JP6075682B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トナー収容手段から排出されたトナーを作像手段に向けて搬送する搬送手段を備える画像形成装置に関するものである。
従来、電子写真方式の画像形成装置、静電記録装置等において、電気的又は磁気的潜像は、トナーによって顕像化されている。例えば、電子写真法では、感光体上に静電荷像(潜像)を形成した後、トナーを用いて潜像を現像して、トナー画像を形成している。トナー画像は、通常、紙等の記録媒体上に転写された後、加熱等の方法で定着される。
加熱定着方式の画像形成装置においては、トナーを熱溶融させて紙等の記録媒体上に定着させる過程で多くの電力が必要となるため、省エネルギー化を図る観点から、トナーについては低温定着性が重要な特性の一つとなっている。トナーの低温定着性を向上させるためには、トナーの大半を占める結着樹脂の熱特性を制御することが必要である。例えば、特許文献1(特開2010−077419号公報)では、結晶性樹脂を結着樹脂の主成分とするトナーにおいて、結晶性樹脂の組成、熱特性を規定することで、低温定着性と耐熱保存性を両立可能であることが提案されている。また、特許文献2(特開2009−014926号)では、結着樹脂として分子量の異なる2種の結晶性樹脂(特に結晶性ポリエステル樹脂が好ましいとの記載)を含有するトナーを特定の定着条件で用いることで、低温定着性を向上させると共に、定着画像のひび割れを抑制可能であることが提案されている。また、特許文献3(特開2010−151996号)では、結着樹脂として160℃における貯蔵弾性率が異なる2種の結晶性ポリエステル樹脂を含有することで、低温定着性と加圧保存性を両立可能であることが提案されている。
また、近年、複写機やプリンタ等の電子写真技術用いた画像形成装置の小型化やパーソナル化の要求に伴って、これらに用いられる現像装置の小型化が図られている。また、こうした要求に伴って、トナーが無くなった時点で、現像装置ごと交換する使い捨てタイプの現像装置を知られている。そして、このような現像装置の他に、原稿画像の静電潜像が形成される潜像担持体(感光体)、及び感光体上に残留したトナーを除去するクリーニング部等が一体化された、いわゆるプロセスカートリッジも一般に広く用いられるようになってきている。
しかしながら、このような小型化された現像装置においては、そのトナーと磁性キャリアとからなる現像剤の収容量が少なく、現像剤撹拌部の省スペース化も余儀なくされている。さらに、近年の高画質化への要求からトナーの小粒径化が進んでおり、補給されたトナーの現像剤への均一分散、及び帯電が、ますます難しくなってきている。補給されたトナーの帯電が難しくなる理由は次ぎの通りである。補給されたトナーが現像剤にうまく分散されないと、補給トナーが現像装置内に収容されている現像剤の表面で上滑りしてしまう。そして、この現像剤の表面で上滑りした補給トナーは、現像剤撹拌部内で十分に攪拌することができず、帯電されずに未帯電のまま現像剤の表面を移動してしまうのである。
このような状態のトナーが現像ローラに搬送されて現像領域へ搬送されると、地肌汚れ、濃度ムラ、トナー飛散といった画像欠陥が生じる。このような現象は、特に画像面積率の高い原稿を連続して印刷した際のように、トナー補給量が多くなった時に顕著となる。
上述したような補給トナーの攪拌不足に起因する問題を解消するために、現像器へのトナー補給手段として、様々な提案がなされている。例えば、特許文献4(特開2005−266511号公報)では、二成分現像剤搬送経路の上からトナーを落として補給する方式ではなく、現像剤搬送経路とは別のトナーのみが搬送されるトナー搬送経路上(トナー収容部)にトナーを補給方法を用い、特許文献5(特開2011−164530)では、スクリュをトナー収容部と現像収容部とに分割する方法を用いている。
また、別のトナー補給手段を備えた画像形成装置として、例えば特許文献6に記載のものが知られている。この画像形成装置は、画像を形成するためのトナーとして、結着樹脂に結晶性ポリエステルを含有するものを用いる。また、トナーを補給のために搬送する搬送手段として搬送ポンプを用いている。結着樹脂に結晶性ポリエステルを含有するトナーは、定着装置での加熱温度を比較的低くした低温定着が可能であるという利点がある反面、凝集を引き起こし易いという欠点がある。
特に、特許文献6に記載の画像形成装置のように、モーノポンプからなる搬送ポンプを用いてトナーを搬送する構成のものでは、結晶性ポリエステルを含有するトナーの凝集を引き起こし易い。モーノポンプは、偏心スクリュウ形状のロータと、ロータを収容するステータとを具備するポンプ部を備えている。ポンプ部の吸引口には、トナーを吸引搬送するための吸引管が接続されている。また、ポンプ部の吐出口には、トナーを吐出搬送するための吐出管が接続されている。モーノポンプは、ロータをステータの内壁に密着させながら回転させることで、ポンプ部の吸引側に吸引力を発生させる。この吸引力により、吸引管内のトナーをポンプ部内に吸引しながら、ポンプ部内のトナーを吐出管に吐出することで、トナーを吐出管の先の作像手段に向けて搬送する。かかる構成においては、トナーをロータとステータとの密着部に挟むことで、トナーの凝集を促してしまうのである。
凝集塊を含むトナーが作像手段に搬送されると、異常画像を引き起こすことがある。そこで、特許文献6に記載の画像形成装置においては、トナーとして、トナー粉体に対して粒径1mm以下の多孔質粒子を10〜15[体積%]の割合で混合したものを用いる。特許文献6によれば、かかるトナーを用いることで、モーノポンプでトナーを搬送することによるトナーの凝集の発生を抑えることができたとしている。
しかしながら、トナーを収容するトナー収容器と、このトナー収容器から受け取ったトナーを現像装置へ搬送するための搬送スクリュウを有するトナー補給装置においては、次のような新規な課題があることが判明した。即ち、結晶性樹脂を結着樹脂の主成分として含有するトナーをトナー収容器に収容した場合に、低温定着性には優れる反面、トナー搬送時にトナーの表面の外添剤が埋まる。これにより、トナーを凝集または固着させてしまい、安定したトナーの補給を妨げてしまうことがわかった。結晶性樹脂を結着樹脂の主成分とするトナーは、凝集し易くて表面が柔らかいことから、外添剤がトナー粒子に埋まり易いためであると考えられる。
また、モーノポンプによってトナーを搬送する画像形成装置では、作像手段がトナー中に含まれるトナー粉体と多孔質粒子とのうち、トナー粉体だけを使用することにより、作像手段の中でトナーの多孔質粒子濃度が徐々に上昇していく。このため、トナーから多孔質粒子を分離してトナーの多孔質粒子濃度を通常の値に下げるための粒子分離手段が必要になって、コスト高を招いてしまう。
なお、本発明者らの実験によれば、モーノポンプからなる搬送ポンプ内では、トナーは、ロータとステータとの密着部に挟まらなくても、摺擦に伴って発熱したロータやステータに接触して昇温することで凝集してしまうことがあった。また、ロータとステータとの密着部に挟まったトナーがロータやステータの表面に固着すると、ロータ表面やステータ表面の摩耗を促して、搬送ポンプの吸引能力を早期に低下させてしまうことがわかった。
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、結晶性樹脂を結着樹脂の主成分とするトナーに多孔質粒子を混ぜることなく、搬送手段によってトナーを搬送することによるトナーの固着や凝集の発生を抑えることができる画像形成装置を提供することである。
本発明者らは、上記目的に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、結晶性樹脂にウレタン結合及び/又はウレア結合を導入することでそれらの結合に由来する凝集力を増大させて結晶性樹脂の硬度を向上させることが可能であることを見出した。
そこで、上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナーを用いてトナー像を作像する作像手段と、前記作像手段に供給するためのトナーを収容するトナー収容手段と、前記トナー収容手段から排出されたトナーを前記作像手段に向けて搬送する搬送手段とを備える画像形成装置であって、前記トナーが、ウレタン結合及びウレア結合のうち少なくとも何れか一方を主鎖に具備する結晶性樹脂を含有するものであり、前記トナーのX線回折スペクトルにおける結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をC、前記X線回折スペクトルにおける結着樹脂の非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAでそれぞれ表した場合に、「C/(C+A)」の解が0.15以上であり、且つ、前記トナーの全成分のうち、テトラヒドロフランに溶解可能な成分中における炭素元素、水素元素及び窒素元素の重量の和に対する窒素元素の重量の割合が0.3〜2.0[wt%]であることを特徴とするものである。
本発明においては、このようなトナーを用いて作像を行うことで、本発明者らが後述する実験で明らかにしたように、結晶性樹脂を結着樹脂の主成分とするトナーを搬送することによるトナーの固着や凝集の発生を抑えることができる。
実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。 同プリンタのY用の作像装置を中間転写ベルトとともに示す拡大構成図。 同プリンタのY用のトナー補給装置をY用の現像装置やY用のトナーカートリッジとともに示す構成図。 本発明者らが行った実験に使用された定着装置を示す概略構成図。 13C−NMRスペクトルを示す図。 トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルの一例を示すグラフ。 同一例のフィッティング関数の特性を示すグラフ。 実施例に係るプリンタにおけるY用の現像装置の第1現像剤収容部及び第2現像剤収容部を示す平断面図。 同現像装置の現像剤投入室に対してトナーを投入するY用のトナー補給装置Yを、トナーカートリッジ及び同現像装置とともに示す側面図。 Y用のトナー補給装置を示す横断面図。
以下、本発明を適用した画像形成装置として、電子写真方式で画像を形成するプリンタの一実施形態について説明する。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。同図において、プリンタは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナー像を作像するための作像装置6Y,6M,7C,6Kを備えている。なお、以下、図中の符号の末尾に付されるY,M,C,Kという添字は、Y,M,C,K用の部材又は装置であることを意味している。
また、実施形態に係るプリンタは、中間転写ユニット15、定着装置20、内部に収容している記録シートを本体筐体100内の給紙路に給紙するための給紙カセット26、容器装着部31なども備えている。
本体筺体100の上部には、容器装着部31が配設されている。この容器装着部31に対しては、Y,M,C,Kトナーを収容しているY,M,C,K用のトナーカートリッジ32Y,32M,32C,32Kが装着されている。容器装着部31に対しては、Y,M,C,K用のトナーカートリッジ32Y,32M,32C,32Kを容易に着脱できるようになっている。
容器装着部31の下方には中間転写ユニット15が配設されている。中間転写ユニット15は、無端状の中間転写ベルト8をベルトループ内側に配設されている複数のローラによって張架している。その張架姿勢は、鉛直方向よりも水平方向にスペースをとる横長の姿勢になっている。中間転写ベルト8の周方向における全域のうち、ベルトおもて面を鉛直方向可能に向けている領域は、ほぼ水平方向に延在している。その領域の下方では、Y,M,C,K用の作像装置6Y,6M,6C,6Kが水平方向に沿って並んでいる。
図2は、Y用の作像装置6Yを中間転写ベルト8とともに示す拡大構成図である。同図において、Y用の作像装置6Yは、潜像担持体としてのドラム状の感光体1Yを有している。また、感光体1Yの周囲に配設された帯電装置4Y、現像装置5Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置(不図示)なども有している。この作像装置6Yにおいては、帯電工程、光書込工程、現像工程、1次転写工程、クリーニング工程などからなる作像プロセスが実施されて、感光体1の表面上にYトナー像が形成される。
図1において、感光体1Yは、図示しない駆動モータによって図中時計方向に回転駆動される。回転する感光体1Y表面は、帯電装置4Yとの対向位置で帯電工程が施されて一様に帯電せしめられた後、光書込位置まで移動する。光書込位置では、周知の技術によってレーザー書込光を走査する光書込装置7により、レーザー書込光が照射されて露光箇所の電位を減衰させる。これにより、感光体1Y表面には、Y用の静電潜像が書き込まれる(光書込工程)。
光書込装置7は、光源から発したレーザー光からなるレーザー書込光の進行方向を、回転駆動する回転多面鏡であるポリゴンミラーによって副走査方向に偏向することで、感光体1Yの表面を主走査方向に光走査するものである。なお、このようなレーザー書込系からなる光書込装置7に代えて、LEDアレイからなる光書込手段を用いてもよい。
Y用の静電潜像が書き込まれた感光体1Y表面は、Y用の現像装置5Yとの対向位置まで移動する。Y用の現像装置5Yと感光体1Yとが対向している現像領域では、周知の現像技術により、感光体1Y上の静電潜像が現像されてYトナー像になる。
図2において、Y用の現像装置5Yは、感光体1Yに対向する現像ローラ51Yや、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Y、第1現像剤収容部53Y、第2現像剤収容部54Y、トナー濃度センサー56Yなどを有している。第1現像剤収容部53Y、第2現像剤収容部54Y内にはそれぞれ、Y現像剤Gを回転軸線方向に搬送するための搬送スクリュウ55Yが配設されている。
現像ローラ51Yは、内部に固設されたマグネットロールや、マグネットローラを内包する中空の現像スリーブ等から構成されている。そして、第1現像剤収容部53Y内のY現像剤をマグネットロールの発する磁力によって現像スリーブ表面に担持する。Y現像剤は、Yトナーと磁性キャリアとを含むものである。
第2現像剤収容部54Yは、その上方に形成された開口を介して、トナー搬送パイプ43Yに連通している。このトナー搬送パイプ43Yには、後述するY用の搬送ポンプが接続されている。この搬送ポンプの駆動により、第2現像剤収容部54Y内にYトナーが補給される。搬送ポンプの駆動の制御は、トナー濃度検知センサー56Yによるトナー濃度の検知結果に基づいてなされる。詳しくは、トナー補給制御部90が、トナー濃度検知センサー56Yから送られてくる濃度信号を所定の範囲内に維持するように、搬送ポンプの補給モータ65Yの駆動を制御する。これにより、第2現像剤収容部54Y内に必要量のYトナーが適切なタイミングで補給されて、現像装置5Y内のY現像剤のYトナー濃度が所定範囲内に維持される。なお、M,C,K用の現像装置(M,C,K)についても、同様のトナー濃度制御が行われる。
第2現像剤収容部54Y内に補給されたYトナーは、第2現像剤収容部54Y内のY現像剤Gに取り込まれる。Y現像剤Gは、第2現像剤収容部54Y内の搬送スクリュウ55Yの回転駆動に伴って、第2現像剤収容部54Y内で撹拌されながら、スクリュウ軸線方向に沿って図紙面に直交する方向の手前側から奥側に向けて搬送される。そして、第2現像剤収容部54Yの図中奥側の端部まで移動すると、図示しない連通口を通じて第1現像剤収容部53Y内に進入する。
第1現像剤収容部53Y内に進入したY現像剤Gは、第1現像剤収容部53Y内の搬送スクリュウ55Yの回転駆動に伴って、第1現像剤収容部53Y内で撹拌されながら、スクリュウ軸線方向に沿って図紙面に直交する方向の奥側側から手前側に向けて搬送される。そして、第1現像剤収容部53Yの図中手前側の端部まで移動すると、図示しない連通口を通じて第2現像剤収容部54Y内に進入する。
このようにして、Y現像剤Gは、第2現像剤収容部54Yと第1現像剤収容部53Yとの間で循環搬送される。その際、Yトナーが磁性キャリアと摺擦して摩擦帯電することで、磁性キャリア表面に吸着する。第1現像剤収容部53Yにおいては、現像ローラ51Yのマグネットローラの発する磁力により、Y現像剤Gが現像ローラ51Yの現像スリーブ表面に担持される。
現像ローラ51Yの現像スリーブ表面に担持されたY現像剤Gは、現像スリーブの回転に伴ってドクターブレード52Yとの対向位置を通過する。この際、現像スリーブ表面上におけるY現像剤層の層厚が所定の厚みに規制される。規制後のY現像剤Gは、現像スリーブと感光体1Yとが対向する現像領域に進入する。
現像領域では、現像バイアスが印加されている現像スリーブと、感光体1Yの静電潜像との間に、現像電界が形成される。現像スリーブ上のY現像剤Gは、現像電界の作用によってYトナーを磁性キャリアから離脱させて感光体1Y上の静電潜像に転移させる。これにより、感光体1Y上の静電潜像が現像されてYトナー像になる。
現像スリーブの回転に伴って現像領域を通過したY現像剤は、第1現像剤収容部53Yとの対向位置まで移動すると、現像ローラ51Yのマグネットローラに具備される反発磁極による反発磁界の影響により、現像スリーブ表面から離脱する。そして、自重によって第1現像剤収容部53Yの搬送スクリュウ55Y上に戻る。
感光体1Y上のYトナー像は、感光体1Yの回転に伴って、感光体1Yと中間転写ベルト8とが当接しているY用の1次転写ニップに進入する。そして、Y用の1次転写ニップ内において、感光体1Y表面から中間転写ベルト8表面に1次転写される(1次転写工程)。
Y用の1次転写ニップを通過した感光体1Y表面は、ドラムクリーニング装置2Yとの対向位置まで移動すると、クリーニングブレード2aによって転写残トナーが掻き取られてクリーニングされる(クリーニング工程)。その後、図示しない除電装置によって除電された後、帯電装置4Yによって再び一様に帯電せしめられる(帯電工程)。
Y用の作像装置6Yにおける作像プロセスについて説明したが、図1におけるM,C,K用の作像装置6M,6C,6Kにおいても同様の作像プロセスが行われる。これにより、Y,M,C,K用の感光体1Y,1M,1C,1Kの表面に、Y,M,C,Kトナー像が形成される。
図1において、中間転写ユニット15は、無端状の中間転写ベルト8を、ベルトループ内側に配設された4つの1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9K、2次転写バックアップローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14などによって張架している。そして、2次転写バックアップローラ12の回転駆動により、中間転写ベルト8を図中反時計回り方向に無端移動させる。
1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Kは、中間転写ベルト8を感光体1Y,1M,1C,1Kとの間に挟み込んでY,M,C,K用の1次転写ニップを形成している。1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Kには、トナーの帯電極性とは逆極性の1次転写バイアスが印加される。中間転写ベルト8が無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを通過する際に、中間転写ベルト8のおもて面にY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト8のおもて面に4色重ね合わせトナー像が形成される。
中間転写ユニット15の図中右側方には、2次転写ローラ19が配設されている。2次転写ローラ19は、中間転写ベルト19の周方向における全域のうち、2次転写バックアップローラ12に対する掛け回し箇所に当接して2次転写ニップを形成している。2次転写ニップの周囲においては、2次転写バイアスが印加される2次転写バックアップローラ12と、接地されている2次転写ローラ19との間に、トナーを2次転写バックアップローラ12側から2次転写ローラ19側に静電移動させる2次転写電界が形成される。
筺体本体100内の下部には、給紙カセット26が配設されている。給紙カセット26は、内部に収容している記録シートPを給紙ローラ27の回転駆動によって給紙路に給送する。給紙路内に送られた記録シートPは、給紙路内に配設された複数の搬送ローラ対の搬送ニップを経由した後、レジストローラ対28のレジストニップに挟み込まれて一旦停止する。レジストローラ対28は、記録シートPを2次転写ニップで中間転写ベルト8上の4色重ね合わせトナー像に重ね合わせ得るタイミングで回転駆動を開始する。これにより、記録シートPが2次転写ニップに送り込まれる。
2次転写ニップでは、中間転写ベルト8上の4色重ね合わせトナー像がニップ圧や2次転写電界の作用によって記録シートPの表面に一括2次転写される。2次転写ニップを通過した記録シートPは、2次転写ニップの上方に配設された定着装置20に送られる。定着装置20は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラと、これに向けて押圧される加圧ローラとの当接によって定着ニップを形成している。定着装置20内では、定着ニップに挟み込まれた記録シートPが加熱及び加圧されることで、シート表面に4色重ね合わせトナー像が定着せしめられる。
