものを使用できる。
本発明において、植物油は、植物油のみならず、植物油由来の脂肪酸エステル化合物であってもよい。植物油としては、大豆油、綿実油、アマニ油、サフラワー油、桐油、トール油、脱水ヒマシ油、カノーラ油等の乾性油や半乾性油等が例示される。また、植物油由来の脂肪酸エステル化合物としては、上記植物油に由来する脂肪酸のモノアルキルエステル化合物等が例示される。この脂肪酸モノアルキルエステル化合物を構成する脂肪酸としては、炭素数16〜20の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましく例示され、このような飽和又は不飽和脂肪酸としては、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸等が好ましく例示される。脂肪酸モノアルキルエステル化合物を構成するアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく例示され、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が好ましく例示される。
これらの植物油は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。植物油としては、大豆油、大豆油脂肪酸エステル等が好ましく挙げられる。印刷インキ組成物における植物油の含有量としては、印刷インキ組成物全体に対して20〜60質量%程度を例示することができる。印刷インキ組成物用顔料分散体を用いて調製した印刷インキ組成物中の植物油の含有量が上記のような範囲となるように、印刷インキ組成物用ワニスに含まれる植物油の量を調節するのが好ましい。
本発明において、鉱物油には、溶剤成分と呼ばれる軽質の鉱物油や、潤滑油状である重質の鉱物油等が含まれる。
軽質の鉱物油としては、沸点160℃以上、好ましくは沸点200℃以上の非芳香族系石油溶剤が例示される。このような非芳香族系石油溶剤としては、JX日鉱日石エネルギー株式会社製の0号ソルベント、同AFソルベント5号、同AFソルベント6号、同AFソルベント7号等が例示される。
重質の鉱物油としては、スピンドル油、マシン油、ダイナモ油、シリンダー油等として分類されてきた各種の潤滑油を挙げることができる。これらの中でも、米国におけるOSHA基準やEU基準に適応させるとの観点からは、縮合多環芳香族成分の含有量が抑制されたものであることが好ましい。このような鉱物油としては、JX日鉱日石エネルギー株式会社製のインクオイルH8、同インクオイルH35、三共油化工業株式会社製のSNH8、同SNH46、同SNH220、同SNH540等が例示される。
これらの鉱物油は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。印刷インキ組成物における鉱物油の含有量としては、印刷インキ組成物全体に対して0〜50質量%程度を例示することができる。
上記の樹脂成分と油成分とを混合し、これらを加熱しながら撹拌することで、樹脂成分が溶解又は分散され印刷インキ組成物用ワニスが調製される。樹脂成分と油成分とを混合する際の割合としては、樹脂成分:油成分(質量比)が15:85から50:50程度の範囲を挙げることができる。
樹脂成分と油成分との混合物は、反応容器に仕込まれ、この反応容器中で撹拌されながら加熱される。この加熱によって樹脂成分が油成分中に溶解又は分散される。このときの加熱温度としては、120〜250℃の範囲を挙げることができる。好ましい加熱温度は、120〜230℃の範囲である。また、樹脂の溶解時間(すなわち、加熱を継続させる時間)は、20〜60分間程度を挙げることができる。
また、印刷インキ組成物用ワニスは、印刷インキ組成物用顔料分散体を用いて調製された印刷インキ組成物における粘弾性を調節するために、必要に応じて、上記のようにして樹脂成分が溶解又は分散状態とされた後でこれらに金属キレート化合物を添加し、さらに加熱及び撹拌を継続することでゲル化ワニスとされてもよい。
このような目的で用いられる金属キレート化合物としては、アルミニウムエチルアセテートジイソプロピレート、アルミニウムイソプロピレート、ステアリン酸アルミニウム、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロピレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロポキシド等、及びそれらの混合物等が挙げられ、より好ましくはエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(ALCH)が挙げられる。金属キレート化合物の添加量としては、上記の反応容器に仕込んだ樹脂成分と油成分との合計を100質量部としたとき、0.5〜3.0質量部程度が例示される。
