JP6060414B2 - 建物の開口部の改装工法と改装構造 - Google Patents
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Description
また、従来、スイング式の開き戸を開口部に採用していた店舗等において、人が出入りする際に開き戸を押したり引いたりして回転させることは力を要するため、子供や老人や障害者等のように力の弱い人には負担になっていた。そのため、店舗等では、人が出入りし易いようにスイング式の開き戸からスライド式の自動ドアに改装する工事が行われている。
このような既存の店舗において、開口部1を開き戸2からスライド式の自動ドアに改装する場合、例えば、図10に示すように、開き戸2を撤去すると共に、額縁7と膳板6の一部を斫って撤去する必要があった。そして、方立3に隣接する位置に新たな縦枠8を連結して、更にスライド式の自動ドア9を設置していた。
本発明によれば、既存の開口部のドアを撤去し、膳板を斫ることなく膳板の外側の位置に外側縦部材を設置して方立に連結し、しかも、方立より外側縦部材を突出させないことで開口部を狭めることがない。そして、外側縦部材より屋内側にスライド式の自動ドアを設置することで、自動ドアを既存の開口部に代えて新たな開口部として改装することができる。なお、戸体は建具の可動部分で、開き戸や引戸や扉や障子等を含んでいる。
本発明によれば、既存の方立は経年劣化等により傾斜することがあり、方立に対して調整部材を予め固定し、新たに設置する外側縦部材を適宜姿勢、例えば垂直姿勢に設置して調整部材にねじ等で固定することができる。この場合、方立と外側縦部材とは上下方向における姿勢や角度が相違することになるが、両者の姿勢や角度の相違による上下方向における互いの距離のずれや干渉を調整部材によって吸収することができる。
本発明によれば、既存の開口部の方立に隣接して設けられた膳板を斫ることなく、膳板の外側の位置に外側縦部材を設置して方立に連結し、その際、方立より外側縦部材を外側に突出させないことで開口部を狭めることがない。そして、既存の開口部の屋内側にスライド式の自動ドアを設置することで、この自動ドアを既存の開口部に代えて新たな開口部として改装することができる。
スライド式自動ドアは横部材に設置された状態で新たな開口部と袖部との間をスライド移動して開閉作動できる。
内側縦部材を膳板の上に設置することで膳板が邪魔にならず、しかも、外側縦部材の内側に内側縦部材を連結することで外側縦部材の強度を補強できる。
既存の方立が経年劣化等により傾いたとしても、調整部材を介して外側縦部材を所望の姿勢や角度、例えば垂直に固定することで、方立と外側縦部材の姿勢や傾斜の相違による上下方向の距離のずれや干渉を調整部材で吸収できる。
方立が例えば経年劣化等で傾斜していたとしても、方立に連結した調整部材に対して外側縦部材を方立と異なる姿勢や角度で設置し、外側縦部材のスライド調整部と調整部材の重なり割合を調整してスライド調整部で調整部材に固定することで、方立と外側縦部材との姿勢や傾斜の違いによる上下方向における距離のずれや干渉を調整部材で吸収できる。
また、横部材には、横部材に沿って開閉ドアを案内するレールと、開閉ドアをレールに沿ってスライドさせる駆動源と、を備えた駆動手段を取り付けてあることが好ましい。
また、開閉ドアの下部にガイド部を設け、床面に前記ガイド部を受け入れて走行をガイドするガイド溝を設けた下レールガイド部を設けることが好ましい。
また、図1(b)は両開き式の自動ドア13を示すものであり、下部に腰壁5を設けた一対のFIX窓4の間の開口部1に2枚の開閉ドア12が左右にスライドして開閉可能とされている。両開き式の自動ドア13は片開き式の開閉ドア12を2つ設けて左右に開く構造であり、基本的に片開き式の自動ドア10と同一の駆動機構を備えている。そのため、本実施形態による開口部1の改装構造は片開き式の自動ドア10に基づいて説明する。
そして、方立3の腰壁5上の膳板6を斫ることなく保持し、膳板6の外側端部(図2中の右側端部)に隣接して改装用の外側縦枠19が設置されている。図3に示すように、この外側縦枠19は例えば角筒状に形成され、その外側の側面19aは方立3の開口部1側の側面3aと面一になるように幅が設定され、側面19aは外側縦枠19の角筒部から方立3の側面3a方向に延びた例えばプレート状のスライド調整部19bと一体に形成されている。
そのため、予め方立3に沿って傾斜して固定された調整アングル20に対して外側縦枠19は方立3の傾斜を吸収して垂直に設置するよう姿勢、角度を建付け調整した状態で、スライド調整部19bを調整アングル20にねじ22aで固定するようにした。