定着装置20を通過した記録シートPは、排紙ローラ対29の排紙ニップを経由した後、本体筺体100の上面に設けられたスタック部30上にスタックされる。
2次転写ニップを通過した直後の中間転写ベルト8表面には、記録シートPに2次転写されなかった転写残トナーが付着している。この転写残トナーは、ベルトクリーニング装置10によってベルト表面から除去される。ベルトクリーニング装置10は、中間転写ベルト8の周方向における全域のうち、クリーニングバックアップローラ13に対する掛け回し箇所に当接するクリーニングブレードやクリーニングブラシローラを具備している。それらブレードやブラシローラにより、ベルト表面上から転写残トナーを機械的に掻き取る。
図3は、Y用のトナー補給装置をY用の現像装置5YやY用のトナーカートリッジ32Yとともに示す構成図である。なお、同図においては、理解を容易にするために、各種の機器の配置姿勢を実際の配置姿勢と異ならせて示している。例えば、同図では、トナーカートリッジ32Yがその軸線方向を現像装置5Yの搬送スクリュウ55Yの軸線方向から90[°]ずらした姿勢になっているが、実際には、搬送スクリュウ55Yの軸線方向に沿わせる姿勢になっている。搬送ポンプ38Yも同様である。
トナーカートリッジ32Yが本体筺体(100)の容器装着部(31)にセットされると、トナーカートリッジ32Yの保持部34Yに容器装着部31のトナー搬送管70Yの一端部(先端部)が挿入される。このとき、トナーカートリッジ32Yの口栓部材34dYが、保持部34Yのトナー排出口を開放する。これにより、トナーカートリッジ32Yの容器本体33Y内に収容されたYトナーが、トナー排出口を介して、トナー搬送管70Y内に排出される。
トナー搬送管70Yにおける後端部には、フレキシブルな搬送チューブ71Yが接続されている。搬送チューブ71Yは、親トナー性の低いフレキシブルなゴム材料で形成されている。先端部がトナー搬送管70Yに接続された搬送チューブ71Yの後端部は、トナーを吸引搬送するための搬送ポンプ38Yのポンプ部60Yにおける吸引口に接続されている。搬送ポンプ38Yは、通称「モーノポンプ」と呼ばれる一軸偏芯スクリューポンプからなり、偏心スクリュウ状のロータ61Y、これを収容するステータ62Y、吸引口部63Y、ユニバーサルジョイント64Y、補給モータ66Y等を有している。
ロータ61Yは、樹脂や金属材料からなる軸が螺旋状にねじられたような形状になっている。ロータ61Yの一端は、ユニバーサルジョイント64Yを介して、補給モータ66Yに回転自在に連結されている。ステータ62Yはゴム材料からなり、その穴部が、長円形の断面が螺旋状にねじられたように形成されている。ステータ62Yの穴部には、ロータ61Yが挿着されている。
このように構成された搬送ポンプ38Yは、補給モータ66Yの駆動によってステータ62Y内のロータ61Yを所定方向に回転駆動されることにより、トナーカートリッジ32Y内のYトナーを、搬送チューブ71Yとトナー搬送管70Yとを介して吸引する。この吸引によって搬送チューブ71Yの後端まで移動したYトナーは、搬送ポンプ38Yの吸引口部63Yを通じてポンプ部60Y内に進入する。そして、ポンプ部60Yのステータ62Yにおける内部空間を移動して、ポンプ部60Yの吐出孔67Yから吐出される。その後、Yトナーは、トナー搬送パイプ43Yを介して現像装置5Yの第2現像剤収容部54Y内に補給される。
次に、Y,M,C,Kトナーの粉末を構成するトナー粒子の主成分である結着樹脂について説明する。
結着樹脂の種類は、結晶性樹脂と非晶質性樹脂(非結晶性樹脂)とに大別される。これらのうち、少なくとも結晶性樹脂を用いることが望ましい。結晶性樹脂は、結晶構造を持った部位を有する樹脂であり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有する。結晶性樹脂は、高化式フローテスターにより測定される軟化温度と、示差走査熱量計(DSC)により測定される融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が0.8〜1.6になり、熱によって急峻に軟化する性状を示す。
結着樹脂には、非結晶性樹脂を使用してもよいが、この場合には、結晶性樹脂と併用する。非結晶性樹脂は、結晶構造を有さない樹脂であり、X線回折装置によって得られる回折スペクトルに結晶構造に由来する回折ピークを有さない。軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)が1.6より大きくなり、熱によって緩やかに軟化する性状を示す
樹脂の軟化温度については、高化式フローテスター(例えば、CFT−500D(島津製作所製))を用いて測定することができる。具体的には、試料として1gの樹脂を昇温速度3℃/分間で加熱しながら、プランジャーにより2.94MPaの荷重を与え、直径0.5mm、長さ1mmのノズルから押出し、温度に対するフローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化温度とする。
また、樹脂の融解熱の最大ピーク温度について、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定することができる。具体的には、融解熱の最大ピーク温度の測定に供する試料を、前処理として130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分間の速度で降温し、次に70℃から10℃まで0.5℃/分間の速度で降温する。次いで、DSCにより、昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、このとき観測される20℃〜100℃にある吸熱ピーク温度を「Ta*」とする。吸熱ピークが複数ある場合は、最も吸熱量が大きいピークの温度をTa*とする。その後、試料を(Ta*−10)℃で6時間保管した後、更に(Ta*−15)℃で6時間保管する。次いで、前述の試料を、DSCにより、降温速度10℃/分間で0℃まで冷却した後、昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、同様のグラフを描き、吸熱量の最大ピークに対応する温度を、融解熱の最大ピーク温度とする。
トナーの結着樹脂としては、結晶性樹脂の中でも、トナーの融点をコントロールし易く、紙への結着性に優れている結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂をトナーの結着樹脂の主成分とすることが好ましい。結着樹脂中における結晶性ポリエステルユニットの含有率を高くするほど、トナーの性状を低温定着性に優れたものにすることができる。
結晶性ポリエステルユニットを有する樹脂としては、結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂(単に、結晶性ポリエステル樹脂ともいう)、結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)などが挙げられる。結晶性ポリエステルユニットのみからなる樹脂は、結晶構造をとる部分を多く含むものの、外力によって容易に変形し易いという欠点がある。その理由の1つは、結晶性ポリエステルのすべての部分を結晶化させることが困難で、結晶化していない部分(非結晶部位)の分子鎖の自由度が高いために容易に変形し易いからである。また、結晶構造をとっている部分であっても、ラメラ構造のラメラ層の間に大きな結合力が働かないためにラメラ層が容易にずれ易いことも、前述の欠点を発生させる理由の1つである。ラメラ構造は、結晶高次構造の分子鎖の折り畳みによって形成された面を重ねた構造である。
トナー用の結着樹脂が外力によって容易に変形してしまうと、画像形成装置内での変形凝集、部材への付着や固着、最終的な出力画像の傷付き、などの問題を発生させる可能性がでてくる。このため、結着樹脂は、外力に対して変形し難い強靭性を有するものでなければならない。かかる強靭性の観点からすると、結着樹脂としては、凝集エネルギーの大きいウレタン結合部位、ウレア結合部位、フェニレン部位などを有する結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂や、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂(いわゆるブロックポリマー、グラフトポリマー)などが好ましい。その中でも特に、ウレタン結合部位やウレア結合部位を分子鎖中に有する樹脂が好適である。かかる樹脂は、非結晶部位やラメラ層間に大きな分子間力による擬似架橋点を形成させることができると考えられる上、紙への定着後においても紙に対して濡れやすく定着強度を高めることができるからである。
結晶性ポリエステルユニットとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニット、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などを例示することができる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステルユニットが、結晶性発現の観点から好ましい。
重縮合ポリエステルユニットを合成するポリオールとしては、例えば、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオールなどを例示することができる。また、ジオールの種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、直鎖型脂肪族ジオール、分岐型脂肪族ジオール等の脂肪族ジオール;炭素数4〜36の炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール;炭素数4〜36の脂環式ジオール;前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する);ビスフェノール類のAO付加物;ポリラクトンジオール;ポリブタジエンジオール;カルボキシル基を有するジオール、スルホン酸基又はスルファミン酸基を有するジオール、及びこれらの塩等のその他の官能基を有するジオールなどを例示することができる。これらの中でも鎖炭素数が2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上述した直鎖型脂肪族ジオールのジオール全体に対する含有量は、80[mol%]以上が好ましく、90[mol%]以上がより好ましい。含有量が[80mol%]以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性の両立性が良く、樹脂硬度が向上する傾向にある点で好ましい。
上述した直鎖型脂肪族ジオールの種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどを例示することができる。これらのうち、入手容易性の観点からすると、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
また、上述した、鎖炭素数が2〜36の分岐型脂肪族ジオールの種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、1,2−プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどを例示することができる。
また、上述した、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコールの種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどを例示することができる。
また、上述した、炭素数4〜36の脂環式ジオールの種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなどを例示することができる。
また、上述した、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、AOと略記する)の種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えばエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、BOと略記する)等の付加物(付加モル数1〜30)などを例示することができる。
また、上述した、ビスフェノール類の種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。
また、上述した、ポリラクトンジオールの種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリ−ε−カプロラクトンジオールなどが挙げられる。
また、上述した、カルボキシル基を有するジオールの種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸(DMPA)、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールヘプタン酸、2,2−ジメチロールオクタン酸等の炭素数6〜24のジアルキロールアルカン酸などが挙げられる。
また、上述したスルホン酸基又は前記スルファミン酸基を有するジオールの種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸PO2モル付加物等のスルファミン酸ジオール、[N,N−ビス(2−ヒドロキシアルキル)スルファミン酸(アルキル基の炭素数1〜6)及びそのAO付加物(AOとしてはEO又はPOなど、AOの付加モル数1〜6);ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなどが挙げられる。これらの中和塩基を有するジオールの中和塩基の種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記炭素数3〜30の3級アミン(トリエチルアミン等)、アルカリ金属(ナトリウム塩等)などが挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、カルボキシル基を有するジオール、ビスフェノール類のAO付加物、及びこれらの併用が好ましい。
また、必要に応じて用いられるものとして既に掲げられた、3価〜8価又はそれ以上のポリオールの種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アルカンポリオール及びその分子内又は分子間脱水物(例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン等)、糖類及びその誘導体(例えば、ショ糖、メチルグルコシド等)等の炭素数3〜36の3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール;トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーとの共重合物等のアクリルポリオールなどが挙げられる。これらの中でも、3価〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物が好ましく、ノボラック樹脂のAO付加物がより好ましい。
重縮合ポリエステルユニットを合成するポリカルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸等が挙げられる。これらのうち、ジカルボン酸の種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、直鎖型脂肪族ジカルボン酸、分岐型脂肪族ジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。
また、上述した脂肪族ジカルボン酸の種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等の炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸;ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸などのアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸等の炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸;ダイマー酸(2量化リノール酸)等の炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
また、上述した芳香族ジカルボン酸の種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸等の炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸などが好適に挙げられる。
また、必要に応じて用いられるものとして既に掲げられた、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。
なお、上述したジカルボン酸や、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
ジカルボン酸の中でも、上述した脂肪族ジカルボン酸(好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)を単独で用いることが特に好ましいが、脂肪族ジカルボン酸と共に前記芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等;これら芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル類等)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20[mol%]以下が好ましい。
結晶性ポリエステルユニットの1種であるラクトン開環重合物の種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の炭素数3〜12のモノラクトン(環中のエステル基数1個)等のラクトン類を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合させて得られるラクトン開環重合物;開始剤としてグリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等)を用い、前記炭素数3〜12のモノラクトン類を開環重合させて得られる、末端にヒドロキシル基を有するラクトン開環重合物などが挙げられる。
また、上述した、炭素数3〜12のモノラクトンの種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結晶性の観点からε−カプロラクトンが好ましい。また、上述したラクトン開環重合物としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ダイセル社製のPLACCELシリーズのH1P、H4、H5、H7等の高結晶性ポリカプロラクトンなどが挙げられる。
結晶性ポリエステルユニットの一種であるポリヒドロキシカルボン酸の調製方法は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、グリコール酸、乳酸(L体、D体、ラセミ体等)等のヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法;グリコリド、ラクチド(L体、D体、ラセミ体等)などのヒドロキシカルボン酸の2分子間又は3分子間脱水縮合物に相当する炭素数4〜12の環状エステル(環中のエステル基数2〜3個)を金属酸化物、有機金属化合物等の触媒を用いて、開環重合する方法が挙げられる。分子量の調整の観点からすると、開環重合する方法が好ましい。また、環状エステルの中でも、結晶性の観点からL−ラクチド及びD−ラクチドが好ましい。また、これらのポリヒドロキシカルボン酸は、末端がヒドロキシル基やカルボキシル基となるように変性したものであってもよい。
