JP6071577B2 - 斜面安定化工法における斜面変動検出構造 - Google Patents

斜面安定化工法における斜面変動検出構造 Download PDF

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Description

この発明は、簡易な斜面安定化の対策工によっても、斜面崩壊が発生した場合の被害を最小限にとどめることを可能にし、また、斜面崩壊の可能性が高まった時に住民が適切な対応をすることを可能にする、斜面安定化工法に適用して好適な斜面変動検出構造に関する。
斜面の状況に応じて対策工を施して、斜 面崩壊の発生の恐れを僅かでも少なくするとともに、斜面崩壊が発生した場合の被害を最小限にとどめることを可能にし、また、斜面崩壊の可能性が高まったときに住民が適切な対応をすることを可能にする斜面安定化システムとして特許文献1がある。
この斜面安定化システムにおいて、斜面変動(土塊の移動)を把握するための斜面変動検出手段の実施例として、中空ロッド(アンカー)内に、歪ゲージを貼り付けた引張り材を挿入するとともに、この引張り材の下端部を中空ロッドの下端に固定し、上端部を中空ロッドの上端に装着したキャップに固定した斜面変動検出手段が示されている。引張り材のひずみを検出するための前記歪ゲージは引張り材の上端近傍に貼り付けている(特許文献1の図8、[0048] 、[0049]参照)。
また、特許文献2には、斜面安定化の対策工におけるものではないが、災害対策としての山間部での地山や盛土などの挙動観測、という計測業務のための、地中の変位を計測する方法が記載されている。
その地中変位計測方法は、連結杆部と差動トランス方式又は歪ゲージ方式のセンサ杆部とを連結してなる地中変位計をボーリング孔に複数個、棒状に連結して挿入配置し、各地中変位計が検出した変位に基づいて角度変位を演算して、地中変位を知るというものである。
特開2011−185860 特開平10−185633
特許文献2は、斜面自体を補強するものではないから、斜面崩壊を防ぐという直接的な対策と比べると、満足できるものではない。この斜面観測による斜面対策が、斜面安定化工法を施工した上での対策であれば、十分安心できるが、その場合には、施工費が高額なので費用対効果の点で非効率であると言える。
一方、特許文献1の斜面安定化システムでは、斜面安定化工法のアンカーである中空ロッドに斜面変動検出手段を設けるので、地域住民に安心感を与えることができるとともに、斜面変動検出手段を設けることに要するコストが、地中変位計測専用の特許文献2のものと比較して極めて安価に済み、費用対効果の点で極めて効率的であると言える。
また、特許文献2の斜面変動検出手段は、複数の地中変位計を連結してボーリング孔に棒状に挿入配置するものであり、斜面変動検出構造自体としてのコストも高いと言える。
これに対して、特許文献1における斜面変動検出手段は、中空ロッド内に、歪ゲージを貼り付けた引張り材を挿入し、その上下端部を中空ロッド及びキャップに固定するという簡単な構造なので、斜面変動検出手段自体のコストも特許文献2と比べて極めて安価に済む。
しかし、特許文献1の斜面変動検出手段には次のような問題がある。土塊移動が生じた際には中空ロッドに曲げ変形が生じるが、中空ロッドの全体に均等な曲げ変形が生じるのではなく不均一であり、大きな曲げ変形は主としてすべり面に近くの土層深くで生じるので、特許文献1のように引張り材の上端近傍に直接貼り付けられた歪ゲージによる検出値が土塊移動を必ずしも正確に反映しないという問題がある。
この点では特許文献2の斜面変動検出手段は、土層の各深さ位置の検出が可能なので、土塊移動の精度よい検出が可能とは言えるが、簡易さに欠けるので、特許文献1のような簡単な構造で、しかも簡易な斜面安定化の対策工に適合する精度が得られる斜面変動検出手段が望まれる。
