JP6059593B2 - 皮膜形成用溶液の製造方法及び皮膜形成用溶液 - Google Patents

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本発明は、特に、金属材料の表面への形成に適した皮膜であって、除去が容易な易除去性皮膜を形成するために用いる皮膜形成用溶液の製造方法及び皮膜形成用溶液に関するものである。
金属材料の表面を物理的および化学的に保護することを目的とした皮膜を形成する技術に関し、例えば、特許文献1には、金属板上にケイ酸アルカリ塩水溶液またはケイ酸アルカリ塩とシリカゾルの混合水溶液を塗布して水ガラス系の皮膜を形成する技術が開示されている。特許文献2には水ガラスにリン酸ニ水素ナトリウム、もしくはリン酸ニカリウムを添加することで耐水性と耐エフロレッセンス性に優れた水ガラス系の皮膜を形成する技術が開示されている。
しかし、前記特許記載の水溶液は、何れも、強アルカリ性水溶液であるため、作業安全上の危険性を孕んでいる上、金属材料を長時間、水溶液と接触したままで置くと、殆んどの種類の金属材料、特にアルミニウム、亜鉛の様な両性金属に対して、アルカリ腐食を起す危険性を孕んでいる。またいずれの皮膜も皮膜を乾燥し、強固な皮膜を形成するには80℃以上の加熱乾燥、焼成作業が必要となる。
また前記特許記載の皮膜は何れも長期間の使用に対する部材の保護を目的とした皮膜であり、例えば、加工途中の金属材料の表面を一時的に保護し、後工程における塗装・メッキ・溶接、組み立て等に先立って、皮膜の除去が必要となった場合等に、水での洗い流しという簡易な手段では、皮膜を除去できず、不都合であるという問題があった。
特開2000−176374号公報 特許第2866923号公報
本発明の目的は前記の問題を解決し、強アルカリ性の皮膜形成用水溶液を使用することなく、かつ、加熱乾燥および焼成作業工程を経ることなく金属材料の表面への皮膜形成が可能であって、更に、水での洗い流しという簡易な手段で除去できる易除去性皮膜が形成される皮膜形成用溶液の製造方法及び皮膜形成用溶液を提供することである。
上記課題を解決するためになされた請求項1の皮膜形成用溶液の製造方法は、 :50〜80mol%、R O:5〜20mol%、SiO :5〜32mol%、R’O:0.5〜30mol%(R:アルカリ金属の1種または2種以上、R’:Mg、Ca,Sr、Ba、Znの1種または2種以上)の組成を有するガラスを水と接触させて、ガラス成分由来の元素を溶出させ、溶出液中におけるB、アルカリ金属R、Si、2価の酸化数を取り得る金属R’、各元素濃度の合計を100質量%としたとき、B、R、Si、R’の各濃度が、「B濃度:47〜70質量%、かつR濃度:16〜36質量%、かつ、Si濃度:0.5〜22質量%、かつR’濃度:0.3〜17質量%」の範囲に維持された皮膜形成用溶液を得ることを特徴とすることを特徴とするものである。
また本発明の皮膜形成用溶液は、請求項1に記載の皮膜形成用溶液の製造方法で得られた皮膜形成用溶液であって、前記溶出液中におけるB、アルカリ金属R、Si、2価の酸化数を取り得る金属R’、各元素濃度の合計を100質量%としたとき、B、R、Si、R’の各濃度が、常時、「B濃度:47〜70質量%、かつR濃度:16〜36質量%、かつ、Si濃度:0.5〜22質量%、かつR’濃度:0.3〜17質量%」の範囲に維持されていることを特徴とするものである。