結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂を得る方法としては、あらかじめ末端にヒドロキシル基等の活性水素を有する結晶性ポリエステルユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法などが挙げられる。この方法を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。ポリイソシアネートとしては、例えば、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートなどが挙げられる。また、ジイソシアネートの種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、芳香族ジイソシアネート類、脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、芳香脂肪族ジイソシアネート類などが挙げられる。これらの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜20の芳香族ジイソシアネート、2〜18の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネート、8〜15の芳香脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物等)、これらの2種以上の混合物などが好ましい。また、必要により、3価以上のイソシアネートを併用してもよい。
上述した芳香族ジイソシアネート類の種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4′−及び/又は4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製MDI[粗製ジアミノフェニルメタン〔ホルムアルデヒドと芳香族アミン(アニリン)又はその混合物との縮合生成物;ジアミノジフェニルメタンと少量(例えば5〜20質量%)の3官能以上のポリアミンとの混合物〕のホスゲン化物:ポリアリルポリイソシアネート(PAPI)]、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4′,4"−トリフェニルメタントリイソシアネート、m−及びp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
また、上述した脂肪族ジイソシアネート類の種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどが挙げられる。
また、上述した脂環式ジイソシアネート類の種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−及び2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
また、上述した芳香脂肪族ジイソシアネート類の種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、m−及びp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)などが挙げられる。
また、上述したジイソシアネートの変性物の種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基、オキサゾリドン基含有変性物などが挙げられる。具体的には、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、トリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等の変性MDI、イソシアネート含有プレポリマー等のウレタン変性TDIなどのジイソシアネートの変性物;これらジイソシアネートの変性物の2種以上の混合物(例えば、変性MDIとウレタン変性TDIとの併用)などが挙げられる。これらのジイソシアネートの中でも、NCO基中の炭素を除く炭素数が、6〜15の芳香族ジイソシアネート、4〜12の脂肪族ジイソシアネート、4〜15の脂環式ジイソシアネートが好ましく、TDI、MDI、HDI、水添MDI、及びIPDIが特に好ましい。
結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーとを結合させた樹脂を得る方法としては、次のような方法を例示することができる。即ち、あらかじめ結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを別々に作製し、それらを結合させる方法である。また、あらかじめ結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットのいずれかを作製し、次いで作製したユニットの存在下で、もう一方のポリマーを重合することによって結合させる方法でもよい。また、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーユニットを同じ反応場で同時あるいは逐次重合させることによって得る方法でもよい。設計意図通りに反応を制御させやすいという観点からすると、初めに例示した方法、あるいは二番目に例示した方法が好ましい。
初めに例示した方法の具体例としては、上述した、結晶性ポリエステルユニットを連結させた樹脂を得る方法と同様に、あらかじめ末端にヒドロキシル基等の活性水素を有するユニットを作製し、ポリイソシアネートで連結する方法が挙げられる。ポリイソシアネートについても既に述べたものが使用できる他、一方のユニットの末端にイソシアネート基を導入し、他方のユニットの活性水素と反応させる方法でも得ることができる。かかる方法を用いると樹脂骨格中にウレタン結合部位を導入することができるため、樹脂の強靭性を高めることができる。
二番目に例示した方法の具体例としては、次のような方法を例示することができる。即ち、まず、結晶性ポリエステルユニットを作成する。次に、非結晶性ポリエステルユニット、ポリウレタンユニット、ポリウレアユニット等の作成するポリマーユニットを作成する。これにより、結晶性ポリエステルユニットの末端のヒドロキシル基あるいはカルボキシル基と、他のポリマーユニットを得るためのモノマーを反応させて、結晶性ポリエステルユニットと他のポリマーを結合させた樹脂を得ることができる。
結着樹脂に用いる非結晶性ポリエステルユニットとしては、例えばポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニットが挙げられる。ポリオール及びポリカルボン酸については前述の結晶性ポリエステルユニットで例示したものを使用することができる。結晶性を持たないように設計するためには、ポリマー骨格に屈曲点や分岐点を多く持たせるようにすればよい。また、屈曲点を持たせるには、例えば、ポリオールとして、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)などのビスフェノール及びその誘導体、ポリカルボン酸として、フタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸を使用すればよい。また分岐点の導入には3価以上のポリオールやポリカルボン酸を使用すればよい。
上述したポリウレタンユニットとしては、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール等のポリオールと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットなどが挙げられる。これらの中でも、前記ジオールと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレタンユニットが好ましい。
上述した、ジオール、及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールとしては、前記ポリエステル樹脂において挙げた前記ジオール及び前記3価〜8価又はそれ以上のポリオールと同様のものが挙げられる。また、上述した、ジイソシアネート、及び前記3価以上のポリイソシアネートとしては、既に述べたジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
上述したポリウレアユニットとしては、ジアミン、3価以上のポリアミン等のポリアミンと、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート等のポリイソシアネートとから合成されるポリウレアユニット等が挙げられる。ジアミンの種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類、炭素数6〜20の芳香族ジアミン類が好ましい。また、必要に応じて、前述sちあ3価以上のアミン類を使用してもよい。
前述した、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン類の種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2〜6のアルキレンジアミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン,トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の炭素数4〜18のポリアルキレンジアミン;ジアルキルアミノプロピルアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の前記アルキレンジアミン又は前記ポリアルキレンジアミンの炭素数1〜4のアルキル又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル置換体;1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4′−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)等の炭素数4〜15の脂環式ジアミン;ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の炭素数4〜15の複素環式ジアミン;キシリレンジアミン、テトラクロル−p−キシリレンジアミン等の炭素数8〜15の芳香環含有脂肪族アミン類などが挙げられる。
上述した、炭素数6〜20の芳香族ジアミン類の種類は特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、1,2−、1,3−及び1,4−フェニレンジアミン、2,4′−及び4,4′−ジフェニルメタンジアミン、クルードジフェニルメタンジアミン(ポリフェニルポリメチレンポリアミン)、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、トリフェニルメタン−4,4′,4"−トリアミン、ナフチレンジアミン等の非置換芳香族ジアミン;2,4−及び2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、4,4′−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3′,5,5′−テトラメチルベンジジン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3′−メチル−2′,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジエチル−2,2′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、3,3′,5,5′−テトラエチル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′,5,5′−テトライソプロピル−4,4′−ジアミノジフェニルスルホン等の炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン;前記非置換芳香族ジアミン乃至前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミンの異性体の種々の割合の混合物;メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロル−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロル−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチル−5,5′−ジブロモジフェニルメタン、3,3′−ジクロロベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフイド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフイド、4,4′−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4′−メチレンビス(2−フルオロアニリン)、4−アミノフェニル−2−クロロアニリン等の核置換電子吸引基(Cl、Br、I、F等のハロゲン;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ基;ニトロ基など)を有する芳香族ジアミン;4,4′−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタン、1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼン等の二級アミノ基を有する芳香族ジアミン〔前記非置換芳香族ジアミン、前記炭素数1〜4の核置換アルキル基を有する芳香族ジアミン、及びこれらの異性体の種々の割合の混合物、前記核置換電子吸引基を有する芳香族ジアミンの一級アミノ基の一部又は全部がメチル、エチルなどの低級アルキル基で二級アミノ基に置き換ったもの〕などが挙げられる。ジアミンとしては、これらの他、ジカルボン酸(ダイマー酸等)と過剰の(酸1モル当り2モル以上の)前記ポリアミン(前記アルキレンジアミン、前記ポリアルキレンポリアミン等)との縮合により得られる低分子量ポリアミドポリアミン等のポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリオール(ポリアルキレングリコール等)のシアノエチル化物の水素化物等のポリエーテルポリアミンなどが挙げられる。また、アミン化合物のアミノ基をケトン化合物などによりキャッピングしたものを用いてもよい。これらの中でも、前記ジアミンと前記ジイソシアネートとから合成されるポリウレアユニットが好ましい。
上述した、ジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートとしては、既に述べたジイソシアネート及び3価以上のポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。
結着樹脂には、ビニル系ポリマーユニットを含有させてもよい。ビニル系ポリマーユニットは、ビニル系モノマーを単独重合又は共重合したポリマーユニットである。ビニル系モノマーとしては、次のものを例示することができる。
・ビニル系炭化水素。
・カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩。
・スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩。
・燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩。
・ヒドロキシル基含有ビニル系モノマー。
・含窒素ビニル系モノマー。
・エポキシ基含有ビニル系モノマー。
・ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類。
・その他のビニル系モノマー。
・フッ素原子元素含有ビニル系モノマー。
ビニル系炭化水素としては、脂肪族ビニル系炭化水素、脂環式ビニル系炭化水素、芳香族ビニル系炭化水素などが挙げられる。また、脂肪族ビニル系炭化水素としては、アルケン類、例えばエチレン、プロピレンレン、ブテン、イソブチレン、ぺンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、前記以外のα−オレフィン等;アルカジエン類、例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどが挙げられる。また、脂環式ビニル系炭化水素としては、モノ−又はジ−シクロアルケン及びアルカジエン類、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン等などが挙げられる。また、芳香族ビニル系炭化水素としては、スチレン及びそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン等;及びビニルナフタレンなどが挙げられる。
上述した、カルボキシル基含有ビニル系モノマー及びその塩としては、次のようなものを例示することができる。即ち、炭素数3〜30の不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸並びにその無水物及びそのモノアルキル(炭素数1〜24)エステル、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマーなどである。
上述した、スルホン基含有ビニル系モノマー、ビニル系硫酸モノエステル化物及びこれらの塩としては、次のようなものを例示することができる。即ち、炭素数2〜14のアルケンスルホン酸、例えはビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸;及びその炭素数2〜24のアルキル誘導体、例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;スルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレートもしくは(メタ)アクリルアミド、例えば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[ポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等]、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル等である。
上述した燐酸基含有ビニル系モノマー及びその塩としては、次のようなものを例示することができる。即ち、(メタ)アクリロイルオキシアルキル燐酸モノエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、フェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜24)ホスホン酸類、例えば、2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸;及びそれらの塩等である。
なお、これまでビニル系モノマーの塩として説明したものは、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩又は4級アンモニウム塩等である。
上述した、ヒドロキシル基含有ビニル系モノマーとしては、次のようなものを例示することができる。即ち、ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、庶糖アリルエーテル等である。
上述した、含窒素ビニル系モノマーとしては、次のようなものを例示することができる。即ち、アミノ基含有ビニル系モノマー:アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロ一ル、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール、及びこれらの塩等である。また、アミド基含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等である。また、ニトリル基含有ビニル系モノマー:(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレ一ト等である。また、4級アンモニウムカチオン基含有ビニル系モノマー:ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジアリルアミン等の3級アミン基含有ビニル系モノマーの4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等である。また、ニトロ基含有ビニル系モノマー:ニトロスチレン等である。
上述した、エポキシ基含有ビニル系モノマーとしては、次のようなものを例示することができる。即ち、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、p−ビニルフェニルフェニルオキサイド等である。
