事故や病気などによって失われた前腕部や上腕部の機能を復元するため種々のタイプの義手が開発され、上肢切断者によって使用されている。例えば、筋肉が収縮する際に発生する微弱な電流(表面筋電位)の変化をセンサによって検出し、検出された当該電流に基づいてモータを駆動して把持動作等を復元可能な「筋電義手」が知られている。さらに、本願発明者によって、前腕部の回内・回外動作、肘の屈曲・伸展動作などの比較的単純な動作に基づいて前腕部等の形状変化をセンサで検出し、検出された形状変化を電気信号に変換して義手による把持動作等を復元可能な「電動義手」の開発も進められている。
上述の筋電義手や電動義手を使用する場合、表面筋電位や形状変化を検出するために、一または複数のセンサを上肢切断者の前腕部や上腕部などの予め定められた位置に取付ける必要がある。このとき、家庭用の血圧計の腕帯(カフ)に使用されるような広幅の帯状のバンドが用いられることがある。このバンドは、環状のバックルと、バックルと接続されるとともに当該バックルに挿通可能な幅で形成された帯状のバンドと、バンドの内面に沿って設けられたセンサとを具備し、バンドの外面の先端近傍に設けられた面ファスナーのフック部(オス面)またはループ部(メス面)と、外面の中間付近に設けられた面ファスナーのループ部またはフック部とを有している。そして、帯状のバンドの内面を上腕部等の周囲の沿うように当接させながら、バンドの先端をバックルに通し、さらにバックルで折返すことにより、上腕部等の周囲をバンドによって強く締め付けるように密着させる。その後、先端のフック部またはループ部と、中間付近に形成されたループ部またはフック部とを係合させることにより、バンドによる密着状態が維持される。その結果、帯状のバンドを上腕部等に装着することができる。
しかしながら、上記のようなバンドを用いた計測部の場合、上腕部等の予め決められた場所にセンサの位置を合わせながら、一対のフック部及びループ部を係合させる作業を同時に行う必要があり、センサの位置がずれるなど作業が煩雑となることがあった。特に、上記作業を自分で片手のみで行う場合、さらに困難となることがあった。また、装着されたバンドを上腕部から取外す場合も、同様に片手のみで行わなければならず、装着及び取外しの作業に多くの時間が必要であった。また、一度装着した後でもセンサ位置を再調整する作業が容易でなかった。加えて、一対のフック部及びループ部の構成のみによって、上腕部等に計測部を固定するため、長時間の使用によってバンドの係合が緩み、センサの位置がずれるなどの不具合が発生し、電流や形状変化などを安定的に検出することができない場合があった。さらに、上記の場合、薄片状のセンサが折曲がって装着されることもあり、同様に安定的な検出が行えないことがあった。
一方、上述した電動義手等のセンサなどの装着を想定したバンドの使用以外にも、例えば、建築用の資材を縛ったり、日用品等の物品を搬送などのために梱包したりするなど、日常生活において物品を結束する機会は多く存在している。この場合でも、片手が塞がった状態でも物品を簡便に、且つ確実に結束することができるバンドが要請されている。
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、センサ等に折り目をつけることなく、前腕部等を確実に結束することができ、且つ、取付け、再調整、及び取外しを片手で簡便に行うことができるバンドの提供を課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明のバンドは、「環状のバックルと、前記バックルと一端が接続された帯状のベース体と、前記ベース体の他端から延設され、前記バックルに挿通される幅で形成された帯状の内側バンドと、前記ベース体の他端から前記内側バンドと分岐して延設され、前記バックルに挿通される幅で形成された帯状の外側バンドと、前記外側バンドに対面する内側バンドの外面に形成された第一フック部と、前記内側バンドの内面に形成された第一ループ部と、前記内側バンドに対面する外側バンドの内面とは反対側の外側バンドの外面の先端部分に形成され、前記第一フック部と係合可能な第二ループ部と、前記外側バンドの外面及び前記外側バンドの外面と連続するベース体の外面に形成され、前記第二ループ部と前記バックルとの間で、且つ前記バックルから離間した位置に設けられるとともに、前記第一ループ部と係合可能な第二フック部と」を具備している。
バックルとは、例えば、角環状、或いは長円環状の開口を有する環状部材であり、後述する帯状の内側バンド及び外側バンドの幅よりも広い幅の開口を有し、挿通可能なものである。なお、バックルを形成する材料は、特に限定されるものではなく、例えば、硬質のプラスチックや金属等を用いることができる。
