(第1実施形態)
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態(第1実施形態)を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図であり、図3は内枠12及び前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図である。図4は内枠12及び遊技盤30等の構成を示す正面図である。図5はパチンコ機10の背面図であり、図6は内枠12及び裏パックユニット203等を開放した状態を示す斜視図である。但し、図3では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137等を省略して示している。
図3等に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する外枠11を備えており、この外枠11の一側部に内枠12が開閉可能に支持されている。
外枠11は、図6等に示すように、上辺枠構成部11a及び下辺枠構成部11bが木製の板材により構成され、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dがアルミニウム合金製の押出成形材により構成され、これら各枠構成部11a〜11dがネジ等の離脱可能な締結具により全体として矩形枠状に組み付けられている。
左辺枠構成部11cの上下端部には、それぞれ上ヒンジ81及び下ヒンジ82が取着されている(図1参照)。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能となる。そして、外枠11の内側に形成される空間部に内枠12等が収容される。
また、右辺枠構成部11dには、その幅方向後端部近傍から外枠11内側へ向け突出した延出壁部83が形成されている。延出壁部83は、内枠12の右側部背面側に設けられる施錠装置600(図6参照)に対応する上下区間全域を内枠12の背面側から覆っている(図5参照)。加えて、図3に示すように、延出壁部83の前面側には、施錠装置600の係止部材が係止される上下一対の受部84,85が設けられている。また、下側の受部85には、後述する内枠開放検知スイッチ92に当接する押圧部86が、外枠11内側に向けて突設されている。
さらに、下辺枠構成部11bには樹脂製の幕板飾り87が取着されている。幕板飾り87の上面奥部には、上方に突出するリブ88が一体形成されている。これにより内枠12との間に隙間が形成されにくくなっている。
図3に示すように、内枠12の開閉軸線は、パチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
また、内枠12の前面側には前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
図1に示すように、前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。加えて、下皿15の左部には、LEDが内蔵された演出ボタン125が設けられており、演出ボタン125を押圧操作することで、後述する装飾図柄表示装置42等において対応する演出が行われたり、演出内容が変更されたりする。
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段(可変抵抗器)が設けられている。そして、ハンドル18が右回りに回動操作されると、回動操作量に応じた強さで、後述する発射手段としての発射装置60によって遊技球が発射される。また、ハンドル18には、ハンドル18を握った右手の親指で押圧操作可能な発射禁止ボタン18aが設けられている。当該発射禁止ボタン18aを押圧した状態においては、ハンドル18を握っていたとしても、発射装置60による遊技球の発射が禁止される。このため、遊技球の発射を禁止しつつハンドル18の回動操作を行ったり、ハンドル18を握った状態で、一時的に遊技球の発射を止めたりすることができる。
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する発射装置60の方へ案内する球受皿である。尚、上皿19が遊技球で満杯になった状態では、払出される遊技球は、後述する下皿連通路71及び排出口16を介して、下皿15へと案内される。
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技ホール等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
さらに、上皿19には、球抜きボタン123が設けられている。球抜きボタン123が押圧操作されることで、上皿19の球案内路の下流側に設けられ、下皿15に連通する連通孔(図示略)が開口し、上皿19に貯留されていた遊技球が下皿15へと案内される(落下する)。つまり、遊技者は、球抜きボタン123を操作することで、上皿19にある遊技球をいつでも下皿15に移すことができる。
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅といった発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が設けられている。また、該環状電飾部102の両側部には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。尚、環状電飾部102のうち各エラー表示ランプ104の上方部位には、前面枠セット14の背面に設けられるスピーカSP(図3参照)に対応して細かな透孔が多数形成されている。
前面枠セット14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対をなして別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
次に、内枠12(樹脂ベース38)について図4を参照して説明する。上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側において遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
また、内枠12(樹脂ベース38)の前面下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、発射装置60及び当該発射装置60より発射された直後の遊技球を案内する発射レール61が取付けられている。本実施形態では、発射装置60としてソレノイド式発射装置を採用している。また、発射装置60の上方には、上皿19から案内される遊技球を、内蔵された駆動手段(例えばソレノイド)の駆動により、1球ずつ発射装置60の発射位置へと案内する球送り装置63が設けられている。
次に、遊技盤30の構成について図4を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、始動入賞ユニット(始動口)33、スルーゲート34、可変表示装置ユニット35、第1特別表示装置43L及び第2特別表示装置43R等がルータ加工によって形成された貫通孔に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り一般入賞口31、可変入賞装置32、始動入賞ユニット33などの各種入賞口に遊技球が入球(入賞)すると、各種検出スイッチにより検出され、上皿19(又は下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。例えば、始動入賞ユニット33への入球があった場合には3個、一般入賞口31への入球があった場合には10個、可変入賞装置32への入球があった場合には15個の遊技球が上皿19(下皿15)に払出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、一般入賞口31等の各種入賞口に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
始動入賞ユニット33は、始動入球手段としての上入賞口33a及び下入賞口33bと、下入賞口33bの両側部に設けられた開閉する一対の開閉部材33cを備えている。上入賞口33aは、遊技球が常時入球可能となっているのに対し、下入賞口33bは、開閉部材33cが所定条件の成立に応じて開閉動作することにより、遊技領域を流下する遊技球が入球可能な開状態と、遊技球が入球不可能な閉状態との間で状態変化可能に構成されている。尚、詳しくは後述するが、始動入賞ユニット33は、上入賞口33a、下入賞口33bに入球した遊技球をそれぞれ検知する第1始動入賞スイッチ224a、第2始動入賞スイッチ224bを備えており、当該始動入賞スイッチ224a、224bにて遊技球が検知された場合に、大当たり状態を発生させるか否かの当否抽選が行われるとともに、特別表示装置43L、43R(及び後述する装飾図柄表示装置42)にて変動表示が行われる構成となっている。そして、当否抽選にて当選した(大当たり)場合には、可変入賞装置32が開放される大当たり状態(特別遊技状態)が付与されることとなる。
第1及び第2特別表示装置43L、43Rは、それぞれ2文字(及びドット)を表示可能なタイプの7セグメント表示装置により構成され、可変入賞装置32の右方に設置されている。そして、始動入賞ユニット33の上入賞口33aへの遊技球の入球を契機として第1特別表示装置43Lにて切替表示(変動表示)が行われ、下入賞口33bへの遊技球の入球を契機として第2特別表示装置43Rにて切替表示(変動表示)が行われる構成となっている。尚、特別表示装置43L、43Rは、後述する主制御手段としての主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。
また、第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて変動表示が行われた後、当該変動表示が停止したときの表示態様(点灯態様)により、大当たりか否かが確定的に表示される。例えば、上入賞口33aに遊技球が入賞すると、対応する第1特別表示装置43Lにて点灯態様(点灯するセグメントの組合わせ)が高速で(例えば4msec毎に)切替表示(変動表示)され、所定時間が経過すると、いずれかの点灯態様を停止表示(例えば数秒間停止)する。そして、大当たり抽選に当選した場合には、対応する点灯態様が変動停止時に表示され、大当たり状態が発生する。また、特別表示装置43L、43Rにおいては、大当たりか否かが教示されるだけでなく、大当たりの場合には、大当たり種別についても教示される。
尚、第1特別表示装置43L、第2特別表示装置43Rのどちらか一方において、変動表示又は決定表示が行われている場合には、他方が消灯状態とされており(「−」を表示しておいてもよい)、どちらにおいても変動表示及び決定表示が行われていない場合には、両方においてそれぞれ「−」が表示される。
また、第1又は第2特別表示装置43L、43Rの変動表示中に新たに遊技球が始動入賞ユニット33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では、上入賞口33aに入賞した遊技球、及び下入賞口33bに入賞した遊技球に対応して、それぞれ4回までの変動表示(合計8回の変動表示)が保留される。また、その保留回数が第1保留ランプ46a、第2保留ランプ46bにて点灯表示されるようになっている。尚、大当たり状態中に新たに遊技球が始動入賞ユニット33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
尚、基本的に、上入賞口33aへの入賞を契機とする変動表示は、対応する遊技球が上入賞口33aへ入球した順に記憶されるとともに入球した順に消化され、下入賞口33bへの入賞を契機とする変動表示は、対応する遊技球が下入賞口33bへ入球した順に記憶されるとともに入球した順に消化される。但し、上入賞口33aへの入賞を契機とする変動表示、及び、下入賞口33bへの入球を契機とする変動表示の両方が保留されている場合(第1保留ランプ46a及び第2保留ランプ46bがそれぞれ1つ以上点灯している場合)には、下入賞口33bへの入球を契機とする変動表示が優先的に消化される。すなわち、下入賞口33bへの入賞を契機とする変動表示が全て消化された状態でなければ、上入賞口33aへの入球を契機とする変動表示が行われない構成となっている。例えば、第1保留ランプ46aが1つ点灯している状態において、下入賞口33bに遊技球が入球し、第2保留ランプ46bが1つ点灯した場合、上入賞口33aへの入球を契機とする変動表示が後回しにされ、先に下入賞口33bへの入球を契機とする変動表示が行われることとなる。以下、説明の便宜上、上入賞口33aへの入球を契機とする変動表示を「第1変動表示」とも称し、下入賞口33bへの入球を契機とする変動表示を「第2変動表示」とも称する。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない閉状態になっており、大当たり状態(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞可能な開状態とされる。尚、図示は省略するが、可変入賞装置32は、遊技盤30の後方へと通じる大入賞口(入賞口)と、大入賞口を開閉するシャッタ(可動部)と、シャッタを動作させるための大入賞口ソレノイド(駆動手段)と、大入賞口に入球した遊技球を検出するカウントスイッチ223とを備え、大入賞口ソレノイドを駆動制御し、シャッタを開閉させることで、可変入賞装置32(大入賞口)を閉状態と開状態とに切替えている。
また、スルーゲート34は、遊技領域を流下する遊技球が1球ずつ通過可能に構成されている。詳しくは後述するが、スルーゲート34は、当該スルーゲート34を通過する遊技球を検知可能なスルーゲートスイッチ225を備えており、当該スルーゲートスイッチ225にて遊技球が検知された場合に、始動入賞ユニット33を開状態とするか否かの入球アシスト抽選が行われるとともに、普通図柄表示装置41にて当該入球アシスト抽選の結果を教示するための変動表示が行われる。そして、入球アシスト抽選にて当選した場合には、当該変動表示の終了後に始動入賞ユニット33(開閉部材33c)が規定時間だけ開状態とされる。
可変表示装置ユニット35には、スルーゲート34の通過を契機として変動表示する普通図柄表示装置41と、第1及び第2特別表示装置43L、43Rによる変動表示に合わせて変動表示する装飾図柄表示装置42とが設けられている。さらに、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42にて行われている変動表示が上入賞口33a及び下入賞口33bのうちどちらの入球に対応するものであるかを示す変動特定ランプ40と、上記第1保留ランプ46a及び第2保留ランプ46bと、保留ランプ44とが設けられている。
普通図柄表示装置41は、普通図柄として「○」又は「×」を点灯表示可能に構成されており、遊技球がスルーゲート34を通過する毎に例えば普通図柄を「○」→「×」→「○」→・・・という具合に高速で切換表示(変動表示)する。そして、その変動表示が「○」図柄(当選図柄)で数秒間停止した場合には、始動入賞ユニット33(開閉部材33c)が所定時間だけ開状態となる。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。
また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球がスルーゲート34を通過した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述するサブ制御装置262及び表示制御装置45によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。
装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄表示領域が設けられ、各図柄表示領域において複数種類の図柄(例えば1〜9の数字が付された図柄)が順次表示され(変動表示され)、その後、図柄表示領域毎に順番に(例えば、上図柄表示領域→下図柄表示領域→中図柄表示領域の順に)図柄が停止表示されるようになっている。例えば、主制御装置261にて大当たりが確定すると、第1又は第2特別表示装置43L、43Rにて大当たりに対応する表示がなされるとともに、装飾図柄表示装置42にて図柄が大当たりに対応する組合わせで停止表示され(例えば、上図柄表示領域、中図柄表示領域、及び下図柄表示領域にて停止表示される図柄が同一となり)、大当たり状態が開始される。
また、図柄が大当たりに対応する組合わせで停止表示される場合には、その前段階として、例えば、上図柄表示領域及び下図柄表示領域において同一の図柄が停止表示されることとなる。このように上図柄表示領域及び下図柄表示領域にて同一図柄が停止表示されるとともに、中図柄表示領域において未だ変動表示が行われている状態がリーチ状態である。
加えて、変動特定ランプ40は、発光色が青色のLED及び発光色が赤色のLEDを備えており、装飾図柄表示装置42において、上入賞口33aへの入球を契機とする変動表示が行われている場合には青色に発光し、下入賞口33bへの入球を契機とする変動表示が行われている場合には赤色に発光する。
また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。センターフレーム47の上部には入球口151が設けられており、該入球口151に入球した遊技球は、センターフレーム47の内部に形成され、装飾図柄表示装置42の側部に沿って上下に延びるワープ流路152を介して、装飾図柄表示装置42の下方に形成されたステージ153上に案内される。ステージ153上に案内された遊技球は、ステージ153上から前方の遊技領域に転落したり、ステージ153上を転動した後ステージ153の中央奥側に形成されたポケット154に入球したりする。尚、ポケット154は、始動入賞ユニット33(上入賞口33a)の直上方の遊技領域へと通じる案内通路155と連通しており、該ポケット154に入球した遊技球は、比較的高い確率で始動入賞ユニット33(上入賞口33a)に入球するようになっている。
また、遊技盤30には、内レール構成部51と外レール構成部52とからなり、発射装置60から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球は発射レール61及びレール50を通じて、遊技盤30とガラスユニット137との間に形成される遊技領域内に案内される。
内レール構成部51の先端部分(図4の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技領域へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。また、外レール構成部52の略先端部(図4の右上部)には、返しゴム54が取着されている。所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって例えば遊技盤30の略中央部側へ戻されることとなる。
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、発射装置60にて打出された遊技球が、戻り球防止部材53を通過するまでは、レール50を逆流する場合があるため、内外レール構成部51,52の並行部分は遊技領域から除かれる。