上述した、ビニルエステル、ビニル(チオ)エーテル、ビニルケトン、ビニルスルホン類としては、次のようなものを例示することができる。即ち、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]等、ポリアルキレングリコール鎖を有するビニル系モノマー[ポリエチレングリコール(分子量300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド10モル付加物(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等である。また、ビニル(チオ)エーテル、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ヒニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒトロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2′−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル、アセトキシスチレン、フェノキシスチレン等である。また、ビニルケトン、例えはビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルフェニルケトン等である。また、ビニルスルホン類、例えばジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルフォン、ジビニルスルフォン、ジビニルスルフォキサイド等である。
上述した、その他のビニル系モノマーとしては、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。
上述した、フッ素原子元素含有ビニル系モノマーとしては、次のようなものを例示することができる。即ち、4−フルオロスチレン、2,3,5,6−テトラフルオロスチレン、ペンタフルオロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロベンジル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,4H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリヒドロペルフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ペルフルオロノルボニルメチル(メタ)アクリレート、1H−ペルフルオロイソボルニル(メタ)アクリレート2−(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルペルフルオロオクタンスルホンアミド)エチル(メタ)アクリレート、並びにα−フルオロアクリル酸から誘導された対応する化合物、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルイタコネート、ビス−ヘキサフルオロイソプロピルマレエート、ビス−ペルフルオロオクチルイタコネート、ビス−ペルフルオロオクチルマレエート、ビス−トリフルオロエチルイタコネート及びビス−トリフルオロエチルマレエート、ビニルヘプタフルオロブチレート、ビニルペルフルオロヘプタノエート、ビニルペルフルオロノナノエート及びビニルペルフルオロオクタノエート等である。
結着樹脂として、主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂を含有させることが好ましい。Solubility Parameter Values(Polymer handbook 4th Ed)によれば、ウレア結合の凝集エネルギーは50230[J/mol]であり、ウレタン結合の凝集エネルギー(26370[J/mol])の2倍程度あるため、少量であってもトナーの強靭性や定着時のオフセット耐性向上効果を期待することができる。主鎖にウレア結合を有する樹脂を得る方法としては、次のようなものを例示することができる。即ち、ポリイソシアネート化合物と、ポリアミン化合物とを反応させるか、あるいは、ポリイソシアネート化合物と水を反応させる。そして、イソシアネートの加水分解によって発生したアミノ基と残りのイソシアネート基を反応させる方法である。なお、主鎖にウレア結合を有する樹脂を得るにあたり、前述した化合物のほかに、ポリオール化合物も同時に反応させることで、樹脂設計の自由度を広げることができる。
上述したポリイソシアネートとしては、ジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネート(以下、低分子量ポリイソシアネートとも記載する)のほか、イソシアネート基を末端や側鎖に有するようなポリマー(以下、プレポリマーとも記載する)を使用してもよい。
プレポリマーの作成方法としては、低分子量ポリイソシアネートと後述のポリアミン化合物を、イソシアネート過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するポリウレアプレポリマーを得る方法を例示することができる。また、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とを、イソシアネート過剰量で反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得る方法でもよい。これらの方法で得られるプレポリマーは単独で使用してもよいし、同じ方法で得られる2種類以上のプレポリマーを使用してもよい。また、前述した2つの方法でそれぞれ得られる2種類以上のプレポリマーを併用しても構わないし、プレポリマーと低分子量ポリイソシアネートとを1種類あるいは複数種併用してもよい。
ポリイソシアネートの使用比率は、イソシアネート基[NCO]と、ポリアミンのアミノ基[NH}の等量比[NCO]/[NH]、あるいはポリオールの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、5/1〜1.01/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]のモル比が5を超えるとウレタン結合やウレア結合が多くなりすぎ、最終的に得られる樹脂をトナー用の結着樹脂として使用すると溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が悪化する可能性があり、[NCO]のモル比が1.01未満では、重合度が高くなり生成するプレポリマーの分子量が大きくなるため、トナーを製造するのにあたり他の材料との混合が困難になる、もしくは溶融状態における弾性率が高すぎ定着性が悪化する可能性があるため好ましくない。
上述したポリアミンとしては、ジアミン、3価以上のポリアミンなどが挙げられる。
また、上述したポリオールとしては、ジオール、3価〜8価又はそれ以上のポリオール(以下、低分子量ポリオールとも記載する)の他、水酸基を末端や側鎖に有するようなポリマー(以下、高分子量ポリオールとの記載する)を使用してもよい。
高分子量ポリオールの作成方法としては、低分子量ポリイソシアネートと低分子量ポリオールを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリウレタンを得る方法を例示することができる。また、ポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリエステルを得る方法でもよい。水酸基を末端に有するポリウレタンあるいはポリエステルを調整するためには、低分子量ポリオールと低分子量ポリイソシアネートの比率[OH]/[NCO]、あるいは低分子量ポリオールとポリカルボン酸の比率[OH]/[COOH]を、2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1に調整することが好ましい。水酸基のモル比が2を超えると重合反応が進まないため所望の高分子量ポリオールが得られない。また、1.02を下回ると重合度が高くなり得られる高分子量ポリオールの分子量が大きくなりすぎるためトナーを製造するのにあたり他の材料との混合が困難になる。また、溶融状態における弾性率が高すぎて定着性が悪化する可能性がある。
上述したポリカルボン酸としては、ジカルボン酸、3価〜6価又はそれ以上のポリカルボン酸等が挙げられる。
樹脂に結晶性をもたせるためには、主鎖に結晶性を有するポリマーユニットを導入すればよい。トナー用の結着樹脂として好適な融点を有するような結晶性ポリマーユニットとしては、結晶性ポリエステルユニット、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸の長鎖アルキルエステルユニット等が挙げられる。中でも、結晶性ポリエステルユニットは末端アルコールのものを簡便に作製することができ、上記のポリオール化合物としてウレア結合を有する樹脂への導入が行いやすいため好ましい。
結晶性ポリエステルユニットとしては、例えば、ポリオールとポリカルボン酸とから合成される重縮合ポリエステルユニット、ラクトン開環重合物、ポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジオールとジカルボン酸との重縮合ポリエステルユニットが、結晶性発現の観点から好ましい。
ジオールとしては、前述したポリオールの中であげられたジオールを使用することができる。その中でも鎖炭素数が2〜36の脂肪族ジオールが好ましく、直鎖型脂肪族ジオールがより好ましい。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうち、入手容易性を考慮するとエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
直鎖型脂肪族ジオールのジオール全体に対する含有量は、80[mol%]以上が好ましく、90[mol%]以上がより好ましい。含有量が80[mol%]以上であると、樹脂の結晶性が向上し、低温定着性と耐熱保存性の両立性が良く、樹脂硬度が向上する傾向にあるので好ましい。
ジカルボン酸としては、前述のポリカルボン酸の中で挙げられたジカルボン酸を使用することができ、これらの中でも、直鎖型脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。ジカルボン酸の中でも、前述した脂肪族ジカルボン酸(好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)を単独で用いることが特に好ましい。前述した脂肪族ジカルボン酸と共に、前述した芳香族ジカルボン酸(好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等;これら芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル類等)を共重合したものも同様に好ましい。前述した芳香族ジカルボン酸の共重合量としては、20[mol%]以下が好ましい。
主鎖にウレア結合を有する結晶性樹脂をトナーの結着樹脂に含有させるには、あらかじめウレア結合を形成させた樹脂を使用し、着色剤、離型剤、帯電制御剤など結着樹脂以外のトナー構成材料と混合し、粒子化すればよい。また、ポリイソシアネート化合物と、ポリアミン化合物および/または水とを、必要に応じて着色剤、離型剤、帯電制御剤など結着樹脂以外のトナー構成材料と混合することで、ウレア結合を形成させてもよい。特に、ポリイソシアネート化合物としてプレポリマーを使用することで、トナー中に均一に高分子量のウレア結合を有する結晶性樹脂をトナー中に含めることができるため、トナーの熱特性や帯電性が均一であり定着性とトナーの対ストレス性の両立をしやすいため好ましい。さらに、プレポリマーとしては、低分子量ポリイソシアネートとポリオール化合物とをイソシアネート過剰量で反応させて得られるプレポリマーの方が、粘弾性を抑える点で好ましい。ポリオール化合物としてはポリカルボン酸と低分子量ポリオール化合物とを、水酸基過剰量で反応させて末端に水酸基を有するポリエステルがトナーに適した熱特性を得やすいため好ましい。さらには、ポリエステルが結晶性ポリエステルユニットからなる場合には、トナー中の高分子量成分がシャープメルトとなり低温定着性に優れたトナーが得られるため好ましい。また、トナーを水系媒体中で造粒することにより得る場合には、分散媒の水がポリイソシアネート化合物と反応することで温和な条件でウレア結合を形成させることができる。
トナーの結着樹脂は、1種類を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、互いに異なる重量平均分子量の結着樹脂を併用しても良く、少なくとも第2の結晶性樹脂と、第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第2の結晶性樹脂を含むことが、優れた低温定着性と耐ホットオフセット性を両立することが出来る点で好ましい。
また、前述した第2の結晶性樹脂は、イソシアネート基を有する変性結晶性樹脂である前記結着樹脂前駆体を使用し、活性水素基を有する化合物と反応させることで、樹脂を伸長させてなるものであることが好ましい。この場合、前記結着樹脂前駆体と活性水素基を有する化合物の反応は、トナー製造過程で行われることがより好ましく、重量平均分子量が大きい結晶性樹脂をトナー中に均一に分散することができ、トナー粒子間の特性のバラツキを抑えることができる。
更に、前述した第1の結晶性樹脂は、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア基結合を有する結晶性樹脂であり、且つ、前記第2の結晶性樹脂は、前記第1の結晶性樹脂を変性した前記結着樹脂前駆体を、活性水素基を有する化合物と反応させ、伸長させてなるものであることが好ましい。前記第1の結晶性樹脂と前記第2の結晶性樹脂の組成構造を近づけることによって、2種の結着樹脂がトナー中でより均一に分散しやすくなり、トナー粒子間の特性のバラツキを更に抑えることができる。前記結晶性樹脂は、前記結晶性樹脂と非結晶性樹脂を併用してもよく、結着樹脂の主成分が前記結晶性樹脂であることが好ましい。
次に、本発明者らが行った実験について説明する。
本発明者らは、19種類のトナーを製造した。まず、これらのトナーの製造方法について説明する。
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−1の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、アジピン酸15重量部(0.10mol)、1,6−ヘキサンジオール177重量部(1.50mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ12000に到達させるまで反応を継続させて結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量Mwが12000であった。
この結晶性ポリエステル樹脂を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル350重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)30重量部(0.12mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで減圧下にて酢酸エチルを留去してウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−1を得た。このウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−1は、重量平均分子量がMw22000であり、融点が62℃であった。
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール189重量部(1.60mol)、及び縮合触媒としてジブチル錫オキサイド0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させ、さらに5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ6000に到達させるまで反応を継続させて、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量Mwが6000であった。
この結晶性ポリエステル樹脂を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)38重量部(0.15mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去してウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2を得た。このウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2は、重量平均分子量Mwが10000であり、融点が64℃であった。
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸185重量部(0.91mol)、アジピン酸13重量部(0.09mol)、1,4−ブタンジオール106重量部(1.18mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5重量部を入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温させ、且つ窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ14000に到達させるまで反応を継続させて、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量Mwが14000であった。
この結晶性ポリエステル樹脂を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)12重量部(0.07mol)を加えて、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去してウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3を得た。このウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−3は、重量平均分子量Mwが39000であり、融点が63℃であった。
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸166重量部(0.82mol)、アジピン酸26重量部(0.18mol)、1,4−ブタンジオール131重量部(1.45mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5重量部を入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温させ、且つ窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させた。更に、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ8000に到達させるまで反応を継続させて、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹は、重量平均分子量Mwが8000であった。
この結晶性ポリエステル樹脂を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)33重量部(0.13mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去してウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4を得た。このウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−4は、重量平均分子量Mwが17000であり、融点が54℃であった。
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、アジピン酸18重量部(0.12mol)、1,6−ヘキサンジオール139重量部(1.18mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ18000に到達させるまで反応を継続させて、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量Mwが18000であった。
この結晶性ポリエステル樹脂を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)15重量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去してウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5を得た。このウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5は、重量平均分子量Mwが42000であり、融点が62℃であった。
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール149重量部(1.26mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温させ、且つ窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ9000に到達させるまで反応を継続させて、結晶性ポリエステル樹を得た。この結晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量Mwが9000であった。
