JP6073700B2 - 強化ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明のより好適な態様の一つは(3)C成分が、ガラス繊維であることを特徴とする上記構成(1)または(2)に記載の強化ポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(4)C成分が、繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が3.2〜8である扁平断面ガラス繊維を含むガラス繊維であることを特徴とする上記構成(3)に記載の強化ポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(5)C成分が、炭素繊維であることを特徴とする上記構成(1)または(2)に記載の強化ポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(6)D成分が下記一般式〔1〕で表されるペンタエリスリトールジホスファイト系化合物であることを特徴とする上記構成(1)〜(5)のいずれかに記載の強化ポリカーボネート樹脂組成物である。
本発明のより好適な態様の一つは(8)成形品の表面をヒドラジンにて処理後、残存するB成分の平均フィブリル径が0.01〜3μmであることを特徴とする上記構成(1)〜(7)のいずれかに記載の強化ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品である。
(A成分:芳香族ポリカーボネート樹脂)
本発明のA成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを界面重縮合法、溶融エステル交換法で反応させて得られたものの他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させて得られるものである。ここで使用されるジヒドロキシ成分としては、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよい。ジヒドロキシ成分の主成分はビスフェノール類が好ましいが、本発明の趣旨を損なわない範囲であれば脂肪族ジオール類を一部用いることもできる。ビスフェノール類としては、例えば4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,3’−ビフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエ−テル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエ−テル、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’−ジフェニル−4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス{2−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’−(1,3−アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン等および下記一般式〔2〕
分子量が50,000を越えると溶融粘度が高くなりすぎて成形性に劣る場合があり、分子量が12,000未満であると機械的強度に問題が生じる場合がある。なお、本発明でいう粘度平均分子量は、まず次式にて算出される比粘度を塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
本発明のB成分として使用される液晶ポリエステル樹脂とは、サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂であり、溶融状態でポリマー分子鎖が一定方向に配列する性質を有している。かかる配列状態の形態はネマチック型、スメチック型、コレステリック型、およびディスコチック型のいずれの形態であってもよく、また2種以上の形態を呈するものであってもよい。更に液晶ポリエステル樹脂の構造としては主鎖型、側鎖型、および剛直主鎖屈曲側鎖型などのいずれの構造であってもよいが、好ましいのは主鎖型液晶ポリエステル樹脂である。
1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物から合成される液晶ポリエステル樹脂、
2)主としてa)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、b)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、並びにc)芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、から合成される液晶ポリエステル樹脂、
3)主としてa)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、並びにc)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、から合成される液晶ポリエステルアミド樹脂、
