以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態における印刷システム1の構成概念を示す図である。この印刷システム1は、複数の情報処理装置2,9と、プリントサーバー3と、画像形成装置5とを備えて構成されるネットワークシステムであり、例えばオフィスなどにおいて印刷出力を行うために構築されるシステムである。この印刷システム1では、複数の情報処理装置2,9、プリントサーバー3及び画像形成装置5のそれぞれが、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介して有線又は無線によるデータ通信を行うことが可能である。
情報処理装置2,9は、例えば一般的なコンピュータ(PC)などによって構成される。このうち、情報処理装置2は、ユーザーAによって使用され、ユーザーAの操作に基づいて印刷対象となるドキュメントの作成及び編集を行い、プリントサーバー3に対して印刷ジョブJB1を出力するものである。また情報処理装置9は、管理者によって使用され、プリントサーバー3に対して様々な情報を登録することができる装置である。尚、情報処理装置2は、ユーザーAと他のユーザーとが共有するものであっても構わない。また各ユーザーがドキュメントの編集作業を行うための複数の情報処理装置2がネットワークに接続されたものであっても構わない。
画像形成装置5は、例えば画像処理に関する複数の機能を備えるMFP(Multifunction Peripherals)などで構成される。この画像形成装置5は、ネットワークを介して入力する印刷ジョブに基づき、印刷用紙などに画像形成を行って印刷出力を行うプリント機能を有している。画像形成装置5は、複数色のトナー又はインクを搭載しており、入力する印刷ジョブがカラージョブであればそれら複数色を用いた画像形成を行うことによってカラー出力を行う。これに対し、入力する印刷ジョブがモノクロジョブである場合、画像形成装置5は、黒色だけを用いた画像形成を行うことによってモノクロ出力を行う。また画像形成装置5は、入力する印刷ジョブの印刷設定に基づき、例えば印刷対象ドキュメントに含まれる複数ページを1枚の印刷用紙に自動割り付けして印刷出力をしたり、両面印刷を行ったりすることができる。また画像形成装置5は、印刷設定に基づき、印刷出力時に所定の画像(ウォーターマークや文字列など)を合成して出力することもできる。
図1では、画像形成装置5が1台である場合を示しているが、これに限られるものではない。すなわち、印刷システム1は、複数の画像形成装置5を備えるものであっても構わない。この場合、複数の画像形成装置5には、異なるタイプの画像形成装置5が含まれていても良い。例えば、上述したようにカラー出力とモノクロ出力の両方を行うことができるカラー出力機と、黒色のトナー又はインクだけが搭載されたモノクロ専用機とが混在する印刷システム1であっても構わない。また印刷時の出力速度が標準的な速度である通常出力機と、標準的な速度よりも高速で印刷出力可能な高速出力機とが混在する印刷システム1であっても構わない。
プリントサーバー3は、印刷システム1において情報処理装置2から出力される印刷ジョブJB1を集中管理し、印刷ジョブJB1に印刷ルールを適用して画像形成装置5に出力することにより、その印刷ルールに予め定められた出力条件に適合するように印刷出力を制御する装置である。印刷ルールに定められる出力条件には、様々な条件があり、例えば印刷ジョブJB1の印刷設定を所定の印刷設定に変更して出力する条件や、複数の画像形成装置5がある場合には特定の画像形成装置5を出力先に指定して出力する条件などがある。
プリントサーバー3は、情報処理装置2から印刷ジョブJB1を受信すると、その印刷ジョブJB1に対して適用すべき印刷ルールを判断する。そしてその判断結果に基づいて印刷ジョブJB1に印刷ルールを適用し、必要に応じて印刷ジョブJB1の印刷設定や出力先装置などを変更する。つまり、プリントサーバー3は、入力する印刷ジョブJB1を、印刷ルールに適合させた印刷ジョブJB2に自動変換する。その後、プリントサーバー3は、印刷ルールに適合させた印刷ジョブJB2を画像形成装置5へ出力する。
このプリントサーバー3は、ハードディスク装置などで構成される不揮発性の記憶装置4を備えている。この記憶装置4には、プリントサーバー3が受信する印刷ジョブJB1を一時的に保存することが可能である。また記憶装置4は、印刷ルール記憶手段として機能し、予め管理者によって登録される様々な印刷ルールが格納されたルール情報6を記憶する。このルール情報6は、管理者が使用する情報処理装置9によってプリントサーバー3に登録される。
ルール情報6には、少なくとも1つの印刷ルールが登録される。図2は、ルール情報6の一例を示す図である。ルール情報6には、複数の印刷ルールが登録可能であり、図2に示す例では、4つの印刷ルールが登録されている。そしてルール情報6は、それらの印刷ルールごとに個別に登録される項目として、印刷ルールを識別するための識別情報であるID6aと、印刷ルールが適用されるユーザーが登録された適用ユーザー6bと、印刷ルールが適用される印刷ジョブの条件が定義されたルール適用条件6cと、印刷ルールに適合しない印刷ジョブを印刷ルールに適合させるために行うルール適用処理6dと、印刷ルールが登録又は更新された日時を示す更新日時6eとを有している。
例えば、ID「01」の印刷ルールは、少なくともユーザーAによって投入される全ての印刷ジョブJB1に適用される印刷ルールである。この印刷ルールには、全ての印刷ジョブJB1の印刷設定を4in1割付印刷に自動変換することにより、4in1割付印刷の印刷設定が反映された印刷ジョブJB2を生成して画像形成装置5へ出力することが定義されている。そのため、入力する印刷ジョブJB1の印刷設定が予め4in1割付印刷の設定になっておらず、この印刷ルールに適合しないときには、プリントサーバー3は、印刷ジョブJB1の印刷設定を4in1割付印刷に自動変換して印刷ジョブJB2を生成し、その印刷ジョブJB2を画像形成装置5へ出力する。ただし、ユーザーAによって投入される印刷ジョブJB1の印刷設定が予め4in1割付印刷に設定されている場合には、プリントサーバー3においてルール適用処理を行う必要がないため、その印刷ジョブJB1がそのまま画像形成装置5へ出力される。
また、ID「02」の印刷ルールは、少なくともユーザーAによって投入されるカラーの印刷ジョブJB1に適用される印刷ルールである。この印刷ルールには、カラーの印刷ジョブJB1のカラー設定をモノクロに自動変換することにより、モノクロの印刷ジョブJB2を生成して画像形成装置5へ出力することが定義されている。そのため、入力する印刷ジョブJB1のカラー設定が予めモノクロになっておらず、この印刷ルールに適合しないときには、プリントサーバー3は、印刷ジョブJB1のカラー設定をモノクロに自動変換して印刷ジョブJB2を生成し、その印刷ジョブJB2を画像形成装置5へ出力する。尚、ユーザーAによって投入される印刷ジョブJB1のカラー設定が予めモノクロに設定されている場合には、この印刷ルールは適用されず、その印刷ジョブJB1がそのまま画像形成装置5へ出力される。