本発明では、Bを主成分とするガラスを水と接触させ、該水中に前記ガラス成分由来の元素を溶出させることにより、B、R、Si、R’(R:アルカリ金属の1種または2種以上、R’:Mg、Ca,Sr、Ba、Znの1種または2種以上)各元素濃度の合計を100質量%としたとき、B、R、Si、R’の各濃度が、常時、「B濃度:47〜70質量%、かつR濃度:16〜36質量%、かつ、Si濃度:0.5〜22質量%、かつR’濃度:0.3〜17質量%」の範囲に維持される、弱アルカリ性の皮膜形成用溶液を得ることができる。
当該化学組成からなる皮膜形成用溶液により形成される皮膜は、皮膜形成用溶液を得る際に用いた「Bを主成分とするガラス」と同等の化学組成を有する皮膜となる。ただし、この皮膜では、構成原子間が、皮膜形成用溶液を得る際に用いた「Bを主成分とするガラス」よりも、弱い結合力で結合されているため、水での洗い流しという簡易な手段で除去することができる。
実施例1の条件で得た水溶液を用いて皮膜形成を行った鉄片の観察画像である。 比較例3の条件で得た水溶液を用いて皮膜形成を行った鉄片の観察画像である。 皮膜形成を行っていない鉄片の観察画像である。 図1の皮膜を蒸留水で洗浄し、拭き取りにより水分を除去した後の観察画像である。 図2の皮膜を蒸留水で洗浄し、拭き取りにより水分を除去した後の観察画像である。
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
本実施形態では、水溶性のB−RO−SiO−R’O系ガラスであって、B:50〜80mol%、RO:5〜20mol%、SiO:5〜32mol%、R’O:0.5〜30mol%(R:アルカリ金属の1種または2種以上、R’:Mg、Ca,Sr、Ba、Znの1種または2種以上)の化学組成を有するガラスを水と接触させて皮膜形成用溶液を得ている。
上記組成を有するガラスを水と接触させて得られた皮膜形成用溶液は、その溶出液中におけるB、R、Si、R’(R:アルカリ金属の1種または2種以上、R’:Mg、Ca,Sr、Ba、Znの1種または2種以上)各元素濃度の合計を100質量%としたとき、B、R、Si、R’の各濃度が、常時、「B濃度:47〜70質量%、かつR濃度:16〜36質量%、かつSi濃度:0.5〜22質量%、かつR’濃度:0.3〜17質量%」の範囲に維持されている。
上記化学組成からなる皮膜形成用溶液は、乾燥性に優れるため、加熱乾燥および焼成作業工程を経ることなく、自然乾燥により皮膜を形成することができる。皮膜を金属材料に塗布する方法としては特に制限はなく、皮膜形成用溶液をディッピング、刷毛塗り、ローラー塗り、スプレー、スピンコートなど一般的な方法を使用することができる。乾燥条件について、皮膜は加熱乾燥により、耐水性が向上する傾向にある。このため、水での洗い流しという簡易な手段で除去できる易除去性皮膜の皮膜を得るためには室温で乾燥することが好ましい。また作業をより簡便なものとするためにも、室温での乾燥が好ましい。
Bは皮膜を構成する主成分であり、室温における皮膜の乾燥と水での洗い流しを可能とする。B濃度が47質量%未満の場合には、自然乾燥による皮膜形成が難しくなる。また皮膜形成用溶液のpHが高くなり、作業安全性に危険性を孕むほか、長時間金属材料を水溶液と接触したままで置くとアルカリ腐食が起こる危険性を孕む。一方、70質量%超の場合には、皮膜中に粗大結晶が析出し易く、均質で平滑な皮膜が出来ないため、好ましくなく、また、皮膜の吸湿性および水溶性が過度に高くなり、使用環境がごく限られたものとなるため、実用性に欠く。
