JP6036298B2 - 二次電池用非水系電解液及びそれを用いた非水系電解液電池 - Google Patents
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Description
更に高容量化によって電池内部の空隙は減少し、電解液の分解で少量のガスが発生した場合でも電池内圧は顕著に上昇してしまうという問題も発生してくる。
特許文献3及び4に記載されている添加剤を非水電解質に含有させても、電解液の負極での反応は完全には抑制できず、サイクル特性としては未だ満足しうるものではなかった。特に高温保存特性については、ガス発生を抑制することが求められるが、従来技術によっては電池特性の劣化の抑制、及びガス発生の抑制の双方を同時に満たすことはできなかった。
すなわち、本発明の要旨は、下記に示すとおりである。
Rはビニル基を表す。
Zは1以上の整数であり、Zが2以上の場合は、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。
ただし、Lがアルキル基である場合を除く。尚、RとLは互いに結合して環を形成しない。)
(c)前記式(1)中、Lは置換基を有してもよいアルキレン基、ビニル基、アルケニレン基、アルキニル基、及びアルキニレン基よりなる群から選ばれるいずれかの有機基である(a)に記載の二次電池用非水系電解液。
(d)前記式(1)で示されるスルホン酸エステルを0.001〜10質量%含有する、(a)乃至(c)のいずれか1つに記載の二次電池用非水系電解液。
(e)更に、フッ素原子を有する環状カーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、環状スルホン酸エステルおよびオキサラート塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する(a)乃至(d)のいずれか1つに記載の二次電池用非水系電解液。
(f)前記フッ素原子を有する環状カーボネートを1〜50質量%含有する(e)に記載の二次電池用非水系電解液。
(g)前記フッ素原子を有する環状カーボネートが、モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート及び4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である(e)または(f)に記載の二次電池用非水系電解液。
(h)リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が(a)乃至(g)のいずれか1つに記載の二次電池用非水系電解液である非水系電解液電池。
本発明者らはこの点に着目し、スルホン酸部位に不飽和結合を導入することで、負極で形成される被膜の安定性が大幅に向上し、さらにエステル部位を選択することで、高温保存特性向上やサイクル特性向上効果が顕著に発現することを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、ここで“重量%”、“重量ppm”および“重量部”と“質量%”、“質量ppm”および“質量部”とは、それぞれ同義である。また、単にppmと記載した場合は、“重量ppm”のことを示す。
1−1.式(1)で表されるスルホン酸エステル
本発明は、下記式(1)で表されるスルホン酸エステルを非水系電解液中に含有することを特徴としている。
Rは置換基を有してもよい不飽和結合を有する鎖状炭化水素基を表す。
Zは1以上の整数であり、Zが2以上の場合は、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。
ただし、Rがビニル基でありLがアルキル基である場合、並びに、R及びLがアリル基である場合を除く。尚、RとLは互いに結合して環を形成しない。
ここで、式(1)中のLにおける有機基とは、炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子およびハロゲン原子からなる群から選ばれる原子で構成された官能基のことを表し、また、有機基の炭素数は1〜10が好ましい。
また、置換基の具体例としては、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、ニトリル基、イソシアナト基、カーボネート基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホニル基およびホスホリル基などが挙げられる。
ただし、Rがビニル基でありLがアルキル基である場合、並びに、R及びLがアリル基である場合を除く。
前記式(1)のうちより好ましくは、式中、Lは置換基を有してもよいアルキレン基、アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基、及びアルキニレン基よりなる群から選ばれるいずれかの有機基であり、Rは置換基を有してもよいビニル基、アリル基、及びプロパルギル基よりなる群から選ばれるいずれかである。
ただし、R及びLがアリル基である場合を除き、より好ましくはLがアリル基である場合を除く。
前記式(1)のうち最も好ましくは、前記式(1)中、Lは置換基を有してもよいアルキレン基、ビニル基、アルケニレン基、アルキニル基、及びアルキニレン基よりなる群から選ばれるいずれかの有機基であり、Rは置換基を有してもよいビニル基、アリル基、及びプロパルギル基よりなる群から選ばれるいずれかである。
また、
さらに、
本発明に係る非水系電解液は、更に、フッ素原子を有する環状カーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、イソシアネート化合物、環状スルホン酸エステルおよびニトリル化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有するものが好ましい。これらを併用することで、それぞれの添加剤が引き起こす副反応を効率よく抑制できるためである。
さらに、フッ素原子を有する環状カーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、環状スルホン酸エステルは、式(1)で表されるスルホン酸エステルと負極の表面に安定な保護被膜を形成し、負極と電解液成分との副反応を抑制し、高温保存特性ならびにサイクル特性を向上することができるため、より好ましい。
フッ素原子を有する環状カーボネート(以下、「フッ素化環状カーボネート」と記載する場合がある)としては、フッ素原子を有する環状カーボネートであれば、特に制限はされない。
モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−メチルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−メチルエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(ジフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(トリフルオロメチル)−エチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−4−フルオロエチレンカーボネート、4−(フルオロメチル)−5−フルオロエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5,5−ジメチルエチレンカーボネート
等が挙げられる。
フッ素化環状カーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記範囲内であれば、非水系電解液二次電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、高温保存特性の低下や、ガス発生量の増加により、放電容量維持率が低下することを回避しやすい。
炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート(以下、「不飽和環状カーボネート」と記載する場合がある)としては、炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有する環状カーボネートであれば、特に制限はなく、任意の不飽和カーボネートを用いることができる。なお、芳香環を有する環状カーボネートも、不飽和環状カーボネートに包含されることとする。
不飽和環状カーボネートとしては、
ビニレンカーボネート類、芳香環または炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合を有する置換基で置換されたエチレンカーボネート類、フェニルカーボネート類、ビニルカーボネート類、アリルカーボネート類、カテコールカーボネート類
等が挙げられる。
ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、フェニルビニレンカーボネート、4,5−ジフェニルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、4,5−ジビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネート、4,5−ジアリルビニレンカーボネート、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート
等が挙げられる。
ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−ビニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、4,5−ジエチニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−エチニルエチレンカーボネート、4−ビニル−5−エチニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−エチニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフェニルエチレンカーボネート、4−フェニル−5−ビニルエチレンカーボネート、4−アリル−5−フェニルエチレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−メチル−5−アリルエチレンカーボネート
等が挙げられる。
ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、4,5−ジメチルビニレンカーボネート、ビニルビニレンカーボネート、4,5−ビニルビニレンカーボネート、アリルビニレンカーボネート、4,5−ジアリルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−ビニルエチレンカーボネート、アリルエチレンカーボネート、4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−メチル−5−アリルエチレンカーボネート、4−アリル−5−ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、4,5−ジエチニルエチレンカーボネート、4−メチル−5−エチニルエチレンカーボネート、4−ビニル−5−エチニルエチレンカーボネート
が挙げられる。また、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネートはさらに安定な界面保護被膜を形成するので、特に好ましい。
不飽和環状カーボネートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。
モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩のカウンターカチオンとしては特に限定はないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及び、NR11R12R13R14(式中、R11〜R14は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜12の有機基を表す。)で表されるアンモニウム等が例示として挙げられる。
モノフルオロリン酸リチウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノフルオロリン酸カリウム、ジフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸ナトリウム、ジフルオロリン酸カリウム
