まず、本発明に係る使い捨ておむつの概要について説明する。
本発明の発明者は、従来発明の問題を解決するために、おむつの腰周りの掴みやすさを研究したところ、指先に物を引っ掛けやすい寸法が、指先の幅に近いことを見出した。つまり、指先の幅(約4mm〜5mm)以上の出っ張りがあれば、着用者が、その出っ張りに指を掛けて掴みやすくなることが分かった。
次に、発明者は、使い捨ておむつ(特にパンツ型使い捨ておむつ)の腰周り部分に着目した。ここで、図12は、一般的な従来の使い捨ておむつの腰周り部分の構成を示す断面図である。図12において、左側が、着用者の肌に対向する面(肌対向面)側であり、右側が着用者の肌に対向しない面(肌非対向面)側である。使い捨ておむつの腰周り部分の肌対向面側には、吸収性本体6´が配置されている。従来の使い捨ておむつは、インナーシート50´とアウタシート52´によって複数のタミー伸縮部材11´を挟持する。また、インナーシート50´よりも長手方向に延出したアウタシート52´の一部をウエスト端縁8a´において肌対向面側に折り返し、アウタシート内側52a´とアウタシート外側52b´とによって、複数のウエスト伸縮部材10´を挟持することで、腰周り伸縮部20´を形成している。この腰周り伸縮部20´を形成するウエスト伸縮部材10´の間隔は一般的に約3mm〜8mmであり、このウエスト伸縮部材10´は、ホットメルト接着剤によって、アウタシート内側52a´とアウタシート外側52b´の間に固定されている。この腰周り伸縮部20´は、使い捨ておむつの着用時において、ウエスト伸縮部材10´がおむつの幅方向に縮んだ状態となり、約1mm〜3mm程度の細かなギャザーが形成されているため、手で掴もうとしても、指先に掛からず、引き上げ難いものであった。
そこで、本発明の発明者は、例えば図3及び図4に示されるように、ウエストギャザーを形成する腰周り伸縮部の表面に、別のシートを接合し、おむつの幅方向に沿った襞を形成して、その襞に指を掛けて掴み易くすることで、着用時におむつを引き上げ易くなり、上記問題を解決できることに想到した。すなわち、使い捨ておむつを着用する際に、腰周り伸縮部は、おむつの長手方向に縮んでいる。このため、腰周り伸縮部の表面に接合された別のシートが浮き、この浮いた部分によって襞が形成され、指先を引っ掛け易くなる。例えば、長手方向における接合部の間隔を6mm〜30mm程度とすれば、襞が生じた際に、接合部から襞の頂点までの距離が約4mm〜5mm程度となるため、この襞の出っ張りに指を掛けて掴み易くなる。
続いて、図面を用いて本発明を実施するための形態について具体的に説明する。本発明は、以下に説明する形態に限定されるものではなく、以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
なお、本願明細書において、「長手方向」というときは、使い捨ておむつの前身頃と後身頃を結ぶ方向(図2の上下方向)を意味し、「幅方向」というときは、長手方向に平面的に直交する方向(図2の左右方向)を意味する。
また、本願明細書において、「A〜B」とは、「A以上B以下」であることを意味する。
(1.使い捨ておむつの全体構成)
図1は、本発明に係るパンツ型使い捨ておむつ100の例を示す概略斜視図であり、使い捨ておむつ100を前身頃1側からみた状態を示している。図2は、図1に示されたパンツ型使い捨ておむつ100の展開図であり、使い捨ておむつ100を、肌対向面側からみた状態を示している。本願明細書では、特に好ましい実施形態であるパンツ型使い捨ておむつを例に挙げて本発明の内容を説明するが、本発明はパンツ型使い捨ておむつに限定されるものではなく、テープ型使い捨ておむつにも適用することは可能である。
図1及び図2に示されるように、使い捨ておむつ100は、着用者の腹部に接する前身頃1と、着用者の背部に接する後身頃2と、前身頃1と後身頃2の間に位置する股下部3とに、長手方向に区分される。また、本実施形態において、使い捨ておむつ100は、前身頃外装体4と、後身頃外装体5と、吸収性本体6とを有する。前身頃外装体4は、装着時において着用者の腹部に接触する前身頃1を構成し、後身頃外装体5は、装着時において着用者の背部に接触する後身頃2を構成する。また、吸収性本体6は、長さ方向の一端部側が前身頃外装体4に固定され、他端部側が後身頃外装体5に固定される。このため、本実施形態では、吸収性本体6が、前身頃外装体4と後身頃外装体5との間に架橋された状態となっている。吸収性本体6を、前身頃外装体4と後身頃外装体5に固定する手段は、公知の方法を用いることができ、例えば、ホットメルト接着剤やその他流動性のある接着剤を用いた固定方法に固定することとしてもよいし、ヒートシールのような熱融着や超音波融着により固定することとしてもよい。
また、前身頃外装体4と後身頃外装体5は、互いに幅方向の左右両側縁に位置する一対のサイドシール部7において接合されることにより、前身頃外装体4及び後身頃外装体5が環状に繋がる。このため、図1の外観斜視図に示されるように、装着時に着用者の腰周りに位置するウエスト開口部8と、装着時に着用者の脚部周りに位置するレッグ開口部9が形成される。このようにして、パンツ型の使い捨ておむつ100が形成される。着用者は、その腹部が前身頃外装体4に接触し、背部が後身頃外装体5に接触するようにして、ウエスト開口部8からに両脚部を入れ、それぞれの脚部をレッグ開口部9から出すことで、パンツ型の使い捨ておむつ100を装着することができるようになっている。
(2.使い捨ておむつの各部構成)
以下、図面を用いて、本発明の使い捨ておむつ100の各部の構成について具体的に説明する。
(2−1.前身頃外装体及び後身頃外装体)
前身頃外装体4及び後身頃外装体5は、着用者の腹部及び背部に接触するとともに、使い捨ておむつ100の着用時において、前身頃外装体4及び後身頃外装体5の間に位置する吸収性本体6を、吊持するための部材である。図2の展開図に示されるように、吸収性本体6は、前身頃外装体4及び後身頃外装体5の肌対向面側に、ホットメルト接着剤等によって固定される。また、前身頃外装体4と後身頃外装体5は、おむつの幅方向の左右両側縁部に、一対のサイドシール部7を有しており、前身頃外装体4と後身頃外装体5は、おむつの幅方向の左右両側縁部を互いに重ね合わせた状態で、一対のサイドシール部7において接合される。この一対のサイドシール部7は、おむつの長さ方向に延びて直線的に形成される。サイドシール部7において、前身頃外装体4と後身頃外装体5は、例えば、熱エンボス融着や超音波エンボス融着のような公知の接合手段により接合される。
