JP6045025B2 - 抗菌剤のスクリーニング方法 - Google Patents
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Description
スタロバシンは、Pseudomonas sp.PBJ−5360由来の天然化合物である(特許第2614920号明細書、特許第3542150号明細書、特許第3568978号明細書)。抗菌スペクトルが広く、強力な抗菌活性を持つことが知られている。本発明者らはスタロバシンの作用機序を解明することができれば、スタロバシンと同じ作用機序の抗菌剤のスクリーニングを行うことができ、スタロバシンと同様に、スペクトルが広く、強力な抗菌活性を持つ物質を得ることが可能になると考え、鋭意研究を行った。その結果、FtsWがスタロバシンの標的タンパク質であることを見出した。さらに、特に、FtsWの9/10ループが、スタロバシンとの結合に重要であることを見出した。
また、スタロバシンによって、FtsWとFtsQまたはFtsKの複合体形成が阻害されることを見出した。
さらに、FtsWおよびFtsQが黄色ブドウ球菌において生存必須遺伝子であることを見出した。
上記より、FtsW、FtsQ、FtsK、それらの部分ペプチドを用いて新規作用機序の抗菌剤のスクリーニングを行うことができる。
また、FtsWがスタロバシンの強力な抗菌活性と強く関連づいていることから、スタロバシンを用いてFtsWと結合するタンパク質を探索することもできる。見出されたタンパク質は、新規作用機序の抗菌剤のスクリーニングに利用することができる。
(1−1)FtsWまたはその部分ペプチドと、被検物質とを接触させる工程、および
該FtsWまたはその部分ペプチドと結合する被検物質を選択する工程
を含む、抗菌剤のスクリーニング方法。
(1−2)被検物質の存在下で、FtsQ、FtsKおよびそれらの部分ペプチドからなる群より選ばれる1以上のポリペプチドと、FtsWまたはその部分ペプチドを接触させる工程、および
該ポリペプチドと、FtsWまたはその部分ペプチドとの結合を阻害する被検物質を選択する工程
を含む、抗菌剤のスクリーニング方法。
(1−3)該FtsWの部分ペプチドが、9/10ループを含むペプチドである、(1−1)または(1−2)に記載のスクリーニング方法。
(1−4)該FtsW、FtsQおよびFtsKが、黄色ブドウ球菌由来のポリペプチドである、(1−1)〜(1−3)いずれかに記載のスクリーニング方法。
(1−5)FtsW、FtsQ、FtsKおよびそれらの部分ペプチドからなる群より選ばれる1以上のポリペプチドを含有する、抗菌剤のスクリーニング用キット。
本発明は、さらに、以下を含有する。
(1−6)該FtsWの部分ペプチドが、1/2ループを含むペプチドである、(1−1)または(1−2)に記載のスクリーニング方法。
(1−7)スタロバシンまたは抗FtsW抗体存在下で接触させることを特徴とする、(1−1)〜(1−4)いずれかに記載のスクリーニング方法。
(1−8)抗FtsW抗体またはスタロバシンを含有する、抗菌剤のスクリーニング用キット。
(2−1)黄色ブドウ球菌のFtsWをコードする遺伝子またはFtsWの発現を抑制する物質を探索する工程を含む、抗菌剤のスクリーニング方法。
(2−2)被検物質と黄色ブドウ球菌のFtsWをコードする遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる工程、
被検物質を接触させた細胞における該遺伝子の発現量を測定する工程、および
該測定量が、被検物質を接触させない対照細胞における該遺伝子の発現量と比較して、少ない被検物質を選択する工程を含む、(2−1)記載のスクリーニング方法。
(2−3)被検物質と黄色ブドウ球菌のFtsWを産生可能な細胞または該細胞から調製した細胞画分とを接触させる工程、
被検物質を接触させた細胞または該細胞画分の該FtsWの発現量を測定する工程、および
該測定量が、被検物質を接触させない対照細胞もしくは該細胞画分の該FtsWの発現量と比較して、少ない被検物質を選択する工程を含む、(2−1)記載のスクリーニング方法。
(2−4)黄色ブドウ球菌のFtsWをコードする遺伝子を発現可能な細胞または黄色ブドウ球菌のFtsWを産生可能な細胞若しくは該細胞から調製した細胞画分を含有する、抗菌剤のスクリーニング用キット。
(3−2)被検物質と黄色ブドウ球菌のFtsQをコードする遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる工程、
被検物質を接触させた細胞における該遺伝子の発現量を測定する工程、および
該測定量が、被検物質を接触させない対照細胞における該遺伝子の発現量と比較して、少ない被検物質を選択する工程を含む、(3−1)記載のスクリーニング方法。
(3−3)被検物質と黄色ブドウ球菌のFtsQを産生可能な細胞または該細胞から調製した細胞画分とを接触させる工程、
被検物質を接触させた細胞または該細胞画分の該FtsQの発現量を測定する工程、および
該測定量が、被検物質を接触させない対照細胞もしくは該細胞画分の該FtsQの発現量と比較して、少ない被検物質を選択する工程を含む、(3−1)記載のスクリーニング方法。
(3−4)黄色ブドウ球菌のFtsQをコードする遺伝子を発現可能な細胞または黄色ブドウ球菌のFtsQを産生可能な細胞若しくは該細胞から調製した細胞画分を含有する、抗菌剤のスクリーニング用キット。
(4−1)被検物質の存在下で、
スタロバシンと、FtsWまたはその部分ペプチドを接触させる工程、および
スタロバシンと、FtsWまたはその部分ペプチドの結合を阻害する被検物質を選択する工程
を含む、FtsW結合タンパク質のスクリーニング方法。
(4−2)該FtsWの部分ペプチドが、1/2ループまたは9/10ループを含むペプチドである、(4−1)記載のスクリーニング方法。
(4−3)該FtsWが、黄色ブドウ球菌由来のポリペプチドである、(4−1)または(4−2)に記載のスクリーニング方法。
本発明においては、特に指示のない限り、遺伝子組換え技術、細胞での組換えタンパク質の生産技術、発現タンパク質の分離精製法、分析法、分子生物学的手法および免疫学的手法等は公知の方法が採用される。例えば、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (2003)に記載された方法等が挙げられる。
本発明で用いるFtsWとして、特に好ましくは黄色ブドウ球菌のFtsWである。黄色ブドウ球菌のFtsWは、SA0962と称されることもある。具体的には、配列番号48のアミノ酸配列からなるポリペプチド、または、その誘導体である。
FtsWは10回膜貫通型タンパク質であり、細胞外ループはN端側から5つ存在することが知られている。各ループをN端側より1/2ループ、3/4ループ、5/6ループ、7/8ループ、9/10ループとする。各細菌のFtsWのアミノ酸配列上の細胞外ループの位置は、公知のタンパク質構造予測の手法(例えば、SOSUI、インターネット<URL:http://bp.nuap.nagoya-u.ac.jp/sosui/>)により、推定することができる。