特許文献1の場合、予め、リード線を接続した歪ゲージを貼り付けた引張り材を中空ロッドの下端部に固定し、その中空ロッドを地盤に設置することになる。中空ロッドを地盤に設置する作業や支圧板を中空ロッドに装着する等の斜面安定化工の本来の土木作業の際に、引張り材にリード線を接続した歪ゲージが存在することは、歪ゲージ・リード線を損傷させないように注意を要すること等から、斜面安定化工法の施工の能率を低下させる要因となる。このように、斜面変動検出手段の設置が斜面安定化工法の作業工程に含まれることになり、斜面安定化工法の施工能率を低下させる要因となる。
また、引張り材は長いので、施工前の搬送・部品管理・施工準備等においても、予め歪ゲージ・リード線を取り付けた長い引張り材を取扱うのも煩雑である。
また、特許文献1の斜面変動検出手段では、施工後にその斜面変動検出手段が経年変化で劣化する等して取り替える必要が生じた時、斜面変動検出手段を取り替えることは簡単ではない。すなわち、歪ゲージは、下端部が中空ロッドの下端部に固定された引張り材に貼り付けられているので、中空ロッドを土中から取り出す等して取替え作業をする必要があり、困難である。したがって、既設の斜面安定化工における斜面変動検出手段を取り替えることが容易な斜面変動検出手段が望まれる。
本発明は上記背景のもとになされたもので、簡単かつ安価に施工できる構造で、簡易な斜面安定化の対策工に適合し、また、既設の斜面安定化工における斜面変動検出手段を取り替える場合に、容易に取り替えることが可能な斜面安定化工法における斜面変動検出手段を得ることを目的とする。
上記課題を解決する請求項1の発明は、中空ロッドを斜面地盤の不動層まで到達させてその下端部を不動層に定着させ、地上に突出する前記中空ロッドの頭部に装着した支圧板を締着して地盤に対する支圧力を付与する斜面安定化工法における斜面変動検出構造であって、
前記中空ロッドは内部に棒状又は索状の細長材を挿入されており、前記細長材の下端部は前記中空ロッドの下端部に固定され、前記細長材の上端部は前記中空ロッドより上に突出されて、前記細長材の上端部と前記支圧板より上側にあって当該支圧板に設けられた支持部材とを、変位検出センサを介して連結されていることを特徴とする。
請求項2は、請求項1の斜面変動検出構造において、前記変位検出センサは、歪ゲージを用いたものであることを特徴とする。
請求項3は、請求項2の斜面変動検出構造において、前記変位検出センサは、前記細長材の上端部と前記支持部材との間を湾曲金属材で連結し、前記湾曲金属材に歪ゲージを貼り付けてなることを特徴とする。
本発明によれば、中空ロッド内に細長材を挿入し、その下端部を中空ロッドの下端部に固定し、支圧板より上に突出させた細長材の上端部と支圧板より上側にあって支圧板に着脱可能に固定された支持部材とを変位検出センサを介して連結するという簡単な構造で、斜面変動(主として土塊の移動)を検出することが可能となる。
このように、簡略化して言えば、細長材の下端部を中空ロッドの下端部に固定し、細長材の上端部に斜面変動検出手段(変位検出センサ)を設けるという簡単な構造なので、複数の地中変位計を連結してボーリング孔に棒状に挿入配置する特許文献2の構造と比較して、斜面変動検出構造自体が安価に済む。
本発明では、細長材の下端部を中空ロッドの下端部に固定しておけば、その細長材付き中空ロッドを地盤に挿入設置し、支圧板を装着し、支圧板を締着するという斜面安定化工法の本来の施工を終えた後に、各中空ロッドの支圧板に斜面変動検出手段を装着することが可能となる。したがって、斜面変動検出手段の設置が斜面安定化工法の作業工程に含まれる特許文献1の場合と異なり、土木作業である斜面安定化工法本来の作業と、斜面変動検出手段を設置する作業とを完全に分離させることができ、斜面変動検出手段を設けたことに伴って施工能率が大きく低下することを回避できる。
また、施工前の搬送・部品管理・施工準備等においても、引張り材に歪ゲージ・リード線を取り付けておく必要がないので、引張り材を取扱う際の煩雑さはない。
また、変位検出センサが、中空ロッドと一体化された引張り材の上端部近傍に直接歪ゲージが貼り付けられてひずみを検出する特許文献1の斜面変動検出手段と異なり、細長材を介して中空ロッドの全体の伸びを検出して斜面変動を検出するものであるから、歪ゲージによる検出値が斜面変動を必ずしも正確に反映しないという問題は生じない。中空ロッドの全体の伸びが斜面変動の挙動を表して、簡易な斜面安定化の対策工に適合した精度で斜面変動が概ね正しく反映される。