金属キレート化合物を上記反応容器に投入した後、撹拌しながらこれらを加熱する。加熱温度としては120〜200℃程度を挙げることができ、この温度にて15〜60分程度反応させる。これにより、印刷インキ組成物用ワニス中に存在している樹脂成分が架橋され、ゲル化ワニスとなる。
印刷インキ組成物用顔料分散体における樹脂成分の含有量としては、10〜50質量%が好ましく例示され、14〜40質量%がより好ましく例示されるので、樹脂成分がこのような含有量となるように印刷インキ組成物用ワニスの添加量を決定することが好ましい。印刷インキ組成物用顔料分散体における樹脂成分の含有量が上記の範囲であることにより、印刷インキ組成物用顔料分散体における顔料成分の分散性が良好になるとともに、印刷インキ組成物用顔料分散体のハンドリングが良好となる。なお、混練工程では、混練される混合物の粘度が低すぎる(すなわち、混合物が柔らかすぎる)と混合物に十分なせん断力が加わらずに、分散不良の原因になる。そのため、混練工程では、上記の基準で決定された量の印刷インキ組成物用ワニスの全量を一度に添加するのではなく、混合物が固練り状態となるように、上記の基準で決定された量の印刷インキ組成物用ワニスを二回以上に分割して添加することが好ましい。
上記で説明した第一のプレスケーキ(炭酸カルシウム+水)、第二のプレスケーキ(有機顔料+水)、及び印刷インキ組成物用ワニスを混合し、混練を行う。ここで用いる混練装置としては、フラッシャー(ニーダー)を例示することができる。なお、この工程で用いる混練装置には、後述の水除去工程における便宜のために、装置を傾斜させることにより、混練物から遊離されて装置内に溜まった水を排水する機構や、装置内を減圧しながら加熱することにより内容物に含まれる水分を除去することのできる機構を備えることが好ましい。
この一工程を経ることにより、第一のプレスケーキに含まれていた炭酸カルシウム及び第二のプレスケーキに含まれていた有機顔料の両方が印刷インキ組成物用ワニス中に分散される。通常、(プレスケーキでない)粉末の炭酸カルシウムを印刷インキ組成物用ワニス中に分散させるには、まず炭酸カルシウムと印刷インキ組成物用ワニスとの混合物を調製し、次いで三本ロールミル等の分散機によりこの混合物に強力なせん断力を与えて炭酸カルシウムの粒子を粉砕させる必要があり、多くのエネルギーと時間とを必要とする。また、プレスケーキを用いて顔料分散体を調製する場合であっても、炭酸カルシウムを単独で印刷インキ組成物用ワニス中に分散させようとすると、炭酸カルシウム粒子の周囲に存在する水分が印刷インキ組成物用ワニス(すなわち分散媒である。)に含まれる油成分で十分に置換されずに、顔料の分散不良を生じやすい傾向もある。しかしながら、炭酸カルシウムのプレスケーキ(第一のプレスケーキ)と有機顔料のプレスケーキ(第二のプレスケーキ)とを同時に印刷インキ組成物用ワニスに分散させる本発明の製造方法によれば、有機顔料のみならず炭酸カルシウム粒子の周囲に存在する水分が印刷インキ組成物用ワニス中に含まれる油成分で十分に置換され、有機顔料及び炭酸カルシウム粒子の両方が良好に分散する。このため、本発明の製造方法によれば、良好な分散性を備えた顔料分散体を高い生産性で得ることができる。
[水除去工程]
上記混練工程を経た混合物は、水除去工程に付される。水除去工程は、上記混練工程の進行に伴って、混練を受けている混合物から遊離してきた水分を除去する工程である。すなわち、上記混練工程の進行とともに、第一のプレスケーキに含まれる炭酸カルシウム及び第二のプレスケーキに含まれる有機顔料の周りの水相が油相に転換され、余剰となった水分が混合物の系外に排出されて混練装置内に溜まったり、混合物中に水滴の状態や乳化した状態で残留したりするので、この水分を除去する。
混練装置内に溜まった水分は、例えば、混練装置を傾斜させて排水を行うことで取り除かれる。また、混合物中に水滴の状態や乳化した状態で残留する水分は、上記混練工程を経た混合物を減圧可能な容器に収容し、減圧下にて、加熱を行いながら容器内の混合物をニーダー等により混合することで取り除かれる。これらの操作により、上記混練工程を経た混合物は、それに含まれる水分が除去され、印刷インキ組成物用顔料分散体となる。なお、上記混練工程を経た混合物は、水除去工程において、含水率が2質量%以下となるまで水を除去されることが好ましい。ここで、混合物中の含水率は、カールフィッシャー水分計等によって測定することができる。