例えば、既設の方立3が例えば3°〜5°傾斜している場合には、図4(a)に示すように、方立3の上下方向の一端部では外側縦枠19のスライド調整部19bは方立3の側面3bに当接しており、方立3の上下方向の他端部では、図4(b)に示すように、スライド調整部19bは方立3から離間した位置で調整アングル20にねじ止めされる。
なお、図2において、開口部1におけるFIX窓4の方立3に対向する他方の方立3に接続した既存枠21には、外側縦枠19や調整アングル20等の倒れ調整機構を設けているが、設けなくてもよい。
更に、内側縦枠24の外側の側面24bを外側縦枠19の内側の側面とねじ22bで連結する。なお、内側縦枠24は方立3に沿った姿勢でアングル材25に取り付けるようにしたが、外側縦枠19と同様に垂直に設置するようにしてもよい。
そのため、調整アングル20と外側縦枠19のスライド調整部19bを連結するねじ22aの頭部が屋外に露出していて第三者が取り外し可能であっても、外側縦枠19は内側縦枠24とねじ22bで連結されているために、外側縦枠19の取り外しを防止できて防犯性が高い。
そして、下枠28cの裏面には横枠30が見付方向に所定間隔をおいてねじ22で固定され、横枠30の裏面にはレール31の支持部材32が見付方向に所定間隔をおいてねじ22で固定されている。横枠30は開口部1からFIX窓4を備えた袖部40にまで延びており、横枠30の裏面に固定したレール31の支持部材32も袖部40にまで延びている。
しかも、横枠30の内部には、レール31と開閉ドア12とエンジン33を収納したボックス34を支える支持部材32を、ねじ22で取り付けるために例えば断面略コの字状の補強板38が連結されている。
そのため、開閉ドア12はエンジン33の駆動によって上部のローラ35がレール31に沿って摺動してスライド方向に開閉作動し、開閉ドア12のガイド部45は床面FLに設けたガイド溝44に沿って走行する。
図9に示すように、開口部1にスイング系の開き戸2を設けてあり、開口部1の一方の方立3を介して袖部40にFIX窓4が設けられた状態において、まず開き戸2を撤去する。そして、図2及び図3において、FIX窓4の屋内側に設けた腰壁5の膳板6を斫ることなく、調整アングル20とアングル材25を方立3の側面3bにねじで固定する。次に、内側縦枠24をねじ22でアングル材25に固定し、外側縦枠19をねじ22aで調整アングル20に固定し、外側縦枠19のスライド調整部19bを調整アングル20に重ねる。最後に内側縦枠24と外側縦枠19とをねじ22bによって固定する。
このようにして、FIX窓4の延長上に設けた開口部1内のスイング式のドアを撤去して、方立3と外側縦枠19を介して開口部1の屋内側に新たな自動ドア10を設置できる。
この自動ドア10は、腰壁5や額縁7の膳板6の上部にFIX窓4を設けた袖部40と開閉可能な開閉ドア12を備えた開口部1とを備えており、袖部40のFIX窓4における左右または片側の縦枠41aに設けた支持部42とランマのFIX窓27の下枠28cとに亘って横枠30を固定した。しかも、開口部1における袖部40の屋内側であって、左右の外側縦枠19と横枠30で仕切られた領域に開閉ドア12を設け、開閉ドア12は横枠30に沿って開口部1から袖部40の領域まで開閉作動可能とされている。
また、横枠30には、横枠30に沿って開閉ドア12を案内するレール31と、ローラ35によって開閉ドア12をレール31に沿ってスライドさせるエンジン33と、を備えた駆動手段を取り付けてある。
また、外側縦枠19と内側縦枠24はそれぞれ方立3に固定した調整アングル20とアングル材25に連結した上で互いにねじ止め固定したため、強度が高い。しかも、既設の膳板6の上部に内側縦枠24を設置して外側縦枠19と方立3に連結したため、膳板6が邪魔にならず、外側縦枠19が開口部1を狭めない程度に厚みが小さくても強度を補強できる。
即ち、上述した実施形態では図1(a)に示す片開き式の自動ドア10について説明したが、上述した実施形態における開口部1の改装構造と改装工法は図1(b)に示す両開き式の自動ドア13にも適用できる。
即ち、図7に示すように、床面FL上にガイド溝48を設けた下レールガイド部49を設置し、開閉ドア12の下部に設けたガイド部45をガイド溝48内に収納して開閉ドア12の開閉走行をガイドするようにした。この場合、下レールガイド部49を床面FL上に設置するために開閉ドア12におけるガイド部45の位置が実施形態の場合よりも上方に位置するように形成するものとする。
