本発明の請求項1記載の加湿装置は、浮き体加熱加湿機構と送風装置とを備えてなる加湿装置であって、前記浮き体過熱加湿機構は、開放端を備えて上方を開放することで水を蓄えるようにした容器と、前記開放端を覆い上部にこの開放端よりも小さな開口面積の開口を形成する容器蓋から構成された容器体と、前記容器体の内部に自身の浮力で水に浮かぶ液体を浸透させない断熱材で構成した縦方向に規定する厚さを設けた浮き体であって、水に浮かせた状態で常に窪み釜部を上方向とし、導水路を通してのみ窪み釜部に水を供給することで窪み釜部に配置した発熱手段が水に浸るように浮力を調節する構成とした浮き体と、前記浮き体の上方に配置する前記窪み釜部と、前記窪み釜部の底面の一部と浮き体の下方を導通させる導水路と、前記窪み釜部の内部に配置する水を電気の導通により加熱して蒸発させることで加湿空気を生成する前記発熱手段と、前記容器体の内部で前記発熱手段と接続した導電端子を前記容器蓋の外側に露出させて容器体の外部から前記発熱手段に電気を導通させる電気配線とを備え、前記送風装置は、前記開口に配置して前記容器体の内部の空気を吸引して外部の一方向に吹き出す送風手段と、前記導電端子に前記容器蓋の外側で接触接続させる接触電気導通手段と、前記送風手段および前記導電端子に外部電源から電力を供給する電源導入部とを備え、前記送風装置を前記容器蓋に着脱自在とした。
これにより、容器体の内部に加湿のための水を蓄えた状態においては、発熱手段の加熱対象は常に導水路を通してこの浮き体の下方から窪み釜部に供給される水のみとなり、浮き体は断熱材で構成していることから、電気配線を介して容器体の外部から電気を導通したときの発熱手段の加熱のエネルギーは浮き体の周囲へは分散し難いことから、容器体の内部に蓄えた水の全体の加熱を抑制した窪み釜部の内部の水のみを加熱する、より安全で効率的な加湿が行えるという効果を奏する。
また、請求項2に記載の加湿装置は、浮き体加熱加湿機構において容器体の内部に浮き体を配置した状態において容器体に対する浮き体の縦方向の移動は制限しないが略水平面における回転動作は規制する浮き体回転動作防止手段を備えた構成にしてもよい。これにより、容器体に対して浮き体が略水平面において回転する動きが生じたときには浮き体回転動作防止手段によりこの回転動作は規制されることで電気配線にはねじれが生じることが無く、よって、長期の使用においても電気配線が断線に至り難く、加湿装置としての機能を長期に渡り維持できることから、より信頼性を向上できるという効果を奏する。
また、請求項3に記載の加湿装置は、浮き体加熱加湿機構において容器体の内部の水位が予め規定する水深より低下すると発熱手段の全体を水面の上に露出さる発熱体水上露出手段を備えた構成にしてもよい。
これにより、加湿の進行で容器体の内部の水位が予め規定する水深より低下すると発熱体水上露出手段により発熱手段の全体は水面の上に露出して以降の水の蒸発は停止して、水の完全蒸発によるスケールの堆積は抑制されることで手入れの簡単化が可能となることから、長期使用における信頼性や品質の向上が図れるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1に示すように、加湿機構の主要を成す加湿のための水を蓄えるための容器体1は内部を中空とするとともに開放端1bを備えて上方を開放した容器1aと、この容器1aの開放端1bよりも僅かに小径とした接合部2aを設けた容器蓋2を開放端1bに対して圧入し固設して構成したものである。
開放端1bと容器蓋2の接合部には弾性体で構成した容器蓋パッキン3を挟み込むことで接合部2aからの水漏れが生じることを防止している。
容器1aの内部に可動自在にて縦方向に厚みを備えた浮き体4を配置することで、加湿のための水であるところの加湿水5を容器体1の内部に蓄えた状態においては浮き体4が加湿水5に浮遊するようにしている。
容器蓋2の上方には内部の空気を容器体1の外部に放出できるように開放端1bよりも小さな開口面積とした容器蓋開口部6を容器蓋2から上方へ向けて突出させて設けており、これにより容器体1の内部に浮き体4を納めるようにしている。
図3に示すように、浮き体4の上方には一部を窪ませて窪み釜部7を設けており、この窪み釜部7の底面の一部と浮き体4の下方の間には空間であるところの導水路8を設けている。