また、斜面安定化工法を施工した上で斜面変動検出手段を設けるので、特許文献2の単なる地中変位測定装置と異なり、斜面安定化が施されているから、地域住民に安心感を与えることができる。
本発明の斜面変動検出構造を適用しようとする斜面安定化工法を説明する図で、(イ)は斜面安定化工法を施工した斜面の模式的な平面図、(ロ)は縦断面図である。 図1における、本発明の斜面変動検出構造を有さない通常のアンカー部分を示すもので、(イ)は平面図((ロ)のA−A断面で見た平面図)、(ロ)は縦断面図である。 本発明の斜面変動検出構造を備えたアンカー部分を示す縦断面図である。 図3のB−B断面図である。 図3における支圧板より上側部分を拡大した図である。 図5のC−C断面図である。 (イ)は図5におけるセンサユニット部分の分解図、(ロ)は(イ)の左側から見た図である。 図5等における支持部材のみを示した斜視図である。。
以下、本発明の斜面安定化工法における斜面変動検出構造を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明の斜面変動検出構造を適用しようとする斜面安定化工法を説明する図で、(イ)は斜面安定化工法を施工した斜面の模式的な平面図、(ロ)は縦断面図である。
これらの図に示すように、この斜面安定化工法は、斜面に多数のアンカー1を地盤10の不動層10aに達するように設置し、各アンカー1の頭部に支圧板2を取り付け締着し、各アンカー1の頭部間をワイヤロープ3で連結している。図1に示したアンカー1は、本発明の斜面変動検出構造を有さない通常のアンカーが大半であるが、一部のアンカーは本発明の斜面変動検出構造を備えている。
図2は図1における、本発明の斜面変動検出構造を有さない通常のアンカー(符号1’で示す)の部分を示すもので、(イ)は平面図((ロ)のA−A断面で見た平面図)、(ロ)は縦断面図である。
図示例の支圧板2は、頂点部を面取りした形の概ね三角形の底板4の中心部に中心穴4aをあけ、この中心穴4aに合わせて円筒5を溶接固定し、円筒の三方に補強リブ6を溶接固定し、円筒5の上端面に座金プレート7を溶接固定した構造である。補強リブ6にはワイヤロープを通す穴6aをあけている。
アンカー1’ の先端は地盤の不動層10aに埋め込まれ、アンカー1’におけるネジが形成された頭部は、支圧板2の底板4の中心穴4a及び円筒5、座金プレート7を通って上に突出し、突出したアンカー1’のネジ部に凸ナット8を螺合させ締め付けて、アンカー1’の頭部に支圧板2を係合させている。これにより、凸ナット8を締め付けた時、アンカー1’に作用する張力で支圧板2が地盤を押圧し、地盤安定化に寄与する。10bは斜面地盤10の不安定層を示す。Sは模式的に示したすべり面である。
図3は斜面安定化工法を施工した図1の斜面において、本発明の斜面変動検出構造を備えたアンカー部分を示す縦断面図、図4は図3のB−B断面図である。図5は図3における支圧板2より上側部分を拡大した図、図6は図5のC−C断面図である。
本発明では斜面変動検出構造を構成するアンカーとして中空ロッドを用いる。図3〜図6において、斜面変動検出構造を構成するアンカーである中空ロッドを符号1で示す。
中空ロッド1は前記通常のアンカー1’と同様に斜面地盤10の不動層10aまで到達してその下端部を不動層10aに定着させている。底板4、円筒5、補強リブ6、座金プレート7等からなる支圧板2は図2の支圧板2と同じである。
前記中空ロッド1内に、図示例では棒状の細長材12が挿入されている。前記細長材12は、その下端部が中空ロッド1の下端部に固定され、上端は中空ロッド1の上端からさらに上に突出している。前記細長材12は、後述の湾曲金属板18と比べて剛性が十分高く、引張り力が作用して湾曲金属板18が変形しても伸びないような材料を用いる。棒材に限らず、鋼線ワイヤ等の索状体であってもよい。また、材質は鋼材、ステンレス材等の金属材に限らず、アラミドその他の合成繊維であってもよい。また、カーボンファイバ、グラスファイバ製等でもよい。