等が挙げられ、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウムが好ましく、ジフルオロリン酸リチウムがより好ましい。
モノフルオロリン酸塩およびジフルオロリン酸塩の配合量は、非水系電解液100質量%中、好ましくは、0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
この範囲内であれば、非水系電解液電池が十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
イソシアネート化合物としては、分子内にイソシアネート基を有している化合物であれば特にその種類は限定されない。
イソシアネート化合物の具体例としては、例えば、
メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、イソプロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ターシャルブチルイソシアネート、ペンチルイソシアネートヘキシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、エチニルイソシアネート、プロピニルイソシアネート、フェニルイソシアネート、フロロフェニルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物;
モノメチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアナトプロパン、1,4−ジイソシアナト−2−ブテン、1,4−ジイソシアナト−2−フルオロブタン、1,4−ジイソシアナト−2,3−ジフルオロブタン、1,5−ジイソシアナト−2−ペンテン、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、1,6−ジイソシアナト−2−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−ヘキセン、1,6−ジイソシアナト−3−フルオロヘキサン、1,6−ジイソシアナト−3,4−ジフルオロヘキサン、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,2−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,2−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3−ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−1,1’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,2’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−3,3’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物;
等が挙げられる。
本発明の非水系電解液全体に対するイソシアネート基を有する化合物の配合量に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、通常0.001質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、また、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下の濃度で含有させる。
上記範囲を満たした場合は、出力特性、負荷特性、低温特性、サイクル特性、高温保存特性等の効果がより向上する。
環状スルホン酸エステルとしては、環状構造を有するスルホン酸エステルであれば特にその種類は限定されない。
環状スルホン酸エステルの具体例としては、例えば、
1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−メチル−1,3−プロパンスルトン、2−メチル−1,3−プロパンスルトン、3−メチル−1,3−プロパンスルトン1−プロペン−1,3−スルトン、2−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−2−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−1−プロペン−1,3−スルトン、1−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、2−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、3−メチル−2−プロペン−1,3−スルトン、1,4−ブタンスルトン、1−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、2−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、3−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、4−フルオロ−1,4−ブタンスルトン、1−メチル−1,4−ブタンスルトン、2−メチル−1,4−ブタンスルトン、3−メチル−1,4−ブタンスルトン、4−メチル−1,4−ブタンスルトン、1−ブテン−1,4−スルトン、2−ブテン−1,4−スルトン、3−ブテン−1,4−スルトン、1−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、2−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、3−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、4−フルオロ−1−ブテン−1,4−スルトン、1−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、2−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、3−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、4−フルオロ−2−ブテン−1,4−スルトン、1−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、2−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、3−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、4−フルオロ−3−ブテン−1,4−スルトン、1−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、2−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、3−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、4−メチル−1−ブテン−1,4−スルトン、1−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、2−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、3−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、4−メチル−2−ブテン−1,4−スルトン、1−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、2−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、3−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、4−メチル−3−ブテン−1,4−スルトン、1,5−ペンタンスルトン、1−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、2−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、3−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、4−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、5−フルオロ−1,5−ペンタンスルトン、1−メチル−1,5−ペンタンスルトン、2−メチル−1,5−ペンタンスルトン、3−メチル−1,5−ペンタンスルトン、4−メチル−1,5−ペンタンスルトン、5−メチル−1,5−ペンタンスルトン、1−ペンテン−1,5−スルトン、2−ペンテン−1,5−スルトン、3−ペンテン−1,5−スルトン、4−ペンテン−1,5−スルトン、1−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、2−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、3−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、4−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、5−フルオロ−1−ペンテン−1,5−スルトン、1−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、2−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、3−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、4−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、5−フルオロ−2−ペンテン−1,5−スルトン、1−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、2−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、3−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、4−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、5−フルオロ−3−ペンテン−1,5−スルトン、1−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、2−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、3−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、4−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、5−フルオロ−4−ペンテン−1,5−スルトン、1−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、2−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、3−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、4−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、5−メチル−1−ペンテン−1,5−スルトン、1−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、2−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、3−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、4−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、5−メチル−2−ペンテン−1,5−スルトン、1−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、2−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、3−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、4−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、5−メチル−3−ペンテン−1,5−スルトン、1−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトン、2−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトン、3−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトン、4−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトン、5−メチル−4−ペンテン−1,5−スルトンなどのスルトン化合物;