容器体1の内部に加湿水5を蓄えて加湿水5に浮き体4が浮遊した状態においては、図1に示すように、導水路8を通して浮き体4の下方から窪み釜部7に加湿水5が供給されるように構成している。
また、図3に示すように、浮き体4の上方に構成した窪み釜部7の内部には電気を印加すると電気のエネルギーにより発熱し、この発熱により加湿水5を加熱沸騰させて水蒸気を生じさせることで加湿空気を発生させるための発熱手段9を固設して配置している。
また、浮き体4の下方には浮き体4の重心を下方に移動させることで、浮き体4が加湿水5に浮遊した状態で必ず窪み釜部7を上方向に姿勢させ、加湿水5に対する浮き体4の浮力を変えて沈み込みを調節するための重り10を固設して取り付けている。
発熱手段9には電気を導通させる電線を絶縁体で被覆した電気配線11の一端を固設して接続している。また、図2に示すように、電気配線11の他端には導電性の導電端子12を接続して、この導電端子12の一部分が外部に露出するように電気配線11の被服と共に絶縁体でモールド形成した端子台13を配置している。
端子台13は、図1に示すように、導電端子12の一部が容器体1の外部に露出するように配置して容器蓋2に穴2bを設けて端子台13を圧入する。また、容器蓋2の接合部2aに凹み部(図示せず)を設けて容器蓋2を容器1aに固設した状態で端子台13を挟み込むなどして密着させることで容器体1の外部に端子台13を突出させてもよい。
このように、端子台13から露出させた導電端子12に容器体1の外部から電源を接続すれば電気配線11を介して導通される電気のエネルギーにより発熱手段9は発熱するものであるが、前記電源は本実施の形態においては、構成を限定するものではないために詳細な説明は省略する。
ここで、図1に示す容器1aは、耐熱性が高く堅牢で、内部の加湿水5の量が確認し易いように透明や半透明の部材にて構成するものであり、例えばポリプロピレンやポリカーボネートなどの耐熱性樹脂材や、耐熱性を強化したガラス材にて金型成形にて形成するものである。
また、容器1aの一部に透明や半透明の部材にて構成した窓を設けることで内部の加湿水5の量を確認できるような構造とすることで、ステンレスなどの耐腐食性の金属や陶器などで形成することも可能である。
さらに、容器1aは、2重成型として内部に乾燥空気や窒素ガスを満たす、あるいは真空として断熱性を高めることで、容器1aの外部表面の温度上昇を抑制することもできる。
そこで、容器蓋2も耐熱性が高く堅牢な部材にて構成するものであり、例えばポリプロピレンやポリカーボネートなどの耐熱性樹脂材や、耐熱性を強化したガラス材にて金型成形にて形成するものである。
また、容器蓋2は、特に透明や半透明の性能を求める必要もないためにステンレスなどの耐腐食性の金属や陶器などで作成することも可能である。
また、容器蓋パッキン3は、長期の使用においても弾性を保ち耐候性に優れた部材にて構成するものであり、例えばシリコンゴム材を用いて薄板円筒形状に成型して形成するものである。
また、浮き体4は、水に浮き、断熱性能と耐候性、および耐熱性に優れた部材にて構成するものであり、例えばポリカーボネートやエポキシ、また不飽和ポリエステルなどの樹脂にて発泡、あるいは中空成形をして水に浮く浮力を調整して形成するものである。
また、発熱手段9は、電気のエネルギーの印加により発熱することで加湿水5を加熱沸騰させるものである。特に、耐候性が高く水中においても長期に渡って漏電することなく安定した加熱が行え、また加湿水5が無い状態の加熱などの不測の事態においても発火や燃焼に至らない高い安全性が求められるものである。
そこで、図5に示す発熱手段9は、例えば特定の温度であるところのキュリー温度を超えると抵抗値が急激に上昇することで印加電圧や周囲の状況に依らず、このキュリー温度に自己の温度が調整されるPTC抵抗体14をその発熱の主体とするものが望ましい。
さらに、PTC抵抗体14の全体は、優れた絶縁性能と、100℃以上を超える耐熱性、および水や熱で腐食やひびを生じない耐候性を備えた樹脂材としてテフロン(登録商標)や、あるいはポリイミド系の樹脂材料を用いてモールド成形するものである。
PTC抵抗体14の全体をモールド成形により密閉することで、水に対して分離し絶縁するように構成するものである。