本発明で用いるFtsWの部分ペプチドとして、好ましくは、黄色ブドウ球菌のFtsWの細胞外ループを含むペプチド(1/2ループ 配列番号6、3/4ループ 配列番号20、5/6ループ 配列番号21、7/8ループ 配列番号22、9/10ループ 配列番号23)である。さらに好ましくは黄色ブドウ球菌のFtsWの1/2ループ(配列番号6)または9/10ループ(配列番号23)を含むペプチドである。特に好ましくは、配列番号24のアミノ酸配列を含むペプチド、配列番号13のアミノ酸配列を含むペプチドであり、例えば、配列番号24または配列番号13のアミノ酸配列からなるペプチドである。
本発明で用いるFtsQとして、特に好ましくは黄色ブドウ球菌のFtsQである。黄色ブドウ球菌のFtsQは、SA1027と称されることもある。具体的には、配列番号25(GenBank:NP_374300)からなるポリペプチド、または、その誘導体である。
本発明で用いるFtsKとして、特に好ましくは黄色ブドウ球菌のFtsKである。黄色ブドウ球菌のFtsKは、SA1119と称されることもある。具体的には、配列番号26(GenBank:NP_374392)からなるポリペプチド、または、その誘導体である。
例えば、黄色ブドウ球菌のFtsWおよびFtsQは、本発明者らが、鋭意研究の結果、生存必須遺伝子であることを見出したことから、その誘導体が黄色ブドウ球菌のFtsWまたはFtsQと「同等の機能を有する」か否かの確認には、細菌増殖機能の相補性試験において、該誘導体が増殖機能を相補するものであればよい。
細菌増殖機能の相補性試験は、慣用の遺伝子導入方法で、FtsWまたはFtsQの温度感受性変異株に、該誘導体をコードする遺伝子を導入し、得られた形質転換体を、野生型の黄色ブドウ球菌は生育し、温度感受性変異株は生育できない条件下に培養することにより行なわれうる。ここで、前記形質転換体が生育した場合、該誘導体は本発明に用いることができる。
本発明の抗FtsW抗体としては、例えば、1/2ループに対する抗体等が挙げられる。
1/2ループに対するモノクローナル抗体の例としては、
免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)に相補性決定領域である、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、この場合、CDR1はアミノ酸配列GDAMS(配列番号27)を有し、CDR2はアミノ酸配列GMSSGGYSYYPDTVKG(配列番号28)を有し、CDR3はアミノ酸配列RFGSDDEWFAMDY(配列番号29)であり、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)に相補性決定領域である、CDR1、CDR2およびCDR3を含みこの場合、CDR1はアミノ酸配列KSSQSLLNSGNRKNYLT(配列番号30)を有し、CDR2はアミノ酸配列WASTRES(配列番号31)を有し、CDR3はアミノ酸配列QNDYSYPYT(配列番号32)を有する抗体(11E8)、
免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)に相補性決定領域である、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、この場合、CDR1はアミノ酸配列SYWIN(配列番号33)を有し、CDR2はアミノ酸配列NINPDSGSSDYNE(配列番号34)を有し、CDR3はアミノ酸配列DRGH(配列番号35)であり、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)に相補性決定領域である、CDR1、CDR2およびCDR3を含みこの場合、CDR1はアミノ酸配列KASQSVSHAVA(配列番号36)を有し、CDR2はアミノ酸配列SASNRFT(配列番号37)を有し、CDR3はアミノ酸配列QQDYSSPYT(配列番号38)を有する抗体(23C7)、
免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)に相補性決定領域である、CDR1、CDR2およびCDR3を含み、この場合、CDR1はアミノ酸配列NYLIE(配列番号39)を有し、CDR2はアミノ酸配列VINPVRGVTYYNEKFKD(配列番号40)を有し、CDR3はアミノ酸配列DNSGFF(配列番号41)であり、免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)に相補性決定領域である、CDR1、CDR2およびCDR3を含みこの場合、CDR1はアミノ酸配列KSSQSLLAGDGKTYLN(配列番号42)を有し、CDR2はアミノ酸配列LVSELDS(配列番号43)を有し、CDR3はアミノ酸配列WQGSHFPRT(配列番号44)を有する抗体(11B11)、
等を挙げることができる。
具体的には、
(1−1)FtsWまたはその部分ペプチドと、被検物質とを接触させる工程、および
該FtsWまたはその部分ペプチドと結合する被検物質を選択する工程
を含む、抗菌剤のスクリーニング方法
を意味する。
具体的には、
(1−2)被検物質の存在下で、FtsQ、FtsKおよびそれらの部分ペプチドから選ばれる1以上のポリペプチドと、FtsWまたはその部分ペプチドを接触させる工程、および
該ポリペプチドと、FtsWまたはその部分ペプチドとの結合を阻害する被検物質を選択する工程
を含む、抗菌剤のスクリーニング方法
を意味する。
FtsWとFtsKの「結合の検出」は、例えば、FtsWを保持した担体への被検物質およびFtsKのバインディングアッセイ、FtsKを保持した担体への被検物質およびFtsWのバインディングアッセイ等により行なわれうる。各タンパク質のいずれかが部分ペプチドであったとしても、同様に行うことができる。
FtsWとFtsQ/FtsKの複合体の「結合の検出」は、例えば、FtsWを保持した担体への被検物質およびFtsQ/FtsKの複合体のバインディングアッセイ、FtsQ/FtsKの複合体を保持した担体への被検物質およびFtsWのバインディングアッセイ等により行なわれうる。各タンパク質のいずれかが部分ペプチドであったとしても、同様に行うことができる。
また、全長のFtsWとFtsWの部分ペプチドを用いて被検物質と部分ペプチドの競合実験を行うこともできる。
具体的には、
(2−1)黄色ブドウ球菌のFtsWをコードする遺伝子またはFtsWの発現を抑制する物質を探索する工程を含む、抗菌剤のスクリーニング方法
を意味する。
(2−2)被検物質と黄色ブドウ球菌のFtsWをコードする遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる工程、
被検物質を接触させた細胞における該遺伝子の発現量を測定する工程、および
該測定量が、被検物質を接触させない対照細胞における該遺伝子の発現量と比較して、少ない被検物質を選択する工程を含む、(2−1)記載のスクリーニング方法。
(2−3)被検物質と黄色ブドウ球菌のFtsWを産生可能な細胞または該細胞から調製した細胞画分とを接触させる工程、
被検物質を接触させた細胞または該細胞画分の該FtsWの発現量を測定する工程、および
該測定量が、被検物質を接触させない対照細胞もしくは該細胞画分の該FtsWの発現量と比較して、少ない被検物質を選択する工程を含む、(2−1)記載のスクリーニング方法。
