JP6067640B2 - フィルム製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フィルム製造方法に関する。
液晶ディスプレイ等の光学機器に用いるシート部材の中には、ポリマーフィルムから製造されるものが数多くある。ポリマーフィルムの多くは、他の物との接触や摩擦により傷がつくので、シート部材の中には、光学機器の製造過程や使用中に擦り傷等がつかないように、ポリマーフィルムの上にハードコートが設けられているものが数多くある。このように、ハードコートが設けられたフィルムはハードコートフィルムと呼ばれる。
このようないわゆる耐傷性をもつハードコートフィルムは、ポリマーフィルムの上に、ハードコートを形成するためのハードコート用塗布液を塗布し、塗布膜に対して所定の硬化処理を実施することによりハードコートを形成する方法で製造されることが多い。硬化工程としては、塗布膜に光を照射して塗布膜中に含まれる硬化成分を硬化する工程が挙げられる。
しかしながら、ハードコート用塗布液をポリマーフィルムに塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を硬化させるという方法で製造したハードコートフィルムは、ハードコートとポリマーフィルムからなる支持体(フィルムベース)との密着力が小さく、ハードコートが支持体から剥がれることがある。また、このような製造方法は、支持体として用いるポリマーフィルムを形成する工程とハードコートを支持体上に形成する工程との両工程に要する時間が長く製造効率が低い。
そこで、特許文献1は、溶液製膜方法を用い、セルロースアシレートからなるフィルムベースを形成するためのセルロースアシレート溶液と、ハードコートを形成するためのハードコート溶液とを共流延することによりハードコートフィルムを製造する方法を提案している。これらの方法は、製造効率と、ハードコートとフィルムベースとの間の密着力の向上との両方で一定の効果はある。
また、溶液製膜方法でフィルムを連続して製造する場合には、製造過程で、例えば側部を切除することが多い。このように切除した側部は廃棄することが多いが、製造量が多くなるに従い、廃棄量も多くなってしまう。そこで、特許文献2は、フィルムを連続して製造する場合において、後工程で切除される流延膜の幅方向の側部を再利用可能なドープで形成する溶液製膜方法を提案している。
特開2012−096523号公報 特開2010−082985号公報
しかしながら、特許文献1の方法は、製造過程でフィルムから切除された側部を以降の流延に供するドープに混合して使用した場合には、硬度(硬さ)が不十分なフィルムしか得られなくなるという問題がある。具体的には、得られるフィルムの硬度が鉛筆硬度においてHに達しない。また、特許文献2の方法は、高い硬度をフィルムに発現するためにドープに重合性化合物を含ませた場合には、フィルムから切除した側部を混合して以降の流延に供すると、フィルムの硬度が鉛筆硬度でHに達せず、不十分なものとなる。
そこで、本発明は、鉛筆硬度でH以上の硬度をもつフィルムを、廃棄量を抑えて溶液製膜で製造することができるフィルム製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のフィルム製造方法は、走行する支持体上に、ポリマーと重合性化合物と溶媒とを含む重合性組成物を流延ダイから流出して流延膜を形成する流延工程と、溶媒を含んだ状態の流延膜を支持体から剥がすことによりフィルムを長尺に形成する剥取工程と、フィルムを乾燥する乾燥工程と、フィルムから側部を切除する切除工程と、切除工程を経たフィルム中の重合性化合物を重合させる重合工程とを含み、切除工程に供するフィルムにおける重合性化合物の反応率を1%以下に抑え、切除工程で切除された側部を、以降の流延工程へ供する重合性組成物に含ませ、上記ポリマーはセルローストリアセテートであり、上記重合性化合物は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと、日本合成化学工業(株)製のウレタンアクリレートである紫光(登録商標)UV−1700Bと、根上工業(株)製のウレタンアクリレートであるアートレジン(登録商標)UN−3320HSとのいずれかひとつであり、前記重合性組成物は、前記ポリマー100質量部に対して前記重合性化合物を50質量部以上200質量部以下の範囲内で含むことを特徴として構成されている。
重合性化合物は、加熱により重合する熱重合性化合物であり、重合工程は、フィルムを加熱することにより重合性化合物を重合することが好ましい。
重合性組成物は、10時間半減期温度が60℃以上110℃以下の範囲内である熱重合開始剤を含むことが好ましい。
乾燥工程は、切除工程前のフィルムの側部を保持部材で保持して保持部材の移動によりフィルムを長手方向に搬送しながら、温度が熱重合開始剤の10時間半減期温度以下にされた気体の供給によりフィルムを乾燥する切除前乾燥工程を含み、切除工程は、切除前乾燥工程を経たフィルムから側部を切除することが好ましい。
乾燥工程は、切除工程の後にフィルムを加熱することにより乾燥する切除後乾燥工程を含み、重合工程は、切除後乾燥工程の加熱で重合性化合物を重合することが好ましい。
切除工程で切除された側部を、溶媒と同じ組成の側部用溶媒に溶解し、溶液として以降の流延工程へ供する重合性組成物に含ませることが好ましい。溶液における固形分の濃度は、以降の流延工程へ供する重合性組成物における固形分の濃度と同じであることが好ましい。
本発明によると、鉛筆硬度がH以上であるフィルムを、廃棄量を抑えて溶液製膜で製造することができる。