前身頃外装体4と後身頃外装体5は、複数層のシートを重ね合わせることにより形成されている。前身頃外装体4と後身頃外装体5を構成するシートは、不織布や、織布、プラスチックシート、それらのラミネートシートによって形成することができる。前身頃外装体4と後身頃外装体5には、少なくとも、ウエスト開口部8近傍の端部において、2層のシートにより、幅方向に沿って延びる一又は複数本の複数弾性伸縮部材10(ウエスト伸縮部材10)を伸長状態で挟持固定することにより、腰周り伸縮部20が形成されている。例えば、腰周り伸縮部20は、別々に形成された2枚のシート部材の間に複数のウエスト伸縮部材10を固定することにより形成されたものであってもよいし、一枚のシート部材を折り曲げて2層にし、この2層の間に複数のウエスト伸縮部材10を固定することにより形成されたものであってもよい。腰周り伸縮部20は、ウエスト伸縮部材10が伸縮する幅方向に沿って自由に伸縮することができ、ウエスト伸縮部材10が収縮した際には、それを挟持するシートにシワが生じることによってウエストギャザーが形成される。ウエストギャザーは、ウエスト伸縮部材10が収縮したときに、ウエスト開口部8の周縁において、着用者の肌と使い捨ておむつの密着性を向上させるため、おむつのフィット感が向上し、おむつのずれ下がりや、***物の漏れを防止できる。
また、腰周り伸縮部20の肌対向面側及び肌非対向面側の両方又はいずれか一方の少なくとも一部には、襞形成シート30が配置されており、襞形成シート30は腰周り伸縮部20を被覆している。また、図1及び図2に示されるように、腰周り伸縮部20と襞形成シート30は、複数の接合部40によって互いに接合されている。この複数の接合部40のそれぞれは、おむつの幅方向に向かって延びており、本実施形態において、複数の接合部40は、おむつの長手方向に間隔をおいて形成されている。なお、図1及び図2に示された実施形態において、各接合部40は、幅方向に向かって間欠的に形成されたドット状の接合点の群により形成されている。このように、本発明では、腰周り伸縮部20の表面の少なくとも一部を襞形成シート30で被覆し、この襞形成シート30を、おむつの長手方向に間隔を置いて腰周り伸縮部20に対して接合することにより、おむつのウエスト開口部8近傍に、襞を形成する。この襞には、使い捨ておむつを装着する際などに、着用者が指先を引っ掛けやすくなっている。また、使い捨ておむつの腰周り部分に形成された襞は、おむつの装着時にはクッションとして機能する。
以下に、上記した腰周り伸縮部20及び襞形成シート30の構成について詳しく説明を行う。
(2−2.腰周り伸縮部及び襞形成シート)
(2−2−1.第1の実施形態)
図3は、図2の平面図におけるA−A線において、前身頃外装体4を長手方向に切断した状態を示す断面図であり、本発明の第1の実施形態を示している。図3において、左側は吸収性本体6が配置された肌対向面側であり、右側は肌非対向面側である。なお、後身頃外装体5は、図3に示した前身頃外装体4の構成と基本的に同様の構成を有するものであるため、以下では前身頃外装体4の構成について説明を行い、後身頃外装体5については図示及びその説明を省略する。
図3に示されるように、第1の実施形態において、前身頃外装体4は、インナーシート50と、第1シート51と、第2シート52と、複数のウエスト伸縮部材10と、複数のタミー伸縮部材11によって構成されている。
第1シート51は、ウエスト開口部の端縁8aに相当する位置において折り返されており、肌非対向面側に位置する内側面51aと、肌非対向面側に位置する外側面51bとを有している。第1シート51の内側面51aと外側面51bの間には、複数のウエスト伸縮部材10が、おむつ長手方向に間隔を置いて、幅方向に沿って伸張した状態で挟持固定されている。複数のウエスト伸縮部材10同士の間隔は、例えば3mm〜8mmとすればよい。そして、これらの第1シート51の内側面51aと、外側面51bと、ウエスト伸縮部材10とによって、腰周り伸縮部20が形成される。このように、第1の実施形態において、腰周り伸縮部20は、一枚のシート部材(第1シート51)を折り返して複数のウエスト伸縮部材10を挟持固定することにより形成されている。
また、腰周り伸縮部20よりも股下部3(図中下方)寄りの位置には、肌対向面側に、インナーシート50が配置されている。また、インナーシート50の肌非対向面側には、第2シート52が配置されている。これらのインナーシート50と第2シート52の間には、複数のタミー伸縮部材11が、おむつ長手方向に間隔を置いて、おむつの幅方向に沿って伸張した状態で挟持固定されている。なお、第1シート51の内側面51aの股下部寄り端部が、インナーシート50の肌対向面側に固定されている。
さらに、第2シート52は、インナーシート50よりも、ウエスト開口端縁8a側に向かって延出しており、この第2シート52の延出部分によって、腰周り伸縮部20の肌対向面側を被覆する内覆面52aと、腰周り伸縮部20の肌非対向面側を被覆する外覆面52bとが形成されている。すなわち、第2シート52は、インナーシート50よりも延出した部分が腰周り伸縮部20の肌非対向面側を被覆する外覆面52bとなり、この外覆面52bよりも更に延出する部分が、ウエスト開口端縁8aにおいて肌対向面側に向かって折り返され、腰周り伸縮部20の肌対向面側を被覆する内覆面52aとなっている。これにより、本実施形態において、第2シート52の内覆面52aと外覆面52bは、上述した襞形成シート30として機能する。
そして、腰周り伸縮部20と、第2シート52は、おむつ幅方向に向かって延びる複数の接合部40により、長手方向に間隔を置いて互いに接合されている。すなわち、第2シート52の内覆面52aが、腰周り伸縮部20を形成する第1シート51の内側面51aに接合され、第2シート52の外覆面52bが、第1シート51の外側面51bに接合されている。これらのシートを接合する接合部40は、ヒートシール加工又は超音波シール加工を施してシート同士を融着させることにより形成されたものであってもよいし、ホットメルト接着剤等の流動性のある接着剤を利用してシート同士を接着することにより形成されたものであってもよい。特に、接合部40は、超音波シール加工により形成されるものであることが好ましい。また、複数の接合部40は、おむつの長手方向に、6mm〜30mmの間隔を置いて形成されていることが好ましく、7mm〜20mm、又は8mm〜15mmの間隔であることがより好ましい。
