JP6027710B1 - 糖尿病治療用固形製剤 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明者らは、テネリグリプチン又はその塩とカナグリフロジン又はその塩とを配合してなる固形製剤(配合剤)を開発するため、それらの有効成分を含有する配合剤の保存安定性について検討したところ、テネリグリプチン又はその塩とカナグリフロジン又はその塩とを混合すると、相互作用により、類縁物質の増加、色調変化、異臭等が生じ、保存安定性に影響を与える可能性があることが判明した。また、製造ロットの組合せによって相互作用の程度が異なることが確認された。これは、単一成分を含有する製剤の原薬レベルとしては全く問題のない規格のロットであっても、規格品質試験等では感知できない程度のロット間の違いが、配合剤においては重大な問題となる可能性を意味しており、配合剤医薬品としての安定供給を実現する上での課題である。
従って、本発明の課題は、テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩とカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩とを含有し、原薬の製造ロットにかかわらず、保存安定性に優れた固形製剤を提供することにある。
[1]テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分と、カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分とを配合してなる固形製剤であって、
テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩と、カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩とが実質的に互いに接しないように該製剤中に独立して存在することを特徴とする固形製剤。
[2]テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩、及びカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を実質的に含まない部分をさらに含有する、上記[1]記載の固形製剤。
[3]テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩、及びカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を実質的に含まない部分に崩壊剤及び滑沢剤を含有する、上記[2]記載の固形製剤。
[4]テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分に賦形剤を含有し、カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分に賦形剤を含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の固形製剤。
[5]テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分に賦形剤及び結合剤を含有し、カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分に賦形剤及び結合剤を含有する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の固形製剤。
[6]テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分が流動層造粒により製造された顆粒である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の固形製剤。
[7]カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分が高速撹拌造粒により製造された顆粒である上記[1]〜[6]のいずれかに記載の固形製剤。
[8]テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分が粒状であり、カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分が粒状である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の固形製剤。
[9](A)テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩及び賦形剤を含有する固形組成物と、(B)カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩及び賦形剤を含有する固形組成物とを含有し、テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩とカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩とが互いに接しないように配置されている固形製剤。
[10]テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩及び賦形剤を含有する固形組成物が流動層造粒により製造された顆粒である上記[9]記載の固形製剤。
[11]カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩及び賦形剤を含有する固形組成物が高速撹拌造粒により製造された顆粒である上記[9]又は[10]に記載の固形製剤。
[12]剤形が、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤又は錠剤である上記[1]〜[11]のいずれかに記載の固形製剤。
[13]テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を、テネリグリプチン換算で、10mg〜40mgを1日量として含有する上記[1]〜[12]のいずれかに記載の固形製剤。