本発明を実施したフィルム製造装置の概略図である。
図1に示すフィルム製造設備10は、溶液製膜によりフィルム11をつくるための溶液製膜設備である。フィルム11は、高硬度のものであり、具体的には硬度(硬さ)が後述の鉛筆硬度においてH以上のものである。フィルム製造設備10は、調製部14、フィルム形成部15、乾燥重合部16、巻取装置18等を備える。
調製部14は、フィルム11になる流延ドープ21を調製するためのものであり、第1調製装置22と、第2調製装置23と、混合装置24等から構成されている。第1調製装置22は、未使用のポリマー(以下、未使用ポリマーと称する)27と、重合性化合物28と、これら未使用ポリマー27及び重合性化合物28の溶媒29とから、重合性組成物である第1ドープ31を調製するためのものである。第1調製装置22は、供給されてくる未使用ポリマー27と重合性化合物28とを溶媒29に溶解して第1ドープ31を調製する。なお、第1調製装置22には、例えば特開2012−215812号公報の段落[0022]〜[0055]に記載される添加剤をさらに供給して、これらの添加剤を含む第1ドープを調製してもよい。
本実施形態では、未使用ポリマー27として、セルロースアシレートのひとつであるセルローストリアセテート(TAC、トリアセチルセルロース)を用い、溶媒29として、ジクロロメタンを成分として含む混合物を用いているが、未使用ポリマー27と溶媒29とはこれらに限定されない。用いることができる未使用ポリマー27と溶媒29との詳細については後述する。
重合性化合物28は、加熱により重合して硬化する熱重合性化合物、紫外線等の光照射により重合して硬化する光重合性化合物などを用いることができ、特に限定されない。ただし、後述のように、フィルム11を乾燥するために用いる熱を重合性化合物の重合に有効に利用することができる観点、熱重合での反応率上昇による高硬度化の観点から、本実施形態では熱重合性化合物を用いている。熱重合性化合物の詳細については後述する。
重合性化合物28は、100質量部の未使用ポリマー27に対して10質量部以上300質量部以下の範囲内であることが好ましい。重合性化合物28は、ポリマー100質量部に対して50質量部以上200質量部以下の範囲内であることがより好ましく100質量部以上150質量部以下の範囲内であることがさらに好ましい。
重合性化合物28として熱重合性化合物を用いる場合には、第1調製装置22には、さらに熱重合開始剤(図示無し)を供給することが好ましく、本実施形態でもそのようにしている。これにより、第1調製装置22では、熱重合開始剤を含む第1ドープ31を得ている。重合性化合物28として光重合性化合物を用いる場合には、光重合開始剤(図示無し)を用いてもよく、その場合には第1調製装置22には、さらに光重合開始剤(図示無し)を供給するとよい。
第2調製装置23は、チップ32と溶媒29とから第2ドープ33を調製するためのものである。チップ32は、乾燥重合部16でフィルム11から切除された側部を細片化したものであり、後述のように、含まれている重合性化合物28の反応率は1%以下とされている。第2調製装置23は、供給されてくるチップ32を溶媒29に溶解して第2ドープ33を調製する。第2ドープ33は、固形分の濃度(以下、固形分濃度と称する)が第1ドープ31と同じであることが好ましい。ここで、同じとは厳格である必要はなく、目標として設定する濃度に対して0.5%以内ならばよい。なお、第2ドープ33における固形分はチップ32であり、第2ドープ33の固形分濃度は、チップ32の質量をM32、溶媒の質量をM29とするときに、{M32/(M29+M32)}×100で求めることができる。また、第1ドープ31の固形分は、未使用ポリマー27と重合性化合物28と熱重合開始剤とであり、固形分濃度は、未使用ポリマー27の質量をM27、重合性化合物28の質量をM28、熱重合開始剤の質量をMIとするときに、{(M27+M28+MI)/(M27+M28+MI+M29)}×100で求めることができる。
混合装置24は、流延ドープ21を調製するためのものである。混合装置24は第1ドープ31と第2ドープ33とを、設定された混合割合で混合して流延ドープ21にする。なお、第2ドープ33を使用することなく第1ドープ31のみからフィルム11を製造する場合もあり、この場合には、第2ドープ33の供給流量はゼロに設定される。
フィルム形成部15は、流延ドープ21からなる流延膜41を形成して溶剤を含んだ状態で剥がし、フィルム11を形成するためのものである。フィルム形成部15は、流延ダイ43と、一対のローラ44と、ベルト45と、送風装置47と、剥取ローラ50等で構成されている。流延ダイ43は、供給された流延ドープ21を連続的に流出する。ベルト45は、流延ドープ21から流延膜41を連続的に形成する流延支持体である。ベルト45は環状に形成され、一対のローラ44の周面に巻き掛けられる。一対のローラ44の少なくともいずれか一方が周方向に回転することにより、ベルト45は長手方向に走行する。走行中のベルト45に流延ダイ43に、流延ダイ43から連続的に流出することにより、ベルト45上に流延膜41が長尺に形成される。
一対のローラ44の各々は、周面温度を調節する温度調節部(図示無し)を備える。本実施形態では、この温度調節部により各ローラ44の周面を温度調節し、これによりベルト45を介して流延膜41を所定の温度に調整している。この温度調整と、後述の送風装置47による送風とは、流延膜41のゲル化をすすめるためのものである。
