JP6028146B2 - 展着剤組成物および病害防除剤 - Google Patents

展着剤組成物および病害防除剤 Download PDF

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Description

本発明は、食品添加物および天然物を使用した展着剤組成物および病害防除剤に関する。
従来、植物の病害に対して多数の薬剤が使用されている。多くの薬剤は、化学物質を活性成分としている。また、薬剤を製造するにあたり、活性成分である化学物質の植物への展着性を高めるために種々の展着剤が使用される。この展着剤も、活性成分の性質に応じて、種々の化学物質が使用されている。しかし、このような化学物質に由来する成分は、人体に対する毒性および環境への影響の観点から、望ましいものではない。化学物質を使用するのではなく、食品添加物および天然物を使用した展着剤組成物および病害防除剤であれば、安全性の観点からも安心できる製品となる。
また、環境への悪影響が少なく、かつ抵抗性を備える恐れのない薬剤として、害虫の気門封鎖型薬剤による殺虫剤が用いられている。「気門封鎖型薬剤」とは、昆虫の気門を物理的に封鎖し窒息させるという作用を示す薬剤であり、抵抗性を備える心配がない。たとえば、果樹の休眠期防除などのためにマシン油乳剤などが使われている。
気門とは、気管で呼吸する無脊椎動物の体表に開いている呼吸のための穴であり、気管につながっている。基本的には、頭部を除いた各体節に一対ずつあり、昆虫類には、中胸、後胸および腹部に合計10対あるのが通常である。
気門封鎖型薬剤には種々あるが、最近では、人体および環境への安全性から、化学薬品を使用しないものが知られている。たとえば、でんぷんおよび昆布などの天然の食品添加物、天然鉱石の微粒子などを用いて製剤化した気門封鎖型の駆除剤が知られている。
一方、植物に対する病害防除剤として、ニ−ムオイルが知られている。ニームは、インドセンダンとしても知られまた植物学上ではアザディラクタ・インデカ(Azadirachta Indica A Juss)と呼ばれる東南アジア、アフリカおよび中南米などの熱帯地域に広く分布する樹木である。ニームオイルは、ニームの果実の中の種子を圧搾することによって得られるオイルである。また、ニーム抽出物は、ニ−ムの果実、樹皮、葉および根等に含まれる成分であり、これらを機械的に圧搾したり、溶剤で抽出したりすることによって得られる。
ニームオイルは、飛翔昆虫および貯穀昆虫などの昆虫に対して効果があることが発表されている。たとえば、ニーム抽出物の有効成分の一つであるアザジラクチンは、昆虫が発育していく過程において、脱皮、蛹化、羽化および産卵などの昆虫特有の生理を阻害するする。また、ニーム抽出物は、化学物質を活性成分とする薬剤に多く見られるような単一の活性成分の薬剤とは異なり、複数の有効成分の混合物であり、昆虫に対する作用が複雑であり、耐性がつき難い。
ニームオイルは、油性成分であるが、水に分散可能な組成物として提供することができれば、植物に散布等する際に水で容易に希釈することができる。また、植物に散布等する際に油性のニームオイルは、葉などに展着しにくいため、分散性および展着性の高いニームオイルを含有する組成物が望まれる。
また、ニームオイルは、養殖魚などの害虫駆除にも使用することができるが、従来の界面活性剤は、魚類に悪影響を与えてしまう。したがって、魚類に悪影響を及ぼすことなく水に分散しやすいニームオイルが望まれる。
分散性と展着性に富んだニームオイルとして、たとえばリゾレシチン2〜20部にエチルアルコール20〜20部と水5〜70部を加えた調整液にニーム油20〜90部を添加し、攪拌混合した後、静置して分離するワックス画分を除去して得られるニームオイル組成物が特許文献1に開示されている。
しかし、特許文献1に記載されたニームオイル組成物は、溶解性が低く分離してしまうワックス画分を生じてしまう。したがって、その製造時にワックス画分を除去しなければならない。また、特許文献1に記載されたニームオイル組成物は、製造時に水を添加している。しかし、ニームに含まれる成分は、水溶液にすると比較的短時間で有効成分が分解してしまう。したがって、組成物中に水を使用しないことが望ましい。
また、ニームオイルは、15℃程度で硬化し、一旦硬化すると液化が困難となってしまう。したがって、硬化温度が低いニーム抽出物が望まれている。
さらに、ニームオイルを散布とする際には、分散性および展着性を高めるために、一定の粘度を有することが望まれる。
