JP6032271B2 - 透明電極の製造方法および有機電子素子の製造方法 - Google Patents

透明電極の製造方法および有機電子素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、透明電極の製造方法、透明電極、及びそれを用いた有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子、太陽電池等の有機電子デバイスに用いられる有機電子素子に関する。
近年、有機EL素子や有機太陽電池といった有機電子デバイスが注目されており、このようなデバイスにおいて、透明電極は必須の構成技術となっている。
有機電子デバイスにおいては、大面積化への要望が益々高くなってきている。従来から用いられているITOや導電性ポリマーのような透明電極の場合、特に低い表面抵抗が必要とされる大面積用途においては、成膜コストが飛躍的に高くなるばかりか、実用上十分低い表面抵抗を得ることは非常に困難である。
電流の面均一性と導電性を両立するため、酸化インジウムスズ(ITO)の透明導電膜と、パターン状に形成された金属導電層を組み合わせた透明電極が開示されているが(例えば、特許文献1参照)、高い平滑性を必要とする有機電子デバイスについては何ら触れられていない。
また、透明導電膜と金属導電層を組み合わせた透明電極の透明性を高めるには、金属導電層パターンの微細化が必須となる。微細化された金属導電パターンを形成する場合には、例えばフォトリソグラフィ法を用いたエッチングによるパターニング方法や、銀塩含有層を有する感光材料を露光現像した後、めっき処理を施し金属導電パターンを形成する方法(例えば、特許文献2参照)などが用いられる。しかし、フォトリソグラフィ法や銀塩法はコストがかかり、また工程が複雑となる問題がある。
そこで、低コストで導電パターンを形成する単純な方法として、近年、印刷法により微細化された金属導電パターンをダイレクトに形成する方法が着目されている。印刷法による導電パターンの形成は工程が単純となり、低コストで実施することが可能な特長を有している。
印刷法による導電パターンの形成においては、導電パターンを形成する基板上に、金属ナノ粒子などの導電体を含むインクにより、導電パターンを形成する方法が採用される。導電パターンは、高温で加熱し焼成することにより、導電性が向上する。
有機電子デバイスにフレキシブル性を付与する場合、基板にPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等のフィルムが用いられるが、基板にダメージを与えないために、金属ナノ粒子より形成された導電性の金属細線パターンを局所加熱により焼成することは知られている。例えば、パルス光の照射(フラッシュ)によって焼成する例が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2005−302508号公報 特開2006−352073号公報 特表2008−522369号公報
しかし、金属細線パターンの抵抗値を充分に低いものとするために、パルス光の積算エネルギー(すなわちパルス光の照度とパルス幅の積)を高めていくと、金属細線パターンにおいて、表面凹凸、断線、アブレーションによる消失等の欠陥が生じたり、樹脂基板上で金属細線パターンを焼成した場合には、金属細線パターンに沿った樹脂基板表面の変形や溶融等、基板に欠陥が生じたりする等の問題があり、抵抗値を低減しようとしても充分な効果を得ることが困難であった。
また、前述のように、パルス光の積算エネルギーを高めた際に生じる金属細線パターンにおける表面凹凸、断線、アブレーションによる消失等といった欠陥が生じる原因の1つとして、焼成前の金属細線パターン中に含有される溶剤が、パルス光の照射(焼成)と同時に急激に蒸発・拡散することが挙げられる。
そのため、金属細線パターンの欠陥防止手段として、パルス光の照射による焼成に先駆け金属細線パターンを加熱乾燥させることが考えられ、かかる手段により一定の効果は期待できるものの、金属細線パターン形成におけるパターニング性能を高めるために必要な高沸点の有機溶媒を充分除去するために高温で加熱乾燥させることは、樹脂基板、特に比較的安価なPETフィルム、PENフィルム等を用いる場合に、基板変形をもたらす可能性がある。したがって、高温で加熱乾燥させることは、基板変形を避けるために実際には困難なことである。
さらに前述の金属細線パターンの欠陥や基板の欠陥を防ぎつつ低抵抗化を達成しようとする方法として、パルス光の照射を複数回に分け、複数の照射回数で焼成を行うことも知られている(例えば、特許文献3参照)が、同エネルギーのパルス光を複数回照射するこれらの方法では、1回目のパルス光の照射でほぼ低抵抗化の効果が頭打ちとなり、パルス光の照射を複数回に分けても低抵抗化の効果を得ることは、困難と考えられている。
したがって、本発明の主な目的は、金属細線パターンや基板に欠陥が生じるのを防止しながら抵抗値を低減させることができる透明電極の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討したところ、金属細線パターンの光照射による焼成を、予備焼成(第1の焼成工程)と本焼成(第2の焼成工程)とに分割し、かつ、第1の焼成工程における照射光の積算エネルギーを、第2の焼成工程における照射光の積算エネルギーよりも大きくなるよう焼成を行う事で、前述の金属細線パターンの欠陥や基板の欠陥を防ぎつつ低抵抗化が可能になる事を見出した。
これは、予備焼成において、金属細線パターン中に含まれる溶媒が除去された状況を形成することが可能であり、予備焼成における照射光の積算エネルギーが、低抵抗化の効果が期待できるエネルギー量に達していない、比較的低エネルギー量であることから、急激な溶剤の蒸発・拡散による金属細線パターンの欠陥が生じにくいものと推察している。
さらに、予備焼成で金属細線パターン中の溶剤の残留が少なくなった状況で本焼成と位置付けられる第2の焼成工程の処理(光照射)を行う事で、第2の焼成工程における照射光の積算エネルギーにおいて、金属ナノ粒子の融着に使われる効率が高まるものと思われる。したがって、第2の焼成工程における照射光の積算エネルギーは、これまで単一のパルス光で焼成を行っていたケースよりも、効率的に、すなわち低エネルギーで、より低抵抗化の効果が得られるうえ、より低エネルギーであることから、基板の欠陥も生じにくくなっていると推察している。
さらに、第1の焼成工程および第2の焼成工程における光照射のプロセスが、それぞれ1回または複数回のパルス光で構成される透明電極の製造方法において、第1の焼成工程における積算エネルギーが最大となる単一パルスの積算エネルギー量をE-P1m(max)と、第2の焼成工程における積算エネルギーが最大となる単一パルスの積算エネルギー量をE-P2m(max)としたとき、E-P2m(max)/E-P1m(max)の値が1.5以上になるよう光照射による焼成を行う事で、前述の効果はより大きくなることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決され、
本発明によれば、
透明基板と導電性の金属細線パターンとを有する透明電極の製造方法において、
前記透明基板上に金属ナノ粒子により前記金属細線パターンを形成する工程と、
前記金属細線パターンを光照射により焼成する工程とを備え、
前記金属細線パターンを焼成する工程では、
前記金属細線パターンを予備焼成する第1の焼成工程と、
前記金属細線パターンを本焼成する第2の焼成工程とを有し、
第2の焼成工程における照射光の積算エネルギーを、第1の焼成工程における照射光の積算エネルギーよりも大きくし、
さらに、第1の焼成工程および第2の焼成工程では、各工程の光照射を、それぞれ1回または複数回のパルス光で構成し、
前記第1の焼成工程における積算エネルギーが最大となる単一パルスの積算エネルギー量をE−P1m(max)とし、
前記第2の焼成工程における積算エネルギーが最大となる単一パルスの積算エネルギー量をE−P2m(max)としたとき、
E−P2m(max)>E−P1m(max)
であることを特徴とする透明電極の製造方法が提供される。
好ましくは
E−P2m(max)/E−P1m(max)の値を、1.5以上でかつ40以下とするのがよい。
本発明によれば、金属細線パターンや基板に欠陥が生じるのを防止しながら抵抗値を低減させることができる。
金属細線パターンを光照射により焼成する工程の内容を、概略的に説明するための図面である。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
本発明の好ましい実施形態にかかる透明電極は、少なくとも透明基板と導電性の金属細線パターンとを有しており、透明基板上に金属細線パターンが形成されている。当該透明電極では、好ましくは金属細線パターン上に導電性ポリマー層が形成される。
以下、透明電極の各部材の構成や特性、製造方法などについて説明する。
〔透明基板〕
本発明の透明電極に用いられる透明基板としては、高い光透明性を有している樹脂基板であれば、特に制限はない。例えば、樹脂基板、樹脂フィルムが好適に挙げられるが、生産性の観点や軽量性と柔軟性といった性能の観点から透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム、等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム等の二軸延伸ポリエステル樹脂フィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレート樹脂フィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。