具体的には、
(3−1)黄色ブドウ球菌のFtsQをコードする遺伝子またはFtsQの発現を抑制する物質を探索する工程を含む、抗菌剤のスクリーニング方法
を意味する。
(3−2)被検物質と黄色ブドウ球菌のFtsQをコードする遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる工程、
被検物質を接触させた細胞における該遺伝子の発現量を測定する工程、および
該測定量が、被検物質を接触させない対照細胞における該遺伝子の発現量と比較して、少ない被検物質を選択する工程を含む、(3−1)記載のスクリーニング方法。
(3−3)被検物質と黄色ブドウ球菌のFtsQを産生可能な細胞または該細胞から調製した細胞画分とを接触させる工程、
被検物質を接触させた細胞または該細胞画分の該FtsQの発現量を測定する工程、および
該測定量が、被検物質を接触させない対照細胞もしくは該細胞画分の該FtsQの発現量と比較して、少ない被検物質を選択する工程を含む、(3−1)記載のスクリーニング方法。
(E)FtsWと結合するタンパク質を探索する方法
具体的には、
(4−1)被検物質の存在下で、
スタロバシンと、FtsWまたはその部分ペプチドを接触させる工程、および
スタロバシンと、FtsWまたはその部分ペプチドの結合を阻害する被検物質を選択する工程
を含む、FtsW結合タンパク質のスクリーニング方法
を意味する。
(1−5)FtsW、FtsQ、FtsKおよびそれらの部分ペプチドからなる群より選ばれる1以上のポリペプチドを含有する、抗菌剤のスクリーニング用キット。
(1−8)抗FtsW抗体またはスタロバシンを含有する、抗菌剤のスクリーニング用キット。
(2−4)黄色ブドウ球菌のFtsWをコードする遺伝子を発現可能な細胞または黄色ブドウ球菌のFtsWを産生可能な細胞若しくは該細胞から調製した細胞画分を含有する、抗菌剤のスクリーニング用キット。
(3−4)黄色ブドウ球菌のFtsQをコードする遺伝子を発現可能な細胞または黄色ブドウ球菌のFtsQを産生可能な細胞若しくは該細胞から調製した細胞画分を含有する、抗菌剤のスクリーニング用キット。
黄色ブドウ球菌SA1888欠失株の作製
S.aureus RN4220株のゲノムDNAをテンプレートとし、SA1888の上流配列および下流配列それぞれの増幅を行った。この際、上流配列の両端にはEcoRI、SalI、下流配列の両端にはSalI、PstIの制限酵素サイトを付与したプライマーを使用した。上流配列増幅断片およびpUC19をEcoRI、SalIで制限酵素切断し、ライゲーション、E.coli DH5α株へのトランスフォーメーションを行った。アンピシリン、X−Gal、IPTG含有LB寒天培地〔組成:1.0重量% トリプトン、0.5重量%酵母エキス、0.5重量%塩化ナトリウム、1.5重量%寒天 (pH7.0±0.2)〕を使用したブルーホワイトセレクションの結果、白コロニーが見出され、PCRによりインサートの挿入を確認した。このコロニーをアンピシリン含有LB液体培地にて培養し、ミニプレップ法によりプラスミドの抽出、精製を行うことでpUC19へSA1888の上流配列が組み込まれたプラスミドを得た。続いて、このプラスミドと、下流配列増幅断片をSalI、PstIで制限酵素切断し、ライゲーション、E. coli DH5α株へのトランスフォーメーションを行った。それをアンピシリン含有LB寒天培地に播種し、生えてきたコロニーに対してPCRを行い、インサートの挿入を確認した。このコロニーをアンピシリン含有LB液体培地にて培養し、ミニプレップ法によりプラスミドの抽出、精製を行うことでpUC19へSA1888の上流配列および下流配列が連続した断片(SA1888欠失用配列)が乗ったプラスミドを得た。得られたプラスミドについては、シーケンス解析を行い、正しい配列を有することを確認した。このプラスミドをEcoRI、PstIで制限酵素処理後、電気泳動し、SA1888欠失用配列の断片をゲルから切り出し、精製した。続いて、温度感受性プラスミドpCL52.1をEcoRI、PstIで制限酵素切断し、SA1888欠失用配列断片とのライゲーション、E.coli DH5α株へのトランスフォーメーションを行った。それをスペクチノマイシン含有LB寒天培地に播種し、生えてきたコロニーに対してPCRを行い、インサートの挿入を確認した。このコロニーをスペクチノマイシン含有LB液体培地にて培養し、ミニプレップ法によりプラスミドの抽出、精製を行うことで、SA1888欠失用プラスミドを構築した。得られたプラスミドについては、シーケンス解析を行い、正しい配列を有することを確認した。
このプラスミドをエレクトロポレーションによりS.aureus RN4220株へ導入した。得られた形質転換体をテトラサイクリン含有TSA〔組成:1.5重量%カゼインの膵液消化物、0.5重量%大豆のパパイン消化物、0.5重量%塩化ナトリウム、1.5重量%寒天(pH7.3±0.2)〕培地上にて44℃で一晩培養した。pCL52.1は温度感受性の複製開始点を有するので、44℃という高温条件下では、相同組換えが起こり、プラスミドがゲノム上へ組み込まれた株のみが良好に生育できる。培養の結果、相同組換えが起こったと考えられる大きなコロニーが出現した。これらのコロニーに対してPCRを行い、ゲノム上へプラスミドが組み込まれている目的の株であることを確認した。
続いて、テトラサイクリン非含有培地にて30℃で一晩培養し、ゲノム上でSA1888の欠失用配列が相同組換えを起こし、テトラサイクリン感受性になった株を選別した。それらの株に対してコロニーPCRでSA1888欠失型の株を確認し、SA1888欠失株を獲得した。
SA1888遺伝子を欠失した黄色ブドウ球菌をLB液体培地(0.5%酵母エキス、1%トリプトン、1%NaCl、pH7.2−7.5)500mLで一晩振とう培養した後、その培養液を30μg/mLクロラムフェニコールを含むLB液体培地15Lに加え、37℃でジャーファーメンターによる培養を行った。培地の吸光度(625nm)が1.0に到達した時点で培養を終了し、4℃、10,000xg、15分の遠心で集菌した。次に菌体の洗浄操作として、50mM Tris−HCl、pH7.8による懸濁と4℃、10,000xg、15分の遠心を、交互に3回繰り返した。
洗浄菌体を50mM Tris−HCl、pH7.8で再懸濁した後、終濃度10μg/mLのリゾスタフィンを加え、30℃、30分攪拌しながらインキュベートした。次に、その懸濁液を細胞破砕装置にセットし8000psiで破砕した。破砕液を4℃、20,000xg、15分で遠心し、その上清を4℃、100,000xg、35分の条件で超遠心した。得られた沈殿を膜画分として回収した。
膜画分を、プロテアーゼ阻害剤(ロシュ・ダイアグノスティックス、complete mini EDTA free)を含むTBS(50mM Tris−HCl、150mM NaCl、pH7.4)に懸濁し、Bradford法(バイオラッド)でタンパク定量した。次に、1mg/mLタンパク濃度、1% DDM(n−dodecyl−beta−D−maltoside)、4℃、1時間攪拌での可溶化操作後、4℃、100,000xg、30分の超遠心で可溶化上清を回収した。
