JP6055892B2 - Mn−Zn系フェライト - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、Mn−Zn系フェライトにBi2O3を適量添加することが提案されており、10kHzにおける初透磁率μi=9500程度の特性を得ている。ここで、初透磁率μiは、真空透磁率μoに対する比で示す。
しかしながら、この提案にかかる技術は、初透磁率が高々10000程度までに限定されていて、実用上重要性が増大しているコア小型化に必要な、10000以上の初透磁率を実現するには十分な改善がなされていない。
特許文献2には、Al2O3:0.005〜0.05mass%を添加し、1350℃、5hの焼成を行うことにより、μi>12000が達成されるMn−Zn系フェライトが示されているが、磁気ヘッド用材料に特化されており、1350℃以上の高温での保持を5時間という、長時間焼成を必要とするため、これがコストアップと生産性低下の原因となっていた。
さらに、特許文献4には、Al2O3:0.005〜0.03mass%を添加し、1370℃、3hの焼成をすることによって、μi>15000が達成されるMn−Zn系フェライトが示されている。
すなわち、塩化鉄溶液を焙焼して得られる原料酸化鉄に着目し、不純物含有量がどのような原料酸化鉄を使用すれば最終コアでの初透磁率を高められるのか、を鋭意究明した。その結果、原料酸化鉄中のAl(アルミニウム)量を一定範囲内に制限すると、所期した目的の達成に極めて有効であるとの新たな知見を得た。
ZnO:20〜23mol%および
MnO:23〜28mol%
を含有しさらに
SiO2:0.005mass%以下および
CaO:0.030mass%以下
を含有し、
かつAl含有量が0.028〜0.068mass%であるMn−Zn系フェライトであることを特徴とするMn−Zn系フェライト。
・Fe2O3:52〜54mol%
Mn−Zn系フェライトは、Fe2O3の含有量によって磁歪定数が大きく変化し、この磁歪定数がゼロであれば透磁率が大きく上昇する。磁歪定数がゼロとなるFe2O3の含有量は52.5mol%付近であり、高い初透磁率を実現するには、できるだけ52.5mol%の前後にFe2O3含有量を制御する必要がある。少なすぎると飽和磁束密度も低下するため、これを高い値に維持しつつ高初透磁率を実現するためには、Fe2O3の含有量を52mol%以上とすることが必要である。一方、Fe2O3の含有量が多すぎると、磁気異方性定数が高くなり、損失が大きくなって透磁率が低下するため、上限を54mol%とする。
ZnOは、その含有量が少なすぎると飽和磁束密度が小さくなるが、Fe2O3との組成を適正範囲に調整すれば、高い飽和磁束密度が維持されたまま室温での磁気異方性定数を低減することができ、その結果、初透磁率が増大する。ここで、ZnOの含有量が少ない場合は初透磁率が低減するが、10000以上の初透磁率を維持するためにはZnOの含有量を20mol%以上とする必要がある。一方、ZnO量の含有量が多すぎると、室温での磁気異方性定数が大きくなり、さらに飽和磁束密度が小さくなるだけでなくキュリー温度も低下し不利になる。従って、初透磁率10000以上を維持するために、ZnOの含有量は25mol%を上限とした。
MnOは、その含有量が23mol%未満になると、Fe2O3とZnOのバランスで室温での磁気異方性定数が負の値で大きくなる。一方、MnOの含有量が28mol%を超えると、磁気異方性定数が正の値で大きくなるため、10000以上の初透磁率を維持することが難しくなる。
ここで、Mn−Zn系フェライトにおけるAl2O3を含む各種不純物の効果は、例えば、文献「フェライト」(平賀ら、丸善、1986)の47頁に記載されているが、これらはすべて高純度の原料を用いて作製したフェライト材料に、後から添加成分として加えて焼成した結果についての言及であり、原料中に元々含まれている微量成分について考察したものではない。従って、元々含まれていた原料酸化鉄中のアルミニウム元素が、フェライトの初透磁率へどのように影響するかについては全く述べられておらず、不知であった。