特開2008-184453号公報
本発明は、食品添加物および天然物を使用した展着剤組成物および病害防除剤を提供することを目的とする。また、本発明は、活性成分の活性を低下させることなく、分散性および展着性が高く、かつ硬化しにくい展着剤組成物および病害防除剤を提供することを目的とする。
本発明者は、特定の組成を使用することにより、食品添加物および天然物のみを使用して、油性のニームオイルを分散することができ、かつ安定性および展着剤も高い組成物を製造できることを見いだした。また、本発明の組成を使用することにより、ニームオイルを含む混合物の硬化温度を高くすることができることを見いだした。また、本発明の組成物は、昆虫の気門を物理的に封鎖できることを見いだした。
本発明は、レシチン、リゾレシチン、グリセリン、脂肪酸および増粘剤を含有する、組成物を提供する。
また、本発明は、エタノールをさらに含有する、上記組成物を提供する。
また、本発明は、上記展着剤組成物と、活性成分とを含有する、病害防除剤を提供する。
また、本発明は、脂肪酸がキャノーラ油であり、増粘剤がグアーガムおよびキサンタンガムであり、かつ活性成分がニームオイルまたは重曹である、上記病害防除剤を提供する。
本発明者の組成物は、食品添加物および天然物のみから製造することができ、化学薬品を使用する必要がない。また、本発明者の組成物は、ニームオイルを分散することができ、かつ展着剤も高い。また、本発明者の組成物は、昆虫の気門を物理的に封鎖することができる。
本発明にかかる組成物は、少なくともレシチン、リゾレシチン、グリセリン、脂肪酸および増粘剤を含有する。
レシチンは、卵黄を原料とする卵黄レシチンおよび大豆を原料とする大豆レシチンなど、任意のレシチンを使用することができる。
リゾレシチンは、レシチンの脂肪酸がホスホリパーゼA2によって除去された化合物である。本発明にかかる組成物は、任意のリゾレシチンを使用して製造することができる。
レシチンおよびリゾレシチンは、乳化剤としてニームオイルなどの油性の活性成分を乳化するために必要である。レシチンは、水に溶けにくい性質を持ち、またリゾレシチンは、油に溶け難い性質を持つ。両者を使用することにより、本発明の組成物において、油性の活性成分を乳化することができ、分散性を高めることができる。また、油性の活性成分は、水への均一な分散が困難であるが、両者を使用することにより、油性の活性成分を含む本発明の組成物を水に均一に分散させることができる。
レシチンおよびリゾレシチンは、それぞれ任意の量で含有することができ、本発明の組成物に含有させる油性の活性成分の量に応じて、調整することができる。たとえば、レシチンおよびリゾレシチンは、それぞれ約1〜50%w/v、約2〜25%w/v、約5〜15%w/vおよび約10%w/vで含有することができる。また、レシチンおよびリゾレシチンは、任意の比で含有することができ、たとえばレシチン:リゾレシチン=約1:10、約1:5、約1:2、約1:1、約2:1、約5:1および約10:1であることができる。
脂肪酸は、任意の脂肪酸を使用することができる。脂肪酸には、脂肪酸を含む油脂、たとえば脂肪油などが含まれる。脂肪油は、限定されないが、食用油、たとえばキャノーラ油、コーン油およびオリーブオイルなどを含む。安全性の観点からは、天然物、たとえば食品または食品添加物を用いることができる。
ニームオイルは、15℃程度で硬化し、一旦硬化すると溶融に高い温度と時間が必要となってしまう。また、溶融温度を60℃以上にすると活性成分が分解されてしまうおそれがある。
しかし、本発明の組成物に脂肪酸を含有させることにより、油性の活性成分の固化点を下げることができる。また、脂肪酸は、任意の量で含有することができ、本発明の組成物に含有させる油性の活性成分の量および固化温度などに応じて調整することができる。脂肪酸は、たとえば、約1〜100%w/v、約10〜50%w/v、約20〜40%w/vおよび約30%w/vで含有することができる。たとえば、本発明の組成物において、活性成分としてニームオイルを含む場合、ニームオイル35%w/vに対してキャノーラ油を約30%w/v添加することにより、組成物の固化温度を約5℃まで低下することができる。
増粘剤は、本発明の組成物の粘度を増強することができる。増粘剤は、多糖類およびヒドロキシプロピルデンプンなどの植物性、並びにゼラチンなどの動物性の任意の増粘剤を使用することができる。