例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。
また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
また、透明基板の表面または裏面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のバリア性フィルムであることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/m・24h・atm以下(1atmは、1.01325×10Paである)、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
高バリア性フィルムとするためにフィルム基板の表面または裏面に形成されるバリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。さらに該膜の脆弱性を改良するためにこれら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
〔金属細線パターン〕
本発明の金属細線パターンは、金属ナノ粒子より形成される。
金属ナノ粒子の金属材料は、導電性に優れていれば特に制限はなく、例えば、金、銀、銅、鉄、ニッケル、クロム等の金属の他に合金でもよいが、導電性及び安定性の観点から銀であることが好ましい。
ここで、金属ナノ粒子の平均粒径は1nm以上100nm以下であることが好ましく、1nm以上50nm以下であることがより好ましく、1nm以上30nm以下であることがより好ましい。
本発明における金属ナノ粒子の平均粒径は、金属ナノ粒子の電子顕微鏡観察から、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる金属ナノ粒子をランダムに200個以上観察し、各金属ナノ粒子の粒径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。ここで、本発明に係る平均粒径とは、円形、楕円形又は実質的に円形若しくは楕円形として観察できる金属ナノ粒子の外縁を2本の平行線で挟んだ距離の内最小の距離を指す。なお、平均粒径を測定する際、明らかに金属ナノ粒子の側面などを表しているものは測定しない。
本発明における金属細線パターンのパターン形状には特に制限はなく、例えば、パターン形状がストライプ状、あるいはメッシュ状であってもよいが、開口率は透明性の観点から80%以上であることが好ましい。開口率とは、透光性を有する導電部が全体に占める割合である。例えば、光不透過の金属細線パターンがストライプ状であるとき、線幅100μm、線間隔1mmのストライプ状パターンの開口率は、およそ90%である。パターンの線幅は、10〜200μmが好ましい。細線の線幅が10μm以上だと、所望の導電性が得られ、また200μm以下だと、透明電極として十分な透明性が得られる。細線の高さは、0.1〜5μmが好ましい。細線の高さが0.1μm以上だと所望の導電性が得られ、また5μm以下では、有機電子素子の形成において、その凹凸差が機能層の膜厚分布に影響を与えない範囲である。
導電部がストライプ状またはメッシュ状の電極を形成する方法としては、金属ナノ粒子を含有するインクを所望の形状に印刷する方法が好ましい。印刷方法としては特に制限はなく、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等の公知の印刷法により所望の形状に印刷し形成できる。
また細線電極のパターンは、上記のような規則的なパターンに限定されず、ランダムな網目構造であっても構わない。ランダムな網目構造としては、例えば、特表2005−530005号公報に記載のような、金属微粒子を含有する液を塗布乾燥することにより、自発的に導電性微粒子の無秩序な網目構造を形成する方法を利用出来る。
〔導電性ポリマー含有層〕
本発明に係る透明電極は、その用途によっては、透明基板上に形成された焼成済みの金属細線パターンを覆って、導電性ポリマー含有層が塗設されている事が好ましい。すなわち、有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子、太陽電池等の有機電子素子等の透明電極として用いる場合等が該当する。
ここで導電性ポリマー含有層の構成は任意であるが、π共役系導電性高分子とポリ陰イオンとを含んでなる導電性ポリマーから形成される構成が好ましい。
本発明の透明電極において、前記導電性ポリマー含有層が、少なくともπ共役系導電性高分子とポリ陰イオンとを含んでなる導電性ポリマーと下記一般式(I)で表される構造単位を含む水溶性バインダー樹脂とから形成されることが、高い透明性と導電性を保持したまま、高い表面平滑性が得られる点から好ましい。
Figure 0006032271
一般式(I)中、Rは水素原子、メチル基を表し、Qは−C(=O)O−、−C(=O)NRa−を表す。Raは水素原子、アルキル基を表し、Aは置換または無置換アルキレン基、−(CHCHRbO)CHCHRb−を表す。Rbは水素原子またはアルキル基を示し、xは平均繰り返しユニット数を表す。
導電性ポリマー含有層の乾燥膜厚は、30〜2000nmであることが好ましい。導電性の点から、100nm以上であることがより好ましく、電極の表面平滑性の点から、300nm以上であることがさらに好ましい。また、透明性の点から、1000nm以下であることがより好ましく、800nm以下であることがさらに好ましい。
導電性ポリマー含有層の塗布は、前述のグラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の印刷方法に加えて、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、インクジェット法等の塗布法を用いることができる。
(1)導電性ポリマー
本発明に係る導電性ポリマーは、π共役系導電性高分子とポリ陰イオンとを含んでなる。こうした導電性ポリマーは、後述するπ共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを、適切な酸化剤と酸化触媒と後述のポリ陰イオンの存在下で化学酸化重合することによって容易に製造できる。
(1.1)π共役系導電性高分子
本発明に用いるπ共役系導電性高分子としては、特に限定されず、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)類、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類、の鎖状導電性ポリマーを利用することができる。中でも、導電性、透明性、安定性等の観点、及び、金属ナノ粒子への吸着のしやすさから、ポリチオフェン類やポリアニリン類が好ましい。ポリエチレンジオキシチオフェンが最も好ましい。
(1.1.1)π共役系導電性高分子前駆体モノマー
π共役系導電性高分子の形成に用いられる前駆体モノマーは、分子内にπ共役系を有し、適切な酸化剤の作用によって高分子化した際にもその主鎖にπ共役系が形成されるものである。例えば、ピロール類及びその誘導体、チオフェン類及びその誘導体、アニリン類及びその誘導体等が挙げられる。
前駆体モノマーの具体例としては、ピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−n−プロピルピロール、3−ブチルピロール、3−オクチルピロール、3−デシルピロール、3−ドデシルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジブチルピロール、3−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシルピロール、3−メチル−4−カルボキシエチルピロール、3−メチル−4−カルボキシブチルピロール、3−ヒドロキシピロール、3−メトキシピロール、3−エトキシピロール、3−ブトキシピロール、3−ヘキシルオキシピロール、3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール、チオフェン、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−プロピルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−ヘプチルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−デシルチオフェン、3−ドデシルチオフェン、3−オクタデシルチオフェン、3−ブロモチオフェン、3−クロロチオフェン、3−ヨードチオフェン、3−シアノチオフェン、3−フェニルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヒドロキシチオフェン、3−メトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−ブトキシチオフェン、3−ヘキシルオキシチオフェン、3−ヘプチルオキシチオフェン、3−オクチルオキシチオフェン、3−デシルオキシチオフェン、3−ドデシルオキシチオフェン、3−オクタデシルオキシチオフェン、3,4−ジヒドロキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェン、3,4−ジプロポキシチオフェン、3,4−ジブトキシチオフェン、3,4−ジヘキシルオキシチオフェン、3,4−ジヘプチルオキシチオフェン、3,4−ジオクチルオキシチオフェン、3,4−ジデシルオキシチオフェン、3,4−ジドデシルオキシチオフェン、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−プロピレンジオキシチオフェン、3,4−ブテンジオキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−エトキシチオフェン、3−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシチオフェン、3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン、3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン、アニリン、2−メチルアニリン、3−イソブチルアニリン、2−アニリンスルホン酸、3−アニリンスルホン酸等が挙げられる。
