JP6036270B2 - 蒸着装置及び蒸着方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、減圧雰囲気とする蒸着室内に設けた固定部に基板を固定し、蒸着源より発生する成膜材料が基板上に堆積して薄膜が形成されるように構成した蒸着装置において、蒸着源をX,Y,Z,θ方向などの異なる複数方向に若しくはこれら複数方向の合成方向に移動させる蒸着源移動機構を設けて、この蒸着源移動機構により蒸着時に蒸着源を基板に対して移動させるように構成し、蒸着源に膜厚センサー若しくはモニターを配設して、蒸着源移動機構により蒸着源と共に移動して常に膜厚レートを測定若しくはモニターして蒸着状況を把握できるように構成した蒸着装置に関する技術が開示されている。
点状蒸発源は、大面積の基板に成膜を行う場合、基板面の2次元方向に複雑な走査を必要とするのに対し、線状蒸発源は、複雑な走査を必要とせず、そのため大面積の基板に均一な成膜をするのにより適した形態である。
また、特許文献3には、所定の成膜対象物に対して有機材料の薄膜を形成するための真空槽と、所定の蒸着材料の蒸気が通過する細長形状の蒸発口を有し、真空槽内において成膜対象物に対して蒸発口の幅方向へ相対的に移動するように配設された蒸発源と、蒸発源を、成膜対象物に対して成膜を行わない待機位置と成膜対象物に対して成膜を行う成膜位置との間で相対的に移動させる移動機構と、待機位置での蒸発源の成膜速度を検出するための膜厚センサとを有し、膜厚センサが、待機位置での蒸発源の成膜速度が安定したことを検出した後、移動機構が蒸発源を成膜位置に移動させ、成膜位置では蒸発源の温度を保持して成膜対象物に成膜を行う構成とした薄膜形成装置に関する技術が開示されている。
特に、線状蒸発源では、点状蒸発源の場合と比較して材料の蒸発速度が高くなるため、膜厚計測手段の交換、修繕の頻度が増し、維持効率が悪化するという問題がある。線状蒸発源においては、線状の放出口に沿って多数の膜厚計測手段の設置が必要となる場合があるため、膜厚計測手段の維持効率の問題は、点状蒸発源の場合と比較して、より顕著に現れることになる。
また、多数の膜厚計測手段の設置により蒸着粒子の拡散領域に死角が生じるため、多元蒸着を行う場合をはじめとして、幾何条件変動による蒸着量のむらを生じる可能性が高くなる。
このような技術では、搬送手段の移動速度の変化に対応できるように、基板を一定の間隔を空けて搬送する必要が生じる。そのため、連続的に有機層を形成する効率は低下する虞がある。
また、蒸着源に対向する位置を通過していく基板に精密な膜厚で蒸着しようとすると、蒸着速度を常時ないし頻繁に検出する必要が生じてくるため、膜厚の制御と膜厚計測手段の維持効率とは、トレードオフの関係となってしまう。
このような技術では、蒸発源が移動を開始した後、経時的な蒸着レートの変動が生じた場合にその影響を避けられず、膜厚の制御を適切に行うことができない。
図1は、第1の実施形態に係る蒸着装置1の構成図である。この蒸着装置1は、気化した蒸着材料を放出する蒸発源を、基材に対して相対移動させて成膜する蒸着装置であって、蒸発源を基材に対して往復動させる間に往路及び復路の両方において蒸着を行う装置である。
基材に対して実際に蒸着する蒸着材料の量は、蒸発源が往復動する間に変動することがあるため、基材上に、成膜しようとする所定の厚さの膜が形成されないことがある。
そこで、この蒸着装置1では、蒸着材料の蒸着速度は、往復動の折り返しが行われる中間位置で計測され、この蒸着速度に基づいて往路における実効蒸着量が算出される。そして、実効蒸着量の目標蒸着量に対する差分を往復動の復路において蒸着させることにより、所定の厚さの膜が高精度で成膜される。
この蒸着装置1では、往路における実効蒸着量の目標蒸着量に対する差分は、復路における蒸発源の移動速度が、往路における実効蒸着量に基づいた速度に変更されることにより復路蒸着量が調整されて達成される。
このような蒸着装置1は、往復動の復路の移動速度によって復路蒸着量が調整される蒸発源によって、有機EL素子の発光層を形成するホスト材料やドーパント材料を蒸着するように運転することができる。そして、所定の厚さの膜を成膜することが要求される有機EL素子の発光層等を高精度で成膜することができる。
蒸着装置1は、主に、蒸発源10と、蒸着室20と、蒸発源移動手段(30,31,32)と、第1の蒸着速度計測手段41と、第2の蒸着速度計測手段42と、蒸着量制御部50と、を含むように構成される。
また、この蒸着室20内で稼働される、蒸発源移動手段(30,31,32)と、第1の蒸着速度計測手段41と、第2の蒸着速度計測手段42の主要部が、共に蒸着室20内に収容された構造を有している。これらの蒸発源移動手段(30)、第1の蒸着速度計測手段41、及び第2の蒸着速度計測手段42には、図1に破線で示されるとおり、信号線を介して蒸着量制御部50が接続されている。
また、蒸着室20内には、図示しない開閉自在な遮蔽手段が備えられており、基材5側の上部と蒸発源10側の下部が隔離されることで、蒸着の開始前及び終了後に蒸着材料が基材5へ付着するのを規制できるように構成されている。
本実施形態で蒸着が行われる基材5は、平板状やフィルム状やシート状に形成される枚葉基材又は長尺基材のいずれでもよく、ロール状に巻回され得る可撓性の長尺基材に蒸着を行う場合には、基材固定手段6として、円筒状の搬送ロールを用いてもよい。例えば、図1の手前側に長尺基材の元巻ロールを配置し、長尺基材のロールを図示しない搬送手段によって回動させて、蒸発源10の往復動軌道上に供給する。次に、供給された長尺基材を往復動軌道上で停止させて固定した後、蒸発源10を稼働させて蒸着を行い、その後、搬送手段によりロールを所定量回動させて、長尺基材の蒸着が行われた領域を往復軌道上から搬出してロール状に巻取ると共に、蒸着が未だ行われていない領域を新たに往復軌道上に供給する。このような一連の工程を繰り返し行うことによって、所謂ロールツーロールの形態で蒸着を行うことができる。
蒸発源10は、蒸着材料の放出口11を有し、加熱手段12と、蒸着材料容器13と、を含むように構成される。
本実施形態における蒸発源10は、所謂ラインソースであり、図1における奥行き方向に所定長さを有する線状の放出口11を有している。この放出口11は、基材5に対向するように蒸着室10の上方に向けて開口しており、放出口11の長さは、基材5の幅(図1における奥行き方向の長さ)と略同じ長さとされている。そのため、蒸発源10が図1の矢印方向に往復動することによって、基材5の蒸着面の全体に蒸着材料が蒸着される。