図3に示すように、前面枠セット14の背面側には、窓部101の下方において、球通路ユニット70が設けられている。球通路ユニット70は、後述する払出機構部352から下皿15の排出口16へ繋がる下皿連通路71と、払出機構部352から上皿19へ繋がる上皿連通路73と備えている。また、内枠12の前面側に設けられた発射レール61とレールユニット50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、前面枠セット14の球通路ユニット70には、前記隙間より落下した遊技球を下皿15へと案内するファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置60から発射された遊技球が戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72を介して下皿15に排出される。
また、図3及び図4中の符号67は後述する払出機構部352により払出された遊技球を内枠12の前方に案内するための払出通路であり、上皿連通路73(上皿19)に通じる通路と、下皿連通路71(下皿15)に通じる通路とに分かれている。払出通路67の下方にはシャッタ68が設けられており、前面枠セット14を開放した状態では、バネ等の付勢力によりシャッタ68が前方に突出して払出通路67の出口をほぼ閉鎖するようになっている。また、前面枠セット14を閉じた状態では、下皿連通路71の入口側後端部によってシャッタ68が押し開けられるようになっている。尚、下皿連通路71及び上皿連通路73の入口(球流入部)が隣接するとともに、前面枠セット14の閉状態において当該各入口と払出通路67とが所定距離だけ離間しており、両者間の隙間を遊技球が通過可能となっている。このため、上皿19及び上皿連通路73が遊技球で満杯となると、払出される遊技球が下皿連通路71側に流れ(下皿連通路71の入口側に溢れ)、下皿連通路71を通って下皿15に払出されることとなる。
加えて、球通路ユニット70には、下皿連通路71内に位置する遊技球を検知する満杯検知スイッチ(図示略)が設けられている。当該満杯検知スイッチの存在により、下皿15が遊技球で満杯になっていること(下皿15が遊技球で満杯となり、下皿連通路71において遊技球が滞留していること)を把握することができる。本実施形態では、満杯検知スイッチによって所定時間継続して遊技球が検知されることに基づき、装飾図柄表示装置42における表示や音声等を用いて下皿15が満杯であることを教示するエラー報知の制御が行われる。尚、下皿連通路71における遊技球の滞留が解消され、満杯検知スイッチにより遊技球が検知されなくなると(所定時間継続して検知されなくなると)エラー報知の状態が解除される。
次に、パチンコ機10の背面構成について図5、図6等を参照して説明する。パチンコ機10の背面には、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。払出機構及び保護カバーは1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。図6に示すように、遊技盤30中央の貫通孔に対応して配設された可変表示装置ユニット35(図4参照)の背面側には、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。また、フレームカバー213の背面側には、フレームカバー213の開口部から前方に臨む液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42、表示制御装置45及びサブ制御装置262が前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。
装飾図柄表示装置42は、当該装飾図柄表示装置42の表示部(液晶画面)をパチンコ機10の前面側に露出させるための開口部が形成された収容ボックス42aに収容されてフレームカバー213の背面側に固定されている。表示制御装置45は基板ボックス45aに収容されて装飾図柄表示装置42(収容ボックス42a)の背面側に固定されている。サブ制御装置262は基板ボックス262aに収容されて表示制御装置45(基板ボックス45a)の背面側に固定されている。尚、フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板等が配設されている。また、収容ボックス42a及び基板ボックス45a,262aは透明樹脂材料等により構成され、内部が視認可能となっている。
フレームカバー213の下方には裏枠セット215が、一般入賞口31、可変入賞装置32及び始動入賞ユニット33等を背後から覆うようにして遊技盤30に取付けられている。裏枠セット215は、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構を備えている(図示略)。この球回収機構により回収された遊技球は、後述する排出通路部217に案内され、排出通路部217の排出シュートからパチンコ機10外部に排出される。
また、本実施形態では、裏枠セット215が主制御装置261の取付台として機能する。より詳しくは、主制御装置261を搭載した基板ボックス263が、裏枠セット215に対し回動可能に軸支され、後方に開放可能となっている。
主制御装置261は透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されている。基板ボックス263は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備え、これらボックスベースとボックスカバーとが封印部材によって連結されている。封印部材によって連結された基板ボックス263は、所定の痕跡を残さなければ開封できない構成となっている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
また、遊技盤30には、一般入賞口31等の各種入賞口に対応して、当該各種入賞口へ入球した遊技球を検出する入球検出スイッチが設けられている。具体的には、図4に示すように、一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチ221が設けられ、可変入賞装置32にはカウントスイッチ223が設けられている。また、始動入賞ユニット33には、上入賞口33a及び下入賞口33bそれぞれに対応して第1始動入賞スイッチ224a、第2始動入賞スイッチ224bが設けられている。さらに、スルーゲート34に対応する位置にはスルーゲートスイッチ225が設けられている。
また、図示は省略するが、裏枠セット215には、入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223及びスルーゲートスイッチ225とケーブルコネクタを介して電気的に接続される第1盤面中継基板が設けられている。この第1盤面中継基板は、入賞口スイッチ221等と、主制御手段としての主制御装置261とを中継するものであり、ケーブルコネクタを介して主制御装置261と電気的に接続されている。これに対し、始動入賞スイッチ224a,224bは中継基板を経ることなくコネクタケーブルを介して直接主制御装置261に接続されている。
各種入球検出スイッチにて各々検出された検出結果は、主制御装置261に取り込まれる。そして、該主制御装置261よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御装置311に送信され、該払出制御装置311からの出力信号に基づき所定数の遊技球の払出しが実施される(スルーゲートスイッチ225により検出された場合を除く。)
この他、遊技盤30の裏面には、図示は省略するが、可変入賞装置32にて大入賞口を開放する大入賞口用ソレノイドが設けられ、始動入賞ユニット33にて一対の開閉部材33cを開閉駆動する入賞口用ソレノイドが設けられている。また、裏枠セット215には、これらソレノイドと主制御装置261とを中継する第2盤面中継基板(図示略)も設けられている。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。図5に示すように、裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と、遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。また、裏パックユニット203は、内枠12の左側部(図5では右側)に対して開閉可能に支持されており、上下方向に沿って延びる開閉軸線を軸心として後方に開放できるようになっている。加えて、裏パックユニット203の左上部(図5では右上部)には外部端子板240が設けられている。
外部端子板240は、遊技ホールのホールコンピュータなどへの各種情報送信を中継するためのものであり、複数の外部接続端子が設けられている。便宜上、符号は付さないが、例えば現在の遊技状態(大当たり状態や確変モード等)に関する情報を出力するための端子、後述する開放検知スイッチ91,92によって検出される前面枠セット14や内枠12の開放に関する情報を出力するための端子、入球エラー、下皿満タンエラー、タンク球無しエラー、払出しエラーなど各種エラー状態に関する情報を出力するための端子、払出制御装置311から払出される賞球数に関する情報を出力するための端子などが設けられている。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機10の後方に突出して略直方体形状をなす保護カバー部354を備えている。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉塞され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくともフレームカバー213を覆うのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、保護カバー部354が基板ボックス263の上部及び右部(図5では左側の部位)も合わせて覆う構成となっている。これにより、裏パックユニット203の閉鎖状態において、基板ボックス263の右部に設けられた封印部材、及び主制御装置261の上縁部に沿って設けられた端子部(基板側コネクタ)が覆われることとなる。
払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払出された遊技球は上皿19等に供給される。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
裏パックユニット203(基板ボックス263)の下方には、内枠12の左側部(図5では右側)にて軸支され、後方に開放可能な下枠セット251が設けられている。図6に示すように、下枠セット251には、上述した球回収機構により回収された遊技球が流入する排出通路部217が形成され、排出通路部217の最下流部には、遊技球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート(図示略)が形成されている。つまり、一般入賞口31等の各入賞口に入賞した遊技球は、裏枠セット215の球回収機構を介して集合し、さらに排出通路部217の排出シュートを通じてパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出通路部217に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュートを介してパチンコ機10外部に排出される。尚、本実施形態では、裏パックユニット203と下枠セット251とが別体として構成され、それぞれ独立して開閉可能であるが、裏パックユニット203と下枠セット251とが一体的に形成されることとしてもよい。
また、図5に示すように、下枠セット251の背面側には、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314が前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。
発射制御装置312及び電源装置313は基板ボックス313aに収容されて下枠セット251の背面側に固定されている。尚、発射制御装置312及び電源装置313は、便宜上それぞれ独立した制御装置として説明するが、実際には1つの基板(プリント基板)により構成される。
また、払出制御装置311は、基板ボックス311aに収容されて、基板ボックス313a(発射制御装置312及び電源装置313)の背面側に固定されている。尚、払出制御装置311が収容される基板ボックス311aには、上述した主制御装置261が収容される基板ボックス263と同様に封印部材が設けられ、基板ボックス311aの開封された痕跡が残るようになっている。
加えて、カードユニット接続基板314は、基板ボックス314aに収容されて、基板ボックス313a(発射制御装置312及び電源装置313)の背面側に固定されている。なお、上記各基板ボックス311a,313a,314aは透明樹脂材料等により構成されており、内部が視認可能となっている。
また、払出制御装置311には基板ボックス311aから外方に突出する状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
さらに、電源装置313には基板ボックス313aから外方に突出するRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技ホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
また、図6に示すように、内枠12の右側部背面側には施錠装置600が設けられている。施錠装置600は、前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠700(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴に鍵を挿入し、一方に回動操作することで内枠12を解錠でき、他方に回動操作することで前面枠セット14を解錠できるようになっている。本実施形態では、内枠12は外枠11に対し施錠され、前面枠セット14は内枠12に対し施錠される。
尚、上記のように、外枠11の右辺枠構成部11dには、施錠装置600に対応する上下区間全域を内枠12の背面側から覆う延出壁部83が形成されている(図5参照)。これにより、外枠11の背面側から線材等を進入させ、当該線材等により施錠装置600を操作することが困難となる。結果として、防御性能の向上を図ることができる。さらに、延出壁部83は、裏パックユニット203及び下枠セット251の右端部(図5では左側の端部)を背面側から覆う構成となっており、内枠12の閉状態においては、裏パックユニット203及び下枠セット251を開放できない構成となっている。
また、図4に示すように、内枠12の前面側右下部(発射装置60の右側)には、前面枠セット14の開放を検知するための前面枠開放検知スイッチ91が設けられ、図5に示すように、内枠12の背面側右下部(図5では左下)には、内枠12の開放を検知するための内枠開放検知スイッチ92が設けられている。前面枠開放検知スイッチ91及び内枠開放検知スイッチ92は、それぞれスイッチ本体部に対して出没可能な検知部を備えており、前面枠開放検知スイッチ91は検知部が前方に向くように設けられ、内枠開放検知スイッチ92は検知部が後方へ向くように設けられる。そして、検知部がスイッチ本体部から突出した状態にある場合にはオン信号を主制御装置261に出力し、検知部がスイッチ本体部側に押圧され、スイッチ本体部に没入した状態ではオフ信号を主制御装置261に出力する構成となっている。つまり、前面枠開放検知スイッチ91は前面枠セット14の閉鎖時において検知部が前面枠セット14の背面で押圧されてオフ状態となり、前面枠セット14の開放時には、検知部が突出状態に戻ってオン状態となる。同様に、内枠開放検知スイッチ92は内枠12の閉鎖時において検知部が外枠11の受部85に一体形成された押圧部86によって押圧されてオフ状態となり、内枠12の開放時には検知部が突出状態に戻ってオン状態となる。
さて、図7に示すように、本実施形態では、センターフレーム47のステージ153と装飾図柄表示装置42との間において、環状(無端状)の情報表示ベルト401が設けられている。情報表示ベルト401の外周面には、マーカー403(識別情報)がプリントされたマーカーシール402が貼着されている。また、情報表示ベルト401は、ステッピングモータ405と連結された駆動ローラ406及び図示しない従動ローラに緊張状態で掛装されており、ステッピングモータ405の駆動に伴い回動するようになっている。情報表示ベルト401は、その上面のみが露出して視認可能となるように配置されており、その上面は、略平坦面とされ、装飾図柄表示装置42の表示部を囲う枠部のうち下壁部の上面と略面一となっている。尚、ステッピングモータ405はサブ制御装置262によって駆動制御される。また、本実施形態では、装飾図柄表示装置42(の表示部)が特定表示領域を構成する。さらに、情報表示ベルト401、駆動ローラ406、従動ローラ、ステッピングモータ405、サブ制御装置262がマーカー変位手段、情報変更手段、状態変更手段を構成する。
マーカー403は、例えば、文字、記号、絵柄、図柄、模様等の識別情報で構成され、本実施形態では、情報表示ベルト401においてマーカー403のパターン(模様等)が異なる3つマーカーシール402が互いに所定距離を隔てて貼着されている。より具体的には、3つのマーカーシール402は、各マーカーシール402をそれぞれ1つだけ露出させた状態とすることができ、かつ、全てのマーカーシール402が露出しない状態とできるような間隔をあけて情報表示ベルト401に貼着されている。
マーカー403を詳しくは後述するAR実行手段としての図示しないカメラ付き携帯端末機(本例では携帯電話)で撮影すると、撮影された画像に対してオブジェクト画像407(本例では3Dキャラクタ画像)が合成された画像を当該携帯電話の液晶ディスプレイにて表示できるようになっている。つまり、実際に存在する場所を撮影した画像に対して、実在しないバーチャルの画像(情報)を付加し、実在の場所に実在しないものがあたかも存在しているかのような合成画像が携帯電話のディスプレイに表示されるようになっている。これにより、遊技者は、実際の環境と仮想オブジェクトとがあたかも同じ空間に存在しているかのような映像、所謂、Augmented Reality(AR;拡張現実)と呼ばれる技術を堪能することができる。尚、図7に示されるオブジェクト画像407は携帯電話を介して視認できるもの(携帯電話のディスプレイにて表示されるもの)であり、パチンコ機10を直視した場合には見ることはできない。
上記合成画像の表示に使用される携帯電話としては、ユーザの操作を検出する操作キー、各種処理の結果をユーザに表示する表示手段としての液晶ディスプレイ、静止画及び動画を撮影可能な撮影手段としてのカメラ、ネットワーク電子通信を行う通信部、通信部で受信したプログラムや画像データ等を記憶可能な記憶手段、各種制御を行うプロセッサー等を備えている。また、かかる携帯電話は、カメラで撮影されたマーカー403を認識し、カメラとの相対位置関係を把握する機能と、カメラで撮影された画像に対して、マーカー403を基準とする位置にマーカー403のパターンに対応したオブジェクト画像407を合成した画像を液晶ディスプレイで表示させる機能とを備えるアプリケーションソフトウェア(以下、ARアプリと言う)を有している。但し、本例における携帯電話は遊技者が個人で所有しているものを意図しており、当該携帯電話には、上記のような合成画像を生成する機能、すなわち、ARアプリやオブジェクト画像を描画するための画像データはプリインストールされていない。
このため、先ず、前記ARアプリを配信するサーバーと通信を行い、ARアプリ等をダウンロードする必要がある。本実施形態では、図1等に示すように、前面枠セット14の前面側において、ARアプリ等を配信するサーバーのURLを入手できる情報手段としての二次元コード(例えばQRコード;登録商標)がプリントされたコードシール408が貼着されている。尚、上記携帯電話は、二次元コードを読み取るバーコードスキャナの機能を備えているものとする。また、本実施形態では、携帯電話のプロセッサー、記憶手段に記憶されているARアプリや画像データ等による、撮影画像の中からマーカー403を認識して合成画像を表示する機能がAR制御手段を構成する。さらに、コードシール408の設置場所は前面枠セット14の前面側でなくてもよく、携帯電話のカメラで撮影可能な部位であればよい。