多糖類としては、限定されないが、グアーガムおよびキサンタンガムなどの任意の多糖類を使用することができる。また、海藻由来の多糖類(海藻からの抽出物)、たとえば昆布抽出液(昆布エキス)などを使用することもできる。安全性の観点からは、天然物、たとえば食品または食品添加物を使用することができる。多糖類を使用することにより、本発明の組成物の粘度を増強することができる。
多糖類およびヒドロキシプロピルデンプンなどの増粘剤は、本発明の組成物において任意の量で含有することができ、所望の粘度に応じて、調整することができる。多糖類は、たとえば、約1〜50%w/v、約2〜25%w/v、約5〜15%w/vおよび約10%w/vで含有することができる。
また、多糖類は、複数種類を混合して使用することができる。たとえば、グアーガムおよびキサンタンガムをほぼ等量で含有することにより、組成物の粘度を効果的に増強することができる。
グリセリンは、少量混合することにより、多糖類を沈殿しにくくする効果を有する。本発明の組成物において、グリセリンは、任意の量で含有することができ、本発明の組成物に含有させる多糖類の量および性質に応じて調整することができる。たとえば、グリセリンは、約0.01〜10%w/v、約0.1〜5%w/vおよび約0.5〜1%w/vで含有することができる。
本発明の組成物は、エタノールをさらに含有することができる。レシチンおよびリゾレシチンは、互いに溶け難い性質を持ち、本発明の組成物において分離しやすい。しかし、エタノールを少量混合することにより、レシチンおよびリゾレシチンを分離しにくくする効果を有する。エタノールは、任意の量で含有することができ、本発明の組成物に含有させる多糖類の量および性質に応じて調整することができる。たとえば、エタノールは、約約0.01〜10%w/v、約0.1〜5%w/vおよび約0.5〜1%w/vで含有することができる。
本発明の組成物は、活性成分をさらに含有させて、病害防除剤として提供することができる。活性成分は、植物病害の防除に効果を有する任意の成分であることができる。たとえば、活性成分としてニームオイルおよび重曹(炭酸水素ナトリウム)などの天然物および食品添加物である成分を使用することにより、天然物および食品添加物のみでできた病害防除剤を提供することができる。本発明の組成物は、さらに、ビタミンB1などの防腐作用を有する成分を含むことができる。
活性成分を含有させる場合、エタノールによる抽出物を活性成分として使用することができる。たとえば、ニーム葉などをエタノールで抽出したニーム抽出物を活性成分として使用することができる。上記のとおり、本発明の組成物は、エタノールを含有していてもよい。このエタノールを添加する際に、純粋なエタノールではなく、エタノールで抽出したエタノール抽出物を添加することができる。これにより、活性成分も同時に本発明の組成物に含有させることができる。
本発明の病害防除剤において、活性成分は、任意の量で含有することができ、活性成分の作用強度および所望の病害防除効果に応じて調整することができる。たとえば、ニームオイルは、本発明の病害防除剤において、約1〜100%w/v、約10〜50%w/v、約20〜40%w/vおよび約30〜35%w/vで含有することができる。また、重曹は、たとえば、約1〜100%w/v、約10〜50%w/v、約20〜40%w/vおよび約25〜30%w/vで含有することができる。
また、ビタミンB1などの防腐剤成分は、たとえば、約1〜50%w/v、約2〜25%w/v、約5〜15%w/vおよび約10%w/vで含有することができる。
たとえば、実施例に示したように、レシチン、リゾレシチン、グリセリン、エタノール、キャノーラ油、ヒドロキシプロピルデンプン、グアーガム、キサンタンガム、ニームオイル、重曹およびビタミンB1を含有する病害防除剤は、天然物および食品添加物のみでできた病害防除剤である。ニームオイルは、昆虫に対して防除効果を有するし、重曹は、うどんこ病などの菌類に対して防除効果を有する。実施例に示したように、上記組成物も、これらの病害に対して防除効果を有する。
ニームオイルなどの油性の活性成分は、水への分散が困難であるが、本発明の組成物は、油性の活性成分を均一に分散することができる。また、本発明の組成物は、水を含有していないため、ニームオイル中の成分などのように水溶液にすると分解してしまう成分であっても、安定性の高いまま提供することができる。
さらに、本発明の組成物は、水への溶解性および分散性が高く、植物に散布等する際に水で容易に希釈することができる。
