JP6021964B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、リムに装着されるタイヤにかかり、特に、タイヤ骨格体(タイヤケース)の少なくとも一部が樹脂材料で形成されたタイヤに関する。
従来、乗用車等の車両には、ゴム、有機繊維材料、スチール部材などから構成された空気入りタイヤが用いられている。従来空気入りタイヤに用いられている一般的なゴム材料は、耐熱性などには問題はない。しかし、タイヤ製造工程において、混練、シーティング、成形および加硫といった複数の工程を経るのが通常であり、生産性の向上が求められていた。
これに対し、近年では、軽量化や、成形の容易さ、リサイクルのしやすさから、樹脂材料、特に熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマーなどをタイヤ材料として用いることが検討されている。これら熱可塑性の高分子材料(熱可塑性樹脂材料)は、射出成形が可能であるなど、生産性の向上の観点から有利な点が多い。
また、前記熱可塑性の高分子材料としてポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いたタイヤが提案されている(特許文献1参照)。
特開2012−46031号公報
熱可塑性の樹脂材料を用いたタイヤは、ゴム製の従来タイヤと比べて、製造が容易で且つ低コストである。但し、樹脂材料を用いてタイヤを製造する場合には、この高い製造効率と低コストとを実現しつつ、且つ従来のゴム製タイヤと比して遜色のない性能を実現することが求められる。具体的には、リム組みが可能であるとともに、リム組みをした際に内部の空気が漏れないように優れたリム組み性を確保することが求められる。また、併せて走行時にタイヤ自体が変形しない性質(走行時の耐変形性)も求められる。
しかし、樹脂材料の中でも特に低コスト化の観点で有利なポリプロピレンを用いた場合には、リム組み性を得つつ且つ走行時の耐変形性をも実現することが容易でないことがわかった。
そこで、本発明は、前記事情を踏まえ、ポリプロピレンを含む樹脂材料を用いて形成され、良好なリム組み性を実現しつつ且つ走行時の耐変形性にも優れたタイヤを提供することを目的とする。
[1] 樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有し、前記樹脂材料が少なくともポリプロピレンを含み、且つ前記樹脂材料のペンタッド率が88.2%以上93.4%以下であり、前記樹脂材料が、イソタクチックポリプロピレンを50質量%〜70質量%の範囲で、アタクチックポリプロピレンを30質量%〜50質量%の範囲で含むタイヤ
本発明によれば、ポリプロピレンを含む樹脂材料を用いて形成され、良好なリム組み性を実現しつつ且つ走行時の耐変形性にも優れたタイヤを提供することができる。
(A)は本発明の一実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図であり、(B)はリムに装着したビード部の断面図である。 第1実施形態のタイヤのタイヤケースのクラウン部に補強コードが埋設された状態を示すタイヤ回転軸に沿った断面図である。 コード加熱装置、およびローラ類を用いてタイヤケースのクラウン部に補強コードを埋設する動作を説明するための説明図である。
本発明のタイヤは、樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有する。前記樹脂材料は少なくともポリプロピレンを含み、また前記樹脂材料のペンタッド率が88.2%以上93.4%以下である。
ここで、本明細書において「ポリプロピレン」とは、ホモポリプロピレンもしくはランダムポリプロピレンを表し、つまりプロピレンの単独重合体もしくは、プロピレンと他のモノマーとの共重合体をさす。尚、ホモポリプロピレンとは、合成されるモノマーにおけるプロピレンの割合が98モル%以上のものとし、ランダムポリプロピレンとは、合成されるモノマーにおけるプロピレンの割合が98モル%未満のものと定義する。
近年、製造効率や低コストの面で有利であるとの理由から樹脂材料をタイヤ材料として用いることが検討されており、特に低コスト化を実現し得る材料として、タイヤ骨格体にポリプロピレンを用いたタイヤが試されている。
上述のように、樹脂材料を用いたタイヤには従来のゴム製タイヤと同等の性能が求められており、例えばリム組みをした際に内部の空気が漏れないように優れたリム組み性が求められる。また、走行によって継続的に荷重が付与され続けた際にタイヤ骨格体自体に変形が生じると走行性に劣ることとなり、更にこの変形がより進行した場合には内部の空気漏れが生じることもあるため、走行時にタイヤ自体が変形しない性質(走行時の耐変形性)も求められる。
しかし、ポリプロピレンを含むタイヤ骨格体においては、リム組み性を実現しようとした際、更に走行時の耐変形性をも達成することが容易でないことがわかった。