サーバーから受信したARアプリ等をインストールした後、ARアプリを起動するとカメラが起動状態とされる。そして、カメラの撮影範囲内にマーカー403を入れると、ARアプリの画像判定機能がマーカー403を認識する。より具体的には、予め任意に設定されたマーカー403上の複数の点(コーナー部)を認識し、演算処理等を行って、マーカー403のパターンを認識するとともに、カメラとマーカー403との相対位置(距離、向き、角度)を認識する。さらに、このようにして得られたマーカー403のパターン情報及び位置情報に基づいて、オブジェクト画像407を生成するとともに、当該オブジェクト画像407をカメラで撮影された画像に対してマーカー403を基準とした位置に合成する処理を行う。そして、合成された画像が液晶ディスプレイに表示されるようになっている。すなわち、遊技者は、ARアプリを起動させた状態の携帯電話のカメラで装飾図柄表示装置42を撮影すると、当該撮影範囲内にマーカー403が入っていることを条件に、装飾図柄表示装置42を撮影した画像と、ARアプリによって生成されたオブジェクト画像407とが合成された画像を液晶ディスプレイにて視認したり、録画・再生したりすることができる。
本実施形態では、カメラで撮影した映像を録画する状態としなくても、ARアプリが起動した状態で携帯電話のカメラをマーカー403に向けることで、液晶ディスプレイにて合成画像がリアルタイムに表示されるようになっている。尚、録画状態とすることで合成画像が液晶ディスプレイにてリアルタイムに表示されるようになったり、録画した後、再生することではじめて合成画像が液晶ディスプレイに表示されるようになったりするようにARアプリがプログラミングされていてもよい。
また、特別表示装置43L、43Rにて変動表示が行われていない状態や、変動表示中でもリーチが発生していない状態においては、情報表示ベルト401に貼着された3つのマーカーシール402のうち、Aパターンのマーカー403がプリントされたマーカーシール402が露出される(撮影可能となる)ようにステッピングモータ405が駆動制御される。また、変動表示中においてリーチ発生から変動停止までの間は基本的にいずれのマーカーシール402も露出しない状態とされる。但し、大当たり状態の発生が確定する(大当たり状態の発生が確定していることが教示される)プレミアムリーチ等の特定の演出が発生した場合、Bパターンのマーカー403がプリントされたマーカーシール402が露出状態とされる。また、大当たり状態では、Cパターンのマーカー403がプリントされたマーカーシール402が露出状態とされる。尚、ステッピングモータ405は、露出状態とするマーカーシール402を変更する際にだけ駆動されるものではなく、所定のマーカーシール402が携帯電話のカメラで撮影可能な範囲内において移動するように駆動制御される場合もある。
本実施形態では、Aパターンのマーカー403が読み取られた場合、装飾図柄表示装置42の前方の空間にオブジェクト画像407として「鯨」が3次元表示されるようになっている。さらに、当該「鯨」は、遊技(回転数、大当たり回数、特定演出の出現等)に応じて成長し、体が大きくなったり、芸をしたりするようになる。より具体的には、遊技に際して所定条件(総回転数、総大当たり回数、特定演出の出現等)を満たすと情報表示手段としての装飾図柄表示装置42にて特定情報としての二次元コードが表示される。それを携帯電話で撮影すると、ARアプリが二次元コードのパターンに応じて成長させた「鯨」を液晶ディスプレイで表示するようになる。このように、遊技を行うことで出会えたり、成長させたりすることのできる「鯨」は、遊技者にとってペットのような存在となり、新たな遊技意欲を掻き立てられる。
尚、本実施形態では、携帯電話のディスプレイにて「鯨」の成長状態を示すパスワードが表示可能に構成されている。さらに、図1等に示すように、本実施形態では、演出ボタン125の近傍に操作ボタン126が設けられており、特別表示装置43L、43Rの変動表示が行われていない状態で演出ボタン125や操作ボタン126を操作すると、装飾図柄表示装置42がパスワード入力画面となる。そして、操作ボタン126でパスワードを入力することで、既に読取ったことのある二次元コードが表示されないようになっている。
Cパターンのマーカー403が読み取られた場合、「鯨」がAパターンのマーカー403が読み取られたときとは異なる動きをする(例えば、より動き回る)。尚、A又はCパターンのマーカー403が読み取られた場合、「鯨」がどれだけ成長してもガラスユニット137よりも前方に「鯨」が飛び出すような表示は行われない。
Bパターンのマーカー403が読み取られた場合、「鯨」が巨大化してガラスユニット137よりも前方(パチンコ機10と遊技者の間の空間)にはみ出したり、ガラスユニット137よりも前方の空間を「鯨」が遊泳したりするような表示が行われる。このように、パチンコ機10の内側の存在であった「鯨」がパチンコ機10を飛び出すといった演出に対して遊技者は驚きや感銘を受けることができるとともに、あたかも遊技者が「鯨」に触れているかのような映像を撮影することができる。
また、Bパターンのマーカー403は、大当たり状態が開始されると非露出状態とされる(露出されるマーカー403がCパターンのものに切替わる)が、Bパターンのマーカー403が露出した状態において操作手段としてのボタン125、126を押圧操作すると、大当たり状態が開始されてもBパターンのマーカー403が露出した状態となる(Bパターンのマーカー403の露出期間が延長される)。尚、大当たり状態が終了すると、Aパターンのマーカー403が露出する状態とされる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図8は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。主制御装置261(主制御基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。但し、CPU、ROM及びRAMが1チップ化されておらず、それぞれの機能毎にチップ化されている構成であってもよい。
RAM503は、CPU501の内部レジスタの内容やCPU501により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア503aとを備えている。
また、RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア503aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、メイン処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)のメイン処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア503aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバス等で構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、第1及び第2特別表示装置43L、43R、普通図柄表示装置41等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43L、43R、及び普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
その他、便宜上、各種中継基板等の図示は省略するが、入出力ポート505には、入賞口スイッチ221、カウントスイッチ223、始動入賞ユニットスイッチ224a,224b、スルーゲートスイッチ225、ハンドル18の各種スイッチなどの各種検出スイッチや、各種基板、可変入賞装置32の大入賞口を開閉するシャッタを動作させるための大入賞口ソレノイドなどの各種電気部品が接続されている。つまり、主制御装置261には、各種ケーブルコネクタのコネクタを接続するための複数の端子部(基板側コネクタ)が設けられているが、これら端子部等により、入出力ポート505が構成される。
サブ制御手段としてのサブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、演出ボタン125、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する第1及び第2特別表示装置43L、43Rにて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43L、43Rの表示に合わせた表示が行われる。
また、払出制御装置311は、払出装置358により賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、主制御装置261のRAM503と同様に、CPU511の内部レジスタの内容やCPU511により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種フラグ及びカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)と、バックアップエリア513aとを備えている。
RAM513は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、スタックエリア、作業エリア及びバックアップエリア513aに記憶されるすべてのデータがバックアップされるようになっている。なお、少なくともスタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップすれば、必ずしもすべてのエリアに記憶されるデータをバックアップする必要はない。例えば、スタックエリアとバックアップエリア513aとに記憶されるデータをバックアップし、作業エリアに記憶されるデータをバックアップしない構成としてもよい。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、メイン処理によって電源切断時に実行され、バックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は電源入時のメイン処理において実行される。なお、主制御装置261のCPU501と同様、CPU511のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路542から停電信号SK1が入力されるように構成されており、その停電信号SK1がCPU511へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
作業エリアには、払出制御装置311による賞球の払出許可が設定される払出許可フラグと、主制御装置261から送信されたコマンドを受信した場合に設定されるコマンド受信フラグと、主制御装置261から送信されたコマンドが記憶されるコマンドバッファとが設けられている。
払出許可フラグは、賞球の払出許可を設定するフラグであり、主制御装置261から賞球の払出を許可する特定のコマンドが送信され、その特定のコマンドを受信した場合にオンされ、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされる。本実施形態では、特定のコマンドは、払出制御装置311のRAM513の初期処理の指示をする払出初期化コマンドと、賞球の払出を指示する賞球コマンドと、主制御装置261が復電された場合に送信される払出復帰コマンドの3つである。
コマンド受信フラグは、払出制御装置311がコマンドを受信したか否かを確認するフラグであり、いずれかのコマンドを受信した場合にオンされ、払出許可フラグと同様に、初期設定の処理又は電源遮断前へ復帰された場合にオフされるとともに、コマンド判定処理により受信されたコマンドの判定が行われた場合にオフされる。
コマンドバッファは、主制御装置261から送信されるコマンドを一時的に記憶するリングバッファで構成されている。リングバッファは所定の記憶領域を有しており、その記憶領域の始端から終端に至るまで規則性をもってコマンドが記憶され、全ての記憶領域にコマンドが記憶された場合には、記憶領域の始端に戻りコマンドが更新されるよう構成されている。よって、コマンドが記憶された場合及びコマンドが読み出された場合に、コマンドバッファにおける記憶ポインタ及び読出ポインタが更新され、その各ポインタに基づきコマンドの記憶と読み出しとが行われる。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出装置358等がそれぞれ接続されている。
カードユニット接続基板314は、パチンコ機10前面の貸球操作部(球貸しボタン121及び返却ボタン122)と、遊技ホール等にてパチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)とにそれぞれ電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれをカードユニットに出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314を省略することも可能である。
発射制御装置312は、発射装置60による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置60は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射禁止ボタン18a(図1参照)が操作されていないことを条件に、発射装置60が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、ビデオディスプレイプロセッサ(VDP)526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、バスライン530を介して、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、VDP526が接続されている。また、VDP526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドを、入力ポート527を介して受信するとともに、受信コマンドを解析し又は受信コマンドに基づき所定の演算処理を行ってVDP526の制御(具体的にはVDP526に対する内部コマンドの生成)を実施する。これにより、装飾図柄表示装置42における表示制御を行う。
プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。
VDP526は、装飾図柄表示装置42に組み込まれたLCDドライバ(液晶駆動回路)を直接操作する一種の描画回路である。VDP526はICチップ化されているため「描画チップ」とも呼ばれ、その実体は、描画処理専用のファームウェアを内蔵したマイコンチップとでも言うべきものである。VDP526は、CPU521、ビデオRAM524等のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在するとともに、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させる。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。
電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。同様に、各種スイッチやモータ等には、これらが接続される制御装置を介して動作電源が供給されることとなる。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
以上詳述したように、本実施形態では、ステージ153と装飾図柄表示装置42との間において、マーカーシール402が貼着された情報表示ベルト401が設けられている。このため、AR実行手段としての携帯電話のカメラで、マーカー403がカメラの撮影範囲に入るようにして装飾図柄表示装置42(の表示部)を撮影することができる。このように撮影が行われることで、撮影手段にて装飾図柄表示装置42を撮影した画像と、携帯電話のARアプリで描画されたオブジェクト画像407(鯨)とが合成された画像を携帯電話のディスプレイにて表示させることができる。これにより、遊技者は、単にカメラで装飾図柄表示装置42を撮影した画像ではなく、装飾図柄表示装置42の前方において実在しないオブジェクト画像407があたかも出現しているかのような画像を視認することができる。従って、パチンコ機10に設置された可動役物等の部材をそのまま見せるだけ、或いは、予め記憶された画像データに基づく画像(2Dアニメーション等)を装飾図柄表示装置42で表示するだけといった従来の演出の域を超越した演出を行うことができ、遊技者によい意味での驚きや、遊技に際しての新たな楽しみ方を提供することができる。
また、オブジェクト画像407は実在するものではないため、撮影画像上のどこの位置にオブジェクト画像407を出現させたとしても、オブジェクト画像407によってその他の部材の動きが阻害されることはない。さらに、マーカー403が撮影範囲に入っていれば、オブジェクト画像407を撮影画像上のどこの位置にでも出現させることができる。従って、今までは演出を行うことができなかった又は困難であった場所でも演出を行うことができる。例えば、ステージ153上を実物の役物が動き回るように構成する場合、役物でステージ153上を転動する遊技球の動きが阻害される上、ステージ153が凹凸したり範囲を画定できなくなったりするのであるが、本例では、かかる不具合を回避することができる上、複雑な動作を行うオブジェクト画像407を表示することができる。結果として、演出の自由度が飛躍的に向上し、これによって興趣の向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、遊技者が手持ちの携帯電話でマーカー403を撮影することでオブジェクト画像407を視認可能とすることにより、オブジェクト画像407の出現位置をパチンコ機10の外部とすることもできる。すなわち、本実施形態では、オブジェクト画像407としての「鯨」がパチンコ機10から(ガラスユニット137から前方に)飛び出すような演出表示が行われる。このように、演出が行われる域を、パチンコ機10の筐体といった閉塞された空間から遊技者のいる現実の空間にまで広げることができ、今まで味わったことのない爽快感等を付与することができたり、あたかもオブジェクト画像407が遊技者に触れているような感覚を付与してパチンコ機10の世界観に親近感を覚えさせることができたりする。また、遊技者が自ら携帯電話で撮影を行うことで合成画像を見ることができることから、携帯電話をかざした自分だけが視認でき、他人は見ることができないといった優越感を得ることができたり、オブジェクト画像407を自分の好きな角度から視認することができたりする。
また、本実施形態では、回動する情報表示ベルト401にマーカーシール402が貼着されている。すなわち、オブジェクト画像407はマーカー403を基準とする位置に表示される構成のため、情報表示ベルト401を回動し、マーカー403を変位させればオブジェクト画像407についても付随して変位することとなる。従って、携帯電話のARアプリ(プロセッサー)でオブジェクト画像407を動作させる制御を行わなくても、マーカー403を認識して対応するオブジェクト画像407を、マーカー403を基準とする位置に出現させるといったメインの制御を行うことで、オブジェクト画像407が動く画像を視認することができる。もちろん、ARアプリでオブジェクト画像407を動作させる制御を行うとともに、マーカー403を変位させることで、オブジェクト画像407をよりダイナミックに或いは多彩に動作させることができ、また、マーカー403の変位分の動きをARアプリの制御で実行する場合に比べ制御の簡素化を図ることができる。従って、ARアプリの制御の複雑化を抑制しつつ、合成画像を用いてより複雑な演出等を行うことができる。また、AR制御手段によるオブジェクト画像を動作させる制御に要する時間の短縮を図ることができることから、オブジェクト画像の動作のタイミングと、その他の演出(音声等)のタイミングと同調させ易く、演出性の向上を図ることができる。