ここで、PTC抵抗体14の特定のキュリー温度は、水沸騰の主機能と高温による耐熱性樹脂の発煙発火の発生防止を考慮して110℃から130℃に設定したものを選定することが望ましい。
ここで、発熱手段9は、以上説明してきたように加湿空気を生成するために電気のエネルギーの印加による発熱により加湿水5を加熱沸騰させることが主機能であるために、その発熱量は要求される加湿量を得るために必要な水の蒸発エネルギーに依存した発熱量(電力量)が要求される。
発熱手段9の必要な発熱量は、水の標準大気圧中の蒸発潜熱が約2257kJ/kg(約540kcal/kg)であることから、例えば1時間当たり100ccの加湿量を得たい小型の加湿装置を想定し場合、約63W/秒の発熱量、すなわち消費電力の加熱性能が必要となる。
発熱手段9は、電気のエネルギーの印加に対して即応した加湿空気の生成が求められる。同一の消費電力であれば加湿水5と接触する表面積が小さい方が熱の分散が押さえられ、電力の印加に対する表面温度の上昇も早めることができることから発熱手段9はできるだけ小型であることが望まれる。
しかしながら、一般的に電気の通電による発熱体は加熱対象の物質に対する熱の伝導性と発熱体の物理的耐久性に基づいて単位面積当たりの電力密度が制限されることから、自ずと発熱手段9の大きさも規定されることとなる。
水中使用の発熱体においては、水は熱の伝達性が比較的高く蒸発により周囲温度が100℃以下に保たれることから、電力密度は、6W/cm2前後の比較的高い値に設定可能
であるが、長期間にわたる信頼性の確保を考慮した場合、3W/cm2程度が望ましい。
つまり、前記のように63W/秒の発熱量が求められる発熱手段9の表面積は、21cm2となり、発熱手段9を本実施例の円筒形状としてその高さを0.5cmとしたときに
は円筒形状の表面積計算から、その円面直径は約3.2cmとして構成するものである。
すでに説明したように、発熱手段9は、樹脂モールドにて成形するものである。成形する際には、電気配線11もPTC抵抗体14に接続し、配線した状態で被服ごとモールド成型することで内部への水の進入の防止を図り、絶縁性を高めている。
なお、電気配線11は、発熱手段9と同様に水と接触した状態の長期間の使用を考慮する必要があるために、テフロン(登録商標)やポリイミド、あるいはシリコン系の樹脂材にて被服されたものを選定するものである。電気配線11の一端に接続して配置する端子台13を耐候性に優れた弾性体(例えばシリコンゴム材)を用いて金型成形で形状を構成すると共に、電気配線11の被服の上からモールド成形することにより電気配線11の内部への水の進入を防止して長期的な信頼性を高めるように構成するものである。
また、図5に示すように、発熱手段9は、樹脂モールドする時に発熱手段9の下方に複数の円柱形状の固定凸部15を設けている。
また、図3に示すように、浮き体4の上方の窪み釜部7にはその底面部にこの固定凸部15が入り込む穴を設けておく。この穴は、先端方向に僅かに窄めておくことで、固定凸部15を圧入して発熱手段9を浮き体4に固設している。
さらに、発熱手段9の下方の固定凸部15の付け根部分には固定凸部15に対して僅かに直径を大きくした鍔部16を設けている。
これにより、窪み釜部7に発熱手段9を固設した際に発熱手段9の下面と窪み釜部7の間に鍔部16の高さより規定される隙間を生じさせて発熱手段9により導水路8の穴が塞がれない構成とすることができる。
そして、浮き体4を加湿水5に浮遊させた状態においては、導水路8を通して浮き体4の下方から窪み釜部7に加湿水5が供給されて発熱手段9は加湿水5に浸るようにしている。
ここで、窪み釜部7は導水路8を通して供給される加湿水5を発熱手段9で加熱沸騰させて蒸発させることで加湿空気を生成させるための水の沸騰釜を構成する部分であるために、断熱性はもとより100℃を超える耐熱性能を備えている必要がある。
そこで、浮き体4も100℃を越える耐熱性能を備えた部材にて構成しているときには特別の考慮は不要である。しかし、前記耐熱性能を満たない部材の採用、あるいは長期に渡る信頼性の更なる向上を考慮するときには、発熱手段9のモールド材と同じテフロン(登録商標)やポリイミド系などの樹脂材で金型成形して形成したものを浮き体4に組み付ける構成としても良い。