これに対し本発明は、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料が少なくともポリプロピレンを含み且つこの樹脂材料のペンタッド率が前述の範囲に制御される。樹脂材料のペンタッド率が上記範囲であることで、タイヤ骨格体としての適切な弾性率を得つつ且つタイヤ骨格体のクリープ性を低減できるものと考えられる。
弾性率が適切な範囲であることにより、優れたリム組み性が得られ、その結果良好にリム組みされることによって内部の空気漏れも抑制される。
また、クリープ性が低減されることで、走行によってタイヤに対し継続的に荷重が付与され続けた場合であってもタイヤ骨格体自体の変形、特にタイヤのサイドが変形することが抑制され、走行時の耐変形性に優れるものと考えられる。タイヤ骨格体自体の変形が抑制されることで、該変形に伴って生じることがあった空気の抜けが抑制される。
−ペンタッド率−
本発明における樹脂材料は、ペンタッド率が88.2%以上93.4%以下である。このペンタッド率が上記上限値を超えると、タイヤ骨格体の弾性率が適切な範囲に制御できず、その結果リム組みが良好に行えず、内部の空気漏れも発生する。一方、上記ペンタッド率が上記下限値未満であると、タイヤ骨格体のクリープ性が低減できず、その結果走行時の耐変形性が得られない。更に、タイヤ骨格体自体の変形がより進行した場合には内部の空気漏れが生じる。
上記ペンタッド率は、更に88.2%以上91.7%以下であることが好ましく、88.2%以上89.0%以下であることがより好ましい。
ここでペンタッド率について説明する。ポリプロピレンにおいては重合によって主鎖にできた四級炭素は不斉炭素原子となる。そのため、この不斉炭素原子に結合する側鎖メチル基(−CH)の配置に向きが生じ、隣り合う不斉炭素原子における前記側鎖メチル基の配置が同じ側か異なる側かによって立体規則性が生じる。そして、ポリプロピレンの主鎖の構造において、連続する5つの不斉炭素原子(五連子、ペンタッド)における側鎖メチル基の配置が同じ側(いわゆるmmmm構造)である確率を、ペンタッド率と称す。
本発明における樹脂材料のペンタッド率は、以下の方法により測定することができる。
13C−NMRにおいて、ある側鎖メチル基の両隣(トリアッド)のさらに隣(ペンタッド)までのメチル基の立体配置(メソ、ラセモ)は相互に影響を受け、異なる化学シフトにピークとして現れる。各ピークの定量はピーク高さを用いて相対比較した。装置機器は日本電子株式会社製FT−NMR(600MHz)、測定条件は123℃、溶媒はテトラクロロエタン重溶媒、ピークはmmmm,mmmr,rmmr,mmrr,mmrm,rmrr,mrmr,rrrr,rrrm,mrrmの各ピーク高さからmmmmの比率を算出した。
尚、ランダムポリプロピレン(プロピレンと他のモノマーとの共重合体)の場合、主鎖中のポリプロピレン鎖に起因するピークのみから算出する。
樹脂材料のペンタッド率を前記範囲に制御する方法としては、特に限定されるものではないが、2種以上の樹脂を混合することでペンタッド率を調整する方法が好ましい。より具体的には、第1の樹脂としてのポリプロピレンと該第1の樹脂とは異なる第2の樹脂とを混合することが好ましい。
ここで、第1の樹脂とは異なる樹脂には、ポリプロピレン以外の樹脂つまりプロピレン以外のモノマーから重合された樹脂、またはポリプロピレン(ホモポリプロピレンもしくはランダムポリプロピレン)であって第1の樹脂とは立体規則性が異なる樹脂を含む。
前述の通り、ポリプロピレンが主鎖に有する不斉炭素原子は側鎖メチル基を有し、この配置に向きが生じるために立体規則性が生じる。この不斉炭素原子に結合する側鎖メチル基が連続して同じ側に規則正しく並んだ構造を有するポリプロピレンをイソタクチックポリプロピレンと称す。尚、本発明では、ペンタッド率が94.5%以上のものをイソタクチックポリプロピレンと定義する。
一方この側鎖メチル基の配列がランダムで規則性がないポリプロピレンをアタクチックポリプロピレンと称す。本発明では、ペンタッド率が94.5%未満のものをアタクチックポリプロピレンと定義する。
従って、本発明において、例えば第1の樹脂としてペンタッド率94.5%以上のホモポリプロピレン(イソタクチックポリプロピレン)を用いた場合であれば、第1の樹脂とは異なる第2の樹脂には、プロピレン以外のモノマーから重合された樹脂と、ペンタッド率94.5%未満のホモポリプロピレン(アタクチックポリプロピレン)と、ペンタッド率94.5%未満のランダムポリプロピレンと、が含まれる。
《樹脂材料》
本発明に係るタイヤは樹脂材料で形成されるタイヤ骨格体を有し、前記樹脂材料は少なくともポリプロピレンを含む。
前記樹脂材料はポリプロピレン以外の熱可塑性樹脂やその他任意の成分(添加剤)を含んでいてもよいが、前記樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有量は、80質量%以上が好ましく、更に90質量%〜100質量%がより好ましい。
また、本明細書において「樹脂」とは、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂を含む概念であるが、天然ゴムは含まない。
