<本発明の一態様が解決することができる課題の例>
図20は、情報処理装置が処理した情報を表示部に表示する従来の方法を説明する模式図である。図20を参照しながら、本発明の一態様が解決することができる課題について説明する。
情報処理装置の表示部が備える画素領域は有限であるため、情報処理装置が処理した情報200を含む画像210のすべてを表示することができない場合がある(図20(A−2)参照)。なお、本明細書において、情報処理装置が処理した情報を表示部に表示する領域を「ウインドウ」とよぶ。
このような場合、当該情報処理装置を使用する者が情報処理装置に処理され情報200から一部を選択し、情報処理装置は選択された領域をウインドウ220に表示しすればよい。
複数に分けられた情報を、その前後関係が保たれた状態(連続した状態ともいう)で表示する方法の一例としては、当該情報が記された巻物の一部を広げた状態(帯状またはスクロール可能な状態ともいえる)でウインドウに表示する方法が挙げられる(図20(B−1)参照)。情報処理装置の使用者は、ウインドウ220に表示された帯状の情報を順に送る(スクロールともいう)ことにより、一画面に表示しきれない情報200を、前後の関係を保ちながら閲覧や使用等をすることができる。なお、図20(B−2)は(図20(B−1)を1行分進む方向にスクロールした状態を示す模式図である。情報処理装置を使用する者は、ウインドウ220の範囲を視認することができ、ハッチがかけられた部分を視認することができない。
このように、処理された情報が一画面内に表示されない部分がある場合、情報処理装置の使用者は情報を俯瞰できないという問題がある。これにより、使用者は処理された情報200の一部を選択し、目的とする情報を表示された画像から探し出す手間が生じる。
例えば、処理した情報を表示部のウインドウに帯状に表示する場合、使用者は、帯状に表示される情報を順番に移動(スクロール)し、移動する表示を目で追って、その中から目的とする情報を探し出すことになる。
この作業において、情報処理装置の使用者は画面またはウインドウに表示される画像を常に目で追いかけるため、目を酷使することになり、目の疲労または眼精疲労を覚えることになる。
<本発明の一態様>
そこで、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、一画面に表示できない情報を、スクロールすることなく表示する情報処理方法に着眼した。以下に説明する実施の形態には、情報処理装置が処理した情報を表示部に表示する情報処理方法が含まれる。
本発明の一態様の情報処理方法は、表示光に420nmより短い波長の光を含まず且つ150ppi以上の精細度で設けられた複数の画素を具備する表示部、演算装置並びに入力手段を備える情報処理装置を用いるものである。
そして、ウインドウに演算装置に処理された情報を含む第1の静止画像を表示画像として表示する第1のステップと、方向と速度の情報を含む表示送り命令を入力する第2のステップと、所定の待機時間の経過後に、当該速度と待機時間の積から求まる距離が、所定の距離以上である場合に表示画像に連続する第2の画像を表示する第3のステップと、を有する、演算装置に処理された情報を含む画像を表示する情報処理方法である。
上記本発明の一態様情報処理方法によれば、演算装置に処理された一画面に表示できない情報を複数の静止画像に分け、当該複数に分けた情報を画面またはウインドウに順次表示画像として表示する。これにより、情報処理装置の使用者は、目的とする情報を、移動する表示を目で追って、当該移動する表示の中から目的とする情報を探し出す必要がなくなり、使用者の目に加わる負担が軽減される。その結果、演算装置が処理した情報を含む画像を目に優しく表示できる新規な情報処理方法を提供できる。または、演算装置が処理した情報を含む画像を目に優しく表示できる新規なプログラムを提供できる。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理装置の情報処理方法について、図1乃至図4を参照しながら説明する。
図1は本発明の一態様の情報処理装置の構成を説明するブロック図である。
図2は本発明の一態様の情報処理装置を用いた情報処理方法を説明する模式図である。
図3は本発明の一態様の情報処理装置を用いた情報処理方法を説明するフローチャートである。
図4は本発明の一態様の情報処理装置を用いた情報処理方法の変形例を説明するフローチャートである。
<情報処理装置>
情報処理装置10は、演算装置11、記憶装置12および伝送路14を有する(図1参照)。伝送路14は、演算装置11、記憶装置12および入出力インターフェース15を互いに接続し、情報の伝送を行う。なお、これらの構成は明確に分離できず、一つの構成が他の構成を兼ねる場合や他の構成の一部を含む場合がある。例えば、タッチパネルは表示部であり、入力手段である。
入出力装置20は、入出力インターフェース15を介して伝送路14に接続される。入出力装置20は情報処理装置10の外部から情報を入力または情報処理装置10の外部に情報を出力するための装置である。
入出力装置20としては、通信機器、ネットワーク接続機器または、ハードディスク、リムーバブルメモリなどの書き込み可能な外部記憶装置をその一例として挙げることができる。
入力手段21としては、キーボード、マウスまたはタッチパネルなどのヒューマンインターフェース機器、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなど等のカメラ、スキャナー、CDROM、DVDROMなど読み取り専用の外部記憶装置をその一例としてあげることができる。
情報処理装置10の使用者は、表示送り命令を入力手段21から入力できる。なお、本明細書において、表示部22のウインドウ220に演算装置11が処理した情報の一部を含む画像が表示された状態で、当該情報に連続する他の情報を含む画像を表示する旨の命令を、表示送り命令という。
例えば、第2の情報を含む第2の画像が第1の情報を含む第1の画像に連続してある場合、第1の画像がウインドウ220に表示された状態で、第2の画像を表示する旨の命令を、表示送り命令という。当該表示送り命令が実行されると、第2の画像がウインドウ220に表示される。
出力装置としては、表示部22の他、スピーカ、プリンタなどを接続することができる。
<表示部>
本発明の一態様の情報処理装置10は表示部22を備える。特に、表示部22は、表示光に420nmより短い波長の光、好ましくは440nmより短波長の光を含まない。そして、表示領域に150ppi以上、好ましくは200ppi以上の精細度で設けられた複数の画素を具備するとよい。これにより、目に優しい表示をすることが可能になる。なお、本明細書において表示光とは、情報処理装置の表示部が画像を表示するために使用者に向けて発する、または反射する光をいう。
本発明の一態様に係る表示部の表示光は、眼の角膜や水晶体で吸収されずに、網膜まで到達するため、長期的な網膜への影響や、概日リズムへの悪影響がある光を含まない。具体的には画像を表示する光に、400nm好ましくは420nmより好ましくは440nm以下の波長を有する光(UVAともいう)を含まない。
また、本発明の一態様に係る表示部が備える画素の精細度が150ppi好ましくは200ppi以上であり、1画素のサイズが小さい。これにより、緻密で滑らかな表示とすることができる。その結果、眼の毛様体の筋肉がピントを合わせやすくなるため、使用者の眼の筋肉系の疲労が軽減される。
<情報処理方法>
本実施の形態で説明する情報処理方法は、上述した表示部22を備える情報処理装置10を用いて、演算装置11が処理した情報を含む画像を以下のステップにより目に優しく表示する。
《第1のステップ》
第1のステップにおいて、ウインドウに前記演算装置に処理された情報を含む第1の静止画像を表示画像として表示する(図3(S−1))。
なお、演算装置11が処理した情報の一部が表示部22のウインドウ220に表示された状態を模式的に図2(A−1)に示す。ウインドウ220に表示される表示画像を、図2(A−2)に示す。
また、ページ番号220pおよびインジケータ220iは、ウインドウ220に表示されている表示画像の情報の全体における位置を示す指標である。具体的には、ページ番号220pは1ページ目であること、インジケータ220iは全体の前半部分にあることを概略示している。
なお、本実施の形態では、ウインドウ220の縦方向に表示を送る場合について説明する。ウインドウ220の縦方向の長さYを図示し、ウインドウ220の縦方向の長さYを所定の距離とするが、これに限られない。
《第2のステップ》
第2のステップにおいて、方向と速度vの情報を含む表示送り命令を入力手段から入力する(S−2)。なお、横方向に表示を送ることもできる。その場合は、ウインドウ220の横方向の長さと、表示送り命令の横方向の速度について、考慮すればよい。
《第3のステップ》
第3のステップにおいて、所定の待機時間tの経過後に(S−3)、カウンタの値を1増やし(S−4)、当該速度v、当該待機時間tおよび当該カウンタの積(v×t×カウンタの値)から得られる距離が、所定の距離Y未満である場合(S−5)は、再度所定の時間待機する。または、当該距離が所定の距離Y以上である場合(S−5)は、表示画像に連続する次の画像を表示する(S−6)。
図2(B)に、第1のステップにおいて表示された情報を含む画像に続く、次の情報を含む画像が、ウインドウ220に表示された状態を示す。図2(B−1)には、図2(A−1)のウインドウ220の下部に表示された情報が、図2(A−1)のウインドウの上部の表示されない領域まで移動している様子が図示されている。
また、ページ番号220pは2ページ目であること、インジケータ220iは全体の中盤部分にあることを概略示している図2(B−2)。
表示送り命令は、図2(A)が表示された状態で入力され、そのときから図2(B)が表示されるまでに所定の時間が経過している。この所定の時間の間において、ウインドウ220に表示される画像は、図2(A)に示すように、第1のステップで表示した画像に連続する次の画像が静止画として表示される。
《第4のステップ》
所定の時間の待機を計測するためにカウンタの値を0とし(図3(S−7))、表示静止命令により表示送りを終了する旨の割り込み命令が入力されているか否かを判断する(S−8)。
そして、継続して表示送りを続ける場合は第3のステップに進む。
本実施の形態で説明する情報処理方法によれば、一画面に表示できない情報を複数に分け、当該複数に分けた情報を、画面またはウインドウに静止画像として表示する。これにより、情報処理装置の使用者は、目的とする情報を、移動する表示を目で追って、移動する表示の中から目的とする情報を探し出す必要がなくなる。その結果、演算装置が処理した情報を含む画像を目に優しく表示できる新規な情報処理方法を提供できる。
また、所定の時間の経過後に、速度と待機時間の積から得られる距離が、所定の距離未満である場合には、演算装置が処理した情報が静止画像として表示される。これにより、情報処理装置の使用者は、当該静止画像の中から目的とする情報を探し出せばよく、過度に視線を移動させる必要がない。その結果、目の酷使を防ぎ、目の疲労または眼精疲労を低減できる。
<情報処理方法の変形例>
本実施の形態で説明した情報処理方法の変形例について、図4および図5を参照しながら説明する。
本実施の形態の変形例で説明する情報処理方法は、本実施の形態で説明する表示部22を備える情報処理装置10を用いる点が共通する。
演算装置11が処理した情報を含む画像を以下のステップにより目に優しく表示する。
《第1のステップ》
ウインドウに演算装置に処理された情報を含む第1の静止画像を表示画像として表示する(u−1)。
《第2のステップ》
方向と速度の情報を含む表示送り命令を、入力手段を用いて入力する(u−2)。
表示送り命令の方向と速度の情報は、入力手段に応じてさまざまな入力方法を適用できる。例えば、入力手段にタッチパネルを用いる場合、指で弾くようなフリック操作により、方向、速度を入力できる。また、マウスを用いたドラッグ操作の他、マウス・ホイールの回転等により、方向と速度の情報を入力できる。また、事前に方向と速度の情報が設定された操作ボタンを選択することにより、方向と速度の情報を入力してもよい。
《第3のステップ》
第1のカウンタと第2のカウンタをリセットし、ウインドウの表示送り方向についての長さ並びに待機時間など、各種の設定情報を取得する(u−3)。
待機時間としては、例えば0.01秒とすることができる。なお、ウインドウの長さは表示部の最大の長さとしてもよいし、実際に表示されているウインドウより小さい長さに設定してもよい。例えば、実際に表示されているウインドウの半分の長さを設定することにより、表示送りの間隔を半分にすることや、表示されている長さの半分が連続する表示に重複して表示されるように設定することがきる。
《第4のステップ》
第1のカウンタおよび第2のカウンタの値に1を加え、待機時間待機する(u−4)。
なお、第2のカウンタの値に応じて、表示送り速度vを0に近づけるように減衰させてもよい。表示送り速度を次第に0に近づけると、表示画像が第2の静止画像に切り替わる間隔が次第に長くなる動作とすることができる。
《第5のステップ》
表示送り命令の速度、待機時間および第1のカウンタの値の積を求めて距離を算出する(u−5)。
《第6のステップ》