この結晶性ポリエステル樹脂を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル250重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)28重量部(0.11mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去してウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6を得た。このウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−6は、重量平均分子量Mwが30000であり、融点が67℃であった。
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール191重量部(1.62mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温させ、且つ、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ4000に到達させるまで反応を継続させて、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量Mwが4000であった。
この結晶性ポリエステル樹脂を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)35重量部(0.14mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去してウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7を得た。このウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−7は、重量平均分子量Mwが8500であり、融点が64℃であった。
[結晶性ポリエステル樹脂A−8の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸185重量部(0.91mol)、アジピン酸13重量部(0.09mol)、1,4−ブタンジオール125重量部(1.39mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5重量部を入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温させ、且つ窒素気流下にて生成する水及び1,4−ブタンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ10,000に到達させるまで反応を継続させて、結晶性ポリエステル樹脂A−8を得た。この結晶性ポリエステル樹脂A−8は、重量平均分子量Mwが9500であり、融点が57℃であった。
[結晶性ポリエステル樹脂A−9の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール130重量部(1.10mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温させ、且つ窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ30000に到達させるまで反応を継続させて、結晶性ポリエステル樹脂A−9を得た。この結晶性ポリエステル樹脂A−9は、重量平均分子量Mwが27000であり、融点が62℃であった。
これまで説明した結晶性樹脂(樹脂名にAという記号をつけた結晶性樹脂)の組成や性状を次の表1、表2に示す。
Figure 0006075682
Figure 0006075682
[結晶性部と非晶性部からなるブロック樹脂A−10の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール25重量部(0.33mol)、メチルエチルケトン(MEK)170重量部を入れて攪拌した。その後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)147重量部(0.59mol)を加え、80℃で5時間反応させて末端にイソシアネート基を有する非晶性部c−1を含有するのMEK溶液を得た。
また、冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール160重量部(1.35mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温させ、且つ、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ9000に到達させるまで反応を継続させて、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステルは、重量平均分子量Mwが8500であり、融点が63℃であった。
この結晶性ポリエステルの320重量部を結晶性部として、先に製造しておいたMEK溶液340重量部に溶解させ、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にてMEKを留去してブロック樹脂A−10を得た。得られたブロック樹脂A−10は、重量平均分子量Mwが26000であり、融点が62℃であった。
[結晶性部と非晶性部からなるブロック樹脂A−11の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、1,2−プロピレングリコール39重量部(0.51mol)、メチルエチルケトン(MEK)270重量部を入れて攪拌した後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)228重量部(0.91mol)を加えた。そして、80℃で5時間反応させて末端にイソシアネート基を有する非晶性部c−2を含有するMEK溶液を得た。
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール160重量部(1.35mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れ、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温させ、且つ窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ8000に到達させるまで反応を継続させて、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量Mwが7500であり、融点が62℃であった。
この結晶性ポリエステル樹脂の320重量部を結晶性部として、先に製造しておいたのMEK溶液540重量部に溶解させて、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にてMEKを留去してブロック樹脂A−11を得た。このブロック樹脂A−11は、重量平均分子量Mwが23000であり、融点が61℃であった。
ブロック樹脂A−10、A−11の組成や性状を次の表3に示す。
Figure 0006075682
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸113重量部(0.56mol)、テレフタル酸ジメチル109重量部(0.56mol)、1,6−ヘキサンジオール132重量部(1.12mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5重量部を入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水、メタノールを留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温させ、且つ窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ35000に到達させるまで反応を継続させて、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量Mwが34000であった。
この結晶性ポリエステル樹脂を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル200重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)10重量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去してウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1を得た。このウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1は、重量平均分子量Mwが63000であり、融点が65℃であった。
[ウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸204重量部(1.01mol)、アジピン酸13重量部(0.09mol)、1,6−ヘキサンジオール136重量部(1.15mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れた。窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ20000に到達させるまで反応を継続させて、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹脂は、重量平均分子量Mwが20000であった。
この結晶性ポリエステル樹脂を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル200重量部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)15重量部(0.06mol)を加え、窒素気流下にて80℃で5時間反応させた。次いで、減圧下にて酢酸エチルを留去してウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2を得た。このウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2は、重量平均分子量Mwが39000であり、融点が63℃であった。
[結晶性ポリエステル樹脂B−3の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、ドデカン二酸230重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール118重量部(1.00mol)、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温させ、且つ窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ50000に到達させるまで反応を継続させて、結晶性ポリエステル樹脂B−3を得た。この結晶性ポリエステル樹脂B−3は、重量平均分子量Mwが52000であり、融点が66℃であった。
[結晶性樹脂前駆体B’−4の製造]
冷却管、撹拌機および窒素導入管を備えた反応槽中に、セバシン酸202重量部(1.00mol)、1,6−ヘキサンジオール122重量部(1.03mol)、及び縮合触媒としてチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)0.5重量部を入れた。そして、窒素気流下にて180℃で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、220℃まで徐々に昇温させ、且つ、窒素気流下にて生成する水及び1,6−ヘキサンジオールを留去しながら4時間反応させた。さらに、5〜20mmHgの減圧下にて、重量平均分子量Mwをおよそ25000に到達させるまで反応を継続させた。得られた結晶性樹脂を、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を備えた反応槽中に移し、酢酸エチル300重量部、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)27重量部(0.16mol)を加えた。そして、窒素気流下にて80℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する結晶性樹脂前駆体B’−4の50重量%酢酸エチル溶液を得た。
この酢酸エチル溶液10重量部をテトラヒドロフラン(THF)10重量部と混合し、これにジブチルアミン1重量部を添加して、2時間撹拌させた。得られた溶液を試料としてGPC測定を行った結果、結晶性樹脂前駆体B'−4の重量平均分子量Mwは54000であった。また、前記溶液から溶媒を除去して得られた試料についてDSC測定を行った結果、結晶性樹脂前駆体B'−4の融点は57℃であった。
これまで説明した、樹脂名にBという記号を付した結晶性樹脂の組成と性状を次の表4に示す。
Figure 0006075682
[非結晶性樹脂C−1の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物222重量部、ビスフェノールA PO2mol付加物129重量部、イソフタル酸166重量部、及びテトラブトキシチタネート0.5重量部を入れた。そして、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、5〜20mmHgの減圧下にて反応させ、酸価が2になった時点で180℃に冷却した。そして、無水トリメリット酸35重量部を加え、常圧で3時間反応させて、非結晶性樹脂C−1を得た。この非結晶性樹脂C−1は、重量平均分子量Mwが8000であり、融点が62℃であった。
[非結晶性樹脂前駆体C’−2の製造]
冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、ビスフェノールA EO2mol付加物720重量部、ビスフェノールA PO2mol付加物90重量部、テレフタル酸290重量部、及びテトラブトキシチタネート1重量部を入れた。そして、窒素気流下にて230℃、常圧で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで、10〜15mmHgの減圧下にて7時間反応させて、非結晶性樹脂を得た。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素挿入管を備えた反応槽中に、前述の非結晶性樹脂400重量部、イソホロンジイソシアネート95重量部、酢酸エチル500重量部を入れた。そして、窒素気流下にて80℃で8時間反応させて、末端にイソシアネート基を有する非結晶性樹脂前駆体C’−2の50重量%酢酸エチル溶液を得た。
以上の樹脂を用いて、以下のようにして19種類のトナーを製造した。
[グラフト重合体の製造]
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、キシレン480質量部、低分子量ポリエチレン(三洋化成工業社製サンワックスLEL−400:軟化点128℃)100質量部を入れて充分溶解して、窒素置換した。その後、スチレン740質量部、アクリロニトリル100質量部、アクリル酸ブチル60質量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート36質量部、及びキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間滴下して重合してから、この温度条件下で30分間保持した。次いで、脱溶剤を行い、グラフト重合体を合成した。このグラフト重合体は、重量平均分子量Mwが24000であり、融点Tgが67℃であった。
[離型剤分散液の調製]
撹拌棒及び温度計をセットした容器にパラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、炭化水素系ワックス、融点75℃、SP値8.8)50重量部、グラフト重合体30重量部、及び酢酸エチル420部を投入した。そして、それらを容器内で撹拌しながら80℃まで昇温させ、80℃のままで5時間保持した。その後、1時問で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、分散させて離型剤分散液を得た。
[マスターバッチの製造]
100重量部の結晶性ポリウレタン樹脂A−1と、カーボンブラック(Printex35、デグサ社製)100重量部と(DBP吸油量:42mL/100g、pH:9.5)、イオン交換水50重量部とを、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合した。得られた混合物を、二本ロールを用いて混練した。混練温度を90℃として混練を始め、その後、混練温度を50℃まで徐々に冷却していった。得られた混練物をパルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して第1マスターバッチを製造した。
原料として使用する結晶性ポリウレタン樹脂A−1を、結晶性ポリウレタン樹脂A−2、A−3、A−4、A−5、A−6、A−7、A−8、A−9、A−10、A−11に代えた点の他は同様にして、第2マスターッチ〜第11マスターッチを製造した。また、原料として使用する結晶性ポリウレタン樹脂A−1を、非結晶性樹脂C−1に代えた点の他は同様にして、第12マスターッチを製造した。
参考までに、各種のマスターッチと樹脂との関係を次の表5に示す。
Figure 0006075682
[油相の製造]
温度計および撹拌機を備えた容器に、31.5重量部のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−1を入れ、固形分濃度を50重量%とする量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、非結晶性樹脂C−1の50重量%酢酸エチル溶液100重量部と、上述した離型剤分散液60重量部と、第2マスターバッチ12重量部とを加えた。そして、50℃の温度下でTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)にて回転数5000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて第1油相を得た。なお、第1油相の温度は容器内にて50℃に保って、結晶化を防止した状態で5時間以内に使用した。
結晶性樹脂Aの種類や添加量、結晶性樹脂Bの種類や添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、マスターバッチの種類を、次の表6示されるように変更した点の他は同様にして、第2油相、第3油相、第5油相、第7油相、第8油相、第9油相、第10油相、第13油相、第14油相、第15油相、第19油相を製造した。
Figure 0006075682
なお、表6中の結晶性樹脂Bや、非結晶性樹脂前駆体C−2については、結晶性樹脂B−1、B−2、B−3のいずれかを使用する場合には、油相作製段階で他のトナー材料と共に溶解、分散させて用いた。一方、結着樹脂前駆体B’−4、又は非結晶性樹脂前駆体C−2を使用する場合には、油相作製段階では添加せず、後述するトナー母体作製時に油相に添加し、溶解、分散して用いた。
[樹脂微粒子の水分散液の製造]
攪拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水600重量部、スチレン120重量部、メタクリル酸100重量部、アクリル酸ブチル45重量部、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業製)10重量部、及び過硫酸アンモニウム1重量部を投入した。そして、400回転/分で20分攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。この乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温し、6時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30重量部を加え、75℃で6時間熟成して樹脂微粒子の水分散液を得た。この樹脂微粒子の水分散液中に含まれる粒子は、体積平均粒径が80[nm]であり、樹脂分は重量平均分子量Mwが160000であり、融点が74℃であった。
[第1水相の調製]
水990重量部、[樹脂微粒子の水分散液]83重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37重量部、及び酢酸エチル90重量部を混合撹拌して、第1水相を得た。
[トナー母体の製造]
