JP6061929B2 - 炭化チタン微粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、炭化チタン微粒子の製造方法に関し、特に、物性値として、例えば、希望する電気抵抗をもった炭化チタン微粒子を製造する方法に関する。
現在、酸化物微粒子、窒化物微粒子、炭化チタン微粒子等の微粒子は、半導体基板、プリント基板、各種電気絶縁部品等の電気絶縁材料、切削工具、ダイス、軸受等の高硬度高精度の機械工作材料、粒界コンデンサ、湿度センサ等の機能性材料、精密焼結成形材料等の焼結体の製造、エンジンバルブ等の高温耐摩耗性が要求される材料等の溶射部品製造、さらには燃料電池の電極、電解質材料および各種触媒等の分野で用いられている。
上述の微粒子のうち、炭化チタン微粒子については、例えば、特許文献1、2に開示された製造方法により製造される。
特許文献1は、均一でかつ微細な炭化チタン粉末(炭化チタン微粒子)を容易に得ることができることを目的とするものである。特許文献1には、酸化チタンと炭素を非酸化雰囲気下で1300℃〜1800℃の温度で焼成することにより、炭化チタンを製造する方法が開示されている。この特許文献1では、平均粒径が0.1〜5μmの酸化チタン100重量部に対して、添加剤として平均粒径0.05μm以下の酸化チタンを0.05〜30重量部添加している。
特許文献2は、均一な焼結体をもたらす均粒・粗粒の炭化チタン粉末、また導電性ポリマーに供せられる炭化チタン等の分野において均粒・粗粒の炭化チタン粉末とその製造方法を提供することを目的とするものである。
特許文献2には、原料として酸化チタンおよび炭素を用い、水素雰囲気中で、1500〜1750℃の温度において、還元、炭化する炭化チタン粉末の製造方法が開示されている。
特許文献2では、1次粒子が1μm以下でBET値が2m/g以上の原料の酸化チタンを用いること、炭素源として、1次粒子が0.5μm以下で連続的に結合していないカーボンブラックを用いることが開示されている。
さらには、熱処理前の原料の混合工程においてCoおよびNiの内1種または2種を、炭化チタン粉末のベースで0.1〜0.3重量%を添加し、1500〜1750℃の温度で加熱することにより炭化チタン粉末の粒度を制御することもなされている。
特開平2−271919号公報 特開2003−26416号公報
上述のように、特許文献1、2の炭化チタン微粒子の製造方法では、粒径を制御することは開示されている。しかしながら、炭化チタンに関して、粒径以外の物性値等を制御する製造方法がないのが現状である。このため、炭化チタン微粒子の更なる用途の拡大、炭化チタン微粒子を用いることによる機能性の更なる向上を期待できないのが現状である。
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、物性値として、例えば、希望する電気抵抗をもった炭化チタン微粒子の製造方法を提供することにある。
本発明は、炭化チタン微粒子において、酸素含有量が変わると体積抵抗値(電気抵抗)が変わるという知見に基づいてなされたものである。本発明では、炭化チタン微粒子の体積抵抗値(電気抵抗)を希望する値にするために、炭化チタン微粒子の酸素含有量を変える。
具体的には、上記目的を達成するために、本発明は、チタンまたはチタン酸化物の粉末と、炭素源と、熱プラズマ炎を用いて炭化チタン微粒子を生成する生成工程を有し、生成工程では、炭素源の量を変えることにより、生成される炭化チタン微粒子の酸素含有量を変えることを特徴とする炭化チタン微粒子の製造方法を提供するものである。
生成工程は、例えば、チタンまたはチタン酸化物の粉末を熱プラズマ炎中に供給する工程と、熱プラズマ炎の終端部に、冷却用ガスと炭素源として反応性ガスを供給し、炭化チタン微粒子を生成する工程とを有し、反応性ガスの供給量を変えて、生成される炭化チタン微粒子の酸素含有量を変える。例えば、反応性ガスは、メタンガスである。
また、例えば、生成工程は、チタンまたはチタン酸化物の粉末を、炭素源である炭素を含む液体状の物質に分散させてスラリーにし、スラリーを液滴化させて熱プラズマ炎中に供給する工程を備え、スラリーのフィード量を変えて、生成される炭化チタン微粒子の酸素含有量を変える。
また、例えば、生成工程は、チタンまたはチタン酸化物の粉末を、炭素源である炭素を含む液体状の物質に分散させてスラリーにし、スラリーをキャリアガスを用いて液滴化させて熱プラズマ炎中に供給する工程を備え、スラリーのフィード量が一定になるように制御し、スラリーを投入する際のキャリアガスの流量を変えて、生成される炭化チタン微粒子の酸素含有量を変える。
炭素を含む液体状の物質は、アルコール、ケトン、ケロシン、オクタンまたはガソリンであることが好ましい。
熱プラズマ炎は、例えば、水素、ヘリウムおよびアルゴンの少なくとも1つのガスに由来するものである。
本発明によれば、物性値として、例えば、希望する電気抵抗をもった炭化チタンを製造することができる。さらには、炭化チタンを容易に、しかも高い生産性で製造することができる。