さらに、本発明の組成物は、非常に分散性および展着性の高い。植物に散布等する際に重曹や油性のニームオイルは、植物の葉などに展着しにくいが、本発明の組成物を使用することにより、このような活性成分を均一に展着させることができる。また、本発明の組成物は、ニームオイルのように比較的高温で硬化しやすい活性成分を含有する場合、該活性成分を単独で使用するよりも硬化しにくい。
また、本発明の組成物は、水に溶解したときでも非常に高い展着性および粘性を有している。したがって、本発明の組成物は、気門封鎖型薬剤としての効果を有し、カイガラムシおよびハダニなどの害虫に散布等すると、昆虫の気門を物理的に封鎖し窒息させる作用を示す。気門を有する害虫は、たとえばハエ、ゴキブリ、蚊、アブラムシ類、ダニ類、カメムシ、ハムシ昆虫、並びにクモなどを含む。昆虫は、昆虫の幼虫を含む。
本発明の組成物および病害防除剤は、任意の方法で製造することができ、レシチン、リゾレシチン、グリセリン、脂肪酸および増粘剤、任意にエタノールおよび活性成分を混合することによって製造することができる。たとえば、本発明の病害防除剤の場合、最初にレシチン、リゾレシチン、脂肪酸、増粘剤および活性成分と混合する。次いで、グリセリンを添加して混合する。この混合物は、この時点でも攪拌することにより均一に分散されており、本発明の組成物および病害防除剤として使用することができる。さらに、エタノールを添加して混合することにより、レシチンおよびリゾレシチンを十分に溶解することができる。また、エタノールを添加することにより、水への溶解性も高められる。混合された組成物は、たとえばラミネート容器などの任意の容器に入れて提供することができる。
また、本発明の組成物および病害防除剤は、その濃度および所望の効果などに応じて、任意に水などの溶媒に希釈して使用することができる。たとえば、実施例に示した病害防除剤の場合、水で約1000倍に希釈して植物に散布することにより、均一に展着させることができ、ニームオイルおよび重曹に由来する病害防除効果を得ることができる。
また、実施例に示した病害防除剤の場合、水で約1000倍に希釈して害虫に散布することができる。本発明の病害防除剤が散布されると、カイガラムシおよびハダニなど害虫の気門に展着し、気門が封鎖されて、その結果、害虫を死滅させることができる。組成物を散布するは、たとえば、害虫に対し近距離から直接噴射する方法であってもよい。近距離とは、約30cm以上約80cm以内をいい、たとえば約50cmであってもよい。
本発明の組成物および病害防除剤は、その成分としてレシチン、リゾレシチン、グリセリン、脂肪酸および増粘剤、任意にエタノールおよび活性成分を使用しているため、化学薬品を含有する必要がない。そのため、本発明に係る組成物に対して、病害虫が抵抗性を具備しにくいという利点を有する。また、環境への負荷が非常に低い。したがって、本発明の組成物および病害防除剤は、長期にわたって使用することができる。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕病害防除剤の製造
本実施例では、脂肪酸としてキャノーラ油(市販品)を使用し、増粘剤としてヒドロキシプロピルデンプン、グアーガム(マリン・サイエンス株式会社より入手)およびキサンタンガム(マリン・サイエンス株式会社より入手)を使用した。レシチン、リゾレシチンは、マリン・サイエンス株式会社より入手した。重曹、ビタミンB1、グリセリンおよびエタノールは、純度99%以上の市販品を使用した。ニームオイルは、果実の中の種子を生産地で圧搾することによって得た。
1000mLあたり以下の量の原料を使用して、1000倍希釈用の病害防除剤を製造した:レシチン100g、リゾレシチン100g、キャノーラ油316g、グアーガム50g、キサンタンガム50g、アルファ化ヒドロキシプロピルデンプン50g、グリセリン10g、エタノール10g、ニームオイル350g、重曹25gおよびビタミンB1 50g。レシチン、リゾレシチン、キャノーラ油、グアーガム、キサンタンガム、アルファ化ヒドロキシプロピルデンプン、ニームオイル、重曹およびビタミンB1を混合して、次いでグリセリンを添加して混合し、最後にエタノールを添加して混合した。この混合物を1000倍希釈用の病害防除剤とした。グリセリンを添加することにより、グアーガム、キサンタンガムおよびアルファ化ヒドロキシプロピルデンプンの沈殿を生じにくくなった。この混合物は、この時点でも攪拌することにより均一に分散されていた。さらに、エタノールを添加することにより、沈殿を生じなくなると共に、水への溶解性も高まった。