また、情報表示ベルト401にはマーカー403のパターンが異なる3つのマーカーシール402が貼着されており、情報表示ベルト401を回動させることで、露出するマーカーシール402が変更可能に構成されるとともに、各マーカーシール402を撮影すると、それぞれ異なる態様のオブジェクト画像407が出現するようになっている。これにより、マーカー403のパターンに応じて表示されるオブジェクト画像407の多様化を図ることができる。
さらに、本実施形態では、通常、Aパターンのマーカー403がプリントされたマーカーシール402が露出状態とされ、大当たり状態においてはCパターンのマーカー403がプリントされたマーカーシール402が露出状態とされる。また、装飾図柄表示装置42においてリーチ状態が発生した場合、いずれのマーカーシール402も露出しない状態とされるが、大当たり状態の発生が確定していることを教示するプレミアムリーチ等が発生した場合、Bパターンのマーカー403がプリントされたマーカーシール402が露出状態とされる。従って、露出状態(撮影可能)とされるマーカーシール402を変更したり、マーカーシール402がいずれも露出しない状態としたりすることで、オブジェクト画像407を用いた演出の多様化を図ることができる。また、Bパターンのマーカー403は容易に露出しないため、対応するオブジェクト画像407に希少価値を生じさせ、オブジェクト画像407を収集したいといった新たな遊技意欲を発生させることができる。
また、全てのオブジェクト画像407がめったに視認できないような構成であると、オブジェクト画像407を一度も見ることができない遊技者が出てきてしまい、専用のアプリケーションを製作する等の苦労の割に、享受できる効果が少なくなってしまうおそれがある。特に、遊技者は自分の携帯電話でARアプリをダウンロードしており、折角ARアプリをダウンロードしたのに使用機会がないといったフラストレーションを溜める要因になってしまうおそれがある。この点、本実施形態では、通常遊技のほとんどで撮影可能なマーカーシール402と、大当たり状態中において撮影可能なマーカーシール402とを用意しているため、かかる不具合を回避することができる。
さらに、前面枠セット14の前面には、ARアプリのダウンロード先を示す二次元コードがプリントされたコードシール408が貼着されている。このため、遊技者は、携帯電話で二次元コードを読み取り、ARアプリをダウンロードすることができる。従って、遊技者がARアプリの入手先を探す手間を省くことができ、遊技者は、オブジェクト画像407を撮影してみようと思い立ってから比較的スムースにオブジェクト画像407を合成した画像を撮影できる状態とすることができる。
また、予め設定された所定の遊技条件(例えば、所定の演出の発生)をクリアすると、装飾図柄表示装置42において二次元コードが表示され、当該二次元コードを携帯電話で撮影すると、携帯電話のディスプレイに表示されるオブジェクト画像407としての「鯨」の態様が一段階成長した態様となる。つまり、オブジェクト画像407を合成した画像が目新しいとはいっても、その合成画像を携帯電話に録画し、複数回再生して見た後では、もう合成画像に目新しさはなく、遊技者をパチンコ機10に引き付ける要因にはなり難い。これに対し、本実施形態では、装飾図柄表示装置42にて表示される二次元コードを携帯電話で読取ると新たなオブジェクト画像407の態様を視認することが可能となる。これにより、比較的長期にわたり遊技者をパチンコ機10に引き付けることができる。
また、本実施形態では、Bパターンのマーカー403が露出した状態において演出ボタン125や操作ボタン126を押圧操作すると、Bパターンのマーカー403の露出期間が延長され、大当たり状態が開始されてもBパターンのマーカー403が露出した状態となる。Bパターンのマーカー403に対応するオブジェクト画像407を比較的じっくりと堪能することができる。このため、例えば、Bパターンのマーカー403に対応するオブジェクト画像407を撮影したいが、携帯電話の準備が間に合わず、撮影の機会を逃がしてしまうといった事態を回避することができる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、図9〜図11を参照して説明する。尚、パチンコ機10の基本構成については、上記第1実施形態と同様であるため、その説明を省略するとともに、基本的に同じ部材名称及び部材番号を用いて説明する。
図9に示す遊技盤30には、始動入賞ユニット33、スルーゲート34、特殊入賞装置37、第1特別表示装置43L及び第2特別表示装置43R、表示手段としての装飾図柄表示装置42、センターフレーム47等が設けられている。本実施形態では、装飾図柄表示装置42が遊技盤30(遊技領域)の略中央部に配設され、特殊入賞装置421が遊技領域(窓孔39、内レール構成部51、及び外レール構成部52で囲まれる領域)の右下部において外レール構成部52に隣接して配設されている。尚、窓孔39、内レール構成部51、及び外レール構成部52で構成される枠構成部の内周側において遊技球が移動可能な領域(基本的に遊技盤30とガラスユニット137との間の領域)が遊技領域を構成する。
図10、図11に示すように、特殊入賞装置421は、詳しくは後述する各種センサ等が取り付けられる第1ベース部422と、第1ベース部422の上方に取り付けられ、上面側において略円形状の凹部424を有する第2ベース部423と、凹部424の内側において回転可能に設けられた略円盤状の回転体425(可動部材)と、回転体425を常時一定方向に一定周期で回転させる回転体モータ426と、回転体425と対向するようにして回転体425の上方に離間して設けられる上壁部427と、第2ベース部423や上壁部427の前方を覆うようにして設けられる枠状の装飾壁428(図9参照)とを備えている。また、特殊入賞装置421の内側、すなわち、回転体425及び第2ベース423と上壁部427との間には、遊技領域を移動(流下)する遊技球が入球可能な特定領域429が形成されている。尚、特殊入賞装置421は遊技領域の右下部といったパチンコ機10の前方に着席する遊技者から見て比較的視認し難い場所に設けられているが、特殊入賞装置421(特定領域429)は前方に開放されていることから、遊技者は身をかがめれば特定領域429を視認することも可能である。
また、図9に示すように、本実施形態のセンターフレーム47は、装飾図柄表示装置42の両側辺部に沿って形成され、装飾図柄表示装置42の側方を流下する遊技球が入球可能なワープ流路152と、ワープ流路152の入口を開閉する羽部材156と、羽部材156を開閉動作させる羽用ソレノイド(図示略)とを備えている。さらに、センターフレーム47は、装飾図柄表示装置42の下辺部の前方において遊技球が転動可能なステージ153を備えているものの、ワープ流路152はステージ153と連通しておらず、各ワープ流路152に入球した遊技球は、センターフレーム47と特殊入賞装置421とにかけて遊技盤30の後面側に延設された図示しない誘導通路を介して特殊入賞装置421の特定領域429へと案内される。本実施形態では、ワープ流路152及び誘導通路が誘導手段を構成する。
さらに、特定領域429へと遊技球を入球させるルートは、ワープ流路152から誘導通路を経由するルートしかない。つまり、羽部材156が閉鎖された場合には、特殊入賞装置421が閉状態となり、特定領域429への入球が不可能とされる。一方、羽部材156が開放された場合には、特殊入賞装置421が開状態となり、特定領域429への入球が許容される。また、本実施形態では、各ワープ流路152において、各ワープ流路152を通過する遊技球、すなわち、特殊入賞装置421(特定領域429)に入球する遊技球を検知する入球カウントスイッチ157が設けられている。尚、詳しくは後述するが、羽部材156は、下入賞口33bへの入球があり、かつ、当該入球を契機として行われる開放抽選にて当選した場合に所定時間だけ開状態とされる。また、入球カウントスイッチ157は、誘導通路において設けられていることとしてもよい。
回転体425は、図10、図11の時計回り方向に回転する構成となっている。回転体モータ426はステッピングモータにより構成され、主制御装置261から出力されるパルス信号により駆動制御される。また、回転体425は、その外周縁に沿って10箇所にそれぞれ遊技球を1つずつ受入れ可能なポケット部を有している。当該10個のポケット部は、6つの確変受入れ部431と、3つの通常受入れ部432と、1つの外れ受入れ部433とに区別される。通常受入れ部432は、回転体425の外周側及び上方に開口するとともに底壁部を有しており、かかる底壁部上面は回転体425の外周側に向けて下方傾斜している。一方、確変受入れ部431は回転体425の外周側、上方、及び下方に開口しており、前記通常受入れ部432のような底壁部は存在しない。さらに、外れ受入れ部433は、通常受入れ部432と同様に底壁部を有しているが、底面(底壁部の上面)の上下位置が通常受入れ部432の底面よりも上方に位置している。
さらに、図11に示すように、第2ベース部423は、特定領域429に入球した遊技球を遊技領域の外部に排出する確変入賞口434、通常入賞口435、及び外れ入賞口436を備えている。より具体的には、確変入賞口434は、凹部424の底面に形成されており、確変受入れ部431に流入した遊技球が入球可能に構成されている。また、通常入賞口435は、凹部424の側面(正面視で左側の側面)に形成されており、通常受入れ部432に流入した遊技球が入球可能に構成されている。さらに、外れ入賞口436は、凹部424の側面(正面視で右側の側面)に形成されており、外れ受入れ部433に流入した遊技球が入球可能に構成されている。尚、通常入賞口435は外れ入賞口436よりも下方位置に形成されており、底面の低い通常受入れ部432に流入した遊技球は通常入賞口435と対向したときに当該通常入賞口435に入球するが、底面の高い外れ受入れ部433に流入した遊技球は通常入賞口435と対向しても(通常入賞口435の上側の)側面に引っ掛かって通常入賞口435には入球しないようになっている。
また、第1ベース部422は、遊技球をパチンコ機10の外部に排出するための排出通路部217(図6参照)と確変入賞口434とを連通させる確変排出通路437と、排出通路部217と通常入賞口435とを連通させる通常排出通路438と、排出通路部217と外れ入賞口436とを連通させる外れ排出通路439とを備えている。また、確変排出通路437には、確変排出通路437を通過する遊技球、すなわち、確変入賞口434に入球した遊技球を検知する確変入球検知スイッチ441が設けられている。さらに、通常排出通路438には、通常排出通路438を通過する遊技球を検知する通常入球検知スイッチ442が設けられ、外れ排出通路439には、外れ排出通路439を通過する遊技球を検知する外れ入球検知スイッチ443が設けられている。
本実施形態では、確変入球検知スイッチ441及び通常入球検知スイッチ442のどちらかの検知があった場合に、可変入賞装置32が開閉制御される大当たり状態が発生する。また、大当たり状態の種別としては、大当たり状態の終了後において詳しくは後述する確変モードが付与されることとなる確変大当たりと、大当たり状態の終了後において詳しくは後述する通常モードが付与されることとなる通常大当たりとがあり、確変入球検知スイッチ441の検知があった場合には確変大当たりが発生し、通常入球検知スイッチ442の検知があった場合には通常大当たりが発生する構成となっている。加えて、外れ入球検知スイッチ443の検知があっても大当たり状態は発生しない。
尚、本実施形態では、確変入賞口434及び通常入賞口435が特定入球手段に相当し、確変入球検知スイッチ441及び通常入球検知スイッチ442が特定入球検知手段に相当する。また、入球カウントスイッチ157が特殊入球検知手段に相当し、確変入球検知スイッチ441、通常入球検知スイッチ442、及び外れ入球検知スイッチ443が特殊排出検知手段に相当する。加えて、大当たり状態を発生させる主制御装置261が特別遊技状態制御手段を構成し、装飾図柄表示装置42の表示制御を行うサブ制御装置262及び表示制御装置45が表示制御手段を構成する。
また、主制御装置261には、入球カウントスイッチ157の検知がある都度に1加算され、確変入球検知スイッチ441、通常入球検知スイッチ442、外れ入球検知スイッチ443の検知がある都度に1減算される残存球監視カウンタが設けられている。当該残存球監視カウンタを確認することで、特定領域429に存在する遊技球の数を把握することができる。また、入球カウントスイッチ157の検知が行われてからの時間を計測する監視タイマが設けられており、当該監視タイマ及び残存球監視カウンタを用いて、特定領域429における球詰まりの発生を監視している。本実施形態では、残存球監視カウンタを用いて特定領域429の残存球を監視する機能が残存球監視手段を構成する。さらに、本実施形態では、特定領域429に遊技球が存在する状態と、存在していない(存在している筈のない)状態とで、確変入球検知スイッチ441及び通常入球検知スイッチ442の検知が大当たり状態発生の契機として有効な状態と無効な状態とに切替える構成となっている。
また、第2ベース部423は、誘導通路によって回転体425の後方かつ上方に誘導された遊技球が排出される位置に設けられ、かかる遊技球を左右のどちらかに案内する分岐台445と、分岐台445から左方又は右方に展開し、分岐台445に案内されてきた遊技球を回転体425の前方位置へと誘導するとともに、回転体425の受入れ部431、432、433に流入させる第1案内通路446及び第2案内通路447とを備えている。尚、第1及び第2案内通路446、447の終端部の底面は、凹部424に設置された回転体425の受入れ部432、433の底面よりも上方、かつ、受入れ部431、432、433(回転体425の側壁部)の上端部よりも下方に位置している。このため、案内通路446、447を経由した遊技球は、当該案内通路446、447の終端部位置と各受入れ部431、432、433との相対位置が合致したときに各受入れ部431、432、433に流入するとともに、一旦各受入れ部431、432、433に流入した遊技球は案内通路446、447側に逆流しない構成となっている。
また、第2ベース部423の凹部424底面に形成される確変入賞口434は、回転体425の回転方向に沿って、第2案内通路447の終端部から第1案内通路446の終端部にかけて(凹部424の前縁部に沿って)形成されている。このため、遊技球は、確変受入れ部431に流入すると、直ちに確変入賞口434に入球し、特定領域429から排出されることとなる。一方、遊技球が通常受入れ部432又は外れ受入れ部433に流入した場合、遊技球が収容された通常受入れ部432と通常入賞口435とが一致するまで、又は、遊技球が収容された外れ受入れ部433と外れ入賞口436とが一致するまで、回転体425が所定量回動した後に通常入賞口435又は外れ入賞口436に入球し、特定領域429から排出されることとなる。
尚、確変受入れ部431に流入した遊技球は、直後に確変入賞口434に入球するのに対し、通常受入れ部432に流入した遊技球は、回転体425が所定角度回転した後、通常入賞口435に入球するようになっている。このため、例えば、特定領域429に対してほぼ同時に2つの遊技球が入球し、当該2つの遊技球のうち、先頭の遊技球が通常受入れ部432に流入し、後の遊技球が確変受入れ部431に流入した場合でも、通常入球検知スイッチ442の検知がある前に、確変入球検知スイッチ441の検知が行われるようなことが起こり得る。加えて、第1案内通路446の上流側には、第1案内通路446を移動する遊技球に勢いをつける(移動速度を増加させる)滑り台448が設けられており、遊技球が第2案内通路447を移動するよりも第1案内通路446を移動する方が早く受入れ部431、432、433に流入し易い。このように、特定領域429における遊技球の挙動は、遊技球がどの受入れ部431、432、433に流入するかで確変大当たり、通常大当たり、外れが振分けられるといった遊技者の利益に直結するものであり、さらには、遊技球の通過速度が異なる第1案内通路446及び第2案内通路447が設けられたり、各受入れ部431、432、433に流入してから各検知スイッチ441、442、443に検知されるまでの時間が異なったりすることで、遊技球が入賞口434、435、436へ入賞するまでの間に劇的な要素が加わるため、特定領域429における遊技球を遊技者に視認させることは、興趣の向上を図る上で絶大な効果があると言える。
始動入賞ユニット33は、上入賞口33aと、始動入球手段としての下入賞口33bと、下入賞口33bへの遊技球の入球を許容する開状態と入球を規制する閉状態とに状態変化する開閉部材33cとを備えている。本実施形態では、上入賞口33aへの入球があった場合(上入賞口33aに入球した遊技球を検知する第1始動入賞スイッチ224aの検知があった場合)には、大当たり状態を発生させるか否かの当否抽選が行われ、当該当否抽選で当選した場合に大当たり状態が発生する構成となっている。本実施形態では、当否抽選の当選確率は1/400となっている。当否抽選の当選結果は、特別表示装置43Lの変動表示の停止態様にて教示される構成となっている。
また、大当たり状態の種別としては、大当たり終了後において詳しくは後述する通常モードが付与される通常大当たりと、大当たり終了後において詳しくは後述する確変モードが付与される確変モードとが存在する。さらに、当否抽選にて当選した場合、大当たり状態の種別を決定する種別抽選が行われる構成となっている。本実施形態では、種別抽選において確変大当たりとなる割合が5割、通常大当たりとなる割合が5割となっている。尚、上入賞口33aへの入球に基づく当否抽選の権利は最大で4回まで保留され、その保留数は保留ランプ46aにて点灯表示される。また、当否抽選に基づく(当否抽選の結果を教示するための)特別表示装置43Lの変動表示の最中は、次回の当否抽選の結果を教示するための変動表示の開始が待機される構成となっている。
また、下入賞口33bは、開閉部材33cによって、通常、遊技球が入球できない状態となっている。そして、スルーゲート34への遊技球の通過があった場合(スルーゲートを通過する遊技球を検知するスルーゲートスイッチ225の検知があった場合)、開閉部材33cを開状態とさせるか否かの入球アシスト抽選が行われ、当該入球アシスト抽選で当選した場合に、開閉部材33cが開状態とされ、遊技球を下入賞口33bへ入球させることができる。本実施形態では、通常モードにて入球アシスト抽選が行われる場合、9/100の確率で当選し、確変モードにて入球アシスト抽選が行われる場合、9/10の確率で当選する構成となっている。入球アシスト抽選の当選結果は、普通図柄表示装置41の変動表示の停止態様にて教示される構成となっている。また、通常モードにて入球アシスト抽選に当選した場合、開閉部材33cが0.3秒間・1回開放され、確変モードにて入球アシスト抽選に当選した場合、開閉部材33cが2秒間・3回開放される構成となっている。すなわち、通常モードでは下入賞口33bに遊技球を入球させ難く、確変モードでは下入賞口33bに遊技球を入球させ易くなっている。尚、スルーゲート34の遊技球の通過に基づく入球アシスト抽選の権利は最大で4回まで保留され、その保留数は保留ランプ44にて点灯表示される。また、入球アシスト抽選に対応する普通図柄表示装置41の変動表示の最中や入球アシスト抽選の当選に基づく開閉部材33cの開放制御中は、次回の入球アシスト抽選に対応する普通図柄表示装置41の変動表示の開始が待機される(又はかかる変動表示の停止表示が待機される)構成となっている。