本発明の実施形態に係る炭化チタン微粒子の製造方法に用いられる微粒子製造装置を示す模式図である。 原料としてチタン粉末を供給する形態で形成された炭化チタン微粒子における酸素含有量と、体積抵抗値の関係を示すグラフである。 酸化チタン粉末を含有したスラリーのフィード量と酸素含有量との関係を示すグラフである。 酸化チタン粉末を含有したスラリーを用いて形成された炭化チタン微粒子の酸素含有量と、体積抵抗値の関係を示すグラフである。 (a)〜(c)は、炭化チタン微粒子のX線回折法による結晶構造の解析結果を示すグラフである。 酸化チタン粉末を含有したスラリーの供給量が設定値となるように制御し、キャリアガスの流量を変えて形成された炭化チタン微粒子の酸素含有量を示すグラフである。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の炭化チタン微粒子の製造方法を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る炭化チタン微粒子の製造方法に用いられる微粒子製造装置を示す模式図である。
図1に示す微粒子製造装置10(以下、単に製造装置10という)は、炭化チタン(TiC)微粒子の製造に用いられるものである。
製造装置10は、熱プラズマを発生させるプラズマトーチ12と、炭化チタン微粒子の製造用材料(粉末材料)をプラズマトーチ12内へ供給する材料供給装置14と、炭化チタン微粒子(1次微粒子)15を生成させるための冷却槽としての機能を有するチャンバ16と、生成された1次微粒子15から任意に規定された粒径以上の粒径を有する粗大粒子を除去するサイクロン19と、サイクロン19により分級された所望の粒径を有する炭化チタン微粒子(2次微粒子)18を回収する回収部20とを有する。
材料供給装置14、チャンバ16、サイクロン19、回収部20については、例えば、特開2007−138287号公報の各種装置を用いることができる。
本実施形態において、炭化チタン微粒子の製造には、チタンまたはチタン酸化物の粉末が用いられる。このチタン粉末は、熱プラズマ炎中で容易に蒸発するように、例えば、その平均粒径が50μm以下であり、好ましくは平均粒径が10μm以下である。
プラズマトーチ12は、石英管12aと、その外側を取り巻く高周波発振用コイル12bとで構成されている。プラズマトーチ12の上部には、後述するようにチタンもしくはチタン酸化物の粉末の形態、またはチタンもしくはチタン酸化物の粉末を含有するスラリーの形態で、チタンまたはチタン酸化物の粉末をプラズマトーチ12内に供給するための後述する供給管14aがその中央部に設けられている。プラズマガス供給口12cが、供給管14aの周辺部(同一円周上)に形成されており、プラズマガス供給口12cはリング状である。
プラズマガスは、プラズマガス供給源22からプラズマガス供給口12cを経てプラズマトーチ12内に供給される。
プラズマガス供給源22は、第1の気体供給部22aと第2の気体供給部22bとを有し、第1の気体供給部22aと第2の気体供給部22bは配管22cを介してプラズマガス供給口12cに接続されている。第1の気体供給部22aと第2の気体供給部22bには、それぞれ図示はしないが供給量を調整するためのバルブ等の供給量調整部が設けられている。
例えば、水素ガスとアルゴンガスの2種類のプラズマガスが準備されている。例えば、第1の気体供給部22aに水素ガスが貯蔵され、第2の気体供給部22bにアルゴンガスが貯蔵される。プラズマガス供給源22の第1の気体供給部22aと第2の気体供給部22bから、プラズマガスとして水素ガスとアルゴンガスが配管22cを介して、リング状のプラズマガス供給口12cを経て、矢印Pで示す方向からプラズマトーチ12内に供給される。そして、高周波発振用コイル12bに高周波電圧が印加されて、プラズマトーチ12内で熱プラズマ炎24が発生する。
なお、プラズマガスは、水素ガスとアルゴンガスに限定されるものではなく、例えば、水素ガス、ヘリウムガスおよびアルゴンガスの中のうち、少なくとも1種のガスを有するものである。
また、本実施形態においては、後述するように、熱プラズマ炎24中で炭素を含む液体状の物質(分散媒)を燃焼させることなく分解して炭素を発生させる場合には、プラズマガスには酸素を含まないものを用いる。このプラズマガスとしては、例えば、水素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。プラズマガスは、単体に限定されるものではなく、水素とアルゴン、ヘリウムとアルゴンのように、これらプラズマガスを組み合わせて使用してもよい。
熱プラズマ炎24の温度は、チタン粉末およびチタン酸化物の粉末の沸点よりも高いことが必要である。一方、熱プラズマ炎24の温度が高いほど、容易にチタン粉末およびチタン酸化物の粉末が気相状態となるので好ましいが、特に温度は限定されるものではない。例えば、熱プラズマ炎24の温度を6000℃とすることもできるし、理論上は10000℃程度に達するものと考えられる。
また、プラズマトーチ12内における圧力雰囲気は、大気圧以下であることが好ましい。ここで、大気圧以下の雰囲気については、特に限定されないが、例えば、0.5〜100kPaである。
なお、石英管12aの外側は、同心円状に形成された管(図示されていない)で囲まれており、この管と石英管12aとの間に冷却水を循環させて石英管12aを水冷し、プラズマトーチ12内で発生した熱プラズマ炎24により石英管12aが高温になりすぎるのを防止している。