ここに、原料酸化鉄中のAlが、最終焼結体の特性に及ぼす機構については、まだ明確に解明されたわけではないが、Mn−Zn系フェライトの製造過程で酸化鉄段階からAlが含有されていると、原料混合後の仮焼工程や焼成工程など化学反応を伴う工程において、結晶成長や結晶組織に影響を与え、最終焼結体の特性とくに初透磁率に影響を及ぼすものと考えられる。
すなわち、従来のように原料混合、仮焼後の粉砕工程で酸化Alの形態で添加物として混合する場合に比較して、原料混合〜焼成工程において結晶組織形成に与える影響が顕著になり、比較的低温かつ短時間保持の焼成によっても、好適な結晶組織が得られ、高い初透磁率が実現できると考えられる。
・SiO2:0.005mass%以下
・CaO:0.030mass%以下
SiO2は、焼結性を高めかつ粒界相を高抵抗化して低損失化し、初透磁率を高めるために有益な添加成分である。そのためには、少なくとも0.0005mass%は添加することが好ましい。しかしながら、SiO2が多すぎると、磁壁移動を妨げて初透磁率を低下させる不純物としての影響が大きくなる。そこで、SiO2を添加する場合は、上限を0.005mass%とする。
成形条件としては、形状に応じて1〜2ton/mm2の範囲の成形圧力を用いるのが一般的である。
このフェライト仮焼粉に、上記添加成分(SiO2:0.005mass%以下およびCaO:0.030mass%以下)を混合して粉砕した後、造粒して圧縮成形する。
ついで、大気または窒素、あるいはそれらの混合ガス中で、上記した昇温速度の下に1300℃以上の温度まで加熱され、1300〜1330℃温度に保持して焼成する。焼成時の最高保持温度が1300℃未満の場合、焼結体密度が低くなって、高い初透磁率を得ることが難しくなる。なお、保持時間は、フェライトの組成によって異なるが、通常、高透磁率を実現するには、3〜8時間程度が必要である。しかしながら、本発明の場合、原料酸化鉄に含まれるAlの効果によって焼結性が促進されるため、1〜2時間の短時間保持で十分である。
まず、酸洗廃液(廃塩酸)を精製した後の塩化鉄溶液を焙焼して高純度酸化鉄を回収するにあたり、不純物を共沈して除去する際に用いる塩化Alの量を調節することにより、種々の量のAlを含有する酸化鉄を製造した。なお、酸化鉄中のAl量は、蛍光X線分析により測定した。次いで、表1に示す種々の組成のFe2O3およびZnOで残部がMnOとなる配合の下に原料を混合後、930℃で3時間仮焼した。この仮焼品に、表1に併記した添加物として種々の量のSiO2およびCaOを添加し、ボールミルで12時間粉砕し、外径36mmおよび内径24mmおよび高さ12mmのリング状に成形後、酸素分圧を制御(3〜5%)した窒素および空気混合ガス中にて1320℃および1.5時間の焼成を行った。このとき、500℃から1330℃までの昇温速度を650℃/hとした。
この測定結果を表1に併記する。
同表には、本発明に従う発明例No.1〜12と、比較として本発明のいずれかの要件が範囲外である比較例No.1〜10とを示す。
さらに、表2に示すように、比較例11〜14として、高純度酸化鉄(Al:0.001mass%)を用いた他は上記と同様に作製した仮焼品に、上記の添加成分に加えてAl2O3を添加して上記と同様に粉砕、成形および焼成したMn−Zn系フェライトについても評価を行った。
その結果を表2に併記する。
これに対して、比較例は、いずれも初透磁率が10000未満であった。特に、表2に示す比較例11〜14は、上記した仮焼品にAl酸化物を添加して最終製品におけるAl量を発明例と同じにした例であるが、いずれも初透磁率は10000未満であった。
Claims (2)
- Fe2O3:52〜54mol%、
ZnO:20〜23mol%および
MnO:23〜28mol%
を含有しさらに
SiO2:0.005mass%以下および
CaO:0.030mass%以下
を含有し、
かつAl含有量が0.028〜0.068mass%であるMn−Zn系フェライトであることを特徴とするMn−Zn系フェライト。 - 10kHzにおける初透磁率が10000以上であることを特徴とする請求項1に記載のMn−Zn系フェライト。
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