JP6059980B2 - フルーツソースの製造方法 - Google Patents

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本発明はフルーツソースおよびその製造方法に関する。
例えばケーキ、プリン、ゼリー、ヨーグルト等のデザート類に用いられるフルーツソースは、果実由来成分の含有量が多くて果実由来の風味に富むものが好まれる。かかる果実由来成分を含むフルーツソースにあっては、保存中に色調の変化が生じやすいため、これを抑制することが求められる。
ジャム類においては糖度が高いと変色が生じ難いことが知られており、例えば特許文献1の段落[0015]には、通常のジャムは糖度が65度程度であり、糖度が55度以下であると色調の変化が大きい旨が記載されている。
ところで、ペクチナーゼは果実等に含まれるペクチンを分解する酵素であり、果汁を用いてジュースを製造する際に、濁り防止を目的としてペクチナーゼ等の酵素を用いて処理する方法が知られている。
例えば特許文献2には、キウィフルーツ全果実の破砕物(ピューレ)にペクチナーゼを添加し、40〜45℃で2時間酵素処理した後、90℃で1分間加熱処理したもの、または前記破砕物(ピューレ)を90℃で1分間加熱処理した後に、ペクチナーゼを添加して同様に酵素処理したものを、圧搾して果汁を得、該果汁を加熱してペクチナーゼを失活させ、さらに濾過して透明果汁を製造することにより、保存中の濁りを抑制できることが記載されている。
特開平11−346678号公報 特開平2−72850号公報
特許文献1に記載されているジャム類は糖度が高くて変色が生じ難いが、フルーツソースとしては流動性が足りない。フルーツソースは、例えばポーション容器に充填した状態で販売されるため、容器を傾けるだけで容易に流れ出る程度の流動性を有することが望まれる。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、果実由来成分の含有量が多く、保存中に色調の変化が生じにくく、かつ良好な流動性を有するフルーツソースおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明のフルーツソースの製造方法は、果実由来成分の含有量が30質量%以上であり、ブリックス糖度が60〜75度であり、かつボストウィック粘度計による、測定温度5℃、測定時間5秒のときの粘度が10〜18cmであるフルーツソースを製造する方法であって、アントシアニン系色素を有する果実の破砕物を含む原料液に、ペクチナーゼを含む酵素を添加し、該酵素が働く酵素処理温度に保持して酵素分解処理を行う酵素処理工程と、前記酵素の添加前、前記酵素の添加後かつ前記酵素分解処理前、または前記酵素分解処理後に、前記果実の破砕物を含む原料液に前記砕物とは別に糖類を、原料液中における糖類の合計の含有量(果実由来の糖は含まない)が55質量%以上となるように添加する糖類添加工程と、前記酵素処理工程および前記糖類添加工程を終えた後、加熱殺菌処理を行う殺菌工程とを有することを特徴とする。
記糖類がショ糖、果糖、ブドウ糖、マルトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、パノース、トレハロース、スクラロース、デキストリン、および水あめからなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
前記果実が赤色系の果実であることが好ましい。
本発明は、本発明の製造方法でフルーツソースを製造し、得られたフルーツソースを容器に収容する、フルーツソース製品の製造方法を提供する

本発明によれば、果実由来成分の含有量が多く、保存中に色調の変化が生じにくく、かつ良好な流動性を有するフルーツソースが得られる。
参考例1の結果を示すグラフである。
本発明におけるブリックス糖度の値は、屈折式糖度計(屈折率を測定して蔗糖液の濃度に換算する糖度計)で測定して得られる値である。
