JP6053927B2 - イムノクロマト診断キット - Google Patents

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Description

本発明は、体外診断薬用サンプルパッドを含むイムノクロマト診断キット、より詳しくは、ラテラルフロー型のイムノクロマト診断キットに関する。
技術背景
近年、ウィルスや細菌等の病原体感染の有無、妊娠の有無、癌マーカーの有無、食品中の特定原材料や残留農薬などの有害物質の有無などの様々な検査を短時間で行う簡易検査試薬や診断薬、診断キットが開発されている。これらはそれぞれの検査対象物質と、検査対象物質に特異的に反応する物質による特異的反応が利用される。特に、抗原と抗体による抗原抗体反応を用いる免疫学的測定法は、イムノクロマト測定法、比濁免疫測定法、酵素免疫測定法、化学発光測定法、放射免疫測定法、表面プラズモン共鳴を用いる測定法など、多くの測定法が開発されている。そしてこれらの測定法は病院、診療所などでの病気などの検査や、食品会社などでの食物検査などに利用されている。中でもイムノクロマト測定法は、特別な設備、機器、知識を必要とせず操作も簡便で安価であり、迅速な診断が可能であるという特徴から非常に多くの検査が実施されている。近年では妊娠検査薬やHIV検査薬などは一般薬局で市販され一般消費者でも測定できるようになり、更には検査対象物質の有無を検査する定性検査だけでなく量を測定する定量検査などもできるようになってきている。
イムノクロマト測定法の測定原理としては、サンドイッチ法と呼ばれる方法や競合法と呼ばれる方法がある。また、測定形式としては、フロースルー型やラテラルフロー型と呼ばれる方法がある。検体中の検査対象物質としては様々な物質を検出することができるが、典型的な例としてはサンドイッチ法により抗原を検出する測定があり、以下のような操作が順次実行される。
(1)検査対象物質である抗原に特異的に結合する抗体をニトロセルロース膜などのクロマトグラフ媒体の所定の部位に固定化し、クロマトグラフ媒体の任意の位置にテストライン(以下「TL」という。)と呼ばれる反応部位を形成する。
(2)酵素、発色粒子、蛍光発色粒子、磁性粒子などの標識物質に、検査対象物質と特異的に結合する抗体を担持させた検出試薬を調製し、コンジュゲートパッドなどに検出試薬を塗布乾燥し、検出試薬含有部を形成させ、前記クロマトグラフ媒体と組み合わせてイムノクロマト診断キットを形成する。
(3)抗原を含む検体そのもの、又はそれを任意の液体で希釈した溶液を前記イムノクロマト診断キットの所定の位置に、例えば、サンプルパッドに滴下し、抗原と検出試薬をクロマトグラフ媒体上に展開させる。
これらの操作によって、反応部位においてクロマトグラフ媒体上に固定化された抗体に、抗原を介して標識物質が捕捉され、標識物質の信号を検出することでイムノクロマト診断キットによる診断を行う。一般的な診断は抗原の有無のみを検査する定性診断だが、近年ではその信号の強度を目視あるいは機械で検出することで定量診断を行うこともできる。
イムノクロマト測定法には診断時間の迅速化というニーズがある。これは検査の待ち時間を短縮するためである。このニーズを達成するための一般的な手法としては、クロマトグラフ媒体の孔径を調整し検体の移動速度を速くする方法がある。
また、以下の特許文献1には、検査対象物質を含む検体試料を滴下する部分であるサンプルパッドに特定のセルロース系繊維不織布を用いることで、診断時間の迅速化が可能なことが報告されている。特許文献1には、吸液速度や展開性についても触れられているが、具体的な診断時間のデータはなく、本願発明のような特定の発色粒子との組み合わせについては全く言及されていない。更にサンプルパッドとコンジュゲートパッドの配置の工夫についても言及されていない。
さらに、以下の特許文献2には、診断キットの構造などを工夫することで、診断時間の迅速化が可能なことが報告されており、例えば、hCGアッセイにおいて最短2分35秒で判定を行っている。
また、イムノクロマト測定法の別のニーズとして分析感度の向上がある。これは、より少ない検査対象物質でも検出できることを意味する。本願発明者らは、以下の特許文献3において、発色粒子として色が濃く粒子径の大きいセルロース粒子を用いることで分析感度の向上が可能なことを報告している。しかしながら、色が濃く粒子径の大きい発色粒子を用いることで迅速な診断を可能にしているものの、具体的な診断時間のデータはなく、本願発明のような特定のサンプルパッドとの組み合わせについては全く言及されていない。
このように、一般的に診断時間の迅速化と分析感度の向上はトレードオフの関係にあり、それらを両立することには非常に大きなニーズがある。
また、以下の特許文献4には、イムノクロマトを用いた半定量の試験方法が開示されており、ある範囲の抗原濃度において、抗原濃度と検査結果の信号の強さを比例させることができることが記載されている。しかしながら、イムノクロマトにおける定量は、ある範囲の抗原濃度において、抗原濃度と検査結果の信号の強さが比例することに加え、結果の再現性、すなわち同じ濃度の抗原を測定した時に同じ強さの信号が得られることが理想であるが、かかる再現性は未だ十分ではないと一般に言われている。
さらに、以下の特許文献5には、蛍光粒子を発色粒子として用いたイムノクロマト診断キットが開示されており、発色粒子の素材としてセルロース粒子が、サンプルパッドの素材としてセルロース不織布がそれぞれ一例として挙げられているが、いずれも具体的には何も述べられていない。更にサンプルパッドとコンジュゲートパッドの配置についての工夫もなされていない。当然ながら、本願発明のようなサンプルパッドと発色粒子の組み合わせによる効果も記載されていない。
特開2012-108031号公報 特開平7-55809号公報 国際公開第WO2011/062157号明細書 国際公開第WO2006/080438号明細書 国際公開第WO2013/151066号明細書
かかる従来技術に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、より迅速な診断が可能であり、分析感度が高く、かつ、検査結果の再現性にも優れたイムノクロマト診断キットを提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し、実験を重ねた結果、発色粒子として色が濃く粒子径の大きい粒子を用い、特定の再生セルロース系繊維からなる不織布をサンプルパッドに用い、それらを組み合わせて使用することで、予想外に驚くべき、診断の迅速化と分析感度の向上が可能であり、更に検査結果の再現性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]平均粒子径が100〜1000nmであり、発色強度が1.0〜10.0であり、粒子の重量の10〜90重量%がセルロース由来、かつ、90〜10重量%が着色成分由来である発色粒子を含むコンジュゲートを含有するコンジュゲートパッドと、目付が10〜150g/mであり、かつ、厚みが0.07〜1.00mmである再生セルロース系繊維からなる不織布から構成される体外診断薬用サンプルパッドとを含むイムノクロマト診断キットであって、該発色強度は、濃度既知の発色粒子の純水分散液を調製し、光路長10mmとして、400〜800nmの範囲で積分球を用いた可視吸光度測定を行い、得られた吸光度曲線のピーク値(ABS)を測定し、得られた値を発色粒子の重量パーセントで割り返し、発色粒子0.01重量%辺りの吸光度に換算した値であり、かつ、該コンジュゲートパッドに対する該体外診断薬用サンプルパッドの被覆率が50〜100%である、前記イムノクロマト診断キット
[2]前記再生セルロース系繊維がキュプラアンモニウムレーヨン繊維を主成分とするものである、前記[1]に記載のイムノクロマト診断キット。
[3]前記再生セルロース系繊維が連続長繊維である、前記[1]又は[2]に記載のイムノクロマト診断キット。
[4]前記再生セルロース系繊維からなる不織布の脱落繊維数が5000個/m未満である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のイムノクロマト診断キット。
[5]前記着色成分が反応性染料である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のイムノクロマト診断キット。
本発明に係るイムノクロマト診断キットは、所定の発色粒子を標識物質として含み、かつ、所定の再生セルロース系繊維からなる不織布をサンプルパッドとして用いることで、診断の迅速化と分析感度の向上がなされ、更に検査結果の再現性にも優れたものとなっている。