さらに、下入賞口33bへの入球があった場合(下入賞口33bに入球した遊技球を検知する始動入球検知手段としての第2始動入賞スイッチ224bの検知があった場合)、羽部材156を開放させるか否かの開放抽選が行われ、開放抽選で当選した場合に羽部材156が開放される構成となっている。本実施形態では、通常モードにて開放抽選が行われる場合、9/100の確率で当選し、確変モードにて開放抽選が行われる場合、9/10の確率で当選する構成となっている。開放抽選の当選結果は、特別表示装置43Rの変動表示の停止態様にて教示される構成となっている。また、通常モードにて開放抽選に当選した場合、左右一対の羽部材156のうちどちらか一方だけが0.3秒間開放され、確変モードにて開放抽選に当選した場合、左右一対の羽部材156の双方が2秒間開放される構成となっている。すなわち、通常モードでは特殊入賞装置421に遊技球を入球させる機会が僅かであるのに対し、確変モードでは特殊入賞装置421に遊技球を入球させ易くなっている。尚、下入賞口33bへの入球に基づく開放抽選の権利は最大で4回まで保留され、その保留数は保留ランプ46bにて点灯表示される。また、開放抽選に対応する特別表示装置43Rの変動表示の最中や開放抽選の当選に基づく羽部材156の開放制御中は、次回の開放抽選に対応する特別表示装置43Rの変動表示の開始が待機される(又はかかる変動表示の停止表示が待機される)構成となっている。尚、開放抽選の結果に基づいて羽部材156を開閉制御する主制御装置261の機能が開閉制御手段を構成する。
さらに、本実施形態では、上記のように、回転体425の10個の受入れ部431、432、433のうち遊技球が流入すれば大当たり状態の発生が確定する受入れ部431、432が合計9個存在する。このため、特殊入賞装置421に1つの遊技球が入球した場合、9/10の確率で大当たり状態が発生する。つまり、特殊入賞装置421へ入球させることが比較的困難な通常モードにおいては基本的に上入賞口33aへの入球を契機として行われる当否抽選にて当選しなければ大当たり状態を発生させることができないが、確変モードでは、特殊入賞装置421へ入球させ易くなっており、当否抽選だけでなく、遊技球を特殊入賞装置421へ入球させて確変入賞口434及び通常入賞口435へ入賞させることによっての大当たり状態の発生に期待することができる。従って、確変モードは、通常モードに比べ、大当たり状態が発生し易いモードであると言える。さらに、遊技球が流入すれば大当たり状態の発生が確定する合計9個の受入れ部431、432のうち、遊技球が流入すれば確変大当たりの発生が(ほぼ)確定する確変受入れ部431が6つ存在する。つまり、当否抽選にて当選した場合に行われる種別抽選においては、確変大当たりとなる確率が5割であるのに対し、特殊入賞装置421に遊技球が入球した場合には、6/9の確率で確変大当たりとなる。従って、確変モードは、通常モードに比べ、確変大当たりとなる可能性が高いモードであると言える。
尚、大当たり状態の発生が確定されていない状態において、遊技球が確変入球検知スイッチ441又は通常入球検知スイッチ442に検知された時点で大当たり状態の発生が確定される。このため、特殊入賞装置421(特定領域429)に対してほぼ同時に複数の遊技球が入球した場合等において、既に大当たり状態の発生が確定した状態や大当たり状態中に遊技球が確変入賞口434又は通常入賞口435に入球したとしても、当該入球に対する大当たり状態の発生の権利は付与されない(上乗せされない)構成となっている。
さて、本実施形態の特殊入賞装置421は、特定領域429(回転体425及び案内通路446、447)を撮影可能な撮影手段としてのカメラ451を備えている。カメラ451はサブ制御装置262と電気的に接続されており、撮影状態のオンオフの切替えや、カメラ451で撮影された画像データの入出力等が行えるようになっている。また、カメラ451で回転体425の全体及び案内通路446、447を撮影しようとすると、カメラ451と回転体425とをある程度離間させる必要がある。このため、本実施形態では、上壁部427が第2ベース部423(回転体425)よりも前方に張り出すようにして設けられるとともに、上壁部427の前部下面側にカメラ451が取り付けられる構成となっている。また、本実施形態では、カメラ451が遊技盤30の前面よりも前方に位置し、回転体425及び案内通路446、447が遊技盤30の前面よりも後方に位置するように特殊入賞装置421が設けられている。特に、回転体425は遊技盤30の後面よりも後方に位置している。
尚、遊技盤30の後面側において、装飾図柄表示装置42の後方には表示制御装置45等が設けられ、その下方には主制御装置261(基板ボックス263)等が設けられている。基板ボックス263は遊技盤30に対して回動可能に設けられており、遊技盤30と基板ボックス263との間には隙間が形成されるとともに、その隙間を埋める中空状の図示しないスペーサーが設けられている。本実施形態の特殊入賞装置421は、遊技盤30を前後に貫通し、その後部がスペーサーの内側に位置するようにして設けられている。
また、回転体425の回転中心と、所定の受入れ部(本例では外れ受入れ部433と確変受入れ部431とに隣接する通常受入れ部432)との間には、マーカー453がプリントされたマーカーシール452が貼着されている。つまり、マーカーシール452は、回転体425の回転に伴って回転体425の中心の周りを周回するとともに、回転体425が回転しても、各受入れ部431、432、433との相対位置関係は変わらない構成となっている。
さて、本実施形態では、カメラ451で撮影された画像と、オブジェクト画像457とを合成した画像が装飾図柄表示装置42にて表示可能に構成されている。より詳しくは、サブ制御装置262は、カメラ451でマーカー453を含む範囲が撮影された場合に、撮影された画像の中からマーカー453を認識するとともに、認識されたマーカー453に対応するオブジェクト画像457を生成し、当該オブジェクト画像457とカメラ451で撮影された画像とを合成した画像を装飾図柄表示装置42にて表示させる処理を実行可能なARアプリケーションソフトウェア(以下、ARアプリ)を備えている。尚、本実施形態では、オブジェクト画像457を生成するための画像データは表示制御装置45に格納されている。また、本実施形態では、サブ制御装置262(メモリに格納されているARアプリやCPU551)及び表示制御装置45(オブジェクト画像457用の画像データを記憶しているメモリ)等によってAR制御手段が構成される。
また、本実施形態では、入球カウントスイッチ157の検知があった場合(残存球監視カウンタの値が0ではなくなった場合)にカメラ451が起動状態とされるとともに、装飾図柄表示装置42において、予め記憶されている画像データに基づく画像(2Dアニメーション)のみを表示する通常表示モードから、カメラ451で撮影された画像を表示する撮影表示モードに切替わるようになっている。つまり、特定領域429に遊技球が入球すると、装飾図柄表示装置42において、マーカー453を基準とする位置においてマーカー453に対応するオブジェクト画像457が付加された特定領域429の様子がリアルタイムに映し出されることとなる。
本実施形態では、オブジェクト画像457として、「LIVE」の文字と、回転体425の上方において「熊」が動き回るような表示と、受入れ部431、432、433に対応して「旗」とが表示されるようになっている。「旗」は3種類あり、「旗」の種類によってどの受入れ部431、432、433が「確変大当たり」、「通常大当たり」、「外れ」のどれに対応しているかを把握し易いように構成されている。尚、本実施形態では、主制御装置261からサブ制御装置262に対して回転体425の位相情報が送られ、サブ制御装置262で回転体425の位相を把握できるようになっている。さらに、サブ制御装置262がオブジェクト画像457の表示制御を行っているため、実際の視認態様である回転体425の動きとオブジェクト画像457の動きとをリンクさせることが可能となる。つまり、回転体425が回転しても、受入れ部431、432、433と、対応する「旗」との位置ずれを回避することができる上、「熊」が回転している回転体425の所定の受入れ部431、432、433に飛び込んだり、所定の受入れ部431、432、433から顔だけ出しつつ回転体425とともに回転したりする等の表示を行うことも可能となる。これにより、特定領域429における遊技球の挙動を確実に把握できる上、オブジェクト画像457によって回転体425に関する付加情報を遊技者に提供したり、特定領域429における視認態様を面白みのあるものにしたりすることができる。加えて、本実施形態では、遊技球が確変入賞口434に入球して確変大当たりの発生が確定した場合、「熊」が遊技者を祝福するような演出を行う場合がある。また、遊技球が通常入賞口435に入球して通常大当たりの発生が確定した場合、「熊」がお辞儀をするような演出を行う場合がある。
さらに、特定領域429から遊技球が全て排出された場合、又は、確変入賞口434又は通常入賞口435への入賞があった場合、或いは、確変入賞口434又は通常入賞口435への入賞に対応した(検知スイッチ441、442の検知を契機とする)オブジェクト画像457の演出が終了した場合に通常表示モードに切替わる構成となっている。
尚、第1特別表示装置43L及び装飾図柄表示装置42の変動表示中において特殊入賞装置への入球があった場合、撮影表示モードに切替えるとともに、装飾図柄表示装置42で行われていた図柄の変動表示を装飾図柄表示装置42の表示部の隅で小さく表示することとしてもよいし、装飾図柄表示装置42で行われていた変動表示の表示を止め、当否抽選の結果は第1特別表示装置43Lのみで表示されるようにしてもよいし、特定領域429に遊技球が入球したことの顛末が決するまでは、変動表示が停止表示されないように変動表示が延長される(待機される)ように構成してもよい。
以上詳述したように、本実施形態では、特殊入賞装置421が遊技領域の右下の隅に設けられるとともに、特殊入賞装置421の特定領域429がカメラ451で撮影され、遊技領域の中央に配設された装飾図柄表示装置42にて特定領域429の様子を表示可能に構成されている。このため、比較的視認し難い位置に配設された特殊入賞装置421の特定領域429を直接目視しなくても、装飾図柄表示装置42を視認することで特定領域429における遊技球の挙動を明確に把握することができる。従って、例えば、遊技領域において、装飾図柄表示装置42と特殊入賞装置421とを遊技者から見え易い位置に設けようとして、一方又は両方を小型化したり、装飾図柄表示装置42及び特殊入賞装置421のうち一方の視認性が低下したりするといった事態を回避しつつ、装飾図柄表示装置42と特殊入賞装置421とを無理なく併設することができる。これによって、それぞれ各種工夫を凝らした装飾図柄表示装置42及び特殊入賞装置421の双方を設け、演出性、遊技性、及び装飾性の向上を図ることができ、結果として興趣の向上を図ることができる。
さらに、特殊入賞装置421は、遊技領域に発射された遊技球が各種入賞手段(可変入賞装置421、上入賞口33a、下入賞口33b、スルーゲート34等)に入賞するまでの経路を狭めないような位置に設けられている。このため、遊技領域における遊技球の挙動が特殊入賞装置421によって制限され過ぎてしまい、興趣の低下を招くといった事態を抑制することができる。
また、本実施形態では、特殊入賞装置421に設けられたカメラ451で特定領域429の回転体425及び案内通路446、447を撮影する構成となっているが、カメラ451と撮影対象(回転体425及び案内通路446、447)との間の距離が近すぎると、撮影範囲が狭く、所期の態様を撮影できないことが懸念される。さらに、カメラ451と撮影対象とを前後に離間させるべく(上下や左右に大きく離間させようとすると遊技領域が狭くなる)、回転体425及び案内通路446、447を極力後方に設置しようとすると、特殊入賞装置421が後方に比較的大きく突出し、その他の部材の設置スペースを阻害するおそれがある。
この点、本実施形態では、カメラ451が遊技盤30の前面よりも前方に位置し、回転体425が遊技盤30の後面よりも後方に位置するように構成されている。さらに、特殊入賞装置421をどこに設置しても装飾図柄表示装置42にて特定領域429の遊技球の挙動を視認可能とすることができるため、特定領域429の視認性を確保しつつ、特殊入賞装置421を極力その他の部材の設置の邪魔にならない位置(本例では、基板ボックス263と遊技盤30との間の空間を利用している)に設けることができる。従って、カメラ451と回転体425及び案内通路446、447とを前後に離間させても、パチンコ機10の大型化や製造作業性の低下を抑制しつつ、装飾図柄表示装置42と特殊入賞装置421とを無理なく併設することができる。
また、本実施形態では、特殊入賞装置421の特定領域429に存在する遊技球(入球カウントスイッチ157と、確変入球検知スイッチ441、通常入球検知スイッチ442、及び外れ入球検知スイッチ443との間に位置する遊技球)の数をカウントする残存球監視カウンタの値に基づいて、予め記憶されている画像データに基づく画像(2Dアニメーション表示による変動表示など)のみを装飾図柄表示装置42にて表示する通常表示モードと、カメラ451によって撮影された画像を装飾図柄表示装置42にて表示する撮影表示モードとに切替可能に構成されている。このため、特殊入賞装置421における遊技球の有無と、装飾図柄表示装置42における表示態様とをリンクさせることができ、特定領域429に遊技球が入球していない状態、すなわち、遊技者が特定領域429を見ても特に面白みを感じない状態では2Dアニメーション表示を行い、特定領域429に遊技球が入球した状態では特定領域429における遊技球の挙動を実況表示することができる。従って、単に装飾図柄表示装置42でずっと特定領域429の様子を表示する場合に比べ、装飾図柄表示装置42を用いた演出効果を飛躍的に向上させることができる。
さらに、本実施形態では、特殊入賞装置421が遊技領域の右下部に(遊技領域の外周縁を区画する枠構成部としての内レール構成部51に隣接又は近接して)設けられているが、遊技領域を移動する遊技球を特定領域429へと誘導するワープ流路152の入口は、遊技盤30の中央に配設される装飾図柄表示装置42の直側方に位置している。このため、特定領域429への遊技球の入口が遊技領域の隅の方に設けられていることに起因して、特殊入賞装置421にいつ遊技球が入球したのかを把握し難くなってしまったり、特殊入賞装置421に遊技球を入球させ難くなってしまったり、遊技球を特異な位置に打出す必要が生じて遊技者の手を煩わせたりするといった事態を回避することができる。また、ワープ流路152に流入した遊技球を特定領域429へと誘導する誘導通路は遊技盤30の後面側に設けられており、誘導通路によって遊技領域が分断されない構成となっている。このため、特殊入賞装置421とワープ流路152の入口とを離間させても、遊技領域の遊技球が移動可能なスペースを極力狭めないようになっている。従って、遊技球の移動領域が狭められることで遊技性の低下を招いてしまう等の事態を抑制することができる。
また、本実施形態では、カメラ451に撮影されるようにして回転体425の上面にマーカーシール452が貼着され、カメラ451でマーカー453の撮影が行われることで、カメラ451によって回転体425及び案内通路446、447を撮影した画像と、ARアプリで描画されたオブジェクト画像457(熊など)とが合成された画像を装飾図柄表示装置42にて表示させることができる。これにより、遊技者は、単にカメラ451で撮影された特定領域429の画像ではなく、カメラ451で撮影された特定領域429において実在しないオブジェクト画像457があたかも出現しているかのような画像を視認することができる。従って、パチンコ機10に設置された可動役物等の部材をそのまま見せるだけ、或いは、予め記憶された画像データに基づく画像(2Dアニメーション等)を装飾図柄表示装置42で表示するだけといった従来の演出の域を超越した演出を行うことができ、遊技者によい意味での驚きや、遊技に際しての新たな楽しみ方を提供することができる。
また、オブジェクト画像457は実在するものではないため、撮影画像上のどこの位置にオブジェクト画像457を出現させたとしても、オブジェクト画像457によって特定領域429における遊技球の動きが阻害されることはない。従って、遊技球の動作を阻害することなく、オブジェクト画像457としての3Dキャラクタ等が遊技球に絡むような表示演出を行うことも可能となり、演出性の飛躍的な向上を図ることができる。さらに、マーカー453が撮影範囲に入っていれば、オブジェクト画像457を撮影画像上のどこの位置にでも出現させることができる。従って、実際には出現させることが困難又は不可能な場所(本例では回転体425の上面等)にもオブジェクト画像457を出現させることができる。結果として、演出の自由度が飛躍的に向上し、これによって興趣の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態では、オブジェクト画像457の合成画像を生成するプログラム(ARアプリ)がパチンコ機10に設けられているため、パチンコ機10におけるその他の演出や各種遊技の状態と、オブジェクト画像457とをリンクさせる(例えば、効果音、電飾部材の発光とオブジェクト画像457の動作のタイミングを合わせる、大当たり状態の発生が確定したことでオブジェクト画像457が対応する動作を行う等)ことができる。従って、オブジェクト画像457とその他の部材とで包括的な演出を行うことができ、相乗的に演出性の向上を図ることができる。
また、遊技者がオブジェクト画像457の合成画像を生成するARアプリなどを有する装置(AR実行手段)を所持していなくても、通常にパチンコ機10の遊技を行うだけで、パチンコ機10の装飾図柄表示装置42で表示された合成画像を視認することができる。従って、遊技者の手を煩わせることなく気軽に合成画像を堪能してもらうことができる。加えて、上記ARアプリが誰でも入手可能であり、ARアプリがインストールされたAR実行手段が持ち運べるような構成の場合には、マーカー453を自作すればオブジェクト画像457をどこにでも表示させることができるようになってしまう。これに対し、本実施形態では、パチンコ機10のサブ制御装置262がARアプリを備えているため、遊技を行わなければオブジェクト画像457が視認できず、これによって遊技者をパチンコ機10に引き付けておくことができるとともに、オブジェクト画像457の乱用を抑制することができる。