また、ID「03」の印刷ルールは、少なくともユーザーAによって投入される100ページ以上の印刷ジョブJB1に適用される印刷ルールである。この印刷ルールには、100ページ以上の印刷ジョブJB1の出力先を高速出力機に自動変換して出力することが定義されている。そのため、入力する印刷ジョブJB1が100ページ以上のドキュメントであり、且つ、出力先として高速出力機が指定されていないときには、この印刷ルールに適合しない印刷ジョブJB1となる。この場合、プリントサーバー3は、印刷ジョブJB1の出力先を高速出力機に自動変換して出力する。ただし、ユーザーAによって投入される印刷ジョブJB1が100以上のドキュメントであっても、予め出力先として高速出力機が指定されている場合には、プリントサーバー3においてルール適用処理を行う必要がないため、その印刷ジョブJB1がそのまま高速出力機へ出力される。
さらに、ID「04」の印刷ルールは、少なくともユーザーAによって投入される全ての印刷ジョブJB1に適用される印刷ルールである。この印刷ルールには、全ての印刷ジョブJB1の印刷設定を、印刷用紙のヘッダー部分にユーザー名を付加する設定に自動変換することにより、印刷用紙のヘッダー部分にユーザー名を付加する印刷ジョブJB2を生成して画像形成装置5へ出力することが定義されている。そのため、入力する印刷ジョブJB1の印刷設定において、印刷用紙のヘッダー部分にユーザー名とは異なる文字列を付加する設定となっている場合、或いは、印刷用紙のヘッダー部分に文字列を付加しない設定となっている場合のいずれであっても、この印刷ルールには適合しない。この場合、プリントサーバー3は、印刷ジョブJB1の印刷設定を、印刷用紙のヘッダー部分にユーザー名を付加する設定に自動変換して印刷ジョブJB2を生成し、その印刷ジョブJB2を画像形成装置5へ出力する。ただし、ユーザーAによって投入される印刷ジョブJB1の印刷設定において、予め印刷用紙のヘッダー部分にユーザー名を付加する設定が行われている場合には、プリントサーバー3においてルール適用処理を行う必要がないため、その印刷ジョブJB1がそのまま画像形成装置5へ出力される。
尚、上記ID「01」〜「04」の印刷ルールのうち、ID「01」、「02」及び「04」の3つ印刷ルールは、ルール適用処理6dに、印刷出力時の印刷出力イメージを変更する処理が定義されているという点で互いに共通している。これに対し、ID「03」の印刷ルールは、ルール適用処理6dに、印刷ジョブの出力先を変更する処理が定義されており、印刷出力時の印刷出力イメージを変更する処理とは異なる処理であるという点で上記3つの印刷ルールとは異なるルールとなっている。
また図2の例では、ルール情報6に登録されている4つの印刷ルールの全てが、情報処理装置2のユーザーAに適用される印刷ルールとなっている。ただし、各印刷ルールには、ユーザーA以外のユーザーが適用対象ユーザーとして登録されていても良い。またルール情報6には、ユーザーAには適用されない印刷ルールが適用されていても良い。すなわち、各印刷ルールを、どのユーザーに適用するかは管理者が適宜設定することができる。また管理者は、各印刷ルールのルール適用条件6c及びルール適用処理6dについても自由に登録したり、更新したりすることができる。そして管理者によって印刷ルールの登録や更新が行われることに伴い、ルール情報6の更新日時6eに記録された情報が更新される。
プリントサーバー3は、ネットワークを介して印刷ジョブJB1を受信すると、上記のようなルール情報6に基づき、その印刷ジョブJB1に対して適用すべき印刷ルールを決定するための判断を行う。すなわち、プリントサーバー3は、まず印刷ジョブJB1を投入したユーザーを特定し、そのユーザーに適用される印刷ルールを全て抽出する。そして受信した印刷ジョブJB1が、抽出した各印刷ルールのルール適用条件に適合するか否かを判断することにより、印刷ジョブJB1に対して適用すべき印刷ルールを決定する。このような判断により、一の印刷ジョブJB1に適用すべき印刷ルールとして、複数の印刷ルールが決定されることもある。例えば、図2に示したルール情報6がプリントサーバー3に登録されている場合、ユーザーAが100ページ以上のカラーの印刷ジョブJB1をプリントサーバー3に投入すると、上記4つの印刷ルールの全てがその印刷ジョブJB1に適用すべきルールであることが決定される。そしてプリントサーバー3は、受信した印刷ジョブJB1に対し、決定した印刷ルールのルール適用処理を実行することにより、印刷ルールに適合した印刷ジョブJB2を生成して出力する。このとき、印刷ジョブJB1に複数の印刷ルールが適用されると、プリントサーバー3によってそれら複数の印刷ルールの全てに適合する印刷ジョブJB2が生成される。
そして本実施形態の印刷システム1は、プリントサーバー3において印刷ジョブJB1に対する印刷ルールの自動適用が行われることにより、ユーザーAの意図しない出力態様での印刷出力が行われてしまうことを防止するため、図1に示すように、情報処理装置2がプリントサーバー3からユーザーAに適用される印刷ルールD1を事前に取得し、ユーザーAが印刷対象ドキュメントの編集作業を行うときには、プリントサーバー3で適用される印刷ルールを考慮しながら編集作業を行うことができるように構成される。以下、このような印刷システム1について詳しく説明する。
図3は、本実施形態における印刷システム1のハードウェア構成及び機能構成を示すブロック図である。尚、図3では、画像形成装置5と、管理者が使用する情報処理装置9との図示を省略している。
図3に示すように、情報処理装置2は、CPU(Central Processing Unit)とメモリとを備えて構成される制御部20と、液晶ディスプレイなどで構成される表示部21と、キーボードやマウスなどで構成される操作入力部22と、ハードディスク装置などで構成される記憶部23とを備えている。
記憶部23には、制御部20のCPUによって実行される各種プログラムが予めインストールされている。例えば本実施形態では、図3に示すように、情報処理装置2の基本ソフトウェアであるオペレーティングシステム(OS)24と、ドキュメントの編集作業を行うためのアプリケーションプログラム25と、印刷ジョブJB1を生成するためのドライバプログラムと、本発明の主要機能を実現するためのルール監視プログラム27とが予め記憶部23にインストールされている。制御部20のCPUによってこれら各種プログラム24,25,26,27が起動されることにより、制御部20は、オペレーティングシステム31、ルール監視部32、アプリケーション33及び印刷ドライバ34として機能する。