また、窪み釜部7は、発熱手段9への電気のエネルギーの印加に即応して加湿空気が生成されるように発熱手段9の周囲への加湿水5の供給が滞らず、且つ発熱手段9の周囲の加湿水5の総量をできるだけ少なくする大きさに構成する必要がある。
そこで、例えば、上記のように63W/秒の発熱量が要求される発熱手段9の円面直径が約3.2cmで高さ0.5cmの円筒形状であるときには、窪み釜部7の大きさは、直径を4cmから5cmとし、深さは、浮力を調整した浮き体4を加湿水5に浮遊させたときに発熱手段9の全体が加湿水5に2mm程度は沈み込むように1.5cm前後に構成するものである。
ここで、浮き体4の浮力を変えて加湿水5に対する沈み込みを調節するための重り10は水中においても錆や腐食が発生せずに加湿水5を変質させない水よりも単位体積当たりの質量が重い材質で構成するものである。例えば、ステンレスなどの金属材やフェライトなどのセラミック材を円筒形状に成形したものを用いるものである。
また、浮き体4の加湿水5に対する沈み込みの状態の調整は、浮き体4自身の浮力を変えて調整するものである。すなわち、浮き体4に発熱手段9と重り10を取り付けた全体の構成において、加湿水5に浮き体4を浮遊させたときに窪み釜部7の内部に配置した発熱手段9の全体が導水路8を通して供給される加湿水5のみで2mm前後の水深で浸されるように重り10の重さを調節するものである。
よって、浮き体4に発熱手段9のみを取り付けた浮き体4の全体の状態で発熱手段9の全体が導水路8を通して供給される加湿水5のみで浸されるように浮き体4の全体の重さを調整可能なときには重り10の取り付けは不要となる。
さて、容器体1の外部に端子台13の先端から露出させている導電端子12の露出面には水の付着の可能性があることから変質や酸化腐食による導電性の低下が懸念される。例えば耐腐食性に秀でた金や金銀合金の金属材にてメッキ加工を施すことで長期に渡り導電性能を維持させることもできる。
このような構成によれば、先ず、浮き体4の上方の窪み釜部7に発熱手段9を、下方に重り10を取り付けて一体としたものを容器1aの内部に発熱手段9を上方向として入れ込んで装着する。また、発熱手段9にモールドされた電気配線11に繋がる端子台13は容器蓋2に開けた穴2b、もしくは凹み部(図示せず)を端子台13にモールドした導電端子12の露出した部分が容器蓋2の外部に向くように圧入して固定した後、この容器蓋2を容器1aの上方の開放端1bに容器蓋パッキン3を挟み込み圧入して接合することで一体として加湿機構を成している。
前述のように、発熱手段9と重り10を取り付けた浮き体4は水中において窪み釜部7の内部に配置した発熱手段9の全体が導水路8を通して供給される加湿水5のみで浸されるように重り10の重さを調節して全体の浮力を調整していることから、容器蓋2に設けた容器蓋開口部6から容器体1の内部に加湿のための水を注ぎ込み加湿水5を蓄えた状態においては、浮き体4は、発熱手段9の全体が導水路8を通して供給される加湿水5のみで浸された状態で常に加湿水5に浮遊することとなる。
以上のように設置して、この加湿水5に浮き体4が浮遊した状態において導電端子12に容器体1の外部から電源を接続すると、電気配線11を介してPTC抵抗体14に電源の電力が印加される。
そして、供給される電気のエネルギーによりPTC抵抗体14は、キュリー温度付近で発熱し、この発熱によりPTC抵抗体14は、窪み釜部7に溜まり周囲から断熱された加湿水5のみを加熱して沸騰させて効率的に水蒸気を生じさせることとなる。
すなわち、窪み釜部7に溜まる加湿水5は、沸騰して水蒸気となり容器蓋2に設けた容器蓋開口部6から加湿空気となり容器体1の外部に放出される。同時に、周囲の空気を加湿しながら徐々に失われることとなる。一方、窪み釜部7から蒸発により失われる加湿水5は、導水路8を通して浮き体4の下方から発熱手段9の全体を浸す状態まで供給されることとなる。つまり、常に窪み釜部7に溜まる加湿水5の水位を溢れださないように維持しながら、容器体1の内部に蓄えた加湿水5は消費されることとなる。
また、このとき加熱された窪み釜部7内の加湿水5は、加熱された後に対流によって窪み釜部7から外部へ溢れだすことはなく、また、下部の導水路8から流出することもない。
特に、導水路8からの流出は、同一物質内で上部にある加熱された流体は加熱されていない流体の下部には移動しないという自然原理が働くからである。