(ポリプロピレン)
ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン(プロピレンの単独重合体)およびランダムポリプロピレン(プロピレンと他のモノマーとの共重合体)がある。
前記ポリプロピレンのホモポリプロピレンとしては、例えば立体規則性が異なるポリプロピレンが挙げられ、具体的にはイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレンが挙げられる。
ランダムポリプロピレンとしては、例えばプロピレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、主鎖中のポリプロピレン鎖におけるペンタッド率が異なるもの、具体的には該ペンタッド率が94.5%以上のもの、および該ペンタッド率が94.5%未満のものが挙げられる。
他のモノマーとしては、例えばエチレン、ブテン、オクテン等が挙げられる。
上記の中でも、ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレンが好ましく、イソタクチックポリプロピレンがより好ましい。
イソタクチックポリプロピレンとしては、例えば(株)プライムポリマー製のプライムポリプロE−105GM、J−700GP、E−200GP、Y−400GP、サンアロマー(株)製のPL400A、PL500A、日本ポリプロ(株)製のノバテック(登録商標)EA9、MA3等が挙げられる。
アタクチックポリプロピレンとしては、例えば住友化学(株)製、タフセレン(登録商標)H3002、T1712、X1102、出光興産(株)製、L−MODU(登録商標)S400、S600、S901等が挙げられる。
前記ポリプロピレンの重量平均分子量としては、50,000〜3,000,000であることが好ましく、50,000〜2,500,000がより好ましく、800,000〜2,000,000が更に好ましい。ポリプロピレンの重量平均分子量が上記範囲にあると、樹脂材料の機械的物性が十分であり、加工性にも優れる。
前記ポリプロピレンの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができ、例えば、東ソー株式会社製の「HLC−8321GPC/HT」等のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いることができる。
前記イソタクチックポリプロピレンやアタクチックポリプロピレン、ランダムポリプロピレンは、公知の方法によって共重合することで合成することができる。
前記の通り、樹脂材料のペンタッド率を前述の範囲に制御する観点から、2種以上の樹脂を混合してペンタッド率を調整することが好ましい。より具体的には、第1の樹脂としてのポリプロピレンと該第1の樹脂とは異なる第2の樹脂とを混合することが好ましい。
前記第1の樹脂としては、ホモポリプロピレンを用いることが好ましく、特にイソタクチックポリプロピレンを用いることが好ましく、イソタクチックポリプロピレンの例としては前述のものが挙げられる。
前記樹脂材料におけるイソタクチックポリプロピレンの含有量としては、50質量%〜70質量%の範囲が好ましく、更には55質量%〜65質量%の範囲がより好ましく、55質量%〜60質量%の範囲が更に好ましい。
前記第2の樹脂としても、ホモポリプロピレンを用いることが好ましく、特にアタクチックポリプロピレンを用いることが好ましく、アタクチックポリプロピレンの例としては前述のものが挙げられる。
前記樹脂材料におけるアタクチックポリプロピレンの含有量としては、30質量%〜50質量%の範囲が好ましく、更には35質量%〜45質量%の範囲がより好ましく、40質量%〜45質量%の範囲が更に好ましい。
特に、本発明における樹脂材料では前記第1の樹脂としてホモポリプロピレンのイソタクチックポリプロピレンを用い、且つ前記第2の樹脂としてホモポリプロピレンのアタクチックポリプロピレンを用いることがより好ましい。また、その際の両者の含有量も前記の範囲とすることが好ましい。イソタクチックポリプロピレンおよびアタクチックポリプロピレンを前記範囲で含有することで、樹脂材料のペンタッド率をより容易に前述の範囲に制御することができる。
また、第2の樹脂はポリプロピレンに限定されるものではなく、下記に示す他の樹脂を用いてもよい。更に、下記に示す他の樹脂を第1の樹脂および第2の樹脂に加えて別途用いてもよい。
(他の樹脂)
本発明における樹脂材料にはポリプロピレン以外の他の樹脂を含んでもよい。他の樹脂としては熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーが好ましく、例えばポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
(添加剤)
本発明における樹脂材料には、所望に応じて各種添加剤を含有させてもよい。該添加剤としては、例えばゴム、各種充填剤(例えば、シリカ、炭酸カルシウム、クレイ)、老化防止剤、オイル、可塑剤、着色剤、耐候剤、補強材等の各種添加剤が挙げられる。