また記憶部23には、ルール監視プログラム27がインストールされることに伴って、検知対象登録情報28が記憶される。この検知対象登録情報28は、ルール監視部32によって参照される情報である。尚、この検知対象登録情報28の詳細については後に詳しく説明する。さらにプリントサーバー3からユーザーAに適用される印刷ルールD1が取得されると、記憶部23には、その印刷ルールD1が格納される。
オペレーティングシステム31は、情報処理装置2への電源投入に伴って制御部20においてオペレーティングシステム24が自動的に起動されることによって機能する。またルール監視部32は、制御部20においてオペレーティングシステム31が起動されることに伴い、記憶部23からルール監視プログラム27が自動的に読み出されて起動されることによって機能し、その後、情報処理装置2がシャットダウンされるまで制御部20に常駐する。アプリケーション33は、ユーザーAによる指示に基づいてアプリケーションプログラム25が起動されることによって機能し、ユーザーAによる編集操作に基づいて印刷対象となるドキュメントの作成及び編集を行う処理部である。印刷ドライバ34は、例えばアプリケーション33が起動している状態でユーザーAによる印刷指示が行われると、ドライバプログラム26が起動されて機能し、アプリケーション33によって生成された印刷対象ドキュメントに基づく印刷ジョブJB1を生成し、その印刷ジョブJB1をプリントサーバー3へ出力する処理部である。
一方、プリントサーバー3は、CPUとメモリとを備えて構成される制御部10と、上述した記憶装置4とを備えている。記憶装置4には、上述したルール情報6が予め記憶されると共に、制御部10のCPUによって実行されるプログラム15が予めインストールされて記憶されている。そしてCPUがそのプログラム15を実行することにより、制御部10は、ジョブ受信部11、ルール適用部12、ジョブ出力部13及びルール送信部14として機能する。
ジョブ受信部11は、情報処理装置2から送信される印刷ジョブJB1を受信する処理部である。ジョブ受信部11は、印刷ジョブJB1を受信すると、ルール適用部12を機能させる。
ルール適用部12は、ジョブ受信部11が受信した印刷ジョブJB1に対して印刷ルールを適用する処理部である。このルール適用部12は、ユーザーAが投入した印刷ジョブJB1に対して適用すべき印刷ルールを決定し、印刷ジョブJB1がその決定した印刷ルールに適合するか否かを判断する。その結果、印刷ジョブJB1が印刷ルールに適合しない場合、ルール適用部12は、その印刷ジョブJB1に対してルール情報6に定められているルール適用処理6dを実行することにより、印刷ジョブJB1を印刷ルールに適合する印刷ジョブJB2に変換する。ただし、ルール適用部12は、受信した印刷ジョブJB1が印刷ルールに適合するジョブである場合にはルール適用処理6dを行わない。そしてルール適用部12は、印刷ルールに適合する印刷ジョブJB1又はJB2をジョブ出力部13へ出力する。
ジョブ出力部13は、印刷ジョブJB1又はJB2を画像形成装置5へ出力する処理部である。例えば、ルール適用部12においてルール適用処理6dが実行された場合、ジョブ出力部13は、ルール適用部12によって印刷ルールに適合するように変換された印刷ジョブJB2を画像形成装置5へ出力する。またルール適用部12においてルール適用処理6dが実行されなかった場合、ジョブ出力部13は、情報処理装置2において予め印刷ルールに適合するように生成された印刷ジョブJB1を画像形成装置5へ出力する。
ルール送信部14は、記憶装置4に記憶されているルール情報6を読み出し、そのルール情報6から情報処理装置2のユーザーAに適用される印刷ルールD1を抽出して情報処理装置2に送信する処理部である。このルール送信部14は、例えば情報処理装置2から印刷ルールの取得要求を受信することに伴い、情報処理装置2に印刷ルールD1を送信する。
次に情報処理装置2のルール監視部32について詳しく説明する。情報処理装置2の起動中において制御部20に常駐するルール監視部32は、取得部41と、管理部42と、検知部43と、操作監視部44と、表示制御部45とを備えている。
取得部41は、プリントサーバー3に対し、ユーザーAに関する情報を付加した印刷ルールの取得要求を送信することにより、プリントサーバー3からユーザーAに適用される印刷ルールD1を取得する処理部である。この取得部41は、制御部20においてルール監視部32が起動されると機能し、プリントサーバー3から印刷ルールD1を取得して記憶部23に格納する。すなわち、取得部41は、情報処理装置2の起動時にプリントサーバー3に登録されている印刷ルールD1を取得して保存しておくように構成される。また取得部41は、情報処理装置2の起動時に印刷ルールD1を取得した後、定期的にプリントサーバー3に登録されている印刷ルールD1が更新されたか否かを確認し、プリントサーバー3においてユーザーAに適用される印刷ルールD1が更新されていれば、その更新された印刷ルールD1をプリントサーバー3から取得して記憶部23に格納している印刷ルールD1を更新する。
管理部42は、記憶部23に記憶されている検知対象登録情報28を管理する処理部である。ここで、検知対象登録情報28は、ユーザーAの指示操作に基づき情報処理装置2においてドキュメントの編集が可能な特定のアプリケーションが起動されたことを検知するために検知対象となるアプリケーションプログラムやファイルなどが予め登録された情報である。
図4は、検知対象登録情報28の一例を示す図である。図4に示すように、検知対象登録情報28には、複数のアプリケーションプログラム又はファイルを登録可能であり、登録されるアプリケーションプログラム又はファイルごとに個別に登録される項目として、検知対象がアプリケーションプログラムとファイルとのいずれであるかを示す種別28aと、検知対象28bと、印刷ルール表示設定28cと、印刷目的確認設定28dと、定期的ルール表示設定28eとを有している。
種別28aが「アプリケーション」として登録されている場合、それに対応する検知対象28bには情報処理装置2において起動されるアプリケーションプログラムが登録される。そのため、例えばユーザーAが表示部21に表示されるプログラムアイコンのクリック操作などを行ってそのプログラムアイコンに対応するアプリケーションプログラムの起動を指示したとき、そのアプリケーションプログラムが検知対象登録情報28に登録されていれば、情報処理装置2において検知対象である特定のアプリケーションが起動されることを検知することができる。