この加熱の方式としては、蒸着材料の物性に応じて高周波誘電加熱、抵抗加熱、誘導加熱、電子線照射等適宜の方式が用いられるが、相対移動する蒸発源に適した高周波誘電加熱、抵抗加熱、高周波誘導加熱による方式が好ましい。誘電体の加熱に用いられる高周波誘電加熱による方式では、蒸着材料を挟むように電極材が配され、電極材間に高周波交流電圧を印加する電源が接続される。また、蒸着材料の融点が比較的低い場合に用いられる抵抗加熱による方式では、タンタルやタングステンやモリブデンやこれらの合金で形成された金属性蒸着材料容器、あるいは蒸着材料の周囲に配された抵抗体に負荷電流を流す電源が接続される。また、導体の加熱に用いられる高周波誘導加熱による方式では、コイル内に蒸着材料が置かれ、コイルに高周波電源が接続される。蒸着材料が誘電体である場合は、蒸着材料に高融点の導体を添加することによって間接的に加熱を行ってもよい。
蒸着材料容器13の材質は、タンタルやタングステンやモリブデンやこれらの合金、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムや炭化珪素やジルコニア等のセラミック、あるいはグラファイト等から、加熱手段に採用される加熱方式や蒸着材料の物理的性質又は化学的性質に応じて適宜選択される。
この放出口11は、図1に示されるように、蒸着材料容器13と一体化された筺体の外面に形成されることによって、放出流路をなす筺体内壁を介して蒸着材料容器13と接続されてもよいが、蒸着材料容器13と別体のヘッドに形成されることによって、放出流路をなす配管を介して蒸着材料容器13と接続されてもよい。
蒸発量調節手段60の開閉機構には、開度を検出する磁気式又は光学式のエンコーダで構成される図示しない開度検出手段が備えられており、所定の蒸着材料放出量となる開度がフィードバック制御されている。この蒸着装置1においては、蒸発源10が往復動をしている間は、開閉機構の開度は一定に制御される。
蒸発源移動手段は、図1において、蒸発源10の往復動を駆動する駆動部30と、蒸発源10の移動を直線状に案内する案内部32と、蒸発源10を保持して案内部32上で往復動を行う可動子31により構成されている。この蒸発源移動手段としては、具体的には、リニアモータ機構や、ボールねじとサーボモータによる機構等が用いられる。
蒸発源移動手段の駆動部30は、図1に破線で示されるとおり、信号線を介して蒸着量制御部50と接続されており、蒸着量制御部50からの制御入力に基づいて、設定された速度で往復動を行うように制御されている。
蒸発源10の往復動は、基材5の一端の直下から他端の直下までを含む区間で行われ、この区間において、放出口11の基材5への投影が、基材5の蒸着面を走査するように稼働されて蒸着が行われる。この蒸発源移動手段(30,31,32)は、基材の一端の直下から他端の直下までの区間においては、蒸発源10が等速で移動するように制御される。
図2に示されるとおり、蒸発源10は、往復動の開始位置P1から移動を開始し、基材5の蒸着面の一端の直下を通過して、蒸着面を走査する間等速で移動する。その後、蒸着面の他端の直下を通過して、往復動の折り返し位置である中間位置P2に移動する。
開始位置P1は、往復動の往路における移動開始位置、且つ往復動の復路における移動終了位置となり、中間位置P2は、往復動の復路における移動開始位置、且つ往復動の往路における移動終了位置となる。開始位置P1と中間位置P2は、通常、蒸着される基材の両外端より外側とされる。
この蒸発源移動手段には、蒸発源10の往復動軌道上の位置を検出する、磁気式又は光学式のエンコーダで構成される図示しない蒸発源位置検出手段が備えられており、蒸発源位置検出手段は、所定の移動速度で可動子31が稼働されるようにフィードバック制御される。
本実施形態では、蒸着速度計測手段は、蒸発源10の往復動の開始位置P1における蒸着材料の蒸着速度を計測する第1の蒸着速度計測手段41と、往復動の中間位置P2における蒸着材料の蒸着速度を計測する第2の蒸着速度計測手段42とから構成される。
蒸着速度計測手段41,42は、蒸着材料が単位時間当たりに基材5に付着すると見込まれる量を測定することにより、蒸着材料の蒸着速度(所謂蒸着レート)を間接的に計測する計測器である。具体的には、水晶振動子等を備えた非接触式の膜厚計が用いられる。
これらの蒸着速度計測手段は、蒸発源10の往復動の開始位置P1と中間位置P2のそれぞれにおいて、基材近傍であって、蒸発源10に対する距離が基材と同様の距離となるように離間した位置に配置されている。
本実施形態では線状蒸発源を用いるため、蒸発源10の放出口11の長手方向(図1における奥行き方向)に沿った蒸着速度が監視されていることが好ましい。そのため、第1の蒸着速度計測手段41と、第2の蒸着速度計測手段42とは、蒸発源10の放出口11の長手方向に沿ってそれぞれ複数体が備えられていてもよい。
また、蒸着速度計測手段41,42は、蒸着材料の基材5への付着を妨げない位置に配置され、各計測手段の測定子に対する蒸着材料の入射方向が、蒸発源10の往復動の開始位置P1と中間位置P2のそれぞれに限定されるように必要に応じて防着板で仕切られる。あるいは、蒸着速度計測手段に蒸着材料が入射する時期を管理できるように、測定子の開閉を制御するシャッタが備えられる。
これらの第1の蒸着速度計測手段41及び第2の蒸着速度計測手段42は、図1に破線で示されるとおり、信号線を介して蒸着量制御部50と接続されている。
蒸着量制御部50は、演算回路、入出力回路、フィルタ、I/F、A/D及びD/A変換回路等からなる蒸発源移動手段の移動速度の目標値を生成する目標速度生成系と蒸発源移動手段のフィードバック制御を行う蒸発源移動手段制御系とを備えている。
目標速度生成系は、初期値の入力や蒸着速度計測手段が出力する計測信号を受け付け、蒸着速度や移動速度や蒸着量の演算を行い、生成した移動速度の目標値を蒸発源移動手段制御系に出力するように構成されている。
蒸発源移動手段制御系は、蒸着量制御部50に接続される操作部から入力される目標値や目標速度生成系が生成する目標値の入力を受け付け、蒸発源移動手段が備える蒸発源位置検出手段が出力する位置計測信号をフィードバックしてPID演算等の制御演算を行い、制御信号を蒸発源移動手段に出力するように構成されている。
また、蒸発源10の蒸着材料容器13には、基材5に蒸着される蒸着材料が貯留されており、この蒸着材料の物性情報、例えば密度情報は、蒸着速度計測手段に記憶されている。
そして、蒸着速度計測手段、あるいは蒸着量制御部50には、蒸着装置の校正運転において取得される成膜プロファイルから算出される補正係数が、蒸着速度計測手段の計測値を校正する設定情報として記憶されている。
蒸発源移動速度(V)は、基材5に成膜される膜厚に相当する蒸着量(D)と、蒸着速度計測手段が計測する蒸着速度(R)とを用いて次の式1のように表わされる。
D=α*R/V・・・(式1)
(式中、αは、補正係数を表す。)
そこで、校正運転において、所定の蒸発源移動速度(V)及び蒸着速度(R)の下で、試料基材に対する蒸着を行い、試料基材に成膜された膜厚を、例えば触針式の膜厚計や光学式の膜厚計を用いて実測することによって、蒸着量(D)の値が取得される。そして、得られた蒸着量(D)と、蒸発源移動速度(V)、蒸着速度(R)の値から、式1に基づいて補正係数αが算出される。なお、以降の説明では、蒸着速度計測手段の計測値は補正係数により校正されていない値とする。