距離がウインドウの表示送り方向についての長さ以上である場合に第6のステップに進み、それ以外は第4のステップに進む(u−6)。
《第7のステップ》
第1のカウンタをリセットし、表示画像から表示送り命令の方向に距離だけ離れた、表示画像に連続する第2の静止画像をウインドウに表示画像として表示する(図5(u−7)参照)。
《第8のステップ》
表示静止命令が入力されている場合に第9のステップに進み、それ以外は第4のステップに進む(u−8)。
《第9のステップ》
表示送り命令を終了し、表示画像を表示する(u−9)。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理装置の情報処理方法について、図6を参照しながら説明する。
具体的には、本発明の一態様の情報処理装置の表示部で表示可能な画像の生成方法について説明する。特に、実施の形態1で説明する第1の静止画像が表示された表示画像から、当該表示画像に連続する第2の静止画像を次の表示画像として切り替えて表示を行う際に使用者の目に優しい画像の切り替え方法、使用者の目の疲労を軽減する画像の切り替え方法、使用者の目に負担を与えない画像の切り替え方法について説明する。
図6は、本発明の一態様の情報処理方法を適用可能な情報処理装置の構成を説明するブロック図である。
<情報処理方法>
本発明の一態様は、第1の静止画像が表示された表示画像から、表示画像に連続する第2の静止画像に、緩やかに表示画像を切り替える、実施の形態1で説明する情報処理方法である。
上記本発明の一態様情報処理方法によれば、演算装置に処理された一画面に表示できない情報を複数の静止画像に分け、当該複数に分けた情報を画面またはウインドウに順次表示画像として表示する。特に、本実施例では、表示画像の切り替えを緩やかに行う。これにより、情報処理装置の使用者は、目的とする情報を、移動する表示を目で追って、当該移動する表示の中から目的とする情報を探し出す必要がなくなり、使用者の目に加わる負担が軽減される。また、表示の切り替え時に使用者の目に加わる負担が軽減される。その結果、演算装置が処理した情報を含む画像を目に優しく表示できる新規な情報処理方法を提供できる。
画像を素早く切り替えて表示すると、使用者の眼精疲労を誘発する場合がある。例えば、著しく異なる場面が切り換わる動画像や、異なる静止画を切り換える場合などが含まれる。
異なる画像を切り替えて表示する際には、瞬間的に表示を切り換えるのではなく、緩やかに(静かに)、自然に画像を切り替えて表示することが好ましい。
例えば、第1の静止画像から第2の静止画像に表示を切り替える場合、第1の静止画像と第2の静止画像の間に第1の静止画像がフェードアウトして表示される動画像または/および第2の静止画像がフェードインする動画像を挿入すると好ましい。また、第1の静止画像がフェードアウトすると同時に、第2の静止画像がフェードインする(クロスフェードともいう)ように、両者の画像を重ね合わせた動画像を挿入してもよく、第1の静止画像が第2の静止画像に次第に変化する様子(モーフィングともいう)を表示する動画像を挿入しても良い。
なお、第1の静止画像データを低いリフレッシュレートで表示し、続いて画像の切り替えのための画像を高いリフレッシュレートで表示した後に、第2の静止画像データを低いリフレッシュレートで表示してもよい。
<フェードイン、フェードアウト>
以下に、互いに異なる画像Aと画像Bとを切り換える方法の一例について説明する。
図6は、画像の切り換え動作を行うことができる表示部の構成を示すブロック図である。図6に示す表示部は、演算装置701、記憶装置702、グラフィックユニット703、及び表示手段704を備える。
第1のステップにおいて、演算装置701は外部記憶装置等から画像A、及び画像Bの各データを記憶装置702に格納する。
第2のステップにおいて、演算装置701は、予め設定された分割数の値に応じて、画像Aと画像Bの各画像データを元に新たな画像データを順次生成する。
第3のステップにおいて、生成した画像データをグラフィックユニット703に出力する。グラフィックユニット703は入力された画像データを表示手段704に表示させる。
図6(B)は、画像Aから画像Bにかけて段階的に画像を切り換える際の、生成される画像データを説明するための模式図である。
図6(B)では、画像Aから画像BにかけてN(Nは自然数)個の画像データを生成し、それぞれ1個あたりの画像データをf(fは自然数)フレーム期間表示した場合について示している。したがって、画像Aから画像Bに切り替わるまでの期間は、f×Nフレームとなる。
ここで、上述したN、及びfなどのパラメータは、使用者が自由に設定可能であることが好ましい。演算装置701はこれらのパラメータを予め取得し、当該パラメータに応じて、画像データを生成する。
i番目に生成される画像データ(iは1以上N以下の整数)は、画像Aの画像データと画像Bの画像データに対して、それぞれに重み付けを行って足し合わせることで生成できる。例えば、ある画素において、画像Aを表示したときの輝度(階調)をa、画像Bを表示したときの輝度(階調)をbとすると、i番目に生成される画像データを表示したときの当該画素の輝度(階調)cは式1に示す値となる。なお、階調とは表示部が表示する濃淡の段階のことである。白と黒の2段階のみを有する画像は2階調の階調を有する画像ということができる。例えば、従来のパーソナルコンピューターの表示部は、赤色、緑色、青色を表示する副画素を有する。それぞれの副画素には、256段階の濃淡を表示するための信号が入力される。
このような方法により生成された画像データを用いて、画像Aから画像Bに切り換えることで、緩やかに(静かに)、自然に不連続な画像を切り替えることができる。
なお、式1において、全ての画素についてa=0の場合が、黒画像から徐々に画像Bに切り替わるフェードインに相当する。また、全ての画素についてb=0の場合が、画像Aからに徐々に黒画像に切り替わるフェードアウトに相当する。
上記では、2つの画像を一時的にオーバーラップさせて画像を切り換える方法について述べたが、オーバーラップさせない方法としてもよい。
2つの画像をオーバーラップさせない場合、画像Aから画像Bに切り換える場合に、間に黒画像を挿入してもよい。このとき、画像Aから黒画像に遷移する際、または黒画像から画像Bに遷移する際、またはその両方に、上述したような画像の切り換え方法を用いてもよい。また、画像Aと画像Bの間に挿入する画像は黒画像だけでなく、白画像などの単一色の画像を用いてもよいし、画像Aや画像Bとは異なる、多色の画像を用いてもよい。
画像Aと画像Bとの間に他の画像、特に黒画像などの単一色の画像を挿入することで、画像の切り換えのタイミングをより自然に使用者が感じ取ることができ、使用者にストレスを感じさせることなく画像を切り換えることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の情報処理方法を適用可能な情報処理装置の構成について、図7乃至図10を参照しながら説明する。
具体的には、画素を選択するG信号を30Hz(1秒間に30回)以上の頻度、好ましくは60Hz(1秒間に60回)以上960Hz(1秒間に960回)未満の頻度で出力する第1のモードと、11.6μHz(1日に1回)以上0.1Hz(1秒間に0.1回)未満の頻度、好ましくは0.28mHz(1時間に1回)以上1Hz(1秒間に1回)未満の頻度で出力する第2のモードを備える情報処理装置について説明する。
この情報処理装置を用いて静止画を表示すると、リフレッシュレートを1Hz未満、好ましくは0.2Hz以下とすることができ、使用者の目に優しい表示、使用者の目の疲労を軽減する表示、使用者の目に負担を与えない表示をすることができる。また、表示部に表示する画像の性質に応じて最適な頻度で表示画像をリフレッシュすることができる。具体的には、動画をなめらかに表示する場合に比べて、リフレッシュを低い頻度で行うことにより、フリッカーの少ない静止画を表示することができる。加えて、消費電力を低減する効果も奏する。
図7は、神経系の目の疲労を説明する図である。
図8は、筋肉系の目の疲労を説明する図である。
図9は、本発明の一態様の表示機能を有する情報処理装置の構成を説明するブロック図である。
図10は、本発明の一態様の表示機能を有する情報処理装置の表示部の構成を説明するブロック図および回路図である。
ここで目の疲労について説明する。目の疲労には、神経系の疲労と筋肉系の疲労の2種類がある。
神経系の疲労は、表示部が発する光や点滅画面を長時間見続けることで、その明るさが、眼の網膜、神経または脳を刺激して疲れさせるものである。蛍光灯や従来の表示装置の表示部が小刻みに明滅する現象をフリッカーというが、このようなフリッカーは神経系の疲労を引き起こす。
筋肉系の疲労は、ピント調節のときに使用する毛様体の筋肉を酷使することにより疲れさせるものである。
図7(A)に、従来の表示部の表示を表す模式図を示す。従来の表示部の表示では、1秒間に60回の画像の書き換えが行われている。このような画面を長時間見続けることにより、使用者の眼の網膜、神経または脳を刺激して眼の疲労が引き起こされるおそれがあった。
図7(B)に、本実施の形態で説明する情報処理装置の表示を表す模式図を示す。本実施の形態で説明する情報処理装置は、画素を選択するG信号を変えることができる。特に、オフ電流が極めて小さいトランジスタを表示部の画素部に用いることにより、フリッカーの発生を抑制しつつ、フレーム周波数を下げることができる。例えば、5秒間に1回の画像の書き換えが可能となるため、同じ画像を見ることが可能となり、使用者に視認される画面のちらつきが低減される。これにより、使用者の眼の網膜、神経または脳の刺激が低減され、神経系の疲労が軽減される。
なお、オフ電流が極めて小さいトランジスタとしては、例えば酸化物半導体を用いたトランジスタ、特に、CAAC−OSを用いたトランジスタが好適である。
また、図8(A)に示すように、1画素のサイズが大きい場合(例えば精細度が150ppi未満の場合)、表示部の表示部に表示された文字はぼやけてしまう。表示部に表示されたぼやけた文字を長時間見続けると、毛様体の筋肉が、絶えずピントを合わせようと動いているにもかかわらず、ピントが合わせづらい状態がつづくことになり、目に負担をかけてしまうおそれがあった。
これに対し、図8(B)に示すように、本発明の一態様にかかるディスプレイでは、1画素のサイズが小さく、精細度が150ppi好ましくは200ppi以上の高精細な表示が可能となるため、緻密で滑らかな表示とすることができる。これにより、毛様体の筋肉が、ピントを合わせやすくなるため、使用者の筋肉系の疲労が軽減される。なお、精細度は画素密度(ppi:pixcel per inch)を用いて表現することができる。画素密度は、1インチあたりの画素の数である。また、画素は画像を構成する単位である。
なお、目の疲労を定量的に測定する方法が検討されている。例えば、神経系の疲労の評価指標としては、臨界融合周波数(CFF:Critical Flicker(Fusion) Frequency)などが知られている。また、筋肉系の疲労の評価指標としては、調節時間や調節近点距離などが知られている。
そのほか、目の疲労を評価する方法として、脳波測定、サーモグラフィ法、瞬きの回数の測定、涙液量の評価、瞳孔の収縮反応速度の評価や、自覚症状を調査するためのアンケート等がある。
<1.情報処理装置の構成>
本実施の形態で、図9を用いて説明する表示機能を有する情報処理装置600は、画素部631と、入力される第1の駆動信号(S信号ともいう)633_Sを保持し、S信号633_Sに応じて画素部631に画像を表示する表示素子635を含む画素回路634と、S信号633_Sを画素回路634に出力する第1の駆動回路(S駆動回路ともいう)633と、画素回路634を選択する第2の駆動信号(G信号ともいう)632_Gを画素回路634に出力する第2の駆動回路(G駆動回路ともいう)632と、を有する。
そして、G駆動回路632は、G信号632_Gを画素に1秒間に30回以上の頻度、好ましくは1秒間に60回以上960回未満の頻度で出力する第1のモードと、1日に1回以上1秒間に0.1回未満の頻度、好ましくは1時間に1回以上1秒間に1回未満の頻度で出力する第2のモードを備える。
なお、G駆動回路632は、入力されるモード切り替え信号に応じて第1のモードと第2のモードとを切り替える。
また、画素回路634は画素631pに設けられ、画素631pは画素部631に複数設けられ、画素部631は表示部630に設けられている。
表示機能を有する情報処理装置600は演算装置620を備える。演算装置620は一次制御信号625_Cと一次画像信号625_Vを出力する。
表示部630は制御部610を備え、制御部610はS駆動回路633とG駆動回路632を制御する。
表示素子635に液晶素子を適用する場合、光供給部650を表示部630に設ける。光供給部650は液晶素子が設けられた画素部631に光を供給し、バックライトとして機能する。
表示機能を有する情報処理装置600は、画素部631に設けられた複数の画素回路634から一を選択する頻度を、G駆動回路632が出力するG信号632_Gを用いて変えることができる。その結果、情報処理装置600を使用する者へ与えうる目の疲労が低減された表示機能を有する情報処理装置を提供することができる。