本発明は、本発明者らが、所定の発色粒子と、所定のサンプルパッドを組み合わせることで、予想外に驚くべき診断時間の迅速化、分析感度の向上、検査の再現性向上が可能であること見出し、これに基づきなされた発明である。特許文献3に開示されるように、粒子径が大きく発色強度が高い発色粒子は、単独の使用でも分析感度は高くなることが判明している。また、かかる高い分析感度により診断時間の短縮もある程度は可能である。しかしながら、イムノクロマト診断キットはクロマトグラフ媒体などの様々な多孔構造体から構成されるため、粒子径の大きい発色粒子は多孔構造体の孔と干渉し流れにくくなることがある。流れが遅い粒子が発生した場合、診断時間が遅くなるおそれもある。本発明者らは、粒子径の大きい発色粒子をより流れやすくすることによって、診断時間を更に短縮できるのではないかと考えた。かかる仮説の下、実験を重ねた結果、再生セルロース系繊維からなり、嵩密度が低く、厚みが薄い不織布をサンプルパッドに用いることで、発色粒子を含むコンジュゲートパッドに供給される単位時間当たりの流量を増大させて、コンジュゲートパッドに含まれる発色粒子を流れやすくすることによって、診断時間の短縮が可能であることを見出した。サンプルパッドには発色粒子を流れやすくするために界面活性剤などの薬剤を添加することがあるが、本願発明のサンプルパッドは滴下された検体を瞬時に吸収するため、コンジュゲートパッドやクロマトグラフ媒体に発色粒子を流れやすくするための薬剤を常に一定濃度で提供することができる。このため発色粒子が多孔構造体の孔に干渉することなく流れやすくなる。一般的なサンプルパッドでは、発色粒子を流れやすくするための薬剤の濃度が一定にならず、粒子の詰まりなどが発生する可能性があるが、これらの効果により全ての発色粒子が検査に寄与できるようになる結果、分析感度も向上し、更に検査の再現性をも向上させることに成功し、更にサンプルパッドとコンジュゲートパッドの配置を工夫することで、これらの効果をより顕著にすることができることも見出した。
本発明の一実施形態としてのイムノクロマト診断キットの断面図である。 本発明の一実施形態としてのイムノクロマト診断キットの断面図であり、コンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率が100%の時の、サンプルパッドの最下流部分(h)を指す図である。 本発明の一実施形態としてのイムノクロマト診断キットの断面図であり、コンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率が50%の時の、サンプルパッドの最下流部分(i)を指す図である。 本発明の一実施形態としてのイムノクロマト診断キットの断面図であり、コンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率が100%であり、筐体(j)中にセットした状態を指す図である。 本発明のイムノクロマト診断キットを用い一定濃度の陽性検体を検査した際の検査結果の信号強度(TLの発色強度)とその経時変化(分)との関係を示すグラフである。
以下、本実施形態について詳細に説明する。
本発明における「発色粒子」とは、水、緩衝液などに不溶性であり、色素や染料等が担持された粒子状物質を指す。粒子を構成する素材は特に限定されないが、このような発色粒子としては、例えば、金コロイド、白金コロイド、銀コロイド、セレンコロイドなどの金属コロイド粒子、ポリスチレンラテックス等のスチレン系ラテックスやアクリル酸系ラテックス等を着色した着色ラテックス粒子、ケイ素原子及び酸素原子からなる3次元構造体からなるシリカを着色した着色シリカ粒子、セルロースを着色した着色セルロース粒子、カーボンブラックなどの着色成分をそのまま粒子化した発色粒子、磁性粒子、などが挙げられる。また、前記発色粒子は蛍光発光性粒子でもかまわない。粒子径の調整、色の濃さの調整、色の種類の調整、粒子表面状態の調整などの粒子の特徴の調整のしやすさから、着色セルロース粒子が好ましい。セルロースは大量の水酸基を有するため、親水性が高く分散安定性に優れ、着色成分を大量に含有することができる。
「発色粒子の製造方法」は特に限定されない。粒子をまず成形し、色素、染料などの着色成分を担持させる方法、粒子を成形し、金属コロイドや顔料などのより小さい発色粒子を担持させる方法、粒子の成形時に色素、染料、顔料、金属コロイドなどの着色成分も一緒に加えて成形する方法などが挙げられる。中でも粒子径の調整、色の濃さの調整、色の種類の調整、粒子表面状態の調整などの粒子の特徴の調整のしやすさから、粒子をまず成形し、色素、染料などの着色成分を担持させる方法が好ましい。また、担持させる着色成分としては、担持の容易さから染料が好ましい。
着色成分として染料を用いる場合、「染料の種類」は特に限定されない。反応染料、直接染料、含金染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料、硫化染料、植物染料、ナフトール染料、蛍光染料などの染料を用いることができる。もちろん任意の染料を組み合わせても構わない。中でも粒子にセルロースを用いる場合には、セルロースの水酸基と共有結合で結合する反応性染料が、大量に染料を保持できる点や安定性の面から特に好ましい。
セルロース粒子をまず成形しその後着色成分を担持させる場合、「セルロース粒子の成形方法」は特に限定されない。天然のセルロースをボールミルや高圧ホモジナイザーで物理的に微細化する方法、酸やアルカリなどで化学的に処理し微細化する方法、セルロースをその良溶媒に一度溶解させ粒子状に成形する方法などが挙げられる。また誘導体化されたセルロースを溶解、粒子状に成形し、誘導体化された置換基を水酸基に戻してセルロース粒子を調製してもよい。更にそれらの成形方法を組み合わせてもよい。また「セルロースの種類」も特に限定されるものではなく、再生セルロース、精製セルロース、天然セルロース、前記が誘導体化されたセルロース、誘導体化された置換基を水酸基に戻したセルロースなどを用いることができる。中でも粒子径の調整、粒子形状の調整などの点から良溶媒に一度溶解させ粒子状に成形する方法が好ましく、セルロースの種類としては再生セルロースが好ましい。
セルロースをその良溶媒に一度溶解させ粒子状に成形する場合、「セルロースを溶解させる良溶媒の種類」も特に限定されるものではなく、銅アンモニア溶液、ビスコース溶液、N−メチルモルホリン、各種のイオン性液体などセルロースを溶解することのできる様々な良溶媒を用いることができる。中でも粒子径の調整、粒子形状の調整などの点から銅アンモニア溶液が好ましい。また、溶解させたセルロースを粒子に成形する方法も特に限定されるものではない。本発明では相分離による方法を選択した。
発色粒子の「平均粒子径」とは、動的光散乱法で測定した場合の体積平均メジアン径を指し、体積平均メジアン径が100〜1000nmの範囲にある。平均粒子径がこの範囲にあると、粒子の表面積が大きいためにイムノクロマト診断キットとして用いる場合にTLがより濃くなる、すなわち分析感度が高くなる。平均粒子径が小さすぎると表面積が小さくなり分析感度が下がったり、粒子の凝集が起こったりする場合がある。以上の点から粒子径は200nm以上が好ましく、より好ましくは300nm以上である。粒子径が大きすぎるとニトロセルロースなどのクロマトグラフ媒体の孔に詰まることで本来検査後には白くなるはずの部分が着色し検査結果の判断に悪影響を及ぼしたり、検出限界が悪くなったりする場合がある。以上の点から粒子径は800nm以下が好ましく、より好ましくは600nm以下である。なお、ここで述べている平均粒子径はあくまで平均値であり、粒子径分布の一部が上記範囲から外れていても構わない。
粒子径の評価に体積平均を用いる理由として、イムノクロマト診断キットにおいてあまりに大きな粒子はニトロセルロースなどのクロマトグラフ媒体に詰まってしまうが、体積平均であれば大きい粒子ほど影響が大きくなるので大きい粒子が僅かに存在するだけでもその影響が反映されるためである。粒子径の評価方法としては体積平均以外にも、数平均、面積平均など様々な表し方がある。当然ながら表し方が異なると粒子径の値も変わってくるが、本発明では体積平均を採用する。
「発色強度」とは、粒子の色の濃さを定義した値である。その値の測定方法は、濃度既知の発色粒子の純水分散液を調製し、光路長10mmとして、400〜800nmの範囲で積分球を用いた可視吸光度測定を行い、得られた吸光度曲線のピーク値(ABS)を測定し、得られた値を発色粒子の重量パーセントで割り返し、発色粒子0.01重量%辺りの吸光度に換算した値として定義する。例えば、調製した発色粒子の濃度が0.0045%であり、吸光度曲線のピーク値が1.0であった場合、その発色強度は(1×0.01)÷0.0045=2.2となる。
粒子の色の濃さの測定に積分球を用いた可視吸光度測定を行う理由として、液体に分散した状態の粒子の色の濃さを最も正確に測定できるためである。粒子の色の濃さを測る方法としては、粒子を乾燥させて得られた固体を測色計などで測定する方法もあるが、このような方法では粒子の色の濃さを正確に測定できない。例えば、金属コロイドなどは粒子径に応じて色調や最大波長が異なり、乾燥した凝集状態は液体に分散した状態の色の濃さを正確に反映できない。また、液体中に同じ粒子濃度で分散させても凝集が発生すると色の濃さは薄くなる。更に、可視吸光度測定を行う際に積分球を用いる理由は、粒子自体の散乱による影響を除去するためである。通常の可視吸光度測定は透過光を測定する方法であり、入射光に対し着色成分による吸収だけでなく粒子自体の散乱による影響も反映されてしまう。例えば、イムノクロマトに一般的に使われる金コロイドは、粒子径が40nm〜60nm、時には100nmのものが用いられる場合もあるがいずれも粒子径が小さいため散乱光の影響はほとんどない。それに対しポリスチレンラテックス粒子は粒子径が大きく明らかに散乱光の影響が大きい。上記のような理由から、粒子径や粒子素材が違う場合に粒子自体の色の濃さをより正確に反映するために、積分球を用いた可視吸光度測定を本発明では採用する。