本実施形態では、1回の往復動における往路と復路の両方で蒸着を行うため、蒸発源の往復動の往路において基材5に蒸着される往路蒸着量(D1)と、蒸発源の往復動の復路において基材5に蒸着される復路蒸着量(D2)とを合算した値が、目標蒸着量(Dd)となる。そのため、目標往路蒸着量(D10)としては、1回の往復動において成膜するべき目標蒸着量(Dd)と等しい値や、往路と復路で等分された成膜が行われるように目標蒸着量(Dd)の50%程度の値や、蒸着速度の変動に対する微調整が容易となるように、目標蒸着量(Dd)の60〜90%程度の値が設定される。
目標往路蒸着量(D10)が設定されると、通常運転における、蒸発源移動速度(V)の初期値となる往路移動速度(V1)と、蒸着速度(R)の初期値となる往路蒸着速度(R10)の目標値が、次の式2で表わされる関係を満たすように設定される。
D10=α*R10/V1・・・(式2)
設定される往路移動速度(V1)及び往路蒸着速度(R10)の目標値としては、成膜の効率、装置の性能等が加味されて、適宜の値が選択される。
図2は、第1の実施形態に係る蒸着装置の動作を示す図である。
図2(a)に示されるように、運転開始時には、蒸発源10は、第1の蒸着速度計測手段41の下方の開始位置P1に停止しており、蒸着室20内に放出された気化した蒸着材料は、第1の蒸着速度計測手段41の測定子に入射して蒸着速度が計測され、第1の蒸着速度計測手段41が出力する蒸着速度の計測信号は、蒸着量制御部50に入力される。
ここで計測される蒸発源10の往復動の開始位置P1における蒸着材料の蒸着速度(開始位置蒸着速度(R1))は、基材5に単位時間当たり成膜される見込みの膜厚の値を示している。この開始位置蒸着速度(R1)は、事前に設定された往路蒸着速度(R10)に一致するように、開始位置P1において加熱手段12の出力により調節される。
その後、往路蒸着速度(R10)が目標値に達すると、基材5を蒸発源10から隔離している遮蔽手段が開放され、気化した蒸着材料の基材5への放出が開始される。
蒸発源移動手段の駆動部30が作動すると、図2(a)に示されるように、可動子31に支持された蒸発源10が、設定された往路移動速度(V1)となるように、案内部32に沿って往復動の中間位置P2の方向に移動を開始する。
そして、可動子31に支持される蒸発源10は、開始位置P1から基材5の一端の直下を通過するまでに、往路移動速度(V1)が目標値に略達する等速となり、基材5の一端の直下から他端の直下までの区間で基材5の蒸着面を走査して基材5に対して蒸着を行う。
その後、蒸発源10は基材5の直下を通過して往復動の折り返し位置である中間位置P2に到達する。
図2(b)に示されるように、蒸発源10が、第2の蒸着速度計測手段42の下方の中間位置P2に到達すると、蒸発源10から放出された蒸着材料は、第2の蒸着速度計測手段42の測定子に入射して蒸着速度が計測され、第2の蒸着速度計測手段42が出力する蒸着速度の計測信号は、蒸着量制御部50に入力される。
ここで計測される蒸発源10の往復動の中間位置P2における蒸着材料の蒸着速度(中間位置蒸着速度(R2))は、通常、蒸着量が変動して開始位置蒸着速度(R1)とは異なる値となる。一般には、中間位置蒸着速度(R2)の値が、開始位置蒸着速度(R1)の値を下回る傾向にある。
蒸発源10は、往復動の往路においては、所定の目標値に制御された往路移動速度(V1)で、開始位置蒸着速度(R1)と等しい一定の蒸着速度(往路蒸着速度(R10))の蒸着を行うと仮定されて、事前に設定された目標往路蒸着量(D10)を達成するように運転されている。
しかしながら、往復動の中間位置P2において計測される蒸着材料の蒸着速度(中間位置蒸着速度(R2))は、蒸着量が変動して開始位置蒸着速度(R1)とは異なる値となっている。
蒸発源10の往路移動速度(V1)を用いると、往路蒸着量(D1)の実効値は次の式3で求められる。
D1=α*E(R2)/V1・・・(式3)
(式中、E(R2)は、計測された蒸着速度(R2,R1)の平均を表す。)
目標復路蒸着量(D20)を用いると、復路移動速度(V2)は次の式4で示される。
V2=α*R2/D20=D1/(Dd−D1)*V1・・・(式4)
蒸着量制御部50は、このような往路移動速度(V1)と復路移動速度(V2)の関係に基づいて、復路移動速度(V2)の目標値を生成すると、蒸発源移動手段に制御信号を出力する。
制御信号を受け付けた蒸発源移動手段の駆動部30が作動すると、可動子31に支持された蒸発源10が、蒸着量制御部50が目標値として設定した復路移動速度(V2)で、案内部32に沿って往復動の開始位置P1の方向に移動を開始する。
蒸発源10は、中間位置P2から基材5の一端の直下を通過するまでに、復路移動速度(V2)が目標値に略達する等速となり、基材5の一端の直下から他端の直下までの区間で基材5の蒸着面を走査して基材5に対して再度蒸着を行う。
そして、図2(c)に示されるように、蒸発源10は、基材5の直下を通過し、往復動の開始位置P1に戻る。
このように、基材5に対して蒸発源10が往復動することによって、往路及び復路の両方において蒸着が行われると、基材5への蒸着が終了される。蒸着室20内に備えられる遮蔽手段が閉塞されることにより基材5への蒸着材料の付着が規制され、蒸着された基材5は搬出される。
このような運転では、往復動の開始位置P1では、再び、第1の蒸着速度計測手段41により、往復動の開始位置P1における蒸着材料の蒸着速度が計測される。
蒸発源10は、往復動の復路においては、所定の目標値に制御された復路移動速度(V2)で、中間位置蒸着速度(R2)と等しい一定の蒸着速度の蒸着を行うと仮定されて、事前に設定された目標復路蒸着量(D20)を達成するように運転されている。
しかしながら、往路においてと同様、往復動の開始位置P1において再び計測される蒸着材料の蒸着速度(開始位置蒸着速度(R1n))は、蒸着量が変動して中間位置蒸着速度(R2)とは異なる値となる。一般には、開始位置蒸着速度(R1n)の値が、中間位置蒸着速度(R2)の値を下回る傾向にある。
蒸発源10の復路移動速度(V2)を用いると、復路蒸着量(D2)の実効値は次の式5で示される。
D2=α*E(R1n)/V2・・・(式5)
(式中、E(R1n)は、計測された蒸着速度(R1n,R2)の平均を表す。)
そのため、往路において基材5に成膜するべき目標往路蒸着量(D10n)としては、再度の往復動において成膜するべき蒸着量差分(Ddn)と等しい値や、往路と復路で等分された成膜が行われるように蒸着量差分(Ddn)の50%程度の値や、蒸着レートの変動による誤差が低減されるように、蒸着量差分(Ddn)の60〜90%程度の値となる量が再度設定される。
目標往路蒸着量(D10n)を用いると、往路移動速度(V1n)は次の式6で示される。
V1n=α*R1n/D10n・・・(式6)