また、マーカーシール452は回転体425に貼着されている。すなわち、オブジェクト画像457はマーカー453を基準とする位置に表示される構成のため、回転体425が回転すればオブジェクト画像457についても付随して変位することとなる。従って、サブ制御装置262等でオブジェクト画像457を動作させる制御を行わなくても、マーカー453を認識して対応するオブジェクト画像457を、マーカー453を基準とする位置に出現させるといったARアプリのメインの制御を行うことで、オブジェクト画像457を変位させることができる。もちろん、サブ制御装置262等でオブジェクト画像457を動作させる制御を行うとともに、マーカー453を変位させることで、オブジェクト画像457をよりダイナミックに或いは多彩に動作させることができ、また、マーカー453の変位分の動きをサブ制御装置262等の制御で実行する場合に比べ制御の簡素化を図ることができる。従って、サブ制御装置262等の制御の複雑化を抑制しつつ、合成画像を用いてより複雑な演出等を行うことができる。また、サブ制御装置262等によるオブジェクト画像457を動作させる制御に要する時間の短縮を図ることができることから、オブジェクト画像457の動作のタイミングと、その他の演出(音声等)のタイミングと同調させ易く、演出性の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態では、回転体425にマーカー453が設けられており、回転体425をベースにしてオブジェクト画像457を付加した画像を表示させることができる。さらに、オブジェクト画像457は、マーカー453の位置を基準に出現するものであるため、マーカー453が回転体425に設けられていれば、回転体425(各受入れ部431、432、433)とオブジェクト画像457との位置ずれがない。つまり、回転体425が変位しても、回転体425とオブジェクト画像457との一体感が低下することはなく、例えば、オブジェクト画像457としての「旗」は対応する受入れ部431、432、433と位置ずれしないように表示でき、「熊」が受入れ部431、432、433以外の部位に潜ってしまうといった表示を回避することができる。従って、斬新な演出を行い、興趣の向上を図ることができるといった上記作用効果が一層確実に奏される。また、前記「旗」を実際に回転体425に一体形成したり、「熊」を役物で作って複雑に動かすような場合に比べ、不良品発生の抑制、製造作業性の向上等を図ることができる。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記第1実施形態では、装飾図柄表示装置42が特定表示領域を構成し、装飾図柄表示装置42の前方にマーカー403が配置されているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、遊技領域(遊技盤30)の中央部に第2実施形態の特殊入賞装置421のような入賞ユニットを設け、特定領域429の前方にマーカー403を設けたり、所定条件の成立に伴い動作したり視認可能となる位置に飛び出したりする可動役物の前方にマーカー403を設けたりすることとしてもよい。また、装飾図柄表示装置42が設けられていないパチンコ機や装飾図柄表示装置42がEL表示装置で構成された遊技機に適用することも可能である。尚、遊技に際して特段に態様の変化することのない場所にマーカー403を設けても、単にその場所にオブジェクト画像が表示されるだけになってしまうため、装飾図柄表示装置42等の所定の条件を満たした場合に特定の表示態様となるような場所或いはその近傍にマーカー403を設け、前記特定の態様とオブジェクト画像とを組合わせることで演出性の相乗的な効果が期待できるように構成することが望ましい。
また、マーカー403の配置についても特に限定されるものではなく、例えば、ステージ153を透明板で構成するとともにその下方にマーカー403を配置したり、装飾図柄表示装置42の表示部(表示面)を囲う枠部(例えば、表示面に対して交差する内周面)にマーカー403を配置したりすることとしてもよい。さらに、マーカーシール402のマーカー403がプリントされた面の向きについても特に限定されるものではなく、上方を向いていたり、前方を向いていたりしてもよい。尚、ガラスユニット137等の反射や装飾図柄表示装置42の光の当たり具合等に応じてマーカー403の配置や角度は適宜設定されるものとする。加えて、マーカーシール402を保護するための透明な保護手段を設けることとしてもよい。
(b)上記第2実施形態では、カメラ451で特殊入賞装置421の特定領域429(回転体425)を撮影する構成となっているが、特にカメラ451の撮影対象は特に限定されるものではない。例えば、カメラ451で装飾図柄表示装置42を撮影するよう構成してもよい。また、装飾図柄表示装置42とカメラ451との間においてカメラ451の撮影範囲に入るようにマーカーシール452を配設してもよいし、装飾図柄表示装置42でマーカーを表示してもよい。さらに、装飾図柄表示装置42の表示態様とマーカー453が読取られることで表示されるオブジェクト画像の表示態様とをリンクさせてもよい。例えば、装飾図柄表示装置42において、魚群とともにマーカーが右から左へ移動する表示が行われるとともに、カメラ451でかかる表示を撮影して録画するとともに、魚群の表示が途切れる前に、録画した画像に対してマーカーに対応する3Dキャラクタを付加した合成画像を装飾図柄表示装置42にて表示可能に構成してもよい。
加えて、かかる合成画像が表示された表示手段としての装飾図柄表示装置42の前方に、装飾図柄表示装置42の少なくとも一部(オブジェクト画像が表示される範囲)が視認可能となるように、役物を出現させたり、透視性を有する表示パネルとしてのELパネルを設けて所定の表示を行ったり、表示パネルとしての板状の透明板に所定の表示を投影(映写)したりしてもよい。この場合の視認態様としては、装飾図柄表示装置42において魚群の前方に3Dキャラクタが出現した合成画像が表示され、装飾図柄表示装置42の前方に役物等が出現することから、後から魚群、3Dキャラクタ、役物等の順に3段階の奥行きを持った視認態様となる。このように、奥に開けた視認態様とすることで、遊技者の視点を変えることができ、演出性の向上やリフレッシュ効果等を期待することができる。また、装飾図柄表示装置42の前方に可動役物や表示パネルにて表示を行うことで、装飾図柄表示装置42の一部(表示部のうち視認性の低下を招くようなものが映っている部位等)を隠すこともできる。勿論、装飾図柄表示装置42においては、装飾図柄表示装置42の前方に3Dキャラクタが登場する画像が表示されるが、合成画像が装飾図柄表示装置42に表示されているだけであり、役物等と装飾図柄表示装置42との間に3Dキャラクタを出現させるための空間を実際に確保する必要はない。つまり、3Dキャラクタを合成画像ではなくフィギュア等とする場合には、装飾図柄表示装置42、フィギュア等、及び役物等を前後に配置するだけのスペースを要するが、3Dキャラクタを合成画像とすることで、装飾図柄表示装置42、及び役物等を前後に配置するだけのスペースで済み、かかる複合の視認態様が導出される領域の奥行きの拡張、ひいてはパチンコ機10の大型化を抑制しつつ、実際の奥行きよりも広くなっているような視認態様とすることができる。尚、第2実施形態においてはマーカーシール452(マーカー453)を省略することも可能である。
(c)上記第2実施形態では、カメラ451に撮影されるマーカー453が1パターンであったが、特にこのような構成に限定されるものではない。また、上記第2実施形態では、確変入賞口434又は通常入賞口435への入球を契機として大当たり状態が発生した場合、確変入賞口434又は通常入賞口435の検知に基づいて、サブ制御装置262の制御によってオブジェクト画像の態様を専用の態様に変化させているが、特にこのような構成に限定されるものではない。さらに、マーカー453とは別にサブマーカーを複数設け、マーカー453及びサブマーカーを認識することで、その組合せに対応するオブジェクト画像を表示するよう構成してもよい。
例えば、特定領域429内のカメラ451の撮影範囲内の領域において、回転可能な四角錐状の情報表示部材と、情報表示部材を回動させるモータ(サブマーカー変位手段)とを設けるとともに、その外周面を構成する4つの面に対してそれぞれマーカーのパターンが異なるマーカーシールを貼着し、各種状況に応じて対応するマーカーがカメラに撮影されるように情報表示部材を回動させるよう構成してもよい。この場合、オブジェクト画像をその他の演出と連動させたり、オブジェクト画像を抽選の結果等を示唆する演出で使用したりすることができる。尚、撮影されるサブマーカーを変更するなどしてオブジェクト画像で演出などを行う場合には、サブマーカーは遊技者から視認困難又は不可能な位置に設けられることが望ましい。
さらに、撮影されるマーカーが変更されたり、マーカーとサブマーカーとの組合せが変更されたりすることで、表示されるオブジェクト画像が変化する構成や、サブマーカーが動くとオブジェクト画像が対応する動作を行うような構成とする場合、操作ボタン126等(サブマーカー操作手段)の操作で撮影されるマーカー或いはサブマーカーを変更可能に構成してもよい。この場合、遊技者の意思でオブジェクト画像を変更(遊技者の好みの演出が極力多くなるように)したり動かしたりすることができる。結果として、遊技者にオブジェクト画像への興味をより一層抱かせることができる。
また、カメラで撮影されるマーカーを変更したり、マーカーを撮影可能な状態と撮影不可能な状態とに切替えたりする構成は特に限定されるものではなく、例えば、マーカーを覆って撮影不可能とするシャッター部材を設けることとしてもよいし、マーカーを液晶表示装置等で表示することとしてもよい。
加えて、上記第1実施形態では、基本的に常時マーカー403を撮影可能となっているが、マーカー403の出現条件等は特に限定されるものではなく、例えば、いつマーカー403が出現しているのかが把握し難いように構成してもよい。また、上記第1実施形態において、マーカー403を撮影可能な状態であることや、珍しいマーカー403が撮影可能であること等を装飾図柄表示装置42等でナビゲートしてもよい。尚、第1実施形態のようにマーカー403が装飾図柄表示装置42の近傍にある場合、撮影する場所をナビゲートしたときに遊技者にどこを狙って撮影したらいいのかを把握してもらい易い。
(d)上記第1及び第2実施形態では、マーカー403、453はマーカーシール402、452にプリントされたものであったが、所定の遊技部材に直接プリントされていてもよいし、装飾図柄表示装置42や特別表示装置43L、43R等の表示装置でマーカーを表示することとしてもよい。尚、表示装置でマーカーを表示する場合、マーカーの変位、パターン変更、(見た目の)角度や向きの変更、大きさの変更等を比較的スムースに行うことができる。さらには、瞬時にマーカーのパターン等を変更することができ、その他の演出等との同期を図り易くなったり、マーカーのパターンのバリエーションを多彩なものとすることができたりする。加えて、特別表示装置43L、43Rでマーカーを表示する場合、当該マーカーを撮影手段としてのカメラで撮影すると、表示手段としての表示装置において大当たり種別等の情報が教示されるように構成してもよい。
さらに、マーカー403、453の態様(模様等)は特に限定されるものではなく、例えば、装飾図柄表示装置42で表示される所定のキャラクタの顔等を認識して、オブジェクト画像を出現させるように構成してもよい。
(e)また、マーカー403、453が読取られることで表示されることとなるオブジェクト画像の態様、出現位置等はパチンコ機の機種毎に適宜設定されるものである。さらに、所定の表示手段において表示されるオブジェクト画像407、457を、例えば遊技球の軌道上(遊技球が通過する可能性のある領域)に出現させたり、可動役物の軌道上に出現させたりすることとしてもよい。すなわち、所定の表示手段において、カメラで撮影された現実の場所に対してあたかもオブジェクト画像が出現したかのような表示を行っても、当然、現実の場所にオブジェクト画像が出現したわけではない。このため、表示手段の表示部上でオブジェクト画像をどこに出現させたとしても、遊技球の移動や可動役物の動作に何ら影響を与えるものではない。このように、遊技球や可動役物といった実在の動くものと密接にオブジェクト画像による演出を絡めることで、斬新な演出を行うことができ、結果として興趣の向上を図ることができる。
例えば、遊技領域を移動する遊技球が入球可能な特定領域と、遊技球を移動する遊技球を特定領域に案内する誘導通路とがあり、誘導通路が二手に分岐していて、遊技球が一方の分岐通路を通過して特定領域に入球すると、入球に基づいて大当たり状態が発生することとなる当選入賞口及び入球しても大当たり状態が発生しない非当選入賞口のうち当選入賞口の方に入賞し易く、遊技球が他方の分岐通路を通過して特定領域に入球すると非当選入賞口の方に入賞し易い構成であって、前記一方の分岐通路及び他方の分岐通路においてそれぞれ遊技球を検知する検知スイッチを設けるとともに、各分岐通路の出口にオブジェクト画像として扉を表示し、検知スイッチの検知に基づいて対応する扉を開放させるような表示演出を行うこととしてもよい。
また、例えば、可動部材(可動役物)として、顔が描かれていない人形を設けるとともにかかる顔の部分にマーカーを描き、オブジェクト画像で人形の顔や衣装が(立体的に)描かれるように構成してもよい。さらに、顔の部分に描かれたマーカーと、その他のサブマーカーとの両方が読み取られることで、顔の表情や衣装が変化するように構成し、演出等に合わせて複数のサブマーカーの中から撮影手段に撮影され得るサブマーカーが切替制御されるよう構成してもよい。
(f)上記第2実施形態において、マーカー453とともに遊技者(パチンコ機10の前方)を撮影できるように撮影手段としてのカメラ451を設けることとしてもよい。この場合、装飾図柄表示装置42において遊技者とともにオブジェクト画像(例えば3Dキャラクタ等)が映った画像(例えば、記念撮影のような画像)を表示することができる。つまり、パチンコ機10のオブジェクト画像がパチンコ機10を飛び出してあたかも遊技者の近くにいるような感覚を与える、或いは、遊技者がパチンコ機10の世界に入り込んでしまったかのような感覚を与えることができ、遊技者に対してパチンコ機10の世界観等に親近感を覚えてもらうことができる。
さらに、パチンコ機10に設けられたカメラを変位可能に構成してもよい。この場合、カメラで一箇所ではなく複数箇所を撮影することができ、演出性の向上を図ることができる。また、撮影を行わないときにはカメラを視認できない位置に格納しておくこともでき、この場合、意匠性の低下を抑制したり、カメラによってその後方(遊技者から見てカメラの奥側)に配置される部材の視認性の低下を抑制したりすることができる。
尚、カメラで遊技者を撮影する構成としては、例えば、カメラを遊技者側(前方)に向くように設置する、カメラが遊技者側(前方)を向くこともできるように変位可能に設ける、遊技領域の中央に液晶表示装置やハーフミラーを設けるとともに、その前方に液晶表示装置やハーフミラーを撮影可能なカメラを設け、液晶表示装置をブラックアウトしたり、ハーフミラーを非透視状態として液晶表示装置のディスプレイやハーフミラーに遊技者が映りこむようにし、かかる遊技者が映りこんだディスプレイやハーフミラーをカメラで撮影する等といった構成が挙げられる。加えて、遊技者を撮影するカメラの接地位置は特に限定されるものではないが、遊技盤30の中央部(例えばセンターフレーム47)に設置されることが望ましい。
また、回転可能な板状体の上にカメラとマーカーとを設け、カメラとマーカーとの相対位置関係がずれないように(同一のマーカーが常にカメラで撮影されるように)構成してもよい。この場合、板状体及び板状体を回動させる駆動手段(例えばモータやソレノイド)が撮影変位手段を構成する。また、変位可能に設けられたカメラが第1の位置にあるときと第2の位置にあるときにおいて撮影が行われるような構成の場合に、第1の位置にあるカメラの撮影範囲に入る第1のマーカーと、第2の位置にあるカメラの撮影範囲に入る第2のマーカーとが設けられていることとしてもよい。
さらに、操作ボタン126の操作でカメラを動かせるように構成してもよい。この場合、遊技者は好みの角度からオブジェクト画像を視認することもできる。
また、カメラで遊技者をフラッシュ撮影する場合であって、カメラでの撮影画像を用いて演出、特に大当たり状態等の遊技者に有利な状態が発生する可能性を示唆する演出表示を行う場合、カメラで遊技者を撮影したことが分からないように構成してもよい。この場合、例えば、遊技者を撮影した画像が装飾図柄表示装置42に表示された場合は大当たりが確定するといったような場合に、撮影が行われた時点で撮影画像が表示されることを把握されてしまうといった事態を回避することができる。例えば、左右方向に距離Xだけ変位可能な横長の板状体の前面に対して、フラッシュ機能付きカメラ(1つ)と、前記カメラのフラッシュと同程度に発光する発光手段(例えばカメラの右方に3つ、左方に4つ)とを左右方向において距離Xのピッチで配置するとともに、板状体の前面にハーフミラーを配置することとしてもよい。
さらに、上記第2実施形態では、遊技者から比較的見え難い位置である遊技領域の右下部に設けられた特殊入賞装置421の上壁部427の下面にカメラ451を設けることで、カメラ451が前方から見え難くなるように構成されているが、その他の方法でカメラ451を見え難くするように構成してもよい。また、上記第1実施形態では、遊技者が姿勢を変えずともマーカー403を直視できるように構成されているが、マーカー403が見え難くなるように構成してもよい。例えば、装飾図柄表示装置42の前方(ステージ153)にカメラが設けられる構成において、カメラの前方にリブ、偏光板、又はハーフミラー等を設け、一般にパチンコ機10の前方に設置された椅子に着席して遊技を行う遊技者の視点からでは見え難いが、遊技者の視点からずれた位置(例えばガラスユニット137に近接した位置や遊技者の視点よりも上方位置)でカメラをマーカーに向けることでマーカーを撮影可能となるよう構成してもよい。このように、遊技者からマーカーを見え難く或いは視認不可能とする場合、マーカーが視認されることでの意匠性の低下を抑制することができるとともに、マーカーの種類によって遊技内容(付与される大当たり状態や遊技モードの種別)が判別可能となっている場合においては、オブジェクト画像を見るまでもなくマーカーの種類を把握することで遊技内容が把握されてしまうといった事態を抑制することができる。
(g)上記第2実施形態では、ワープ流路152と特殊入賞装置421(特定領域429)とを連通させる誘導通路が遊技盤30の後面側に設けられ、当該誘導通路を通過する遊技球を視認できない構成となっているが、例えば、断面コ字状の透明樹脂よりなる樋部材を遊技盤30の前面側に形成された凹部に嵌め込むことで誘導通路を構成することとしてもよい。さらに、樋部材の前面は遊技盤30の前面と面一とすることが望ましい(遊技盤30の前面にねじ止めされる部位を除く)。
また、上記第2実施形態では、特殊入賞装置421の特定領域429が前方(遊技者)から直接視認可能となっているが、直接視認することができないようになっていてもよい。尚、オブジェクト画像によって所定部位の視認性が妨げられていると感じたり、特定領域429を直接視認しないときが済まなかったりするような遊技者もいる可能性があるため、特定領域429を直視可能としておくことが望ましい。また、直視が比較的困難な場合、例えば、操作ボタン126等を操作することで、オブジェクト画像457が表示されない状態となるように構成してもよい。
(h)上記第2実施形態では、回転体425の受入れ部431、432、433が合計10個存在し、大当たり状態の当否、及び大当たり状態の種別を振分ける構成となっているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、大当たり状態の当否だけ振分ける構成としてもよいし、大当たり状態の種別だけ振分ける構成としてもよい。また、振分けを行う構成としても回転体425に限定されるものではなく、機種毎に適宜設計可能である。さらに、確変入球検知スイッチ441、通常入球検知スイッチ442の検知を契機として内部で乱数カウンタやテーブルを用いた抽選を行い、抽選にて当選した場合に大当たり状態が発生する構成としてもよい。
(i)上記第1実施形態において、オブジェクト画像407用の画像データが携帯電話に記憶されていなくてもよく、例えば、撮影の都度、サーバーにアクセスして画像データを得るように構成してもよい。但し、遊技ホールにおいては、不正対策用のセンサ等多数の電気機器が存在するため、これらへの悪影響を考慮して、画像データを予めダウンロードしておく構成の方が望ましい。