前記添加剤の樹脂材料(タイヤ骨格体)中の含有量は特に限定はなく、本発明の効果を損なわない範囲で適宜用いることができる。前記樹脂材料に添加剤など樹脂以外の成分を加える場合、前記樹脂材料中の樹脂成分の含有量は、樹脂材料の総量に対して、50質量%超が好ましく、90質量%以上が更に好ましい。尚、樹脂材料中の樹脂成分の含有量は、前記樹脂成分の総量から各種添加剤の総含有量を差し引いた残部となる。
(樹脂材料の物性)
−引張弾性率−
本発明における樹脂材料の引張弾性率は、JIS K7113(1995年)に準拠し測定された引張弾性率をさす。
樹脂材料の引張弾性率は140MPa〜570MPaの範囲であることが好ましく、更には160MPa〜500MPaの範囲がより好ましく、180MPa〜300MPaの範囲が更に好ましい。引張弾性率が140MPa以上であることでタイヤ骨格体の形状を良好に保持し得る。一方570MPa以下であることでリム組みが良好に行え、内部の空気漏れも抑制される。
−クリープ量−
本発明における樹脂材料のクリープ量は、JIS K7115(1999年)に準拠し、JIS3号ダンベル試験片を用い、チャック間:65mm、40kN、90℃の条件で測定された、3時間後のクリープ量をさす。
樹脂材料のクリープ量は50mm以下の範囲であることが好ましく、更には30mm以下がより好ましく、5mm以下が更に好ましく、0mmに近いほど好ましい。クリープ量が50mm以下であることで走行によってタイヤに対し継続的に荷重が付与され続けた場合でもタイヤ骨格体自体の変形が抑制され、特にタイヤのサイドでの変形が抑制される。その結果、このタイヤ骨格体自体の変形に伴って生じることがある内部の空気漏れも抑制される。
ここで、上記引張弾性率およびクリープ量は樹脂材料の物性値であり、つまり樹脂材料で形成されるタイヤ骨格体の物性値である。よって、タイヤ骨格体がポリプロピレンに加えて他の樹脂組成物も含む樹脂材料で形成される場合や、樹脂以外の他の添加剤等も含む樹脂材料で形成される場合であっても、それらの全成分を含む樹脂材料の物性をさす。
前記樹脂材料の融点としては、通常80℃〜200℃、タイヤの生産性の観点から、好ましくは100℃〜200℃程度である。このように、融点が100℃〜200℃の樹脂材料を用いることで、例えばタイヤの骨格体を、その分割体(骨格片)を融着して形成する場合に、接合部の加熱温度を、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料の融点以上に設定することができる。
本発明のタイヤとして、上記範囲の融点を有する樹脂材料を用いることで、100℃〜200℃の温度範囲で融着された骨格体であってもタイヤ骨格片同士の接着強度が十分である。これにより、該タイヤは耐パンク性や耐摩耗性など走行時における耐久性に優れる。尚、前記加熱温度は、タイヤ骨格片を形成する樹脂材料の融点よりも10℃〜150℃高い温度が好ましく、10℃〜100℃高い温度が更に好ましい。
《タイヤ》
[第1の実施形態]
以下に、図面に従って本発明における第1の実施形態に係るタイヤを説明する。
本実施形態のタイヤ10について説明する。図1(A)は、本発明の一実施形態に係るタイヤの一部の断面を示す斜視図である。図1(B)は、リムに装着したビード部の断面図である。図1に示すように、本実施形態のタイヤ10は、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと略同様の断面形状を呈している。
図1(A)に示すように、タイヤ10は、図1(B)に示すリム20のビードシート21およびリムフランジ22に接触する1対のビード部12と、ビード部12からタイヤ径方向外側に延びるサイド部14と、一方のサイド部14のタイヤ径方向外側端と他方のサイド部14のタイヤ径方向外側端とを連結するクラウン部16(外周部)と、からなるタイヤケース(タイヤ骨格体)17を備えている。
ここで、本実施形態のタイヤケース17は、樹脂材料として、少なくともポリプロピレンを含み、且つ前記樹脂材料のペンタッド率が88.2%以上93.4%以下であるものを用いることができる。
本実施形態においてタイヤケース17は、単一の樹脂材料で形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、従来一般のゴム製の空気入りタイヤと同様に、タイヤケース17の各部位毎(サイド部14、クラウン部16、ビード部12など)に異なる特徴を有する樹脂材料を用いてもよい。また、タイヤケース17(例えば、ビード部12、サイド部14、クラウン部16等)に、補強材(高分子材料や金属製の繊維、コード、不織布、織布等)を埋設配置し、補強材でタイヤケース17を補強してもよい。
本実施形態のタイヤケース17は、樹脂材料で形成された一対のタイヤケース半体(タイヤ骨格片)17A同士を接合させたものである。タイヤケース半体17Aは、一つのビード部12と一つのサイド部14と半幅のクラウン部16とを一体として射出成形等で成形された同一形状の円環状のタイヤケース半体17Aを互いに向かい合わせてタイヤ赤道面部分で接合することで形成されている。なお、タイヤケース17は、2つの部材を接合して形成するものに限らず、3以上の部材を接合して形成してもよい。
