(A)第1の実施形態
以下では、本発明の省電力制御システム、親局装置及び省電力制御プログラムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
第1の実施形態では、例えば1対n接続で光通信を行なうE−PONを構成するOLT(局側光回線終端装置)及びONU(加入者側光回線終端装置)に、本発明を適用する場合を例示する。
(A−1)第1の実施形態の構成
第1の実施形態に係るE−PONの全体構成は、従来のネットワーク構成を適用することができるため、第1の実施形態でも図2を用いて説明する。
図2において、E−PON1は、1台のOLT10、複数台のONU20、光カプラ30を有して構成される。なお、図2では、説明便宜上、1台のONU20のみを示しているが、実際には光カプラ30を介してOLT10は複数台のONU20と接続している。
OLT10は、光ファイバでユーザ側のONU20と接続し、電気信号を光信号に変換してONU20との間で光通信を行ない、又、NNI(Network Node Interface)を介して上位ネットワークとも接続しており、光信号を電気信号に変換して上位ネットワークとの間で送受信する。なお、NNIは、既存のインタフェース技術を用いることができ、例えば、10/100/1000BASE-T,1000BASE-SX/LX,10GBASE-T/LR等を用いることができる。
ONU20は、ユーザ端末(例えば、パーソナルコンピュータ、いわゆるスマートフォンを含む携帯端末、PDAなどの通信端末、VoIP電話機、ゲーム端末、音響機器やテレビや冷蔵庫等の家電製品に搭載の通信端末等、)と接続しており、光信号を電気信号に変換してユーザ端末との間で送受信を行い、又、光ファイバでOLT20と接続しており、電気信号を光信号に変換してOLT10と光通信を行なうものである。
OLT10とONU20との間の光通信動作は、例えば、IEEE802.3ah、IEEE802.3av等により規格化されている標準化技術を適用することができる。
ONU20には、複数のLLIDが割り当てられている。つまり、ONU20は、Multiple−LLID ONUであるとする。LLIDの登録は、既存のLLIDの登録方法と同様であり、例えば、OLT10がONU20に割り当てるLLIDを決定して付与する。
光カプラ30は、OLT10側から入力された信号光を各ONU20に送出したり、各ONU20側から入力された信号光を合波してOLT10に送出したりするものである。光カプラ30は、例えば、スプリッタ等を適用することができる。
図1は、第1の実施形態のOLT10の内部構成を示す内部構成図である。図1において、第1の実施形態のOLT10は、NI(Network Interface)側送受信部101、ブリッジ部102、OAM(Operation,Administration,and,Maintenance)送受信部103、MPCP(Multi Point Control Protocol)送受信部104、CPU105、RAM106、ROM107、PON送信部108、PON受信部109、PON光送受信部110を有する。
NI側送受信部101は、上位ネットワークとの間でユーザデータであるフレーム(Ethernet(登録商標)フレーム)の送受信を行なうものである。
ブリッジ部102は、NI側送受信部101から受け取ったフレームをPON送信部108に与えたり、PON送信部109からのフレームをNI側送受信部101に与えたりするものである。
ブリッジ部102は、PON側のどのLLIDに転送するかを判断するため、NI側送受信部101からのフレームに含まれるMACアドレスやVLAN情報等に基づいて転送先を決定して、対応するLLIDを付与する学習機能や、LLID毎の上下フレームの導通監視機能、VLAN識別のためのVLAN−Tag付与・削除機能、ユーザに提供するサービス品質を確保するための優先制御機能、LLID識別のためのバッファ機能等を行なうものである。ブリッジ機能としては、例えばIEEE802.1Dに規定されている標準化技術を適用でき、またVLAN技術としては、例えばIEEE802.1Qに規定されている標準化技術を適用できる。
OAM送受信部103は、ネットワーク網の保守監視を行なうものである。OAM送受信部103は、例えば、ONU20をスリープモードに遷移させるための監視タイマの設定等を行なったり、定期的にOAMフレームを送信したり、ONU20から自身の状態を示すOAMフレームを受信したりする。
MPCP送受信部104は、PONインタフェースのリンク確立に必要な制御フレームや、スリープ機能を実現するSLEEP_ALLOWメッセージやSLEEP_ACKメッセージ等を送受信するものである。
PON送信部108は、ブリッジ部102からのユーザデータや、OAM送受信部103からのOAMフレームや、MPCP送受信部104からのMPCPフレームを受け取り、光回線に送出する信号を形成してPON光送受信部110に与えるものである。
PON受信部109は、PON光送受信部110から受け取ったフレームに基づいて、ユーザデータやPON制御フレームを識別し、受け取ったフレームを、MPCP送受信部104、OAM送受信部103、ブリッジ部102に振り分けるものである。
PON光送受信部110は、PON送信部108からの電気信号を光信号に変換してPONインタフェースに与えたり、又はPONインタフェースからの光信号を電気信号に変換してPON受信部109に与えたりするものである。