本発明における粘度の値は、ボストウィック粘度計により測定される値である。ボストウィック粘度計は、細長い容器(トラフ)がゲートによって2つの区画に分かれており、容量が小さい区画(リザーバー)に所定量のサンプルを入れ、ゲートを開けるとサンプルが大きい区画に流れ出るようになっている。大きい区画には目盛りが設けられており、所定時間内にサンプルが流れた距離(ゲートからの距離)を計測できるようになっている。リザーバーに、所定の測定温度(サンプル温度)のサンプルを入れ、ゲートを開けてから所定の測定時間に流れた距離(単位:cm)を測定する。
本発明のフルーツソースは、アントシアニン系色素を有する果実の粉砕物と、糖類を含む。
<果実の粉砕物>
アントシアニン系色素を有する果実としては、保存中に色調が変化しやすく、本発明による変色防止効果が充分に得られやすい点で、赤色系の果実が好ましい。赤色系の果実としては、例えばラズベリー、ストロベリー、カーランツ(カシス)、グーズベリー(スグリ)、サクランボ、クランベリー等が挙げられる。
果実にはペクチンが含まれており、その含有量は果実の種類によって異なる。例えばラズベリーのペクチン含有量は1.3〜1.9質量%程度、ストロベリーは0.60質量%程度、カーランツ(カシス)は1.0〜2.1質量%程度、グーズベリー(スグリ)は0.5〜1.2質量%程度、サクランボは0.2〜0.5質量%程度、ブドウは0.2〜0.3質量%程度、ブルーベリーは0.41質量%程度であることが知られている。
アントシアニン系色素を有する果実として、本発明における酵素分解処理を行うことによる効果が大きい点で、ペクチン含有量が多い果実を用いることがより好ましい。例えば、ペクチン含有量が0.5質量%以上の果実が好ましく、0.6質量%以上の果実がより好ましい。
果実の粉砕物は、果実およびその搾汁の両方を含む混合物であり、フルーツソースは該混合物を含む。
果実の粉砕物として、市販のピューレを用いることができる。該ピューレは変色防止のために加糖されたものであってもよい。加糖ピューレは果実の粉砕物と糖類の混合物であり、加糖ピューレ中の糖類は、果実の粉砕物とは別に含まれる糖類に該当する。
本発明における果実由来成分の含有量とは、ジャム類の日本農林規格の第2条に規定されている果実等含有率を意味し、果実およびその搾汁の合計の含有量である。
本発明のフルーツソースの果実由来成分の含有量は30〜60質量%であり、30〜50質量%が好ましく、30〜40質量%がより好ましい。上記範囲の下限値以上であると、果実由来の風味が充分に得られやすい。上限値以下であると他の成分の含有量との良好なバランスが得られやすい。
<糖類>
果実の粉砕物とは別に添加する糖類としては、フルーツソースまたはジャム類の分野において公知の糖類を適宜用いることができる。糖類の種類は、得ようとする甘さに応じて適宜選択することができる。2種以上の糖類を併用してもよい。固形物の糖であってもよく、例えばブドウ糖果糖液糖や水あめ等の液糖であってもよい。
良好な耐変色性が得られるとともに、良好な風味が得られやすい点でショ糖、果糖、ブドウ糖、マルトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、パノース、トレハロース、スクラロース、デキストリン、および水あめからなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましく、該糖類がこれらの群から選ばれる1種以上からなることがより好ましい。
該糖類がショ糖および/又はブドウ糖を含むことが好ましく、少なくともショ糖を含むことが特に好ましい。
フルーツソースにおける糖類の合計の含有量(固形分の含有量。果実由来の糖は含まない。)は55〜75質量%であり、55〜72質量%が好ましい。該糖類の合計の含有量には、果実の粉砕物とは別に添加される糖類のほかに、例えば加糖ピューレ中の糖類も含まれる。該糖類の合計の含有量が上記範囲の下限値以上であると良好な耐変色性が得られやすく、上限値以下であると良好な風味および流動性が得られやすい。
また糖類の含有量が上記の範囲であり、かつフルーツソースのブリックス糖度が60〜75度であることが好ましい。該ブリックス糖度が上記の範囲であると、フルーツソースとして良好な風味が得られやすい。該ブリックス糖度は65〜70度がより好ましい。
<酵素>
