JP6032597B2 - 傾斜機能膜及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、傾斜機能膜及びその製造方法に関する。
絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いた、透過性のある薄膜トランジスタの開発研究が行われている。薄膜トランジスタはICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、液晶テレビ又は有機ELテレビなどの画像表示装置のスイッチング素子として注目されている。たとえば、薄膜トランジスタのゲート電極上の絶縁膜として、イットリア安定化ジルコニア薄膜を成膜する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2009−170896号公報
しかし、結晶性の高い絶縁膜の成膜方法として採用されている、プラズマCVD法、スパッタ法、MBE法、PLD法及びアトミックレイヤーエピタキシー法などの方法を実施するための装置は非常に高価である。また、成膜室の高い真空度の達成が必要であるなど成膜の準備も複雑である。
そこで、本発明は、簡易かつ低廉な手法により電気特性が膜厚方向について変化する傾斜機能膜及びその製造方法を提供することを解決課題とする。
本発明者は、シリカ(SiO2)薄膜の透明度は高いものの誘電率は低いこと、及び、チタニア(TiO2)薄膜は化学的に安定で誘電率は高いもののリーク電流が大きいことを考慮して、誘電率が高く、リーク電流が小さく、かつ、化学的に安定なジルコニア(ZrO2)薄膜の成膜を試みた。また、低廉かつ簡易な成膜方法としてスプレー熱分解(SPD(Spray Pyrolysis Deposition))法を用いることを考えた。
しかし、ジルコニア無機塩を溶質とし、溶媒としてのアルコールにほとんど溶けないため、原料溶液の調製が非常に困難であった。
本発明者は、ケトン類化合物を第1助剤として溶液に添加することにより、ジルコニア無機塩をアルコールに溶かすことができることを知見した。そのほか、本発明者は、ケトン類化合物の沸点が高い場合、これを気化させることが困難であること、燃焼反応が生じた際にケトン類化合物を構成する炭素が雰囲気の酸素と化合することによって雰囲気の酸素が減少してしまい、薄膜における酸素欠陥を誘発すること、ケトン類化合物が高価であること、及び、ケトン類化合物の添加量によっては、原料溶液のミスト化が困難になる程度に原料溶液の粘度が高くなることなどを勘案して、第1助剤の添加量の調節が重要であることを知見した。
さらに、本発明者は、基板に対して原料溶液のミストを供給し、雰囲気温度の制御により前記溶媒を蒸発させるとともに溶質を構成するジルコニウムを酸化させるというプロセスを繰り返すことにより、基板の上にジルコニア薄膜を成膜することができることに加え、成膜時の当該雰囲気の温度に応じてジルコニア薄膜の電気伝導度等の電気特性が相違することを知見した。
当該知見に基づく本発明の方法は、電気特性が膜厚方向について変化する傾斜機能膜を製造する方法であって、ジルコニウム無機塩を溶質とし、アルコールを溶媒とし、ケトン類化合物を第1助剤とし、前記第1助剤の濃度が調節されている原料溶液を調整し、基板に対して前記原料溶液のミストを供給し、雰囲気の加熱により前記溶媒を蒸発させるとともに前記溶質を構成するジルコニウムを酸化させるというプロセスを繰り返す過程で、前記雰囲気の温度を400〜600℃の温度範囲で高温から低温まで断続的に変化させ、前記基板の上に電気特性が異なる複数の機能層を順に積層させることにより前記傾斜機能膜を製造することを特徴とする。
さらに、本発明者は、金属化合物を第2助剤として溶液に添加し、第2助剤の添加量を調節することにより酸化膜としてのジルコニア薄膜の電気特性を調節することができることを知見した。これは、金属化合物がドーパントとして機能し、酸化膜における結晶化度、バンド構造又はジルコニア由来の電子などのキャリアの濃度及び移動度のうち少なくとも一方を変化させるためであると推察される。