また種別28aが「ファイル」として登録されている場合、それに対応する検知対象28bには特定のキーワードが登録される。そのため、例えばユーザーAが表示部21に表示されるファイルアイコンのクリック操作などを行ってそのファイルアイコンに対応するファイルのオープンを指示したとき、その指定されたファイルのファイル名に、検知対象登録情報28に登録されている特定のキーワードが含まれていれば、情報処理装置2において検知対象である特定のアプリケーションが起動されることを検知することができる。図4の例では、ユーザーAが、「報告書」、「企画書」及び「予定表」のいずれかのキーワードをファイル名に含むファイルのオープンを指示すると、それらのキーワードが検知対象登録情報28に登録されているので、特定のアプリケーションが起動されることを検知することができるようになっている。
また印刷ルール表示設定28cは、特定のアプリケーションが起動されることが検知された場合に、印刷ルールを表示するか否かを予め設定した項目であり、「ON」の場合は表示を、「OFF」の場合は非表示を表している。また印刷目的確認設定28dは、特定のアプリケーションが起動されることが検知された場合に、印刷目的でのアプリケーション起動であるか否かをユーザーAに確認するか否かを予め設定した項目であり、「ON」の場合は確認することを、「OFF」の場合は確認しないことを表している。尚、本実施形態では、印刷ルール表示設定28cが「ON」であっても、印刷目的確認設定28dが「ON」であるときには、印刷目的でのアプリケーション起動であるか否かをユーザーAに確認することを優先し、ユーザーによる回答が印刷目的であれば印刷ルールが表示されるようになる。更に、定期的ルール表示設定28eは、特定のアプリケーションの起動中において印刷ルールを定期的に表示するか否かを予め設定した項目であり、「ON」の場合は表示を、「OFF」の場合は非表示を表している。
管理部42は、上記のような検知対象登録情報28を管理し、必要に応じて適宜更新する。例えば、ユーザーAによって検知対象登録情報28を書き換える操作が行われた場合、管理部42はユーザーAの操作に基づいて検知対象登録情報28を書き換えて更新する。これにより、ユーザーAは、検知対象となるアプリケーションプログラムやファイルの追加又は削除などを行うことができる。
尚、上記において検知対象登録情報28は、ルール監視プログラム27のインストール時に記憶部23に記憶されることを説明したが、必ずしも記憶部23に記憶されていなくても良く、例えばプリントサーバー3に保持されている情報であっても構わない。この場合、管理部42は、ルール監視部32の起動時にプリントサーバー3から検知対象登録情報28を取得し、その取得した検知対象登録情報28を制御部20のメモリ上で管理する。
検知部43は、検知対象登録情報28に登録されたアプリケーションプログラム又はファイルが指定されることによって情報処理装置2における特定のアプリケーション33の起動を検知する処理部である。すなわち、検知部43は、情報処理装置2で起動されるアプリケーションを全て監視しており、印刷対象となるドキュメントの編集が可能な特定のアプリケーション33が起動されると、それを検知する。検知部43は、特定のアプリケーション33の起動を検知すると、操作監視部44と表示制御部45とを機能させる。
表示制御部45は、表示部21に対して各種の情報を表示させる処理部である。この表示制御部45は、特定のアプリケーション33の起動開始時又は起動中において、取得部41がプリントサーバー3から予め取得して記憶部23に格納した印刷ルールD1を表示部21に表示させる機能を有している。
検知部43によって特定のアプリケーション33の起動が検知された場合、表示制御部45は、検知対象登録情報28においてその特定のアプリケーション33に対応する印刷目的確認設定28dが「ON」であるか否かを確認する。その結果、印刷目的確認設定28dが「ON」であれば、表示制御部45は、特定のアプリケーション33の起動開始時に印刷目的確認画面を表示部21に表示する。この印刷目的確認画面に対し、ユーザーAが特定のアプリケーション33を起動した目的が印刷目的であることを指示すると、表示制御部45は、記憶部23に格納されている印刷ルールD1を読み出し、その印刷ルールD1を表示部21に表示する。また印刷目的確認設定28dが「OFF」である場合、表示制御部45は、印刷ルール表示設定28cが「ON」であるか否かを確認する。その結果、印刷ルール表示設定28cが「ON」であれば、表示制御部45は、記憶部23に格納されている印刷ルールD1を読み出し、その印刷ルールD1を表示部21に表示する。さらに表示制御部45は、特定のアプリケーション33に対応する定期的ルール表示設定28eが「ON」である場合、その特定のアプリケーション33の起動中において、定期的に記憶部23に格納されている印刷ルールD1を読み出し、その印刷ルールD1を表示部21に表示する。
このように情報処理装置2においてドキュメントの編集が可能な特定のアプリケーション33が起動されると、表示制御部45がユーザーAに適用される印刷ルールD1を表示部21に表示することにより、ユーザーAは、ドキュメントの編集操作を開始する前に、或いは、ドキュメントの編集操作を行っているときに自身に適用される印刷ルールD1の内容を確認することができる。それ故、ユーザーAは、自身に適用される印刷ルールD1を考慮しながら印刷システム1において所望の印刷出力が行われるようにドキュメントの編集作業を行うことができるようになる。
操作監視部44は、特定のアプリケーション33の起動中において、ユーザーAにより操作入力部22に対して行われるドキュメントとの編集操作が、ユーザーAに適用される印刷ルールD1に適合する操作であるか否かを監視する処理部である。この操作監視部44は、検知部43によって特定のアプリケーション33の起動が検知されると機能し、その後、特定のアプリケーション33の起動が終了するまで、ユーザーAによるドキュメントの編集操作を監視する。例えば、操作監視部44は、その一部の機能が特定のアプリケーション33にプラグインされており、その一部の機能によって特定のアプリケーション33とオペレーティングシステム31との間でやり取りされる操作情報や表示情報などを取得し、その取得情報に基づいてユーザーAによって行われた編集操作がどのような操作であるかを検出する。そして操作監視部44は、その検出した編集操作が印刷出力イメージに影響を与える編集操作であるときには、その編集操作がユーザーAに適用される印刷ルールD1に適合する操作であるか否かを判断する。例えばユーザーAによってカラー設定の変更操作や文字サイズの変更操作、ページレイアウトの変更操作などのような印刷出力イメージを変更する編集操作が行われると、そのような編集操作は印刷出力イメージに直接影響する。そのため、操作監視部44は、そのような編集操作が印刷ルールD1に適合する操作であるか否かを判断する。