前記樹脂材料で形成されるタイヤケース半体17Aは、例えば、真空成形、圧空成形、インジェクション成形、メルトキャスティング等で成形することができる。このため、従来のようにゴムでタイヤケースを成形する場合に比較して、加硫を行う必要がなく、製造工程を大幅に簡略化でき、成形時間を省略することができる。
また、本実施形態では、タイヤケース半体17Aは左右対称形状、即ち、一方のタイヤケース半体17Aと他方のタイヤケース半体17Aとが同一形状とされているので、タイヤケース半体17Aを成形する金型が1種類で済むメリットもある。
本実施形態において、図1(B)に示すようにビード部12には、従来一般の空気入りタイヤと同様の、スチールコードからなる円環状のビードコア18が埋設されている。しかし、本発明はこの構成に限定されず、ビード部12の剛性が確保され、リム20との嵌合に問題なければ、ビードコア18を省略することもできる。なお、スチールコード以外に、有機繊維コード、樹脂被覆した有機繊維コード、または硬質樹脂などで形成されていてもよい。
本実施形態では、ビード部12のリム20と接触する部分や、少なくともリム20のリムフランジ22と接触する部分に、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性に優れた材料、例えば、ゴムからなる円環状のシール層24が形成されている。このシール層24はタイヤケース17(ビード部12)とビードシート21とが接触する部分にも形成されていてもよい。タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性に優れた材料としては、タイヤケース17を構成する樹脂材料に比して軟質な材料を用いることができる。シール層24に用いることのできるゴムとしては、従来一般のゴム製の空気入りタイヤのビード部外面に用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。また、前記樹脂材料よりもシール性に優れる他の熱可塑性樹脂(熱可塑性エラストマー)を用いてもよい。このような他の熱可塑性樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系熱可塑性樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂やこれら樹脂とゴム若しくはエラストマーとのブレンド物等が挙げられる。また、熱可塑性エラストマーを用いることもでき、例えば、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、或いは、これらエラストマー同士の組み合わせや、ゴムとのブレンド物等が挙げられる。
図1に示すように、クラウン部16には、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも剛性が高い補強コード26がタイヤケース17の周方向に巻回されている。補強コード26は、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視で、少なくとも一部がクラウン部16に埋設された状態で螺旋状に巻回されており、補強コード層28を形成している。補強コード層28のタイヤ径方向外周側には、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも耐摩耗性に優れた材料、例えばゴムからなるクラウン30が配置されている。
図2を用いて補強コード26によって形成される補強コード層28について説明する。図2は、第1実施形態のタイヤのタイヤケースのクラウン部に補強コードが埋設された状態を示すタイヤ回転軸に沿った断面図である。図2に示されるように、補強コード26は、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視で、少なくとも一部がクラウン部16に埋設された状態で螺旋状に巻回されており、タイヤケース17の外周部の一部と共に図2において破線部で示される補強コード層28を形成している。補強コード26のクラウン部16に埋設された部分は、クラウン部16(タイヤケース17)を構成する樹脂材料と密着した状態となっている。補強コード26としては、金属繊維や有機繊維等のモノフィラメント(単線)、または、スチール繊維を撚ったスチールコードなどこれら繊維を撚ったマルチフィラメント(撚り線)などを用いることができる。なお、本実施形態において補強コード26としては、スチールコードが用いられている。