そして、往復動の中間位置P2では、再び、蒸発源10から放出されている蒸着材料は、第2の蒸着速度計測手段42により、往復動の中間位置P2において中間位置蒸着速度(R2n)を計測される。
V2n=D1n/(Ddn−D1n)*V1n・・・(式7)
蒸着量制御部50は、このような往路移動速度(V1n)と復路移動速度(V2n)の関係と、式3に準じて算出される往路蒸着量(D1n)の実効値とに基づいて、復路移動速度(V2n)の目標値を生成すると、蒸発源移動手段に制御信号を出力する。
そして、蒸発源10は、往復動の開始位置P1に再び戻り、蒸着量制御部50によって、初回の往復動においてと同様に、成膜しようとする所定の厚さの膜が成膜されたかを判断される。
以下、同様の工程が繰り返されることにより所定の厚さの膜が成膜される。
また、蒸発源の往復動の往路と復路で分割して、所定の厚さの膜の成膜を行うことができるため、蒸着量の経時的変動や幾何学的条件変動による影響を低減することができる。
また、蒸着量を、蒸発源の移動速度で調整するため、既存の蒸着装置の構造を有効に利用することができる。
次に、本発明の一実施形態に係る蒸着装置と蒸着方法の他の形態について説明する。
このような蒸着装置2は、往復動の復路の移動速度によって復路蒸着量が調整される蒸発源によって、有機EL素子の発光層を形成するホスト材料やドーパント材料を蒸着するように運転することができ、所定の厚さの膜を成膜することが要求される有機EL素子の発光層を高精度で成膜することができる。
蒸着装置2は、蒸着装置1と同様に、主に、蒸発源10と、蒸着室20と、蒸発源移動手段(30,31,32)と、第1の蒸着速度計測手段41と、第2の蒸着速度計測手段42と、蒸着量制御部50と、を含むように構成される。
蒸着装置2では、図3に破線で示されるとおり、蒸着量制御部50には、第1の蒸着速度計測手段41、第2の蒸着速度計測手段42、蒸発源移動手段、蒸発源10から放出される蒸着材料の放出量を調節する蒸発量調節手段60が、信号線を介して接続されている。
蒸発量調節手段60は、信号線を介して蒸着量制御部50と接続されることにより、蒸着量制御部50からの制御入力に基づいて、開閉機構を所定開度に調節することによって、蒸着材料が蒸発源10から蒸着室内に放出される量を制御するように構成されている。
蒸着量制御部50は、演算回路、入出力回路、フィルタ、I/F、A/D及びD/A変換回路等からなる蒸発量調節手段60の開閉機構の開度の目標値を生成する目標開度生成系と蒸発源移動手段のフィードバック制御を行う蒸発源移動手段制御系と蒸発源調節手段60の開閉機構の開度のフィードバック制御を行う蒸発量調節手段制御系とを備えている。
目標開度生成系は、初期値の入力や蒸着速度計測手段が出力する計測信号を受け付け、蒸着速度や移動速度や蒸着量の演算を行い、生成した開度の目標値を蒸発量調節手段制御系に出力するように構成されている。
蒸発源移動手段制御系は、蒸着量制御部50に接続される操作部から入力される目標値の入力を受け付け、蒸発源移動手段が備える蒸発源位置検出手段が出力する位置計測信号をフィードバックしてPID演算等の制御演算を行い、制御信号を蒸発源移動手段に出力するように構成されている。
蒸発量調節手段制御系は、蒸着量制御部50に接続される操作部から入力される目標値や目標開度生成系が生成する目標値の入力を受け付け、蒸発量調節手段60の開閉機構が備える開度検出手段が出力する位置計測信号をフィードバックしてPID演算等の制御演算を行い、制御信号を蒸発量調節手段60に出力するように構成されている。
また、蒸発源10の蒸着材料容器13には、基材5に蒸着される蒸着材料が貯留されており、この蒸着材料の物性情報、例えば密度情報は、蒸着速度計測手段に記憶されている。
図4は、第2の実施形態に係る蒸着装置の動作を示す図である。
図4(a)に示されるように、運転開始時には、蒸発源10は、第1の蒸着速度計測手段41の下方の開始位置P1に停止しており、蒸着室20内に放出された気化した蒸着材料は、第1の蒸着速度計測手段41の測定子に入射して蒸着速度が計測され、第1の蒸着速度計測手段41が出力する蒸着速度の計測信号は、蒸着量制御部50に入力される。
ここで計測される蒸発源10の往復動の開始位置P1における蒸着材料の蒸着速度(開始位置蒸着速度(R1))は、基材5に成膜される見込みの膜厚の値を示している。この開始位置蒸着速度(R1)は、事前に設定された往路蒸着速度(R10)に一致するように、開始位置P1において加熱手段12の出力と蒸発量調節手段60の開閉機構の開度とにより調節される。
この蒸着装置2では、往路蒸着速度(R10)に一致するように制御された蒸発源10からの蒸着材料の放出量は、蒸発源10が中間位置P2に到達するまでは、往路において略一定になるように蒸発量調節手段60によって制御される。また、このときの蒸発量調節手段60の開閉機構の開度は、後工程において調節可能なように中程度に維持される。
その後、往路蒸着速度(R10)が目標値に達すると、基材5を蒸発源10から隔離している遮蔽手段が開放され、気化した蒸着材料の基材5への放出が開始される。
蒸発源移動手段の駆動部30が作動すると、図4(a)に示されるように、可動子31に支持された蒸発源10が、設定された往路移動速度(V1)となるように、案内部32に沿って往復動の中間位置P2の方向に移動を開始する。
そして、可動子31に支持される蒸発源10は、開始位置P1から基材5の一端の直下を通過するまでに、往路移動速度(V1)が目標値に略達する等速となり、基材5の一端の直下から他端の直下までの区間で基材5の蒸着面を走査して基材5に対して蒸着を行う。
その後、蒸発源10は基材5の他端を通過して往復動の折り返し位置である中間位置P2に到達する。
図4(b)に示されるように、蒸発源10が、第2の蒸着速度計測手段42の下方の中間位置P2に到達すると、蒸発源10から放出された蒸着材料は、第2の蒸着速度計測手段42の測定子に入射して蒸着速度が計測され、第2の蒸着速度計測手段42が出力する蒸着速度の計測信号は、蒸着量制御部50に入力される。
ここで計測される蒸発源10の往復動の中間位置P2における蒸着材料の蒸着速度(中間位置蒸着速度(R2))は、蒸着装置1においてと同様に、通常、蒸着量が変動して開始位置蒸着速度(R1)とは異なる値となる。一般には、中間位置蒸着速度(R2)の値が、開始位置蒸着速度(R1)の値を下回る傾向にある。
蒸着装置1においてと同様に、蒸発源10は、往復動の往路においては、所定の目標値に制御された往路移動速度(V1)で、開始位置蒸着速度(R1)と等しい一定の蒸着速度(往路蒸着速度(R10))の蒸着を行うと仮定されて、事前に設定された目標往路蒸着量(D10)を達成するように運転されている。
しかしながら、往復動の中間位置P2において計測される蒸着材料の蒸着速度(中間位置蒸着速度(R2))は、蒸着量が変動して開始位置蒸着速度(R1)とは異なる値となっている。