本発明における「発色強度」は1.0〜10.0である。この値が大きいほど粒子の色の濃さが濃く、イムノクロマト診断キットとして用いる場合に分析感度が高い。もちろん値が大きければ大きいほどよく、色の濃い染料を利用する、染色回数を増やす、スペーサーとして何らかの化合物を介して連結させる、粒子の非晶領域を増やし染料が入り込みやすくする、粒子を多孔性にして染料が入り込みやすくする、などの方法を採用することができる。しかしながら、経済性を考慮すると上限は7.0以下が好ましく、より好ましくは5.0以下である。また、値が小さいほどイムノクロマト診断キットとして用いた場合に分析感度が低下するため、下限は1.5以上が好ましく、より好ましくは2.0以上である。
「発色粒子の着色成分の割合」とは、発色粒子の全重量における着色成分の割合を指す。例えば、発色粒子1.0gが0.2gのセルロースと0.8gの着色成分から構成される場合、その着色成分の割合は80重量%である。発色粒子の着色成分の割合は10〜90重量%が好ましい。この範囲にあるとイムノクロマト診断キットとして用いる場合に分析感度が高い。また、発色粒子としてセルロースを染料で染色した粒子を用いる場合、セルロースにこの範囲の染料を保持させることでセルロースに適度な疎水性を付与することができ、抗体などの被検出物に特異的に結合する物質を吸着により保持することができる。もちろん吸着による保持だけでなく、着色セルロース粒子にカルボキシル基やアミノ基などを導入し、共有結合により被検出物に特異的に結合する物質を保持することも可能である。着色成分の割合が少ない場合は、十分な発色強度を有することができず、イムノクロマト診断キットとして用いる場合に分析感度が低くなる。また、発色粒子としてセルロースを染料で染色した粒子を用いる場合、着色成分の割合を増やすことで被検出物に特異的に結合する物質も増える場合もある。この観点から下限は20重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以上である。着色成分の割合が90重量%を超えても特に問題はないが、経済的な面から考えると85重量%以下が好ましく、より好ましくは80重量%以下である。また、あまりに疎水性が強すぎると凝集や非特異反応などが発生する場合もある。
「発色粒子の着色成分の割合の算出方法」としては、着色前後の重量変化から算出することができる。また、重量変化からの算出が困難な場合は、着色成分を粒子から分離する操作を行い着色成分又は粒子を単離し算出することができる。例えば、セルロース粒子を反応性染料で染色した場合、酸やアルカリなどでセルロースと染料の共有結合を切断し、遠心分離によりセルロース粒子を回収することで算出することができる。また、セルラーゼを用いセルロースだけを分解することで算出することもできる。
「発色粒子のセルロース由来成分の算出方法」は、前記の発色粒子の着色成分の割合から計算できる。すなわち、「発色粒子のセルロース由来成分の割合」=100%−(発色粒子の着色成分の割合)の計算式によって計算できる。発色粒子のセルロース由来成分の割合は90〜10重量%が好ましい。この範囲にあると、セルロース粒子の分散安定性が維持できる。また、前記着色成分の割合で記載した理由により、発色粒子のセルロース由来成分の下限としては15重量%以上がより好ましく、特に好ましくは20重量%以上であり、上限は80重量%以下がより好ましく、特に好ましくは70重量%以下である。
「粒子」とは、長径(L)と短径(D)の長さが近く形状が球に近い構造体を指す。具体的にはL÷Dで表されるL/D比が1.0〜3.0である構造体を指す。L/D比がこの範囲にあるとイムノクロマト診断キットとして用いる場合に目詰まりを起こしにくくなり、より好ましくは1.0〜2.0、更に好ましくは1.0〜1.5、最も好ましくは1.0〜1.3である。測定方法としては粒子の電子顕微鏡画像を撮影し、100個の粒子の長径(L)と短径(D)を測定し、その100個の平均値を算出する。
「再生セルロース系繊維」とは、主に再生セルロースからなる繊維を指す。再生セルロースとしては、キュプラ、リヨセル、レーヨンなどが挙げられる。再生セルロース系繊維は、繊維を形成する際の配向や表面の分子状態の影響で非常に親水性が高く、吸液性に優れるため、サンプルパッドを構成する素材として好ましく、更に好ましくはキュプラ、リヨセルであり、特に好ましくはキュプラである。これら特定の再生セルロース繊維100%で構成されていてもいいが、混ぜて用いてもよい。
「再生セルロース系繊維からなる不織布」とは、前記再生セルロース系繊維からなる不織布を指す。不織布とすることで構造を容易に成形でき、ロール状で巻き取ることができるなどのハンドリングにも優れる。不織布の形態としては短繊維不織布、長繊維不織布のいずれでもいいが、連続長繊維不織布は吸水性に優れ、更に脱落繊維も少ないことからより好ましい。また、形態安定性や吸液速度をコントロールするために、親水性を損なわない範囲で合成繊維を混ぜてもよいが、その場合は再生セルロース系繊維の含有量が面積率で50重量%以上であることが好ましい。合成繊維としては、サンプルパッドの所望の物性を満足すれば特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系の合成繊維が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いてもよい。これらは必要に応じてバインダーの使用や、交絡処理などを行ってもよい。
「再生セルロース系繊維からなる不織布の目付」は10〜150g/mである。目付は、サンプルパッドの大きさや検体液量、検査種類等により適宜変えることができるが、目付がこの範囲にあると検体液の吸収とコンジュゲートパッドへの展開のバランスが良好になり、検体を迅速に吸収した後に、検体を迅速にコンジュゲートパッドに供給できる。目付が低すぎる不織布は、厚みが薄く又は空隙率が高く、検体液のサンプルパッド内部の移動とコンジュゲートパッドへの展開性が悪くなる。この観点から目付の下限は好ましくは15g/m以上であり、より好ましくは20g/m以上であり、特に好ましくは25g/m以上である。また、目付が高すぎる不織布は、厚みが厚く又は空隙率が低く、検体液がサンプルパッドに上手く浸透できずサンプルパッドの上を液が滑ってしまう。この観点から目付の上限は、好ましくは120g/m以下であり、より好ましくは100g/m以下である。
「再生セルロース系繊維からなる不織布の厚み」は、0.07〜1.00mmである。厚みは、サンプルパッドの大きさや検体液量、検査種類等により適宜変えることができるが、厚みがこの範囲にあると検体液の吸収とコンジュゲートパッドへの展開のバランスが良好になり、検体を迅速に吸収したのちに、検体を迅速にコンジュゲートパッドに供給できる。厚みが薄すぎると検体液を十分に受け取ることができなくなる。また診断キットの製造工程において取扱いが難しくなる。この観点から厚みの下限は、好ましくは0.10mmであり、より好ましくは0.20mmである。また、厚みが厚すぎると検体液を保持しすぎてしまうため好ましくない。この観点から厚みの上限は、好ましくは0.80mm以下であり、より好ましくは0.70mm以下である。
「再生セルロース系繊維からなる不織布の嵩密度」は0.06〜1.00g/cmが好ましい。嵩密度は、サンプルパッドの大きさや検体液量、検査種類等により適宜変えることができるが、嵩密度がこの範囲にあると、検体液の吸収とコンジュゲートパッドへの展開のバランスが良好になり、検体を迅速に吸収した後に、検体を迅速にコンジュゲートパッドに供給できる。嵩密度が低すぎると繊維内の空隙が高くなるため、検体液のサンプルパッド内部の移動とコンジュゲートパッドへの展開性が悪くなる。この観点から嵩密度の下限は好ましくは0.07g/cmであり、より好ましくは0.10g/cmである。また、嵩密度が高すぎると、繊維が密集しすぎて、検体液がサンプルパッドに上手く浸透できず、サンプルパッドの上を液が滑ってしまう。この観点から嵩密度の上限は好ましくは0.70g/cm以下、より好ましくは0.50g/cm以下である。
「脱落繊維数」は、純水300mlに25cm×25cmのサンプルを入れ、2分間静置後、サンプルを取り出した残りの液を黒色濾紙(ADVANTECNO131)で濾過し、濾過後の濾紙を恒温室(20℃、65%RH)に12時間入れて乾燥した後、ビデオマイクロスコープにてカウント、測定した単位平方メートル当たりの、大きさ100μm以上の脱落繊維の数をいう。本発明においては、脱落繊維数は、好ましくは5000個/m未満であるが、より好ましくは4000個/m未満、更に好ましくは3000個/m未満である。脱落繊維数が10,000個/mを超えると繊維が脱落しやすくなり、検査液の種類によってはサンプルパッドとコンジュゲートパッドの界面に脱落繊維が集まってしまい、展開性を阻害してしまうし、また、製造時に生産ライン周辺を汚染してしまうことによる歩留まりの悪化を招いてしまうため、好ましくない。脱落繊維数は小さい方が好ましいので、下限としては1個/m以上である。
図1中(a)で示すように、本発明における「サンプルパッド」とは、イムノクロマトにおいて測定対象である検体を最初に受け取る部分である。一般的なサンプルパッドとしては、セルロース濾紙、紙、ガラス繊維、グラスファイバー、アクリル繊維、ナイロン繊維、各種織物、などが挙げられるが、本発明では、サンプルパッドとして、前出の通り再生セルロース系繊維からなる不織布を用いる。再生セルロース系繊維からなる不織布は吸液性に優れるため検体を素早く吸収しコンジュゲートパッドに検体を移行させることができる。更に、再生セルロース系繊維からなる不織布の構造を前出の構造にすることで、コンジュゲートパッドに供給される単位時間当たりの流量が増大し、コンジュゲートパッドに含まれている発色粒子がより初期にリリースされやすくなり診断時間の短縮が可能となる。また、発色粒子を流れやすくするための薬剤を常に一定濃度で供給することができ、発色粒子が詰まることなく流れやすくなる。しかもその結果、ほぼ全ての粒子が検査に寄与できるようになるため分析感度も向上し、検査の再現性も向上させることができる。逆にコンジュゲートパッドに含まれている発色粒子が初期にリリースされない場合、診断時間が遅くなる。更にコンジュゲートパッドから、ほぼ全ての発色粒子がリリースされない場合、分析感度が低下し、検査の再現性も悪くなる。