メチレンメタンジスルホネート、エチレンメタンジスルホネートなどのジスルホネート化合物;
等が挙げられる。
1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトン、1−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、2−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、3−フルオロ−1−プロペン−1,3−スルトン、1,4−ブタンスルトン、メチレンメタンジスルホネート、エチレンメタンジスルホネート
が保存特性向上の点から好ましく、
1,3−プロパンスルトン、1−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、2−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、3−フルオロ−1,3−プロパンスルトン、1−プロペン−1,3−スルトン
がより好ましい。
ニトリル化合物としては、分子内にニトリル基を有している化合物であれば特にその種類は限定されない。
ニトリル化合物の具体例としては、例えば、
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニトリル、ラウロニトリル、2−メチルブチロニトリル、トリメチルアセトニトリル、ヘキサンニトリル、シクロペンタンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、クロトノニトリル、3−メチルクロトノニトリル、2−メチル−2−ブテン二トリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−2−ペンテンニトリル、3−メチル−2−ペンテンニトリル、2−ヘキセンニトリル、フルオロアセトニトリル、ジフルオロアセトニトリル、トリフルオロアセトニトリル、2−フルオロプロピオニトリル、3−フルオロプロピオニトリル、2,2−ジフルオロプロピオニトリル、2,3−ジフルオロプロピオニトリル、3,3−ジフルオロプロピオニトリル、2,2,3−トリフルオロプロピオニトリル、3,3,3−トリフルオロプロピオニトリル、3,3’−オキシジプロピオニトリル、3,3’−チオジプロピオニトリル、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリル、ペンタフルオロプロピオニトリル等のニトリル基を1つ有する化合物;
等が挙げられる。
<リチウム塩>
電解質としては、通常、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、この用途に用いることが知られているものであれば特に制限がなく、任意のものを用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。
LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAlF4、LiSbF6、LiTaF6、LiWF7等の無機リチウム塩;
LiWOF5等のタングステン酸リチウム類;
HCO2Li、CH3CO2Li、CH2FCO2Li、CHF2CO2Li、CF3CO2Li、CF3CH2CO2Li、CF3CF2CO2Li、CF3CF2CF2CO2Li、CF3CF2CF2CF2CO2Li等のカルボン酸リチウム塩類;
FSO3Li、CH3SO3Li、CH2FSO3Li、CHF2SO3Li、CF3SO3Li、CF3CF2SO3Li、CF3CF2CF2SO3Li、CF3CF2CF2CF2SO3Li等のスルホン酸リチウム塩類;
LiN(FCO)2、LiN(FCO)(FSO2)、LiN(FSO2)2、LiN(FSO2)(CF3SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、リチウム環状1,2−パーフルオロエタンジスルホニルイミド、リチウム環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホニルイミド、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等のリチウムイミド塩類;
LiC(FSO2)3、LiC(CF3SO2)3、LiC(C2F5SO2)3等のリチウムメチド塩類;
リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムビス(オキサラト)ボレート等のリチウムオキサラトボレート塩類;
リチウムテトラフルオロオキサラトフォスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート、リチウムトリス(オキサラト)フォスフェート等のリチウムオキサラトフォスフェート塩類;
その他、LiPF4(CF3)2、LiPF4(C2F5)2、LiPF4(CF3SO2)2、LiPF4(C2F5SO2)2、LiBF3CF3、LiBF3C2F5、LiBF3C3F7、LiBF2(CF3)2、LiBF2(C2F5)2、LiBF2(CF3SO2)2、LiBF2(C2F5SO2)2等の含フッ素有機リチウム塩類;
等が挙げられる。
この場合、非水系電解液全体100質量%に対するLiBF4或いはFSO3Liの濃度は配合量に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、本発明の非水系電解液に対して、通常、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、また、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
リチウムの総モル濃度が低すぎると、電解液の電気伝導率が不十分の場合があり、一方、濃度が高すぎると、粘度上昇のため電気伝導度が低下する場合があり、電池性能が低下する場合がある。
本発明における非水溶媒について特に制限はなく、公知の有機溶媒を用いることが可能である。これらを例示すると、フッ素原子を有していない環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状及び鎖状カルボン酸エステル、エーテル化合物、スルホン系化合物等が挙げられる。
フッ素原子を有していない環状カーボネートとしては、炭素数2〜4のアルキレン基を有する環状カーボネートが挙げられる。
炭素数2〜4のアルキレン基を有する、フッ素原子を有していない環状カーボネートの具体的な例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートが挙げられる。中でも、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
鎖状カーボネートとしては、炭素数3〜7の鎖状カーボネートが好ましく、炭素数3〜7のジアルキルカーボネートがより好ましい。
鎖状カーボネートの具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−プロピルイソプロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメチルカーボネート、イソブチルメチルカーボネート、t−ブチルメチルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、イソブチルエチルカーボネート、t−ブチルエチルカーボネート等が挙げられる。
フッ素化鎖状カーボネートが有するフッ素原子の数は、1以上であれば特に制限されないが、通常6以下であり、好ましくは4以下である。フッ素化鎖状カーボネートが複数のフッ素原子を有する場合、それらは互いに同一の炭素に結合していてもよく、異なる炭素に結合していてもよい。
フッ素化鎖状カーボネートとしては、フッ素化ジメチルカーボネート及びその誘導体、フッ素化エチルメチルカーボネート及びその誘導体、フッ素化ジエチルカーボネート及びその誘導体等が挙げられる。
環状カルボン酸エステルとしては、炭素原子数が3〜12のものが好ましい。
具体的には、ガンマブチロラクトン、ガンマバレロラクトン、ガンマカプロラクトン、イプシロンカプロラクトン等が挙げられる。中でも、ガンマブチロラクトンがリチウムイオン解離度の向上に由来する電池特性向上の点から特に好ましい。
環状カルボン酸エステルの配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上である。この範囲であれば、非水系電解液の電気伝導率を改善し、非水系電解液電池の大電流放電特性を向上させやすくなる。また、環状カルボン酸エステルの配合量は、好ましくは50体積%以下、より好ましくは40体積%以下である。このように上限を設定することにより、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避し、負極抵抗の増大を抑制し、非水系電解液二次電池の大電流放電特性を良好な範囲としやすくなる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、炭素数が3〜7のものが好ましい。具体的には、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−t−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸−t−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−プロピル、酪酸イソプロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸−n−プロピル、イソ酪酸イソプロピル
等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルの配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは10体積%以上、より好ましくは15体積%以上である。このように下限を設定することで、非水系電解液の電気伝導率を改善し、非水系電解液電池の大電流放電特性を向上させやすくなる。また、鎖状カルボン酸エステルの配合量は、非水溶媒100体積%中、好ましくは60体積%以下、より好ましくは50体積%以下である。このように上限を設定することで、負極抵抗の増大を抑制し、非水系電解液電池の大電流放電特性、サイクル特性を良好な範囲としやすくなる。
エーテル系化合物としては、一部の水素がフッ素にて置換されていても良い炭素数3〜10の鎖状エーテル、及び炭素数3〜6の環状エーテルが好ましい。