また、図2において埋設量Lは、タイヤケース17(クラウン部16)に対する補強コード26のタイヤ回転軸方向への埋設量を示す。補強コード26のクラウン部16に対する埋設量Lは、補強コード26の直径Dの1/5以上であれば好ましく、1/2を超えることがさらに好ましい。そして、補強コード26全体がクラウン部16に埋設されることが最も好ましい。補強コード26の埋設量Lが、補強コード26の直径Dの1/2を超えると、補強コード26の寸法上、埋設部から飛び出し難くなる。また、補強コード26全体がクラウン部16に埋設されると、表面(外周面)がフラットになり、補強コード26が埋設されたクラウン部16上に部材が載置されても補強コード周辺部に空気が入るのを抑制することができる。なお、補強コード層28は、従来のゴム製の空気入りタイヤのカーカスの外周面に配置されるベルトに相当するものである。
上述のように補強コード層28のタイヤ径方向外周側にはクラウン30が配置されている。このクラウン30に用いるゴムは、従来のゴム製の空気入りタイヤに用いられているゴムと同種のゴムを用いることが好ましい。なお、クラウン30の代わりに、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも耐摩耗性に優れる他の種類の樹脂材料で形成したクラウンを用いてもよい。また、クラウン30には、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、路面との接地面に複数の溝からなるクラウンパターンが形成されている。
以下、本実施形態のタイヤの製造方法について説明する。
(タイヤケース(タイヤ骨格体)成形工程)
まず、本発明における樹脂材料を用いてタイヤケース半体を形成する。これらタイヤケースの形成は、射出成形で行うことが好ましい。次に、薄い金属の支持リングに支持されたタイヤケース半体同士を互いに向かい合わせる。次いで、タイヤケース半体の突き当て部分の外周面と接するように図を省略する接合金型を設置する。ここで、前記接合金型はタイヤケース半体17Aの接合部(突き当て部分)周辺を所定の圧力で押圧するように構成されている。次いで、タイヤケース半体の接合部周辺を、タイヤケースを構成する樹脂材料の融点(または軟化点)以上で押圧する。タイヤケース半体の接合部が接合金型によって加熱・加圧されると、前記接合部が溶融しタイヤケース半体同士が融着しこれら部材が一体となってタイヤケース17が形成される。尚、本実施形態においては接合金型を用いてタイヤケース半体の接合部を加熱したが、本発明はこれに限定されず、例えば、別に設けた高周波加熱機等によって前記接合部を加熱したり、予め熱風、赤外線の照射等によって軟化または溶融させ、接合金型によって加圧して、タイヤケース半体を接合させてもよい。
(補強コード部材巻回工程)
次に、補強コード巻回工程について図3を用いて説明する。図3は、コード加熱装置、およびローラ類を用いてタイヤケースのクラウン部に補強コードを埋設する動作を説明するための説明図である。図3において、コード供給装置56は、補強コード26を巻き付けたリール58と、リール58のコード搬送方向下流側に配置されたコード加熱装置59と、補強コード26の搬送方向下流側に配置された第1のローラ60と、第1のローラ60をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第1のシリンダ装置62と、第1のローラ60の補強コード26の搬送方向下流側に配置される第2のローラ64と、第2のローラ64をタイヤ外周面に対して接離する方向に移動する第2のシリンダ装置66と、を備えている。第2のローラ64は、金属製の冷却用ローラとして利用することができる。また、本実施形態において、第1のローラ60または第2のローラ64の表面は、溶融または軟化した樹脂材料の付着を抑制するためにフッ素樹脂(本実施形態では、テフロン(登録商標))でコーティングされている。なお、本実施形態では、コード供給装置56は、第1のローラ60または第2のローラ64の2つのローラを有する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、何れか一方のローラのみ(即ち、ローラ1個)を有している構成でもよい。
また、コード加熱装置59は、熱風を生じさせるヒーター70およびファン72を備えている。また、コード加熱装置59は、内部に熱風が供給される、内部空間を補強コード26が通過する加熱ボックス74と、加熱された補強コード26を排出する排出口76とを備えている。
本工程においては、まず、コード加熱装置59のヒーター70の温度を上昇させ、ヒーター70で加熱された周囲の空気をファン72の回転によって生じる風で加熱ボックス74へ送る。次に、リール58から巻き出した補強コード26を、熱風で内部空間が加熱された加熱ボックス74内へ送り加熱(例えば、補強コード26の温度を100〜200℃程度に加熱)する。加熱された補強コード26は、排出口76を通り、図3の矢印R方向に回転するタイヤケース17のクラウン部16の外周面に一定のテンションをもって螺旋状に巻きつけられる。ここで、加熱された補強コード26がクラウン部16の外周面に接触すると、接触部分の樹脂材料が溶融または軟化し、加熱された補強コード26の少なくとも一部がクラウン部16の外周面に埋設される。このとき、溶融または軟化した樹脂材料に加熱された補強コード26が埋設されるため、樹脂材料と補強コード26とが隙間がない状態、つまり密着した状態となる。これにより、補強コード26を埋設した部分へのエア入りが抑制される。なお、補強コード26をタイヤケース17の樹脂材料の融点(または軟化点)よりも高温に加熱することで、補強コード26が接触した部分の樹脂材料の溶融または軟化が促進される。このようにすることで、クラウン部16の外周面に補強コード26を埋設しやすくなると共に、効果的にエア入りを抑制することができる。