[14]カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を、カナグリフロジン換算で、50〜200mgを1日量として含有する上記[1]〜[13]のいずれかに記載の固形製剤。
[15]テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を、テネリグリプチン換算で、20mgを1日量として含有する上記[13]記載の固形製剤。
[16]カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を、カナグリフロジン換算で、100mgを1日量として含有する上記[14]記載の固形製剤。
[17]テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩が、テネリグリプチン臭化水素酸塩である上記[1]〜[16]のいずれかに記載の固形製剤。
[18]カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩が、カナグリフロジン水和物である上記[1]〜[17]のいずれかに記載の固形製剤。
[19]固形製剤100重量%に対して、
(A)0.1〜50重量%のテネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩、0〜50重量%の賦形剤及び0〜5重量%の結合剤を含有する固形組成物と、
(B)0.1〜95重量%のカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩、0〜50重量%の賦形剤及び0〜5重量%の結合剤を含有する固形組成物とを独立して含有し、テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩とカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩とが互いに接しないように配置されている固形製剤。
[20]固形製剤100重量%に対して、
0.1〜99重量%のテネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩及びカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を実質的に含まない部分を含有する上記[19]記載の固形製剤。
[21]固形製剤100重量%に対して、
(A)12.5重量%のテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物、18.8重量%のマンニトール及び1.0重量%のヒドロキシプロピルセルロースを含有する固形組成物と、
(B)41.3重量%のカナグリフロジン水和物、7.3重量%のマンニトール及び1.6重量%のヒドロキシプロピルセルロースを含有する固形組成物とを独立して含有し、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物とカナグリフロジン水和物とが互いに接しないように配置されている固形製剤。
[22]テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩及びカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を実質的に含まない部分として、9.7重量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及び2.8重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含有する上記[21]記載の固形製剤。
[23]糖尿病又は糖尿病関連症状の治療及び/又は予防のための、上記[1]〜[22]のいずれかに記載の固形製剤。
本発明の固形製剤において、「テネリグリプチンの塩等を含有する部分」は、カナグリフロジンの塩等を実質的に含有しない。
該「カナグリフロジンの塩等を実質的に含有しない」とは、テネリグリプチンの塩等を含有する部分100重量部に対して、カナグリフロジンの塩等の含有量が、例えば、1重量部以下、好ましくは0.1重量部以下、より好ましくは0重量部であることを言う。
本発明の固形製剤において、「カナグリフロジンの塩等を含有する部分」は、テネリグリプチンの塩等を実質的に含有しない。
該「テネリグリプチンの塩等を実質的に含有しない」とは、カナグリフロジンの塩等を含有する部分100重量部に対して、カナグリフロジンの塩等の含有量が、例えば、1重量部以下、好ましくは0.1重量部以下、より好ましくは0重量部であることを言う。
本発明において、「テネリグリプチンの塩等を含有する部分と、カナグリフロジンの塩等を含有する部分とを配合してなる固形製剤」とは、テネリグリプチンの塩等を含有しカナグリフロジンの塩等を実質的に含有しない構成部分と、カナグリフロジンの塩等を含有しテネリグリプチンの塩等を実質的に含有しない構成部分とを有する固形製剤を意味する。本発明の固形製剤は、後述するように、さらに他の構成部分(例えば、テネリグリプチンの塩等及びカナグリフロジンの塩等を実質的に含有しない構成部分)を有していてもよい。
本発明の固形製剤における「テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分」は、テネリグリプチンの塩等、必要に応じて製剤分野において慣用の添加剤(例えば、賦形剤)を含有する部分(固形組成物)である。テネリグリプチンの塩等を含有する部分は、後述するカナグリフロジンの塩等を含有する部分と一緒に固形製剤を形成でき、かつ生体に投与(好ましくは経口投与)可能であれば如何なる形状、大きさであってもよい。