流延膜41を形成するための流延支持体は、ベルト45に限定されない。例えば、ベルト45と一対のローラ44とに代えて、周方向に回転するドラム(図示無し)を流延支持体としてもよい。
ベルト45の走行方向における流延ダイ43の上流側には、減圧チャンバ(図示無し)を設けてもよい。減圧チャンバは、減圧すべき空間を外部空間と仕切り、吸引装置(図示無し)により減圧チャンバ内の気体を吸引することにより、減圧する空間の気体を吸引する。これにより、流延ダイ43からベルト45に渡って流延ドープ21から形成されるいわゆるビードよりも上流側のエリアを減圧して、このビードの形状を安定させる。
送風装置47は、流延膜41の乾燥をすすめ、前述の一対のローラ44に備えられる温度調節部と協働して流延膜41をゲル化し、自己支持性を付与するためのものである。送風装置47は、送風部51〜53、気体供給部54、コントローラ55等を備える。送風部51〜53は、気体供給部54から送られてくる乾燥した気体(以下、乾燥気体と称する)を流延膜41へ供給するためのものである。送風部51,52は、ベルト45の走行路に沿って延びており、ベルト45から一定の距離をもって配される。送風部52は、送風部51の下流に設けられている。送風部51,52は、ベルト45に対向する対向面にノズル51a,52aをそれぞれ複数有し、これらノズル51a,52aの先端に形成された開口(図示無し)から乾燥気体を流出する。送風部53は、環状のベルト45の下側の搬送路に設けられ、剥取ローラ50の上流に、近接して配されている。この送風部53は、開口53aが上流に向けられており、これにより、流延膜41に対して向かい風で乾燥気体を供給する。なお、本実施形態では、送風部53からの乾燥気体により流延膜41の乾燥効率を高めるために、送風部52に近接した下流に、吸引部60を設けている。吸引部60は、吸引口60aを下流に向けて配されており、これにより送風部53からの乾燥気体は上流に向けてより確実に流れるので、流延膜41に対して向かい風でより確実に供給される。
コントローラ55は、気体供給部54に接続し、気体供給部54からの乾燥気体の流量や温度等を制御する。コントローラ55による気体供給部54の制御により、送風部51〜53から吹き出す乾燥気体の流速、流量および温度等が制御される。送風部51〜53からの乾燥気体の温度は、流延膜41に含まれる重合性化合物28の重合がすすまない程度の温度に設定し、これにより、重合性化合物28の反応率が低く抑えられるようにする。
流延膜41は、自己支持性をもつようになると、ベルト45から剥ぎ取られる。剥取ローラ50は、ベルト45から流延膜41を剥ぎ取る剥取位置に近接して備えられる。剥取ローラ50は、長手方向がベルト45の幅方向に概ね一致する状態で、ベルト45に対向して配される。剥取ローラ50は、流延膜41をベルト45から剥ぎ取るに際してフィルム11を支持し、これにより、剥取位置が一定に保持される。フィルム形成部15と乾燥重合部16の後述のテンタ56との間の搬送路には、フィルム11を後述のテンタ56へ案内するローラ48が設けられる。
乾燥重合部16は、溶剤を含んだ状態でベルト45から剥ぎ取った流延膜41、すなわちフィルム11を乾燥するためと、含まれている重合性化合物を重合させるためとのものである。乾燥重合部16は、例えば、テンタ56と、切除装置57と、乾燥室58等から構成されている。
テンタ56には、フィルム11の側部を把持するクリップ61が、フィルム11の搬送路の両側にそれぞれ複数配されている。フィルム11がクリップ61による把持に耐えられない場合、例えば、溶剤の含有率が高すぎて把持により裂けてしまう場合等には、クリップ61に代えてピンを用いてフィルム11の側部にピンを突き刺し、これによりフィルム11を保持してもよい。このように、フィルムの側部を保持するための保持部材は、クリップ61に限定されない。
複数のクリップ61は、連続走行する無端のチェーン(図示せず)に備えられてあり、このチェーンの走行路を変位することによりクリップ61の走行軌道を変えることができる。フィルム11の側部にそれぞれ配されてあるクリップ61とクリップ61との距離を適宜調整してフィルム11の幅を規制してもよい。
テンタ56には、温度調節された乾燥気体(例えば乾燥空気)をフィルム11に吹き付ける送風部62が備えられており、この送風により、クリップ61で保持されて長手方向に搬送されている間のフィルム11の乾燥を進める。このように、テンタ56は、切除装置57による側部の切除処理の前にフィルム11を乾燥する切除前乾燥装置である。
乾燥気体の温度は、フィルム11に含まれる重合性化合物28の反応率が1%以下に抑えられるように、設定される。これにより、重合性化合物28の反応率が1%以下の状態で、フィルム11はテンタ56の下流に備えられる切除装置57へ案内される。テンタ56を経て切除装置57へ供するフィルム11は、重合性化合物28の反応率が0.5%以下に抑えられていることがより好ましい。乾燥気体の温度は、前述の熱重合開始剤の10時間半減期温度以下にすることが好ましく、これにより、重合性化合物28の反応率が1%以下に、より確実に抑えられる。
フィルム11のクリップ61により把持された把持位置には、把持の跡が残っている。この把持跡が、フィルム11の製品となる中央部と分離されるように、切除装置57は、フィルム11の側部を連続的にカットすることにより、フィルム11から側部を切除する。
