JP6046383B2 - 量子井戸構造および該量子井戸構造を含む窒化物半導体素子 - Google Patents

量子井戸構造および該量子井戸構造を含む窒化物半導体素子 Download PDF

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Description

本発明は、窒化物半導体で構成された量子井戸構造に関する。
窒化物半導体は、AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)、(Al,Ga,In)Nなどの一般式で表される化合物半導体であり、窒化物系III−V族化合物半導体、窒化ガリウム(GaN)系半導体などとも呼ばれる。
窒化物半導体はウルツ鉱型の結晶構造を有し、六方晶系に属する。窒化物半導体の結晶面のうち、C面(+C面、−C面を含む)は極性面であり、M面およびA面は非極性面である。C面、M面、A面のいずれにも該当しない結晶面は、半極性面と呼ばれている。
窒化物半導体を用いて構成されたpn接合型の発光構造を有する発光素子である、窒化物半導体発光素子が公知である。
窒化物半導体発光素子は、通常、量子井戸構造を発光部に有している。窒化物半導体発光素子の製造工程においては、図1に示すように、下地となる窒化物半導体1の表面上に、複数の窒化物半導体層をエピタキシャル成長させて積層することによって、この量子井戸構造10が形成される。下地となる窒化物半導体1は、例えば、GaN基板のような窒化物半導体基板であり得るし、あるいは、GaN基板やサファイア基板のような基板上にエピタキシャル成長した窒化物半導体層であり得る。この方法で形成される従来の量子井戸構造10は、平坦な井戸層と平坦な障壁層を備えている(非特許文献1の写真2、非特許文献2のFIG.5)。
このような従来技術の量子井戸構造は、図1に示すように、窒化物半導体を含む第一の障壁層3と、窒化物半導体を含み該第一の障壁層に積層された第二の障壁層5と、窒化物半導体を含み該第一の障壁層と該第二の障壁層との間に挟まれた井戸層4とを含む。
京野孝史ら、「世界初の新規GaN 基板上純緑色レーザ開発I」、SEIテクニカルレビュー、176号、88−92頁(2010) F. Wu, et.al, "Misfit dislocation formation at heterointerfaces in (Al,In)GaN heteroepitaxial layers grown on semipolar free-standing GaN substrates", Journal of Applied Physics, 109 (2011) 033505
本発明は、窒化物半導体で構成された新規な量子井戸構造を提供すること、及び、かかる量子井戸構造を含む窒化物半導体素子を提供すること、並びに、かかる量子井戸構造の製造方法を提供すること、を課題とする。
本発明の第一の要旨は以下のとおりである。
(a1)窒化物半導体を含む第一の障壁層と、窒化物半導体を含み該第一の障壁層に積層された第二の障壁層と、窒化物半導体を含み該第一の障壁層と該第二の障壁層との間に挟まれた井戸層とを含む量子井戸構造であって、
前記井戸層が、当該井戸層の膜厚よりも大きな振幅で第一の方向に沿って波打っている波打ち部分を含み、
前記第一の方向に直交する偏光軸を有する偏光したルミネッセンスを放射し得ることを特徴とする量子井戸構造。
(a2)前記井戸層が、Inを含む窒化物半導体を含む、前記(a1)の量子井戸構造。(a3)前記波打ち部分において、In組成が極大となる領域が前記第一の方向に直交する方向に沿って一次元的に延びている、前記(a2)の量子井戸構造。
(a4)前記波打ち部分は、In組成が極大となる領域をボトムに有する、前記(a2)または(a3)の量子井戸構造。
(a5)前記井戸層がInGaN層である、前記(a2)〜(a4)のいずれかの量子井戸構造。
(a6)前記波打ち部分が、前記井戸層の膜厚の2倍以上の振幅で波打っている部分を含む、前記(a1)〜(a5)のいずれかの量子井戸構造。
(a7)前記波打ち部分が、高低差3nm以上で隣り合うトップおよびボトムを有する部分を含む、前記(a1)〜(a6)のいずれかの量子井戸構造。