(j)上記第1実施形態では、携帯電話からサーバーにアクセスしてARアプリ等をダウンロードするように構成されているが、パチンコ機10がARアプリや通信部等を備え、携帯端末にARアプリを供給可能なサーバーとしての機能を有するよう構成してもよい。例えば、パチンコ機10に設けられた所定の操作手段(通信開始手段;例えば演出ボタン125や操作ボタン126)を操作することで、(装飾図柄表示装置42にてダウンロードの手順が表示され、手順に従って操作すると)パチンコ機10から携帯電話にARアプリが赤外線通信等でダウンロードされるように構成されてもよい。
また、上記第1実施形態において、パチンコ機10に対し、撮影手段と、表示手段と、AR制御手段(ARアプリ及び画像データを含む)とを備えた携帯端末機を付属させてもよい。尚、当該携帯端末機は持ち運びができないように、紐状或いは鎖状のリードや、リンク機構を有するアーム等でパチンコ機10に連結されていることとしてもよい。
さらに、上記第1実施形態のパチンコ機10(の前面側)において、遊技者の携帯端末機を設置することのできるホルダーを設けることとしてもよい。この場合、携帯端末機の撮影位置をある程度定めることができ、携帯端末機で比較的好適にマーカーを撮影することができる。加えて、通常の遊技に際してホルダーが邪魔にならないように、ホルダーを変位(回動等)可能に構成してもよい。
(k)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機、回胴式遊技機としてのスロットマシンや、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機などとして実施してもよい。
[付記]
上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下に記載する。
遊技機の一種として、パチンコ遊技機やスロットマシン等が知られている。パチンコ機では、例えば、発射装置にて打ち出された遊技球が案内される遊技領域に設けられた始動入球手段に遊技球が入球すると大当たり状態を発生させるか否かの当否抽選が行われる。前記当否抽選にて当選した場合には、遊技者に有利な大当たり状態が発生し、遊技者は多くの遊技価値(賞球)を獲得することが可能となる。
このような遊技機においては、アニメーション表示が行われる表示装置や可動役物が設けられており、これらで各種演出を行うことで、大当たり状態等への期待感を抱かせたり、遊技の単調感を抑制したりしている(例えば、特開2003−154110号公報参照)。
しかしながら、近年では、上記のような表示装置や可動役物等を使用した演出が当たり前に行われており、演出手法もマンネリ化している。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、その目的は、斬新な演出を行うことのできる遊技機を提供することにある。
手段1.発射手段により発射された遊技球が案内される遊技領域と、
前記遊技領域において設けられ、所定の演出表示が行われる表示手段と、
前記遊技領域を移動する遊技球が入球可能な特定領域を有する特殊入賞装置と、
前記特定領域に入球した遊技球が入球可能な特定入球手段と、
前記特定入球手段に入球した遊技球を検知する特定入球検知手段と、
前記特定入球検知手段の検知に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態制御手段と、
前記特定領域を撮影可能な撮影手段とを備え、
前記撮影手段で撮影された画像を前記表示手段にて表示可能に構成されていることを特徴とする遊技機。
遊技領域において、表示手段と特殊入賞装置とを遊技者から見え易い位置に設けようとした場合、スペースの関係上、一方又は両方を小型化せざるを得ない。この点、本手段1によれば、撮影手段で撮影された特定領域の画像が表示手段にて表示可能となっていることから、特定領域を直接目視しなくても、表示手段を視認することで特定領域における遊技球の動作を把握することができる。このため、表示手段を遊技者から見え易い位置に配置しておけば、特殊入賞装置を遊技者から見え難い位置に配置したとしても、特定領域における遊技球の挙動を、表示手段を介して遊技者に明確に視認させることができる。従って、表示手段及び特殊入賞装置を小型化させる必要がなく、また、表示手段の表示態様及び特殊入賞装置における遊技球の挙動の視認性を低下させることもなく、表示手段と特殊入賞装置とを無理なく併設することができる。従って、それぞれ各種工夫を凝らした表示手段及び特殊入賞装置の双方を設け、演出性、遊技性、及び装飾性の向上を図ることができ、結果として興趣の向上を図ることができる。
さらに、上記のように不具合を回避しつつ、特殊入賞装置の設置位置を比較的自由に設定することができるため、遊技領域に発射された遊技球が各種入賞手段に入賞するまでの経路が特殊入賞装置によって狭められてしまうといった事態を抑制することができる。従って、遊技領域における遊技球の挙動が制限され過ぎてしまい、興趣の低下を招くといった事態を抑制することができる。
また、遊技機に設けられた撮影手段と、撮影手段の撮影対象との間の距離が近すぎると、撮影範囲が狭く、所期の態様を撮影できないことが懸念される。このため、撮影手段と撮影対象とを極力前後に離間させることが望ましい。しかしながら、撮影対象としての特殊入賞装置をできるだけ後方に設置しようとすると、その他の部材の設置スペースを阻害してしまうおそれがある。
これに対し、本手段では、特殊入賞装置をどこに設置しても表示手段にて特定領域の遊技球の挙動を視認可能とすることができるため、特定領域の視認性を確保しつつ、特殊入賞装置を極力その他の部材の設置の邪魔にならない位置に設けることができる。従って、撮影手段と撮影対象とを離間させても、遊技機の大型化や製造作業性の低下を抑制しつつ、表示手段と特殊入賞装置とを無理なく併設することができる。
尚、前記特殊入賞装置は、前記特定領域への入球が許容される開状態と、前記特定領域への入球が禁止される閉状態とに状態変化可能に構成され、遊技機は、前記特定領域の外部に設けられ、前記遊技領域を移動する遊技球が入球可能な始動入球手段と、前記始動入球手段に入球した遊技球を検知する始動入球検知手段と、前記始動入球検知手段の検知に基づいて、前記特殊入賞装置を開状態とさせる開閉制御手段とを備えていることとしてもよい。このように、特殊入賞装置へ遊技球を入球させることのできる状態と入球させることのできない状態とを設定することで、遊技に抑揚を付与する等、遊技性の向上を図ることができる。
手段2.前記特殊入賞装置の前記特定領域へ入球する遊技球を検知する特殊入球検知手段と、
前記表示手段における表示制御を行う表示制御手段と、
前記特殊入賞装置から排出された遊技球を検知する特殊排出検知手段と、
前記特殊入球検知手段及び前記特殊排出検知手段による検知に基づいて前記特殊入賞装置において遊技球が存在するか否かを判別する残存球監視手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記残存球監視手段の判別結果に基づいて、予め記憶されている画像データに基づく画像のみを前記表示手段にて表示する通常表示モードと、前記撮影手段によって撮影された画像を前記表示手段にて表示する撮影表示モードとに切替可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
手段2によれば、特殊入賞装置における遊技球の有無と表示手段における表示態様とをリンクさせることができ、例えば、特定領域に遊技球が入球していない状態、すなわち、遊技者が特定領域を見ても特に面白みを感じない状態では、予め記憶されている画像データに基づく画像(アニメーション)を表示し、特定領域に遊技球が入球した状態では特定領域における遊技球の挙動を実況表示することができる。従って、表示手段を用いた演出効果を飛躍的に向上させることができる。尚、少なくとも前記特殊入賞装置に遊技球が存在し、かつ、特別遊技状態が発生していない状態においては、撮影表示モードとなることとしてもよい。
手段3.前記遊技領域の外周縁を区画する枠構成部と、
前記遊技球を移動する遊技球を前記特殊入賞装置の前記特定領域へと導く誘導手段とを備え、
前記特殊入賞装置は前記枠構成部に隣接又は近接して設けられ、
前記誘導手段の入口は、(前記特殊入賞装置から離間するとともに、)前記特殊入賞装置よりも前記遊技領域の中央部側に配置されている(前記表示手段に隣接又は近接して設けられている)ことを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
特殊入賞装置の特定領域は表示手段にて映し出されるため遊技領域の隅の方(視認し難い位置)に設けられていても何ら問題は生じないが、特定領域へ遊技球を入球させることのできる入口が遊技領域の隅の方に設けられていると、特殊入賞装置にいつ遊技球が入球したのかを把握し難くなってしまったり、特殊入賞装置(特定領域)に遊技球を入球させ難くなってしまったり、遊技球を特異な位置に打出す必要が生じて遊技者の手を煩わせたりすることが懸念される。これに対し、本手段3によれば、誘導手段を設け、誘導手段の入口を遊技領域の中央部寄りに設けており、これによって、かかる不具合を抑制することができる。
尚、前記遊技領域を移動する遊技球が、前記誘導手段を横切るようにして、前記誘導手段の前方又は後方を通過可能に構成されていることとしてもよい。この場合、誘導手段によって遊技領域が分断されないため、特殊入賞装置と誘導手段の入口とを離間させても、遊技領域の遊技球が移動可能なスペースを極力狭めないように構成することができる。従って、遊技球の移動領域が狭められることで遊技性の低下を招いてしまう等の事態を抑制することができる。
手段4.前記特定領域を撮影する前記撮影手段の撮影範囲内に配置されるマーカーと、
前記撮影手段で撮影された画像において前記マーカーを認識し、前記撮影手段で撮影された画像に対して、前記マーカーのパターンに対応するオブジェクト画像を、前記マーカーを基準とする位置に重ねて前記表示手段にて表示させることの可能なアプリケーションソフトウェアを有するAR制御手段とを備えていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
手段4によれば、撮影手段と表示手段とAR制御手段とを備えることで、特定領域を撮影した画像と、AR制御手段で描画されたオブジェクト画像(デジタル情報)とが合成された画像を表示手段にて表示させることができる。これにより、遊技者は、単に撮影手段で撮影された特定領域の画像ではなく、撮影手段で撮影された特定領域において実在しないオブジェクト画像があたかも出現しているかのような画像を視認することができる。従って、遊技機に設置された可動役物等の部材をそのまま見せるだけ、或いは、予め記憶された画像データに基づく画像(アニメーション等)を表示手段で表示するだけといった従来の演出の域を超越した演出を行うことができ、遊技者によい意味での驚きや、遊技に際しての新たな楽しみ方を提供することができる。
また、オブジェクト画像は実在するものではないため、撮影画像上のどこの位置にオブジェクト画像を出現させたとしても、オブジェクト画像によって特定領域における遊技球の動きが阻害されることはない。従って、遊技球の動作を阻害することなく、オブジェクト画像としての3Dキャラクタ等が遊技球に絡むような表示演出を行うことも可能となり、演出性の飛躍的な向上を図ることができる。さらに、マーカーが撮影範囲に入っていれば、オブジェクト画像を撮影画像上のどこの位置にでも出現させることができる。従って、実際には出現させることが困難又は不可能な場所にもオブジェクト画像を出現させることができる。結果として、演出の自由度が飛躍的に向上し、これによって興趣の向上を図ることができる。
さらに、本手段では、AR制御手段が遊技機に設けられているため、遊技機におけるその他の演出や各種遊技の状態と、オブジェクト画像とをリンクさせる(例えば、双方の演出のタイミングを合わせる)ことができる。従って、オブジェクト画像とその他の部材とで包括的な演出を行うことができ、相乗的に演出性の向上を図ることができる。
手段5.前記マーカーを変位させることのできるマーカー変位手段を備えていることを特徴とする手段4に記載の遊技機。
上記手段4によれば、オブジェクト画像はマーカーを基準とする位置に導出される構成のため、本手段5のようにマーカーを変位させればオブジェクト画像についても付随して変位することとなる。従って、AR制御手段でオブジェクト画像を動作させる制御を行わなくても、マーカーを認識して対応するオブジェクト画像を、マーカーを基準とする位置に出現させるといったメインの制御を行うことで、オブジェクト画像が動く画像を視認可能とすることができる。もちろん、AR制御手段でオブジェクト画像を動作させる制御を行うとともに、マーカーを変位させることで、オブジェクト画像をよりダイナミックに或いは多彩に動作させることができ、また、マーカーの変位分の動きをAR制御手段の制御で実行する場合に比べ制御の簡素化を図ることができる。従って、AR制御手段の制御の複雑化を抑制しつつ、合成画像を用いてより複雑な演出等を行うことができる。また、AR制御手段によるオブジェクト画像を動作させる制御に要する時間の短縮を図ることができることから、オブジェクト画像の動作のタイミングと、その他の演出(音声等)のタイミングと同調させ易く、演出性の向上を図ることができる。
手段6.前記撮影手段で撮影可能な前記マーカーのパターンを変更可能な情報変更手段を備えていることを特徴とする手段4又は5に記載の遊技機。
手段6によれば、マーカーのパターンに応じて表示されるオブジェクト画像の多様化を図ることができる。
手段7.前記マーカーを撮影可能な第1の状態と、撮影不可能な第2の状態とに状態変化させる状態変更手段を備えていることを特徴とする手段4乃至6のいずれかに記載の遊技機。
手段7によれば、オブジェクト画像を視認可能な状態と視認不可能な状態とに切替可能に構成されることで、演出の多様化を図ることができる。また、オブジェクト画像に希少価値を生じさせ、オブジェクト画像を収集したいといった新たな遊技意欲を発生させたり、オブジェクト画像の後方の領域のみを撮影したいといった遊技者の要望に応じてオブジェクト画像を消したりすることもできる。
手段8.遊技者が操作可能な操作手段を備え、前記第1の状態において前記操作手段を操作することで、前記第1の状態が維持される状態と、前記第1の状態から前記第2の状態へと切替わり得る状態とに状態変化することを特徴とする手段7に記載の遊技機。
合成画像を撮影可能な期間が限定的である場合、合成画像を撮影したいが、撮影機器の準備(手段1ではAR実行手段の前記アプリケーションの起動)が間に合わず、撮影の機会を逃がしてしまうおそれがあるが、手段8によれば、操作手段を操作することで、かかる事態を回避することができる。
手段9.前記撮影手段で撮影された場合に前記AR制御手段によって認識された場合に、前記AR制御手段が前記マーカーを認識することで表示される前記オブジェクト画像の態様を変化させるサブマーカーと、
前記サブマーカーを変位させることのできるサブマーカー変位手段と、
遊技者の操作可能な位置に設けられたサブマーカー操作手段とを備え、
前記サブマーカー操作手段の操作に応じて、前記サブマーカーが変位することを特徴とする手段4乃至8のいずれかに記載の遊技機。
手段9によれば、オブジェクト画像を遊技者の意思で動かしたり、遊技者の操作に応じたリアクションをさせたりすることができる。従って、オブジェクト画像に対して更なる興味を抱かせることができる。
手段10.所定条件の成立に基づいて動作する可動部材を備え、
前記マーカーは前記可動部材に設けられていることを特徴とする手段4乃至9のいずれかに記載の遊技機。
従来、遊技機に設けられる可動部材の変化のパターンは僅かであり、かかる可動部材だけを見ると演出性に乏しいものであった。これに対し、本手段10では、可動部材にマーカーが設けられており、可動部材をベースにしてオブジェクト画像を付加した画像を表示させることができる。さらに、上記手段4に記載のように、オブジェクト画像は、マーカーの位置を基準に出現するものであるため、マーカーが可動部材に設けられていれば、可動部材とオブジェクト画像との位置ずれがない。つまり、可動部材が動作しても、可動部材とオブジェクト画像との一体感が低下することはない。従って、斬新な演出を行い、興趣の向上を図ることができるといった上記作用効果が一層確実に奏される。また、比較的簡単な構造の可動部材に対して、比較的複雑な構造の表示を行うオブジェクト画像を組合せることで、複雑な構造の可動部材を実際に製作する場合に比べ、不良品発生の抑制、製造作業性の向上等を図ることができる。
手段11.前記表示手段の前方において可動部材又は所定の画像を表示可能な透視性を有する表示パネルを備え、前記可動部材又は表示パネル越しに前記表示手段が視認可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至10のいずれかに記載の遊技機。
手段11によれば、合成画像が表示された表示手段の前方に、表示手段の少なくとも一部(オブジェクト画像が表示される範囲)が視認可能となるように、可動役物を出現させたり、表示パネルにて所定の表示を行ったりすることができる。この場合の視認態様としては、表示手段において、撮影手段で撮影された画像の前方にオブジェクト画像が出現した合成画像が表示され、さらに表示手段の前方に役物等が出現することから、後から撮影手段の撮影画像、オブジェクト画像、役物等の順に少なくとも3段階の奥行きを持った視認態様となる。このように、奥に開けた視認態様とすることで、遊技者の視点を変えることができ、演出性の向上やリフレッシュ効果等を期待することができる。また、表示手段の前方に可動役物や表示パネルにおける表示を行うことで、表示手段の一部(視認性の低下を招くようなものが映っている部位等)を隠すこともできる。
手段12.撮影手段と、前記撮影手段で撮影された画像を表示可能な表示手段と、前記撮影手段の撮影範囲内において予め登録された識別情報が存在する場合に当該識別情報を認識し、前記撮影手段で撮影された画像に対して、前記識別情報のパターンに対応するオブジェクト画像を、前記識別情報を基準とする位置に重ねて前記表示手段にて表示させることの可能なアプリケーションソフトウェアを有するAR制御手段とを備えたAR実行手段の前記撮影手段によって撮影された場合に、前記識別情報として認識されるマーカーを備えるとともに、
所定の条件が満たされた場合に特定の視認態様となる特定表示領域を備え、
前記マーカーは前記特定表示領域又はその近傍に設けられていることを特徴とする遊技機。
手段12によれば、マーカーが特定表示領域又はその近傍に設けられているため、AR実行手段の撮影手段でマーカーが撮影手段の撮影範囲に入るようにして特定表示領域を撮影することができる。このように撮影が行われることで、撮影手段にて撮影された特定表示領域の画像と、AR制御手段で描画されたオブジェクト画像(デジタル情報)とが合成された画像を表示手段にて表示させることができる。これにより、遊技者は、単に撮影手段で特定表示領域を撮影した画像ではなく、特定表示領域やその近傍等に実在しないオブジェクト画像があたかも出現しているかのような画像を視認することができる。従って、遊技機に設置された可動役物等の部材をそのまま見せるだけ、或いは、予め記憶された画像データに基づく画像(アニメーション等)を表示手段で表示するだけといった従来の演出の域を超越した演出を行うことができ、遊技者によい意味での驚きや、遊技に際しての新たな楽しみ方を提供することができる。
また、オブジェクト画像は実在するものではないため、撮影画像上のどこの位置にオブジェクト画像を出現させたとしても、オブジェクト画像によってその他の部材(遊技球や可動役物等)の動きが阻害されることはない。さらに、マーカーが撮影範囲に入っていれば、オブジェクト画像を撮影画像上のどこの位置にでも出現させることができる。従って、今までは演出を行うことができなかった又は困難であった場所でも演出を行うことができる。結果として、演出の自由度が飛躍的に向上し、これによって興趣の向上を図ることができる。