本発明において、サンプルパッドの親水/撥水性、吸水倍率のコントロールのため、上記物性に悪影響を及ぼさず、抗原抗体反応や抗体の安定性に影響しない範囲であれば、再生セルロース系繊維からなる不織布に各種薬剤や紛体を含有させたり、セルロースの一部を誘導体化したりしてもよい。含浸させる薬剤の一例としては、界面活性剤、タンパク質、抗体、樹脂、水溶性高分子、抗菌剤、防腐剤、酸化防止剤、などが挙げられる。また、セルロースの誘導体化の一例としては、カルボキシメチル化、カルボキシエチル化、1級アミノ化、2級アミノ化、3級アミノ化、4級アミノ化、オキシ化、などが挙げられる。
本発明において、サンプルパッドは、必要に応じて前処理を行っても構わない。例えば、緩衝液、界面活性剤、タンパク、検体試料中の夾雑物をトラップする試薬、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、などを予め含ませるなどの処理を行っても構わない。また、サンプルパッドの形状は特に限定されないが、例えば、サンプルパッドのサイズとして、長さ(液が流れる長さ)は、検体液からの結びつき性や診断時間を考慮すると10〜25mm程度であることが好ましく、幅(液の流れに対して垂直)は、コンジュゲートパッドの巾より大きければ問題はない。幅が狭すぎるとサンプルパッドの端部より検査液が回り込んでしまう可能性がある。
本発明における「イムノクロマト診断キット」とは、様々な検体中の検査対象物質の有無を簡便に検出するものである。当該診断キットの種類としては、ラテラルフロー式やフロースルー式がある。発色粒子やサンプルパッドを用いるものであれば特に限定されないが、好ましくはラテラルフロー式である。また、ラテラルフロー式の中でも、ディップスティックタイプとカセットタイプがあるが、それらのタイプは特に限定されない。診断キットの構成は、特に限定されるものではなく、当該分野で一般的に用いられる構成であればいずれでも構わない。抗体感作発色粒子を含むコンジュゲートパッド(b)とサンプルパッド(a)以外の部材の種類は、当該分野で用いられるものであれば特に限定されず、例えば、図1に示す(e)クロマトグラフ媒体、(f)吸収パッド、及び(g)台紙が挙げられる。また、必要に応じそれら部材を一部省いていてもかまわない。構造の例としては特許文献1の図1に記載されているような構造が挙げられる。本願明細書に添付する図1はあくまで例であり、本願発明を何ら限定するものではない。
「コンジュゲートパッド」とは、発色粒子を含むコンジュゲートを含有するパッドであり、例えば、検査対象物質に結合する抗体と結合した発色粒子を含有するものである。コンジュゲートパッドの素材としては特に限定されないが、一般的なガラス繊維又は樹脂繊維等を用いることができる。樹脂繊維としては、ポリエチレン等のポリオレフィン系や、ポリエステル系、ポリアミド系、アクリル系などの樹脂繊維、及びこれらの樹脂繊維の複合繊維を好適に使用することができるが、これらに限定されるものではない。作業環境から考えると樹脂繊維製が好ましい。樹脂繊維製の中でも、発色粒子のリリースのしやすさの観点から考えると、ある程度疎水性の素材であることがより好ましい。疎水性が高すぎる場合は界面活性剤などで前処理して用いても構わない。ポリエチレン繊維製のコンジュゲートパッドを界面活性剤で前処理したものがより好ましい。
好ましい実施形態においては、コンジュゲートパッドに対して、サンプルパッドの被覆率が50〜100%であることが好ましい。ここで、被覆率とは、コンジュゲートパッドの上部面積に対して、サンプルパッドがどれだけの割合で、覆い被さっているかを示す。例えば、コンジュゲートパッドの上部にサンプルパッドが全く重なっていない場合は0%、完全に覆い被さっている場合は100%となる。算出方法は、コンジュゲートパッドとサンプルパッドの重なっている部分の面積(A)と、コンジュゲートパッド全体の面積(B)を求めて、以下の式から算出する。
被覆率(%)=重なっている部分の面積(A)/全体の面積(B)×100
一般的なイムノクロマト診断キットにおいて、この被覆率は50%以下のものが多い。例えば、特許文献1では、コンジュゲートパッドの長さ15mmに対しサンプルパッドの重なりが5mmであり、被覆率は33%になる。また、特許文献5に至っては被覆率は0%である。通常のイムノクロマト診断キットにおいて、サンプルパッドに供給された検体はコンジュゲートパッドに移行し、更にクロマトグラフ媒体に移行する。ここで被覆率が低いとサンプルパッドと接触していない部分のコンジュゲートパッドの下流側に検体が十分に供給されないままクロマトグラフ媒体に検体が移行してしまい、その結果本願発明のような粒子径が大きい発色粒子の場合はコンジュゲートパッドからのリリースが遅くなる場合がある。そこで、本願発明では被覆率を50%〜100%にすることにより、コンジュゲートパッドの下流側にも素速く検体を供給し、発色粒子のリリースを早くすることができる。リリース性を高めるために好ましい被覆率の下限は60%であり、更に好ましくは70%であり、より好ましくは80%であり、特に好ましくは90%である。
他方、本願発明のようにコンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率を高くした場合、イムノクロマト診断キットの構成によってはサンプルパッドの下流側がコンジュゲートパッドから浮いてしまうことがある。これは台紙に接着されたサンプルパッドが、コンジュゲートパッドの形に追従できず、跳ね上がってしまうことが原因である。この問題を解決するため、サンプルパッドの最下流部分を抑える構造にすることが好ましい。抑える方法としては、イムノクロマトキットを筐体に入れ筐体の一部で抑える方法や、接着面を備えた透明なシートを用いる方法などがある。最適な抑えの程度についてはイムノクロマト診断キットの構造に依存するため一概には言えないが、例えば、一つの目安としてサンプルパッドの最下流部分を、各イムノクロマト診断キット部材の厚みの総和の−5〜+2mmに調整することが好ましい。サンプルパッドの最下流部分とは、サンプルパッドの被覆率によって位置は変わる。例えば、被覆率100%の場合の最下流部分(h)を図2に、被覆率50%の場合の最下流部分(i)を図3に示す。図2、3はあくまで例であり、本願発明を何ら限定するものではない。また、各イムノクロマト診断キット部材の厚みの総和とは、例えば、図2におけるサンプルパッドの最下流部分には、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、クロマトグラフ媒体、及び台紙が重なっており、これら部材の厚みの和を意味する。サンプルパッドの最下流部分の厚みの総和が、イムノクロマト診断キット部材の厚みの総和+2mmを超えると、サンプルパッドがコンジュゲートパッドから浮いてしまい、コンジュゲートパッド中の着色セルロース粒子が十分にリリースされない場合があるため、好ましくは厚みの総和+1mm以下、より好ましくは厚みの総和+0mm以下である。一方、サンプルパッドの最下流部分の厚みの総和が、イムノクロマト診断キット部材の厚みの総和の−5mm以下になってしまうと、コンジュゲートパッドやクロマトグラフ媒体を圧縮しすぎるため、発色粒子が展開時に目詰まりを起こしてしまう可能性があるため、好ましくは、部材の厚みの総和−3mm以上、より好ましくは−1mm以上である。図4には筐体(j)を用いて厚み調整を行った場合を例示する。一般的に筐体は上部と下部からなり、このクリアランスを調整することで厚み調整を行うことができる。図4はあくまで一例であり、本願発明を何ら限定するものではない。
本発明におけるイムノクロマト診断キットを使用する「診断方法」とは、イムノクロマト診断キットを用いて行われる様々な診断を指す。診断対象は特に限定されるものではなく、人用、動物用、食品用、植物用、その他環境検査など様々な診断対象の検査に用いることができる。一般的な診断の手順では、検査対象から検体試料を採取し、必要であればそれを抽出やろ過などの前処理を行い、サンプルパッドに滴下し、検査開始から所定時間待ち、検査対象物質の有無によって異なる発色より診断結果を判断する。もちろんこの手順に限定されず、同じような手順、原理の診断にも用いることができる。好ましいのは、検体試料を予めろ過しておくことで余分な異物や夾雑物を除去でき、それによりより一層の診断の迅速化や、診断精度の向上が期待できる。