(a8)前記波打ち部分が、1つのボトムを挟んで30nm以下の間隔で隣り合う2つのトップを有する部分を含む、前記(a1)〜(a7)のいずれかの量子井戸構造。
(a9)前記量子井戸構造が、第一の窒化物半導体の半極性面の上にエピタキシャル成長したものである、前記(a1)〜(a8)のいずれかの量子井戸構造。
(a10)前記半極性面が前記第一の窒化物半導体のa軸に平行である、前記(a9)の量子井戸構造。
(a11)前記半極性面が(20−2−1)面である、前記(a10)の量子井戸構造。(a12)前記第一の方向が前記第一の窒化物半導体のa軸と直交している、前記(a10)または(a11)の量子井戸構造。
(a13)前記(a1)〜(a12)のいずれかの量子井戸構造が、p型窒化物半導体層とn型窒化物半導体層との間に配置された、窒化物半導体素子。
(a14)発光素子である、前記(a13)の窒化物半導体素子。
また、本発明の第二の要旨は以下のとおりである。
(b1)窒化物半導体を含む第一の障壁層と、窒化物半導体を含み該第一の障壁層に積層された第二の障壁層と、窒化物半導体を含み該第一の障壁層と該第二の障壁層との間に挟まれた井戸層とを含む量子井戸構造であって、該井戸層が当該井戸層の膜厚よりも大きな振幅で第一の方向に沿って波打っている波打ち部分を含み、前記第一の方向に直交する偏光軸を有する偏光したルミネッセンスを放射し得る量子井戸構造を製造する方法であって、
半極性面を有する第一の窒化物半導体を準備する工程、及び
該半極性面の上に前記第一の障壁層を成長させる工程、を含むことを特徴とする、量子井戸構造の製造方法。
(b2)前記井戸層が、Inを含む窒化物半導体を含む、前記(b1)の製造方法。
(b3)前記波打ち部分においては、In組成が極大となる領域が前記第一の方向に直交する方向に沿って一次元的に延びている、前記(b2)の製造方法。
(b4)前記波打ち部分は、In組成が極大となる領域をボトムに有する、前記(b2)または(b3)の製造方法。
(b5)前記井戸層がInGaN層である、前記(b2)〜(b4)のいずれかの製造方法。
(b6)前記半極性面が前記第一の窒化物半導体のa軸に平行である、前記(b1)〜(b5)のいずれかの製造方法。
(b7)前記半極性面が(20−2−1)面である、前記(b6)の製造方法。
(b8)前記半極性面の上に、窒化物半導体を含むベース層を、当該ベース層の表面に前記第一の方向に沿って波打っているベース層波打ち面が形成されるように成長させる第1成長工程と、
前記ベース層と前記井戸層との間に配置する第二の窒化物半導体を、第1成長工程によ
り形成されたベース層波打ち面を平坦に埋め込まないようにして成長させる第2成長工程と、
を含む前記(b1)〜(b7)のいずれかの製造方法。
(b9)前記第1成長工程において、前記ベース層の成長温度を900℃以上とする、前記(b8)の製造方法。
(b10)前記第1成長工程において、前記ベース層の少なくとも一部をケイ素でドープする、前記(b8)または(b9)の製造方法。
(b11)前記第1成長工程において、前記ベース層の厚さを2μm以上とする、前記(b8)〜(b10)のいずれかの製造方法。
(b12)前記第2成長工程において、前記第二の窒化物半導体を成長温度800℃以上で成長させる、前記(b8)〜(b11)のいずれかの製造方法。
(b13)前記第2成長工程において、前記第二の窒化物半導体の少なくとも一部をケイ素でドープする、前記(b8)〜(b12)のいずれかの製造方法。
(b14)前記第2成長工程において、前記第二の窒化物半導体の厚さを80nm以下とする、前記(b8)〜(b13)のいずれかの製造方法。
(b15)前記井戸層の波打ち部分が、前記井戸層の膜厚の2倍以上の振幅で波打っている部分を含む、前記(b1)〜(b14)のいずれか製造方法。
(b16)前記井戸層の波打ち部分が、高低差3nm以上で隣り合うトップおよびボトムを有する部分を含む、前記(b1)〜(b15)のいずれかの製造方法。
(b17)前記井戸層の波打ち部分が、1つのボトムを挟んで30nm以下の間隔で隣り合う2つのトップを有する部分を含む、前記(b1)〜(b16)のいずれかの製造方法。