切除装置57の下流には乾燥室58があり、この乾燥室58は、フィルム11の乾燥をすすめ、また、フィルム11に含まれる重合性化合物を重合するためのものである。乾燥室58は、両側部が切除されたフィルム11を周面で支持する複数のローラ63を備え、乾燥気体(例えば乾燥空気)が供給される。ローラ63の中には、周方向に回転駆動することによりフィルム11を搬送する駆動ローラが含まれる。供給される乾燥気体は、所定温度及び湿度に調節されており、この乾燥気体によりフィルム11はさらに乾燥をすすめられて完全に乾燥する。なお、このように、乾燥室58は、切除装置57による側部の切除処理の後にフィルム11を乾燥する切除後乾燥装置である。乾燥の「完全」の程度は、製品として問題無い程度の乾燥の程度であり、溶剤残留量が必ずしも0(ゼロ)でなくてもよく、0.1%以内であればよい。本実施形態において残留溶媒量は、残留溶媒量を求めるべき測定対象のフィルム11の質量をX、この測定対象のフィルム11に対して、120℃以上、相対湿度10%以下の恒温槽内で3時間以上の乾燥処理を行った後の質量をYとするときに、{(X−Y)/Y}×100%で求めるいわゆる乾量基準の値である。
乾燥室58の乾燥気体は、重合性化合物28を重合する機能ももつ。すなわち、乾燥気体は、フィルム11を加熱することにより重合性化合物28を重合させる。
巻取装置18は、長尺のフィルム11を巻き取ってロール状にするためのものである。巻取装置18には巻き芯64がセットされ、巻き芯64を回転させる駆動機構(図示無し)を有する。
フィルム製造設備10は、クラッシャ67を備える。クラッシャ67は、切除装置57でフィルム11から切除された側部を細片化して前述のチップ32にするためのものである。クラッシャ67としては、例えば市販のロータリカッタ等を用いることができるが、第2調製装置23に供して溶媒29に溶解することができる程度に小さくすることができるものであれば特に限定されない。クラッシャ67で得られたチップ32は、第2調製装置23に案内されて、溶媒29に溶解される。このように、溶媒29は、未使用ポリマー27の溶解に用いられる未使用ポリマー用溶媒としての機能に加えて、チップ32すなわち切除された側部を溶解する側部用溶媒として機能する。
フィルム11における重合性化合物の反応率は、以下の方法で求めることができる。反応率を求めるフィルム11の透過IR(infrared)スペクトルを測定し、そのスペクトルチャート(縦軸は透過率(単位;%)、横軸は波数(単位;cm−1))を使用して、重合性化合物(例えば、後述の実施例におけるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)の重合性不飽和二重結合に由来するピーク付近の面積、具体的には、波数が790cm−1以上825cm−1以下の面積Aを求める。また、重合処理(加熱または露光)を行わない点を除いては同様の方法で製造した非重合のフィルムの透過IRスペクトルを測定し、同様の方法でスペクトルチャートの面積Bを求める。そして、{(B−A)/B}×100の式で反応率を求める。なお、透過IRスペクトルは、本実施形態では、フーリエ変換赤外分光装置Nicolet6700(ThermoElectronCorporation社製)により測定している。
上記構成の作用を説明する。未使用ポリマー27と重合性化合物28と熱重合開始剤と溶媒29とは、第1調製装置22へ供給されて、未使用ポリマー27と重合性化合物28と熱重合開始剤とが溶媒29に溶解される。これにより、第1ドープ31が調製される。フィルム11の製造開始においては第2ドープ33が混合装置24に供給されず、このため、第1ドープ31は、混合装置24に案内されるが第2ドープ33との混合はされずに混合装置24を通過し、流延ドープ21としてフィルム形成部15の流延ダイ43へ送られる。
流延ダイ43は、供給される第1ドープ31を、走行しているベルト45に向けて連続的に流出する。これにより、流延膜41がベルト45上に形成される(流延工程)。流延膜41は、ベルト45の走行に伴って、送風装置47の送風部51、送風部52、送風部53を順に通過し、これらの送風によりゲル化して自己支持性を付与される。ただし、送風部51〜53からの乾燥気体の温度は、重合性化合物28の重合を抑える温度に設定されているので、送風部53を通過した流延膜41は重合性化合物28の反応率は、1%以下とされている。
剥取ローラ50による剥ぎ取りとローラ48による搬送とが可能な程度の自己支持性が付与された流延膜41は、剥取ローラ50の回転によりベルト45から剥ぎ取られ、これによりフィルム11が長尺に形成される(剥取工程)。フィルム11は、テンタ56と乾燥室58とにより乾燥される(乾燥工程)。テンタ56においては、フィルム11は、側部をクリップ61により把持され、クリップ61の移動により長手方向に搬送されながら、送風部62から供給される乾燥気体により乾燥される(切除前乾燥工程)。この乾燥気体は、重合性化合物28の反応率が1%よりも高くならないよう、すなわち1%以下に抑えられる程度に低い温度に設定されている。このため、切除装置57へは、重合性化合物28の反応率が1%以下とされているフィルム11が案内される。なお、テンタ56においては、フィルム11はクリップ61により、幅を規制された状態とされている。
フィルム11はテンタ56から切除装置57へ案内され、クリップ61による把持跡がある側部を切除される(切除工程)。切除装置57による切除工程を経たフィルム11は、乾燥室58での加熱によりさらに乾燥される(切除後乾燥工程)。乾燥室58で用いる乾燥気体の温度は、重合性化合物28の重合がすすむ温度に設定され、この乾燥気体による加熱で重合性化合物28を重合させる。このように、切除後乾燥工程は、重合性化合物28の重合を進める重合工程を含む。これにより、JIS−K5400に準ずる鉛筆硬度評価法によるH以上のフィルム11が得られ、このフィルム11は、巻取装置18によりロール状にされる。