以下、実験操作は4℃で行うと共に、ビーズと上清の分画は、2000xg、30秒の遠心で行った。可溶化上清とモノメリックアビジンビーズ(サーモフィッシャーサイエンティフィック)を30分間転倒混和後、上清を回収した。次に、上清に終濃度400ng/mLビオチン化スタロバシンとモノメリックアビジンビーズを加え、12時間転倒混和した。Mock条件には、ビオチン化スタロバシンの代わりに、ビオチンとスペーサーアームからなる化合物を使用した。また、スタロバシンによる競合阻害実験では、ビオチン化スタロバシンに対して約500倍量のスタロバシンを共存させた。ビーズ懸濁液から上清を除去した後、ビーズを0.2%DDMを含むTBSで洗浄した。続いて、ビーズと5mMビオチン、0.2%DDMを含むTBSを30分間転倒混和し、上清を溶出画分として回収した。
なお、本実施例において「スタロバシン」は以下の構造式で示される化合物(スタロバシンI)を意味する。
SDSポリアクリルアミド電気泳動は、汎用されているレムリー法に従った。SDSサンプルバッファー(62.5mM Tris−HCl、25%グリセロール、2%SDS、0.01% BPB、50mM DTT、pH6.8)と溶出画分を1:1の割合で混合し、37℃、30分インキュベートした。続いて、ポリアクリルアミド10−20%グラジエント分離ゲルを利用して電気泳動した。
電気泳動後のゲルを、固定化液(50%メタノール、7%酢酸)に浸して30分間振とうした後、YPRO−Ruby染色液(インビトロジェン)に浸して1時間振とうした。最後に、脱色液(10%メタノール、7%酢酸)に浸し1時間振とうした。タンパク質の検出には、蛍光スキャナー(GEヘルスケア)を利用し、457nmで励起し510nmの蛍光を検出した。結果を、図1に示す。非特異的に結合するタンパク質も検出されたが、Mockまたはスタロバシン競合阻害条件では検出されず、ビオチン化スタロバシン条件特異的に、分子量約35000のタンパク質を検出した。
ゲル内消化は、Moritaらの方法(Proteomics 2006, 6, 5880-5890)に従った。電気泳動ゲルから目的とするタンパク質バンドを切り出し、トリプシンとリジルエンドペプチダーゼでゲル内消化した。回収された消化ペプチドは、0.1%ギ酸に溶解し、高速液体クロマトグラフ質量分析装置(ブルカーダルトニクス)で質量分析した。ペプチドは、溶媒A:0.1%ギ酸、溶媒B:0.1%ギ酸、80%アセト二トリルを用いて、5%B(0−5分)、5−60%B(5−35分)、60−100%B(35−35.1分)、100%B(35.1−45分)、100−5%B(45−45.1分)のグラジエント溶出法で分離した。続いて、得られたマススペクトルからタンパク質同定ソフトウエアMascot(マトリックスサイエンス)を用いてタンパク質を同定した。検索条件は、データベース:NCBInr、種:staphylococcus aureus、酵素:トリプシン、許容される未切断部位数:1箇所とした。Mascot検索結果を表1に、MSMSマススペクトルを図2に示す。その結果、SA0962(配列番号1;GenBank:NP_374231)をスタロバシン結合候補分子として同定した。
KEGG(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)に登録されたS.aureus NCTC8325株の塩基配列をもとに、S.aureus SA0962遺伝子の全長を増幅するようにオリゴヌクレオチドプライマーNFR0962−S(配列番号2)と0962−TCS−AS(配列番号3)を作成した。これらのプライマーDNAを用いて、S.aureus RN4220 ゲノムDNAを鋳型にしたPCRを行った。NFR0962−Sプライマーと0962−TCS−ASプライマー各50pmolを用いて1回目のPCRを行ない、その後、アガロース電気泳動による分離と精製を行い、1,227bpのDNA断片を含む領域を切り出した。上記のPCR反応は、94℃、15秒、60℃、30秒、68℃、30秒を1サイクルとする、計30サイクルで行った。
PCR法にて増幅した大腸菌無細胞蛋白質合成用ベクターpIVEX3.1の(1)MCS上流にあるT7プロモータとShine−Dalgarno配列を含む遺伝子断片RTS−Nfr、(2)MCS下流のスロンビン認識配列(TCS)、6x His tag配列、T7ターミネータを含む遺伝子断片RTS−TCS−Cfr−His 各5ngと上記「SA0962のクローニング」で取得したSA0962遺伝子40ngを用いて、overlap extension PCR法にて無細胞合成用断片を調製した。PCRには、SA0962遺伝子を含む無細胞合成用断片全長を増幅するようにオリゴヌクレオチドプライマーRTS−Nfr−S(配列番号4)とRTS−Cfr−AS(配列番号5)を設計して用いた。上記のPCR反応は、94℃、15秒、55℃、30秒、68℃、2分を1サイクルとする、計35サイクルの条件で行った。この無細胞合成用の遺伝子断片をアガロース電気泳動による分離と精製を行い、1,582 bpのDNA断片を含む領域を切り出した。pCR−BluntII−TOPO(登録商標)ベクターにTAクローニングで導入したが、蛋白質翻訳領域の上流に1塩基変異が認められたため、変異導入PCR法により変異を修正し、アンピシリン耐性遺伝子を有する組み換えプラスミドNfr−SA0962−TCS−His−pCR−BluntII−TOPOを得た。
上記「SDSポリアクリルアミド電気泳動」の記述に従い電気泳動後、分離されたタンパク質をPVDF膜に転写した。次に、ウエスタンブロッティングは、ohtaらの方法(Biochimica et Biophysica Acta 1788(2009) 1099-1107)を一部改変し実施した。ブロッキングを、5%スキムミルク、0.1%Tween20を含むTBSで行った後、Hisタグ融合タンパク質の検出には、1次抗体にラビット抗Hisタグポリクローナル抗体(サンタクルズ)、2次抗体に西洋ワサビペルオキシダーゼが結合した抗ウサギIgG抗体(GEヘルスケア)、検出試薬に化学発光試薬ECLplus(GEヘルスケア)を用いた。化学発光量の測定には、LAS3000(富士フィルム)を使用した。
無細胞合成は,大腸菌無細胞蛋白質合成キット RTS100 E.coli HY kit (5 Prime社)を用いてin vitro無細胞翻訳系のバッチ法にて行った。翻訳反応液には、キット附属の大腸菌濃縮細胞抽出液、反応ミックス、20アミノ酸のほかに、無細胞合成用プラスミドベクター、プロテアーゼ阻害剤カクテル(ロシュ・アプライドサイエンス)、MembraneMax(インビトロジェン)を添加し、専用インキュベータ(ロシュ・ダイアグノスティクス)中25μLスケールで30℃、16時間、200rpmで振とうして反応させた。標的遺伝子の発現は抗His×5抗体を用いたウエスタンブロッティングにより確認した。以下のアッセイには4℃で15,000xg、 5分遠心した翻訳反応上清を用いた。