(b18)前記量子井戸構造がp型窒化物半導体とn型窒化物半導体との間に配置されている、前記(b1)〜(b17)のいずれかの製造方法。
(b19)前記第一の窒化物半導体が、窒化物半導体からなる基板、窒化物半導体からなるエピタキシャル成長層、または、バルク単結晶から切り出された薄い窒化物半導体層のいずれかである、前記(b1)〜(b18)のいずれかの製造方法。
本発明の第一、及び第二の要旨に表わされる量子井戸構造は、偏光したルミネッセンスを発生させることができるので、低損失の偏光光源素子用の発光構造として使用することができる。
また、本発明の第一、及び第二の要旨に表わされる量子井戸構造では、発光する領域が量子細線を構成する。量子細線ではキャリア閉じ込めが強くなる(一次元の閉じ込めとなる)ので、状態密度関数がδ関数に近くなり、たとえば半導体レーザに適用した場合、発振閾密度を低減させることができる。すなわち、低いキャリア注入密度でレーザ発振に必要な反転分布が達成される。よって、発光部にこの量子井戸構造を採用したレーザ光源は低電圧駆動できるものとなると考えられる。
従来技術の量子井戸構造を含む半導体積層体の層構成を示す斜視模式図である。 本発明の量子井戸構造を含む半導体積層体の層構成を示す斜視模式図である。 図2における波打ち形状を拡大した模式図である。 本発明の量子井戸構造が形成される様子を経時的に表した模式図である。 実験例の半導体積層体の断面TEM像である(図面代用写真)。 実験例の半導体積層体の断面TEM像である(図面代用写真)。 実験例の半導体積層体のTEM観察に用いたサンプルの斜視模式図である。 実験例の半導体積層体のTEM観察に用いたサンプルの正面模式図である。 実験例の半導体積層体の断面TEM像である(図面代用写真)。 偏光フォトルミネッセンス測定系を示す概念図である。 偏光フォトルミネッセンス測定結果を示すグラフであり、図11(a)は実験例の結果を、図11(b)は比較実験例の結果を、それぞれ示している。 比較実験例の半導体積層体の断面TEM像である(図面代用写真)。 比較実験例の半導体積層体の断面TEM像である(図面代用写真)。 比較実験例の半導体積層体の断面TEM像である(図面代用写真)。
以下、量子井戸構造および量子井戸構造の製造方法を実施形態に即して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
図2は、本発明の実施形態に係る量子井戸構造を備えた半導体積層体を示す図である。半導体積層体100は、基板1上にn型半導体層2、p型半導体層6を有し、n型半導体層2とp型半導体層6の間には、発光層10が形成されている。発光層10は、第一の障壁層3および第二の障壁層5の間に井戸層4を含む構造を有する。n型半導体層2、第一の障壁層3、井戸層4、第二の障壁層5およびp型半導体層6は、いずれも窒化物半導体層である。特に井戸層4は、Inを含む窒化物半導体層である。井戸層4は、図中一点鎖線7で示すように、矢印8で示す方向に沿って波打っている。
井戸層は通常、1nm以上10nm以下の膜厚を有している。井戸層4の波打ちの振幅は、井戸層4の膜厚よりも大きい。
波打ちに起因して、井戸層4が放射するルミネッセンスは矢印9に平行な方向(矢印8に直交する方向である)に偏光したものとなる。その詳細な理由は明らかではないが、In組成が極大となる領域が矢印9に平行な方向に沿って一次元的に延びる構造が形成されることが関係していると推定される。
放射するルミネッセンスの偏光度が十分なものとなるよう、井戸層4は、それ自体の膜厚の2倍以上の振幅で波打っている部分を含むことが好ましく、3倍以上の振幅で波打っている部分を含むことがより好ましい。
井戸層4は、高低差3nm以上で隣り合うトップおよびボトムを有し得る。また、1つのボトムを挟んで30nm以下の間隔で隣り合う2つのトップを有し得る。これらについて、図3を用いて説明する。
図3は、図2におけるn型半導体層2、第一の障壁層3、井戸層4および第二の障壁層5を拡大した模式図である。井戸層4の振幅とは、井戸層4の波打ち1周期における最大変位の量を意味し、矢印46で表わされる。また、井戸層4の膜厚は矢印45で表わされる。井戸層4のトップ及びボトムはそれぞれ41及び42で表わされる。また、井戸層4の1つのボトムを挟んで隣り合うトップの間隔とは、隣り合うトップ間の距離を意味し、矢印44で表わされる。