テネリグリプチンの塩等を含有する部分における賦形剤としては、ラクトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、フルクトース、乳糖、ショ糖、白糖、デンプン、プレゼラチン化デンプン、デキストロース、トウモロコシデンプン、変性トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、デキストリン/デキストレート、マルトデキストリン及び圧縮用糖類等の炭水化物;クエン酸カルシウム、リン酸カルシウム及びメタケイ酸アルミン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム及び硫酸カルシウム等の無機塩;結晶セルロース又は木材セルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。また、上記賦形剤の2つ以上の混合物を使用してもよい。好ましくは、マンニトール、キシリトール、トウモロコシデンプンであり、より好ましくはマンニトールである。
テネリグリプチンの塩等を含有する部分における賦形剤の含有量は、テネリグリプチンの塩等を含有する部分100重量部に対して、好ましくは0〜99重量部、より好ましくは1〜95重量部、さらに好ましくは10〜90重量部、特に好ましくは40〜67重量部である。
本発明の一実施態様において、テネリグリプチンの塩等を含有する部分の含有量は、固形製剤100重量部に対して、0.5〜90重量部、より好ましくは5〜80重量部、特に好ましくは15〜50重量部である。
本発明の固形製剤におけるテネリグリプチンの塩等の含有量は、該固形製剤の投与量や投与回数、投与経路に応じて、適宜検討して決定すればよい。好ましくは、テネリグリプチンの塩等の含有量は、固形製剤100重量部に対して0.1〜50重量部、より好ましくは1〜35重量部、さらに好ましくは5〜30重量部、特に好ましくは10〜20重量部である。1日1回投与用の固形製剤であれば、成人1人あたり、テネリグリプチン換算で5〜80mg、好ましくは10〜40mg、より好ましくは、15〜25mgである。なお、「テネリグリプチン換算」とは、無機酸、有機酸、水和水等を除いたテネリグリプチンとしての状態を意味する。
本発明の固形製剤におけるテネリグリプチンの塩等を含有する部分における賦形剤の含有量は、固形製剤100重量部に対して0〜50重量部、より好ましくは1〜45重量部、さらに好ましくは5〜30重量部、特に好ましくは15〜25重量部である。
カナグリフロジンの塩等を含有する部分における賦形剤としては、前記テネリグリプチンの塩等を含む部分における賦形剤として例示したものが挙げられる。好ましくは、乳糖、ショ糖、エリスリトール、マンニトールであり、より好ましくは、マンニトールである。
カナグリフロジンの塩等を含有する部分における賦形剤の含有量は、カナグリフロジンの塩等を含有する部分100重量部に対して、好ましくは0〜99重量部、より好ましくは5〜80重量部、さらに好ましくは9〜69重量部、特に好ましくは9〜34重量部である。
本発明の一実施態様において、カナグリフロジンの塩等を含有する部分の含有量は、固形製剤100重量部に対して0.5〜95重量部、より好ましくは10〜90重量部、特に好ましくは30〜80重量部である。
本発明の固形製剤におけるカナグリフロジンの塩等の含有量は、投与量や投与回数、投与経路に応じて、適宜検討して決定すればよい。好ましくは、カナグリフロジンの塩等の含有量は、固形製剤100重量部に対して0.1〜90重量部、より好ましくは10〜80重量部、特に好ましくは20〜60重量部である。1日1回投与用の固形製剤であれば、成人1人あたり、カナグリフロジン換算で20〜300mg、好ましくは50〜200mg、より好ましくは50〜150mg、特に好ましくは80〜120mgである。なお、「カナグリフロジン換算」とは、無機酸、有機酸、水和水等を除いたカナグリフロジンとしての状態を意味する。
本発明の固形製剤におけるカナグリフロジンの塩等を含有する部分における賦形剤の含有量は、固形製剤100重量部に対して0〜50重量部、より好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは5〜35重量部、特に好ましくは5〜20重量部である。
テネリグリプチンの塩等を含有する部分における賦形剤の含有量は、テネリグリプチンの塩等を含有する部分100重量部に対して、好ましくは0〜99重量部、より好ましくは1〜95重量部、さらに好ましくは10〜90重量部、特に好ましくは40〜67重量部であり、テネリグリプチンの塩等を含有する部分における結合剤の含有量は、テネリグリプチンの塩等を含有する部分100重量部に対して、好ましくは0〜10重量部、より好ましくは0〜5重量部、さらに好ましくは1〜5重量部である。
本発明の固形製剤におけるテネリグリプチンの塩等を含有する部分における賦形剤の含有量は、固形製剤100重量部に対して0〜50重量部、より好ましくは1〜45重量部、さらに好ましくは5〜30重量部、特に好ましくは15〜25重量部であり、テネリグリプチンの塩等を含有する部分における結合剤の含有量は、固形製剤100重量部に対して0〜5重量部、より好ましくは0〜3重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。
カナグリフロジンの塩等を含有する部分における賦形剤の含有量は、カナグリフロジンの塩等を含有する部分100重量部に対して、好ましくは0〜99重量部、より好ましくは5〜80重量部、さらに好ましくは9〜69重量部、特に好ましくは9〜34重量部であり、カナグリフロジンの塩等を含有する部分における結合剤の含有量は、カナグリフロジンの塩等を含有する部分100重量部に対して、好ましくは0〜10重量部、より好ましくは0〜5重量部、さらに好ましくは1〜5重量部である。
本発明の固形製剤におけるカナグリフロジンの塩等を含有する部分における賦形剤の含有量は、固形製剤100重量部に対して0〜50重量部、より好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは5〜35重量部、特に好ましくは5〜20重量部であり、カナグリフロジンの塩等を含有する部分における結合剤の含有量は、固形製剤100重量部に対して0〜5重量部、より好ましくは0〜3重量部、さらに好ましくは0.5〜3重量部である。