ジエチルエーテル、ジ(2−フルオロエチル)エーテル、ジ(2,2−ジフルオロエチル)エーテル、ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(2−フルオロエチル)エーテル、エチル(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、エチル(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,2−トリフルオロエチル)エーテル、(2−フルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)エーテル、エチル−n−プロピルエーテル、エチル(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、エチル(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2−フルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2−フルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2−フルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、2,2,2−トリフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,2−トリフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−n−プロピルエーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(1,1,2,2−テトラフルオロエチル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−プロピルエーテル、(n−プロピル)(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3−フルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3−フルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)エーテル、(2,2,3,3−テトラフルオロ−n−プロピル)(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ(2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−n−プロピル)エーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジメトキシメタン、メトキシエトキシメタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタンメトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジエトキシメタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)メタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(2−フルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタンジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)メタン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)メタン、ジメトキシエタン、メトキシエトキシエタン、メトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、メトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、メトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジエトキシエタン、エトキシ(2−フルオロエトキシ)エタン、エトキシ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、エトキシ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2−フルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2−フルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エタン、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、ジ(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)エタン、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル
等が挙げられる。
エーテル系化合物の配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上、また、好ましくは70体積%以下、より好ましくは60体積%以下、さらに好ましくは50体積%以下である。
この範囲であれば、鎖状エーテルのリチウムイオン解離度の向上と粘度低下に由来するイオン伝導度の向上効果を確保しやすく、負極活物質が炭素質材料の場合、鎖状エーテルがリチウムイオンと共に共挿入されて容量が低下するといった事態を回避しやすい。
スルホン系化合物としては、炭素数3〜6の環状スルホン、及び炭素数2〜6の鎖状スルホンが好ましい。1分子中のスルホニル基の数は、1又は2であることが好ましい。
モノスルホン化合物であるトリメチレンスルホン類、テトラメチレンスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類;
ジスルホン化合物であるトリメチレンジスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類;
等が挙げられる。
中でも誘電率と粘性の観点から、テトラメチレンスルホン類、テトラメチレンジスルホン類、ヘキサメチレンスルホン類、ヘキサメチレンジスルホン類がより好ましく、テトラメチレンスルホン類(スルホラン類)が特に好ましい。
ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、n−プロピルメチルスルホン、n−プロピルエチルスルホン、ジ−n−プロピルスルホン、イソプロピルメチルスルホン、イソプロピルエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、n−ブチルメチルスルホン、n−ブチルエチルスルホン、t−ブチルメチルスルホン、t−ブチルエチルスルホン、モノフルオロメチルメチルスルホン、ジフルオロメチルメチルスルホン、トリフルオロメチルメチルスルホン、モノフルオロエチルメチルスルホン、ジフルオロエチルメチルスルホン、トリフルオロエチルメチルスルホン、ペンタフルオロエチルメチルスルホン、エチルモノフルオロメチルスルホン、エチルジフルオロメチルスルホン、エチルトリフルオロメチルスルホン、パーフルオロエチルメチルスルホン、エチルトリフルオロエチルスルホン、エチルペンタフルオロエチルスルホン、ジ(トリフルオロエチル)スルホン、パーフルオロジエチルスルホン、フルオロメチル−n−プロピルスルホン、ジフルオロメチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロメチル−n−プロピルスルホン、フルオロメチルイソプロピルスルホン、ジフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロメチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−プロピルスルホン、トリフルオロエチルイソプロピルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−プロピルスルホン、ペンタフルオロエチルイソプロピルスルホン、トリフルオロエチル−n−ブチルスルホン、トリフルオロエチル−t−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−n−ブチルスルホン、ペンタフルオロエチル−t−ブチルスルホン
等が挙げられる。
スルホン系化合物の配合量は、通常、非水溶媒100体積%中、好ましくは0.3体積%以上、より好ましくは1体積%以上、さらに好ましくは5体積%以上であり、また、好ましくは40体積%以下、より好ましくは35体積%以下、さらに好ましくは30体積%以下である。
この範囲であれば、サイクル特性や保存特性等の耐久性の向上効果が得られやすく、また、非水系電解液の粘度を適切な範囲とし、電気伝導率の低下を回避することができ、非水系電解液電池の充放電を高電流密度で行う場合に、充放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
本発明において、フッ素原子を有する環状カーボネートを非水溶媒として用いる場合は、フッ素原子を有する環状カーボネート以外の非水溶媒として、上記例示した非水溶媒の1種をフッ素原子を有する環状カーボネートと組み合わせて用いてもよく、2種以上をフッ素原子を有する環状カーボネートと組み合わせて併用しても良い。
これらの非水溶媒の組み合わせを用いると、これを用いて作製された電池のサイクル特性と高温保存特性(特に、高温保存後の残存容量及び高負荷放電容量)のバランスが良くなることがある。
モノフルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジエチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート
等が挙げられる。
この濃度範囲でフッ素原子を有していない環状カーボネートを含有すると、負極に安定な保護被膜を形成しつつ、電解液の電気伝導度を維持できる。
モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとジメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとジエチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート
等が挙げられる。
モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、モノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネートモノフルオロエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネートモノフルオロエチレンカーボネートとエチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート
といったモノフルオロエチレンカーボネートと対称鎖状カーボネート類と非対称鎖状カーボネート類を含有するものが、サイクル特性と大電流放電特性のバランスが良いので好ましい。中でも、対称鎖状カーボネート類がジメチルカーボネートであるのが好ましく、又、鎖状カーボネートのアルキル基は炭素数1〜2が好ましい。
上記体積比(ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート)は、低温での電池特性を向上の点で、40以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、8以下が特に好ましい。
本発明において、フッ素原子を有する環状カーボネートを助剤として用いる場合は、フッ素原子を有する環状カーボネート以外の非水溶媒として、上記例示した非水溶媒1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
中でも、非水溶媒に占めるフッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートとの合計が、好ましくは70体積%以上、より好ましくは80体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、かつ環状カーボネートと鎖状カーボネートとの合計に対するフッ素原子を有していない環状カーボネートの割合が好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、さらに好ましくは15体積%以上であり、また、好ましくは50体積%以下、より好ましくは35体積%以下、さらに好ましくは30体積%以下、特に好ましくは25体積%以下である。
これらの非水溶媒の組み合わせを用いると、これを用いて作製された電池のサイクル特性と高温保存特性(特に、高温保存後の残存容量及び高負荷放電容量)のバランスが良くなることがある。
エチレンカーボネートとジメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートとエチルメチルカーボネート
等が挙げられる。
中でも、非対称鎖状カーボネート類がエチルメチルカーボネートであるのが好ましく、又、鎖状カーボネートのアルキル基は炭素数1〜2が好ましい。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの体積比は、99:1〜40:60が好ましく、特に好ましくは95:5〜50:50である。更に、非水溶媒全体に占めるプロピレンカーボネートの割合は、、好ましくは0.1容量%以上、より好ましくは1体積%以上、さらに好ましくは2体積%以上、また、好ましくは20体積%以下、より好ましくは8体積%以下、さらに好ましくは5体積%以下である。