R(アルカリ金属の1種または2種以上)はガラスから皮膜形成用溶液へのシリカ成分の溶出を可能とし、皮膜形成用溶液中に溶出したシリカ成分中のシラノール基(≡Si−OH)の反応性を抑える効果がある。皮膜形成用溶液の原料となるガラス中のROを5〜20mol%とした場合、その溶出液には、Rが、濃度:16〜36質量%で溶出される。Rが16質量%未満の場合には、ガラスからのシリカ成分の溶出が抑制されるとともに、溶出液中に溶出したシリカ成分中のシラノール基が脱水縮合反応を起こしてしまい、シリカ成分が溶液中で凝集、沈殿してしまう。このため、皮膜中にシリカ成分を取り込むことが難しくなるだけでなく、皮膜形成工程において、シリカゲルの網目を発展させることができなくなる。またRが16質量%未満の場合には、そもそも、皮膜形成用溶液の原料となるガラスを形成することができない。具体的には、BとSiOとR’O(R’:Mg、Ca,Sr、Ba、Znの1種または2種以上)のみでは、各成分が均質に相溶したガラスが形成されないため、Rは、皮膜形成用溶液の原料となるガラス(B:50〜80mol%、RO:5〜20mol%、SiO:5〜32mol%、R’O:0.5〜30mol%の化学組成を有するガラス)の必須成分となる。R濃度が30質量%超の場合には、皮膜形成用溶液のpHが高くなり、作業安全性に危険性を孕むほか、長時間金属材料を水溶液と接触したままで置くとアルカリ腐食が起こる危険性を孕む。また後述する皮膜の微小なひび割れ、欠損部に形成される水の膜のpHが7.5 〜9.5の範囲を超えて高くなるため、アルカリ腐食の点で好ましくない。
R’(Mg、Ca,Sr、Ba、Znの1種または2種以上)は皮膜形成時にシリカ成分のシラノール基と反応することで、皮膜中にシリカゲルの網目構造を発展させ、皮膜の強度を高め、水への溶解性を抑える効果がある。R’濃度が0.3質量%未満の場合には、皮膜の強度が低下し、水溶性は過度に高くなるため好ましくない。一方、R’濃度が17質量%超の場合には、皮膜の表面粗れが生じ、均一で平滑な皮膜形成が行われず好ましくない。
Siは皮膜中にシリカゲルの網目を形成し、均質で平滑な皮膜を形成すると共に皮膜の強度を高め、水への溶解性を抑えるための必須成分である。Si濃度が0.5質量%未満の場合には、均質で平滑な皮膜の形成が行われず、また皮膜の強度が低下し、水溶性は過度に高くなるため、好ましくない。一方、上記のように、他の元素を必要量確保するためには、Si濃度を22質量%未満に抑制することが必要となる。
なお、上記のように、ガラスからの溶出という手法ではなく、金属酸化物、金属水酸化物、金属塩のような低分子化合物(例えばNaSiO、B(OH)、Ca(OH))の混合物を、その成分組成比が、前記のガラスと同様、B:50〜80mol%、RO:5〜20mol%、SiO:5〜32mol%、R’O:0.5〜30mol%(R:アルカリ金属の1種または2種以上、R’:Mg、Ca,Sr、Ba、Znの1種または2種以上)となるように調整した後、この混合物を水に溶解させて水溶液を得た場合には、表1に示すように、その溶出液中におけるB、R、Si、R’各元素濃度の合計を100質量%としたときの、B、R、Si、R’の各濃度を常時、「B濃度:47〜70質量%、かつR濃度:16〜36質量%、かつSi濃度:0.5〜22質量%、かつR’濃度:0.3〜17質量%」の範囲とすることができず、特に、Si濃度のコントロールが困難であり、安定した品質の皮膜形成を行うことができない。これはこの原材料系から生成されるシラノール基を有するシリカ成分が溶液中で不安定であり、シラノール基が溶液中で脱水縮合反応を起こしてしまい、シリカ成分が溶液中で凝集、沈殿してしまうためであると考えられる。