材料供給装置14は、供給管14aを介してプラズマトーチ12の上部に接続されている。材料供給装置14としては、例えば、チタンまたはチタン酸化物の粉末を粉末の形態で供給するもの、チタンまたはチタン酸化物の粉末を含有するスラリーの形態で供給する2通りの方式を用いることができる。
チタンまたはチタン酸化物の粉末を粉末の形態で供給する材料供給装置14としては、例えば、特開2007−138287号公報に開示されているものを用いることができる。この場合、材料供給装置14は、例えば、チタンまたはチタン酸化物の粉末を貯蔵する貯蔵槽(図示せず)と、チタンまたはチタン酸化物の粉末を定量搬送するスクリューフィーダ(図示せず)と、スクリューフィーダで搬送されたチタンまたはチタン酸化物の粉末が最終的に散布される前に、これを一次粒子の状態に分散させる分散部(図示せず)と、キャリアガス供給源(図示せず)とを有する。
キャリアガス供給源から押し出し圧力がかけられたキャリアガスとともにチタンまたはチタン酸化物の粉末は供給管14aを介してプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中へ供給される。
材料供給装置14は、チタンまたはチタン酸化物の粉末の凝集を防止し、分散状態を維持したまま、チタンまたはチタン酸化物の粉末をプラズマトーチ12内に散布することができるものであれば、その構成は特に限定されるものではない。キャリアガスには、アルゴンガス等の不活性ガスが用いられる。キャリアガス流量はフロート式流量計を用いて制御した。また、キャリアガスの流量値とはこの流量計の目盛り値のことである。
チタンまたはチタン酸化物の粉末をスラリーの形態で供給する材料供給装置14は、例えば、特開2011−213524号公報に開示されているものを用いることができる。この場合、材料供給装置14は、スラリー(図示せず)を入れる容器(図示せず)と、容器中のスラリーを攪拌する攪拌機(図示せず)と、供給管14aを介してスラリーに高圧をかけプラズマトーチ12内に供給するためのポンプ(図示せず)と、スラリーを液滴化させてプラズマトーチ12内へ供給するための噴霧ガスを供給する噴霧ガス供給源(図示せず)とを有する。噴霧ガス供給源は、キャリアガス供給源に相当するものである。噴霧ガスのことをキャリアガスともいう。
本実施形態においては、チタンまたはチタン酸化物の粉末を、炭素を含む液体状の物質(以下、分散媒ともいう)に分散させて、スラリーにし、スラリーを用いて、炭化チタン微粒子を製造する。
本実施形態において、炭素を含む液体状の物質(分散媒)としては、例えば、アルコール、ケトン、ケロシン、オクタンおよびガソリンが挙げられる。アルコールとしては、例えば、エタノール、メタノール、プロパノールおよびイソプロピルアルコールが挙げられる。また、工業用アルコールを用いてもよい。炭素を含む液体状の物質(分散媒)は、チタンまたはチタン酸化物の粉末を炭化物にするための炭素を供給する炭素源として作用するものである。このため、炭素を含む液体状の物質は、熱プラズマ炎24により分解されやすいことが好ましい。このことから、炭素を含む液体状の物質は、低級アルコールが好ましい。
なお、スラリー中のチタンまたはチタン酸化物の粉末と分散媒との混合比は、例えば、質量比で5:5(50%:50%)〜3:7(30%:70%)である。
さらに、スラリーを調整する際に、界面活性剤、高分子、カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物を添加してもよい。界面活性剤としては、例えば、ノニオン性界面活性剤であるソルビタン脂肪酸エステルが用いられる。高分子としては、例えば、ポリアクリル酸アンモニウムが用いられる。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤等が用いられる。界面活性剤、高分子、カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物をスラリーに添加することにより、チタンまたはチタン酸化物の粉末が分散媒で凝集することをより効果的に防止して、スラリーを安定化させることができる。
チタンまたはチタン酸化物の粉末をスラリーの形態で供給する材料供給装置14を用いた場合、噴霧ガス供給源から押し出し圧力をかけられた噴霧ガスが、スラリーと共に供給管14aを介してプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中へ供給される。供給管14aは、スラリーをプラズマトーチ内の熱プラズマ炎24中に噴霧し液滴化するための二流体ノズル機構を有しており、これにより、スラリーをプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に噴霧する、すなわち、スラリーを液滴化させることができる。噴霧ガスには、キャリアガスと同様に、例えば、アルゴン、ヘリウム、水素等が単独または適宜組み合わせて用いられる。
このように、二流体ノズル機構は、スラリーに高圧をかけ、気体である噴霧ガス(キャリアガス)によりスラリーを噴霧することができ、スラリーを液滴化させるための一つの方法として用いられる。例えば、ノズルに内径1mmのものを用いた場合、供給圧力を0.2〜0.3MPaとして毎分20ミリリットルでスラリーを流し、毎分10〜20リットルで噴霧ガス(キャリアガス)を噴霧すると、約5〜10μm程度の液滴が得られる。