当該知見に基づき、金属化合物を第2助剤とし、前記第2助剤の濃度が異なる複数種類の前記原料溶液を準備し、前記プロセスを繰り返す過程で、前記雰囲気の温度に加えて、前記ミストを構成する前記原料溶液の種類を変化させることにより、前記基板の上に前記傾斜機能膜を製造することが好ましい。
前記プロセスを繰り返している途中又は後で、前記傾斜機能膜を酸素雰囲気下で熱処理することが好ましい。
当該方法によれば、酸化雰囲気(又は酸素雰囲気)の実現という簡易な手法により、傾斜機能膜の少なくとも一部の層における酸素欠陥量を少なく抑制することができ、その結果、当該酸素欠陥によって傾斜機能膜の当該層の電気特性の調節が困難となる事態が回避される。
本発明の第1実施形態としての傾斜機能膜の製造方法の手順説明図。 本発明の傾斜機能膜の製造方法に関する説明図。 傾斜機能膜の成長過程に関する説明図。 本発明の第1実施形態としての傾斜機能膜の構成説明図。 本発明の第1実施例群の傾斜機能膜の電気特性に関する説明図。 本発明の第2実施形態としての傾斜機能膜の製造方法の手順説明図。 本発明の第2実施形態としての傾斜機能膜の構成説明図。 本発明の第2実施例群の傾斜機能膜の電気特性に関する説明図。 本発明の第2実施例群の傾斜機能膜の電流特性の膜厚依存性に関する説明図。 本発明の第2実施例群の傾斜機能膜の電気特性に関する説明図。
(本発明の第1実施形態としての成膜方法の構成)
本発明の第1実施形態としての傾斜機能膜の成膜方法について説明する。
まず、ジルコニウム無機塩を溶質とし、アルコールを溶媒とし、ケトン類化合物を第1助剤として原料溶液が調製される(図1/STEP102)。原料溶液の調製に際して、第1助剤の濃度が調節される。
ここで「ジルコニウム無機塩」には、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウムなどのβ−ジケトン基を有するジルコニウム化合物、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム、フッ化ジルコニウム、フッ化酸化ジルコニウム、臭化ジルコニウム、臭化酸化ジルコニウム、ヨウ化ジルコニウム、ヨウ化酸化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ギ酸ジルコニウム、シュウ酸ジルコニウムなどの金属塩、ジルコニウムEDTA錯体などの錯体化合物などが含まれる。
「アルコール」には、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノールなどの1価アルコール、エチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール、水酸基を有するフェノール類、アミン類、アミノ酸類などが含まれる。
「ケトン類化合物」には、アセチルアセトン、ジピバロイルメタン、ジイソブチリルメタン、イソブチリルピバロイルメタン、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-オクタンジオンなどのβ−ジケトン類化合物、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど、ケトン基を有している化合物が含まれる。
ミスト発生(原料溶液噴霧)及びジルコニア薄膜の気相成長というプロセスの繰り返し回数を表わす指数「i」と、成膜雰囲気温度Tの切り替え回数を表わす指数「j」とが、ともに「1」に設定される(図1/STEP104)。
指数iがNj以下であるか否かが判定される(図1/STEP106)。この判定は、成膜雰囲気温度Tの切り替え要否の判定に相当する。
当該判定結果が肯定的である場合(図1/STEP106‥YES)、成膜雰囲気温度TがTjに制御される(図1/STEP110)。すなわち、この場合、成膜雰囲気温度Tの今回値が前回値と同じ値に維持される。
一方、当該判定結果が否定的である場合(図1/STEP106‥NO)、指数jが1だけ増加された上で(図1/STEP108)、加熱器が用いられて、成膜雰囲気温度TがTjに制御される(図1/STEP110)。すなわち、この場合、成膜雰囲気温度Tの今回値が前回値とは異なる値に変更される。加熱器の動作は、コンピュータにより構成されている制御装置により制御されてもよい。