この蒸着装置2においては、復路における蒸発源10からの蒸着材料の放出量は、蒸発源10による復路蒸着量(D2)が、往路蒸着量(D1)の実効値と合算して目標蒸着量(Dd)に一致する蒸着量となるように制御される。また、蒸発源の移動速度は、往復動の往路と復路とで一定の速度に制御され、復路移動速度(V2)は、往路移動速度(V1)と同じ目標値が設定される。
目標復路蒸着量(D20)を用いると、復路で蒸着されるべき復路蒸着速度(R20)は次の式8で示される。
R20=D20/D1*R2=(Dd−D1)/D1*R2・・・(式8)
蒸着量制御部50は、このような中間位置蒸着速度(R2)と復路蒸着速度(R20)の関係と、式3に準じて往路移動速度を用いて算出される往路蒸着量(D1)の実効値とに基づいて復路蒸着速度(R20)を算出すると、復路蒸着速度(R20)を達成する蒸発量調節手段60の制御の目標値を生成し、蒸発量調節手段60に制御信号を出力する。
そして、第2の蒸着速度計測手段42により計測される中間位置蒸着速度(R2)が、復路蒸着速度(R20)に一致するように、中間位置P2において蒸発量調節手段60の開閉機構の開度が調節される。
蒸発源移動手段の復路移動速度(V2)は、往路移動速度(V1)と同じ速度に制御されると共に、蒸発源10からの復路における蒸着材料の放出量は、往路における放出量と異なる量に変更されて、図4(c)に示されるように、蒸発源10は、基材5の一端の直下から他端の直下までの区間で基材5の蒸着面を走査して基材5に対して再度蒸着を行い、往復動の開始位置P1に戻る。
このように、基材5に対して蒸発源10が往復動することによって、往路及び復路の両方において蒸着が行われると、基材5への蒸着が終了される。蒸着室20内に備えられる遮蔽手段が閉塞されることにより基材5への蒸着材料の付着が規制され、蒸着された基材5は搬出される。
このような運転では、往復動の開始位置P1では、再び、第1の蒸着速度計測手段41により、往復動の開始位置P1における蒸着材料の蒸着速度が計測される。
蒸着装置2において、蒸発源10は、往復動の復路においては、調整された中間位置蒸着速度(R2)と等しい一定の蒸着速度(復路蒸着速度(R20))の蒸着を行うと仮定されて、事前に設定された目標復路蒸着量(D20)を達成するように運転されている。
しかしながら、往路においてと同様、往復動の開始位置P1において再び計測される蒸着材料の蒸着速度(開始位置蒸着速度(R1n))は、蒸着量が変動して中間位置蒸着速度(R2)とは異なる値となる。一般には、開始位置蒸着速度(R1n)の値が、中間位置蒸着速度(R2)の値を下回る傾向にある。
そのため、往路において基材5に成膜するべき目標往路蒸着量(D10n)としては、再度の往復動において成膜するべき蒸着量差分(Ddn)と等しい値や、往路と復路で等分された成膜が行われるように蒸着量差分(Ddn)の50%程度の値や、蒸着レートの変動による誤差が低減されるように、蒸着量差分(Ddn)の60〜90%程度の値となる量が再度設定される。
目標往路蒸着量(D10n)を用いると、往路蒸着速度(R10n)は次の式9で示される。
V1n=α*R10n/D10n・・・(式9)
そして、第1の蒸着速度計測手段41により計測される開始位置蒸着速度(R1n)が、往路蒸着速度(R10n)に一致するように、開始位置P1において蒸発量調節手段60の開閉機構の開度が調節される。
そして、往復動の中間位置P2では、再び、蒸発源10から放出されている蒸着材料は、第2の蒸着速度計測手段42により、往復動の中間位置P2において中間位置蒸着速度(R2n)を計測される。
R20n=(Ddn−D1n)/D1n*R2n・・・(式10)
蒸着量制御部50は、このような中間位置蒸着速度(R2n)、復路蒸着速度(R20n)の関係と、式3に準じて往路移動速度を用いて算出される往路蒸着量(D1n)の実効値とに基づいて、復路蒸着速度(R20n)を算出すると、復路蒸着速度(R20n)を達成する蒸発量調節手段60の制御の目標値を生成し、蒸発量調節手段60に制御信号を出力する。
そして、第2の蒸着速度計測手段42により計測される中間位置蒸着速度(R2n)が、復路蒸着速度(R20n)に一致するように、中間位置P2において蒸発量調節手段60の開閉機構の開度が調節される。
そして、蒸発源10は、往復動の開始位置P1に戻り、蒸着量制御部50によって、初回の往復動においてと同様に、成膜しようとする所定の厚さの膜が成膜されたかを判断される。
以下、同様の工程が繰り返されることにより所定の厚さの膜が成膜される。
また、蒸発源の往復動の往路と復路で分割して、所定の厚さの膜の成膜を行うことができるため、蒸着量の経時的変動や幾何学的条件変動による影響を低減することができる。
また、蒸着量を、蒸発源からの蒸着材料の放出量で調整するため、安定した調整を行うことができる。
次に、本発明の一実施形態に係る蒸着装置と蒸着方法の他の形態について説明する。
蒸着装置3は、2体の蒸発源から、異なる蒸着材料を基材5に対して共蒸着することにより、各蒸着成分の濃度が所定の濃度となる膜を成膜することができる装置となっている。
この蒸着装置3では、各蒸発源による往路における実効蒸着量の目標蒸着量に対する差分は、一方の蒸発源については、復路における蒸発源の移動速度が、往路における実効蒸着量に基づいた速度に変更されることにより復路蒸着量が調整される。また、蒸発源移動手段に支持される2体の蒸発源は、設定された移動速度で共に移動するため、他方の蒸発源については、復路において蒸発源から放出される蒸着材料の放出量が、往路における実効蒸着量に基づいた放出量に変更されることにより復路蒸着量が調整される。
このような蒸着装置3は、往復動の復路の移動速度が変更されて復路蒸着量が調整される蒸発源によって、有機EL素子の発光層を形成するホスト材料を蒸着し、往復動の復路の蒸着材料の放出量が変更されて復路蒸着量が調整される副蒸発源によって、有機EL素子の発光層を形成するドーパント材料を共蒸着するように運転することができる。ホスト材料とドーパント材料のように成膜される膜における成分濃度比に差がある場合でも、各蒸着成分の濃度が所定の濃度となる膜を高精度で成膜することができ、白色発光有機EL素子のように色度が有機層の成分濃度比の影響を受け易い素子における発光層を成膜するのに適している。
蒸着装置3は、主に、蒸発源10A及び副蒸発源10Bと、蒸着室20と、蒸発源移動手段(30,31,32)と、第1の蒸着速度計測手段41A及び第1の副蒸着速度計測手段41Bと、第2の蒸着速度計測手段42A及び第2の副蒸着速度計測手段42Bと、蒸着量制御部50と、を含むように構成される。
蒸着装置3では、図5に破線で示されるとおり、蒸着量制御部50には、第1の蒸着速度計測手段41A、第1の副蒸着速度計測手段41B、第2の蒸着速度計測手段42A、第2の副蒸着速度計測手段42B、蒸発源移動手段、副蒸発源10Bから放出される蒸着材料の放出量を調節する蒸発量調節手段60が、信号線を介して接続されている。