この皮膜形成用溶液は、pH7.5 〜9.5の弱アルカリ性の緩衝作用を備えるため、金属材料への塗布する際に、作業安全上の危険性を回避することができる。また金属部材、特にアルミニウム、亜鉛の様な両性金属がこの皮膜形成用溶液と長時間接触した際に、アルカリ腐食を起す危険性を回避することが出来る。
上記化学組成からなる皮膜形成用溶液により形成される皮膜は、皮膜形成用溶液を得る際に用いた「Bを主成分とするガラス」と同等の化学組成を有する皮膜となる。皮膜形成溶液には「Bを主成分とするガラス」の溶出により、ポリホウ酸イオン(例えばB(OH) 、B(OH) −およびB(OH) )、Rイオンにより水溶液中での分散安定性を増したシラノール基(≡Si−OH)を有するケイ酸のモノマー、オリゴマー、環状体、またはコロイドなどのシリカ成分、RイオンおよびR’イオンが存在し、これらの全成分中のB、R、Si、R’各元素濃度の比は皮膜形成用溶液を得る際に用いた「Bを主成分とするガラス」と同等である。(R:アルカリ金属の1種または2種以上、R’:Mg、Ca,Sr、Ba、Znの1種または2種以上)この水溶液を金属表面に塗布した後、乾燥を行うことでポリホウ酸イオンとRイオンから、ホウ酸(HBO)およびポリホウ酸の金属塩(例えば ホウ砂Na・10HO)の皮膜が形成される。この際、シラノール基を有するシリカ成分およびR’イオンも同時に皮膜内へ取り込まれることになる。乾燥が進むにつれて、Rイオンはポリホウ酸イオンおよびシリカ成分中のシラノール基の一部と反応し、アルカリ金属塩として皮膜中に固定化される。Rイオンが固定化されることで安定性を失った残りのシリカ成分中のシラノール基はお互いが脱水縮合反応を起こすことに加え、R’イオンと反応することで、皮膜中でシリカゲルの網目を発展させる。これらの結果、ホウ酸、ポリホウ酸の金属塩とシリカゲルの網目が高度に複合化した皮膜が形成されることとなり、ホウ酸および/またはポリホウ酸の金属塩単独成分の水溶液から作成される皮膜に対して、均質かつ平滑で耐水性と強度に優れる皮膜が形成されると考えられる。ただし、この皮膜では、ホウ酸、ポリホウ酸の金属塩の微結晶がシリカゲルの網目構造と複合化したものであり、皮膜形成用溶液を得る際に用いた「Bを主成分とするガラス」よりも、溶解性が高く、水での洗い流しという簡易な手段で除去することができる。
水溶液の評価:
(実施例1〜6)
下記(表1)の組成のガラスを、水に対し、0.1質量%の割合で添加して、下記(表2)の組成の水溶液(本発明の皮膜形成用溶液)を得た。
(比較例1〜3)
実施例1〜6のように、ガラスからの溶出という手法ではなく、NaSiO、B(OH)、Ca(OH)の混合物(下記(表3)の組成からなる混合物)を、水に溶解させて、下記(表4)の組成の水溶液(本発明の皮膜形成用溶液)を得た。
(比較例4〜11)
下記(表5)の組成のガラスを、水に対し、0.1質量%の割合で添加して、下記(表6)の組成の水溶液を得た。
上記、表4、表6に示す各組成からなる水溶液は、B濃度、R濃度、Si濃度、R’濃度の何れかが、「B濃度:47〜70質量%、かつR濃度:16〜36質量%、かつ、Si濃度:0.5〜22質量%、かつR’濃度:0.3〜17質量%」の範囲に維持されていないため、各々各濃度の過不足による下記の欠点を有し、本発明の効果(強アルカリ性の皮膜形成用水溶液を使用することなく、かつ、加熱乾燥および焼成作業工程を経ることなく金属材料の表面への皮膜形成が可能であって、更に、水での洗い流しという簡易な手段で除去できる)を得ることができない。
(比較例1:Na不足)
Na不足「そもそも、皮膜形成用溶液の原料となるガラスを形成することができない。」
(比較例2:Na不足、Si不足)