本発明において、検体を直接サンプルパッドに滴下する方法以外に、予め所定の組成に調整しておいた検体処理液で検体を任意の倍率に希釈処理したものを滴下してもかまわない。検体処理液を使う目的としては、検体中の抗原を反応しやすくするための成分、検体中の夾雑物を分解する成分、検体中の夾雑物をトラップする成分、非特異的な反応を抑える成分、発色粒子を流れやすくする成分、発色粒子を適度に凝集させテストラインに捕捉された際の視認性を向上させる成分、などの添加が挙げられる。一例としては、緩衝液、界面活性剤、タンパク質、無機塩、水溶性高分子、還元剤、キレート剤、等を添加してもよい。特に本願発明のような発色粒子を用いる場合、非イオン性界面活性剤や、各種水溶性アミノ酸、タンパク質、無機塩、水溶性高分子、などの添加が好ましい。具体的な成分の種類や添加量は検査対象や用いる抗体の種類によっても異なるが、非イオン性界面活性剤の一例としては、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリ(オキシエチレン)オクチルフェニルエーテル、ポリ(オキシエチレン)ノニルフェニルエーテルなどが挙げられる。水溶性アミノ酸の一例としては、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、セリン、チロシン、トリプトファン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、リシン、ロイシンなどが挙げられる。タンパク質の一例としては、カゼイン、スキムミルク、カゼイン分解物、牛血清アルブミン、フィッシュゼラチン、などが挙げられる。無機塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、などのアルカリ金属イオンを生じる化合物が好ましい。水溶性高分子としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、その他セルロース誘導体などが好ましい。またこれらの成分は検体処理液に加えておくだけでなく、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、クロマトグラフ媒体(ニトロセルロース膜)などに予め加えておいても構わない。
本発明におけるイムノクロマト診断キットで診断できる対象は特に限定されるものではないが、具体例としては以下のものが挙げられる:癌マーカー、ホルモン、感染症、自己免疫、血漿蛋白、TDM、凝固・線溶、アミノ酸、ペプチド、蛋白、遺伝子、細胞、などが挙げられる。より具体的には、CEA、AFP、フェリチリン、β2マイクロ、PSA、CA19−9、CA125、BFP、エラスターゼ1、ペプシノーゲン1・2、便潜血、尿中β2マイクロ、PIVKA−2、尿中BTA、インスリン、E3、HCG、HPL、LH、HCV抗原、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HBe抗原、HBe抗体、HTLV−1抗体、HIV抗体、HIV抗原、HIVウィルス遺伝子、トキソプラズマ抗体、梅毒、ASO、A型インフルエンザ抗原、A型インフルエンザ抗体、B型インフルエンザ抗原、B型インフルエンザ抗体、ロタ抗原、アデノウィルス抗原、ロタ・アデノウィルス抗原、A群レンサ球菌、B群レンサ球菌、カンジダ抗原、CD菌、クリプトロッカス抗原、コレラ菌、髄膜炎菌抗原、顆粒菌エラスターゼ、ヘリコバクターピロリ抗体、O157抗体、O157抗原、レプトスピラ抗体、アスペルギルス抗原、MRSA、RF、総IgE、LEテスト、CRP、IgG,A,M、IgD、トランスフェリン、尿中アルブミン、尿中トランスフェリン、ミオグロビン、C3・C4、SAA、LP(a)、α1−AC、α1−M、ハプトグロビン、マイクロトランスフェリン、APRスコア、FDP、Dダイマー、プラスミノーゲン、AT3、α2PI、PIC、PAI−1、プロテインC、凝固第X3因子、IV型コラーゲン、ヒアルロン酸、GHbA1c、その他の各種抗原、各種抗体、各種ウィルス、各種菌、各種アミノ酸、各種ペプチド、各種蛋白質、各種DNA、各種細胞、各種アレルゲン、各種残留農薬、各種有害物。
本発明において、発色粒子は、抗体などの被検出物に特異的に結合する物質を担持する必要があるが、その担持方法は特に限定されない。例えば、物理的な吸着による担持、共有結合による担持、それらの組み合わせによる担持などが挙げられる。担持する物質の種類や量も特に限定されない。担持する物質の種類としては抗体が最も一般的であり好ましい。また、担持する方法としては、容易さの観点からは物理的な吸着による担持が、安定性や性能などの観点からは共有結合による担持が好ましい。
本発明において、イムノクロマト診断キットに用いられるクロマトグラフ媒体は特に限定されるものではなく、一般的に用いられる様々なクロマトグラフ媒体を用いることができる。より具体的にはニトロセルロース膜が挙げられる。市販品のニトロセルロース膜はフローレートと呼ばれる一定距離を移動するために必要な時間によって分類されるが、このフローレートが早い膜ほど孔径が大きい。本発明では孔径が大きい膜のほうが検体の移動が速く発色粒子も詰まりにくいために好ましい。具体的なフローレートとしては120sec/4cmより速い膜が好ましく、より好ましくは100sec/4cmより速い膜であり、更に好ましくは90sec/4cmより速い膜である。
以下、セルロース粒子の作製方法、セルロース粒子の着色方法、再生セルロース連続長繊維不織布の作製方法、イムノクロマト診断キットの作製方法、などの一例を記載する、もちろん、本発明はそれらによって何ら限定されるべきではない。
〔セルロース粒子の作製方法〕
セルロースリンターをセルロースの良溶媒に溶解させる。本発明では良溶媒として公知の方法で調製した銅アンモニア溶液を用いる。そして凝固液としては有機溶媒+水+アンモニア混合系を主に用いる。この凝固液を攪拌しながら、調製しておいた銅アンモニアセルロ−ス溶液を加えて凝固を行う。さらに硫酸を加え中和、再生を行うことで、目的のセルロ−ス粒子を含有したスラリーを得ることができる。この際スラリーは再生に用いた酸の残留により酸性であり、さらに中和で発生したアンモニウム塩などの不純物を含んでいるため、セルロース粒子と媒体からなるセルロース分散液へと精製する操作が必要となる。本発明ではこの精製操作として遠心分離−デカンテーション−分散媒液体による希釈の処理の繰り返しを用いる。得られたセルロース粒子分散液中のセルロース粒子は、精製操作の過程において凝集する場合もあるので、この場合は剪断などによる分散処理を行うことができる。本発明では剪断を与える手段としては高圧ホモジナイザーを用いる。
〔セルロース粒子の着色方法〕
得られたセルロース粒子の水分散体に対し、硫酸ナトリウム、反応性染料を加え、マグネティックスターラーで撹拌しながら恒温槽で適温に昇温する。昇温後にアルカリとして炭酸ナトリウムを加え染色を開始する。所定時間経過後に目的の染色セルロース粒子を含有したスラリーを得ることができる。この際スラリーはアルカリ性であり、さらに、硫酸ナトリウム、未反応の染料などを含んでいるため、染色セルロース粒子と媒体からなる染色セルロース粒子分散液へと精製する操作が必要となる。前記同様に遠心分離による精製を行い、染色セルロース粒子分散液を得る。得られた染色セルロース粒子分散液中のセルロース粒子は、精製操作の過程において凝集する場合もあるので、この場合は剪断などによる分散処理を行うことができる。本発明では剪断を与える手段としては高圧ホモジナイザーを用いる。その後、得られた着色セルロース粒子の各種物性を測定する。
〔再生セルロース連続長繊維不織布の作製〕
異物を除去し、重合度を調整したコットンリンターを銅アンモニウム溶液に溶解させた原液を、細孔(原液吐出孔)を有した紡糸口金(紡口)から押し出し、水と共に漏斗内を落下させ、脱アンモニアさせることにより原液を凝固させつつ、延伸を行い、ネット上へ振り落としウェブ形成させる。この際、ネットを進行させながら進行方向と垂直方向へ振動させることにより、ネットへ振り落とされる繊維はSinカーブを描くことになる。紡糸時の延伸は100〜500倍が可能であり、紡糸漏斗の形状と、その中を流下させる紡糸水量を変えることにより、延伸倍率の調整が任意に可能である。延伸倍率を変えることにより、単繊度や不織布の強度を変えることが可能である。不織布のウェブ形成において、繊維配列の均一性を得る上で、ネットへ振り落とされる繊維配列を、Sinカーブの位相を層単位で、3〜10段階で均等に変え、3〜10層の積層ウェブとすることで、極めて均一な繊維配列を有するセルロース系不織布を得ることができる。この様な均一な繊維配列を有する多層構造不織布は、繊維間隙が均一で、不織布としての平均孔径が揃っており、このような均一な孔径を有する不織布を緻密化すれば、薄く、緻密でしかも均一な孔径を有する不織布が得られる。また、紡糸水量や温度を変化させることにより、原液内に微量残留する低分子量セルロース、いわゆるヘミセルロースをコントロールすることも可能である。また、ネットの進行速度、振動幅を制御することにより、繊維配列方向を制御し、不織布としての強度や伸度等をコントロールすることが可能である。
紡糸漏斗の形状としては、矩形型が好ましく、流下させる紡糸漏斗の長さは100〜400mm、流下出口のスリット幅は2〜5mmが好ましい。紡口の原液吐出孔の直径は0.1〜0.5mmが好ましく、形状は丸型が好ましい。また、不織布の均一性を確保する意味から、ウェブを積層して不織布化することが好ましく、その積層枚数は3〜10枚が好ましい。積層後のウェブを、例えば、特許第787914号公報、特許第877579号公報に記載の方法により、ウェブ状態でセルロースを再生させた、精練したりした後、高圧水流により繊維交絡させ不織布を製造する。この際に意匠性を付与するために不織布に穴や凹凸をつけたりすることが高圧水流の条件や不織布の下及び/又は上に配置されるネットの柄によって可能となる。得られた不織布は乾燥、巻き取り品として得ることができる。紡糸から巻き取りまでが一連の工程で成されるため繊維が切断されずに連続的に繋がっているので連続長繊維不織布という。その後、得られた再生セルロース連続長繊維不織布の各種物性を測定する。