なお、本明細書に添付した図面では、構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとしてブロック図を示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
なお、本明細書においてトランジスタが有するソースとドレインは、トランジスタの極性及び各端子に与えられる電位の高低によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がソースと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がドレインと呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がドレインと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がソースと呼ばれる。本明細書では、便宜上、ソースとドレインとが固定されているものと仮定して、トランジスタの接続関係を説明する場合があるが、実際には上記電位の関係に従ってソースとドレインの呼び方が入れ替わる。
本明細書においてトランジスタのソースとは、活性層として機能する半導体膜の一部であるソース領域、或いは上記半導体膜に接続されたソース電極を意味する。同様に、トランジスタのドレインとは、上記半導体膜の一部であるドレイン領域、或いは上記半導体膜に接続されたドレイン電極を意味する。また、ゲートはゲート電極を意味する。
本明細書においてトランジスタが直列に接続されている状態とは、例えば、第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方のみが、第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方のみに接続されている状態を意味する。また、トランジスタが並列に接続されている状態とは、第1のトランジスタのソースまたはドレインの一方が第2のトランジスタのソースまたはドレインの一方に接続され、第1のトランジスタのソースまたはドレインの他方が第2のトランジスタのソースまたはドレインの他方に接続されている状態を意味する。
本明細書において接続とは、電気的な接続を意味しており、電流、電圧または電位が、供給可能、或いは伝送可能な状態に相当する。従って、接続している状態とは、直接接続している状態を必ずしも指すわけではなく、電流、電圧または電位が、供給可能、或いは伝送可能であるように、配線、抵抗、ダイオード、トランジスタなどの回路素子を介して間接的に接続している状態も、その範疇に含む。
本明細書において回路図上は独立している構成要素どうしが接続されている場合であっても、実際には、例えば配線の一部が電極として機能する場合など、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。本明細書において接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
以下に、本発明の一態様の表示機能を有する情報処理装置を構成する個々の要素について説明する。
<2.演算装置>
演算装置620は、一次画像信号625_Vおよび一次制御信号625_Cを生成する。
また、演算装置620が、モード切り替え信号を含む一次制御信号625_Cを生成する。
例えば入力手段500から入力される画像切り替え信号500_Cに応じて、演算装置620がモード切り替え信号を含む一次制御信号625_Cを出力して良い。
第2のモードのG駆動回路632に、制御部610を介して、画像切り替え信号500_Cが、入力手段500から入力されると、G駆動回路632は第2のモードから第1のモードに切り替わり、G信号を1回以上出力し、その後前記第2のモードに切り替わる。
例えば、入力手段500がページめくり動作を検知した場合、入力手段500は画像切り替え信号500_Cを演算装置620に出力する。
演算装置620は、ページめくり動作を含む一次画像信号625_Vを生成し、画像切り替え信号500_Cを含む一次制御信号625_Cと共に当該一次画像信号625_Vと共を出力する。
制御部610は、画像切り替え信号500_CをG駆動回路632に出力し、ページめくり動作を含む二次画像信号615_VをS駆動回路633に出力する。
G駆動回路632は第2のモードから第1のモードに切り替わり、G信号632_Gを観察者が信号の書き換え動作毎に変化する画像の変化を識別できない程度の速さで、信号を書き換える。
一方、S駆動回路633は、ページめくり動作を含む二次画像信号615_Vから生成したS信号633_Sを画素回路634に出力する。
これにより、画素631pは、ページめくり動作を含む多数のフレーム画像を短時間に表示できるため、なめらかなページめくり動作を含む二次画像信号615_Vを表示できる。
また、演算装置620が表示部630に出力する一次画像信号625_Vが動画像か静止画像かを判別し、一次画像信号625_Vが動画像である場合に、第1のモードを選択する切り替え信号を、静止画像である場合は第2のモードを選択する切り替え信号を、当該演算装置620が出力する構成としてもよい。
なお、動画像が静止画像かを判別する方法としては、一次画像信号625_Vに含まれる一のフレームとその前後のフレームの信号の差分が、あらかじめ定められた差分より大きいときに動画像と、それ以下のとき静止画像と、判別すればよい。
また、第2のモードから第1のモードに切り替わったとき、G信号632_Gを1回以上の所定の回数出力し、その後第2のモードに切り替わる構成としてもよい。
<3.制御部>
制御部610は、一次画像信号625_Vから生成した二次画像信号615_Vを出力する(図9参照)。なお、一次画像信号625_Vを表示部630に直接入力する構成としても良い。
制御部610は、垂直同期信号、水平同期信号などの同期信号を含む一次制御信号625_Cを用いて、スタートパルス信号SP、ラッチ信号LP、パルス幅制御信号PWCなどの二次制御信号615_Cを生成し、表示部630に供給する機能を有する。なお、二次制御信号615_Cには、クロック信号CKなども含まれる。
また、反転制御回路を制御部610に設け、制御部610が、反転制御回路が通知するタイミングに従って、二次画像信号615_Vの極性を反転させる機能を備える構成とすることもできる。具体的に、二次画像信号615_Vの極性の反転は、制御部610において行われてもよいし、制御部610からの命令に従って、表示部630内で行われてもよい。
反転制御回路は、二次画像信号615_Vの極性を反転させるタイミングを、同期信号を用いて定める機能を有する。例示する反転制御回路は、カウンタと、信号生成回路とを有する。
カウンタは、水平同期信号のパルスを用いてフレーム期間の数を数える機能を有する。
信号生成回路は、カウンタにおいて得られたフレーム期間の数の情報を用いて、連続する複数フレーム期間ごとに二次画像信号615_Vの極性を反転させるべく、二次画像信号615_Vの極性を反転させるタイミングを、制御部610に通知する機能を有する。
<4.表示部>
表示部630は、各画素に表示素子635を有する画素部631と、S駆動回路633、G駆動回路632などの駆動回路を有する。画素部631は、表示素子635が設けられた画素631pを、複数有する(図9参照)。
表示部630に入力される二次画像信号615_Vは、S駆動回路633に与えられる。また、電源電位、二次制御信号615_Cは、S駆動回路633及びG駆動回路632に与えられる。
なお、二次制御信号615_Cには、S駆動回路633の動作を制御するS駆動回路用のスタートパルス信号SP、S駆動回路用のクロック信号CK、ラッチ信号LP、G駆動回路632の動作を制御するG駆動回路用のスタートパルス信号SP、G駆動回路用のクロック信号CK、パルス幅制御信号PWCなどが含まれる。
表示部630の構成の一例を図10(A)に示す。
図10(A)に示す表示部630には、画素部631に、複数の画素631pと、画素631pを行毎に選択するための複数の走査線Gと、選択された画素631pに二次画像信号615_Vから生成されたS信号633_Sを供給するための複数の信号線Sとが設けられている。
走査線GへのG信号632_Gの入力は、G駆動回路632により制御されている。信号線SへのS信号633_Sの入力は、S駆動回路633により制御されている。複数の画素631pは、走査線Gの少なくとも一つと、信号線Sの少なくとも一つとに、それぞれ接続されている。
なお、画素部631に設けられる配線の種類及びその数は、画素631pの構成、数及び配置によって決めることができる。具体的に、図10(A)に示す画素部631の場合、x列×y行の画素631pがマトリクス状に配置されており、信号線S1乃至信号線Sx、走査線G1乃至走査線Gyが、画素部631内に配置されている場合を例示している。
<4−1.画素>
各画素631pは、表示素子635と、当該表示素子635を含む画素回路634を有する。
<4−2.画素回路>
本実施の形態では、画素回路634の一例として、液晶素子635LCを表示素子635に適用する構成を図10(B)に示す。
画素回路634は、液晶素子635LCへのS信号633_Sの供給を制御するトランジスタ634tを有する。トランジスタ634tと表示素子635の接続関係の一例について説明する。
トランジスタ634tのゲートが、走査線G1から走査線Gyのいずれか1つに接続されている。トランジスタ634tのソース及びドレインの一方は、信号線S1から信号線Sxのいずれか1つに接続され、トランジスタ634tのソース及びドレインの他方は、表示素子635の第1電極に接続されている。
なお、画素631pは、必要に応じて液晶素子635LCの第1電極と第2電極間の電圧を保持するための容量素子634cの他、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、インダクタなどのその他の回路素子を有していても良い。
図10(B)に例示する画素631pは、S信号633_Sの画素631pへの入力を制御するスイッチング素子として、一のトランジスタ634tを用いる。ただし、一のスイッチング素子として機能する、複数のトランジスタを画素631pに用いていてもよい。複数のトランジスタが一のスイッチング素子として機能する場合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていてもよいし、直列と並列が組み合わされて接続されていてもよい。
なお、容量素子634cの長さは適宜調整すればよい。例えば、後述する第2のモードにおいて、S信号633_Sを比較的長い期間(具体的には、1/60sec以上)保持する場合には、容量素子634cを設ける。また、容量素子634c以外の構成を用いて、画素回路634の容量を調節してもよい。例えば、液晶素子635LCの第1の電極と第2の電極を重ねて設ける構成により、実質的に容量素子を形成してもよい。
なお、画素回路634は、表示素子635の種類、または駆動方法に応じた構成を選択して用いることができる。
<4−2a.表示素子>
液晶素子635LCは、第1電極および第2電極並びに第1電極と第2電極の間の電圧が印加される液晶材料を含んだ液晶層を有している。液晶素子635LCは、第1電極と第2電極の間に与えられる電圧の値に従って、液晶分子の配向が変化して、透過率が変化する。よって、表示素子635は、S信号633_Sの電位によってその透過率が制御されることで、階調を表示することができる。
なお、表示素子635は液晶素子635LCに限られず、例えば電場を加えることでルミネッセンス(Electroluminescence)が発生するOLED素子や、電気泳動を用いる電子インクなど、さまざまな表示素子を適用できる。
<4−2b.トランジスタ>
トランジスタ634tは、表示素子635の第1電極に、信号線Sの電位を与えるか否かを制御する。表示素子635の第2電極には、所定の基準電位Vcomが与えられている。
なお、本発明の一態様の表示機能を有する情報処理装置の駆動方法を適用することができる表示機能を有する情報処理装置に好適なトランジスタとして酸化物半導体を用いたトランジスタを適用することができる。酸化物半導体を用いたトランジスタの詳細については、実施の形態7を参酌することができる。
<5.光供給部>
光供給部650には、複数の光源が設けられている。制御部610は、光供給部650が有する光源の駆動を制御する。
光供給部650の光源としては、冷陰極蛍光ランプ、発光ダイオード(LED)、電場を加えることでルミネッセンス(Electroluminescence)が発生するOLED素子などを用いることができる。
特に、光源が発する青色の光の強度を他の色の光の強度より弱めた構成が好ましい。光源が発する光に含まれる青色を呈する光は、眼の角膜や水晶体で吸収されずに、網膜まで到達するため、長期的な網膜への影響(例えば、加齢黄斑変性など)や、夜中まで青色の光に暴露された際の概日リズム(サーカディアン・リズム:Circadian rhythm)への悪影響などを低減できる。具体的には、400nm好ましくは420nmより好ましくは440nm以下の波長を有する光(UVAともいう)を含まない光源が好ましい。
<6.入力手段>