ベース体、内側バンド、及び外側バンドは、それぞれ布帛或いは樹脂等の柔軟性を有する材料によって形成された帯状部材であり、ベース体の一端がバックルと接続し、ベース体の他端から内側バンド及び外側バンドがそれぞれ分岐して延設されている。なお、ベース帯、内側バンド、及び外側バンドを構成する帯状部材は、例えば、応力によって伸張可能なゴムのような弾性部材で構成されているものであっても構わない。また、内側バンド及び外側バンドは、それぞれベース体と別体として構成されたものであっても、或いは、ベース体及び内側バンド若しくはベース体及び外側バンドをそれぞれ一体に構成したものであっても構わない。例えば、ベース体と外側バンドとを一体に構成した場合、ベース体及び外側バンドからなる帯状部材の途中に内側バンドの端を取付けることにより、上記の本発明のバンドの構成とすることができる。このとき、内側バンドの取付けられた箇所が、ベース体及び外側バンドの境界となり、ベース体の他端となる。また、内側バンド及びベース体の一部と、外側バンド及びベース体の一部とをそれぞれ一体に構成し、一対のベース体の一部同士を互いに接着することにより、バンドを形成するものであってもよい。このとき、ベース体の一部同士が接着されている部分の端部がベース体の他端となる。
内側バンドの外面に形成された第一フック部は、面ファスナーにおけるフック形状に起毛したフック部(オス面)に相当するものであり、一方、内側バンドの内面に形成された第一ループ部は、面ファスナーにおけるループ形状に密集して起毛したループ部(メス面)に相当するものである。なお、外側バンドの外面にそれぞれ形成された第二ループ部及び第二フック部は、前述の第一ループ部及び第一フック部と同様の構成であるため説明を省略する。そして、第一ループ部と第二フック部とを係合させることにより、内側バンドの内面と外側バンドの外面若しくはベース体の外面とが密着し、係る状態を維持することができる。一方、第一フック部と第二ループ部とを係合させることにより、内側バンドの外面と外側バンドの外面の先端部分とが密着し、係る状態を維持することができる。すなわち、本発明のバンドは、フック部及びループ部による係合を二箇所で行うことができる。なお、第一ループ部及び第二フック部、または、第二ループ部及び第一フック部をそれぞれ引き離す方向に力を加えることにより、上記係合による密着状態が解除され、双方を剥離することができる。なお、フック部及びループ部による係合及び係合の解除は繰り返し行うことができる。一般に、フック部は、硬質のプラスチック樹脂が棘のようにフック状に起毛して形成されたものであり、皮膚と接すると痛みを感じることがある。これに対し、ループ部は、軟質の繊維がループ状に密集し起毛して形成されたものである。したがって、本発明の構成で示したように、内側バンドの内面及びベース体の内面側に第一ループ部を設けることにより、前腕部等の皮膚と係る第一ループ部が接触することになる。そのため、本発明のバンドを取付けた場合であっても、痛みを感じることが少ない。その結果、前腕部等に長時間に亘って取付けが可能となる。
したがって、本発明のバンドによれば、帯状のベース体、内側バンド、及び外側バンドを用いることにより、前腕部等の結束対象を安定して結束することができる。特に、各面に設けられたバックルに挿通された内側バンドの内面に形成された第一ループ部及び第二フック部、及び、バックルに挿通された外側バンドの外面に形成された第二ループ部及び内側バンドの外面に形成された第一フック部のそれぞれの係合により、結束対象に対するバンドの装着を確実なものとすることができる。
さらに、本発明のバンドは、上記構成に加え、「前記バックルに取設された取外用タグ」を具備するものであっても構わない。
したがって、本発明のバンドによれば、取外用タグによって、バンドを結束対象から取外す際の作業が容易となる。ここで、取外用タグは、上述した内側バンド及び外側バンドの挿通を阻害しない位置に設けられ、例えば、角片状のシートなどによって構成される。これにより、取外用タグを用いて取外しを行うことができる。
さらに、本発明のバンドは、上記構成に加え、「前記第一ループ部、前記ベース体、前記内側バンド、及び前記外側バンドの少なくとも一部に取付けられたセンサ」を具備するものであっても構わない。