撹拌機および温度計をセットした別の容器内に、第1水相520重量部を入れて40℃まで加熱した。50℃に保たれた第1油相235重量部に結晶性樹脂前駆体B’−5の酢酸エチル溶液25重量部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)にて回転数5000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散して第1油相を調整した。その後、40〜50℃に保持した調整後の第1水相をTK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて13000rpmで攪拌しながら、調整後の第1油相を添加して、乳化を1分間促して第1乳化スラリーを得た。次いで、撹拌機および温度計をセットした容器内に、第1乳化スラリーを投入し、60℃で6時間脱溶剤して、第1スラリーを得た。この第1スラリーを減圧濾過した後、後述する洗浄処理を行った。
洗浄処理については、次のようにして行った。即ち、まず、濾過ケーキにイオン交換水100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6000rpmで5分間)した後、濾過して濾過ケーキを得た。次いで、この濾過ケーキに10重量%水酸化ナトリウム水溶液100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで10分間)した後、減圧濾過して濾過ケーキを得た。そして、この濾過ケーキに10重量%塩酸100重量部を加えてから、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後、濾過して濾過ケーキを得た。次に、この濾過ケーキにイオン交換水300重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6,000rpmで5分間)した後、濾過する操作を2回行って濾過ケーキを得た。更に、この濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後、目開き75μmメッシュで篩いにかけて、第1トナー母体を製造した。
原料として用いる油相を、第1油相から、第2油相、第3油相、第5油相、第7油相、第8油相、第9油相、第10油相、第13油相、第15油相、19油相に代えた点の他は、同様の操作を行った。これにより、第2トナー母体、第3トナー母体、第5トナー母体、第7トナー母体、第8トナー母体、第9トナー母体、第10トナー母体、第14トナー母体、第15トナー母体、第19トナー母体を製造した。
[油相の製造]
温度計および撹拌機を備えた容器に、62重量部のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−、及び12重量部のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−2を入れた。そして、固形分濃度が50重量%となる量の酢酸エチルを加えて、樹脂の融点以上まで加熱してよく溶解させた。これに、非結晶性樹脂C−1の50重量%酢酸エチル溶液40重量部、上述した離型剤分散液60重量部、及び第2マスターバッチ12重量部を加えた。そして、50℃の温度下でTK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)にて回転数5000rpmで撹拌し、均一に溶解、分散させて第4油相を得た。なお、第4油相の温度は容器内にて50℃に保つことで結晶化を防止した状態で製造後時間以内に使用した。
結晶性樹脂Aの種類や添加量、結晶性樹脂Bの種類や添加量、非結晶性樹脂Cの添加量、マスターバッチの種類を、次の表7に示されるように変更した点の他は同様にして、第16油相、第17油相、第18油相を製造した。
Figure 0006075682
[水相の調整]
水990重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37重量部、及び酢酸エチル90重量部を混合撹拌し、第2水相を得た。
[トナー母体の製造]
撹拌機および温度計をセットした別の容器内に、第2水相520重量部を入れて40℃まで加熱し、40〜50℃に保持したまま、TK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて13000rpmで攪拌しながら、第4油相を添加し、乳化を1分間促して第4乳化スラリーを得た。次いで、撹拌機および温度計をセットした容器内に、第4乳化スラリーを投入し、60℃で6時間脱溶剤して、第4スラリーを得た。得られた第4スラリーを減圧濾過した後、後述する洗浄処理を行った。
洗浄処理については、次のようにして行った。即ち、濾過ケーキにイオン交換水100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6000rpmで5分間)した後、濾過して濾過ケーキを得た。この濾過ケーキに10重量%水酸化ナトリウム水溶液100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6000rpmで10分間)した後、減圧濾過して濾過ケーキを得た。この濾過ケーキに10重量%塩酸100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6000rpmで5分間)した後、濾過して濾過ケーキを得た。この濾過ケーキにイオン交換水300重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6000rpmで5分間)した後、濾過する操作を2回行って、濾過ケーキを得た。この濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後、目開き75μmメッシュで篩いにかけて、第4トナー母体を製造した。
原料として用いる油相を第2油相から、第16油相、第17油相、第18油相に代えた点の他は同様にして、第16トナー母体、第17トナー母体、第18トナー母体を製造した。
[結晶性樹脂粒子分散液(A−2)の製造]
60重量部のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−2に、酢酸エチル60重量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6重量部、及び2重量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4重量部を混合した水相に、前述の樹脂溶液120重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理して、乳化スラリーを得た。次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、前述の乳化スラリーを投入し、60℃で4時間脱溶剤して、結晶性樹脂粒子分散液(A−2)を得た。この結晶性樹脂粒子分散液(A−2)中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.15μmであった。
[結晶性樹脂粒子分散液(A−5)の製造]
60重量部のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−5に、酢酸エチル60重量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6重量部、及び2重量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4重量部を混合した水相に、前述の樹脂溶液120重量部を加えた。そして、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化を促した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、乳化スラリーを得た。次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、前述の乳化スラリーを投入し、60℃で4時間脱溶剤して、結晶性樹脂粒子分散液(A−5)を得た。この結晶性樹脂粒子分散液(A−5)中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.18μmであった。
[結晶性樹脂粒子分散液(B−1)の製造]
60重量部のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1に、酢酸エチル60重量部を加えて50℃で混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6重量部、及び2重量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4重量部を混合した水相に、前述の樹脂溶液120重量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化を促した。その後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理し、乳化スラリーを得た。次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、前述の乳化スラリーを投入し、60℃で4時間脱溶剤して、結晶性樹脂粒子分散液(B−1)を得た。この結晶性樹脂粒子分散液(B−1)中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.16μmであった。
[非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)の製造]
60重量部の非結晶性樹脂C−1に、酢酸エチル60重量部を加えて混合撹拌して溶解させて樹脂溶液を得た。次いで、水120重量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3重量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)6重量部、及び2重量%の水酸化ナトリウム水溶液2.4重量部を混合した水相に、前述の樹脂溶液120重量部を加えた。そして、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて乳化を促した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理して、乳化スラリーを得た。次いで、撹拌機及び温度計をセットした容器内に、前述の乳化スラリーを投入し、60℃で4時間脱溶剤して、結晶性樹脂粒子分散液(C−1)を得た。この結晶性樹脂粒子分散液(C−1)中の粒子の体積平均粒径を、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)で測定したところ、0.15μmであった。
[離型剤分散液の調製]
パラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、融点75℃)25重量部、アニオン界面活性剤(三洋化成工業製:エレミノールMON−7)5重量部、水200重量部を混合し、95℃で溶融させた。次いで、この溶融液をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で乳化した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で乳化処理して、離型剤分散液を得た。
[着色剤分散液の調製]
カーボンブラック(Printex35、デグサ社製)20重量部、アニオン界面活性剤(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)2重量部、及び水80重量部を混合し、TK式ホモミキサー(特殊機化株式会社製)で分散して、着色剤分散液を得た。
[第6トナー母体の製造]
結晶性樹脂粒子分散液(A−2)190重量部、結晶性樹脂粒子分散液(B−1)63重量部、非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)63重量部、前述の離型剤分散液46重量部、前述の着色剤分散液17重量部、及び水600重量部を混合し、2重量%の水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調節した。次いで、撹拌下、この溶液に10重量%の塩化マグネシウム水溶液50重量部を徐々に滴下しながら60℃まで加熱した。凝集粒子の体積平均粒径が5.3μmに成長するまで60℃に維持して、スラリーを得た。このスラリーを減圧濾過した後、後述する洗浄処理を行った。
洗浄処理については、次のようにして行った。即ち、濾過ケーキにイオン交換水100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6000rpmで5分間)した後、濾過して濾過ケーキを得た。この濾過ケーキに10重量%水酸化ナトリウム水溶液100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6000rpmで10分間)した後、減圧濾過して濾過ケーキを得た。この濾過ケーキに10重量%塩酸100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6000rpmで5分間)した後、濾過して濾過ケーキを得た。この濾過ケーキにイオン交換水300重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6000rpmで5分間)した後、濾過する操作を2回行って、濾過ケーキを得た。この濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後、目開き75μmメッシュで篩いにかけて、第6トナー母体を製造した。
[第11トナー母体の製造]
結晶性樹脂粒子分散液(A−5)190重量部、結晶性樹脂粒子分散液(B−1)63重量部、非結晶性樹脂粒子分散液(C−1)63重量部、前述の離型剤分散液46重量部、前述の着色剤分散液17重量部、及び水600重量部を混合し、2重量%の水酸化ナトリウム水溶液でpH10に調節した。次いで、撹拌下、この溶液に10重量%の塩化マグネシウム水溶液50重量部を徐々に滴下しながら60℃まで加熱した。凝集粒子の体積平均粒径が5.9μmに成長するまで60℃に維持して、スラリーを得た。このスラリーを減圧濾過した後、後述する洗浄処理を行った。
洗浄処理については、次のようにして行った。即ち、濾過ケーキにイオン交換水100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6000rpmで5分間)した後、濾過して濾過ケーキを得た。この濾過ケーキに10重量%水酸化ナトリウム水溶液100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6000rpmで10分間)した後、減圧濾過して濾過ケーキを得た。この濾過ケーキに10重量%塩酸100重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6000rpmで5分間)した後、濾過して濾過ケーキを得た。この濾過ケーキにイオン交換水300重量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数6000rpmで5分間)した後、濾過する操作を2回行って、濾過ケーキを得た。この濾過ケーキを循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後、目開き75μmのメッシュで篩いにかけて、第11トナー母体を得た。
[第12トナー母体の製造]
60重量部のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂A−1、20重量部のウレタン変性結晶性ポリエステル樹脂B−1、20重量部の非結晶性樹脂C−1、パラフィンワックス(日本精鑞社製、HNP−9、融点75℃)5重量部、及び第2マスターバッチ12重量部を、へンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、FM10B)を用いて予備混合した。その後、二軸混練機(株式会社池貝製、PCM−30)で80℃〜120℃の温度にて溶融、混練した。得られた混練物を室温まで冷却後、ハンマーミルにて200〜300μmに粗粉砕した。次いで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、重量平均粒径が6.2±0.3μmとなるように粉砕エアー圧を適宜調整しながら微粉砕した。その後、気流分級機(日本ニューマチック工業株式会社製、MDS−I)で、重量平均粒径が7.0±0.2μm、4μm以下の微粉量が10個数%以下となるようにルーバー開度を適宜調整しながら分級して、第12トナー母体を得た。
[トナーの製造]
第1トナー母体100重量部と、外添剤としての疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)1.0重量部とを、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を5サイクル行った。その後、目開き35μmのメッシュで篩いにかけて、第1トナーを得た。
また、原料として使用するトナー母体を第1トナー母体から、第2〜第19トナー母体に代えた点の他は同様にして、第2トナー〜第19トナーを得た。
それら19種類のトナーについて、粒度分布(体積平均粒径Dv、個数平均粒径Dn、Dv/Dn)、窒素元素量、ウレア結合の有無、Tsh2nd/Th1st、貯蔵弾性率G’(80)、貯蔵弾性率G’(140)の測定を行った。粒度分布については、粒度分布測定装置(LA−920、堀場製作所製)を用いて測定した。
窒素元素量は、具体的には、トナーの全成分のうち、テトラヒドロフランに溶解可能な成分中における炭素元素、水素元素及び窒素元素の重量の和に対する窒素元素の重量の割合である。この窒素元素量については、vario MICRO cube( Elementar社製)を使用して、次のように測定した。即ち、まず、トナーから、テトラヒドロフランに溶解可能な成分を抽出した。具体的には、トナー5gをソックスレー抽出器に入れ、これを用いて70mlのTHF(テトラヒドロフラン)で20時間抽出を行ったものから、THFを加熱減圧除去することで、前述の成分を得て試料とした。
得られた試料をvario MICRO cubeにセットし、燃焼炉温度=950℃、還元炉温度=550℃、ヘリウム流量=200ml/min、酸素流量=25〜30ml/minの条件で炭素元素、水素元素、窒素元素を同時に測定した。それら3つの元素についてそれぞれ2回の測定値の平均を求めた。そして、3つの元素の重量の和に対する窒素元素の重量の割合を窒素元素量として求めた。なお、窒素元素量が0.5wt%未満であった場合は、さらに微量窒素分析装置ND−100型(三菱化学株式会社製)によって測定を行った。この際、電気炉(横型反応炉)の温度については、熱分解部分=800℃、触媒部分=900℃に設定した。そして、メインO流量=300ml/min、O流量=300ml/min、Ar流量=400ml/min、感度=Lowという条件下において、ピリジン標準液で作成した検量線をともに定量を行った。
ウレア結合の有無は、具体的には、トナーの全成分のうち、テトラヒドロフランに溶解可能な成分中におけるウレア結合の有無である。ウレア結合の有無については、カーボン核磁気共鳴分光法(以下、13C−NMRという)によって測定した。具体的には、サンプル2gを、濃度が0.1mol/lである水酸化カリウムのメタノール溶液200mlに浸し50℃で24hrおいた。その後、溶液を除去し、残渣物をさらにイオン交換水でpHが中性になるまで洗浄し、残った固体を乾燥した。乾燥後のサンプルを、ジメチルアセトアミド(DMAc)と重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)の混合溶媒(体積比9:1)に、100mg/0.5mlの濃度で加え、70℃で12〜24時間溶解させた後50℃にし、13C−NMR測定を行った。
なお、各種の条件としては、測定周波数=125.77MHz、1H_60°パルス=5.5μs、基準物質=テトラメチルシラン(TMS):0.0ppmとした。サンプルにおけるウレア結合の存在は、標品となるポリウレアのウレア結合部位のカルボニル炭素に由来するシグナルの化学シフトにシグナルが見られるかどうかで確認を行う。カルボニル炭素の化学シフトは一般に150〜160ppmに見られる。ポリウレアの一例として、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)と水との反応物であるポリウレアのカルボニル炭素付近の13C−NMRスペクトルを図5に示す。図示のように、153.27ppmにカルボニル炭素に由来するシグナルが見られる。
トナーの示差走査熱量計(DSC)による昇温1回目の融解熱ピークのショルダー