なお、本実施形態では二流体ノズル機構を用いたが、一流体ノズル機構を用いてもよい。さらに他の方法として、例えば、回転している円板上にスラリーを一定速度で落下させて遠心力により液滴化する(液滴を形成する)方法、スラリー表面に高い電圧を印加して液滴化する(液滴を発生させる)方法等が挙げられる。
チャンバ16は、プラズマトーチ12の下方に隣接して設けられている。プラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に供給されたチタン粉末は、蒸発して気相状態になる。その直後に、後に詳細に説明する気体供給装置28からの混合ガスにより、チタン粉末はチャンバ16内で炭化されて急冷され、1次微粒子15(炭化チタン微粒子)が生成される。チャンバ16は、冷却槽としての機能も有する。
また、プラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中にチタン酸化物の粉末が供給された場合、チタン酸化物の粉末は、チタン粉末と同様に、蒸発して気相状態になる。その直後に、後に詳細に説明する気体供給装置28からの混合ガスにより、チタン酸化物の粉末はチャンバ16内で還元され、炭化されて急冷され、1次微粒子15(炭化チタン微粒子)が生成される。
上述のように、材料供給装置14には、例えば、チタンまたはチタン酸化物の粉末を粉末の形態で供給するもの、チタンまたはチタン酸化物の粉末をスラリーの形態で供給する2通りの方式のものを用いることができる。
気体供給装置28は、第1の気体供給源28a、第2の気体供給源28bと配管28cを有し、さらに、チャンバ16内に供給する後述の混合ガスに押し出し圧力をかけるコンプレッサ、ブロア等の圧力付与手段(図示せず)を有する。また、第1の気体供給源28aからのガス供給量を制御する圧力制御弁28dが設けられ、第2の気体供給源28bからのガス供給量を制御する圧力制御弁28eが設けられている。
第1の気体供給源28aには冷却用ガスとしてアルゴンガスが貯蔵されており、第2の気体供給源28bには反応性ガスとしてメタンガスが貯蔵されている。
冷却用ガスとしては、アルゴンガスの他、例えば、窒素ガス、水素ガス、酸素ガス、空気ガス、二酸化炭素ガス、水蒸気等、およびこれらの混合ガスを用いることができる。
気体供給装置28は、熱プラズマ炎24の尾部、すなわち、プラズマガス供給口12cと反対側の熱プラズマ炎24の端(熱プラズマ炎24の終端部)に向かって、所定の角度で、例えば、矢印Qの方向にアルゴンガス(冷却用ガス)とメタンガス(反応性ガス)との混合ガスを供給するとともに、チャンバ16の側壁に沿って上方から下方に向かって、すなわち、図1に示す矢印Rの方向に混合ガスを供給するものである。この冷却用ガスと反応性ガスはフロート式流量計を用いて制御した。また、冷却用ガスと反応性ガスの流量値とはこの流量計の目盛り値のことである。
なお、気体供給装置28から供給される混合ガスは、後に詳述するようにチャンバ16内で生成される1次微粒子15を炭化して急冷する作用以外にも、サイクロン19における1次微粒子15の分級に寄与する等の付加的作用を有する。
材料供給装置14が粉末の形態で供給するものである場合、材料供給装置14からプラズマトーチ12内にキャリアガスとともに供給されたチタンまたはチタン酸化物の粉末は、熱プラズマ炎24中で気相状態となる。気体供給装置28から熱プラズマ炎24に向かって矢印Qの方向に供給されるアルゴンガスとメタンガスとの混合ガスにおいて、メタンガスによりチタンまたはチタン酸化物の粉末が炭化され、アルゴンガスにより急冷され、チタン炭化物の1次微粒子15が生成される。この際、矢印Rの方向に供給された混合ガスにより、1次微粒子15のチャンバ16の内壁への付着が防止される。
一方、材料供給装置14がスラリーの形態で供給するものである場合、材料供給装置14からプラズマトーチ12内に所定の流量の噴霧ガスを用いて供給された、チタン粉末を含有する液滴化されたスラリーは、熱プラズマ炎24中で燃焼することなく炭化されて、チタンの炭化物が生成される。一方、チタン酸化物の粉末を含有する液滴化されたスラリーは、熱プラズマ炎24中で燃焼することなく、チタン酸化物が還元された後に炭化されて、チタンの炭化物が生成される。そして、チタンの粉末またはチタン酸化物の粉末のいずれから形成されたチタンの炭化物も、熱プラズマ炎24に向かって矢印Qの方向に供給されるアルゴンガス(冷却用ガス)により、この炭化物はチャンバ16内で急冷され、チタンの炭化物の1次微粒子15が生成される。この際、矢印Rの方向に供給されたアルゴンガスにより、1次微粒子15のチャンバ16の内壁への付着が防止される。
図1に示すように、チャンバ16の側方下部には、生成された1次微粒子15を所望の粒径で分級するためのサイクロン19が設けられている。このサイクロン19は、チャンバ16から1次微粒子15を供給する入口管19aと、この入口管19aと接続され、サイクロン19の上部に位置する円筒形状の外筒19bと、この外筒19b下部から下側に向かって連続し、かつ、径が漸減する円錐台部19cと、この円錐台部19c下側に接続され、上述の所望の粒径以上の粒径を有する粗大粒子を回収する粗大粒子回収チャンバ19dと、後に詳述する回収部20に接続され、外筒19bに突設される内管19eとを備えている。