入力手段500としては、タッチパネル、タッチパッド、マウス、ジョイスティック、トラックボール、データグローブ、撮像装置などを用いることができる。演算装置620は、入力手段500から入力される電気信号と表示部の座標を関連づけることができる。これにより、使用する者が表示部に表示される情報を処理するための命令を入力することができる。
使用する者が入力手段500から入力する情報としては、例えば表示部に表示される画像の表示位置を変えるためにドラッグする命令、表示されている画像を送り次の画像を表示するためにスワイプする命令、帯状の画像を順に送るためにスクロールする命令、特定の画像を選択する命令、画像を表示する大きさを変化するためにピンチ・イン、ピンチ・アウトする命令の他、手書き文字入力する命令などを挙げることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態3で説明する情報処理装置の表示部の駆動方法の一例について、図10乃至図12を参照しながら説明する。
具体的には、画素を選択するG信号を30Hz(1秒間に30回)以上の頻度、好ましくは60Hz(1秒間に60回)以上960Hz(1秒間に960回)未満の頻度で出力する第1のモードと、11.6μHz(1日に1回)以上0.1Hz(1秒間に0.1回)未満の頻度、好ましくは0.28mHz(1時間に1回)以上1Hz(1秒間に1回)未満の頻度で出力する第2のモードを備える情報処理装置の駆動方法について説明する。
図11は、本発明の一態様の表示機能を有する情報処理装置の表示部の構成の変形例を説明するブロック図である。
図12は、本発明の一態様の表示機能を有する情報処理装置を説明する回路図である。
本実施の形態では、実施の形態3で説明する情報処理装置を用いてする実施の形態1または実施の形態2で説明した情報処理方法において、表示画像を1Hz以下の頻度で表示する情報処理方法を説明する。
上記本発明の一態様情報処理方法によれば、演算装置に処理された一画面に表示できない情報を複数の静止画像に分け、当該複数に分けた情報を、画面またはウインドウに順次表示画像として表示する。これにより、情報処理装置の使用者は、目的とする情報を、移動する表示を目で追って、当該移動する表示の中から目的とする情報を探し出す必要がなくなり、使用者の目に加わる負担が軽減される。その結果、演算装置が処理した情報を含む画像を目に優しく表示できる新規な情報処理方法を提供できる。
<1.S信号の画素部への書き込み方法>
図10(A)または図11(A)に例示する画素部631に、S信号633_Sを書き込む方法の一例を説明する。具体的には、S信号633_Sを、画素部631の、図10(B)に例示する画素回路を備える画素631pのそれぞれに書き込む方法を説明する。
<画素部への信号の書き込み>
第1フレーム期間において、走査線G1にパルスを有するG信号632_Gが入力されることで、走査線G1が選択される。選択された走査線G1に接続された複数の各画素631pにおいて、トランジスタ634tが導通状態になる。
トランジスタ634tが導通状態の時(1ライン期間)に、信号線S1から信号線Sxに二次画像信号615_Vから生成したS信号633_Sの電位が与えられる。そして、導通状態のトランジスタ634tを介して、S信号633_Sの電位に応じた電荷が容量素子634cに蓄積され、S信号633_Sの電位が液晶素子635LCの第1電極に与えられる。
第1フレーム期間の走査線G1が選択されている期間において、正の極性のS信号633_Sが全ての信号線S1乃至信号線Sxに、順に入力される。走査線G1と、信号線S1乃至信号線Sxとにそれぞれ接続された画素631p内の第1電極(G1S1)乃至第1電極(G1Sx)には、正の極性のS信号633_Sが与えられる。これにより、液晶素子635LCの透過率が、S信号633_Sの電位によって制御され、各画素が階調を表示する。
同様にして、走査線G2から走査線Gyが順に選択され、走査線G1が選択されていた期間と同様の動作が、走査線G2から走査線Gyの各走査線に接続された画素631pにおいて順次繰り返される。上記動作により、画素部631において、第1フレームの画像を表示することができる。
なお、本発明の一態様では、必ずしも走査線G1乃至走査線Gyを順に選択する必要はない。
なお、S駆動回路633から信号線S1乃至信号線Sxに、S信号633_Sを順に入力する点順次駆動を用いることも、一斉にS信号633_Sを入力する線順次駆動を用いることができる。或いは、複数の信号線Sごとに順に、S信号633_Sを入力する駆動方法を用いていても良い。
また、プログレッシブ方式を用いた走査線Gの選択方法に限らず、インターレース方式を用いて走査線Gの選択を行うようにしても良い。
また、任意の一フレーム期間において、全ての信号線に入力されるS信号633_Sの極性が同一であっても、任意の一フレーム期間において、一の信号線ごとに、画素に入力されるS信号633_Sの極性が反転していても良い。
<複数の領域に分割された画素部への信号の書き込み>
また、表示部630の構成の変形例を図11に示す。
図11に示す表示部630には、複数の領域に分割された画素部631(具体的には第1領域631a、第2領域631b、第3領域631c)に、複数の画素631pと、画素631pを行毎に選択するための複数の走査線Gと、選択された画素631pにS信号633_Sを供給するための複数の信号線Sとが設けられている。
それぞれの領域に設けられた走査線GへのG信号632_Gの入力は、それぞれのG駆動回路632により制御されている。信号線SへのS信号633_Sの入力は、S駆動回路633により制御されている。複数の画素631pは、走査線Gの少なくとも一つと、信号線Sの少なくとも一つとに、それぞれ接続されている。
このような構成とすることで、画素部631を分割して駆動することができる。
例えば、入力手段500としてタッチパネルから情報を入力する際に、当該情報が入力された領域を特定する座標を取得し、その座標に対応する領域を駆動するG駆動回路632のみを第2のモードとし、他の領域を第1のモードとしてもよい。この動作により、タッチパネルから情報が入力されなかった領域、すなわち表示画像を書き換える必要がない領域のG駆動回路の動作を停止することができる。
<2.第1のモードと第2のモードのG駆動回路>
G駆動回路632が出力するG信号632_Gが入力された画素回路634に、S信号633_Sが入力される。G信号632_Gが入力されない期間、画素回路634は、S信号633_Sの電位を保持する。言い換えると、画素回路634は、S信号633_Sの電位が書き込まれた状態を保持する。
表示データが書き込まれた画素回路634は、S信号633_Sに応じた表示状態を維持する。なお、表示状態を維持するとは、表示状態の変化が一定の範囲より大きくならないように保持することをいう。上記一定の範囲は、適宜設定される範囲であり、例えば使用者が表示画像を閲覧する場合に、同じ表示画像であると認識できる表示状態の範囲に設定することが好ましい。
G駆動回路632は第1のモードと第2のモードを備える。
<2−1.第1のモード>
G駆動回路632の第1のモードは、G信号632_Gを、画素に1秒間に30回以上好ましくは1秒間に60回以上960回未満の頻度で出力する。
第1のモードのG駆動回路632は、観察者が信号の書き換え動作毎に変化する画像の変化を識別できない程度の速さで、信号を書き換える。その結果、動画像をなめらかに表示することができる。
<2−2.第2のモード>
G駆動回路632の第2のモードは、G信号632_Gを、画素に1日に1回以上1秒間に0.1回未満、好ましくは1時間に1回以上1秒間に1回未満の頻度で出力する。
G信号632_Gが入力されない期間、画素回路634は、S信号633_Sを保持し、その電位に応じた表示状態を引き続き維持する。
これにより、第2のモードでは、画素の表示の書き換えに伴うチラつき(フリッカーともいう)がない表示をすることができる。
その結果、当該表示機能を有する情報処理装置の使用者の目の疲労を低減できる。
なお、G駆動回路632が消費する電力は、G駆動回路632が動作しない期間、低減される。
なお、第2のモードを有するG駆動回路632を用いて駆動する画素回路は、S信号633_Sを長い期間保持する構成が好ましい。例えば、トランジスタ634tのリーク電流は、オフ状態において小さいものほど好ましい。
オフ状態においてリーク電流が小さいトランジスタ634tの構成の一例について、実施の形態7を参酌することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様のプログラムについて、図1を参照しながら説明する。
本実施の形態では、表示部、演算装置並びに入力手段を備える情報処理装置に以下の処理を実行させるプログラムについて説明する。
当該情報処理装置を用いて、演算装置に処理された情報を含む第1の静止画像を表示部のウインドウに表示画像として表示する第1のステップと、方向と速度の情報を含む表示送り命令を、入力手段を用いて入力する第2のステップと、所定の待機時間の経過後に、速度と待機時間の積から得られる距離が、ウインドウの長さ以上である場合に第1の静止画像に連続する第2の静止画像を表示画像としてウインドウに表示する第3のステップと、を有する処理を当該演算処理装置に実行させるプログラムである。
本実施の形態で例示するプログラムによれば、演算装置に処理された一画面に表示できない情報を複数に分け、当該複数に分けた情報を、画面またはウインドウに静止画像として表示する。これにより、情報処理装置の使用者は、目的とする情報を、移動する表示を目で追って、当該移動する表示の中から目的とする情報を探し出す必要がなくなり、使用者の目に加わる負担が軽減される。その結果、演算装置が処理した情報を含む画像を目に優しく表示できる新規なプログラムを提供できる。
本発明の一態様のプログラムは、それがあらかじめ書き込まれた記憶媒体または、ネットワークを介してダウンロードにより、頒布されうる。
情報処理装置10の演算装置11は、本発明の一態様のプログラムを入出力装置20の外部記憶装置から記憶装置12に読み込む。次いで、上述のプログラムの手順に従って演算処理を実行する。
情報処理装置10は、プログラムの実行結果を、入出力インターフェース15を介して表示部22に出力する。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態6)
トランジスタのチャネルが形成される領域に好適に用いることができる半導体及び半導体膜の一例について、以下に説明する。
酸化物半導体は、エネルギーギャップが3.0eV以上と大きく、酸化物半導体を適切な条件で加工し、そのキャリア密度を十分に低減して得られた酸化物半導体膜が適用されたトランジスタにおいては、オフ状態でのソースとドレイン間のリーク電流(オフ電流)を、従来のシリコンを用いたトランジスタと比較して極めて低いものとすることができる。
本実施の形態で説明する半導体膜を備えるオフ電流が低減されたトランジスタは、実施の形態3で説明する情報処理装置の表示部に適用できる。特に、画素部が備える画素回路のスイッチング素子に適用すると、従来のトランジスタ(例えば、半導体膜にアモルファスシリコンを適用したトランジスタ)に比べて、表示素子の表示状態を長い時間保持できる。これにより、実施の形態4で説明するように、情報処理装置の表示部の画素を選択するG信号の頻度を飛躍的に低減することができる。
酸化物半導体膜をトランジスタに適用する場合、酸化物半導体膜の膜厚は2nm以上40nm以下とすることが好ましい。
適用可能な酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)、スズ(Sn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド(例えば、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd))から選ばれた一種、または複数種が含まれていることが好ましい。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、In−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、In−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−Zr−Zn系酸化物、In−Ti−Zn系酸化物、In−Sc−Zn系酸化物、In−Y−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、In−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
ここで、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
また、酸化物半導体として、InMO3(ZnO)m(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素、若しくは上記のスタビライザーとしての元素を示す。また、酸化物半導体として、In2SnO5(ZnO)n(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:3:2、In:Ga:Zn=3:1:2、あるいはIn:Ga:Zn=2:1:3の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