無細胞合成SA0962−Hisタグとビオチン化スタロバシンを用いて、上記「スタロバシン結合タンパク質の精製」にて記述した方法に従い、スタロバシン結合画分を調製した。結合したSA0962−Hisタグは、上記「ウエスタンブロティング」にて記述した方法で検出した。結果を図3に示す。Mock条件に比べ、ビオチン化スタロバシン条件では、有意にSA0962−Hisタグが検出された。またその結合は、スタロバシンで阻害されたことから、SA0962はスタロバシンと特異的に結合することを確認した。
S.aureus RN4220株のゲノムDNAをテンプレートとし、SA0962 ORFの完全長のPCR増幅を行った。この際、両端にはSmiI、NotIの制限酵素サイトを付与したプライマーを使用した。このPCR断片およびxylRとxylOを持つベクターpSR1000を、それぞれ制限酵素SmiI、NotIで切断し、ライゲーションを行った。精製後、エレクトロポレーションにより、S.aureus RN4220株へ導入した。クロラムフェニコール含有TSA培地上に生えてきたコロニーについてPCRを行い、インサートの挿入を確認した。このコロニーをクロラムフェニコール含有TSB液体培地にて培養し、ミニプレップ法によりプラスミドの抽出、精製を行うことで、SA0962(配列番号48)発現誘導用プラスミドを得た。得られたプラスミドについて、シーケンス解析を行い、正しい配列を有することを確認した。
野生型のS.aureus RN4220株、SA1888欠失株、SA0962の温度感受性株TS3021をHIA(Heart Infusion Agar)〔組成:1.0重量% 500gのウシ心臓の浸出液、1.0重量%トリプトース、0.5重量% 塩化ナトリウム、1.5重量% 寒天(pH7.4±0.2)〕スラント培地へ植菌し、RN4220株、SA1888欠失株は37℃で、TS3021は30℃で48時間培養した。1エーゼ分の菌を10mLの滅菌水で懸濁後、表面が乾燥したスクロース含有CGPY〔0.5重量%グルコース、1重量%バクトペプトン、0.01重量%酵母エキス、0.6重量%リン酸水素ナトリウム、0.3重量%塩化ナトリウム、0.3重量%リン酸二水素カリウム、0.01重量%塩化マグネシウム・六水和物、0.2重量%塩化アンモニウム、0.015重量%硫酸ナトリウム、0.12重量%スクロース、0.2重量%寒天(pH7.0)〕平板に全面行き渡るように流し、余分な菌液は除いた。37℃のインキュベータ内で15分間表面を乾燥させ、スタロバシン(10,000μg/mL DMSO溶液20mLを、抗生物質検定用ペーパーディスク6mm薄手にしみこませ、37℃のインキュベータで30分乾燥させたもの)を置き、37℃で培養した。24時間後、スタロバシン影響下にあるろ紙・阻止円周辺およびスタロバシンの影響を受けていないプレート辺縁の菌について、寒天フィルムで転写してスライドガラスに載せ、顕微鏡で菌の形態を観察した。その結果、RN4220およびSA1888欠失株は、阻止円付近のスタロバシン影響下では細胞が肥大し、プレート周辺のスタロバシンの影響を受けない部分では無変化であった。一方、TS3021はスタロバシン非存在下でも、細胞が肥大し、スタロバシン作用時と同様の形態を示した(図4)。
RN4220株をHIAプレートへ植菌し、37℃で、SA0962発現誘導プラスミド導入TS3021株をクロラムフェニコール含有HIAプレートへ植菌し、30℃で、それぞれ24時間培養した。通常のCGPY平板培地と0.5%キシロース含有CGPY平板培地を用意し、1エーゼ分の菌を10mLの滅菌水で懸濁後、表面が乾燥したCGPY平板培地およびキシロース含有CGPY平板培地それぞれに、全面行き渡るように流し、余分な菌液は除いた。37℃のインキュベータ内で24時間培養後、寒天フィルムでプレート上の細胞を転写してスライドガラスに載せ、顕微鏡で菌の形態を観察した。
野生型のS.aureus RN4220株、SA0962の温度感受性株TS3021をTSA培地に、TS3021へベクターpSR1000を導入したmock株、TS3021へSA0962発現誘導プラスミドを導入した株をクロラムフェニコール含有TSA培地に塗布し、RN4220は37℃で、それ以外の3株は30℃で、それぞれ一晩培養し、CAMHB(陽イオン調整Mueller−Hinton broth)〔組成:22.5mg/LCa2+、11.25mg/L Mg2+、0.2重量%牛肉エキス、1.75重量%カゼインの酸消化物、0.15重量%可溶性澱粉(pH7.3±0.1)〕で5×106CFU/mLになるように希釈した。一方、スタロバシンの2倍希釈系列を96穴プレート上で作製した。96穴プレートの各穴に0.5%キシロース含有CAMHBを80μL、スタロバシンの2倍希釈液を10μL、5×106CFU/mLの菌液を10μL加えてよく混ぜ、TS3021の生育が可能かつ高温による影響を受けていると予測される37℃で約17時間インキュベートした。
免疫原の調製と免疫
SA0962の部分ペプチド(配列番号48の41‐65:1/2ループ)のC末端にシステインを導入したペプチドを合成した(配列番号6)。合成したペプチド10mgを5mM EDTAを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解したものと、10mgのImject Maleimide‐Activated mcKLH(Thermo社製)を1mlの5mM EDTAを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解したものとを混合し、室温にて4時間、さらに、4℃で一晩反応させた。上記の混合液を蒸留水に対して透析後に、凍結乾燥し、SA0962部分ペプチド‐KLH複合体を得た。これを免疫原に用いた。調製したSA0962ペプチド−KLH複合体100μgをフロイント完全アジュバントと共に4週齢A/J Jms Slc雌マウス5匹に腹腔内投与し、初回免疫とした。その後、21日後、42日後、63日後にSA0962部分ペプチド−KLH複合体100μgをフロイント不完全アジュバントと共に投与し、追加免疫とした。その後、抗体価の上昇を認めたマウスにSA0962部分ペプチド−KLH複合体100μgを生理食塩水0.1mlに縣濁した溶液を腹腔内投与し、最終免疫とした。
合成したSA0962部分ペプチド0.4mgを0.4mlの5mM EDTAを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)に溶解したものと、160μgのMaleimide‐PEO2‐biotin(Thermo社製)を80μlの蒸留水に溶解したものとを混合し、室温で2時間反応後に、逆相HPLCにてビオチン標識されたSA0962部分ペプチドを精製した。
最終免疫の3日後に脾臓を摘出し、脾臓細胞を回収した。脾臓細胞とマウスミエローマ細胞(p3×63−Ag8.U1、東京腫瘤研究所)を50%のポリエチレングリコール4000を用いて融合させ、ヒポキサンチン、アミノプテリン、及びチミジンを含む培地で選択した。