したがって、本発明のバンドによれば、バンドを電動義手等を制御するためのセンサの装着に用いることができる。ここで、センサの取付けの例について説明すると、例えば、第一ループ部及びベース体の内面に沿って薄片状のセンサープレートを貼着したもの、ベース体、内側バンド、外側バンドのそれぞれの内面または外面に貼着したもの、或いはベース体、内側バンド、外側バンドの内部に埋設したものなどが挙げられる。また、センサも薄片状のものに限定されるものではなく、種々の形状のセンサを使用することができる。
本発明の効果として、バンドは、前腕部等を確実に結束することができ、且つ、取付け及び取外しを片手で簡便に行うことができる。
以下、本発明の一実施形態であるバンド1について、図1乃至図5に基づいて説明する。ここで、本実施形態のバンド1は、電動義手を使用する上肢切断者の前腕部2に取付けられ、回内・回外動作における前腕部2の形状変化を検出するためのセンサ3を装着するためのものである。したがって、本実施形態のバンド1は、その構成にセンサ3を含んでいる。
本実施形態のバンド1は、図1乃至図3に示すように、長円状の開口4を有する環状のバックル5と、バックル5と一端6aが接続された帯状のベース体6と、ベース体6の他端6bから延設され、バックル5の開口4に挿通可能な幅で形成された内側バンド7と、ベース体6の他端6bから内側バンド7と分岐して延設され、バックル5の開口4に挿通な幅で形成されるとともに、内側バンド7よりも長尺の帯状の外側バンド8と、ベース体6の一端6aと対向する位置でバックル5に取設された角片状の取外用タグ9と、内側バンド7の内面7a及びベース体6の内面6dの一部に沿って貼着された長片状のセンサ3とを具備している。
ここで、本実施形態のバンド1におけるベース体6は、内側バンド7と一部が一体に形成されているとともに、外側バンド8と一部が一体に形成されている。具体的に説明すると、図1及び図2に示すように、内側バンド7と一体に形成されたベース片6eと外側バンド8と一体に形成されたベース片6fの一部が互いに重なり合って接着されている。そして、ベース片6fの一端がベース体6の一端6aとしてバックル5と接続されている。したがって、図1乃至図3に示すように、ベース体6はバックル5の近傍では、上記ベース片6fからなる一層で形成され、バックル5から離間した位置ではベース片6e及びベース片6fが互いに重なり合った二層で形成されている。なお、内側バンド7とベース片6eの境界及び外側バンド8及びベース片6fの境界が、ベース体6の他端6bに相当し、係る位置から内側バンド7及び外側バンド8がそれぞれ分岐している。ここで、ベース体6、内側バンド7、及び外側バンド8は、それぞれ可撓性を有する帯状の樹脂材料によって構成され、同一の幅で形成されている。係る構成により、ベース体6、内側バンド7、及び外側バンド8は、前腕部2に沿って曲折することができ、前腕部2を結束し、センサ3を装着することができる。また、外側バンド8はバックル5を介して挿通方向を反転させ、折返すことができる(詳細は後述する)。また、バックル5は樹脂材料によって形成されている。
本実施形態のバンド1は、その他の構成として、外側バンド8に対面する内側バンド7の外面7bに形成された面ファスナーの第一フック部10と、当該外面7bの反対側の内側バンド7の内面7a及び内面7aと連続するベース片6eの内面(ベース体6の内面6dの一部)に形成された面ファスナーの第一ループ部11と、内側バンド7の外面7bに対面する外側バンド8の内面8bの反対側に位置する外側バンド8の外面8aの先端近傍に形成され、第一フック部10と係合可能な面ファスナーの第二ループ部12と、外側バンド8の外面8a及び当該外面8aと連続するベース片6fの外面(ベース体6の外面6cの一部)に形成され、一端13aが第二ループ部12と接続し他端13bがバックルから離間した位置に設けられるとともに、第一ループ部11と係合可能な面ファスナーの第二フック部13とを具備している。
係る構成を採用することにより、第一ループ部11及び第二フック部13を係合させることで内側バンド7の内面7aと外側バンド8の外面8aまたはベース体6の外面6cとを密着させ、当該密着状態を維持することができる。さらに、第一フック部10及び第二ループ部12を係合させると外側バンド8の外面8aの先端近傍と内側バンド7の外面7bとを密着させ、当該密着状態を維持することができる。このとき、第二フック部13の他端13bがバックル5から離間した位置に設けられることにより、当該他端13b及びバックル5の間のベース体6の外面6cには、面ファスナーのフック部及びループ部のいずれであっても係合することのない、所謂「遊び」の部分に相当する非係合部14が形成される。なお、外側バンド8の内面8b、及びバックル5に近接するベース体6の内面6dは、上記非係合部14と同様に、面ファスナーのフック部及びループ部のいずれであっても係合しない面で形成されている。