(1.2)ポリ陰イオン
本発明に用いられるポリ陰イオンは、遊離酸状態の酸性ポリマーであり、アニオン基を有するモノマーの重合体、あるいはアニオン基を有するモノマーとアニオン基を有しないモノマーとの共重合体である。遊離酸は、一部が中和された塩の形をとっていてもよい。
このポリ陰イオンは、π共役系導電性高分子を溶媒に可溶化させる可溶化高分子である。また、ポリ陰イオンのアニオン基は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能して、π共役系導電性高分子の導電性と耐熱性を向上させる。
ポリ陰イオンのアニオン基としては、π共役系導電性高分子への化学酸化ドープが起こりうる官能基であればよいが、中でも、製造の容易さ及び安定性の観点からは、一置換硫酸エステル基、一置換リン酸エステル基、リン酸基、カルボキシ基、スルホ基等が好ましい。さらに、官能基のπ共役系導電性高分子へのドープ効果の観点より、スルホ基、一置換硫酸エステル基、カルボキシ基がより好ましい。
ポリ陰イオンの具体例としては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチルプロパンカルボン酸、ポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸等が挙げられる。これらの単独重合体であってもよいし、2種以上の共重合体であってもよい。
また、化合物内にさらにF(フッ素原子)を有するポリ陰イオンであってもよい。具体的には、パーフルオロスルホン酸基を含有するナフィオン(Dupont社製)、カルボン酸基を含有するパーフルオロ型ビニルエーテルからなるフレミオン(旭硝子社製)等を挙げることができる。
これらのうち、スルホン酸を有する化合物であると、導電性ポリマー含有層を塗布、乾燥することによって形成した後に、100〜120℃で5分以上の加熱乾燥処理を施してもよい。これにより架橋反応が促進するため、塗布膜の洗浄耐性や溶媒耐性が著しく向上することから、好ましい。
さらに、これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸が好ましい。これらのポリ陰イオンは、水酸基含有非導電性ポリマーとの相溶性が高く、また、得られる導電性ポリマーの導電性をより高くできる。
ポリ陰イオンの重合度は、モノマー単位が10〜100000個の範囲であることが好ましく、溶媒溶解性及び導電性の点からは、50〜10000個の範囲がより好ましい。
ポリ陰イオンの製造方法としては、例えば、酸を用いてアニオン基を有さないポリマーにアニオン基を直接導入する方法、アニオン基を有しないポリマーをスルホ化剤によりスルホン酸化する方法、アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法が挙げられる。
アニオン基含有重合性モノマーの重合により製造する方法は、溶媒中、アニオン基含有重合性モノマーを、酸化剤及び/または重合触媒の存在下で、酸化重合またはラジカル重合によって製造する方法が挙げられる。具体的には、所定量のアニオン基含有重合性モノマーを溶媒に溶解させ、これを一定温度に保ち、それに予め溶媒に所定量の酸化剤及び/または重合触媒を溶解した溶液を添加し、所定時間で反応させる。その反応により得られたポリマーは溶媒によって一定の濃度に調整される。この製造方法において、アニオン基含有重合性モノマーにアニオン基を有さない重合性モノマーを共重合させてもよい。
アニオン基含有重合性モノマーの重合に際して使用する酸化剤及び酸化触媒、溶媒は、π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーを重合する際に使用するものと同様である。
得られたポリマーがポリ陰イオン塩である場合には、ポリ陰イオン酸に変質させることが好ましい。アニオン酸に変質させる方法としては、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、透析法、限外ろ過法等が挙げられ、これらの中でも、作業が容易な点から限外ろ過法が好ましい。
導電性ポリマーに含まれるπ共役系導電性高分子とポリ陰イオンの比率、「π共役系導電性高分子」:「ポリ陰イオン」は質量比で1:1〜1:20が好ましい。導電性、分散性の観点からより好ましくは1:2〜1:10の範囲である。
π共役系導電性高分子を形成する前駆体モノマーをポリ陰イオンの存在下で化学酸化重合して、本発明に係る導電性ポリマーを得る際に使用される酸化剤は、例えばJ.Am.Soc.,85、454(1963)に記載されるピロールの酸化重合に適する、いずれかの酸化剤である。実際的な理由のために、安価でかつ取扱い易い酸化剤、例えば鉄(III)塩、例えばFeCl、Fe(ClO、有機酸及び有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩、または過酸化水素、重クロム酸カリウム、過硫酸アルカリ(例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム)またはアンモニウム、過ホウ酸アルカリ、過マンガン酸カリウム及び銅塩例えば四フッ化ホウ酸銅を用いることが好ましい。加えて、酸化剤として随時触媒量の金属イオン例えば鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン及びバナジウムイオンの存在下における空気及び酸素も使用することができる。過硫酸塩並びに有機酸及び有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の使用が腐食性でないために大きな応用上の利点を有する。
有機残基を含む無機酸の鉄(III)塩の例としては、炭素数1〜20のアルカノールの硫酸半エステルの鉄(III)塩、例えばラウリル硫酸;炭素数1〜20のアルキルスルホン酸、例えばメタンまたはドデカンスルホン酸;脂肪族炭素数1〜20のカルボン酸、例えば2−エチルヘキシルカルボン酸;脂肪族パーフルオロカルボン酸、例えばトリフルオロ酢酸及びパーフルオロオクタノン酸;脂肪族ジカルボン酸、例えばシュウ酸並びに殊に芳香族の、随時炭素数1〜20のアルキル置換されたスルホン酸、例えばベンゼセンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びドデシルベンゼンスルホン酸のFe(III)塩が挙げられる。さらに公知の酸化触媒を用いて酸化重合を行うことができる。
こうした導電性ポリマーは、市販の材料も好ましく利用できる。例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸からなる導電性ポリマー(PEDOT−PSSと略す)が、H.C.Starck社からCleviosシリーズとして、Aldrich社からPEDOT−PSSの483095、560596として、Nagase Chemtex社からDenatronシリーズとして市販されている。また、ポリアニリンが、日産化学社からORMECONシリーズとして市販されている。本発明において、こうした剤も好ましく用いることができる。
(2)第2ドーパント
導電性ポリマー含有層に、第2ドーパントとして水溶性有機化合物を含有してもよい。本発明で用いることができる水溶性有機化合物には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、酸素含有化合物が好適に挙げられる。前記酸素含有化合物としては、酸素を含有する限り特に制限はなく、例えば、水酸基含有化合物、カルボニル基含有化合物、エーテル基含有化合物、スルホキシド基含有化合物等が挙げられる。前記水酸基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン等が挙げられ、これらの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコールが好ましい。前記カルボニル基含有化合物としては、例えば、イソホロン、プロピレンカーボネート、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。前記エーテル基含有化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、等が挙げられる。前記スルホキシド基含有化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