水除去工程を経た印刷インキ組成物用顔料分散体は、必要に応じて、さらに三本ロールミル等の分散装置により練肉されてもよい。
本発明の製造方法により得られた印刷インキ組成物用顔料分散体では、粉末である炭酸カルシウムを三本ロールミルで分散させて得られたものよりも、炭酸カルシウムの分散性が良好になる。よって、この印刷インキ組成物用顔料分散体を用いて調製された印刷インキ組成物で印刷を行うと、粉末である炭酸カルシウムを三本ロールミルで分散させて得られた印刷インキ組成物用顔料分散体を用いて調製された印刷インキ組成物で印刷を行ったときよりも、印刷物の光沢が良好なものとなる。
<印刷インキ組成物用顔料分散体>
上記の製造方法により得られた印刷インキ組成物用顔料分散体も本発明の一つである。既に述べたように、本発明の印刷インキ組成物用顔料分散体によれば、従来製法で得られた分散体と異なって高度に分散された炭酸カルシウムを体質顔料として含むため、印刷物の光沢向上を初めとして印刷インキ組成物の諸特性を向上させることができる。
ここで、本発明の印刷インキ組成物用顔料分散体を用いたときの印刷インキ組成物の調製方法と、従来の方法で製造された印刷インキ組成物用顔料分散体を用いたときの印刷インキ組成物の調製方法とを、図1及び2を参照しながら対比説明する。図1は、本発明の印刷インキ組成物用顔料分散体を用いたときの印刷インキ組成物の製造手順を示すフロー図であり、図2は、従来の方法で製造された印刷インキ組成物用顔料分散体を用いたときの印刷インキ組成物の製造手順を示すフロー図である。
既に述べたように、本発明の印刷インキ組成物用顔料分散体は、第一のプレスケーキに含まれ体質顔料である炭酸カルシウムと、第二のプレスケーキに含まれ着色顔料である有機顔料とを一度に分散媒(印刷インキ組成物用ワニス)に分散させてなり、着色顔料と体質顔料との両方を含んだ複合型の顔料分散体である。したがって、図1に示すように、この顔料分散体を用いて印刷インキ組成物を調製するに際しては、フラッシング(混練工程)により得た顔料分散体を必要に応じて三本ロールミルにより練肉した後で、この顔料分散体に印刷インキ組成物用ワニス、油成分、各種添加剤等を加えて混合及び調整を行う工程を経ることになる。従来、プレスケーキからのフラッシング製法が困難だった炭酸カルシウムにてプレスケーキからのフラッシングが可能になったのは、既に述べた通り、特に有機顔料と炭酸カルシウムとを同時にフラッシング処理を行うとこれが可能になるとの知見に基づくものである。
これに対して、従来の方法で製造された印刷インキ組成物用顔料分散体では、体質顔料である炭酸カルシウムを含んだ体質顔料分散体と、着色顔料(有機顔料)を含んだ着色顔料分散体とが別体になっている。これらの顔料分散体は、それぞれ別々に、着色又は体質顔料と分散媒とを混合し、次いでフラッシング、又は三本ロールミルを用いた練肉といった手法により調製されたものである。そして、図2に示すように、これらの顔料分散体を用いて印刷インキ組成物を調製するに際しては、必要に応じて顔料分散体を三本ロールミルにより練肉した後で、これらの顔料分散体を混合し、さらに印刷インキ組成物用ワニス、油成分、各種添加剤等を加えて混合及び調整を行う工程を経ることになる。既に述べた通り、炭酸カルシウムを体質顔料として用いる場合には、フラッシング製法により体質顔料の顔料分散体を調製することが極めて困難であるため、図2に示すように、従来法では炭酸カルシウムの粉末を用いて顔料分散体を調製しており、生産性を向上させるのが難しかったのである。
このように、本発明の印刷インキ組成物用顔料分散体を用いれば、従来の方法で印刷インキ組成物を製造する場合に比べていくつかの工程を省略することが可能であり、高い生産性で印刷インキ組成物を製造することが可能になる。
<印刷インキ組成物>
上記の印刷インキ組成物用顔料分散体を含んでなる印刷インキ組成物も本発明の一つである。既に述べたように、本発明の印刷インキ組成物は、高い生産性で調製されるとともに、性能面においても従来製法のものに比べて印刷物の光沢が向上する等、優れた特性を備える。本発明の印刷インキ組成物は、上記印刷インキ組成物用顔料分散体に、既に述べた印刷インキ組成物用ワニス及び油成分を添加し、さらに必要に応じて他の印刷インキ組成物用顔料分散体や添加剤(酸化防止剤、アルコール類、ワックス類等)等を加え、所望の粘度に調整することで得られる。印刷インキ組成物における粘度としては、ラレー粘度計による25℃での値が2.0〜20Pa・sであることを例示できるが、特に限定されない。