4)主としてa)芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、b)芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、c)芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、並びにd) 芳香族ジオール、脂環族ジオール、脂肪族ジオール及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物、から合成される液晶ポリエステルアミド樹脂が挙げられるが、1)主として芳香族ヒドロキシカルボン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる1種又は2種以上から合成される液晶ポリエステル樹脂が好ましい。
更に上記の構成成分に必要に応じ分子量調整剤を併用しても良い。
エステル交換率(%)=100×(エステル交換反応物由来のピークより算出した積分比)/(エステル交換反応物由来のピークより算出した積分比+ポリカーボネート樹脂由来のピークより算出した積分比)
本発明のC成分として使用される繊維状強化充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アスベスト、ロックウール、セラミック繊維、スラグ繊維、チタン酸カリウムウィスカー、ボロンウィスカー、硼酸アルミニウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、酸化チタンウィスカー、並びにこれらの強化剤に対して金属等の異種材料を表面被覆した繊維等が挙げられ、またこれらの二種以上を組み合わせて使用することもできる。
ガラス繊維や炭素繊維は、例えば長繊維タイプ(ロービング)や短繊維状のチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。尚、ミルドファイバーにおいてはその数平均アスペクト比は5以上であることが好ましい。
本発明のD成分として使用されるリン系安定剤としては、ホスファイト化合物、ホスホナイト化合物、ホスフィナイト化合物、ホスフィン化合物、ホスフェート化合物、ホスホネート化合物、ホスフィネート化合物、ホスフィンオキシド化合物、ホスファゼン化合物、などが挙げられ、その中でもホスファイト化合物が好ましい。
また、本発明の強化ポリカーボネート樹脂組成物は本発明の効果を損なわない範囲で通常ポリカーボネート樹脂に配合される各種の難燃剤、強化充填材、添加剤を配合することができる。
かかる添加剤としては、ヒンダードフェノール系安定剤、紫外線吸収剤、染顔料、熱安定剤、帯電防止剤などが挙げられる。
本発明の強化ポリカーボネート樹脂組成物には、難燃性ポリカーボネート樹脂の難燃剤として知られる各種の化合物が配合されてよい。かかる化合物の配合は難燃性の向上をもたらすが、それ以外にも各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。かかる難燃剤としては、(i)有機金属塩系難燃剤(例えば有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、有機ホウ酸金属塩系難燃剤、および有機錫酸金属塩系難燃剤など)、(ii)有機リン系難燃剤(例えば、有機基含有のモノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、およびホスホン酸アミド化合物など)、(iii)シリコーン化合物からなるシリコーン系難燃剤、(iv)フィブリル化PTFEが挙げられ、その中でも有機金属塩系難燃剤、有機リン系難燃剤が好ましい。
有機金属塩系難燃剤は炭素原子数1〜50、好ましくは1〜40の有機酸のアルカリ(土類)金属塩、好ましくは有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩であることが好ましい。この有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩には、炭素原子数1〜10、好ましくは2〜8のパーフルオロアルキルスルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩の如きフッ素置換アルキルスルホン酸の金属塩、並びに炭素原子数7〜50、好ましくは7〜40の芳香族スルホン酸とアルカリ金属またはアルカリ土類金属との金属塩が含まれる。
有機金属塩系難燃剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、0.001〜1重量部が好ましく、より好ましくは0.005〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部、特に好ましくは0.03〜0.15重量部である。
有機リン系難燃剤としては、アリールホスフェート化合物が好適である。かかるホスフェート化合物は概して色相に優れるためである。またホスフェート化合物は可塑化効果があるため、成形加工性を高められる点で有利である。かかるホスフェート化合物は、従来難燃剤として公知の各種ホスフェート化合物が使用できるが、より好適には特に下記一般式〔9〕で表される1種または2種以上のホスフェート化合物を挙げることができる。
尚、かかる一価フェノールはハロゲン原子で置換されてもよく、該一価フェノールから誘導される基を有するホスフェート化合物の具体例としては、トリス(2,4,6−トリブロモフェニル)ホスフェートおよびトリス(2,4−ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(4−ブロモフェニル)ホスフェートなどが例示される。