切除装置57でフィルムから切除された側部は、クラッシャ67へ案内されて細片化され、チップ32にされる。チップ32と溶媒29とは、第2調製装置23に供給されて、この第2調製装置23によりチップ32が溶媒29に溶解される。重合性化合物28の反応率が高いほどチップの溶媒29に対する溶解性は下がるが、チップ32は、重合性化合物28の反応率が1%以下にされているから、溶媒29に確実に溶解する。この溶解により、第2ドープ33が得られる。
第2ドープ33は混合装置24へ案内される。混合装置24には、第1ドープ31が前述のように供給され、混合装置24は、この第1ドープ31と第2ドープ33とを混合して新たな流延ドープ21にする。このように、第2ドープ33は、以降の流延工程に供する第1ドープ31に含ませられて新たな流延ドープ21になる。流延ドープ21は、上記と同様にフィルム形成部15と乾燥重合部16とを経てフィルム11にされる。重合性化合物28の反応率が1%以下にされているから、第1ドープ31と第2ドープ33との混合で得られる流延ドープ21を流延しても、高い硬度、具体的には、JIS−K5400に準ずる鉛筆硬度評価法によるH以上の硬度のフィルム11が製造される。また、新たな流延ドープ21で形成されたフィルム11から切除装置57で切除された側部は、同様に、クラッシャ67、第2調製装置23を経て第2ドープ33とされ、流延ドープ21に用いられる。このように切除装置57で切除される側部は、流延ドープ21の一部として利用されるので、製膜工程での廃棄物量が抑えられる。
本実施形態では重合性化合物28として熱重合性化合物を使用しているから、重合性化合物28の重合の進め方、すなわち反応率の制御を、送風装置47、テンタ56、乾燥室58における乾燥気体の温度の設定のみという簡易で確実な手法で行うことができる。また、光照射による重合反応に比べて緩やかに反応が進行する加熱による重合反応によれば、重合性化合物28の重合によりポリマー化が進行している間に分子鎖同士の絡み合いが生じ、これによりフィルム11の高硬度化がより確実になる。
本実施形態では、熱重合開始剤を用いているから、加熱による重合性化合物28の重合がより効率的に進む。テンタ56の送風部62からの乾燥気体の温度は、熱重合開始剤の10時間半減期温度以下に設定されているから、テンタ56を経てもフィルム11中の重合性化合物28の反応率は、より確実に1%以下に抑えられる。テンタ56における乾燥気体の吹付け時間を長くても2分、すなわち2分以下と短時間に抑えることによって、より確実に、フィルム11中の重合性化合物28の反応率を1%以下に抑えることができる。また、乾燥室58の乾燥気体による加熱でフィルム11の乾燥とフィルム11中の重合性化合物28の重合とを行うから、製造効率が高く、かつ、フィルム11を製造する設備の構成も簡易なものとなる。
重合性化合物28は、100質量部の未使用ポリマー27に対して10質量部以上であるから、10質量部未満の場合に比べて、フィルム11がより確実に高硬度に得られる。また100質量部の未使用ポリマー27に対して300質量部以下であるから、300質量部より大きい場合に比べて、流延ドープ21が粘度の観点で流延により適したものになる。
溶媒29は、上記のように未使用ポリマー27とチップ32との各々を溶解するために使用されている。これにより、第1ドープ31と第2ドープ33とは、同じ組成の溶媒に溶解されていることになるから、第1ドープ31と第2ドープ33とは混合装置24により効果的及び効率的に均一に混合される。効果的に混合されることにより、上記のように高硬度のフィルム11がより確実に得られる。
本実施形態では第2ドープ33における固形分濃度を第1ドープ31における固形分濃度と同じにしているから、第1ドープ31と第2ドープ33との混合比率を変えても流延ドープ21の処方はほとんど変化しないので、第2ドープ33の使用量を変えてもフィルム11は一定の品質で製造される。つまり、第1ドープ31と第2ドープ33との混合比率の自由度が増す。
得られるフィルム11は、偏光板の保護フィルム、液晶表示パネルの表面を保護する保護膜等に好ましく用いることができる。
本実施形態では、切除装置57でフィルム11から切除した側部を、溶媒29に溶解し、溶液である第2ドープ33として第1ドープ31と混合しているが、溶媒29に溶解することなく固体の状態で第1ドープ31に混合してもよい。固体の状態で第1ドープ31に混合する場合には、混合して得られる流延ドープの濃度が目的とする濃度になるように、混合前の第1ドープ31の濃度と混合するチップ32の質量とを調整することが好ましい。
剥取ローラ50とテンタ56との間に、切除装置57と同様の構成をもつ切除装置(図示無し)を配してもよく、この切除装置で切除された側部も、切除装置57で切除された側部と同様に、第1ドープ31と混合してもよい。
上記の例では、熱により重合性化合物28を重合させているが、重合性化合物として光の照射により重合する光重合性化合物を使用する場合には、光を射出する光照射装置(図示無し)をテンタ56と巻取装置18との間に設けるとよい。
<セルロースアシレート>