CPU105は、OLT10の機能を制御するものである。CPU105は、この実施形態では特に、パワーセービング機能を実現するものである。
RAM106は、CPU105のプログラム実行やDBA演算処理に必要な情報を一時的に記憶するものであり、ROM107は、装置起動のプログラムやDBA処理プログラムや設定値等を格納するものである。
図4は、CPU105により実行されるパワーセービング機能を説明する機能ブロック図である。図4に示すように、パワーセービング機能部105aは、状態管理部11、動作モード遷移対象決定部12、メッセージ送達部13を有する。
状態管理部11は、MPCP送信部104からのパワーセービングに係るメッセージ情報に基づいて、LLID毎の動作モードの状態を管理するものである。具体的に、状態管理部11は、アクティブモードであるか又はスリープモードであるかをLLID毎に管理する。例えば、あるLLID宛の上りフレーム及び下りフレームの非導通時間が閾値(非導通時間)に達して、MPCP送受信部104がSLEEP_ALLOWを送信したときに、アクティブモードからスリープモードに状態遷移したものと管理する。
また、状態管理部11は、スリープモードである場合、T1(Active Duration)時間、T2−T3(Sleep Duration)時間、T3(Power On Delay)時間を管理する。T1時間等は、予め設定された時間であり、状態管理部11は、スリープモードへの移行後、T1時間等を計時して管理する。また、状態管理部11は、T2−T3時間中に、SLEEP_ACK(Wakeup)を受信すると、当該LLIDの動作モードをアクティブモードとして管理する。
動作モード遷移対象決定部12は、ブリッジ部102により上りフレーム及び下りフレームの導通監視結果に基づいて、パワーセービングに係るメッセージを送達するLLIDを決定するものである。例えば、上りフレーム及び下りフレームの非導通時間が閾値を超えたときには、パワーダウンをさせるために、当該LLIDを決定する。
メッセージ送達部13は、動作モード遷移対象決定部12により決定されたLLIDについてのパワーセービングに係るメッセージをMPCP送受信部104に与えるものである。例えば、上記のように、上りフレーム及び下りフレームの非導通時間が閾値を超えたときには、当該LLID宛のパワーダウンメッセージをMPCP送受信部104に与える。
図5は、第1の実施形態のONU20の内部構成を示す内部構成図である。図5に示すONU20は、2個のLLIDを有するMultiple−LLID ONUの内部構成を示す。
図5において、第1の実施形態のONU20は、2個のUI側送受信部201及び301、ブリッジ部202、OAM送受信部203、MPCP送受信部204、PON送信部208、PON受信部209、PON光送受信部210、CPU205、RAM206、ROM207を有する。
また、ブリッジ部202、OAM送受信部203、MPCP送受信部204及びCPU205は、複数LLID分の処理を行なうことができる。
UI側送受信部201及び301は、ユーザネットワークとの間でユーザデータであるフレーム(Ethernet(登録商標)フレーム)の送受信を行なうものである。この実施形態では、ONU20が2個のLLIDを有するものであり、ONU20は2個の各LLIDと1対1で関連付けられたUI側送受信部201及び301を有する。ただし、ONU20は、LLIDの個数に応じた数のUI側送受信部を有するだけではなく、1つのLLIDからVLANなどの識別情報にてブリッジ部202にて複数のUNIに関連付けられる場合なども考えられる。
ブリッジ部202は、PON側への転送のためバッファ機能、VLAN識別のためのVLAN−Tag付与・削除機能、学習機能、優先制御機能、上りフレーム及び下りフレームの導通監視機能等を行なうものである。
OAM送受信部203は、ネットワーク網の保守監視を行なうものであり、OLT10のOAM送受信部103との間で所定のOAMフレームの授受を行なうものである。
MPCP送受信部204は、OLT10との間のPONインタフェースのリンク確立に必要な制御フレームや、スリープ機能を実現するSLEEP_ALLOWメッセージやSLEEP_ACKメッセージ等を送受信するものである。
PON送信部208は、ブリッジ部202からユーザデータ、OAM送受信部203からOAMフレーム、MPCP送受信部204からMPCPフレームを受け取り、OLT10に送信すべき信号を形成してPON光送受信部210に与えるものである。
PON受信部209は、PON光送受信部210から受け取ったフレームのフレーム種類を識別して、受け取ったフレームを、ブリッジ部202、OAM送受信部203、MPCP送受信部204に振り分けるものである。
PON光送受信部210は、PON送信部208からの電気信号を光信号に変換してPONインタフェースに与えたり、又はPONインタフェースからの光信号を電気信号に変換してPON受信部209に与えたりするものである。
CPU205は、ONU20の機能を制御するものである。CPU205は、この実施形態では特に、パワーセービング機能を実現するものである。
RAM206は、CPU205のプログラム実行処理に必要な情報を一時的に記憶するものであり、ROM207は、処理プログラムや設定値等を格納するものである。