続いて、図4には、上記構成を有する前身頃外装体4が、長手方向に縮んだ状態(完全に伸びきっていない状態)の断面図が示されている。すなわち、前身頃外装体4を含む使い捨ておむつは、装着前の自然状態において、各種弾性伸縮部材や各種シート部材の収縮作用により、おむつ長手方向に多少縮んだ状態となっており、図4の断面図は、この装着前の自然状態を示している。図4に示されるように、前身頃外装体4が、おむつの長手方向に縮んだ状態では、第2シート52(襞形成シート30)のうち、腰周り伸縮部20に接合されていない部分(非接合部)が、腰周り伸縮部20から離れて浮いた状態となる。このような第2シート52(襞形成シート30)の出っ張りが連続することにより、襞が形成される。襞を形成する第2シート52(襞形成シート30)の出っ張りには、図4に示すように、着用者が指先を引っ掛け易くなっており、着用者は、出っ張りに指を掛けたまま、使い捨ておむつ全体を上方に向かって引き上げることができる。従って、使い捨ておむつのウエスト開口部近傍が掴みやすいものとなり、使い捨ておむつの装着が容易になる。また、第2シート52(襞形成シート30)により形成された襞は、着用者の肌と、ウエスト伸縮部材10の間に空間を形成する。ウエスト伸縮部材10には、一般的に直接ホットメルト接着剤等が塗布されて固定されているため、肌触りが硬くなっているが、第2シート52(襞形成シート30)によってクッションを形成することで、ウエスト伸縮部材10の硬さが着用者に伝達されにくくなる。これにより、使い捨ておむつの着用感が向上する。
また、第2シート52の出っ張りに、指先を引っ掛けやすくするためには、第2シート52の谷部から出っ張りの頂点までの間隔D(図4参照)が、指先の幅以上、すなわち約4mm以上、又は5mm以上であることが好ましい。例えば、この間隔Dは、4mm〜10mmであることが好ましい。そして、使い捨ておむつの装着前の状態において、第2シート52の谷部から出っ張りの頂点までの間隔Dを約4mm〜10mm程度とするためには、複数の接合部40同士の長手方向における間隔P(図3参照)を、6mm〜30mmとすることが好適であり、8mm〜20mmとすることが特に好適である。すなわち、複数の接合部40同士の長手方向における間隔Pが6mm未満であると、第2シート52の出っ張りには爪を掛けることしかできず、指の腹を引っ掛けることが困難になる。また、複数の接合部40同士の長手方向における間隔Pが30mmを超えると、第2シート52によって形成された襞の強度が低下し、指先を引っ掛けても、第2シート52がよれてしまい、おむつを引き上げることが困難になる。従って、複数の接合部40同士の長手方向における間隔Pは、6mm〜30mmとすることが好ましい。なお、複数の接合部40同士の長手方向における間隔Pは、前身頃外装体4を長手方向に張った状態(襞形成シートに浮きが生じていない状態)で測定される。
また、接合部40同士の長手方向における間隔Pは、前身頃におけるものと、後身頃におけるものとを異ならせることもできる。特に、後身頃側における接合部40の間隔Pbは、前身頃側における接合部40の間隔Pfよりも、広いものであることが好ましい(Pb>Pf)(図示省略)。すなわち、身体の構造をみると、脚を動かす際に、腹部側が縮む側となり、背部側は伸びる側となる。すると、おむつの前身頃は、後身頃と比較して、おむつを形成するシート材料(特に襞形成シート30)が余って弛みやすく、襞形成シート30が襞を形成しやすい。他方、おむつの後身頃は、襞形成シート30が襞を形成しにくくなっている。また、自力で使い捨ておむつを着用する際に、着用者は、おむつの後身頃にも手を回しておむつを引き上げることも必要であるが、後身頃を引き上げる際には、着用者は比較的無理な体勢をとっているため、力を入れづらく、おむつの後身頃を引き上げにくくなっている。このように、おむつの後身頃側は、特に襞を形成して掴みやすくする必要があるものの、おむつの前身頃側よりも襞が形成しにくくなっている。そこで、後身頃側における接合部40の間隔Pbを、前身頃側における接合部40の間隔Pfよりも広く形成し、おむつの後身頃側に、比較的大きな襞が形成されるようにすることが好ましい。このように、後身頃側に形成される襞の一個あたりの大きさを大きくすることにより、おむつの後身頃の掴みにくさを補うことができる。例えば、後身頃側における接合部40の間隔Pbは、前身頃側における接合部40の間隔Pfを100%とした場合に、120%〜200%、又は130%〜150%程度の値であることが好ましい。
上記した前身頃外装体4を構成するシート部材としては、適宜公知の素材を利用すればよい。例えば、前身頃外装体4を構成するシート部材としては、不織布や、織布、プラスチックシート、又はこれらのラミネートシートを用いることができる。また、ウエスト伸縮部材10やタミー伸縮部材11にも、公知の弾性伸縮部材を用いることができる。例えば、これらの伸縮部材には、糸状弾性ゴム又は帯状弾性ゴムを適用することが好ましい。このようなゴム材としては、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、又はポリエステル等の素材を用いることができる。
上記した第1の実施形態の前身頃外装体4の構造を採用するメリットとしては、襞を形成する機能を持つ前身頃外装体4の構造をシンプルなものとすることができ、その製造が容易になる点が挙げられる。すなわち、第1の実施形態の前身頃外装体4ためには、まず、第2シート52を広げた状態としておき、その外覆面52b及び内覆面52aとなるシートの上に、第1シート51の外側面51b及び内側面51aとなるシートを、複数の接合部40において接合する。また、第1シート51の外側面51bとなるシートの上に、複数のウエスト伸縮部材10を伸長状態で固定する。その後、第2シート52の内覆面52aとなるシートと、第1シート51の内側面51aとなるシートを、共に、ウエスト開口端縁8aに相当する位置で肌対向面側に向かって折り返し、第1シート51の内側面51aと複数のウエスト伸縮部材10を接着する。これにより、簡単な製造工程において、2層のシートで弾性伸縮部材10を挟持した腰周り伸縮部20と、それを肌対向面側及び肌非対向面側の両方から被覆する襞形成シート30(第2シート52)を持つ前身頃外装体4を製造することができる。
(2−2−2.第2の実施形態)
続いて、図5を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、図3と同様に、前身頃外装体4を長手方向に切断した状態を示す断面図である。