一方、本実施形態のバンド1におけるセンサ3は、前腕部2の回内・回外動作に基づく前腕部2の形状変化を検出するための形状検知センサであり、内側バンド7の内面7a及びベース体6(ベース片6e)の内面6dの一部に沿って、薄片状のセンサプレートが第一ループ部11に重ねられるようにして貼着されている。なお、図1等において、当該センサ3と接続した電極・配線等の構成については図示を省略している。
次に、本実施形態のバンド1を用いた前腕部2に対する取付作業、換言すれば、センサ3の前腕部2への装着作業の具体例について、主に図4に基づいて説明する。始めに、内側バンド7の内面7a側及びベース体6の内面6d側が内側になるように前腕部2の周囲にバンド1を向け、内側バンド7の先端及び外側バンド8の先端をそれぞれバックル5の開口4に挿通する(図4(a)参照)。なお、バックル5の開口4は、内側バンド7及び外側バンド8を重ねた状態で挿通可能な大きさで形成されている。ここで、外側バンド8の内面8bには、前述のように面ファスナーと係合可能な面が形成されていない。そのため、図4(a)のように内側バンド7及び外側バンド8が互いに重なった状態であっても、両者が係合することがない。内側バンド7及び外側バンド8をバックル5に通すことにより、前腕部2の周りをバンド1によって緩く囲んだ状態にすることができる。
次に、内側バンド7をさらに挿通方向に引っ張り、前腕部2の周囲に沿うように内側バンド7及びベース体6の長さを調整した後、内側バンド7の内面7aを外側バンド8の外面8a(若しくはベース体6の外面6c)に密着させる(図4(b)参照)。ここで、内側バンド7の内面7aには面ファスナーの第一ループ部11が形成され、一方、外側バンド8の外面(若しくはベース体6の外面6c)には第二フック部13が形成されている。そのため、第一ループ部11及び第二フック部13が係合し、内側バンド7及び外側バンド8(またはベース体6)が密着する。なお、ベース体6の外面6cには、バックル5の近傍にフック部及びループ部のいずれとも係合しない非係合部14が設けられている。そこで、図4(b)に示すように、ベース体6と内側バンド7との間に空隙15を形成するように、膨らみを持たせた状態で第一ループ部11及び第二フック部13を係合させるようにしてもよい。すなわち、この状態における第一ループ部11及び第二フック部13の係合は、いわば「仮止め」のようなものであり、その後にセンサ3の位置等の調整を図るため、若干緩めに固定するものであってもよい。なお、内側バンド7の内面7a及びベース体6の内面6dの一部には第一ループ部11が形成されている。さらに、ベース体6の内面6dの残りは、フック部及びループ部のいずれであっても係合しない面で形成されている。そのため、前腕部2と直に接した状態で巻付けられたとしても、ループ部のような棘のある硬質の面ではないため、前腕部2等に痛みを感じることがなく、上肢切断者等は長時間に亘って係るバンド1の取付けを行うことができる。
その後、外側バンド8を挿通方向(図4(b)における矢印参照)にさらに引っ張り、内側バンド7に対する外側バンド8の緩みを解消し、内側バンド7及び外側バンド8が互いに重なり合った状態とする(図4(c)参照)。係る状態で、空隙15によって緩んだ内側ベルト7及びベース体6を前腕部2の周囲に沿って回し、センサ3の位置を調整することができる。なお、必要に応じて、仮止めされた第一ループ部11及び第二フック部13の係合を解除し、前腕部2に対するセンサ3の位置の調整を行った後、内側ベルト7を挿通方向に強く引っ張って上記空隙15を無くした状態で、再び、第一ループ部11及び第二フック部13を再び係合させる動作を行ってもよい。
そして、外側バンド8の先端をバックル5に対する挿通方向から反転させ、外側バンド8を折返す。そして、折返し方向に強く引っ張りながら、外側バンド8を内側バンド7の外面7b及びベース体6の外面6cに沿って巻付ける(図4(d)矢印参照)。これにより、外側バンド8によって前腕部2にバンド1を強く巻付けることができる。その後、外側バンド8の外面8aの先端近傍に形成された第一ループ部11を内側バンド7の外面7bに形成された第一フック部10に係合させる(図4(e)参照)。これにより、前腕部2に対するバンド1の取付作業(センサ3の装着作業)が完了する。
ここで、本実施形態のバンド1は、上述した「遊び」に相当する非係合部14を備えるため、これによって形成される空隙15により、前腕部2等に対する締め付けの強弱を取付作業が完了した後であっても再調整することができる。この場合、バックル5に取付けられた取外用タグ9を把持し、所望の方向に操作することにより、前腕部2に対する締め付けの強弱の再調整が図られる。