なお、以下の説明において、蒸発源10A及び副蒸発源10Bは、単に蒸発源と、第1の蒸着速度計測手段41A及び第1の副蒸着速度計測手段41Bは、単に第1の蒸着速度計測手段と、第2の蒸着速度計測手段42A及び第2の副蒸着速度計測手段42Bは、単に第2の蒸着速度計測手段と呼称されることがある。
蒸発源10A及び副蒸発源10Bは、蒸着装置1においてと同様に、蒸着材料の放出口11を有し、加熱手段12と、蒸着材料容器13と、を含むように構成され、図5における奥行き方向に所定長さを有する線状の放出口11を有しているが、蒸発源10Aと副蒸発源10Bとは、備える加熱手段12及び蒸着材料容器13が同一のものでなくてもよく、各蒸発源で蒸着させる蒸着材料の種類や物性に応じて異なる構成とすることができる。異なる蒸着材料の共蒸着により所定の成分比の膜を成膜する場合は、高濃度となる蒸着材料を蒸発源10Aによって蒸着させることが好ましい。
図5に示されるように、蒸着装置3において、第1の蒸着速度計測手段41Aと第2の蒸着速度計測手段42Aは、蒸発源10Aから放出される蒸着材料の蒸着速度を計測し、第1の副蒸着速度計測手段41Bと第2の副蒸着速度計測手段42Bは、副蒸発源10Bから放出される蒸着材料の蒸着速度を計測するように、蒸発源の往復動の開始位置P1と中間位置P2のそれぞれにおいて、基材近傍であって、蒸発源に対する距離が基材と同様の距離となるように離間した位置に配置されている。
そして、蒸発源の往復動を通じて、蒸発源10Aから放出される蒸着材料が、第1の副蒸着速度計測手段41Bと第2の副蒸着速度計測手段42Bに入射する、または、副蒸発源10Bから放出される蒸着材料が、第1の蒸着速度計測手段41Aと第2の蒸着速度計測手段42Aに入射することがないように、図5に示されるように、必要に応じて仕切板24により隔離がなされ、あるいは、蒸着速度が計測される開始位置P1と中間位置P2に蒸発源が位置する場合に限り、測定子が蒸着室20内に露出するように、シャッタの開閉が制御される。
また、本実施形態では線状蒸発源を用いるため、蒸発源10の放出口11の長手方向(図5における奥行き方向)に沿った蒸着速度が監視されていることが好ましい。そのため、これらの蒸着速度計測手段は、蒸発源10A,10Bの放出口11の長手方向に沿ってそれぞれ複数体が備えられていてもよい。
また、蒸発源10A,10Bの蒸着材料容器13には、基材5に蒸着される蒸着材料が貯留されている。例えば、蒸発源10Aの蒸着材料容器13にはホスト材料、副蒸発源10Bの蒸着材料容器13にはドーパント材料が貯留される。これらの蒸着材料の物性情報、例えば密度情報は、各蒸着速度計測手段に記憶されている。
目標値が設定されると、蒸着装置3の通常運転が開始される。はじめに、蒸発源10A,10Bが備える加熱手段12が作動され、蒸着材料容器13に貯留されている蒸着材料が加熱される。加熱された蒸着材料は、次第に気化し、気化した蒸着材料が放出口11から蒸着室20内に放出される。
図6は、第3の実施形態に係る蒸着装置の動作を示す図である。
図6(a)に示されるように、運転開始時には、蒸発源10A,10Bは、第1の蒸着速度計測手段41A,41Bの下方の開始位置P1に停止しており、蒸着室20内に放出された気化した蒸着材料は、第1の蒸着速度計測手段41A,41Bの測定子にそれぞれ入射して蒸着速度が計測され、第1の蒸着速度計測手段41A,41Bが出力する蒸着速度の計測信号は、蒸着量制御部50に入力される。
ここで計測される蒸発源10Aの往復動の開始位置P1における蒸着材料の蒸着速度(開始位置蒸着速度(R1A))と副蒸発源10Bの往復動の開始位置P1における蒸着材料の蒸着速度(開始位置蒸着速度(R1B))は、基材5に成膜される見込みの膜厚の値を示している。この開始位置蒸着速度(R1A,R1B)が、事前に設定された往路蒸着速度(R10A,R10B)に一致するように、開始位置P1において加熱手段12の出力と蒸発量調節手段60の開閉機構の開度とにより調節される。このときの副蒸発源10Bの蒸発量調節手段60の開閉機構の開度は、後工程において調節可能なように中程度に維持される。
その後、往路蒸着速度(R10A,R10B)が目標値に達すると、基材5を蒸発源10A,10Bから隔離している遮蔽手段が開放され、気化した蒸着材料の基材5への放出が開始される。
蒸発源移動手段の駆動部30が作動すると、図6(a)に示されるように、可動子31に支持された蒸発源10A,10Bが、設定された往路移動速度(V1)となるように、案内部32に沿って往復動の中間位置P2の方向に移動を開始する。
そして、可動子31に支持される蒸発源10A,10Bは、開始位置P1から基材5の一端の直下を通過するまでに、往路移動速度(V1)が目標値に略達する等速となり、基材5の一端の直下から他端の直下までの区間で基材5の蒸着面を走査して基材5に対して蒸着を行う。
その後、蒸発源10A,10Bは基材5の他端を通過して往復動の折り返し位置である中間位置P2に到達する。
図6(b)に示されるように、蒸発源10A,10Bが、第2の蒸着速度計測手段42A,42Bの下方の中間位置P2に到達すると、蒸発源10A,10Bから放出された蒸着材料は、第2の蒸着速度計測手段42A,42Bの測定子にそれぞれ入射して蒸着速度が計測され、第2の蒸着速度計測手段42A,42Bが出力する蒸着速度の計測信号は、蒸着量制御部50に入力される。
ここで計測される蒸発源10Aの往復動の中間位置P2における蒸着材料の蒸着速度(中間位置蒸着速度(R2A))と副蒸発源10Bの往復動の中間位置P2における蒸着材料の蒸着速度(中間位置蒸着速度(R2B))は、通常、蒸着量が変動して開始位置蒸着速度(R1A,R1B)とは異なる値となる。一般には、中間位置蒸着速度(R2A,R2B)の値が、開始位置蒸着速度(R1A,R1B)の値を下回る傾向にある。
しかしながら、往復動の中間位置P2において計測される蒸着材料の蒸着速度(中間位置蒸着速度(R2A))は、蒸着量が変動して開始位置蒸着速度(R1A)とは異なる値となっている。
蒸発源10の往路移動速度(V1)を用いると、往路蒸着量(D1A)の実効値は次の式11で示される。
D1A=α*E(R2A)/V1・・・(式11)
(式中、E(R2A)は、計測された蒸着速度(R2A,R1A)の平均を表す。)
目標復路蒸着量(D20A)を用いると、復路移動速度(V2)は次の式12で示される。
V2=α*R2A/D20A=D1A/(DdA−D1A)*V1・・・(式12)
蒸着量制御部50は、このような往路移動速度(V1)と復路移動速度(V2)の関係と、往路蒸着量(D1A)の実効値とに基づいて、復路移動速度(V2)の目標値を生成すると、蒸発源移動手段に制御信号を出力する。
しかしながら、往復動の中間位置P2において計測される蒸着材料の蒸着速度(中間位置蒸着速度(R2B))は、蒸着量が変動して開始位置蒸着速度(R1B)とは異なる値となっている。