この濃度範囲でプロピレンカーボネートを含有すると、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートとの組み合わせの特性を維持したまま、更に低温特性が優れることがあるので好ましい。
中でも、ジメチルカーボネートとエチルメチルカーボネートを含有し、ジメチルカーボネートの含有割合をエチルメチルカーボネートの含有割合よりも多くすることにより、電解液の電気伝導度を維持できながら、高温保存後の電池特性が向上することがあり好ましい。
上記フッ素原子を有していない環状カーボネートと鎖状カーボネートを主体とする組合せにおいては、環状カルボン酸エステル類、鎖状カルボン酸エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、含硫黄有機溶媒、含燐有機溶媒、芳香族含フッ素溶媒等、他の溶媒を混合してもよい。
なお、本明細書において、非水溶媒の体積は25℃での測定値であるが、エチレンカーボネートのように25℃で固体のものは融点での測定値を用いる。
本発明の非水系電解液電池において、式(1)で表されるスルホン酸エステル以外に、目的に応じて適宜助剤を用いても良い。助剤としては、以下に示されるフッ素原子を有する不飽和環状カーボネート、過充電防止剤、その他の助剤、等が挙げられる。
フッ素化環状カーボネートとして、不飽和結合とフッ素原子とを有する環状カーボネート(以下、「フッ素化不飽和環状カーボネート」と記載する場合がある)を用いることも好ましい。フッ素化不飽和環状カーボネートが有するフッ素原子の数は1以上であれば、特に制限されない。中でもフッ素原子が通常6以下、好ましくは4以下であり、1又は2のものが最も好ましい。
フッ素化ビニレンカーボネート誘導体としては、4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート等が挙げられる。
4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−アリルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−5−フェニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−フェニルエチレンカーボネート
等が挙げられる。
4−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−メチルビニレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルビニレンカーボネート、4−アリル−5−フルオロビニレンカーボネート、4−フルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−ビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−5−アリルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−ビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4−アリルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4−フルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジビニルエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロ−4,5−ジアリルエチレンカーボネートが、安定な界面保護被膜を形成するので、より好適に用いられる。
フッ素化不飽和環状カーボネートの製造方法は、特に制限されず、公知の方法を任意に選択して製造することが可能である。分子量は、より好ましくは100以上であり、また、より好ましくは200以下である。
フッ素化不飽和環状カーボネートの配合量は、通常、非水系電解液100質量%中、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
この範囲内であれば、非水系電解液電池は十分なサイクル特性向上効果を発現しやすく、また、高温保存特性が低下し、ガス発生量が多くなり、放電容量維持率が低下するといった事態を回避しやすい。
本発明の非水系電解液において、非水系電解液電池が過充電等の状態になった際に電池の破裂・発火を効果的に抑制するために、過充電防止剤を用いることができる。
ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2−フルオロビフェニル、o−シクロヘキシルフルオロベンゼン、p−シクロヘキシルフルオロベンゼン等の上記芳香族化合物の部分フッ素化物;
2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、2,6−ジフルオロアニソール、3,5−ジフルオロアニソール等の含フッ素アニソール化合物;
等が挙げられる。中でも、
ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物が好ましい。
過充電防止剤は、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上であり、また、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
本発明の非水系電解液には、公知のその他の助剤を用いることができる。その他の助剤としては、
エリスリタンカーボネート、スピロ−ビス−ジメチレンカーボネート、メトキシエチル−メチルカーボネート等のカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物及びフェニルコハク酸無水物等のカルボン酸無水物;
2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等のスピロ化合物;
エチレンサルファイト、フルオロスルホン酸メチル、フルオロスルホン酸エチル、メタンスルホン酸メチル、メタンスルホン酸エチル、ブスルファン、スルホレン、ジフェニルスルホン、N,N−ジメチルメタンスルホンアミド、N,N−ジエチルメタンスルホンアミド等の含硫黄化合物;
1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン及びN−メチルスクシンイミド等の含窒素化合物;
ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘプタン等の炭化水素化合物;
フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ベンゾトリフルオライド等の含フッ素芳香族化合物;
等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの助剤を添加することにより、高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる。
その他の助剤の配合量は、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上であり、また、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
具体的には、リチウム塩や溶媒、助剤等の非水系電解液の構成要素を別途合成し、実質的に単離されたものから非水系電解液を調整し、下記に記載する方法にて別途組み立てた電池内に注液して得た非水系電解液電池内の非水系電解液である場合や、本発明の非水系電解液の構成要素を個別に電池内に入れておき、電池内にて混合させることにより本発明の非水系電解液と同じ組成を得る場合、更には、本発明の非水系電解液を構成する化合物を該非水系電解液電池内で発生させて、本発明の非水系電解液と同じ組成を得る場合も含まれるものとする。
本発明の非水系電解液電池は、非水系電解液電池の中でも二次電池用、例えばリチウム二次電池用の電解液として用いるのに好適である。以下、本発明の非水系電解液を用いた非水系電解液電池について説明する。
負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、特に制限はない。具体例としては、炭素質材料、合金系材料、リチウム含有金属複合酸化物材料等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、また2種以上を任意に組み合わせて併用してもよい。
上記炭素質材料のうち、負極活物質として用いられる炭素質材料としては、
(1)天然黒鉛、
(2)人造炭素質物質並びに人造黒鉛質物質を400〜3200℃の範囲で1回以上熱処理した炭素質材料、
(3)負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる結晶性を有する炭素質からなり、かつ/又はその異なる結晶性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
(4)負極活物質層が少なくとも2種以上の異なる配向性を有する炭素質からなり、かつ/又はその異なる配向性の炭素質が接する界面を有している炭素質材料、
から選ばれるものが、初期不可逆容量、高電流密度充放電特性のバランスがよく好ましい。また、(1)〜(4)の炭素質材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
天然黒鉛、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチ、石油系ピッチ及びこれらピッチを酸化処理したもの、ニードルコークス、ピッチコークス及びこれらを一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等の有機物の熱分解物、炭化可能な有機物及びこれらの炭化物、又は炭化可能な有機物をベンゼン、トルエン、キシレン、キノリン、n−へキサン等の低分子有機溶媒に溶解させた溶液及びこれらの炭化物
等が挙げられる。
リチウム合金を形成する単体金属及び合金としては、13族及び14族の金属・半金属元素(即ち炭素を除く)を含む材料であることが好ましく、より好ましくはアルミニウム、ケイ素及びスズ(以下、「特定金属元素」と記載する場合がある)の単体金属及びこれら原子を含む合金又は化合物である。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質としてこれらの金属単体、合金又は金属化合物を用いることで、電池の高容量化が可能である。
上記金属酸化物が、式(A)で表されるリチウムチタン複合酸化物であり、式(A)中、0.7≦x≦1.5、1.5≦y≦2.3、0≦z≦1.6であることが、リチウムイオンのドープ・脱ドープの際の構造が安定であることから好ましい。
(式中、Mは、Na、K、Co、Al、Fe、Ti、Mg、Cr、Ga、Cu、Zn及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表す。)
(a)1.2≦x≦1.4、1.5≦y≦1.7、z=0
(b)0.9≦x≦1.1、1.9≦y≦2.1、z=0
(c)0.7≦x≦0.9、2.1≦y≦2.3、z=0
の構造が、電池性能のバランスが良好なため特に好ましい。
負極活物質として炭素質材料を用いる場合、以下の物性を有するものであることが望ましい。
炭素質材料の学振法によるX線回折で求めた格子面(002)のd値(層間距離)は、0.335nm以上であることが好ましく、また、通常0.360nm以下であり、0.350nm以下が好ましく、0.345nm以下がさらに好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた炭素質材料の結晶子サイズ(Lc)は、1.0nm以上であることが好ましく、中でも1.5nm以上であることがさらに好ましい。
炭素質材料の体積基準平均粒径は、レーザー回折・散乱法により求めた体積基準の平均粒径(メジアン径)であり、通常1μm以上であり、3μm以上が好ましく、5μm以上がさらに好ましく、7μm以上が特に好ましく、また、通常100μm以下であり、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましく、25μm以下が特に好ましい。