本明細書中で用いる用語「重量平均粒子径」とは、篩分け法により、目開きの異なる複数の篩を用い、目開きの大きい篩が上段になるように重ね、その最上段に測定する粉末を投入し、手動又は機械によって振動を与え、各々の篩の上に残った粉末の量を測定し、その50%重量に当たる粒子が分別された時点での粒子径を意味する。
本発明の固形製剤において、テネリグリプチンの塩等を含有する部分とカナグリフロジンの塩等を含有する部分との間に、テネリグリプチンの塩等及びカナグリフロジンの塩等を実質的に含まない部分が存在していることが好ましい。該「実質的に含まない」とは、テネリグリプチンの塩等及びカナグリフロジンの塩等を実質的に含まない部分100重量部に対して、テネリグリプチンの塩等、カナグリフロジンの塩等が、それぞれ、例えば、1重量部以下、好ましくは0.1重量部以下、より好ましくは0重量部であることを言う。
具体的には、テネリグリプチンの塩等及びカナグリフロジンの塩等を実質的に含まない部分が連続相(固相)を構成し、該連続相中に、テネリグリプチンの塩等を含有する部分(例えば、テネリグリプチンの塩等を含有する顆粒)及びカナグリフロジンの塩等を含有する部分(例えば、カナグリフロジンの塩等を含有する顆粒)が、それぞれ、分散している固形製剤(例えば、錠剤)が、本発明の固形製剤の一態様として挙げられる。
また、テネリグリプチンの塩等及びカナグリフロジンの塩等を実質的に含まない連続相(固相)中に、テネリグリプチンの塩等を含有する部分(例えば、テネリグリプチンの塩等を含有する顆粒)が分散している層と、テネリグリプチンの塩等及びカナグリフロジンの塩等を実質的に含まない連続相(固相)中に、カナグリフロジンの塩等を含有する部分(例えば、カナグリフロジンの塩等を含有する顆粒)が分散している層が、積層した固形製剤(例えば、錠剤)が、本発明の固形製剤の一態様として挙げられる。
本発明における、テネリグリプチンの塩等及びカナグリフロジンの塩等を実質的に含まない部分は、好ましくは、崩壊剤(好ましくは低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、及び滑沢剤(好ましくはフマル酸ステアリルナトリウム)を含有する。
テネリグリプチンの塩等及びカナグリフロジンの塩等を実質的に含まない部分の含有量は、好ましくは固形製剤100重量部に対して0.1〜99重量部、より好ましくは1〜50重量部、特に好ましくは5〜25重量部である。
例えば、テネリグリプチンの塩等を含有する部分及び/又はカナグリフロジンの塩等を含有する部分が粒状(細粒状、顆粒状)又は塊状である場合、該粒又は塊をコーティングすることで、不活性な中間層を形成してもよい。
また、中間層は1層のみならず、複数の層(好ましくは、2〜3層)で形成されていてもよい。
(A)テネリグリプチンの塩等及び賦形剤を含有する固形組成物と、(B)カナグリフロジンの塩等及び賦形剤を含有する固形組成物とを含有し、テネリグリプチンの塩等とカナグリフロジンの塩等とが互いに接しないように配置されている固形製剤。
当該(A)及び(B)の固形組成物の形態は、それぞれ、例えば、粉状、粒状(細粒状、顆粒状)、錠剤状のような形態である。
(ロ)テネリグリプチンの塩等、及びカナグリフロジンの塩等をそれぞれ適当な方法で別個に造粒して粒状物とし、これらを配合して製造した散剤、又は顆粒剤等、並びに当該粒状物を更に適当な方法でコーティングした製剤。
(ハ)上記(イ)又は(ロ)で製した散剤や顆粒剤等をカプセルに充填したカプセル剤。
(ニ)上記(イ)又は(ロ)で製した粒状物等を圧縮成形等の適当な方法で製錠して得た錠剤。
(ホ)テネリグリプチンの塩等、及びカナグリフロジンの塩等が実質的に互いに接触しないように、例えば圧縮成形等によって製した多層錠、並びに当該多層錠を更に適当な方法でコーティングした製剤。当該多層錠としては、テネリグリプチンの塩等、及びカナグリフロジンの塩等を、互いに異なる層にしたものが好ましい。なお、テネリグリプチンの塩等、及びカナグリフロジンの塩等として、上記(イ)や(ロ)で製した粒状物を用いることができる。
(へ)テネリグリプチンの塩等、及びカナグリフロジンの塩等のいずれか一方を核錠(芯錠、中心錠ともいう)として配置し、テネリグリプチンの塩等、及びカナグリフロジンの塩等が実質的に互いに接触しないように製した有核錠、並びに当該有核錠を更に適当な方法でコーティングした製剤。
本発明においては、テネリグリプチンの塩等を含有する粒状物は流動層造粒により、カナグリフロジンの塩等を含有する粒状物は高速撹拌造粒により製されることが好ましい。
本発明において、圧縮成形(例えば、上記各工程における圧縮成形)は、例えば、単発錠剤機、ロータリー式打錠機等を用いて行うことができる。なお、単発錠剤機、ロータリー式打錠機等を用いる際には、通常1〜35kN/cm2(好ましくは5〜35kN/cm2)の打錠圧を採用することが好ましく、さらに、キャッピング防止を目的として、テーパー形状の臼を用いることが好ましい。
本発明において、コーティング(例えば、上記各工程におけるコーティング)は、例えばフィルムコーティング装置等を用いて行うことができる。
1)テネリグリプチンの塩等及び賦形剤を、結合剤の溶媒分散液を用いて造粒する。
2)得られた造粒物を乾燥し、整粒した後、得られた整粒末と、崩壊剤、滑沢剤、及び、必要に応じて、賦形剤とを混合して、顆粒を得る。
1’)カナグリフロジンの塩等及び賦形剤を、結合剤の溶媒分散液を用いて造粒する。
2’)得られた造粒物を乾燥し、整粒した後、得られた整粒末と、崩壊剤、滑沢剤、及び、必要に応じて、賦形剤とを混合して、顆粒を得る。
3)上記2)で得られた顆粒と2’)で得られた顆粒とを、層状に積み重ねて圧縮成形(好ましくは打錠)する。
1)テネリグリプチンの塩等(又はカナグリフロジンの塩等)及び賦形剤を、結合剤の溶媒分散液を用いて造粒する。
2)得られた造粒物を乾燥し、整粒した後、得られた整粒末と、崩壊剤、滑沢剤、及び、必要に応じて、賦形剤とを混合し、圧縮成形(好ましくは打錠)して素錠を得る。好ましくは薬物の接触を避けるため、素錠をコーティングする。
1’)カナグリフロジンの塩等(又はテネリグリプチンの塩等)及び賦形剤を、結合剤の溶媒分散液を用いて造粒する。