(3)水溶性バインダー樹脂
本発明の導電性ポリマー含有層においては、少なくとも前記一般式(I)で表される構造単位を含む水溶性バインダー樹脂を含有することが好ましい。こうした樹脂は導電性ポリマーと容易に混合可能で、また、前述の第二ドーパント的な効果も有するため、該水溶性バインダー樹脂を併用することにより、導電性、透明性を低下させることなく、導電性ポリマー含有層の膜厚を上げることが可能となる。膜厚を上げることで、高い表面平滑性が得られ、また金属細線パターンを導電性ポリマー含有層で十分に覆うことが可能となり、有機発光デバイスや有機太陽電池デバイス等の電極に使用した場合でも整流比に優れ電極間のリークを防ぐことが可能となる。
水溶性バインダー樹脂とは、水溶性のバインダー樹脂であって、その樹脂成分が25℃の水100gに0.001g以上溶解するバインダー樹脂を意味する。前記溶解は、ヘイズメーター、濁度計で測定することができる。
水溶性バインダー樹脂としては透明であることが好ましい。
水溶性バインダー樹脂は、前記一般式(I)で表される構造単位を含む構造を有することが好ましい。前記一般式(I)で表されるホモポリマーであってもよいし、他の成分を共重合されていてもよい。他の成分を共重合する場合は、前記一般式(I)で表される構造単位を10モル%以上含有することが好ましく、30モル%以上含有することがより好ましく、50モル%以上含有することがさらに好ましい。
また、水溶性バインダー樹脂は、導電性ポリマー含有層中に40質量%以上、95質量%以下含まれていることが好ましく、50質量%以上、90質量%以下であることがさらに好ましい。
一般式(I)で表される水酸基を有する構造単位において、Rは水素原子またはメチル基を表す。Qは−C(=O)O−、−C(=O)NRa−を表し、Raは水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基は、例えば炭素原子数1〜5の直鎖、あるいは分岐アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。また、これらのアルキル基は置換基で置換されていてもよい。
これら置換基の例としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルキルカルボンアミド基、アリールカルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルキルカルバモイル基、アリールカルバモイル基、アルキルスルファモイル基、アリールスルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等で置換されてもよい。これらのうち好ましくは、水酸基、アルキルオキシ基である。
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が含まれる。
上記アルキル基は分岐を有していてもよく、炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜8であることがさらに好ましい。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が含まれる。
上記シクロアルキル基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましく、3〜8であることがさらに好ましい。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基が含まれる。
上記アルコキシ基は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基及びオクチルオキシ基が含まれ、好ましくはエトキシ基である。
上記アルキルチオ基の炭素数は、分岐を有していてもよく、炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基等が含まれる。
上記アリールチオ基の炭素数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールチオ基の例にはフェニルチオ基及びナフチルチオ基等が含まれる。
上記シクロアルコキシ基の炭素原子数は、3〜12であることが好ましく、より好ましくは3〜8である。シクロアルコキシ基の例には、シクロプロポキシ基、シクロブチロキシ基、シクロペンチロキシ基及びシクロヘキシロキシ基が含まれる。
上記アリール基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリール基の例にはフェニル基及びナフチル基が含まれる。
上記アリールオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシ基の例にはフェノキシ基及びナフトキシ基が含まれる。
上記へテロシクロアルキル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましく、3〜5であることがさらに好ましい。へテロシクロアルキル基の例にはピペリジノ基、ジオキサニル基及び2−モルホリニル基が含まれる。
上記へテロアリール基の炭素原子数は、3〜20であることが好ましく、3〜10であることがさらに好ましい。へテロアリール基の例にはチエニル基、ピリジル基が含まれる。
上記アシル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アシル基の例にはホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。
上記アルキルカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルカルボンアミド基の例にはアセトアミド基等が含まれる。
上記アリールカルボンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アリールカルボンアミド基の例にはベンズアミド基等が含まれる。
上記アルキルスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。スルホンアミド基の例にはメタンスルホンアミド基等が含まれる。
上記アリールスルホンアミド基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アリールスルホンアミド基の例には、ベンゼンスルホンアミド基及びp−トルエンスルホンアミドが基含まれる。
上記アラルキル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アラルキル基の例にはベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が含まれる。
上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルコキシカルボニル基の例にはメトキシカルボニル基が含まれる。
上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシカルボニル基の例にはフェノキシカルボニル基が含まれる。
上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は8〜20であることが好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例にはベンジルオキシカルボニル基が含まれる。
上記アシルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アシルオキシ基の例にはアセトキシ基及びベンゾイルオキシ基が含まれる。
上記アルケニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルケニル基の例に、ビニル基、アリル基及びイソプロペニル基が含まれる。
上記アルキニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルキニル基の例にはエチニル基が含まれる。
上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルスルホニル基の例に、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基が含まれる。
上記アリールスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールスルホニル基の例に、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基が含まれる。
上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は1〜20あることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルオキシスルホニル基の例に、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基が含まれる。
上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシスルホニル基の例に、フェノキシスルホニル基、ナフトキシスルホニル基が含まれる。