例えば、図2に示されているように基板が載せられている加熱器としてのホットプレートが用いられて当該基板が加熱されることにより、成膜雰囲気温度Tが制御される。そのほか、原料溶液の今回層における溶媒を気化又は蒸発させるとともに溶質を構成するジルコニウムを酸化させることができることを条件として、成膜雰囲気温度がさまざまな方法によって制御されてもよい。例えば、基板が収容されるチャンバ内に配置された加熱器によって成膜雰囲気温度Tが制御されてもよい。
さらに、噴霧器を用いて原料溶液のミストが生成される(図1/STEP112)。例えば、図2に示されているように噴霧器としてプランジャポンプが用いられ、原料溶液が基板に向かって噴霧される。プランジャポンプによる噴霧方式は加圧式又は一流体式なので、二流体式とは異なり、キャリアガスを用いずに原料溶液のミスト生成が可能である。例えば、原料溶液の100回あたり噴霧量が15〜20[ml]になるように調節されている。噴霧器の動作も、加熱器の動作と同様にコンピュータにより構成されている制御装置により制御されてもよい。なお、二流体方式の噴霧器等、プランジャポンプとは異なる噴霧器が用いられて原料溶液のミストが生成されてもよい。
雰囲気温度Tが制御されることにより、原料溶液の今回層における溶媒を気化又は蒸発させるとともに溶質を構成するジルコニウムを酸化させることにより、ジルコニア薄膜が徐々に成長する。
指数iが小さい初期段階では、図3(a)に示されているように基板の表面に島状に分散したジルコニア薄膜のシーズ(斜線部分参照)が形成される。その後の原料溶液の供給により、当該複数のシーズが基板表面に対して平行な方向にも成長することによって、図3(b)に示されているように基板の表面全体を覆うジルコニア薄膜が形成される。その後、指数iの増加、ひいては層の堆積に伴い、図3(c)に示されているようにジルコニア薄膜又は機能傾斜膜は基板の表面に対して垂直な方向に成長することによってその厚みを徐々に増していく。
その後、指数iが目標回数N(Nj≦N)に等しいか否かが判定される(図1/STEP114)。
当該判定結果が否定的である場合(図1/STEP114‥NO)、指数iの値が「1」だけ増やされる(図1/STEP116)。その上で、指数iがNj以下であるか否かが判定され(図1/STEP106)、成膜雰囲気温度Tの制御(図1/STEP110参照)及びミスト生成(図1/STEP112参照)というプロセスが繰り返される。回数Nが調節されることにより傾斜機能膜の厚さが調節される。
その一方、当該判定結果が肯定的である場合(図1/STEP114‥YES)、オゾンを用いた酸化雰囲気において、材料溶液の溶媒を蒸発させるときよりも高温で傾斜機能膜が熱処理される(図1/STEP118)。なお、事後的なジルコニア薄膜の熱処理(図1/STEP118参照)に代えて又は加えて、指数iが指定値に一致する又は指定範囲に含まれることを条件として、酸化雰囲気において成膜雰囲気温度Tの制御(図1/STEP110参照)及びミスト生成(図1/STEP112参照)というプロセスが繰り返されてもよい。
これにより、例えば、図4に示されているように、n個の機能層A1〜Anにより構成されている傾斜機能膜が基板上に製造される。原料が同一であって、ジルコニア薄膜の傾斜機能膜はその膜厚方向についてエピタキシャル成長あるいは擬エピタキシャル成長することができる。したがって、膜厚方向について隣接しあう機能層の境界において、ジルコニアの結晶は不連続ではなく連続している。
第j機能層Ajは、雰囲気温度T=Tjにおいて、ミストの生成及びジルコニウムの酸化というプロセスがNj−Nj−1(N0=0)だけ繰り返されたことにより形成されている。第j機能層Ajは、当該プロセスの繰り返し回数Nj−Nj−1の多少に応じた厚さt(Aj)を有するとともに、雰囲気温度T=Tjに応じた電気特性を有する。
(実施例)
(実施例1)