2’)得られた造粒物を乾燥し、整粒した後、得られた整粒末と、崩壊剤、滑沢剤、及び、必要に応じて、賦形剤とを混合して、顆粒を得る。
3)上記2)で得られたテネリグリプチンの塩等を含む錠剤を内核錠とし、2’)で得られたカナグリフロジンの塩等を含む顆粒を外層部分として圧縮成形(好ましくは打錠)するか、上記2)で得られたカナグリフロジンの塩等を含む錠剤を内核錠とし、2’)で得られたテネリグリプチンの塩等を含む顆粒を外層部分として圧縮成形(好ましくは打錠)する。
また、上記積層錠剤や有核錠剤を、コーティング剤及びコーティング添加剤によってフィルムコーティングすることによって製造されるフィルムコーティング製剤も本発明の固形製剤に含まれる。
なお、実施例では、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物として、テネリグリプチン2.5臭化水素酸塩X水和物又はテネリグリプチン2.5臭化水素酸塩1.0−2.0水和物を用いた。カナグリフロジン水和物として、カナグリフロジン1/2水和物を用いた。また、オパドライ(カラコン社)を、コーティング剤として用いた。
表1に示す処方に従って、以下の方法により、テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩(テネリグリプチンの塩等)を含有する部分と、カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩(カナグリフロジンの塩等)を含有する部分とが実質的に互いに接しないように独立して存在する製剤を製造した。
表1において、<テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物を含む顆粒の顆粒内成分>が、本発明における「テネリグリプチンの塩等を含有する部分」の成分であり、<カナグリフロジン水和物を含む顆粒の顆粒内成分>が、本発明における「カナグリフロジンの塩等を含有する部分」の成分であり、<顆粒外成分>及びオパドライが「テネリグリプチンの塩等及びカナグリフロジンの塩等を実質的に含まない部分」の成分である。
(1)流動層造粒乾燥機(NFLO-30SJ、フロイント産業株式会社、日本)中で、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(12.5重量%)及びマンニトール(18.8重量%)を均一に混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース(1.0重量%)を含む水溶液を噴霧しながら造粒し、ついで乾燥して、造粒末を得た。得られた造粒末を1mmφ丸穴スクリーンを取り付けたコーミル(QC-194S、パウレック株式会社、日本)を用いて解砕してテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物を含む顆粒をテネリグリプチンの塩等を含有する部分として得た。
表2に示す処方に従って、テネリグリプチンの塩等を含有する部分と、カナグリフロジンの塩等を含有する部分とが実質的に互いに接しないように独立して存在する製剤を製造した。
表2において、<テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物を含む顆粒の顆粒内成分>が、本発明における「テネリグリプチンの塩等を含有する部分」の成分であり、<カナグリフロジン水和物を含む顆粒の顆粒内成分>が、本発明における「カナグリフロジンの塩等を含有する部分」の成分であり、<テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物を含む顆粒の顆粒外成分>、<カナグリフロジン水和物を含む顆粒の顆粒外成分>及びオパドライが「テネリグリプチンの塩等及びカナグリフロジンの塩等を実質的に含まない部分」の成分である。
(1)実施例1の(1)で得られたテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物を含む顆粒の一部(32.3重量%)に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(3.7重量%)及びフマル酸ステアリルナトリウム(1.1重量%)を加え、ポリ袋で混合することにより、打錠用顆粒(I)を得た。
(2)実施例1の(2)で得られたカナグリフロジン水和物を含む顆粒の一部(50.2重量%)に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(5.7重量%)及びフマル酸ステアリルナトリウム(1.7重量%)を加え、ポリ袋で混合することにより、打錠用顆粒(II)を得た。
表3に示す処方に従って、製剤を製造した。
表3に示す処方に従って、製剤を製造した。その際、比較例1で用いたものと異なる製造ロットのカナグリフロジン水和物とテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物を使用した。
テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物及びカナグリフロジン水和物をビーカーに秤量し、スターラーを用いて混合後、精製水をテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物及びカナグリフロジン水和物に対して5%添加して練合した。得られた練合物を60℃で1時間乾燥し、コレクションバイアル(20mL)に入れ、各種保存条件下で1箇月保存した。保存開始直後、各種保存条件で1箇月後のコレクションバイアル内の状態を評価し、結果を表4に示した。
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の錠剤を、60℃又は40℃75%RHにてガラス瓶密栓の条件下で保存し、テネリグリプチン及びカナグリフロジンに由来する総類縁物質量を測定することにより、化学的安定性を評価した。結果を表5に示す。
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の錠剤を、60℃にてガラス瓶密栓の条件下で保存し、精製水を用いたパドル法(50rpm)によりテネリグリプチンの溶出性を評価した。結果を図1〜4に示す。各値は、各々、錠剤3〜6個の溶出率の平均値を示す。