上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アルキルスルホニルオキシ基の例に、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基が含まれる。
上記アリールスルホニルオキシ基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールスルホニルオキシ基の例に、フェニルスルホニルオキシ基、ナフチルスルホニルオキシ基が含まれる。置換基は同一でも異なっていても良く、これら置換基がさらに置換されてもよい。
本発明の一般式(I)で表される水酸基を有する構造単位において、Aは置換あるいは無置換アルキレン基、−(CHCHRbO)−CHCHRb−を表す。アルキレン基は、例えば炭素原子数1〜5が好ましく、より好ましくはエチレン基、プロピレン基である。これらのアルキレン基は前述した置換基で置換されていてもよい。また、Rbは水素原子、アルキル基を表す。アルキル基は、例えば炭素原子数1〜5の直鎖、あるいは分岐アルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。また、これらのアルキル基は前述の置換基で置換されていてもよい。さらに、xは平均繰り返しユニット数を表し、0〜100が好ましく、より好ましくは0〜10である。繰り返しユニット数は分布を有しており、表記は平均値を示し、小数点以下1桁で表記してもよい。
以下に、一般式(I)で表される構造単位の代表的具体例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
Figure 0006032271
本発明の水溶性バインダー樹脂は、汎用的な重合触媒を用いたラジカル重合により得ることができる。重合様式としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等が挙げられ、好ましくは溶液重合である。重合温度は、使用する開始剤によって異なるが、一般に−10〜250℃、好ましくは0〜200℃、より好ましくは10〜100℃で実施される。
本発明の水溶性バインダー樹脂の数平均分子量は3,000〜2,000,000の範囲が好ましく、より好ましくは4,000〜500,000、さらに好ましくは5000〜100000の範囲内である。
本発明の水溶性バインダー樹脂の数平均分子量、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量=Mw/Mn)の測定は、一般的に知られているゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により行うことができる。使用する溶媒は、バインダー樹脂が溶解すれば特に限りはなく、THF(テトラヒドロフラン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、CHClが好ましく、より好ましくはTHF、DMFであり、更に好ましくはDMFである。また、測定温度も特に制限はないが40℃が好ましい。
〔透明電極の特性〕
本発明における透明電極の全光線透過率は、70%以上、好ましくは80%以上であることが望ましい。全光線透過率は、分光光度計等を用いた公知の方法に従って測定することができる。
本発明における透明電極の導電部の電気抵抗値としては、大面積の有機電子素子に用いるためには、表面比抵抗は100Ω/□以下であることが好ましく、20Ω/□以下であることがより好ましい。表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257、等に準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
〔透明電極の製造方法〕
本発明の好ましい実施形態にかかる透明電極の製造方法では、主に、
(i)透明基板上に金属ナノ粒子により金属細線パターンを形成する工程と、
(ii)金属細線パターンを光照射により焼成する工程と、
を備えている。
特に(ii)の光照射による加熱焼成は、たとえばフラッシュランプを用いたパルス光の照射にて実現されるものであり、金属ナノ粒子より形成された導電性の金属細線パターンを焼成して、その導電性を向上させるために行う。
さらに詳しく言えば、図1に示すとおり、パルス光の光照射による加熱焼成を、予備焼成を行う第1の焼成工程(10)と、本焼成を行う第2の焼成工程(20)とに分け、かつ、第2の焼成工程における照射光の積算エネルギーの総計を、第1の焼成工程における照射光の積算エネルギーの総計よりも大きくする。
なかでも好ましい条件として、第1の焼成工程および第2の焼成工程における各工程の光照射を、それぞれ1回または複数回のパルス光の照射で構成し、第1の焼成工程における照射光の積算エネルギーが最大となる単一パルスの積算エネルギー量をE-P1m(max)と、第2の焼成工程における照射光の積算エネルギーが最大となる単一パルスの積算エネルギー量をE-P2m(max)としたとき、E-P2m(max)/E-P1m(max)の値が1.5以上でかつ40以下であることが挙げられる。
光照射エネルギー量の範囲としては、予備焼成を行う第1の焼成工程の光照射エネルギーの総計は0.1〜10J/cmが好ましい。0.1J/cm未満では予備焼成の効果が得られにくく、10J/cmを超えると、金属細線パターンの形状に悪影響をもたらす可能性が高まる。より好ましくは0.1〜3J/cmの範囲である。
光照射時間すなわちパルス幅は10μ秒〜100m秒が好ましく、100μ秒〜10m秒で行うのがより好ましい。
光照射回数は1回でも複数回でも良く、1〜50回の範囲で行うのが好ましい。複数回の照射を行う場合のパルスの間隔は任意である。第1の焼成工程における照射光の積算エネルギーが最大となる単一パルスの積算エネルギー量E-P1m(max)の好ましい範囲は0.1〜3J/cmである。0.1J/cm以上では予備焼成の効果が得られやすく、3J/cm以下とすることで、金属細線パターンの形状に悪影響をもたらす可能性が低下する。
他方、本焼成を行う第2の焼成工程の光照射エネルギーの総計は0.3〜50J/cmが好ましい。0.3J/cm以上では焼成の効果が得られやすく、50J/cm以下では、金属細線パターンの形状に悪影響をもたらす可能性が低下する。より好ましくは0.3〜10J/cmの範囲である。
光照射時間すなわちパルス幅は10μ秒〜100m秒が好ましく、100μ秒〜10m秒で行うのがより好ましい。
光照射回数は1回でも複数回でも良く、1〜50回の範囲で行うのが好ましい。複数回の照射を行う場合のパルスの間隔は任意である。第2の焼成工程における照射光の積算エネルギーが最大となる単一パルスの積算エネルギー量E-P1m(max)の好ましい範囲は0.3〜4J/cmである。0.3J/cm以上では予備焼成の効果が得られやすく、4J/cm以下では、金属細線パターンの形状に悪影響をもたらす可能性が低下する。ただし当然ながら、前述の第1の焼成工程の光照射エネルギーの総計と第2の焼成工程の光照射エネルギーの総計との関係は、後者の第2の焼成工程の光照射エネルギーの総計が大きいことが前提である。
第1の焼成工程と第2の焼成工程との間隔は任意だが、5m秒以上であることが好ましい。5m秒以上であると予備焼成と本焼成を分離する効果が得られやすい。より好ましくは10m秒以上である。逆に間隔が長くなることによる効果や透明電極への性能への影響は特にないが、透明電極の生産速度上有利になるため、1分以内とすることが好ましい。
なお、第1の焼成工程と第2の焼成工程との判別を、たとえば図1に示す内容に沿って説明すると、各工程におけるパルス光を「パルス光11〜13,21〜23」とした場合に、パルス光のエネルギー量は各工程において減衰する傾向にある。かかる場合に、第1の焼成工程中のパルス光11〜13のうち、最小のエネルギー量を有するパルス光13のエネルギー量を上回ったパルス光21が新たに照射されたとき、パルス光13とパルス光21との間の地点を境界として、第1の焼成工程と第2の焼成工程とが区画されるものとする。
より具体的な光照射による焼成条件の例を表1に例示する。
Figure 0006032271
本発明のフラッシュランプの放電管として、キセノン、ヘリウム、ネオン、アルゴンを用いることが出来るが、キセノンを用いることが好ましい。
本発明におけるフラッシュランプの好ましいスペクトル帯域としては、240nm〜2000nmであるのが、光照射により本発明の導電性ポリマー含有層に対して導電性低下等のダメージを与えないため好ましい。
基板の素材が透明体である場合、基板に対するフラッシュランプの光照射は、金属細線パターンの印刷してある表側からの照射だけではなく、裏側から照射しても良く、両側から照射しても良い。
本発明のフラッシュランプを用いた光照射は大気中で行ってもよいが、必要に応じ、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。
また、光照射時の基板温度は、金属ナノ粒子を含有するインクの分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、金属ナノ粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、基板の耐熱温度などを考慮して決定すればよく、室温以上150℃以下で行うことが好ましい。なお、フラッシュランプを用いた光照射を行う前に、金属細線パターンを形成後の基板を、あらかじめ加熱処理しておいても良い。