図6は、CPU205により実行されるパワーセービング機能を説明する機能ブロック図である。図6に示すように、パワーセービング機能部205aは、状態管理部21、動作モード遷移対象決定部22、メッセージ送達部23、パワーダウン動作部24、パワーダウン時間判断部25、Early Wakeup部26を有する。
状態管理部21は、MPCP送受信部204からのパワーセービングに係るメッセージ情報に基づいてLLID毎の動作モードの状態を管理するものである。具体的に、状態管理部21は、アクティブモードであるか又はスリープモードであるかをLLID毎に管理する。また、状態管理部21は、スリープモードである場合、Active Duration時間、Sleep Duration時間、Power On Delay時間を管理する。
動作モード遷移対象決定部22は、ブリッジ部202により上りフレーム及び下りフレームの導通監視結果に基づいて、パワーセービングに係るメッセージを送達するLLIDを決定するものである。
メッセージ送達部23は、動作モード遷移対象決定部22により決定されたLLIDについてのパワーセービングに係るメッセージをMPCP送受信部204に与えるものである。
パワーダウン動作部24は、状態管理部21により管理されるLLID毎の状態管理状況に基づいて、全LLIDでSleep Duration時間の重なっている時間があるか否かを判断し、全LLIDのSleep Duration時間の重複期間があるとき、その重複期間に共用部分のパワーをダウンさせるものである。
ここで、パワーダウンさせる構成部分は、Multiple−LLID ONU20において複数のLLID機能の間で共用する部分である。例えば、図5の場合、PON光送受信部210、PON送信部208、PON受信部209、OAM送受信部203、MPCP送受信部204等の全部又は一部である。パワーダウン動作部24は、上記のような共用部分の構成要素に対して電力供給を遮断したり、回路のクロックを停止したり、回路のリセットを行う等、消費電力を低減するように動作する。
パワーダウン時間判断部25は、パワーダウン動作部24により判断された全LLIDのSleep Duration時間の重複期間が閾値を超えるものであるか否かを判断し、全LLIDのSleep Duration時間の重複期間が閾値以下のときには、パワーダウン動作を禁止するものである。
例えば、Sleep Duration時間の重なりには多くの時間が重なる場合もあれば、各種タイマ値の設定によっては全くパワーダウン時間が重ならない場合もある。そのため、パワーダウン時間判断部25は、各LLIDのSLEEP_ACK(TRx)メッセージ送信を監視し、SLEEP_ACK(TRx)メッセージの送信タイミングの差が予め設定された閾値以上であれば、全LLIDのスリープモードの重複時間が閾値以下であると判断する。このとき、パワーダウン効果が少ないと判断して、パワーダウン状態遷移の変更を行なうものである。
Early Wakeup部26は、スリープモードからアクティブモードに強制的に状態遷移を行なうために、OLT10に対してSLEEP_ACK(wakeup)を与えるものである。
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態のE−PON1を構成するONU20のパワーセービング処理の動作を説明する。
第1の実施形態のMultiple−LLID ONUにおける各LLIDのシーケンスは、単一LLID ONUのシーケンスと同じように実装しながら、各LLIDのT2−T3時間の重複する時間のみ、共用部分のパワーダウンを実施する方法である。
図7は、第1の実施形態のONU20のパワーセービング処理の動作を示すフローチャートである。
図7では、Multiple−LLID ONU20が、2個のLLIDを有する場合を例示しており、2個のLLIDをそれぞれ「LLID#1」、「LLID#2」として説明する。なお、ここでは、LLIDが2個の場合を例示するが、3個以上の場合でも同様の動作を行なう。
また、OLT10及びMultiple−LLID ONU20のLLID毎に使用するactive Duration等の各種タイマ値については、各タイマにMultiple−LLID ONUの全てのLLIDにて同一のものとする。
まず、S101は、ONU20が、通常動作からパワーダウン動作に遷移するときの処理動作である。
図7において、OLT10及びONU20は、フレーム導通の監視をLLID毎に行なっている。
例えば、OLT10は、「LLID#1」宛の下りフレームを受信すると、受信したフレームを「LLID#1」宛に転送すると共に、監視タイマを起動する。そして、所定のタイマ時間の経過後、OLT10は、SLEEP_ALLOW(TRx)メッセージを「LLID#1」宛に送信する。
このとき、OLT10は、SLEEP_ALLOW(TRx)メッセージの送信後、「LLID#1」について、スリープモードに遷移したものとみなし、Active Duration時間、Sleep Duration時間、Power On Delay時間を設定して状態管理を行なう。
一方、ONU20は、SLEEP_ALLOW(TRx)メッセージを受信して、送信する上りフレームがなく、スリープモードに移行できる状態であれば、SLEEP_ACKメッセージを応答し、スリープモードに遷移する。スリープモードに遷移すると、ONU20は、「LLID#1」について、Active Duration時間、Sleep Duration時間、Power On Delay時間を設定して状態管理を行なう。