この下レールガイド部49は、開閉ドア12のガイド部45が挿入されて走行可能なガイド溝48を備えた下レール本体51と、その両側に設けられた一対の傾斜部52と、傾斜部52の下側に係合された一対の傾斜取り付け部53とで構成されている。下レール本体51はガイド溝48の両側に二段に突出する第一係合片54、第二係合片55を備えている。各傾斜部52は略三角形状断面を有しており、傾斜面52aの上端部には第一係合片54の端部に係合可能な係合受け部52bを有している。
そして、ガイド溝48の底部や下レールガイド部49と床面FLとの間、或いは下レール本体51、一対の傾斜部52、一対の傾斜取り付け部53の相互の係合部に適宜の止水パッキンを設置することが好ましい。
また、上述の実施形態や第一、第二変形例による下レール構造では、いずれも開閉ドアにガイド部45を設け、下レール構造部分にガイド溝44,48を設けたが、これとは逆に開閉ドアにガイド溝を設け、下レールガイド部49,57にガイド部を設けてもよく、この場合にはガイド部は、下レール本体51,58等の頂部以下の高さであることが好ましい。
また、既存の方立3に対して調整アングル20を取り付けることなく直接外側縦枠19を連結するようにしてもよい。この場合、方立3に僅かな傾斜があっても外側縦枠19を直接当接して方立3と同一傾斜角度で連結してもよい。また、方立3と外側縦枠19との間に調整アングル20を介在させたとしても、外側縦枠19は必ずしも垂直に設置しなくてもよい。
また、外側縦枠19は本発明の外側縦部材に含まれ、内側縦枠24は内側縦部材に含まれ、横枠30は横部材に含まれる。
また、上述の建物の開口部1の改装構造として、店舗の出入り口としての開口部1について説明したが、本発明は店舗の開口部1に限定されるものではなく、集合住宅やビル等を含む適宜の建物の出入り口等の開口部1の改装構造や改装工法に採用できる。
3 方立
4、27 FIX窓
5 腰壁
6 膳板
10、13 自動ドア
12 開閉ドア
19 外側縦枠
19b スライド調整部
20 調整アングル
22、22a、22b ねじ
24 内側縦枠
25 アングル材
30 横枠
31 レール
32 支持枠
33 エンジン
35 ローラ
38 補強板
41a 縦枠
42 支持部
45 ガイド部
48 ガイド溝
49 下レールガイド部
51、58 レール本体
52,59 傾斜部
53 傾斜取り付け部
FL 床面
Claims (7)
- 既存の開口部の方立に隣接する位置に膳板が設けられた建物の開口部の改装工法において、
前記既存の開口部の戸体を撤去し、
前記膳板の外側に外側縦部材を前記方立より外側に突出することなく設置して前記方立に連結し、
該外側縦部材に対して前記方立の屋内側にスライド式の自動ドアを設置して新たな開口部を形成したことを特徴とする建物の開口部の改装工法。 - 前記外側縦部材を方立に連結する工程において、前記方立に調整部材を固定し、前記外側縦部材は前記方立に対する角度を調整して前記調整部材に固定するようにした請求項1に記載された建物の開口部の改装工法。
- 既存の開口部の方立に隣接する位置に膳板が設けられており、前記膳板の外側に外側縦部材を前記方立より外側に突出することなく設置して前記方立に連結し、該外側縦部材に対して前記方立の屋内側にスライド式の自動ドアを設置して新たな開口部を形成したことを特徴とする建物の開口部の改装構造。
- 前記既存の開口部に隣接して前記方立と枠体にガラスパネルが保持されてなる袖部と、前記方立と前記枠体の縦枠とに各々設けられた支持部と、該支持部と前記新たな開口部に亘って設置された横部材とを備え、前記スライド式自動ドアが前記横部材に設置されている請求項3に記載された建物の開口部の改装構造。
- 前記膳板の上に内側縦部材を取り付けて、該内側縦部材を前記外側縦部材に連結した請求項3または4に記載された建物の開口部の改装構造。
- 前記方立には前記外側縦部材との間に調整部材を固定し、前記外側縦部材は前記方立に対する角度を調整して前記調整部材に固定するようにした請求項3乃至5のいずれか1項に記載された建物の開口部の改装構造。
- 前記外側縦部材には前記調整部材に重なるスライド調整部が形成され、前記外側縦部材は方立に対する姿勢を調整して互いに重なる前記スライド調整部と前記調整部材を固定するようにした請求項6に記載された建物の開口部の改装構造。
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