基板1は、好ましくは窒化物半導体基板であり、中でもGaN基板である。基板1は、あるいは、窒化物半導体基板とは異なる基板(例えば、サファイア、スピネル、炭化ケイ素、シリコン、ヒ化ガリウム、リン化ガリウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛、LGO、NGO、LAO、ホウ化ジルコニウム、ホウ化チタンなどからなる結晶基板)の表面に、窒化物半導体のエピタキシャル成長層が設けられたものであってもよい。更に、基板1は、バルク単結晶から切り出された薄い窒化物半導体層がシリコン基板などの表面に貼り合せられたものであってもよい。いずれの基板の場合も、半導体積層体100のエピタキシャル成長に用いる主面が、窒化物半導体の(20−2−1)面であることが好ましい。
n型半導体層2は、例えば、SiドープGaN層である。あるいは、n型半導体層2は多層膜構造を有していてもよく、例えば、基板1と接する部分と第一の障壁層3と接する部分にそれぞれアンドープ層を含み、この2つのアンドープ層の間にSiドープ層が挟まれた三層構造とすることができる。
図2の例では、発光層10が2つの障壁層(第一の障壁層3、第二の障壁層5)とひと
つの量子井戸層4を備える単一量子井戸層であるが、2以上の量子井戸層を含む多重量子井戸層とすることもできる。
p型半導体層6は、例えば、MgドープAlGaN層と、その上に積層したMgドープGaN層とを含む多層膜である。
このような半導体積層体は、電極を形成することで、窒化物半導体素子として適用することが可能となり、発光素子として適用することも可能である。
次に、図2に示す半導体積層体100の製造方法について説明する。
図4は、半導体積層体100が形成される様子を経時的に示した模式図である。
最初に、図4(a)に示すように、半導体積層体100をエピタキシャル成長させるべき主面がGaNの(20−2−1)面である基板1を準備する。基板1は、典型的には、半極性(20−2−1)GaN基板である。
続いて、図4(b)に示すように、表面が波打ったn型半導体層2を基板1上に成長させる。表面が波打ち面となるようにするための好ましい条件としては、V/III比(基板上に供給するV族原料とIII族原料のモル比)を低くすること、基板温度を高くすること、成長速度を高くすること、キャリアガスを窒素ガスとすること、などが挙げられる。Siドーピングは、少なくともn型半導体層2の表面が波打つことを阻害するものではない。
より具体的には、n型半導体層2の成長温度は900℃以上、好ましくは950℃以上、より好ましくは1020℃以上とする。この層の成長温度の上限は通常1150℃である。
表面が十分な振幅を持った波打ち面となるように、n型窒化物半導体層2の膜厚は好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上とする。n型窒化物半導体層2の膜厚が小さ過ぎる場合には、その表面の波打ちの振幅が不十分となる。n型窒化物半導体層2の膜厚に特に上限はないが、通常は20μm以下とする。
続いて、図4(c)に示すように、n型半導体層2上に第一の障壁層3を積層する。この工程で重要なことは、n型窒化物半導体層2の表面の波打ちが第一の障壁層3の表面に引き継がれるようにすること、換言すれば、第一の障壁層3の表面が、n型窒化物半導体層2の表面形状を反映した波打ち面となるようにすることである。
そのために、第一の障壁層3は膜厚を大きくし過ぎないことが望ましい。具体的には、第一の障壁層3の膜厚は好ましくは80nm以下とし、より好ましくは50nm以下、更に好ましくは20nm以下である。下限は特に限定されないが、例えば、4nm以上である。
第一の障壁層3の成長温度を、n型窒化物半導体層2の成長温度よりも低くする場合には、第一の障壁層3を厚くし過ぎないことが特に重要となる。成長温度を低くすると、層の表面が平坦となる傾向が生じるからである。