また、「LLID#1」とは異なる別の「LLID#2」宛の下りフレームが、OLT10に与えられると、OLT10は、「LLID#2」宛の下りフレームを転送すると共に、S101と同様に、監視タイマを起動させ、所定のタイマ時間経過後に、SLEEP_ALLOW(TRx)メッセージを「LLID#1」宛に送信する。このとき、OLT10は、SLEEP_ALLOW(TRx)メッセージの送信後、「LLID#2」について、スリープモードに遷移したものとみなして状態管理を行なう。
一方、ONU20は、SLEEP_ALLOW(TRx)メッセージを受信して、送信する上りフレームがなく、スリープモードに移行できる状態であれば、SLEEP_ACKメッセージを応答し、スリープモードに遷移する。
ONU20は、全てのLLIDがスリープモードであり、全てのLLIDのsleep Duration(T2−T3)時間が重なる期間をパワーダウン動作とする。例えば、図7の場合、全ての「LLID#1」及び「LLID#2」がスリープモードであり、全ての「LLID#1」及び「LLID#2」のsleep Duration時間(図7では黒塗りの四角部分)の重複する時間をパワーダウン動作とする。
すなわち、パワーダウン動作となると、CPU25が、共用部分の構成要素である、PON光送受信部210、PON送信部208、PON受信部209、OAM送受信部203、MPCP送受信部204への電源供給の停止やクロック停止等を行なう。
また、ONU20において、パワーダウン動作から通常動作への状態遷移は、全てのLLIDのsleep Duration(T2−T3)時間の重複時間が終了するときに行なわれる。
つまり、ONU20において、CPU25は、共用部分の構成要素である、PON光送受信部210、PON送信部208、PON受信部209、OAM送受信部203、MPCP送受信部204への電源供給やクロック送出の開始等を行なう。
S102は、スリープモードからアクティブモードへの状態遷移を示す処理である。
OLT10及びONU20は、LLID毎にモード状態を管理しているので、例えば、図7に示すように、「LLID#1」について、スリープモードであってsleep Duration期間に、「LLID#1」宛の下りフレームがOLT10に与えられると、OLT10は、「LLID#1」についてスリープモードが終了した時点で、OLT10は、SLEEP_ALLOW(Wakeup)メッセージを「LLID#1」宛に送信する。
そして、「LLID#1」宛のSLEEP_ALLOW(Wakeup)メッセージがONU20に与えられると、ONU20は、SLEEP_ACK(Wakeup)メッセージをOLT10に返信する。
OLT10は、ONU20からのSLEEP_ACK(Wakeup)メッセージを受信後、「LLID#1」宛の下りフレームを送信する。なお、OLT10は、下りフレームを受信してから「LLID#1」に転送するまでの間、当該下りフレームのデータをバッファリングしておく。
S103は、Early Wakeup機能の処理である。
「LLID#1」及び「LLID#2」の両方ともスリープモードであり、ONU20がパワーダウン動作をしているときに、ユーザネットワーク側からUI側送受信部201又は301を介して、いずれかのLLID宛のフレームが入力したとする。
このとき、ONU20は、両方の「LLID#1」及び「LLID#2」共に、スリープモードからアクティブモードに状態を遷移させ、SLEEP_ACK(Wakeup)メッセージをOLT10に送信する。その後、ONU20は、受信したフレームをOLT10に送信する。
このように全てのLLIDについてEarly Wakeup機能を実行させることでパワーダウン動作から通常動作に遷移させることができる。
図8は、図7のパワーセービング処理の動作の変形実施形態を示すシーケンス図である。
図7の例の場合、各LLIDでシーケンス制御されるため、各LLIDのT2−T3時間の重なりには、多くの時間重なる場合もあれば、各種タイマ値の設定によっては全くパワーダウン時間が重ならない場合や、重なったとしても非常に短い場合もある。
そのため、各LLIDのシーケンス及び状態遷移を把握するCPU205において、パワーダウン時間判断部25が、各LLIDのSLEEP_ACK(TRx)メッセージの送信タイミングに基づいて、SLEEP_ACK(TRx)メッセージの送信タイミングのズレを監視する。
すなわち、各LLIDのSLEEP_ACK(TRx)メッセージの送信のズレに基づき、各LLIDのスリープモードのズレ(具体的には、各LLIDのT2時間の開始時刻の時間差)を知ることができる。
そして、スリープモードのズレが予め設定した閾値以上である場合、パワーダウン効果が少ないと判断し、以下の動作を実施する。なお、スリープモードのズレが閾値未満の場合、ONU20はパワーダウン動作を行なう。
スリープモードのズレが閾値以上の場合、CPU205は、Multiple−LLID ONU20の全LLIDがT1になり、全てのLLIDについてアクティブモードへの遷移が必要でなくとも、強制的にOLT10に対してSLEEP_ACK(Wakeup)メッセージを全LLIDから一斉に送信する。
OLT10はIEEE P1904.1の状態遷移によると、SLEEP_ACK(Wakeup)メッセージを受信した場合、直ちに全てのLLIDについてアクティブモードに遷移する。同時に、OLT10は、hold Durationのタイマを開始し、このタイマの満了後に、フレーム監視を経て再度スリープに遷移可能と判断した場合には、SLEEP_ALLOW(TRx)メッセージをONU20に送信してスリープ指示を行なう。