〔イムノクロマト診断キットの作製方法〕
所定の濃度に調整した着色セルロース粒子の分散液を準備し、緩衝液、抗体を加え、温度調整を行いながら一定時間撹拌し、着色セルロース粒子に抗体を吸着させる。一定時間撹拌後、更にブロッキング剤を加え温度調整を行いながら一定時間撹拌することで、着色セルロース粒子のブロッキングを行う。ブロッキング剤としては、検査対象物質や検体又はそれを希釈する溶液の組成などに応じ様々なブロッキング剤を用いることができる。本発明で用いたカゼインは、着色セルロース粒子のブロッキングに特に好ましい。抗体吸着&ブロッキング後の着色セルロース粒子を洗浄するため、遠心分離を行い、余剰な抗体とブロッキング剤が含まれた上澄み液と沈降した粒子を分離し、上澄み液をデカンテーションにて除去する。沈降した粒子に緩衝液などの液体を加え、必要に応じ超音波などで分散処理を行う。この遠心分離による沈降、上澄みの除去、液体の添加という一連の操作による洗浄を必要回数行い、抗体吸着&ブロッキングを行った粒子を所定の濃度含有した分散液を調整する。この分散液に必要に応じタンパク質、界面活性剤、スクロースやトレハロースなどの糖を加え、得られた溶液をポリエチレン製のコンジュゲートパッドに一定量塗布し、乾燥させ、検出試薬含有部を調整する。また再生セルロース連続長繊維不織布に必要に応じ緩衝液、界面活性剤、タンパク、検体試料中の夾雑物をトラップする試薬、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、吸湿剤、などを塗布し、乾燥させ、サンプルパッドを調製する。更に所定の位置に抗体を固定化したニトロセルロース多孔膜製のクロマトグラフ媒体、検体を吸収するためのセルロース濾紙製の吸収パッドを調製する。それらをバッキングシートと呼ばれる接着部位を有する台紙に固定化し、所定のサイズに裁断することでイムノクロマト診断キットを作製する。
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また、特に記載のない全ての操作は温度23℃、相対湿度55%RHの環境下で行った。
〔発色粒子の平均粒子径測定〕
装置としては日機装社製のナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(動的光散乱式)を用いた。測定サンプルとして、発色粒子が0.01重量%、純水99.99重量%のサンプルを用いた。測定条件としては積算回数を30回、1測定辺りの測定時間を30秒とし、体積平均の粒子径分布を用いそのメジアン径を平均粒子径とした。また、30回の積算によって得られた粒度分布の標準偏差と平均粒子径を用いCV値を算出した。
〔発色粒子の発色強度測定〕
装置としては日本分光社製の紫外可視近赤外分光光度計JASCO V−650(光学系:シングルモノクロメータ、ツェルニターナマウント、ダブルビーム方式 光源:重水素ランプ(190〜350nm)、ハロゲンランプ(330〜900nm))に同社製の積分球ユニットISV−722を取り付けた装置を用いた。測定するサンプルは、任意の濃度の発色粒子の水分散液又は乾燥粒子を、分散媒として蒸留水を用いて発色粒子が0.01重量%、純水99.99重量%になるよう濃度を調整したものを使用した。この濃度調整した水分散液を、光路長10mmの石英セル(容量:3.5mL 光路幅:10mm)に2.5mL加え、この石英セルを紫外可視近赤外分光光度計のサンプルフォルダにセットし、その後、測定を実施した。得られた吸光度ピークのうち、400〜800nm可視光範囲での最大値(ABS)を発色強度とした。
〔発色粒子の着色成分の割合の算出〕
所定回数の着色操作を行った後の発色粒子の重量と、着色前の粒子の重量から計算し算出した。例えば、1.0gのセルロース粒子を着色し、2.5gの着色セルロース粒子を得た場合の着色成分は2.5g−1.0g=1.5gとして計算した。この場合の着色成分の割合は1.5g÷2.5g×100=60.0重量%となる。
〔発色粒子のセルロース由来成分の割合の算出〕
前記の通り、「発色粒子のセルロース由来成分の割合」=100%−(発色粒子の着色成分の割合)の計算式によって計算した。
〔発色粒子のL/D比測定〕
装置としては日本電子株式社製の走査型電子顕微鏡JSM-6700を用いた。発色粒子が0.01重量%、純水99.99重量%のサンプルを雲母板に滴下し、10秒経過させることで発色粒子を雲母板上に吸着させ、キムワイプで余分な液体を吸い取り乾燥させた。得られた雲母板をプラチナでコーティングし、電子顕微鏡測定用のサンプルを調製した。加速電圧1.6kV、測定倍率5万倍で観測を行い、粒子画像が100個以上になるように必要枚数の画像を撮影し、それぞれの粒子の長径(L)と短径(D)を測定し、粒子100個のL/Dの平均値を算出した。
〔不織布の厚みの測定〕
JIS−L1096準拠の厚み試験にて荷重を1.96kPaとして測定した(単位はmm)。
〔不織布の目付の測定〕
0.5m以上の面積の不織布を、105℃で一定重量になるまで乾燥後、20℃、65%RHの恒温室に16時間以上放置してその重量を測定し、不織布の単位面積当たりの重量を測定した(単位はg/m)。
〔不織布の嵩密度の測定〕
前記の不織布の単位面積当たりの重量を厚みで割り返すことで算出した(単位はg/cm)。
〔不織布の脱落繊維数の測定〕
純水300mlに25cm×25cmのサンプルを入れ2分間静置した。サンプルを取り出した残りの液を黒色濾紙(ADVANTEC NO131)で濾過し、濾過後の濾紙を恒温室(20℃、65%RH)に12時間入れて乾燥した後、ビデオマイクロスコープにて大きさ100μm以上の脱落繊維数の個数を測定した(単位は個/m)。
〔イムノクロマト診断キットの診断時間の測定〕
5mm幅にカットしたイムノクロマト診断キットをプラスチックのハウジングに入れた。得られたハウジング入りの診断キットを、浜松ホトニクス社製のイムノクロマトリーダーC10066−10を用い測定した。用いる粒子の色に応じて装置の設定を行った。検査対象物質にはヒト絨毛性ゴナドトロピン(以下「hCG」という。)を用い、hCGを、1重量%の牛血清アルブミン(以下「BSA」という。)を含む66mM、PH7.4のリン酸緩衝液(以下「PBS」という。)で希釈し、hCG濃度が10mIU/mlの陽性検体を調製した。この陽性検体120μlを診断キットのサンプル滴下部に滴下し、以降20秒毎にイムノクロマトリーダーで測定を行い、TLの経時変化を測定した。ここで20秒毎とした理由は、測定1回につき20秒弱が必要なためである。イムノクロマトリーダーで得られるTLの発色強度(単位はmABS)が20mABS以上になった時間を測定した。ここで20mABSとした理由は、個人差もあるが20mABS以上になれば目視でもTLの存在を確認できるからである。この測定を5回行い、平均の時間を診断時間とした。
〔イムノクロマト診断キットの再現性の測定〕
前記同様に120ulの陽性検体を診断キットのサンプル滴下部に滴下し、15分経過後のTLの発色強度をイムノクロマトリーダーで測定した。この測定を20回行い、得られた値の平均値をTL強度、その標準偏差をTL強度標準偏差とした。再現性を表す指標%CVは下記式(1)により算出した:
%CV=TL強度標準偏差/TL強度×100・・・式(1)
〔イムノクロマト診断キットの偽陽性の測定〕
1重量%BSAを含む66mM、PH7.4のPBSを調整し陰性検体を調製した。120ulの陰性検体を診断キットのサンプル滴下部に滴下し、15分経過後のTLの発色強度をイムノクロマトリーダーで測定した。この測定を5回行い、得られた値の平均値が5mABS以下であれば偽陽性はないと判断した。ここで5mABSとした理由は、個人差もあるが5mABS以下であれば目視ではTLの存在が確認できないからである。
〔イムノクロマト診断キットの検出限界の測定〕
hCG濃度を3.20mIU/ml、1.60mIU/ml、0.80mIU/ml、0.40mIU/ml、0.20mIU/ml、0.10mIU/ml、0.05mIU/ml、0.025mIU/mlと段階的に薄くしていった陽性検体を調製した。前記同様に120μlを診断キットのサンプル滴下部に滴下し、15分経過後のTLの発色強度をイムノクロマトリーダーで測定した。この測定を各濃度で5回行い、得られた値の平均値が陰性検体を測定した時の値+20mABS以上の場合は陽性判定、以下の場合は検出限界以下と見なした。この陽性判定が得られる下限のhCG濃度を検出限界とした。
[実施例1]
[抗体感作着色セルロース粒子の調製]
既知の方法で調製した1.0重量%の着色セルロース粒子1(平均粒子径352nm、発色強度2.9ABS、着色成分の割合49%)120μlを15mlの遠心管に入れ、更にトリス緩衝液(50mM、PH7.0)を240μl、0.1%の抗hCG-αマウス抗体(Fitzgerald社製、10-C25C)を120μl加え、ボルテックスで10秒撹拌した。続いて37℃に調整した乾燥機内に入れ120分間静置した。続いて1.0重量%のカゼイン(和光純薬工業社製、030−01505)を含有するブロッキング液(100mMホウ酸、PH8.5)を14.4ml加え、更に37℃の乾燥機内で60分間静置した。続いて遠心分離機(クボタ商事社製、6200)と遠心分離ローター(クボタ商事社製、AF−5008C)を用い、10,000gの遠心を15分間行い、感作粒子を沈降させた後に上澄みを除去した。続いてホウ酸緩衝液(50mMホウ酸、PH10.0)を14.4ml加え、超音波分散機(エスエムテー社製、UH−50)で10秒間処理した。続いて10,000gの遠心を15分間行い、感作粒子を沈降させた後に上澄みを除去した。続いてスクロース(和光純薬工業社製、196−00015)を0.6g、1.0重量%のカゼインブロッキング液を0.8g加え、ホウ酸緩衝液(50mMホウ酸、PH10.0)を用い重量を4.0gに調整し、0.03重量%の抗体感作着色セルロース粒子分散液を調整し、超音波分散機で10秒間処理した。