未使用ポリマー27と重合性化合物28と熱重合開始剤との詳細は以下の通りである。未使用ポリマー27としてセルロースアシレートを用いる場合には、セルロースアシレートは、特に制限はない。セルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基の置換するアシル基の詳細については、特開2012−215812号公報段落0017を参照することができる。好ましくは、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基であり、より好ましくはアセチル基、プロピオニル基であり、更に好ましくはアセチル基である。併用される重合性化合物28や重合性化合物28の重合により生成するポリマーとの相溶性の観点からは、アセチル置換度が2.7以上のセルロースアシレートが好ましく、アセチル置換度はより好ましくは2.75以上、更に好ましくは2.82以上である。一方、光学性能の観点からは、アセチル置換度が2.95以下のセルロースアシレートが好ましく、より好ましくは2.90以下、更に好ましくは2.89以下である。同様の観点から、セルロースアシレートの総アシル置換度も、アセチル置換度について上記した範囲にあることが好ましい。なお総アシル置換度およびアセチル置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。その他、セルロースアシレートの詳細については、特開2012−215812号公報段落0018〜0020も参照することができる。重合性組成物である第1ドープ31の質量に対するセルロースアシレートの濃度は、例えば1〜40質量%の範囲であり、5〜30質量%の範囲であることが好ましく、10〜25質量%の範囲であることがより好ましい。
<重合性化合物28>
重合性化合物28としては、重合性基を有するものであれば、モノマーであっても、オリゴマーやプレポリマー等の多量体であってもよい。重合性化合物28の分子量(多量体については、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算で測定される質量平均分子量)は、特に限定されるものではないが、例えば80以上30,000以下であり、100以上10,000以下であることが好ましく、150以上5,000以下であることがより好ましい。重合性基は、ラジカル重合性基であってもカチオン重合性基であってもよく、ラジカル重合性基が好ましい。
重合性基としては、エチレン性不飽和結合含有基、エポキシ基、オキセタン基、メチロール基等の重合性基が、反応を良好に進行させるうえで好ましく、エチレン性不飽和結合含有基が更に好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基を挙げることができ、(メタ)アクリロイルオキシ基および(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基は一層好ましい。なお本明細書において、「(メタ)アクリロイルオキシ基」との記載は、アクリロイルオキシ基とメタクリロイルオキシ基の少なくともいずれかの意味で用いるものとする。「(メタ)アクリロイル基」等も同様である。重合性化合物28は、含まれる重合性基の数が1つの単官能重合性化合物あっても、2つ以上の多官能重合性化合物であってもよい。フィルム11の高硬度化の観点からは、多官能重合性化合物であることが好ましい。また、単官能重合性化合物と多官能重合性化合物の併用や、異なる種類の多官能重合性化合物の併用も可能である。多官能重合性化合物に含まれる重合性基の数は2以上であり、好ましくは2〜20の範囲であり、より好ましくは3〜12の範囲である。
重合性化合物28としてより好ましくは、(メタ)アクリロイルオキシ基および(メタ)アクリロイル基の少なくともいずれか一方を含む重合性化合物である(メタ)アクリレート化合物であり、より好ましくは多官能(メタ)アクリレート化合物である。多官能(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜20のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜20のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の総炭素数が10〜60のトリ(メタ)アクリレート;エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の総炭素数が10〜100のテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、特開2013−043382号公報段落0023〜0036、特許第5129458号明細書段落0014〜0017に記載の一般式(4)〜(6)で表されるアルキル鎖含有(メタ)アクリレート化合物を使用することもできる。一方、単官能(メタ)アクリレート化合物の具体例については、WO2012/077807A1段落0022を参照することができる。
更に、特開2004−67816号公報の段落0020〜0052に記載の各種重合性化合物を用いることもできる。また、光照射により重合を行う場合には紫外線吸収性を有する成分の併用は通常行われないが、上記製造方法では、熱重合により重合処理をおこなうため、紫外線吸収性基を有する重合性化合物を用いることもできる。紫外線吸収性基としては、例えばオキシベンゾフェノン骨格を含む基、ベンゾフェノン骨格を含む基、ベンゾトリアゾール骨格を含む基、トリアジン骨格を含む基、サリチル酸エステル骨格、シアノアクリレート骨格、ベンゼン骨格を含む基等が挙げられる。紫外線吸収性基を有する重合性化合物の詳細については、特開2004−67816号公報段落0060〜0079を参照できる。