第一の障壁層3の下に成長させるn型窒化物半導体層2の成長温度と、上に成長させる井戸層4の成長温度(後述する)との差が大きいことから、第一の障壁層3の成長温度は、これらの温度の中間とするか、あるいは井戸層4の成長温度と同じとすることが好ましい。それによって、熱的な作用により井戸層4が受ける歪が緩和されると考えられるからである。
具体的には、第一の障壁層3の成長温度は通常700℃〜880℃、好ましくは740℃〜860℃、更に好ましくは780℃〜840℃である。第一の障壁層3はSiでドープしてもよい。
続いて、図4(d)に示すように、第一の障壁層3の表面上に井戸層4をコンフォーマルに成長させると、第一の障壁層3の表面が波打っているために、井戸層4も波打った形状に形成される。井戸層4をこのように成長させるためには、井戸層4の成長条件を第一の障壁層3の成長条件に近付ける、あるいは、同じとすればよい。
続いて、図4(e)に示すように、井戸層4上に第二の障壁層5を成長させる。図4(e)の例では、第二の障壁層5を、表面が平坦化するように成長させている。
表面が平坦面となるようにするための好ましい条件としては、V/III比を高くすること、基板温度を低くすること、成長速度を低くすること、キャリアガスを水素ガスとすること、などが挙げられる。Mgドーピングは、少なくとも第二の障壁層5の表面が平坦化することを阻害するものではない。
最後に、図4(f)に示すように、第二の障壁層5上にp型半導体層6を成長させて半導体積層体100を完成させる。
発光素子を構成する方法については公知技術を適宜参照することができる。例えば、n電極は、基板1の裏面か、あるいは、エッチングにより露出させたn型半導体層2の表面に形成することができる。p電極はp型層6の表面に形成することができる。
この例では第二の障壁層5の表面を平坦化させているが、必須ではない。表面が平坦化しない条件で成長させることによって、第二の障壁層5の表面を波打ち面としてもよいし、更には、p型半導体層6の表面を波打ち面としてもよい。
以下には、本発明者等が行った実験の結果を記す。
<実験例>
1.半導体積層体の形成
半極性(20−2−1)GaN基板を準備し、その(20−2−1)面上に通常のMOVPE法を用いて以下の層を順にエピタキシャル成長させ、半導体積層体を製造した。使用した原料は、III族原料がTMG(トリメチルガリウム)、TMI(トリメチルインジウム)およびTMA(トリメチルアルミニウム)、V族原料はアンモニアである。
1)アンドープGaN層(組成 GaN、厚さ10nm)
(成長条件)基板温度:1040℃、キャリアガス:窒素ガス、成長速度:0.8μm/h、アンドープ、V/III比:3300
2)GaN:Si層(組成GaN、厚さ 2000nm)
(成長条件)基板温度:1040℃、キャリアガス:窒素ガス、成長速度:1.3μm/h、Siドープ、V/III比:2200
3)アンドープGaN層(組成 GaN、厚さ120nm)
(成長条件)基板温度:840℃、キャリアガス:窒素ガス、成長速度:0.14μm/h、アンドープ、V/III比:28000、TMI/TMGモル供給比:0.83
4)InGaN障壁層(組成InGaN、厚さ18nm)
(成長条件)基板温度:840℃、キャリアガス:窒素ガス、成長速度:0.14μm/h、アンドープ、V/III比:28000、TMI/TMGモル供給比:3.3
5)InGaN井戸層(組成InGaN、厚さ(平均)3nm)
(成長条件)基板温度:800℃、キャリアガス:窒素ガス、成長速度:0.14μm/h、アンドープ、V/III比:28000、TMI/TMGモル供給比:0.83
6)InGaN障壁層(組成InGaN、厚さ18nm)
(成長条件)基板温度:840℃、キャリアガス:窒素ガス、成長速度:0.14μm/h、アンドープ、V/III比:28000
7)AlGaN:Mg層(組成Al0.10Ga0.90N 、厚さ160nm)
(成長条件)基板温度:1030℃、キャリアガス:水素ガス、成長速度:1.2μm/h、Mgドープ、V/III比:4800
8)AlGaN:Mg層(組成Al0.03Ga0.97N 、厚さ40nm)
(成長条件)基板温度:1070℃、キャリアガス:水素ガス、成長速度:0.4μm/h、Mgドープ、V/III比:5000