実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2の錠剤を、60℃にてガラス瓶密栓の条件下で保存し、0.1%(w/w)ポリソルベート80を含有するリン酸緩衝液pH6.8(JP16の第2液)を用いたパドル法(75rpm)によりカナグリフロジンの溶出性を評価した。結果を図5〜8に示す。各値は、各々、錠剤3〜6個の溶出率の平均値を示す。
Claims (25)
- テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分と、カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分とを配合してなる固形製剤であって、
テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩と、カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩とが実質的に互いに接しないように該製剤中に独立して存在することを特徴とする固形製剤。 - テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩、及びカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を実質的に含まない部分をさらに含有する、請求項1記載の固形製剤。
- テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩、及びカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を実質的に含まない部分に崩壊剤及び滑沢剤を含有する、請求項2記載の固形製剤。
- テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分に賦形剤を含有し、カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分に賦形剤を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固形製剤。
- テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分に賦形剤及び結合剤を含有し、カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分に賦形剤及び結合剤を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固形製剤。
- テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分が粒状であり、カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する部分が粒状である請求項1〜5のいずれか1項に記載の固形製剤。
- (A)テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩及び賦形剤を含有する固形組成物と、(B)カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩及び賦形剤を含有する固形組成物とを含有し、テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩とカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩とが互いに接しないように配置されている固形製剤。
- テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩、及びカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を実質的に含まない部分をさらに含有する請求項7記載の固形製剤であって、
当該部分に崩壊剤及び滑沢剤を含有する固形製剤。 - (A)テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩及び賦形剤を含有する固形組成物に、該固形組成物100重量%に対して、1〜70重量%のテネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩、及び10〜90重量%の賦形剤を含有し、(B)カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する固形組成物に、該固形組成物100重量%に対して、20〜95重量%のカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩、及び5〜80重量%の賦形剤を含有する、請求項7又は8記載の固形製剤。
- (A)テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩及び賦形剤を含有する固形組成物に、該固形組成物100重量%に対して、さらに0〜10重量%の結合剤を含有し、(B)カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する固形組成物に、該固形組成物100重量%に対して、さらに0〜10重量%の結合剤を含有する、請求項9記載の固形製剤。
- 剤形が、カプセル剤、丸剤、顆粒剤、細粒剤、散剤又は錠剤である請求項1〜10のいずれか1項に記載の固形製剤。
- テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を、テネリグリプチン換算で、10mg〜40mgを1日量として含有する請求項1〜11のいずれかに1項に記載の固形製剤。
- カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を、カナグリフロジン換算で、50〜200mgを1日量として含有する請求項1〜12のいずれか1項に記載の固形製剤。
- テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を、テネリグリプチン換算で、20mgを1日量として含有する請求項12記載の固形製剤。
- カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を、カナグリフロジン換算で、100mgを1日量として含有する請求項13記載の固形製剤。
- (A)テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する固形組成物と、(B)カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する固形組成物とを含有し、テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩とカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩とが互いに接しないように配置されている固形製剤であって、
当該固形製剤100重量%に対して、
(A)テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する固形組成物に、0.1〜50重量%のテネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩、0〜50重量%の賦形剤及び0〜5重量%の結合剤を含有し、
(B)カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する固形組成物に、0.1〜95重量%のカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩、0〜50重量%の賦形剤及び0〜5重量%の結合剤を含有する固形製剤。 - 固形製剤100重量%に対して、
0.1〜99重量%のテネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩及びカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を実質的に含まない部分を含有する請求項16記載の固形製剤。 - 固形製剤100重量%に対して、
(A)テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する固形組成物に、1〜35重量%のテネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩、1〜45重量%の賦形剤及び0〜3重量%の結合剤を含有し、
(B)カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する固形組成物に、10〜80重量%のカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩、2〜40重量%の賦形剤及び0〜3重量%の結合剤を含有する請求項16記載の固形製剤。 - 固形製剤100重量%に対して、
(A)テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する固形組成物に、10〜20重量%のテネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩、15〜25重量%の賦形剤及び0.5〜3重量%の結合剤を含有し、
(B)カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を含有する固形組成物に、20〜60重量%のカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩、5〜20重量%の賦形剤及び0.5〜3重量%の結合剤を含有する請求項16記載の固形製剤。 - 固形製剤100重量%に対して、
1〜50重量%のテネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩及びカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を実質的に含まない部分を含有する請求項18又は19記載の固形製剤であって、
当該部分に崩壊剤及び滑沢剤を含有する固形製剤。 - テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩が、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物である請求項1〜20のいずれか1項に記載の固形製剤。
- カナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩が、カナグリフロジン水和物である請求項1〜21のいずれか1項に記載の固形製剤。
- 固形製剤100重量%に対して、
(A)12.5重量%のテネリグリプチン臭化水素酸塩水和物、18.8重量%のマンニトール及び1.0重量%のヒドロキシプロピルセルロースを含有する固形組成物と、
(B)41.3重量%のカナグリフロジン水和物、7.3重量%のマンニトール及び1.6重量%のヒドロキシプロピルセルロースを含有する固形組成物とを独立して含有し、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物とカナグリフロジン水和物とが互いに接しないように配置されている固形製剤。 - テネリグリプチン又はその薬学的に許容しうる塩及びカナグリフロジン又はその薬学的に許容しうる塩を実質的に含まない部分として、9.7重量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及び2.8重量%のフマル酸ステアリルナトリウムを含有する請求項23記載の固形製剤。
- 糖尿病又は糖尿病関連症状の治療及び/又は予防のための、請求項1〜24のいずれか1項に記載の固形製剤。
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