溶質として0.01[mol]のテトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウムが用いられ、溶媒としてエタノールが用いられ、第1助剤としてアセチルアセトンが用いられ、ジルコニウムイオン濃度が0.05[mol/l]である200[ml]の原料溶液が調製された。第1助剤の濃度は20[vol.%]に調節された。
なお、第1助剤としてのアセチルアセトンの濃度は、原料溶液の調整後の経過時間に関わらず安定的に薄膜を形成する観点から、0.02〜2[vol.%]又は20〜40[vol.%]に調製されることが好ましい。
成膜雰囲気温度T1=550[℃]でN1=80回のプロセスが繰り返され、成膜雰囲気温度T2=400[℃]でN2−N1=320回のプロセスが繰り返された。そして、オゾンを用いた酸化雰囲気において、材料溶液の溶媒を蒸発させるときよりも高温であるT=600[℃]で傾斜機能膜が熱処理された。これにより、基板上に厚さ0.05[μm]の第1機能層 と、厚さ0.2[μm]の第2機能層 とが順に積層されることにより構成されている実施例1の傾斜機能膜 が形成された。
(実施例2)
成膜雰囲気温度T1=550[℃]でN1=80回のプロセスが繰り返され、成膜雰囲気温度T2=400[℃]でN2−N1=320回のプロセスが繰り返された。これにより、基板上に厚さ0.05[μm]の第1機能層と、厚さ0.2[μm]の第2機能層とが順に積層されることにより構成されている実施例2の傾斜機能膜 が形成された。
(実施例3)
成膜雰囲気温度T1=600[℃]でN1=80回のプロセスが繰り返され、成膜雰囲気温度T2=450[℃]でN2−N1=320回のプロセスが繰り返された。そして、オゾンを用いた酸化雰囲気において、材料溶液の溶媒を蒸発させるときよりも高温であるT=600[℃]で傾斜機能膜が熱処理された。これにより、基板上に厚さ0.05[μm]の第1機能層 と、厚さ0.2[μm]の第2機能層 とが順に積層されることにより構成されている実施例3の傾斜機能膜 が形成された。
(実施例4)
成膜雰囲気温度T1=550[℃]でN1=80回のプロセスが繰り返され、成膜雰囲気温度T2=500[℃]でN2−N1=80回のプロセスが繰り返され、成膜雰囲気温度T3=450[℃]でN3−N2=80回のプロセスが繰り返され、成膜雰囲気温度T4=400[℃]でN4−N3=160回のプロセスが繰り返された。これにより、基板上に厚さ0.05[μm]の第1機能層と、厚さ0.05[μm]の第2機能層と、厚さ0.05[μm]の第3機能層と、厚さ0.1[μm]の第4機能層とが順に積層されることにより構成されている実施例4の傾斜機能膜 が形成された。
図5(a)〜(d)のそれぞれには、実施例1〜4のそれぞれの傾斜機能膜およびこれを構成する各機能層の電圧−電流特性が示されている(実線‥傾斜機能膜、一点鎖線‥第1機能層、二点鎖線‥第2機能層、一点鎖線(太)‥第3機能層、二点鎖線(太)‥第4機能層)。
図5(b)および(d)から実施例2および4の傾斜機能膜の電気伝導度σが比較的高いことがわかるが、これは、成膜雰囲気温度T1=550[℃]で得られた第1機能層の結晶性および移動度μが踏襲されたためである。さらに、図5(a)および(c)から実施例1および3の傾斜機能膜の電気伝導度σが比較的低いことがわかるが、これは、オゾンを用いた酸化雰囲気で熱処理されることにより、第1機能層の結晶性が踏襲されつつ、第2機能層以降が酸化されたためである。
(本発明の第2実施形態としての成膜方法の構成)
本発明の第2実施形態としての傾斜機能膜の成膜方法について説明する。
まず、ジルコニウム無機塩を溶質とし、アルコールを溶媒とし、ケトン類化合物を第1助剤とし、金属化合物を第2助剤として、第2助剤の濃度が異なる複数種類の原料溶液が調製される(図6/STEP202)。