中空ロッド1の下端部には、図示例では掘削ビットの一種であるビット15が固定されている。前記細長材12の下端部はこのビット15に固定されることで、中空ロッド1の下端に固定されている。
前述のように中空ロッド1の下端に固定されたビット15で掘削するほかに、別の穿孔機材により穿孔した後、中空ロッド1を挿入する方式にして、ビット15の代わりに蓋状キャップを取り付けるようにしてもよい。この場合には細長材12の下端部は前記蓋状キャップに固定するとよい。
そして、前記細長材12の上端部と前記支圧板2より上側にあって当該支圧板2に着脱可能に固定された支持部材14とをセンサユニット16を介して連結している。
前記支持部材14は、図8にも示すように、支圧板2の座金プレート7に着脱可能に固定される四角形のベース板14aと、このベース板14a上に溶接固定した縦長のコ字形枠14bとからなり、前記ベース板14aはその中央に中空ロッド1を挿通させる中心穴14c、四隅に後述の保護キャップを取り付けるためのネジ穴14dを有し、前記縦長のコ字形枠14bは、その天板部14eにボルト挿通穴14fを有している。前記コ字形枠14bの両側の側板部14gにはそれぞれ、センサユニット16の取り扱いをし易くするための3つの円形穴14hをあけている。
前記支持部材14のベース板14aには、支持部材14の全体を囲んで支持部材14及びその内側のセンサユニット16を外気から遮蔽して保護する断面円筒状の保護キャップ(保護部材)21が取り付けられている。この保護キャップ21の下部の四方外面に概ねL形断面の取付部材21aが溶接固定され、この取付け部材21aの下部がボルト22でベース板14aのネジ穴14dに捻じ込み固定されている。
前記中空ロッド1の上端部のネジ部1aは、支圧板2の座金プレート7の穴7a及び支持部材14の前記ベース板14aの中心穴14cを通って上に突出し、凹ワッシャ17を介在させて、前記凹ワッシャ17に嵌合する前記凸ナット8を螺合させ締着している。
前記センサユニット16は、図5〜図7にも示すように、円弧状の湾曲部18aとその上下の平坦部18bとを有する湾曲金属板(湾曲金属材)18と、この湾曲金属板18の上下の平坦部18bをそれぞれ固定した上下の連結ブロック19、19’とからなる。
各連結ブロック19、19’は、矩形断面のブロック部19a、19a’と、その片側端に一体に設けられたネジ部19b、19b’とからなり、前記湾曲金属板18の平坦部18bは前記ブロック部19a、19a’に形成したスリット部19c、19c’に挿入されボルト23、23’で固定されている。
前記湾曲金属板18の湾曲部18aの凹面側に湾曲部18aに作用する上下方向の引っ張り力による歪を検出する歪ゲージ24を貼り付けている。
前記センサユニット16の下側の連結ブロック19のネジ部19bと細長材12の上端部に形成したネジ部12aとは縦長ナット26を介して連結されている。すなわち、下側の連結ブロック19のネジ部19b及び細長材12の上端部のネジ部12aはそれぞれ縦長ナット26に上下両側から捻じ込まれ、かつ、下側連結ブロック19のネジ部19bには緩み止めナット27を螺合させ締め付けて堅固に連結している。
また、前記センサユニット16の上側の連結ブロック19’のネジ部19b’は、支持部材14の天板部14eのボルト挿通穴14fに挿入して固定した調整ボルト29と縦長ナット26’を介して連結されている。すなわち、前記調整ボルト29及び上側の連結ブロック19’のネジ部19b’はそれぞれ縦長ナット26’に上下両側から捻じ込まれ、かつ、調整ボルト29には緩み止めナット27’を螺合させ締め付けて堅固に連結している。
支持部材14の天板部14eのボルト挿通穴14fに挿通された前記調整ボルト29は、その天板部上面側及び下面側にそれぞれ螺合させた調整ナット31を、天板部14eの上面及び下面に配置したワッシャ32を介在させて締め付けて、天板部14eに固定している。