そのため、蒸着速度の計測信号の入力を受け付けた蒸着量制御部50は、次の式13に基づいて、往路蒸着量(D1B)の実効値を算出する。
D1B=β*E(R2B)/V1・・・(式13)
(式中、βは、補正係数を表し、E(R2B)は、計測された蒸着速度(R2B,R1B)の平均を表す。)
副蒸発源10Bにより復路で蒸着されるべき復路蒸着速度(R20B)は次の式14で示される。
R20B=D20B/D1B*R2B=(DdB−D1B)/D1B*R2B・・・(式14)
蒸着量制御部50は、このような中間位置蒸着速度(R2B)と復路蒸着速度(R20B)の関係と、式13に準じて往路移動速度を用いて算出される往路蒸着量(D1B)の実効値とに基づいて復路蒸着速度(R20B)を算出すると、復路蒸着速度(R20B)を達成する蒸発量調節手段60の制御の目標値を生成し、副蒸発源10Bの蒸発量調節手段60に制御信号を出力する。
そして、第2の副蒸着速度計測手段42Bにより計測される中間位置蒸着速度(R2B)が、復路蒸着速度(R20B)に一致するように、中間位置P2において蒸発量調節手段60の開閉機構の開度が調節される。
蒸発源移動手段の復路移動速度(V2)は、往路移動速度(V1)と異なる速度に制御されると共に、副蒸発源10Bからの復路における蒸着材料の放出量は、往路における放出量と異なる量に変更されて、図6(c)に示されるように、蒸発源10A,10Bは、基材5の一端の直下から他端の直下までの区間で基材5の蒸着面を走査して基材5に対して再度蒸着を行い、往復動の開始位置P1に戻る。
このように、基材5に対して蒸発源10A,10Bが往復動することによって、往路及び復路の両方において蒸着が行われると、基材5への蒸着が終了される。蒸着室20内に備えられる遮蔽手段が閉塞されることにより基材5への蒸着材料の付着が規制され、蒸着された基材5は搬出される。
このような運転では、往復動の開始位置P1では、再び、第1の蒸着速度計測手段41A,41Bにより、往復動の開始位置P1における蒸着材料の蒸着速度が計測される。
蒸着装置3における往復動の復路では、蒸発源10Aは、中間位置蒸着速度(R2A)と等しい一定の蒸着速度の蒸着を行い、副蒸発源10Bは、調整された中間位置蒸着速度(R2B)と等しい一定の蒸着速度(復路蒸着速度(R20B))の蒸着を行うと仮定されて、事前に設定された目標復路蒸着量(D20A,D20B)を達成するように運転されている。
しかしながら、往路においてと同様、往復動の開始位置P1において再び計測される蒸発源10Aからの蒸着材料の蒸着速度(開始位置蒸着速度(R1An))と副蒸発源10Bからの蒸着材料の蒸着速度(開始位置蒸着速度(R1Bn))は、蒸着量が変動して中間位置蒸着速度(R2A,R2B)とは異なる値となる。
また、副蒸発源10Bについて、同様に、復路蒸着量(D2B)の実効値を算出し、算出される復路蒸着量(D2B)の実効値と往路蒸着量(D1B)の実効値とを合算した値と、基材5に蒸着しようとする目標蒸着量(DdB)との蒸着量差分(DdBn)を算出する。
再度行われる往復動の往路蒸着量(D1An)と復路蒸着量(D2An)とを合算した値が、蒸着量差分(DdAn)となる。
そのため、往路において基材5に成膜するべき目標往路蒸着量(D10An)としては、再度の往復動において成膜するべき蒸着量差分(DdAn)と等しい値や、往路と復路で等分された成膜が行われるように蒸着量差分(DdAn)の50%程度の値や、蒸着レートの変動による誤差が低減されるように、蒸着量差分(DdAn)の60〜90%程度の値となる量が再度設定される。
目標往路蒸着量(D10An)を用いると、往路移動速度(V1n)は次の式15で示される。
V1n=α*R1An/D10An・・・(式15)
再度行われる往復動の往路蒸着量(D1Bn)と復路蒸着量(D2Bn)とを合算した値が、蒸着量差分(DdBn)となる。
そのため、往路において基材5に成膜するべき目標往路蒸着量(D10Bn)としては、再度の往復動において成膜するべき蒸着量差分(DdBn)と等しい値や、往路と復路で等分された成膜が行われるように蒸着量差分(DdBn)の50%程度の値や、蒸着レートの変動による誤差が低減されるように、蒸着量差分(DdBn)の60〜90%程度の値となる量が再度設定される。
目標往路蒸着量(D10Bn)を用いると、調整された往路移動速度(V1n)の下では、目標往路蒸着速度(R10Bn)は次の式16で示される。
V1n=β*R10Bn/D10Bn・・・(式16)
そして、第1の副蒸着速度計測手段41Bにより計測される開始位置蒸着速度(R1Bn)が、往路蒸着速度(R10Bn)に一致するように、開始位置P1において蒸発量調節手段60の開閉機構の開度が調節される。
そして、往復動の中間位置P2では、再び、蒸発源10A,10Bから放出されている蒸着材料は、第2の蒸着速度計測手段42A,42Bにより、往復動の中間位置P2において中間位置蒸着速度(R2An,R2Bn)を計測される。
V2n=D1An/(DdAn−D1An)*V1n・・・(式17)
蒸着量制御部50は、このような往路移動速度(V1n)と復路移動速度(V2n)の関係と、式11に準じて算出される往路蒸着量(D1An)の実効値とに基づいて、復路移動速度(V2n)の目標値を生成すると、蒸発源移動手段に制御信号を出力する。
R20Bn=(DdBn−D1Bn)/D1Bn*R2Bn・・・(式18)
蒸着量制御部50は、このような中間位置蒸着速度(R2Bn)、復路蒸着速度(R20Bn)の関係と、式13に準じて往路移動速度を用いて算出される往路蒸着量(D1Bn)の実効値とに基づいて、復路蒸着速度(R20Bn)を算出すると、復路蒸着速度(R20Bn)を達成する蒸発量調節手段60の制御の目標値を生成し、副蒸発源10Bの蒸発量調節手段60に制御信号を出力する。
そして、第2の副蒸着速度計測手段42Bにより計測される中間位置蒸着速度(R2Bn)が、復路蒸着速度(R20Bn)に一致するように、中間位置P2において蒸発量調節手段60の開閉機構の開度が調節される。
そして、蒸発源10A,10Bは、往復動の開始位置P1に再び戻り、蒸着量制御部50によって、初回の往復動においてと同様に、成膜しようとする所定の厚さの膜が成膜されたかを判断される。
以下、同様の工程が繰り返されることにより所定の厚さの膜が成膜される。
5 基材
6 基材固定手段
10,10A,10B 蒸発源
11 放出口
12 加熱手段
13 蒸着材料容器
20 蒸着室
21 真空ポンプ
22 バルブ
24 仕切板
30 蒸発源移動手段(駆動部)
31 蒸発源移動手段(可動子)
32 蒸発源移動手段(案内部)
41,41A,41B 第1の蒸着速度計測手段
42,42A,42B 第2の蒸着速度計測手段
50 蒸着量制御部
60 蒸発量調節手段
P1 開始位置
P2 中間位置
Claims (9)
- 気化した蒸着材料を放出する蒸発源を、基材に対して相対移動させて成膜する蒸着装置であって、
蒸着材料の放出口を有する蒸発源と、
前記蒸発源及び前記基材を収容して減圧状態を形成する蒸着室と、