酸化物半導体膜に水素が多量に含まれると、酸化物半導体と結合することによって、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子を生じてしまう。これにより、トランジスタのしきい値電圧がマイナス方向にシフトしてしまう。そのため、酸化物半導体膜の形成後において、脱水化処理(脱水素化処理)を行い酸化物半導体膜から、水素、又は水分を除去して不純物が極力含まれないように高純度化することが好ましい。
なお、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって、酸化物半導体膜から酸素も同時に減少してしまうことがある。よって、酸化物半導体膜への脱水化処理(脱水素化処理)によって同時に減少してしまった酸素を酸化物半導体に加える、または酸素を供給し酸化物半導体膜の酸素欠損を補填することが好ましい。本明細書等において、酸化物半導体膜に酸素を供給する場合を、加酸素化処理、または過酸素化処理と記す場合がある。
このように、酸化物半導体膜は、脱水化処理(脱水素化処理)により、水素または水分が除去され、加酸素化処理により酸素欠損を補填することによって、i型(真性)化またはi型に限りなく近く実質的にi型(真性)である酸化物半導体膜とすることができる。なお、実質的に真性とは、酸化物半導体膜中にドナーに由来するキャリアが極めて少なく(ゼロに近く)、キャリア密度が1×1017/cm3以下、1×1016/cm3以下、1×1015/cm3以下、1×1014/cm3以下、1×1013/cm3以下であることをいう。
またこのように、i型又は実質的にi型である酸化物半導体膜を備えるトランジスタは、極めて優れたオフ電流特性を実現できる。例えば、酸化物半導体膜を用いたトランジスタがオフ状態のときのドレイン電流を、室温(25℃程度)にて1×10−18A以下、好ましくは1×10−21A以下、さらに好ましくは1×10−24A以下、または85℃にて1×10−15A以下、好ましくは1×10−18A以下、さらに好ましくは1×10−21A以下とすることができる。なお、トランジスタがオフ状態とは、nチャネル型のトランジスタの場合、ゲート電圧がしきい値電圧よりも十分小さい状態をいう。具体的には、ゲート電圧がしきい値電圧よりも1V以上、2V以上または3V以上小さければ、トランジスタはオフ状態となる。
酸化物半導体膜は単結晶でも、非単結晶でもよい。後者の場合、アモルファスでも、多結晶でもよい。また、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でも、非アモルファスでもよい。
好ましくは、酸化物半導体膜は、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜とする。
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部及び非晶質部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
CAAC−OS膜は、例えば、多結晶である酸化物半導体スパッタリング用ターゲットを用い、スパッタリング法によって成膜することができる。当該スパッタリング用ターゲットにイオンが衝突すると、スパッタリング用ターゲットに含まれる結晶領域がa−b面から劈開し、a−b面に平行な面を有する平板状またはペレット状のスパッタリング粒子として剥離することがある。この場合、当該平板状またはペレット状のスパッタリング粒子が、結晶状態を維持したまま被成膜面に到達することで、CAAC−OS膜を成膜することができる。
平板状のスパッタリング粒子は、例えばa−b面に平行な面の円相当径が3nm以上10nm以下、厚さ(a−b面に垂直な方向の長さ)が0.7nm以上1nm未満である。なお、平板状のスパッタリング粒子は、a−b面に平行な面が正三角形又は正六角形であってもよい。ここで、円相当径とは、面の面積と等しい正円の直径をいう。
また、CAAC−OS膜を成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
成膜時の基板温度を高めることで、基板に到達した平板状のスパッタリング粒子のマイグレーションが起こり、スパッタリング粒子の平らな面が基板に付着する。このとき、スパッタリング粒子が正に帯電することで、スパッタリング粒子同士が反発しながら基板に付着するため、スパッタリング粒子が偏って不均一に重なることがなく、厚さの均一なCAAC−OS膜を成膜することができる。具体的には、基板温度を100℃以上740℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下として成膜することが好ましい。
また、成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制できる。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素および窒素など)を低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が−80℃以下、好ましくは−100℃以下である成膜ガスを用いる。
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメージを軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100体積%とする。
CAAC−OS膜を成膜した後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の温度は、100℃以上740℃以下、好ましくは200℃以上500℃以下とする。また、加熱処理の時間は1分以上24時間以下、好ましくは6分以上4時間以下とする。また、加熱処理は、不活性雰囲気又は酸化性雰囲気で行えばよい。好ましくは、不活性雰囲気で加熱処理を行った後、酸化性雰囲気で加熱処理を行う。不活性雰囲気での加熱処理により、CAAC−OS膜の不純物濃度を短時間で低減することができる。一方、不活性雰囲気での加熱処理によりCAAC−OS膜に酸素欠損が生成されることがある。その場合、酸化性雰囲気での加熱処理によって該酸素欠損を低減することができる。また、加熱処理を行うことで、CAAC−OS膜の結晶性をさらに高めることができる。なお、加熱処理は、1000Pa以下、100Pa以下、10Pa以下又は1Pa以下の減圧下で行ってもよい。減圧下では、CAAC−OS膜の不純物濃度をさらに短時間で低減することができる。
スパッタリング用ターゲットの一例として、In−Ga−Zn−O化合物ターゲットについて以下に示す。
InOX粉末、GaOY粉末およびZnOZ粉末を所定のmol数で混合し、加圧処理後、1000℃以上1500℃以下の温度で加熱処理をすることで多結晶であるIn−Ga−Zn−O化合物ターゲットとする。なお、X、YおよびZは任意の正数である。ここで、所定のmol数比は、例えば、InOX粉末、GaOY粉末およびZnOZ粉末が、1:1:1、1:1:2、1:3:2、1:9:6、2:1:3、2:2:1、3:1:1、3:1:2、3:1:4、4:2:3、8:4:3、またはこれらの近傍の値とすることができる。なお、粉末の種類、およびその混合するmol数比は、作製するスパッタリング用ターゲットによって適宜変更すればよい。
または、CAAC−OS膜は、以下の方法により形成してもよい。
まず、第1の酸化物半導体膜を1nm以上10nm未満の厚さで成膜する。第1の酸化物半導体膜はスパッタリング法を用いて成膜する。具体的には、基板温度を100℃以上500℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下とし、成膜ガス中の酸素割合を30体積%以上、好ましくは100体積%として成膜する。
次に、加熱処理を行い、第1の酸化物半導体膜を結晶性の高い第1のCAAC−OS膜とする。加熱処理の温度は、350℃以上740℃以下、好ましくは450℃以上650℃以下とする。また、加熱処理の時間は1分以上24時間以下、好ましくは6分以上4時間以下とする。また、加熱処理は、不活性雰囲気または酸化性雰囲気で行えばよい。好ましくは、不活性雰囲気で加熱処理を行った後、酸化性雰囲気で加熱処理を行う。不活性雰囲気での加熱処理により、第1の酸化物半導体膜の不純物濃度を短時間で低減することができる。一方、不活性雰囲気での加熱処理により第1の酸化物半導体膜に酸素欠損が生成されることがある。その場合、酸化性雰囲気での加熱処理によって該酸素欠損を低減することができる。なお、加熱処理は1000Pa以下、100Pa以下、10Pa以下または1Pa以下の減圧下で行ってもよい。減圧下では、第1の酸化物半導体膜の不純物濃度をさらに短時間で低減することができる。
第1の酸化物半導体膜は、厚さが1nm以上10nm未満であることにより、厚さが10nm以上である場合と比べ、加熱処理によって容易に結晶化させることができる。
次に、第1の酸化物半導体膜と同じ組成である第2の酸化物半導体膜を10nm以上50nm以下の厚さで成膜する。第2の酸化物半導体膜はスパッタリング法を用いて成膜する。具体的には、基板温度を100℃以上500℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下とし、成膜ガス中の酸素割合を30体積%以上、好ましくは100体積%として成膜する。
次に、加熱処理を行い、第2の酸化物半導体膜を第1のCAAC−OS膜から固相成長させることで、結晶性の高い第2のCAAC−OS膜とする。加熱処理の温度は、350℃以上740℃以下、好ましくは450℃以上650℃以下とする。また、加熱処理の時間は1分以上24時間以下、好ましくは6分以上4時間以下とする。また、加熱処理は、不活性雰囲気または酸化性雰囲気で行えばよい。好ましくは、不活性雰囲気で加熱処理を行った後、酸化性雰囲気で加熱処理を行う。不活性雰囲気での加熱処理により、第2の酸化物半導体膜の不純物濃度を短時間で低減することができる。一方、不活性雰囲気での加熱処理により第2の酸化物半導体膜に酸素欠損が生成されることがある。その場合、酸化性雰囲気での加熱処理によって該酸素欠損を低減することができる。なお、加熱処理は1000Pa以下、100Pa以下、10Pa以下または1Pa以下の減圧下で行ってもよい。減圧下では、第2の酸化物半導体膜の不純物濃度をさらに短時間で低減することができる。
以上のようにして、合計の厚さが10nm以上であるCAAC−OS膜を形成することができる。
また、酸化物半導体膜は、複数の酸化物半導体膜が積層された構造でもよい。
例えば、酸化物半導体膜を、酸化物半導体膜(便宜上、第1層と呼ぶ)とゲート絶縁膜との間に、第1層を構成する元素からなり、第1層よりも電子親和力が0.2eV以上小さい第2層を設けてもよい。このとき、ゲート電極から電界が印加されると、第1層にチャネルが形成され、第2層にはチャネルが形成されない。第1層は、第2層と構成する元素が同じであるため、第1層と第2層との界面において、界面散乱がほとんど起こらない。従って、第1層とゲート絶縁膜との間に第2層を設けることによって、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
さらに、ゲート絶縁膜に酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜または窒化シリコン膜を用いる場合、ゲート絶縁膜に含まれるシリコンが、酸化物半導体膜に混入することがある。酸化物半導体膜にシリコンが含まれると、酸化物半導体膜の結晶性の低下、キャリア移動度の低下などが起こる。従って、チャネルの形成される第1層のシリコン濃度を低減するために、第1層とゲート絶縁膜との間に第2層を設けることが好ましい。同様の理由により、第1層を構成する元素からなり、第1層よりも電子親和力が0.2eV以上小さい第3層を設け、第1層を第2層および第3層で挟むことが好ましい。
このような構成とすることで、チャネルの形成される領域へのシリコンなどの不純物の拡散を低減さらには防止することができるため、信頼性の高いトランジスタを得ることができる。
なお、酸化物半導体膜をCAAC−OS膜とするためには、酸化物半導体膜中に含まれるシリコン濃度を2.5×1021/cm3以下とする。好ましくは、酸化物半導体膜中に含まれるシリコン濃度を、1.4×1021/cm3未満、より好ましくは4×1019/cm3未満、さらに好ましくは2.0×1018/cm3未満とする。酸化物半導体膜に含まれるシリコン濃度が、1.4×1021/cm3以上であると、トランジスタの電界効果移動度の低下の恐れがあり、4.0×1019/cm3以上であると、酸化物半導体膜と接する膜との界面で酸化物半導体膜がアモルファス化する恐れがあるためである。また、酸化物半導体膜に含まれるシリコン濃度を2.0×1018/cm3未満とすることで、トランジスタの信頼性のさらなる向上並びに酸化物半導体膜におけるDOS(density of state)の低減が期待できる。なお、酸化物半導体膜中のシリコン濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態6で説明する酸化物半導体膜を適用したトランジスタの構成例について、図面を参照して説明する。