ここで、「金属化合物」には、硝酸アルミニウムなどの硝酸金属、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、フッ化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酢酸アルミニウム、ギ酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウムなどの金属塩、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウムなどβ−ジケトン基を有する金属化合物、トリス(8-キノリノラト)アルミニウム、アルミニウムEDTAなどの錯体化合物などが含まれる。
ミスト発生(原料溶液噴霧)、ジルコニア薄膜の気相成長というプロセスの繰り返し回数を表わす指数「i」と、成膜雰囲気温度Tの切り替え回数を表わす指数「j」と、原料切り替え回数を表わす指数「k」とがともに「1」に設定される(図6/STEP204)。
指数iがNj以下であるか否かが判定される(図6/STEP206)。この判定は、成膜雰囲気温度Tの切り替え要否の判定に相当する。
当該判定結果が肯定的である場合(図6/STEP206‥YES)、成膜雰囲気温度TがTjに制御される(図6/STEP210)。すなわち、この場合、成膜雰囲気温度Tの今回値が前回値と同じ値に維持される。
一方、当該判定結果が否定的である場合(図6/STEP206‥NO)、指数jが1だけ増加された上で(図6/STEP208)、加熱器が用いられて、成膜雰囲気温度TがTjに制御される(図6/STEP210)。すなわち、この場合、成膜雰囲気温度Tの今回値が前回値とは異なる値に変更される。加熱器の動作は、コンピュータにより構成されている制御装置により制御されてもよい。
指数iがNk以下であるか否かが判定される(図6/STEP212)。この判定は、ミスト源である原料溶液の切り替え要否の判定に相当する。
当該判定結果が肯定的である場合(図6/STEP212‥YES)、第k種の原料溶液のミストが生成される(図6/STEP216)。すなわち、この場合、今回生成されるミストが前回生成されたミストと同じ原料溶液から生成される。
一方、当該判定結果が否定的である場合(図6/STEP212‥NO)、指数kが1だけ増加された上で(図6/STEP214)、第k種の原料溶液のミストが生成される(図6/STEP216)。すなわち、この場合、今回生成されるミストが前回生成されたミストと異なる種類の原料溶液、すなわち、第2助剤の含有量が異なる原料溶液から生成される。第2助剤の含有量が異なる原料溶液ごとに、別個の噴霧器が用意され、各噴霧器の動作が、コンピュータにより構成されている制御装置により制御されてもよい。
雰囲気温度Tが制御されることにより、原料溶液の今回層における溶媒を気化又は蒸発させるとともに溶質を構成するジルコニウムを酸化させることにより、ジルコニア薄膜が徐々に成長する。
その後、指数iが目標回数N(Nj≦N)に等しいか否かが判定される(図6/STEP218)。
当該判定結果が否定的である場合(図6/STEP218‥NO)、指数iの値が「1」だけ増やされる(図6/STEP220)。その上で、指数iがNj以下であるか否かが判定され(図6/STEP206)、成膜雰囲気温度Tの制御(図6/STEP210参照)及びミスト生成(図6/STEP216参照)というプロセスが繰り返される。回数Nが調節されることにより傾斜機能膜の厚さが調節される。
その一方、当該判定結果が肯定的である場合(図6/STEP218‥YES)、オゾンを用いた酸化雰囲気において、材料溶液の溶媒を蒸発させるときよりも高温で傾斜機能膜が熱処理される(図6/STEP222)。なお、事後的なジルコニア薄膜の熱処理(図6/STEP222参照)に代えて又は加えて、指数iが指定値に一致する又は指定範囲に含まれることを条件として、酸化雰囲気において成膜雰囲気温度Tの制御(図6/STEP210参照)及びミスト生成(図6/STEP216参照)というプロセスが繰り返されてもよい。
これにより、例えば、図7に示されているように、m個の機能層B1〜Bmにより構成されている傾斜機能膜が基板上に製造される。原料は第2助剤の含有量を除いてほぼ同一であるため、ジルコニア薄膜の傾斜機能膜はその膜厚方向についてエピタキシャル成長することができる。したがって、膜厚方向について隣接しあう機能層の境界において、ジルコニアの結晶は不連続ではなく連続している。