フラッシュランプの光照射装置は上記の照射エネルギー、照射時間を満たすものであれば、いずれの装置も使用可能である。
〔有機電子素子〕
本発明における有機電子素子は、本発明の方法で製造された透明電極と有機機能層とを有する。
例えば、本発明の方法で形成された透明電極を第一電極部として、この第一電極部の上に有機機能層を形成し、さらにこの有機機能層の上に対向電極として第二電極部を形成することによって、有機電子素子を得ることができる。
有機機能層としては、有機発光層、有機光電変換層、液晶ポリマー層など特に限定無く挙げることができるが、本発明は、有機機能層が薄膜でかつ電流駆動系のものである有機発光層、有機光電変換層である場合において、特に有効である。
以下、本発明の有機電子素子が、有機EL素子および有機光電変換素子である場合のその構成要素について説明する。
(1)有機EL素子
(1.1)有機機能層構成(有機発光層)
本発明において、有機機能層としての有機発光層を有する有機EL素子は、有機発光層に加えて、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層、ホールブロック層、電子ブロック層などの発光を制御する層を有機発光層と併用しても良い。
本発明の透明電極上の導電性ポリマー層は、ホール注入層として働くことも可能であるので、ホール注入層を兼ねることも可能だが、独立にホール注入層を設けても良い。
構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
(i)(第一電極部)/発光層/電子輸送層/(第二電極部)
(ii)(第一電極部)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/(第二電極部)
(iii)(第一電極部)/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/(第二電極部)
(iv)(第一電極部)/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極バッファー層/(第二電極部)
(v)(第一電極部)/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔ブロック層/電子輸送層/陰極バッファー層/(第二電極部)
ここで、発光層は、発光極大波長が各々430〜480nm、510〜550nm、600〜640nmの範囲にある単色発光層であってもよく、また、これらの少なくとも3層の発光層を積層して白色発光層としたものであってもよく、さらに発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。本発明の有機EL素子としては、白色発光層であることが好ましい。
また、本発明において有機発光層に使用できる発光材料またはドーピング材料としては、アントラセン、ナフタレン、ピレン、テトラセン、コロネン、ペリレン、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、トリス(5−フェニル−8−キノリナート)アルミニウム錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、トリ−(p−ターフェニル−4−イル)アミン、1−アリール−2,5−ジ(2−チエニル)ピロール誘導体、ピラン、キナクリドン、ルブレン、ジスチルベンゼン誘導体、ジスチルアリーレン誘導体、および各種蛍光色素および希土類金属錯体、燐光発光材料等があるが、これらに限定されるものではない。またこれらの化合物のうちから選択される発光材料を90〜99.5質量部、ドーピング材料を0.5〜10質量部含むようにすることも好ましい。
有機発光層は上記の材料等を用いて公知の方法によって作製されるものであり、蒸着、塗布、転写などの方法が挙げられる。
(1.2)電極
本発明の透明電極は、上記の第一、または第二電極部で使用される。第一電極部が陽極で第二電極部が陰極であることが好ましい態様である。
第二電極部は導電材単独層であっても良いが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用してもよい。第二電極部の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物およびこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。
このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性および酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
第二電極部の導電材として金属材料を用いれば第二電極側に来た光は反射されて第一電極部側にもどる。第二電極部の導電材として金属材料を用いることで、この光が再利用可能となりより取り出しの効率が向上する。
(2)有機光電変換素子
有機光電変換素子は、第一電極部、バルクヘテロジャンクション構造(p型半導体層およびn型半導体層)を有する光電変換層(以下、バルクヘテロジャンクション層とも呼ぶ)、第二電極部が積層された構造を有することが好ましい。本発明の透明電極は、少なくとも入射光側に用いられる。
光電変換層と第二電極部との間に電子輸送層などの中間層を有しても良い。
(2.1)光電変換層
光電変換層は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、p型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合したバルクヘテロジャンクション層を構成していることが好ましい。p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプター)として機能する。
ここで、電子供与体および電子受容体は、“光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体および電子受容体”であり、電極のように単に電子を供与あるいは受容するものではなく、光反応によって、電子を供与あるいは受容するものである。
p型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物が挙げられる。
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、およびこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェンおよびそのオリゴマー、ポリピロールおよびそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレンおよびそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレンおよびそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレンおよびそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、フラーレンおよびこれらの誘導体あるいは混合物を挙げることができる。
また、特にポリチオフェンおよびそのオリゴマーのうち、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
その他、高分子p型半導体の例としては、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリピロール、ポリパラフェニレンスルフィド、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリカルバゾール、ポリイソチアナフテン、ポリヘプタジイン、ポリキノリン、ポリアニリンなどが挙げられ、さらには特開2006−36755号公報などの置換−無置換交互共重合ポリチオフェン、特開2007−51289号公報、特開2005−76030号公報、J.Amer.Chem.Soc.,2007,p4112、J.Amer.Chem.Soc.,2007,p7246などの縮環チオフェン構造を有するポリマー、WO2008/000664、Adv.Mater.,2007,p4160、Macromolecules,2007,Vol.40,p1981などのチオフェン共重合体などを挙げることができる。
さらに、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンジチオテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、等の有機分子錯体、C60、C70、C76、C78、C84等のフラーレン類、SWNT等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素等、さらにポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマーや特開2000−260999号に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
これらのπ共役系材料のうちでも、ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニン、金属ポルフィリンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。また、ペンタセン類がより好ましい。