本発明のフルーツソースは、果実の粉砕物を酵素分解処理する酵素処理工程を経て製造され、フルーツソースに含まれる果実の粉砕物は酵素分解処理されている。
酵素としてはペクチナーゼが用いられる。ペクチナーゼは高等植物の細胞壁に含まれているペクチン質を分解する酵素群の総称であり、主として下記3種類の酵素に分類できる。すなわちポリガラクチュロナーゼ(ペクチン酸を加水分解する酵素)、ペクチンリアーゼ(ペクチン酸を脱離反応で分解する酵素)、およびペクチンエステラーゼ(ペクチンのメチルエステル結合を分解する酵素)の3種類である。
市販のペクチナーゼ酵素には、通常これらの酵素が混在して含まれており、一般にはセルラーゼも含まれている。本発明において酵素としてペクチナーゼの他にセルラーゼを併用しても構わない。
酵素分解処理は、果実の粉砕物に、または果実の粉砕物と水を含む液に、酵素を添加して該酵素が働く酵素処理温度に保持して行う。
酵素処理温度は酵素が働く温度であり、ペクチナーゼの場合は40〜50℃、ペクチナーゼとセルラーゼの混合物を用いる場合も40〜50℃が好ましい。
酵素の添加量および保持時間は、果実の粉砕物中のペクチンの全部が酵素分解されるのに充分な量および時間であることが好ましい。
<その他の成分>
本発明のフルーツソースは、本発明の効果を損なわない範囲で、従来のフルーツソースまたはジャム類の分野において公知の成分を適宜含有させることができる。ペクチンは添加しないことが好ましい。
フルーツソースに任意に添加されるその他の成分は、ジャム類の日本農林規格の第3条に規定されている「食品添加物以外の原材料」、「食品添加物」、および水からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
該日本農林規格に規定されている「食品添加物以外の原材料」は、糖アルコール、はちみつ、酒類、およびかんきつ類の果汁からなる群から選ばれる1種以上である。
該日本農林規格に規定されている「食品添加物」は、酸味料、pH調整剤、酸化防止剤、ゲル化剤、および香料である。本発明では、ゲル化剤を使用せずに適度な粘度のフルーツソースを得ることができる。したがって、ゲル化剤は添加しないことが好ましい。また本発明では、酸化防止剤または着色料を使用せずに良好な色調のフルーツソースを得ることができる。食品添加物の含有量が少ない方が本物嗜好の消費者に受け入れられやすく、この点では、本発明のフルーツソースに含まれる食品添加物が、酸味料、pH調整剤、および香料からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、酸味料およびpH調整剤からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
酸味料としては、クエン酸、DL−酒石酸、L−酒石酸、およびDL−リンゴ酸らなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
pH調整剤としては、クエン酸三ナトリウムが好ましい。
本発明のフルーツソースのpHは特に限定されないが、変色抑制および流動性の確保の点で2.9〜3.5が好ましく、3.2〜3.3がより好ましい。
<フルーツソース製品>
本発明のフルーツソースは容器に収容されてフルーツソース製品とされる。容器の形態は特に限定されず、公知のものを適宜用いることができる。特に本発明のフルーツソースは流動性が良好であるため、ポーション容器に収容された製品形態に好適である。
ポーション容器は、通常、開口部を有する容器と、該開口部を開口可能に閉じる蓋とからなる。形状は特に限定されない。蓋は容器にヒートシールされてもよく、着脱自在に設けられていてもよい。
<製造方法>
本発明のフルーツソースの製造方法は、酵素処理工程と糖類添加工程と殺菌工程を有する。
[酵素処理工程]
酵素処理工程では、果実の破砕物を含む原料液に、酵素を添加し、所定の酵素処理温度に保持して酵素分解処理を行う。該原料液は果実の破砕物のみからなっていてもよい。
[糖類添加工程]
糖類添加工程では、原料液に、果実の破砕物とは別に糖類を添加する。