温度Tsh1stと、昇温2回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh2ndの比Tsh2nd/Tsh1stの値は、0.90以上1.10以下であることが好ましい。トナーの融解熱ピークのショルダー温度(Tsh1st、Tsh2nd)については、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定することが可能である。即ち、まず、トナー5.0[mg]をアルミニウム製の試料容器に入れ、該試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、0[℃]から昇温速度10[℃/min]で150[℃]まで昇温し、その後、150[℃]から降温速度10[℃/min]で0[℃]まで降温した後、更に昇温速度10[℃/min]で150[℃]まで昇温してDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線において、1回目の昇温時における吸熱ピーク温度をTm1st、2回目の昇温時における吸熱ピーク温度をTm2ndとする。このとき、吸熱ピークが複数ある場合は吸熱量が最大のものを選択する。それぞれの吸熱ピークについて、該吸熱ピークよりも低温側のベースラインと、吸熱ピークをなす低温側の傾斜の接線との交点を、それぞれTsh1st、Tsh2ndとする。
また、貯蔵弾性率G’(80)、貯蔵弾性率G’(140)については、動的粘弾特性値(貯蔵弾性率G’、損失弾性率G”)として、動的粘弾性測定装置(ARES(TAインスツルメント社製))を用いて次のようにして測定した。即ち、試料を、直径8mm、厚み1mm〜2mmのペレットに成型し、直径8mmのパラレルプレートに固定した。そして、40℃の安定した温度を初期値として、周波数1Hz(6.28rad/s)、歪み量0.1%(歪み量制御モード)にて200℃まで昇温速度2.0℃/分間で昇温させながら測定した。
トナーの比率(C)/((C)+(A))は、トナー中の結晶化部位の量(主にトナーの主成分たる結着樹脂中の結晶化部位の量)を示す指標である。この比率(C)/((C)+(A))において、(C)は、トナーのX線回折装置によって得られる回折スペクトルにおいて、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度である。また、(A)は、非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度である。X線回折測定としては、2次元検出器搭載X線回折装置(D8 DISCOVER with GADDS/Bruker社製)を用いて測定する。測定に使用するキャピラリーとしては、マークチューブ(リンデンマンガラス)からなる直径0.70[mm]のものを使用する。試料をこのキャピラリー管の上部まで詰めて測定する。また、サンプルを詰める際には100回のタッピングを行う。
測定の詳細条件は次の通りである。
管電流:40mA。
管電圧:40kV。
ゴニオメーター2θ軸:20.0000[°]。
ゴニオメーターΩ軸:0.0000[°]。
ゴニオメーターφ軸:0.0000[°]。
検出器距離:15[cm](広角測定)
測定範囲:3.2≦2θ(゜)≦37.2。
測定時間:600sec。
入射光学系には、φ1[mm]のピンホールを持つコリメーターを用いる。得られた2次元データを、付属のソフトで(χ軸が3.2°〜37.2°で)積分し、回折強度と2θの1次元データに変換する。得られたX線回折測定結果に基づいて、上述した比率(C)/((C)+(A))を算出する方法を説明する。X線回折測定によって得られる回折スペクトルの例を図6及び図7に示す。これらの図において、横軸は2θを示し、縦軸はX線回折強度を示しており、両方とも線形軸である。図6におけるX線回折スペクトルにおいて、2θ=21.3[°]、24.2[°]に主要なピーク(P1、P2)があり、この2つのピークを含む広範囲にハロー(h)が見られる。それらの主要なピークは、結晶構造に由来するものであり、ハローは非晶構造に由来するものである。
前述した2つの主要なピークやハローは、3つのガウス関数で表される。
fp1(2θ)=ap1exp{−(2θ−bp1)2/(2cp12)}
fp2(2θ)=ap2exp{−(2θ−bp2)2/(2cp22)}
fh(2θ)=ahexp{−(2θ−bh)2/(2ch2)}
これらの式において、fp1(2θ)、fp2(2θ)、fh(2θ)は、主要ピークP1、P2、ハローに対応する関数を示している。3つの関数の和であるf(2θ)=fp1(2θ)+fp2(2θ)+fh(2θ)をX線回折スペクトル全体のフィッティング関数(図7)として、最小二乗法によるフィッティングを行った。
フィッティング変数は、ap1、bp1、cp1、ap2、bp2、cp2、ah、bh、chの9つである。各変数のフィッティングの初期値として、bp1、bp2、bhにはX線回折のピーク位置(図の例では、bp1=21.3、bp2=24.2、bh=22.5)を、他の変数には適宜入力して2つの主要ピークとハローとをX線回折スペクトルにできる限り一致させて得られる値を設定した。フィッティングについては、Microsoft社製Excel2003のソルバーを利用して行った。
フィッティング後の2つの主要なピーク(P1、P2)に対応するガウス関数fp1(2θ)、fp2(2θ)、及びハローに相当するガウス関数fh(2θ)のそれぞれについての積分面積(SP1、Sp2、Sh)から、(Sp1+Sp2)を(C)、Shを(A)としたとき、結晶化部位の量を示す指標である比率(C)/((C)+(A))を算出する。
各種のトナーと、その性状との関係を次の表8に示す。
Figure 0006075682
次に、本発明者らは、現像剤中に混合する磁性キャリアを製造した。具体的には、シリコーン樹脂(オルガノストレートシリコーン)100重量部と、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン5重量部と、カーボンブラック10重量部と、トルエン100重量部とを、ホモミキサーで20分間分散させて、樹脂層塗布液を調製した。その後、流動床型コーティング装置を用いて、体積平均粒径が35μmである球状フェライト(1000重量部)の表面に前述の樹脂層塗布液を塗布して、磁性キャリアを得た。
次に、本発明者らは、第1トナー〜第19トナーをそれぞれ個別に使用して、第1現像剤〜第19現像剤という19種類の現像剤を製造した。トナーと磁性キャリアとの割合については、トナー(第1トナー〜第19トナーの何れか)5重量部に対し、磁性キャリア95重量部とした。
なお、後述する実施形態に係るプリンタに用いられるトナーの上記比率(C)/((C)+(A))は、0.15以上であることが、定着性と耐熱保存性の両立の観点から好ましい。0.20以上であることがより好ましく、0.30以上であることが更に好ましく、0.45以上であることが特に好ましい。トナーにワックスを含有させている場合、2θ=23.5〜24[°]の位置にワックス固有の回折ピークが現れることが多い。しかし、トナー全重量に対するワックス含有量が15[wt%]以下である場合には、ワックス固有の回折ピークの寄与が僅かであることから考慮しなくてもよい。ワックス含有量が15[wt%]を超える場合には、結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度から、ワックスの結晶構造に由来するスペクトルの積分強度を差し引いた値を、上述した「結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度(C)」と置き換えることとする。従来公知の、結晶性樹脂やワックスを添加剤程度に含むようなトナーは、この比率がおおよそ0.15未満である。
本発明者らは、プリンタ試験機を用意した。そして、このプリンタ試験機を用いて、第1現像剤〜第21現像剤についてそれぞれ定着性((耐ホットオフセット性・定着幅)を試験した。具体的には、それぞれの現像剤により、感光体上で3cm×8cmのベタ画像を現像し、これを感光体から転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)の全面に転写した。このとき、転写バイアスについては、転写後のトナー付着量を0.85±0.10[mg/cm]にする値に設定した。
次に、図4に示される定着装置950を用意した。この定着装置950は、ヒーター952を内包する定着ローラ951と、これに当接して定着ニップを形成する且つローラ953とを有している。21種類の現像剤についてそれぞれ、テスト画像を印字したプリント紙を複数作成した。そして、それぞれの現像剤によるテスト画像について、定着装置950の定着ローラ951の温度を変化させながら、プリント紙にテスト画像を定着させる処理をそれぞれの温度で行った。そして、定着後のテスト画像の定着度合いを確認して、定着下限温度を評価した。また、同様にして、ホットオフセットの有無の目視評価に基づいて、ホットオフセットを発生させない定着上限温度を評価した。更に、定着下限温度と定着上限温度との差を定着幅とした。
なお、定着ニップに対する通紙速度については、280mm/secに設定した。また、ローラの当接圧については、2.0kgf/cmに設定した。また、定着ニップ幅(ローラ表面移動方向の長さ)については、11.2mmに設定した。
また、一般に、定着幅が広いほど耐ホットオフセット性に優れ、約50℃が従来のフルカラートナーの平均的な温度幅である。
次に、本発明者らは、各トナーについてそれぞれ、耐熱保存性(針入度)を評価する実験を行った。具体的には、50mlのガラス容器にトナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した。このトナーを24℃に冷却し、針入度試験(JISK2235−1991)により針入度(mm)を測定し、次に列記する基準に基づいて評価した。なお、針入度の値が大きいほど耐熱保存性が優れていることを示し、5mm未満の場合には、使用上問題が発生する可能性が高い。
〔評価基準〕
◎:針入度25mm以上。
○:針入度15mm以上25mm未満。
△:針入度5mm以上15mm未満。
×:針入度5mm未満。
[トナーの固着性]
次に、本発明者らは、19種類のトナーについて、トナー補給装置における搬送ポンプ(例えば搬送ポンプ38Y)の内壁に対する固着性を調べる実験を行った。具体的には、実施形態に係るプリンタと同様の構成のプリンタ試験機を用意した。そして、プリンタ試験機のK用のトナーカートリッジ(32K)に、被検対象となるトナーを充填して、テスト画像を連続プリントする連続プリントテストを行った。プリンタ試験機のK用の現像装置内におけるK現像剤のトナーと磁性キャリアとの混合比については、概ね、トナー7重量部に対し、磁性キャリア93重量部とした。
連続プリントテストにおいて、定着装置20における定着温度については、定着ローラの表面温度の検知結果に基づいて、トナーの定着下限温度+10[℃]に保たれるようにした。
まず、第1プリントテストを実施した。
具体的には、32℃の温度化で画像面積率0.5%のチャート画像をA4サイズの記録紙に対して連続プリントする動作を8時間連続して実施した。この第1プリントテストでは、室温を32℃という比較的高い温度に設定することで、モーノポンプからなる搬送ポンプのロータとステータの間に挟まったトナーを熱と圧によって固着させ易い状況にしている。
この第1プリントテストにおいて、トナーが耐熱性や耐圧性の低さによってロータやステータに固着することに起因するポンプ不動作(ロック)の発生有無を調べた。当然ながら、耐熱性や耐圧性が高くて搬送ポンプの不動作(ロック)を発生させないトナーであることが望ましい。
また、耐熱性や耐圧性が低いトナーでは、搬送ポンプのロックを発生させるまでには至らなくても、大きな凝集塊を形成することがある。この凝集塊が現像装置内に補給されるとドクターブレード(52)と現像ローラ(51)との間に挟まって画像上に白スジを発生させることがある。第1プリントテストでは、この白スジの発生有無も調べた。この試験は加速試験であるため、スジの本数で3本以下であれば実使用上はほぼ問題なく使用できると考えられる。4本以上、特にスジが集まったような帯にまでなると文字であっても抜けるようになるため、設置環境によって品質が保てなくなる。
第1プリントテストにおいて、定着幅が極めて小さい第18トナーを用いた場合には、第18トナーが定着ローラにホットオフセットすることによる記録紙のジャムを多発させたことから、連続プリントを行うことができなかった。このため、評価不能とした。
また、第1プリントテストにおいて、トナーとして第19トナーを用いた場合には、搬送ポンプのロックが発生した。第19トナーは定着下限温度+10℃が150℃と比較的高い温度になり、機内温度の上昇が厳しかったからだと考えられる。(定着下限温度が高いためにシステムとしての成立余裕度が狭まったとも言える)。
次に、擬似プリントテストを行った。
この擬似プリントテストでは、プリンタ試験機の代わりに、単体のトナー補給装置を用いた。トナー補給装置の搬送ポンプから吐出されるトナーを容器に入れる構成で、画像面積率が5%であるテストチャート画像を500[千枚]の記録シートに出力する場合のトナー消費量(以下、500K相当補給量という)に相当するトナー補給動作を実施した。250[千枚]の記録シートに出力する場合のトナー消費量に相当するトナー補給量になる直前と、500K相当補給量になる直前とでそれぞれ、搬送ポンプから排出されるトナーを20gだけ別の容器に受け、それを目開き106μmの篩いにかけて凝集塊を捕捉した。そして、その凝集塊の重量を凝集体量として測定した。
凝集体量は画質と相関があり、20g中の凝集体量が5mg以下であれば、画像はほとんど問題が無く、5〜10mgであれば画像への影響は軽微(黒ベタ中に小さい黒ポチが数個レベルで目立たないレベル)であることがわかった。実用に耐え得る凝集体量は、10mg/20g以下であると考えられる。
次に、第2プリントテストを実施した。
具体的には、擬似プリントテストを行った搬送ポンプと、トナーとをプリンタ試験機にセットし、全ベタ画像を20枚の記録シートに連続して出力した。そして、プリント紙のベタ画像について、黒ポチや白抜けの有無を確認した。また、Kについて、500[千枚]の連続プリントに相当するトナー補給を伴う擬似プリントテストを行った後、K用の搬送ポンプを分解してロータの重量を測定した。そして、測定結果の初期重量からの差分を、トナー固着重量△Wとして求めた。
この擬似プリントテスト及び第2プリントテストの組み合わせは、搬送ポンプの経年劣化の状況を調べるものであり、ロータへのトナー固着を重量で調査するとともに、その際の画像への影響度を評価している。第2プリントテストを実施した後に確認されたロータへのトナー固着重量△Wは小さいほうが良く、画像異常も当然ながら無いほうが望ましい。
なお、第16トナーを用いた場合には、ロータに固着したトナー塊によってステータが削られ、これによってポンプ部内でロータ〜ステータ間のエアー漏れが発生したことから、トナーの搬送不良を引き起こした。このため、500[千枚]の連続プリントを実施することができなかったことから、評価不能であった。
以上の実験の結果を、次の表9に示す。
Figure 0006075682
[追加実験]
次に、本発明者らは、追加実験を行った。
この追加実験は、トナー粉体に金属石鹸を含有させることによる有効性を調べる目的で行った。
トナー粉体に含有させる金属石鹸としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチュウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸基を有するものなどを例示することができる。また、同じ脂肪酸基であるオレイン酸亜鉛、オレイン酸バリウム、オレイン酸鉛、オレイン酸亜鉛、オレイン酸バリウム、オレイン酸鉄、オレイン酸ニッケル、オレイン酸コバルト、オレイン酸銅、オレイン酸ストロンチュウム、オレイン酸カルシウム等のオレイン酸基を有するものなどでもよい。さらに、パルチミン酸亜鉛、パルチミン酸バリウム、パルチミン酸鉛、パルチミン酸鉄、パルチミン酸ニッケル、パルチミン酸コバルト、パルチミン酸銅、パルチミン酸ストロンチュウム、パルチミン酸カルシウム等のパルチミン酸基を有するものなどでもよい。以上に、列挙したものは有機系の固形金属石鹸となり易く、トナーとの相性も良い。追加実験では、金属石鹸としてステアリン酸亜鉛を使用したがこれに限定されるものではない。
金属石鹸入りのトナーを製造した。具体的には、上述した第1トナー母体100重量部と、外添剤としての疎水性シリカ(HDK−2000、ワッカー・ケミー社製)1.0重量部とを、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を4サイクル行った。その後、ステアリン酸亜鉛を0.15部追加し、周速30m/秒で30秒間混合し、1分間休止する処理を2サイクル行った。そして、目開き45μmのメッシュで篩いにかけて、第20トナーを得た。
原料として使用するトナー母体として、第1トナー母体に代えて、第2〜第15トナー母体を用いる点の他は同様にして、第21トナー〜第34トナーを得た。第20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34トナーは、金属石鹸としてのステアリン酸亜鉛が混入されている点の他が、第1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15トナーとほぼ同じ組成である。第20トナー〜第34トナーを製造する際に、第1トナー〜第15トナーを製造する場合に比べて、より大きな目開きのメッシュを使用したのは、金属石鹸が目詰まりし易いからである。
第21トナー〜第34トナーを用いて、第21現像剤〜第34現像剤を製造した。トナーと磁性キャリアとの混合比については、第1現像剤と同じにした。即ち、トナー7重量部と、磁性キャリア93重量部とを混合した。
次に、先の実験と同様にして、第1プリントテスト、擬似プリントテスト、及び第2プリントテストを行った。第20トナーは、第1トナーとトナー母体が同じであることから、定着性や保存性が第1トナーと全く同じであった。第21トナー〜第34トナーも同様に、定着性や保存性が第2トナー〜第15トナーと全く同じであった。但し、トナー固着重量△Wの結果に差異が認められた。
追加実験の結果を、次の表10に示す。
Figure 0006075682
表9を参照すると、第1トナー〜第15トナーでは、第1プリントテスト、擬似プリントテスト、第2プリントテストの成績がそれぞれ優れているのに対し、第16トナー〜第19トナーでは、それらのテストの成績が悪くなっているのがわかる。
成績が悪かった第16トナー〜第19トナーの群で共通している性状について検討すると、何れも、ウレア結合を有していないことがわかる。但し、成績が良かった第4トナー、第6トナー、第11トナー、第12トナーの4つも、ウレア結合を有していない。
そこで、第16トナー〜第19トナーの群と、第4トナー、第6トナー、第11トナー及び第12トナーの群とで、他の性状について比較してみると、結着樹脂比率(結晶性ポリエステルユニットの結着全体に対する質量%)に有意差が認められる。具体的には、成績が悪かった第16トナー〜第19トナーの群において、第16トナーや第17トナーは、ウレタン変性結晶性ポリエステルユニットを全く含んでいない。また、成績の悪かった第21トナーは、結晶性ポリエステルユニットを15質量%しか含んでいない。このため、N元素量が極めて少ない。また、成績の悪かった第19トナーは、結晶性ポリエステルユニットの比率((C)+((C)+(A))が0.01という非常に低い値になっている。これに対し、第4トナー、第6トナー、第11トナー及び第12トナーの群では、ウレタン変性結晶性ポリエステルがベースとなっており、何れもN元素量が多く、比率((C)+((C)+(A))が0.15以上になっている。
なお、第19トナーについては、通紙に問題があったため、擬似プリントテストだけを行った。また、500[千枚]のプリントに相当するトナー補給動作を行った後に通紙を1枚だけ行った。この紙は定着装置を通過後にジャムしたが、画像を見る限り、白スジや凝集体による異常画像はなかった。さらに、ロータへの固着重量△Wも測定を行った。結果は、前述した表9に記載の通りである。
第20トナーは定着幅が狭いため、画像形成装置で使用するには定着制御の洗練化などの課題が大きく、実使用に難のあるトナーであると言える、本発明の主眼である補給での不具合については問題ないと考えられる。
第18トナーの定着性の悪さは、結晶性のポリウレタン樹脂を1種類しか含有していないことに起因して、融けたあとの粘弾性を示すG’(140)が非常に低くなっていることが原因になっていると考えられる。これを避けるためには、結晶性樹脂として、第1の結晶性樹脂と第2の結晶性樹脂、望ましくは第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第2の結晶性樹脂とを使用することが望ましい。
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成について説明する。