ペンタセン類の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986等に記載の置換アセン類およびその誘導体等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。そのような化合物としては、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123、p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物、および米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、特開2007−224019号公報等に記載のポルフィリンプレカーサー等のような、プレカーサータイプの化合物(前駆体)が挙げられる。
これらの中でも、後者のプリカーサータイプの方が好ましく用いることができる。
これは、プリカーサータイプの方が、変換後に不溶化するため、バルクヘテロジャンクション層の上に正孔輸送層・電子輸送層・正孔ブロック層・電子ブロック層等を溶液プロセスで形成する際に、バルクヘテロジャンクション層が溶解してしまうことがなくなるため、前記の層を構成する材料とバルクヘテロジャンクション層を形成する材料とが混合することがなくなり、一層の効率向上・寿命向上を達成することができるためである。
p型半導体材料としては、p型半導体材料前駆体に熱・光・放射線・化学反応を引き起こす化合物の蒸気に晒す、等の方法によって化学構造変化を起こし、p型半導体材料に変換された化合物であることが好ましい。中でも熱によって科学構造変化を起こす化合物が好ましい。
n型半導体材料の例としては、フラーレン、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む、高分子化合物が挙げられる。
中でも、フラーレン含有高分子化合物が好ましい。フラーレン含有高分子化合物としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等を骨格に持つ高分子化合物が挙げられる。フラーレン含有高分子化合物では、フラーレンC60を骨格に持つ高分子化合物(誘導体)が好ましい。
フラーレン含有ポリマーとしては、大別してフラーレンが高分子主鎖からペンダントされたポリマーと、フラーレンが高分子主鎖に含有されるポリマーとに大別されるが、フラーレンがポリマーの主鎖に含有されている化合物が好ましい。
これは、フラーレンが主鎖に含有されているポリマーは、ポリマーが分岐構造を有さないため、固体化した際に高密度なパッキングができ、結果として高い移動度を得ることができるためではないかと推定される。
電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。
本発明の光電変換素子を、太陽電池などの光電変換デバイスとして用いる形態としては、光電変換素子を単層で利用してもよいし、積層(タンデム型)して利用してもよい。
また、光電変換デバイスは、環境中の酸素、水分等で劣化しないために、公知の手法によって封止することが好ましい。
以上の本実施形態によれば、金属細線パターンや基板の欠陥を防止しながら抵抗値の低減を図ることができる透明電極を製造することができる(下記実施例参照)。
かかる透明電極は、透明性及び導電性に優れ、かつ、透明な樹脂基板を用いることによるフレキシブルな特性も有する。
また、当該透明電極を用いれば、大面積化にも対応し、低電圧で駆動可能な有機電子素子を提供することが可能になった。加えてフレキシブルな樹脂基板を用いることで、ロール・トゥ・ロール・プロセスによる、高速かつ大量の生産形態を可能にし、安価で高性能な透明電極の提供が可能になった。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
(1)ガスバリア層付き透明基板の作製
厚さ100μm、大きさ180mm×180mmのポリエチレンテレフタレートフィルム基板を準備し、下記の方法でその両面にガスバリア層を形成した。
(1.1)塗布
パーヒドロポリシラザン(PHPS、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製アクアミカ NN320)の20質量%ジブチルエーテル溶液をワイヤレスバーにて、乾燥後の(平均)膜厚が、0.30μmとなるように塗布し、塗布試料を得た。
(1.2)乾燥および除湿
(第1工程;乾燥処理)
得られた塗布試料を温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分処理し、乾燥試料を得た。
(第2工程;除湿処理)
乾燥試料をさらに温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行った。
(1.3)改質
(改質処理)
除湿処理を行った試料を下記の条件で改質処理を行い、ガスバリア層を形成した。改質処理時の露点温度は−8℃で実施した。
(改質処理装置)
株式会社エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200、波長172nm、ランプ封入ガスXeを使用した。
稼動ステージ上に試料を固定してその試料に対し以下の条件で改質処理を行った。
(改質処理条件)
エキシマ光強度 60mW/cm(172nm)
試料と光源の距離 1mm
ステージ加熱温度 70℃
照射装置内の酸素濃度 1%
エキシマ照射時間 3秒
(2)透明電極(サンプル)の作製
(2.1)透明電極TCF−1の作製
上記で作製したガスバリア層付き透明基板上に、銀ナノ粒子インキ1(TEC−PA−010;InkTec社製)を用いて、50μm幅、1mmピッチ、正方形格子状のスクリーン版パターンにて、焼成後の細線の高さが800nmになるようスクリーン印刷方式で金属細線パターンの印刷を行った。
印刷装置として小型厚膜半自動印刷機STF−150IP(東海商事社製)を用いた。パターンを印刷するエリアの面積は150mm×150mmとした。
その後、上記で得られた金属細線パターンを形成した樹脂フィルム基板に対し、前述の表1における焼成条件(光照射パターンA)で、光照射による焼成を行い「透明電極TCF−1」を作製した。
フラッシュランプには、250nm以下の短波長カットフィルターを装着したキセノンランプ2400WS(COMET社製)を用いた。
(2.2)透明電極TCF−2〜TCF−8の作製
透明電極TCF−1の作製において、焼成条件を、前述の表1における光照射パターンB〜Hに変更した。その他は、透明電極TCF−1と同様の工程の処理を施し、「透明電極TCF−2〜TCF−8」を作製した。
(2.3)透明電極TCF−R1(比較)の作製
透明電極TCF−1の作製において、焼成条件を、エネルギー量4J/cm、パルス幅2m秒とした。その他は、透明電極TCF−1と同様の工程の処理を施し、比較の「透明電極TCF−R1」を作製した。
(2.4)透明電極TCF−R2(比較)の作製
透明電極TCF−1の作製において、焼成条件を、エネルギー量1.5J/cm、パルス幅3m秒とした。その他は、透明電極TCF−1と同様の工程の処理を施し、比較の「透明電極TCF−R2」を作製した。
(2.5)透明電極TCF−R3(比較)の作製
透明電極TCF−1の作製において、焼成条件を、エネルギー量1.5J/cm、パルス幅3m秒で、1秒の休止を挟み、2回照射とした。その他は、透明電極TCF−1と同様の工程の処理を施し、比較の「透明電極TCF−R3」を作製した。
(2.6)透明電極TCF−R4(比較)の作製
透明電極TCF−1の作製において、焼成条件を、下記条件とした。その他は、透明電極TCF−1と同様の工程の処理を施し、比較の「透明電極TCF−R4」を作製した。
(透明電極TCF−R4の焼成条件)
エネルギー量2J/cmでパルス幅1m秒の光照射
→2m秒休止
→エネルギー量1.4J/cmでパルス幅1m秒の光照射
→2m秒休止
→エネルギー量1.0J/cmでパルス幅1m秒の光照射
→2m秒休止
→エネルギー量0.7J/cmでパルス幅1m秒の光照射
(3)サンプルの評価
上記のように作製した透明電極TCF−1〜TCF8、TCF−R1〜TCF−R4について、グリッド上の表面比抵抗測定とSEMによる表面観察を行った。表面比抵抗は、ダイアインスツルメンツ製抵抗率計ロレスタGPを用いて透明電極の表面比抵抗を四端子法で測定した。
表面比抵抗の測定結果とSEMによる観察結果を表2に示す。
Figure 0006032271
(3)まとめ
表2に示すとおり、透明電極TCF−1〜TCF−8と透明電極TCF−R1〜TCF−R4とを比較すると、焼成条件を表1に記載の条件とした前者のサンプルは、表面比抵抗が低く、金属細線パターンや基板に欠陥は見られず観察結果は良好であった。
以上から、金属細線パターンや基板に欠陥が生じるのを防止しながら抵抗値を低減するうえでは、光照射による焼成工程を2段階に分けて、2回目の焼成工程における照射光の積算エネルギーを、1回目の焼成工程における照射光の積算エネルギーよりも大きくすることが有用であることがわかる。
(1)有機EL素子用の導電性ポリマー含有層付き透明電極の作製
(1.1)水溶性バインダー樹脂1の合成