<トランジスタの構成例>
図13(A)に、以下で例示するトランジスタ100の上面概略図を示す。また図13(B)に図13(A)中に示す切断線A−Bにおけるトランジスタ100の断面概略図を示す。本構成例で例示するトランジスタ100はボトムゲート型のトランジスタである。
トランジスタ100は、基板101上に設けられるゲート電極102と、基板101及びゲート電極102上に設けられる絶縁層103と、絶縁層103上にゲート電極102と重なるように設けられる酸化物半導体層104と、酸化物半導体層104の上面に接する一対の電極105a、105bとを有する。また、絶縁層103、酸化物半導体層104、一対の電極105a、105bを覆う絶縁層106と、絶縁層106上に絶縁層107が設けられている。
トランジスタ100の酸化物半導体層104に、本発明の一態様の酸化物半導体膜を適用することができる。
《基板101》
基板101の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有する材料を用いる。例えば、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイヤ基板、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)基板等を、基板101として用いてもよい。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI基板等を適用することも可能である。また、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板101として用いてもよい。
また、基板101として、プラスチックなどの可撓性基板を用い、該可撓性基板上に直接、トランジスタ100を形成してもよい。または、基板101とトランジスタ100の間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上層にトランジスタの一部あるいは全部を形成した後、基板101より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その結果、トランジスタ100は耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
《ゲート電極102》
ゲート電極102は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属、または上述した金属を成分とする合金か、上述した金属を組み合わせた合金等を用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一または複数から選択された金属を用いてもよい。また、ゲート電極102は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜または窒化タングステン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造等がある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた一または複数の金属を組み合わせた合金膜、もしくはこれらの窒化膜を用いてもよい。
また、ゲート電極102は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物等の透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属の積層構造とすることもできる。
また、ゲート電極102と絶縁層103との間に、In−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜、In−Sn系酸窒化物半導体膜、In−Ga系酸窒化物半導体膜、In−Zn系酸窒化物半導体膜、Sn系酸窒化物半導体膜、In系酸窒化物半導体膜、金属窒化膜(InN、ZnN等)等を設けてもよい。これらの膜は5eV、好ましくは5.5eV以上の仕事関数を有し、酸化物半導体の電子親和力よりも大きい値であるため、酸化物半導体を用いたトランジスタのしきい値電圧をプラスにシフトすることができ、所謂ノーマリーオフ特性のスイッチング素子を実現できる。例えば、In−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜を用いる場合、少なくとも酸化物半導体層104より高い窒素濃度、具体的には7原子%以上のIn−Ga−Zn系酸窒化物半導体膜を用いる。
《絶縁層103》
絶縁層103は、ゲート絶縁膜として機能する。酸化物半導体層104の下面と接する絶縁層103は、非晶質膜であることが好ましい。
絶縁層103は、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa−Zn系金属酸化物、窒化シリコンなどを用いればよく、積層または単層で設ける。
また、絶縁層103として、ハフニウムシリケート(HfSiOx)、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz)、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz)、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いることでトランジスタのゲートリークを低減できる。
《一対の電極105a、105b》
一対の電極105a及び105bは、トランジスタのソース電極またはドレイン電極として機能する。
一対の電極105a、105bは、導電材料として、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンからなる単体金属、またはこれを主成分とする合金を単層構造または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、そのチタン膜または窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜または窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
《絶縁層106、107》
絶縁層106は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、加熱により一部の酸素が脱離する。化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁膜は、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物絶縁膜である。
絶縁層106としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。
なお、絶縁層106は、後に形成する絶縁層107を形成する際の、酸化物半導体層104へのダメージ緩和膜としても機能する。
また、絶縁層106と酸化物半導体層104の間に、酸素を透過する酸化物膜を設けてもよい。
酸素を透過する酸化物膜としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン等を用いることができる。なお、本明細書中において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い膜を指し、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い膜を指す。
絶縁層107は、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜を用いることができる。絶縁層106上に絶縁層107を設けることで、酸化物半導体層104からの酸素の外部への拡散と、外部から酸化物半導体層104への水素、水等の侵入を防ぐことができる。酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム等がある。
<トランジスタの作製方法例>
続いて、図13に例示するトランジスタ100の作製方法の一例について説明する。
まず、図14(A)に示すように、基板101上にゲート電極102を形成し、ゲート電極102上に絶縁層103を形成する。
ここでは、基板101としてガラス基板を用いる。
《ゲート電極の形成》
ゲート電極102の形成方法を以下に示す。はじめに、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等により導電膜を形成し、導電膜上に第1のフォトマスクを用いてフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成する。次に、該レジストマスクを用いて導電膜の一部をエッチングして、ゲート電極102を形成する。その後、レジストマスクを除去する。
なお、ゲート電極102は、上記形成方法の代わりに、電解メッキ法、印刷法、インクジェット法等で形成してもよい。
《ゲート絶縁層の形成》
絶縁層103は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で形成する。
絶縁層103として酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜を形成する場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
また、絶縁層103として窒化シリコン膜を形成する場合、2段階の形成方法を用いることが好ましい。はじめに、シラン、窒素、及びアンモニアの混合ガスを原料ガスとして用いたプラズマCVD法により、欠陥の少ない第1の窒化シリコン膜を形成する。次に、原料ガスを、シラン及び窒素の混合ガスに切り替えて、水素濃度が少なく、且つ水素をブロッキングすることが可能な第2の窒化シリコン膜を成膜する。このような形成方法により、絶縁層103として、欠陥が少なく、且つ水素ブロッキング性を有する窒化シリコン膜を形成することができる。
また、絶縁層103として酸化ガリウム膜を形成する場合、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて形成することができる。
《酸化物半導体層の形成》
次に、図14(B)に示すように、絶縁層103上に酸化物半導体層104を形成する。
酸化物半導体層104の形成方法を以下に示す。はじめに、実施の形態6で説明する方法により、酸化物半導体膜を形成する。続いて、酸化物半導体膜上に第2のフォトマスクを用いてフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成する。次に、該レジストマスクを用いて酸化物半導体膜の一部をエッチングして、酸化物半導体層104を形成する。その後、レジストマスクを除去する。
この後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行う場合には、酸素を含む雰囲気下で行うことが好ましい。
《一対の電極の形成》
次に、図14(C)に示すように、一対の電極105a、105bを形成する。
一対の電極105a、105bの形成方法を以下に示す。はじめに、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で導電膜を形成する。次に、該導電膜上に第3のフォトマスクを用いてフォトリソグラフィ工程によりレジストマスクを形成する。次に、該レジストマスクを用いて導電膜の一部をエッチングして、一対の電極105a、105bを形成する。その後、レジストマスクを除去する。
なお、図14(B)に示すように、導電膜のエッチングの際に酸化物半導体層104の上部の一部がエッチングされ、薄膜化することがある。そのため、酸化物半導体層104の形成時、酸化物半導体膜の厚さを予め厚く設定しておくことが好ましい。
《絶縁層の形成》
次に、図14(D)に示すように、酸化物半導体層104及び一対の電極105a、105b上に、絶縁層106を形成し、続いて絶縁層106上に絶縁層107を形成する。
絶縁層106として酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
例えば、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上260℃以下、さらに好ましくは200℃以上240℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を100Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上200Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に0.17W/cm2以上0.5W/cm2以下、さらに好ましくは0.25W/cm2以上0.35W/cm2以下の高周波電力を供給する条件により、酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成する。