上下の前調整ナット31を緩めて調整ボルト29を所望の高さ位置にし、その状態で上下の調整ナット31を締め付けることで、調整ボルト29の高さ位置を調整し、これにより、センサユニット16の上下方向位置を調整することができる。その調整により、センサユニット16を細長材12の上端位置に対応する適切な位置に設定することができる。
センサユニット16の湾曲金属板18に貼り付けた前記歪ゲージ24のリード線は、図示を省略したが、外部に設置した歪測定器に接続するか、あるいは、歪ゲージ24の出力に基づく斜面変動検出信号を無線発信する斜面変動信号発信手段に接続するとよい。後者の場合は、例えば、対象斜面近傍の作業場、個人住宅、共同住宅、さらには行政機関などに設置した、斜面変動信号を受信する複数箇所の斜面変動信号受信装置に向けて無線発信して直ちに対策を取ることを可能とする警報システム等を構築する場合に有効である。
上記の斜面変動検出構造において、斜面地盤において不安定層10bが不動層10aに対して斜面下方に移動した時、移動した不安定層の土塊(移動土塊)中にある中空ロッド1は大きく変形する。中空ロッド1の下端部は不動層10aに定着しているので、中空ロッド1の不動層10a中の部分は殆んど変形せずに不安定層10aの部分が移動土塊の力で大きく曲げ変形し且つ伸び、同時に、支圧板2が地盤に沈み込む。
そのような中空ロッド1の曲げ・伸び、支圧板沈下の現象により細長材12に引張り力が作用するが、十分な剛性を持つ細長材12は下端部が中空ロッド1の下端に固定され上端が剛性の高い支持部材14に、細長材12と比較して容易に変形可能な湾曲金属板18を介して連結されているので、湾曲金属板18に貼り付けた歪ゲージ24の出力信号により湾曲金属板18の全体伸び(細長材長さ方向の伸び=上下のブロック部19a間の間隔の拡大量)を検出することができる。湾曲金属板18の全体伸び(伸び量)は、湾曲金属板18に対して十分剛性の高い細長材12に伸びは生じないとすると、細長材12の上端位置の中空ロッド上端位置に対する変位を示す。したがって、歪ゲージ24の出力信号により、湾曲金属板18の全体伸び(伸び量)を検出して、中空ロッド1の全体伸び(伸び量)を検出することができる。歪ゲージ24を湾曲金属板18に貼り付けていることで、極めて良好な感度を確保することができる。
なお、中空ロッド1の曲げ変形は全長に亘って均等な曲げ変形ではなくすべり面近傍で大きく曲げ変形する変形なので、中空ロッド1に直接貼り付けた歪ゲージで中空ロッド1の歪を検出した場合、その歪は局所的なひずみであり、中空ロッド1の全体の伸びを示さないが、上記の細長材12による検出では中空ロッド1の全体伸びを検出することができる。
斜面変動が生じた際の前記中空ロッド1の曲げ・伸び、支圧板沈下の現象と斜面変動状況との関係は、地盤性状にもよるので厳格な対応関係として決定できるものでもないが、本発明における細長材12の上端部の変位をセンサユニット16で検出することで、特に、地域住民に対する警報を出すための斜面変動検出という目的での有効なデータを得ることが可能となる。
なお、センサユニット(変位検出センサ)16における歪ゲージを貼り付ける部分に上記実施例のように伸びやすい形状の湾曲金属材を採用して、伸び感度を高めるほかに、形状は特にこだわらずに伸びやすい材質を採用して伸び感度を高めてもよい。例えば、ヤング率が小さくて伸び感度大きい、軟鋼、黄銅、リン青銅、アルミニウムなどの軟金属でもよいし、金属ではなくゴムなどの弾性を備える樹脂であってもよい。また、形状を湾曲形状とし、かつ、材質を軟金属や弾性樹脂としてもよい。
上記の斜面変動検出構造によれば、上述の通り、中空ロッド1内に細長材12を挿入し、その下端部を中空ロッド1の下端部に固定し、支圧板2より上に突出させた細長材12の上端部と支圧板2より上側にあって支圧板2に着脱可能に固定された支持部材14とをセンサユニット(変位検出センサ)16を介して連結するという簡単な構造で、斜面変動を検出することが可能となる。
このように、簡略化して言えば、細長材12の下端部を中空ロッド1の下端部に固定し、細長材12の上端部に斜面変動検出手段を設けるという簡単な構造なので、複数の地中変位計を連結してボーリング孔に棒状に挿入配置する特許文献2の構造と比較して、斜面変動検出構造自体が安価に済む。