本発明のフルーツソースにおける糖類の合計の含有量(果実由来の糖は含まない)は、上述したように55〜75質量%であり、好ましくは55〜72質量%である。本発明の製造方法において、製造工程中における質量の変動はほとんどないため、原料液中における糖類の合計の含有量(固形分の含有量。果実由来の糖は含まない)を、得ようとするフルーツソースにおける糖類の合計の含有量と同じに設定することができる。すなわち、原料液中における糖類の合計の含有量は55〜75質量%であり、好ましくは55〜72質量%である。
果実の破砕物とは別に糖類を添加するタイミングは、(1)原料液に酵素を添加する前でもよく、(2)原料液に酵素を添加した後かつ酵素分解処理前でもよく、または(3)酵素分解処理後であってもよい。
(1)の場合、果実の破砕物と前記糖類とを含む原料液に、酵素を添加し、酵素処理温度に保持して酵素分解処理を行う。酵素を添加する時点で、原料液の温度が酵素処理温度になっていることが好ましい。
(2)の場合、果実の破砕物を含む原料液に酵素を添加し、次いで糖類を添加した後に、原料液を酵素処理温度に加温し、保持して酵素分解処理を行う。
(3)の場合、果実の破砕物を含む原料液に酵素を添加し、酵素処理温度に保持して酵素分解処理を行った後に、糖類を添加する。酵素を添加する時点で、原料液の温度が酵素処理温度になっていることが好ましい。
(1)〜(3)のいずれにおいても、必要に応じて水を添加することができる。また、糖類を溶解させるために、必要に応じて、酵素分解処理を妨げない範囲で加熱を行ってもよい。
[殺菌工程]
酵素処理工程および糖類添加工程を終えた後、加熱殺菌処理を行うことによってフルーツソースが得られる。
加熱殺菌条件は、酵素が失活する条件とすることが好ましい。例えば75〜80℃を約1分間保持する条件、またはこれと同等の殺菌効果が得られる条件が好ましい。例えば95℃達温で行うことができる。
なお、加熱殺菌時に酵素が失活しない場合は、別途加熱を行って酵素を失活させればよい。
フルーツソースにその他の成分を含有させる場合、該その他の成分を添加するタイミングは、酵素分解処理を妨げない範囲であればよく特に限定されない。その他の成分の添加によって原料液のpHが変化する場合は、酵素処理工程を終えた後に添加することが好ましい。
[フルーツソース製品の製造]
殺菌工程で得られたフルーツソースを、好ましくは無菌的に容器に収容して密封した後、常温まで放冷することにより、フルーツソース製品が得られる。
<粘度>
このようにして得られる本発明のフルーツソースは、例えばジャム類と同程度に果実等含有率およびブリックス糖度を高くしても、粘度が低く、かつ流動性が良好であるという特徴を有する。
具体的には、ボストウィック粘度計による、測定温度5℃、測定時間5秒のときの粘度が10〜18cmであるような流動性を有するフルーツソースが得られる。フルーツソースの粘度がこの範囲であれば、フルーツソースが収容された容器を傾けるだけで容易に流れ出るため使い勝手がよい。またフルーツソースの粘度が低すぎるとポーション容器の蓋を開けたときなどに中身が飛び散る場合があるが、フルーツソースの粘度が上記範囲の上限値以下であると、かかる飛び散りが良好に防止されやすい。
またフルーツソースの粘度は上記の範囲内であって、フルーツソースと一緒に食される食品の性状に応じて、良好な風味および食感が得られるように設定することが好ましい。
例えばヨーグルト用のフルーツソースの上記粘度(測定温度5℃、測定時間5秒)としては、10〜15cmが好ましく、11〜14cmがより好ましい。
<色度>
本発明のフルーツソースは保存中の変色が良好に抑えられるという特徴を有する。
例えば、アントシアニン系色素を有する果実としてラズベリーを用いた場合、フルーツソースの色は鮮やかな赤系であって、国際照明委員会(CIE)で規定される色差式(CIE L*a*b*表色系)による色度のa*値が40〜60であることが好ましい。ここで、L*軸は明るさを表す明度軸であり、0に近いと黒、100に近いと白を表すものである。a*軸は緑〜赤を表し、マイナスは緑、プラスは赤を表すものである。b*軸は青〜黄を表し、マイナスは青、プラスは黄を表すものである。