すなわち、発熱手段9の熱のエネルギーは、導水路8の内部の加湿水5への熱伝導を通して窪み釜部7の外部の加湿水5に分散するだけで、ほとんどが容器体1に蓄える全体の加湿水5に対して供給されることとなる。
つまり、発熱手段9の熱のエネルギーは、窪み釜部7に有る水を蒸発させるためだけに消費されることから、効率的な加湿を行えることとなる。
以上のようにして、容器体1の内部に蓄えた加湿水5が加熱され順次消費されていくと、容器体1内部の加湿水5の減少により、浮き体4の浮遊位置も順次低下することになり、最終的に容器1aの内部の底面に浮き体4の下面が接触することとなる。そして、浮き体4の上方に配置している発熱手段9の位置に加湿水5が満たなくなれば加湿は停止することとなる。
以上のことから、容器体1の内部に加湿水5を蓄えた状態においては、発熱手段9が加熱する加湿水5は、常に導水路8を通して浮き体4の下方から窪み釜部7に供給される加湿水5のみである。一方、浮き体4は断熱材で構成していることから、発熱手段9の熱のエネルギーは、浮き体4の周囲へは分散し難い。
つまり、容器体1の内部に蓄えた加湿水5の全体の加熱を抑制した効率的な加湿が行え、且つ、たとえ装置が転倒するなどして容器体1の内部の加湿水5が外部に漏れ出したときでも加熱沸騰している水は窪み釜部7の内部に有った少量の加湿水5のみである。したがって、窪み釜部7の内部に有った少量の加湿水5は、容器体1の外部に分散する、あるいは容器体1の内部の大多数の加熱されていない加湿水5と混ざることで温度が低下することとなり、使用者への接触による火傷の発生に至りにくい、より安全性が高い加湿が行えることとなる。
なお、本実施の形態においては容器1aの上方の開放端1bには容器蓋パッキン3を挟み込んだ状態で容器蓋2を開放端1bに対して圧入し固設することで水漏れを防ぎながら容器体1を塞ぐ構成としているが、容器1aの開口面と容器蓋2を接合部に互いに咬み合うネジ山を容器1aに対して容器蓋2をネジ込み締め付ける機械的な固定方式とすれば、より強固で確実に容器1aに容器蓋2を固設することが可能であることは言うまでもない。
また、浮き体4は、容器体1を構成する容器1aの内部において加湿水5に浮遊させて、この浮き体4の上方に配置した発熱手段9により加湿水5を加熱蒸発させることで加湿を行う構成であって、容器1aの内部で浮き体4を自由に浮遊させたものである。この場合、容器1aに対して浮き体4が略水平面において回転する動作にも制限が無いために発熱手段9に電力を供給する電気配線11にねじれが生じる可能性もあり、長期の使用においては電気配線11が断線に至ることで加湿装置としての機能を失ってしまうこととなり、長期使用の信頼性に対して懸念がある。
そこで、図6および図7において太波線で囲み示しているように、容器体1の内部で浮き体4が縦方向には移動可能であるが容器体1に対して浮き体4が略水平面において回転する動作を規制する浮き体回転動作防止手段17を設けることで電気配線11にねじれが生じることを防止することもできる。
ここで、この浮き体回転動作防止手段17は、図7から図9に示しているように、浮き体4の縦方向側面の相対する2カ所を凹ませて設けた溝部18と、この2カ所の溝部18に隙間を備えて入り込む容器1aの内面の縦方向に突出させて支持部19を設けて構成しているものである。
このような構成によれば、溝部18と支持部19の位置を合わせた状態で容器1aの内部に浮き体4を入れ込むことにより、容器1aに対して浮き体4が略水平面において回転する動きが生じたときには溝部18に対して支持部19が接触することで浮き体4の回転動作は規制されることで電気配線11にねじれが生じることが無くなる。よって、長期の使用においても電気配線11が断線に至り難く、加湿装置としての機能を長期に渡り維持できることから、より信頼性を向上させることができる。
なお、付加的な機構を設けることなく、容器1aと浮き体4の水平断面形状は、容器1aの内部で浮き体4が上下方向に可動でき、回転しない隙間を設けた例えば楕円または多角形の相似の形状として、容器1aの内部で浮き体4が略水平面において物理的に回転動作できない構造とすることでも浮き体回転動作防止手段17を実現できることは言うまでもない。