入口管19aから、チャンバ16内にて生成された1次微粒子15を含んだ気流が、外筒19b内周壁に沿って吹き込まれ、これにより、この気流が図1中に矢印Tで示すように外筒19bの内周壁から円錐台部19c方向に向かって流れることで、旋回する下降流が形成される。
そして、上述の旋回する下降流は、円錐台部19c内周壁でさらに加速され、その後反転し、上昇流となって内管19eから系外に排出される。また、気流の一部は、粗大粒子回収チャンバ19dに流入する前に円錐台部19cで反転し、内管19eから系外に排出される。粒子には、旋回流により遠心力が与えられ、遠心力と抗力とのバランスにより、粗大粒子は壁方向に移動する。また、気流から分離した1次微粒子15(炭化チタン微粒子)は、円錐台部19c側面に沿って下降し、粗大粒子回収チャンバ19dで回収される。ここで、十分に遠心力が与えられない微粒子は、円錐台部19c内周壁での反転気流とともに、系外へ排出される。
また、内管19eを通して、後に詳述する回収部20から負圧(吸引力)が生じるようになっている。そして、この負圧(吸引力)によって、上述の旋回する気流から分離した炭化チタン微粒子が、符号Uで示すように吸引され、内管19eを通して回収部20に送られるようになっている。
サイクロン19内の気流の出口である内管19eの延長上には、所望のナノサイズの粒径を有する2次微粒子(炭化チタン微粒子)18を回収する回収部20が設けられている。この回収部20は、回収室20aと、回収室20a内に設けられたフィルター20bと、回収室20a内下方に設けられた管を介して接続された真空ポンプ(図示せず)とを備えている。サイクロン19から送られた微粒子は、真空ポンプ(図示せず)で吸引されることにより、回収室20a内に引き込まれ、フィルター20bの表面で留まった状態にされて回収される。
以下、上述の製造装置10を用いた炭化チタン微粒子の製造方法、およびこの製造方法により生成された炭化チタン微粒子について説明する。
本実施形態においては、材料供給に、例えば、チタンまたはチタン酸化物の粉末を粉末の形態で供給するもの、チタンまたはチタン酸化物の粉末をスラリーの形態で供給する2通りの方式を用いることができる。各材料供給方式による炭化チタン微粒子の製造方法について説明する。
まず、粉末の形態で供給する場合、例えば、平均粒径が50μm以下のチタンまたはチタン酸化物の粉末を材料供給装置14に投入する。
プラズマガスに、水素ガスとアルゴンガスを用いて、高周波発振用コイル12bに高周波電圧を印加し、プラズマトーチ12内に熱プラズマ炎24を発生させる。
また、気体供給装置28から熱プラズマ炎24の尾部、すなわち、熱プラズマ炎24の終端部に、矢印Qの方向にアルゴンガスとメタンガスとの混合ガスを供給する。このとき、矢印Rの方向にも混合ガスを供給する。
次に、キャリアガスとして、アルゴンガスを用いてチタンまたはチタン酸化物の粉末を気体搬送し、供給管14aを介してプラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に供給する。熱プラズマ炎24でチタン粉末を蒸発させて気相状態にし、その直後にチャンバ16内でアルゴンガスとメタンガスにより、炭化および急冷して、1次微粒子15(炭化チタン微粒子)を生成する。
なお、メタンガスの供給量としては、チタンまたはチタン酸化物の粉末の投入量に対して、8〜25質量%であることが好ましい。
チャンバ16内で生成された1次微粒子15は、サイクロン19の入口管19aから、気流とともに外筒19bの内周壁に沿って吹き込まれ、これにより、この気流が図1の矢印Tに示すように外筒19bの内周壁に沿って流れることにより、旋回流を形成して下降する。そして、この旋回流は円錐台部19c内周壁でさらに加速され、その後反転し、上昇流となって、内管19eから系外に排出される。また、気流の一部は、粗大粒子回収チャンバ19dに流入する前に円錐台部19c内周壁で反転し、内管19eから系外に排出される。
1次微粒子15に旋回流により遠心力が与えられ、遠心力と抗力とのバランスにより、1次微粒子15のうち、粗大粒子は壁方向に移動する。また、1次微粒子15のうち、気流から分離された粒子は、円錐台部19c側面に沿って下降し、粗大粒子回収チャンバ19dで回収される。ここで、十分に遠心力が与えられない微粒子は、円錐台部19c内周壁での反転気流とともに、内管19eから、炭化チタン微粒子(2次微粒子)18として系外へ排出される。このときのサイクロン19内への気流の流速は、好ましくは、10m/sec以上である。
排出された炭化チタン微粒子(2次微粒子)18は、回収部20からの負圧(吸引力)によって、図1中、符号Uに示す方向に吸引され、内管19eを通して回収部20に送られ、回収部20のフィルター20bで回収される。このときのサイクロン19内の内圧は、大気圧以下であることが好ましい。また、炭化チタン微粒子(2次微粒子)18の粒径は、目的に応じてナノサイズレベルの任意の粒径が規定される。
このようにして、本実施形態においては、ナノサイズの炭化チタン微粒子を得ることができる。