第1ドープ31において重合性化合物28は、作製されるフィルム11の硬度の観点からは、100質量部の未使用ポリマー27に対して10質量部以上とすることが好ましく、30質量部以上とすることがより好ましく、50質量部以上とすることがより好ましく、70質量部以上とすることが更に好ましい。またフィルムの脆性の観点からは、重合性組成物における重合性化合物の含有量は、100質量部の未使用ポリマー27に対して300質量部以下とすることが好ましく、200質量部以下とすることがより好ましい。
熱重合開始剤に関しては、10時間半減期温度が60℃以上110℃以下の範囲内であることが好ましい。10時間半減期温度が60℃以上であることにより、60℃よりも低い場合に比べて、フィルム製造設備10内、例えば第1調製装置22内での熱重合開始剤の分解が進むことを抑制して、重合反応の進行が抑えられるから、重合性化合物28の反応率がより確実に1%以下に抑えられる。10時間半減期温度が110℃以下であることにより、110℃より高い場合に比べて、乾燥重合部16での熱重合が進みやすくなり、フィルム11の反応率が上昇するからH以上という高硬度なフィルムがより確実に得られる。熱重合開始剤の10時間半減期温度は、重合開始剤の溶媒に重合開始剤を溶解して溶液(例えば0.1mol/Lの濃度の溶液)をつくり、窒素置換を行ったガラス管に密封し、恒温槽において熱分解させて測定することができる。
熱重合開始剤の構造については、特に限定されるものではない。熱重合開始剤の具体的態様としては、アゾ化合物、ヒドロキシルアミンエステル化合物、有機過酸化物、過酸化水素等を挙げることができる。有機過酸化物の具体例については、特許第5341155号公報の段落0031に記載のものを挙げることができる。
アゾ化合物は、少なくとも1つのアゾ結合を含めばよく、アゾ結合とともに各種置換基を含むことができる。具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド等のアゾニトリル化合物、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)等のアゾエステル化合物、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等のアゾアミド化合物、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン]ジヒドロキシクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等のアゾイミダゾリン化合物、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン等のアゾアルキル化合物、更にはアゾアミジン化合物、アゾ結合を有する繰り返し単位を含むポリマーの使用も可能である。アゾ化合物は、レドックス分解や誘発分解が生じにくい点等で好ましい熱重合開始剤である。
また、ヒドロキシルアミンエステル化合物としては、特表2012−521573号公報に記載の式Iで表されるヒドロキシルアミンエステル化合物を挙げることができる。具体的な化合物を以下に示す。ただしこれらに限定されるものではない。
Figure 0006067640
以上記載した熱重合開始剤は、120℃以上の加熱温度における重合反応を良好に進行させる観点から、重合性組成物中において100質量部の未使用ポリマー27に対して0.1質量部以上含まれることが好ましく、0.5質量部以上含まれることが好ましく、1質量部以上含まれることがより好ましい。また、フィルム11の透明性維持等の観点からは、100質量部の未使用ポリマー27に対して30質量部以下の使用が好ましく、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましい。
第1ドープ31は、通常、上記成分を溶媒に添加混合することにより調製することができる。溶媒29としては特に限定されるものではなく、未使用ポリマー27の良溶媒である有機溶媒を好ましく用いることができる。また、2種以上の溶媒を混合して用いてもよい。溶媒の詳細については、特開2013−139541号公報の段落0130〜0137を参照することができる。
[実施例1]〜[実施例13]
フィルム製造設備10により、切除装置57により切除した側部を以降の流延工程に用いる流延ドープ21に利用して、厚みが60μmのフィルム11を製造し、実施例1〜13とした。各実施例において、熱重合開始剤を用いない場合は下記の組成1で、熱重合開始剤を用いる場合は下記の組成2で、第1ドープ31をそれぞれ調製した。なお、第1調製装置22は、攪拌機構を有するミキシングタンクであり、未使用ポリマー27としてはTACを用いた。用いた重合性化合物28と、100質量部の未使用ポリマー27に対する重合性組成物の量と、熱重合開始剤は、表1の「重合性化合物」欄と、「重合性化合物の量」欄と、「熱重合開始剤」欄に示す。熱重合開始剤を用いない場合には、表1の「熱重合開始剤」欄に「−」と記載する。表1の「重合性化合物」欄の「DPHA」は、日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標) DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)であり、「UV−1700B」は、日本合成化学工業(株)製紫光(登録商標)UV−1700Bであり、「UN−3320HS」は、根上工業(株)製アートレジンUN−3320HSである。「熱重合開始剤」欄の「VAm−110」は、和光純薬工業(株)製のVAm−110であり、この10時間半減期温度は110℃である。また、「熱重合開始剤」欄の「V−601」は、和光純薬工業(株)製のV−601であり、この10時間半減期温度は66℃である。熱重合開始剤の10時間半減期温度は、各重合開始剤をトルエンを使用して、0.1mol/Lの濃度の熱重合開始剤溶液を、窒素置換を行ったガラス管に密封し、恒温槽において熱分解させて測定した。