成膜条件として、上記圧力の反応室において上記パワー密度の高周波電力を供給することで、プラズマ中で原料ガスの分解効率が高まり、酸素ラジカルが増加し、原料ガスの酸化が進むため、酸化物絶縁膜中における酸素含有量が化学量論比よりも多くなる。しかしながら、基板温度が、上記温度であると、シリコンと酸素の結合力が弱いため、加熱により酸素の一部が脱離する。この結果、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含み、加熱により酸素の一部が脱離する酸化物絶縁膜を形成することができる。
また、酸化物半導体層104と絶縁層106の間に酸化物絶縁膜を設ける場合には、絶縁層106の形成工程において、該酸化物絶縁膜が酸化物半導体層104の保護膜となる。この結果、酸化物半導体層104へのダメージを低減しつつ、パワー密度の高い高周波電力を用いて絶縁層106を形成することができる。
例えば、プラズマCVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を180℃以上400℃以下、さらに好ましくは200℃以上370℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を20Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上250Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に高周波電力を供給する条件により、酸化物絶縁膜として酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成することができる。また、処理室の圧力を100Pa以上250Pa以下とすることで、該酸化物絶縁層を成膜する際に、酸化物半導体層104へのダメージを低減することが可能である。
酸化物絶縁膜の原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
絶縁層107は、スパッタリング法、CVD法等で形成することができる。
絶縁層107として窒化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜を形成する場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体、酸化気体、及び窒素を含む気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。窒素を含む気体としては、窒素、アンモニア等がある。
以上の工程により、トランジスタ100を形成することができる。
<トランジスタ100の変形例>
以下では、トランジスタ100と一部が異なるトランジスタの構成例について説明する。
《変形例1》
図15(A)に、以下で例示するトランジスタ110の断面概略図を示す。トランジスタ110は、酸化物半導体層の構成が異なる点で、トランジスタ100と相違している。
トランジスタ110の備える酸化物半導体層114は、酸化物半導体層114aと酸化物半導体層114bとが積層されて構成される。
なお、酸化物半導体層114aと酸化物半導体層114bの境界は不明瞭である場合があるため、図15(A)等の図中には、これらの境界を破線で示している。
酸化物半導体層114a及び酸化物半導体層114bのうち、いずれか一方または両方に、本発明の一態様の酸化物半導体膜を適用することができる。
例えば、酸化物半導体層114aは、代表的にはIn−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、Nd、またはHf)を用いる。また、酸化物半導体層114aがIn−M−Zn酸化物であるとき、InとMの原子数比率は、好ましくは、Inが50atomic%未満、Mが50atomic%以上、さらに好ましくは、Inが25atomic%未満、Mが75atomic%以上とする。また例えば、酸化物半導体層114aは、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である材料を用いる。
例えば、酸化物半導体層114bはIn若しくはGaを含み、代表的には、In−Ga酸化物、In−Zn酸化物、In−M−Zn酸化物(MはAl、Ti、Ga、Y、Zr、La、Ce、NdまたはHf)であり、且つ酸化物半導体層114aよりも伝導帯の下端のエネルギーが真空準位に近く、代表的には、酸化物半導体層114bの伝導帯の下端のエネルギーと、酸化物半導体層114aの伝導帯の下端のエネルギーとの差が、0.05eV以上、0.07eV以上、0.1eV以上、または0.15eV以上、且つ2eV以下、1eV以下、0.5eV以下、または0.4eV以下とすることが好ましい。
また例えば、酸化物半導体層114bがIn−M−Zn酸化物であるとき、InとMの原子数比率は、好ましくは、Inが25atomic%以上、Mが75atomic%未満、さらに好ましくは、Inが34atomic%以上、Mが66atomic%未満とする。
例えば、酸化物半導体層114aとしてIn:Ga:Zn=1:1:1または3:1:2の原子数比のIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。また、酸化物半導体層114bとしてIn:Ga:Zn=1:3:2、1:6:4、または1:9:6の原子数比のIn−Ga−Zn酸化物を用いることができる。なお、酸化物半導体層114a、及び酸化物半導体層114bの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス20%の変動を含む。
上層に設けられる酸化物半導体層114bに、スタビライザーとして機能するGaの含有量の多い酸化物を用いることにより、酸化物半導体層114a、及び酸化物半導体層114bからの酸素の放出を抑制することができる。
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、酸化物半導体層114a、酸化物半導体層114bのキャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
なお、上記では酸化物半導体層114として、2つの酸化物半導体層が積層された構成を例示したが、3つ以上の酸化物半導体層を積層する構成としてもよい。
《変形例2》
図15(B)に、以下で例示するトランジスタ120の断面概略図を示す。トランジスタ120は、酸化物半導体層の構成が異なる点で、トランジスタ100及びトランジスタ110と相違している。
トランジスタ120の備える酸化物半導体層124は、酸化物半導体層124a、酸化物半導体層124b、酸化物半導体層124cが順に積層されて構成される。
酸化物半導体層124a及び酸化物半導体層124bは、絶縁層103上に積層して設けられる。また酸化物半導体層124cは、酸化物半導体層124bの上面、並びに一対の電極105a、105bの上面及び側面に接して設けられる。
酸化物半導体層124a、酸化物半導体層124b、酸化物半導体層124cのうち、いずれか一、またはいずれか二、または全部に、実施の形態6に説明する酸化物半導体膜を適用することができる。
例えば、酸化物半導体層124bとして、上記変形例1で例示した酸化物半導体層114aと同様の構成を用いることができる。また例えば、酸化物半導体層124a、124cとして、上記変形例1で例示した酸化物半導体層114bと同様の構成を用いることができる。
例えば、酸化物半導体層124bの下層に設けられる酸化物半導体層124a、及び上層に設けられる酸化物半導体層124cに、スタビライザーとして機能するGaの含有量の多い酸化物を用いることにより、酸化物半導体層124a、酸化物半導体層124b、及び酸化物半導体層124cからの酸素の放出を抑制することができる。
また、例えば酸化物半導体層124bに主としてチャネルが形成される場合に、酸化物半導体層124bにInの含有量の多い酸化物を用い、酸化物半導体層124bと接して一対の電極105a、105bを設けることにより、トランジスタ120のオン電流を増大させることができる。
<トランジスタの他の構成例>
以下では、本発明の一態様の酸化物半導体膜を適用可能な、トップゲート型のトランジスタの構成例について説明する。
なお、以下では、上記と同様の構成、または同様の機能を備える構成要素においては、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
《構成例》
図16(A)に、以下で例示するトップゲート型のトランジスタ150の断面概略図を示す。
トランジスタ150は、絶縁層151が設けられた基板101上に設けられる酸化物半導体層104と、酸化物半導体層104の上面に接する一対の電極105a、105bと、酸化物半導体層104、一対の電極105a、105b上に設けられる絶縁層103と、絶縁層103上に酸化物半導体層104と重なるように設けられるゲート電極102とを有する。また、絶縁層103及びゲート電極102を覆って絶縁層152が設けられている。
トランジスタ150の酸化物半導体層104に、実施の形態6で説明する酸化物半導体膜を適用することができる。
絶縁層151は、基板101から酸化物半導体層104への不純物の拡散を抑制する機能を有する。例えば、上記絶縁層107と同様の構成を用いることができる。なお、絶縁層151は、不要であれば設けなくてもよい。
絶縁層152には、上記絶縁層107と同様、酸素、水素、水等のブロッキング効果を有する絶縁膜を適用することができる。なお、絶縁層107は不要であれば設けなくてもよい。
《変形例》
以下では、トランジスタ150と一部が異なるトランジスタの構成例について説明する。
図16(B)に、以下で例示するトランジスタ160の断面概略図を示す。トランジスタ160は、酸化物半導体層の構成が異なる点で、トランジスタ150と相違している。
トランジスタ160の備える酸化物半導体層164は、酸化物半導体層164a、酸化物半導体層164b、及び酸化物半導体層164cが順に積層されて構成されている。
酸化物半導体層164a、酸化物半導体層164b、酸化物半導体層164cのうち、いずれか一、またはいずれか二、または全部に、本発明の一態様の酸化物半導体膜を適用することができる。
例えば、酸化物半導体層164bとして、上記変形例1で例示した酸化物半導体層114aと同様の構成を用いることができる。また例えば、酸化物半導体層164a、164cとして、上記変形例1で例示した酸化物半導体層114bと同様の構成を用いることができる。
例えば、酸化物半導体層164bの下層に設けられる酸化物半導体層124a、及び上層に設けられる酸化物半導体層164cに、スタビライザーとして機能するGaの含有量の多い酸化物を用いることにより、酸化物半導体層164a、酸化物半導体層164b、酸化物半導体層164cからの酸素の放出を抑制することができる。
ここで、酸化物半導体層164の形成時において、酸化物半導体層164cと酸化物半導体層164bをエッチングにより加工して酸化物半導体層164aとなる酸化物半導体膜を露出させ、その後にドライエッチング法によって該酸化物半導体膜を加工して酸化物半導体層164aを形成する場合に、該酸化物半導体膜の反応生成物が、酸化物半導体層164b及び酸化物半導体層164cの側面に再付着し、側壁保護層(ラビットイヤーとも呼べる)が形成される場合がある。なお、該反応生成物は、スパッタリング現象によって再付着するほか、ドライエッチング時のプラズマを介して再付着する場合もある。
図16(C)には、上述のようにして酸化物半導体層164の側面に側壁保護層164dが形成された場合の、トランジスタ160の断面概略図を示している。
側壁保護層164dは、主として酸化物半導体層164aと同一の材料を含む。また、側壁保護層164dには、酸化物半導体層164aの下層に設けられる層(ここでは絶縁層151)の成分(例えばシリコン)を含有する場合がある。
また、図16(C)に示すように、酸化物半導体層164bの側面を側壁保護層164dで覆い、一対の電極105a、105bと接しない構成とすることにより、特に酸化物半導体層164bに主としてチャネルが形成される場合に、トランジスタのオフ時の意図しないリーク電流を抑制し、優れたオフ特性を有するトランジスタを実現できる。また、側壁保護層164dとしてスタビライザーとして機能するGaの含有量の多い材料を用いることで、酸化物半導体層164bの側面からの酸素の脱離を効果的に抑制し、電気的特性の安定性に優れたトランジスタを実現できる。
本実施の形態は、本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、入力手段としてタッチセンサ(接触検出装置)が、表示部に重ねて設けられたタッチパネルの構成について、図17及び図18を参照しながら説明する。以下において、上記実施の形態と重複する部分については、説明を省略する場合がある。
図17(A)は、本実施の形態で例示するタッチパネル400の斜視概略図である。なお明瞭化のため、代表的な構成要素のみを図17に示す。図17(B)は、タッチパネル400を展開した斜視概略図である。
図18に、図17(A)に示すタッチパネル400のX1−X2における断面図を示す。
タッチパネル400は、第1の基板401と第2の基板402との間に挟持された表示部411と、第2の基板402と第3の基板403との間に挟持されたタッチセンサ430とを備える。