本実施形態の炭化チタン微粒子の製造方法により製造される炭化チタン微粒子は、その粒度分布幅が狭い、すなわち、均一な粒径を有し、1μm以上の粗大粒子の混入が殆どなく、具体的には、その平均粒径が1〜100nmのナノサイズの炭化チタン微粒子である。
なお、本発明の炭化チタン微粒子の製造方法においては、使用するサイクロンの個数は、1つに限定されず、2つ以上でもよい。
生成直後の超微粒子同士が衝突し、凝集体を形成することで粒径の不均一が生じると、品質低下の要因となる。しかしながら、熱プラズマ炎の尾部(終端部)に向かって矢印Qの方向に供給される混合ガスが1次微粒子15を希釈することで、超微粒子同士が衝突して凝集することが防止される。
一方、チャンバ16の内側壁に沿って矢印R方向に供給される混合ガスにより、1次微粒子15の回収の過程において、1次微粒子15のチャンバ16の内壁への付着が防止され、生成した1次微粒子15の収率が向上する。
このようなことから、混合ガスについては、1次微粒子15(炭化チタン微粒子)が生成される過程において、チタンまたはチタン酸化物の粉末を炭化し、得られたチタン炭化物を急冷するに十分な供給量が必要であるとともに、1次微粒子15を下流のサイクロン19で任意の分級点で分級できる流速が得られ、かつ、熱プラズマ炎24の安定を妨げない程度の量であることが好ましい。また、熱プラズマ炎24の安定を妨げない限り、混合ガスの供給方法および供給位置等は、特に限定されない。本実施形態の微粒子製造装置10では、天板17に円周状のスリットを形成して混合ガスを供給しているが、熱プラズマ炎24からサイクロン19までの経路上で、確実に気体を供給可能な方法または位置であれば、他の方法、位置でも構わない。
次に、スラリーの形態で供給する場合、例えば、平均粒径が50μm以下のチタン粉末または平均粒径が0.6μm以下のチタン酸化物粉末を用い、炭素を含む液体状の物質(分散媒)として、例えば、アルコールを用いる。チタンまたはチタン酸化物の粉末と分散媒との混合比を、質量比で5:5(50%:50%)として、スラリーを作製する。
スラリーが、図1に示す材料供給装置14の容器(図示せず)内に入れられ、攪拌機(図示せず)で攪拌される。これにより、分散媒中のチタンまたはチタン酸化物の粉末が沈澱することを防止し、分散媒中でのチタンまたはチタン酸化物の粉末が分散された状態のスラリーが維持される。なお、材料供給装置14にチタンまたはチタン酸化物の粉末と分散媒とを供給して連続的にスラリーを調製してもよい。
次に、前述の二流体ノズル機構(図示せず)を用いてスラリーを液滴化させ、液滴化されたスラリーを、プラズマトーチ12内に発生している熱プラズマ炎24中に所定の流量の噴霧ガスを用いて供給し、分散媒を燃焼させることなく炭素を生成させる。
次に、炭素とチタンまたはチタン酸化物の粉末とが反応してチタン炭化物が生成される。この生成されたチタン炭化物が、矢印Qの方向に供給されるアルゴンガスによって急冷されて、チャンバ16内で急冷されることにより、炭化物からなる1次微粒子15が得られる。
なお、プラズマトーチ12内における圧力雰囲気は、大気圧以下であることが好ましい。ここで、大気圧以下の雰囲気については、特に限定されないが、例えば、660Pa〜100kPaとすることができる。
なお、スラリーの形態で供給する場合、スラリーのフィード量を変えてもよい。また、スラリーのフィード量が一定になるように制御し、スラリーを投入する際の噴霧ガス(キャリアガス)の流量を変えてもよい。この場合、噴霧ガス(キャリアガス)の流量としては、スラリーの粉末換算投入量に対して、65〜540質量%であることが好ましい。具体的には、例えば、スラリーのフィード量の設定値がチタンまたはチタン酸化物の粉末換算で825g/hの場合、キャリアガスの流量は5〜40(L(リットル)/min)が好ましく、7.5〜25(L(リットル)/min)がより好ましい。
本実施形態において、矢印Qの方向に供給されるアルゴンガスの量は、1次微粒子が生成される過程において、この炭化物を急冷するに十分な供給量であることが必要であるが、1次微粒子15を下流のサイクロン19で任意の分級点で分級できる流速が得られ、かつ熱プラズマ炎の安定を妨げない程度の量であることが好ましい。
矢印Qの方向に供給されるアルゴンガスおよび矢印Rの方向に供給されるアルゴンガスの合計の量は、上記熱プラズマ炎中に供給する気体の200体積%〜5000体積%とするのがよい。ここで、上述の熱プラズマ炎中に供給する気体とは、熱プラズマ炎を形成するプラズマガス、プラズマ流を形成するためのセントラルガスおよび噴霧ガスを合わせたものである。
最終的にチャンバ16内で生成された炭化物からなる1次微粒子15は、上述の粉末の形態で作製したものと同様の過程を経る。
そして、上述の粉末の形態で作製したものと同様に、排出された炭化チタン微粒子(2次微粒子)18は、回収部20からの負圧(吸引力)によって、符号Uで示す方向に吸引され、内管19eを通して回収部20に送られ、回収部20のフィルター20bで回収される。このときのサイクロン19内の内圧は、大気圧以下であることが好ましい。また、炭化チタン微粒子(2次微粒子)18の粒径は、目的に応じてナノサイズレベルの任意の粒径が規定される。
以上のようにして、炭化チタン微粒子を製造することができる。