また、本実施の形態は浮き体4を容器1aの内部において加湿水5に浮遊させて浮き体4の上方に配置した発熱手段9により加湿水5を加熱蒸発させることで加湿を行う構成であるが、容器1aの内部に加湿水5を満たした状態で加湿空気の生成を進行させると加湿水5は水分の蒸発により容器1aの内部で減っていくこととなるが、水分が減っていくことに合わせて元来、水道水などの一般的な水にはカルシウムやマグネシウムなどの蒸発しない無機物が1L中に100mg前後溶け込んで含有されていることから、この蒸発しない無機物の濃度が徐々に上昇していくこととなる。
最終的に大部分の水分が蒸発していくと水中の無機物は固形体として析出することとなるが、このように容器1aに蓄える全ての加湿水5を蒸発させる加湿空気の生成を長期に渡り繰り返すと固形化した無機物が容器1aの内面や浮き体4の表面などの容器1aの内部に積層することで、一般的にスケールと呼ばれる非常に硬質の埃や汚れの成分を巻き込んだ堆積物が生じて手入れが難くなり、また、このスケールに細菌が繁殖することで衛生面の低下にするなどして長期使用の信頼性や品質に対しての懸念がある。
よって、図10に太波線で囲み示しているように、容器体1を構成する容器1aの内部の加湿水5の水位が予め規定する水深より低下すると発熱手段9の全体を水面の上に露出さる発熱体水上露出手段20を備えることで以降の加湿水5の蒸発を停止させることもできる。
ここで、この発熱体水上露出手段20は容器1aの内部底面に浮き体4の下面を接触させたとき、浮き体4の上方に配置する発熱手段9の下面までの容器1aの内部底面からの高さが予め規定する水深と同一になるように浮き体4の縦方向の厚みそのものを活用して構成するものである。
ここで、予め規定する水深は、容器1aの内部に加湿水5を満たした状態から加湿空気の生成を進行させて水分を蒸発させたときに水中の無機物が固形体として析出するには至らない無機物濃度の加湿水5が残り、且つ容器1aに蓄えることができる加湿水5の加湿空気の生成に対する利用率を高めることで1回当たりの給水に対す加湿空気の生成時間をできる限り延ばす点を考慮して設定するものであり、例えば容器1aに蓄えることができる加湿水5の全体の5%から10%の加湿水5が残る深さに設定するものである。
このような構成によれば、容器1aの内部に加湿水5を満たし、加湿空気の生成を進行させて加湿水5が蒸発により徐々に失われていく状態においても、浮き体4の縦方向の厚みそのものを予め規定する水深と同一になるように構成した発熱体水上露出手段20により、加湿水5の水位が予め規定する水深より低下すると発熱手段9の全体は水面の上に露出することとなる。
発熱手段9の全体は水面の上に露出すると、以降の加湿水5の蒸発は停止することとなり、また予め規定する水深は、水分の蒸発の進行においても水に含まれる無機物が析出しない無機物濃度の加湿水5が残るように設定していることから、加湿水5の完全蒸発による容器1aの内部での無機物の析出は抑制されることとなり、繰り返しの給水における使用においても、容器1aの内部に残る加湿水5を捨ててから給水するように取り扱えばスケールの堆積も抑制できることで手入れの簡単化が可能となることから長期使用における信頼性や品質の向上を図ることができる。
なお、発熱体水上露出手段20により、加湿水5の水位が予め規定する水深より低下すると発熱手段9の全体を水面の上に露出させることで、以降の加湿水5の蒸発は停止すると、発熱手段9の電気の通電のエネルギーにより発熱上昇することとなるが、発熱手段9においてPTC抵抗体14を主体として構成したものにあっては、設定した特定のキュリー温度(例えば110℃から130℃に設定)以上への上昇は抑制さることから、発熱手段9を含む周囲の要素をこのキュリー温度を考慮して構成しておけば安全性や品質に問題を生じないことは言うまでもない。
また、発熱手段9においてPTC抵抗体14を主体として構成したものにあっては、抵抗体自体に流れる電流が抑制される(抵抗値が上昇する)ことでキュリー温度(例えば110℃から130℃に設定)以上への温度上昇は抑制さることから、前記の抑制された電流を検知することで発熱手段9への通電を停止する、電流検知に基づく電源のスイッチ回路を別途設ければ発熱手段9の発熱自体を停止できることから、より安全性や長期品質を高めることができることは言うまでもない。