上記において、5)InGaN井戸層および6)InGaN障壁層の成長は3回繰り返した。それによって、3層の井戸層を含む多重量子井戸構造の発光層を形成した。
2.TEM観察
上記1.で得た本実験例の半導体積層体の断面TEM観察を行った。
実験例の半導体積層体のa軸に直交する断面のTEM像を図5および図6に示す。図6は、図5の一部を拡大したものである。これらのTEM像が示すように、量子井戸層の断面は直線的ではなく、波形を呈している。
ここで、量子井戸層は厚さが約3nmとなるように成長させたものであること、および、断面TEM像に厚さ約3nmの量子井戸層が明瞭に表れていることに注目されたい。このことに、TEMサンプルが100nm程度の厚みを有していること(図7)を考え合わせると、量子井戸層の三次元形状は、図5および図6における左右方向に波打った形状であるものと推定される。
図示していないが、実験例の量子井戸構造の、a軸に平行な断面をTEM観察した場合には、量子井戸層の断面が波形を呈していなかったこと、かつ、当該層の厚さ方向に広がって見えたことも、この推定を裏付けるものである。図8に模式的に示すように、TEMサンプルの厚さが井戸層の波打ちの周期より大きいために、波打ち方向に直交する断面を見た場合には、量子井戸層が波打ちの振幅と同程度に広がって見えることになるのである。
図9は、図6のTEM像のコントラストを強調したものである。
図9において、明るく見えているところはIn濃度の高い部分である。図9によれば、量子井戸層内のIn濃度は一様ではなく、局所的にIn濃度が高くなった領域が形成されていることが分かる。
このような高In領域の量子井戸層内における分布は一様ではないと考えられる。なぜなら、仮に高In領域が一様に分布していたならば、断面TEM像にInの濃淡は現れないと考えられるからである。
かかる考察によれば、高In領域は波打った量子井戸層のボトムに形成される傾向があるものと考えられる。
更に、量子井戸層のボトムがa軸に平行に延びていることからいって、該領域もまたa軸に平行な線状に形成されている可能性が推定される。後述する偏光フォトルミネッセンス測定の結果は、この推定が恐らく正しいことを示している。
線状になった高In領域は、周囲よりバンドギャップが小さいことから、キャリア閉じ込め機能を有する量子細線となることが期待される。
3.偏光フォトルミネッセンス測定
次に、実験例の半導体積層体について、量子井戸層のフォトルミネッセンスの偏光特性を測定した。
使用した測定系の概念図を図10に示す。励起光源21には発振波長375nmの半導体レーザを用い、量子井戸層の選択励起を行った。偏光解消子22は、励起光の直線偏光を解消することを目的としている。偏光フィルター24は、サンプル23から発生するルミネッセンスのうち、特定方向の偏光成分のみを透過させる。偏光フィルター24を透過した偏光はλ/4波長板25によって直線偏光から円偏光に変換されたうえで、分光器26に入射する。かかる構成によって、分光器26の偏光感度特性の影響が取り除かれる。分光器26により分光された光はPM(光電子増倍管)27により検出され、ロックインアンプで増幅される。
このような測定系を用い、量子井戸層のフォトルミネッセンスに含まれる2つの偏光成分のスペクトルを測定し、偏光度Pを求めた。2つ偏光成分のひとつは、半導体積層体のa軸に平行な電場ベクトルを有する偏光成分(E//aと略す)であり、他のひとつはa軸に直交しかつ半導体積層体の表面に平行な電場ベクトルを有する偏光成分(E⊥aと略す)である。
偏光度Pは次の式により算出した。
P=(( E//a)−( E⊥a))/ (( E//a)+( E⊥a))
結果を図11(a)に示す。図11(a)においては、E//a成分のスペクトルを破線で、また、E⊥a成分のスペクトルを、曲線状の実線で示している。また、実線であって、鋸刃形を示すのが偏光度Pである。
<比較実験例>
半極性(20−21)GaN基板を用いて、その(20−21)面上に実験例と同様にして半導体積層体を成長させた。
得られた半導体積層体の、a軸に直交する断面のTEM像を図12および図13に示す。図13は図12の一部を拡大したものである。これらのTEM像は井戸層が平坦に形成されていることを示している。