細胞融合10日後に特異抗体産生細胞のスクリーニングを行った。スクリーニングに用いたイムノアッセイは以下の通りである。384穴マイクロタイタープレート(ヌンク社製)の各ウェルに0.35μgの抗マウスIgG抗体(Jackson ImmunoResearch社製)を含むトリス緩衝液(50mM Tris−HCl、pH7.5)を35μl加えて4℃で16時間固定した。これらのウェルを90μlの洗浄液(0.01% Tween20を含む生理食塩水)で1回洗浄した後、ブロックエース(大日本製薬社製)を200μl加えて室温で2時間放置して、ブロッキングを行った(抗マウスIgG抗体固相化プレート)。各ウェルを90μlの洗浄液で1回洗浄した後、15μlのハイブリドーマ培養上清を加え、室温で2時間反応させた。次に各ウェルを90μlの洗浄液で3回洗浄した後に、0.05ngのビオチン標識SA0962部分ペプチドと2ngのEu‐labeled Streptavidin(PerkinElmer社製)を含む15μlのDELFIA Assay Buffer(PerkinElmer社製)を加え、4℃で16時間反応させた。次に各ウェルを90μlの洗浄液で3回洗浄した後に、25μlのDELFIA Enhancement solution(PerkinElmer社製)を添加して、時間分解蛍光をEnVision(PerkinElmer社)により測定した。スクリーニングの結果から、SA0962部分ペプチドと反応したハイブリドーマの中から、無細胞合成により調製したSA0962蛋白質と結合するクローンを得た。
384穴マイクロタイタープレート(ヌンク社製)の各ウェルに0.15μgの抗C2タグ抗体を含むリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)を15μl加えて4℃で16時間固定した。これらのウェルを90μlの洗浄液(0.01% Tween20を含む生理食塩水)で1回洗浄した後、ブロックエース(大日本製薬社製)を200μl加えて室温で2時間放置して、ブロッキングを行った。各ウェルを90μlの洗浄液で1回洗浄した後、15μlのSA0962−C2タグを加え、室温で2時間反応させた。次に各ウェルを90μlの洗浄液で3回洗浄した後に、ビオチン標識スタロバシンとSA0962抗体を含む緩衝液A(0.5%ウシ血清アルブミン、0.01%Tween80、0.05% Proclin150、0.15M NaClを含む50mMトリス緩衝液、pH7.4)とHRP標識ストレプトアビジンを含む緩衝液Aを加え、4℃で16時間反応させた。次に各ウェルを90μlの洗浄液で3回洗浄した後に、15μlのTMB+−Substrate−Chromogen(DAKO社製)を添加して室温で30分間発色させた後に、15μlの0.05Mの硫酸を添加し反応を停止し、450nmにおける吸光度を測定した。スクリーニングの結果、Control IgG存在下でのSA0962とスタロバシンの結合を100%とし、抗体濃度100μg/mlで40%以上の結合阻害活性を示した抗体は、11E8、23C7、11B11だった。その結果を図7に示す。
抗SA0962抗体(11E8、23C7、11B11)について、常法を用いて可変領域の配列を決定した。
11E8の重鎖(配列番号7)、軽鎖(配列番号8)を図8に示す。
23C7の重鎖(配列番号9)、軽鎖(配列番号10)を図9に示す。
11B11の重鎖(配列番号11)、軽鎖(配列番号12)を図10に示す。
ペプチドの合成
Fmoc法によるペプチド固相合成法によってSA0962のアミノ酸配列である配列番号48の344−355(C末アミド体:9/10ループの一部)(配列番号13)を合成し、逆相HPLC精製後、凍結乾燥して目的物を得た。収量8.9mg(収率10%)、ESI−MS:実測値[M+H]+=1187.6(理論値[M+H]+ =1187.7)。
コラーゲン2型ネオエピトープタグ(C2タグ)を付加したSA0962遺伝子の構築を行った。まず、Nfr−SA0962−TCS−His−pCR−BluntII−TOPO(登録商標)を鋳型にPCRで線状化した。このPCRには、フォワード側がSA0962VP3(配列番号14)、リバース側がSA0962VP2(配列番号15)のプライマーを用いた。PCRは98℃10秒、60℃15秒、72℃45秒を1サイクルとする計30サイクルで行った。次に、pET15b−p15(HXB2)−Colを鋳型にCol2タグ領域をPCRで増幅した。このPCRには、フォワード側がCol2ifF2(配列番号16)、リバース側がCol2ifR(配列番号17)のプライマーを用いた。PCRは98℃10秒、60℃15秒、72℃45秒を1サイクルとする計30サイクルで行った。線状化ベクターとインサート断片をIn−Fusion Advantageにて融合し、SA0962−TCS−C2−pCR−BluntII−TOPOを得た。
SA0962−C2タグ遺伝子を上記「SA0962−Hisタグの無細胞合成」の記述に従い、無細胞合成した。
ストレプトアビジンが固相化された96穴プレートを使用し、ビオチン化スタロバシンとSA0962の結合を評価した。以下に、1穴あたりの実験条件を示す。
まず、ビオチン化スタロバシンの固定化のために、0.05%Tween20を含むTBS100μLとビオチン化スタロバシン25pmolを加え、室温、1時間インキュベートし、ビオチン化スタロバシンを固定化した。未固定ビオチン化スタロバシンを除くため、0.05% Tween20を含むTBSで3回洗浄した。2%スキムミルク、0.05% Tween20を含むTBSで室温、1時間ブロッキング後、TBS100μL、TBSで25倍希釈した無細胞合成SA0962−Hisタグ 5μL、スタロバシンもしくはSA0962部分合成ペプチド50μgを加え、室温で1時間インキュベートした。0.2%DDMを含むTBSでプレートを洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ融合抗C2タグ抗体0.25μg、0.5%スキムミルク、0.2% DDMを含むTBSを加え、室温で1時間インキュベートした。再度、TBSで洗浄後、3,3´,5,5´−Tetramethylbenzidine(TMB)基質 100μLを加え、遮光して室温でインキュベートした。15分後、0.2mol/Lの硫酸100μLを加え、反応を終了させた。結合したSA0962−C2タグ量は、625nmの吸光度で定量した。結果を図11に示す。
同様に、1/2ループ、3/4ループ、5/6ループ、7/8ループについてもペプチドを合成し、結合阻害実験を行ったが、該ペプチドは結合阻害を示さなかった。
菌体内発現用SA0962−C2タグのベクター構築
SA0962のC末端側にC2タグが付加された配列を有するプラスミドNfr−SA0962−TCS−His−pCR−Blunt II−TOPOをテンプレートとしてPCRを行い、SA0962 ORFのC末端側にC2タグ配列が融合した断片を得た。この際、両端にSmiI、NotIの制限酵素サイトを付与したプライマーを使用した。このPCR断片、およびxylRとxylOを持つベクター pSR1000を、制限酵素SmiI、NotIで切断し、ライゲーションを行った。精製後、エレクトロポレーションにより、S.aureus RN4220株へ導入した。クロラムフェニコール含有TSA培地上に生えてきたコロニーについてPCRを行い、インサートの挿入を確認した。このコロニーをクロラムフェニコール含有TSB液体培地にて培養し、ミニプレップ法によりプラスミドの抽出、精製を行うことで、SA0962−C2タグ発現誘導用プラスミドを得た。得られたプラスミドについて、シーケンス解析を行い、正しい配列を有することを確認した。