〔コンジュゲートパッドへの抗体感作着色セルロース粒子の含浸および乾燥〕
ポリエチレン製コンジュゲートパッド(Pall社製、6613)を大過剰の0.05重量%のTween−20(シグマアルドリッチ社製、T2700)に浸漬し、余分な液を取り除いた後に50℃で60分乾燥させた。続いて高さ10mm、長さ300mmの形状にカットした。続いてマイクロピペットを用い0.03重量%の抗体感作着色セルロース粒子分散液1020μlを均等に塗布し、50℃で60分乾燥させた。
〔再生セルロース連続長繊維不織布サンプルパッドの前処理〕
既知の方法で調整した再生セルロース連続長繊維不織布1(目付57.2g/m、厚み0.52mm、嵩密度0.11g/cm、脱落繊維数2.0千個)を、大過剰の2.0重量%のBSA(シグマアルドリッチ社製、A7906)と2.0重量%のTween−20を含有するPBS緩衝液(66mM、PH7.4)に含浸し、余分な液を取り除いたのちに50℃で60分乾燥させた。続いて高さ20mm、長さ300mmの形状にカットした。
〔捕捉抗体塗布ニトロセルロース膜の調製〕
ニトロセルロース膜(Millipore社製、SHF0900425)を高さ25mm、長さ300mmの形状にカットした。液体塗布装置(武蔵エンジニアリング社製、300DS)を用い、0.1重量%抗hCG-βマウス抗体(MedixBiochemica社製、6601)を含むPBS溶液(66mM、PH7.4)を0.1μl/mmの割合で高さ7mmの部分に塗布した。続いて0.1重量%の抗マウス-ウサギ抗体(Daco社製、Z0259)を含むPBS溶液(66mM、PH7.4)を0.1μl/mmの割合で高さ12mmの部分に塗布した。続いて37℃で30分乾燥させた。
〔イムノクロマト診断キットの調製〕
バッキングカード(Adhesives Reserch社製、AR9020)に、調整した捕捉抗体塗布ニトロセルロース膜、吸収パッド(Millipore社製、C083)、抗体感作着色セルロース粒子を含有したコンジュゲートパッド、再生セルロース連続長繊維不織布サンプルパッドを、図1のようなレイアウトで張り合わせた。続いて裁断機にて5mmの幅にカットし、幅5mm、高さ60mmのイムノクロマト診断キットを得た。
〔イムノクロマト診断キットの性能評価〕
得られたイムノクロマト診断キットの性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例2]
発色粒子が着色セルロース粒子2(平均粒子径588nm、発色強度2.7ABS、着色成分の割合45%)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例3]
発色粒子が着色セルロース粒子3(平均粒子径790nm、発色強度2.6ABS、着色成分の割合42%)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例4]
発色粒子が着色セルロース粒子4(平均粒子径185nm、発色強度3.4ABS、着色成分の割合61%)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例5]
発色粒子が着色セルロース粒子5(平均粒子径394nm、発色強度4.8ABS、着色成分の割合75%)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例6]
発色粒子が着色セルロース粒子6(平均粒子径332nm、発色強度1.5ABS、着色成分の割合32%)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例7]
サンプルパッドに用いる不織布が再生セルロース連続長繊維不織布2(目付72.0g/m、厚み0.08mm、嵩密度0.90g/cm、脱落繊維数1.1千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例8]
サンプルパッドに用いる不織布が再生セルロース連続長繊維不織布3(目付50.3g/m、厚み0.75mm、嵩密度0.07g/cm、脱落繊維数2.1千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例9]
サンプルパッドに用いる不織布が再生セルロース連続長繊維不織布4(目付17.9g/m、厚み0.13mm、嵩密度0.14g/cm、脱落繊維数1.5千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例10]
サンプルパッドに用いる不織布が再生セルロース連続長繊維不織布(目付61.5g/m)とポリエステル不織布(目付32.0g/m)をウォータジェットで水流交絡させた複合不織布(目付92.5g/m、厚み0.30mm、嵩密度0.31g/cm、脱落繊維数0.9千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例11]
キュプラアンモニウム繊維を繊維長30mmにカットし、空気中に親水性バインダーと共に分散し積層させる、乾式エアレイド不織布の製法の一つであるキノクロス法にて、再生セルロース短繊維不織布1(目付49.2g/m、厚み0.24mm、嵩密度0.21g/cm、脱落繊維数10.5千個)を調製し、それをサンプルパッドに用いること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例12]
用いる繊維としてリヨセル繊維を用い、実施例11と同様の方法で再生セルロース短繊維不織布2(目付61.3g/m、厚み0.50mm、嵩密度0.12g/cm、脱落繊維数8.9千個)を調製し、それをサンプルパッドに用いること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
[実施例13]
用いる繊維としてレーヨン繊維を用い、実施例11と同様の方法で再生セルロース短繊維不織布3(目付31.7g/m、厚み0.19mm、嵩密度0.17g/cm、脱落繊維数10.0千個)を調製し、それをサンプルパッドに用いること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。
〔実施例1〜13の説明〕
実施例1〜13においてはいずれも、粒子径が大きく発色強度が高い所定の発色粒子と、嵩密度が低く厚みが薄い所定の再生セルロース系繊維からなる不織布のサンプルパッドを併用することにより、以下の表1に示すように、発色が早く、1分以内に線が発色し、診断時間が短く、分析感度が高く、結果の再現性に優れるイムノクロマト診断キットを得ることができた。
[比較例1]
発色粒子が粒子径の小さい着色セルロース粒子7(平均粒子径69nm、発色強度2.8ABS、着色成分の割合48%)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。表1に示す結果から明らかなように発色粒子の平均粒子径が小さい場合、1分を超えて線が発色し、診断時間が遅く、分析感度も低かった。
[比較例2]
発色粒子が粒子径の大きい着色セルロース粒子8(平均粒子径1017nm、発色強度2.4ABS、着色成分の割合41%)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。表1に示す結果から明らかなように発色粒子の平均粒子径が大きい場合は粒子が詰まるためか、診断時間がいくぶん遅く、結果の再現性が悪く、偽陽性も発生した。更にコンジュゲートパッドやニトロセルロース膜が着色していた。
[比較例3]
発色粒子が着色ラテックス粒子(平均粒子径351nm、発色強度0.4ABS、着色成分の割合は不明)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。表1に示す結果から明らかなように発色粒子がラテックスの場合は粒子の発色強度が低く、診断時間が遅く、分析感度も低かった。
[比較例4]
発色粒子が金コロイド(平均粒子径63nm、発色強度2.3ABS)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。表1に示す結果から明らかなように発色粒子が金コロイドの場合は粒子径が小さく、診断時間が遅く、分析感度も低く、結果の再現性も悪かった。
〔比較例1〜4の説明〕
実施例1〜13と比較例1〜4との間の比較から明らかなように、発色粒子の粒子径が最適範囲にない場合や、発色強度が低い場合である比較例1〜4においては、検査時間、分析感度、結果の再現性、偽陽性の有無などを全て兼ね備える診断キットを提供することはできなかった。
[比較例5]