<組成1>
TAC 100質量部
重合性化合物 表1に示す量
溶媒29の第1成分(ジクロロメタン) 718質量部
溶媒29の第2成分(メタノール) 107質量部
<組成2>
TAC 100質量部
重合性化合物 表1に示す量
熱重合開始剤 10質量部
溶媒29の第1成分(ジクロロメタン) 709質量部
溶媒29の第2成分(メタノール) 106質量部
各実施例において、送風装置47による乾燥気体の温度は30℃にした。テンタ56の乾燥気体の温度は、表1の「テンタ乾燥気体温度」欄に、流延ドープ21中の固形分の質量に対するチップ32の質量は、表1の「チップ比率」欄に、切除装置57に供給されるフィルム11における重合性化合物28の反応率は、表1の「反応率」欄に、乾燥室58における乾燥気体の温度は表1の「熱重合温度」欄に、乾燥室58の乾燥気体による加熱処理時間を表1の「熱重合時間」に示す。また、第2ドープ33は第1ドープ31と同じ固形分濃度に調製した。
各実施例において、第1ドープ31と第2ドープ33とを混合して流延ドープ21を用いて得られたフィルム11につき、下記の方法で硬度を評価した。得られたフィルム11を、25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、鉛筆を用いてJIS−K5400が規定する鉛筆硬度評価法に従い、500gのおもりを用いて各硬度の鉛筆でセルロースアシレートフィルム表面を10回繰り返し引っ掻いた。用いた鉛筆は、JIS−S6006が規定する試験用鉛筆である。引っ掻いて傷が4本以下となる硬度を求めた。なお、JIS−K5400で定義される傷は塗膜の破れ、塗膜のすり傷であり、JIS−K5400では塗膜のへこみは対象としないと記載されている。しかし、本実施例及び下記の比較例の評価では、フィルム面のへこみも含めて傷として数えた。この評価結果は、表1の「硬度」欄に示す。
Figure 0006067640
[比較例1]〜[比較例3]
表1に示す条件でフィルムを製造した。その他の条件は実施例と同じである。そして、得られた各フィルムについて、実施例と同じ方法、基準で硬度を評価した。評価結果は表1の「硬度」欄に示す。
10 フィルム製造設備
11 フィルム
31 第1ドープ
33 第2ドープ
43 流延ダイ
45 ベルト
56 テンタ
61 クリップ
57 切除装置
58 乾燥室

Claims (7)

  1. 走行する支持体上に、ポリマーと重合性化合物と溶媒とを含む重合性組成物を流延ダイから流出して流延膜を形成する流延工程と、
    前記溶媒を含んだ状態の流延膜を前記支持体から剥がすことによりフィルムを長尺に形成する剥取工程と、
    前記フィルムを乾燥する乾燥工程と、
    前記フィルムから側部を切除する切除工程と、
    前記切除工程を経た前記フィルム中の前記重合性化合物を重合させる重合工程とを含み、
    前記切除工程に供する前記フィルムにおける前記重合性化合物の反応率を1%以下に抑え、
    前記切除工程で切除された前記側部を、以降の前記流延工程へ供する重合性組成物に含ませ、
    前記ポリマーはセルローストリアセテートであり、
    前記重合性化合物は、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートと、日本合成化学工業(株)製のウレタンアクリレートである紫光(登録商標)UV−1700Bと、根上工業(株)製のウレタンアクリレートであるアートレジン(登録商標)UN−3320HSとのいずれかひとつであり、
    前記重合性組成物は、前記ポリマー100質量部に対して前記重合性化合物を50質量部以上200質量部以下の範囲内で含むことを特徴とするフィルム製造方法。
  2. 前記重合性化合物は、加熱により重合する熱重合性化合物であり、
    前記重合工程は、前記フィルムを加熱することにより前記重合性化合物を重合する請求項1に記載のフィルム製造方法。
  3. 前記重合性組成物は、10時間半減期温度が60℃以上110℃以下の範囲内である熱重合開始剤を含む請求項2に記載のフィルム製造方法。
  4. 前記乾燥工程は、前記切除工程前の前記フィルムの側部を保持部材で保持して前記保持部材の移動により前記フィルムを長手方向に搬送しながら、温度が前記熱重合開始剤の10時間半減期温度以下にされた気体の供給により前記フィルムを乾燥する切除前乾燥工程を含み、
    前記切除工程は、前記切除前乾燥工程を経た前記フィルムから前記側部を切除する請求項3に記載のフィルム製造方法。
  5. 前記乾燥工程は、前記切除工程の後に前記フィルムを加熱することにより乾燥する切除後乾燥工程を含み、
    前記重合工程は、前記切除後乾燥工程の前記加熱で前記重合性化合物を重合する請求項2ないし4のいずれか1項に記載のフィルム製造方法。
  6. 前記切除工程で切除された前記側部を、前記溶媒と同じ組成の側部用溶媒に溶解し、溶液として以降の前記流延工程へ供する重合性組成物に含ませる請求項1ないし5のいずれか1項に記載のフィルム製造方法。
  7. 前記溶液における固形分の濃度は、以降の前記流延工程へ供する重合性組成物における固形分の濃度と同じである請求項6に記載のフィルム製造方法。
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