この病害防除剤5mLを5Lの水に溶解して1000倍希釈液を作製した。各成分は、それぞれ分離することなく分散され、均一な水溶液が得られた。ニームオイルを単独で水に溶解しても、両者は混合されず、分離してしまった。
〔実施例2〕葉面散布
実施例1において作製した1000倍希釈液をバラの葉に散布した。一方、1000倍希釈液を散布していない同じバラを対照とした。葉には、均一に散布された。また、散布された希釈液は、葉からはじかれることなく、葉面に均一に展着された。一方、上記1000倍希釈液に含まれる量と同量のニームオイルを単独で水に溶解した希釈液もバラの葉に散布した。葉に散布しても、葉面に展着されることなく水滴となってはじかれてしまった。
また、1000倍希釈液を葉に散布したバラは、散布していないバラと比較して、ハダニおよびアブラムシの付着が少なかった。ニームオイルは、ハダニやアブラムシなどの害虫に対して忌避効果を有する。したがって、本発明の組成物に含有させたニームオイルが、これらの害虫に対して有効に作用していたことが分かった。また、希釈液は、バラに既に付着していたハダニおよびアブラムシにも均一に展着されて、ハダニおよびアブラムシが死滅した。ハダニおよびアブラムシは、マシン油などが展着することによって気門封鎖されて防除される。本発明の病害防除剤も、ハダニおよびアブラムシに展着することによって気門を封鎖して、これらを防除する効果を有した。
また、1000倍希釈液を葉に散布したバラは、うどんこ病を発生しなかったが、散布していないバラは、うどん粉病を発生し、葉面が白くうどんこ病菌に覆われてしまった。重曹は、植物表面に薄く強度に展着させることによってそのpHを上げる効果を有し、うどんこ病などの子のう菌の発育を阻害することができる。したがって、本発明の組成物に含有させた重曹が、これらの病害に対して有効に作用していたことが分かった。
〔実施例3〕病害防除試験
実施例1において作製した500倍希釈液を植栽の葉に散布した。一方、500倍希釈液を散布していない植栽の葉を対照とした。葉には、均一に散布された。また、散布された希釈液は、葉からはじかれることなく、葉面に均一に展着された。一方、上記500倍希釈液に含まれる量と同量のニームオイルを単独で水に溶解した希釈液も植栽の葉に散布した。
本発明の病害防除剤は、毛虫に展着することによって気門を封鎖して、散布10分後には毛虫が葉から落下した。また、散布時に気門封鎖によって駆除されなかった毛虫も、ニームオイルが展着した葉を食べることにより、散布10日後〜散布2週間後には、変態阻害されて駆除された。
〔実施例4〕気門封鎖試験
実施例1において作製した1000倍希釈液を柚子の木に付着したカイガラムシに散布した。柚子の葉には、1000倍希釈が均一に展着されると共に、カイガラムシにも均一に展着された。
散布されたカイガラムシは、死滅して数日後にはカイガラムシ被害がなくなった。一方、散布されていない柚の木は、カイガラムシが付着したままであった。
実施例1において作製した病害防除剤には、活性成分として、重曹およびニームオイルを含有するが、これらはカイガラムシに対して防除効果を有していない。一方、カイガラムシは、マシン油などが展着することによって気門封鎖されて防除される。本発明の病害防除剤も、カイガラムシに展着することによって気門を封鎖して、これらを防除する効果を有した。
驚くべきことに実施例1から4に示したとおり、天然物および食品添加物のみから製造された病害防除剤が上記の通りの優れた防除効果を有した。
本発明は、食品添加物および天然物を使用した展着剤組成物および病害防除剤として利用することができる。また、本発明は、活性成分の活性を低下させることなく、分散性および展着性が高く、かつ硬化しにくい展着剤組成物および病害防除剤として利用することができる。

Claims (4)

  1. レシチン、リゾレシチン、グリセリン、脂肪酸および増粘剤を含有する、展着剤組成物。
  2. エタノールをさらに含有する、請求項1に記載の展着剤組成物。
  3. 請求項1または2に記載の展着剤組成物と活性成分とを含有する、病害防除剤。
  4. 前記活性成分がニームオイルである、請求項3に記載の病害防除剤。
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