ラズベリーソースの色調として違和感がなく製品として許容されるために、製造直後の上記a*値が40〜60の範囲内であり、かつ製造後37℃で30日間で保存した場合でも、該a*値が40〜60の範囲内に保たれていることが好ましい。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<測定方法>
以下の例において下記の測定方法を用いた。
[ブリックス糖度]
デジタル屈折計(製品名:Refractometer RX−5000、アタゴ社製)を用い、25℃に温度調整されたサンプルのブリックス糖度を測定した。測定は3回繰り返して行い平均値を求めた。
[pH]
pHメーター(製品名:pH METER F−12、堀場製作所社製)を用い、25℃に温度調整されたサンプルについてpHを測定した。
[粘度・流動性]
測定装置:ボストウィック粘度計(製品名:ボストウィックコンシストメーター、CSC SCIENTIFIC社製、測定限界24cm)を用いた。
サンプル調製:サンプルを100g計量し、5℃の冷蔵庫内に一晩静置して5℃のサンプルとした。
測定方法:ボストウィック粘度計の小さい区画(リザーバー、縦、横各5cm、高さ3.7cm)に、所定の測定温度(サンプル温度)に調整された100gのサンプルを入れ、ゲートを開けてから所定の測定時間に、幅5cmのトラフ内を流れた距離(単位:cm)を測定した。測定温度(サンプル温度)は5℃、測定時間は5秒間とした。
また、測定温度5℃、測定時間5秒のときの粘度の測定結果に基づいて、サンプルの流動性を下記の基準で評価した。
◎(優れている):11.0cm以上
○(良好):10.0cm以上、11.0cm未満
△(やや不良):9.0cm以上、10.0cm未満
×(不良):9.0cm未満
[果実由来の風味の評価(官能評価)]
サンプル10gをポーション容器に充填し、蓋をヒートシールしたラズベリーソース製品を、5℃の冷蔵庫内に一晩静置して5℃のサンプルとした。
得られたサンプルを10名のパネラーが試食し、果実由来の風味(ラズベリーの風味)について下記の基準で評価した。
3点:果実由来の風味が良好に感じられる。
2点:果実由来の風味はあるが物足りない。
1点:果実由来の風味があまり感じられず、甘いだけのソースである。
10名の評価結果の平均値に基づき、果実由来の風味(ラズベリーの風味)を下記の基準で評価した。
○(良好):平均値が2.5以上
△(やや不足):平均値が1.5以上、2.5未満
×(不足):平均値が1.5未満
[色度の測定]
色差計(製品名:COLOR READER CR−13、MINOLTA社製、測定径8mm)を用い、25℃に温度調節されたサンプルの、色差式(CIE L*a*b*表色系a*値、b*値、L*値)による色度を測定した。測定は5回繰り返して行い平均値を求めた。
[原料]
表1に記載した原料は以下の通りである。
・ラズベリーピューレ(1):冷凍フランボワーズピューレ(製品名)、PONTHIER社製を解凍したもの。果実由来成分88質量%、果糖ブドウ糖液糖を12質量%含む。ペクチン含有量は1.41質量%。
・ラズベリーピューレ(2):セルビア産冷凍ラズベリー(製品名)、(株)jam社製を解凍したもの。果実由来成分100質量%、ペクチン含有量は1.6質量%。
・ショ糖:北海道糖業社製。
・果糖:ダニスコスイートナーズOy社製。
・砂糖混合ブドウ糖果糖液糖:群栄化学工業社製。糖類(ショ糖、ブドウ糖および果糖)の合計の含有量は75質量%。
・水あめ:群栄化学工業社製。糖類(ブドウ糖、オリゴ糖類、多糖類(デキストリンなど)等)の合計の含有量は75質量%。
・ペクチナーゼ:製品名:ペクチナーゼG「アマノ」、天野エンザイム社製。
・クエン酸:COFCO社製。
・クエン酸三ナトリウム:昭和化工社製。
<実施例1〜3>
表1に示す配合でラズベリーソースを製造した。
まず、ラズベリーピューレを解凍したものを、目の大きさが0.5mmの裏漉し器を通してなめらかにし、真空蒸気釜に投入し、45℃まで昇温した。
ここに、ペクチナーゼを少量の水に溶解したものを添加し、45℃で15分間保持して酵素分解処理を行った。実施例1〜3におけるペクチナーゼの添加量は、理論的には、各例においてラズベリーピューレ中のペクチンを15分間で酵素分解処理できる充分量である。
次いで、糖類、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、水を添加した。