炭素質材料のラマンR値は、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトル法を用いて測定した値であり、通常0.01以上であり、0.03以上が好ましく、0.1以上がさらに好ましく、また、通常1.5以下であり、1.2以下が好ましく、1以下がさらに好ましく、0.5以下が特に好ましい。
・アルゴンイオンレーザー波長 :514.5nm
・試料上のレーザーパワー :15〜25mW
・分解能 :10〜20cm−1
・測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析 :バックグラウンド処理
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
炭素質材料のBET比表面積は、BET法を用いて測定した比表面積の値であり、通常0.1m2・g−1以上であり、0.7m2・g−1以上が好ましく、1.0m2・g−1以上がさらに好ましく、1.5m2・g−1以上が特に好ましく、また、通常100m2・g−1以下であり、25m2・g−1以下が好ましく、15m2・g−1以下がさらに好ましく、10m2・g−1以下が特に好ましい。
炭素質材料の球形の程度として円形度を測定した場合、以下の範囲に収まることが好ましい。なお、円形度は、「円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)」で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
炭素質材料の粒径が3〜40μmの範囲にある粒子の円形度は1に近いほど望ましく、また、0.1以上が好ましく、中でも0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.85以上がさらに好ましく、0.9以上が特に好ましい。
高電流密度充放電特性は、円形度が大きいほど充填性が向上し、粒子間の抵抗を抑えることができるため、高電流密度充放電特性は向上する。従って、円形度が上記範囲のように高いほど好ましい。
炭素質材料のタップ密度は、通常0.1g・cm−3以上であり、0.5g・cm−3以上が好ましく、0.7g・cm−3以上がさらに好ましく、1g・cm−3以上が特に好ましく、また、2g・cm−3以下が好ましく、1.8g・cm−3以下がさらに好ましく、1.6g・cm−3以下が特に好ましい。タップ密度が上記範囲であると、電池容量を確保することができるとともに、粒子間の抵抗の増大を抑制することができる。
炭素質材料の配向比は、通常0.005以上であり、0.01以上が好ましく、0.015以上がさらに好ましく、また、通常0.67以下である。配向比が、上記範囲であると、優れた高密度充放電特性を確保することができる。なお、上記範囲の上限は、炭素質材料の配向比の理論上限値である。
・ターゲット:Cu(Kα線)グラファイトモノクロメーター
・スリット :
発散スリット=0.5度
受光スリット=0.15mm
散乱スリット=0.5度
・測定範囲及びステップ角度/計測時間:
(110)面:75度≦2θ≦80度 1度/60秒
(004)面:52度≦2θ≦57度 1度/60秒
炭素質材料のアスペクト比は、通常1以上、また、通常10以下であり、8以下が好ましく、5以下がさらに好ましい。上記範囲であると、極板化時のスジ引きを抑制し、さらに均一な塗布が可能となるため、優れた高電流密度充放電特性を確保することができる。なお、上記範囲の下限は、炭素質材料のアスペクト比の理論下限値である。
電極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれかの方法を用いることができる。例えば、負極活物質に、バインダー、溶媒、必要に応じて、増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
また、合金系材料を用いる場合には、蒸着法、スパッタ法、メッキ法等の手法により、上述の負極活物質を含有する薄膜層(負極活物質層)を形成する方法も用いられる。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
集電体と負極活物質層の厚さの比は特に制限されないが、「(非水系電解液注液直前の片面の負極活物質層厚さ)/(集電体の厚さ)」の値が、150以下が好ましく、20以下がさらに好ましく、10以下が特に好ましく、また、0.1以上が好ましく、0.4以上がさらに好ましく、1以上が特に好ましい。集電体と負極活物質層の厚さの比が、上記範囲であると、電池容量を維持することができるとともに、高電流密度充放電時における集電体の発熱を抑制することができる。
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
具体例としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、ポリイミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;
SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;
スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物;
EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;
シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;
ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;
アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物;
等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質に対するバインダーの割合が、上記範囲であると、電池容量と負極電極の強度を十分に確保することができる。
また、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素系高分子を主要成分に含有する場合には、負極活物質に対する割合は、通常1質量%以上であり、2質量%以上が好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、また、通常15質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、バインダー、並びに必要に応じて使用される増粘剤及び導電材を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と非水溶媒のどちらを用いてもよい。
増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限されないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質を電極化した際の電極構造は特に制限されないが、集電体上に存在している負極活物質の密度は、1g・cm−3以上が好ましく、1.2g・cm−3以上がさらに好ましく、1.3g・cm−3以上が特に好ましく、また、2.2g・cm−3以下が好ましく、2.1g・cm−3以下がより好ましく、2.0g・cm−3以下がさらに好ましく、1.9g・cm−3以下が特に好ましい。
集電体上に存在している負極活物質の密度が、上記範囲であると、負極活物質粒子の破壊を防止して、初期不可逆容量の増加や、集電体/負極活物質界面付近への非水系電解液の浸透性低下による高電流密度充放電特性悪化を抑制することができると共に、電池容量の低下や抵抗の増大を抑制することができる。
負極板の厚さは用いられる正極板に合わせて設計されるものであり、特に制限されないが、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは通常15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上、また、通常300μm以下、好ましくは280μm以下、より好ましくは250μm以下が望ましい。
上記負極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
<正極活物質>
以下に正極に使用される正極活物質について述べる。
(組成)
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば特に制限されないが、例えば、リチウムと少なくとも1種の遷移金属を含有する物質が好ましい。具体例としては、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物が挙げられる。
LiCoO2等のリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiO2等のリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMnO2、LiMn2O4、Li2MnO4等のリチウム・マンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をNa、K、B、F、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si、Nb、Mo、Sn、W等の他の元素で置換したもの等が挙げられる。
置換されたものの具体例としては、例えば、LiNi0.5Mn0.5O2、LiNi0.85Co0.10Al0.05O2、LiNi0.33Co0.33Mn0.33O2、LiNi0.45Co0.10Al0.45O2、LiMn1.8Al0.2O4、LiMn1.5Ni0.5O4等が挙げられる。
上記正極活物質の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
正極活物質の粒子の形状は、従来用いられるような、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等が挙げられる。また、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成していてもよい。
正極活物質のタップ密度は、好ましくは0.5g/cm3以上、より好ましくは0.8g/cm3以上、さらに好ましくは1.0g/cm3以上である。該正極活物質のタップ密度が上記範囲であると、正極活物質層形成時に必要な分散媒量及び導電材や結着材の必要量を抑えることができ、その結果、正極活物質の充填率及び電池容量を確保することができる。
タップ密度の高い複合酸化物粉体を用いることにより、高密度の正極活物質層を形成することができる。タップ密度は一般に大きいほど好ましく、特に上限はないが、好ましくは4.0g/cm3以下、より好ましくは3.7g/cm3以下、さらに好ましくは3.5g/cm3以下である。上記範囲であると負荷特性の低下を抑制することができる。
正極活物質粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは0.8μm以上、最も好ましくは1.0μm以上であり、また、好ましくは30μm以下、より好ましくは27μm以下、さらに好ましくは25μm以下、最も好ましくは22μm以下である。上記範囲であると、高タップ密度品が得られ、電池性能の低下を抑制できると共に、電池の正極作製、即ち活物質と導電材やバインダー等を溶媒でスラリー化して薄膜状に塗布する際に、スジ引き等の問題を防止することができる。ここで、異なるメジアン径d50をもつ該正極活物質を2種類以上混合することで、正極作成時の充填性をさらに向上させることができる。
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には、該正極活物質の平均一次粒子径としては、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.2μm以上であり、また、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3μm以下、最も好ましくは2μm以下である。上記範囲であると、粉体充填性及び比表面積を確保し、電池性能の低下を抑制することができると共に、適度な結晶性が得られることによって、充放電の可逆性を確保することができる。
正極活物質のBET比表面積は、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.2m2/g以上、さらに好ましくは0.3m2/g以上であり、また、50m2/g以下、好ましくは40m2/g以下、さらに好ましくは30m2/g以下である。BET比表面積が上記範囲であると、電池性能を確保できるとともに、正極活性物質の塗布性を良好に保つことができる。