第k機能層Bkは、第k種原料溶液のミストの生成及びジルコニウムの酸化というプロセスが繰り返されたことにより形成されている。第k機能層Lkは、第k種原料溶液における第2助剤の含有量の多少に加えて、これが生成される際の雰囲気温度Tに応じた電気特性を有する。また、第k機能層Lkが同一の雰囲気温度Tで形成された場合、第k機能層Lkは一様な電気特性を有する。その一方、第k機能層Lkの形成途中で雰囲気温度Tが変更された場合、第k機能層Lkは雰囲気温度Tの当該変更前に形成された部分と、雰囲気温度Tの当該変更後に形成された部分とで異なる電気特性を有する。
(実施例)
(実施例5)
溶質として0.01[mol]のテトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウムが用いられ、溶媒としてエタノールが用いられ、第1助剤としてアセチルアセトンが用いられ、第2助剤として硝酸アルミニウムが用いられ、ジルコニウムイオン濃度が0.05[mol/l]である200[ml]の原料溶液が調製された。第1助剤の濃度が20[vol.%]に調製され、アルミニウムが0[atm%]、あるいは1[atm%]、あるいは2[atm%]になるように第2助剤の添加量が調製された。
アルミニウム2[atm%]の溶液を用い、成膜雰囲気温度T1=550[℃]でN1=80回のプロセスが繰り返され、アルミニウム1[atm%]の溶液を用い、成膜雰囲気温度T2=550[℃]でN2−N1=80回のプロセスが繰り返され、アルミニウム0[atm%]の溶液を用い、成膜雰囲気温度T3=550[℃]でN3−N2=80回のプロセスが繰り返され、成膜雰囲気温度T4=450[℃]でN4−N3=80回のプロセスが繰り返され、成膜雰囲気温度T5=400[℃]でN5−N4=80回のプロセスが繰り返された。これにより、基板上に厚さ0.05[μm]の第1機能層と、厚さ0.05[μm]の第2機能層と、厚さ0.05[μm]の第3機能層と、厚さ0.05[μm]の第4機能層と、厚さ0.05[μm]の第5機能層とが順に積層されることにより構成されている実施例5の傾斜機能膜が形成された。
(実施例6)
アルミニウム2[atm%]の溶液を用い、成膜雰囲気温度T1=550[℃]でN1=80回のプロセスが繰り返され、アルミニウム1[atm%]の溶液を用い、成膜雰囲気温度T2=550[℃]でN2−N1=160回のプロセスが繰り返され、アルミニウム0[atm%]の溶液を用い、成膜雰囲気温度T3=550[℃]でN3−N2=160回のプロセスが繰り返された。これにより、基板上に厚さ0.05[μm]の第1機能層と、厚さ0.10[μm]の第2機能層と、厚さ0.10[μm]の第3機能層とが順に積層されることにより構成されている実施例6の傾斜機能膜が形成された。
(実施例7)
アルミニウム2[atm%]の溶液を用い、成膜雰囲気温度T1=550[℃]でN1=160回のプロセスが繰り返され、アルミニウム0[atm%]の溶液を用い、成膜雰囲気温度T2=400[℃]でN2−N1=80回のプロセスが繰り返され、アルミニウム2[atm%]の溶液を用い、成膜雰囲気温度T3=550[℃]でN3−N2=160回のプロセスが繰り返された。これにより、基板上に厚さ0.10[μm]の第1機能層と、厚さ0.05[μm]の第2機能層と、厚さ0.10[μm]の第3機能層とが順に積層されることにより構成されている実施例7の傾斜機能膜が形成された。
図8(a)〜(c)のそれぞれには、実施例5〜7のそれぞれの傾斜機能膜を構成する各機能層の電圧−電流特性が示されている。図9には、実施例5〜7のそれぞれの傾斜機能膜の電流特性の膜厚依存性が示されている(実線‥実施例5、破線‥実施例6、一点鎖線‥実施例7)。図9から、第2助剤の添加量を傾斜させ、成膜雰囲気温度Tを制御することにより、膜厚方向において電気伝導度σの高い部分と低い部分を形成できることがわかる。
(雰囲気温度と機能層の電気特性との関係)