特に、本手段12では、遊技者が手持ちのAR実行手段でオブジェクト画像を視認可能とすることにより、オブジェクト画像の出現位置を遊技機の外部とすることもできる。すなわち、例えば、オブジェクト画像としての3Dキャラクタが遊技機から飛び出すような演出表示を行うこともできる。このように、演出が行われる域を、遊技機の筐体といった閉塞された空間から遊技者のいる現実の空間にまで広げることができ、今まで味わったことのない爽快感等を付与することができたり、あたかもオブジェクト画像が遊技者に触れているような感覚を付与して遊技機の世界観に親近感を覚えさせることができたりする。また、遊技者が自らAR実行手段で撮影を行うことで合成画像を見ることができることから、AR実行手段をかざした自分だけが視認でき、他人は見ることができないといった優越感を得ることができたり、オブジェクト画像が例えば3Dキャラクタ等の場合、3Dキャラクタを自分の好きな角度から視認することができたりする。
尚、所定の条件が満たされた場合に特定の視認態様となる特定表示領域としては、例えば、所定の条件が満たされた場合に特定の演出表示が行われる表示装置や、所定の条件が満たされた場合に視認可能な場所に表れたり動作したりする役物が設置される領域や、所定の条件が満たされた場合に発光する発光手段が設置される領域や、パチンコ機において、所定の条件が成立した場合に遊技球が入球可能となる領域等が挙げられる。
手段13.前記アプリケーションソフトウェアのダウンロード先が記された情報手段(例えば、マトリクス型二次元コード)を備え、前記情報手段は、通信部を備える前記AR実行手段の前記撮影手段で読取り可能な位置に設けられていることを特徴とする手段12に記載の遊技機。
手段13によれば、遊技者がアプリケーションソフトウェアの入手先を探す手間を省くことができ、遊技者は、オブジェクト画像を撮影してみようと思い立ってから比較的スムースにオブジェクト画像を合成した画像を撮影できる状態とすることができる。
手段14.所定の条件成立に基づいて特定情報を表示可能な情報表示手段を備え、
前記特定情報は複数パターン存在し、
前記AR実行手段の前記撮影手段で異なる前記特定情報が読取られた場合、前記AR制御手段が前記マーカーを認識することで生成される前記オブジェクト画像の態様が変化するよう構成されていることを特徴とする手段12又は13に記載の遊技機。
オブジェクト画像を合成した画像が目新しいとはいっても、その合成画像をAR実行手段で録画し、複数回再生して見た後では、もう合成画像に目新しさはなく、遊技者を遊技機に引き付ける要因にはなり難い。これに対し、本手段14では、所定条件の成立に基づいて複数の特定情報のうちいずれかが表示される情報表示手段が遊技機に設けられており、新たな特定情報をAR実行手段で読取ると新たなオブジェクト画像の態様を視認することが可能となる。これにより、比較的長期にわたり遊技者を遊技機に引き付けることができる。
手段15.マーカーと、
前記マーカーを含む範囲を撮影可能な撮影手段と、
前記撮影手段で撮影された画像を表示可能な表示手段と、
前記撮影手段で撮影された画像において前記マーカーを認識し、前記撮影手段で撮影された画像に対して、前記マーカーのパターンに対応するオブジェクト画像を、前記マーカーを基準とする位置に重ねて前記表示手段にて表示させることの可能なアプリケーションソフトウェアを有するAR制御手段とを備えていることを特徴とする遊技機。
手段15によれば、撮影手段でマーカーを含む範囲を撮影することで、撮影手段にて撮影された画像と、AR制御手段で描画されたオブジェクト画像(デジタル情報)とが合成された画像を表示手段にて表示させることができる。これにより、遊技者は、単に撮影手段で撮影された画像ではなく、撮影手段で撮影された場所において実在しないオブジェクト画像があたかも出現しているかのような画像を視認することができる。従って、遊技機に設置された可動役物等の部材をそのまま見せるだけ、或いは、予め記憶された画像データに基づく画像(アニメーション等)を表示手段で表示するだけといった従来の演出の域を超越した演出を行うことができ、遊技者によい意味での驚きや、遊技に際しての新たな楽しみ方を提供することができる。
また、オブジェクト画像は実在するものではないため、撮影画像上のどこの位置にオブジェクト画像を出現させたとしても、オブジェクト画像によってその他の部材(遊技球や可動役物等)の動きが阻害されることはない。さらに、マーカーが撮影範囲に入っていれば、オブジェクト画像を撮影画像上のどこの位置にでも出現させることができる。従って、実際(現実の世界)には出現させることが困難又は不可能な場所にもオブジェクト画像を出現させることができる。結果として、演出の自由度が飛躍的に向上し、これによって興趣の向上を図ることができる。
さらに、本手段15では、AR制御手段が遊技機に設けられているため、遊技機におけるその他の演出や各種遊技の状態と、オブジェクト画像とをリンクさせる(例えば、双方の演出のタイミングを合わせる)ことができる。従って、オブジェクト画像とその他の部材とで包括的な演出を行うことができ、相乗的に演出性の向上を図ることができる。
また、本手段15では、遊技者がAR制御手段を有する装置(AR実行手段)を携帯していなくても、通常に遊技を行うだけで、遊技機の表示手段で表示された合成画像を視認することができる。従って、遊技者の手を煩わせることなく気軽に合成画像を堪能してもらうことができる。加えて、上記アプリケーションソフトウェアが誰でも入手可能であり、AR実行手段が持ち運べるような構成の場合には、マーカーを自作すればオブジェクト画像をどこにでも表示させることができるようになってしまう。これに対し、本手段では、遊技機がAR制御手段を備えているため、遊技を行わなければオブジェクト画像が視認できず、これによって遊技者を遊技機に引き付けておくことができるとともに、オブジェクト画像の乱用を抑制することができる。
尚、前記表示手段の表示制御を行う表示制御手段を備え、前記表示制御手段は、前記表示手段おいて予め記憶されている画像データのみに基づく画像を表示する通常表示モードと、前記表示手段において前記撮影手段によって撮影された画像を表示する撮影表示モードとを切替可能に構成されていることとしてもよい。この場合、表示手段において、撮影手段で撮影された画像にオブジェクト画像を合成した画像だけでなく、表示手段において予め記憶されている画像データのみに基づく画像を表示可能である。従って、表示手段において撮影手段で撮影された画像を常時表示するだけの場合に比べ、演出性の向上等を図ることができる。
手段16.前記撮影手段は、前記マーカーとともに遊技者(遊技機の前方)を撮影可能に構成されていることを特徴とする手段15に記載の遊技機。
手段16によれば、表示手段において遊技者とともにオブジェクト画像が映った画像(例えば、記念撮影のような画像)を表示することができる。つまり、遊技機のオブジェクト画像が遊技機を飛び出してあたかも遊技者の近くにいるような感覚を与える、或いは、遊技者が遊技機の世界に入り込んでしまったかのような感覚を与えることができ、遊技者に対して遊技機の世界観等に親近感を覚えてもらうことができる。
尚、撮影手段が遊技者側(前方)を向くように設置する、撮影手段が遊技者側(前方)を向くこともできるように変位可能に設ける、液晶表示装置やハーフミラーを設け、液晶表示装置で所定の表示演出が行われたり、ハーフミラー越しにその後の部材を視認可能に構成したりするとともに、液晶表示装置をブラックアウトしたり、ハーフミラーを非透視状態として液晶表示装置のディスプレイやハーフミラーに遊技者が映りこむようにし、かかる遊技者が映りこんだディスプレイやハーフミラーを撮影する等といった構成とすることで、遊技者を撮影することが可能となる。また、マーカーは、少なくとも遊技者を撮影するときに、撮影手段と遊技者との間において、撮影手段の撮影範囲に存在するようになっている。例えば、撮影手段が変位可能に構成される場合は、撮影手段の変位とともにマーカーも変位するように構成してもよいし、撮影手段が第1の位置にあるときと第2の位置にあるときにおいて撮影が行われるような構成の場合に、第1の位置にある撮影手段の撮影範囲に入る第1のマーカーと、第2の位置にある撮影手段の撮影範囲に入る第2のマーカーとが設けられていることとしてもよい。
手段17.前記撮影手段を変位させることのできる撮影変位手段を備えていることを特徴とする手段15又は16に記載の遊技機。
手段17によれば、撮影手段で一箇所ではなく複数箇所を撮影することができ、演出性の向上を図ることができる。また、撮影を行わないときには撮影手段を視認できない位置に格納しておくこともでき、この場合、意匠性の低下を抑制したり、撮影手段によってその後方に配置される部材の視認性の低下を抑制したりすることができる。尚、マーカーは撮影手段が変位してもマーカーが撮影手段と連動し、同一のマーカーが常に撮影手段の撮影範囲内に入るように撮影手段と撮影対象との間に位置するように構成してもよいし、マーカーが複数設けられ、撮影手段が変位すると異なるマーカーが撮影手段の撮影範囲内に入るよう構成してもよい。さらに、遊技者が操作可能な操作手段で撮影手段を動かせるように構成することで、遊技者は好みの角度からオブジェクト画像を視認することもできる。
手段18.前記表示手段の前方において可動部材又は所定の画像を表示可能な透視性を有する表示パネルを備え、前記可動部材又は表示パネル越しに前記表示手段が視認可能に構成されていることを特徴とする手段15乃至17のいずれかに記載の遊技機。
手段18によれば、合成画像が表示された表示手段の前方に、表示手段の少なくとも一部(オブジェクト画像が表示される範囲)が視認可能となるように、可動役物を出現させたり、表示パネルにて所定の表示を行ったりすることができる。この場合の視認態様としては、表示手段において、撮影手段で撮影された画像の前方にオブジェクト画像が出現した合成画像が表示され、さらに表示手段の前方に役物等が出現することから、後から撮影手段の撮影画像、オブジェクト画像、役物等の順に少なくとも3段階の奥行きを持った視認態様となる。このように、奥に開けた視認態様とすることで、遊技者の視点を変えることができ、演出性の向上やリフレッシュ効果等を期待することができる。また、表示手段の前方に可動役物や表示パネルにおける表示を行うことで、表示手段の一部(視認性の低下を招くようなものが映っている部位等)を隠すこともできる。
手段19.前記マーカーを変位させることのできるマーカー変位手段を備えていることを特徴とする手段12乃至18のいずれかに記載の遊技機。
上記手段12、手段15に記載のように、オブジェクト画像はマーカーを基準とする位置に表示される構成のため、手段19のように、マーカーを変位させればオブジェクト画像についても付随して変位することとなる。従って、AR制御手段でオブジェクト画像を動作させる制御を行わなくても、マーカーを認識して対応するオブジェクト画像を、マーカーを基準とする位置に出現させるといったメインの制御を行うことで、オブジェクト画像が動く画像を視認可能とすることができる。もちろん、AR制御手段でオブジェクト画像を動作させる制御を行うとともに、マーカーを変位させることで、オブジェクト画像をよりダイナミックに或いは多彩に動作させることができ、また、マーカーの変位分の動きをAR制御手段の制御で実行する場合に比べ制御の簡素化を図ることができる。従って、AR制御手段の制御の複雑化を抑制しつつ、合成画像を用いてより複雑な演出等を行うことができる。また、AR制御手段によるオブジェクト画像を動作させる制御に要する時間の短縮を図ることができることから、オブジェクト画像の動作のタイミングと、その他の演出(音声等)のタイミングと同調させ易く、演出性の向上を図ることができる。
尚、例えば、マーカーがプリントの場合には、マーカーを変位(スライド、傾倒、回転等)させる駆動手段及び駆動手段を制御する駆動制御手段がマーカー変位手段を構成する。また、マーカーが液晶表示装置等の表示装置(表示手段)にて表示される場合には、表示装置を制御する表示制御手段がマーカー変位手段を構成する。
手段20.前記撮影手段で撮影可能な前記マーカーのパターンを変更可能な情報変更手段を備えていることを特徴とする手段12乃至19のいずれかに記載の遊技機。
手段20によれば、マーカーのパターンに応じて表示されるオブジェクト画像の多様化を図ることができる。尚、マーカーのパターンを変更する構成としては、例えば、複数のマーカーを用意してマーカーを移動させて撮影されるマーカーを変更する、表示装置でマーカーを表示するようにして表示するマーカーを切替表示する等が挙げられる。また、マーカーは、遊技機に設けられた表示手段にて表示されることとしてもよい。この場合、瞬時にマーカーのパターンを変更することができ、その他の演出等との同期を図り易くなったり、マーカーのパターンのバリエーションを多彩なものとすることができたりする。
手段21.前記マーカーを撮影可能な第1の状態と、撮影不可能な第2の状態とに状態変化させる状態変更手段を備えていることを特徴とする手段12乃至20のいずれかに記載の遊技機。
手段21によれば、オブジェクト画像を視認可能な状態と視認不可能な状態とに切替可能に構成されることで、演出の多様化を図ることができる。また、オブジェクト画像に希少価値を生じさせ、オブジェクト画像を収集したいといった新たな遊技意欲を発生させることもできる。
尚、第1の状態と第2の状態との切替えの方法としては、マーカーを撮影手段の撮影範囲外にまで移動可能に構成する、撮影手段にマーカーが撮影されないように遮蔽する遮蔽手段を変位可能に設ける、表示装置でマーカーを表示する場合はマーカーを表示したり消したりする等が挙げられる。また、オブジェクト画像をめったに視認できないような構成であると、オブジェクト画像を一度も見ることができない遊技者が出てきてしまい、専用のアプリケーションを製作する等の苦労の割に、享受できる効果が少なくなってしまうおそれがある(特に、遊技者が自前のAR実行手段でアプリケーションをダウンロードした場合には、折角アプリケーションをダウンロードしたのに使用機会がないといったフラストレーションを溜める要因になってしまうおそれがある)。このため、マーカーが複数設けられ、常に撮影可能又は比較的簡単な条件の成立で撮影可能な状態となるマーカーと、比較的困難な条件の成立で撮影可能となるマーカーとを備えることとしてもよい。
尚、前記マーカーは、遊技機に設けられた表示手段にて表示されることとしてもよい。この場合、マーカーの位置、形状、大きさを変化させたり、マーカーのパターンを変更したり、マーカーを表示・非表示したりすることを比較的スムースに行うことができる。加えて、遊技者が操作可能な操作手段を設け、当該操作手段の操作によっても第1の状態から第2の状態へと切替可能に構成してもよい。この場合、オブジェクト画像の後方の領域のみを撮影したいといった遊技者の要望に応じてオブジェクト画像を消すこともできる。
手段22.遊技者が操作可能な操作手段を備え、前記第1の状態において前記操作手段を操作することで、前記第1の状態が維持される状態と、前記第1の状態から前記第2の状態へと切替わり得る状態とに状態変化することを特徴とする手段21に記載の遊技機。
合成画像を撮影可能な期間が限定的である場合、合成画像を撮影したいが、撮影機器の準備(手段12ではAR実行手段の前記アプリケーションの起動)が間に合わず、撮影の機会を逃がしてしまうおそれがあるが、手段22によれば、操作手段を操作することで、かかる事態を回避することができる。尚、例えば、操作手段を1回操作すると第1の状態が維持され、2回操作すると第1の状態が維持される状態が解除され、第2の状態に切り替わりえるように構成してもよいし、操作手段を操作しなければ第1の状態が維持され、操作手段を操作することでかかる維持状態が解除される構成としてもよい。また、操作手段の操作を遊技機に設けられた表示手段でナビゲートしてもよい。さらに、操作手段として、遊技の進行上必ず触れる必要がある操作手段(パチンコ機では遊技球を発射させるためのハンドル、スロットマシンではスタートレバー、ベットボタン)を採用してもよい。
手段23.前記撮影手段で撮影された場合に、前記AR制御手段が前記マーカーを認識することで表示される前記オブジェクト画像の態様を変化させるサブマーカーと、
前記サブマーカーを変位させることのできるサブマーカー変位手段と、
遊技者の操作可能な位置に設けられたサブマーカー操作手段とを備え、
前記サブマーカー操作手段の操作に応じて、前記サブマーカーが変位することを特徴とする手段12乃至22のいずれかに記載の遊技機。
手段23によれば、オブジェクト画像を遊技者の意思で動かしたり、遊技者の操作に応じたリアクションをさせたりすることができる。従って、遊技者にオブジェクト画像への興味をより一層抱かせることができる。
手段24.所定条件の成立に基づいて動作する可動部材を備え、
前記マーカーは前記可動部材に設けられていることを特徴とする手段12乃至23のいずれかに記載の遊技機。
従来、遊技機に設けられる可動部材は決まった変化しかできないものであり、かかる可動部材だけを見ると演出性に乏しいものであった。これに対し、本手段24では、可動部材にマーカーが設けられており、可動部材をベースにして、そこにオブジェクト画像を付加した画像を表示させることができる。さらに、上記手段12又は手段15に記載のように、オブジェクト画像は、マーカーの位置を基準に出現するものであるため、マーカーが可動部材に設けられていれば、可動部材とオブジェクト画像との位置ずれがない。つまり、可動部材が動作しても、可動部材とオブジェクト画像との一体感が低下することはない。従って、斬新な演出を行い、興趣の向上を図ることができるといった上記作用効果が一層確実に奏される。また、比較的簡単な構造の可動部材に対して、比較的複雑な構造の表示を行うオブジェクト画像を組合せることで、複雑な構造の可動部材を実際に製作する場合に比べ、不良品発生の抑制、製造作業性の向上等を図ることができる。
尚、例えば、可動部材として、顔が描かれていない人形を設けるとともにかかる顔の部分にマーカーを描き、オブジェクト画像で人形の顔や衣装が(立体的に)描かれるように構成してもよい。さらに、顔の部分に描かれたマーカーと、その他のサブマーカーとの両方が読み取られることで、顔の表情や衣装が変化するように構成し、演出等に合わせて複数のサブマーカーの中から撮影手段に撮影され得るサブマーカーが切替制御されるよう構成してもよい。
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
B.上記各手段における前記遊技機は略鉛直方向に延びる遊技領域を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内され、略鉛直方向に沿って延びる所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤面等により構成される)と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の挙動を視認可能に構成されてなる弾球遊技機」が挙げられる。
C.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。
D.上記各手段における遊技機は、スロットマシン等の回胴式遊技機であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成した回胴式遊技機」が挙げられる。
E.上記各手段における遊技機は、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機(特に遊技球を遊技媒体として使用するスロットマシン仕様の遊技機)であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成し、さらに球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む取込手段と、前記球受皿に遊技球の払出しを行う払出手段とを備え、前記取込手段により遊技球が取り込まれることにより遊技の開始条件が成立するように構成した遊技機」が挙げられる。