前記蒸発源を、前記放出口が前記基材に対向するように支持して、往復動させる蒸発源移動手段と、
前記往復動の開始位置における前記蒸発源の蒸着材料の蒸着速度を計測する第1の蒸着速度計測手段と、
前記往復動の中間位置における前記蒸発源の蒸着材料の蒸着速度を計測する第2の蒸着速度計測手段と、
前記蒸発源移動手段、前記第1の蒸着速度計測手段、及び前記第2の蒸着速度計測手段と接続された蒸着量制御部と、
を含み、
前記蒸着量制御部は、
前記第1の蒸着速度計測手段が計測した開始位置蒸着速度、前記第2の蒸着速度計測手段が計測した中間位置蒸着速度、及び前記蒸発源移動手段による往復動の往路移動速度に基づいて往路蒸着量の実効値を算出し、前記蒸発源による復路蒸着量が、前記往路蒸着量の実効値と合算して目標蒸着量に一致する蒸着量となるように復路蒸着量を調整する
ことを特徴とする蒸着装置。 - 気化した蒸着材料を放出する蒸発源を、基材に対して相対移動させて成膜する蒸着装置であって、
前記蒸着量制御部は、
前記第1の蒸着速度計測手段が計測した開始位置蒸着速度、前記第2の蒸着速度計測手段が計測した中間位置蒸着速度、及び前記蒸発源移動手段による往復動の往路移動速度に基づいて往路蒸着量の実効値を算出し、前記蒸発源による復路蒸着量が、前記往路蒸着量の実効値と合算して目標蒸着量に一致する蒸着量となるように前記蒸発源移動手段による往復動の復路移動速度を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸着装置。 - 気化した蒸着材料を放出する蒸発源を、基材に対して相対移動させて成膜する蒸着装置であって、
前記蒸発源は、前記蒸発源から放出される蒸着材料の放出量を調節する蒸発量調節手段
を含み、
前記蒸着量制御部は、
前記第1の蒸着速度計測手段が計測した開始位置蒸着速度、前記第2の蒸着速度計測手段が計測した中間位置蒸着速度、及び前記蒸発源移動手段による往復動の往路移動速度に基づいて往路蒸着量の実効値を算出し、前記蒸発源による復路蒸着量が、前記往路蒸着量の実効値と合算して目標蒸着量に一致する蒸着量となるように前記蒸発量調節手段により蒸着材料の放出量を調整する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蒸着装置。 - さらに、
前記蒸発源移動手段に前記蒸発源と平行な配列で保持された副蒸発源と、
前記副蒸発源から放出される蒸着材料の放出量を調節する副蒸発量調節手段と、
前記副蒸発源からの、前記往復動の開始位置における蒸着材料の蒸着速度を計測する第1の副蒸着速度計測手段と、
前記副蒸発源からの、前記往復動の中間位置における蒸着材料の蒸着速度を計測する第2の副蒸着速度計測手段と、
を含み、
前記副蒸発量調節手段、前記第1の副蒸着速度計測手段、及び前記第2の副蒸着速度計測手段は、前記蒸着量制御部に接続され、
前記蒸着量制御部は、
前記第1の蒸着速度計測手段が計測した開始位置蒸着速度、前記第2の蒸着速度計測手段が計測した中間位置蒸着速度、及び前記蒸発源移動手段による往復動の往路移動速度に基づいて前記蒸発源による往路蒸着量の実効値を算出し、前記蒸発源による復路蒸着量が、前記往路蒸着量の実効値と合算して目標蒸着量に一致する蒸着量となるように前記蒸発源移動手段による往復動の復路移動速度を調整すると共に、
前記第2の副蒸着速度計測手段が計測した開始位置蒸着速度、前記第2の副蒸着速度計測手段が計測した中間位置蒸着速度、及び前記蒸発源移動手段による往復動の往路移動速度に基づいて前記副蒸発源による往路蒸着量の実効値を算出し、前記副蒸発源による復路蒸着量が、前記往路蒸着量の実効値と合算して目標蒸着量に一致する蒸着量となるように前記副蒸発量調節手段により蒸着材料の放出量を調整する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の蒸着装置。 - 前記蒸発源が放出する蒸着材料が、有機エレクトロルミネッセンス素子におけるホスト材料であり、
前記副蒸発源が放出する蒸着材料が、有機エレクトロルミネッセンス素子におけるドーパント材料であり、
有機エレクトロルミネッセンス素子における発光層を成膜することを特徴とする請求項4に記載の蒸着装置。 - 前記蒸発源移動手段が、蒸着材料を付着させる基材に対して2回以上往復動することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の蒸着装置。
- 気化した蒸着材料を放出する蒸発源を、基材に対して相対移動させて成膜する蒸着方法であって、
蒸着材料の放出口を有する蒸発源と、
前記蒸発源及び前記基材を収容して減圧状態を形成する蒸着室と、
前記蒸発源を、前記放出口が前記基材に対向するように支持して、往復動させる蒸発源移動手段と、
前記蒸発源からの、前記往復動の開始位置における蒸着材料の蒸着速度を計測する第1の蒸着速度計測手段と、
前記蒸発源からの、前記往復動の中間位置における蒸着材料の蒸着速度を計測する第2の蒸着速度計測手段と、
前記蒸発源移動手段、前記第1の蒸着速度計測手段、及び前記第2の蒸着速度計測手段と接続された蒸着量制御部と、
を含む蒸着装置において、
前記蒸発源の放出口から蒸着材料を放出させると共に、前記第1の蒸着速度計測手段により、前記往復動の開始位置における蒸着材料の蒸着速度を計測する工程、
蒸発源を往復動の中間位置まで移動させながら、前記基材に蒸着材料を付着させて成膜する工程、
前記第2の蒸着速度計測手段により、前記往復動の中間位置における蒸着材料の蒸着速度を計測する工程、
前記第1の蒸着速度計測手段が計測した開始位置蒸着速度、前記第2の蒸着速度計測手段が計測した中間位置蒸着速度、及び前記蒸発源移動手段による往復動の往路移動速度に基づいて往路蒸着量の実効値を算出し、前記蒸発源による復路蒸着量が、前記往路蒸着量の実効値と合算して目標蒸着量に一致する蒸着量となるように復路蒸着量を調整する工程、
前記調整された復路蒸着量で蒸発源を往復動の開始位置まで移動させながら、前記基材に蒸着材料を付着させて成膜する工程、
を含むことを特徴とする蒸着方法。 - 気化した蒸着材料を放出する蒸発源を、基材に対して相対移動させて成膜する蒸着方法であって、
前記復路蒸着量を調整する工程において、前記蒸発源移動手段による往復動の復路移動速度により復路蒸着量を調整することを特徴とする請求項7に記載の蒸着方法。 - 気化した蒸着材料を放出する蒸発源を、基材に対して相対移動させて成膜する蒸着方法であって、
前記蒸発源は、前記蒸発源から放出される蒸着材料の放出量を調節する蒸発量調節手段を含み、
前記復路蒸着量を調整する工程において、前記蒸発量調節手段により蒸着材料の放出量を調整することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の蒸着方法。
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