このように、Multiple−LLID ONU20から、全てのLLIDについてのSLEEP_ACK(Wakeup)メッセージを受信したOLT20は、Multiple-LLID ONU20の各LLIDのフレーム監視が非導通の状態のままであれば、SLEEP_ALLOW(TRx)メッセージを一斉に送信してくることになる。
従って、ONU20では、ほぼ同じ時間にスリープモードに移行することが可能であるため、パワーダウンの重なりは大きくすることが可能である。
(A−3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、Multiple−LLID ONUにおけるパワーセービングを実施した際に、1個のLLIDでパワーセービングのシーケンスが実施された場合でも、共用部分をパワーダウンしなくなったことで、他のLLIDでパケットロスや論理リンクが切断されることがなくなった。
(B)第2の実施形態
次に、本発明の省電力制御システム、親局装置及び省電力制御プログラムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態は、OLT10が、Multiple−LLID ONU20の全てのLLIDを1つのグループとして管理し、グループ単位でフレーム導通の監視を行なうものである。
従って、OLT10及びONU20の基本的な内部構成は、第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態と異なる点は、OLT10のCPU105のパワーセービング機能である。
ONUについては、従来のONUを用いるようにしてもよいし、又は、第1の実施形態で説明した構成のものを用いるようにしてもよいし、又は、OLT20が接続するONUの一部が従来のONUであり他の一部が第1の実施形態のONUであってもよい。
そこで、以下では、OLT10のパワーセービング機能について詳細に説明するものとして、第2の実施形態でも図1、図2及び図5を用いて説明する。
図9は、第2の実施形態のOLT10のCPU105により実行されるパワーセービング機能を説明する機能ブロック図である。
図9において、第2の実施形態のパワーセービング機能部105bは、状態管理部11、動作モード遷移対象決定部12、メッセージ送達部13、監視グループ管理部14、グループ監視部15を有する。
状態管理部11、動作モード遷移対象決定部12は、第1の実施形態の処理を行なうものであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
監視グループ管理部14は、Multiple−LLID ONU20の全LLIDを1つのグループとして管理するものである。
グループ監視部15は、監視グループ管理部14により管理されるMultiple−LLID ONU20のLLIDを1つのグループとしてフレーム導通の監視を行なうものである。また、グループ監視部15は、グループ毎にフレーム導通の監視を行ない、所定の条件を満たす場合に、メッセージ送達部13に対してメッセージの送信通知を行なうものである。
メッセージ送達部13は、グループ監視部15からSLEEP_ALLOW(TRx)メッセージの送信通知を受けると、指示されたグループのMultiple−LLID ONU20のLLIDに対してSLEEP_ALLOW(TRx)メッセージを送信するものである。
また、メッセージ送信部13は、グループ監視部15からSLEEP_ALLOW(Wakeup)メッセージの送信通知を受けると、指示されたグループのMultiple−LLID ONU20のLLIDに対してSLEEP_ALLOW(Wakeup)メッセージを送信するものである。
ここで、メッセージ送信部13は、指示されたMultiple−LLID ONU20の全LLID宛にメッセージを送信するようにしても良いし、又は、指示されたグループのBroadcast−LLID宛にメッセージを送信する用意しても良い。つまり、指示されたONU20が具備する全LLIDに対してメッセージを送信することができれば種々の方法を広く適用することができる。
上記のように、グループ毎にフレーム導通を監視して、グループの全LLID宛にSLEEP_ALLOW(TRx)メッセージを一斉送信することで、ONU20の全LLIDについて同時期にスリープモードに遷移させることができる。
また、グループのLLIDのうち、いずれのLLID宛の下りフレームがOLT10に与えられたとき、グループの全LLID宛にSLEEP_ALLOW(Wakeup)メッセージを一斉送信することで、ONU20の全LLIDについて同時期にアクティブモードに遷移させることができる。
つまり、グループの全LLIDに対してシーケンス制御をほぼ同期化させて、ONU側のパワーダウン動作を行なわせることができる。
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、第2の実施形態のE−PON1を構成するONU20のパワーセービング処理の動作を説明する。
図10は、第2の実施形態のONU20のパワーセービング処理の動作を示すフローチャートである。
図10では、Multiple−LLID ONU20が、2個のLLIDを有する場合を例示しており、2個のLLIDをそれぞれ「LLID#1」、「LLID#2」として説明する。なお、ここでは、LLIDが2個の場合を例示するが、3個以上の場合でも同様の動作を行なう。