正極活物質の製造法としては、無機化合物の製造法として一般的な方法が用いられる。特に球状ないし楕円球状の活物質を作成するには種々の方法が考えられるが、例えば、遷移金属の原料物質を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の前駆体を作成回収し、これを必要に応じて乾燥した後、LiOH、Li2CO3、LiNO3等のLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法等が挙げられる。
以下に、正極の構成について述べる。本発明において、正極は、正極活物質と結着材とを含有する正極活物質層を、集電体上に形成して作製することができる。正極活物質を用いる正極の製造は、常法により行うことができる。即ち、正極活物質と結着材、並びに必要に応じて導電材及び増粘剤等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又はこれらの材料を液体媒体に溶解若しくは分散させてスラリーとして、これを正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層を集電体上に形成させ、正極を得ることができる。
導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料等が挙げられる。なお、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。導電材は、正極活物質層中に、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下含有するように用いられる。上記範囲であると、十分な導電性と電池容量を確保することができる。
正極活物質層の製造に用いる結着材としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散される材料であればよいが、具体例としては、
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;
SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等のゴム状高分子;
スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;
シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;
ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;
アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物;
等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
スラリーを形成するための溶媒としては、正極活物質、導電材、結着材、並びに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と非水溶媒のどちらを用いてもよい。水系溶媒としては、例えば、水、アルコールと水との混合媒等が挙げられる。有機系溶媒としては、例えば、
ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類;
キノリン、ピリジン等の複素環化合物;
アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;
酢酸メチル、アクリル酸メチル等のエステル類;
ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン等のアミン類;
ジエチルエーテル、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;
N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;
ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;
等が挙げられる。
正極集電体の材質としては特に制限されず、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料; カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
集電体と正極活物質層の厚さの比は特には限定されないが、(電解液注液直前の片面の正極活物質層の厚さ)/(集電体の厚さ)の値が20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、最も好ましくは10以下であり、また、0.5以上が好ましく、より好ましくは0.8以上、最も好ましくは1以上の範囲である。この範囲を上回ると、高電流密度充放電時に集電体がジュール熱による発熱を生じる場合がある。上記範囲であると、高電流密度充放電時の集電体の発熱を抑制し、電池容量を確保することができる。
本発明の非水系電解液を用いる場合、高出力かつ高温時の安定性を高める観点から、正極活物質層の面積は、電池外装ケースの外表面積に対して大きくすることが好ましい。具体的には、二次電池の外装の表面積に対する正極の電極面積の総和が面積比で15倍以上とすることが好ましく、さらに40倍以上とすることがより好ましい。
外装ケースの外表面積とは、有底角型形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分の縦と横と厚さの寸法から計算で求める総面積をいう。有底円筒形状の場合には、端子の突起部分を除いた発電要素が充填されたケース部分を円筒として近似する幾何表面積である。
正極の電極面積の総和とは、負極活物質を含む合材層に対向する正極合材層の幾何表面積であり、集電体箔を介して両面に正極合材層を形成してなる構造では、それぞれの面を別々に算出する面積の総和をいう。
正極板の厚さは特に限定されないが、高容量かつ高出力の観点から、芯材の金属箔厚さを差し引いた合材層の厚さは、集電体の片面に対して、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上で、また、好ましくは500μm以下、より好ましくは450μm以下である。
上記正極板の表面に、これとは異なる組成の物質が付着したものを用いてもよい。表面付着物質としては酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ホウ素、酸化アンチモン、酸化ビスマス等の酸化物、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、炭素等が挙げられる。
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、本発明の非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、本発明の非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
上記の独立した薄膜形状以外に、樹脂製の結着材を用いて上記無機物の粒子を含有する複合多孔層を正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子を、フッ素樹脂を結着材として多孔層を形成させることが挙げられる。
<電極群>
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
電極群占有率が、上記範囲であると、電池容量を確保できるとともに内部圧力の上昇に伴う充放電繰り返し性能や高温保存等の特性低下を抑制し、さらにはガス放出弁の作動を防止することができる。
集電構造は、特に制限されないが、配線部分や接合部分の抵抗を低減する構造にすることが好ましい。
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
上記ラミネートフィルムを用いる外装ケースでは、樹脂層同士を熱融着することにより封止密閉構造とするもの等が挙げられる。シール性を上げるために、上記樹脂層の間にラミネートフィルムに用いられる樹脂と異なる樹脂を介在させてもよい。特に、集電端子を介して樹脂層を熱融着して密閉構造とする場合には、金属と樹脂との接合になるので、介在する樹脂として極性基を有する樹脂や極性基を導入した変成樹脂が好適に用いられる。また、外装体の形状も任意であり、例えば円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。
上記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
本発明のスルホン酸エステルの製造方法に制限は無いが、例えば、2−クロロエタンスルホニルクロリドと2−プロピン−1−オールやエチレングリコールなどのアルコールを含む溶液にトリエチルアミンなどの塩基を加えて反応させることにより、合成することができる。
上記の合成反応に用いる塩基としては、本発明のスルホン酸エステルを得ることができる限り任意であるが、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、2−6−ルチジンなどを用いることができる。なお、塩基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、原料である2−クロロエタンスルホニルクロリドと塩基の比率も、本発明のスルホン酸エステルを得ることができる限り任意であるが、「(2−クロロエタンスルホニルクロリドのモル量)/(塩基)」で表される比率で、比率で、通常0.3以上、好ましくは0.4以上、また、通常0.7以下、好ましくは0.6以下とすることが望ましい。この範囲の下限を下回ると系内で余剰の塩基によるスルホン酸エステルの分解反応が生じ、目的物の収率が低下し、上限を上回ると反応が未完了となり、目的物の収率が低下する虞がある。
本実施例に使用した不飽和スルホン酸エステルを以下に示す。
氷冷下、50gの2−クロロエタンスルホニルクロリドと18.9gの2−プロピン−1−オールを含むジクロロメタン溶液に、62.1gのトリエチルアミンをゆっくりと滴下した後、攪拌した。生じた沈殿をろ別し、得られた液体を蒸留することで、式(i)に示した化合物(i)(ビニルスルホン酸エステル)を合成した。
2.65−2.66(m,1H,−C≡CH),
4.78(s,2H,−CH 2 −C≡CH),
6.15−6.48(m,2H,CH 2 =CH−),
6.59−6.66(m,1H,CH2=CH−).
57.69(s,1C,O−C−C≡C),
75.55(s,1C,−C−C≡C),
77.85(s,1C,−C−C≡C),
130.62(s,1C,C=C−),
132.90(s,1C,C=C−).
※13C−NMR:内部基準として軽クロロホルムの炭素を77.16ppmとした。
氷冷下、16.3gの2−クロロエタンスルホニルクロリドと3.1gのエチレングリコールを含むジクロロメタン溶液に、21.8gのトリエチルアミンをゆっくりと滴下した後、攪拌した。生じた沈殿をろ別し、得られた液体を蒸留することで、式(ii)に示した化合物(ii)(ビス(ビニルスルホン酸エステル))を合成した。
4.35(s,4H,O−CH 2 −CH 2 −O),
6.20−6.48(m,4H,CH 2 =CH−),
6.56−6.66(m,2H,CH2=CH−).
67.43(s,2C,O−C−C−O),
131.46(s,2C,C=C−),
131.94(s,2C,C=C−).
※13C−NMR:内部基準として軽クロロホルムの炭素を77.16ppmとした。
合成例Aにおいて、18.9gの2−プロピン−1−オールを用いた代わりに、23.6gの2−ブチン−1−オールを用いた以外は、同様の合成法で化合物(iii)を合成した。
合成例Aにおいて、18.9gの2−プロピン−1−オールを用いた代わりに、19.6gのアリルアルコールを用いた以外は、同様の合成法で化合物(iv)を合成した。
氷冷下、43.1gのアリルスルホニルクロライドと18.9gの2−プロピン−1−オールを含むジクロロメタン溶液に、31.0gのトリエチルアミンをゆっくりと滴下した後、攪拌した。生じた沈殿をろ別し、得られた液体を蒸留することで、化合物(v)を合成した。
合成例Fにおいて、43.1gのアリルスルホニルクロライドを用いた代わりに、35.1gのメタンスルホニルクロライドを用いた以外は、同様の合成法で化合物(viii)を合成した。
合成例Gにおいて、19.6gのアリルアルコールを用いた代わりに、18.9gの2−プロピン−1−オールを用いた以外は、同様の合成法で化合物(ix)を合成した。