本実施形態のバンド1によれば、始めに、第一ループ部11及び第二フック部13の係合による仮止めを行うことができ、当該仮止めをした状態でセンサ3の位置の調整などを行うことができる。そのため、上肢切断者のような片手のみで本実施形態のバンド1を取付ける場合でも、上記動作を容易に行うことができる。加えて、仮止めを行った後に、バックル5を介して折返された外側バンド8によって、内側バンド7及びベース体6の上から前腕部2の周囲を強く締付けながら外側バンド8を巻付け、第一フック部10及び第二ループ部12の係合を行うことができる。そのため、第一ループ部10及び第二フック部13による係合と合わせ、二箇所で係合を行うことができるため、前腕部2にバンド1をより確実に取付けることができる。その結果、使用時にセンサ3の位置がずれる等の不具合を生じることがない。
次に、本実施形態のバンド1の前腕部2からの取外し作業、換言すれば、センサ3の前腕部2からの取外し作業の具体例について、主に図5に基づいて説明する。始めに、バンド1が前腕部2に取付けられた状態(図4(e)若しくは図5(a)参照)から、外側バンド8の外面8aの第二ループ部12及び内側バンド7の外面7bの第一フック部10の係合を解除し(図5(a)における矢印参照)、その後、外側バンド8の先端を把持して、前腕部2の周囲に巻付けられていた外側バンドを紙面時計回り方向に解き(図5(b)における矢印参照)、外側バンド8の先端がバックル5の挿通方向側(図5(b)におけるバックル5の紙面右側)になるように位置させる。
さらに、係る状態で内側バンド7の内面7aに形成された第一ループ部11及び外側バンド8の外面8a(またはベース体6の外面6c)に形成された第二フック部13との係合を解除する(図5(c)における矢印参照)。これにより、バンド1における二組の係合状態の全てが解除される。
そして、バックル5に設けられた角片状の取出用タグ9を指Fで把持し(図5(d)参照)、係る把持状態を維持しながら、前腕部2を当該取出用タグ9から略水平方向に離間する方向(図5(e)における矢印参照)に移動させる。その結果、バックル5に挿通された内側バンド7及び外側バンド8が当該バックル5から外れることになり、最終的にバンド1の前腕部2からの取外しが完了する(図5(f)参照)。すなわち、二組のループ部及びフック部の係合を解除した後、取出用タグ9を把持して、前腕部2を移動させることにより、バンド1を一気に取外すことができる。係る操作は、片手で行うことができるとともに、取外しに要する時間を短くすることができる。
なお、上記において、取出用タグ9を指Fで把持し、前腕部2を当該取出用タグ9から離間する方向に移動させる例を示したが、これに限定されるものではなく、指Fで把持した取出用タグ9を前腕部2から離す方向に引っ張るものであっても構わない。
したがって、本実施形態のバンド1によれば、前腕部2に対する取付作業と同様に、取外す作業も片手で簡便に行うことができる。特に、取出用タグ9を把持して前腕部2を離間する方向に移動させることにより、バンド1の取外しに要する時間を短くすることができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、本実施形態のバンド1において、ベース体6を内側バンド7と一体に構成されたベース片6e及び外側バンド8と一体に構成されたベース片6fからなるものを示したが、これに限定されるものではなく、内側バンド7、外側バンド8、及びベース体6をそれぞれ別体として構成し、ベース体6の他端6bで内側バンド7及び外側バンド8が分岐したものであっても構わない。また、バンド1の構成として、薄片状のセンサプレートをセンサ3として内側バンド7の内面7a及びベース体6の内面6dの一部に沿って、第一ループ部11に重ねられるようにして貼着されたものを示したが、これに限定されるものではなく、センサの種類及びセンサの取付位置は特に限定されるものではない。すなわち、前腕部2等の形状変化等のセンサの機能を発揮可能な位置及び種類のものであれば構わない。
加えて、本実施形態のバンド1において、電動義手に使用されるセンサ3を前腕部2に装着する例について説明したが、これに限定されるものではなく、その他の用途に使用するものであっても構わない。つまり、センサ3の装着に限らず、角材等の建築用資材を複数本束ねて固定する場合や、日常品等の物品を梱包する際に使用する場合などに使用するものであってもよい。係る場合、片手であっても日常品等を確実、且つ、安全に結束することができる。