その後、さらに昇温し、95℃達温で加熱殺菌および酵素失活を行ってラズベリーソースを得た。
得られたラズベリーソースを10gずつポーション容器に充填し、蓋をヒートシールした後、常温まで放冷してラズベリーソース製品を得た。
ポーション容器に充填される前のラズベリーソースの一部を採取してサンプルとし、上記の方法でブリックス糖度、pH、粘度を測定し、流動性を評価した。結果を表1に示す。
得られたラズベリーソース製品について、上記の方法で果実由来の風味を官能評価した。
表1には、全原料中の果実由来成分の含有量、ペクチンの含有量、および糖類の合計の含有量も記載する。製造工程中における質量の変動は無視できる程度に小さく、全原料中における含有量と、得られたラズベリーソース中における含有量は同じとみなすことができる。
[保存試験]
(色差式(CIE L*a*b*表色系)による色度)
製造直後のラズベリーソース製品、および37℃で30日間保存した後のラズベリーソース製品について、上記の方法で色度を測定しa*値を求めた。該a*値の経時変化が小さいほど変色が抑制されており耐変色性が良いことを示す。結果を表1に示す。
(耐変色性の官能評価)
実施例1の製造直後の製品の色調は鮮やかな赤系の良好な色であり(a*値=52.3)これを標準品とした。37℃で30日間保存した後のラズベリーソース製品を目視で観察し、標準品の色調(a*値=52.3)と比べて、下記の基準で耐変色性を評価した。評価は、訓練されたパネラー3名で行い、各パネラーの評価点をパネラー間で協議して、最終的な評価を決定した。パネラー3名の評価の差が1点を超えることはなかった。例えば3名のパネラーの評価が5点で一致する場合の最終評価は5点とし、5点と4点に評価が分かれる場合の最終評価は4.5点とした。この官能評価の値が大きいほど保存中に色調の変化が生じにくいことを表す。結果を表1に示す。
5点:標準品と同等の色調を有する。
4点:標準品と比べてやや変色が生じているが、標準品と遜色がない品位が保たれている。
3点:標準品と比べて変色が生じているが、商品として許容できる品位が保たれている。
2点:標準品と比べてかなり変色しており、商品として不向きである。
1点:標準品と比べて著しく変色しており、商品としての品位が失われている。
<比較例1〜3>
表1に示す配合で、ペクチナーゼによる酵素処理工程を行わずにラズベリーソース製品を製造した。
まず、実施例1と同様にしてラズベリーピューレを解凍したものを裏漉しして、真空蒸気釜に投入し、さらに糖類、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、水を添加して昇温し、95℃達温で保持する条件で加熱殺菌および酵素失活を行ってラズベリーソースを得た。
得られたラズベリーソースを10gずつポーション容器に充填し、蓋をヒートシールした後、常温まで放冷してラズベリーソース製品を得た。
実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006059980
表1の結果より、実施例1〜3で得られたラズベリーソースは、果実由来成分の含有量が多くて果実由来の風味が良好であるとともに、保存中に色調の変化が生じにくく、かつ流動性に優れていた。
これに対して、糖類の添加量が少ない比較例1は、ペクチナーゼによる酵素処理工程を行わなくても流動性が良好であったが、耐変色性が劣っていた。
比較例2は果実由来成分の含有量を少なくし、糖類の添加量を多くして、ペクチナーゼによる酵素処理工程を行わなかった例である。耐変色性は良好であったが、流動性がやや劣り、果実由来の風味がやや不足していた。
比較例3は、果実由来成分の含有量が多くて果実由来の風味が良好であり、糖類の添加量が多くて耐変色性も良好であるが、ペクチナーゼによる酵素処理工程を行わなかったためゲル化が生じ、流動性は好ましくなかった。
<参考例1>
本例では色差式(CIE L*a*b*表色系)におけるa*値と耐変色性の官能評価との相関性を調べた。
実施例1、2、比較例2で得られたラズベリーソース製品を表2に示す保存条件a〜jで保存した後の各サンプルを目視で観察し、実施例1の製造直後の製品の色調(a*値=52.3)を標準品として上記と同様にして耐変色性の官能評価を行った。