これまで説明した実験の結果に鑑みて、実施形態に係るプリンタにおいては、次のような性状のトナーを用いるようになっている(トナーカートリッジに収容している)。即ち、ウレタン結合及びウレア結合のうち少なくとも何れか一方を主鎖に具備する結晶性樹脂を含有するものであり、且つ、前記トナーのX線回折スペクトルにおける結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をC、前記X線回折スペクトルにおける結着樹脂の非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAでそれぞれ表した場合に、「C/(C+A)」の解が0.15以上という性状のトナーである。トナー中の結着樹脂における前記結晶性ポリエステルユニットの割合については、50質量%以上であることが望ましい。
従来の低温定着トナーは、結着樹脂として、少なくとも結晶性ポリエステルを含有させて低温定着性を向上させているが、結晶性ポリエステル単独では、画像欠けが生じ易いことから、非晶質性樹脂も多く含有させていた。そして、非晶質性樹脂が、搬送ポンプでのトナー搬送に伴うトナー凝集や固着を引き起こし易くなる原因になっていた。従来の低温定着トナーを使用した画像形成装置でも、このトナー凝集、固着に対応するために、モーノポンプのロータの表面にメッキを施したり、トナーにステアリン酸亜鉛などの金属石鹸を外添したりするなどの低温定着トナー用にカスタマイズする必要があり、コストアップ要因となっていた。
一方、実施形態に係るプリンタに用いられるトナーは、主鎖にウレタン結合又はウレア結合を具備する結晶性樹脂を含んでいることで、結晶性樹脂同士の結合力を強くして、定着ニップでの加圧に対して耐性を持つようになる。これにより、非晶質性樹脂に頼ることなく、画像欠けの発生を抑えることが可能になっている。このため、非晶質性樹脂を全く含まないか、含んだとしてもその比率を従来よりも大幅に下げることが可能になっている。これにより、結晶性ポリエステルユニットを主成分として含有しているにもかかわらず、画像欠けのないシャープな画像の形成を可能にしている。
トナーの結着樹脂として用いる結晶性樹脂としては、主鎖にウレア結合を有するものを用いることがより望ましい。主鎖にウレア結合を有することで、樹脂の構造が強化され、圧に対して非常に強くすることができうからである。圧に対する耐性をより高くすることで、設計自由度の高い(=低コスト設計のしやすい)低温定着システムを作ることが可能になる。また、設計自由度が高いことにより多くの機械で共通使用することによるコストダウンを図ることも可能になる。
トナーとしては、全成分のうち、テトラヒドロフランに溶解可能な成分中における炭素元素、水素元素及び窒素元素の重量の和に対する窒素元素の重量の割合が0.3〜2.0[wt%]であるものを用いることが望ましい。これは次に説明する理由による。即ち、トナー中にウレタン結合「−O−CO−NH−」があることで、耐圧性を保持させることが可能になる。しかし、ある程度以上の比率よりもウレタン結合が増えるとウレタン結合そのものも非結晶性部位であるため、低温定着性が阻害される。よって、ウレタン結合の量については、圧に対して強くなる程度には多く、低温定着を阻害しない程度に少なくする必要がある。その比率についてはCHN分析を行うことで確認することができ、前記割合が0.3〜2.0[wt%]であると適度なウレタン結合量になることがわかった。
トナーとしては、第1の結晶性樹脂と、前記第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第2の結晶性樹脂とを含有するものを用いることが望ましい。第1の結晶性樹脂は、主鎖にウレタン結合及び/又はウレア基結合を有する結晶性樹脂であり、且つ、前記第2の結晶性樹脂は、前記第1の結晶性樹脂を変性した前記結着樹脂前駆体を、活性水素基を有する化合物と反応させ、伸長させてなるものであることが好ましい。前記第1の結晶性樹脂と前記第2の結晶性樹脂の組成構造を近づけることによって、2種の結着樹脂がトナー中でより均一に分散しやすくなり、トナー粒子間の特性のバラツキを更に抑えることができる。前記結晶性樹脂は、前記結晶性樹脂と非結晶性樹脂を併用してもよく、結着樹脂の主成分が前記結晶性樹脂であることが好ましい。第2の結晶性樹脂は、イソシアネート基を有する変性結晶性樹脂である結着樹脂前駆体を使用し、活性水素基を有する化合物と反応させることで、樹脂を伸長させてなるものであることが好ましい。この場合、結着樹脂前駆体と活性水素基を有する化合物の反応は、トナー製造過程で行われることがより好ましく、重量平均分子量が大きい結晶性樹脂をトナー中に均一に分散することができ、トナー粒子間の特性のバラツキを抑えることができる。
結晶性樹脂を使って低温定着なトナーを設計する場合に、平均分子量の低いトナーだけで設計すると確かにシャープに融け易くなるが、定着部剤にも接着し易く、温度が上がると簡単にホットオフセットが発生し易い。実際に画像形成装置のシステムとして成立させるためには低温でトナーが融けると同時により高温でホットオフセットが発生するようなトナーのほうが使い易い。特に、近年においては、普通紙でもやや薄めの紙や厚めの紙などが登場してきており、それらを同じプロセススピードで使いこなそうとすれば、定着温度の設定余裕度が広くないと(=幅広い温度でホットオフセットなどの不具合なくトナーが融けるようになっていないと)成立させ難く、画像形成装置として高い生産性で使えない紙が増えてしまう。そのため定着温度の設定幅の広いトナーのほうが望ましい。
平均分子量の低い樹脂と高い樹脂の2種類の結晶性樹脂を使うことで、低分子成分で紙のような表面に凹凸のあるものに対しての低温定着性を発現させつつ、定着部材のように塗れ性の低いものに対しては高分子成分があることで接着し難くなり、ホットオフセットさせ難くすることができる。このようなトナーを使うことで紙種設定の余裕度の高い、ユーザーフレンドリーな画像形成装置を提供することができる。
また、トナーとしては、末端にイソシアネート基を具備する変性結晶性樹脂を伸長させたものを用いることが望ましい。末端にイソシアネート基(−NCO)を有する樹脂を伸張させることにより、樹脂の内部にウレタン基をある程度の割合で入れることができるからである。トナー中のウレタン結合の割合をある程度に限定することにより、熱、圧、低温定着を成立させるようなトナーを得ることができる。
また、トナーとしては、トナー粒子に対して外添された金属石鹸を含有するものを用いることが望ましい。金属とゴムでこすれあうところに金属石鹸が入り込むことですべり性が改善される。またロータ表面に金属石鹸の被覆が出来て、剥がれる、という事象を繰り返すことで絶えずロータの表面がリフレッシュされ、トナー固着が防止される。その結果としてトナー凝集が抑制される。圧に対して強いトナーに対してさらに外部添加することでシステムとしての余裕度を確保することができる。
表10に示したように、金属石鹸を含有させたトナーでは、トナー含有させていないトナーに比べて、△Wを減少させていることがわかる。これは金属石鹸(この例ではステアリン酸亜鉛)の付加により経時の耐久余裕度が向上したことを意味している。また、凝集体量は篩の叩き方によって差異が出てしまう場合があるが、重量は測定ばらつきの影響を受け難いため、△Wのほうが信頼性の高い結果であると考えられる。
低温定着性と耐熱保存性をより高いレベルで両立し、耐ホットオフセット性に優れるものとするために、トナーとしては、示差走査熱量計(DSC)により測定される昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度が、50℃以上70℃以下の範囲にあり、且つ、昇温2回目の融解熱量が30J/g以上、75J/g以下であるものを用いることが好ましい。トナーの融解熱の最大ピーク温度は、50℃未満であると、高温環境下でトナーのブロッキングが発生し易くなり、70℃を超えると、低温定着性が発現し難くなる。また、最大ピーク温度は55℃以上68℃以下がより好ましく、58℃以上65℃以下が特に好ましい。
トナーの融解熱量は、30J/g未満であると、トナー中における結晶構造を有する部位が少なくなり、シャープメルト性が低下し、耐熱保存性と低温定着性のバランスが得られ難くなる。また、75J/gを超えると、トナーを溶融させて定着するために必要なエネルギーが大きくなり、定着装置によっては定着性が悪化してしまうことがある。また、融解熱量は、45J/g以上70J/g以下がより好ましく、50J/g以上60J/g以下が特に好ましい。
結晶性樹脂の融解熱の最大ピーク温度としては、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から、50℃〜70℃が好ましく、55℃〜68℃がより好ましく、60℃〜65℃が特に好ましい。最大ピーク温度が、50℃より低い場合は、低温定着性は良くなるが耐熱保存性が悪化し、70℃より高い場合は逆に耐熱保存性は良くなるが低温定着性が悪化する。
結晶性樹脂の軟化温度と融解熱の最大ピーク温度との比(軟化温度/融解熱の最大ピーク温度)は、0.8〜1.6であるが、0.8〜1.5が好ましく、0.8〜1.4がより好ましく、0.8〜1.3が特に好ましい。前記比が小さい程、樹脂が急峻に軟化する性状を持ち、低温定着性と耐熱保存性の両立の観点から優れている。
トナーの融解熱の最大ピーク温度については、樹脂と同様に、示差走査熱量計(DSC)(例えば、TA−60WS及びDSC−60(島津製作所製))を用いて測定することが可能である。融解熱の最大ピーク温度の測定に供する試料を、20℃から150℃まで昇温速度10℃/分間で昇温し、次いで降温速度10℃/分間で0℃まで冷却した後、再び昇温速度10℃/分間で昇温して吸発熱変化を測定して、「吸発熱量」と「温度」とのグラフを描き、吸熱量の最大ピークに対応する温度を、昇温2回目の融解熱の最大ピーク温度とする。また、この時の前記最大ピーク温度を有する吸熱ピークの吸熱量を、昇温2回目の融解熱量とする。
また、トナーとしては、80℃における貯蔵弾性率G‘(80)(Pa)が1.0×10以上5.0×10以下であり、且つ、140℃における貯蔵弾性率G‘(140)(Pa)が1.0×10以上、5.0×10以下であるものを用いることが好ましい。貯蔵弾性率G‘(80)(Pa)が1.0×10Pa未満であると、定着画像の連続出力後に、定着画像同士が貼り付くブロッキング現象が発生し易くなる。また、5.0×10Paを超えると、低温領域でのトナーの溶融性が低下し、定着画像の光沢が低くなる傾向にある。貯蔵弾性率G‘(80)は1.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下がより好ましく、5.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下が特に好ましい。
貯蔵弾性率G‘(140)(Pa)が1.0×10Pa未満であると、耐ホットオフセット性が悪化する傾向がある。また、5.0×10Paを超えると、定着画像の光沢が低くなる傾向にある。貯蔵弾性率G‘(140)は、1.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下がより好ましく、5.0×10Pa以上、1.0×10Pa以下が特に好ましい。
また、トナーとしては、THF可溶分のN元素の量が0.3〜2.0wt%の範囲にあるものを用いることが好ましい。0.5〜1.8wt%の範囲にあることがより好ましく、0.7〜1.6wt%であることが更に好ましい。2.0wt%を超えると、トナーの溶融状態での粘弾性が高くなり過ぎることによる定着性の悪化や光沢の低下、帯電性の悪化などが発生する可能性がある。また、0.3wt%未満であるとトナーの強靭性の低下による画像形成装置内での凝集や部材汚染、トナー溶融状態での粘弾性の低下による高温オフセットの発生の不具合が生じる可能性がある。
また、トナーの結晶性樹脂の重量平均分子量Mwとしては、定着性の観点から、2000〜100000が好ましく、5000〜60000がより好ましく、8000〜30000が特に好ましい。重量平均分子量Mwが、2000より小さい場合は耐ホットオフセット性が悪化する傾向にあり、100000より大きい場合は低温定着性が悪化する傾向にある。
次に、実施形態に係るプリンタの変形例について説明する。なお、以下に特筆しない限り、変形例に係るプリンタの構成は、実施形態と同様である。
図8は、実施例に係るプリンタにおけるY用の現像装置の第1現像剤収容部53Y及び第2現像剤収容部54Yを示す平断面図である。第2現像剤収容部54Y内には、第2搬送スクリュウ56Yが配設されている。また、第2現像剤収容部54Yには、第2現像剤収容部54Yに対してスクリュウ軸線方向に並んでいる現像剤投入室が連結しており、両者は互いに連通している。
第2搬送スクリュウ56Yの現像剤搬送方向の上流側端部には、投入トナー搬送スクリュウ部57Yが形成されている。そして、この投入トナー搬送スクリュウ部57Yは現像剤投入室内に位置している。実施形態に係るプリンタでは、第2現像剤収容部54Yに対してトナーを上方から投入していたが、実施例に係るプリンタでは、投入トナー搬送スクリュウ部57Yを収容している現像剤投入室に対してトナーを上方から投入するようになっている。現像剤投入室内には、磁性キャリアが殆ど存在しておらず、新たに投入されたトナーだけが収容されている。
第2搬送スクリュウ56Yが回転すると、第2搬送スクリュウ56Yと一体となって回転する投入トナー搬送スクリュウ部57Yが、現像剤投入室内のトナーを第2現像剤収容部54Y内に送り込む。送り込まれたトナーは、第2搬送スクリュウ56Yの回転軸部材の周囲に万遍なく行き渡る。このため、現像剤を回転軸部材の周囲に保持している第2搬送スクリュウ56Yに対してトナーを上方から投入する場合とは異なり、現像剤の上のトナーと、トナーの下の現像剤とを互いに滑らせて現像剤に対するトナーの混合不良を引き起こす、といった事態の発生を回避することができる。
図9は、上記現像剤投入室に対してトナーを投入するY用のトナー補給装置80Yを、トナーカートリッジ32Y及び現像装置5Yとともに示す側面図である。トナー補給装置80Yは、トナーカートリッジ32の開口部から排出されるトナーを受けるサブホッパー部81と、サブホッパー部82から現像装置5Yにトナーを送るための搬送管82Yとを有している。搬送管82Y内には、回転に伴ってトナーを搬送するスクリュウ部材が配設されている。搬送管82Y内で搬送されるトナーは、搬送管82Yの先端部を経由して現像装置5Yの現像剤投入室に投入される。
図10は、Y用のトナー補給装置80Yを示す横断面図である。同図において、搬送管82Yについては、断面の部分だけを示しているが、実際には、断面よりもトナー搬送方向上流側に位置している管部分が断面の位置から鉛直方向下方に向けて延びている。トナー補給装置80Yのサブホッパー部81Y内には、トナーエンド検知センサー83Yと、攪拌装置85Yとが配設されている。撹拌装置85Yは、可撓性を発揮する板状攪拌部材の先端をサブホッパー部81Yの内壁に摺擦させながら、板状撹拌部材を回転駆動することで、サブホッパー部81Y内のトナーを撹拌する。この撹拌の際、一部のトナーがサブホッパー部81Yの隔壁84Yを乗り越えて搬送管82Yの中に進入する。そして、搬送管82Y内をスクリュウ部材によって管長手方向に沿って搬送されて、現像装置(5Y)の現像剤投入室に投入される。
トナーが固着、凝集しやすい場合は、この撹拌装置85Yの板状撹拌部材85Yにトナーが固着したり、搬送管82Y内のスクリュウ部材における螺旋状の空間内でトナーが固まったりする。すると、その固着物が現像装置内まで搬送されて異常画像を引き起こしたり、スクリュウ部材の螺旋空間内で固まったトナーがトナーの搬送を妨げてトナー補給量を不安定にしたり、スクリュウ部材の回転動作をロックしたりすることがある。これらの不具合のうち、まず初めに発生するのが、トナーの大きな固着物による異常画像である。具体的には、固着部材が感光体上に付着し、その周りが転写されなくなる白抜け画像や、固着物が現像装置の現像ローラによる現像剤の汲み上げを阻害することによる白スジ画像などである。
なお、Y用の現像装置やトナー補給装置について説明したが、M,C,K用の現像装置やトナー補給装置もY用のものと同様の構成になっている。
本発明者らは、実施例に係るプリンタと同様の構成のプリンタ試験機を用意した。そして、このプリンタ試験機によってテストプリントを行った結果に基づいて画質を評価した。画質としては、上述した白抜け、白スジについて評価を行った。
[画像の白抜け]
画像面積率0.5%のチャート画像を5万枚出力後、紙全面ベタ画像を出力した際の画像部における白点状にトナーが抜けた部分の有無について、目視による評価を行った。評価基準としては、次の4段階を採用した。
◎:画像部に白点状にトナーが抜けた部分がまったくなく、優良な状態。
○:画像部に白点状にトナーが抜けた部分がごくわずかに見られる程度で、良好な状態。
△:画像部に白点状にトナーが抜けた部分がわずかに見られるが、実使用上問題ないレベル。
×:画像部に白点状にトナーが抜けた部分が多数見られ、実使用上問題となるレベル。
[トナーの凝集体に起因する画像の白スジやポチ画像]
プリンタ試験機により、20%画像面積率のチャート画像を1000枚の記録紙に出力した。その後、温度=40℃、湿度=70%の高温高湿環境で2ヶ月間放置した後、テストプリントを行った。そして、トナーの凝集体に起因するドクターブレード(例えば52Y)の詰まりによる白スジやポチ画像の評価を行った。評価基準としては、次の4段階を採用した。
◎:画像部に白スジが全くなく、且つ凝集体のポチ画像もない、優良な状態。
○:画像部に白スジがなく、ごくわずかに凝集体によるポチ画像が見られる程度の良好な状態。
△:画像部に白スジはなく、凝集体によるポチ画像がわずかに見られるが、実使用上問題ないレベル。
×:画像部に白スジが見られ、ドクターブレードが詰まり、実使用上問題となるレベル。
トナー番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、13、15、16のトナーについて実験を行った結果を次の表11に示す。
Figure 0006075682
表11に示されるように、トナーの固着のし易さという点では、モーノポンプを用いている実施形態のプリンタとほぼ同様の結果が得られていることがわかる。
6Y,M,C,K:作像装置(作像手段)
32Y,M,C,K:トナーカートリッジ(トナー収容手段)
38Y:搬送ポンプ
特開2010−077419号公報 特開2009−014926号公報 特開2010−151996号公報 特開2005−266511号公報 特開2011−164530号公報 特開2010−85478号公報

Claims (7)

  1. トナーを用いてトナー像を作像する作像手段と、前記作像手段に供給するためのトナーを収容するトナー収容手段と、前記トナー収容手段から排出されたトナーを前記作像手段に向けて搬送する搬送手段とを備える画像形成装置であって、
    前記トナーが、ウレタン結合及びウレア結合のうち少なくとも何れか一方を主鎖に具備する結晶性樹脂を含有するものであり
    記トナーのX線回折スペクトルにおける結着樹脂の結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をC、前記X線回折スペクトルにおける結着樹脂の非結晶構造に由来するスペクトルの積分強度をAでそれぞれ表した場合に、「C/(C+A)」の解が0.15以上であり、
    且つ、前記トナーの全成分のうち、テトラヒドロフランに溶解可能な成分中における炭素元素、水素元素及び窒素元素の重量の和に対する窒素元素の重量の割合が0.3〜2.0[wt%]であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1の画像形成装置であって、
    前記トナーが、結晶性ポリエステルユニットを具備する結晶性樹脂を含有するものであることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2の画像形成装置であって、
    前記トナーが、主鎖にウレア結合を具備する結晶性樹脂を含有するものであることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1乃至の何れかの画像形成装置において、
    前記トナーが、結晶性樹脂として、第1の結晶性樹脂と、前記第1の結晶性樹脂よりも重量平均分子量Mwが大きい第2の結晶性樹脂とを含有するものであることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項の画像形成装置において、
    前記第2の結晶性樹脂が、末端にイソシアネート基を具備する変性結晶性樹脂を伸長させたものであることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1乃至の何れかの画像形成装置において、
    前記トナーの示差走査熱量計(DSC)による昇温1回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh1stと、昇温2回目の融解熱ピークのショルダー温度Tsh2ndとの比Tsh2nd/Tsh1stの値が0.90以上1.10以下であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1乃至の何れかの画像形成装置において、
    前記トナーが、トナー粒子に対して外添された金属石鹸を具備するものであることを特徴とする画像形成装置。
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