図14は図12のTEM像のコントラストを強調したものである。実験例の半導体積層体とは異なり、比較実験例では量子井戸層内のIn濃度は略均一である。
実験例と同様にして測定した、比較実験例の半導体積層体に含まれる量子井戸層のフォトルミネッセンスの偏光度を図11(b)に示す。図11(b)においては、E//a成分のスペクトルを破線で、また、E⊥a成分のスペクトルを曲線状の実線で示している。また、実線であって、鋸刃形を示すのが偏光度Pである。
(20−2−1)面と(20−21)面は、m面からの傾斜が等しいことからいって、量子井戸層の構造が同じであれば実験例と比較実験例の半導体積層体からのフォトルミネッセンスの偏光度は同等となるはずであるが、図11(a)(b)に示すように両者の偏光度は大きく異なっており、実験例ではE//a成分がE⊥a成分に対して顕著に大きくなった。この結果は、実験例の量子井戸構造内には量子細線構造が形成されていることを強く示唆している。
100 半導体積層体
1 基板
10 発光層(量子井戸構造)
2 n型半導体層
3 第一の障壁層
4 量子井戸層
5 第二の障壁層
6 p型半導体層
20 偏光フォトルミネッセンス測定系
21 励起光源
22 偏光解消子
23 サンプル
24 偏光フィルター
25 λ/4波長板
26 分光器
27 光電子増倍管
41 トップ
42 ボトム

Claims (13)

  1. 窒化物半導体を含む第一の障壁層と、窒化物半導体を含み該第一の障壁層に積層された第二の障壁層と、窒化物半導体を含み該第一の障壁層と該第二の障壁層との間に挟まれた井戸層とを含む量子井戸構造であって、
    前記井戸層が、当該井戸層の膜厚よりも大きな振幅で第一の方向に沿って波打っている波打ち部分を含み、
    前記量子井戸層は、第一の窒化物半導体の(20−2−1)面の上に形成されたものであり、
    前記第一の方向に直交する偏光軸を有する偏光したルミネッセンスを放射し得る量子井戸構造。
  2. 前記井戸層が、Inを含む窒化物半導体を含む、請求項1に記載の量子井戸構造。
  3. 前記波打ち部分において、In組成が極大となる領域が前記第一の方向に直交する方向に沿って一次元的に延びている、請求項2に記載の量子井戸構造。
  4. 前記波打ち部分は、In組成が極大となる領域をボトムに有する、請求項2又は3に記載の量子井戸構造。
  5. 前記井戸層がInGaN層である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の量子井戸構造。
  6. 前記波打ち部分が、前記井戸層の膜厚の2倍以上の振幅で波打っている部分を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の量子井戸構造。
  7. 前記波打ち部分が、高低差3nm以上で隣り合うトップおよびボトムを有する部分を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の量子井戸構造。
  8. 前記波打ち部分が、1つのボトムを挟んで30nm以下の間隔で隣り合う2つのトップを有する部分を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の量子井戸構造。
  9. 前記量子井戸構造が、第一の窒化物半導体の半極性面の上にエピタキシャル成長したものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の量子井戸構造。
  10. 前記半極性面が前記第一の窒化物半導体のa軸に平行である、請求項9に記載の量子井戸構造。
  11. 前記第一の方向が前記第一の窒化物半導体のa軸と直交している、請求項10に記載の量子井戸構造。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の量子井戸構造が、p型窒化物半導体層とn型窒化物半導体層との間に配置された、窒化物半導体素子。
  13. 発光素子である、請求項12に記載の窒化物半導体素子。
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