印刷インキ組成物における上記印刷インキ組成物用顔料分散体の含有量は、印刷インキ組成物において必要とされる有機顔料濃度を考慮して適宜決定すればよい。印刷インキ組成物における有機顔料濃度としては、印刷インキ組成物全体に対して8〜30%程度が例示されるが特に限定されない。なお、イエロー顔料を使用してイエロー印刷インキ組成物を、マゼンタ顔料を使用してマゼンタ印刷インキ組成物を、シアン顔料を使用してシアン印刷インキ組成物をそれぞれ調製する場合には、補色として、他の色の印刷インキ組成物用顔料分散体を併用したり、他の色の印刷インキ組成物を添加したりすることも可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の記載では、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は質量部を意味する。
[印刷インキ組成物用ワニスAの調製]
コンデンサー、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、重量平均分子量10万のロジン変性フェノール樹脂(荒川化学工業株式会社製、KG−2212)を35部、大豆油を20部及びAFソルベント6号(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)を44.5部仕込んだ後200℃に昇温し、同温度を1時間維持することにより樹脂を溶解させて、印刷インキ組成物用ワニスAを得た。
[印刷インキ組成物用ワニスBの調製]
コンデンサー、温度計及び撹拌機を装着した4つ口フラスコに、上記ロジン変性フェノール樹脂を35部、大豆油を20部及びAFソルベント6号を44.5部仕込んだ後200℃に昇温し、同温度を1時間維持することにより樹脂を溶解させた後、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート(川研ファインケミカル株式会社製、ALCH)を0.5部仕込み、その後170℃で60分間加熱保持して、印刷インキ組成物用ワニスBを得た。
[顔料分散体Aの調製]
卓上フラッシャー(井上機械株式会社製)内に、25℃にて、印刷インキ組成物用ワニスAを30質量部、市販の炭酸カルシウム顔料のプレスケーキ(脂肪酸類により表面処理、固形分量約60質量%)を固形分として8質量部、及びカーミン6B顔料のプレスケーキ(住化カラー株式会社製、固形分量約30質量%)を固形分として20質量部投入し、50℃にて60分間フラッシングを行った。その後、卓上フラッシャーの容器を傾斜させることで遊離してきた水を除去するとともに、減圧加熱することで混練物中の水分量を2質量%以下とした。こうして得た混練物に印刷インキ組成物用ワニスAを17質量部及び印刷インキ組成物用ワニスBを25質量部加え、卓上フラッシャーのニーダーを用いて混合することで印刷インキ組成物用顔料分散体Aを得た。グラインドメーターを用いて印刷インキ組成物用顔料分散体Aに含まれる顔料の粒子径測定を行った結果、顔料の粒子径は7.5μm以下だった。
[顔料分散体Bの調製]
卓上フラッシャー内に、25℃にて、印刷インキ組成物用ワニスAを30質量部、上記炭酸カルシウム顔料のプレスケーキを固形分として14質量部、及び上記カーミン6B顔料のプレスケーキ(固形分量約30質量%)を固形分として17.5質量部投入し、50℃にて60分間フラッシングを行った。その後、卓上フラッシャーの容器を傾斜させることで遊離してきた水を除去するとともに、減圧加熱することで混練物中の水分量を2質量%以下とした。こうして得た混練物に印刷インキ組成物用ワニスAを16質量部及び印刷インキ組成物用ワニスBを22.5質量部加え、卓上フラッシャーのニーダーを用いて混合することで印刷インキ組成物用顔料分散体Bを得た。グラインドメーターを用いて印刷インキ組成物用顔料分散体Bに含まれる顔料の粒子径測定を行った結果、顔料の粒子径は7.5μm以下だった。
[顔料分散体Cの調製]