本発明者が鋭意実験研究した結果、混合ガスに含まれる反応性ガス、ここではメタンガスの供給量を変えることにより、生成される炭化チタン微粒子の酸素含有量を変えることができることを見出した。さらには、炭化チタン微粒子は、酸素含有量が変わると体積抵抗値(電気抵抗)が変わることも知見した。これらのことから、炭化チタン微粒子の酸素含有量をコントロールすることにより、物性値として、体積抵抗値(電気抵抗)が異なる炭化チタン微粒子を生成することができる。この場合、メタンガスの供給量としては、チタンまたはチタン酸化物の粉末の投入量に対して、8〜25質量%であることが好ましい。
さらに、本発明者が鋭意実験研究した結果、チタンまたはチタン酸化物の粉末を含有したスラリーのフィード量を変えることにより、生成される炭化チタン微粒子の酸素含有量を変えることができることを見出した。この場合においても、炭化チタン微粒子は、酸素含有量が変わると体積抵抗値(電気抵抗)が変わることも知見した。これらのことから、炭化チタン微粒子の酸素含有量をコントロールすることにより、物性値として、体積抵抗値(電気抵抗)が異なる炭化チタン微粒子を生成することができる。
このように、本発明においては、炭化チタン微粒子の酸素含有量を調整することにより、希望する電気抵抗をもった炭化チタン微粒子を得ることができる。
さらに、本発明者が鋭意実験研究した結果、スラリーのフィード量が一定になるように制御し、スラリーを投入する際のキャリアガスの流量を変えることにより、生成される炭化チタン微粒子の酸素含有量を変えることができることを見出した。この場合、キャリアガスの流量としては、スラリーの粉末換算投入量に対して65〜540質量%であることが好ましい。
以上、本発明の炭化チタン微粒子の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
以下、本発明の炭化チタン微粒子の製造方法の効果について、より具体的に説明する。なお、以下に示す例に、本発明は限定されるものではない。
本実施例では、炭化チタン微粒子の酸素含有量をコントロールすることにより、体積抵抗値(電気抵抗)が異なる炭化チタン微粒子が得られるかを確認した。
まず、チタン粉末の形態で炭化チタン微粒子を製造するものについて説明する。
本実施例においては、平均粒径が45μmのチタン粉末を用い、アルゴンガスの供給量を一定にし、メタンガスの供給量を、1リットル/分、3リットル/分として、炭化チタン微粒子を製造した。
炭化チタン微粒子の製造条件としては、キャリアガスにアルゴンガスを用い、プラズマガスにアルゴンガスと水素ガスを用い、混合ガスにアルゴンガスとメタンガス(反応性ガス)を用いた。
以上の製造条件で得られた各炭化チタン微粒子について、電気抵抗を示すものとして、体積抵抗率を測定した。その結果を図2のグラフに示す。なお、図2において、●はメタンガスの供給量が3リットル/分の結果を示し、■はメタンガスの供給量が1リットル/分の結果を示す。メタンガスの供給量が3リットル/分のものは、BET径が27.5nmであり、メタンガスの供給量が1リットル/分のものは、BET径が42.1nmである。
図2に示すように、メタンガスの供給量を変えることにより、得られる炭化チタン微粒子の酸素含有量が変わり、酸素含有量が変わると炭化チタン微粒子の体積抵抗値(電気抵抗)も変わる。本発明では、炭化チタン微粒子の酸素含有量を増やすことにより、炭化チタン微粒子の体積抵抗値(電気抵抗)を上げることができる。
このように、本発明においては、炭化チタン微粒子の酸素含有量をコントロールして、物性値として、体積抵抗値(電気抵抗)が異なる炭化チタン微粒子を製造することができる。
なお、酸素含有量は、不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法(NDIR)を用いて測定した。体積抵抗値は、4端子4探針法を用いて測定した。
本実施例では、チタン酸化物の粉末を含有するスラリーを用いて炭化チタン微粒子を製造するものについて、炭化チタン微粒子の酸素含有量をコントロールすることにより、体積抵抗値(電気抵抗)が異なる炭化チタン微粒子が得られるかを確認した。本実施例では、チタン酸化物の粉末に酸化チタンの粉末を用いた。
スラリーを用いて炭化チタン微粒子を製造する場合、熱プラズマ炎に供給する酸化チタンの粉末を含有するスラリーのフィード量を変えて、炭化チタン微粒子を製造した。
酸化チタンの粉末には、平均粒径が0.6μmのものを用い、分散媒には工業用アルコールを用いた。なお、スラリーを構成する酸化チタンの粉末と工業用アルコールとの混合比は、質量比で50%とした。
以上の製造条件で得られた各炭化チタン微粒子の酸素含有量を測定した。この結果を、図3に示す。なお、酸素含有量は、上述の第1の実施例と同じ測定方法を用いて測定した。このため、その詳細な説明は省略する。
図3に示すように、熱プラズマ炎に供給する酸化チタンの粉末を含有するスラリーのフィード量を変えることにより、得られた炭化チタン微粒子の酸素含有量が変化することが分かった。これは、酸化チタンの粉末の形態で炭化チタン微粒子を製造したものと同じ傾向を示す。
本実施例でも、スラリーを用いて形成された炭化チタン微粒子の酸素含有量と、電気抵抗を示すものとして体積抵抗値との関係を調べた。その結果を図4に示す。図4に示す▲はフィード量が702.3g/hであり、◆はフィード量が567.3g/hであり、▼はフィード量が535.4g/hである。