図5に示されるように、第2の実施形態において、前身頃外装体4は、インナーシート50と、第3シート53と、複数のウエスト伸縮部材10と、複数のタミー伸縮部材11によって構成されている。
股下部3(図中下方)寄りの端部には、肌対向面側に、インナーシート50が配置されている。また、インナーシート50の肌非対向面側には、第3シート53が配置されている。これらのインナーシート50と第3シート53の間には、複数のタミー伸縮部材11が、おむつ長手方向に間隔を置いて、おむつの幅方向に沿って伸張した状態で挟持固定されている。
また、第3シート53は、インナーシート50よりも、ウエスト開口端縁8a側に向かって延出しており、この延出部分は、ウエスト開口端縁8aにおいて、肌対向面側に向かって折り返され、この折り返し部分に、複数のウエスト伸縮部材10が、おむつ長手方向に間隔を置いて、幅方向に沿って伸張した状態で挟持固定されている。すなわち、第3シート53は、複数のウエスト伸縮部材10を挟んで、肌対向面側に内側面53aを有し、肌非対向面側に外側面53bを有しており、この内側面53aと外側面53gbとの間に複数のウエスト伸縮部材10が固定される。そして、これらの第3シート53の内側面53aと、外側面53bと、ウエスト伸縮部材10とによって、腰周り伸縮部20が形成される。
また、第3シート53は、内側面53aから更に延出する部分を有しており、この更に延出した部分はインナーシート50の肌非対向面側に部分的に接合され、その接合点を折り返し点として、ウエスト開口端縁8a側(上方)に向かって折り返されている。また、第3シート53の更に延出した部分は、腰周り伸縮部20の肌対向面側を被覆すると共に、ウエスト開口端縁8aにおいて肌非対向面側に向かって折り返され、この折り返された部分によって、腰周り伸縮部20の肌非対向面側をも被覆する。すなわち、第3シート53は、腰周り伸縮部20の肌対向面側を被覆する内覆面53cと、腰周り伸縮部20の肌非対向面側を被覆する外覆面53dとを有する。これにより、第2実施形態において、第3シート53の内覆面53c及び外覆面53dが、上述した襞形成シート30として機能する。このように、第2の実施形態においては、腰周り伸縮部20を形成するシート、及び腰周り伸縮部20を被覆する襞形成シート30が、一枚のシート部材(第3シート53)を複数回折り返すことによって一体に形成されている。
そして、腰周り伸縮部20を形成する第3シート53の内側面53a・外側面53bと、襞形成シート30として機能する第3シート53の内覆面53c・外覆面53dは、おむつ幅方向に向かって延びる複数の接合部40により、長手方向に間隔を置いて接合されている。すなわち、第3シート53は、内覆面53cが内側面53aに接合され、外覆面53dが外側面53bに接合されている。これらのシートを接合する接合部40は、ヒートシール、超音波シール、又はホットメルト接着剤等の流動性のある接着剤により形成すればよい。上記第2の実施形態の構成によっても、腰周り伸縮部20と第3シート53(襞形成シート30)により、使い捨ておむつの腰周りに、指先を引っ掛けやすい襞を形成することができる。
上記した第2の実施形態の前身頃外装体4の構造を採用するメリットとしては、前身頃外装体4を構成するシート部材の点数が少なくなるため、シート部材を供給する原反ロールやそのスタンドの数が少なくなり、おむつ加工機の構造を単純なものとすることが出来る点が挙げられる。また、第2の実施形態の構造では、一枚のシート部材を折り返すことによって、腰周り伸縮部20を形成するシートと、腰周り伸縮部20を被覆する襞形成シート30を形成できるため、シートの縁となる箇所を少なくすることができ、前身頃外装体4の手触りが全体的に良くなるというメリットもある。
(2−2−3.第3の実施形態)
続いて、図6を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。図6は、図3と同様に、前身頃外装体4を長手方向に切断した状態を示す断面図である。
図6に示されるように、第3の実施形態において、前身頃外装体4は、インナーシート50と、第4シート54と、第5シート55と、第6シート56と、複数のウエスト伸縮部材10と、複数のタミー伸縮部材11によって構成されている。
股下部3(図中下方)寄りの端部には、肌対向面側に、インナーシート50が配置されている。また、インナーシート50の肌非対向面側には、第4シート54が配置されている。これらのインナーシート50と第4シート54の間には、複数のタミー伸縮部材11が、おむつ長手方向に間隔を置いて、おむつの幅方向に沿って伸張した状態で挟持固定されている。
また、第4シート54は、インナーシート50よりも、ウエスト開口端縁8a側に向かって延出した延出部54aを有している。また、第4シート54の延出部54aの肌対向面側には、第5シート55が位置している。そして、この第4シート54の延出部54aと、第5シートの間には、複数のウエスト伸縮部材10が、おむつ長手方向に間隔を置いて、幅方向に沿って伸張した状態で挟持固定されている。このため、第4シート54の延出部54aと、第5シート55と、ウエスト伸縮部材10とによって、腰周り伸縮部20が形成される。
また、第4シート54の延出部54a及び第5シート55を覆うように、第6シート56が配置されている。すなわち、第6シート56は、第5シート55の肌対向面側を被覆する内覆面56aと、第4シート54の延出部54aを肌日対向面側から被覆する外覆面56bとを有し、ウエスト開口端縁8aにおいて折り返されて、この外覆面56bと内覆面56aとが一体に繋がった状態となっている。これにより、第3実施形態において、第6シート56の内覆面56aと外覆面56bが、上述した襞形成シート30として機能する。このように、第3の実施形態においては、腰周り伸縮部20を被覆する襞形成シート30が、一枚のシート部材(第6シート56)をウエスト開口端縁8aにおいて折り返すことによって形成されている。
そして、腰周り伸縮部20を形成する第5シート55及び第4シート54の延出部54aと、襞形成シート30として機能する第6シート56の内覆面56a及び外覆面53bは、それぞれ、おむつ幅方向に向かって延びる複数の接合部40により、長手方向に間隔を置いて接合されている。すなわち、第6シート56は、内覆面56aが第5シート55に接合され、外覆面56bが第4シート54の延出部54aに接合されている。これらのシートを接合する接合部40は、ヒートシール、超音波シール、又はホットメルト接着剤等の流動性のある接着剤により形成すればよい。上記第3の実施形態の構成によっても、腰周り伸縮部20と第6シート56(襞形成シート30)により、使い捨ておむつの腰周りに、指先を引っ掛けやすい襞を形成することができる。