また、補強コード26の埋設量Lは、補強コード26の加熱温度、補強コード26に作用させるテンション、および第1のローラ60による押圧力等によって調整することができる。そして、本実施形態では、補強コード26の埋設量Lが、補強コード26の直径Dの1/5以上となるように設定されている。なお、補強コード26の埋設量Lとしては、直径Dの1/2を超えることがさらに好ましく、補強コード26全体が埋設されることが最も好ましい。
このようにして、加熱した補強コード26をクラウン部16の外周面に埋設しながら巻き付けることで、タイヤケース17のクラウン部16の外周側に補強コード層28が形成される。
次に、タイヤケース17の外周面に加硫済みの帯状のクラウン30を1周分巻き付けてタイヤケース17の外周面にクラウン30を、接着剤などを用いて接着する。なお、クラウン30は、例えば、従来知られている更生タイヤに用いられるプレキュアクラウンを用いることができる。本工程は、更生タイヤの台タイヤの外周面にプレキュアクラウンを接着する工程と同様の工程である。
そして、タイヤケース17のビード部12に、加硫済みのゴムからなるシール層24を、接着剤等を用いて接着すれば、タイヤ10の完成となる。
(作用)
本実施形態のタイヤ10では、タイヤケース17が、少なくともポリプロピレンを含み、且つ前記樹脂材料のペンタッド率が88.2%以上93.4%以下である樹脂材料によって形成されているため、良好なリム組み性と走行時の良好な耐変形性とを両立させることができる。
また、タイヤ10は従来のゴム製のタイヤに比して構造が簡易であるため重量が軽い。このため、本実施形態のタイヤ10は、耐摩擦性および耐久性が高い。更に、タイヤケース17を射出成形できることから生産性にも非常に優れる。
また、本実施形態のタイヤ10では、樹脂材料で形成されたタイヤケース17のクラウン部16の外周面に前記樹脂材料よりも剛性が高い補強コード26が周方向へ螺旋状に巻回されていることから耐パンク性、耐カット性、およびタイヤ10の周方向剛性が向上する。なお、タイヤ10の周方向剛性が向上することで、樹脂材料で形成されたタイヤケース17のクリープが防止される。
また、タイヤケース17の軸方向に沿った断面視(図1に示される断面)で、樹脂材料で形成されたタイヤケース17のクラウン部16の外周面に補強コード26の少なくとも一部が埋設され且つ樹脂材料に密着していることから、製造時のエア入りが抑制されており、走行時の入力などによって補強コード26が動くのが抑制される。これにより、補強コード26、タイヤケース17、およびクラウン30に剥離などが生じるのが抑制され、タイヤ10の耐久性が向上する。
このように補強コード層28が、樹脂材料を含んで構成されていると、補強コード26をクッションゴムで固定する場合と比してタイヤケース17と補強コード層28との硬さの差を小さくできるため、更に補強コード26をタイヤケース17に密着・固定することができる。これにより、上述のエア入りを効果的に防止することができ、走行時に補強コード部材が動くのを効果的に抑制することができる。
更に、補強コード26がスチールコードの場合に、タイヤ処分時に補強コード26を加熱によって樹脂材料から容易に分離・回収が可能であるため、タイヤ10のリサイクル性の点で有利である。また、樹脂材料は加硫ゴムに比して損失係数(tanδ)が低いため、補強コード層28が樹脂材料を多く含んでいると、タイヤの転がり性を向上させることができる。更には、樹脂材料は加硫ゴムに比して、面内せん断剛性が大きく、タイヤ走行時の操安性や耐摩耗性にも優れるといった利点がある。
そして、図2に示すように、補強コード26の埋設量Lが直径Dの1/5以上となっていることから、製造時のエア入りが効果的に抑制されており、走行時の入力などによって補強コード26が動くのがさらに抑制される。
また、路面と接触するクラウン30を、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりも耐摩耗性のあるゴム材で構成していることから、タイヤ10の耐摩耗性が向上する。
さらに、ビード部12には、金属材料からなる環状のビードコア18が埋設されていることから、従来のゴム製の空気入りタイヤと同様に、リム20に対してタイヤケース17、すなわちタイヤ10が強固に保持される。
ビード部12のリム20と接触する部分に、タイヤケース17を構成する樹脂材料よりもシール性のあるゴム材からなるシール層24を設けることで、タイヤ10とリム20との間のリム組み性を更に向上させることができる。