有機リン系難燃剤の配合量は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、好ましくは0.01〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部、さらに好ましくは2〜7重量部である。
シリコーン系難燃剤として使用されるシリコーン化合物は、燃焼時の化学反応によって難燃性を向上させるものである。該化合物としては従来芳香族ポリカーボート樹脂の難燃剤として提案された各種の化合物を使用することができる。シリコーン化合物はその燃焼時にそれ自体が結合してまたは樹脂に由来する成分と結合してストラクチャーを形成することにより、または該ストラクチャー形成時の還元反応により、ポリカーボネート樹脂に難燃効果を付与するものと考えられている。したがってかかる反応における活性の高い基を含んでいることが好ましく、より具体的にはアルコキシ基およびハイドロジェン(即ちSi−H基)から選択された少なくとも1種の基を所定量含んでいることが好ましい。かかる基(アルコキシ基、Si−H基)の含有割合としては、0.1〜1.2mol/100gの範囲が好ましく、0.12〜1mol/100gの範囲がより好ましく、0.15〜0.6mol/100gの範囲が更に好ましい。かかる割合はアルカリ分解法より、シリコーン化合物の単位重量当たりに発生した水素またはアルコールの量を測定することにより求められる。尚、アルコキシ基は炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基が好適である。
またm、n、p、qのいずれかが2以上の数値である場合、その係数の付いたシロキサン単位は、結合する水素原子や有機残基が異なる2種以上のシロキサン単位とすることができる。
Si−H基を有するシリコーン化合物としては、下記一般式〔11〕および〔12〕で示される構成単位の少なくとも一種以上を含むシリコーン化合物が好適に例示される。
フィブリル化PTFEは、フィブリル化PTFE単独であっても、混合形態のフィブリル化PTFEすなわちフィブリル化PTFE粒子と有機系重合体からなるポリテトラフルオロエチレン系混合体であってもよい。 フィブリル化PTFEは極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示すものである。その数平均分子量は、150万〜数千万の範囲である。かかる下限はより好ましくは300万である。かかる数平均分子量は、特開平6−145520号公報に開示されているとおり、380℃でのポリテトラフルオロエチレンの溶融粘度に基づき算出される。即ち、B成分のフィブリル化PTFEは、かかる公報に記載された方法で測定される380℃における溶融粘度が107〜1013poiseの範囲であり、好ましくは108〜1012poiseの範囲である。
フィブリル化PTFEの配含有量は、A成分とB成分の合計100重量部に対し、好ましくは0.1〜0.2重量部であり、0.1〜0.19重量部がより好ましく、0.1〜0.18重量部がさらに好ましい。なお、ここで示す重量部はポリテトラフルオロエチレンが混合形態(混合体)の場合は、混合体全体の重量を示す。
本発明の強化ポリカーボネート樹脂組成物には、繊維状強化充填材が含有されるが、繊維状強化充填材以外に板状強化材および粒状強化材から選択される少なくとも1種の強化充填剤を配合してもよい。
粒状強化材としては、ガラスビーズ、ガラスバルーン、カーボンビーズ、セラミック粒子、セラミックバルーン、アラミド粒子、シリカ、が挙げられる。
本発明の強化ポリカーボネート樹脂組成物を製造する方法に特に制限はなく、周知の方法を用いることができる。たとえば、溶液状態で各成分を混合し、溶剤を蒸発させるか、溶剤中に沈殿させる方法が挙げられる。工業的見地からみると溶融状態で各成分を混練する方法が好ましい。溶融混練には一般に使用されている一軸または二軸の押出機、各種のニーダー等の混練装置を用いることができる。特に二軸の高混練機が好ましい。溶融混練に際しては、混練装置のシリンダー設定温度は200〜360℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは250〜340℃である。
芳香族ポリカーボネート樹脂と液晶ポリエステル樹脂をあらかじめ溶融混練して混合物を得て、ついでこれとリン系安定剤を溶融混練して強化ポリカーボネート樹脂組成物を得ることもできる。
該樹脂組成物は、射出成形、押出成形、その他各種の成形法によって成形されるが、予め混練の過程を経ず、射出成形や押出成形時にドライブレンドして溶融加工操作中に混練して、本発明の樹脂組成物とし、直接成形加工品を得ることもできる。
なお、実施例中の各種特性の測定は、以下の方法によった。
1)B成分中のアルカリ(土類)金属量
液晶ポリエステル樹脂を硫酸、硝酸で加熱分解後、超純水で定容して検液とし、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)により、検液中のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の元素定量分析を行った。(装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー製 SPS5100型)