上記した第3の実施形態の前身頃外装体4の構造を採用するメリットとしては、襞形成シート30として機能する第6シート56が、他のシート部材と別部材となっているため、この第6シート56のみについて、例えば、摩擦抵抗の高い材料や、汗を吸収し易い材料、又は消臭性・抗菌性を有する材料等を選択しやすいという点が挙げられる。例えば、第6シート56(襞形成シート30)の摩擦抵抗を高くして、このシートに指先を引っ掛けやすくするためには、このシートに複数のドット状のエンボスを付与したり、このシートにインナーシート50を形成する不織布よりも坪量の高い不織布を採用したりすればよい。また、第6シート56(襞形成シート30)の吸水性を高くするためには、このシートに複数のドット状のエンボスを付与すればよい。また、第6シート56(襞形成シート30)に消臭性や抗菌性を付与するためには、不織布等の構成繊維に活性炭や抗菌剤等を担持させたシート部材を用いることとすればよい。
特に、第6シート56(襞形成シート30)は、腰周り伸縮部20を形成するシート部材(第4シート54及び第5シート55)よりも、摩擦抵抗の高いシート部材を用いることが好ましい。これにより、第6シート56(襞形成シート30)のグリップ力が向上するため、おむつの腰周り部分を掴んで引き上げやすくなる。例えば、摩擦抵抗の高いシート部材の代表的なものとして、ウレタン製スパンボンド不織布や、ウレタン製メルトブロー不織布などが挙げられる。また、第6シート56(襞形成シート30)のグリップ力を高めるために、エンボス加工を施すこともできる。
なお、必要があれば、上述した構成とは逆に、第6シート56(襞形成シート30)は、腰周り伸縮部20を形成するシート部材(第4シート54及び第5シート55)よりも、摩擦抵抗の低いシート部材を用いることも可能である。このような場合、第6シート56(襞形成シート30)の滑りが良くなるため、使い捨ておむつを装着しやすくなる。
(2−2−4.第4の実施形態)
続いて、図7を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。図7は、図3と同様に、前身頃外装体4を長手方向に切断した状態を示す断面図である。
図7に示されるように、第4の実施形態において、前身頃外装体4は、インナーシート50と、第7シート57と、第8シート58と、第9シート59と、複数のウエスト伸縮部材10と、複数のタミー伸縮部材11によって構成されている。
股下部3(図中下方)寄りの端部には、肌対向面側に、インナーシート50が配置されている。また、インナーシート50の肌非対向面側には、第7シート57が配置されている。これらのインナーシート50と第7シート57の間には、複数のタミー伸縮部材11が、おむつ長手方向に間隔を置いて、おむつの幅方向に沿って伸張した状態で挟持固定されている。
また、第7シート57は、インナーシート50よりも、ウエスト開口端縁8a側に向かって延出した延出部57aを有している。また、第7シート57の延出部57aの肌対向面側には、第8シート58の内側面58aが位置している。そして、この第7シート54の延出部57aと、第8シート58の内側面58aの間には、複数のウエスト伸縮部材10が、おむつ長手方向に間隔を置いて、幅方向に沿って伸張した状態で挟持固定されている。このため、第7シート57の延出部54a、第8シート58の内側面58a、及びウエスト伸縮部材10とによって、腰周り伸縮部20が形成される。なお、第8シート58の内側面58aの股下部寄り端部が、インナーシート50の肌対向面側に固定されている。
また、第8シート58は、第7シート57の延出部57aの肌非対向面側を被覆する外覆面58bを有している。すなわち、第8シート58は、ウエスト開口端縁8aにおいて折り返され、内側面58aと外覆面58bとが一体に繋がった一枚のシート部材で構成されている。このため、第4実施形態において、第8シート58の外覆面58bが、おむつの腰周り部分の肌非対向面に襞を形成する襞形成シート30として機能する。
また、本実施形態において、第8シート58の内側面58aの肌対向面側は、第9シート59によって被覆されている。すなわち、第9シート59は、腰周り伸縮部20の肌対向面側のシート(第8シート58の内側面58a)を被覆する。このため、第4実施形態において、第9シート59が、おむつの腰周り部分の肌対向面に襞を形成する襞形成シート30として機能する。
そして、腰周り伸縮部20を形成する第8シート58の内側面58a及び第7シート57の延出部57aと、襞形成シート30として機能する第9シート59及び第8シート58の外覆面58bは、それぞれ、おむつ幅方向に向かって延びる複数の接合部40により、長手方向に間隔を置いて接合されている。すなわち、第9シート69は、第8シート58の内側面58aに接合され、第8シート58の外覆面58bは、第7シート57の延出部57aに接合されている。これらのシートを接合する接合部40は、ヒートシール、超音波シール、又はホットメルト接着剤等の流動性のある接着剤により形成すればよい。上記第4の実施形態の構成によっても、腰周り伸縮部20と、第9シート59及び第8シート58の外覆面58a(襞形成シート30)とにより、使い捨ておむつの腰周りに、指先を引っ掛けやすい襞を形成することができる。
上記した第4の実施形態の前身頃外装体4の構造を採用するメリットとしては、腰周り伸縮部20の肌対向面側に配置された第9シート59(襞形成シート30)が他のシート部材と別部材によって構成されていることから、この第9シート59(襞形成シート30)についてのみ、例えば、摩擦抵抗の高い材料や、汗を吸収し易い材料、又は消臭性・抗菌性を有する材料等を選択しやすいという点が挙げられる。すなわち、本実施形態では、第9シート59を、第8シート58とは摩擦抵抗や、吸水性、消臭抗菌性等の異なった材料で形成することで、おむつの腰周り部分の肌対向面側に形成される襞と、おむつの腰周り部分の肌非対向面側に形成される襞に異なる特性を付与することができる。例えば、肌対向面側に襞を形成する第9シート59には吸水性の高い材料を採用し、肌対向面側に襞を形成する第8シート58には摩擦抵抗の高い材料を採用することができる。
(2−2−5.第5の実施形態)