ユーザーAによって行われた編集操作が印刷ルールD1に適合するか否かの判断は、ユーザーAによって指定された印刷出力イメージが印刷ルールD1の適用によってユーザーAが意図していない別の印刷出力イメージに変換されるか否かを判断することにより行われる。すなわち、ユーザーAの編集操作によって指定された印刷出力イメージが、印刷ルールD1の適用によってユーザーAの意図していない別の印刷出力イメージに変換されない時には、その編集操作は印刷ルールD1に適合する操作となる。これに対し、ユーザーAの編集操作によって指定された印刷出力イメージが、印刷ルールD1の適用によってユーザーAの意図していない別の印刷出力イメージに自動変換されてしまう時には、その編集操作は印刷ルールD1に適合しない操作であり、印刷ルールD1に抵触する操作となる。
例えば、ユーザーAが印刷対象ドキュメントのフォントサイズを所定サイズよりも小さなサイズに設定する操作を行った場合、図2のID「01」の印刷ルールが適用されると、1枚の印刷用紙に対して印刷対象ドキュメントの4ページ分が自動割り付けられた状態に縮小されるので、印字される文字サイズが更に小さくなり、ユーザーAが意図するフォントサイズでは印刷されず、印刷物が読み難くなる。そのため、操作監視部44は、ユーザーAによってフォントサイズが所定サイズよりも小さなサイズに変更される編集操作を検出したときには、その編集操作をID「01」の印刷ルールに適合しない操作であると判断し、印刷ルールに抵触する操作が行われたことを検知する。
尚、フォントサイズを所定サイズよりも大きなサイズに変更する編集操作も印刷出力イメージを変更する操作である。ただしこの場合は、印刷物の読み易さが確保されるので、操作監視部44は、ID「01」の印刷ルールに適合する操作であると判断する。
また例えばユーザーAが印刷対象ドキュメントに含まれる文字列の色を黒色又はグレー色以外のカラー色に設定する操作を行った場合、図2のID「02」の印刷ルールが適用されると、モノクロの印刷ジョブに自動変換されるので、ユーザーAが意図するカラー色での印刷出力が行われない。そのため、操作監視部44は、ユーザーAによって黒色又はグレー色以外のカラー色に変更される編集操作を検出したときには、その編集操作をID「02」の印刷ルールに適合しない操作であると判断し、印刷ルールに抵触する操作が行われたことを検知する。
また例えばユーザーAが印刷対象ドキュメントのヘッダー部分に対して任意の文字列を付加する設定操作を行った場合、或いは、ヘッダー部分に対して文字列を付加しない設定操作を行った場合のいずれであっても、図2のID「04」の印刷ルールが適用されると、ヘッダー部分にユーザーAのユーザー名が付加される印刷ジョブに自動変換されるので、ユーザーAが意図するページレイアウトでの印刷出力が行われない。そのため、操作監視部44は、ユーザーAによってヘッダー部分に任意の文字列が付加される編集操作、或いは、ユーザーAによってヘッダー部分に文字列を付加しないことが指定される編集操作を検出したときには、その編集操作をID「04」の印刷ルールに適合しない操作であると判断し、印刷ルールに抵触する操作が行われたことを検知する。
またユーザーAは、ドキュメントに対するテキスト入力操作などによって100ページ以上のドキュメントを作成することもある。しかし、100ページ以上のドキュメントを作成する編集操作は、個々のページの印刷出力イメージを変更する操作ではないため、印刷出力イメージには影響を与えない操作である。そのため、操作監視部44は、テキスト入力操作などのように、印刷出力イメージに影響を与えない編集操作を検出したときには、その編集操作がユーザーAに適用される印刷ルールD1に適合する操作であるか否かの判断は行わない。つまり本実施形態では、図2のID「03」の印刷ルールは、操作監視部44による判断対象から除外される。
そして操作監視部44は、ドキュメントの編集操作が印刷ルールD1に適合しない操作であると判断した場合、表示制御部45を機能させる。
表示制御部45は、操作監視部44によって印刷ルールD1に適合しない編集操作が検知された場合、表示部21において表示されているドキュメントの編集画面上に操作警告を表示させることにより、ユーザーAに対して警告を行う。したがって、ユーザーAは、印刷対象となるドキュメントの編集作業中に印刷ルールD1に適合しない編集操作を行ってしまうと、ドキュメントの編集画面上に表示される操作警告により、印刷ルールD1に適合しない操作を行ってしまったことを把握することができる。そしてユーザーAは、印刷ルールD1に適合しない設定を元の設定に戻したり、或いは、印刷ルールD1に適合する範囲内で別の設定に変更したりすることができ、印刷対象ドキュメントの印刷指示を行う前に適当な処置を行うことが可能である。
次に上記構成を有する印刷システム1において行われる各装置間でのデータ通信及び処理の概要について説明する。図5は、情報処理装置2に電源が投入されてから画像形成装置5で印刷出力が行われるまでの処理の概要を示す図である。情報処理装置2に電源が投入されると(プロセスP1)、オペレーティングシステム31が起動され、更にルール監視部32が自動的に起動される(プロセスP2)。情報処理装置2においてルール監視部32が起動すると、上述した取得部41が機能し、プリントサーバー3に対してユーザーAに適用される印刷ルールの取得要求D2を送信する。プリントサーバー3は、その取得要求D2を受信すると、ルール情報6に登録されている複数の印刷ルールの中から、ユーザーAに適用される印刷ルールD1を抽出する(プロセスP3)。このとき、プリントサーバー3は、ユーザーAに適用される全ての印刷ルールを抽出しても良いし、ユーザーAに適用される印刷ルールのうち、ルール適用処理6dとして印刷出力イメージを変更する処理が定義されている印刷ルールだけを抽出するようにしても良い。プリントサーバー3は、ユーザーAに適用される印刷ルールD1を抽出すると、その抽出した印刷ルールD1を情報処理装置2へ送信する。情報処理装置2は、プリントサーバー3から印刷ルールD1を受信すると、その印刷ルールD1を記憶部23に格納し、保存する。その後、ルール監視部32において定期的に取得部41が機能し、プリントサーバー3に保持されている印刷ルールが管理者によって更新されたか否かを確認し、プリントサーバー3に保持されている印刷ルールが更新されていれば再度プリントサーバー3から更新された印刷ルールD1を取得し、記憶部23に保存している印刷ルールD1を最新の状態に更新する。
上記のようにしてルール監視部32が印刷ルールD1をプリントサーバー3から取得した後、検知部43が機能してドキュメントの編集が可能な特定のアプリケーション33の起動を監視する状態となる。そして検知部43が特定のアプリケーション33の起動を検知すると(プロセスP4)、ルール監視部32において表示制御部45が機能し、検知対象登録情報28に基づいて印刷目的確認画面が表示部21に表示される(プロセスP5)。