または、細長材12の下端部を中空ロッド1の下端部に固定しておけば、その細長材付き中空ロッド1を地盤に挿入設置し、支圧板2を装着し、支圧板2を締着するという斜面安定化工法の本来の施工を終えた後に、各中空ロッド1の支圧板2に斜面変動検出手段(センサユニット16)を装着することが可能となる。したがって、斜面変動検出手段の設置が斜面安定化工法の作業工程に含まれる特許文献1の場合と異なり、土木作業である斜面安定化工法本来の作業と、斜面変動検出手段を設置する作業とを完全に分離させることができ、斜面変動検出手段を設けたことに伴って施工能率が大きく低下することを回避できる。
また、施工前の搬送・部品管理・施工準備等においても、細長材12に歪ゲージ・リード線を取り付けておく必要がないので、細長材12を取扱う際の煩雑さはない。
また、変位検出センサが、中空ロッドと一体化された引張り材の上端部のひずみを検出する特許文献1の斜面変動検出手段と異なり、細長材12を介して中空ロッド1の全体の伸びを検出して斜面変動を検出するものであるから、歪ゲージによる検出値が斜面変動を必ずしも正確に反映しないという問題は生じない。中空ロッド1の全体の伸びが土塊移動の挙動を表して、簡易な斜面安定化の対策工に適合した精度で土塊移動の挙動が概ね正しく反映される。
また、斜面安定化工法を施工した上で斜面変動検出手段(センサユニット16)を設けるので、特許文献2の単なる地中変位測定装置と異なり、斜面安定化が施されているから、地域住民に安心感を与えることができる。
なお、実施例では、各アンカー(本発明の斜面変動検出構造を構成する中空ロッド1、及び通常のアンカー1’)の頭部間をワイヤロープ3で連結しているが、各アンカーの頭部間をワイヤロープ3で連結しない斜面安定化工法にも適用できる。また、図1では多数の中空ロッド1と支圧板2を配置しているが、局所的に2〜3箇所へ中空ロッド1と支圧板2を配置する小規模の斜面安定化工法にも適用できる。
1 中空ロッド(斜面変動検出構造を備えたアンカー)
1’ (斜面変動検出構造を備えていない)アンカー
2 支圧板
3 ワイヤロープ
4 底板
4a 中心穴
5 円筒
6 補強リブ
6a (ワイヤロープを通す)穴
7 座金プレート
8 凸ナット
10 斜面地盤
10a 不動層
10b 不安定層
S すべり面
12 細長材
12a ネジ部
14 支持部材
14a ベース板
14b コ字形枠
14c 中心穴
14d ネジ穴
14e 天板部
14f ボルト挿通穴
14g 側板部
14h 円形穴
16 センサユニット(変位検出センサ)
17 凹ワッシャ
18 湾曲金属板(湾曲金属材)
18a 湾曲部
18b 平坦部
19、19’ 連結ブロック
19a、19a’ ブロック部
19b、19b’ ネジ部
19c スリット部
21 保護キャップ(保護部材)
21a 取付部材
23、23’ ボルト
24 歪ゲージ
26、26’ 縦長ナット
27、27’ 緩み止めナット

Claims (3)

  1. 中空ロッドを斜面地盤の不動層まで到達させてその下端部を不動層に定着させ、地上に突出する前記中空ロッドの頭部に装着した支圧板を締着して地盤に対する支圧力を付与する斜面安定化工法における斜面変動検出構造であって、
    前記中空ロッドは内部に棒状又は索状の細長材を挿入されており、前記細長材の下端部は前記中空ロッドの下端部に固定され、前記細長材の上端部は前記中空ロッドより上に突出されて、前記細長材の上端部と前記支圧板より上側にあって当該支圧板に設けられた支持部材とを、変位検出センサを介して連結されていることを特徴とする斜面安定化工法における斜面変動検出構造。
  2. 前記変位検出センサは、歪ゲージを用いたものであることを特徴とする請求項1記載の斜面安定化工法における斜面変動検出構造。
  3. 前記変位検出センサは、前記細長材の上端部と前記支持部材との間を湾曲金属材で連結し、前記湾曲金属材に歪ゲージを貼り付けてなることを特徴とする請求項2記載の斜面安定化工法における斜面変動検出構造。
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