さらに、発熱手段9の既定値以上への温度上昇を直接的(サーミスターなどで)、また間接的(サーモパイルなどで)に検出する、あるいは容器1aの内部底面への浮き体4の下面の接触を間接的に検知(浮き体4の下部に磁石を埋め込み、この磁力を容器1aの底面内部に埋め込み配置した磁気検知素子で検知するなど)するなどして、各検知の状態において発熱手段9への通電を停止する、温度や位置検知に基づく電源のスイッチ回路を別途設けることで発熱手段9の発熱自体を停止できることから、発熱手段9をPTC抵抗体14とは異なる温度上昇の抑制機能を備えない一般的抵抗体にて構成するときにおいても、安全性や長期品質をより高めることができることは言うまでもない。
(実施の形態2)
図11において、図1から図5と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図11に示すように本構成は第1の実施例の加湿機構に対して、装置の筐体を成す外郭21に、電力の通電により容器体1の内部で生成された加湿空気を吸引して容器体1の外部の一方向に吹き出すための送風手段22と、発熱手段9へ電気を通電させるための導通経路を接触により構成する接触電気導通手段23と、送風手段22および発熱手段9に対する外部電源からの電力供給経路を構成する電源導入部24とを備えて構成した送風装置25を備えたものである。
この送風装置25を容器体1の上部の容器蓋開口部6に対して着脱自在の構成とする。容器体1に送風装置25を取り付けた状態においては電源導入部24を通して供給される外部電源の電力を接触電気導通手段23の接触導通により発熱手段9へ導通させるように構成することで一体として加湿装置を成すようにしたものである。
なお、電源導入部24に対しては、例えば部の一般的な商用電源や、商用電源の電圧を降下させて安定させるACアダプターなどの電力供給源26を接続するものであり、送風手段22の駆動および発熱手段9による加熱のための電力を送風装置25の外部から得ることができるようにするものである。
外郭21は、装置の筐体を形成する充分な強度と電気絶縁性を備えた材料で形成するものであり、例えばアクリロニトリルブタジエンスチレンやポリフェニレンサルファイドなどの樹脂材で金型成形により複数の部品として成形したものを一体として組み立てて構成するものである。
送風手段22は、電力の供給により回転力を生じる電動機で羽根車を回転させて送風することで一方向の空気の流れを生じさせる、一般的な電動送風機27である。
図12および図13に示すように、送風装置25は、外郭21の内部に送風方向が横方向となるように電動送風機27を配置して、電動送風機27の送風方向となる外郭21の一端に送風空気を外部に放出させる吹き出し開口部28を開口している。また、送風方向とは逆方向の外郭21には外気を外郭21の内部に吸気するために吸気開口部29を開口し、さらには外郭21の下方に電動送風機27から吹き出し開口部28に至る経路を開口し、吸引開口部30を形成する。すなわち、電動送風機27の送風により吸気開口部29から外郭21の内部に外気を吸入して吹き出し開口部28に向かう空気の流れを生じさせ、この空気の流れで生じる負圧により吸引開口部30からも外気が外郭21の内部に誘引されて吸気開口部29から吸入された外気と共に吹き出し開口部28から放出されるように構成したものである。
ここで、送風手段22を構成する外郭21の下方に開口された吸引開口部30は、容器蓋開口部6の外径に対して僅かに大きい径で開口しているものであり、吸引開口部30に容器蓋開口部6を挿入することで容器体1に対して送風装置25を取り外し自在に装着できるように構成している。
また、吸引開口部30の内側には容器蓋開口部6との隙間を埋める弾性体で構成する円筒状の吸引開口部パッキン31を圧入にして装着していることで、吸引開口部30に容器蓋開口部6を挿入した際に挿入部分からの空気や水の漏れを防止し、容器体1に対して送風装置25を取り付けた際に拘止できるようにしている。
この、吸引開口部パッキン31は、長期の使用においても弾性を保ち耐候性に優れた部材にて構成するものであり、例えばシリコンゴム材を用いて薄板円筒形状に成型して成形したものである。