また、OLT10及びMultiple−LLID ONU20のLLID毎に使用するactive Duration等の各種タイマ値については、各タイマにMultiple−LLID ONUの全てのLLIDにて同一のものとする。
まず、OLT10は、接続されたLLIDの内、どのLLIDがどのMultiple−LLID ONU20のものであるか否かの識別が必要である。
OLT10がONU20を識別するために、ONU20の登録は、OLT10に接続されたオペレータ端末(例えば、パーソナルコンピュータ等)から行われる。ONU20の登録は、通常、例えばMACアドレス等のように、一意に識別することができる識別情報を用いることができる。
図11は、ONU20の識別情報とグループとの対応を示す登録情報の一例を説明する説明図である。ここでは、ONU20の識別情報がMACアドレスである場合を示す。オペレータは、図11に示す情報をOLT10に登録する。
MACアドレスは、Multiple−LLID ONU20が使用するLLIDの数だけ存在しなければならない。オペレータは、MACアドレスを登録する際に、どのMACアドレスがどのONUで使用されるものかを登録する。ONUが複数のLLIDを使用する場合には、MACアドレスにグループ番号を対応付けることで、グルーピングが可能となり、ONUが単一LLIDのONUであるか又はMultiple−LLID ONUであるかをOLT10は認識できる。
ここで、LLIDは、OLT10とONU20が接続されて通信を開始する際に使用するロジカルリンクの識別子であるから、OLT10は、図11の情報を参照することで、どのLLIDがどのMultiple−LLID ONUのものであるかを判別することができる。
また、別のONU識別方法を適用するようにしてもよい。図12は、OLT10がONU20を識別するシーケンス図である。
OLT10は、接続するONU20のMACアドレスを認識することができるが、当該ONUがMultiple−LLID ONUであるかを認識できない。
そこで、OLT10がONU20とのシーケンス接続する際に、OLT10とONU20との間で図12のシーケンス処理を行なうようにしても良い。
図12において、OLT10とONU20は、シーケンス接続の際に、MPCP_DISCOVERYプロセス(S201)と、OAM_DISCOVERYプロセス(S202)を行なう。ここで、MPCP_DISCOVERYプロセス、OAM_DISCOVERYプロセスは、既存技術の手順を適用することができ、例えば、IEEE802.3av、IEEE802.3ahに示される通りの仕様である。
一般的にはこれらプロセスを実施した後で、認証プロセスなど実際に接続されるONUが正常なものであるかを識別するプロセスがあり、認証が成功すればユーザデータの導通を開始する。
この認証プロセスよりも前に、図12に示すように、拡張OAM等を使って、OLT10のCPU105は、Multiple−LLID ONUであるかどうかの情報を取得するGET_Requestメッセージを、ONU20に送信する(S203)。
これを受信したONU20において、OAM受信部203はCPU205にGET_Requestメッセージを与え、CPU205は、Multiple−LLID ONUの情報を付加したGET_Responseメッセージを、OAM送受信部203を経由してOLT10へ送出する(S204)。
ONU20が出力するGET_Responseメッセージには、1台のONU20に個別に付与されたユニークな、例えばメーカ名、品名、製造年月、製造番号等の情報を入れておく。
OLT10では、OAM送受信部103からCPU105に情報を集め、ONU毎に情報を収集する。ONU毎の情報が複数ある場合には、そのONUは、Multiple−LLID ONUとみなす。これにより、図11で例示したテーブルがOLTにて作成される。
ONU20からGET_Responseメッセージの応答が無かった場合には、決められた回数のリトライ処理(例として3回など)を行ない、それでも応答がなければ、単一LLIDのONUとみなす。このように動作の前提条件として、いずれかの方法で、図11に示すテーブルを構成することができる。
その後、認証プロセスなどを行ない、サービスの提供を行なう(S204)。
図10において、S211は、アクティブモードからスリープモードへの状態遷移を示す処理である。
OLT10は、図11のテーブルを参照して、ONU20がMultiple−LLID ONUであり、「LLID#1」及び「LLID#2」にて接続されていることを認識する。
まず、OLT10において、アクティブモード中に「LLID#1」宛の下りフレームが受信されると、直ちにONU20へフレームを送信され「LLID#1」宛の下りフレームが無くなり監視タイマを開始する。
同様に「LLID#2」宛の下りフレームが受信されると、直ちにONU20へフレームを送信され「LLID#2」宛の下りフレームが無くなり監視タイマを開始する。
ここで「LLID#1」の監視タイマが満了してもMultiple−LLID ONUの全てのLLID、つまりこの場合、「LLID#1」、「LLID#2」の両方の監視タイマが満了するまでは、「LLID#1」へのSLEEP ALLOWメッセージ(TRx)を送信せずに待ち、「LLID#1」、「LLID#2」の両方の監視タイマが満了した場合に「LLID#1」及び「LLID#2」の両方にSLEEP ALLOWメッセージ(TRx)を一斉に送信する。