卓上フラッシャー内に、25℃にて、印刷インキ組成物用ワニスAを30質量部、上記炭酸カルシウム顔料のプレスケーキを固形分として18質量部、及び上記カーミン6B顔料のプレスケーキ(固形分量約30質量%)を固形分として15質量部投入し、50℃にて60分間フラッシングを行った。その後、卓上フラッシャーの容器を傾斜させることで遊離してきた水を除去するとともに、減圧加熱することで混練物中の水分量を2質量%以下とした。こうして得た混練物に印刷インキ組成物用ワニスAを15質量部及び印刷インキ組成物用ワニスBを22質量部加え、卓上フラッシャーのニーダーを用いて混合することで印刷インキ組成物用顔料分散体Cを得た。グラインドメーターを用いて印刷インキ組成物用顔料分散体Cに含まれる顔料の粒子径測定を行った結果、顔料の粒子径は7.5μm以下だった。
[着色ベースの調製]
卓上フラッシャー内に、25℃にて、印刷インキ組成物用ワニスAを30質量部、及び上記カーミン6B顔料のプレスケーキ(固形分量約30質量%)を固形分として20質量部投入し、50℃にて60分間フラッシングを行った。その後、卓上フラッシャーの容器を傾斜させることで遊離してきた水を除去するとともに、減圧加熱することで混練物中の水分量を2質量%以下とした。こうして得た混練物に印刷インキ組成物用ワニスAを20質量部及び印刷インキ組成物用ワニスBを30質量部加え、卓上フラッシャーのニーダーを用いて混合することで着色ベースを得た。グラインドメーターを用いて着色ベースに含まれる顔料の粒子径測定を行った結果、顔料の粒子径は7.5μm以下だった。この着色ベースは、下記比較例1〜3にて着色顔料の顔料分散体として用いた。
[顔料分散体Dの調製]
印刷インキ組成物用ワニスAを44質量部及び印刷インキ組成物用ワニスBを16質量部と、炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製、白艶華CC;脂肪酸類により表面処理された炭酸カルシウム粉末)を40質量部とをよく混ぜ合わせ、三本ロールミルを用いて練肉し、顔料分散体Dを調製した。グラインドメーターを用いて顔料分散体Dに含まれる炭酸カルシウムの粒子径測定を行った結果、炭酸カルシウムの粒子径は7.5μm以下だった。この顔料分散体Dは、下記比較例1〜3にて炭酸カルシウムの顔料分散体として用いた。
[実施例1〜3、及び比較例1〜3の印刷インキ組成物の調製]
表1に記載の組成(単位は質量部である。)にて顔料分散体A〜D(分散体A〜D)、着色ベース、ポリエチレンワックス(ワックス)、印刷インキ組成物用ワニスA(ワニスA)及び大豆油を混合し、実施例1〜3、及び比較例1〜3の印刷インキ組成物をそれぞれ調製した。また、これらの印刷インキ組成物の1tを原材料から調製するのに要した時間を算出し、表1の「生産性」欄に記載した。なお、「生産性」欄に記載された時間は、顔料分散体から印刷インキ組成物を調製するのに要した時間のみならず、顔料分散体を調製するのに要した時間をも含むものである。
[光沢の評価]
実施例1〜3、及び比較例1〜3の印刷インキ組成物のそれぞれについて、RI−2型展色機2分割ロール(明製作所製)により、印刷インキ組成物量0.1mL/204cmをアート紙(三菱特アート110K)に展色して乾燥させたものを試験片とし、展色物の光沢値の測定を行った。測定に際しては、村上式デジタル光沢計(村上色彩研究所製)を用いて、60°反射における光沢値を求めた。その結果を表1にそれぞれ示す。
Figure 0006076817
表1に示すように、本発明の印刷インキ組成物用顔料分散体を経由して調製された印刷インキ組成物によれば、高い生産性と、印刷物における良好な光沢性とを実現することが可能であることがわかる。このことから、本発明の有用性を理解することができる。

Claims (2)

  1. 脂肪酸類及び/又は樹脂酸類により表面処理された炭酸カルシウム及び水を含有する第一のプレスケーキ、有機顔料及び水を含有する第二のプレスケーキ、並びに印刷インキ組成物用ワニス、を含む混合物を混練し、前記炭酸カルシウム及び有機顔料を前記印刷インキ組成物用ワニス中に分散させる混練工程と、
    前記混練工程にて遊離した、前記第一のプレスケーキ及び前記第二のプレスケーキが含有していた水を除去する水除去工程と、を含む印刷インキ組成物用顔料分散体の製造方法。
  2. 前記炭酸カルシウム、及び前記有機顔料の固形分の合計に対して、前記炭酸カルシウムの量を10質量%以上66質量%以下にすることを特徴とする請求項1記載の印刷インキ組成物用顔料分散体の製造方法。
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