続いて、図8を参照して、本発明の第5の実施形態について説明する。図8は、図3と同様に、前身頃外装体4を長手方向に切断した状態を示す断面図である。
図8に示されるように、第5の実施形態において、前身頃外装体4は、インナーシート50と、第10シート60と、第11シート61と、第12シート62と、複数のウエスト伸縮部材10と、複数のタミー伸縮部材11によって構成されている。
第10シート60は、おむつの腰周り部分に配置される。また、第10シート60の肌非対向面側には、第11シート61の外側面61aが配置されている。これらの第10シート60と第11シート61の外側面61aの間には、複数のウエスト伸縮部材10が、おむつ長手方向に間隔を置いて、幅方向に沿って伸張した状態で挟持固定されている。そして、これらの第10シート60と、第11シート61の外側面61aと、ウエスト伸縮部材10とによって、腰周り伸縮部20が形成される。なお、第10シート60の股下部寄り端部が、インナーシート50の肌対向面側に固定されている。
また、第11シート61は、第10シート60の肌対向面側を被覆する内覆面61bを有している。すなわち、第11シート61は、ウエスト開口端縁8aにおいて折り返され、外側面61aと内覆面61bとが一体に繋がった一枚のシート部材で構成されている。このため、第5実施形態において、第11シート61の内覆面61bが、おむつの腰周り部分の肌対向面に襞を形成する襞形成シート30として機能する。
また、股下部3(図中下方)寄りの端部には、肌対向面側に、インナーシート50が配置されている。また、インナーシート50の肌非対向面側には、第12シート62が配置されている。これらのインナーシート50と第12シート62の間には、複数のタミー伸縮部材11が、おむつ長手方向に間隔を置いて、おむつの幅方向に沿って伸張した状態で挟持固定されている。
また、第12シート62は、インナーシート50よりも、ウエスト開口端縁8a側に向かって延出した延出部62aを有している。この第12シート62の延出部62aは、第11シートの外側面61aを肌非対向面側から被覆する。このため、第5実施形態において、第12シート62の延出部62aが、おむつの腰周り部分の肌非対向面に襞を形成する襞形成シート30として機能する。
そして、腰周り伸縮部20を形成する第10シート60及び第11シート61の外側面61aと、襞形成シート30として機能する第11シート61の内覆面61b及び第12シート62の延出部62aは、それぞれ、おむつ幅方向に向かって延びる複数の接合部40により、長手方向に間隔を置いて接合されている。すなわち、第11シート61の内覆面61bは、第10シート60に接合され、第12シート62の延出部62aは、第11シート61の外側面61aに接合されている。これらのシートを接合する接合部40は、ヒートシール、超音波シール、又はホットメルト接着剤等の流動性のある接着剤により形成すればよい。上記第5の実施形態の構成によっても、腰周り伸縮部20と、第11シート61の内覆面61b及び第12シート62の延出部62a(襞形成シート30)とにより、使い捨ておむつの腰周りに、指先を引っ掛けやすい襞を形成することができる。
上記した第4の実施形態の前身頃外装体4の構造を採用するメリットとしては、腰周り伸縮部20の肌対向面側に配置される面を含む第11シート61(襞形成シート30)が他のシート部材と別部材によって構成されていることから、この第11シート61(襞形成シート30)についてのみ、例えば、摩擦抵抗の高い材料や、汗を吸収し易い材料、又は消臭性・抗菌性を有する材料等を選択しやすいという点が挙げられる。すなわち、本実施形態では、第11シート61を、第12シート62とは摩擦抵抗や、吸水性、消臭抗菌性等の異なった材料で形成することで、おむつの腰周り部分の肌対向面側に形成される襞と、おむつの腰周り部分の肌非対向面側に形成される襞に異なる特性を付与することができる。例えば、肌対向面側に襞を形成する第11シート61には吸水性の高い材料を採用し、肌対向面側に襞を形成する第12シート62には摩擦抵抗の高い材料を採用することができる。
(2−2−6.第1の実施形態の変形例)
続いて、上記した第1の実施形態に係る前身頃外装体4の変形例について説明する。
図9は、前身頃外装体4を長手方向に切断した状態を示す断面図であり、第1の実施形態の変形例を示している。図9に示されるように、この変形例は、第1の実施形態(図3参照)と同様に、前身頃外装体4が、インナーシート50と、第1シート51と、第2シート52と、複数のウエスト伸縮部材10と、複数のタミー伸縮部材11によって構成されている。この変形例では、第1の実施形態と同様に、腰周り伸縮部20が、第1シート51をウエスト開口端縁8aにおいて折り返すことで形成された内側面51aと外側面51bの間に、複数のウエスト伸縮部材10を、長手方向に間隔を置いて固定することによって形成されている。また、第1シート51の内側面51aは、第2シート52の内覆面52a(襞形成シート30)によって肌対向面側から被覆され、第1シート51の外側面52aは、第2シート52の外覆面52b(襞形成シート30)によって肌非対向面側から被覆されている。そして、第1シート51の内側面51aと第2シート52の内覆面52aが複数の接合部40によって長手方向に間隔を置いて接合されると共に、第1シート51の外側面52aと第2シート52の外覆面52bが複数の接合部40によって長手方向に間隔を置いて接合されている。
図9に示された変形例では、腰周り伸縮部20を構成する複数のウエスト伸縮部材10が調整されている。すなわち、図9に示されるように、ウエスト伸縮部材10のそれぞれは、第1シート51と第2シート52を接合する接合部40の間の領域において、第1シート51の内側面51aと外側面52bの層間に挟持固定されている。図2の平面図に示されるように、第1の実施形態において、ドット状の接合点の集合からなる複数の接合部40は、おむつの幅方向に沿って直線状に形成されている。また、複数のウエスト伸縮部材10も、おむつの幅方向に沿って直線的に配置されている。このような形態において、隣接する接合部40の間の領域のそれぞれに、一又は複数のウエスト伸縮部材10を配置することができる。図9に示された例では、隣接する接合部40の間の領域のそれぞれに、ウエスト伸縮部材10が2本ずつ配置されている。このように、接合部40を形成する領域と、ウエスト伸縮部材10を配置する領域とが、おむつの厚み方向に重ならないようにすることもできる。このような構成とすることで、第2シート52(襞形成シート30)によって形成される襞の形状が美麗なものとなる。