また「LLID#1」及び「LLID#2」の両方の監視タイマが満了する前に、いずれかのLLID宛の下りフレームを再び受信した場合は、再度監視タイマをリセットし再び監視タイマを起動する。
図10のS212は、スリープモードからアクティブモードへの状態遷移を示す処理である。
OLT10において、Multiple−LLID ONUの全LLIDの内、いずれかのLLID宛、若しくは全LLIDを送信対象とするBroadcast−LLID宛のフレームを検出した場合には、OLT10は、Multiple−LLID ONUの全LLIDにSLEEP_ALLOW(Wakeup)メッセージを送信する。
図10のS213は、Early Wakeup機能の処理である。Early Wakeup処理は、第1の実施形態と同様に、ONU20にフレームが受信されると、全LLIDについてのSLEEP_ACK(Wakeup)メッセージをOLT20に一斉送信して、全LLIDをアクティブモードに遷移する。
(B−3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、Multiple−LLID ONUの全LLIDの導通が無くなった場合でも、LLID毎のシーケンスはほぼ一致するため、第1の実施形態の場合よりもパワーダウンできる時間が増え、単一LLIDとほぼ同一の条件となる。
(C)第3の実施形態
次に、本発明の省電力制御システム、親局装置及び省電力制御プログラムの第3の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(C−1)第3の実施形態の構成
第2の実施形態では、OLT10が、Multiple−LLID ONUの全LLID宛又はBroadcast−LLID宛にメッセージを送信するものであるが、第3の実施形態は、グループ監視を行なうOLT10が、Multiple−LLID ONUのLLIDのうち、代表LLID宛にメッセージを送信する点で第2の実施形態と異なる。
OLT10及びONU20の基本的な内部構成は、第1及び第2の実施形態と同様であるので、第3の実施形態でも、図1、図2及び図5を用いて説明する。
図13は、第3の実施形態のOLT10のCPU105により実行されるパワーセービング機能を説明する機能ブロック図である。
図13において、第3の実施形態のパワーセービング機能部105cは、状態管理部11、動作モード遷移対象決定部12、メッセージ送達部16、監視グループ管理部14、グループ監視部15を有する。
第3の実施形態では、メッセージ送達部13に代えて、メッセージ送達部16を備える点で、第2の実施形態の構成と異なる。
状態管理部11、動作モード遷移対象決定部12は、第1の実施形態の処理を行なうものであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
監視グループ管理部14は、第2の実施形態と同様に、Multiple−LLID ONU20の全LLIDを1つのグループとして管理するものである。また、監視グループ管理部14は、Multiple−LLID ONU20の全LLIDのうち、代表LLIDを管理するものである。
グループ監視部15は、第2の実施形態と同様に、監視グループ管理部14により管理されるMultiple−LLID ONU20のLLIDを1つのグループとしてフレーム導通の監視を行なうものである。また、グループ監視部15は、第2の実施形態と同様に、グループ毎にフレーム導通の監視を行ない、所定の条件を満たす場合に、メッセージ送達部16に対してメッセージの送信通知を行なうものである。
メッセージ送達部16は、第1の実施形態と同様に、メッセージ送信を行なうものである。第3の実施形態では、メッセージ送達部16が送信する宛先が第2の実施形態と異なる。
メッセージ送達部16は、グループ単位で監視し、グループ監視部15からメッセージの送信通知を受けると、監視グループ管理部14で管理する各グループの代表LLID宛に、SLEEP_ALLOW(TRx)メッセージ又は
SLEEP_ALLOW(Wakeup)メッセージの送信を行なう。
図14は、第3の実施形態のONU20のCPU205により実行されるパワーセービング機能を説明する機能ブロック図である。図14に示すように、パワーセービング機能部205cは、状態管理部21、動作モード遷移対象決定部22、メッセージ送達部27、パワーダウン動作部24、パワーダウン時間判断部25、Early Wakeup部26を有する。
第3の実施形態では、メッセージ送達部23に代えて、メッセージ送達部27を備える点で、第1の実施形態の構成と異なる。
状態管理部21、動作モード遷移対象決定部22、パワーダウン動作部24、パワーダウン時間判断部25及びEarly Wakeup部26は、第1の実施形態の処理を行なうものであるので、ここでの詳細な説明は省略する。
メッセージ送達部27は、Early Wakeup部26のEarly Wakeup機能によりSLEEP_ACK(Wakeup)メッセージを送信するときに、全LLIDのうち代表LLIDを用いてOLT10に送信するものである。
OLT10と接続可能なONUは、従来のONUでもよいし、第1の実施形態のONUでもよいし、第3の実施形態のONUでもよいし、又は、これらのONUの全てと接続していてもよい。
(C−2)第3の実施形態の動作
図15は、第3の実施形態のE−PON1を構成するONU20のパワーセービング処理の動作を説明する。