図6は、表示制御部45によって表示部21に表示される印刷目的確認画面G1の一例を示す図である。この印刷目的確認画面G1では、ユーザーAに対して印刷目的でドキュメントを編集するか否かを問い合わせが行われると共に、ユーザーAが操作可能なYESボタンB1とNOボタンB2とが表示される。
この印刷目的確認画面G1に対してユーザーAがNOボタンB2を選択して操作した場合、印刷目的で特定のアプリケーション33が起動されたのではないことを確認することができる。そのため、ルール監視部32は、印刷目的でないことが確認できると、それ以降は特定のアプリケーション33の起動中において印刷ルールや操作警告を表示部21に表示する必要はない。
一方、印刷目的確認画面G1に対してユーザーAがYESボタンB1を選択して操作した場合、印刷目的で特定のアプリケーション33が起動されたことを確認することができる。この場合、ルール監視部32は、表示制御部45を機能させ、検知対象登録情報28に基づいて印刷ルール確認画面を表示部21に表示させる(プロセスP6)。
図7は、表示制御部45によって表示部21に表示される印刷ルール確認画面G2の一例を示す図である。この印刷ルール確認画面G2では、ユーザーAに対して適用される印刷ルールが一覧形式で表示される。そのため、ユーザーAは、印刷対象となるドキュメントの編集作業を開始する前に、自身に適用される印刷ルールを確認することが可能である。また、印刷ルール確認画面G2には、ユーザーAが操作可能なOKボタンB3が表示される。ユーザーAは、このOKボタンB3を操作すると、表示制御部45は、印刷ルール確認画面G2を非表示に切り替える。
そして情報処理装置2において特定のアプリケーション33の起動が完了すると、表示部21には、特定のアプリケーション33によるドキュメントの編集画面が表示される。ユーザーAは、その編集画面に対する操作を行うことにより、印刷対象となるドキュメントの編集操作を開始する(プロセスP7)。このとき、ルール監視部32では操作監視部44が機能し、ユーザーAによって印刷ルールに適合しない操作が行われたことを検知可能な状態となっている。そしてユーザーAによって行われた編集操作が印刷ルールに抵触する操作であることを検知すると(プロセスP8)、操作監視部44は表示制御部45を機能させ、表示部21において表示されているドキュメント編集画面に対し、操作警告を重畳的に表示させる(プロセスP9)。
図8は、表示制御部45によって表示部21に表示される操作警告の一例を示す図である。例えば、図8に示すドキュメントの編集画面G3が表示されている状態で、ユーザーAがマウスポイントMPで任意の領域R1を選択し、当該領域R1に含まれる文字列の色を黒色やグレー色以外のカラー色に指定した場合、操作監視部44は、その操作を、ID「02」の印刷ルールに抵触操作であると検知する。そして表示制御部45は、ID「02」の印刷ルールに定義されているルール適用処理6dに基づき、ドキュメントの編集画面G3上に操作警告51を表示する。この操作警告51は、ツールチップ形式で表示されるものであっても良いし、ポップアップウィンドウ形式で表示されるものであっても良い。操作警告51においては、ID「02」の印刷ルールに定義されているルール適用処理6dに基づき、編集中に行われた操作が印刷ルールD1に適合しない操作であることを示すメッセージが表示される。そのため、ユーザーAは、このメッセージを確認することにより、領域R1で指定したカラー色がモノクロで印刷されることを把握することができ、印刷ルールに適合しない操作を行ったことを把握することができる。
また図9は、図8とは異なる操作警告の表示態様の一例を示す図である。上記と同様に、例えば、図9に示すドキュメントの編集画面G3が表示されている状態で、ユーザーAがマウスポイントMPで任意の領域R1を選択し、当該領域R1に含まれる文字列の色を黒色やグレー色以外のカラー色に指定した場合、操作監視部44は、その操作を、ID「02」の印刷ルールに抵触操作であると検知する。そして表示制御部45は、ID「02」の印刷ルールに定義されているルール適用処理6dに基づき、ユーザーAが編集中のドキュメントに対して印刷ルールD1を適用した場合の印刷出力イメージ(プレビュー画像)を生成し、その印刷出力イメージを操作警告ウィンドウ52として編集画面G3上にポップアップ表示する。このような表示態様の場合、ユーザーAは、ドキュメントの印刷出力イメージ(プレビュー画像)により、カラー色を指定した文字列がモノクロで印刷されることを把握することができ、印刷ルールに適合しない操作を行ったことを把握することができる。
表示制御部45は、図8及び図9のいずれの表示態様で操作警告を表示するものであっても良い。例えば、予めユーザーAによって指定された表示態様で操作警告を表示するものであっても良い。そして表示制御部45は、ユーザーAによる編集作業が行われているときに、図8又は図9に示した操作警告を表示することにより、ユーザーAに対して印刷ルールに適合するドキュメントの作成を促すことができるようになる。その結果、ユーザーAは、ドキュメントの印刷指示を行う前に、自身に適用される印刷ルールに適合するドキュメントを作成できるようになる。
例えば、カラー色を指定した文字列がモノクロで印刷されることが分かった場合、ユーザーAは、カラー色を指定した文字列を黒色又はグレー色に戻し、当該文字列を他の文字列と区別可能な印刷態様にしたいときには、アンダーラインや囲み枠などを設定することにより、自身に適用される印刷ルールに適合するドキュメントを作成することができる。また4in1で印刷されることが分かった場合には、予めフォントサイズを大きめに設定しておくことにより、ユーザーAの意図通りの印刷出力が行われるようになる。
その後、情報処理装置2においてユーザーAによる印刷指示が検知されると(プロセスP10)、制御部20において印刷ドライバ34が起動し(プロセスP11)、ユーザーAの編集操作によって生成された印刷対象ドキュメントに基づく印刷ジョブJB1が生成される(プロセスP12)。そして印刷ドライバ34が印刷ジョブJB1をプリントサーバー3に送信する。このとき、情報処理装置2からプリントサーバー3に送信される印刷ジョブJB1は、ユーザーAの編集操作によって予め印刷ルールに適合する印刷ジョブとなっている。そのため、プリントサーバー3は、印刷ジョブJB1を受信すると、その印刷ジョブJB1に対してルール適用処理6dを実行することなく、その印刷ジョブJB1を画像形成装置5へ出力する。そして画像形成装置5は、プリントサーバー3から受信する印刷ジョブJB1に基づいて印刷出力を実行する(プロセスP13)。このとき画像形成装置5から出力される印刷物は、ユーザーAが予め意図した通りの印刷内容となるため、無駄になることがない。