Na不足「そもそも、皮膜形成用溶液の原料となるガラスを形成することができない。」
Si不足「均質で平滑な皮膜の形成が行われず、また皮膜の強度が低下し、水溶性は過度に高くなるため、好ましくない。」
(比較例3:B過剰、Si不足)
B過剰「皮膜中に粗大結晶が析出し易く、均質で平滑な皮膜が出来ないため、好ましくなく、また、皮膜の吸湿性および水溶性が過度に高くなり、使用環境がごく限られたものとなるため、実用性に欠く。」
Si不足「均質で平滑な皮膜の形成が行われず、また皮膜の強度が低下し、水溶性は過度に高くなるため、好ましくない。」
(比較例4:Ca不足、Si過剰)
Ca不足「皮膜の強度が低下し、水溶性は過度に高くなるため好ましくない。」
Si過剰「他の元素を必要量確保するためには、Si濃度を22質量%未満に抑制することが必要となる。」
(比較例5:B不足、Ca過剰)
B不足「自然乾燥による皮膜形成が難しくなる。また皮膜形成用溶液のpHが高くなり、作業安全性に危険性を孕むほか、長時間金属材料を水溶液と接触したままで置くとアルカリ腐食が起こる危険性を孕む。」
Ca過剰「皮膜の表面粗れが生じ、均一で平滑な皮膜形成が行われず好ましくない。」
(比較例6:B不足、)
B不足「自然乾燥による皮膜形成が難しくなる。また皮膜形成用溶液のpHが高くなり、作業安全性に危険性を孕むほか、長時間金属材料を水溶液と接触したままで置くとアルカリ腐食が起こる危険性を孕む。」
(比較例7:B不足、Ca過剰)
B不足「自然乾燥による皮膜形成が難しくなる。また皮膜形成用溶液のpHが高くなり、作業安全性に危険性を孕むほか、長時間金属材料を水溶液と接触したままで置くとアルカリ腐食が起こる危険性を孕む。」
Ca過剰「皮膜の表面粗れが生じ、均一で平滑な皮膜形成が行われず好ましくない。」
(比較例8:B不足、)
B不足「自然乾燥による皮膜形成が難しくなる。また皮膜形成用溶液のpHが高くなり、作業安全性に危険性を孕むほか、長時間金属材料を水溶液と接触したままで置くとアルカリ腐食が起こる危険性を孕む。」
(比較例9:B不足、Si不足)
B不足「自然乾燥による皮膜形成が難しくなる。また皮膜形成用溶液のpHが高くなり、作業安全性に危険性を孕むほか、長時間金属材料を水溶液と接触したままで置くとアルカリ腐食が起こる危険性を孕む。」
Si不足「均質で平滑な皮膜の形成が行われず、また皮膜の強度が低下し、水溶性は過度に高くなるため、好ましくない。」
(比較例10:B過剰)
B過剰「皮膜中に粗大結晶が析出し易く、均質で平滑な皮膜が出来ないため、好ましくなく、また、皮膜の吸湿性および水溶性が過度に高くなり、使用環境がごく限られたものとなるため、実用性に欠く。」
(比較例11:B過剰、Ca不足)
B過剰「皮膜中に粗大結晶が析出し易く、均質で平滑な皮膜が出来ないため、好ましくなく、また、皮膜の吸湿性および水溶性が過度に高くなり、使用環境がごく限られたものとなるため、実用性に欠く。」
Ca不足「皮膜の強度が低下し、水溶性は過度に高くなるため好ましくない。」
皮膜の画像観察結果:
厚み0.3mmの冷間圧延鋼板(JiS G3141)を8mm角に切断して鉄片を作成し、アセトンで洗浄後、上記実施例1および比較例2の条件で得た水溶液に浸漬させ、引き上げ、室温で一晩乾燥させた。これらの、皮膜形成を行った鉄片、および、皮膜形成を行っていない鉄片を用いて、EPMAによる観察を行った結果を下記に示している。なお、皮膜形成を行った鉄片では、皮膜の厚みを確保するために、水溶液の滴が乾燥した部分を中心に観察を行った。