第1の基板401は、表示部411、表示部411と電気的に接続する複数の配線406を備える。複数の配線406は、第1の基板401の外周部にまで引き回され、その一部が外部接続電極405を構成している。外部接続電極405はFPC404と電気的に接続する。
<タッチセンサ>
第3の基板403には、タッチセンサ430と、タッチセンサ430と電気的に接続する複数の配線417を備える。タッチセンサ430は、第3の基板403の第2の基板402と対向する面側に設けられる。また複数の配線417は第3の基板403の外周部にまで引き回され、その一部がFPC415と電気的に接続するための外部接続電極416を構成している。なお、図17(B)では明瞭化のため、第3の基板403の裏面側(紙面奥側)に設けられるタッチセンサ430の電極や配線等を実線で示している。
本実施の形態では投影型静電容量式のタッチセンサを適用する例を示す。しかしこれに限られない。指等の検知対象が、表示素子が設けられる側とは反対側から近接する、または触れることを検知するセンサを適用することができる。
タッチセンサのセンサ層としては、静電容量方式のタッチセンサが好ましい。静電容量方式のタッチセンサとしては、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式等があり、投影型静電容量方式としては、主に駆動方式の違いから自己容量方式、相互容量方式などがある。相互容量方式を用いると同時多点検出が可能となるため好ましい。
以下では、投影型静電容量方式のタッチセンサを適用する場合について説明する。
図17(B)に示すタッチセンサ430は、投影型静電容量方式のタッチセンサの一例である。タッチセンサ430は、電極421と電極422とを有する。電極421と電極422とは、それぞれ複数の配線417のいずれかと電気的に接続する。
ここで、電極422の形状は、図17(A)、(B)に示すように、複数の四辺形が一方向に連続した形状となっている。また、電極421の形状は四辺形であり、電極422の延在する方向とは交差する方向に一列に並んだ複数の電極421のそれぞれが、配線423によって電気的に接続されている。このとき、電極422と配線423の交差部の面積ができるだけ小さくなるように配置することが好ましい。このような形状とすることで、電極が設けられていない領域の面積を低減でき、当該電極の有無によって生じる透過率の違いにより、タッチセンサ430を透過する光の輝度ムラを低減することができる。
なお、電極421、電極422の形状はこれに限られず、様々な形状を取りうる。例えば、複数の電極421をできるだけ隙間が生じないように配置し、絶縁層を介して電極422を、電極421と重ならない領域ができるように離間して複数設ける構成としてもよい。このとき、隣接する2つの電極422の間に、これらとは電気的に絶縁されたダミー電極を設けると、透過率の異なる領域の面積を低減できるため好ましい。
タッチセンサ430の構成を図18を用いて説明する。
第2の基板402上には、タッチセンサが設けられている。タッチセンサは、第3の基板403の一方の面に、絶縁層424を介してセンサ層440が設けられ、センサ層440は、接着層434を介して第2の基板402と貼り合わされている。
センサ層440を第3の基板403上に形成した後、接着層434を用いて、第2の基板402とセンサ層440を貼り合わせる。この方法により、表示パネルにタッチセンサを重ねて設けて、タッチセンサを作製できる。
絶縁層424は、例えば、酸化シリコンなどの酸化物を用いることができる。絶縁層424に接して透光性を有する電極421及び電極422が設けられている。電極421及び電極422は、第3の基板403上に形成された絶縁層424上に、スパッタリング法により導電膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法等の公知のパターニング技術により、不要な部分を除去することで形成される。透光性を有する導電性材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などの導電性酸化物を用いることができる。
電極421又は電極422には、配線438が電気的に接続されている。配線438の一部は、FPC415と電気的に接続する外部接続電極として機能する。配線438としては、例えば、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、チタン、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いることができる。
電極422は、一方向に延在したストライプ状複数設けられている。また、電極421は、一本の電極422を一対の電極421が挟むように設けられ、これらを電気的に接続する配線432が電極422と交差するように設けられる。ここで、一本の電極422と、配線432とによって電気的に接続される複数の電極421は、必ずしも直交して設ける必要はなく、これらのなす角度が90度未満であってもよい。
また、電極421及び電極422を覆うように、絶縁層433が設けられている。絶縁層433に用いる材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。また、絶縁層433には、電極421に達する開口部が設けられ、電極421と電気的に接続する配線432が設けられている。配線432は、電極421及び電極422と同様の透光性の導電性材料を用いると、タッチパネルの開口率が高まるため好ましい。また、配線432に電極421及び電極422と同一の材料を用いてもよいが、これよりも導電性の高い材料を用いることが好ましい。
また、絶縁層433及び配線432を覆う絶縁層が設けられていてもよい。当該絶縁層は、保護層として機能させることができる。
また、絶縁層433(及び保護層として機能する絶縁層)には、配線438に達する開口が設けられており、開口に設けられた接続層439によって、FPC415と配線438とが電気的に接続されている。接続層439としては、公知の異方性導電フィルム(ACF:AnisotropicConductive Film)や、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
センサ層440と、第2の基板402とを接着する接着層434は、透光性を有することが好ましい。例えば、熱硬化性樹脂や紫外線硬化樹脂を用いることができ、具体的には、アクリル、ウレタン、エポキシ、またはシロキサン結合を有する樹脂などの樹脂を用いることができる。
<表示部>
表示部411は複数の画素を有する画素部413を有する。表示部411の画素部413に適用可能な表示素子としては、有機EL素子、液晶素子の他、電気泳動方式や電子粉流体方式などにより表示を行う表示素子など、様々な表示素子を用いることができる。
以下では、表示素子に液晶素子を適用する場合について説明する。
液晶431は、第1の基板401と第2の基板402との間に挟持された状態で、封止材436によって封止される。なお、封止材436は、スイッチング素子層437やカラーフィルタ層435を囲むように設けられている。
封止材436としては、熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂を用いることができ、アクリル、ウレタン、エポキシ、またはシロキサン結合を有する樹脂などの有機樹脂を用いることができる。また、封止材436は、低融点ガラスを含むガラスフリットにより形成されていてもよい。また、封止材436は、上記有機樹脂とガラスフリットとを組み合わせて形成されていてもよい。例えば、液晶431に接して上記有機樹脂を設け、その外側にガラスフリットを設けることで、外部から、液晶へ水などが混入することを抑制することができる。
表示部411はソース駆動回路412s、及びゲート駆動回路412gを有し、第1の基板401と第2の基板402の間に、液晶431と共に封止されている。
図17(B)には、ソース駆動回路412sが画素部413の両側に一つずつ、計2つ配置される構成が例示されているが、1つのソース駆動回路412sが画素部413の一方の辺に沿って配置される構成としてもよい。
スイッチング素子層437が、第1の基板401上に設けられている(図18参照)。スイッチング素子層437は少なくともトランジスタを有し、トランジスタの他に、容量素子などの素子を有していてもよい。なお、スイッチング素子層437は、駆動回路(ゲート駆動回路、ソース駆動回路)などの回路の他、配線や電極等を含んでいてもよい。
第2の基板402の一方の面には、カラーフィルタ層435が設けられている。カラーフィルタ層435は、液晶素子と重なるカラーフィルタを有する。カラーフィルタ層435には、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色のカラーフィルタを設ける構成とすると、フルカラーの液晶パネルとすることができる。
カラーフィルタ層435は、例えば、顔料を含む感光性の材料を用い、フォトリソグラフィ工程により形成される。また、カラーフィルタ層435として、異なる色のカラーフィルタの間にブラックマトリクスを設けてもよい。また、カラーフィルタやブラックマトリクスを覆うオーバーコートを設けてもよい。
なお、用いる液晶素子の構成に応じて、カラーフィルタ層435上に液晶素子の一方の電極を形成してもよい。なお該電極は、後に形成される液晶素子の一部となる。また該電極上に配向膜が設けられていてもよい。
液晶431を挟むように一対の偏光板445が設けられている。具体的には、第1の基板401と第3の基板403に設けられている。
偏光板445としては、公知の偏光板を用いればよく、自然光や円偏光から直線偏光を作り出すことができるような材料を用いる。例えば、二色性の物質を一定方向にそろえて配置することで、光学的な異方性を持たせたものを用いることができる。例えば、ヨウ素系の化合物などをポリビニルアルコールなどのフィルムに吸着させ、これを一方向に延伸することで作製することができる。なお、二色性の物質としては、ヨウ素系の化合物のほか、染料系の化合物などが用いられる。偏光板445は、膜状、またはフィルム状、シート状、もしくは板状の材料を用いることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について説明する。具体的には、本発明の情報処理方法を実行するプログラムが記録された記憶媒体を有する電子機器について図19を用いて説明する。
発光装置を適用した電子機器として、例えば、コンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯情報端末、音響再生装置などが挙げられる。これらの電子機器の具体例を図19に示す。
図19(A)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、演算装置が処理した結果を表示部7203に表示する。
図19(B)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、演算装置が処理した結果を表示部7402に表示する。
図19(B)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、または筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
図19(C)は、折りたたみ式のコンピュータの一例を示している。折りたたみ式のコンピュータ7450は、ヒンジ7454で接続された筐体7451Lと筐体7451Rを備えている。また、操作ボタン7453、左側スピーカ7455Lおよび右側スピーカ7455Rの他、コンピュータ7450の側面には図示されていない外部接続ポート7456を備える。なお、筐体7451Lに設けられた表示部7452Lと、筐体7451Rに設けられた表示部7452Rが互いに対峙するようにヒンジ7454を折り畳むと、表示部を筐体で保護することができる。
表示部7452Lと表示部7452Rは、画像を表示する他、指などで触れると情報を入力できる。例えば、インストール済みのプログラムを示すアイコンを指でふれて選択し、プログラムを起動できる。または、表示された画像の二箇所に触れた指の間隔を変えて、画像を拡大または縮小できる。または、表示された画像の一箇所に触れた指を移動して画像を移動できる。また、キーボードの画像を表示して、表示された文字や記号を指で触れて選択し、情報を入力することもできる。
また、コンピュータ7450に、ジャイロ、加速度センサ、GPS(Global Positioning System)受信機、指紋センサ、ビデオカメラを搭載することもできる。例えば、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、コンピュータ7450の向き(縦か横か)を判断して、表示する画面の向きを自動的に切り替えるようにすることができる。
また、コンピュータ7450はネットワークに接続できる。コンピュータ7450はインターネット上の情報を表示できる他、ネットワークに接続された他の電子機器を遠隔から操作する端末として用いることができる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。