300ml三ツ口フラスコにTHF200mlを加え10分間加熱還流させた後、窒素下で室温に冷却した。2−ヒドロキシエチルアクリレート(10.0g、86.2mmol、分子量116.12)、AIBN(2.8g、17.2mmol、分子量164.11)を加え、5時間加熱還流した。室温に冷却した後、2000mlのMEK中に反応溶液を滴下し、1時間攪拌した。MEKをデカンテーション後、100mlのMEKで3回洗浄後、THFでポリマーを溶解し、100mlフラスコへ移した。THFをロータリーエバポレーターにより減圧留去後、50℃で3時間減圧乾燥した。その結果、数平均分子量22100、分子量分布1.42の「水溶性バインダー樹脂1」を9.0g(収率90%)得た。
構造、分子量は各々H−NMR(400MHz、日本電子社製)、GPC(Waters2695、Waters社製)で測定した。
<GPC測定条件>
装置:Waters2695(Separations Module)
検出器:Waters 2414 (Refractive Index Detector)
カラム:Shodex Asahipak GF−7M HQ
溶離液:ジメチルホルムアミド(20mM LiBr)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
得られた水溶性バインダー樹脂1を純水に溶解し、固形分20%の水溶性バインダー樹脂1水溶液を調製した。
(1.2)導電性ポリマー液CP−1の調製
次いで、下記の化合物を混合して導電性ポリマー液CP−1を調製した。
水溶性バインダー樹脂1水溶液(固形分20%水溶液) 0.40g
PEDOT−PSS CLEVIOS PH750(固形分1.03%)(Heraeus社製) 1.90g
ジメチルスルホキシド 0.10g
(1.3)塗布および乾燥
実施例1で作製した透明電極のうち、表面比抵抗を測定出来なかったTCF−R1を除き、各透明電極上の金属細線パターンの印刷幅に合わせて、上記の方法で調製した導電性ポリマー液CP−1を、塗布幅150mmのアプリケーターを用いて、導電性ポリマー含有層として、乾燥膜厚が500nmとなるよう樹脂フィルム基板上に塗布し、金属細線パターンの印刷領域と同じになるよう不要な周辺部分を拭き取ったのち、ホットプレートを使用して120℃で30分熱処理を施して、「導電性ポリマー含有層付き透明電極TCF−1P〜TCF−8P、TCF−R2P〜TCF−R4P」を作製した。
(2)有機EL素子(サンプル)の作製
各導電性ポリマー含有層付き透明電極を第1電極(陽極)に用いて、以下の手順でそれぞれ「有機EL素子OLED−1〜8、OLED−R2〜R4」を作製した。
第1電極の上に、PEDOT−PSS CLEVIOS P AI 4083(固形分1.5%)(Heraeus社製)を、塗布幅150mmのアプリケーターを用いて、乾燥膜厚が30nmとなるようガラス基板上に塗布し、150mm×150mmの面積になるよう不要な周辺部分を拭き取ったのち、乾燥させた。
次に、透明電極を市販の真空蒸着装置内にセットし、真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、各層の構成材料を各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼはモリブデン製またはタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
次いで、以下の手順で各発光層を設けた。
まず、真空度1×10−4Paまで減圧した後、下記α−NPDの入った前記蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、30nmの正孔輸送層を設けた。
その後、下記Ir−1が13質量%、下記Ir−14が3.7質量%の濃度になるように、Ir−1、Ir−14および下記化合物1−7を蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が622nm、厚さ10nmの緑赤色燐光発光層を形成した。
その後、下記E−66が10質量%になるように、E−66および化合物1−7を蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、発光極大波長が471nm、厚さ15nmの青色燐光発光層を形成した。
その後、下記M−1を膜厚5nmに蒸着して正孔阻止層を形成し、さらにCsFを膜厚比で10%になるようにM−1と共蒸着し、厚さ45nmの電子輸送層を形成した。
各層形成に用いた化合物を下記に示す。
Figure 0006032271
形成した電子輸送層の上に、第1電極用外部取り出し端子および150mm×150mmの第2電極(陰極)形成用材料としてAlを5×10−4Paの真空下にてマスク蒸着し、厚さ100nmの第2電極を形成した。
さらに、第1電極および第2電極の外部取り出し端子が形成できるように、端部を除き第2電極の周囲に接着剤を塗り、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを基板としAlを厚さ300nmで蒸着した可撓性封止部材を貼合した後、熱処理で接着剤を硬化させ封止膜を形成し、発光エリア150mm×150mmの有機EL素子を作製した。
接着剤はとして、2液性エポキシ配合樹脂(スリーボンド社製)2016Bと2103を100:3の割合で配合したものを用いた。
(3)サンプルの測定および評価
下記方法で、上記のように作製した各有機EL素子の整流比、発光ムラ、電圧値を測定し、有機EL素子の発光均一性、駆動電圧を評価した。
(3.1)整流比
各有機EL素子に、+4V/−4Vの電圧を印加した時の電流値を測定し、下記の計算式により整流比を求め、下記基準で評価した。電極間リークがあると、整流比が低い値となる。10以上であることが実用的範囲である。
整流比=+4V印加時の電流値/−4V印加時の電流値
◎:整流比10以上
○:整流比10以上10未満
△:整流比10以上10未満
×:整流比10未満
(3.2)発光ムラ
KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、各有機EL素子に直流電圧を印加して輝度が1000cd/mになるよう発光させ、発光状態を下記基準で目視評価した。
◎:完全に均一発光しており、全く問題ない
○:ほぼ均一発光しており、実用的に問題ない
△:部分的に発光ムラが見られ、実用的に許容できない
×:全面に渡って発光ムラが見られ、全く許容できない
(3.3)駆動電圧
KEITHLEY製ソースメジャーユニット2400型を用いて、各有機EL素子に直流電流を印加して輝度が1000cd/mになるよう発光させ、1000cd/mでの電圧値を測定した。電圧値が低いほど駆動電圧が低い。5V以下が実用的範囲である。
上記評価結果を表3に示す。
Figure 0006032271
(4)まとめ
表3に示すとおり、有機EL素子OLED−1〜8と有機EL素子OLED−R2〜R4とを比較すると、本発明の実施例にかかる透明電極TCF−1〜TCF8を使用した前者のサンプルは、素子性能が優れていた。
以上から、有機EL素子の素子性能の向上を図るうえでも、透明電極の製造工程において光照射による焼成工程を2段階に分け、2回目の焼成工程における照射光の積算エネルギーを、1回目の焼成工程における照射光の積算エネルギーよりも大きくすることが有用であることがわかる。
本発明は透明電極の製造方法にかかり、金属細線パターンや基板に欠陥が生じるのを防止しながら抵抗値を低減させるのに特に好適に利用することができる。
10 第1の焼成工程
11〜13 パルス光
20 第2の焼成工程
21〜23 パルス光

Claims (5)

  1. 透明樹脂基板と導電性の金属細線パターンとを有する透明電極の製造方法において、
    前記透明基板上に金属ナノ粒子により前記金属細線パターンを形成する工程と、
    前記金属細線パターンを光照射により焼成する工程とを備え、
    前記金属細線パターンを焼成する工程では、
    前記金属細線パターンを予備焼成する第1の焼成工程と、
    前記金属細線パターンを本焼成する第2の焼成工程とを有し、
    第2の焼成工程における照射光の積算エネルギーを、第1の焼成工程における照射光の積算エネルギーよりも大きくし、
    さらに、第1の焼成工程および第2の焼成工程では、各工程の光照射を、それぞれ1回または複数回のパルス光で構成し、
    前記第1の焼成工程における積算エネルギーが最大となる単一パルスの積算エネルギー量をE−P1m(max)とし、
    前記第2の焼成工程における積算エネルギーが最大となる単一パルスの積算エネルギー量をE−P2m(max)としたとき、
    E−P2m(max)>E−P1m(max)
    であることを特徴とする透明電極の製造方法。
  2. 請求項1に記載の透明電極の製造方法において
    −P2m(max)/E−P1m(max)の値を、1.5以上でかつ40以下とすることを特徴とする透明電極の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の透明電極の製造方法において、
    前記金属ナノ粒子が銀ナノ粒子であることを特徴とする透明電極の製造方法。
  4. 請求項1に記載の透明電極の製造方法において、
    焼成後の前記金属細線パターン上に導電性ポリマーを塗設して導電性ポリマー層を形成する工程を備えることを特徴とする透明電極の製造方法。
  5. 請求項1〜4までのいずれか一項に記載の透明電極の製造方法によって製造された透明電極の上に有機化合物層を形成し、さらに、
    前記有機化合物層の上に対向電極として前記第2の電極を形成することを特徴とする有機電子素子の製造方法
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