図15は、第3の実施形態のONU20のパワーセービング処理の動作を示すフローチャートである。
図15では、Multiple−LLID ONU20が、2個のLLIDを有する場合を例示しており、2個のLLIDをそれぞれ「LLID#1」、「LLID#2」として説明する。なお、ここでは、LLIDが2個の場合を例示するが、3個以上の場合でも同様の動作を行なう。
また、OLT10及びMultiple−LLID ONU20のLLID毎に使用するactive Duration等の各種タイマ値については、各タイマにMultiple−LLID ONUの代表LLIDの1種類のみとする。
図16は、ONU20の識別情報とグループと代表LLIDを示す登録情報の一例を説明する説明図である。ここでは、ONU20の識別情報がMACアドレスである場合を示す。
図16に示す登録情報は、第2の実施形態と同様に、オペレータにより登録されるようにしてもよいし、図12のシーケンスに従って登録するようにしてもよい。
図16に示すように、登録情報は、ONU20のMACアドレスとグループ番号との対応関係と、ONU20がMultiple−LLID ONUのときには、複数のLLIDのうち代表LLIDがどれであるかを識別する情報が登録されている。
例えば、図16において、あるMultiple−LLID ONUは、MACアドレス「yy:yy:yy:yy:yy:yy」及び「zz:zz:zz:zz:zz:zz」を有しており、「グループ番号:1」として登録される。このうち、「yy:yy:yy:yy:yy:yy」のLLIDが代表LLIDであることを示す。
なお、図16に示すように、Multiple−LLID ONUであっても、代表LLIDを決定しないようにしてもよい。この場合、OLT10は、第2の実施形態と同様に、全LLID宛又はBroadcast−LLID宛のメッセージ送信を行なう。
図15のS301は、アクティブモードからスリープモードへの状態遷移を示す処理である。
OLT10において、「LLID#1」及び「LLID#2」宛の下りフレームのOTL10のグループ毎のフレーム導通の監視処理は、第2の実施形態と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
そして、「LLID#1」及び「LLID#2」の両方のLLIDにて監視タイマが満了したことを確認すると、OLT10は、代表LLID宛に、SLEEP_ALLOW(TRx)メッセージを送信する。
このとき、ONU20では、代表LLID宛のSLEEP_ALLOW(TRx)メッセージを受信すると、全LLIDについて、スリープモードに状態遷移させる。
このように、OLT10が、代表LLID宛だけに、SLEEP_ALLOW(TRx)メッセージを送信することで、他のLLID宛にメッセージを送信する必要がなくなるので、ネットワーク全体の帯域利用効率が向上する。
また、シーケンスは、代表LLIDによる1個だけなので、OLT10及びMultiple−LLID ONUにおけるLLID毎のタイマ値についても代表LLIDの1種類だけでよい。
図15のS302は、スリープモードからアクティブモードへの状態遷移を示す処理である。
この場合も、OLT10において、Multiple−LLID ONUの全LLIDの内、いずれかのLLID宛、若しくは全LLIDを送信対象とするBroadcast−LLID宛のフレームを検出した場合には、OLT10は、Multiple−LLID ONUの代表LLID宛に、SLEEP_ALLOW(Wakeup)メッセージを送信する。
図15のS303は、Early Wakeup機能の処理である。Early Wakeup処理は、ONU20に上りフレームが受信されると、ONU20は代表LLIDを用いて、SLEEP_ACK(Wakeup)メッセージをOLT20に送信して、全LLIDをアクティブモードに遷移する。
OLT10は、全LLIDがスリープモードであるときに、代表LLIDについてSLEEP_ACK(Wakeup)メッセージを受信したときには、Early Wakeupであると判断して、全LLIDについてアクティブモードに遷移させる。
(C−3)第3の実施形態の効果
第3の実施形態によれば、第1及び第2の実施形態の効果に加えて以下の効果を奏する。
第3の実施形態によれば、第2の実施形態のようにLLID毎にシーケンスを行ないLLID毎に状態遷移をもつのでなく、代表LLIDでシーケンスを実施して状態遷移を1個にしたことから、第2の実施形態のような状態のズレは全くなくなり、全LLIDで導通がなくなった場合に、単一LLIDと同じパワーダウン効果が得られる。
また、第3の実施形態によれば、シーケンスが1個となるので、OLT及びMultiple−LLID ONUに具備するタイマも1種類でよい。
さらに、第3の実施形態によれば、シーケンスが1個となるので、PON区間の帯域を使用する制御フレームも少なくでき、PON区間の帯域利用効率も向上する。
(D)他の実施形態
上述した第1の実施形態では、単一LLIDしかサポートできないOLTであった場合でも、Multiple−LLID ONUのパワーセービングが実施可能である。
第2及び第3の実施形態では、Multiple−LLID ONUであることがオペレーションによる登録時に判別できれば、単一LLIDと同じシーケンス、同じパワーダウン方法も用いて実装された、第1の実施形態に説明したようなパワーダウンを考慮していないMultiple−LLID ONUの場合でも適用することが可能である。