サンプルパッドが目付の低い再生セルロース連続長繊維不織布5(目付9.1g/m、厚み0.12mm、嵩密度0.08g/cm、脱落繊維数2.9千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。サンプルパッドに用いる再生セルロース系繊維からなる不織布の目付が低い場合、いくつかの診断キットは検体液の一部が診断キット上から漏れてしまい、コンジュゲートパッドに十分な液量が供給されなかったために粒子のリリースが悪かった。そのためいくつかの診断キットは診断時間が遅く、分析感度が低く、その影響で結果の再現性も悪かった。また、サンプルパッドの前処理の段階で湿潤時のハンドリングが悪く扱いにくかった。
[比較例6]
サンプルパッドが、目付が大きく、厚みが厚い再生セルロース連続長繊維不織布6(目付170g/m、厚み1.09mm、嵩密度0.16g/cm、脱落繊維数2.9千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。サンプルパッドに用いる再生セルロース系繊維からなる不織布の目付が大きく、厚みが厚い場合、サンプルパッド自体がある程度の液量を保持してしまうためかコンジュゲートパッドからの粒子のリリースが悪く、診断時間が遅くなり、結果の再現性も悪かった。更にコンジュゲートパッドやニトロセルロース膜が着色していた。
[比較例7]
サンプルパッドが厚みの薄い再生セルロース連続長繊維不織布7(目付57.2g/m、厚み0.05mm、嵩密度1.14g/cm、脱落繊維数1.0千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。サンプルパッドに用いる再生セルロース系からなる繊維不織布の厚みが薄い場合、嵩密度が高く吸液速度が悪くなり単位時間当たりの流量が十分でないためかコンジュゲートパッドからの粒子のリリースが悪く、診断時間が遅くなり、結果の再現性も悪かった。更にコンジュゲートパッドやニトロセルロース膜が着色していた。
[比較例8]
サンプルパッドがパルプ短繊維不織布1(目付68.0g/m、厚み0.16mm、嵩密度0.43g/cm、脱落繊維数9.2千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。サンプルパッドにパルプ短繊維不織布を用いた場合、繊維自体の親水性が低く単位時間当たりの流量が十分でないためかコンジュゲートパッドからの粒子のリリースが悪く、診断時間が遅くなり、結果の再現性も悪かった。更にコンジュゲートパッドやニトロセルロース膜が着色していた。
[比較例9]
サンプルパッドがパルプ短繊維不織布2(市販のイムノクロマト用サンプルパッド、目付179.0g/m、厚み0.48mm、嵩密度0.37g/cm、脱落繊維数11.1千個)であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。サンプルパッドにパルプ短繊維不織布を用いた場合、繊維自体の親水性が低く単位時間当たりの流量が十分でないためかコンジュゲートパッドからの粒子のリリースが悪く、診断時間が遅くなり、結果の再現性も悪かった。更にコンジュゲートパッドやニトロセルロース膜が着色していた。
〔比較例5〜9の説明〕
実施例1〜13と比較例5〜9との間の比較から明らかなように、サンプルパッドに用いる再生セルロース系繊維からなる不織布の目付や厚みが所定範囲外である場合や、再生セルロース系繊維以外の繊維からなる場合には、表1に示すように、診断時間、分析感度、結果の再現性、偽陽性の有無などを全て兼ね備える診断キットを提供することはできなかった。
[比較例10]
発色粒子が比較例4で用いた金コロイド、サンプルパッドが比較例9で用いたパルプ短繊維不織布2であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。この組み合わせの場合、診断時間は非常に遅く、分析感度は低く、結果の再現性も悪かった。
[比較例11]
発色粒子が比較例3で用いた着色ラテックス粒子、サンプルパッドが比較例9で用いたパルプ短繊維不織布2であること以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調製し、その性能を評価した。結果を以下の表1に示す。この組み合わせの場合、診断時間は非常に遅く、分析感度は低く、結果の再現性も悪かった。
〔実施例1、比較例4、比較例9、比較例10のTL経時変化の比較〕
実施例1、比較例4、比較例9、比較例10で実施したイムノクロマト診断キットの診断時間の測定の結果を用い、TLの発色強度の経時変化を比較した。その結果を図5に示す。図5から明らかなように、発色粒子に金コロイドを用いた比較例4、比較例10はサンプルパッドの影響をあまり受けない。また、特定の発色粒子を用いたもののサンプルパッドに市販品のイムノクロマトサンプルパッドを用いた比較例9はある程度の時間が経過した後も緩やかに発色強度が増大している。これはサンプルパッドの吸液速度が十分ではなく、単位時間当たりの検体液の流量が少ないため、コンジュゲートパッドから発色粒子がリリースされ続けているためである。それに対し実施例1では発色強度が非常に高く、かつ発色強度が早く安定化している。これは本発明の奏する所定の発色粒子と所定のサンプルパッドを組み合わせた効果であり、より早い段階でコンジュゲートパッドから粒子がリリースされていることを裏付けるものといえる。
実施例1、比較例4、比較例9において、hCG系をインフルエンザ系に変更した以外は全く同じ条件で性能を評価したところ、インフルエンザ系においてもhCG系と同様の効果が確認できた。
〔コンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率の影響〕
〔実施例14〕
サンプルパッドを長さ17mmにすることでコンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率を70%とした以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調整し、その性能を評価した。結果を以下の表2に示す。
〔実施例15〕
サンプルパッドの長さを15mmにすることでコンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率を50%とした以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調整し、その性能を評価した。結果を以下の表2に示す。
〔比較例12〕
サンプルパッドの長さを12mmにすることでコンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率を20%とした以外は実施例1と同様の方法でイムノクロマト診断キットを調整し、その性能を評価した。結果を以下の表2に示す。
表2に記載の結果から明らかなように、コンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率を変えると、発色時間は変わらないが、結果の再現性が劣る場合があった。
Figure 0006053927
Figure 0006053927
本発明に係るイムノクロマト診断キットは、迅速な診断が可能であり、分析感度が高く、さらに、検査結果の再現性にも優れるため、診断薬として好適に利用可能である。
(a) サンプルパッド
(b) 抗体感作発色粒子を含むコンジュゲートパッド
(c) 検出部A(TL)
(d) 検出部B(コントロールライン)
(e) クロマトグラフ媒体
(f) 吸収パッド
(g) 台紙
(h) コンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率が100%の時の、サンプルパッドの最下流部分
(i) コンジュゲートパッドに対するサンプルパッドの被覆率が50%の時の、サンプルパッドの最下流部分
(j) 筐体

Claims (5)

  1. 平均粒子径が100〜1000nmであり、発色強度が1.0〜10.0であり、粒子の重量の10〜90重量%がセルロース由来、かつ、90〜10重量%が着色成分由来である発色粒子を含むコンジュゲートを含有するコンジュゲートパッドと、目付が10〜150g/mであり、かつ、厚みが0.07〜1.00mmである再生セルロース系繊維からなる不織布から構成される体外診断薬用サンプルパッドとを含むイムノクロマト診断キットであって、該発色強度は、濃度既知の発色粒子の純水分散液を調製し、光路長10mmとして、400〜800nmの範囲で積分球を用いた可視吸光度測定を行い、得られた吸光度曲線のピーク値(ABS)を測定し、得られた値を発色粒子の重量パーセントで割り返し、発色粒子0.01重量%辺りの吸光度に換算した値であり、かつ、該コンジュゲートパッドに対する該体外診断薬用サンプルパッドの被覆率が50〜100%である、前記イムノクロマト診断キット
  2. 前記再生セルロース系繊維がキュプラアンモニウムレーヨン繊維を主成分とするものである、請求項1に記載のイムノクロマト診断キット。
  3. 前記再生セルロース系繊維が連続長繊維である、請求項1又は2に記載のイムノクロマト診断キット。
  4. 前記再生セルロース系繊維からなる不織布の脱落繊維数が5000個/m未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のイムノクロマト診断キット。
  5. 前記着色成分が反応性染料である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のイムノクロマト診断キット。
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