下記の方法により得られたペレットをメチレンクロライドに溶解させ、得られた溶液をろ紙(保留粒子径;7μm)を用いてろ過することにより得られたろ過物を120℃で6時間乾燥させた。該ろ過物を重クロロホルムに溶解させ、磁気共鳴装置を用いて1H−NMRを測定し、ポリカーボネート樹脂と液晶ポリエステル樹脂との共反応物由来の7.8〜8.1ppmのピークと、ポリカーボネート樹脂由来の7.1〜7.3ppmのピークから算出した積分比から、下記式にてエステル交換率を算出した。
エステル交換率(%)=100×(共反応物由来のピークより算出した積分比)/(共反応物由来のピークより算出した積分比+ポリカーボネート樹脂由来のピークより算出した積分比)
下記の方法により得られたペレットを120℃で5時間熱風乾燥機により乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業(株)SG−150U)を用いてシリンダー温度310℃、金型温度90℃で曲げ試験片(肉厚1.6mm)を作成し、ISO178に準じて曲げ弾性率・曲げ強さおよび曲げ歪を測定した。
下記の方法により得られたペレットを120℃で5時間熱風乾燥機により乾燥した後、流路厚1mm、流路幅8mmのアルキメデス型スパイラル長を射出成形機(住友重機械工業(株)SG−150U)によりシリンダー温度300℃、金型温度80℃、射出圧力118MPaにて射出成形した際の流動長より測定した。
下記の方法により得られたペレットを120℃で5時間熱風乾燥機により乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業(株)SG−150U)を用いてシリンダー温度310℃、金型温度90℃で曲げ試験片(肉厚1.6mm)を作成し、その外観にて下記基準にて評価を行った。
○ : 成形品にショートショット、ヒケ、バリ 無し
× : 成形品にショートショット、ヒケ、バリ あり
下記の方法により得られたペレットを120℃で5時間熱風乾燥機により乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業(株)SG−150U)を用いてシリンダー温度330℃にて20分滞留後、金型温度90℃で曲げ試験片(肉厚1.6mm)を作成し、その外観にて下記基準にて評価を行った。
○ : 成形品にショートショット、シルバー、ヒケ 無し
× : 成形品にショートショット、シルバー、ヒケ あり
1)曲げたわみ性
下記の方法により得られたペレットを120℃で5時間熱風乾燥機により乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業(株)製ULTRA220−NIVA)を使用し、図1に示すノートパソコン外装部品模擬成形品を、シリンダー温度310℃、金型温度90℃にて成形した。
得られたノートパソコン外装部品模擬成形品を平面上に静置し、成形品の一方を固定した後、固定した側と反対側の部分を150mm持ち上げた時の割れ性について評価を行った。評価方法は以下の判定基準で行った。
○ : 割れ、クラック発生無し
× : 割れ、クラック発生あり
得られたノートパソコン外装部品模擬成形品をヒドラジン一水和物に30秒間浸漬し、メタノールにて洗浄した後、成形品表面を走査型電子顕微鏡により観察し残存するB成分の平均フィブリル径を測定することにより算出した。
芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー(A成分)、液晶ポリエステル樹脂(B成分)、およびリン系安定剤(D成分)を表1記載の各配合量で配合し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー))を用いて溶融混練しペレット(E−1〜E−10)を得た。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで280℃とした。得られたペレットのエステル交換率を表1に示す。
(A成分)
PC−1:4,4’−ジヒドロキシ−2,2’−ジフェニルプロパンからなるポリカーボネート
(PC−1の製造方法)
温度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水2340部、25%水酸化ナトリウム水溶液947部、ハイドロサルファイト0.7部を仕込み、攪拌下に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「ビスフェノールA」と称する事がある)710部を溶解した(ビスフェノールA溶液)後、塩化メチレン2299部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液112部を加えて、15〜25℃でホスゲン354部を約90分かけて吹き込みホスゲン化反応を行った。