次に情報処理装置2において行われる具体的な処理手順の一例について説明する。図10乃至図13は、情報処理装置2において行われる処理手順の一例を示すフローチャートであり、主としてルール監視部32によって行われる処理手順を示している。まず図10に示すように情報処理装置2に電源が投入されると、ルール監視部32が起動する(ステップS11)。ルール監視部32が起動すると、ルール監視部32は、プリントサーバー3に対して印刷ルールの取得要求D2を送信する(ステップS12)。その後、ルール監視部32は、プリントサーバー3からユーザーAに適用される印刷ルールD1を受信するまで待機する(ステップS13)。印刷ルールD1を受信すると(ステップS13でYES)、ルール監視部32は、その印刷ルールD1を記憶部23に保存する(ステップS14)。その後、ルール監視部32は、情報処理装置2においてドキュメントの編集が可能な特定のアプリケーション33が起動されるのを監視する状態となる(ステップS15)。
特定のアプリケーション33の起動が検知されないとき(ステップS15でNO)、ルール監視部32は、記憶部23に保存した印刷ルールD1の更新確認タイミングとなったか否かを判断する(ステップS16)。そして更新確認タイミングになっていない場合(ステップS16でNO)は、ステップS15へ戻る。また更新確認タイミングになった場合(ステップS16でYES)、ルール監視部32は、プリントサーバー3に対し、ユーザーAに適用される印刷ルールD1が更新されたか否かを確認する(ステップS17)。そして印刷ルールD1が更新されていれば(ステップS18でYES)、プリントサーバー3に対して再度印刷ルールの取得要求D2を送信し(ステップS19)、プリントサーバー3から印刷ルールD1を受信するまで待機する状態へ戻る(ステップS13)。一方、プリントサーバー3において印刷ルールD1が更新されていない場合(ステップS18でNO)、ルール監視部32は、特定のアプリケーション33が起動されるのを監視する状態に戻る(ステップS15)。
ルール監視部32は、特定のアプリケーション33の起動を検知すると(ステップS15でYES)、起動検知処理を実行する(ステップS20)。図11は、この起動検知処理(ステップS20)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。ルール監視部32は、起動検知処理を開始すると、まず検知対象登録情報28に基づき、起動検知した特定のアプリケーション33の印刷ルール表示設定が「ON」であるか否かを確認する(ステップS31)。その結果、印刷ルール表示設定が「OFF」であれば、この起動検知処理が終了する。これに対し、印刷ルール表示設定が「ON」である場合、ルール監視部32は、次に印刷目的確認設定が「ON」であるか否かを確認する(ステップS32)。そして印刷目的確認設定が「ON」であれば、ルール監視部32は、印刷目的確認画面G1を表示部21に表示し(ステップS33)、その印刷目的確認画面G1に対して行われた操作が印刷目的を指定するものであるか否かを判断する(ステップS34)。その結果、印刷目的でない場合(ステップS34でNO)、起動検知処理は終了する。また印刷目的であることをユーザーAが指示した場合(ステップS34でYES)、ルール監視部32は、印刷ルール確認画面G2を表示部21に表示する(ステップS35)。これにより、ユーザーAは、自身に適用される印刷ルールD1の内容を、ドキュメント編集を開始する前に把握することができる。以上で、起動検知処理(ステップS20)が終了する。
そして特定のアプリケーション33が起動状態になると、ルール監視部32は、操作監視処理を実行する(ステップS21)。図12は、この操作監視処理(ステップS21)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。ルール監視部32は、この操作監視処理を開始すると、ユーザーAによるドキュメントの編集操作を検知したか否かを判断する(ステップS31)。ここで編集操作を検知していない場合には、操作監視処理が終了する。これに対し、編集操作を検知している場合(ステップS31でYES)、ルール監視部32は、その編集操作が印刷ルールD1に抵触する操作であるか否かを判断する(ステップS32)。このとき編集操作が印刷ルールD1に適合する操作であれば、操作監視処理が終了する。また印刷ルールD1に抵触する操作である場合(ステップS32でYES)、ルール監視部32は、図8又は図9に示した表示態様で操作警告を表示する(ステップS33)。これにより、ユーザーAは、印刷ルールD1に適合しない編集操作を行ってしまったことを把握でき、ドキュメントの作成段階で印刷ルールD1に適合させることができるようになる。以上で、図12の起動検知処理(ステップS20)が終了する。
また図13は、図12とは異なる操作監視処理(ステップS21)の処理手順を示すフローチャートである。ルール監視部32は、この操作監視処理を開始すると、ユーザーAによるドキュメントの編集操作を検知したか否かを判断する(ステップS41)。編集操作を検知していない場合には、操作監視処理が終了する。編集操作を検知している場合(ステップS41でYES)、ルール監視部32は、その編集操作が印刷ルールD1に抵触する操作であるか否かを判断する(ステップS42)。このとき編集操作が印刷ルールD1に適合する操作であれば、操作監視処理が終了する。また印刷ルールD1に抵触する操作である場合(ステップS42でYES)、ルール監視部32は、ユーザーAによって行われた編集操作が既に操作警告を表示した抵触操作と同じ操作であるか否かを判断する(ステップS43)。その結果、既に操作警告を表示した抵触操作と同じ操作である場合(ステップS43でYES)、ルール監視部32は、再び同じ操作警告を表示することなく操作監視処理を終了する。これに対し、既に操作警告を表示した抵触操作と同じ操作でない場合(ステップS43でNO)、ルール監視部32は、その抵触操作に対応する操作警告を、図8又は図9に示した表示態様で表示部21に表示する(ステップS44)。以上で、図13の起動検知処理(ステップS20)が終了する。
ルール監視部32は、操作監視処理(ステップS21)として、図12及び図13のいずれの処理手順を実行するものであっても構わない。図12の処理手順を採用する場合には、ユーザーAが印刷ルールに抵触する同じ操作を繰り返し行った場合には、その都度、同じ内容の操作警告が表示されるようになる。そのため、ユーザーAが印刷ルールD1に適合しない編集操作を誤って繰り返し行ってしまった場合に、その都度、その編集操作を訂正させることができるという利点がある。これに対し、図13の処理手順を採用する場合には、ユーザーAが印刷ルールに抵触する同じ操作を繰り返し行ったとしても、一度表示された操作警告と同じ内容の操作警告が表示されない。そのため、この場合は、仮にユーザーAが印刷ルールD1に適合しない編集操作を誤って繰り返し行ってしまった場合でもその編集操作を訂正させることができない可能性がある。しかし、図13の処理手順を採用すると、例えばユーザーAが印刷時にはモノクロ変換されることを把握したうえで、情報処理装置2に電子データとして保存しておくドキュメントにカラー色の設定を行っておきたいような場合にカラー色の設定を行う都度、操作警告が表示されるという煩わしさを解消することができるという利点がある。