また保存条件a〜jで保存した後の各サンプルについて、上記の方法で色度を測定しa*値を求めた。37℃および45℃での保存は促進試験である。
これらの結果を表3に示すとともに、図1にグラフで示す。図1のグラフの横軸は耐変色性の官能評価の点数を示し、縦軸はa*値を示す。
Figure 0006059980
Figure 0006059980
図1のグラフの結果より、色差式(CIE L*a*b*表色系)におけるa*値が40〜60の範囲内であると官能評価において3.0以上の良好な結果が得られることが判明した。
<実施例4>
実施例1と同じ配合で、糖類を添加するタイミングを、酵素を添加した後かつ酵素分解処理前(反応温度になる前)に変更してフルーツソースを製造した。クエン酸およびクエン酸三ナトリウムは酵素分解処理前に添加した。
まず、実施例1と同様にしてラズベリーピューレを解凍したものを裏漉しして、真空蒸気釜に投入し、ここにペクチナーゼ、糖類、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、水を添加し、40℃に加温して糖類を溶解させた。その後、45℃まで加温し、45℃で15分間保持して酵素分解処理を行った。次いで、95℃達温で加熱殺菌および酵素失活を行ってラズベリーソースを得た。
得られたラズベリーソースを10gずつポーション容器に充填し、蓋をヒートシールした後、常温まで放冷してラズベリーソース製品を得た。
得られたラズベリーソースの流動性は実施例1とほぼ同じであった。
<実施例5>
実施例1と同じ配合で、糖類を添加するタイミングを、酵素を添加する前に変更してフルーツソースを製造した。
まず、実施例1と同様にしてラズベリーピューレを解凍したものを裏漉しして、真空蒸気釜に投入し、さらに糖類、水を添加して45℃まで昇温した。ここにペクチナーゼを添加し、45℃で15分間保持して酵素分解処理を行った。次いで、クエン酸、クエン酸三ナトリウムを添加した後、さらに昇温し、95℃達温で加熱殺菌および酵素失活を行ってラズベリーソースを得た。
得られたラズベリーソースを10gずつポーション容器に充填し、蓋をヒートシールした後、常温まで放冷してラズベリーソース製品を得た。
得られたラズベリーソースの流動性は実施例1とほぼ同じであった。

Claims (4)

  1. 果実由来成分の含有量が30質量%以上であり、ブリックス糖度が60〜75度であり、かつボストウィック粘度計による、測定温度5℃、測定時間5秒のときの粘度が10〜18cmであるフルーツソースを製造する方法であって、
    アントシアニン系色素を有する果実の破砕物を含む原料液に、ペクチナーゼを含む酵素を添加し、該酵素が働く酵素処理温度に保持して酵素分解処理を行う酵素処理工程と、
    前記酵素の添加前、前記酵素の添加後かつ前記酵素分解処理前、または前記酵素分解処理後に、前記果実の破砕物を含む原料液に前記砕物とは別に糖類を、原料液中における糖類の合計の含有量(果実由来の糖は含まない)が55質量%以上となるように添加する糖類添加工程と、
    前記酵素処理工程および前記糖類添加工程を終えた後、加熱殺菌処理を行う殺菌工程とを有することを特徴とするフルーツソースの製造方法。
  2. 前記糖類がショ糖、果糖、ブドウ糖、マルトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、パノース、トレハロース、スクラロース、デキストリン、および水あめからなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項に記載のフルーツソースの製造方法。
  3. 前記果実が赤色系の果実である、請求項1または2に記載のフルーツソースの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法でフルーツソースを製造し、得られたフルーツソースを容器に収容する、フルーツソース製品の製造方法。
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