なお、体積抵抗値は、上述の第1の実施例と同じ測定方法を用いて測定した。このため、その詳細な説明は省略する。
さらに、得られた炭化チタン微粒子についてX線回折(XRD)を用いて結晶構造を調べた。その結果を図5(a)〜(c)に示す。ここで、図5(a)〜(c)の縦軸の強度の単位は無次元である。なお、図5(a)に示すXRDスペクトルは、図4に示す▲の結果であり、図5(b)に示すXRDスペクトルは、図4に示す◆の結果であり、図5(c)に示すXRDスペクトルは、図4に示す▼の結果である。
図4に示すように、酸素含有量が変わることにより、炭化チタン微粒子の体積抵抗値(電気抵抗)も変わる。本発明では、酸化チタンの粉末を含有するスラリーを用いても、炭化チタン微粒子の酸素含有量を増やすことにより、炭化チタン微粒子の体積抵抗値(電気抵抗)を上げることができる。この傾向は、チタン粉末が粉末の形態で形成された炭化チタン微粒子と同じ傾向を示す。このように、本発明では、粉末またはスラリーと形態を問わず、炭化チタン微粒子の酸素含有量を変えることができる。
なお、図4に示すスラリーを用いて形成された炭化チタン微粒子は、いずれも図5(a)〜(c)のXRDスペクトルに示すように、炭化チタンの組成を示すピークだけ現れており、チタンの酸化物等の他の組成のピークがない。
本実施例では、チタン酸化物の粉末を含有するスラリーを用いて炭化チタン微粒子を製造するものについて、炭化チタン微粒子の酸素含有量をコントロールすることができるか確認した。本実施例では、チタン酸化物の粉末に酸化チタンの粉末を用いた。
スラリーを用いて炭化チタン微粒子を製造する場合、熱プラズマ炎に供給する酸化チタンの粉末を含有するスラリーのフィード量が以下に示す設定値になるように制御し、スラリーを供給する際のキャリアガスの流量を変えて、炭化チタン微粒子を製造した。なお、スラリーのフィード量は酸化チタン粉末分で825g/h(設定値)±25g/hであった。キャリアガスにアルゴンガスを用い、キャリアガスの流量は7.5〜25(L(リットル)/min)の範囲とした。
酸化チタンの粉末には、平均粒径が0.6μmのものを用い、分散媒には工業用アルコールを用いた。なお、スラリーを構成する酸化チタンの粉末と工業用アルコールとの混合比は、質量比で50%とした。
以上の製造条件で得られた各炭化チタン微粒子の酸素含有量を測定した。この結果を、図6に示す。なお、酸化含有量は、上述の第1の実施例と同じ測定方法を用いて測定した。このため、その詳細な説明は省略する。
図6に示すように、熱プラズマ炎に酸化チタンを含有するスラリーを供給する際のフィード量が一定になるように制御しても、キャリアガスの流量を変えることにより、得られた炭化チタン微粒子の酸素含有量が変化することが分かった。これは、酸化チタンの粉末の形態で炭化チタン微粒子を製造したものと同じ傾向を示す。
本実施例でも、得られた炭化チタン微粒子についてX線回折(XRD)を用いて結晶構造を調べた。その結果、本実施例でも、図5(a)〜(c)と同様の結果が得られたことを確認している。
10 微粒子製造装置
12 プラズマトーチ
14 材料供給装置
15 1次微粒子
16 チャンバ
18 微粒子(2次微粒子)
19 サイクロン
20 回収部
22 プラズマガス供給源
24 熱プラズマ炎
28 気体供給装置

Claims (6)

  1. チタンまたはチタン酸化物の粉末と、炭素源と、熱プラズマ炎を用いて炭化チタン微粒子を生成する生成工程を有し、
    前記生成工程は、前記チタンまたはチタン酸化物の粉末を、前記炭素源である炭素を含む液体状の物質に分散させてスラリーにし、
    前記スラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給する工程を備え、
    前記スラリーのフィード量を変えて、生成される炭化チタン微粒子の酸素含有量を変えることを特徴とする炭化チタン微粒子の製造方法。
  2. チタンまたはチタン酸化物の粉末と、炭素源と、熱プラズマ炎を用いて炭化チタン微粒子を生成する生成工程を有し、
    前記生成工程は、前記チタンまたはチタン酸化物の粉末を、前記炭素源である炭素を含む液体状の物質に分散させてスラリーにし、
    前記スラリーをキャリアガスを用いて液滴化させて前記熱プラズマ炎中に供給する工程を備え、
    前記スラリーのフィード量が一定になるように制御し、前記スラリーを投入する際の前記キャリアガスの流量を変えて、生成される炭化チタン微粒子の酸素含有量を変えることを特徴とする炭化チタン微粒子の製造方法。
  3. 前記炭素を含む液体状の物質は、アルコール、ケトン、ケロシン、オクタンまたはガソリンである請求項またはに記載の炭化チタン微粒子の製造方法。
  4. 前記熱プラズマ炎は、水素、ヘリウムおよびアルゴンの少なくとも1つのガスに由来するものである請求項またはに記載の炭化チタン微粒子の製造方法。
  5. 前記熱プラズマ炎は、水素、ヘリウムおよびアルゴンの少なくとも1つのガスに由来するものである請求項に記載の炭化チタン微粒子の製造方法。
  6. 前記キャリアガスは、不活性ガスである請求項2に記載の炭化チタン微粒子の製造方法。
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