(2−3.接合部)
続いて、腰周り伸縮部20と襞形成シート30とを接合する接合部40のパターンについて説明する。図10及び図11は、接合部40のパターンの例を概念的に示した図である。
図10(a)は、各接合部40が、おむつの幅方向に沿って直線状に並ぶ複数のドット状(円状)の接合点40aの集合により形成されたパターンを示している。複数の接合部40同士の長手方向における間隔Pは、6mm〜30mmであることが好ましく、8mm〜20mmであることが特に好ましい。また、各接合部40を構成する接合点40a間の幅方向における間隔は、0.1mm〜5mm程度とすればよい。図10(a)に示されたパターンのように、各接合部40を、直線状に並ぶ複数のドット状の接合点40aによって形成することで、襞を安定的に形成することが可能になる。すなわち、仮に接合部40を構成する一部の接合点40aの接合状態が悪くても、他の接合点40aが幅方向に沿って直線状に並んでいるため、この他の接合点40aの影響によって襞を形成することができる。
図10(b)は、各接合部40が、おむつの幅方向に向かって延びつつ、緩やかな波状を形成しているパターンを示している。また、図10(b)のパターンでは、各接合部40は、複数のドット状の接合点40aの集合によって形成されている。図10(b)に示されたパターンのように、接合部40を波状(又は曲線状)に形成することで、おむつの幅方向に向かって形成される襞の形状が部分的に変形したものとなるため、この襞に指先を引っ掛けやすい部分を作ることができる。
図10(c)は、各接合部40が、おむつの幅方向に沿って直線状に並ぶ複数のライン状(矩形状)の接合点40aの集合により形成されたパターンを示している。図10(c)に示されるように、ライン状の接合点40aにより形成した接合パターンは、例えば図10(a)に示されたドット状の接合点40aにより形成した接合パターンより、シート同士の接合強度を高めることができる。
また、図10(c)に示されるように、各接合部40同士の間の間隔は、ウエスト開口端縁8aに近いものほど広くなっていることが好ましい。例えば、ウエスト開口端縁8aに最も近い位置にある接合部40同士の間隔P1は、ウエスト開口端縁8aから最も遠い位置にある接合部40同士の間隔P2よりも広いものであることが好ましい。例えば、間隔P1は、間隔P2を100%とした場合に、150%〜300%、又は200%〜250%となっていることが好ましい。ただし、この場合であっても、ウエスト開口端縁8aに最も近い位置にある各接合部40同士の間の間隔P1は、6mm〜30mmであることが好ましい。通常、接合部40同士の間隔が広くなれば広くなるほど、腰周り部分に形成される襞の大きさが大きくなり、着用者が指先を引っ掛けやすくなる。特に、着用者が、使い捨ておむつを装着する際に、最後まで指先で摘持する部分は、ウエスト開口端8aの近傍である。そこで、このウエスト開口端8aの近傍に形成される襞の大きさを大きくするために、ウエスト開口端縁8aに最も近い位置にある接合部40同士の間隔P1を広くすることが好ましい。
図10(d)は、各接合部40が、おむつの幅方向に沿って直線状に並ぶ複数のドット状の接合点40aの集合により形成され、さらに、この接合部40の間の襞が形成される領域に、ドット状の副接合部41が形成されたパターンを示している。換言すると、図10(d)は、各接合部40を構成する複数のドット状の接合点40aのうちの幾つかの接合点が、所定個数ごとに、おむつの長手方向にずれて、襞が形成される領域に形成された副接合部41となっている。このように、副接合部41を設けることで、接合部40と副接合部41によって周囲を囲まれた複数のセル42が形成される。すなわち、セル42とは、襞形成シート30のうち、周囲を接合部40及び副接合部41で囲われているものの、その内部領域は非接合状態にあり、長手方向に縮んだ状態にあるときに浮きが生じる領域をいう。図10(d)のパターンのように、セル42を形成することで、おむつの腰周り部分に形成される襞の強度が向上し、着用者が指先を引っ掛けやすくなる。また、図10(d)のパターンのように、副接合部41を形成することで、襞形成シート30と腰周り伸縮部20の接合状態が強固になり、腰周り伸縮部20を構成するウエスト伸縮部材10の伸縮力が襞形成シート30に伝達されやすくなるため、ウエスト伸縮部材10が収縮した際に、襞形成シート30に浮きが生じやすくなり、クッション性が高まるというメリットがある。
図11(a)は、菱型の格子状に接合部が形成されたパターンである。例えば、図11(a)の接合パターンでは、図の左上から右下に向かって斜めに傾斜しているラインを、接合部40と捉えることができる。このように斜めに傾斜したラインも、おむつの幅方向に向かって延びる接合部40である。他方、図左下から右上に向かって接合部40と交わるように傾斜しているラインを、副接合部41と捉えることができる。このように斜めに傾斜したラインであっても、接合部40の間の襞が形成される領域に形成されたものであるため、副接合部41となる。図11(a)に示されるように、接合部40と副接合部41が互いに交わる直線状に形成されることで、菱型の格子状の接合パターンが形成される。また、接合部40と副接合部41が交わることで、接合部によって周囲を囲われたセル42が複数箇所に形成される。このように、菱型の格子状の接合パターンを形成することで、格子状に接合されていない部分に浮きが生じて襞となる。また、このようにして形成された襞は、山状のものが交互に並ぶような形状となるため、着用者が、おむつを装着する際に、無造作におむつの腰周り部分を掴んでも、襞のどこかに指先が引っ掛かるようになる。よって、おむつの装着性が向上する。また、このような菱型の格子状の接合パターンによっても、襞の強度の向上が期待できる。
図11(b)は、各接合部40が、おむつの幅方向に沿って直線状に並ぶ複数のライン状の接合点40aの集合により形成され、さらに、この接合部40の間の襞が形成される領域に、おむつの長手方向に沿って直線状に並ぶ複数のライン状の副接合部41が形成されたパターンを示している。図11(b)に示された接合パターンでは、接合部40と副接合部41とにより、矩形状のセル42が画定されている。図11(b)に示された接合パターンでは、襞が形成される部分と襞が形成されない部分が交互に並ぶため、襞が形成される部分の強度が向上する。