図10に戻り、次にルール監視部32は、特定のアプリケーション33の起動が終了するか否かを判断する(ステップS22)。特定のアプリケーション33の起動が終了しない場合(ステップS22でNO)、ルール監視部32は、その特定のアプリケーション33の定期的ルール表示設定が「ON」であるか否かを確認する(ステップS23)。その結果、定期的ルール表示設定が「ON」であれば(ステップS23でYES)、ルール監視部32はルール表示タイミングであるか否かを更に判断し(ステップS24)、ルール表示タイミングであれば(ステップS24でYES)、印刷ルール確認画面G2を表示部21に表示する(ステップS25)。これにより、ユーザーAは、ドキュメントの編集操作中であっても、定期的に印刷ルールD1の内容を確認することができるようになる。尚、ステップS23,S24でNOと判断すると、ルール監視部32による処理はステップS21に戻り、上述した操作監視処理を実行する。つまり、特定のアプリケーション33の起動中においては、操作監視処理(ステップS21)が繰り返し実行されるので、ユーザーAによって印刷ルールに抵触する編集操作が行われると、そのタイミングで操作警告が表示される。
特定のアプリケーション33の起動が終了する場合(ステップS22でYES)、ルール監視部32による処理は、ステップS15へと戻る。そして情報処理装置2がシャットダウンされるまでの間、上述した処理が繰り返されることになる。
以上のように本実施形態の印刷システム1における情報処理装置2は、プリントサーバー3に登録されているルール情報6から、情報処理装置2のユーザーAに適用される印刷ルールD1を予め取得し、その印刷ルールD1を記憶しておく。そしてドキュメントの編集が可能な特定のアプリケーション33の起動を検知すると、情報処理装置2は、その特定のアプリケーション33の起動開始時又は起動中において、予め取得して保存している印刷ルールD1を表示部21に表示する構成となっている。そのため、本実施形態の情報処理装置2は、ユーザーAがドキュメントの編集作業を行うために特定のアプリケーション33を起動させたとき、又は、特定のアプリケーション33を起動させた状態で編集作業が行われているときに、ユーザーAに適用される印刷ルールD1の内容をユーザーAに把握させることが可能である。その結果、情報処理装置2のユーザーAがドキュメントの編集作業を行うときには、印刷ルールD1を考慮しながら編集作業を行うことができるので、印刷物が無駄になってしまうことを防止できると共に、印刷出力が行われた後に編集作業を再度行わなければならいという煩わしさを解消することもできる。
また本実施形態の情報処理装置2は、特定のアプリケーション33の起動中において、ユーザーAによって行われるドキュメントの編集操作が予め取得された印刷ルールD1に適合する操作であるか否かを監視し、印刷ルールD1に適合しない編集操作が行われたことを検知した場合には、ユーザーAに対する操作警告を表示部21に表示する構成である。このような構成によれば、ユーザーAが印刷ルールD1に適合しない編集操作を行ったときには、そのタイミングでユーザーAに編集操作を訂正させることができ、印刷物が無駄になることを防止できると共に、編集作業が一旦終了した後に再度編集作業を行わなければならいという煩わしさを解消することもできる。
また本実施形態の情報処理装置2は、プリントサーバー3から印刷ルールD1を一旦取得した後、定期的にプリントサーバー3に登録されている印刷ルールD1の更新の有無を確認し、印刷ルールD1が更新されていれば、その更新された印刷ルールD1をプリントサーバー3から取得するように構成されている。そのため、情報処理装置2の起動時に印刷ルールD1を取得した後、プリントサーバー3の印刷ルールD1が更新されれば、その更新された印刷ルールD1を再取得することができる。その結果、情報処理装置2が表示部21に印刷ルールD1を表示したり、操作警告を表示したりするときには、最新の印刷ルールD1に基づく表示を行うことができる。
また本実施形態の情報処理装置2は、プリントサーバー3から印刷ルールD1を取得するとき、プリントサーバー3における印刷ジョブJB1の自動変換によって印刷出力時の印刷出力イメージが変換される印刷ルールだけをプリントサーバー3から取得することも可能である。この場合、情報処理装置2は、印刷出力イメージが変換されない印刷ルールを表示しない。そのため、ユーザーAは、ドキュメントの編集作業中に印刷出力イメージが変換されない印刷ルールを考慮する必要がなくなるため、編集作業時の操作性が向上する。
さらに本実施形態の情報処理装置2は、特定のアプリケーション33の起動開始時において、ユーザーAに対して印刷目的のアプリケーション起動であるか否かを問い合わせる印刷目的確認画面G1を表示部21に表示し、その画面G1に対して印刷目的でない旨の入力操作が行われたときには、予め取得した印刷ルールD1や操作警告を表示部21に表示しない構成である。そのため、ユーザーAにとっては、印刷目的でないにもかかわらず、印刷時に適用される印刷ルールD1などが表示されるという煩わしさがなく、アプリケーション33の操作性が向上するという利点がある。
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
例えば、上記実施形態では、画像形成装置5が画像処理に関する複数の機能を備えるMFPによって構成される場合を例示したが、これに限られるものでもない。すなわち、画像形成装置5は、少なくとも印刷出力機能を有するものであれば良いため、プリンタ専用機であっても構わない。
また上記実施形態のプリントサーバー3は、サーバー専用機として構成される場合を例示したが、それに限定されるものでもない。すなわち、上述したプリントサーバー3の機能が他の装置(例えば情報処理装置2や画像形成装置5)の一部の機能として搭載されたものであっても構わない。
また上記実施形態で説明した印刷ルールは単なる一例であり、上記以外の印刷ルールが予めプリントサーバー3に登録されていても良い。特に上記実施形態では、ユーザーAに適用される印刷ルールを例に挙げて説明したが、ユーザーA以外の他のユーザーに適用される印刷ルールについても、上記と同様の処理を適用することが可能である。