図1には、実施例1の条件で得た水溶液を用いて皮膜形成を行った鉄片の観察画像を示し、図2には、比較例3の条件で得た水溶液を用いて皮膜形成を行った鉄片の観察画像を示し、図3には、皮膜形成を行っていない鉄片の観察画像を示している。図4には、図1の皮膜を蒸留水で洗浄し、拭き取りにより水分を除去した後の観察画像を示し、図5には、図2の皮膜を蒸留水で洗浄し、拭き取りにより水分を除去した後の観察画像を示している。
皮膜が形成されていない図3の画像では、鉄表面の凹凸が確認でき、特に、丸くえぐられた形状(クレーター状)の凹部が多く点在していることが確認できる。これに対し、図1、図2の画像では、前記の凹部が認められず、表面に亀裂の存在(例えば、図2において、○で囲んだ部分)が確認できることから、皮膜が形成されていることが確認できる。
また、図1、図2の対比により、実施例1の条件で形成された皮膜(すなわち、ガラスの溶出液から形成された皮膜)は、皮膜は非常に表面が滑らかであるのに対し、比較例3の条件で形成された皮膜(すなわち、NaSiO、B(OH)、Ca(OH)の混合物(下記(表3)の組成からなる混合物)を、水に溶解させて得た水溶液から形成された皮膜)は、混合物の原料成分の析出物と思われる塊が散在している(表面が滑らかではない)のが確認できる。
図3と、図4、図5の対比により、実施例1、比較例3の何れの条件で形成された皮膜も、水での洗い流しにより除去できることが確認されたが、前記のように、比較例3は、B濃度が過剰であるため、皮膜中に粗大結晶が析出し易く、均質で平滑な皮膜が出来ないことに加え、皮膜の強度が低下するため、好ましくない。
なお、水ガラス系の皮膜に関しては、水ガラスはケイ酸ナトリウムの高濃度水溶液であり、水ガラス単独では、アルカリ金属の潮解性とアルカリ金属イオンによるシラノール基の縮合反応抑制作用により、室温での乾燥、硬化が困難であることは公知である。乾燥時間を長く採ることで得られた皮膜は水溶性とはなるものの、皮膜から溶け出す水ガラスは粘調な水溶液となるため、水での洗い流しは容易ではない。乾燥および硬化を促進する目的でケイ化物、金属酸化物、ポリリン酸、金属粉末などの硬化触媒を添加した場合、シラノール基は縮合反応を起こし、皮膜はシリカゲルの強固な3次元網目構造を形成することとなり、この皮膜は本発明の意図とする水での洗い流しは不可能なものとなる。

Claims (2)

  1. :50〜80mol%、R O:5〜20mol%、SiO :5〜32mol%、R’O:0.5〜30mol%(R:アルカリ金属の1種または2種以上、R’:Mg、Ca,Sr、Ba、Znの1種または2種以上)の組成を有するガラスを水と接触させて、ガラス成分由来の元素を溶出させ、溶出液中におけるB、アルカリ金属R、Si、2価の酸化数を取り得る金属R’、各元素濃度の合計を100質量%としたとき、B、R、Si、R’の各濃度が、「B濃度:47〜70質量%、かつR濃度:16〜36質量%、かつ、Si濃度:0.5〜22質量%、かつR’濃度:0.3〜17質量%」の範囲に維持された皮膜形成用溶液を得ることを特徴とする皮膜形成用溶液の製造方法。
  2. 請求項1に記載の皮膜形成用溶液の製造方法で得られた皮膜形成用溶液であって、前記溶出液中におけるB、アルカリ金属R、Si、2価の酸化数を取り得る金属R’、各元素濃度の合計を100質量%としたとき、B、R、Si、R’の各濃度が、常時、「B濃度:47〜70質量%、かつR濃度:16〜36質量%、かつ、Si濃度:0.5〜22質量%、かつR’濃度:0.3〜17質量%」の範囲に維持されていることを特徴とする皮膜形成用溶液。
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