上述の実施形態では、補強コード26を加熱し、加熱した補強コード26が接触する部分のタイヤケース17の表面を溶融または軟化させる構成としたが、本発明はこの構成に限定されず、補強コード26を加熱せずに熱風生成装置を用い、補強コード26が埋設されるクラウン部16の外周面を加熱した後、補強コード26をクラウン部16に埋設するようにしてもよい。
また、第1実施形態では、コード加熱装置59の熱源をヒーターおよびファンとしているが、本発明はこの構成に限定されず、補強コード26を輻射熱(例えば、赤外線など)で直接加熱する構成としてもよい。
さらに、第1実施形態では、補強コード26を埋設した樹脂材料が溶融または軟化した部分を金属製の第2のローラ64で強制的に冷却する構成としたが、本発明はこの構成に限定されず、樹脂材料が溶融または軟化した部分に冷風を直接吹きかけて、樹脂材料の溶融または軟化した部分を強制的に冷却固化する構成としてもよい。
また、第1実施形態では、補強コード26を加熱する構成としたが、例えば、補強コード26の外周をタイヤケース17と同じ樹脂材料で被覆する構成としてもよく、この場合には、被覆補強コードをタイヤケース17のクラウン部16に巻き付ける際に、補強コード26と共に被覆した樹脂材料も加熱することで、クラウン部16への埋設時におけるエア入りを効果的に抑制することができる。
また、補強コード26は螺旋巻きするのが製造上は容易だが、幅方向で補強コード26を不連続とする方法等も考えられる。
第1実施形態のタイヤ10は、ビード部12をリム20に装着することで、タイヤ10とリム20との間で空気室を形成する、所謂チューブレスタイヤであるが、本発明はこの構成に限定されず、完全なチューブ形状であってもよい。また、本発明のタイヤは、特開2012−46030号公報の第2実施形態(図4および5)に示すようにコード部材が樹脂材料で被覆されている補強コード部材を用いた態様であってもよい。
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
以下、本発明について実施例を用いてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1〜8、比較例1〜11]
表1および表2に記載の樹脂材料を、該表に記載の組成にて混合し樹脂材料を得た。得られた樹脂材料をペレット化し、230℃で射出成形し、サンプル片を得た。各種測定はこのサンプル片から試験片を打ち抜いたサンプルを用いて実施した。
・引張弾性率
JIS K7113(1995年)に準拠し測定を実施した。
・クリープ量
JIS K7115(1999年)に準拠し、JIS3号ダンベル試験片を用い、チャック間:65mm、40kN、90℃の条件で、3時間後のクリープ量を測定した。
−評価−
・タイヤ評価(耐変形性)
165/45 R16のタイヤを作製し、ドラムにて150km/hで走行させ、5分以上走行したものをA、サイドが膨れたり、このサイドの膨れに起因してエアーがリークしたものをBとした。
・タイヤ評価(リム組み性)
各実施例及び比較例で得られた樹脂材料を用いて、それぞれ上述の第1の実施形態を参照し、タイヤを形成した。次いで、タイヤをリムに装着し、エアシール性が確保できた場合を「A」、エアシール性が確保できなかった場合を「B」とした。
尚、上記表1および表2に示される成分は、それぞれ以下の通りである。
・E−105GM:ポリプロピレン、(株)プライムポリマー製、プライムポリプロ
・EA9:ポリプロピレン、日本ポリプロ(株)製、ノバテック(登録商標)
・H3002:ポリプロピレン、住友化学(株)製、タフセレン(登録商標)
・T1712:ポリプロピレン、住友化学(株)製、タフセレン(登録商標)
・X1102:ポリプロピレン、住友化学(株)製、タフセレン(登録商標)
表1および表2からわかるように、タイヤ骨格体を形成する樹脂材料に少なくともポリプロピレンを含み且つ樹脂材料のペンタッド率が特定の範囲に制御された実施例は、ペンタッド率を満たさない比較例に比べ、サイドの膨れが抑制され且つリム組み性も良好で、その結果空気の漏れが抑制されていることがわかる。
10 タイヤ、12 ビード部、16 クラウン部(外周部)、17 タイヤケース(タイヤ骨格体)、18 ビードコア、20 リム、21 ビードシート、22 リムフランジ、17 タイヤケース(タイヤ骨格体)、24 シール層(シール部)、26 補強コード(補強コード部材)、28 補強コード層、30 クラウン、D 補強コードの直径(補強コード部材の直径)、L 補強コードの埋設量(補強コード部材の埋設量)

Claims (1)

  1. 樹脂材料で形成され且つ環状のタイヤ骨格体を有し、
    前記樹脂材料が少なくともポリプロピレンを含み、且つ前記樹脂材料のペンタッド率が88.2%以上93.4%以下であり、
    前記樹脂材料が、イソタクチックポリプロピレンを50質量%〜70質量%の範囲で、アタクチックポリプロピレンを30質量%〜50質量%の範囲で含むタイヤ。
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