ここで、接触電気導通手段23は、端子台細隙部32と導電性圧着板33とから構成される。図11に示すように、端子台細隙部32は、容器体1に対して送風装置25を取り付けた状態において容器体1の外部に突出させて固設している端子台13の先端が外郭21の内部に入り込むように外郭21に開口したものである。また、図12に示すように、導電端子12に電力を供給する導電性圧着板33は、この端子台細隙部32の内側で端子台13から露出する導電端子12の先端と接触する位置に配置して外郭21の構成材に対して固設して構成しているものである。
また、導電性圧着板33は、導電性とバネ性を備えた材料にて構成するものであり、例えばリン青銅などの銅合金の金属薄板を短冊形状として導電端子12との接触部分を湾曲させて突出させることで導電端子12との確実な接触を保てるような形状に金型プレス加工にて形成したものである。
また、導電性圧着板33は、外郭21を組み立てて構成する際に、例えば外郭21の内部構成の一部に相対する合わせ目を設けて、この合わせ目で導電性圧着板33の一部を挟み込むことで外郭21に対して固設するものである。そして、容器体1に対して送風装置25を取り付けた状態においては、導電性圧着板33が有する弾性と導電端子12との位置関係によって導電性圧着板33と導電端子12の間の確実な電気的接触を保てるようにしている。
なお、導電性圧着板33は、外郭21の内部で電源導入部24に対して電気的に接続しているものである。
上記構成において、送風手段22を構成する外郭21の下方を開口した構成を備え、吸引開口部パッキン31を装着した吸引開口部30に容器蓋開口部6を挿入することで、容器体1に対して送風装置25を取り付けることができる。この状態においては、外郭21に開口した端子台細隙部32をから端子台13の先端が外郭21の内部に入り込み、導電性圧着板33は、端子台13から露出している導電端子12の先端に加圧された状態で電気的に接触することとなる。
導電性圧着板33と導電端子12の先端が電気的に接触した状態においては、送風装置25に備える電源導入部24に送風装置25の外部から接続する電力供給源26の電力が発熱手段9に導通されることとなり、この状態で容器体1の内部に加湿水5が蓄えられていれば加湿空気が生成されることとなる。
容器体1の内部に加湿空気が生成されると、送風手段22には電動送風機27に電力供給源26の電力が印加されているので吸気開口部29から吹き出し開口部28に向かう空気の流れに加えて、電動送風機27の発生する送風の負圧により吸引開口部30を通して誘引力が生じる。そして、容器体1の内部で生成された加湿空気は、容器蓋開口部6と吸引開口部30の接合部を通して外郭21の内部に取り込まれて、最終的には吸気開口部29から吸入された外気と共に吹き出し開口部28から一方向に向けて放出することなる。すなわち、加湿装置としての機能を発揮する。
よって、使用者は、送風装置25を容器体1から分離した状態において容器体1には、水濡れにより破壊に至る電装部品を備えていないことから、容器体1は、加湿水5を直接的に給水できる給水タンクとしても扱える。つまり、加湿水5を給水して蓄えた容器体1に送風装置25を取り付けるだけの給水タンクを不要とすることができる。さらに、使用者の身近に置いて使用できるコンパクトな加湿装置を提供することができる。
なお、容器体1と送風装置25の接合する際に端子台細隙部32に容器体1から露出させている端子台13の先端を正確に入れ込まなければ導電性圧着板33と導電端子12の接触による発熱手段9への電気の導通は確立されない。すなわち、加湿装置としての機能を果たすことができないこととなる。
そこで、容器体1と送風装置25の接合を案内する凹凸や合わせ面を容器体1と送風装置25の接合部位にそれぞれ設けることで、確実に加湿機能が果たせる。つまり、凹凸や合わせ面を接合部位に設けることより使用者が扱いやすい加湿装置を提供できることは言うまでもない。
なお、図14に示しているように送風装置25を台座付きの形状として容器体1を図上、矢印で示しているように水平に滑り込ませて装着する構成とすることも可能である。この構成では送風装置25に対する容器体1の装着の位置関係を安定させることができるので、より扱いやすい加湿装置を提供できることは言うまでもない。
なお、送風装置25を他の装置や建物の構造体の一部、もしくはネジなどで固設できる構成とすることも可能であり、送風装置25に対する容器体1の装着の位置関係を安定させることができるので、より扱いやすい加湿装置を提供できることは言うまでもない。