ホスゲン化終了後、11%濃度のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液148部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液88部を加えて、攪拌を停止し、10分間静置分離後、攪拌を行い乳化させ5分後、ホモミキサー(特殊機化工業(株))で回転数1200rpm、バス回数35回で処理し高乳化ドープを得た。該高乳化ドープを重合槽(攪拌機付き)で、無攪拌条件下、温度35℃で3時間反応し重合を終了した。反応終了後、塩化メチレン5728部を加えて希釈した後、反応混合液から塩化メチレン相を分離し、分離した塩化メチレン相にイオン交換水5000部を加え攪拌混合した後、攪拌を停止し、水相と有機相を分離した。次に水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになるまで水洗浄を繰返し精製ポリカーボネート樹脂溶液を得た。 次いで、この樹脂溶液を温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発させ、ポリカーボネート樹脂の粒状体を得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥した。このポリカーボネートの粘度平均分子量は19,700であった。
(PC−2の製造方法)
PC−1の製造方法において、ホスゲン化終了後、11%濃度のp−tert−ブチルフェノールの塩化メチレン溶液148部と48.5%水酸化ナトリウム水溶液88部を加えて、攪拌しながら下記式〔16〕で表される下記構造のポリジオルガノシロキサン化合物(信越化学工業(株)製 X−22−1821)37重量部を塩化メチレン170部に溶解した溶液を加えた後、SL型ホモミキサーにより回転数8000rpmで2分間攪拌することにより高度の乳化状態として、その後攪拌せずに静置状態で35±1℃に2時間保持して重合反応を行った以外はPC−1の製造方法と同様にしてポリカーボネート−ポリジメチルシロキサン共重合体の粒状体を得た。このポリカーボネートの粘度平均分子量は19,500であった。
LCP−1:アルカリ金属の含有量が35ppmである液晶ポリエステル樹脂
(LCP−1の製造方法)
p−アセトキシ安息香酸5400重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸4320重量部、及び全仕込み量に対し0.01重量%の酢酸カリウムを各々、攪拌機、窒素導入管及び留出管を備えた反応器中に仕込み、窒素気流下でこの混合物を1時間で260℃にまで加熱した。反応器中から酢酸を留出させながら260〜300℃へ2時間かけて加熱し、更に300℃で2時間加熱し、減圧下(2mmHg)で酢酸を留出させた。次いで窒素を導入し、室温にまで冷却して淡黄乳白色の液晶ポリエステル樹脂を得た。この液晶性ポリエステル樹脂中に含まれるアルカリ金属量は35ppmであった。
(LCP−2の製造方法)
p−アセトキシ安息香酸5400重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸1080重量部、2,7−ナフタレンジカルボン酸1080重量部、4,4’−ジアセトキシビフェニル2070重量部及び全仕込み量に対し0.05重量%の酢酸カリウムを各々、攪拌機、窒素導入管及び留出管を備えた反応器中に仕込み、窒素気流下でこの混合物を1時間で260℃にまで加熱した。反応器中から酢酸を留出させながら260〜300℃へ2時間かけて加熱し、更に300℃で2時間加熱し、減圧下(2mmHg)で酢酸を留出させた。次いで窒素を導入し、室温にまで冷却して淡黄乳白色の液晶ポリエステル樹脂を得た。この液晶性ポリエステル樹脂中に含まれるアルカリ金属量は140ppmであった。
(LCP−3の製造方法)
p−アセトキシ安息香酸5400重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸1080重量部、2,7−ナフタレンジカルボン酸1080重量部、4,4’−ジアセトキシビフェニル2070重量部及び全仕込み量に対し0.008重量%の酢酸カリウムを各々、攪拌機、窒素導入管及び留出管を備えた反応器中に仕込み、窒素気流下でこの混合物を1時間で260℃にまで加熱した。反応器中から酢酸を留出させながら260〜300℃へ3時間かけて加熱し、更に300℃で6時間加熱し、減圧下(2mmHg)で酢酸を留出させた。次いで窒素を導入し、室温にまで冷却して淡黄色の液晶ポリエステル樹脂を得た。この液晶性ポリエステル樹脂中に含まれるアルカリ金属量は3ppmであった。
(LCP−4の製造方法)
p−アセトキシ安息香酸5400重量部、2,6−ナフタレンジカルボン酸1080重量部、2,7−ナフタレンジカルボン酸1080重量部、4,4’−ジアセトキシビフェニル2070重量部及び全仕込み量に対し0.13重量%の酢酸カリウムを各々、攪拌機、窒素導入管及び留出管を備えた反応器中に仕込み、窒素気流下でこの混合物を1時間で260℃にまで加熱した。反応器中から酢酸を留出させながら260〜300℃へ2時間かけて加熱し、更に300℃で2時間加熱し、減圧下(2mmHg)で酢酸を留出させた。次いで窒素を導入し、室温にまで冷却して黄色の液晶ポリエステル樹脂を得た。この液晶性ポリエステル樹脂中に含まれるアルカリ金属量は350ppmであった。
GF−1:扁平断面チョップドガラス繊維(日東紡績(株)製:CSG 3PA−830(商品名)、長径28μm、短径7μm、カット長3mm、エポキシ系集束剤)
GF−2:円形断面ガラスファイバー(日東紡績(株)製:3PE937(商品名)、繊維径:13μm、カット長:3mm、アミノシラン処理表面処理およびエポキシ/ウレタン系集束剤)