SA0962−C2タグ発現誘導プラスミドをSA0962温度感受性株へエレクトロポレーションにより導入し、C2タグ融合SA0962発現温度感受性株を構築した。導入したプラスミドはxylRとxylOを持つため、この株をキシロース存在下で培養することでC2タグ融合SA0962を強制発現させた。
培養は、上記「黄色ブドウ球菌SA1888欠失株の培養」に記した方法を一部改変して行った。まず、菌株をLB液体培地500mLで一晩振とう培養後、その培養液を30μg/mLクロラムフェニコールを含むTSB液体培地(3%トリプティックソイブロス)15Lに加え、37℃でジャーファーメンターによる培養を行った。625nmの吸光度が1.0に到達した時点で集菌し、菌体を洗浄した後回収した。
2.7mgの2型コラーゲンのネオエピトープ断片(C2タグ)に対する抗体(Clinica Chimica Acta, 2012, in press, Development of a novel immunoassay for the measurement of type II collagen neoepitope generated by collagenase cleavage)を含む酢酸緩衝液(pH4.2)に、60μgのペプシン(ロシュ社製)を加え、37℃、24時間反応した。反応液からゲルろ過HPLCによりF(ab´)2を含む画分を分取した。0.1mMの2‐mercaptoethylamine hydrochloride(ナカライテスク社製)を40μl添加し、37℃で2時間反応した。反応液からゲルろ過HPLCによりFab´を含む画分を分取した。その後、Maleimide‐PEO2‐biotin(Thermo社製)を添加し、4℃で24時間反応した。反応液からゲルろ過HPLCによりビオチン標識Fab´を含む画分を分取し、抗C2タグ抗体‐Fab‐ビオチン体とした。
ビオチン化抗C2タグFab抗体2μgは、ストレプトアビジン磁性ビーズと室温、15分間転倒混和して固定化した。磁石を用いて上清を除去した後、ビーズとビオチン溶液(2mM biotin、1.47mM KH2PO4、8.1mM Na2HPO4、2.68mM KCl、136.89mM NaCl、pH7.4)を再混合し、室温、15分間転倒混和で未反応のストレプトアビジンをブロックした。ビーズは、0.2%DDMを含むTBSで3回洗浄した後、使用するまで4℃で保存した。
膜画分の調製ならびに可溶化は、上記「膜画分の調製」と「膜画分の可溶化」の記述に従い実施した。以降の磁性ビーズと上清の分画操作は、磁石を用いて行った。まず、可溶化上清と抗C2タグFab抗体固定化ビーズを4℃、12時間転倒混和した。スタロバシンによる結合阻害条件では、終濃度0.1mg/mLになるようにスタロバシンを共存させた。上清を除いた後、ビーズを0.2% DDMを含むTBSで3回洗浄した。次に、ビーズを0.1unitトロンビン(シグマ・アルドリッチ)、0.1% Rapigest(ウォーターズ)を含む100mM 重炭酸アンモニウムと混合し4℃、12時間転倒混和後、SA0962結合タンパク質画分として上清を回収した。
SA0962結合タンパク質画分に終濃度5mM ジチオトレイトールを加え、60℃、30分還元処理後、更に終濃度15mM ヨウドアセトアミドを加え、室温、遮光、30分アルキル化処理を行った。次に、0.5μgリジルエンドペプチダーゼを加え37℃、12時間インキュベート、続いて0.5μgトリプシンを加えて37℃、3時間インキュベートし、酵素消化した。
消化ペプチド溶液に終濃度0.5%TFAを加え37℃、45分インキュベート後、15,000xg、5分遠心し、Rapigestを分解除去した。次に、上清からJuri Rappsilberらの方法(Anal. Chem. 2003, 75, 663−670)に従い、ペプチドを精製した。得られたペプチド溶液は、遠心エバポレーターで乾固した。
上記「タンパク質同定」の内容を一部改変して実施した。回収された消化ペプチドは、0.1%ギ酸に溶解し、高速液体クロマトグラフ質量分析装置で質量分析した。ペプチドの分離条件は、溶媒A:0.1%ギ酸、溶媒B:0.1%ギ酸、80%アセト二トリルを用いて、5%B(0−5分)、5−60%B(5−125分)、60−100%B(125−125.1分)、100%B(125.1−135分)、100−5%B(135−135.1分)とした。得られたマススペクトルからタンパク質同定ソフトウエアMascotを用いてタンパク質を同定した後、エクセル(Microsoft)を用いて、スタロバシン存在下もしくは非存在下の差分解析を、同定されたペプチド配列を元に実施した。差分解析結果から得られたスタロバシン存在下で結合が阻害されるタンパク質のリストを表2に示す。
このリストには、細胞***装置divisomeとしてSA0962と相互作用する可能性があるSA1027とSA1119が含まれたことから、スタロバシンの作用機序は、細胞***装置divisome形成の阻害であることが予想された。
「SA0962結合タンパク質の同定」から得た細胞***装置divisome形成に関与するSA0962、SA1027、SA1119について、スタロバシンあり/なしの条件で定量比較を行った。解析方法は、「SA0962結合タンパク質の同定」の内容を一部変更して実施した。まず、SA0962を定量するには、SA0962として同定されたペプチド(配列番号45)の、プリカーサーイオンm/z916.0をMSMSして得られるプロダクトイオンm/z1017.5について測定した。同様に、SA1027では、同定されたペプチド(配列番号46)のプリカーサーイオンm/z1075.6から得られるプロダクトイオンm/z933.5、SA1119は同定されたペプチド(配列番号47)のプリカーサーイオンm/z902.4から得られるプロダクトイオンm/z1223.7を測定した。
配列情報(GTOP BAB42279.1)に従い、SA1027蛋白質翻訳領域の5´末端配列とSwaI認識配列を含むプライマーNdeI−SA1027−Fwd(配列番号18)及び3´末端の配列とNotI認識配列を含むプライマーXhoI−SA1027−Rev(配列番号19)を設計した。次に、これらのプライマーDNAを用いて、S.aureus RN4220 ゲノムDNAを鋳型にしたPCRを行った。PCRは、98℃10秒、60℃15秒、72℃45秒を1サイクルとする計30サイクルで行った。このPCR反応で増幅されたDNA断片をNdeIおよびXhoIで37℃、120分間処理し、その後アガロース電気泳動による分離と精製を行って、1,323 bpとのDNA断片を含む領域を切り出し、あらかじめNdeIおよびXhoIを用いて調製しておいた開環済みのpET21a(+)ベクターに導入し、アンピシリン耐性遺伝子を有する組み換えプラスミドSA1027−pET21a(+)を得た
SA1027−TCS−Hisタンパク質の無細胞合成は、上記「SA0962−Hisタグの無細胞合成」に記した方法を一部改変して行った。まず、キット附属の大腸菌濃縮細胞抽出液、反応ミックス、20アミノ酸、プラスミドSA1027−pET21a(+)、プロテアーゼ阻害剤カクテル、0.67% Brij58(登録商標)(ポリエチレングリコールモノセチルエーテル)を混合し、30℃、4時間、200rpmで振とうして反応させた。以下のアッセイには4℃で15000xg、15分遠心した翻訳反応上清を用いた。