図10には、機能層を構成するジルコニア薄膜の電気伝導度σの、成膜時の雰囲気温度Tに対する依存性が実線で示されている。電気伝導度σは、ジルコニア薄膜におけるキャリアの密度n及び移動度μのそれぞれに比例する。図10には、キャリア密度nのT依存性が一点鎖線で示され、かつ、キャリア移動度μのT依存性が二点鎖線で示されている。
図10に示されているように、T=350〜400[℃]の範囲において、ジルコニア薄膜のキャリア移動度μ(T)は低い値を示す。これは、T=350〜400[℃]の範囲で成膜されたジルコニア薄膜はアモルファス状態であり、結晶化度が低いためである。一方、T=350〜400[℃]の範囲において、ジルコニア薄膜のキャリア密度n(T)が確保される。これは、ZrO2−xのxが0でない(酸素欠陥が存在する)ためである。電気伝導度σはキャリア移動度μ(T)とキャリア密度n(T)の積に比例するが、キャリア移動度μ(T)が低いので、T=350[℃]付近において、ジルコニア薄膜の電気伝導度σは極小値を示している。
図10に示されているように、T=400〜575[℃]の範囲において、ジルコニア薄膜のキャリア移動度μ(T)が上昇する。これは、Tの上昇に伴ってジルコニア薄膜の結晶化度が徐々に高くなるためである。一方、T=400〜550[℃]の範囲において、ジルコニア薄膜のキャリア密度n(T)が減少する。これは、ZrO2−xのxが0に近づく(酸素欠陥が少なくなる)ためである。これらの結果、T=400[℃]付近において、ジルコニア薄膜の電気伝導度σは極大値を示している。これはキャリア密度n(T)の高さと十分なキャリア移動度μ(T)の両方を備えているためである。
図10に示されているように、T=575〜600[℃]の範囲において、ジルコニア薄膜のキャリア移動度μ(T)がさらに上昇する。これは、Tの上昇に伴いZrO2−xのxがほぼ0となり、酸素欠陥がほとんど無くなることと、結晶の緻密化が進行していくためである。一方、T=550〜600[℃]の範囲において、ジルコニア薄膜のキャリア密度n(T)がほぼ一定となる。これは、酸素欠陥がほとんど無くなるためである。これらの結果、T=550[℃]付近において、ジルコニア薄膜の電気伝導度σは極小値を示している。これはキャリア密度n(T)が十分に減少し、キャリア移動度μ(T)の急峻な上昇を起こす手前であることが理由である。
(本発明の他の実施形態)
本発明の他の実施形態として、前記成膜方法と同様の方法にしたがって、ひび割れ(クラック)又は欠損などが生じた傾斜機能膜が補修されてもよい。具体的には、ジルコニア薄膜に対して原料溶液のミストが供給され、雰囲気温度の制御によって溶媒を蒸発させるとともに溶質を構成するジルコニウムを酸化させるというプロセスが繰り返される。これにより、ひび割れに入り込んだ又は欠損箇所に付着したミスト由来のジルコニアによって、当該ひび割れ等が補修される。

Claims (3)

  1. 電気特性が膜厚方向について変化する傾斜機能膜を製造する方法であって、
    ジルコニウム無機塩を溶質とし、アルコールを溶媒とし、ケトン類化合物を第1助剤とし、前記第1助剤の濃度が調節されている原料溶液を調整し、
    基板に対して前記原料溶液のミストを供給し、雰囲気の加熱により前記溶媒を蒸発させるとともに前記溶質を構成するジルコニウムを酸化させるというプロセスを繰り返す過程で、前記雰囲気の温度を400〜600℃の温度範囲で高温から低温まで断続的に変化させ、前記基板の上に電気特性が異なる複数の機能層を順に積層させることにより前記傾斜機能膜を製造することを特徴とする方法。
  2. 請求項1記載の方法において、
    金属化合物を第2助剤とし、前記第2助剤の濃度が異なる複数種類の前記原料溶液を準備し、
    前記プロセスを繰り返す過程で、前記雰囲気の温度に加えて、前記ミストを構成する前記原料溶液の種類を変化させることにより、前記基板の上に前記傾斜機能膜を製造することを特徴とする方法。
  3. 請求項1又は2記載の方法において、
    前記プロセスを繰り返している途中又は後で、前記傾斜機能膜を酸素雰囲気下で熱処理することを特徴とする方法。
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