CF−1:べスファイト HTA−C6−U(商品名)(東邦テナックス(株)製 炭素繊維 直径7.5μm、カット長6mm)
(D成分)
D−1:アデカスタブ PEP−8(商品名)(旭電化工業(株)製 ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト)
D−2:アデカスタブ PEP−24G(商品名)(旭電化工業(株)製 ビス(2,4―ジーtert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト)
(その他成分)
TMP:TMP(商品名)(大八化学工業(株)製 トリメチルホスフェート)
上記で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂、液晶ポリエステル樹脂、繊維状強化充填材、リン系化合物および上記方法で得られたペレットを表2記載の各配合量で配合し、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機((株)日本製鋼所製:TEX30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー))を用いて溶融混練しペレットを得た。使用するリン系化合物は、それぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第1供給口からダイス部分まで280℃とした。得られたペレットを80℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片を成形した。各評価結果を表2に示した。なお、比較例5、6および9については、樹脂組成物の溶融熱安定性が悪いことによりエステル交換率の測定値が一定しないため、測定不能とした。
実施例1で得られたペレットからなるノートパソコン外装部品模擬成形品の曲げたわみ性およびB成分の平均フィブリル径を測定した。その結果を表3に示す。
比較例7で得られたペレットからなるノートパソコン外装部品模擬成形品の曲げたわみ性およびB成分の平均フィブリル径を測定した。その結果を表3に示す。
2.艶消し表面部
3.鏡面部
Claims (8)
- (A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)98〜60重量%および(B)液晶ポリエステル樹脂(B成分)2〜40重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)繊維状強化充填材(C成分)10〜150重量部および(D)リン系安定剤(D成分)0.001〜2重量部を含んでなる強化ポリカーボネート樹脂組成物において、B成分に含まれるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の含有量が5〜300ppmの範囲にあり、かつ得られた樹脂組成物中のA成分とB成分の一部がエステル交換をしていることを特徴とする強化ポリカーボネート樹脂組成物。
- B成分が、p−ヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を原料として重合された液晶ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の強化ポリカーボネート樹脂組成物。
- C成分が、ガラス繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載の強化ポリカーボネート樹脂組成物。
- C成分が、繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が3.2〜8である扁平断面ガラス繊維を含むガラス繊維であることを特徴とする請求項3に記載の強化ポリカーボネート樹脂組成物。
- C成分が、炭素繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載の強化ポリカーボネート樹脂組成物。
- D成分が下記一般式〔1〕で表されるペンタエリスリトールジホスファイト系化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の強化ポリカーボネート樹脂組成物。
- (E)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)および液晶ポリエステル樹脂(B成分)を押出機で反応させて調製したA成分とB成分との混合物(E成分)と、(A)ポリカーボネート樹脂(A成分)および/または(B)液晶ポリエステル樹脂(B成分)、(C)繊維状強化充填材(C成分)並びに(D)リン系安定剤(D成分)とを再度溶融混練せしめて調製することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の強化ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
- 成形品の表面をヒドラジンにて処理後、残存するB成分の平均フィブリル径が0.01〜3μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の強化ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品。
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