図11(c)は、各接合部40が、魚の鱗のように、股下側(図中下方)に凸状に膨出した曲線の連続により形成されたパターンを示している。各接合部40は、股下側に膨出した曲線が、おむつの幅方向に向かって連続するように形成されている。また、長手方向に並ぶ接合部40の同士は、曲線の連続する間隔が位相ずれしている。そして、長手方向に並ぶ接合部40により周囲を囲われたセル42が形成されている。また、このような魚の鱗状の接合パターンにより形成された襞は、股下側に膨出した山状のものが交互に並ぶような形状となるため、着用者が、おむつを装着する際に、無造作におむつの腰周り部分を掴んでも、襞のどこかに指先が引っ掛かるようになる。また、使い捨ておむつの着用時には、股下側に膨出した山状の襞が、着用者の腹部や背部に引っ掛かって、抵抗が強くなるため、装着中に使い捨ておむつがずれ落ちることを防止できる。また、セル42が形成されることにより、襞の強度が向上することも期待できる。
(2−4.吸収性本体)
続いて、上述した前身頃外装体4と後身頃外装体5の間の股下部3に配置される吸収性本体6の構造について説明する。本発明において、吸収性本体6の構造は特に限定されるものではなく、適宜公知の構造を採用することができる。
(2−2.吸収性本体)
吸収性本体6は、前身頃外装体4と後身頃外装体5の間に架橋された状態で保持され、使い捨ておむつ100の着用時において、着用者の股下に位置し、着用者が***した尿などの液体を吸収保持するための部材である。図2の展開図に示されるように、吸収性本体6は、前身頃外装体4及び後身頃外装体5に接合される両端の辺を一対の短辺とし、一対の短辺の両端同士を結ぶ辺を一対の長辺とした略矩形状で形成されている。
吸収性本体6は、吸収体71と、トップシート72と、バックシート73と、一対の立体ギャザー74と、カバーシート75を有することが好ましい。
吸収体71は、尿などの液体を吸収し、吸収した液体を保持するための部材である。吸収体71は、液透過性のトップシート72と、液不透過性のバックシート73の間に配置される。吸収体71は、トップシート72を透過した液体を吸収する機能を有し、吸収性材料により構成される。吸収体71を構成する吸収性材料としては、例えば、フラッフパルプ、高吸収性ポリマー、又は親水性シートを用いることができる。また、吸収性材料には、フラッフパルプ、高吸収性ポリマー、又は親水性シートのうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用することとしてもよい。吸収体71の形状は、適宜、使い捨ておむつの形状や、大きさ、用途に合せて設計することができる。例えば、吸収体71の形状は、図2に示されるように、砂時計型であることが好ましい。また、吸収体71は、一般的な使い捨ておむつに使用されている、矩形型、楕円形型、又はひょうたん型とすることとしてもよい。
トップシート72は、着用者の股下部の肌に直接接し、尿などの液体を吸収体71に透過させるための部材である。このため、トップシート72は、柔軟性が高い液透過性材料で構成される。また、トップシート72は、吸収体71の表面を被覆するように配置される。トップシート72を構成する不透過性材料の例は、織布、不織布、又は多孔性フィルムである。また、例えばポリプロピレンやポリエチレン、ポリエステル、ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維を親水化処理してさらに不織布にしたものを用いることとしてもよい。
バックシート73は、トップシート72を透過し吸収体71に吸収された液体が、漏出することを防止するための部材である。このため、バックシート73は、液不透過性材料によって構成される。そして、バックシート73は、吸収体31の底面からの液漏れを防止するため、吸収体31の底面を被覆するように配置される。バックシート73を構成する不透過材料の例は、ポリエチレン樹脂からなる液不透過性のフィルムである。特に、0.1〜4μmの微細な孔が複数形成された微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。
一対の立体ギャザー74は、吸収性本体6の両側縁部に沿って起立し、着用者が***した尿の横漏れを防止するための部材である。一対の立体ギャザー74は、吸収性本体6の両側縁部に沿って一対形成されるものであってもよいし、2対以上形成されてもよい。立体ギャザー74は、起立した状態(弾性伸縮部材が収縮した状態)において尿の防漏壁となるため、トップシート72を透過しなかった尿や、吸収体71により吸収しきれなった尿が、使い捨ておむつの脚部周り開口部などから漏出する事態を防止できる。立体ギャザー74は、吸収体71の両側縁に沿っては配置されたサイドシート74aにより、おむつの長手方向に沿って、一又は複数の立体ギャザー伸縮部材74bを伸長状態で挟持固定することにより形成される。立体ギャザー74は、複数の立体ギャザー伸縮部材74bが、使い捨ておむつの長手方向に沿って収縮する力を利用して起立するものである。立体ギャザー伸縮部材74bが収縮すると、サイドシート74aも収縮し、立体ギャザー74が立ち上がる。立体ギャザー74を構成するサイドシート74aとしては、撥水性を有する材料を用いることが好ましい。撥水性の材料の例としては、撥水性が高くかつ通気性が良いという観点から、スパンボンドやカードエンボスのような不織布を用いることが好ましい。特に、耐水圧が高いという理由から、SMS(スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド)や、SMMS(スパンボンド/メルトブロー/メルトブロー/スパンボンド)のような目の詰まった不織布を用いることが好ましい。
カバーシート75は、バックシート73を補強し、かつ、その手触りを良くするための部材である。カバーシート75は、バックシート73の衣類と対抗する側に貼り合わせられる。カバーシート75を構成する材料としては、織布や不織布が用いられる。特に、カバーシート75を構成する材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルのような熱可塑性樹脂からなる乾式不織布又は湿式不織布を用いることが好ましい。
以上、本発明の使い捨ておむつについて、好ましい形態を例に挙げて説明を行った。ただし、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、上記した実施形態に基づいて当業者が自明な範囲で適宜修正や改変を行うことができる。
例えば、本発明は、パンツ型の使い捨ておむつに限られず、テープ型の使い捨ておむつにも適用することができる。