合成例Aにおいて、18.9gの2−プロピン−1−オールを用いた代わりに、10.8gのメチルアルコールを用いた以外は、同様の合成法で化合物(x)を合成した。
合成例Fにおいて、18.9gの2−プロピン−1−オールを用いた代わりに、19.6gのアリルアルコールを用いた以外は、同様の合成法で化合物(xi)を合成した。
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合物(体積比30:70)に、乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して基本電解液を調製した。この基本電解液に、表1に記載の割合で化合物を添加し、それぞれ参考例1〜5、実施例6及び比較例1〜7に用いる電解液とした。
ここで、化合物(i)〜(v)、(viii)、(x)および(xi)は上記の手順で合成し、化合物(vi)および(vii)は、東京化成工業(株)の市販品により得た。
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)1.5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ21μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
負極活物質としてグラファイト粉末100質量部に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウムの水性ディスパージョン(カルボキシメチルセルロースナトリウムの濃度1質量%)1質量部、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度50質量%)1質量部を加え、ディスパーザーで混合してスラリー化した。このスラリーを厚さ12μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして負極とした。
上記の正極、負極、及びポリエチレン製のセパレータを、負極、セパレータ、正極、セパレータ、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正・負極の端子を突設させながら挿入した後、非水系電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状の非水系電解液電池を作製した。
非水系電解液電池を、ガラス板で挟んで加圧した状態で、25℃において、0.2Cに相当する電流で4.1Vまで定電流充電した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電し、さらに0.2Cに相当する電流で4.33Vまで定電流−定電圧充電(以下適宜、「CCCV充電」という)(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで放電して電池を安定させた。次いで、0.2Cで4.33VまでCCCV充電(0.05Cカット)した後、0.2Cで3Vまで再度放電し、初期放電容量を求めた。
初期容量評価を行った後の非水系電解液電池を、45℃において、0.2Cで4.33VまでCCCV充電(0.05Cカット)を行った後、85℃、24時間の条件で高温保存を行った。電池を十分に冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、保存前後の体積変化から発生ガス量を求めた。次に、25℃において0.2Cで3Vまで放電させ、高温保存特性評価後の残存容量を測定し、初期放電容量に対する残存容量の割合を求め、これを高温保存後の残存容量(%)とした。再度、0.2Cで4.33VまでCCCV充電(0.05Cカット)を行い、0.2Cで3Vまで放電させ、高温保存特性評価後の0.2C放電容量を測定し、初期放電容量に対する0.2C放電容量の割合を求め、これを高温保存後の回復容量(%)とした。
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、MFECとエチレンカーボネート(EC)とDMCとの混合物(体積比10:10:80)に、非水系電解液中の含有量としてスクシノニトリル1質量%を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して基本電解液を調製した。この基本電解液に、表2および3に記載の割合で化合物(i)又は(iii)〜(v)を添加し、それぞれ実施例7〜13または参考例14に用いる電解液として、比較例8〜10と比較した。
なお、正極・負極・二次電池は参考例1と同様の手順で作製した。
参考例1において、4.33VまでCCCV充電するのに代えて、4.35VまでCCCV充電した以外、同様の条件にて評価を実施した。
参考例1において、4.33VまでCCCV充電するのに代えて、4.35VまでCCCV充電した。また、85℃、24時間の条件で高温保存を行うのに代えて、75℃、72時間の条件で高温保存を行った。それ以外は、同様の条件にて評価を実施した。
初期容量評価を行った後の非水系電解液電池を、45℃において、0.5Cで4.4VまでCCCV充電した後、0.5Cで3Vまで定電流放電する過程を1サイクルとして、50サイクル実施した。
(50サイクル目の放電容量)÷(1サイクル目の放電容量)×100
の計算式から、50サイクル後放電容量維持率を求めた。
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、ECとエチルメチルカーボネート(EMC)との混合物(体積比30:70)に、十分に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して基本電解液を調製した。この基本電解液に、表4に記載の割合で化合物を添加し、それぞれ参考例15〜17及び比較例11、12に用いる電解液とした。
参考例1において、正極活物質としてLiCoO2を97質量%と、導電材としてアセチレンブラック1.5質量%と、結着材としてPVdF1.5質量%とを用いた代わりに、LiCoO294質量%と導電材としてアセチレンブラック3質量%と、結着材としてPVdF3質量%とを用いた以外、参考例1と同様に正極を作製した。
なお、負極・二次電池は参考例1と同様の方法で作製した。
参考例1において、4.33VまでCCCV充電するのに代えて、4.2VまでCCCV充電した以外、同様の手法で実施した。
参考例1において、4.33VまでCCCV充電するのに代えて、4.2VまでCCCV充電した。また、85℃、24時間の条件で高温保存を行うのに代えて、85℃、72時間の条件で高温保存を行った。それ以外は、参考例1と同様に実施した。
また、式(1)の化合物に変えてアルカンスルホン酸アルキニル化合物を用いた場合(比較例12)は、高温保存時の発生ガス抑制ならびに残存容量・回復容量向上の両方を同時に満たすことができず、添加剤として不十分であることが分かる。
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下ECとEMCとジエチルカーボネート(DEC)との混合物(体積比20:30:50)に、非水系電解液中の含有量としてビニレンカーボネート(VC)2質量%を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して基本電解液を調製した。この基本電解液に、表5に記載の割合で化合物を添加し、それぞれ参考例18及び比較例13に用いる電解液とした。
なお、正極・負極・二次電池は参考例15と同様に作製した。
[非水系電解液の調製]
乾燥アルゴン雰囲気下、ECとDMCとEMCとの混合物(体積比30:30:40)、または、MFECとDMCとEMCとの混合物(体積比30:30:40)に、十分に乾燥したLiPF6を1mol/Lの割合となるように溶解して基本電解液を調製した。この基本電解液に、表6に記載の割合で化合物を添加し、それぞれ参考例19〜23及び比較例14〜16に用いる電解液とした。
正極活物質としてLi(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O2を90質量%と、導電材としてアセチレンブラック5質量%と、結着材としてPVdF5質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で、ディスパーザーで混合してスラリー化した。これを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、プレスして正極とした。
なお、負極・二次電池は参考例1と同様に作製した。
参考例1において、4.33VまでCCCV充電するのに代えて、4.4VまでCCCV充電した以外、同様の条件で評価を実施した。
初期容量評価を行った後の非水系電解液電池を、60℃において、2Cで4.4VまでCC充電した後、2Cで3Vまで定電流放電する過程を1サイクルとして、300サイクル実施した。
(300サイクル目の放電容量)÷(1サイクル目の放電容量)×100の計算式から、300サイクル後放電容量維持率を求めた。
本出願は2010年10月18日出願の日本特許出願(特願2010−233513)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
具体例としては、例えば、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、バイク、原動機付自転車、自転車、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、電動工具、ストロボ、カメラ、負荷平準化用電源、自然エネルギー貯蔵電源等が挙げられる。
Claims (8)
- リチウム塩と非水系有機溶媒を含む二次電池用非水系電解液であって、該非水系電解液が、式(1)で示されるスルホン酸エステル、並びに前記非水系電解液に対して0.001質量%以上10質量%以下のイソシアネート化合物および前記非水系電解液に対して0.001質量%以上10質量%以下のニトリル化合物の少なくともいずれか一方を含有する二次電池用非水系電解液。
(式中、Lは置換基を有してもよいZ価の有機基を表し、
Rはビニル基を表す。
Zは1以上の整数であり、Zが2以上の場合は、複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。
ただし、Lがアルキル基である場合を除く。尚、RとLは互いに結合して環を形成しない。) - 前記式(1)中、Lが置換基を有してもよいアルキレン基、アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基、及びアルキニレン基よりなる群から選ばれるいずれかの有機基である請求項1に記載の二次電池用非水系電解液。
- 前記式(1)中、Lは置換基を有してもよいアルキレン基、ビニル基、アルケニレン基、アルキニル基、及びアルキニレン基よりなる群から選ばれるいずれかの有機基である請求項1に記載の二次電池用非水系電解液。
- 前記式(1)で示されるスルホン酸エステルを0.001〜10質量%含有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二次電池用非水系電解液。
- 更に、フッ素原子を有する環状カーボネート、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート、モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩、環状スルホン酸エステルおよびオキサラート塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二次電池用非水系電解液。
- 前記フッ素原子を有する環状カーボネートを1〜50質量%含有する請求項5に記載の二次電池用非水系電解液。
- 前記フッ素原子を有する環状カーボネートが、モノフルオロエチレンカーボネート、4,4−ジフルオロエチレンカーボネート、4,5−ジフルオロエチレンカーボネート、及び4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項5または6に記載の二次電池用非水系電解液。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極及び正極、並びに非水系電解液を含む非水系電解液電池であって、該非水系電解液が請求項1乃至7のいずれか1項に記載の二次電池用非水系電解液である非水系電解液電池。
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