SA0962とSA1027の相互作用は、無細胞合成された両分子によるプルダウンアッセイにより確認した。プルダウンアッセイは、まずマウス抗ペンタHisモノクローナル抗体(キアゲン)1μgとProtein G磁性ビーズ(Dynabeads(登録商標) Protein G, インビトロジェン)10μgを混合して抗体を固定した。続いて、抗体固定化ビーズ、SA0962−C2タグおよびSA1027−Hisタグの無細胞翻訳反応液上清・各4μL、0.2% DDMを含むTBS緩衝液を混合し最終スケール250μLで4℃、16時間転倒混和した。ビーズを回収し、0.2% DDMを含むTBS緩衝液で洗浄した後、DTTを含むSDS−ポリアクリルアミド電気泳動サンプルバッファー中37℃、30分の加熱処理により、ビーズに結合したSA0962−C2を溶出した。スタロバシンとの競合実験は、SA0962−C2とSA1027−Hisを混合する際に25ngのスタロバシンを共存させた。溶出画分に含まれるSA0962−C2量は、一次抗体をマウス抗C2タグモノクローナル抗体とするウエスタンブロッティングで行った。その結果を図13に示す。
温度感受性突然変異株による相補性試験
SA0962の生存必須性を確認するために、黄色ブドウ球菌RN4220株の温度感受性突然変異株TS3021を用いて以下のような実験を行った。温度感受性突然変異株とは、具体的には、30℃では増殖できるが44℃で増殖できないような突然変異株のことである。
S.aureus RN4220株のゲノムDNAをテンプレートとし、SA0962 ORFの完全長のPCR増幅を行った。増幅断片を、制限酵素SmiIおよびNotIで処理し、シャトルベクターpSR1000上に挿入することでSA0962発現誘導プラスミドを構築した。このプラスミドは、xylRとxylOを持つため、キシロースにより、SA0962の発現を誘導することが可能である。
上記プラスミドをTS3021にエレクトロポレーション法で導入した。得られた菌液をB2 broth〔組成:1重量%カザミノ酸、2.5重量% 酵母エキス、0.1重量% リン酸水素二カリウム、0.5重量% グルコース、2.5重量% 塩化ナトリウム(pH 7.5)〕で30℃にて1時間培養後、クロラムフェニコール含有TSA(Tryptic Soy Agar)〔組成:1.5重量% カゼインの膵液消化物、0.5重量% 大豆のパパイン消化物、0.5重量% 塩化ナトリウム、1.5重量% 寒天 (pH7.3±0.2)〕培地に塗布し、30℃で1日間培養した。上記平板培地上、形成されたコロニーを単離し、SA0962発現誘導プラスミドの導入されたTS3021の組換え株を獲得した。
また、対照のためにpSR1000をTS3021へ導入した株を上記と同様の方法で作製した。
作製した2種類の組換え株の懸濁液を、クロラムフェニコールおよびキシロース含有TSA培地にそれぞれ2枚ずつ播種し、一方を30℃で、他方を44℃で1日間培養した。
SA1027遺伝子欠失プラスミドの構築
黄色ブドウ球菌RN4220株から、慣用の方法で染色体DNAを単離した。得られた染色体DNAを鋳型にSA1026及びSA1028の一部をPCR法により増幅し、得られた各断片を温度感受性ベクタープラスミドpCL52.1に組み込み、黄色ブドウ球菌RN4220染色体上SA1027遺伝子欠失プラスミドとした。
得られたSA1027遺伝子欠失プラスミドをSteve Schenkらの方法(FEMS Microbiol Lett., 94, page 133−138)に従って、黄色ブドウ球菌RN4220株に導入した。得られた形質転換体のコロニーを拾い、生理食塩水に懸濁し、テトラサイクリン含有NYE寒天培地〔組成:1重量% カザミノ酸、0.5重量% 酵母エキス、0.5重量% 塩化ナトリウム、1.5重量% 寒天〕に塗布し、42℃にて培養した。得られたコロニーについてPCR法にてSA1027遺伝子欠失プラスミドがSA1026側で染色体上に挿入されたことを確認した。
染色体DNAを鋳型にSA1027遺伝子をPCR法により増幅し、得られた断片を発現調節プラスミドベクターpSR1000に組み込み、黄色ブドウ球菌RN4220のSA1027遺伝子発現調節プラスミドとした。
得られたSA1027遺伝子発現調節プラスミドは、上記「SA1027遺伝子欠失プラスミドの染色体への挿入株の構築」と同様の方法で、SA1027遺伝子欠失プラスミド挿入株に導入した。得られた形質転換体のコロニーを拾い、クロラムフェニコール及びキシロース含有LB液体培地〔組成:1重量% バクトトリプトン、0.5重量% 酵母エキス、1重量% 塩化ナトリウム(pH7.0)〕中で42℃にて培養して、クロラムフェニコール及びキシロース含有NYE寒天培地に塗布、培養した。ついで、生じたコロニーを、クロラムフェニコール及びキシロース含有NYE寒天培地及びテトラサイクリン及びキシロース含有NYE寒天培地にレプリカ法で播種した。続いて、レプリカプレートを42℃で培養し、テトラサイクリン感受性の株を選抜し、純化を実施した。その結果、得られた菌株についてPCR法にて、染色体DNA上のSA1027遺伝子の欠失を確認した株を黄色ブドウ球菌SA1027遺伝子発現調節株として得た。また、同時に染色体上のSA1027遺伝子が欠失されず、RN4220株と同様の遺伝子型になった株を復帰株として得た。
得られたSA1027遺伝子発現調節株及び復帰株をクロラムフェニコール及びキシロース含有NYE寒天培地上で37℃にて一晩線形培養し、ついでミューラーヒントン液体培地〔組成:0.2重量% 牛肉エキス、1.75重量% カゼインー酸加水分解ペプトン、0.15重量% 可溶性澱粉〕中に懸濁した。一方で、親株であるRN4220株も同様にキシロース含有NYE寒天培地上で培養し、ついでミューラーヒントン液体培地に希釈した。得られた各懸濁液を希釈し、ミューラーヒントン液体培地及びキシロース含有ミューラーヒントン液体培地を分注した96穴プレートにそれぞれ接種し、35℃で培養した。菌の生育は、波長595nmの濁度で確認した。キシロース非添加条件の結果を図14に、キシロース添加条件の結果を図15に示す。
Claims (5)
- FtsWまたはその部分ペプチドと、被検物質とを接触させる工程、および
該FtsWまたはその部分ペプチドと結合する被検物質を選択する工程
を含む、抗菌剤のスクリーニング方法。 - 被検物質の存在下で、FtsQ、FtsKおよびそれらの部分ペプチドからなる群より選ばれる1以上のポリペプチドと、FtsWまたはその部分ペプチドを接触させる工程、および
該ポリペプチドと、FtsWまたはその部分ペプチドとの結合を阻害する被検物質を選択する工程
を含む、抗菌剤のスクリーニング方法。 - 該FtsWの部分ペプチドが、9/10ループを含むペプチドである、請求項1または請求項2に記載のスクリーニング方法。
- 該FtsW、FtsQおよびFtsKが、黄色ブドウ球菌由来のポリペプチドである、請求項1〜請求項3いずれかに記載のスクリーニング方法。
- FtsW又はその部分ペプチドを含有する、抗菌剤のスクリーニング用キット。
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